JP6581413B2 - ゴム製品の成型加硫用離型剤組成物及びその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、ゴム製品の成型加硫用離型剤組成物及びその利用に関する。さらに詳しくは、本発明は、自転車、自動車等の車両や航空機のタイヤ等のゴム製品を成型加硫して製造する際に用いられるブラダーの表面に短時間で良好な離型性被膜を形成することによって、同一ブラダーを用いて行われる成型加硫の回数が増加し、得られるゴム製品の不良率を低減することができるゴム製品の成型加硫用離型剤組成物及びゴム製品の成型加硫方法に関する。
ゴム製品の成型加硫に際して、ブラダー又はエアバッグと称するゴム製の袋(以下、ブラダーと称する場合がある。)を成型加硫前のゴム製品である原料ゴムの内側に挿入し、ブラダーの内部に高温高圧の気体(たとえば、約180℃の蒸気等)や液体を導入することによって、ブラダーを膨張させて、原料ゴムを金型に押し付けて加熱加圧し、成型加硫を行ってゴム製品を製造する場合がある。
ゴム製品がタイヤの場合は、ブラダーを成型加硫前のタイヤ(以下、グリーンタイヤと称する場合がある。)の内側に挿入し、ブラダーを膨張させて、グリーンタイヤを金型に押し付けて加熱加圧し、成型加硫を行っている。この場合、ブラダーとグリーンタイヤ内面は、何れもゴムを素材としているために、両者の間に離型剤が必要である。
従来、タイヤの成型加硫では、たとえば、インサイドペイントと称する水系又は溶剤系の離型剤をグリーンタイヤの内面にその都度塗布する方法や、グリーンタイヤとブラダーの間の剥離を良くするためにブラダー表面にシリコーン系の離型剤を塗布する方法が行われてきた。
特許文献1には、たとえば、インサイドペイントとして、有機珪素化合物との反応により表面が疎水化された無機珪酸塩が分散されている水性ジオルガノポリシロキサン乳濁液が提案されている。また、特許文献2には、ジアルキルポリシロキサンとポリアルキレングリコールとの共重合体及び雲母又はタルクからなる粉末離型剤組成物が提案されている。しかしながら、インサイドペイントをグリーンタイヤの内面にその都度塗布する方法は、工程が煩雑になるとともに、塗布時に機器周辺の汚れが発生するという問題がある。また、この問題点よりも大きな問題として、インサイドペイントがタイヤインナーライナーの接合部に入り込み、インナーライナー接合部の剥離を起こしてタイヤ不良が発生するといったトラブルが生じたり、インサイドペイント塗布後のタイヤを成型工程に投入するまでのストックポイントに、膨大なスペースを要するという問題がある。
そこで、インサイドペイントとは異なる方法として、グリーンタイヤとブラダーの間の剥離を良くするために、ブラダー表面にシリコーン系の離型剤を塗布する方法がある。ブラダー用離型剤組成物としては、たとえば、特許文献3には、アミノアルキル基変性オルガノポリシロキサンと界面活性剤を含有する炭酸ガスにより自己架橋する潤滑剤組成物が提案されている。また、特許文献4には、水分又は熱の作用下に重合するシリコーンゴムとシリコーン離型剤の混合物をブラダーに施し、水分を含有する空気又は熱にさらすことにより、ブラダー上に離型剤フィルムを構成する方法が提案されている。さらに、特許文献5には、最内層にブラダーとの接着性を有する室温硬化型シリコーン層が施され、最外層に縮合型のシリコーン樹脂層が形成されてなる2層以上の離型潤滑層を有するブラダーが提案されている。特許文献6には、オルガノポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、シリカ及び金属の有機酸塩を含有するシリコーン組成物により表面処理された加硫用ブラダーを用いる方法が提案されている。しかしながら、ブラダー表面にシリコーン系の離型剤を塗布する方法においては、シリコーン系の水系離型剤を使用する技術では、短時間で良好な離型性被膜を形成することが困難であった。さらには離型剤被膜とブラダーとの接着性が不充分であるので成型加硫工程時の離型性が弱く、特に連続的に成型加硫する場合短時間で離型被膜が劣化し製造中のゴム製品に不良が発生するといった問題があった。溶剤系の離型剤を用いる技術においては、比較的短時間で良好な離型性被膜を形成できるがVOCの問題があり使用が制限されるというデメリットがある。
このように、特許文献1〜6の離型剤ではそれぞれについて問題がある。しかしながら、離型性の問題、作業性の問題、及びVOCの問題を抱えつつも、従来のインサイドペイント離型剤やブラダー用離型剤組成物を使用せざるを得ないというのが現状であった。
特開昭53−42243号公報 特開昭52−86477号公報 特開昭60−229719号公報 特開昭59−106948号公報 特開平6−339927号公報 特開昭62−275711号公報
本発明の目的は、ブラダー表面に対する被覆性に優れ、ブラダー表面に迅速に弾性被膜を形成し、ゴム製品の成型加硫工程時におけるブラダーの離型性に優れ、さらに連続成型加硫できるゴム製品の成型加硫用離型剤組成物と、この成型加硫用離型剤組成物を使用して、効率よく行われるゴム製品の製造方法とを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討をした結果、特定の反応性ポリシロキサンと、特定のHLBを示す非反応性ポリシロキサンと、界面活性剤とを特定量含み、特定の表面張力を示す離型剤組成物であれば、本願課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明のゴム製品の成型加硫用離型剤組成物は、ポリシロキサン(A)、界面活性剤(B)及び水を含有する離型剤組成物であって、
前記ポリシロキサン(A)が反応性ポリシロキサン(A1)及びHLB7〜18の非反応性ポリシロキサン(A2)を必須に含有し、
前記反応性ポリシロキサン(A1)がハイドロジェンポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン及びエポキシ変性ポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種であり、
前記ポリシロキサン(A)の配合量を100重量部としたときに、それぞれの配合量が、前記界面活性剤(B)が0.0001〜50重量部、前記水が100〜20000重量部、前記反応性ポリシロキサン(A1)が50〜99重量部、前記非反応性ポリシロキサン(A2)が1〜50重量部であって、前記組成物の0.1重量%水溶液の25℃における表面張力が20〜50mN/mである、離型剤組成物である。
前記非反応性ポリシロキサン(A2)が、ポリエーテル変性ポリシロキサン及びポリグリセリル変性ポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種であると好ましい。
前記非反応性ポリシロキサン(A2)の0.1重量%水溶液の25℃における表面張力が20〜35mN/mであると好ましい。
本発明のゴム製品の製造方法は、原料ゴムを成型加硫してゴム製品を製造する方法であって、上記離型剤組成物をブラダー表面のゴムに付着させ、離型被膜を形成する処理工程と、
ゴム製品の金型と前記処理工程で得られる処理済ブラダーとの間に原料ゴムを配置し、前記処理済ブラダーを加熱膨張させて、前記処理済ブラダーの離型被膜を介して前記原料ゴムを加熱しながら前記金型に押しつけることによって、前記原料ゴムを成型加硫する成型加硫工程とを含む。
前記ゴム製品がタイヤであると好ましい。
本発明のゴム製品の成型加硫用離型剤組成物は、ブラダー表面に対する被覆性に優れ、ブラダー表面に迅速に弾性被膜を形成し、ゴム製品の成型加硫工程時におけるブラダーの離型性に優れ、さらに、ゴム製品を連続成型加硫できる。
本発明のゴム製品の製造方法は、上記ゴム製品の成型加硫用離型剤組成物を使用するために、ゴム製品を効率よく製造することができる。
本発明のゴム製品の成型加硫用離型剤組成物は、ポリシロキサン(A)、界面活性剤(B)及び水を特定量含有し、特定の表面張力を示す離型剤組成物である。
まず、ゴム製品の成型加硫用離型剤組成物を構成する各成分を詳しく説明する。以下では、「ゴム製品の成型加硫用離型剤組成物」を単に「成型加硫用離型剤組成物」ということがある。
〔ポリシロキサン(A)〕
本発明のゴム製品の成型加硫用離型剤組成物は、反応性ポリシロキサン(A1)及びHLB7〜18の非反応性ポリシロキサン(A2)を必須成分とするポリシロキサン(A)を含む。ポリシロキサン(A)は、被膜形成性や離型性を付与する成分である。
ポリシロキサン(A)は、シロキサン結合(−Si−O−)を主骨格とし、その側鎖及び/又は末端に官能基が結合した構造である。ここで官能基とは、水素原子基(−H)、メチル基等の単なる炭化水素基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ポリエーテル基、フェニル基及びエポキシ基等の機能原子団;これらの機能原子団に結合した炭化水素基;単なる炭化水素基等を意味するものとする。ポリシロキサン(A)は、たとえば、官能基が結合した位置によって、以下の1)〜4)に示す4種類の構造に分類される。
1)ポリシロキサンの側鎖の一部に官能基が結合した側鎖型変性ポリシロキサン(たとえば、下記一般式(1)で示されるポリシロキサン)
2)ポリシロキサンの両方の末端に官能基が結合した両末端型変性ポリシロキサン(たとえば、下記一般式(2)で示されるポリシロキサン)
3)ポリシロキサンのいずれか片方の末端に官能基が結合した片末端型変性ポリシロキサン(たとえば、下記一般式(3)で示されるポリシロキサン)
4)ポリシロキサンの側鎖の一部と両方の末端に官能基が結合した側鎖両末端型変性ポリシロキサン(たとえば、下記一般式(4)で示されるポリシロキサン)
Figure 0006581413
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(但し、一般式(1)〜(4)において、Xは官能基である。また、mは1〜10000の整数であり、nは1〜10000の整数である。)
ポリシロキサンは、上記一般式(1)〜(4)で分類されるポリシロキサンのいずれであってもよい。
ポリシロキサン(A)の分子量は、通常、数平均分子量及び重量平均分子量のいずれでも表すことができる。また、数平均分子量と重量平均分子量との比を分散比とし、これが1に近いほど分子量分布が狭いことを示し単分散に近くなるが、ポリシロキサンの分子量分布について、特に限定はなく、単分散であってもよく、多分散であってもよい。
ポリシロキサン(A)の数平均分子量は、好ましくは1000〜10000000であり、さらに好ましくは1500〜8000000であり、特に好ましくは2000〜6000000であり、最も好ましくは3000〜5000000である。数平均分子量が10000000超であると、本発明のゴム製品の成型加硫用離型剤組成物のハンドリング性が低下することがある。一方、数平均分子量が1000未満であると、本発明のゴム製品の成型加硫用離型剤組成物の被膜形成性が低下することがある。
以下に、反応性ポリシロキサン(A1)及び非反応性ポリシロキサン(A2)について詳しく説明する。
〔反応性ポリシロキサン(A1)〕
反応性ポリシロキサン(A1)は離型性を付与する成分であり、さらに、反応性に富み被膜形成に優れる。
反応性ポリシロキサン(A1)としては、ハイドロジェンポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、シラノール変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン、ビニル変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、アクリル変性ポリシロキサン、カルボン酸無水物変性ポリシロキサン等が挙げられ、1種又は2種以上を併用してもよい。これらのうちでも、反応性ポリシロキサン(A1)が、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、シラノール変性ポリシロキサン及びカルボキシル変性ポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種であると反応性に優れるので好ましい。
いくつかの反応性ポリシロキサン(A1)について、構造及び物性の詳細を下記する。
ハイドロジェンポリシロキサンは、一般式(1)〜(4)で示される場合、XはHであり、いずれにおいても、ケイ素原子に水素原子が直接結合した構造、すなわち、Si−H構造を有する。
ハイドロジェンポリシロキサンの官能基当量としては、特に限定はないが、好ましくは3〜3000g/molであり、より好ましくは3〜2000g/mol、さらに好ましくは3〜1000g/mol、特に好ましくは3〜500g/mol、最も好ましくは10〜500g/molである。ハイドロジェンポリシロキサンの官能基当量とは、Si−H構造を形成するHが1mol含まれるハイドロジェンポリシロキサンの質量を示すことになる。ここでは、官能基当量が小さい値であるほど、ポリシロキサンの単位質量当たり含まれるSi−H構造を形成するHの量が多いことを意味する。
ハイドロジェンポリシロキサンの25℃における粘度としては、特に限定はないが、好ましくは10〜30000mPa・s、さらに好ましくは100〜25000mPa・s、特に好ましくは500〜20000mPa・s、最も好ましくは1000〜15000mPa・sである。10mPa・s未満では、反応性に乏しくなり被膜形成能が低下することがある。30000mPa・s超では、ハンドリング性が悪くなることがある。
アミノ変性ポリシロキサンは、一般式(1)〜(4)で示される場合、Xとしては−RNH(但し、Rは2価の有機基であり、その炭素数は、好ましくは1〜30、さらに好ましくは1〜20である。)を挙げることができる。
アミノ変性ポリシロキサンの官能基当量としては、特に限定はないが、好ましくは100〜20000g/molであり、より好ましくは300〜15000g/mol、さらに好ましくは500〜10000g/mol、特に好ましくは750〜7500g/mol、最も好ましくは1000〜5000g/molである。アミノ変性ポリシロキサンの官能基当量とは、アミノ基が1mol含まれるアミノ変性ポリシロキサンの質量を示すことになる。
アミノ変性ポリシロキサンの25℃における粘度としては、特に限定はないが、好ましくは10〜20000mPa・s、さらに好ましくは100〜15000mPa・s、特に好ましくは500〜10000mPa・s、最も好ましくは1000〜5000mPa・sである。10mPa・s未満では、反応性に乏しくなり被膜形成能が低下することがある。20000mPa・s超では、ハンドリング性が悪くなることがある。
エポキシ変性ポリシロキサンは、一般式(1)〜(4)で示される場合、Xとしては−RCHCHO(但し、Rは2価の有機基であり、その炭素数は、好ましくは1〜30、さらに好ましくは1〜20である。)を挙げることができる。
エポキシ変性ポリシロキサンの官能基当量としては、特に限定はないが、好ましくは100〜20000g/molであり、より好ましくは100〜15000g/mol、さらに好ましくは100〜10000g/mol、特に好ましくは1000〜7500g/mol、最も好ましくは1000〜5000g/molである。エポキシ変性ポリシロキサンの官能基当量とは、エポキシ基が1mol含まれるエポキシ変性ポリシロキサンの質量を示すことになる。
エポキシ変性ポリシロキサンの25℃における粘度としては、特に限定はないが、好ましくは10〜20000mPa・s、さらに好ましくは100〜15000mPa・s、特に好ましくは500〜10000mPa・s、最も好ましくは1000〜5000mPa・sである。10mPa・s未満では、反応性に乏しくなり被膜形成能が低下することがある。20000mPa・s超では、ハンドリング性が悪くなることがある。
カルビノール変性ポリシロキサンは、一般式(1)〜(4)で示される場合、Xとしては−ROH(但し、Rは2価の有機基であり、その炭素数は、好ましくは1〜30、さらに好ましくは1〜20である。)を挙げることができる。
カルビノール変性ポリシロキサンの官能基当量としては、特に限定はないが、好ましくは100〜20000g/molであり、より好ましくは500〜15000g/mol、さらに好ましくは750〜10000g/mol、特に好ましくは1000〜7500g/mol、最も好ましくは1000〜5000g/molである。カルビノール変性ポリシロキサンの官能基当量とは、カルビノール基が1mol含まれるカルビノール変性ポリシロキサンの質量を示すことになる。
カルビノール変性ポリシロキサンの25℃における粘度としては、特に限定はないが、好ましくは10〜20000mPa・s、さらに好ましくは10〜15000mPa・s、特に好ましくは10〜10000mPa・s、最も好ましくは100〜10000mPa・sである。10mPa・s未満では、反応性に乏しくなり被膜形成能が低下することがある。20000mPa・s超では、ハンドリング性が悪くなることがある。
シラノール変性ポリシロキサンは、一般式(1)〜(4)で示される場合、Xとしては−OHを挙げることができる。
シラノール変性ポリシロキサンの官能基当量としては、特に限定はないが、好ましくは100〜20000g/molであり、より好ましくは500〜15000g/mol、さらに好ましくは750〜10000g/mol、特に好ましくは1000〜7500g/mol、最も好ましくは1000〜5000g/molである。シラノール変性ポリシロキサンの官能基当量とは、ヒドロキシ基が1mol含まれるシラノール変性ポリシロキサンの質量を示すことになる。
シラノール変性ポリシロキサンの25℃における粘度としては、特に限定はないが、好ましくは10〜20000mPa・s、さらに好ましくは100〜15000mPa・s、特に好ましくは500〜10000mPa・s、最も好ましくは1000〜8000mPa・sである。10mPa・s未満では、反応性に乏しくなり被膜形成能が低下することがある。20000mPa・s超では、ハンドリング性が悪くなることがある。
カルボキシル変性ポリシロキサンは、一般式(1)〜(4)で示される場合、XとしてはR−COOHを挙げることができる。
カルボキシル変性ポリシロキサンの官能基当量としては、特に限定はないが、好ましくは100〜20000g/molであり、より好ましくは500〜15000g/mol、さらに好ましくは750〜10000g/mol、特に好ましくは1000〜7500g/mol、最も好ましくは1000〜5000g/molである。カルボキシル変性ポリシロキサンの官能基当量とは、カルボキシル基が1mol含まれるカルボキシル変性ポリシロキサンの質量を示すことになる。
カルボキシル変性ポリシロキサンの25℃における粘度としては、特に限定はないが、好ましくは10〜20000mPa・s、さらに好ましくは100〜15000mPa・s、特に好ましくは500〜10000mPa・s、最も好ましくは1000〜7500mPa・sである。10mPa・s未満では、反応性に乏しくなり被膜形成能が低下することがある。20000mPa・s超では、ハンドリング性が悪くなることがある。
ポリシロキサン(A)の配合量を100重量部としたときの反応性ポリシロキサン(A1)の配合量としては、50〜99重量部、好ましくは60〜98重量部、さらに好ましくは70〜97重量部、特に好ましくは80〜95重量部である。反応性ポリシロキサン(A1)の割合が99重量部超であると、被膜の柔軟性が低下する。一方、反応性ポリシロキサン(A1)の割合が50重量部未満であると、反応性に乏しくなり被膜形成能が低下する。
〔非反応性ポリシロキサン(A2)〕
非反応性ポリシロキサン(A2)は成型加硫用離型剤組成物を塗布した際のブラダーゴム表面に対する被覆性に優れ、離型性及び親水性を付与する成分であり、さらに、ブラダーゴム表面に対する吸着性に富み被膜形成に優れる。
非反応性ポリシロキサン(A2)のHLB(Hydrophile Lipophile Balance)は、7〜18であり、より好ましくは8〜18、さらに好ましくは9〜17、特に好ましくは9〜16である。非反応性ポリシロキサン(A2)のHLBが18超であると、ハンドリング性に優れない。一方、非反応性ポリシロキサン(A2)のHLBが7未満であると、ブラダーゴム表面に対する吸着性に優れない。上記HLB値は、以下の実施例で詳しく説明するグリフィンの式から計算される値を用いる。
上記非反応性ポリシロキサン(A2)は、その表面張力が特定の範囲にあるとブラダーゴム表面に対する吸着性に富み被膜形成に優れる。HLB7〜18の非反応性ポリシロキサン(A2)の0.1%濃度水溶液の表面張力は20〜45mN/mであり、さらに好ましくは20〜40mN/m、特に好ましくは20〜35mN/m、最も好ましくは20〜30mN/mである。0.1%濃度水溶液の表面張力が45mN/m超であると、成型加硫用離型剤組成物を塗布した際のブラダーゴム表面に対する被覆性に優れないことがある。0.1%濃度水溶液の表面張力が20mN/m未満であると、ハンドリング性に優れない。なお、この0.1%濃度とは、重量%濃度のことを意味する。
非反応性ポリシロキサン(A2)としては、特に限定はないが、たとえば、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリグリセリン変性ポリシロキサン等が挙げられ、1種又は2種以上を併用してもよい。これらのうちでも、HLB7〜18の非反応性ポリシロキサン(A2)が、ポリエーテル変性ポリシロキサンであると成型加硫用離型剤組成物を塗布した際のブラダーゴム表面に対する被覆効果が高く被膜形成に優れるので好ましい。
ポリエーテル変性ポリシロキサンは、一般式(1)〜(4)で示される場合、Xとしては−R(CO)(CO)R´(但し、R及びR´は2価の有機基であり、その炭素数は、好ましくは1〜30、さらに好ましくは1〜20である。aは、特に限定はないが、好ましくは1〜100である。bは、特に限定はないが、好ましくは1〜100である。)を挙げることができる。
ポリシロキサン(A)の配合量を100重量部としたときの非反応性ポリシロキサン(A2)の配合量としては、1〜50重量部、好ましくは2〜40重量部、さらに好ましくは3〜30重量部、特に好ましくは5〜20重量部である。50重量部超であると、反応性に乏しくなり被膜形成能が低下する。一方、1重量部未満であると、被膜の柔軟性が低下する。
〔その他のポリシロキサン〕
本発明の成型加硫用離型剤組成物は、上記で説明した反応性ポリシロキサン(A1)及びHLB7〜18の非反応性ポリシロキサン(A2)以外のその他のポリシロキサンを含有していてもよい。このようなその他のポリシロキサンとしては、特に限定はないが、たとえば、フェニル基、フロロアルキル基、アルキル基、高級脂肪酸エステル基、メトキシ基等の有機基を有するポリシロキサン及びジメチルポリシロキサン等が挙げられ、1種又は2種以上を併用してもよい。これらのうちでも、その他のポリシロキサンが、ジメチルポリシロキサンであると離型性に優れるので特に好ましい。
ジメチルポリシロキサンが一般式(1)〜(4)で示される場合、Xとしては、たとえば、メチル基、エチル基等の単なる炭化水素基を挙げることができる。
ジメチルポリシロキサンの25℃における粘度としては、特に限定はないが、好ましくは10〜30000mPa・s、さらに好ましくは100〜20000mPa・s、特に好ましくは500〜10000mPa・s、最も好ましくは1000〜5000mPa・sである。10mPa・s未満では、離型性に優れないことがある。30000mPa・s超では、ハンドリング性が悪いことがある。
ポリシロキサンの合計質量に基づくその他のポリシロキサンの割合としては、通常1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%、さらに好ましくは3〜20重量%、特に好ましくは5〜15重量%である。その他のポリシロキサンの割合が50重量%超であると、反応性に乏しくなり被膜形成能が低下する。一方、その他のポリシロキサンの割合が1重量%未満であると、被膜の柔軟性が低下する場合がある。
〔界面活性剤〕
界面活性剤は、ブラダー表面のゴムに対して「濡れ」を補助する成分である。界面活性剤が本発明のゴム製品の成型加硫用離型剤組成物に含まれることによって、均一にブラダー表面のゴムに被膜化することが実現できる。
ここで、「濡れ」とは、界面化学では固体又は液体の表面にある一つの流体を他の液体で置換する現象と定義される。たとえば、固体/気体の界面が固体/液体の界面に置き換えられたとき、その固体は液体で濡れたという。したがって、本発明のゴム製品の成型加硫用離型剤組成物がブラダー表面のゴムに対して濡れたと表現するときは、ブラダー表面のゴム/空気の界面が、ブラダー表面のゴム/成型加硫用離型剤組成物の界面に置き換えられたことを意味する。本発明のゴム製品の成型加硫用離型剤組成物がブラダー表面のゴムに対して十分濡れていないと表現するときは、ブラダー表面のゴム/空気の界面が、ブラダー表面のゴム/成型加硫用離型剤組成物の界面に完全に置き換えられていないことを意味する。
界面活性剤としては、たとえば、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、1種又は2種以上を含んでいてもよい。界面活性剤が非イオン界面活性剤及び/又は陰イオン界面活性剤であると、ブラダー表面のゴムへの濡れ性付与の観点から、好ましい。
非イオン界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル;ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノラウレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンひまし油;ポリオキシアルキレン硬化ひまし油;ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリグリセリン脂肪酸エステル;アルキルグリセリンエーテル;ポリオキシアルキレンコレステリルエーテル;アルキルポリグルコシド;ショ糖脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンアルキルアミン;オキシエチレンーオキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられ、1種又は2種以上を併用してもよい。なかでも、非イオン性界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレン硬化ひまし油から選ばれる少なくとも1種であると、ブラダーゴム表面に対して優れた濡れを発現するので好ましい。
陰イオン界面活性剤としては、たとえば、オレイン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、オレイン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩;ステアロイルメチルタウリンNa、ラウロイルメチルタウリンNa、ミリストイルメチルタウリンNa、パルミトイルメチルタウリンNa等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩;ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン塩;モノステアリルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸塩;ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩;ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の長鎖スルホコハク酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウムモノナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ジナトリウム等の長鎖N−アシルグルタミン酸塩等が挙げられ、1種又は2種以上を併用してもよい。なかでも、陰イオン性界面活性剤が、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩及び長鎖スルホコハク酸塩から選ばれる少なくとも1種であると、ブラダーゴム表面に対して優れた濡れを発現するので好ましい。
陽イオン界面活性剤としては、たとえば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;ジアルキルジメチルアンモニウム塩;トリアルキルメチルアンモニウム塩、アルキルアミン塩が挙げられ、1種又は2種以上を併用してもよい。
両性界面活性剤としては、たとえば、2−ウンデシル−N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤;2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アミドプロピルベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系両性界面活性剤;N−ラウリルグリシン、N−ラウリルβ−アラニン、N−ステアリルβ−アラニン等のアミノ酸型両性界面活性剤等が挙げられ、1種又は2種以上を併用してもよい。
成型加硫用離型剤組成物に含まれる界面活性剤の配合量は、ポリシロキサンの配合量を100重量部としたときに、0.0001〜50重量部であり、好ましくは0.0005〜10重量部、さらに好ましくは0.001〜1重量部、特に好ましくは0.001〜0.1重量部である。界面活性剤の配合量が、50重量部超であると、起泡が発生し易くなり好ましくない。一方、界面活性剤の配合量が0.0001重量部未満であると、ブラダーゴム表面に対する濡れを向上させる効果が少なくなる。
〔水〕
本発明のゴム製品の成型加硫用離型剤組成物が含有する水は、水道水、イオン交換水、蒸留水等のいずれでもよい。
本発明のゴム製品の成型加硫用離型剤組成物の水の配合量は、ポリシロキサンの配合量を100重量部としたときに、100〜20000重量部、好ましくは200〜10000重量部、さらに好ましくは250〜5000重量部、特に好ましくは300〜1000重量部である。水の配合量が20000重量部超であると、ゴムに対する濡れが不十分で離型性が低下する。一方、水の配合量が100重量部未満であると、ブラダーゴム表面に対する被膜量が多くなり水分の乾燥に要する時間が長くなり実用的でない。
〔その他の成分等〕
本発明のゴム製品の成型加硫用離型剤組成物は、上記で説明した各成分以外に、オルガノアルコキシシラン、消泡剤、金属触媒、無機粒子等をさらに含有していてもよい。
オルガノアルコキシシランは、ポリシロキサンの被膜形成能を向上させる成分である。オルガノアルコキシシランのアルコキシシリル基は、水の存在下で分解され、シラノール基に変換され、次いでポリシロキサンと架橋反応すると考えられる。オルガノアルコキシシランが成型加硫用離型剤組成物に含まれることによって、ポリシロキサンが被膜を形成するまでの時間を大幅に短縮することができる。また、低温雰囲気下でも短時間で被膜を形成させることができる。オルガノアルコキシシランがポリシロキサンと架橋反応することで、被膜の強度、耐熱性、耐膨張安定性、加硫耐久性等を向上させることができる。
オルガノアルコキシシランの数平均分子量としては、特に限定はないが、好ましくは50〜999、さらに好ましくは60〜900、特に好ましくは70〜800、最も好ましくは100〜700である。オルガノアルコキシシランの数平均分子量が1000以上であると、成型加硫用離型剤組成物の被膜形成能が低下することがある。一方、オルガノアルコキシシランの数平均分子量が50未満であると、離型性が低下することがある。
オルガノアルコキシシランのアルコキシ基としては、特に限定はないが、たとえば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。
オルガノアルコキシシランは、官能基を有していてもよい。このような官能基としては、特に限定はないが、たとえば、アミノ基、ウレイド基、エポキシ基、スルフィド基、ビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、メルカプト基、アミノ基、アルキル基、フェニル基、フルオロ基等が挙げられる。
オルガノアルコキシシランとしては、特に限定はないが、たとえば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノメチルジメトキシシラン、1,2−エタンジアミン,N−{3−(トリメトキシシリル)プロピル}−,N−{(エテニルフェニル)メチル}、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノアルコキシシラン;3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシアルコキシシラン;ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド等のスルフィドアルコキシシラン;ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン等のビニルアルコキシシラン;メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリロキシアルコキシシラン;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトアルコキシシラン等が挙げられ、1種又は2種以上を併用してもよい。これらの中でも、オルガノアルコキシシランが、エポキシアルコキシシランであると、ポリシロキサンとの反応性に優れるという理由から好ましい。
オルガノアルコキシシランの配合量については、ポリシロキサンの配合量を100重量部としたときに、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜40重量部、さらに好ましくは3〜30重量部、特に好ましくは5〜20重量部である。オルガノアルコキシシランの配合量が50重量部超であると、ハンドリング性が優れず好ましくないことがある。一方、オルガノアルコキシシランの配合量が1重量部未満であると、反応性に乏しくなり被膜形成能が低下することがある。
消泡剤としては特に限定はないが、たとえば、ヒマシ油、ゴマ油、アマニ油、動植物油等の油脂系消泡剤;ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の脂肪酸系消泡剤;ステアリン酸イソアミル、こはく酸ジステアリル、エチレングリコールジステアレート、ステアリン酸ブチル等の脂肪酸エステル系消泡剤;ポリオキシアルキレンモノハイドリックアルコールジ−t−アミルフェノキシエタノール、3−ヘプタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール系消泡剤;ジ−t−アミルフェノキシエタノール3−ヘプチルセロソルブノニルセロソルブ3−ヘプチルカルビトール等のエーテル系消泡剤;トリブチルオスフェート、トリス(ブトキシエチル)フオスフェート等のリン酸エステル系消泡剤;ジアミルアミン等のアミン系消泡剤;ポリアルキレンアミド、アシレートポリアミン等のアミド系消泡剤;ラウリル硫酸エステルナトリウム等の硫酸エステル系消泡剤;パラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油等が挙げられ、1種又は2種以上を併用してもよい。
金属触媒としては、特に限定はないが、たとえば、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ、ビス(ネオデカノエート)スズ、ジ−n−ブチルスズ(2−エチルヘキシルマレート)スズ、ジ−n−ブチルスズ(2,4−ペンタンジオネート)スズ、ジ−n−ブチルブトキシクロロスズ、ジ−n−ブチルジアセトキシスズ、ジ−n−ブチルジラウリル酸スズ、ジメチルジネオデカノエートスズ、ジメチルヒドロキシ(オレエート)スズ、ジオクチルジラウリル酸スズ等のスズ触媒;ヘキサクロロ白金(IV)酸六和物、ジニトロジアンミン白金(II)、テトラアンミンジクロロ白金(II)、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)、トランス−ジアンミンジクロロ白金(II)、シス−ジアンミンジクロロ白金(II)、テトラアンミン白金(II)塩化物一水和物、塩化白金(II)、塩化白金(IV)(五水和物)、テトラクロロ白金(II)酸アンモニウム、テトラクロロ白金(II)酸カリウム、テトラクロロ白金(II)酸ナトリウム、テトラクロロ白金(IV)酸カリウム、テトラクロロ白金(IV)酸アンモニウム、テトラクロロ白金(IV)酸ナトリウム、テトラクロロ白金(IV)酸水素六水和物、テトラシアノ白金(II)酸カリウム、テトラシアノ白金(II)酸セシウム、テトラシアノ白金(II)酸ナトリウム、テトラシアノ白金(II)酸バリウム、テトラシアノ白金(II)酸ルビジウム、テトラニトロ白金(II)酸カリウム、ヘキサブロモ白金(IV)酸カリウム等の白金触媒等が挙げられ、1種又は2種以上を併用してもよい。
無機粒子としては、特に限定はないが、たとえば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;カオリン、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、クレー、タルク、マイカ、セリサイト、ベントナイト等のケイ酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、酸化チタン、ホワイトカーボン、酸化鉄等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄等の金属水酸化物;ベンガラ;カーボンブラック;グラファイト等が挙げられる。これらの中でも、無機粒子が、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、マイカ、セリサイトから選ばれる少なくとも1種からなると、ブラダーゴム表面への付着性に優れるという理由から好ましい。
〔成型加硫用離型剤組成物の物性〕
成型加硫用離型剤組成物の25℃における粘度については、特に限定はないが、好ましくは0.1〜20000mPa・s、さらに好ましくは0.1〜5000mPa・s、特に好ましくは1〜1000mPa・s、最も好ましくは1〜500mPa・sである。成型加硫用離型剤組成物の粘度が20000mPa・s超であると、ゴム表面に被膜する成分の量が多くなり水分の乾燥に要する時間が長くなり実用的でないことがある。一方、その粘度が0.1mPa・s未満であると、ブラダーゴム表面に対する濡れが悪くなり、離型性が低下することがある。
なお、粘度の測定方法は、成型加硫用離型剤組成物についてB型回転粘度計を用いて測定する方法等が挙げられる。
成型加硫用離型剤組成物のpHとしては、特に限定はないが、好ましくは3〜12、さらに好ましくは3〜10、特に好ましくは3〜7、最も好ましくは3〜6である。成型加硫用離型剤組成物のpHが3未満又は12超であると、成型加硫用離型剤組成物のハンドリング性に欠ける場合がある。
成型加硫用離型剤組成物の0.1重量%水溶液の表面張力は20〜50mN/mであり、さらに好ましくは21〜45mN/m、特に好ましくは22〜40mN/m、最も好ましくは23〜35mN/mである。成型加硫用離型剤組成物の表面張力が20mN/m未満又は50mN/m超であると、ブラダーゴム表面への被膜形成性が低下する場合がある。
成型加硫用離型剤組成物の平均粒子径については、特に限定されないが、好ましくは0.001〜100μm、さらに好ましくは0.001〜10μm、特に好ましくは0.01〜1μm、最も好ましくは0.05〜0.5μmである。成型加硫用離型剤組成物の平均粒子径が0.001μm未満の場合、成型加硫用離型剤組成物の製造が困難となり好ましくない場合がある。一方、成型加硫用離型剤組成物の平均粒子径が100μm超の場合、被膜形成性が悪くなり好ましくない場合がある。
なお、平均粒子径の測定方法は、成型加硫用離型剤組成物をレーザー回折式粒度分布測定装置や動的光散乱式粒度分布測定装置を用いて測定する方法等が挙げられる。
成型加硫用離型剤組成物の透過率については、特に限定されないが、50〜100%T、好ましくは60〜100%T、さらに好ましくは70〜100%T、特に好ましくは80〜100%T、最も好ましくは90〜100%Tである。シリコーンエマルション組成物の外観の透明度が透過率で50%T未満であると被膜形成性が悪くなり好ましくない場合がある。透過率の数値が大きいと成型加硫用離型剤組成物の安定性が高い。
なお、透過率の測定方法は、紫外・可視分光光度計を用いて測定する方法等が挙げられる。
〔成型加硫用離型剤組成物の形態及び製造方法〕
ゴム製品の成型加硫用離型剤組成物の製造方法は、特に限定はなく、ポリシロキサン、界面活性剤及び水、(適宜、その他の成分)等を混合する方法等を挙げることができる。ゴム製品の成型加硫用離型剤組成物の製造方法において、混合順序等については特に限定はなく、全成分を同時に混合してもよく、成分ごとに順番に混合してもよく、予めいくつかの成分を混合しておいて残りの成分を後で添加混合してもよい。
混合については、特に限定はなく、容器と攪拌翼といった極めて簡単な機構を備えた装置を用いて行うことができる。また、一般的な揺動又は攪拌を行える粉体混合機を用いてもよい。粉体混合機としては、たとえば、リボン型混合機、垂直スクリュー型混合機等の揺動攪拌又は攪拌を行える粉体混合機を挙げることができる。また、近年、攪拌装置を組み合わせたことにより効率のよい多機能な粉体混合機であるスーパーミキサー(株式会社カワタ製)及びハイスピードミキサー(株式会社深江製)、ニューグラムマシン(株式会社セイシン企業製)、SVミキサー(株式会社神鋼環境ソリューション社製)等を用いてもよい。他には、たとえば、ジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、コーンクラッシャー、ロールクラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャー、ロッドミル、ボールミル、振動ロッドミル、振動ボールミル、円盤型ミル、ジェットミル、サイクロンミル等の乾式粉砕機を用いてもよい。
〔ゴム製品の製造方法〕
本発明のゴム製品の製造方法は、処理工程及び成型加硫工程を含む。ここで、ゴム製品がタイヤであると好ましい。
処理工程は、成型加硫用離型剤組成物をブラダー表面のゴムに付着させ、離型被膜を形成する工程である。
ブラダーは、後述する原料ゴム(ゴム製品がタイヤの場合は、グリーンタイヤという。)を成型加硫する際に、原料ゴムの内側に挿入して、ブラダーの内部に高温高圧の気体(たとえば、約180℃の蒸気等)や液体を導入し、ブラダーを膨張させて、原料ゴムを金型に押し付けて加熱加圧し、成型加硫を行うのに用いられるゴム製の袋である。
ブラダーの形状等について、特に限定はない。その形状としては、たとえば、シート状、フィルム状、ホース状、チューブ状、スポンジ状、パッキン、ベルト等を挙げることができ、加硫成形時に空気を外に逃がすための溝が刻まれていてもよい。
成型加硫用離型剤組成物をブラダー表面のゴムに付着させる方法としては、特に限定はないが、たとえば、ブラダー表面のゴムにスプレーガンを用いて射出して霧状にして塗布する方法、細流にてブラダー表面のゴムに吹きつける方法、刷毛でブラダー表面のゴムに塗布する方法、成型加硫用離型剤組成物にブラダー表面のゴムを浸漬する方法等が挙げられる。
成型加硫用離型剤組成物が塗布されたブラダーは、その表面に完全な被膜が形成されるまで養生期間を取ってもよい。完全な被膜が形成されるまでの養生期間としては、特に限定はないが、好ましくは0.01〜168時間、さらに好ましくは0.01〜48時間、特に好ましくは0.01〜10時間、最も好ましくは0.01〜2時間である。被膜を完全に形成するまでの養生期間が168時間超であると、作業効率が悪く好ましくない。一方、養生期間が0.1時間未満であると、完全に被膜化されていない場合があり離型性に優れず好ましくない。
単位面積当たりの成型加硫用離型剤組成物の塗布量としては、特に限定は無いが、好ましくは1〜150g/m、さらに好ましくは5〜130g/m、特に好ましくは5〜100g/m、最も好ましくは10〜100g/mである。単位面積当たりの成型加硫用離型剤組成物の塗布量が150g/m超であると、コスト高となり好ましくない。単位面積当たりの成型加硫用離型剤組成物の塗布量が1g/m未満であると、離型性に優れず好ましくない。
完全な被膜が形成されるまでにブラダー表面を養生させる雰囲気温度としては、特に限定はないが、好ましくは−20〜200℃、さらに好ましくは0〜150℃、特に好ましくは20〜140℃、最も好ましくは40〜120℃である。雰囲気温度が200℃超であると、高温の恒温槽設備を準備する必要があり好ましくない。雰囲気温度が−20℃未満であると、被膜の乾燥性が優れず好ましくない。
養生後の被膜の厚みとしては、特に限定は無いが、好ましくは0.01〜1000μm、さらに好ましくは0.01〜500μm、特に好ましくは0.01〜250μm、最も好ましくは0.1〜100μmである。養生後の被膜の厚みが1000μm超であると、コスト高となり好ましくない。養生後の被膜の厚みが0.01μm未満であると、離型性に優れず好ましくない。
養生後の単位面積当たりの被膜重量としては、特に限定は無いが、好ましくは1〜100g/m、さらに好ましくは1〜80g/m、特に好ましくは1〜60g/m、最も好ましくは5〜40g/mである。養生後の単位面積当たりの被膜重量が100g/m超であると、コスト高となり好ましくない。養生後の単位面積当たりの被膜重量が1g/m未満であると、離型性に優れず好ましくない。
このように、処理工程で得られる処理済ブラダーは、次の成型加硫工程で用いて、良好な離型性を発現し、同一ブラダーを用いてのゴム製品の成型加硫回数を増加し、ゴム製品の不良率を低減することができる。
成型加硫工程は、ゴム製品の金型と処理工程で得られる処理済ブラダーとの間に原料ゴムを配置し、処理済ブラダーを加熱膨張させて、処理済ブラダーの離型被膜を介して原料ゴムを加熱しながら金型に押しつけることによって、原料ゴムを成型加硫する工程である。
成型加硫工程における成形加工方法としては、たとえば、カレンダーロールシート成形法、ローラーヘッドシート成形法、押出シート成形法、ラム押出成形法、スクリュー押出成形法、圧縮成形法、注入成形法、射出成形法等を挙げることができる。
本発明の製造方法で得られるゴム製品としては、特に限定はないが、タイヤ、ホース、防振ゴム、自動車用ベルト、シール、防舷剤、コンベヤベルト、弾性まくらぎ、ゴムパッド、ゴムマット、免震ゴム、シーリング材、防水剤、ゴム電線、ゴムケーブル、コンドーム、ゴム手袋、ゴム風船、ガスケット、パッキン、ゴムボール等を挙げることができ、タイヤが好ましい。
タイヤとしては、特に限定はないが、乗用車向け自動車用タイヤ、トラック・バス向け自動車用タイヤ、スポーツ車向け自動車用タイヤ、レーシングカー用タイヤ、航空機用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、自転車用タイヤ、バギー用タイヤ、農業用タイヤ、ゴムクローラ等を挙げることができる。
タイヤ成型時の温度としては、特に限定はないが、好ましくは100〜300℃、さらに好ましくは120〜280℃、特に好ましくは140〜260℃、最も好ましくは160〜240℃である。
タイヤ成型時の圧力としては、特に限定はないが、好ましくは0.1〜50MPa、さらに好ましくは0.2〜30MPa、特に好ましくは0.3〜20MPa、最も好ましくは0.5〜10MPaである。
以下に、ゴム製品の成型加硫用離型剤組成物の実施例及び比較例について、具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
最初に、成型加硫用離型剤組成物の物性評価方法を説明する。
〔成型加硫用離型剤組成物の不揮発分濃度〕
成型加硫用離型剤組成物のa(g)をアルミシートに秤取し(但し、a(g)は2〜3gの範囲)、110℃で0.5時間保った後の恒量に達した残留物の質量がb(g)である。成型加硫用離型剤組成物の不揮発分濃度を下式にしたがって算出する。
成型加硫用離型剤組成物の不揮発分濃度(wt%)=(b/a)×100
〔被覆性の評価〕
ブラダー表面のゴムに成型加硫用離型剤組成物を15g/mスプレー噴霧して、成型加硫用離型剤組成物がブラダー表面のゴムを被覆できる面積を目視にて測定する。ブラダー表面のゴムを100%被覆できれば、ブラダー表面に対する被覆性に優れる。はじきありブラダー表面の被覆が80%未満であれば、ブラダー表面に対する被覆性に優れず、離型性が十分でないことがある。
〇:はじきなくブラダー表面を100%被覆する。
△:はじきあるがブラダー表面を80%以上被覆する。
×:はじきありブラダー表面の被覆が80%未満である。
〔被膜形成性の評価〕
ブラダー表面のゴムに成型加硫用離型剤組成物を15g/m塗布して、100℃の温度に加熱して反応を促進させブラダー表面のゴムに被膜を形成し乾燥するまでの時間を目視にて測定する。被膜を形成し乾燥するまでの2時間未満であれば、被膜を形成するまでの待ち時間が少なく、被膜形成性が良い。被膜を形成し乾燥するまでの時間が5時間以上であれば、被膜を形成するまでの待ち時間が長く、作業性に支障をきたすため、被膜形成性が良くない。被膜形成性の評価基準は以下のとおり。
〇:被膜を形成し乾燥するまでの時間が2時間未満である。
△:被膜を形成し乾燥するまでの時間が5時間未満である。
×:被膜を形成し乾燥するまでの時間が5時間以上である。
〔離型性の評価〕
ブラダー表面のゴムに成型加硫用離型剤組成物を15g/m塗布して、100℃の温度に加熱して反応を促進させ、ブラダー表面のゴムに被膜を形成して、処理済ブラダーを得た。処理済ブラダーと未加硫SBRゴムとを重ね合わせ、180℃、2MPaの条件で20分間プレス加硫した。加硫後にブラダーを室温まで空冷し、引張り試験機テンシロン(PT−200N型、ミネベア株式会社)を用いて100mm/minの速度下で剥離抗力(N/mm)を測定した。離型性の評価基準は以下のとおり。
〇:剥離抗力が0.01N/mm未満である。
×:剥離抗力が0.01N/mm以上である。
〔繰り返し離型性の評価〕
上記離型性の評価の使用した処理済ブラダーを用いて、上記の同様の方法で加硫を繰り返して行い、離型性が何回まで持続するかを測定した。繰り返して加硫できる回数が多いほど、繰り返し離型性に優れる。繰り返し離型性の評価基準は以下のとおり。
〇:30回以上繰り返し加硫を行っても、持続して離型性が良好である。
△:10回以上30回未満の間、良好な離型性で繰り返し加硫を行える。
×:10回未満の間、良好な離型性で繰り返し加硫を行える。
〔乗用車用タイヤの成型加硫テストの評価〕
乗用車用タイヤの成型加硫用ブラダー表面(表面積:6000cm)のゴムに成型加硫用離型剤組成物を15g/m塗布して、100℃の温度に加熱して反応を促進させブラダーゴム表面に被膜を形成して、処理済ブラダーを得た。この処理済ブラダーを用いて、乗用車用タイヤの成型加硫テストを繰り返し行い、タイヤを不具合無く生産できる回数を計測した。乗用車用タイヤの成型加硫テストの評価基準は以下のとおり。
〇:100回以上繰り返し成型加硫を行っても、持続して離型性が良好である。
△:30回以上100回未満の間、良好な離型性で繰り返し成型加硫を行える。
×:30回未満の間、良好な離型性で繰り返し成型加硫を行える。
〔自転車用タイヤの成型加硫テストの評価〕
自転車用タイヤの成型加硫用ブラダー表面(表面積:1500cm)のゴムに成型加硫用離型剤組成物を15g/m塗布して、100℃の温度に加熱して反応を促進させブラダーゴム表面に被膜を形成して、処理済ブラダーを得た。この処理済ブラダーを用いて、自転車用タイヤの成型加硫テストを繰り返し行い、タイヤを不具合無く生産できる回数を計測した。自転車用タイヤの成型加硫テストの評価基準は以下のとおり。
〇:100回以上繰り返し成型加硫を行っても、持続して離型性が良好である。
△:30回以上100回未満の間、良好な離型性で繰り返し成型加硫を行える。
×:30回未満の間、良好な離型性で繰り返し成型加硫を行える。
〔表面張力〕
成型加硫用離型剤組成物の0.1重量%水溶液を試験液とし、自動表面張力計(KRUSS社製、品番TensiometerK100)を用いて、ウィルヘルミー法により温度25℃の測定条件下で測定した。
〔HLB値〕
実施例及び比較例で用いたポリシロキサンのHLB値は下記式により算出した。
HLB値=(ポリシロキサンの分子量のうちの親水基部分の分子量/ポリシロキサンの分子量)×20
式中、親水基部分とは、たとえば、ポリエーテル変性ポリシロキサンを構成する−R(CO)(CO)R´の官能基のうちの(CO)および(CO)の部分を示す。
〔測定用ブラダーの組成〕
上記測定に用いたブラダーは、以下に示す成分及び所定量をそれぞれ混合して製造した。
IIRゴム:100部
ZnO:3部
:2部
ステアリン酸:1部
オイルファーネスブラック:50部
促進剤TT(テトラメチルチウラムジスルフィド):1部
〔測定用未加硫SBRゴムの組成〕
上記測定に用いた未加硫SBRゴムは、以下に示す成分及び所定量をそれぞれ混合して製造した。
SBRゴム:100部
ZnO:3部
:2部
ステアリン酸:1部
カーボンブラック:50部
促進剤NS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド):1部
〔各成分等の準備〕
実施例及び比較例で用いた成分等の物性を以下に示す。
1)反応性ポリシロキサン(A1)
ハイドロジェンポリシロキサン1:一般式(1)でXがHであるポリシロキサン、粘度20mPa・s、官能基当量60g/mol
ハイドロジェンポリシロキサン2:一般式(1)でXがHであるポリシロキサン、粘度20mPa・s、官能基当量150g/mol
アミノ変性ポリシロキサン1:一般式(2)でXに−RNHを含むポリシロキサン、粘度100mPa・s、官能基当量2200g/mol
アミノ変性ポリシロキサン2:一般式(2)でXに−RNHを含むポリシロキサン、粘度800mPa・s、官能基当量1500g/mol
エポキシ変性ポリシロキサン:一般式(2)でXに−RCHCHOを含むポリシロキサン、粘度100mPa・s、官能基当量2200g/mol
2)HLB7〜18の非反応性ポリシロキサン(A2)
ポリエーテル変性ポリシロキサン1:一般式(2)でXにポリエーテル基を含むポリシロキサン、粘度20mPa・s、HLB12、0.1%水溶液の表面張力23mN/m
ポリエーテル変性ポリシロキサン2:一般式(2)でXにポリエーテル基を含むポリシロキサン、粘度10mPa・s、HLB16、0.1%水溶液の表面張力25mN/m
ポリエーテル変性ポリシロキサン3:一般式(2)でXにポリエーテル基を含むポリシロキサン、粘度1500mPa・s、HLB7、0.1%水溶液の表面張力28mN/m
ポリグリセリン変性ポリシロキサン:一般式(2)でXにポリグリセリル基を含むポリシロキサン、粘度100mPa・s、HLB10、0.1%水溶液の表面張力30mN/m
3)その他のポリシロキサン
ジメチルポリシロキサン1:一般式(2)でXにメチル基を含むポリシロキサン、粘度100mPa・s
ジメチルポリシロキサン2:一般式(2)でXにメチル基を含むポリシロキサン、粘度1000mPa・s
フェニル基を有するポリシロキサン:一般式(2)でXにフェニル基を含むポリシロキサン、粘度100mPa・s、官能基当量1000g/mol
ポリエーテル基を有するポリシロキサン4:一般式(2)でXにポリエーテル基を含むポリシロキサン、粘度200mPa・s、HLB4、0.1%水溶液の表面張力30mN/m
ポリエーテル基を有するポリシロキサン5:一般式(2)でXにポリエーテル基を含むポリシロキサン、粘度20mPa・s、HLB3、0.1%水溶液の表面張力40mN/m
ポリエーテル基を有するポリシロキサン6:一般式(2)でXにポリエーテル基を含むポリシロキサン、粘度20mPa・s、HLB6、0.1%水溶液の表面張力34mN/m
4)オルガノアルコキシシラン
エポキシアルコキシシラン:分子量236.3
アミノアルコキシシラン:分子量222.4
ビニルアルコキシシラン:分子量190.3
〔実施例1〕
ハイドロジェンポリシロキサン1の90g、ポリエーテル変性ポリシロキサン1の10g、POE(25)ラウリルエーテル0.3g、ジセチルスルフォサクシネートソーダ塩0.3g、イオン交換水600gを混合して成型加硫用離型剤組成物を得た。この成型加硫用離型剤組成物は、不揮発分濃度14.3wt%であった。表面張力は24.8であった。
ブラダー表面のゴムに成型加硫用離型剤組成物を15g/m塗布して、100℃の温度に加熱して反応を促進した。ブラダー表面に被膜を形成し乾燥するまでの時間は1時間であり、被膜形成性(評価:○)が良好な処理済ブラダーを得た。
得られた処理済ブラダーと未加硫SBRゴムとを重ね合わせ、180℃、200kgf/cmの条件で20分間プレス加硫した後、処理済ブラダーを室温まで空冷した。剥離抗力は0.004N/mmであり、負荷なく剥離することができ、離型性が優れていた(評価:○)。その後続けて、処理済ブラダーを用いて繰り返して連続加硫を行い、30回以上離型性を持続することができ、繰り返し離型性が優れていた(評価:○)。
〔実施例2〜12〕
実施例2〜12では、実施例1において、表1に示すように組成をそれぞれ変更する以外は、実施例1と同様に成型加硫用離型剤組成物をそれぞれ得て、物性等も実施例1と同様に評価した。その結果をそれぞれ表1に示す。それらは皮膜形成性、離型性、滑性、繰り返し離型性に優れていた。
〔実施例13〕
乗用車用タイヤの成型加硫用ブラダーと自転車用タイヤの成型加硫用ブラダーの各々に実施例1で得られた成型加硫用離型剤組成物を15g/m塗布して、100℃の温度に加熱し、被膜を形成して、各々の処理済ブラダーを得た。
各々の処理済ブラダーを用いて、タイヤの成型加硫テストを繰り返し行ったところ、タイヤを不具合無く生産できる回数は、乗用車用タイヤでは137回、自転車用タイヤでは240回であり、離型性に優れていた(それぞれの評価:○)。
〔比較例1〕
ハイドロジェンポリシロキサン1の100g、ポリエーテル変性ポリシロキサン4の10g、POE(25)ラウリルエーテル0.3g、ジセチルスルフォサクシネートソーダ塩0.3g、イオン交換水600gを混合して成型加硫用離型剤組成物を得た。この比較成型加硫用離型剤組成物は、不揮発分濃度14.5wt%であった。表面張力は51.1であった。
ブラダー表面のゴムに比較成型加硫用離型剤組成物を15g/m塗布して、100℃の温度に加熱して反応を促進した。ブラダー表面に被膜を形成し乾燥するまでの時間は6時間であり、被膜形成性が不良(評価:×)である比較処理済ブラダーを得た。
得られた比較処理済ブラダーと未加硫SBRゴムとを重ね合わせ、180℃、200kgf/cmの条件で20分間プレス加硫した後、処理済ブラダーを室温まで空冷した。剥離抗力は0.1N/mmであり、離型性が不良であった(評価:×)。その後続けて、比較処理済ブラダーを用いて繰り返して連続加硫を行い、わずか3回しか離型性を持続することができず、繰り返し離型性も良くなかった(評価:×)。
比較例1は、実施例1〜8と比較して、被膜形成性、離型性、繰り返し離型性の点でいずれも劣っていた。
〔比較例2〜12〕
比較例2〜12では、比較例1において、表2に示すように組成をそれぞれ変更する以外は、比較例1と同様に比較成型加硫用離型剤組成物をそれぞれ得て、物性等も比較例1と同様に評価した。得られた物性等の結果も、それぞれ表2に示す。実施例1〜12と比較して、被膜形成性、離型性、繰り返し離型性の点でいずれも劣っていた。
〔比較例13〕
乗用車用タイヤの成型加硫用ブラダーと自転車用タイヤの成型加硫用ブラダーの各々に比較例1で得られた成型加硫用離型剤組成物を15g/m塗布して、100℃の温度に加熱し、被膜を形成して、各々の処理済ブラダーを得た。
各々の比較処理済ブラダーを用いて、タイヤの成型加硫テストを繰り返し行ったところ、タイヤを不具合無く生産できる回数は、乗用車用タイヤでは4回、自転車用タイヤでは6回であり、実施例13と比較して離型性が劣っていた(それぞれの評価:×)。
Figure 0006581413
Figure 0006581413
Figure 0006581413
Figure 0006581413
上記表1〜4において、「POE(n)」とは、「オキシエチレン基の繰り返し数がnであるポリオキシエチレン」を意味しており、たとえば、「POE(25)ラウリルエーテル」とは、「オキシエチレン基の繰り返し数が25であるポリオキシエチレンラウリルエーテル」を意味する。
表1〜4から分かるように、実施例1〜12の成型加硫用離型剤組成物は、ポリシロキサン(A)、界面活性剤(B)及び水を含有する離型剤組成物であって、前記ポリシロキサン(A)が反応性ポリシロキサン(A1)及びHLB7〜18の非反応性ポリシロキサン(A2)を必須に含有し、前記ポリシロキサン(A)の配合量を100重量部としたときに、それぞれの配合量が、前記界面活性剤(B)が0.0001〜50重量部、前記水が100〜20000重量部、前記反応性ポリシロキサン(A1)が50〜99重量部、前記非反応性ポリシロキサン(A2)が1〜50重量部であって、前記組成物の0.1重量%水溶液の25℃における表面張力が20〜50mN/mであるので、本願課題を解決できている。
一方、HLB7〜18の非反応性ポリシロキサン(A2)を含まない場合(比較例1、2及び9〜12)、前記ポリシロキサン(A)の配合量を100重量部としたときに、反応性ポリシロキサン(A1)が50〜99重量部の範囲にない場合(比較例3)、前記界面活性剤(B)が0.0001〜50重量部の範囲にない場合(比較例4)、非反応性ポリシロキサン(A2)が1〜50重量部の範囲にない場合(比較例5)、水が100〜20000重量部の範囲にない場合(比較例6及び7)、界面活性剤(B)を含有しない場合(比較例8)、表面張力が50mN/mを超える場合(比較例9、10及び12)には、本願の課題のいずれかかが解決できていない。

Claims (5)

  1. ポリシロキサン(A)、界面活性剤(B)及び水を含有する離型剤組成物であって、
    前記ポリシロキサン(A)が反応性ポリシロキサン(A1)及びHLB7〜18の非反応性ポリシロキサン(A2)を必須に含有し、
    前記反応性ポリシロキサン(A1)がハイドロジェンポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン及びエポキシ変性ポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種であり、
    前記ポリシロキサン(A)の配合量を100重量部としたときに、それぞれの配合量が、前記界面活性剤(B)が0.0001〜50重量部、前記水が100〜20000重量部、前記反応性ポリシロキサン(A1)が50〜99重量部、前記非反応性ポリシロキサン(A2)が1〜50重量部であって、前記組成物の0.1重量%水溶液の25℃における表面張力が20〜50mN/mである、ゴム製品の成型加硫用離型剤組成物。
  2. 前記非反応性ポリシロキサン(A2)が、ポリエーテル変性ポリシロキサン及びポリグリセリル変性ポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のゴム製品の成型加硫用離型剤組成物。
  3. 前記非反応性ポリシロキサン(A2)の0.1重量%水溶液の25℃における表面張力が20〜35mN/mである、請求項1又は2に記載のゴム製品の成型加硫用離型剤組成物。
  4. 原料ゴムを成型加硫してゴム製品を製造する方法であって、
    請求項1〜のいずれかに記載の離型剤組成物をブラダー表面のゴムに付着させ、離型被膜を形成する処理工程と、
    ゴム製品の金型と前記処理工程で得られる処理済ブラダーとの間に原料ゴムを配置し、前記処理済ブラダーを加熱膨張させて、前記処理済ブラダーの離型被膜を介して前記原料ゴムを加熱しながら前記金型に押しつけることによって、前記原料ゴムを成型加硫する成型加硫工程とを含む、
    ゴム製品の製造方法。
  5. 前記ゴム製品がタイヤである、請求項に記載のゴム製品の製造方法。
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