JP6580418B2 - 超高感度uwb送受信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、概しては、UWB(Ultra Wide Band)通信に用いられている微弱なUWB波を物体に向けて照射し、該物体の表面や内部で反射したUWB反射波の中から、もとのUWB波に含まれた信号を超高感度に識別する技術に関するものである。さらに、本発明は、本発明による前記識別技術を用い、物体の表面や内部の様子を探査する技術、さらには映像化する技術に関するものである。
従来より、生体の内部の構造を外部から撮像するために、X線撮像、CTスキャン(Computed Tomographic scanning)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、PET(Positron Emission Tomography)、超音波エコーなどが用いられている。
しかし、X線撮像、CTスキャン、PETでは、放射線が用いられる。よって、これらの方法は、生体(特に人体)に対しては長時間適用することができない。MRIでは、放射線は用いられないが、強い磁場と電波が用いられ、それらが生体に全く影響しないかどうかは不明である。また、患者はMRI装置のトンネル内で不動の姿勢を余儀なくされる。超音波エコーは、生体に損傷は与えないが、得られる画像の解像度は低く、また、電極パッドを皮膚表面に配置する手間を要する。
一方、トンネルの壁の内部の劣化、ビルディングなどの建造物の柱や壁の内部構造の劣化を診断するために、地中レーダーや超音波診断法などが用いられている。
しかし、地中レーダーは、より深い探査能力を得るためには、電波をより大きな出力で送信する必要がある。その結果、周囲への電波障害といった問題が生じる。超音波診断法は、上記超音波エコーと同様に、得られる画像の解像度は低く、超音波を送受信するための電極パッドをトンネルの壁面に配置する手間を要する。よって、トンネルのような広範囲な領域を連続的にかつ全面的に短期間で診断することは困難である。
上記のような問題に対して、本発明者らは、物体の表面や内部の状態を探査する新たな方法として、UWB無線通信技術を適用し、該物体にUWB電波を照射し、その反射波を受信することによって該物体の状態を超高感度で探査することを発想した。
しかしながら、実際に商用として利用可能とされているUWB波は、微弱な出力に規制されている。そのため、物体のターゲット面、とりわけ物体内の界面や壁の向こう側の物体で反射して戻ってきたUWB反射波は、もとの微弱な電波からさらに減衰した極めて微弱な電波となっている。そのような極めて微弱なUWB反射波は、受信されているかどうかの識別も困難である。
よって、たとえUWB反射波が含まれているはずの受信波を増幅したとしても、受信機自体で混入する熱ノイズに埋もれた状態のまま増幅されるだけの結果となり、もとのUWB送信波の反射波を検出することはできなかった。
また、超高感度受信の従来技術として、衛星からのGPS信号を受信して受信位置を検出する方法(例えば、特許文献1)や、送受信器とタグ(一種の送受信器)とを用いた距離計測システムまたは位置計測システム(例えば、特許文献2)が知られている。
しかし、これらの技術は、基本的には、2つの無線通信機同士の間での通信技術である。特許文献1に記載された技術では、衛星から受信機への一方的な通信を利用している。特許文献2に記載された技術では、RFタグが送受信器からのUWB波を受信し、そのUWB波に該RFタグ自体の識別信号を付加してもとの送受信器へとUWB波を送り返している。
このように、これら特許文献1、2には、識別すべき未知の物体に微弱なUWB波を照射して得られる極めて微弱に減衰したUWB反射波を利用しようとする発想やそのための技術が記載されていない。
特開2002−221566号公報 米国特許出願公開2012−176272号明細書
「レーダ信号処理技術」(Rader Signal Processing Technique)、社団法人 電子通信情報学会編、p261-262 「Inverse Synthetic Aperture Rader Imaging With MATLAB Algorithms」(MATLABアルゴリズムによる逆合成開口レーダーイメージング)、Caner Ozdemir, PhD, WILEY, p83-85
本発明の目的は、UWB波を物体に照射して該物体で反射された極めて微弱なUWB反射波をノイズの中から識別し得る、超高感度なUWB送受信装置を提供することにある。また、本発明のさらなる目的は、本発明による前記のUWB反射波の超高感度な識別機能を利用し、物体のターゲット面の状態を示すことができる機能を、当該装置に対してさらに付与することにある。
本発明の1つの態様では、本発明の超高感度UWB送受信装置は、
所定のコード長のPN符号を持ったUWB波を、所定の周期で、送信波として送信し得るよう構成された送信部と、
前記送信波が探査すべき物体へと送信されて該物体で反射したUWB波である反射波を、受信し得るよう構成された受信部と、
受信した前記反射波をデジタル信号へと変換するA/D変換部と、
変換された前記デジタル信号を前記所定の周期で取り出して、前記所定のコード長に対応する信号部分を得、それら信号部分を所定数だけ同期的に重ね合わせ、その重ね合わせた結果と元の所定のコード長のPN符号との相関を計算する処理部と、を有していてもよい。
本発明の好ましい態様では、PN符号として、M系列符号が用いられる。
本発明の好ましい態様では、前記処理部は、前記相関の計算結果から、当該装置と前記物体のターゲット面の各点との距離および反射の強さを算出するように構成されていてもよい。
本発明の好ましい態様では、前記処理部は、その算出された各距離および反射の強さに基いて、前記物体のターゲット面の状態を示す各点の位置データを算出するように構成されていてもよい。
本発明の好ましい態様では、前記処理部は、その算出された各距離および反射の強さに基いて、無用の反射信号を検出し、該無用の反射信号がキャンセルされるように、該無用の反射信号に含まれた符号とは逆位相の符号を持った信号を加え、さらなる相関計算を行って、該無用の反射信号をキャンセルするように構成されていてもよい。
本発明の好ましい態様では、前記処理部は、物体のターゲット面の状態を、画像化して表示し得るように構成されていてもよい。
本発明の好ましい態様では、前記処理部は、該物体のターゲット面の起伏などの形態の経時的な変化を示すことが可能なように構成されていてもよい。
本発明の好ましい態様では、当該装置は、さらに、当該装置自体の位置を検知し得るよう構成された位置検知機能を有していてもよい。
本発明の好ましい態様では、当該装置は、自体が移動可能なように構成されていてもよく、また、車両などといった移動手段に搭載可能であってもよい。
本発明の好ましい他の態様では、当該装置は、複数のアンテナを有するものであってもよい。それらのアンテナは、送信専用のアンテナ、受信専用アンテナ、または、送受信両用のアンテナを含んでいてもよく、複数の方向に対して、送信波を同時に発信し反射波を同時に受信するためのものであってもよい。この態様では、複数の方向に対して送信波を互いに同期させながら送信し得るように構成されていてもよく、その同期のための基準信号を発信する制御装置を、当該装置と一体的にまたは別個に有していてもよい。
図1は、本発明による超高感度UWB送受信装置の構成を概略的に示したブロック図である。 図2は、本発明において、UWB波の反射波を超高感度に受信し、かつ、物体との距離を算出するための原理を説明した図である。 図3は、本発明において、トンネル内の壁面などのターゲット面に送信波(UWB波)を照射した場合の、反射波と熱雑音との関係(図3(a))、および、信号処理(同期的な加算と相関計算)の結果得られる相関ピークと遅延量との関係(図3(b))を、それぞれ示したグラフ図である。 図4は、本発明において、ターゲット面の凹凸のデータを得る計算例を説明するための概略図である。 図5は、複数の送受信アンテナを車両に搭載し、それら複数の送受信アンテナから天井の内部に向けて送信波(UWB波)を同時に照射し、それぞれの反射波を受信する様子を示した概略図である。 図6は、本発明の装置を用いて、合成開口レーダーを構成する場合の原理を説明する図である。 図7は、ターゲットが一つの場合の、本発明の装置による計測例を示す図である。 図8は、ターゲットが複数である場合の、本発明の装置による計測例を示す図である。
以下に、図に示した一例を参照しながら、本発明による超高感度UWB送受信装置(以下、本発明の装置または当該装置ともいう)の構成例と高感度受信の原理を説明する。
図1に例示するように、当該超高感度UWB送受信装置10は、送信部11と、受信部12と、A/D変換部13と、処理部14とを少なくとも有する。図1の例では、状態を探査すべき物体100は、表層101と内層102を有する多層構造となっている。探査すべきターゲット面は、内層102の表面(即ち、表層101と内層102との界面)102aである。
送信部11は、所定のコード長のPN符号を持ったUWB波を、所定の周期にて、送信波w1として送信し得るよう構成されている。送信波w1については後述する。図1のブロック図では、送信部11は、UWB波を送信するための変調部やアンテナをも含んでいる。該送信部11は、処理部14によって制御されていてもよく、PN符号は、処理部14によって作り出されたものであってよい。
探査すべき物体100に照射された送信波w1は、該物体100内のターゲット面102aで反射し、減衰した反射波w2となって当該装置10に返ってくる。同図では、説明のために、送信波w1がターゲット面102aの1点で反射するように描いているが、実際には、送信波は特定の広がり(指向角度)を以て送信されており、ターゲット面102aの多点や、物体100の表面101aの多点、ターゲット面よりもさらに深い位置にある種々の面で反射し、当該装置10に返ってくる。
受信部12は、その反射波w2を受信し得るよう構成される。図1のブロック図では、受信部12は、反射波を受信するためのアンテナをも含んでいる。このとき受信して増幅された信号波には、反射波w2だけでなく、物体100の表面101aでの反射波w3が含まれており、さらに当該装置の回路に起因する熱雑音などが加わり、ほとんどが熱雑音からなる白色雑音信号となっている。従来の送受信装置のままでは、その中から目的とする点からの反射波w2を識別することはできない。多点からの反射波の中から、一つの反射波w2だけを識別する技術については、後述する。
A/D(アナログ/デジタル、Analog-to-Digital)変換部13は、受信した前記反射波(アナログ信号)を他の受信波と共にデジタル信号へと変換するよう構成されている。
処理部14は、先ず、A/D変換された前記デジタル信号を、前記所定の周期で取り出し、次に、得られた信号部分(前記所定のコード長に対応する長さを持った信号部分)を同期的に重ね合わせる。そして、その重ね合わせた結果と、元の所定のコード長のPN符号(レプリカ)との相関を計算し得るように構成される。
処理部14の好ましい形態はコンピュータである。この相関の計算によって、反射波w2を識別することができ、送信部11とターゲット面との間の距離および反射の大きさを計算することが可能になる。
本発明では、送信部11で送信されるUWB波の信号の構成と、処理部14での信号処理とが、互いに密接に結びついて、反射波の識別を可能にしている。以下に、これらをさらに詳細に説明する。
送信部では、所定のコード長のPN符号を持ったUWB波が、所定の周期にて、送信波として送信される。PN符号を持ったUWB波としては、例えば、所定の搬送波をPN符号で変調することで得られるUWB波が挙げられる。また、PN符号をそのまま電波としたものであってもよい。搬送波をPN符号で変調して得られるUWB波を利用する場合、該搬送波の周波数は、特に限定はされず、従来公知のUWB通信で用いられている周波数を用いることができる。
PN符号(Pseudo Noise code)のなかでも、M系列符号(M-sequence code、Maximal length sequence code)は、送受信波の相関には、優れたSN比を得ることができるという特徴があるため、本発明にとっては特に好ましいPN符号である。尚、本発明でいうM系列符号には、gold系列符号など、M系列符号から派生した符号も含まれる。
M系列符号のコード長(符号の総数)は、(2N−1)であり、ここで、Nは、正の整数である。Nの好ましい値としては、1〜10が挙げられる。
(2N−1)という奇数個の符号を処理する演算に比べて、(2N)という偶数個の符号を処理する演算の方が、演算の高速化の点でより有利であるような場合には、(2N−1)個の符号の先頭または最後に符号を1つだけダミーとしてさらに加え、符号の総数を偶数個(2N)としてもよい。このような改変された疑似的なM系列も、本発明では、M系列に含まれる。
搬送波をPN符号で変調する場合、変調の方式は、特に限定はされないが、位相シフトキーイング(PSK;Phase Shift keying、位相偏移変調とも呼ばれる)が好ましい変調方式として例示される。位相シフトキーイングによって搬送波をPN符号で変調しUWB波を形成するための細部の技術それ自体は、従来技術を参照することができる。
送信波の送信において、"所定のコード長のPN符号を持ったUWB波を所定の周期で送信する"とは、図2(a)に示すように、所定のコード長のPN符号を持ったUWB波を、1周期の信号波Sとして用い、その1周期の信号波Sを、S1、S2、S3、...、Snのように、繰り返して送信する操作である。その繰り返しの回数は、受信側での処理に必要な回数n以上であればよい。また、信号波Sの先頭は、PN符号中のどの部分から開始されていてもよい。
1周期の信号波Sの時間的な長さは、特に限定はされず、例えば1マイクロ秒程度が好ましい長さとして挙げられる。通信技術やデータ処理技術の発達に応じて、例えば0.1マイクロ秒に達するようなより短い周期の信号波が、現状と同じコード長のPN符号を含むようにすることが、解像度の向上の点からは好ましい。
1周期の信号波を繰り返して送信する場合の繰り返しの回数nは、後述するように、送信されたPN符号とノイズとが混在した受信信号の中から、SN比が増大した(即ち、ノイズの比率が減少した)PN符号を取り出す効果に大きく関係する。この信号取出し効果の点からは、繰り返しの回数nは、1〜2000程度が、好ましい回数の例として挙げられる。物体の表面がターゲット面であってかつ金属からなる面である場合には、減衰の少ない反射波が返ってくるので、繰り返しの回数nは、1であっても反射波を識別することは可能である。
好ましい態様例では、送信側が1周期の信号波Sを回数の制限無しに繰り返して送信し、受信側が必要な回数nの信号を利用してもよい。その場合、受信部が必要数nの信号を獲得した時点で、送信部が送信を停止するというように、該送信部と受信部とが制御されてもよい。
受信波は、復調されかつA/D変換される。
図2(b)に示すように、変換されたデジタル信号には、送信された所定のコード長のPN符号に対応した、既知の長さの信号部分が連続的につながった状態で含まれている。
処理部は、先ず、このデジタル信号を、前記所定の周期で取り出して、前記所定のコード長に対応する信号部分を得る。
ここで、〔デジタル信号を、前記所定の周期で取り出す〕とは、該デジタル信号を、送信時に用いた所定の周期(既知)にて区分し、図2(b)に示すように、送信波の所定のコード長に対応した信号部分Rへと分断して、必要な数nの信号部分(R1、R2、...、Rn)を取得する操作である。得られた信号部分は、下記の演算の前に全てを一旦メモリーに蓄積してもよいし、または、蓄積することなく、得られた信号部分から順番に演算の入力として用いてもよい。
受信部で受信された信号の成分には、物体内のターゲット面からの反射波w2に含まれたPN符号だけでなく、物体の表面からの反射波w3に含まれたPN符号や、当該装置の回路等に起因したノイズが含まれている。
次に、処理部は、図2(c)に示すように、識別のために必要な数nの信号部分(R1、R2、..、Rn)を、同期させながら1つに重ね合わせ、その合計の結果として所定のコード長(1周期分のコード長)を持った単一の合成された信号部分Rsumを得る。
前記のような信号部分の重ね合わせによって、ノイズのなかから、元の信号に含まれた符号の部分だけが増幅され、もとの信号を識別することが可能になる。その識別のために、合成された信号Rsumと、送信波のPN符号(既知のデータ)との相関を計算する。この相関計算の結果により、送信波に対する受信波の遅れ時間がわかる。
上記相関の計算自体は、フーリエ変換(とりわけ高速フーリエ変換)を用いた公知の演算処理技術を用いることができる。
図2(c)の加算例のように、信号部分の加算回数がnの場合、受信信号に重なり合っている雑音が、熱雑音のようなガウス性のものとすると、n回の加算によって、雑音の成分は、
の比率で減少することが知られている。
また、反射波の信号部分を重ね合わせて得られた信号Rsumのデータ長(サンプル数)をkとすると、上記の相関計算により、熱雑音は、
の比率で減少する。一例として、加算回数n=2000、データ長k=2046の場合には、熱雑音は(1/((2000×2046)(1/2))に比例して減少する。
本発明では、上記相関計算によって、受信信号の遅延量(時間的なズレ)τと相関ピーク値(反射の大きさ)が計算される。この遅延量τは、送信部とターゲット面との間の距離に対応するズレである。
上記の相関計算結果より得られた遅延量τと、反射の大きさ(相関ピーク値)とから、図2(d)に示すグラフのように、送信部とターゲット面との間の距離に対応した遅延量τ20と、反射の大きさの情報F20とを持った相関ピーク20を描くことができる。
図2(d)に示すグラフには、相関ピーク20の他に、物体の表面からの反射波に関する相関ピーク30(遅延量τ30と、反射の大きさの情報F30とを持っている)など、多数の点からの反射波に関する相関ピークも示される。図2(d)のグラフでは、説明のために、相関ピーク20および30だけを模式的に示している。
遅延量τがより大きいことは、送信部とターゲット面との間の距離がより大きいことを意味する。また、反射の大きさFがより大きいことは、電波をより強く反射する面があることを意味する。よって、これらの事実から、反射波および反射点の基本的な識別が可能になる。図2(d)に示すグラフでは、相関ピーク20の反射波が、より遠い位置かつ物質内部の点(即ち、図1の例の物体のターゲット面の点)からの反射波であり、相関ピーク30を示す反射波が、より近い位置かつより強い反射を示す点(即ち、図1の例の物体の表面の点)からの反射波であることがわかる。
図3(a)は、本発明の装置を用いてトンネル内の壁面に送信波(UWB波)を照射するシミュレーションにおける、受信波の信号の一例を示したグラフ図である。UWB送信波に対応するUWB反射波は、図3(a)のグラフ図において、電圧0(V)付近で微小量だけ振幅する波形として示されているとおり、極めて微弱な信号となっており、受信装置の回路等に起因する熱雑音に埋もれている。図3(a)のグラフ図は、シミュレーションの結果であるから、微量なUWB反射波の波形を区別して描くことが可能であるが、実際の測定では、デジタル処理前の段階では、熱雑音信号を含んだ混合信号の中から微弱な反射波の信号だけを識別することはできない。
図3(b)は、図3(a)のような熱雑音信号と微弱な反射波の信号とが混合された信号をデジタル処理し(即ち、上記したように同期的な重ね合わせと相関計算を行い)、その行った結果得られた、相関ピークと遅延量との関係を示すグラフ図である。図3(b)のグラフ図に示すとおり、遅延量約700(サンプル)の付近に、周囲よりも格別に大きい相関ピーク(相関ピーク値:約13.8×10−3)が存在することが明確になっている。
送信部と物体内部のターゲット面上の1点(ターゲット点)についての相関ピークの遅延量(遅延時間)τが明らかになると、次式:
(τ×1周期の時間×各通過媒体での電波の伝播速度)÷(1周期のサンプル数)
によって、当該装置(送信部または受信部)と該ターゲット点との間の正確な距離が算出される。1周期のサンプル数は、ナイキスト定理(サンプリング定理)に基づき、送信波において1周期の信号に含まれた符号の数の2倍以上である。
当該装置とターゲット点との間の距離が計測可能であれば、送信部の位置を変えて、複数の位置から同じ1つのターゲット点までの距離を計測することによって、その1点の3次元的な位置(座標点)を確定することができる。
さらに、ターゲット面上の多数のターゲット点について、それぞれに位置データを取得することによって、3次元的な座標点の集合としてターゲット面の凹凸のデータを得ることができ、該データに基づき、ターゲット面の凹凸を示す画像として表示することも可能になる。このターゲット面の凹凸のデータを取得する方法を、以下に、より詳細に説明する。
図4は、本発明において、ターゲット面の凹凸のデータを得る計算例を説明するための概略図である。図4では、説明のために、当該装置10が紙面の上方に位置し、下方のターゲット面110に向けて送信波(PN符号を持ったUWB波)を送信している状態を例示しているが、送信の向きは下方には限定されない。例えば、車両からトンネルの天井や側壁へ送信波を照射する場合など、探査すべき物体の位置に応じて、送信波の送信方向は、側方、上方、斜め方向などであってもよく、また、当該装置を複数用いて、前記の方向の中から複数の方向を選択してもよい。
図4(a)に示すように、当該装置10の3次元位置の座標を(x0,y0,z0)とする。例えば、トンネル内での測定では、x0を進行方向についての位置とし、y0を横方向(道路幅方向)についての位置とし、z0を高さ方向についての位置(路面の起伏などに起因して変動する)とする。
また、ターゲット面110上の反射点の各位置の座標を(x,y,z)とし、各位置(x,y,z)における反射波の反射率をf(x,y,z)とし、当該装置10の位置(x0,y0,z0)と反射点の位置(x,y,z)との間の2点間距離をL(x,y,z)とする。
当該装置10の位置(x0,y0,z0)は、後述する位置検知機能(GPS、光学的な位置検出装置、慣性航法装置などによる機能)によって、基準位置に対し既知であり、反射点の各位置の座標(x,y,z)、および、前記の2点距離L(x,y,z)もまた幾何学的に計算可能であり、既知である。
図4(a)は、当該装置10から、ターゲット面110に対して、所定の開口角にて送信波を照射し、反射波を受信している様子を示している。当該装置10の位置(x0,y0,z0)において、照射領域内の全ての位置(x,y,z)から返ってくる反射波の受信電界強度g(x0,y0,z0)は、各位置(x,y,z)における反射波の反射率f(x,y,z)と、各位置(x,y,z)までの2点間距離をL(x,y,z)を用いて、下記式(I)のように表すことができる。
〔式(I)〕
上記式(I)において、「*」は、積を表す演算子である(以下も同様である)。
また、上記式(I)において、Bは、反射波の振幅を表す項であって、
B=P*G/(4*π*L(x,y,z))で表される。ここで、Pは、送信波の電力、Gは、アンテナゲインであって、Bは2点間の往復による電波の減衰を示している。
また、上記式(I)において、「exp」は、ネイピア数eを底とする指数関数を表す演算子である(以下も同様である)。
上記式(I)における exp(−j*k*2*L(x,y,z))は、位相を表す項である。jは虚数単位である。kは波数を表し、k=2π/λで表される。λは、反射波の波長である。角度θ(ラジアン)に対し、exp(−j*θ)は、cosθ−jsinθと表され、互いに直交する位相の信号を取り扱っていることを示している。
上記式(I)では、積分範囲を(−∞、+∞)として表しているが、実際の測定では、積分範囲は、送信波が照射される領域(開口領域)の大きさなどに応じて定められる有限の実数範囲である。
図4(a)に示す送信波の照射と反射波の受信、および、受信した反射波の受信電界強度g(x0,y0,z0)の記録を、図4(b)に示すように、当該装置10を移動させながら、移動範囲内における各位置において、上記と同様に、反射波の受信電界強度g(x0,y0,z0)を測定し、受信電界強度と測定位置とを対応付けたデータとして記録しておく。
図4(b)に示した当該装置10の各位置から、図4(a)に示した特定位置(x,y,z)までの各距離もまた、幾何学的に計算可能であり、既知である。
よって、図4(a)に示した特定位置(x,y,z)における反射率f(x,y,z)は、
各移動位置で測定された全ての受信電界強度g(x0,y0,z0)を用いて、下記式(II)のように表すことができる。
〔式(II)〕
上記式(II)における exp(j*k*2*L(x,y,z))は、上記式(I)における exp(−j*k*2*L(x,y,z))を打ち消して1にする操作である。
上記式(II)でも、積分範囲を(−∞、+∞)として表しているが、実際の測定では、積分範囲は、送信波が照射される領域(開口領域)の大きさなどに応じて定められる有限の実数範囲である。
また、特定位置(x,y,z)における反射率f(x,y,z)の計算では、当該装置10の各位置から特定位置(x,y,z)までの各距離Lに応じて、当該装置10の各位置で受信した受信電界強度g(x0,y0,z0)に対して、遅延時間が全て等しい伝播時間(位相)となるように、該遅延時間の補正(位相補正)を行う。
前記の補正操作は、例えば、光学レンズにおいて、〔対象物の1点から各光路に分かれて分散した光が、光学レンズの各部(中心から外周縁まで)を通過した後、結像上の1点に至るまでの、各光路の伝播時間が等しい(最小になる)〕という性質を、多点での反射波の受信において再現することで、光学レンズの如き結像作用を作り出し、特定位置(x,y,z)をより鮮明に決定しようとする補正操作である。
ターゲット面上の各点(x,y,z)におけるそれぞれの反射率f(x,y,z)が得られたならば、それをターゲット面に沿って合成すれば、1つの画像が得られる。さらに、ターゲット面の深さを変化させて同様に演算すれば、3次元画像が得られる。
さらには、このターゲット面の凹凸の経時的な変化をメモリー装置に蓄積し、順次表示することで、ターゲット面の凹凸の変動を示す信号や動画が得られる。
図5は、図4を用いて説明した受信電界強度と測定位置とを対応付けたデータを、効率よく取得するための装置の構成例を示している。同図の例では、測定用車両10aの屋根の上に、本発明による装置の送受信アンテナ11aが複数個配置されており(図では説明のため5個)、上方に向けて送信波を照射し得るようになっている。これら複数の送受信アンテナ11aは、道路幅方向(y方向)に所定間隔をおいて配置されており、これにより、測定用車両10aが進行方向(x方向)に移動する間に、y方向の複数点での受信電界強度g(x0,y0,z0)が得られるように構成されている。図5の例では、測定すべき物体100は、トンネルの天井の内部(天井表面から壁部内に入り込んだ部分)である。図では、説明のために天井の内部を薄い板状物のように示しているが、鉄筋を含んだ厚いコンクリート層などであってもよく、測定すべき物体は限定されない。
当該装置が適用される好ましい技術として、合成開口レーダーの技術が挙げられる。
図6は、当該装置を用いて、合成開口レーダーを構成する場合の原理を説明する図である。図6では、本発明の装置10を1つだけ用い、P1からPnまで移動させているが、送受信用の複数のアンテナをP1からPnの各位置に配置するなど、多点での同時計測を可能とする態様であってもよい。
図6に示すように、合成開口レーダーは、開口長Dを持ったアンテナ(指向角度θ)を、物体200に電波を照射し得る範囲内で移動させながら、それぞれの位置(P1、P2、...、Pn)において電波を物体200に向けて発信し、それぞれに反射波を受信し、その受信波を処理することで、物体を画像化する技術である。合成開口レーダーの技術自体は、非特許文献1、2を参照することができる。
λ:照射される電波の波長、
H:アンテナの高さ、
θ:指向角
S:アンテナの移動距離、
A:分解能
とするとき、θとRAは、それぞれ次のように表すことができる:
θ≒λ/D、RA≒H*θ
よって、これらの式から、RA≒H×λ/Dが得られる。
該アンテナを図6のように対象物200を連続的にとらえている距離DSだけ移動させる場合、実質的な長さDSのアンテナを使っているのと等価である。
長さDSのアンテナを使う場合、分解能RAは、
A≒H×λ/DS (式1)
また、幾何学的にDS≒H×θ、θ≒λ/Dであるから
S≒H×λ/D (式2)
である。
上記(式1)と(式2)より、RA=Dが導かれ、レーダーの場合は、電波の往復距離を考慮しなければならないので、RA=D/2が得られる。
この式(RA=D/2)は、合成開口レーダーでは、単一のアンテナ開口長Dが小さいほど、合成開口レーダーの分解能がよくなる(高解像になる)ことを意味している。
この事実自体は、従来の合成開口レーダーの分野において知られている。
しかしながら、従来の合成開口レーダーによる探査技術は、主として地表など、露出した表面の起伏の探査には有効であるが、アンテナからターゲット面までの間に、土、岩、壁材(コンクリートなど)、水などの障害物が存在する場合には、電波の減衰が大きく、ターゲット面までの距離を検出することは困難であった。
これに対して、本発明によれば、上記したとおり、送信信号の特殊な構成と受信側の特殊な処理(即ち、送信部で発信されるUWB波の信号の構成と、処理部14での信号処理)によって、地中からの極めて微弱な反射波の中から、送信したUWB波の信号を識別することが可能であり、地中や海底などの障害物の背後のターゲット面の状態をUWB波を用いて探査し得る合成開口レーダーを構成することを可能にしている。そして、本発明の超高感度UWB送受信装置によって達成される合成開口レーダーは、極めて高い分解能を有するものとなる。
図7は、1つのターゲット点の位置を合成開口レーダーの手法によって計測する例を示す図である。
ターゲット点の座標はQ(X0 ,Y0 )である。また、本発明の装置10のアンテナの座標はPn(xn ,yn )である。
nを一定として、アンテナ(または装置全体)を矢印の方向に、P1(x1 ,y1 )、P2(x2 ,y2 )、P3(x3 ,y3 )、...のように移動させる。そして、各点P1、P2、P3、..において、アンテナと点Q(X0 ,Y0 )との間の距離L(n)を、本発明による超高感度UWB送受信装置によって計測する。
各点P1、P2、P3、..における距離L(n)は、次式で表される。
上記式から、式:(L(n))2 =(X0−xn )2+(Y0−yn )2 が得られる。
0−ynは一定であるから、(L(n))2 は、図7に示すように、点Qを頂点とした2次曲線を描く。各L(n)は、本発明による装置によって求められるので、最小二乗法により該2次曲線の近似曲線をプロットすることができ、該近似曲線から頂点Q(X0 、Y0 )の座標を算出することができる。
得られた座標点には、各相関計算の結果の相関ピークから算出された距離や反射の強さ、その値に対応した明度情報等を対応付けて、座標点に固有のデータとして記憶させ、画像化に利用してもよい。
図8は、複数のターゲット点の位置を合成開口レーダーの手法によって計測する例を示す図である。
ターゲット点の数はm個であり、各座標は、Q1(X1 ,Y1 )、Q2(X2 ,Y2 )、...、Qm(Xm ,Ym )である。また、本発明の装置10のアンテナの座標はPn(xn ,yn )である。
図7と同様に、ynを一定として、アンテナ(または装置全体)を矢印の方向に、P1(x1 ,y1 )、P2(x2 ,y2 )、P3(x3 ,y3 )、...のように移動させる。そして、各点P1、P2、P3、..において、アンテナと各頂点Q1〜Qmとの間のそれぞれの距離L1(n)、L2(n)、...、Lm(n)を、本発明による超高感度UWB送受信装置によって計測する。
各点P1、P2、P3、..におけるそれぞれの距離L1(n)、L2(n)、...、Lm(n)は、次式で表される。
図7の場合と同様に、各(Lm(n))2 は、それぞれ、各点Q1、Q2、...、Qmを頂点とした2次曲線を描く。各(Lm(n))2は、本発明による装置によって求められるので、最小二乗法により各2次曲線の近似曲線をプロットすることができ、それぞれの近似曲線から頂点の座標を算出することができる。
本発明では、物体内部や障害物の背後にあるターゲット面の状態を探査する場合に、その超高感度な特徴の有用性が特に顕著となる。
しかし、そのような探査では、物体の表面や障害物からの強い反射波が必ず存在することになる。物体の表面や障害物からの反射波が強すぎると、識別すべきターゲット面からの弱い反射波の識別の障害となる。
そこで、本発明では、第1の段階として、上記説明のように、物体に対する送信波の照射と反射波の処理によって、物体の各面からの反射波を識別する。ここで、特に、物体の表面からの強い反射波を識別する。
そして、第2の段階として、物体の表面からの反射波の信号だけが相殺されるように、該物体の表面からの反射波の信号に含まれたPN符号の位相を全て逆にした信号を図2(c)の加算の際に加え合わせることを提唱する。
この操作によって、物体の表面からの強い有害な信号だけがキャンセルされ、図2(d)のグラフから相関ピーク30が消え、物体内部のターゲット面からの弱い反射波の識別を効果的に行うことが可能になる。
本発明におけるUWB送受信に用いられるUWB無線通信技術には、例えば、直接拡散(Direct-Sequence Spread Spectrum)の技術が利用可能である。
本発明において送信されるUWB波は、自然界に存在する電磁波のノイズのレベルと同等の弱い出力の電波であってよい。本発明において商用(民間用)として利用可能なUWB波は、各国の規定に応じて異なるが、例えば、アメリカ合衆国の連邦通信委員会(FCC)の規定では、送信出力は、−41.3dbm/MHzであり、その帯域は、例えば、3.1GHz〜10.6GHzである。よって、該UWB波が生体に悪影響を及ぼすことは無く、また、周囲に電波障害をもたらすこともない。
本発明で用いられるUWB波は、上記のように微弱な電波であるがゆえに、物体内に入り込むと著しく減衰する。よって、法上許容された電力で送信された微弱なUWB波を用いただけでは、物体の内部(建築物のコンクリート壁やトンネル内の壁の内部、体内などの臓器)で反射された電波は一層微弱化し、その反射波を受信しかつ受信機のノイズの中から識別することは困難である。そのため、UWB波を用いたレーダー装置や探査装置は、実用化されていなかった。
これに対して、本発明では、上記したとおり、送信信号の特殊な構成と受信側の特殊な処理とによって、極めて微弱に減衰した反射波を受信段のノイズの中から識別することを可能としており、UWB波を用いて物体の状態を探査し画像化することを可能にしている。物体の状態とは、対象物に含まれるターゲット面(表面や内部の界面)の起伏や外周形状などの形態、および、それらの形態の経時的な変化である。ターゲット面は、物質の違いや密度の差に起因する界面であってもよい。対象物は、あらゆる物体であってよく、例えば、生体(人間や家畜)、あらゆる産業における生産物(工業製品、農林水産業での収穫物、収穫前・捕獲前の対象物)、川、湖沼、海、陸地、建築物、物体の有無を確認するためのあらゆる空間、などが挙げられる。
よって、本発明の送受信装置は、UWB波を用いた超高感度レーダー装置、または、UWB波を用いた超高感度探査装置、UWB波を用いた超高感度診断装置などということもできる。
本発明による計測の対象や用途は、特に限定はされないが、例えば、トンネルの壁の内部の劣化診断や、生体内の臓器などの診断において、本発明は特に有用となる。また、本発明で用いられるUWB波は、極めて微弱であるから、生体に対して24時間連続的に照射しても損傷を与えない。よって、病院や介護施設において、対象者に対して、部屋の壁や天井を通してUWB波を24時間連続的に照射し、対象者の状態の管理に用いることも可能である。
本発明では、同じターゲット面の形態を時間の経過と共に複数取得し蓄積し、比較することによって変化の有無を判定することが可能である。また、その経時的な変化を動画として示すことも可能である。また、その経時的な変化を警報や信号などによって知らせることも可能である。例えば、災害時に倒壊した建物などに埋もれた被災者や動物の呼吸や脈拍の変化(生死の判別)、構造物が崩壊する前兆などを示すことが可能である。
本発明の超高感度UWB送受信装置は、当該装置自体に車輪を装着し、自体が移動可能であるように構成してもよいし、自転車、自動車、鉄道、船舶、航空機、風船などといった種々の移動手段に搭載できるように構成してもよい。
当該装置には、当該装置自体の位置(即ち、どこにいるか)を検知し得るよう構成された位置検知機能を設けることが好ましい。これにより、当該装置自体の位置に基いて、計測対象の物体を位置と対応付けて映像化することが可能になる。位置検知機能は、GPS(Global Positioning System)や、種々の基準電波、目印、コードを利用してもよく、また、路面等に対して光(レーザー光など)を照射し反射光を検出することによる光学的な位置検出機能や、慣性航法装置による原位置からの自己の相対的な変位量を検出する機能であってもよい。これらの機能は適宜組み合わせてもよい。
本発明の超高感度UWB送受信装置を、トンネル内の壁の内部の劣化診断装置として用いる場合、GPSが利用できない。そのような場合には、トンネル内での位置を示す基準の電波などを、所定位置からトンネル内に発信する態様や、トンネル内の壁面に位置を示すコードを表示しておき、それを読み取って自体の位置を知るようにした態様などであってもよい。
本発明の超高感度UWB送受信装置には、複数の方向に対して、送信波を同時に発信し反射波を同時に受信するために、複数のアンテナが設けられてもよい。また、アンテナは、送信専用のアンテナ、受信専用アンテナ、または、送受信両用のアンテナであってもよい。
また、複数の方向に対して送信波を同時に送信する場合、それらの送信波を互いに同期させるための基準信号を発信する制御装置が、当該装置と一体的にまたは別個に設けられてもよい。
本発明によって、室内程度の通信でしか利用できなかった微弱なUWB波を用いながらも、建造物の壁材の表面や内部の構造、トンネル内のコンクリート壁の内部の構造、生体内の臓器の凹凸など、電波が到達し得るあらゆる物体を計測対象とし、該物体のターゲット点の位置を決定すること、そして、その位置に基づき、該ターゲット面の形態、その経時変化の様子などを示すことが可能になる。これにより、ターゲット面の画像化、物質内部の疲労の判定、生体の動きに基づいた生死の判定、ターゲット面の変化を示す動画の生成なども可能となる。
10 超高感度UWB送受信装置
11 送信部
12 受信部
13 A/D変換部
14 処理部
100 物体
101 表層
101a 表面
102 内層
102a ターゲット面
w1 送信波
w2 ターゲット面での反射波
w3 物体表面での反射波

Claims (10)

  1. 所定のコード長のPN符号を持ったUWB波を、所定の周期で、送信波として送信し得るよう構成された送信部と、
    前記送信波が探査すべき物体へと送信されて該物体で反射したUWB波である反射波を、受信し得るよう構成された受信部と、
    受信した前記反射波をデジタル信号へと変換するA/D変換部と、
    変換された前記デジタル信号を前記所定の周期で取り出して、前記所定のコード長に対応する信号部分を得、それら信号部分を所定数だけ同期的に重ね合わせ、その重ね合わせた結果と元の所定のコード長のPN符号との相関を計算する処理部と、
    を有することを特徴とする、超高感度UWB送受信装置。
  2. PN符号が、M系列符号である、請求項1記載の超高感度UWB送受信装置。
  3. 前記処理部が、前記相関の計算結果から、当該装置と前記物体のターゲット面の各点との距離および反射の強さを算出するように構成されている、請求項1または2記載の超高感度UWB送受信装置。
  4. 前記処理部が、算出された各距離および反射の強さに基いて、前記物体のターゲット面の状態を示す各点の位置データを算出するように構成されている、請求項3記載の超高感度UWB送受信装置。
  5. 前記処理部が、算出された各距離および反射の強さに基いて、無用の反射信号を検出し、該無用の反射信号がキャンセルされるように、該無用の反射信号に含まれた符号とは逆位相の符号を持った信号を加え、さらなる相関計算を行って、該無用の反射信号をキャンセルするように構成されている、請求項3または4記載の超高感度UWB送受信装置。
  6. 前記処理部が、物体のターゲット面の状態を、画像化して表示し得るように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の超高感度UWB送受信装置。
  7. 前記処理部が、該物体のターゲット面の起伏などの形態の経時的な変化を示すことが可能なように構成されている、請求項3または4記載の超高感度UWB送受信装置。
  8. 当該超高感度UWB送受信装置自体の位置を検知し得るよう構成された位置検知機能をさらに有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の超高感度UWB送受信装置。
  9. 当該超高感度UWB送受信装置が、自体が移動可能なように構成されているか、または、移動可能な手段に搭載可能なように構成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の超高感度UWB送受信装置。
  10. 上記送信部が、複数のアンテナを有し、複数の方向に対して送信波を互いに同期させながら送信し得るように構成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の超高感度UWB送受信装置。
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