本発明に係る吸込口体および電気掃除機の実施形態について図1から図13を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の外観を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、いわゆるキャニスタ型の電気掃除機である。電気掃除機1は、被掃除面上を走行可能な掃除機本体2と、掃除機本体2に着脱自在な本体管部3と、を備える。掃除機本体2と本体管部3とは、流体的に接続されている。
掃除機本体2は、本体ケース5と、本体ケース5の左右両側方にそれぞれ設けられる一対の車輪6と、本体ケース5の前半部に配置される着脱自在な塵埃分離集塵部7と、本体ケース5の後半部に収納される電動送風機8と、主に電動送風機8を制御する本体制御部9と、電動送風機8へ電力を導く電源コード11と、を備える。掃除機本体2は、電源コード11を経て供給される電力で電動送風機8を駆動させて、電動送風機8の駆動によって発生する負圧を本体管部3に作用させている。電気掃除機1は、本体管部3を通じて被掃除面から塵埃を含んだ空気(以下、「含塵空気」と呼ぶ。)を吸い込み、含塵空気から塵埃を分離し、分離後の塵埃を捕集し、蓄積するとともに分離後の空気を排気する。
本体ケース5の正面部分には、本体接続口12が設けられている。本体接続口12は、掃除機本体2の流体的な入口であり、本体管部3と塵埃分離集塵部7とを流体的に接続している。
車輪6は、大径の走行輪であり、掃除機本体2を支えている。
塵埃分離集塵部7は、掃除機本体2に流れ込む含塵空気から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する一方で、塵埃が除去された清浄な空気を電動送風機8へ送る。塵埃分離集塵部7は、遠心分離方式であっても良いし、濾過分離方式であっても良い。
電動送風機8は、塵埃分離集塵部7から空気を吸い込んで負圧(吸込負圧)を発生させる。
本体制御部9は、マイクロプロセッサ(図示省略)、およびマイクロプロセッサが実行する各種演算プログラム、パラメータなどを記憶する記憶装置(図示省略)を備える。記憶装置は、予め設定される複数の運転モードを記憶している。予め設定される複数の運転モードは、本体管部3で受け付けられる使用者の操作に対応している。それぞれの運転モードには相互に異なる入力値(電動送風機8の入力値)が設定されている。本体制御部9は、本体管部3で受け付けられる使用者の操作に応じ、その操作内容に対応する任意の運転モードを予め設定される複数の運転モードから択一的に選択して記憶部から読み出し、読み出した運転モードにしたがって電動送風機8を制御する。
電源コード11は、配線用差込接続器(図示省略、所謂コンセント)から掃除機本体2へ電力を供給する。電源コード11の自由端部には差込プラグ14が設けられている。
本体管部3は、掃除機本体2から作用する負圧によって、被掃除面から含塵空気を吸い込み掃除機本体2へ案内する。本体管部3は、掃除機本体2に着脱自在に接続される継手としての接続管19と、接続管19に流体的に接続される集塵ホース21と、集塵ホース21に流体的に接続される手元操作管22と、手元操作管22から突出する把持部23と、把持部23に設けられる操作部24と、手元操作管22に着脱自在に接続される延長管25と、延長管25に着脱自在に接続される床面用吸込口体26と、を備える。
接続管19は、本体接続口12へ着脱自在な継手であり、本体接続口12を通じて塵埃分離集塵部7に流体的に接続されている。
集塵ホース21は、長尺で可撓な略円筒形状のホースである。集塵ホース21の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、接続管19に流体的に接続されている。集塵ホース21は、接続管19を通じて塵埃分離集塵部7に流体的に接続されている。
手元操作管22は、集塵ホース21と延長管25とを中継している。手元操作管22の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、集塵ホース21の他方の端部(ここでは、前方の端部)に流体的に接続されている。手元操作管22は、集塵ホース21および接続管19を通じて塵埃分離集塵部7に流体的に接続されている。
把持部23は電気掃除機1を操作するために使用者が手で把持する部分である。把持部23は、使用者が手で容易に把持できる適宜の形状で手元操作管22から突出している。
操作部24は、それぞれの運転モードに対応付けられるスイッチを備える。具体的には、操作部24は、電動送風機8の運転停止操作に対応付けられる停止スイッチ24aと、電動送風機8の運転開始操作に対応付けられる起動スイッチ24bと、を備える。停止スイッチ24aおよび起動スイッチ24bは、本体制御部9に電気的に接続されている。電気掃除機1の使用者は、操作部24を操作して電動送風機8の運転モードを択一的に選択できる。起動スイッチ24bは、電動送風機8の運転中に、運転モードの選択スイッチとしても機能している。この場合、本体制御部9は、起動スイッチ24bから操作信号を受け取る度に運転モードを強→中→弱→強→………の順で切り換える。なお、操作部24は、起動スイッチ24bに代えて、弱運転スイッチ(図示省略)、中運転スイッチ(図示省略)および強運転スイッチ(図示省略)を個別に備えていても良い。
複数の筒状体を重ね合わせたテレスコピック構造の延長管25は、伸縮可能な細長略円筒状の管である。延長管25の一方の端部(ここでは、後方の端部)には、手元操作管22の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱自在な継手構造が設けられている。延長管25は、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を通じて塵埃分離集塵部7に流体的に接続されている。
床面用吸込口体26は、延長管25の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱自在に接続する。また、床面用吸込口体26は、木床やカーペットなどの被掃除面上を走行自在あるいは滑走自在な構造を有するとともに、走行状態または滑走状態において被掃除面に対向する底面に吸込口28を有する。さらに、床面用吸込口体26は、吸込口28に位置して回転自在な回転清掃体29と、回転清掃体29を回転駆動可能な電動機31と、を備える。床面用吸込口体26は、延長管25、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を介して塵埃分離集塵部7に流体的に接続する。
床面用吸込口体26は、木床やカーペットなどの被掃除面上を走行自在または滑走自在であり、走行状態または滑走状態において被掃除面に対向する底面に吸込口28を有する。また、床面用吸込口体26は、吸込口28に配置される回転自在な回転清掃体29と、回転清掃体29を駆動させる電動機31と、を備える。床面用吸込口体26の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、延長管25の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱自在な継手構造を備える。床面用吸込口体26は、延長管25、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を通じて塵埃分離集塵部7に流体的に接続されている。つまり、床面用吸込口体26、延長管25、手元操作管22、集塵ホース21、接続管19、および塵埃分離集塵部7は、電動送風機8から吸込口28へ至る吸込風路である。
電気掃除機1は、起動スイッチ24bで使用者の操作を受け付けると電動送風機8を始動させる。例えば、電気掃除機1は、電動送風機8が停止している状態で起動スイッチ24bが操作されると、先ず電動送風機8を強運転モードで運転し、再び起動スイッチ24bが操作されると電動送風機8を中運転モードで運転し、三度、起動スイッチ24bが操作されると電動送風機8を弱運転モードで運転し、以下同様に繰り返す。強運転モード、中運転モードおよび弱運転モードは、予め設定される複数の運転モードであり、強運転モード、中運転モード、弱運転モードの順に電動送風機8に対する入力値が小さく設定されている。始動した電動送風機8は、塵埃分離集塵部7から空気を排気してその内部を負圧にする。
塵埃分離集塵部7内の負圧は、本体接続口12、接続管19、集塵ホース21、手元操作管22、延長管25、および床面用吸込口体26を順次に通じて吸込口28に作用する。電気掃除機1は、吸込口28に作用した負圧によって、被掃除面上の塵埃を空気とともに吸い込んで被掃除面を掃除する。塵埃分離集塵部7は、電気掃除機1に吸い込まれた含塵空気から塵埃を分離し、蓄積する一方で、含塵空気から分離した空気を電動送風機8へ送る。電動送風機8は、塵埃分離集塵部7から吸い込んだ空気を掃除機本体2外へ排気する。
ところで、床面用吸込口体26は、居室の床面など比較的広い被掃除面の掃除に適する一方で、例えば家具の隙間やベッドの下などの狭隘な掃除箇所や、所謂冷暖房機のような空気調和機の室内機の上面のような高所にある目視困難な掃除箇所では使い勝手に劣る。
そこで、これら狭隘な掃除箇所や高所にある目視困難な掃除箇所における使い勝手の良い吸込口体33、および吸込口体33を手元操作管22に接続する第二集塵ホース35について説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る吸込口体の外観を示す斜視図である。
図3は、本発明の実施形態に係る吸込口体の縦断面を示す斜視図である。
図2および図3に示すように、本実施形態に係る吸込口体33は、吸込口36を有する長手形状の吸込体37と、吸込体37に流体的に接続される管部38と、管部38の途中に設けられる第一関節39および第二関節41と、吸込体37を被掃除面へ接地させる方向へ第二関節41を折り曲げる力を付与する弾性体42と、を備える。
吸込体37は、扁平で中空な棒形状の基台45と、基台45の周縁部に並んで吸込口36の開口方向へ延びるブラシ46と、を備える。
基台45の底面には吸込口36が設けられている。吸込口体33は、吸込体37の底面を被掃除面に向けて使用される。基台45は、吸込口36を通じて被掃除面に対面する吸込室48を有する。吸込室48は、含塵空気が通過する流路の一部である。
また、基台45は、吸込口36の開口方向を保つ回転軸となるスリーブ49を備える。スリーブ49は、吸込体37の長手方向における中央からいずれかの端部側へ偏倚させて配置されている。また、スリーブ49は、基台45の上面から管部38の内部へ延びて吸込体37の回転中心線Cを構成する。スリーブ49の中空部分は、吸込室48に接続されている。スリーブ49の中空部分は、吸込体37と管部38とを流体的に接続する開口51である。スリーブ49の突出端には、管部38に引っ掛かって抜け止めとなる爪52が設けられている。
ブラシ46は、基台45の底面の法線方向へ向かって突出する。ブラシ46の先端を結ぶ軌跡は基台45の底面に略平行な面Pを描く。この面Pは、ブラシ46の柔軟性によって多少の撓みをともないつつ、被掃除面に接地される。
吸込体37は、基台45を回転中心線Cまわりに回転させることによって、管部38に隣合わさる収納状態と、管部38の延長方向へ突出する展開状態とに変化する。
管部38は、回転中心線Cまわりに吸込体37を回転可能に支持する。管部38は、開口51を通じて吸込体37に流体的に接続されている。管部38は、吸込体37の回転中心線Cに略直交する方向へ延びる。吸込体37の収納状態において、管部38は、吸込体37に並び、隣接している。
また、管部38は、吸込体37よりも長く、吸込体37の収納状態において、吸込体37と並ぶ並列部分55と、単独で延びる余剰部分56と、を備える。管部38は、少なくとも並列部分55において吸込体37と略同等の幅がある。
さらに、管部38は、吸込体37から突出するスリーブ49を嵌入させる開口57を有する。スリーブ49および開口57は、管部38に吸込体37を支える軸受部58として機能する。管部38の一方の端部には、軸受部58が設けられ、他方の端部には、継手部61が設けられている。管部38の一方の端部は、吸込口体33の先端側になり、他方の端部は、電動送風機8に流体的に接続される根元側になる。つまり、軸受部58に支えられる回転中心線Cは、管部38の先端部にある。
軸受部58は、吸込体37を360°の範囲で円滑に回転可能に支持するものでも良く、スリーブ49と開口57に適宜の角度毎に嵌まり合う複数の凹凸(図示省略)を有して回転角度を段階的に切換可能であっても良い。
関節39、41それぞれは、吸込体37の回転中心線Cに非平行な軸回りに折り曲げ可能、あるいは揺動可能である。ここで、回転中心線Cに非平行な軸とは、回転中心線Cに対して交差またはねじれの位置にある軸である。具体的には、関節39、41それぞれは、狭隘な隙間への進入が容易になるよう吸込体37の幅方向へ延びる軸回りに折れ曲がる。
また、関節39、41それぞれは管部38の流路の一部であり、まっすぐに延びる直管状態、折れ曲がった屈折管状態のいずれの状態でも空気を流通できる。関節39、41のそれぞれは、ほぼ隙間なく相互に回転可能に嵌まり合う大小二つの円筒を備える。これら2つの円筒の側壁部分は適宜に切り欠かれてそれぞれの関節39、41内流路をその可動範囲内で流通可能に保つ。
さらに、関節39、41それぞれは、折り曲げ角度範囲の制約をうけつつも、折り曲げ角度範囲内では自由に、無段階に折れ曲がる非拘束の関節である。
第一関節39は、吸込体37の背面側投影内に設けられている。具体的には、第一関節39は、吸込体37の長さ方向における重心位置に相当する並列部分55の略中央にあり、吸込体37の長手方向視において軸受部58に並ぶ。
また、第一関節39は、吸込体37と管部38との並列部分55に配置されている。第一関節39は、吸込体37が管部38のなす優角側に位置する方向(図2中の実線矢A方向)へ折れ曲がる。
ここで、管部38のなす優角側とは、第一関節39を跨いで管部38の一方側と他方側との中心線がなす角度のうち大きい方の角である。
第二関節41は、管部38の余剰部分56に配置されている。換言すれば、第一関節39から吸込体37の端部eまでの長さL1よりも、第一関節39から第二関節41までの長さL2の方が長い。
また、第二関節41は、第一関節39を跨いで管部38の一方側と他方側とが直線上に伸びる状態を基準にしていずれの方向(図2中の実線矢B1、B2方向)にも折れ曲がる。ここで、第二関節41が実線矢B1の方向への折れ曲がり、つまりブラシ46の延びる方向への折れ曲がりを、吸込体37の拝み方向と呼ぶ。他方、第二関節41が実線矢B2の方向への折れ曲がり、つまりブラシ46の延びる方向の反対方向への折れ曲がりを、吸込体37の仰ぎ方向と呼ぶ。
さらに、第二関節41は、90度よりも大きい角度で管部38を折り曲げる。
また、本実施形態に係る吸込口体33は、収納状態の吸込体37を管部38に連結させる規制機構62を備える。規制機構62は、回転中心線Cに交差する回転方向へ吸込体37が移動することを規制している。つまり、規制機構62は、収納状態の吸込体37に加わる力によってスリーブ49に曲げ応力が作用することを規制している。規制機構62は、吸込体37側の第一フック65と、第一フック65に引っ掛かる管部38側の第二フック66と、を備える。第一フック65と第二フック66とは、吸込体37が管部38に隣合わさる収納状態で引っ掛かり合う一方で、回転中心線Cまわりに吸込体37を回転させる場合、つまり展開状態においては引っ掛かりを円滑に解除できる。
本実施形態に係る吸込口体33は、長手形状の吸込体37を回転させると吸込体37の長手方向の全長にほぼ等しい回転半径で掃除範囲を拡大させる。
図4は、本発明の実施形態に係る吸込口体の第二関節を示す図である。なお、図4は、弾性部材を覆うカバーを取り外して示している。
図4に示すように本実施形態に係る吸込口体33の弾性体42は、第二関節41に設けられている。弾性体42は、例えばコイルばねや、トーションばねであり、吸込体37の拝み方向(図4中の実線矢B1方向)へ第二関節41を折り曲げる力を管部38へ付与している。
図5は、本発明の実施形態に係る吸込口体の規制機構を示す横断面図である。
図5に示すように、本実施形態に係る吸込口体33の規制機構62、すなわち第一フック65および第二フック66は、相互に嵌まり合う凹凸67を備える。凹凸67は回転中心線Cの径方向に延び、凹凸67が嵌まり合うことで回転中心線Cまわりにおける吸込体37の回転を規制し、使用者の不意に吸込体37が展開状態へ回転することを防ぐ。
図6は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の一部を示す斜視図である。
図7は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の一部を示す側面図である。
なお、図6および図7の実線は、吸込口体33の第二関節41を真っ直ぐに伸ばした状態を示している。図7の破線は、無負荷の吸込口体33を示しており、弾性体42の働きによって第二関節41が折れ曲がっている。第二関節41は、90度よりも大きい角度θで管部38を折り曲げている。
図6および図7に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、電動送風機8と手元操作管22(中継管)とを流体的に接続する可撓な集塵ホース21(第一集塵ホース)と、手元操作管22と吸込口体33とを流体的に接続し、かつ集塵ホース21よりも柔軟に撓む第二集塵ホース35と、を備える。
また、電気掃除機1は、第二集塵ホース35と吸込口体33とを流体的に接続する伸縮自在なテレスコピック構造の伸縮管86を備える。
第二集塵ホース35は、集塵ホース21に比べて自然長から伸張し易く、また伸張した状態から収縮しやすい。換言すると、第二集塵ホース35は、集塵ホース21に比べてバネ定数が低く、かつ収縮力で縮みきった状態を自然長とする引張バネのような性質を有する。第二集塵ホース35は、手元操作管22に嵌脱可能な継手管87を一方の端部に備え、他方の端部に伸縮管86を嵌脱可能な継手管88を備える。継手管88は嵌め込まれた伸縮管86の固定とその解除とを行うロック機構89を備える。
また、第二集塵ホース35は、集塵ホース21に比べて電動送風機8が吸い込む空気流の上流側にある。
電気掃除機1は、手元操作管22の上流側に延長管25および床面用吸込口体26を接続する形態(図1)では、床面上を広範囲に掃除する用途に適する。この形態の電気掃除機1は、ユーザが手元操作管22、延長管25および床面用吸込口体26を一体で前後へ往復させる動作を、集塵ホース21全体の撓みで吸収する。そして、電気掃除機1は、ユーザが掃除箇所を変えるために手元操作管22を引っ張ると、撓みがなくなり直線的になりつつも長さをほぼ保った集塵ホース21で掃除機本体2を牽引し、新たな掃除箇所に移動する。すなわち、床面用吸込口体26を使用する場合、集塵ホース21は、容易に撓んで湾曲する(曲げ剛性が低い)ことが好ましい一方で、掃除機本体2の追従性を損なうことなく牽引するために容易には伸び縮みしない(縦剛性が高い)ことが好ましい。そこで、集塵ホース21は、第二集塵ホース35に比べて伸び縮みしにくいことで掃除機本体2の追従性を保ち、操作性を向上する。
他方、電気掃除機1は、手元操作管22の上流側に第二集塵ホース35、伸縮管86および吸込口体33を接続する形態では、例えば家具の隙間やベッドの下などの狭隘な掃除箇所や、所謂冷暖房機のような空気調和機の室内機の上面のような高所にある目視困難な掃除箇所を重点的に掃除する用途に適する。この形態の電気掃除機1は、ユーザが伸縮管86および吸込口体33を一体で任意の方向へ向ける動作を、集塵ホース21よりも柔軟な第二集塵ホース35の撓みで吸収する。そして、電気掃除機1は、ユーザが筒先(吸込口体33)の向きを変えるために伸縮管86を引っ張っても、直線的になりつつも容易に伸びる第二集塵ホース35で変位を吸収し、掃除機本体2の定位を保つ。すなわち、吸込口体33を使用する場合、第二集塵ホース35は、容易に撓んで湾曲する(曲げ剛性が低い)ことが好ましいことに加え、容易に伸縮して(縦剛性が低い)掃除機本体2の定位を保てる方ことが好ましい。そこで、第二集塵ホース35は、手元操作管22と吸込口体33との間で容易に曲がり、かつ容易に伸びることで両部位間の大変位を許可しつつ掃除機本体2の定位を保ちやすくして操作性を向上する。特に、第二集塵ホース35は集塵ホース21よりも筒先(吸込口体33)に近い上流側にあるため、ユーザが伸縮管86を引っ張る動作を、第二集塵ホース35側を主体的に使用して吸収できる。また、第二集塵ホース35は、集塵ホース21に比べて、ユーザが吸込口体33をより遠くへ差し出す動作に柔軟に湾曲、かつ延びて追従できるとともに、縮もうとする力によって弛みをなくし、無用な長さを呈することなく、ユーザの邪魔にならない。
伸縮管86は多段階、例えば三段階に伸縮できる。伸縮管86は第二集塵ホース35の継手管88に嵌脱可能な継手部91を一方の端部に備え、他方の端部に吸込口体33を嵌脱可能な継手部92を備える。また、伸縮管86は各段に伸張状態または短縮状態の固定とその解除とを行うロック機構93を備える。
なお、電気掃除機1は、吸込口体33のみならず、伸縮管86や、第二集塵ホース35の上流側の開口端を筒先として掃除に供することができる。
図8から図13は、本発明の実施形態に係る吸込口体の使用状態の一例を示す図である。
図8に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、手元操作管22に第二集塵ホース35、伸縮管86および吸込口体33を順次接続することで、床面用吸込口体26では掃除しにくい箇所、例えば高所の掃除を行うことができる。
電気掃除機1のユーザは、伸縮管86の根元(第二集塵ホース35に近い端部)を把持し、吸込口体33を上方に掲げて高所の掃除を行う。高所にある掃除箇所の具体例として、空気調和機の室内機ieの天面rを考える場合、伸縮管86の最延長長さを約1mに設定することで、女性の平均身長(約158cmを想定)よりも数センチメートルから十数センチメートルほど身長の低いユーザであっても当該箇所へ吸込口体33を到達させることが可能になる。
なお、空気調和機の室内機ieの天面rの高さは、高さ約2mの掃き出し窓の上方に若干の距離(約10cm)を隔てて高さ約25cmから約30cmの室内機を配置した場合、すなわち約2m35cmから約2m40cmを想定している。
図8および図9に示すように、本実施形態に係る吸込口体33は、折り曲げの自在な第一関節39を、被掃除面へ向かって吸込体37を拝む方向へ折れ曲がる第二関節41および弾性体42の働きによって室内機ieの天面rへ吸込体37を押さえ付け(図8、図9中の矢印B1)、ブラシ46の先端が描く面Pを室内機ieの天面rへ倣わせる。この作用は、女性のように力の弱い使用者にとって、上方へ掲げた筒先のブレを吸収し、ブラシ46の先端が描く面Pを室内機ieの天面rへ常に接触させ易くして、当該箇所の掃除を容易にする。
ところで、吸込体37が未だ天面rに押し当てられていない状態において、第二関節41が90度よりも大きい角度θで管部38を折り曲げているため、使用者は、室内機ieよりも壁面wから離れた場所から吸込体37を天面rへ押し当てることができて利便性に優れる。
また、図10に示すように、電気掃除機1の使用者は、室内機ie近傍の壁面wに付着する塵埃を掃除する場合がある。
この場合、図10および図11に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、上方へ掲げた吸込体37のブラシ46を壁面wに押し付けることによって、第二関節41が真っ直ぐな状態、あるいは仰ぎ方向へ折れ曲がり、折り曲げの自在な第一関節39によって、壁面wへ吸込体37を押さえ付け(図10、図11中の矢印B1)、ブラシ46の先端が描く面Pを壁面wへ倣わせる。この作用は、女性のように力の弱い使用者にとって、上方へ掲げた筒先の自重を利用してブラシ46の先端が描く面Pを壁面wへ常に接触させ易くして、当該箇所の掃除を容易にする。
そして、吸込体37が未だ壁面wに押し当てられていない状態において、第二関節41が90度よりも大きい角度θで管部38を折り曲げているため、使用者は、吸込体37の先端部分を壁面wに押し当てつつ、吸込口体33を引き下げることによって、吸込体37を壁面wへ容易に押し当てることができて利便性に優れる。
さらに、図12に示すように、電気掃除機1の使用者は、室内機ie近傍の隙間に溜まった塵埃を掃除する場合がある。
この場合、図12および図13に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、吸込口体33を下方へ下げて吸込体37のブラシ46を床面fに押し付けることによって、第二関節41が真っ直ぐな状態、あるいは仰ぎ方向へ折れ曲がり、折り曲げの自在な第一関節39によって、床面fへ吸込体37を押さえ付け(図12、図13中の矢印B1)、ブラシ46の先端が描く面Pを床面fへ倣わせる。
そして、吸込体37が未だ床面wに押し当てられていない状態において、第二関節41が90度よりも大きい角度θで管部38を折り曲げているため、使用者は、吸込体37の先端部分を床面fに押し当てつつ、吸込口体33を後方へ引くことによって、吸込体37を床面fへ容易に押し当てることができて利便性に優れる。
ところで、従来の吸込口体は、接続管の折り曲げの位置決めが固定的であったため、ユーザの腕の振りにともなって把持位置の高さが変化すると吸込体(あるいはブラシの毛先)が被掃除面から離れたり、接地状態が不安定になったりする。他方、本実施形態に係る吸込口体33は、折り曲げの自由な第一関節39によって、使用者の腕振りに追従させて吸込体37を首振り運動させることが可能であり接地を維持しやすく、被掃除面上の塵埃をより確実に掃き取る。
本実施形態に係る電気掃除機1および吸込口体33は、吸込体37を被掃除面へ接地させる方向へ第二関節41を折り曲げる力を付与する弾性体42によって、第二関節41を適宜に折り曲げつつ吸込体37を被掃除面に押し当てることが可能であり、例えば冷暖房機の天井、冷暖房機周囲の壁、冷暖房機近傍の家具の隙間のように高所、壁面、隙間など角度や高さの異なる被掃除面を次々に掃除する際、使用者による関節の角度調整をともなうことなく、吸込体37を被掃除面に追従させる。
また、本実施形態に係る電気掃除機1および吸込口体33は、第二関節41に作用する弾性体42の力を利用して、自由に折れ曲がる、非拘束な第一関節39を被掃除面に確実に押し当てることができ、当該掃除箇所の塵埃をより確実に掃き取る。
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1および吸込口体33は、第一関節39を吸込体37の長さ方向における重心位置に配置することによって、第二関節41に作用する弾性体42の力を吸込体37の全長に亘って略均等に作用させて、吸込体37をしっかりと被掃除面に倣わせることができる。
さらにまた、本実施形態に係る電気掃除機1および吸込口体33は、第一関節39から吸込体37の端部までの長さL1よりも、第一関節39から第二関節41までの長さL2の方が長いため、高所にある冷暖房機の天井のように上方を臨む被掃除面であっても、当該被掃除面の縁からより奥側まで掃除できる。
また、本実施形態に係る電気掃除機1および吸込口体33は、90度よりも大きい角度で管部38を折り曲げる第二関節41を備えることによって、弾性体42で拝み方向へ折れ曲がった第二関節41を被掃除面に押し付けるようにして仰ぎ方向へ容易に折り曲げることが可能になり、吸込体37を被掃除面に容易に押し当てることができる。
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1および吸込口体33は、吸込体37の長手方向において端部側に配置されて吸込体37と管部38とを流体的に接続する軸受部を備えるため、吸込体37を展開状態または収納状態に変化させて掃除範囲を拡大させることができる。
したがって、本実施形態に係る電気掃除機1および吸込口体33によれば、高所、壁面、隙間など角度や高さの異なる被掃除面を次々に掃除する際に、関節39、41の角度調整を意識することなく、被掃除面に円滑に追従できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。