以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
まず、図1を参照して、本発明の液体吐出装置の一例であるインクジェット方式の記録装置250の概略構成及びその動作について説明する。ここに、図1は、記録装置250の内部機構を示す模式断面図である。
記録装置250は、複数色のインク(液体の一例)、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の4色のインクを用いてカラー画像或いはモノクロ画像を記録用紙(被記録媒体の一例)に記録するものである。図1に示されるように、記録装置250は、給紙装置252、搬送装置253(搬送部の一例)、記録ユニット254(記録部の一例)、カートリッジ装着部276(装着部の一例)、パージ機構120(パージ部の一例、図2参照)を備える。
記録装置250の底部に、給紙トレイ257が設けられている。給紙トレイ257に積載された記録用紙は、給紙装置252によって搬送路259へ給送される。搬送路259に搬送装置253が配設されている。搬送装置253は、搬送ローラ対261と搬送ローラ対262とを有する。搬送ローラ対261は、記録ユニット254より搬送方向の上流(図1では記録ユニット254の右方)に設けられている。また、搬送ローラ対262は、記録ユニット254より搬送方向の下流(図1では記録ユニット254の左方)に設けられている。
搬送路259に給送された記録用紙は、搬送ローラ対261によってプラテン264へ向けて搬送される。プラテン264の上方に記録ユニット254が配設されている。この記録ユニット254によって、プラテン264上を通過する記録用紙に画像が記録される。プラテン264を通過した記録用紙は、搬送ローラ対262によって、搬送路259の最下流に設けられた排紙トレイ258に排出される。
記録ユニット254は、その筐体を兼ねるキャリッジ266と、記録ヘッド272とを備える。キャリッジ266は、図示しない支持レールなどによって図1の紙面に垂直な方向にスライド可能に支持されている。キャリッジ266は、プラテン264上の記録用紙に記録ヘッド272を対面させる記録位置と、記録位置から退避した退避位置とに移動する。
記録ヘッド272は、サブタンク268と、ヘッド制御基板270と、ノズル274とを備える。サブタンク268には、ノズル274へ供給されるインクが貯留される。ヘッド制御基板270に画像信号が入力されると、該画像信号に基づいてノズル274から記録用紙に向けてインクが吐出される。なお、記録装置250には、当該装置を統括的に制御する主制御部200(図10参照)が設けられている。そして、画像信号は、主制御部200から出力されてヘッド制御基板270へ入力される。
パージ機構120は、記録ヘッド272のノズル274からインクを排出させるパージ動作を実行する。パージ機構120は、退避位置の記録ヘッド272の真下に配置されている。パージ機構120は、図2に示されるように、ノズル274を被覆可能なキャップ121と、キャップ121を上下動させるカム機構122と、インクが流れるチューブ123と、インクを吸引するポンプ124と、吸引されたインクが収容される廃インクタンク125とを備える。
なお、図2は、キャップ121と廃インクタンク125とがチューブ123によって接続されていることを示すために、模式的に図示されている。つまり、図2に示された各構成要素の位置関係は、本実施形態における各構成要素の位置関係を必ずしも正確に示すものではない。
キャップ121は、例えば、ゴム材料で構成されている。キャップ121は、退避位置の記録ヘッド272の下方において記録ヘッド272と対面している。カム機構122は、不図示のモータによって駆動される。カム機構122が駆動されることにより、キャップ121が上下動される。キャップ121は、カム機構122によって上方へ移動されることにより、記録ヘッド272の下面に当接してノズル274を覆う。一方、キャップ121は、カム機構122によって下方へ移動されることにより、記録ヘッド272から離間する。キャップ121には、チューブ123の一端が接続されている。チューブ123は、可撓性を有する樹脂チューブである。チューブ123の他端は、廃インクタンク125に接続されている。これにより、キャップ121と廃インクタンク125とは、チューブ123を通じて連通している。
ポンプ124は、例えば、ロータリ式のチューブポンプである。ポンプ124は、内壁面を備えたケーシングと、内壁面に沿って転動される転動ローラとを有する。チューブ123が転動ローラと内壁面との間に配置される。転動ローラは、不図示のモータにより駆動される。転動ローラが駆動されることにより、チューブ123が扱かれる。これにより、ノズル274内のインクがチューブ123に吸引される。そして、チューブ123内のインクが上流(キャップ121)から下流(廃インクタンク125)へ押し出される。
カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10(カートリッジの一例)が装着される。カートリッジ装着部276には、各インクカートリッジ10それぞれに対応するケース280が設けられている。本実施形態では、4色のインクに対応して4つのケース280が設けられている。インクカートリッジ10は、カートリッジ装着部276に対して着脱可能に構成されている。インクカートリッジ10は、インク室100(貯留室の一例)を備えた本体20を有する。インク室100内のインクは、インクチューブ278(供給管の一例)を通じて、インク室100から記録ヘッド272へ供給される。
ところで、同じ色のインクを収容するインクカートリッジ10であっても、市場においては、インクの初期量の異なる複数種類のインクカートリッジ10、例えば、2種類のインクカートリッジ10a,10bが流通している。本実施形態に係る記録装置250は、カートリッジ装着部276に設けられた一つのケース280に2種類のインクカートリッジ10a,10bのいずれも装着可能に構成されている。一例として、インクカートリッジ10a、10bは、インク室100の容積は同一であるが、インク室100に貯留されたインクの初期量が異なっている。インクの初期量とは、インクカートリッジ10a,10bが工場から出荷される際に、インク室100に貯留されているインクの量である。他の例として、インクカートリッジ10a、10bは、インク室100の容積、或いはインク室100に貯留されたインクの粘度等が異なっていてもよい。以下、インクカートリッジ10aの種別を第1種別とし、インクカートリッジ10bの種別を第2種別とする。
まず、図3〜図6を参照して、記録装置250に装着されるインクカートリッジ10aについて説明する。なお、インクカートリッジ10aとインクカートリッジ10bとは、後述する第1カバー21の被検知部の形態が異なる点が相違し、その他の構成は共通している。本明細書では、鉛直上方向が上方向32aと定義され、鉛直下方向が下方向32bと定義される。また、カートリッジ装着部276に対するインクカートリッジ10aの挿入方向30が前方向33aと定義され、前方向33aの逆方向が後ろ方向33bと定義される。さらに、インクカートリッジ10aを前方向33aに視たときに、右に延びる方向が右方向31aと定義され、左に延びる方向が左方向31bと定義される。
インクカートリッジ10aは、図3及び図4に示されるように、扁平形状の略六面体として構成されている。詳細には、インクカートリッジ10aは、上方向32a及び下方向32bの寸法が右方向31a及び左方向31bの寸法よりも長く、且つ前方向33a及び後ろ方向33bの寸法が右方向31a及び左方向31bの寸法よりも長い略直方体形状に形成されている。インクカートリッジ10aは、図3及び図4に示された起立状態、つまり、図3及び図4において下方を向く面を底面とし、上方を向く面を上面として記録装置250に対して挿入方向30に挿入される。
インクカートリッジ10aは、本体20と、第1カバー21と、第2カバー22と、不図示のコイルバネとを備えている。インクカートリッジ10aの外装は第1カバー21及び第2カバー22で構成されている。本体20の内部には、インクが収容されるインク室100(図1参照)が形成されている。この本体20は、各カバー21,22で覆い隠されている。なお、本実施形態において、第1カバー21、及び第2カバー22は樹脂材料により構成されている。樹脂材料としては、例えば、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレンなどが該当する。
第1カバー21及び第2カバー22は、本体20の略全体を覆う。詳細には、本体20の概ね前半分が第1カバー21によって覆われ、本体20の概ね後半分が第2カバー22によって覆われる。これにより、本体20の概ね前半分が第1カバー21によって保護され、本体20の概ね後半分が第2カバー22によって保護される。
第1カバー21は、本体20に対して前方向33a及び後ろ方向33bへスライドするように設けられている。図3(A)及び図4(A)には、第1カバー21が本体20の前面41(図5参照)に最も近づけられた第2位置にスライドされた状態が示されている。一方、図3(B)及び図4(B)には、第1カバー21が本体20の前面41から最も離された第1位置にスライドされた状態が示されている。第1カバー21と本体20との間には、不図示のコイルバネが配置されている。第1カバー21は、不図示のコイルバネによって第1位置に向けて付勢されている。
図3及び図4に示されるように、不図示のコイルバネの付勢力に抗して第1カバー21が第2位置にスライドされることによって、後述する大気連通部80及びインク供給部90が第1カバー21の外部に露出される。一方、第1カバー21が第1位置にスライドされることによって、大気連通部80及びインク供給部90が第1カバー21内に没入される。すなわち、カートリッジ装着部276に装着される前のインクカートリッジ10aにおいて、大気連通部80及びインク供給部90は、第1カバー21内に没入されている。
本体20は、図5に示されるように、インクカートリッジ10aと概ね同形状の外形を呈しており、扁平形状の略六面体として構成されている。本体20は、図5に示された起立状態で、記録装置250のカートリッジ装着部276に装着される。本体20は、フレーム50と、アーム70と、大気連通部80と、インク供給部90と、図示しない透明なフィルムとを備える。
フレーム50は、前方向33aを向く前面41と、後ろ方向33bを向く後面42と、上方向32aを向く上面43と、下方向32bを向く下面44とで構成されている。フレーム50は、例えば、透光性のある透明又は半透明の樹脂材料を、射出成形することによって形成される。樹脂材料としては、例えば、ポリアセタールやナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが該当する。
また、前面41、後面42、上面43、下面44それぞれに隣接し、互いに対向する2つの面を側面とする。フレーム50を挿入方向30に視て左方向31bに位置する面が左側面であり、右方向31aに位置する面が右側面である。本実施形態では、一対の側面が本体20において最大面積となっている。フィルムは、フレーム50の側面の外縁部分に、周知の熱溶着法によって溶着される。フィルムによってフレーム50の側面が閉塞される。これにより、フレーム50とフィルムとによって囲まれた空間がインク室100として区画される。このように区画されたインク室100にインクが収容される。なお、本実施形態では、フレーム50とフィルムとによってインク室100が形成されるが、例えば、フレーム50自体を直方体の容器状に形成することによってその内部にインク室100を形成することもできる。
フレーム50の前面41には、検知窓140が形成されている。検知窓140は、インク室100に収容されているインクの量を視覚的或いは光学的に検知するためのものである。検知窓140は、フレーム50に一体に形成されている。したがって、検知窓140は、フレーム50と同じ材質、つまり、透光性のある透明又は半透明の樹脂材料で構成されている。そのため、検知窓140は、外部からの光を透過することができる。検知窓140は、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10aが装着完了された時に、後述する領域231(図8参照)に配置される。
検知窓140は、上方向32a及び下方向32bにおける前面41の中央付近から本体20の外部へ向けて突設されている。つまり、検知窓140は、インク室100とは反対方向へ突出するように設けられている。この検知窓140は、略矩形状の5つの壁面で区画され、内部が中空状の略箱状に形成されている。具体的には、検知窓140は、前面41に平行で且つ前面41から前方向33aに所定距離だけ離間した矩形状の前壁140aと、前壁140aの右辺及び左辺を含む一対の側壁140bと、前壁140aの上辺を含む上壁140cと、前壁140aの下辺を含む下壁140dとにより区画されている。なお、右方向31a及び左方向31bにおいて、前壁140aの長さは前面41の長さよりも小さく形成されている。
検知窓140の内部には、図5及び図6に示されるように、前壁140a、側壁140b、上壁140c、及び下壁140dによって囲まれた空間142が形成されている。検知窓140の後ろ方向33bには壁は設けられておらず、空間142とインク室100とが連通されている。アーム70のインジケータ部72は、空間142に進入し、或いは空間142から退出する。図6には、インジケータ部72が空間142に進入した姿勢が実線で、インジケータ部72が空間142から退出した姿勢が破線で示されている。
アーム70は、インク室100に収容されたインクの量を検知するための部材である。アーム70の一端に、空間142に進入或いは退出されるインジケータ部72が設けられている。アーム70の他端にフロート部73が設けられている。アーム70は、フレーム50に設けられた支持部77に揺動可能に軸支されている。フロート部73は、例えば、内部が中空状に形成されており、インクなどの液体に対して浮力を有する浮力体の役割を担っている。したがって、フロート部73は、インク量の増減に応じて上下に変位する。これにより、フロート部73の変位に応じてアーム70が回動する。
インク室100内に閾値量以上のインクが収容されている場合、アーム70は、図6に実線で示されるように、インジケータ部72が空間142に進入した姿勢を維持する。具体的には、インジケータ部72が検知窓140に進入して、下壁140dに当接することにより、その姿勢が維持される。一方、インクが閾値量未満になるとフロート部73が下降して、図6に破線で示されるように、インジケータ部72が空間142から退出する。このようにアーム70が動作するため、空間142におけるインジケータ部72の有無を検知窓140の外部からフォトインタラプタなどの光センサで監視することで、インク室100内のインクの液量が閾値量以上かどうかを検知することができる。
大気連通部80は、フレーム50の前面41の上部に設けられている。より詳細には、大気連通部80は、検知窓140より上方に設けられている。大気連通部80は、インク室100を大気に連通させる。大気連通部80は、例えば、インク室100とインクカートリッジ10aの外部との間の空気通路を開放又は閉鎖する弁機構を有している。この弁機構は、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10aが装着されたことに応じて、空気通路を開放する。これにより、インク室100が大気に開放される。一方、弁機構は、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10aが装着されていないときに、空気通路を閉鎖する。
インク供給部90は、フレーム50の前面41の下部に設けられている。より詳細には、インク供給部90は、検知窓140より下方に設けられている。インク供給部90は、インク室100に貯留されたインクを、インクカートリッジ10aの外部に流出させる。インク供給部90は、例えば、インク室100とインクカートリッジ10aの外部との間のインク通路を開放又は閉鎖する弁機構を有している。この弁機構は、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10aが装着されたことに応じて、インク通路を開放する。これにより、インク室100に貯留されたインクがインクカートリッジ10aの外部に流出可能になる。一方、弁機構は、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10aが装着されていないときに、インク通路を閉鎖する。
第1カバー21は、図3及び図4に示されるように、被検知部185と、被検知部186と、切り欠き187と、突出部181とを有する。被検知部185、186は、種別情報を保持する情報保持部の一例である。すなわち、被検知部185、186の形状を異ならせることによって、種別の異なるインクカートリッジ10a、10bを区別することができる。種別情報は、インクカートリッジ10aの種別を示す情報であって、例えば、インク室100に貯留されたインクの初期量や粘度等を示す。
切り欠き187は、上方向32a及び下方向32bにおける第1カバー21の前壁161の中央付近に形成されている。この切り欠き187は、第1カバー21が第2位置のときに、検知窓140を外部へ露出させるための覗き窓になる。したがって、切り欠き187は、検知窓140の前壁140a、側壁140bに対応する位置、寸法及び形状に形成されている。具体的には、切り欠き187は、側壁165,166の前端から後ろ方向33bへ矩形状に切り欠かれている。カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10aが装着完了されたときに、後述する残量センサ230(図8参照)の発光素子及び受光素子が切り欠き187に対向する。したがって、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10aが装着完了された状態において、発光素子から出射された光は、切り欠き187を通って検知窓140の側壁140bに照射される。
被検知部185は、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10aが装着される過程において、カートリッジ装着部276に設けられた後述する残量センサ230の光路となる領域231(図8(A)参照)に進入する部分である。この被検知部185は、光を透過させない樹脂材料で構成されている。被検知部185は、上方向32a及び下方向32bにおける前壁161の中央付近に設けられている。
被検知部185は、前壁161から挿入方向30へ突出されたブリッジ部189を有する。ブリッジ部189は、前壁161において、切り欠き187を上下方向へ架け渡すように設けられている。ブリッジ部189は、薄肉の平板状部材で構成されている。したがって、本実施形態では、ブリッジ部189と前壁161との間に隙間190が形成されている。隙間190は、領域231に進入したときに、残量センサ230の発光素子から出射された光を通過させる。右方向31a及び左方向31bにおけるブリッジ部189の側端部と切り欠き187とによって、側壁165,166それぞれに、側面視で矩形状の開口が形成される。
被検知部186は、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10aが装着される過程において、カートリッジ装着部276に設けられた後述する装着センサ235の光路となる領域236(図8(A)参照)に進入する部分である。この被検知部186は、被検知部185と同様に、光を透過させない樹脂材料で構成されている。被検知部186は、上壁163の挿入方向30の先端部に設けられている。被検知部186は、前壁161から挿入方向30へ突出している。この被検知部186は、上方へ突出され、挿入方向30へ延びるリブ191を有する。このリブ191の左右に溝192が形成されている。リブ191が装着センサ235の領域236に挿入される。
突出部181は、前壁161の下端に設けられている。突出部181は、被検知部186と同様に、前壁161から挿入方向30へ突出している。カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10aが装着される過程において、突出部181及び被検知部186の先端が真っ先にカートリッジ装着部176の奥面に当接する。
次に、記録装置250に装着されるインクカートリッジ10bについて説明する。なお、インクカートリッジ10bは、第1カバー21に設けられた被検知部195の形状がインクカートリッジ10aの被検知部185と異なる。一方、インクカートリッジ10a、10bは、その他の点において共通する。したがって、以下では、図7を参照しながら被検知部195について説明し、共通する他の構成については同符号を付し示すことによりその説明を省略する。
インクカートリッジ10bの第1カバー21には、図7に示されるように、被検知部195が設けられている。被検知部195は、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10bが装着される過程において、カートリッジ装着部276に設けられた後述する残量センサ230の光路となる領域231(図8(A)参照)に進入する部分である。この被検知部195は、被検知部185と同様に、光を透過させない樹脂材料で構成されている。被検知部195は、上方向32a及び下方向32bにおける前壁161の中央付近に設けられている。
被検知部195は、前壁161から挿入方向30へ突出されたブリッジ部199を有する。ブリッジ部199は、前壁161において、切り欠き187を上下方向へ架け渡すように設けられている。ブリッジ部199は、インクカートリッジ10aのブリッジ部189とは異なり、右方向31a及び左方向31bの端部に側壁198が設けられている。側壁198は、ブリッジ部199の前端の左右端から前壁161に渡って設けられている。すなわち、インクカートリッジ10bの第1カバー21には、インクカートリッジ10aの第1カバー21に形成された隙間190に相当する部分が存在しない。側壁198と切り欠き187とによって、側壁165,166それぞれに、側面視で矩形状の開口が形成される。
次に、図8(A)を参照して、カートリッジ装着部276の構成について詳細に説明する。図8(A)は、カートリッジ装着部276の構成を模式的に示す縦断面図である。カートリッジ装着部276は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応する4つのケース280が右方向31a及び左方向31bに並列されて構成されている。
ケース280には、図8(A)に示されるように、インクカートリッジ10(10a,10b)を収容する収容室282が形成されている。ケース280の一面(後ろ方向33bを向く面)に開口284が設けられている。インクカートリッジ10は、開口284を通じてケース280に着脱可能になっている。また、ケース280は、開口284を開閉するカバー283を有する。
残量センサ230(残量検出部の一例)と、装着センサ235(装着検出部の一例)とが収容室282の奥に設けられている。残量センサ230及び装着センサ235は、情報保持部に保持された種別情報を読み取る読取部の一例である。本実施形態では、残量センサ230及び装着センサ235として、発光素子及び受光素子を有する透過型のフォトインタラプタが用いられる。残量センサ230及び装着センサ235は、受光素子で受けた光の強度(受光量)に応じたセンサ信号を、主制御部200へ出力する。より詳細には、発光素子で出射されて受光素子で受けた光の強度に応じたアナログの電気信号(電圧信号又は電流信号)がセンサ信号として出力される。
残量センサ230は、ケース280内の収容室282の奥面を構成する壁面286に設けられている。残量センサ230は、4つのケース280それぞれに1つずつ設けられている。残量センサ230は、カートリッジ装着部276に装着されたインクカートリッジ10の種別を検知する役割と、インクカートリッジ10内のインク量が閾値量未満であるニアエンプティ状態(空状態の一例)を検知する役割とを兼ねるものである。残量センサ230は、右方向31a及び左方向31bに離間して配置された発光素子及び受光素子を有する。
残量センサ230の発光素子と受光素子との間に、発光素子から出射された光の光路となる領域231が形成されている。本実施形態では、被検知部185、195が領域231を通過する過程における残量センサ230のセンサ信号に基づいて、インクカートリッジ10の種類が判定される。また、検知窓140が領域231に進入したときの残量センサ230のセンサ信号に基づいて、ニアエンプティ状態が検知される。
装着センサ235は、ケース280内の収容室282の天面を構成する壁面287に設けられている。装着センサ235は、4つのケース280それぞれに1つずつ設けられている。装着センサ235は、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10が装着される過程において所定の位置で被検知部186のリブ191の有無を検知して、インクカートリッジ10の装着判別を行うものである。装着センサ235は、は、右方向31a及び左方向31bに離間して配置された発光素子及び受光素子を有する。
装着センサ235の発光素子と受光素子との間に、発光素子から出射された光の光路となる領域236が形成されている。装着センサ235の領域236で光がリブ191によって遮られると、受光素子の受光量が減少する。この受光量の変動を主制御部200が検知することにより、被検知部186の有無が検知される。
主制御部200は、残量センサ230或いは装着センサ235から出力されたセンサ信号の電気的レベルが閾値レベル以上の場合に、当該センサ信号をHIGHレベル信号と判定する。すなわち、領域231、236が遮光されていないときのセンサ信号は、HIGHレベル信号と判定される。一方、主制御部200は、残量センサ230或いは装着センサ235から出力されたセンサ信号の電気的レベルが所定の閾値レベル未満の場合に、当該センサ信号をLOWレベル信号と判定する。すなわち、領域231、236が遮光されているときのセンサ信号は、LOWレベル信号と判定される。
壁面286の下部には、インク供給部90と連結する連結部285が設けられている。連結部285は、壁面286からケース280の内部(すなわち、後ろ方向33b)に突出している。連結部285に、収容室282の内面から外面に貫通する貫通孔288が形成されている。貫通孔288にインクチューブ278が接続される。貫通孔288は、インク供給部90に対応する位置に設けられている。連結部285には、インクニードル(不図示)が設けられている。カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10が装着完了されると、インクニードルがインク供給部90に挿入されて、インク供給部90と連結部285とが連結される。
壁面286の上部に当接部240が設けられている。また、壁面286の下部に当接部241が設けられている。当接部240は、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10が挿入されたときに、その挿入過程において被検知部186の挿入方向30の先端を受け止める。また、当接部241は、インクカートリッジ10の挿入過程において、突出部181の先端を受け止める。
カバー283は、開口284を開閉するとともに、収容室282においてインクカートリッジ10を確実に固定するためのものである。本実施形態において、4つのケース280それぞれの開口284が1つのカバー283によって開閉される。カバー283は、開口284の上縁に設けられた軸290を中心に回転可能に支持されている。カバー283には、操作部293と爪294とが設けられている。操作部293は、カバー283の外面297に設けられている。爪294は、カバー283の回動先端部に設けられている。開口284の下縁には、カバー283に設けられた爪294と係合する溝299が設けられている。
また、ケース280は、カバーセンサ281(図10参照)を備える。カバーセンサ281は、カバー283の状態に応じたセンサ信号を、主制御部200へ出力する。カバーセンサ281は、例えば、カバー283に接離される機械式センサであってもよいし、残量センサ230及び装着センサ235のような光学式センサであってもよい。本実施形態に係るカバーセンサ281は、カバー283が開口284を開放していることに応じて、HIGHレベル信号を主制御部200へ出力する。一方、カバーセンサ281は、カバー283が開口284を閉塞していることに応じて、LOWレベル信号を主制御部200へ出力する。
以下、図8及び図9を参照して、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10aを装着する動作について説明する。図8及び図9は、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10aが装着される過程を示す模式断面図である。図8(B)には、被検知部186が装着センサ235によって検知された状態が示されている。図9(A)には、被検知部186及び突出部181が壁面286に当接した状態が示されている。図9(B)には、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10aが装着完了された状態が示されている。
インクカートリッジ10aがケース280の収容室282に挿入されると、まず、被検知部185のブリッジ部189が残量センサ230の領域231に進入する。その後、インクカートリッジ10aがさらに挿入されると、被検知部186のリブ191が装着センサ235の領域236に進入する(図8(B)参照)。なお、領域236にリブ191が進入した時点において、ブリッジ部189は残量センサ230の領域231を既に通過している。そして、残量センサ230の発光素子から出射された光は、被検知部185の隙間190を通過して受光素子で受光される。
そして、図9(A)に示されるように、インクカートリッジ10aが収容室282の奥部まで挿入されると、被検知部186の先端が当接部240に当接され、突出部181の先端が当接部241に当接される。このとき、残量センサ230の領域231には、被検知部185に代えて、切り欠き187が進入した状態となっている。
インクカートリッジ10aが収容室282の奥部まで挿入された状態(図9(A)参照)で、カバー283が開口284を閉塞させる方向へ回動されると、カバー283の内面296がインクカートリッジ10aの背面に当接して、インクカートリッジ10aを挿入方向30へ押圧する。このとき、インクカートリッジ10aの不図示のコイルバネがその付勢力に抗して圧縮される。これにより、第1カバー21は静止したままの状態で、コイルバネの付勢力に抗して本体20が挿入方向30(すなわち、第1カバー21に近づく方向)へ移動する。
本体20が挿入方向30へさらに移動される、大気連通部80が開放され、インク供給部90が連結部285に連結される。また、第1カバー21が第2位置となることによって、領域231に位置する切り欠き187に検知窓140が進入する。カバー283が開口284に対して完全に閉じられて、爪294が溝299に嵌め入れられると、開口284に対してカバー283がロックされるとともに、開口284がカバー283によって閉塞される(図9(B)参照)。このとき、インクカートリッジ10aの背面は、コイルバネの付勢力を受けつつ、カバー283の内面296によって適度な力で押圧された状態が維持される。
図9(B)は、カートリッジ装着部276に装着完了されたインクカートリッジ10aの状態の一例を示している。すなわち、「カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10が装着完了された」とは、例えば、インクカートリッジ10がケース280に収容され(すなわち、装着センサ235からLOWレベル信号が出力され)、且つカバー283が閉じられた(すなわち、カバーセンサ281からLOWレベル信号が出力された)状態を指してもよいし、インク室100に貯留されたインクがインクニードルを通じて流出可能になった状態を指してもよい。
主制御部200は、記録装置250の全体動作を制御するものである。主制御部200は、図10に示されるように、CPU201、ROM202、RAM203、EEPROM204、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)205を主とするマイクロコンピュータとして構成されている。
ROM202には、CPU201が記録装置250の各種動作を制御するためのプログラムが格納されている。RAM203は、CPU201がプログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記録する記憶領域又は作業領域として使用される。EEPROM204には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される不揮発性の記憶部の一例である。EEPROM204には、例えば、パージフラグ、種別フラグ、及びセンサ情報が記憶される。
パージフラグは、記録装置250において、パージ機構120によるパージ動作が未だ実行されていないことに対応する第1値(例えば、“0”)、及びパージ動作が既に実行されたことに対応する第2値(例えば、“1”)が設定される。パージフラグの初期値は、第1値である。そして、パージフラグには、後述する初期パージ処理(S17、S24)が実行されることによって、第2値が設定される。
種別フラグは、カートリッジ装着部276に装着されたインクカートリッジ10の種別を示すフラグである。インクカートリッジ10の種別とは、例えば、インクカートリッジ10のインク室100に貯留されたインクの初期量、或いはインクの粘度等を示す情報である。種別フラグは、4つのケース280それぞれに対応して4つ設けられている。種別フラグには、後述する種別判定処理で値が設定される。
センサ情報には、記録装置250に対する電力の供給が停止された際に残量センサ230及び装着センサ235から出力されていたセンサ信号の値が設定される。具体的には、図11に示される処理が終了した後において、残量センサ230及び装着センサ235から出力されるセンサ信号が変化する度に、センサ情報の設定値が更新される。センサ情報は、4つのケース280それぞれに対応して4つ設けられている。
ASIC205には、ソフトスイッチ213と、給紙装置252と、搬送装置253と、記録ユニット254と、パージ機構120と、表示部207(報知部の一例)と、残量センサ230と、装着センサ235と、カバーセンサ281とが接続されている。ソフトスイッチ213は、ユーザによって押下されたことに応じて、スイッチ信号を主制御部200へ出力する。ASIC205は、ソフトスイッチ213から出力されるスイッチ信号、及び各センサ230、235、281から出力されるセンサ信号を取得し、給紙装置252、搬送装置253、記録ユニット254、パージ機構120、及び表示部207を駆動させる制御信号を出力する。
また、記録装置250は、電源ユニット210を備える。電源ユニット210は、電源プラグを通じて外部電源から供給された電力を、記録装置250の各構成要素に供給する。電源ユニット210は、電源回路211と、電源制御回路212とで構成される。電源回路211は、外部電源から取得した電力を、記録装置250の各構成要素に駆動電力(例えば、24V)として出力し、主制御部200及びソフトスイッチ213に制御電力(例えば、5V)として出力する。電源制御回路212は、主制御部200から出力される電源信号に基づいて、電源回路211に駆動電力の出力を開始或いは停止させる。
具体的には、電源制御回路212は、主制御部200からHIGHレベルの電源信号を取得したことに応じて、電源回路211に駆動電力の出力を開始させる(以下、「電源ON」と表記する。)。一方、電源制御回路212は、主制御部200からLOWレベルの電源信号を取得したことに応じて、電源回路211に駆動電力の出力を停止させる(以下、「電源OFF」と表記する。)。なお、主制御部200は、ソフトスイッチ213からスイッチ信号が出力される度に、電源制御回路212に出力する電源信号を、HIGHレベル及びLOWレベルの一方から他方に切り替える。一方、電源回路211は、電源プラグを通じて外部電源から電力が供給されている間、主制御部200及びソフトスイッチ213に常に制御電力を出力している。
給紙装置252、搬送装置253、記録ユニット254、パージ機構120、表示部207は、例えば、電源回路211から駆動電力が供給されているときに主制御部200から制御信号を取得したことに応じて、当該制御信号に従って不図示のモータを回転させ或いは不図示のピエゾ素子を振動させる。これにより、記録装置250の各構成要素は、制御信号に従って動作する。また、各センサ230、235、281は、電源回路211から駆動電力が供給されているときに、センサ信号を出力する。
[主制御部200の処理]
次に、図11〜図13を参照して、主制御部200の処理を説明する。図11に示される処理は、記録装置250への電力(より詳細には、残量センサ230及び装着センサ235への駆動電力)の供給が開始されたことに応じて、主制御部200によって実行される。主制御部200は、例えば、ソフトスイッチ213から出力されたスイッチ信号に応じて、電源制御回路212にHIGHレベルの電源信号を出力すると共に、図11に示される処理を実行する。
まず、主制御部200は、電源ONされたことに応じて、カバーセンサ281からHIGHレベル信号が出力されているか否かを判断する(S11)。換言すれば、主制御部200は、ステップS11において、電源ONされた時点においてカバー283が開口284を開放しているか否かを判断する。
次に、主制御部200は、カバーセンサ281からHIGHレベル信号が出力されていると判断したことに応じて(S11:Yes)、カバー283を閉じることをユーザに要求する(S12)。主制御部200は、例えばステップS12において、「カバーを閉めて下さい」等のメッセージを表示部207に表示させればよい。但し、ユーザへの報知の具体的な方法はこれに限定されず、例えば、不図示のスピーカからガイド音声を出力してもよいし、不図示のLEDランプを点灯させてもよい。後述するステップS26、S27、S28、S41についても同様である。
次に、主制御部200は、カバーセンサ281からLOWレベル信号が出力されるまで、すなわち、カバー283が閉じられるまで、カバーセンサ281のセンサ信号を監視する(S13)。一方、主制御部200は、電源ONされた時点において既にカバーセンサ281からLOWレベル信号が出力されていることに応じて(S11:No)、ステップS12、S13の処理をスキップする。
次に、主制御部200は、カバーセンサ281からLOWレベル信号が出力されたことに応じて(S11:No/S13:Yes)、全ての装着センサ235からLOWレベル信号が出力されているか否かを判断する(S14)。換言すれば、主制御部200は、ステップS14において、全てのケース280にインクカートリッジ10が装着完了されているか否かを判断する。さらに換言すれば、主制御部200は、ステップS14において、全てのケース280にインクカートリッジ10が装着完了された状態で、電源ONされているか否かを判断する。
次に、主制御部200は、全ての装着センサ235からLOWレベル信号が出力されていると判断したことに応じて(S14:Yes)、パージフラグに“0(第1値)”が設定されているか否かを判断する(S15)。換言すれば、主制御部200は、ステップS15において、初期パージ処理が実行されたか否かを判断する。次に、主制御部200は、パージフラグに“0(第1値)”が設定されていると判断したことに応じて(S15:Yes)、全ての残量センサ230からLOWレベル信号が出力されているか否かを判断する(S16)。換言すれば、主制御部200は、ステップS16において、カートリッジ装着部276に装着完了された全てのインクカートリッジ10に貯留されたインクが閾値量以上であるか否かを判断する。
より詳細には、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10が装着完了された状態において、残量センサ230からLOWレベル信号が出力されているのは、空間142に進入したインジケータ部72によって、残量センサ230の光路が遮断されているからである。すなわち、主制御部200は、装着センサ235及びカバーセンサ281からLOWレベル信号が出力され、且つ残量センサ230からLOWレベル信号が出力されていることに応じて(S16:Yes)、対応するインクカートリッジ10に貯留されたインクが閾値量以上だと判断する。
一方、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10が装着完了された状態において、残量センサ230からHIGHレベル信号が出力されているのは、インジケータ部72が空間142から退出したことによって、残量センサ230の光路が遮断されていないからである。すなわち、主制御部200は、装着センサ235及びカバーセンサ281からLOWレベル信号が出力され、且つ残量センサ230からHIGHレベル信号が出力されていることに応じて(S16:No)、対応するインクカートリッジ10に貯留されたインクが閾値量未満だと判断する。
そして、主制御部200は、残量センサ230からLOWレベル信号が出力されていることに応じて(S16:Yes)、初期パージ処理を実行する(S17)。また、主制御部200は、パージフラグに“1(第2値)”を設定する。主制御部200は、ステップS17において、キャリッジ266を退避位置に移動させ、記録ヘッド272の下面に当接する位置までキャップ121を上昇させ、予め定められた回転量だけポンプ124を回転させる。なお、初期パージ処理は、全ての色のインクについて行われる。
初期パージ処理は、インクチューブ278がインクで満たされるまでパージ機構120にパージ動作を実行させる処理である。より詳細には、初期パージ処理は、インクチューブ278、サブタンク268、及びノズル274をインクで満たし、且つノズル274にインクによるメニスカスが形成されるまで、パージ機構120にパージ動作を実行させる処理である。初期パージ処理は、例えば、記録ヘッド272による画像記録品質を維持するためにパージ機構120によって実行されるパージ動作と比較して、ポンプ124の回転量が異なる。
ステップS14、S15、S16は、パージ条件の一例である。パージ条件は、初期パージ処理を実行するために満たすべき条件である。すなわち、主制御部200は、ステップS14、S15、S16の条件が全て満されたことに応じて、ステップS17で初期パージ処理を実行する。一方、主制御部200は、ステップS14、S15、S16の条件の少なくとも1つが満たされないことに応じて、ステップS17で初期パージ処理を実行しない。なお、パージ条件はステップS14〜S16に限定されない。例えば、ステップS16はパージ条件から除外されてもよい。ステップS14〜S16の処理は、パージ条件を満たすか否かを判断する判断処理の一例である。
次に、主制御部200は、パージ条件を満たしたことによる初期パージ処理が終了したことに応じて(S16:Yes→S17)、全ての色のインクカートリッジ10をカートリッジ装着部276に再装着することをユーザに要求する(S18)。主制御部200は、例えばステップS18において、「インクカートリッジを一旦取り外して再び挿入して下さい」等のメッセージを表示部207に表示させればよい。ステップS18の処理は、第1報知処理の一例である。なお、「インクカートリッジ10の再装着」とは、インクカートリッジ10をカートリッジ装着部276から取り外し、当該インクカートリッジ10を再びカートリッジ装着部276に装着することを指す。
次に、主制御部200は、カバーセンサ281からHIGHレベル信号が出力されるまで、すなわち、開口284を開放する位置にカバー283が回動されるまで、カバーセンサ281のセンサ信号を監視する(S19)。そして、主制御部200は、カバーセンサ281からHIGHレベル信号が出力されたことに応じて(S19:Yes)、種別判定処理を実行する(S20)。種別判定処理は、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10が装着される過程において、情報保持部に保持された種別情報を読取部に読み取らせることによって、当該インクカートリッジ10の種別を判定する処理である。図12を参照して、種別判定処理の詳細を説明する。なお、種別判定処理は、全ての色のインクカートリッジ10それぞれに対して実行される。
まず、主制御部200は、種別フラグを初期化する(S31)。主制御部200は、例えばステップS31において、種別フラグに初期値(例えば、Null値)を設定する。種別フラグの初期値は、後述するステップS39、S40で設定される値と異なれば、どのような値であってもよい。そして、主制御部200は、装着センサ235からHIGHレベル信号が出力されるまで、すなわち、カートリッジ装着部276からインクカートリッジ10が抜去されるまで、装着センサ235のセンサ信号を監視する(S32)。
次に、主制御部200は、装着センサ235からHIGHレベル信号が出力されたことに応じて(S32:Yes)、残量センサ230のセンサ信号がHIGHレベル信号からLOWレベル信号に変化するまで、残量センサ230のセンサ信号を監視する(S34)。より詳細には、主制御部200は、ステップS34において、装着センサ235からHIGHレベル信号が出力されている状態で、残量センサ230のセンサ信号がHIGHレベル信号からLOWレベル信号に変化するのを監視する。
インクカートリッジ10がカートリッジ装着部276から抜去された時、残量センサ230及び装着センサ235は、HIGHレベル信号を出力している。そして、カートリッジ装着部276に挿入されたインクカートリッジ10のブリッジ部189、199が領域231に進入することによって、図13の時刻T0で示されるように、残量センサ230のセンサ信号がHIGHレベル信号からLOWレベル信号に変化する。
次に、主制御部200は、残量センサ230のセンサ信号がHIGHレベル信号からLOWレベル信号に変化したことに応じて(S34:Yes)、装着センサ235のセンサ信号がHIGHレベル信号からLOWレベル信号に変化するまで、装着センサ235のセンサ信号を監視する(S36)。具体的には、図8(B)に示されるように、カートリッジ装着部276に挿入されたインクカートリッジ10のリブ191が領域236に進入することによって、図13の時刻T1で示されるように、装着センサ235のセンサ信号がHIGHレベル信号からLOWレベル信号に変化する。
次に、主制御部200は、装着センサ235のセンサ信号がHIGHレベル信号からLOWレベル信号に変化したことに応じて(S36:Yes)、装着センサ235のセンサ信号がHIGHレベル信号からLOWレベル信号に変化した時点(すなわち、時刻T1)における残量センサ230のセンサ信号を判断する(S38)。本実施形態では、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10a、10bのどちらを挿入するかによって、時刻T1における残量センサ230のセンサ信号の値が異なる。
まず、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10aが挿入された場合、時刻T1までにブリッジ部189が領域231を通過し、時刻T1において隙間190が領域231に位置している。すなわち、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10aが挿入された場合、残量センサ230は、図13の時刻T1において、HIGHレベル信号を出力している(S38:Yes)。そこで、主制御部200は、第1種別を示す値を種別フラグに設定する(S39)。
一方、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10bが挿入された場合、時刻T1において、ブリッジ部199の側壁198が領域231に進入した状態が継続している。すなわち、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10bが挿入された場合、残量センサ230は、図13の時刻T1において、LOWレベル信号を出力している(S38:No)。そこで、主制御部200は、第2種別を示す値を種別フラグに設定する(S40)。また、インクカートリッジ10bがさらに挿入されると、図13の時刻T2において、側壁198が領域231を通過し、切り欠き187が領域231に進入する。これにより、残量センサ230から出力されるセンサ信号は、LOWレベル信号からHIGHレベル信号に復帰する。
さらに、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10a、10bが挿入されると、図13の時刻T3で示されるように、切り欠き187及び検知窓140が領域231に進入した状態となる。このとき、残量センサ230は、インジケータ部72の位置に応じたセンサ信号を出力する。図13は、インジケータ部72が空間142に進入している場合のLOWレベル信号を実線で、インジケータ部72が空間142から退出している場合のHIGHレベル信号を破線で示している。
次に、主制御部200は、カートリッジ装着部276に装着されたインクカートリッジ10a、10bの種別を判定したことに応じて、カバー283を閉じることをユーザに要求する(S41)。そして、主制御部200は、カバーセンサ281からLOWレベル信号が出力されるまで、カバーセンサ281のセンサ信号を監視する(S42)。ステップS41、S42の処理は、ステップS12、S13の処理と共通するので、再度の説明は省略する。
次に、主制御部200は、カバーセンサ281からLOWレベル信号が出力されたことに応じて(S42:Yes)、装着センサ235からLOWレベル信号が出力されているか否かを判断する(S43)。換言すれば、主制御部200は、ステップS43において、カバー283が閉じられたカートリッジ装着部276内にインクカートリッジ10が収容されているか否かを判断する。さらに換言すれば、主制御部200は、ステップS43において、カートリッジ装着部276にインクカートリッジ10が装着完了されたか否かを判断する。
そして、主制御部200は、装着センサ235からHIGHレベル信号が出力されていることに応じて(S43:No)、種別フラグを初期化して種別判定処理を終了する(S44)。一方、主制御部200は、装着センサ235からLOWレベル信号が出力されていることに応じて(S43:Yes)、ステップS44の処理をスキップして種別判定処理を終了する。
さらに、主制御部200は、ステップS32で装着センサ235からHIGHレベル信号が出力される前に、カバーセンサ281からLOWレベル信号が出力されたことに応じて(S32:No&S33:No)、ステップS34で残量センサ230のセンサ信号が変化する前に、カバーセンサ281からLOWレベル信号が出力されたことに応じて(S34:No&S35:No)、或いはステップS36で装着センサ235のセンサ信号が変化する前に、カバーセンサ281からLOWレベル信号が出力されたことに応じて(S36:No&S37:No)、ステップS38〜S44の処理をスキップして種別判定処理を終了する。すなわち、この場合の種別フラグは初期化されたままである。
図11に戻って、主制御部200は、全ての種別フラグに有効な値(すなわち、初期値以外の値)が設定されているか否かを判断する(S21)。換言すれば、主制御部200は、ステップS21において、全ての種別フラグに第1種別或いは第2種別を示す値が設定されているか(S21:Yes)、種別フラグの少なくとも1つに初期値が設定されているか(S21:No)を判断する。さらに換言すれば、主制御部200は、ステップS21において、カートリッジ装着部276に装着された全てのインクカートリッジ10の種別を、種別判定処理で正常に判定できたか否かを判断する。
次に、主制御部200は、全ての種別フラグに有効な値が設定されていると判断したことに応じて(S21:Yes)、パージフラグに“0(第1値)”が設定されているか否かを判断する(S22)。次に、主制御部200は、パージフラグに“0”が設定されていると判断したことに応じて(S22:Yes)、全ての残量センサ230からLOWレベル信号が出力されているか否かを判断する(S23)。そして、主制御部200は、全ての残量センサ230からLOWレベル信号が出力されていると判断したことに応じて(S23:Yes)、初期パージ処理(S24)を実行して、図11の処理を終了する。ステップS24の処理は、ステップS17の処理と共通するので、再度の説明は省略する。
一方、主制御部200は、パージフラグに“1(第2値)”が設定されていると判断したことに応じて(S22:No)、ステップS23、S24の処理をスキップして、図11の処理を終了する。また、主制御部200は、種別フラグの少なくとも1つに初期値が設定されていると判断したことに応じて(S21:No)、ステップS18以降の処理を再び実行する。
また、主制御部200は、ステップS23において、少なくとも1つの残量センサ230からHIGHレベル信号が出力されていることに応じて(S23:No)、当該残量センサ230に対応するインクカートリッジ10の交換をユーザに要求して(S26)、ステップS19以降の処理を再び実行する。主制御部200は、例えばステップS26において、「“x色”のインクカートリッジを新品に交換して下さい」等のメッセージを表示部207に表示させればよい。なお、“x色”には、HIGHレベル信号を出力する残量センサ230に対応する色が当てはめられればよい。
また、主制御部200は、ステップS16において、少なくとも1つの残量センサ230からHIGHレベル信号が出力されていることに応じて(S16:No)、ステップS17、S18の処理に代えて、当該残量センサ230に対応するインクカートリッジ10の交換をユーザに要求し(S27)、ステップS19以降の処理を実行する。ステップS27の処理は、ステップS26の処理と共通するので、再度の説明は省略する。ステップS27の処理は、装着完了されたインクカートリッジ10に代えて新たなインクカートリッジ10をカートリッジ装着部276に装着させることを、報知部に報知させる第2報知処理の一例である。
また、主制御部200は、ステップS14において、少なくとも1つの装着センサ235からHIGHレベル信号が出力されていることに応じて(S14:No)、ステップS15〜S18の処理に代えて、当該装着センサ235に対応するインクカートリッジ10の装着をユーザに要求し(S28)、ステップS19以降の処理を実行する。主制御部200は、例えばステップS28において、「“x色”のインクカートリッジを装着して下さい」等のメッセージを表示部207に表示させればよい。なお、“x色”には、HIGHレベル信号を出力する装着センサ235に対応する色が当てはめられればよい。
さらに、主制御部200は、ステップS15において、パージフラグに“1(第2値)”が設定されていると判断したことに応じて(S15:No)、直近に電源OFFされた時点のセンサ状態と、現在のセンサ状態とを比較する(S29)。換言すれば、主制御部200は、ステップS29において、残量センサ230及び装着センサ235の現在のセンサ信号と、EEPROM204に記憶されたセンサ情報とを比較する。さらに換言すれば、主制御部200は、ステップS29において、電源OFFの状態でカートリッジ装着部276に対してインクカートリッジ10が挿抜された可能性があるか否かを判断する。
そして、主制御部200は、残量センサ230及び装着センサ235の現在のセンサ信号が対応するセンサ情報と全て一致することに応じて(S29:No)、電源OFFの状態でカートリッジ装着部276に対してインクカートリッジ10が挿抜された可能性が低いと判断する。このとき、主制御部200は、ステップS16〜S21の処理をスキップして、ステップS22以降の処理を実行する。
一方、主制御部200は、残量センサ230及び装着センサ235の現在のセンサ信号の少なくとも一部が対応するセンサ情報と異なることに応じて(S29:Yes)、電源OFFの状態でカートリッジ装着部276に対してインクカートリッジ10が挿抜された可能性があると判断する。このとき、主制御部200は、ステップS16、S17の処理をスキップして、ステップS18以降の処理を実行する。
[本実施形態の作用効果]
上記の実施形態によれば、例えば購入直後の記録装置250において、インクカートリッジ10がカートリッジ装着部276に装着完了された後に記録装置250が電源ONされると、初期パージ処理の実行後にインクカートリッジ10の再装着が報知される(S17→S18)。このとき、初期パージ処理によって記録ヘッド272にインクのメニスカスが形成されるので、その後にカートリッジ装着部276からインクカートリッジ10が取り外されても、インクチューブ278からのインクの逆流が抑制される。そして、報知に従ってインクカートリッジ10が再装着される際に、種別判定処理が実行される。
また、上記の実施形態によれば、パージ条件にステップS16を含めることによって、ニアエンプティ状態のインクカートリッジ10を用いて初期パージ処理が実行されることが防止される。その結果、メニスカスが適切に形成されないことによるインクの逆流、或いはインクチューブ278に空気が混入することによる記録ヘッド272の吐出不良等を抑制することができる。
また、上記の実施形態によれば、ステップS16の条件を満たさない場合に、インクカートリッジ10が交換されてから初期パージ処理が実行される(S16→S24)。その結果、新たなインクカートリッジ10が装着される過程で種別判定処理が実行され、且つ十分な量のインクが貯留されたインクカートリッジ10を用いて初期パージ処理を実行することができる。
なお、初期パージ処理が実行されていない状態では、インクカートリッジ10がカートリッジ装着部276から取り外される際に、インクチューブ278からインクが逆流する可能性がある。しかしながら、ニアエンプティ状態のインクカートリッジ10に貯留されているインクは極めて少ないので、当該インクカートリッジ10からインクチューブ278に流入しているインクも少ない。そのため、インクカートリッジ10を取り外した際の逆流の影響は極小化される。
さらに、上記の実施形態によれば、残量センサ230及び装着センサ235が読取部を兼ねるので、記録装置250に搭載される構成要素の数が削減される。その結果、簡素な構成で上記の各処理を実現することができる。但し、残量センサ230及び装着センサ235とは別に、読取部を記録装置250に搭載してもよい。
[変形例]
上記実施形態では、ステップS17で初期パージ処理が実行された後のステップS18において、インクカートリッジ10の再装着がユーザに要求される。しかしながら、種別情報がインクの初期量である場合、主制御部200は、ステップS17で初期パージ処理を実行した後に、ステップS18以降の処理を実行することなく図11の処理を終了してもよい。この場合、インクの初期量が判定されないまま記録装置250が使用されることになるので、記録装置250は、インクの消費に伴うインクカートリッジ10内のインクの量を、ユーザに正確に通知できなくなる。しかしながら、最終的には、インジケータ部72が空間142から退出することにより、ニアエンプティ状態が検知される。一方で、変形例の処理によれば、インクカートリッジ10の再装着が不要となるため、記録装置250を使用するためのユーザの作業が簡略化される。
また、上記実施形態では、ステップS17で初期パージ処理が実行された後のステップS18において、インクカートリッジ10の再装着がユーザに要求される。しかしながら、種別情報がインクの初期量である場合、主制御部200は、ステップS17で初期パージ処理を実行した後に、例えば、「インクカートリッジ内の残量が正確に通知されない可能性があります。そのまま使用を継続しますか?」等のメッセージを表示部207に表示させてもよい。そして、記録装置250の使用を継続することをユーザが選択した場合、主制御部200は、ステップS18以降の処理を実行することなく図11の処理を終了してもよい。一方、記録装置250の使用を継続することをユーザが選択しなかった場合、主制御部200は、ステップS18以降の処理を実行してもよい。
なお、上記の実施形態では、インクを液体の一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、インクに代えて、印刷時にインクに先立って記録用紙に吐出される前処理液を液体としてもよい。