JP6578641B2 - 有機エレクトロルミネッセンス表示装置用カラーフィルタおよび有機エレクトロルミネッセンス表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス表示装置用カラーフィルタおよび有機エレクトロルミネッセンス表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置用のカラーフィルタおよびそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関するものである。
有機エレクトロルミネッセンス表示装置は、自己発色により視認性が高いこと、液晶表示装置と異なり全固体ディスプレイであるため耐衝撃性に優れていること、応答速度が速いこと、温度変化による影響が少ないこと、および視野角が大きいこと等の利点を有することから注目されており、液晶表示装置やプラズマディスプレイに続くフラットパネルディスプレイとして、研究開発、商品化が進められている。なお、以下、エレクトロルミネッセンスをELと略す場合がある。
有機EL表示装置は、陽極、発光層を含む有機EL層および陰極が順に積層された積層構造を基本とする有機EL素子を有するものである。また、有機EL表示装置は、有機EL素子の発光層からの光の色によりカラー表示を行うことができるものであるが、より良好な発色のカラー表示を行うために、白色発光する有機EL素子とカラーフィルタとを組み合わせたものも広く採用されている。
このような有機EL表示装置においては、有機EL素子を駆動することにより表示を行うため、輝度の高い表示をより低い消費電力で行うことが求められている。
そこで近年では、赤色、緑色および青色の3色の副画素に白色副画素を加えた4色の副画素を有する画素部を備えた有機EL表示装置が提案されている(例えば、特許文献1)。また、このような有機EL表示装置においては、カラーフィルタとして、透明基材と、上記3色の副画素に対応するパターン状に設けられた3色の着色層を有する着色部と、白色副画素に対応するパターン状に設けられ、白色光をそのまま透過する透明層を有する白色部とを有するものを用いることが提案されている。
ところで、有機EL表示装置における有機EL素子の陽極または陰極の一方は、通常、金属電極から構成されている。そのため、有機EL表示装置においては、屋外で使用した場合に、外光が有機EL素子の金属電極層等によって反射されることに起因してコントラストが低下する等の表示不良が生じるという問題がある。
上述した問題に対しては、例えば有機EL表示装置の観察者側に円偏光板を設けることにより、外光反射を防止する技術が提案されている。
しかしながら、円偏光板を用いた場合は、外光反射による表示不良については抑制できるものの、有機EL素子からの発光が円偏光板により妨げられ、円偏光板を用いない場合の輝度に比べて50%以下の輝度しか得ることができないという問題がある。
そこで、外光反射による表示不良について本発明者は鋭意研究を行い、外光反射による表示不良は、有機EL表示装置の白色副画素における外光反射が主な原因であることを知見した。そして、カラーフィルタの白色部にあえて外光を吸収することが可能な光吸収層を形成し、さらに白色部の透過スペクトルを調整し、視感度が高い緑色光の強度を他の色の光の強度よりも減衰させることで、外光反射による表示不良を抑制しつつ、高い輝度で表示を行うことができることを見出した(特許文献2、3)。
特表2007−516564号公報 特開2014−74880号公報 特開2014−48610号公報
しかしながら、白色発光する有機EL素子は、可視光線の波長領域において発光強度のバランスが十分ではなく、例えば青色の波長領域の発光強度が弱く、白色光が黄味を帯びてしまうという問題がある。そのため、特許文献2、3に記載されているようなカラーフィルタを組み合わせたとしても、白色光の色味を調整するには十分ではない。
具体的には、特許文献2には、白色部の透過スペクトルを調整する方法として、白色部に青色色材を含有する光吸収層を設けることを開示しており、青色色材としてフタロシアニン系色材を例示している。フタロシアニン系色材は、青色の波長領域の光を透過し、緑色および黄色の波長領域の光を吸収する色材であるものの、緑色および黄色の波長領域の光もある程度は透過するため、白色光の黄味を抑えるには至らない。
なお、フタロシアニン系色材を含有する光吸収層の場合、光吸収層中のフタロシアニン系色材の濃度を高くすることにより、緑色および黄色の波長領域の透過率を低くし、白色光の黄味を低減することが考えられるが、この場合には可視光線の波長領域の透過率が全体的に低くなるため、光の取り出し効率が低下してしまう。
また、有機EL素子において、多重反射干渉を利用するマイクロキャビティ構造を採用したり、層構成を工夫したりすることで、白色光の色味を調整することも考えられるが、この場合には製造コストが大幅に高くなってしまう。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、有機EL表示装置に用いた場合に、外光反射による表示不良を抑制しつつ、高い輝度で表示を行うことができ、さらには白色副画素にて色バランスの良好な白色を表示することができるカラーフィルタ、およびこれを用いた安価な有機EL表示装置を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、透明基材と、上記透明基材上にパターン状に形成された複数色の着色層を有する着色部と、上記透明基材上にパターン状に形成され、トリアリールメタン系色材を含有する光吸収層を有する白色部とを有することを特徴とする有機EL表示装置用カラーフィルタを提供する。
本発明によれば、白色部がトリアリールメタン系色材を含有する光吸収層を有することにより、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタを有機EL表示装置に用いた場合に、外光反射による表示不良を抑制しつつ、高い輝度で表示を行うことができ、さらには有機EL表示装置の白色副画素にて色バランスの良好な白色を表示することができる。また、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタを用いることで、白色発光の有機EL素子を有する有機EL表示装置の製造コストを削減することもできる。
また本発明においては、上記光吸収層がさらに第2色材を含有することが好ましい。光吸収層がトリアリールメタン系色材に加えて第2色材を含有することにより、所望の白色光が得られるように白色部の透過特性を調整することができるからである。
さらに本発明においては、上記着色部が青色着色層を有し、上記青色着色層がトリアリールメタン系色材を含有することが好ましい。一般にトリアリールメタン系色材を用いた場合は高透過率の青色着色層を得ることができるため、光の取り出し効率を高めることができる。
また本発明においては、上記トリアリールメタン系色材が下記式(1)で表される化合物であることが好ましい。下記式(1)で表されるトリアリールメタン系色材を用いることにより、高透過率で、かつ、耐溶剤性および電気信頼性に優れた光吸収層を得ることができるからである。
(上記式(1)中、Aは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、上記有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい。Bc−はc価のアニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RとR、RとRが結合して環構造を形成してもよい。Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。複数あるR〜R及びArはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。)
また本発明においては、上記白色部は、400nm〜500nmの波長域の平均透過率が93%以上であり、500nm〜600nmの波長域の平均透過率が60%以下であり、650nm〜700nmの波長域の平均透過率が70%以下であることが好ましい。緑色および黄色の波長領域の光を減衰させることにより、白色発光層からの白色光の黄味を低減することができ、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタを用いた有機EL表示装置の白色副画素にて色バランスの良好な白色を表示することができる。また、赤色の波長域の平均透過率が上記範囲であることにより、有機EL表示装置の白色副画素にて反射光が赤味を帯びるのを抑制することができる。
また本発明は、上述の有機EL表示装置用カラーフィルタと、上記有機EL表示装置用カラーフィルタ上に配置され、白色発光層を含む有機EL素子とを有することを特徴とする有機EL表示装置を提供する。
本発明によれば、上述の有機EL表示装置用カラーフィルタを有することにより、外光反射による表示不良を抑制しつつ、高い輝度で表示を行うことができ、さらには白色副画素にて色バランスの良好な白色を表示することができる。また、安価に白色発光の有機EL素子を有する有機EL表示装置を提供することができる。
本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタは、有機EL表示装置に用いた場合に、外光反射による表示不良を抑制しつつ、高い輝度で表示を行うことができ、さらには白色副画素にて色バランスの良好な白色を表示することができ、また安価な有機EL表示装置を提供することができるという効果を奏する。
本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタの一例を示す概略断面図である。 本発明の有機EL表示装置の一例を示す概略断面図である。 本発明におけるトリアリールメタン系色材の分子会合状態を示す模式図である。 本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。 実施例および比較例の有機EL表示装置用カラーフィルタの白色部の透過スペクトルを示すグラフである。
以下、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタおよび有機EL表示装置について説明する。
A.有機EL表示装置用カラーフィルタ
本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタは、透明基材と、上記透明基材上にパターン状に形成された複数色の着色層を有する着色部と、上記透明基材上にパターン状に形成され、トリアリールメタン系色材を含有する光吸収層を有する白色部とを有することを特徴とするものである。
ここで、「着色部」および「白色部」とは、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタを有機EL表示装置に用いた場合において、有機EL表示装置の画素部を構成する着色副画素および白色副画素にそれぞれ対応して配置される部分をいう。
また、以下の説明において、「透過光」とは、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタを有する有機EL表示装置において、有機EL素子の発光層から発せられ着色部または白色部を透過した光を指し、具体的には、着色部での着色層および透明基材の積層部分または白色部での光吸収層および透明基材の積層部分を一方の面から他方の面へと1回透過した発光層からの光をいう。
また、「反射光」とは、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタを有する有機EL表示装置において、着色部または白色部における反射した外光を指し、具体的には、着色部における透明基材および着色層の積層部分または白色部における透明基材および光吸収層の積層部分を一方の面から他方の面へと透過した後、金属電極層等により反射されて再度上記積層部分を他方の面から一方の面へと透過した、すなわち上記積層部分を2回透過した外光をいう。
本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタについて図を用いて説明する。
図1は本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタの一例および他の例を示す概略断面図である。図1に例示するように、有機EL表示装置用カラーフィルタ1は、透明基材2と、透明基材2上にパターン状に形成された遮光部3と、透明基材2上にパターン状に形成された赤色着色層4R、緑色着色層4Gおよび青色着色層4Bを有する着色部4と、透明基材2上にパターン状に形成され、トリアリールメタン系色材を含有する光吸収層5を有する白色部6とを有している。
図2は、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタを有する有機EL表示装置の一例を示す概略断面図であり、図1に示す有機EL表示装置用カラーフィルタを用いた例である。なお、図2はトップエミッション型の有機EL表示装置の例である。図2に例示するように、有機EL表示装置10は、有機EL表示装置用カラーフィルタ1と、対向基材12上に有機EL素子16が形成された有機EL素子基材11とを有している。有機EL素子16は、対向基材12上に形成された金属電極層13と、金属電極層13上に形成され、白色発光層を含む有機EL層14と、有機EL層14上に形成された透明電極層15とを有している。また、有機EL表示装置用カラーフィルタ1および有機EL素子基材11の間であって、有機EL表示装置用カラーフィルタ1の透明基材2および有機EL素子基材11の対向基材12の外周に、シール材17が配置されている。
有機EL表示装置10において、外光は、透明基材2と着色部4または白色部6とを透過して有機EL表示装置10の内部に入射し、有機EL素子16の金属電極層13で反射され、再度着色部4または白色部6と透明基材2とを透過して、反射光として有機EL表示装置10の外部に出射する。また、有機EL素子16の白色発光層からの光は、着色部4または白色部6と透明基材2とを透過して、透過光として有機EL表示装置10の外部に出射する。
白色部6では、外光が透明基材2および光吸収層5の積層部分を2回透過する過程で光の一部が光吸収層5に吸収されるので、反射光は減衰し、強度が小さくなる。したがって、有機EL表示装置10の白色副画素において観察される反射光の強度を減衰させることができ、外光反射による表示不良の発生を抑制することが可能となる。
また、トリアリールメタン系色材は、一般に青色色材として用いられるものであり、青色の波長領域の透過率が高く、緑色および黄色の波長領域の透過率が低い。可視光線の波長領域の中でも、緑色の波長領域の光は視感度が高いとされている。そのため、光吸収層5がトリアリールメタン系色材を含有することで、視感度の高い緑色の波長領域の光をより減衰させることができる。したがって、白色部6において、反射光に含まれる緑色光の強度をより減衰させることができ、反射光をさらに観察されにくくすることができる。
また、一般にトリアリールメタン系色材を用いた場合は透過率が高い層を得ることができる。そのため、白色部6では、有機EL素子16の白色発光層からの光の一部が光吸収層5に吸収されるものの、光吸収層5の透過率が高いので、光吸収層5を透過することによる透過光の強度の減衰を小さくすることができる。具体的には、従来のように円偏光板を有機EL表示装置の観察者側に配置した場合に比べて、白色部6での透過光の強度の減衰を小さくすることができる。さらに、従来のように円偏光板を必要としないため、円偏光板によって着色部4での透過光の輝度が低下することもない。したがって、有機EL表示装置10全体の輝度を高めることができ、光の取り出し効率を向上させることができる。
また、上述したように、トリアリールメタン系色材は、一般に青色の波長領域の透過率が高く、緑色および黄色の波長領域の透過率が低い。そのため、有機EL素子16の白色発光層からの白色光が黄味を帯びている場合には、光吸収層5によって黄味を低減することができる。したがって、有機EL表示装置10の白色副画素では、色バランスの良好な白色を表示することができる。
このように本発明においては、白色部がトリアリールメタン系色材を含有する光吸収層を有することにより、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタを有機EL表示装置に用いた場合に、外光反射による表示不良を抑制しつつ、高い輝度で表示を行うことができ、さらには有機EL表示装置の白色副画素では色バランスの良好な白色を表示することができる。よって、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタを用いることにより、白色発光の有機EL素子を有する有機EL表示装置を安価に提供することができる。
また本発明においては、白色部がトリアリールメタン系色材を含有する光吸収層を有することにより、有機EL表示装置における反射ムラを抑制することもできる。
ここで、反射ムラは、有機EL表示装置において表示面に対して斜め方向から一の副画素に入射した外光が、有機EL素子の金属電極層で反射され、異なる色の他の副画素から反射光として出射されることにより、他の副画素の一部において2色の光が混色されて観察されるために生じる。このような反射ムラは、着色副画素から入射した外光が白色副画素から反射光として出射される場合に特に観察されやすい。また、緑色の波長領域の光は視感度が高いため、緑色副画素から入射した外光が白色副画素から反射光として出射されることによる反射ムラはさらに観察されやすい。
本発明においては、白色部が光吸収層を有するため、反射ムラの原因となる反射光も減衰させることができることから、白色部における反射ムラを抑制することができる。さらには、上述したようにトリアリールメタン系色材は緑色の波長領域の透過率が低いため、白色部では視感度の高い緑色光を特に減衰させることができ、緑色副画素から入射した外光が白色副画素から反射光として出射されることによる反射ムラも十分に抑制することができる。
以下、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタにおける各構成について説明する。
1.光吸収層
本発明における光吸収層は、白色部を構成するものであり、トリアリールメタン系色材を含有するものである。
本発明に用いられるトリアリールメタン系色材としては、一般的にカラーフィルタに用いられるものであれば特に限定されるものではなく、例えばトリアリールメタン系染料およびトリアリールメタン系染料をレーキ化したレーキ顔料を挙げることができる。
トリアリールメタン系染料としては、例えばベーシックブルー7、ベーシックブルー26等が挙げられる。
トリアリールメタン系染料をレーキ化したレーキ顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー1:2、C.I.ピグメントブルー9、C.I.ピグメントブルー14、C.I.ピグメントブルー24、C.I.ピグメントブルー56、C.I.ピグメントブルー56:1、C.I.ピグメントブルー61、C.I.ピグメントブルー61:1、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー78等が挙げられる。
中でも、トリアリールメタン系色材は、トリアリールメタン骨格を有するカチオン部とアニオン部とを有する化合物であることが好ましい。一般に染料は溶剤に溶解しやすいが、トリアリールメタン骨格を有するカチオン部とアニオン部とを有する造塩化合物とすることにより、溶剤への溶解性を低下させ、耐溶剤性の良好な光吸収層を得ることができるからである。
中でも、トリアリールメタン系色材は、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
(式(1)中、Aは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、上記有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい。Bc−はc価のアニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RとR、RとRが結合して環構造を形成してもよい。Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。複数あるR〜R及びArはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。)
上記式(1)で表されるトリアリールメタン系色材を用いることにより、高透過率で、かつ、耐溶剤性および電気信頼性に優れた光吸収層を得ることができる。
この理由は明らかではないが、以下のように推量される。
すなわち、上記式(1)で表されるトリアリールメタン系色材は、図3に例示するように、2価以上の対アニオン202と共に、カチオン性の発色部位がAによる連結203を介して2個以上結合した、2価以上の対カチオン201を有している。例えば、アニオンとカチオンが共に2価のイオンである場合、色材の凝集体において、アニオンとカチオンが単に1分子対1分子でイオン結合しているのではなく、図3に示すように複数の分子が連続したイオン結合204を介して会合する、分子会合体210を形成するものと推定される。分子会合体210は、色材の凝集体中で1つの分子のように振る舞うため、見かけの分子量は格段に増大する。また、分子会合体210の形成により、固体状態での凝集力がより高まり、熱による運動を低下させ、更に電気的にも安定するため、イオン対の解離やカチオン部の分解を抑制できると推定される。その結果、上記式(1)で表されるトリアリールメタン系色材の耐溶剤性が向上し、このトリアリールメタン系色材を用いた光吸収層の耐溶剤性及び電気信頼性が向上するものと推定される。また、複数の分子がイオン結合を介して会合した分子会合体からなる微粒子はイオン対の運動性が低下しているため、微粒子間での再凝集によるコントラストの低下を抑制することができる。
なお、上記式(1)で表されるトリアリールメタン系色材は、カチオン性の発色部位に直接結合する連結基Aの炭化水素がπ結合を有していないため、カチオン性の発色部位が有する色調や透過率等の色特性は、連結基Aの導入前後でほとんど変化しない。
トリアリールメタン系色材のカチオン部は、下記一般式(2)で表される構造を有する2価以上のカチオンである。
(式(2)中、A、R〜R、Ar及びaは、式(1)と同様である。)
上記式(2)で表されるカチオン部は、その塩化物であっても水に実質的に溶解しない。
上記式(2)で表される構造は、トリアリールメタン骨格一つのみからなるカチオンがa価の共有結合を介して連結された2価以上のカチオンである。
トリアリールメタン骨格一つのみからなるモノカチオンとアニオンを構成する結合種がイオン結合のみであると考えた場合、2価以上のカチオンからなる塩形成物を構成する結合種はイオン結合に加え、モノカチオン同士を連結する共有結合を含む構造であると考えることができる。そのため、上記式(2)で表される構造を有する2価以上のカチオンからなる塩形成物は、トリアリールメタン骨格一つからなる塩形成物よりも構成要素全体により強い結合種が増えた結果、安定性が高くなり、水和しにくくなると推定される。更に、上記式(2)で表される構造は、連結基Aの影響で分子量が大きくなり、かつ、疎水性がより高くなるため、結合の安定性と相俟って水に実質的に溶解しなくなると推定される。
上記式(1)におけるAは、N(窒素原子)と直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、上記有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO(酸素原子)、S(硫黄原子)、N(窒素原子)が含まれていてもよいものである。Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないため、カチオン性の発色部位が有する色調や透過率等の色特性は、連結基Aや他の発色部位の影響を受けず、単量体と同様の色を保持することができる。
Aにおいて、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基は、Nと直接結合する末端の炭素原子がπ結合を有しなければ、直鎖、分岐又は環状のいずれであってもよく、末端以外の炭素原子が不飽和結合を有していてもよく、置換基を有していてもよく、炭素鎖中に、O、S、Nが含まれていてもよい。例えば、カルボニル基、カルボキシ基、オキシカルボニル基、アミド基等が含まれていてもよく、水素原子が更にハロゲン原子等に置換されていてもよい。
また、Aにおいて上記脂肪族炭化水素基を有する芳香族基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基を有する、単環又は多環芳香族基が挙げられ、置換基を有していてもよく、O、S、Nが含まれる複素環であってもよい。
中でも、骨格の堅牢性の点から、Aは、環状の脂肪族炭化水素基又は芳香族基を含むことが好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基としては、中でも、有橋脂環式炭化水素基が、骨格の堅牢性の点から好ましい。有橋脂環式炭化水素基とは、脂肪族環内に橋かけ構造を有し、多環構造を有する多環状脂肪族炭化水素基をいい、例えば、ノルボルナン、ビシクロ[2,2,2]オクタン、アダマンタン等が挙げられる。有橋脂環式炭化水素基の中でも、ノルボルナンが好ましい。また、芳香族基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環を含む基が挙げられ、中でも、ベンゼン環を含む基が好ましい。
原料入手の容易さの観点からAは2価が好ましい。例えば、Aが2価の有機基の場合、炭素数1〜20の直鎖、分岐、又は環状のアルキレン基や、キシリレン基等の炭素数1〜20のアルキレン基を2個置換した芳香族基等が挙げられる。
〜Rにおけるアルキル基は、特に限定されない。例えば、炭素数1〜20の直鎖又は分岐状アルキル基等が挙げられ、中でも、炭素数が1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、炭素数が1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であることが、製造及び原料調達の容易さの点から、より好ましい。中でも、R〜Rにおけるアルキル基がエチル基又はメチル基であることが特に好ましい。アルキル基が有してもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、アリール基、ハロゲン原子、水酸基等が挙げられ、置換されたアルキル基としては、ベンジル基等が挙げられる。
〜Rにおけるアリール基は、特に限定されない。例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アリール基が有してもよい置換基としては、例えばアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
とR、RとRが結合して環構造を形成しているとは、RとR、RとRが窒素原子を介して環構造を形成していることをいう。環構造は特に限定されないが、例えばピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等が挙げられる。
中でも化学的安定性の点からR〜Rとしては、各々独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、又は、RとR、RとRが結合してピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環を形成していることが好ましい。
〜Rはそれぞれ独立に上記構造をとることができるが、中でも、色純度の点からRが水素原子であることが好ましく、さらに製造および原料調達の容易さの点からR〜Rがすべて同一であることがより好ましい。
Arにおける2価の芳香族基は特に限定されない。芳香族基は、炭素環からなる芳香族炭化水素基の他、複素環基であってもよい。芳香族炭化水素基における芳香族炭化水素としては、ベンゼン環の他、ナフタレン環、テトラリン環、インデン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の縮合多環芳香族炭化水素;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環式炭化水素が挙げられる。当該鎖状多環式炭化水素においては、ジフェニルエーテル等のように鎖状骨格中にO、S、Nを有していてもよい。一方、複素環基における複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環;ピラン、ピロン、ピリジン、ピロン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ−ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環が挙げられる。これらの芳香族基は置換基を有していてもよい。
芳香族基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
Arは炭素数が6〜20の芳香族基であることが好ましく、炭素数が10〜14の縮合多環式炭素環からなる芳香族基がより好ましい。中でも、構造が単純で原料が安価である点からフェニレン基やナフチレン基であることがより好ましい。
1分子内に複数あるR〜R及びArは、同一であっても異なっていてもよい。複数あるR〜R及びArがそれぞれ同一である場合には、発色部位が同一の発色を示すため、発色部位の単体と同様の色が再現でき、色純度の点から好ましい。一方、R〜R及びArのうち少なくとも1つを異なる置換基とした場合には、複数種の単量体を混合した色を再現することができ、所望の色に調整することができる。
トリアリールメタン系色材のアニオン部は、(Bc−)で表される構造を有する、2価以上のアニオンである。Bc−は2価以上のアニオンであれば、特に限定されず、有機アニオンであっても無機アニオンであってもよい。ここで有機アニオンとは、炭素原子を少なくとも1つ含有するアニオンを表す。また、無機アニオンとは、炭素原子を含有しないアニオンを表す。
c−が有機アニオンである場合、その構造は特に限定されない。中でも、アニオン性置換基を有する有機基であることが好ましい。
アニオン性置換基としては、例えば、−SOSOCH、−SOCOCH、−SOSOCF、−SOCOCF、−CFSOSOCH、−CFSOCOCH、−CFSOSOCF、−CFSOCOCF等のイミド酸基や、−SO 、−CFSO 、−PO 2−、−COO、−CFPO 2−、−CFCOO等の置換基が挙げられる。
中でも、カチオンを安定化し、トリアリールメタン系色材の発色を安定させる点から、1価のアニオン性置換基を2つ以上用いることが好ましい。また、原材料入手の容易さや製造コスト、高い酸性度によりカチオンを安定化し発色状態を維持する効果が高い点から、イミド酸基や、−SO 、−CFSO が好ましく、更に、−SO (スルホナト基)であることがより好ましい。
アニオン性置換基を複数置換する場合は、同一の置換基であってもよく、異なる置換基を用いてもよい。
アニオン性置換基が置換される有機基としては、特に限定されない。有機基としては、直鎖、分岐、又は環状の飽和又は不飽和炭化水素基、単環又は多環芳香族基及びこれらが組み合わされた基が挙げられ、これらは炭素鎖中に、O、S、N等の異種原子が含まれていてもよく、カルボニル基、カルボキシ基、オキシカルボニル基、アミド基が含まれていてもよく、水素原子が置換されていてもよい。有機基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記アニオン性置換基が置換される有機基としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、[2,2,2]ビシクロヘキサン、[3,2,3]ビシクロオクタン、アダマンタン等の炭化水素;ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、トリフェニレン、フルオレン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、インドール、プリン、キノリン、イソキノリン、キサンテン、カルバゾール等の芳香族化合物が挙げられ、更にハロゲン原子、アルキル基等の置換基を有していてもよい。
アニオン性置換基が置換される有機基としては、中でも、アニオン性置換基の導入が容易な点から、単環又は多環芳香族炭化水素基及びこれらが組み合わされた基であることが好ましい。
アニオンにより色変化しないことを目的とする場合には、400nm以下の波長領域に吸収極大をもつ有機基を用いることが好ましい。400nm以下の波長領域に吸収極大をもつ有機基としては、例えば、ナフタレン、テトラリン、インデン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン等の縮合多環式炭素環からなる有機基;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環式炭化水素からななる有機基;フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環からなる有機基、ピラン、ピロン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環からなる芳香族化合物;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ−ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環からなる有機基等が挙げられる。
また、アニオン性置換基が置換される有機基としては、有機化合物又は有機金属化合物である、アゾ染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、フタロシアニン染料、インジゴ染料等に由来する骨格を用いてもよい。或いは、従来公知の酸性染料、直接染料、酸性媒染染料等を用いてもよい。
染料由来の骨格や酸性染料、直接染料、酸性媒染染料等を用いた場合には、得られるトリアリールメタン系色材の色調が変化し、上記式(1)で表されるトリアリールメタン系色材の色調を所望のものに調整することができる。
酸性染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251、C.I.アシッドレッド1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、34、35、37、42、44、50、51、52、57、66、73、80、87、88、91、92、94、97、103、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、158、176、182、183、198、206、211、215、216、217、227、228、249、252、257、258、260、261、266、268、270、274、277、280、281、195、308、312、315、316、339、341、345、346、349、382、383、394、401、412、417、418、422、426、C.I.アシッドオレンジ6、7、8、10、12、26、50、51、52、56、62、63、64、74、75、94、95、107、108、169、173、C.I.アシッドブルー1、7、9、15、18、23、25、27、29、40、42、45、51、62、70、74、80、83、86、87、90、92、96、103、112、113、120、129、138、147、150、158、171、182、192、210、242、243、256、259、267、278、280、285、290、296、315、324:1、335、340、C.I.アシッドバイオレット6B、7、9、17、19、C.I.アシッドグリーン1、3、5、9、16、25、27、50、58、63、65、80、104、105、106、109等が挙げられる。
直接染料としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー2、33、34、35、38、39、43、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、136、138、141、C.I.ダイレクトレッド79、82、83、84、91、92、96、97、98、99、105、106、107、172、173、176、177、179、181、182、184、204、207、211、213、218、220、221、222、232、233、234、241、243、246、250、C.I.ダイレクトオレンジ34、39、41、46、50、52、56、57、61、64、65、68、70、96、97、106、107、C.I.ダイレクトブルー57、77、80、81、84、85、86、90、93、94、95、97、98、99、100、101、106、107、108、109、113、114、115、117、119、137、149、150、153、155、156、158、159、160、161、162、163、164、166、167、170、171、172、173、188、189、190、192、193、194、196、198、199、200、207、209、210、212、213、214、222、228、229、237、238、242、243、244、245、247、248、250、251、252、256、257、259、260、268、274、275、293、C.I.ダイレクトバイオレット47、52、54、59、60、65、66、79、80、81、82、84、89、90、93、95、96、103、104、C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、77、79、82等が挙げられる。
酸性媒染染料としては、例えば、C.I.モーダントイエロー5、8、10、16、20、26、30、31、33、42、43、45、56、61、62、65、C.I.モーダントレッド1、2、3、4、9、11、12、14、17、18、19、22、23、24、25、26、30、32、33、36、37、38、39、41、43、45、46、48、53、56、63、71、74、85、86、88、90、94、95、C.I.モーダントオレンジ3、4、5、8、12、13、14、20、21、23、24、28、29、32、34、35、36、37、42、43、47、48、C.I.モーダントブルー1、2、3、7、8、9、12、13、15、16、19、20、21、22、23、24、26、30、31、32、39、40、41、43、44、48、49、53、61、74、77、83、84、C.I.モーダントバイオレット1、2、4、5、7、14、22、24、30、31、32、37、40、41、44、45、47、48、53、58、C.I.モーダントグリーン1、3、4、5、10、15、19、26、29、33、34、35、41、43、53等が挙げられる。
上記染料のうち、染料自体が2価以上のアニオンである場合には、染料をそのまま、トリアリールメタン系色材におけるアニオン部として使用することができる。染料自体が2価以上のアニオンでない場合には、適宜2価以上のアニオンとなるように、アニオン性置換基を導入する。
有機アニオンは、中でも、下記一般式(3)、下記一般式(4)、及び下記一般式(5)で表されるアニオンよりなる群から選択される1種以上であることが、耐溶剤性及び電気信頼性を向上する点から好ましい。
(式(3)中、Arは置換基を有していてもよいc価の芳香族基である。cは2以上の整数を表す。)
(式(4)中、Rは水素原子、又はメチル基であり、Arは置換基を有していてもよい芳香族基である。Qは直接結合又は2価の連結基を表す。fは1以上の整数、gは2以上の整数を表す。)
(式(5)中、Mは2個の水素原子、若しくは、Cu、Mg、Al、Ni、Co、Fe、又はZnを表す。スルホナト基(−SO 基)は、芳香環に置換しており、cは2〜4の整数を表す。)
トリアリールメタン系色材のアニオン部として、上記式(3)のアニオンを用いた場合には、アニオンが無色ないし薄い黄色であるため、生じたトリアリールメタン系色材が上記式(1)で表されるカチオンがもつ固有の色を保持しやすいという特徴を有する。
トリアリールメタン系色材のアニオン部として、上記式(4)のアニオンを用いた場合には、アニオン価数が多くなるため、より多くの上記式(1)で示されるカチオンと相互作用し得る。その結果、より凝集性が高く溶剤への不溶性が高まるという特徴を有する。
トリアリールメタン系色材のアニオン部として、上記式(5)のアニオンを用いた場合には、カチオン部との組み合わせにより、トリアリールメタン系色材を所望の色に調整することができる。
Ar及びArにおける芳香族基は特に限定されない。芳香族基には、炭素環からなる芳香族炭化水素基の他、複素環であってもよい。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環の他、ナフタレン環、テトラリン環、インデン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の縮合多環芳香族炭化水素基;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環式炭化水素基が挙げられる。当該鎖状多環式炭化水素基においては、ジフェニルエーテル等のように鎖状骨格中にO、S等のヘテロ原子を有していてもよい。一方、複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環;ピラン、ピロン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ−ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環が挙げられる。これらの芳香族基は置換基を有していてもよい。
芳香族基が有する置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
Ar及びArは炭素数が6〜20の芳香族基であることが好ましく、炭素数が10〜14の縮合多環式炭素環からなる芳香族基がより好ましい。中でも、構造が単純で原料が安価である点からフェニレン基やナフタレン基であることがより好ましい。
上記式(4)において、Qは直接結合、又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−基、−COO−基、炭素数1〜10のエーテル基(−R’−OR“−:R’及びR”は、各々独立にアルキレン基)及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。中でも、Qは直接結合、又は−COO−基であることが好ましい。
上記式(4)において、fは1以上の整数であれば、特に限定されない。原料入手の容易さの点からは、fが1であることがより好ましい。
また、gは2以上の整数である。中でも、耐熱性の点から、gは50以上であることが好ましく、80以上であることがより好ましい。一方、溶解性の点から、gが3000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましい。上記式(4)で表されるアニオンの重量平均分子量としては10000〜100000であることが好ましい。ここで、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定される標準ポリスチレン換算で求めたものである。
上記式(4)において、複数ある構成単位は、全て同一のものであってもよく、2種以上のものが含まれていてもよい。なお、上記式(4)において、複数あるfの総和が上記式(1)におけるcに相当する。
一方、Bc−が無機アニオンである場合、無機のオキソ酸およびその脱水縮合物である限り、その構造や組成は特に限定されない。無機アニオンとしては、例えば、2価以上のオキソ酸のアニオン(リン酸イオン、硫酸イオン、クロム酸イオン、タングステン酸イオン(WO 2−)、モリブデン酸イオン(MoO 2−)等)や、複数のオキソ酸が縮合したポリ酸イオン等の無機アニオンやその混合物を挙げることができる。
上記ポリ酸としては、イソポリ酸イオン(Mc−であってもヘテロポリ酸イオン(Xc−であってもよい。上記イオン式中、Mはポリ原子、Xはヘテロ原子、mはポリ原子の組成比、nは酸素原子の組成比を表す。ポリ原子Mとしては、例えば、Mo、W、V、Ti、Nb等が挙げられる。またヘテロ原子Xとしては、例えば、Si、P、As、S、Fe、Co等が挙げられる。
中でも、耐熱性の点から、モリブデン(Mo)やタングステン(W)を含む無機酸のアニオンであることが好ましい。
モリブデンやタングステンを含む無機酸のアニオンとしては、例えば、イソポリ酸である、タングステン酸イオン[W10324−、モリブデン酸イオン[Mo192−や、ヘテロポリ酸である、リンタングステン酸イオン[PW12403−、ケイタングステン酸イオン[SiW12404−、リンモリブデン酸イオン[PMo12403−、リンタングストモリブデン酸イオン[PW12−xMo403−、H[PW2−xMo4−等が挙げられる。モリブデンやタングステンを含む無機酸のアニオンとしては、耐熱性の点、及び原料入手の容易さの点から、上記の中でもヘテロポリ酸であることが好ましく、更にP(リン)を含むヘテロポリ酸であることがより好ましい。
上記式(1)におけるaは、カチオンを構成する発色性カチオン部位の数である。aは2以上の整数である。すなわち、トリアリールメタン系色材は、カチオンの価数が2以上であり、且つアニオンの価数も2以上であるため、上述した分子会合体が形成され、耐溶剤性及び電気信頼性が向上する。一方、aの上限は特に限定されないが、製造の容易性の点からは、aが4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。
上記式(1)におけるbは分子会合体中のカチオンの分子数を、dは分子会合体中のアニオンの分子数を示し、b及びdは1以上の整数を表す。トリアリールメタン系色材はその結晶乃至凝集体において、b及びdがそれぞれ1の場合に限られず、それぞれ2、3、4…と2以上のいかなる自然数をもとり得る。トリアリールメタン系色材は、耐溶剤性及び電気信頼性の点から、少なくとも一部がb≧2の分子会合体を形成していることが好ましい。また、トリアリールメタン系色材は、耐溶剤性及び電気信頼性の点から、少なくとも一部がd≧2の分子会合体を形成していることが好ましい。
bが2以上の場合、分子会合体中に複数あるカチオンは、1種単独であっても、2種以上が組み合わされていてもよい。また、dが2以上の場合、分子会合体中に複数あるアニオンは、1種単独であっても、2種以上が組み合わされていてもよく、有機アニオンと無機アニオンを組み合わせて用いることもできる。
また、トリアリールメタン系色材が正塩であることが、酸性塩を用いた場合のように、分散が好適に進行しない場合や、分散液が保存時にゲル化するといった問題が生じず、分散性及び分散安定性が高い点から好ましい。
上記式(1)で表されるトリアリールメタン系色材は、特許第5223980号公報に記載の合成方法により得ることができる。
トリアリールメタン系色材は、1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよく、目的とする白色部の透過特性等に応じて適宜決定される。
光吸収層中のトリアリールメタン系色材の含有量としては、目的とする白色部の透過特性や、光吸収層の厚み等に応じて適宜選択される。例えば光吸収層が後述する厚みを有する場合、光吸収層中のトリアリールメタン系色材の含有量は、樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部の範囲内で設定することができ、中でも0.5質量部〜7質量部の範囲内、特に1質量部〜5質量部の範囲内であることが好ましい。トリアリールメタン系色材の含有量が少ない場合または多い場合は、光吸収層を用いて白色部の透過特性を調整することが困難となる可能性がある。
なお、トリアリールメタン系色材の含有量とは、トリアリールメタン系色材が複数添加されている場合、その全含有量をいう。
また、光吸収層は、トリアリールメタン系色材の他にさらに第2色材を含有することが好ましい。光吸収層がトリアリールメタン系色材に加えて第2色材を含有することにより、所望の白色光が得られるように白色部の透過特性を調整することができるからである。具体的には、トリアリールメタン系色材には、赤色の波長領域の透過率が比較的高いものがあるが、トリアリールメタン系色材と第2色材とを組み合わせて用いることにより、白色部の透過特性を調整し、有機EL表示装置の白色副画素での反射光の赤味を低減することができる。これにより、有機EL素子の消灯時に画面が赤味を帯び、外観が損なわれるのを防ぐことができる。
なお、「第2色材」とは、トリアリールメタン系色材以外の色材をいう。
第2色材としては、例えば青色色材、紫色色材、黒色色材を挙げることができる。
青色色材としては、例えばフタロシアニン系色材が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー(以下、PBと称する場合がある。)15:1、PB15:2、PB15:3、PB15:4、PB15:6、PB16等が挙げられる。
紫色色材としては、例えばキサンテン系色材、ジオキサジン系色材、ローダミン系色材等が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントバイオレット(以下、PVと称する場合がある。)19、PV23、PV29、PV32等が挙げられる。
黒色色材としては、例えばカーボンブラック、チタンブラック等が挙げられる。
中でも、PB15:1、PB15:3、PB15:4、PB15:6、PB16、PV19、PV23等が好ましく用いられる。
第2色材は、1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよく、目的とする白色部の透過特性等に応じて適宜決定される。
光吸収層中の第2色材の含有量としては、目的とする白色部の透過特性や、光吸収層の厚み等に応じて適宜選択される。例えば光吸収層が後述する厚みを有する場合、光吸収層中の第2色材の含有量は、樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部の範囲内で設定することができる。
なお、第2色材の含有量とは、第2色材が複数添加されている場合、その全含有量をいう。
通常、光吸収層は樹脂を含有する。樹脂としては、色材を分散させて、白色部に所望の透過特性を付与することが可能な光吸収層を形成することができるものであれば特に限定されないが、透光性を有する感光性樹脂を好適に用いることができる。
透光性を有する感光性樹脂としては、特に限定されるものではなく、ネガ型感光性樹脂およびポジ型感光性樹脂のいずれも用いることができる。
ネガ型感光性樹脂としては、特に限定されるものではなく、一般的なネガ型感光性樹脂を用いることができる。例えば、架橋型樹脂をベースとした化学増幅型感光性樹脂、具体的にはポリビニルフェノールに架橋剤を加え、さらに酸発生剤を加えた化学増幅型感光性樹脂等が挙げられる。また、アクリル系ネガ型感光性樹脂として、紫外線照射によりラジカル成分を発生する光重合開始剤と、分子内にアクリル基を有し、発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する成分と、その後の現像により未露光部が溶解可能となる官能基(例えば、アルカリ溶液による現像の場合は酸性基をもつ成分)とを含有するものを用いることができる。上記のアクリル基を有する成分のうち、比較的低分子量の多官能アクリル分子としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、テトラメチルペンタトリアクリレート(TMPTA)等が挙げられる。また、高分子量の多官能アクリル分子としては、スチレン−アクリル酸−ベンジルメタクリレート共重合体の一部のカルボン酸基部分にエポキシ基を介してアクリル基を導入したポリマーや、メタクリル酸メチル−スチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
また、ポジ型感光性樹脂としては、特に限定されるものではなく、一般的なポジ型感光性樹脂を用いることができる。例えば、ノボラック樹脂をベース樹脂とした化学増幅型感光性樹脂等が挙げられる。
光吸収層は、透明基材上に形成されていればよく、例えば透明基材の着色層の形成面に形成されていてもよく、透明基材の着色層の形成面とは反対側の面に形成されていてもよいが、通常は、透明基材の着色層の形成面に形成される。
光吸収層の形成位置としては、少なくとも白色部が光吸収層を有していればよく、例えば図1に示すように白色部6のみが光吸収層5を有するように光吸収層5がパターン状に形成されていてもよく、図4(a)に示すように複数色の着色層、ここでは赤色着色層4R、緑色着色層4Gおよび青色着色層4B上にも光吸収層5が形成され、透明基材2の全面に光吸収層5が形成されていてもよい。図1に例示するように、白色部6のみが光吸収層5を有する場合は、光吸収層の透過特性が着色部に影響しないため、着色部の透過率を低下させず、白色部の透過特性を最適なものとすることができる。一方、図4(a)に例示するように、透明基材2の全面に光吸収層5が形成されている場合は、反射ムラの原因となる反射光の強度をより減衰させることができるため、反射ムラを好適に抑制することができる。
中でも、白色部に所望の透過特性を付与する観点からは、白色部のみが光吸収層を有することが好ましい。
光吸収層がパターン状に形成されている場合、光吸収層のパターン形状としては、白色部のパターン形状に合わせて適宜決定される。
光吸収層の厚みとしては、光吸収層の材料の組成等に応じて適宜選択され、特に限定されるものではないが、後述の着色層と同等の厚みであることが好ましい。着色部および白色部上に他の構成を形成しやすくなるからである。具体的には、光吸収層の厚みは、0.1μm〜10.0μmの範囲内、中でも0.5μm〜7.0μmの範囲内、特に1.0μm〜5.0μmの範囲内であることが好ましい。
また、後述するように、青色着色層がトリアリールメタン系色材を含有している場合には、青色着色層と同一材料を用いて光吸収層を形成することができる。この場合、白色部が所望の透過特性を有するように、図4(b)に例示するように、光吸収層5の厚みは青色着色層4Bよりも薄くされる。
光吸収層の形成方法としては、一般的な樹脂層の形成方法を適用することができる。
2.白色部
本発明における白色部は、透明基材上にパターン状に形成されるものであり、トリアリールメタン系色材を含有する光吸収層を有するものである。
白色部のパターン形状としては、有機EL表示装置に用いられる画素部のパターン配列により適宜決定される。画素部のパターン配列としては、一般的な有機EL表示装置に用いられるものと同様とすることができ、具体的には、ストライプ配列、モザイク配列、ドット配列、ペンタイル配列等を挙げることができる。
白色部の透過特性としては、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタを有機EL表示装置に用いた場合に白色発光層からの白色光の黄味を低減することができるような透過特性であればよい。
例えば、白色部においては、400nm〜500nmの波長域の平均透過率が85%以上、中でも93%以上であり、500nm〜600nmの波長域の平均透過率が60%以下であることが好ましい。緑色および黄色の波長領域の光を減衰させることにより、白色発光層からの白色光の黄味を低減することができるからである。これにより、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタを用いた有機EL表示装置の白色副画素にて色バランスの良好な白色を表示することができる。
また、白色部では、650nm〜700nmの波長域の平均透過率が70%以下、中でも65%以下であることが好ましい。上記波長域の平均透過率が高いと、有機EL表示装置の白色副画素にて反射光が赤味を帯びてしまい、有機EL素子の消灯時に画面が赤味を帯び、外観が損なわれるおそれがある。トリアリールメタン系色材には、赤色の波長領域の透過率が比較的高いものがあるが、トリアリールメタン系色材と第2色材とを組み合わせて用いることにより、白色部の透過特性を調整することができ、消灯時の外観を良くすることができる。特に、有機EL表示装置の白色副画素にて反射光が赤味を帯びるのを抑制する観点からは、上記波長域の平均透過率は55%以下であることがより好ましい。また、有機EL表示装置の白色副画素にて色バランスの良好な白色を表示するという観点からは、上記波長域の平均透過率は55%〜70%の範囲内であることがより好ましい。
なお、白色部の上記波長域の平均透過率は、一般的な測定方法に求めることができ、例えば、OLYMPUS社製の顕微分光装置OSP−SP2000を用いて測定することにより求めることができる。
白色部の透過特性は、光吸収層により調整することができる。具体的には、光吸収層に含有される色材の種類や含有量、光吸収層の厚み等を調整することにより、白色部の透過特性を調整することができる。
白色部は、上記光吸収層を有していればよいが、例えば図1に例示するように光吸収層5のみを有していてもよく、図4(c)、(d)に示すように光吸収層5と光調整層7とを有していてもよい。後者の場合、光吸収層および光調整層を併用して、白色部の透過特性を調整することができる。
以下、光調整層について説明する。
(光調整層)
光調整層は、白色部を構成するものであり、着色部が青色着色層を有する場合に、青色着色層と同一材料で構成されるものである。
光調整層の形成位置としては、例えば図4(c)に示すように光吸収層5上に光調整層7が形成されていてもよく、図4(d)に示すように光吸収層5および光調整層7が同一平面上に形成されていてもよい。前者の場合、光調整層の厚みは青色着色層よりも薄くされる。また、後者の場合、光調整層を青色着色層と連続的に形成することができ、光調整層を簡便な方法で形成することができる。
光調整層のパターン形状および厚み等については、目的とする白色部の透過特性等に応じて適宜選択される。
3.着色部
本発明における着色部は、透明基材上にパターン状に形成された複数色の着色層を有するものである。
着色層のパターン形状としては、有機EL表示装置に用いられる画素部のパターン配列により適宜決定される。
複数色の着色層としては、例えば赤色着色層、緑色着色層および青色着色層が挙げられる。また、赤色着色層、緑色着色層および青色着色層の他に、例えば黄色着色層等、他の色の着色層が含まれていてもよい。
着色層は、各色の顔料や染料等の色材および樹脂を含有する。
なお、樹脂については、上記光吸収層に用いられる樹脂と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
赤色着色層に用いられる色材としては、例えば、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
緑色着色層に用いられる色材としては、例えば、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料もしくはハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料等のフタロシアニン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
青色着色層に用いられる色材としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料、トリアリールメタン系色材等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。中でも、青色着色層はトリアリールメタン系色材を含有することが好ましい。一般にトリアリールメタン系色材を用いた場合は透過率の高い青色着色層を得ることができ、光取り出し効率を高めることができるからである。
各着色層中の色材の含有量としては、目的とする各着色層の透過特性等に応じて適宜選択される。
着色層の厚みは、目的とする各着色層の透過特性等に応じて適宜選択される。具体的には、着色層の厚みは、上記光吸収層の厚みと同等とすることができる。
着色層の形成方法としては、カラーフィルタにおける一般的な着色層の形成方法を適用することができる。
4.透明基材
本発明における透明基材は、上記光吸収層および着色層を支持するものである。
透明基材の光透過性としては、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタを有機EL表示装置に用いた場合に、発光層からの発光を透過させて表示を行うことが可能な程度であれば特に限定されないが、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
ここで、透明基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
透明基材としては、例えば、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のないリジッド材、あるいは、樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有するフレキシブル材等を用いることができる。また、樹脂フィルムにバリア層が形成されたものを用いてもよい。
透明基材の厚みは、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタの用途および透明基材を構成する材料等に応じて適宜決定することができる。
5.その他の構成
本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタは、上記透明基材、着色層および光吸収層を有していればよく、必要に応じて他の構成を有することができる。このような構成としては、例えば遮光部、保護層、TFT素子、電極層を挙げることができる。
(1)遮光部
本発明においては、透明基材上にパターン状に遮光部が形成されていてもよい。
遮光部の開口部の形状としては、有機EL表示装置の画素部のパターン配列により適宜選択される。
遮光部としては、例えばクロム等の金属材料を含有するもの、樹脂中に遮光材料を分散させたもの、各着色層と同一材料からなる層を複数積層させたもの等を挙げることができる。
遮光部の材料、厚みおよびその形成方法等については、一般的なものを適用することができる。
(2)保護層
本発明においては、着色層および光吸収層を覆うように保護層が形成されていてもよい。保護層は、本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタをボトムエミッション型の有機EL表示装置に用いる場合に、特に好適に用いられる。
保護層の材料としては、有機EL表示装置用カラーフィルタの色特性、特に上述の白色部の透過特性等を損なわないものであれば特に限定されず、一般的な透明樹脂を用いることができる。中でも、パターニングできることから、光硬化性樹脂が好ましい。
保護層の厚みおよび形成については、カラーフィルタにおける一般的な保護層と同様とすることができる。
(3)TFT素子
本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタをボトムエミッション型の有機EL表示装置に用いる場合は、透明基材上にTFT素子が形成されていてもよい。TFT素子としては、一般的なものを用いることができる。
(4)電極層
本発明においては、着色層および光吸収層上に電極層が配置されていてもよい。
電極層としては、例えば金属電極層や透明電極層が挙げられる。
金属電極層は、遮光部上等の有機EL表示装置用カラーフィルタにおいて表示に用いられない領域に形成することができる。
B.有機EL表示装置
本発明の有機EL表示装置は、上述の有機EL表示装置用カラーフィルタと、上記有機EL表示装置用カラーフィルタ上に配置され、白色発光層を含む有機EL素子とを有することを特徴とするものである。
本発明によれば、上述の有機EL表示装置用カラーフィルタを有することにより、外光反射による表示不良を抑制しつつ、高い輝度で表示を行うことができ、さらには白色副画素にて色バランスの良好な白色を表示することができる。また、白色発光の有機EL素子を有する有機EL表示装置を安価に提供することができる。
本発明の有機EL表示装置は、トップエミッション型であってもよくボトムエミッション型であってもよい。
トップエミッション型の場合、例えば図2に示すように、有機EL表示装置用カラーフィルタ1と有機EL素子基材11とが対向して配置される。また、ボトムエミッション型の場合、図示しないが、例えば有機EL表示装置用カラーフィルタの保護層上に有機EL素子が形成され、有機EL素子上に封止基材が配置される。
なお、有機EL表示装置用カラーフィルタについては、上記「A.有機EL表示装置用カラーフィルタ」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。以下、本発明の有機EL表示装置における他の構成について説明する。
1.有機EL素子
本発明に用いられる有機EL素子は、透明電極層と、金属電極層と、透明電極層および金属電極層の間に形成され、白色発光層を含む有機EL層とを有するものである。また、有機EL素子は、必要に応じて絶縁層および隔壁等を有していてもよい。
以下、有機EL素子の各構成について説明する。
(1)有機EL層
有機EL層は、少なくとも白色発光層を含む1層もしくは複数層の有機層を有するものである。
有機EL層を構成する層としては、発光層の他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層等が挙げられる。
以下、有機EL層の各構成について説明する。
(a)発光層
発光層としては、少なくとも白色副画素に対応する発光層が白色発光層であればよい。例えば発光層が全て白色発光層であってもよく、赤色副画素、緑色副画素、青色副画素および白色副画素にそれぞれ対応して赤色発光層、緑色発光層、青色発光層および白色発光層を有していてもよい。
白色発光層としては、例えば単層の白色発光層や、2色以上の異なる発光層を有するもの、具体的には赤色発光層、緑色発光層および青色発光層が積層されたものや、青色発光層および黄色発光層が積層されたもの等が挙げられる。
また、着色副画素に対応する発光層は、上記の白色発光層であってもよく、各着色副画素の色に対応する色の光を発光する層であってもよい。
発光層の種類については、有機EL表示装置の用途等に応じて適宜選択することができる。
また、有機EL素子の白色発光層から発せられる白色光の相関色温度は4000K以上8000K以下の範囲内であることが好ましい。白色光の相関色温度が上記範囲である場合には黄味を帯びた白色光となるが、本発明においては上述の有機EL表示装置用カラーフィルタを用いることにより白色光の黄味を低減することができ、色バランスの良い白色を表示することができる。
なお、相関色温度は、JIS Z8725:1999(光源の分布温度及び色温度・相関色温度の測定方法)に基づき求めることができる。
なお、発光層の材料、厚みおよび形成方法等については、一般的な発光層と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(b)正孔注入輸送層
本発明においては、発光層と陽極との間に正孔注入輸送層が形成されていてもよい。
正孔注入輸送層は、正孔注入機能を有する正孔注入層であってもよく、正孔輸送機能を有する正孔輸送層であってもよく、正孔注入層および正孔輸送層が積層されたものであってもよく、正孔注入機能および正孔輸送機能の両機能を有するものであってもよい。
なお、正孔注入輸送層の材料、厚みおよび形成方法等については、一般的な正孔注入輸送層と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(c)電子注入輸送層
本発明においては、発光層と陰極との間に電子注入輸送層が形成されていてもよい。
電子注入輸送層は、電子注入機能を有する電子注入層であってもよく、電子輸送機能を有する電子輸送層であってもよく、電子注入層および電子輸送層が積層されたものであってもよく、電子注入機能および電子輸送機能の両機能を有するものであってもよい。
なお、電子注入輸送層の材料、厚みおよび形成方法等については、一般的な電子注入輸送層と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(2)透明電極層および金属電極層
透明電極層および金属電極層は、一方が陽極、他方が陰極である。
なお、透明電極層および金属電極層の材料、厚みおよび形成方法等については、有機EL素子における一般的な電極と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(3)絶縁層
本発明においては、絶縁層がパターン状に形成されていてもよい。絶縁層は、画素を画定し、また透明電極層および金属電極層の短絡防止のために設けられるものである。絶縁層のパターン形状としては、画素の配列に応じて適宜選択されるものであり、例えば格子状が挙げられる。
なお、絶縁層の材料、厚みおよび形成方法等については、有機EL素子における一般的な絶縁層と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(4)隔壁
本発明においては、絶縁層上に隔壁がパターン状に形成されていてもよい。隔壁は、有機EL層や電極層をパターニングするために設けられるものである。
なお、隔壁の材料、厚みおよび形成方法等については、有機EL素子における一般的な隔壁と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
2.対向基材
トップエミッション型有機EL表示装置の場合、有機EL素子は対向基材上に形成される。
トップエミッション型有機EL表示装置では有機EL表示装置用カラーフィルタ側が発光面になることから、対向基材は光透過性を有していてもよく有さなくてもよい。
対向基材としては、例えば、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のないリジッド材、あるいは、樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有するフレキシブル材等を用いることができる。また、樹脂フィルムにバリア層が形成されたものを用いてもよい。
対向基材上にはTFT素子が形成されていてもよい。TFT素子としては、一般的なものを用いることができる。
3.封止基材
ボトムエミッション型有機EL表示装置の場合、有機EL素子上には封止基材が配置される。
ボトムエミッション型有機EL表示装置では有機EL表示装置用カラーフィルタ側が発光面になることから、封止基材は光透過性を有していてもよく有さなくてもよい。
封止基材は、上記対向基材と同様とすることができる。
4.その他の構成
本発明の有機EL表示装置の封止構造としては、例えば中空封止であってもよく固体封止であってもよい。封止材料としては、一般的なものを使用することができる。
本発明の有機EL表示装置の駆動方法としては、パッシブマトリクスおよびアクティブマトリクスのいずれも適用することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
(硬化性樹脂組成物Aの調製)
重合槽中にメタクリル酸メチル(MMA)を63質量部、アクリル酸(AA)を12質量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(HEMA)を6質量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を88質量部仕込み、攪拌し溶解させた後、2、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を7質量部添加し、均一に溶解させた。その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、更に100℃で1時間反応させた。得られた溶液に、更にメタクリル酸グリシジル(GMA)を7質量部、トリエチルアミンを0.4質量部、及びハイドロキノンを0.2質量部添加し、100℃で5時間攪拌し、共重合樹脂溶液(固形分50%)を得た。
次に下記の材料を室温で攪拌、混合して硬化性樹脂組成物とした。
<硬化性樹脂組成物Aの組成>
・上記共重合樹脂溶液(固形分50%)…16質量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社 SR399)…24質量部
・オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社 エピコート180S70)…4質量部
・2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン…4質量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル…52質量部
(遮光部の形成)
まず、下記分量の成分を混合し、サンドミルにて十分に分散し、黒色顔料分散液を調整した。
<黒色顔料分散液の組成>
・黒色顔料(三菱化学社製 #2600)…20質量部
・高分子分散材(ビックケミー・ジャパン株式会社 Disperbyk 111)…16質量部
・溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル)…64質量部
次に、下記分量の成分を十分混合して、遮光部用組成物を得た。
<遮光部用組成物の組成>
・上記黒色顔料分散液…50質量部
・上記硬化性樹脂組成物A…20質量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル…30質量部
基板上に、上記遮光部用組成物をスピンコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥させ、遮光部形成用層を形成した。当該遮光部形成用層を、超高圧水銀ランプで遮光パターンに露光した後、0.05wt%水酸化カリウム水溶液で現像し、その後、基板を230℃の雰囲気下に30分間放置することにより加熱処理を施して遮光部を形成した。
(赤色着色層の形成)
基板上に、下記組成の赤色硬化性樹脂組成物をスピンコーティング法により塗布して、その後、70℃のオーブン中で3分間乾燥した。次いで、赤色硬化性樹脂組成物の塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kwの超高圧水銀ランプを用いて赤着色層の形成領域に相当する領域のみに紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、赤色硬化性樹脂組成物の塗布膜の未硬化部分のみを除去した。その後、基板を170℃の雰囲気下に15分間放置することにより、加熱処理を施して表示用領域の赤色副画素に赤色着色層のパターンを形成した。
<赤色硬化性樹脂組成物の組成>
・C.I.ピグメントレッド177…3質量部
・C.I.ピグメントレッド254…4質量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤…3質量部
・上記硬化性樹脂組成物A…23質量部
・酢酸−3−メトキシブチル…67質量部
(緑色着色層の形成)
次に、赤色着色層の形成と同様の工程で、基板上に、下記組成の緑色硬化性樹脂組成物を塗布して、表示用領域の緑色副画素に緑色の着色層のパターンを形成した。
<緑色硬化性樹脂組成物の組成>
・C.I.ピグメントグリーン58…7質量部
・C.I.ピグメントイエロー138…1質量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤…3質量部
・上記硬化性樹脂組成物A…22質量部
・酢酸−3−メトキシブチル…67質量部
(青色着色層の形成)
更に、赤色着色層の形成と同様の工程で、基板上に、下記組成の青色硬化性樹脂組成物を塗布して、表示用領域の青色副画素に青色着色層のパターンを形成した。
<青色硬化性樹脂組成物の組成>
・C.I.ピグメントブルー1…5質量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤…3質量部
・上記硬化性樹脂組成物A…25質量部
・酢酸−3−メトキシブチル…67質量部
(光吸収層の形成)
更に、赤色着色層の形成と同様の工程で、基板上に、下記組成の光吸収層用樹脂組成物を塗布して、表示用領域の白色副画素に光吸収層のパターンを形成した。
<光吸収層用樹脂組成物の組成>
・C.I.ピグメントブルー1…1質量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤…0.3質量部
・上記硬化性樹脂組成物A…31.7質量部
・酢酸−3−メトキシブチル…67質量部
以上の工程を行うことにより、有機EL表示装置用カラーフィルタを得た。
(有機EL表示装置の作製)
基板上に白色発光層を有する有機EL素子が形成された有機EL素子基板を準備した。トプコン社製の超低輝度分光放射計SR−UL1にて発光スペクトルを測定し、色温度を算出したところ、有機EL素子の白色発光層からの白色光の相関色温度は5900Kであった。
得られた有機EL表示装置用カラーフィルタに光学弾性樹脂を塗布し、真空中で有機EL素子基板と貼り合わせて有機EL表示装置を得た。
[実施例2]
下記の光吸収層用樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして有機EL表示装置用カラーフィルタおよび有機EL表示装置を作製した。
<光吸収層用樹脂組成物の組成>
・C.I.ピグメントブルー1…0.5質量部
・C.I.ピグメントブルー15:6…0.5質量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤…0.3質量部
・上記硬化性樹脂組成物A…31.7質量部
・酢酸−3−メトキシブチル…67質量部
[実施例3]
(青色色材1の調製)
和光純薬(株)製 1−ヨードナフタレン15.2g(60mmol)、三井化学(株)製 ノルボルナンジアミン(NBDA)(CAS No.56602−77−8)4.63g(30mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 8.07g(84mmol)、アルドリッチ製 2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’,−ジメトキシビフェニル 0.09g(0.2mmol)、和光純薬(株)製 酢酸パラジウム 0.021g(0.1mmol)、キシレン 30mLに分散し130℃〜135℃で48時間反応させた。反応終了後、室温に冷却し水を加え抽出した。次いで硫酸マグネシウムで乾燥し濃縮することにより下記化学式(I)で示される中間体1 8.5g(収率70%)を得た。得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):407(M+H)、
・元素分析値:CHN実測値 (85.47%、8.02%、6.72%);理論値(85.26%、8.11%、6.63%)
中間体1 8.46g(20.8mmol)、東京化成工業製 4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン13.5g(41.6mmol)トルエン60mLを入れ45℃〜50℃で攪拌した。和光純薬工業製オキシ塩化リン 6.38g(51.5mmol)を滴下し、2時間還流し冷却した。反応終了後、トルエンをデカントした。樹脂状析出物をクロロホルム40mL、水40mL、濃塩酸を加えて溶解しクロロホルム層を分液した。クロロホルム層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。濃縮物に酢酸エチル65mLを加え還流した。冷却の後に析出物を濾過し下記化学式(II)で示される青色色材1(BB7−Nb−dimer)を15.9g(収率70%)得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):511(+)、2価
・元素分析値:CHN実測値 (78.13%、7.48%、7.78%);理論値(78.06%、7.75%、7.69%)
(有機EL表示装置用カラーフィルタおよび有機EL表示装置の作製)
下記の光吸収層用樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして有機EL表示装置用カラーフィルタおよび有機EL表示装置を作製した。
<光吸収層用樹脂組成物の組成>
・上記青色色材1…1質量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤…0.3質量部
・上記硬化性樹脂組成物A…31.7質量部
・酢酸−3−メトキシブチル…67質量部
[実施例4]
(青色色材2の調製)
関東化学社製12モリブドリン酸・n水和物0.433g(0.18mmol、nは30相当)と関東化学社製12タングストリン酸・n水和物3.55g(1.04mmol、nは30相当)を水50mLに溶解させた。そこに、水50mLとメタノール100mLの混合溶媒に溶解させた青色色材1(中間体2) 2.0g(1.83mmol)に加え、常温で1時間攪拌した。該反応液を減圧下で濾取し、水で洗浄した。該ケーキを減圧乾燥して、モリブデンとタングステンとのモル比が14.6:85.4の青色色材2を得た。
(有機EL表示装置用カラーフィルタおよび有機EL表示装置の作製)
下記の光吸収層用樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして有機EL表示装置用カラーフィルタおよび有機EL表示装置を作製した。
<光吸収層用樹脂組成物の組成>
・上記青色色材2…1質量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤…0.3質量部
・上記硬化性樹脂組成物A…31.7質量部
・酢酸−3−メトキシブチル…67質量部
[実施例5]
(青色色材3の調製)
12モリブドリン酸・n水和物を0.014g、12タングストリン酸・n水和物を4.15gとした以外は、青色色材2の合成と同様にして、モリブデンとタングステンとのモル比が0.4:99.6の青色色材3を得た。
(有機EL表示装置用カラーフィルタおよび有機EL表示装置の作製)
下記の光吸収層用樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして有機EL表示装置用カラーフィルタおよび有機EL表示装置を作製した。
<光吸収層用樹脂組成物の組成>
・上記青色色材3…1質量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤…0.3質量部
・上記硬化性樹脂組成物A…31.7質量部
・酢酸−3−メトキシブチル…67質量部
[比較例1]
下記の光吸収層用樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして有機EL表示装置用カラーフィルタおよび有機EL表示装置を作製した。
<光吸収層用樹脂組成物の組成>
・C.I.ピグメントブルー15:6…0.7質量部
・C.I.ピグメントバイオレット23…0.3質量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤…0.3質量部
・上記硬化性樹脂組成物A…31.7質量部
・酢酸−3−メトキシブチル…67質量部
[比較例2]
下記の光吸収層用樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして有機EL表示装置用カラーフィルタおよび有機EL表示装置を作製した。
<光吸収層用樹脂組成物の組成>
・C.I.ピグメントブルー15:6…1.4質量部
・C.I.ピグメントバイオレット23…0.6質量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤…0.6質量部
・上記硬化性樹脂組成物A…30.4質量部
・酢酸−3−メトキシブチル…67質量部
[評価]
(白色部の透過率)
実施例および比較例の有機EL表示装置用カラーフィルタの白色部の透過スペクトルをOLYMPUS社製の顕微分光装置OSP−SP2000を用いて測定した。結果を図5および表1に示す。
(白色部の透過光の色度)
得られた有機EL表示装置の白色部における透過光について、CIE1931−XYZ表色系のxy色度図における色度座標x、yおよび明るさYを、トプコン社製の分光放射計SR−UL1を用いて測定した。結果を表1に示す。
比較例1では白色部での透過光が黄味を帯びており、比較例2では白色の座標は良いが明るさYが低かった。これに対し、実施例1〜5ではいずれも白色光の黄味が低減されており、また白色の座標および明るさYが良好であった。
(外光反射)
得られた有機EL表示装置をD65光源下で目視評価した。実施例および比較例の有機EL表示装置はいずれも反射光により視認性は低下しなかった。
1 … 有機EL表示装置用カラーフィルタ
2 … 透明基材
3 … 遮光部
4R … 赤色着色層
4G … 緑色着色層
4B … 青色着色層
4 … 着色部
5 … 光吸収層
6 … 白色部
10 … 有機EL表示装置
12 … 対向基材
13 … 金属電極層
14 … 有機EL層
15 … 透明電極層
16 … 有機EL素子
17 … シール材

Claims (6)

  1. 透明基材と、
    前記透明基材上にパターン状に形成された複数色の着色層を有する着色部と、
    前記透明基材上にパターン状に形成され、トリアリールメタン系色材を含有する光吸収層を有する白色部と、
    を有し、
    前記着色部が青色着色層を有し、前記青色着色層がトリアリールメタン系色材を含有し、
    前記トリアリールメタン系色材が下記化学式(II)で表される化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置用カラーフィルタ。
  2. 前記光吸収層がさらに第2色材を含有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用カラーフィルタ。
  3. 前記第2色材がピグメントブルー15:6であることを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用カラーフィルタ。
  4. 前記白色部は、400nm〜500nmの波長域の平均透過率が93%以上であり、500nm〜600nmの波長域の平均透過率が60%以下であり、650nm〜700nmの波長域の平均透過率が70%以下であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用カラーフィルタ。
  5. 前記白色部は、400nm〜500nmの波長域の平均透過率が93%以上であり、500nm〜600nmの波長域の平均透過率が60%以下であり、650nm〜700nmの波長域の平均透過率が70%以下であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用カラーフィルタ。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置用カラーフィルタと、
    前記有機エレクトロルミネッセンス表示装置用カラーフィルタ上に配置され、白色発光層を含む有機エレクトロルミネッセンス素子と
    を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
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