JP6578595B2 - 抗アセチル化ヒストンh4抗体 - Google Patents

抗アセチル化ヒストンh4抗体 Download PDF

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本発明は、Lys5(5番目のリジン残基)とLys8(8番目のリジン残基)の両方がアセチル化されたヒストンH4を識別して認識する抗体に関する。
ヒトを始めとする真核生物では、細胞種ごとにゲノムDNAの凝集構造体であるクロマチンの化学修飾情報(エピジェネティクス情報)が異なっており、これが個体の発生・分化・癌化・老化を制御していることが知られている。個々の細胞においてどのようなエピジェネティクス修飾情報を有しているかについては不明な点も多いが、遺伝子発現とエピジェネティクス修飾の関係について研究が進んでいる。例えば、真核生物の遺伝子発現制御において、ヒストンのリジン残基のアセチル化が重要な役割を果たしていることが知られている。また、遺伝子発現が活性なクロマチン領域は、ヒストン、特にヒストンH4のN末端領域の4つのリジン残基(Lys5、Lys8、Lys12、Lys16)が高アセチル化されていることが知られている。
近年、ヒストンH4のアセチル化のうち、Lys5とLys8の2箇所が両方ともアセチル化されている状態が、BET型ブロモドメインタンパク質(BRD4、BRDT等)によって認識され、これが遺伝子発現の引き金となっていることが報告された(例えば、非特許文献1参照。)。BET型ブロモドメインタンパク質は、各種がんで発現が亢進されていたり、機能が活発になっており、その阻害又は検出が、がんの治療や診断に有効であることが期待されている。
クロマチンのエピジェネティクス修飾情報を解析する方法として、クロマチン免疫沈降塩基配列決定法(Chromatin Immunoprecipitation−sequencing;ChIP−seq)がある。ChIP−seqは、ChIP(クロマチン免疫沈降法)と塩基配列解析を組み合わせた方法であり、特にクロマチンのアセチル化状態の解析によく用いられている。転写活性因子がクロマチンに結合すると、ヒストンに対するアセチル基転移酵素活性を有する転写共役因子がリクルートされる結果、転写活性因子が結合した領域及びその周辺のヒストンがアセチル化される。そこで、細胞からDNAを抽出する前にタンパク質をゲノムDNAに固定化しておき、抽出したDNAを断片化した後に転写活性因子やアセチル化ヒストンを識別する抗体を用いて免疫沈降させ、得られた沈降物中のDNAを解析することにより、アセチル化ヒストンが巻き付いているゲノムDNA上にコードされている遺伝子を解析することができる。
特許第4583638号公報
Moriniere et al.,Nature,2009,vol.461,p.664-668
一のヌクレオソーム中のヒストンH4のLys5とLys8の2箇所が共にアセチル化された状態は、遺伝子発現が非常に活性なクロマチン領域の目印であることが期待される。しかしながら、現在のところ、ヒストンH4のLys5とLys8の2箇所の両アセチル化を直接的に検出するツールは、存在しない。例えば、ヒストンH4のN末端の4箇所のリジン残基(Lys5、Lys8、Lys12、Lys16)のうちの1つのみがアセチル化されているアセチル化ヒストンH4を特異的に認識するモノクローナル抗体は既知であり、市販されてもいる(モノクローナル抗体研究所製、MABI0405、MABI0408など)が、これらの既存抗体では、一のヌクレオソーム中のヒストンH4のLys5とLys8の2箇所が共にアセチル化された状態を検出することはできない。
そこで、本発明は、Lys5とLys8の両方がアセチル化されたヒストンH4を、Lys5はアセチル化されているがLys8はアセチル化されていないヒストンH4、Lys5はアセチル化されていないがLys8はアセチル化されているヒストンH4、及びLys5とLys8の両方ともアセチル化されていないヒストンH4から識別して認識する抗体を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究した結果、Lys5とLys8の2箇所が両方ともアセチル化されているヒトのヒストンH4の全長タンパク質を抗原として免疫したマウスのリンパ節細胞をハイブリドーマ化してスクリーニングすることにより、ヒストンH4のLys5とLys8の2箇所の両アセチル化を同時に認識するマウスモノクローナル抗体を産生細胞するハイブリドーマ細胞をはじめて取得し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体、クロマチンの解析方法、及びがん発症可能性評価することを補助する方法は、下記[1]〜[5]である。
[1]ヒストンH4のLys5及びLys8がアセチル化されたアセチル化ヒストンH4を認識し、重鎖可変部及び軽鎖可変部を含み、
前記重鎖可変部が、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるCDRH1と、配列番号6で表されるアミノ酸配列又は配列番号7で表されるアミノ酸配列からなるCDRH2と、配列番号8で表されるアミノ酸配列からなるCDRH3とを有しており、かつ、配列番号1若しくは2で表されるアミノ酸配列、又は、配列番号1若しくは2で表されるアミノ酸配列のうち、第26〜35番目、第50〜66番目、及び第98〜100番目のアミノ酸残基以外の領域のアミノ酸配列と90%以上100%未満の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、
前記軽鎖可変部が、配列番号9で表されるアミノ酸配列又は配列番号10で表されるアミノ酸配列からなるCDRL1と、配列番号11で表されるアミノ酸配列からなるCDRL2と、配列番号12で表されるアミノ酸配列からなるCDRL3とを有しており、かつ、配列番号3若しくは4で表されるアミノ酸配列、又は、配列番号3若しくは4で表されるアミノ酸配列のうち、第24〜34番目、第50〜56番目、及び第89〜96番目のアミノ酸残基以外の領域のアミノ酸配列と90%以上100%未満の配列同一性を有するアミノ酸配列からなることを特徴とする、抗アセチル化ヒストンH4抗体。
[2] さらに、重鎖定常部及び/又は軽鎖定常部を含む、前記[1]の抗アセチル化ヒストンH4抗体。
[3] 免疫グロブリン、Fabフラグメント抗体、F(ab')フラグメント抗体、又は一本鎖抗体である、前記[1]又は[2]の抗アセチル化ヒストンH4抗体。
[4] クロマチンを含む被検試料に対して、前記[1]〜[3]のいずれかの抗アセチル化ヒストンH4抗体を用いてクロマチン免疫沈降塩基配列決定法を行うことにより、一のヌクレオソーム中のヒストンH4のLys5とLys8の2箇所が共にアセチル化された状態のクロマチン領域を検出することを特徴とする、クロマチンの解析方法。
[5] 被検者から採取されたクロマチンを含む被検試料に対して、前記[1]〜[3]のいずれかの抗アセチル化ヒストンH4抗体を用いてクロマチン免疫沈降塩基配列決定法を行うことにより、一のヌクレオソーム中のヒストンH4のLys5とLys8の2箇所が共にアセチル化された状態のクロマチン領域を検出し、当該クロマチン領域に含まれるゲノムDNA上にコードされている遺伝子を検出し、がん患者において発現量が高くなっている遺伝子が検出された場合には、前記被験者はがんを発症している可能性が高いと評価することを特徴とする、がん発症可能性評価することを補助する方法。
本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体は、Lys5とLys8の両方がアセチル化されたヒストンH4を、Lys5はアセチル化されているがLys8はアセチル化されていないヒストンH4、Lys5はアセチル化されていないがLys8はアセチル化されているヒストンH4、及びLys5とLys8の両方ともアセチル化されていないヒストンH4から識別して認識することができる。このため、当該抗アセチル化ヒストンH4抗体を用いることにより、一のヌクレオソーム中のヒストンH4のLys5とLys8の両方がアセチル化された状態のクロマチン領域を検出することができる。
実施例1において行ったELISAにおいて、取得したクローン1A9D7のハイブリドーマ培養上清のヒストンH4タンパク質に対する結合力価の結果を示した図である。 実施例1において行ったELISAにおいて、取得したクローン2A7D9のハイブリドーマ培養上清のヒストンH4タンパク質に対する結合力価の結果を示した図である。 実施例1において、各種ヒストンH4タンパク質に対して、クローン1A9D7及びクローン2A7D9のハイブリドーマ培養上清中の抗体を一次抗体として行ったウェスタンブロットの結果を示した図である。 実施例2において行った各抗体を用いたChIP−seqにおいて、VDAC2遺伝子の近傍領域で検出されたクロマチン領域ピークを示した図である。 実施例2において行った各抗体を用いたChIP−seqにおいて、Runx1遺伝子、c−Myc遺伝子、及びNotch1遺伝子の近傍領域で検出されたクロマチン領域ピークを示した図である。 実施例3において行ったELISAにおいて、クローン2A7D9の培養上清中の抗体を用いて細胞染色を行った染色像である。 実施例1において取得したクローン1A9D7のハイブリドーマ培養上清中の、ヒストンH4のLys5とLys8の両方がアセチル化された状態を認識するマウスモノクローナル抗体の重鎖可変部(VH)及び軽鎖可変部(VL)のアミノ酸配列を示した図である。 実施例1において取得したクローン2A7D9のハイブリドーマ培養上清中の、ヒストンH4のLys5とLys8の両方がアセチル化された状態を認識するマウスモノクローナル抗体の重鎖可変部(VH)及び軽鎖可変部(VL)のアミノ酸配列を示した図である。 実施例4において、クローン1A9D7が分泌生産する抗体のFabフラグメントとヒストンH4のテイルペプチドとの複合体(1A9D7−Fabペプチド複合体)の結晶構造を示した図である。 実施例4において、クローン2A7D9が分泌生産する抗体のFabフラグメントとヒストンH4のテイルペプチドとの複合体(2A7D9−Fabペプチド複合体)の結晶構造を示した図である。 図6Aの結晶構造のうち、ヒストンH4のテイルペプチドのN末端付近の拡大図である。 図6Bの結晶構造のうち、ヒストンH4のテイルペプチドのN末端付近の拡大図である。
本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体は、Lys5とLys8の両方がアセチル化されたヒストンH4を認識し、特異的に結合する抗体である。このため、本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体を用いることにより、Lys5とLys8の両方がアセチル化されたヒストンH4を、Lys5はアセチル化されているがLys8はアセチル化されていないヒストンH4、Lys5はアセチル化されていないがLys8はアセチル化されているヒストンH4、及びLys5とLys8の両方ともアセチル化されていないヒストンH4から識別して検出することができる。
なお、本発明及び本願明細書中、特に記載のない限り、「Lys5」は、ヒストンH4がヒトのヒストンH4の場合にはN末端から5番目のリジン残基を意味し、ヒストンH4がヒト以外の生物種由来のヒストンH4の場合には、ヒトヒストンH4の5番目のリジン残基に相当するリジン残基を意味する。同様に、「Lys8」は、ヒストンH4がヒトのヒストンH4の場合にはN末端から8番目のリジン残基を意味し、ヒストンH4がヒト以外の生物種由来のヒストンH4の場合には、ヒトヒストンH4の8番目のリジン残基に相当するリジン残基を意味する。
本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体は、特定のアミノ酸配列を含む重鎖可変部と、特定のアミノ酸配列を含む軽鎖可変部の少なくとも一方を含む。本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体としては、抗体の重鎖可変部と軽鎖可変部を少なくとも1つずつ含むものが好ましい。
重鎖可変部と軽鎖可変部は、いずれも3つのCDR(相補性決定領域)と4つのFR(フレームワーク領域)がある。重鎖可変部の3つのCDRは、N末端側から順にCDRH1、CDRH2、CDRH3という。軽鎖可変部の3つのCDRは、N末端側から順にCDRL1、CDRL2、CDRL3という。後記実施例におけるX線結晶構造解析の結果に示すように、本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体は、CDRH1、CDRH3、CDRL2、及びCDRL3において、Lys5とLys8の両方がアセチル化されたヒストンH4を特異的に認識して結合する。
本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体が含む重鎖可変部は、配列番号5で表されるアミノ酸配列(GYTFTDYSMH)からなるCDRH1と、配列番号8で表されるアミノ酸配列(RDY)からなるCDRH3を有している。また、本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体が含む軽鎖可変部は、配列番号11で表されるアミノ酸配列(YTSTLQP)からなるCDRL2と、配列番号12で表されるアミノ酸配列(LQYDNLRT)からなるCDRL3を有している。本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体は、CDRH1、CDRH3、CDRL2、及びCDRL3がこれらの特定のアミノ酸配列からなることにより、Lys5とLys8の両方がアセチル化されたヒストンH4を特異的に認識できる。
本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体が含む重鎖可変部のCDRH2としては、CDRH1、CDRH3、CDRL2、及びCDRL3による、Lys5とLys8の両方がアセチル化されたヒストンH4に対する結合特異性(以下、「K5acK8ac結合特異性」ということがある。)を損なわないペプチドであれば特に限定されるものではない。CDRH2としては、例えば、配列番号6で表されるアミノ酸配列(WINTETGEPTYADDFKG)からなるペプチド、又は配列番号7で表されるアミノ酸配列(WINTATGEPTYADDFKG)からなるペプチド等が挙げられる。
本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体が含む軽鎖可変部のCDRL1としては、CDRH1、CDRH3、CDRL2、及びCDRL3によるK5acK8ac結合特異性を損なわないペプチドであれば特に限定されるものではない。CDRL1としては、例えば、配列番号9で表されるアミノ酸配列(RASQDINNYIA)からなるペプチド、又は配列番号10で表されるアミノ酸配列(KASQDINKYIA)からなるペプチド等が挙げられる。
本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体が含む重鎖可変部のFRとしては、CDRH1、CDRH3、CDRL2、及びCDRL3によるK5acK8ac結合特異性を損なわず、かつFRとして機能するポリペプチドであれば特に限定されるものではない。当該FRとしては、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ、ウシ等の様々な動物のB細胞又は形質細胞が産生する抗体の重鎖可変部のFRをそのまま用いることができる。また、これらの天然由来の重鎖可変部のFRの1又は複数のアミノ酸残基を欠失、置換又は付加したポリペプチドであってもよい。欠失等させるアミノ酸残基の数は、10個以下が好ましく、5個以下がより好ましい。また、欠失等させるアミノ酸残基の数は、これらの天然由来の重鎖可変部のFRのアミノ酸配列と、80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列となるように調節することが好ましく、85%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列となるように調節することがより好ましく、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列となるように調節することがさらに好ましく、95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列となるように調節することがよりさらに好ましい。
本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体が含む重鎖可変部としては、具体的には、配列番号1若しくは2で表されるアミノ酸配列、又は、配列番号1若しくは2で表されるアミノ酸配列のうち、第26〜35番目及び第98〜100番目のアミノ酸残基以外の領域において1若しくは数個のアミノ酸が置換、付加、若しくは欠失したアミノ酸配列と80%以上100%未満の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドが挙げられる。また、配列番号1若しくは2で表されるアミノ酸配列のうち、第26〜35番目、第50〜66番目、及び第98〜100番目のアミノ酸残基以外の領域において1若しくは数個のアミノ酸が置換、付加、若しくは欠失したアミノ酸配列と80%以上100%未満の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドも挙げられる。なお、配列番号1若しくは2で表されるアミノ酸配列のうち、第26〜35番目のアミノ酸からなる領域はCDRH1であり、第50〜66番目のアミノ酸からなる領域はCDRH2であり、第98〜100番目のアミノ酸からなる領域はCDRH3である。
本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体が含む軽鎖可変部のFRとしては、CDRH1、CDRH3、CDRL2、及びCDRL3によるK5acK8ac結合特異性を損なわず、かつFRとして機能するポリペプチドであれば特に限定されるものではない。当該FRとしては、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ、ウシ等の様々な動物のB細胞又は形質細胞が産生する抗体の軽鎖可変部のFRをそのまま用いることができる。また、これらの天然由来の軽鎖可変部のFRの1又は複数のアミノ酸残基を欠失、置換又は付加したポリペプチドであってもよい。欠失等させるアミノ酸残基の数は、10個以下が好ましく、5個以下がより好ましい。また、欠失等させるアミノ酸残基の数は、これらの天然由来の軽鎖可変部のFRのアミノ酸配列と、80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列となるように調節することが好ましく、85%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列となるように調節することがより好ましく、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列となるように調節することがさらに好ましく、95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列となるように調節することがよりさらに好ましい。
本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体が含む軽鎖可変部としては、具体的には、配列番号3若しくは4で表されるアミノ酸配列、又は、配列番号3若しくは4で表されるアミノ酸配列のうち、第50〜56番目及び第89〜96番目のアミノ酸残基以外の領域において1若しくは数個のアミノ酸が置換、付加、若しくは欠失したアミノ酸配列と80%以上100%未満の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドが挙げられる。また、配列番号3若しくは4で表されるアミノ酸配列のうち、第24〜34番目、第50〜56番目、及び第89〜96番目のアミノ酸残基以外の領域において1若しくは数個のアミノ酸が置換、付加、若しくは欠失したアミノ酸配列と80%以上100%未満の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドも挙げられる。なお、配列番号3若しくは4で表されるアミノ酸配列のうち、第24〜34番目のアミノ酸からなる領域はCDRL1であり、第50〜56番目のアミノ酸からなる領域はCDRL2であり、第89〜96番目のアミノ酸からなる領域はCDRL3である。
本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体は、重鎖可変部と軽鎖可変部がペプチドリンカーにより連結された一本鎖抗体のように、定常部を有さない抗体であってもよい。当該ペプチドリンカーのアミノ酸残基数、アミノ酸配列は、CDRH1、CDRH3、CDRL2、及びCDRL3によるK5acK8ac結合特異性を損なわないものであれば特に限定されるものではない。一般的には、当該ペプチドリンカーは、10〜30アミノ酸、好ましくは15〜25アミノ酸からなる。Lys5とLys8の両方がアセチル化されたヒストンH4を認識して結合する一本鎖抗体としては、例えば、配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドと、配列番号3又は4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをペプチドリンカーで連結したポリペプチドが挙げられる。
本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体は、重鎖可変部及び軽鎖可変部に加えて、さらに、重鎖定常部又はその一部を含んでいてもよく、軽鎖定常部又はその一部を含んでいてもよい。例えば、本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体としては、B細胞又は形質細胞から産生される免疫グロブリン(2本の重鎖と2本の軽鎖がジスルフィド結合により連結された抗体)であってもよく、免疫グロブリンをパパインで消化して得られるFabフラグメント抗体であってもよく、免疫グロブリンをペプシンで消化して得られるF(ab')フラグメント抗体であってもよい。なお、Lys5とLys8の両方がアセチル化されたヒストンH4を認識して結合するFabフラグメント抗体としては、例えば、既知のリコンビナントモノクローナルFabフラグメント抗体の重鎖可変部を配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列に、軽鎖可変部を配列番号3又は4で表されるアミノ酸配列にそれぞれ置換したタンパク質をコードする塩基配列を含む発現ベクターを作製し、当該発現ベクターを大腸菌等の発現系に導入してリコンビナントタンパク質を製造させることによって得られる。発現ベクターの作製及びリコンビナントタンパク質の製造は、リコンビナントモノクローナル抗体を製造する際に一般的に用いられる方法により行うことができる。
本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体が重鎖定常部又はその一部を含む場合、当該重鎖定常部は、α、δ、ε、γ、μのいずれのタイプであってもよい。また、本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体が軽鎖定常部又はその一部を含む場合、当該軽鎖定常部は、κ、λのいずれのタイプであってもよい。
本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体が重鎖定常部又はその一部を含む場合、当該重鎖定常部としては、CDRH1、CDRH3、CDRL2、及びCDRL3によるK5acK8ac結合特異性を損なわず、かつ重鎖定常部として機能するポリペプチドであれば特に限定されるものではない。当該重鎖定常部としては、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ、ウシ等の様々な動物のB細胞又は形質細胞が産生する抗体の重鎖定常部をそのまま用いることができる。また、これらの天然由来の重鎖定常部の1又は複数のアミノ酸残基を欠失、置換又は付加したポリペプチドであってもよい。欠失等させるアミノ酸残基の数は、10個以下が好ましく、5個以下がより好ましい。また、欠失等させるアミノ酸残基の数は、これらの天然由来の重鎖定常部のアミノ酸配列と、80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列となるように調節することが好ましく、85%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列となるように調節することがより好ましく、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列となるように調節することがさらに好ましく、95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列となるように調節することがよりさらに好ましい。
本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体が軽鎖定常部又はその一部を含む場合、当該軽鎖定常部としては、CDRH1、CDRH3、CDRL2、及びCDRL3によるK5acK8ac結合特異性を損なわず、かつ軽鎖定常部として機能するポリペプチドであれば特に限定されるものではない。当該軽鎖定常部としては、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ、ウシ等の様々な動物のB細胞又は形質細胞が産生する抗体の軽鎖定常部をそのまま用いることができる。また、これらの天然由来の軽鎖定常部の1又は複数のアミノ酸残基を欠失、置換又は付加したポリペプチドであってもよい。欠失等させるアミノ酸残基の数は、10個以下が好ましく、5個以下がより好ましい。また、欠失等させるアミノ酸残基の数は、これらの天然由来の軽鎖定常部のアミノ酸配列と、80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列となるように調節することが好ましく、85%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列となるように調節することがより好ましく、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列となるように調節することがさらに好ましく、95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列となるように調節することがよりさらに好ましい。
本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体がヒトの体内に直接投与される場合、当該抗体に含まれる重鎖定常部及び軽鎖定常部は、ヒトのB細胞等が産生する抗体の重鎖定常部及び軽鎖定常部であることが好ましい。また、当該抗体に含まれる重鎖可変部及び軽鎖可変部のFRは、ヒトのB細胞等が産生する抗体の重鎖可変部のFR及び軽鎖可変部のFRであることが好ましい。
本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体は、例えば、Lys5とLys8の2箇所が両方ともアセチル化されているヒストンH4の全長タンパク質を抗原としてモノクローナル抗体を製造することによって得られる。モノクローナル抗体の製造は、抗原タンパク質をマウス、ラット、ウサギ等の動物に免疫し、抗体産生細胞をハイブリドーマ化した後、目的の抗体を産生するハイブリドーマをスクリーニングする常法により行うことができる。また、遺伝子組換え技術を用いて、大腸菌、酵母、糸状菌、昆虫細胞、哺乳細胞等の発現系を利用してリコンビナントタンパク質として製造することもできる。例えば、既知の抗体のCDRを組み換えることによっても製造できる。具体的には、アミノ酸配列が既知である抗体を、CDRH1を配列番号5で表されるアミノ酸配列に、CDRH2を配列番号6又は7で表されるアミノ酸配列に、CDRH3を配列番号8で表されるアミノ酸配列に、CDRL1を配列番号9又は10で表されるアミノ酸配列に、CDRL2を配列番号11で表されるアミノ酸配列に、CDRL3を配列番号12で表されるアミノ酸配列に、それぞれ置換させたポリペプチドを大腸菌等の発現系で発現させることによって、Lys5とLys8の2箇所が両方ともアセチル化されているヒストンH4を特異的に認識する抗体を製造できる。
本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体は、CDRH1、CDRH3、CDRL2、及びCDRL3によるK5acK8ac結合特異性を損なわない範囲において、アセチル化ヒストンH4との結合には関与しない他の機能分子を含んでいてもよい。当該他の機能分子としては、ペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリフォスファターゼ(AP)等の酵素、蛍光物質、ビオチン等の低分子、ポリエチレングリコール等の高分子等が挙げられる。重鎖可変部、軽鎖可変部等のアセチル化ヒストンH4と結合する領域と当該他の機能分子は、直接連結されていてもよく、適当な長さのペプチドリンカーによって連結されていてもよい。また、本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体は、ビーズ、チップ等の固相担体に、直接又は間接的に結合されていてもよい。
本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体は、他の抗体と同様に、ウェスタンブロッティング、ELISA法、免疫沈降法、免疫染色法、ChIP等の免疫反応を利用した様々な方法に使用することができる。これらの方法は、本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体を用いる以外は、常法により行うことができる。なお、ヒストンH4のN末端(1〜20番目)は、ヒト、マカク、ヒヒ、マウス、ラット、カエル等の動物のみならず、シロイヌナズナ、タバコ等の植物、線虫、分裂酵母、出芽酵母等の微生物において、広く保存されている。このため、本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体は、ヒトを含むほぼ全ての真核生物種に由来するアセチル化ヒストンH4(Lys5とLys8の2箇所が両方ともアセチル化されているヒストンH4)の検出に使用できる。
本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体を用いてChIP−seq法を行うことにより、クロマチン中の一のヌクレオソーム内のLys5とLys8の両方がアセチル化されたヒストンH4と特異的に結合して検出できる。すなわち、本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体により、ゲノム中のヒストンH4がLys5とLys8の両方がアセチル化された状態を、一のヌクレオソーム分解能で高感度に検出することができる。このため、本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体は、エピジェネティクス解析、クロマチンの構造解析、遺伝子発現解析等の基礎研究分野におけるクロマチン解析ツールとして非常に有用である。
特に、ヒストンH4のLys5とLys8の両方のアセチル化は、遺伝子発現が非常に活発なクロマチン領域で観察されることから、本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体を用いたChIP−seq法により、特定細胞のゲノムにおいて遺伝子発現が非常に活発なクロマチン領域(超活性クロマチン領域)、当該領域にコードされる構造遺伝子、遺伝子発現制御領域(エンハンサー等)等を検出し解析することができる。具体的には、クロマチンを含む被検試料に対して、本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体を用いてChIP−seq法を行うことにより、一のヌクレオソーム中のヒストンH4のLys5とLys8の2箇所が共にアセチル化された状態のクロマチン領域を検出することにより、クロマチンを解析することができる。
特定の疾患では、特定の遺伝子の発現量が高くなる傾向にある。このため、各種がん細胞や疾患関連細胞から抽出されたクロマチンについて、本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体を用いたChIP−seq法を行い、超活性クロマチン領域及び当該領域にコードされている遺伝子を調べることにより、がんやエピジェネティクス異常が関わる疾病の診断バイオマーカーとしても有用である。本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体が診断バイオマーカーとして用いられるがんとしては、肺癌、NMC(ナット正中癌)、多発性骨髄腫等のエピジェネティクス関連の難治性がん等が挙げられる。
具体的には、被検者から採取されたクロマチンを含む被検試料に対して、本発明に係る抗アセチル化ヒストンH4抗体を用いてChIP−seq法を行うことにより、一のヌクレオソーム中のヒストンH4のLys5とLys8の2箇所が共にアセチル化された状態のクロマチン領域を検出し、当該クロマチン領域に含まれるゲノムDNA上にコードされている遺伝子を検出する。がん患者において発現量が高くなっている遺伝子が検出された場合には、当該被験者はがんを発症している可能性が高いと評価できる。ChIP−seq法は常法により行うことができる。
次に、実施例等により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[実施例1]
<モノクローナル抗体の作製>
Lys5とLys8の2箇所が両方ともアセチル化されているヒトのヒストンH4(以下、「ヒトのヒストンH4のうち、アセチル化されていないもの」は単に「H4」ということがある。)の全長タンパク質を抗原として、マウスモノクローナル抗体を作製した。
具体的には、抗原タンパク質として、Lys5とLys8の2箇所が両方ともアセチル化されているヒストンH4(以下、「H4−K5acK8ac」ということがある。)のHisタグ付き全長タンパク質を用いた。H4−K5acK8acは、向井らの方法(Mukai, T. et al., Biochemical and biophysical research communications, vol.411, p.757-761,doi:Doi 10.1016/J.Bbrc.2011.07.020 (2011))に従い、大腸菌由来抽出液を用いた無細胞タンパク質発現系で製造した。得られた抗原タンパク質を、1mg/mLの濃度で50μLずつ、マウスに免疫した。免疫から24日間後に、免疫したマウスのリンパ節細胞を用いてハイブリドーマライブラリーを作製した。これらのハイブリドーマクローンのうち、H4−K5acK8acに特異的に結合する抗体を産生するクローンの有無を調べるために、ELISAプレートにHisタグ付きヒストンH4タンパク質を固定し、各培養上清のELISA反応性がアセチル化リジンの位置及び組み合わせに特異的かどうかを調べた。ELISAプレートへのHisタグ付きヒストンH4タンパク質の固定化は、H4、Lys5のみがアセチル化されているH4(以下、「H4−K5ac」ということがある。)、Lys8のみがアセチル化されているヒストンH4(以下、「H4−K8ac」ということがある。)、H4−K5acK8ac、及びLys8とLys12の2箇所が両方ともアセチル化されているヒストンH4(以下、「H4−K8acK12ac」ということがある。)の5種類のヒトのヒストンH4タンパク質のHisタグ付き全長タンパク質について、それぞれPBSバッファーに溶解したタンパク質溶液(1μg/mL)を調製し、各タンパク質溶液をELISAプレートに1日静置することにより行った。また、培養ハイブリドーマ上清の100倍希釈溶液をそれぞれ調製し、それをさらに3倍ずつ希釈系列を作製し、前記の各種のヒストンH4を固定したELISAプレートを用いてハイブリドーマ培養上清のヒストンH4に対する結合力価を調べた。この結果、H4−K5acK8acに対してのみ特異的に結合するマウスモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマとして、1A9D7株及び2A7D9株の2種類のクローンを得た。取得したハイブリドーマの1A9D7株及び2A7D9株のそれぞれの結果を図1に示す。図1A及び図1Bの横軸は、培養上清の希釈倍率を示し、縦軸は495nmの吸光度値を示す。図1に示すように、クローン1A9D7及びクローン2A7D9の培養上清抗体が、H4−K5acK8acに対して特異的に反応した。
<ウェスタンブロッティング法によるH4−K5acK8acの検出>
クローン1A9D7及びクローン2A7D9の培養上清抗体が、ウェスタンブロッティング法でH4−K5acK8acタンパク質を特異的に検出できることを示した。
まず、抗原タンパク質として、H4(非アセチル化タンパク質)、H4−K5ac、H4−K8ac、H4−K5acK8ac、Lys8とLys12とLys16の3箇所が全てアセチル化されているヒストンH4(以下、「H4−K8acK12acK16ac」ということがある。)、Lys5とLys12とLys16の3箇所が全てアセチル化されているヒストンH4(以下、「H4−K5acK12acK16ac」ということがある。)、及びLys5とLys8とLys12とLys16の4箇所が全てアセチル化されているヒストンH4(以下、「H4−K5acK8acK12acK16ac」ということがある。)のHisタグ付き全長タンパク質を大腸菌由来抽出液を用いた無細胞タンパク質発現系で製造した。それぞれのH4タンパク質をNiアフィニティーレジン及び陽イオン交換カラムクロマトグラフィーにより精製したのち、100ngずつをSDS−PAGEにより展開した後にPVDF膜へ転写した。このPVDF膜に、クローン1A9D7又は2A7D9のハイブリドーマ細胞の培養上清を100倍希釈した一次抗体を用いてウェスタンブロッティングを行い、アセチル化H4タンパク質の検出を実施した。SDS−PAGEにより展開したゲルのCBB染色像とウェスタンブロットの結果を図2に示す。図2中、「1A9D7」は、クローン1A9D7の培養上清中の抗体を一次抗体としたウェスタンブロットの結果であり、「2A7D9」は、クローン2A7D9の培養上清中の抗体を一次抗体としたウェスタンブロットの結果である。また、各図中、各レーンに泳動したタンパク質は次の通りである;レーン1:H4(非アセチル化タンパク質)、レーン2:H4−K5ac、レーン3:H4−K85ac、レーン4:H4−K5acK8ac、レーン5:H4−K8acK12acK16ac、レーン6:H4−K5acK12acK16ac、レーン7:H4−K5acK8acK12acK16ac。図2に示すように、作製した2つのクローンが産生する抗体は、ともに、ヒストンH4のLys5とLys8の一方がアセチル化されているタンパク質に対しては結合しないか若しくは結合しても極めて弱く、Lys5とLys8が両方ともアセチル化されているタンパク質に特異的に強く結合した。
[実施例2]
ヒト肺がん由来培養細胞株であるH23細胞から抽出されたクロマチンに対して、実施例1において取得されたクローン1A9D7及びクローン2A7D9の培養上清抗体を用いて、ChIP−seqを行った。
まず、培養皿内の約1×10個のH23細胞を1%ホルムアルデヒド溶液で浸漬させ、10分間クロスリンクさせた。次いで、当該培養皿内の細胞から細胞核を分離した後、超音波ホモジナイザーCovaris S220(Covaris社製)を用いてクロマチンDNAの平均DNA長が200bpになるように細胞核中のDNAを剪断した。断片化したクロマチンDNAを洗浄した後、実施例1において取得されたクローン1A9D7又はクローン2A7D9の培養上清抗体を用いてクロマチンDNAを免疫沈降させた。
次いで、次世代シークエンサー技術用のDNAライブラリー調製は、NuGEN Mondrian装置を用いて2ngのDNAを10サイクル増幅して行った。このDNAライブラリーを用いたDNAの塩基配列決定は、シークエンサーHiSeq2500(Illumina社製)を用いた。マッピングとピークコーリングは、それぞれBWAとMACS2を用いて解析した。
ChIP−seq法では、比較対照のために、抗H4−K5ac抗体(製品番号:MABI0405)、抗H4−K8ac抗体(製品番号:MABI0408)、及び抗H3K27ac抗体(いずれも、株式会社医学生物学研究所製)を用いて同様に実験した。なお、「H3K27ac」は、「Lys27がアセチル化されているヒストンH3」を表す。
各抗体を用いた実験は、それぞれ独立して2回行った。この結果、抗体で免疫沈降されたDNAが基準より30倍以上濃縮されたピーク(遺伝子)が、クローン1A9D7の培養上清抗体では、1回目の実験では1282ピーク、2回目の実験では1017ピークであり、クローン2A7D9の培養上清抗体では、1回目の実験では1564ピーク、2回目の実験では972であった。それぞれのピークに対して、ピークが存在するヒト染色体の名称、ピークの開始位置と終止位置、濃縮の度合い(fold enrichment)、転写開始位置(+1)に最も近い遺伝子の名称とその転写開始位置との距離(bp)等を調べた。
図3A及び3Bに、クローン1A9D7の培養上清抗体で検出されたクロマチン領域ピークの検出例として、VDAC2遺伝子、Runx1遺伝子、c−Myc遺伝子、及びNotch1遺伝子の近傍領域を示した。これらの結果から、クローン1A9D7及びクローン2A7D9の培養上清抗体が、どちらも、ChIP−seqを実施可能なほど抗原に対する認識特異性と感度が高く、肺がん細胞で活性化したクロマチンの位置を高感度で識別できることが示された。
[実施例3]
ヒトグリオブラストーマ由来培養細胞株であるU87−MG細胞に対して、実施例1において取得されたクローン1A9D7及びクローン2A7D9の培養上清抗体を用いて、細胞免疫染色を行い、Lys5とLys8の2箇所が両方ともアセチル化されている状態のヒストンH4タンパク質の細胞内局在を調べた。
接着培養したU87−MG細胞に対して、培養上清を除去した後に4% パラホルムアルデヒド溶液で30分間処理することにより固定化した。この固定化細胞をPBSバッファーで洗浄した後、0.4% Triton X−100で処理することにより、細胞を膜透過性にした。膜透過処理後の細胞を、クローン2A7D9の培養上清を1/300倍に希釈した抗体溶液と混合して室温で約12時間静置した後、PBSバッファーで3回洗浄した。洗浄後の細胞を、1/300倍に希釈したanti−mouse Alexa Fluor 546(Invitrogen社製、製品番号:11003)溶液DAPIを添加した溶液と混合して室温で2時間、暗所で静置した後、PBSバッファーで3回洗浄した。洗浄後の細胞を、共焦点顕微鏡(Zeiss LSM 510)で可視化してデジタル画像を取得した。図4に、クローン2A7D9の培養上清抗体による染色像(左図)、DAPIによる核染色像(中図)、及び透過光画像(右図)を示す。図4に示すように、クローン2A7D9の培養上清抗体により染色されたH4−K5acK8acは、細胞内局在が細胞核に限局され、細胞核内領域の大部分と一致した。
[実施例4]
実施例1において取得されたクローン1A9D7及びクローン2A7D9の培養上清抗体と、H4−K5acK8acのN末端のテイルペプチドとのX線結晶構造解析を行った。
<Fabフラグメント抗体の調製>
ハイブリドーマ(クローン1A9D7及びクローン2A7D9)を500mLのGIT培地で培養し、その培養上清に含まれるIgGをProtein Gカラムで回収した。溶出は、0.1 M Glycine−HCl(pH 2.7)で行い、1M Tris−HCl(pH 9.0)を加えて中和した。次に、純度を高めるために、IgGを陰イオン交換カラム(HiTrap Q)で精製した。陰イオン交換では、吸着したIgGをAバッファー[20mM Tris−HCl(pH8.5),10mM NaCl]で洗浄した後、Bバッファー[20mM Tris−HCl(pH8.5),1000mM NaCl]へ0〜100%、20CVのグラジエントをかけて、IgGを溶出させた。次に、IgGのパパイン消化を行った。予めシステインを添加して活性化したパパインビーズをIgGに添加して、37℃で9時間反応を行った。反応終了後、反応液を6000rpmで10分間遠心分離処理した後、0.45μmのフィルターを通すことによってパパインビーズを除去した。パパイン消化物をProtein Aカラムに通し、素通り画分を回収することでFabフラグメントを得た。最後にFabフラグメントをゲルろ過カラム(Hiload 16/600 Superdex 200)で精製した。溶媒は、Cバッファー[20mM Tris−HCl(pH8.0),150mM NaCl]を用いた。精製したFabフラグメントを限外ろ過で濃縮したものを、以降の結晶化実験に用いた。
<軽鎖可変部(VL)と重鎖可変部(VH)のアミノ酸配列の同定>
クローン1A9D7及びクローン2A7D9から得られたFabフラグメントのうち、VLとVHのアミノ酸配列を、cDNAの塩基配列解析により決定した。図5Aにクローン1A9D7が分泌生産するマウスモノクローナル抗体の重鎖可変部(配列番号1)と軽鎖可変部のアミノ酸配列(配列番号3)を、図5Bにクローン2A7D9が分泌生産するマウスモノクローナル抗体の重鎖可変部(配列番号2)と軽鎖可変部(配列番号4)のアミノ酸配列を、それぞれ示す。この結果、CDRH1、CDRH3、CDRL2、及びCDRL3は、両クローン由来の抗体で同一のアミノ酸配列であったが、CDRH2は、5番目のアミノ酸が、クローン1A9D7の抗体ではグルタミン酸(E)であり、クローン2A7D9ではアラニン(A)であり、1個のアミノ酸が相違していた。また、CDRL1も、1番目のアミノ酸が、クローン1A9D7の抗体ではアルギニン(R)であり、クローン2A7D9ではリジン(K)であり、8番目のアミノ酸が、クローン1A9D7の抗体ではアスパラギン(N)であり、クローン2A7D9ではリジン(K)であり、2個のアミノ酸が相違していた。
<Fabフラグメントの結晶化>
ヒトヒストンH4の第1〜12番目のアミノ酸からなり、Lys5とLys8がいずれもアセチル化されているペプチド(SGRGKacGGKacGLGK:Kacは側鎖アセチル化のリジンを示す。)を、化学合成で合成した。合成されたテイルペプチドとFabフラグメントを2:1のモル比で混合して結晶化を行った。結晶化は、市販の結晶化スクリーニングキットを用いて行った。複数の条件で結晶が得られたが、以下の条件で得られた結晶が最も高い分解能を示したため、これらを構造解析に用いた。
クローン1A9D7が分泌生産する抗体のFabフラグメントとテイルペプチドとの複合体(1A9D7−Fabペプチド複合体)の結晶化条件:0.1M Imidazole(pH6.5), 0.15M Zinc acetate,17.5%(w/v) PEG3000。
クローン2A7D9が分泌生産する抗体のFabフラグメントとテイルペプチドとの複合体(2A7D9−Fabペプチド複合体)の結晶化条件:0.1M BisTris−HCl(pH8.0),0.2M Ammonium acetate,25%(w/v) PEG3350。
<X線結晶構造解析>
得られた複合体の結晶について、放射光施設SPring−8のビームラインBL26B2にて反射データを測定した。データセット測定のパラメーターは以下の通りである。
カメラ長:150mm、
波長:1Å、
照射時間:4秒間、0−180度(0.5度きざみ)。
回折データの指数付けからスケーリングまでは、HKL2000プログラムを用いて行った。位相は、PDB ID:1FJ1をモデルとして、Phaser MRプログラムを用いて分子置換法によって決定した。構造の精密化は、Phenix RefineとCootプログラムで行った。精密化した結晶構造の分解能は、1A9D7−Fabペプチド複合体が1.9Å、2A7D9−Fabペプチド複合体が1.8Åであった。1A9D7−Fabペプチド複合体の結晶構造を図6Aに、2A7D9−Fabペプチド複合体の結晶構造を図6Bに、それぞれ示す。また、図6A及び図6Bの結晶構造のうち、ヒストンH4のテイルペプチドのN末端付近の拡大図を、それぞれ図7A及び図7Bに示す。
両者の構造解析の結果から、クローン1A9D7が分泌生産する抗体とクローン2A7D9が分泌生産する抗体のいずれも、CDRH1、CDRH3、CDRL2、及びCDRL3において、ヒストンH4のLys5及びLys8がアセチル化された領域を認識して結合することがわかった。複合体の結晶では、両抗体でアミノ酸配列が異なっていたCDRH2及びCDRL1は、いずれも、ヒストンH4のテイルペプチドから離れた位置に存在した。
また、図7Bに示すように、クローン2A7D9の抗体のFabフラグメントは、ヒストンH4テイルペプチドの1番目のセリン(S1)から8番目のアセチル化されたリジン(K8ac)までの領域を認識していた。また、クローン2A7D9の抗体の重鎖可変部の53番目のスレオニン(T53)のアミノ基は、ヒストンH4テイルペプチドN末端の1番目のセリンの側鎖と水素結合しており、軽鎖可変部の52番目のアスパラギン(N52)の側鎖は、ヒストンH4テイルペプチドN末端の1番目のセリンのアミノ基と水素結合している。このように、ヒストンH4テイルの1番目のセリンの認識に特異的に関わるクローン2A7D9が分泌生産する抗体中のアミノ酸が特定できた。
図7Aに示すように、クローン1A9D7の抗体のFabフラグメントは、ヒストンH4テイルペプチドの4番目のグリシン(G4)から8番目のアセチル化されたリジン(K8ac)までの領域を認識していた。ヒストンH4ペプチドのN末端の領域(1〜3番目のアミノ酸残基)を認識しないのは、重鎖可変部の54番目のアミノ酸残基が、クローン2A7D9の抗体ではアラニン(A54)であるのに対して、クローン1A9D7の抗体ではグルタミン酸(E54)であるため、ヒストンH4テイルペプチドのN末端が入り込みにくい構造を形成しているためである。
クローン2A7D9が分泌生産する抗体のほうが、クローン1A9D7が分泌生産する抗体よりもヒストンH4のN末端の認識領域が広いため、Lys5及びLys8がアセチル化されたヒストンH4に対する結合特異性がより優れていると期待できる。
<Fabフラグメントの全長のアミノ酸配列の決定>
クローン1A9D7及びクローン2A7D9から得られたFabフラグメントについて、マウスモノクローナル抗体アイソタイプ判定試薬(IsoQuick(登録商標) Kit for mouse Monoclonal Isotyping;SIGMA−ALDRICH社製、製品番号:IS0Q5−1KT)を用いて判定したところ、両FabフラグメントともIgG2b/κのサブクラスと決定した。そこで、各フラグメントと抗原ペプチドとの複合体血漿構造を、IgG2b/κのFab(PDBID:1FJ1)をサーチモデルとして分子置換法で決定した結果、両Fabフラグメントの電子密度マップのアミノ酸配列は、PDBID:1FJ1のCH1及びCLのアミノ酸配列とどちらも齟齬がなく、完全に一致した。従って、クローン1A9D7及びクローン2A7D9から得られたFabフラグメントのCH1及びCLのアミノ酸配列は、マウスIgG2b/κのアミノ酸配列と同一と決定した。クローン1A9D7とクローン2A7D9から得られたFabフラグメントのうち、重鎖(VH−CH1)(IgG2b)と軽鎖(κ)のアミノ酸配列をそれぞれ表1に示す。

Claims (5)

  1. ヒストンH4のLys5及びLys8がアセチル化されたアセチル化ヒストンH4を認識し、重鎖可変部及軽鎖可変部を含み、
    前記重鎖可変部が、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるCDRH1と、配列番号6で表されるアミノ酸配列又は配列番号7で表されるアミノ酸配列からなるCDRH2と、配列番号8で表されるアミノ酸配列からなるCDRH3とを有しており、かつ、配列番号1若しくは2で表されるアミノ酸配列、又は、配列番号1若しくは2で表されるアミノ酸配列のうち、第26〜35番目、第50〜66番目、及び第98〜100番目のアミノ酸残基以外の領域のアミノ酸配列と90%以上100%未満の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、
    前記軽鎖可変部が、配列番号9で表されるアミノ酸配列又は配列番号10で表されるアミノ酸配列からなるCDRL1と、配列番号11で表されるアミノ酸配列からなるCDRL2と、配列番号12で表されるアミノ酸配列からなるCDRL3とを有しており、かつ、配列番号3若しくは4で表されるアミノ酸配列、又は、配列番号3若しくは4で表されるアミノ酸配列のうち、第24〜34番目、第50〜56番目、及び第89〜96番目のアミノ酸残基以外の領域のアミノ酸配列と90%以上100%未満の配列同一性を有するアミノ酸配列からなることを特徴とする、抗アセチル化ヒストンH4抗体。
  2. さらに、重鎖定常部及び/又は軽鎖定常部を含む、請求項1記載の抗アセチル化ヒストンH4抗体。
  3. 免疫グロブリン、Fabフラグメント抗体、F(ab')フラグメント抗体、又は一本鎖抗体である、請求項1又は2に記載の抗アセチル化ヒストンH4抗体。
  4. クロマチンを含む被検試料に対して、請求項1〜のいずれか一項に記載の抗アセチル化ヒストンH4抗体を用いてクロマチン免疫沈降塩基配列決定法を行うことにより、一のヌクレオソーム中のヒストンH4のLys5とLys8の2箇所が共にアセチル化された状態のクロマチン領域を検出することを特徴とする、クロマチンの解析方法。
  5. 被検者から採取されたクロマチンを含む被検試料に対して、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗アセチル化ヒストンH4抗体を用いてクロマチン免疫沈降塩基配列決定法を行うことにより、一のヌクレオソーム中のヒストンH4のLys5とLys8の2箇所が共にアセチル化された状態のクロマチン領域を検出し、当該クロマチン領域に含まれるゲノムDNA上にコードされている遺伝子を検出し、がん患者において発現量が高くなっている遺伝子が検出された場合には、前記被験者はがんを発症している可能性が高いと評価することを特徴とする、がん発症可能性評価することを補助する方法。
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