JP2004166659A - ヒストンアセチル化酵素活性の調節による遺伝子組換え頻度の制御 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】遺伝子操作が比較的容易な細胞(例えば、酵母細胞など)を選択し、その細胞において組換えに関与すると思われるヒストンアセチル化酵素(例えば、Gcn5タンパク質)を同定し、該ヒストンアセチル化酵素の機能を改変することによって、該細胞内での染色体の組換え頻度を制御する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般には真核生物細胞における染色体組換え頻度を制御する技術に係り、より詳細には真核生物細胞中の染色体組換え頻度を制御する方法及び係る方法によって染色体組換え頻度が変化した真核生物細胞に関する。
【0002】
【従来の技術】
生物にとって染色体の組換えは、遺伝子の多様性を獲得し、その結果としてタンパク質の多様な活性を創出する上で最も重要なDNA代謝反応の一つである。従って、染色体の組換え頻度を制御することは、遺伝子の多様性又は安定性を獲得する上で、非常に重要な課題の一つである。
従来技術は、細胞内での組換えを活性化する系として、部位特異的組換え酵素Cre−loxを用いた系(例えば、非特許文献1参照。)、配列特異的エンドヌクレアーゼI−SceIを用いた系(例えば、非特許文献2参照。)などが存在する。Cre−loxの系はバクテリオファージP1から得られた38kDaの部位特異的リコンビナーゼであるCreを用いて、loxPサイトと呼ばれる特定部位間で組換えを行わせるものである。また、I−SceIの系は、出芽酵母由来のエンドヌクレアーゼであるI−SceIが、その認識サイトにおいてDNA二重鎖を切断し、DNA相同組換えを誘起する活性を利用したものである。しかしながら、これらの系では、組換えの調節に関わる配列をあらかじめ染色体に導入し、またCreあるいはI−SceIなどの組換え酵素を細胞内で発現させる必要があり、染色体の組換えを誘導するのは容易ではなかった。
一方、組換え活性を抑制する方法等については、組換え酵素の機能を生体内で欠損させることにより理論上は達成されるが、組換え酵素はDNA複製又は修復など他の重要な生命現象においても必須な因子である場合が多く、組換えのみを抑制することは非常に困難であった。
【0003】
【非特許文献1】
DiSanto等, 1995. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:377−381
【非特許文献2】
Rouet 等, 1994. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:6064−6068
【0004】
以上に加えて、ヒトなどの真核生物の組換えの制御を困難にしている要因として、クロマチン構造の存在が挙げられる。真核生物の細胞内DNAはクロマチン構造と呼ばれる高度に凝縮した構造体として存在している。クロマチン構造は、DNA代謝に関わる酵素群のDNAへの接近を立体的に阻害することから、DNA代謝に抑制的に作用する。従って、DNA代謝の際にはその反応を効率良く行うため、クロマチン構造が再編成を受け、DNAが露出した環境が現出される必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記事情に鑑みて、所望の染色体の組換え頻度を制御する方法がないかについて鋭意研究した結果、意外にも、細胞内のヒストンアセチル化酵素の活性を調節することで、染色体組換え頻度を制御することが可能になることを見出した。
よって、本発明は、一般には、真核生物細胞中の染色体の組換え頻度を制御する方法を提供することを目的とする。
また、本発明は上記方法によって染色体の組換え頻度が制御された真核生物細胞を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
しかして、本発明においては、真核生物細胞中での染色体組換え頻度を細胞内のヒストンアセチル化酵素の活性を抑制することで、染色体組換え頻度を制御する方法が提供される。また、かかる方法によって染色体組換え頻度が変化した真核生物細胞も提供される。
ヒストンのアセチル化はクロマチン構造の再編成を誘導するクロマチン修飾機構の一つであり、それを担うのが本発明に係るGcn5に代表されるヒストンアセチル化酵素である。ヒストンアセチル化酵素Gcn5は、公知の機能としてクロマチン構造をとったDNAからの転写を活性化させることが知られている(Brownelle等, 1996;Yang等, 1996)。しかしながら、これまでのところヒストンアセチル化酵素の活性に変更を加えることで、細胞内における染色体組換え頻度を制御することに関し、示唆的な報告も存在していない。上述したように、染色体の組換え頻度を上昇又は低下させることは、生物の保有する遺伝情報の多様性を高めたり又は遺伝情報の安定的な維持を行う上で非常に有力な手段となり得る。従って、本明細書中に開示される発明を利用することで、産業上利用可能な、例えば、発酵、醸造等に使用し得る酵母菌等に代表される細胞株の遺伝的多様性の獲得、又は細胞株の遺伝的安定性の維持において多大なる成果が得られるものと考えられる。
【0007】
本発明において使用できる真核生物細胞としては、遺伝子操作を行うことができるものであれば如何なるものでも使用可能であると思われるが、好適には遺伝子操作が比較的容易な酵母、さらに好適には分裂酵母が使用される。
本発明において使用できるヒストンアセチル化酵素は現実に活性を有し、その活性領域が明らかになるものであれば如何なるものも用いることが可能であると思われるが、好適にはGcn5であり、さらに好適には分裂酵母のGcn5であるSpGcn5が用いられる。
ヒストンアセチル化酵素の活性を抑制する方法としては、当業者において周知である如何なる手段でも可能であると思われるが、好ましくは対象のヒストンアセチル化酵素の活性部位に変異を加える方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のSpGcn5の機能欠損による染色体組換え頻度を低下させる方法は、染色体組換え頻度を制御する方法を一部に使用するものであるので、以下に詳細に説明する。
本発明に係る染色体組換え頻度を低下させる方法においては、遺伝子操作が比較的容易な細胞を選択し、その細胞において組換えに関与すると思われるヒストンアセチル化酵素を同定し、該ヒストンアセチル化酵素の機能を改変することによって、該細胞内での染色体の組換え頻度を制御する。
よって、以下では染色体組換えを誘導する細胞の選択、ヒストンアセチル化酵素のクローニング、ヒストンアセチル化酵素活性の測定、ヒストンアセチル化酵素の機能改変、対象の遺伝子座における組換え活性の測定方法等について順に説明する。
【0009】
1.染色体組換えを誘導する細胞の選択:
本発明における「真核生物細胞」とは、染色体の組換えが有る程度の頻度で生じているものを指し、宿主動物として好ましくは、遺伝子操作が比較的容易な、ショウジョウバエ、線虫、ニワトリ、酵母などであり、より好ましくは酵母、最も好ましくは分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)である。
【0010】
2.遺伝子クローニング:
(i)ヒストンアセチル化酵素の同定
本発明においては、ヒストンアセチル化酵素遺伝子に機能改変を導入するために、対象とする真核生物細胞由来のヒストンアセチル化酵素遺伝子を同定する。
ここで、「ヒストンアセチル化酵素」とはヒストンにアセチル基を転移させる酵素を意味し、例えば、ヒトのGcn5又はPCAF、出芽酵母のGcn5、分裂酵母のSpGcn5などであり、好適には出芽酵母のGcn5、分裂酵母のSpGcn5であり、最も好適には分裂酵母のSpGcn5である。すでに、該ヒストンアセチル化酵素をコードする遺伝子が同定され、遺伝子配列が公知の場合はその配列に基づいて適切なプローブ又はPCR用のプライマーを作製し、対象の細胞由来のcDNAライブラリー又はゲノムDNAに対しスクリーニングを行う。
また、対象とする細胞由来のヒストンアセチル化酵素遺伝子の遺伝子配列が公知でない場合は、公知の他の種、例えば、出芽酵母、ヒトなどのストンアセチル化酵素遺伝子配列を元にして、対象とする細胞由来のホモログを同定するために、対象細胞のcDNAライブラリーに対してスクリーニングを行い、核酸ハイブリダイゼーション及びクローニングに関する技術分野において周知の方法を用いて、低い、中程度又は高い緊縮性のハイブリダイゼーションにより得ることができる。ハイブダイゼーションの「緊縮性」は、当業者によって容易に決定され、一般的にプローブ長、洗浄温度、及び塩濃度に依存する経験的な条件である。当業者であれば、ホモログを同定するためのハイブリダイゼーションスクリーニングを行うにあたり、プローブの長さなどを考慮して、温度、イオン強度等を如何に調節するか容易に理解することができる。
さらに、対象とする細胞由来のORFのデーターベースが存在する場合には、該データーベースに対してBLASTサーチ等を行い既知のヒストンアセチル化酵素に対するホモログを同定することも可能である。この場合、検索された配列に基づいて該当する遺伝子全体を増幅するために適当なPCR用のプライマーを作製し、得られたPCR産物を適当なクローニング用のベクターに挿入することによって、目的のヒストンアセチル化酵素遺伝子をクローン化させることも可能である。
同定されたヒストンアセチル化酵素遺伝子は適当なクローニング用ベクター(例えば、pUC19など)にサブクローニングして配列確認を行う。
【0011】
(ii)ヒストンアセチル化酵素及びその変異体の発現
本発明では、対象のヒストンアセチル化酵素及びその変異体の活性をインヴィトロで確認し、作製した変異体核酸を用いて、対象細胞のヒストンアセチル化酵素変異体株を作出する。単離したヒストンアセチル化酵素遺伝子又はその変異体の発現に適した宿主細胞は、限定はしないが、原核生物では、大腸菌(E.coli)、バチラス・ズブチリス(B.subtilis)等、酵母では、サッカロミセス・セレビシエ(S.cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(S.pombe)等、動物細胞ではCOS−7、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、等、昆虫細胞ではSf9、Sf21細胞などが含まれる。
大腸菌内で発現させる場合に利用可能なプロモーターには、限定はしないが、trpプロモーター、lacプロモーター、及びT7プロモーターなどが利用される。
また、酵母内で発現させる場合に利用可能なプロモーターには、限定はしないが、gal1プロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが含まれる。
動物細胞内で発現させる場合に利用可能なプロモーターには、限定はしないが、SV40プロモーター、ヒト・サイトメガロウィルス初期(CMVIE)プロモーター、LTRプロモーターなどが含まれる。
各宿主細胞へ発現ベクターの導入法は、当業者にとって周知の方法であれば如何なる方法でも可能である。例えば、大腸菌内で発現させる場合は、カルシウムイオン法(Cohen等, 1972)、エレクトロポレーション法(Shigekawa及びDower,1988)等、酵母内で発現させる場合は、酢酸リチウム法(Ito等, 1983)、スフェロプラスト法(Hinnnen等, 1978)、エレクトロポレーション法(Becker等, 1990)等、動物細胞内又は昆虫細胞内で発現させる場合は、リン酸カルシウム法(Chen及びOkayama, 1988)、カチオン性脂質による方法(Elroy−Stein及びMoss, 1990)等が利用可能である。
【0012】
3.クローニングした遺伝子産物の発現及び精製:
(i)宿主細胞の培養
本発明において用いられるヒストンアセチル化酵素及びその変異体は、前記形質転換体を培養し、その培養物から単離することができる。本発明の形質転換体を培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。「培養物」とは、培養上清、培養細胞若しくは培養菌体又は細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。
大腸菌を宿主にした形質転換体の培養は、通常、振盪培養又は通気攪拌培養などの好気的条件下、単離するタンパク質の性質に応じで、17℃から37℃の至適な温度を用い、6〜24時間行う。培養期間中、pHは6.5〜7.5に維持する。pHの調整は、無機又は有機酸、アルカリ溶液等を用いて行う。培養中は必要に応じてアンピシリンやテトラサイクリン、カナマイシン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
酵母を宿主にした形質転換体の培養は、通常、振盪培養又は通気攪拌培養などの好気的条件下、30℃で、6〜24時間行う。培養に用いる培地は用いた発現ベクターに応じて適宜選択する。例えば、栄養要求性マーカーにより選択される発現プラスミドを用いる場合は、該当する栄養素を除いた培地を用いる。また、薬剤耐性マーカーにより選択される発現プラスミドを用いる場合は、該当する薬剤を培地に加えてもよい。
動物細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、一般に使用されているRPMI1640培地、DMEM培地又はこれらの培地に牛胎児血清等を添加した培地等が挙げられる。培養は、通常、5%CO2存在下、37℃で1〜30日行う。
培養中は必要に応じてカナマイシン、ペニシリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
【0013】
(ii)発現タンパク質の単離
本発明に用いるヒストンアセチル化酵素又はその変異体タンパク質が宿主細胞の菌体内又は細胞内に生産される場合には、培養後、宿主細胞を遠心分離等により収集し、細胞塊を超音波処理、凍結融解の繰り返し、ホモジナイザー処理、特に酵母を用いる場合はグラスビーズ処理などを施して菌体又は細胞を破砕することにより上記タンパク質を採取する。また、本発明に用いるヒストンアセチル化酵素又はその変異体タンパク質が菌体外又は細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により菌体又は細胞を除去する。その後、タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、前記培養物中から本発明のタンパク質を単離精製することができる。
【0014】
4.ヒストンアセチル化酵素活性の測定
単離したヒストンアセチル化酵素又はその変異体タンパク質の活性の測定は、当業者にとって周知の方法を用いて行うことができる。限定はしないが、例えば、Ogryzko等の方法(Ogryzko等,1996)に従って実施することができる。簡単には、例えば、[14C]Acetyl−CoA、及び基質としてのヒストン八量体を各々適量含むバッファー(50 mM Tris−HCl (pH8.0)、0.1 mM EDTA、10 % グリセロール、0.1 mg/ml BSA、及び10 mM ブチル酸)中で、活性を測定するヒストンアセチル化酵素又はその変異体タンパク質をインキュベートする。インキュベーションのための温度は、活性測定を行う酵素が由来する種によって異なるが、例えば、30℃又は37℃で行う。また、インキュベーションを行う時間は、活性測定を行う酵素の性質に依存する、例えば、およそ15分間程度行う。酵素反応を停止させた後、ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行うために、SDS及び適当な色素を含んだ停止液、例えば、4% SDS、0.25 M Tris−HCl (pH6.8)、20% グリセロール、0.02% ブロモフェノールブルー、0.4% DTTから成る液を適量反応液に添加し、100℃で、例えば、5分間煮沸する。反応が停止したサンプルは基質のヒストンの分離が適当になるような濃度のポリアクリルアミドゲル、例えば、15%のポリアクリルアミドゲルを用いて、電気泳動を行う。泳動後、ゲルを染色し、乾燥後、X線フィルムに感光させる。
【0015】
5.ヒストンアセチル化酵素の機能改変:
本発明は、細胞に内在するヒストンアセチル化酵素の活性を調節することにより、染色体組換え頻度を制御するものである。そのために、細胞に内在するヒストンアセチル化酵素の機能を改変する必要がある。該機能を改変する方法としては、限定はしないが、例えば、内在するヒストンアセチル化酵素遺伝子に突然変異を導入する方法、ヒストンアセチル化酵素遺伝子を破壊する方法、ヒストンアセチル化酵素遺伝子に対するアンチセンスを細胞内に導入する方法等、当業者にとって周知の機能改変方法が使用可能である。好ましくは、ヒストンアセチル化酵素遺伝子に突然変異を導入する方法、又はヒストンアセチル化酵素遺伝子を破壊する方法であり、最も好ましくは、ヒストンアセチル化酵素遺伝子を破壊する方法である。
遺伝子を破壊する方法にはクローン化した標的遺伝子の必須領域にマーカー遺伝子を挿入したDNAを細胞に形質転換する方法がある。細胞内に導入されたDNAは標的遺伝子の両隣接配列を介した相同組換えを誘発し染色体上の標的遺伝子をマーカー遺伝子により破壊することができる(Alfa等, 1993)。
また、インヴィトロにおいて突然変異を導入する方法としては、部位特異的突然変異導入法、アラニンスキャンニング、及びPCR突然変異導入法などの当該技術分野において既知の方法を用いて行うことができる。部位特異的突然変異導入法(Carter, 1986;Zoller及びSmith, 1987)、カセット突然変異導入法、限定的選択突然変異導入法(Wells等, 1985)又は他の既知の技術は、IFI206変異DNAを生産するために、クローン化されたDNA上で実施することができる(Ausbel等,
1987;Sambrook, 1989)。
ヒストンアセチル化酵素に突然変異を導入することで機能改変を行う場合、ヒストンアセチル化活性を欠失させるように変異を導入すること、又はアセチル化を行う上で他の因子と相互作用を行うのに必要な部位に変異を導入し該相互作用を消失させるような変異を導入することなどが望ましい。好ましくは、ヒストンアセチル化活性を欠失させるように変異を導入することである。分裂酵母のSpGcn5を用いる場合は、205番目のグリシンをアラニンに変える変異、又は239番目のフェニルアラニンをアラニンに変える変異などが可能で、好ましくは205番目のグリシンをアラニンに変える変異である。
【0016】
6.ヒストンアセチル化状態の解析
染色体全域又は特定の領域におけるヒストンアセチル化状態を解析するために、当業者にとって既知の方法を用いることができるが、限定はしないが、例えば、クロマチン免疫沈降法が好適である(Aparicio 1999)。クロマチン免疫沈降法は、アセチル化されたヒストンに特異的な抗体を用いて、アセチル化されたヒストン及びその領域のゲノムDNA断片を複合体として沈降させ、沈降物に含まれるDNA断片の配列を同定することで、アセチル化された染色体領域を決定する方法である。簡単には、細胞をホルムアルデヒド等のクロスリンク剤で処理して、タンパク質とDNAの複合体を形成させる。その後、細胞を破壊して核内のクロマチンを抽出し、超音波処理等を行うことによって染色体DNAを剪断する。剪断された染色体DNAに対してアセチル化ヒストンに特異的な抗体を用いて免疫沈降を行い、沈降物中のタンパク質−DNA複合体を回収する。得られたタンパク質−DNA複合体をSDSなどの変性剤の存在下で、タンパク質分解酵素、例えば、プロテイナーゼK等で処理し、適温、例えば、65℃で保温することで、クロスリンクを解消する。その後、フェノールクロロホルム処理を行い、イソプロパノールで沈殿させることで、DNAを回収する。回収されたDNAに対して、ブロットハイブリダイゼーション法を行うことによりアセチル化領域の定量を行った。ブロットハイブリダイゼーションを実施するにあたり、特定の染色体領域におけるアセチル化状態を解析する場合は、該特定の染色体領域のゲノムDNA断片を蛍光色素、又は放射性物質等で標識化したものをプローブとして用い、染色体全域におけるアセチル化状態を解析する場合は、全ゲノムDNA断片混合物を蛍光色素、又は放射性物質等で標識化したものをプローブとして用いてもよい。
ここで、「特定の領域」とは、SpGcn5によりアセチル化に応答して組換え反応が誘起されやすい領域を意味し、例えば、cAMP感応配列、Atf1−Pcr1結合領域、等を含む領域であって、組換えスポットを有することを特徴とする染色体領域である。好適には、cAMP感応配列であって組換えホットスポットを有することを特徴とする染色体領域である。ハイブリダイズ化したバンドの定量は当該技術において既知の方法を用いて行うことができる。「組換えホットスポット」とは染色体の組換えが比較的高い確率で生じる部位を意味する。
【0017】
7.DNA二重鎖切断(DSB)の検出
DNAの二重鎖切断は、多くの相同組換えの契機となる反応と考えられる(Sun等, 1989)。特定の部位のDSBを解析するために、当業者にとって既知の方法を用いることができるが、限定はしないが、例えば、染色体DNAのサザンハイブリダイゼーション法が好適である。細胞から適当な方法で抽出したDNAを適当な制限酵素で切断後、アガロースゲル電気泳動、メンブレンへのサザントランスファーを行う。このメンブレンに対し、使用した制限酵素サイト近傍と相補的なDNA断片を蛍光色素、または放射性物質で標識したものをプローブとして用いたサザンハイブリダイゼーションを行う。
【0018】
8.組換え活性の測定
組換え活性の測定は、当業者が通常行う測定方法であれば如何なるものでも利用可能である。限定はしないが、例えば、(1)適当な二倍体細胞をPM培地(0.3% フタル酸水素カリウム, 0.18% Na2HPO4, 0.5% NH4Cl, 2% グルコース, 2% SaltStock Solution (5.26% MgCl2・6H2O, 0.146% CaCl2・2H2O, 5% KCl, 0.2% Na2SO4)中で5×106cells/ml 以上の濃度になるまで培養し、これをPM−N培地(0.3% フタル酸水素カリウム, 0.18% Na2HPO4, 1% グルコース, 2% Salt Stock Solution, 0.01% Minerals, 0.1% Vitamins Solutions)に移し、さらに24時間培養する。その後、培養液の一部をGlusulase (NEN)と30%エタノールで処理し、胞子以外の細胞を完全に殺す。胞子濃度を計測した後、適当に希釈して完全培地、アデニンを欠く選択培地にプレーティングし、両培地上で形成したコロニー数の比から組換え率を算出する。又は、 (2)掛け合わせる一倍体細胞どうしをSPAプレート上にて混合し30℃で3日間保温する。その後細胞塊を滅菌水に懸濁したあと、Glusulase で処理する。胞子濃度を計測した後、適当に希釈して完全培地、アデニンを欠く選択培地にプレーティングし、両培地上で形成したコロニー数の比から組換え率を算出する。
【0019】
【発明の効果】
本発明に係る真核生物細胞中の染色体組換え頻度を制御する方法によれば、所望の染色体組換え頻度を実現することが可能である。従って、本明細書中に開示される発明を利用することで、産業上利用可能な、例えば、発酵、醸造等に使用し得る酵母菌等に代表される細胞株の遺伝的多様性の獲得、又は細胞株の遺伝的安定性の維持において多大なる成果が得られるものと考えられる。
【0020】
【実施例】
以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】
1.分裂酵母SpGcn5遺伝子
gcn5+遺伝子のクローニング:
出芽酵母のGcn5pのヒストンアセチル化酵素ドメイン、ブロモドメインを含む部分に対して、分裂酵母ORFを翻訳したデータベースを用いてBLASTサーチを行った。最も相同性の高いORFであったSPAC1952.05を分裂酵母のGCN5ホモログgcn5+として同定した。この遺伝子は、最近Mitsuzawa等により報告された分裂酵母gcn5+と同一である(Mitsuzawa等, 2001)。gcn5+遺伝子は分裂酵母ゲノムDNAを鋳型としてGCNFWプライマー (5’−CCGCTCGAGATGTCGAATTCGTTAAATGATCAAAC−3’)(配列番号:3)及びGCNRVプライマー (5’−CGGGATCCTTAATCGGCTAAGTGTGAATACTCAG−3’)(配列番号:4)、Pyrobest DNA polymerase (宝酒造)を用いたPCRにより取得した。得られたPCR産物はpBluescript KS (+)のXho I−Bam HIサイトにサブクローニングし、シークエンス解析によりPCR時のエラーがないことを確認した後の解析に用いた。ここで同定されたgcn5+遺伝子の核酸配列及びgcn5+遺伝子の予想されるアミノ酸配列を、それぞれ図1(配列番号:1)及び図2(配列番号:2)に示した。
【0022】
2.SpGcn5及びその変異体の発現
(1)野生型SpGcn5の発現
上記で得たgcn5+遺伝子をpET15bのXho I−Bam HIサイトにサブクローニングしたプラスミドを大腸菌BL21Star (DE3) (Invitrogen)に導入した。この株をLB培地中、37℃でODが0.4になるまで培養し、その後培養温度が18℃になるまで徐々に温度を下げてから、0.4mMのIPTGで発現誘導を行った。そのまま18℃での培養を続け、18時間後に菌体を回収した。菌体をBinding Buffer (20mM Tris−HCl(pH8.0), 500mM NaCl, 0.01% NP−40)に懸濁し、2.5mg/mlとなるようにリゾチームを加え、氷上で30分間インキュベートした。その後、超音波処理によりDNAを剪断し、遠心分離した上清を細胞抽出液として回収した。この抽出液をBinding Bufferで平衡化したTALON Metal Affinity Resin (Clontech)にアプライし、Wash Buffer (20mM Tris−HCl(pH 8.0), 500mM NaCl, 0.01% NP−40, 10mM immidazole)でResinを洗浄した。結合したタンパクをElution Buffer (20mM Tris−HCl(pH 8.0), 500mM NaCl, 0.01% NP−40, 100mM immidazole)で溶出し、SpGcn5を得た。得られたSpGcn5を含む画分は最終濃度10%となるようにグリセロールを加え、−80℃にて保存した。
【0023】
(2)変異型SpGcn5の発現
変異型SpGcn5の発現は次のようにして行った。まず、変異を導入する残基として、出芽酵母Gcn5pで活性に重要であることがわかっている187残基目のグリシン(Kuo等, 1998)に対応する205残基目のグリシン(G205)を選定し、これをアラニンに置換することにした。変異はQuikChange Site−Directed Mutagenesis Kit (Stratagene)を用いて導入した。 上述のようにして得たgcn5+をサブクローニングしたpBluescript KS(+)を鋳型として変異導入プライマーを用いてPCRを行った。ここで、変異導入プライマーとしてR205AFWプライマー(5’−CCAATGAACAGGTTCGTGCTTATGGTTCTCATTTAATG−3’)(配列番号:5)およびR205ARVプライマー(5’−CATTAAATGAGAACCATAAGCACGAACCTGTTCATTGG−3’)(配列番号:6)を用いた。PCR産物を制限酵素DpnIで処理し、鋳型となったプラスミド(野生型)を切断した後、大腸菌にトランスフォーメーションした。得られたトランスフォーマントからプラスミドDNAを抽出し、シークエンス解析により、目的の変異が導入されているプラスミドを選択した。変異の導入されたgcn5遺伝子断片をpET15bにサブクローニングした後、野生型SpGcn5pと同様に大腸菌内で発現させ、精製を行った。
【0024】
3.ヒストンアセチル化酵素活性の測定
上述のように調製した野生型及び変異型SpGcn5pのヒストンアセチル化酵素活性はOgryzkoらの方法(Ogryzko et al., 1996) に従って、以下のように行った。174pmolの[14C]Acetyl−CoA、5μgのヒストン八量体を基質として含むHAT (Histone Acetyl Transferase) assay 緩衝液 (50mM Tris−HCl (pH 8.0), 0.1mM EDTA, 10% glycerol, 0.1mg/ml BSA, 10mM Butyrate )15μl中で、0.5μgの野生型または変異型SpGcn5pを30℃で15分間インキュベートした。4×Sample Buffer (4% SDS, 0.25M Tris−HCl(pH 6.8), 20% glycerol, 0.02% bromo phenol blue, 0.4% DTT)を5μl加え、100℃で5分間、煮沸することで反応を終了させた。このサンプルを15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動で展開した。泳動後のゲルを染色、乾燥させて、X線フィルムに感光させオートラジオグラフィーを作製した。
活性測定の結果、野生型SpGcn5(W.T.)はヒストンH3を強くアセチル化し、さらに弱いながらもヒストンH4もアセチル化することがわかった。ヒストンH2AおよびヒストンH2Bに対してはほとんどアセチル化能が認められなかった。また、変異型SpGcn5(G205A)については、ヒストンH3、ヒストンH4のいずれに対してもSpGcn5(WT)の十分の一程度の活性しか有さなかった(図3レーンG205A)。
以上の結果から、SpGcn5は確かにHAT活性を有することがわかった。
【0025】
4.gcn5+遺伝子破壊株の作製
gcn5+遺伝子の二倍体破壊株を作製するために、以下の要領でターゲティングコンストラクトを構築した。分裂酵母染色体DNAを鋳型とし、G5NFプライマー(5’−CGGGATCCAGGTAAAGGGCTGGTCGACG−3’)(配列番号:7)および G5NRプライマー(5’−AACTGCAGGGAATTAGCAATTGCTTCGCG−3’)(配列番号:8)を用いてPCRによりgcn5+遺伝子の5’領域部分を増幅した。同様にしてG5CFプライマー(5’−CGTATCGATTAACAGGATCACTCGGTCGA−3’)(配列番号:9)およびG5CRプライマー(5’−TCTCTCGAGTACTGGTTGTTACGCAACCG−3’)(配列番号:10)を用いてgcn5+遺伝子の3’領域部分を増幅した。つづいて、同一のpBluescript KS (+) のBamH I−Pst Iサイト、Hind IIIサイト、Cla I−XhoIサイトにそれぞれgcn5+遺伝子5’領域部分、ura4 + 遺伝子カセット、gcn5+遺伝子3’領域部分をサブクローニングした。
このプラスミドをNcoIおよびAat IIで切断したものをターゲティングコンストラクトとし、分裂酵母半数体細胞にトランスフォーメーションした。得られたトランスフォーマントからPCRおよびサザンブロット解析により、正しくgcn5+遺伝子が破壊された株を選択した。その後、互いに異なる接合型(h+とh−) を持つgcn5+遺伝子破壊株を接合させ2倍体細胞を作製し、以下の解析を行った。
【0026】
5.染色体全域、ade6−M26遺伝子座周辺のヒストンアセチル化状態の解析
アセチル化ヒストンH3及びアセチル化ヒストンH4に対する抗体を用いたクロマチン免疫沈降法を用いて以下のように解析した。
酵母培養液に37%フォルムアルデヒド液を終濃度1%となるように加え、室温で15分間インキュベートすることで、in vivo クロスリンクを行った。その後、残存するフォルムアルデヒドによるクロスリンクをブロックするため、2.5Mグリシン溶液を終濃度125mMとなるように加え、さらに室温で5分間インキュベートした。クロスリンクした細胞は、TBSで洗浄したあと、液体窒素にて凍結し、−80℃にて保存した。
凍結保存した細胞にLysis Buffer 500 (0.1% デオキシコール酸ナトリウム, 1mM EDTA, 50mM Hepes−KOH (pH 7.5), 500mM NaCl, 1% Triton X−100)を加えて解凍した。細胞懸濁液をガラスビーズ存在下で激しく撹拌し、さらに超音波処理によりDNAを剪断したあと、遠心分離し上清を細胞抽出液とした。細胞抽出液に、抗アセチル化ヒストンH3抗体(Upstate Biotechnology)、抗アセチル化ヒストンH4抗体(Upstate Biotechnology)を加え4℃で18時間以上インキュベートした。形成された抗原−抗体複合体はDynabeads−protein A(Dynal)を用いて回収し、Lysis Buffer 500、LiCl−detergent Buffer(0.5% デオキシコール酸ナトリウム, 1mM EDTA, 10mM Tris−HCl (pH 8.0), 250mM LiCl, 0.5% Nonidet P−40 (NP−40))、TEで洗浄した。その後、担体をElution Buffer (10mM EDTA, 1%SDS, 50mM Tris−HCl (pH 8.0))中に懸濁し、65℃で15分処理することで、沈降されたタンパク−DNA複合体を回収した。細胞抽出液(input)、及び免疫沈降されたタンパク−DNA複合体(ppt)をSDS存在下でProteinase K処理し、続いて、65℃で保温することで、クロスリンクを解消した。その後、フェノールクロロホルム抽出、イソプロパノール沈澱によりDNAを精製、回収した。
【0027】
inputおよびppt中に存在するDNAの定量はスロットブロットハイブリダイゼーションにより以下のように行った。
上述したように回収したDNAをアルカリ条件下で100℃にて煮沸し、Bio Dot SFcell (バイオラッド)を用いてナイロンメンブレンにスポットした。ハイブリダイゼーション、メンブレンの洗浄は一般的な方法に従って行った。各バンドの定量はBAS2500イメージアナライザーを用いて行った。
免疫沈降解析の結果、gcn5破壊株では染色体全域および組換えホットスポット部位を有するade6−M26遺伝子座周辺のヒストンアセチル化状態が著しく低下していることがわかった(図4−図7)。このことはSpGcn5がin vivo においてもヒストンアセチル化酵素として機能していることを示す。
【0028】
6.減数分裂期DNA二重鎖切断(DSB)の検出
染色体相同組換えの契機となると考えられる減数分裂期DNA二重鎖切断(DSB)について解析を行った。
減数分裂誘導後指定時間経過した細胞を回収した。この細胞にスフェロプラスティングバッファー(0.4M EDTA, 10mM NaN3, 5mg/ml lysing enzymes(SIGMA), 1mg/ml lyticase(SIGMA), 5mM DTT)に懸濁したあと、最終濃度1.1%となるように低融点アガロースを加え、アガロースプラグ(以下、プラグ)に埋包した。このプラグをスフェロプラスティングバッファー、NDS/PK(0.5M EDTA, 10mM Tris−HCl(pH 7.5), 1% Sarcosine, 1mg/ml Proteinase K, 10mM NaN3)、SDS/PK(0.5M EDTA, 10mM Tris−HCl(pH 7.5), 1mg/ml SDS, 1mg/ml Proteinase K)中で順次インキュベートし、DNAを精製した。最後にTEでプラグを洗浄し、各種界面活性剤、プロテイナーゼKを除去した。
ade6−M26周辺のDSBを検出する際は、プラグをAflIIで処理したあと、0.8%アガロースゲル電気泳動、サザンハイブリダイゼーションを一般的な方法に従って行った。
染色体全域のDSBを検出する際は、プラグをパルスフィールド電気泳動(BioRad社、CHEF−MAPPER, runnning time;48hr, included angle ;100, switching time; 30min)したあと、ゲルをエチヂウムブロマイドで染色した。
その結果、gcn5破壊株ではade6−M26周辺でのDSBが、その他の部位へのDSBの導入(図9)に比べて、遅れて導入されること又その頻度が低下していることから、gcn5遺伝子破壊のDSB導入に対する影響は、ade6−M26周辺に限定されたものであることが明らかとなった(図8)。
【0029】
7.ade6−M26遺伝子座での組換え活性の測定
ランダムスポア処理によりade6−M26でのホットスポット活性を測定した。
互いに異なる接合型を持つ一倍体細胞を接合培地中で混合し3日間培養した。
その後、細胞塊の一部をGlusulase (NEN)で処理し、胞子以外の細胞を完全に殺した。胞子濃度を計測した後、適当に希釈して完全培地、アデニンを欠く選択培地にプレーティングした。両培地上で形成したコロニー数の比から組換え率を算出した。
組換え頻度はade6−M26遺伝子座を持つ一倍体細胞(アデニン要求性)とade6−469遺伝子座(アデニン要求性)を持つ一倍体細胞を掛け合わせ、アデニン非要求性の胞子の出現頻度を数えることで計測した。なお、コントロールとして減数分裂期にも組換え頻度が上昇しないade6−M375遺伝子座を用いた。
gcn5破壊株のade6−M26周辺での組換え頻度を計測したところ、体細胞分裂期組換えは野生株と変化なかったものの、減数分裂期組換え頻度は野生株のそれの6割程度に低下していた(表1)。
【0030】
表1.gcn5+遺伝子破壊のade6−M26遺伝子座周辺での組換え頻度への影響
【0031】
参考文献
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【0032】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】gcn5+遺伝子コーディング領域の塩基配列を示す。
【図2】SpGcn5のアミノ酸配列を示す。
【図3】SpGcn5によるヒストンH3の試験管内でのアセチル化活性を示す。
【図4】gcn5+遺伝子破壊の生体内ヒストンアセチル化レベルに対する効果を示す。ade6−M26周辺でのヒストンH3のアセチル化状態を示す。横軸は細胞を減数分裂に誘導してから経過した時間、縦軸は全ヒストンに対するアセチル化されたヒストンの割合を示す。結果は、野生株(実線)について及びgcn5+遺伝子破壊株(破線)について示す。
【図5】gcn5+遺伝子破壊の生体内ヒストンアセチル化レベルに対する効果示す。ade6−M26周辺でのヒストンH4のアセチル化状態を示す。横軸は細胞を減数分裂に誘導してから経過した時間、縦軸は全ヒストンに対するアセチル化されたヒストンの割合を示す。結果は、野生株(実線)について及びgcn5+遺伝子破壊株(破線)について示す。
【図6】gcn5+遺伝子破壊の生体内ヒストンアセチル化レベルに対する効果を示す。染色体全域でのヒストンH3のアセチル化状態を示す。横軸は細胞を減数分裂に誘導してから経過した時間、縦軸は全ヒストンに対するアセチル化されたヒストンの割合を示す。結果は、野生株(実線)について及びgcn5+遺伝子破壊株(破線)について示す。
【図7】gcn5+遺伝子破壊の生体内ヒストンアセチル化レベルに対する効果を示す。染色体全域でのヒストンH4のアセチル化状態を示す。横軸は細胞を減数分裂に誘導してから経過した時間、縦軸は全ヒストンに対するアセチル化されたヒストンの割合を示す。結果は、野生株(実線)について及びgcn5+遺伝子破壊株(破線)について示す。
【図8】gcn5+遺伝子破壊のade−M26周辺のDNA二重鎖切断への影響を示す。減数分裂誘導0,2,4,6時間後の野生株、gcn5+遺伝子破壊株から抽出した染色体DNA制限酵素Afl IIで切断したあと、電気泳動し、Afl IIサイト近傍を認識するプローブを用いてサザンハイブリダイゼーションし、解析した。
【図9】gcn5+遺伝子破壊の染色体全域でのDNA二重鎖切断への影響を示す。減数分裂誘導0、2、4、6時間後の野生株、gcn5+遺伝子破壊株から抽出した 染色体DNAをパルスフィールド電気泳動、エチジウムブロマイド染色で解析した。
Claims (14)
- 真核生物におけるヒストンアセチル化酵素の活性を調節することにより染色体組換え頻度を制御することを特徴とする、遺伝子組換え頻度の制御方法。
- 前記真核生物が酵母であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記酵母が分裂酵母であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
- 前記染色体組換えの生じる時期が細胞の減数分裂期であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記染色体の組換えがヒストンアセチル化酵素に応答して引き起こされるものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記染色体組換えの生じる部位がcAMP感応配列を含む組換えホットスポットを有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ヒストンアセチル化酵素の機能改変を行うことにより該ヒストンアセチル化酵素の活性を促進又は抑制することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ヒストンアセチル化酵素の機能改変が、細胞内に内在するヒストンアセチル化酵素遺伝子中に突然変異、又は欠失を導入することを特徴とする請求項7に記載の方法。
- 前記欠失が、遺伝子の全体を破壊することである請求項8に記載の方法。
- 前記ヒストンアセチル化酵素がGcn5であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記Gcn5が、配列番号:2で表されるタンパク質であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
- 前記ヒストンアセチル化酵素の機能改変が、配列番号:2で表されるアミノ酸配列の205番目のグリシンを他のアミノ酸残基に置換することにより部位特異的突然変異を導入することを特徴とする請求項7に記載の方法。
- 前記アミノ酸残基がアラニンであることを特徴とする請求項12に記載の方法。
- 請求項1ないし13に記載の方法により遺伝子組換え頻度が制御されることを特徴とする真核生物細胞。
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JP2017043579A (ja) * | 2015-08-28 | 2017-03-02 | 国立研究開発法人科学技術振興機構 | 抗アセチル化ヒストンh4抗体 |
-
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