JP6578419B2 - 銅張積層板の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)長尺な前記銅張積層板を、所定の長さに切断して試験片を準備する工程、
(2)前記銅張積層板の長手方向をMD方向、幅方向をTD方向としたとき、前記試験片において前記MD方向及び前記TD方向と平行な辺を有する仮想の正四角形を想定し、前記仮想の正四角形の中心を含む中心領域と、前記仮想の正四角形における前記TD方向の一辺を共有する2つの角部の1つずつを含む2つのコーナー領域とに、それぞれ、直線状の配列を含む複数のマークを形成する工程、
(3)前記複数のマークの位置を計測し、隣接するマークとマークの間の距離L0を算出する第1の計測工程、
(4)前記試験片の前記銅層の一部分又は全部をエッチングする工程、
(5)エッチング後に、前記複数のマークの位置を計測し、隣接するマークとマークの間の距離L1を算出する第2の計測工程、
(6)前記エッチングの前後で同じ2つのマークについて、前記第1の計測工程で得られた距離L0と、前記第2の計測工程で得られた距離L1との差分L1−L0を算出する工程、及び、
(7)前記差分L1−L0を、前記銅張積層板から形成する回路基板における配線パターンのスケールに換算して累積換算寸法変化量を求め、得られた累積換算寸法変化量を、前記配線パターンの配線幅と配線間隔との和に対する比率で表す工程、
を含む試験方法によって得られる、10mmの回路基板サイズにおける配線パターンの配線幅と配線間隔との和に対する累積換算寸法変化量の比率の、前記試験片における面内のばらつきが±2%以下である。
本実施の形態の銅張積層板は、ポリイミド絶縁層と銅箔層とから構成される。銅箔層はポリイミド絶縁層の片面又は両面に設けられている。つまり、本実施の形態の銅張積層板は、片面銅張積層板(片面CCL)でもよいし、両面銅張積層板(両面CCL)でもよい。片面CCLの場合、ポリイミド絶縁層の片面に積層された銅箔層を、本発明における「第1の銅箔層」とする。両面CCLの場合、ポリイミド絶縁層の片面に積層された銅箔層を、本発明における「第1の銅箔層」とし、ポリイミド絶縁層において、第1の銅箔層が積層された面とは反対側の面に積層された銅箔層を、本発明における「第2の銅箔層」とする。本実施の形態の銅張積層板は、銅箔をエッチングするなどして配線回路加工して銅配線を形成し、FPCとして使用される。
本実施の形態の銅張積層板において、第1の銅箔層に使用される銅箔(以下、「第1の銅箔」と記すことがある)は、圧延銅箔からなる。第1の銅箔として圧延銅箔を用いることによって、後述するように、厚みと引張弾性率との積を考慮することにより、優れた寸法安定性と高屈曲性を両立可能な銅張積層板を安定的に製造することができる。また、本実施の形態の銅張積層板においては、第1の銅箔として、短辺(幅)に対する長辺(長さ)の比率(長辺/短辺)が600以上である長尺な銅箔を使用する。
一方、引張弾性率が上記上限値を超えるとFPCを折り曲げた際に銅配線により大きな曲げ応力が加わることとなり、その耐折り曲げ性が低下する。なお、圧延銅箔は、前述したキャスト法によって銅箔上にポリイミド絶縁層を形成する際の熱処理条件や、ポリイミド絶縁層を形成した後の銅箔のアニール処理などにより、その引張弾性率が変化する傾向がある。従って、本実施の形態では、最終的に得られた銅張積層板において、第1の銅箔の引張弾性率が上記範囲内にあればよい。
第2の銅箔層は、ポリイミド絶縁層における第1の銅箔層とは反対側の面に積層されている。第2の銅箔層に使用される銅箔(第2の銅箔)としては、特に限定されるものではなく、例えば、圧延銅箔でも電解銅箔でもよい。また、第2の銅箔として、市販されている銅箔を用いることもできる。なお、第2の銅箔として、第1の銅箔と同じものを使用してもよい。
本実施の形態の銅張積層板において、反りの発生や寸法安定性の低下を防止するために、ポリイミド絶縁層全体として、熱膨張係数(CTE)が10ppm/K以上30ppm/K以下の範囲内であることが重要である。ポリイミド絶縁層の熱膨張係数(CTE)は、10ppm/K以上25ppm/K以下の範囲内が好ましい。熱膨張係数(CTE)が10ppm/K未満であるか、又は30ppm/Kを超えると、銅張積層板に反りが発生したり、寸法安定性が低下したりする。また、本実施の形態の銅張積層板において、銅の熱膨張係数(CTE)に対してポリイミド絶縁層の熱膨張係数(CTE)が、±5ppm/K以下の範囲内がより好ましく、±2ppm/K以下の範囲内が最も好ましい。
本工程では、図1に例示するように、長尺な銅張積層板100を、所定の長さに切断することによって試験片10を準備する。なお、以下の説明では、長尺な銅張積層板100の長手方向をMD方向、幅方向をTD方向と定義する(試験片10についても同様である)。試験片10は、正方形に近い形状となるように、銅張積層板100の幅(TD方向の長さ)と切断間隔(MD方向の長さ)がほぼ等しくなるようにすることが好ましい。銅張積層板100は、図示は省略するが絶縁樹脂層と、この絶縁樹脂層の片側又は両側に積層された銅層とを有する。
本工程では、図2に示すように、まず試験片10において、MD方向及びTD方向と平行な辺を有する仮想の正四角形20を想定する。この仮想の正四角形20の一辺の長さは、銅張積層板100の幅(TD方向の長さ)に応じた長さとすることができる。また、仮想の正四角形20の面積は、多数個採りの場合にFPCに加工する範囲の限界まで評価対象に含めるため、FPCに加工する範囲をカバーできる面積に設定することが好ましい。従って、正四角形20の一辺の長さは、試験片10におけるTD方向の長さ(銅張積層板100の幅)の60〜90%の範囲内とすることが好ましく、70〜80%の範囲内とすることがより好ましい。例えば、銅張積層板100の幅(TD方向の長さ)が250mmである場合には、仮想の正四角形20の一辺の長さは、150〜225mmの範囲内に設定することが好ましく、175〜200mmの範囲内に設定することがより好ましい。
仮想の正四角形20の中心20aは、試験片10の伸縮を測定するための座標の基準になることから、本評価方法では、当該中心20aを含む中心領域21を測定対象とする。中心領域21においては、直線状の配列を含む限り、複数の孔30を形成する位置は任意であり、例えばT字形、L字形などに配列してもよいが、仮想の正四角形20の中心20aから、MD方向及びTD方向に均等に配列できる十字型が好ましい。すなわち、図3に示すように、複数の孔30を、仮想の正四角形20の中心20aを通る十字形に沿ってMD方向及びTD方向に形成することが好ましく、十字型の交差部分が、仮想の正四角形20の中心20aに重なるように配置することがより好ましい。この場合、中心20aに重なる孔30は、MD方向及びTD方向の両方向の配列を構成する孔30として重複してカウントされる。
正四角形20におけるTD方向の一辺を共有する2つの角部20bの周囲は、図1に示すような長尺な銅張積層板100において、最も伸縮しやすく、寸法変化が大きくなりやすい領域である。そのため、本評価方法では、正四角形20におけるTD方向の一辺を共有する2つの角部20bの1つずつを含む2つのコーナー領域23a,23bの両方を測定対象とする。
具体的には、少なくとも、中心領域21内でMD方向に配列される複数の孔30の両端の位置と、2つのコーナー領域23a,23b内でそれぞれMD方向に配列される複数の孔30の中で最も内側(角部20bから遠い側)の孔30の位置とが、TD方向に平行移動させたときにオーバーラップするように配置してもよい。
同様に、少なくとも、中心領域21内でTD方向に配列される複数の孔30の中で最もコーナー領域23a,23bに近接した孔30の位置と、2つのコーナー領域23a,23b内でTD方向にそれぞれ配列される複数の孔30の中で最も内側(角部20bから遠い側)の孔30の位置とが、MD方向に平行移動させたときにオーバーラップするように配置してもよい。
以上のような配置を考慮すると、中心領域21では、複数の孔30を十字形に配列することが最も合理的であり、また、2つのコーナー領域23a,23bでは、複数の孔30をL字形に配列することが最も合理的である。
本工程では、複数の孔30の位置を測定する。そして、各孔30の位置の測定結果から、隣接する孔30と孔30の間の距離L0を算出する。例えば孔30の数が21個であれば、隣接する孔30と孔30の間の20か所の間隔について距離L0を求める。ここで、隣接する孔30と孔30の間の距離L0は、図5に示すように、ある孔30の中心30aから、隣接する孔30の中心30aまでの距離を意味する。
本工程では、試験片10の銅層の一部分又は全部をエッチングする。現実に即した寸法安定性を評価するため、エッチングの内容は、銅張積層板100から形成するFPCの配線パターンに準じて行うことが好ましい。試験片10が両面銅張積層板から調製したものである場合は、両側の銅層をエッチングしてもよい。なお、実際のFPCの加工において、熱処理を伴う場合は、エッチング後に、試験片10を任意の温度で加熱する処理を行ってもよい。
本工程は、上記(4)のエッチング後に、再度、複数の孔30の位置を測定する工程である。そして、各孔30の位置の測定結果から、隣接する孔30と孔30の間の距離L1を算出する。本工程における孔30の位置の計測は、上記工程(3)と同様の方法で行うことができる。隣接する孔30と孔30の間の距離L1は、図5に示すように、ある孔30の中心30aから、隣接する孔30の中心30aまでの距離を意味する。
本工程では、図5に示すように、エッチングの前後で同じ2つの孔30の間隔について、第1の計測工程で得られた距離L0と、第2の計測工程で得られた距離L1との差分L1−L0を算出する。そして、同一の直線状に配列された孔30と孔30との間隔の2箇所以上、好ましくは10箇所以上、より好ましくは全てについて、同様に差分L1−L0を算出する。この差分L1−L0を「寸法変化量Δ」とする。
本工程では、工程(6)で得られた寸法変化量Δを、銅張積層板100から形成するFPCにおける配線パターンのスケールに換算し、得られた換算値を、配線パターンの配線幅と配線間隔との和に対する比率で表す。本工程によって、試験に供した銅張積層板100を実際にFPCに加工した場合に、FPCの配線パターンに対し、銅張積層板100の寸法変化が与える影響をわかりやすく表現できる。
配線の位置ずれ比率(%)=
{[Σi=1 i(2×Δi/Y)]/[L+S]}×100
本実施の形態の銅張積層板は、例えば、第1の銅箔の表面にポリイミド前駆体樹脂溶液(ポリアミド酸溶液ともいう。)を塗工し、次いで、乾燥、硬化させる熱処理工程を経て製造することができる。熱処理工程における熱処理は、塗工されたポリアミド酸溶液を160℃未満の温度でポリアミド酸中の溶媒を乾燥除去した後、更に、150℃から400℃の温度範囲で段階的に昇温し、硬化させることで行なわれる。このようにして得られた片面銅張積層板を両面銅張積層板とするには、前記片面銅張積層板と、これとは別に準備した銅箔(第2の銅箔)とを300〜400℃にて熱圧着する方法が挙げられる。
本実施の形態の銅張積層板は、主にFPC材料として有用である。すなわち、本実施の形態の銅張積層板の銅箔を常法によってパターン状に加工して配線層を形成することによって、本発明の一実施の形態であるFPCを製造できる。
熱電対及び攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、N,N−ジメチルアセトアミドを入れ、この反応容器に2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を投入して容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、ピロメリット酸二無水物(PMDA)をモノマーの投入総量が12wt%となるように投入した。その後、3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸aの樹脂溶液を得た。ポリアミド酸aから形成された厚み25μmのポリイミドフィルムの熱膨張係数(CTE)は、55×10−6/Kであった。
熱電対及び攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、N,N−ジメチルアセトアミドを入れ、この反応容器に2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル(m-TB)を投入して容器中で攪拌しながら溶解させた。次に、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)およびピロメリット酸二無水物(PMDA)をモノマーの投入総量が15wt%、各酸無水物のモル比率(BPDA:PMDA)が20:80となるように投入した。その後、3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸bの樹脂溶液を得た。ポリアミド酸bから形成された厚み25μmのポリイミドフィルムの熱膨張係数(CTE)は、22×10−6/Kであった。
<フレキシブル銅張積層板の製造>
長尺の銅箔(例えば、JX日鉱日石金属株式会社製 GHY5−93F−HA−V2箔)の表面に、合成例1で調製したポリイミド前駆体であるポリアミド酸aの樹脂溶液(ポリアミド酸溶液ともいう)を塗工・乾燥させた。次いで、合成例2、合成例1でそれぞれ調製したポリアミド酸b、ポリアミド酸aの樹脂溶液を順次同様に塗工・乾燥させた後に硬化させる熱処理工程を経て、25μm厚みのポリイミド層を形成させた。熱処理工程における熱処理は、塗工されたポリアミド酸溶液を160℃未満の温度でポリアミド酸中の溶媒を乾燥除去した後、更に、150℃から400℃の温度範囲で段階的に昇温し、硬化させることで行なった。この過程で、片面銅張積層板にコルゲーションの発生は観察されなかった。このようにして得られた片面銅張積層板と、これとは別に準備した銅箔とを300〜400℃にて熱圧着することによって、両面銅張積層板を作製した。
銅張積層板1:
長尺状、実施例の方法で製造した両面銅張積層板、絶縁層の厚さ;25μm、絶縁層のCTE;17ppm/K、第1の銅箔層;JX日鉱日石金属株式会社製GHY5−93F−HA−V2箔、第1の銅箔層の厚さ;12μm、第1の銅箔層のCTE;17ppm、第1の銅箔層の引張弾性率18GPa、第1の銅箔層の厚さと引張弾性率との積;216。
評価用サンプルの材料として、銅張積層板2(端幅;250mm)を準備した。
銅張積層板2:
長尺状、汎用ラミネート材、絶縁層の厚さ;25μm、銅箔層;JX日鉱日石金属株式会社製BHY−82F−HA箔、銅箔層の厚さ;12μm、ラミネート法によりポリイミドフィルム(カネカ社製、商品名;ピクシオ)の両面に銅箔を熱圧着したもの。銅箔層の引張弾性率14GPa、銅箔層の厚さと引張弾性率との積;168。
上記の銅張積層板1又は2をMD方向に長さ250mmに切断し、MD:250mm×TD:250mmとした。図6に示したとおり、切断後の銅張積層板におけるMD:200mm×TD:200mmの範囲に仮想の正四角形を想定した。この仮想の正四角形のTD方向の一辺を共有する2つの角部を1つずつ含む左右2つのコーナー領域(Left及びRight)並びに仮想の正四角形の中心を含む中央領域(Center)のそれぞれにおいて、MD及びTD方向に2.5mm間隔で連続して21個の孔あけ加工を行って、評価用サンプルを調製した。なお、孔あけ加工は、0.105mm径のドリルを用いた。
非接触CNC画像測定機(Mitutoyo社製、商品名;クイックビジョン QV−X404PIL−C)を使用して、評価用サンプルにおける両面の銅箔層の全部をエッチングして除去した前後における各孔の位置を測定した。測定値からエッチング前後における隣り合う2孔間距離の寸法変化量及び累積寸法変化量を算出した。
Claims (2)
- 第1の銅箔の表面にポリイミド前駆体樹脂溶液を塗布し、熱処理によってポリイミド絶縁層を形成する工程を備える銅張積層板の製造方法であって、
前記ポリイミド絶縁層の熱膨張係数が10ppm/K以上30ppm/K以下の範囲内であり、
前記第1の銅箔の厚みが13μm以下であり、かつ、厚み(μm)と引張弾性率(GPa)との積が210〜240の範囲内の圧延銅箔からなることを特徴とする銅張積層板の製造方法。 - 更に、前記ポリイミド絶縁層における前記第1の銅箔とは反対側の面に第2の銅箔を熱圧着する工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の銅張積層板の製造方法。
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