JP6577975B2 - 酸化反応あるいは酸化重合反応性の常温アスファルト混合物 - Google Patents

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Description

本発明は、道路舗装に使用する酸化反応あるいは酸化重合反応性の常温アスファルト混合物に関するものである。
アスファルトコンクリート舗装は、長期間供用すると紫外線や降雨等による水分および繰り返しの交通荷重により、損傷し、ひび割れやポットホール(穴)が発生する。特に、ポットホールは、そのまま放置しておくと交通車両の安全を損なうため、日常的に補修されている。また、交通量の多い路線においては、交通車両の安全を確保するため、迅速にポットホールを補修する必要があり、補修工事に必要な交通規制の時間をできるだけ短時間とすることが望まれている。
補修工事は、緊急性を要する場合も多く、降雨時でも実施する場合があり、水分がある状態でも使用可能な材料を必要とする場合もあるために、本発明者等は、水分の特に鹸化反応を利用した、いわゆる「湿式施工型」のアスファルト混合物を既に提案している(特許文献1)。
前記補修工事に用いられる一般的な材料は、加熱アスファルト混合物および常温アスファルト混合物に大別される。また、補修用材料として望まれていることは、取扱い方法が簡便なことや補修作業完了後、直ちに交通解放可能なことである。
加熱アスファルト混合物は、最も一般的な道路補修の材料であり、加熱装置内でアスファルト(アスファルトセメント)と骨材を加熱・混合して得られる145〜175℃のアスファルト混合物を流動性のある高温状態で舗装施工し、冷えると道路構造物として大きな強度が得られる材料である。
加熱アスファルト混合物を舗装の補修材料として使用する場合、流動性のある高温状態で舗装施工しなければならず、可使時間に制限があるため、舗装上に点在する補修箇所で使用する場合、施工上困難な問題が発生することがあった。計画的で、大規模な補修工事に使用されるが、緊急性、または迅速性を有する補修工事の使用に問題が生じる。また、加熱アスファルト混合物の製造工場では、補修工事に必要な少量(100kg以下)を製造することが設備上困難である。仮に、製造工場の最小製造量(多くの場合500kg程度)を購入・使用した場合、その多くを廃棄することとなり、環境面・コスト面に問題があった。
そのため、舗装の補修材として常温あるいはそれより若干高い温度(100℃以下)で舗装施工できるアスファルト混合物(単に「常温アスファルト混合物」とも言う。)の技術開発がなされてきた。
その1つが、アスファルト乳剤を使用する常温アスファルト混合物であり、アスファルトと水を乳化剤により乳化したものと、骨材とを常温あるいはそれより若干高い温度(100℃以下)で混合して得られたアスファルト乳剤混合物を舗装施工すると、アスファルト乳剤の分解に伴ってアスファルトが水と分離して道路としての強度が得られるものである。環境への関心もあり、道路の舗装工事においては、このアスファルト乳剤技術の使用や改良が増えてきている。例えば、アニオンアスファルト乳剤においてアスファルトと骨材間の接着性を向上させる改良方法が提供されている(特許文献2参照。)。
しかしながら、アスファルト乳剤を使用した常温アスファルト混合物(以下、アスファルト乳剤系常温混合物)は、骨材と乳剤の接触により分解が始まるため、密閉された容器等を用いても貯蔵することが困難である。アスファルト乳剤と骨材を別の容器に分けて貯蔵し、作業現場において、混合し、施工する製品が開発されている(特許文献3および4参照。)。
これは、現場で混合作業をするため、補修の成否が作業員の熟練度に左右される側面がある。前記アスファルト乳剤系常温混合物は、施工後に硬化するまで交通解放することができず、硬化まで30分から2時間を要し、迅速性に劣る。また、雨天時ではアスファルト乳剤が骨材から剥離、流出してしまうため、所望の硬化の達成が困難である場合もある。
他の1つが、カットバックアスファルト(またはカッターストック)を使用する常温アスファルト混合物であり、鉱物油等の炭化水素溶剤といったカットバック剤によりアスファルトを軟質化して粘度を低下させることにより、予乾燥された骨材と常温あるいは加熱混合して、得られたアスファルト混合物を舗装施工すると、カットバック剤の揮発に伴って強度が得られるものである。常温あるいはそれより若干高い温度(100℃以下)で使用が可能であるため、緊急性、または迅速性を有する補修工事に使用することができる。
特に雨天時でも使用することができ、水の存在下でも強度を得ることができる常温アスファルト混合物は、全天候型アスファルト混合物として、既に開発、販売されており、アスファルト舗装の補修材料として、作業性に優れることから年々、使用量が増加傾向にある。しかし、近年、常温アスファルト混合物の性能として、作業性や耐久性に加え、環境適応性が求められるようになってきた。
環境適応性が求められている理由として、前記常温アスファルト混合物に含まれているカットバック剤の環境に及ぼす影響が問題視されているからである。環境に及ぼす影響として、土壌地下汚染、大気汚染、人体への有害性等が挙げられる。それらの問題点の解決策として、カットバック剤にトール油脂肪酸を使用した常温アスファルト混合物がすでに開発されている(特許文献5参照。)。しかし、アスファルト舗装の補修材料としての耐久性が低く、養生時間が長いことが懸念となっている。
さらに、植物油脂類などを重合、縮合および架橋などにより高分子化させ、舗装用バインダーを得ることも知られている(特許文献6参照。)。
本発明者等は、この種のポットホール常温補修材として、ブローンアスファルトを主成分とし、これに乾性油(例えば、スタンド油、亜麻仁油)、および剥離防止剤(例えば、長鎖脂肪族アミン)の適量を混合し、且つ必要に応じて、少量のストレートアスファルト、硬化促進剤を添加混合してバインダーとし、このバインダーの適量を用いて、骨材としての適当な粒度範囲、粒度分布の砕石の所定量を、相互に結合させたポットホール常温補修材を、既に提供している(特許文献7参照。)。しかし、特殊なブローンアスファルトや剥離防止剤の使用を必須とせず、養生時間が短く、更に耐久性に優れたポットホール常温補修材が、切に要望されていた。
本発明者等は、先行するいわゆる各種常温「湿式施工型」のアスファルト混合物以上の材料特性を有しており、しかも硬化の原理がそれとは異なり、施工および取り扱いが非常に簡便であるという施工性、常温空気により強固に硬化するという原理に基づくという、新たな技術視点から模索することにより、硬化に水の存在を必須としない、いわゆる新たな視点である「乾式施工型」の範疇に属するともいえる一種の常温酸化反応硬化性を有する常温アスファルト混合物からなる全天候型アスファルト混合物を開発することができたものである。
本発明は、上記の課題を鑑み、提案するもので、植物油脂、特に乾性油の範疇に属し、その主成分である不飽和脂肪酸中の二重結合が空気中の酸素と徐々に結合して酸化反応および酸化重合反応することに注目し、耐久性を有し、養生時間を短縮できる道路舗装等の補修材としての全天候型の常温アスファルト混合物における硬化時間の短縮および硬化度を調整できるというような課題を解決することである。従来型のカットバック剤として、アスファルトに引火性の高い石油、軽質油等の鉱物油および炭化水素系溶剤を混合するような公知の危険を伴う従来の常温アスファルト混合物の製造方法および施工方法を回避し、特定の乾性油という材料の選定により新たな性能向上の視点から全天候型常温アスファルト混合物の開発を達成したものである。
その原材料として、二重結合を脂肪酸分子中に有する動植物性脂肪酸及び反応促進剤を含むアスファルト混合物(「カットバックアスファルト」とも言う。)を主体とする材料とすることで課題を解決するものである。これは道路舗装を舗設する際の各種敷設材料の1つとしても使用可能な特性を備えた材料を提供することも目的とするものである。
本発明の特徴は、酸化反応性および(又は)酸化重合反応性の特性を備えた常温アスファルト混合物でもあるということも出来る。
上記の目的を達成するために、本発明によれば、以下の特徴点および構成要件を有する全天候型常温アスファルト混合物が提供される。
すなわち、本発明は上記課題を解決する手段として、雨天、寒暖のような気候条件の影響や煩雑な作業手順を考慮することなく施工ができるという特性を備えており、しかも常温で施工ができるという性質を備えた、いわゆる全天候型アスファルト混合物(以下、単に「全天候型アスファルト混合物」と表示する場合もある。)の概要および特徴は以下のとおりのものである。
また、本発明における「常温アスファルト混合物」という用語の意味は、アスファルト混合物の調合段階である、アスファルトと乾性油、骨材、反応促進剤などの各種添加剤を調合する場合に、調合現場で、アスファルトの軟化温度、可塑化温度又は溶融温度である比較的高い温度に加熱する必要がなく、常温、例えば25℃に限定して解釈するものではなく、例えば5〜120℃、好ましくは15〜80℃程度の、より好ましくは20〜60℃というような、取り扱いが容易な常温に近い比較的低い温度でも調合するような場合を含めて、常温で調合すると表示している。
また、この常温アスファルト混合物とは、工事現場の施工段階という具体的な工事において、路面などへ施工する場合に、アスファルトの軟化温度(例えば145〜175℃)に加熱溶融することにより軟化、次いで固化するというような操作を必要とすることなく、しかも気象条件に拘束されることなく、比較的常温近くで容易に、迅速に、安全に施工することができるという全天候型の材料の意味にも適合する用語である。
(1)本発明の第1の特徴は、骨材、道路舗装に使用されるストレートアスファルト又は改質アスファルト、脂肪酸分子中に共役二重結合を有する脂肪酸を主成分として含む乾性油、及び金属系触媒あるいはラジカル開始剤のいずれかを含有する反応促進剤から成ることを特徴とする常温アスファルト混合物である。
(2)本発明の第2の特徴は、骨材、繊維材料、道路舗装に使用されるストレートアスファルト又は改質アスファルト、脂肪酸分子中に共役二重結合を有する脂肪酸を主成分として含む乾性油、及び金属系触媒あるいはラジカル開始剤のいずれかを含有する反応促進剤から成ることを特徴とする常温アスファルト混合物である。
(3)本発明の第3の特徴は、前記乾性油が、乾性油と半乾性油、乾性油と不乾性油、又は乾性油と半乾性油と不乾性油から成る各混成物であって、ヨウ素価130以上に調整されたものであることを特徴とする常温アスファルト混合物にある。
(4)本発明の第4の特徴は、前記アスファルトと前記乾性油の重量比率が1:99から99:1の範囲で前記アスファルト混合物中に含まれていることを特徴とする常温アスファルト混合物にある。
)本発明の第の特徴は、前記乾性油と前記反応促進剤の重量比率が99:1から30:70の範囲で含まれていることを特徴とする常温アスファルト混合物にある。
)本発明の第の特徴は、0〜30℃の常温骨材あるいは30〜180℃に加熱した骨材、あるいはさらに繊維材料を添加・混合し、次いで前記アスファルト、前記乾性油及び前記反応促進剤を混練したバインダー混合物を混練して施工することにより、空気中の酸素により酸化反応または酸化重合反応して固化し、強度を発現するようにした常温アスファルト混合物の固化方法にある。
)本発明の第の特徴は、0〜30℃の常温骨材あるいは30〜180℃に加熱した骨材、あるいは必要に応じて繊維材料を添加・混合し、次いで前記アスファルト、前記乾性油及び前記反応促進剤を混練したバインダー混合物を混練して得られた混合物を、酸素透過防止層および熱融着層を備える包装内に充填し、次いで、前記熱融着層を熱融着することで、前記混合物を前記包装内に密封すること、あるいは前記混合物を酸素の透過を防止できる容器内に密封することを特徴とする常温アスファルト混合物の製造方法にある。
この発明は、上記の発明の構成を採ることにより、以下に説明するような効果を奏する。
図1に基づいて、本発明の常温アスファルト混合物の硬化概念を説明する。図1(a)に示すアスファルトと乾性油を混合したカットバックアスファルトを用いた常温アスファルト混合物に空気中等の酸素が供給されることで、図1(b)に示すような乾性油に含まれる脂肪酸の二重結合部位に酸素が付加され、その際生成したラジカル酸化反応あるいは酸化重合反応が開始されることにより硬化強度を発現することができる。また、本発明によれば、アスファルト混合物に反応促進剤を使用することで、当該混合物の高い硬化度の達成や硬化養生にかかるまでの時間を短縮できることを可能にした。
本発明に関する常温アスファルト混合物の硬化概要を示す図である。 本発明に関する常温アスファルト混合物の施工の概要を示す図である。
本発明の全天候型常温アスファルト混合物とは、常温で施工可能であり、かつその施工は全天候型の機能および特性を備えたものであり、その全天候型常温アスファルト混合物を構成する主要部分は、骨材、アスファルトと乾性油、及び反応促進剤を含有することを特徴とする常温アスファルト混合物という、特定の動植物油脂である乾性油とを混合したカットバックアスファルトから構成されるものを基本的な材料としており、これがバインダ―(以下、その機能から「バインダー」とも表示することもある。)として機能を果たす。
より詳細には、本発明は、アスファルトと脂肪酸分子中に二重結合を有する動植物油脂等の混合物などを基本的な材料としながらも、乾性油および反応促進剤を基本的な構成材料とし、施工においては、アスファルトに骨材を、更には骨材と繊維材料を併用した、脂肪酸分子中に二重結合を有する動植物油脂等からなる乾性油と、反応促進剤とを混合してなる酸化反応あるいは酸化重合反応性の常温アスファルト混合物から本質的に構成されることにより、このアスファルト混合物の施工時に、特に空気中の酸素により脂肪酸分子中に二重結合を有する脂肪酸を含む乾性油であるから、動植物油脂の脂肪酸分子中に存在する二重結合が酸化反応あるいは酸化重合反応することにより、硬化するという原理に基づいており、その結果、早期硬化性、強度、飛散抵抗性等の特殊な機能および特性を発現することに有利であるばかりでなく、混合物の材料の性能や特性の向上、施工時などの取り扱い性、用途や実用性を高めることができたものである。
このカットバックアスファルトは、前記アスファルトと前記乾性油の重量比率が1:99から99:1の範囲で前記アスファルト混合物中に含まれていることが好ましい。具体的な混合仕様として、アスファルト100重量部に対して、前記乾性油を1〜9900重量部を添加したカットバックアスファルトにより構成される。好ましくは40〜400重量部、より好ましくは50〜250重量部程度と舗装道路の交通量の事情や、ポットホールの事情などを考慮して、任意に添加して前記比率になるように調整したカットバックアスファルトであることが必要である。
ここでの「重量部」表示とは、例えば、トン(t)、キログラム(kg)、グラム(g)等の慣用の単位重量の規定に基づいて特定することを指す。
前記乾性油を例えば25、10、5重量部と添加量を順次少なくすれば、粘度が上昇し、半固体となる傾向を示すため、常温での施工を前提とした常温アスファルト混合物のバインダーとしては適正な性状を表さなくなる。
一方、乾性油を例えば700、800、1200重量部と順次多くすれば、粘度が低下し、常温での取り扱いは容易となるが、アスファルトの含有量が少なくなるため、常温アスファルト混合物のバインダーとして使用した場合、たわみ性や飛散抵抗性等が低下する傾向を示す。
本発明では、アスファルト混合物として、特定の乾性油でカットバックされたアスファルトを用いることにより、アスファルト本来の性能を低下させることなく、取り扱い上も適正な性質になり、従来のカットバックアスファルトの問題を解決することができる。
骨材は、アスファルト混合物中に、アスファルト100重量部に対して、200〜17000重量部、好ましくは900〜9900重量部程度配合する。
骨材としては、慣用の主に無機質の材料が挙げられるが、例えば下記に例示されているような、慣用の砕石、砂利、鉄鋼スラグ、山砂、川砂、コンクリート砕粉、各種金属粉、無機顔料、などの材料が挙げられる。アスファルト混合物として、骨材が存在すると、耐久性の向上やコスト低減に寄与される。
更に、骨材と繊維材料を併用した、アスファルト、乾性油、及び反応促進剤を含有することを特徴とする常温アスファルト混合物とすると、繊維材料が骨材やアスファルト材料間の結合を強固にして、しかも硬化した乾性油の強化も達成できるので、アスファルト混合物の性能を良くするばかりでなく、強度、飛散抵抗性等の特殊な機能および特性を発現することにも有利であることを知見したものである。
いずれにせよ、この繊維材料が、アスファルト混合物の仕様において、以下に示すように骨材の飛散や偏りを防止する機能を発現するということは予期せぬ材料挙動である。
混合物中に骨材、骨材と繊維材料を併用した技術的な意義をさらに詳細に説明すると、混合物中の繊維材料は、硬化したカットバックアスファルトと共に隣接する骨材同士を繋ぎ合わせた構造となっている。そのため、硬化後に荷重が加わった場合であっても、繊維材料が混在していない場合には、簡単に破損するが、繊維材料が混在する場合には、たわみ性等が加わり、容易に破損することなく、特に混合物のたわみ性が向上すると共に交通荷重がかかった場合、骨材飛散の発生が抑制される。
酸化反応あるいは酸化重合反応による硬化後においては、隣接する骨材同士が酸化反応あるいは酸化重合反応により硬化したカットバックアスファルトおよび繊維材料により強固に繋ぎ合わされる。そのため、骨材同士の接着強度が上昇し、骨材の離反や飛散を抑制し、有意に機能する。また、繊維材料は常温アスファルト混合物施工後に車両による重量負荷から生じる変形、タイヤによる摩擦等に対しても有意に作用する。これは、特にトップコート工法における骨材の飛散防止機能において、非常に有益である。
繊維材料は、合成樹脂、コンクリート、石膏等の各種無機材料の強化のために慣用的に使用される材料ではあるが、本発明のように、特にアスファルト混合物が混在する骨材間の乖離、飛散等を防ぎ、施工後の硬化アスファルト混合物の強化を達成する作用を果たす。
本発明の常温アスファルト混合物を構成するアスファルトについて詳細に説明すると、このアスファルトの特性の指標として、JIS規格(JIS K 2207:2006)でも詳細に規定されているが、典型的な指標として「針入度」(25℃、標準針の貫入量を1/10mmの単位で表示。)に基づいて特定することができる。
アスファルトの針入度の特性は、混合物の強度およびたわみ性に影響する要因であり、JIS K 2207:2006に記載されている針入度10を超え300以下の範囲のものが推奨される。強度と作業性を考慮し、ストレートアスファルト60/80(以下、アスファルト60/80)を使用することが好ましい。
その他、上記の針入度の範囲外のアスファルトであっても、鉱物油または植物油等を混合し、針入度を所定の値に構成するアスファルトとしては、通常分類される石油アスファルトおよび天然アスファルトの範疇に属するいずれのものも使用することが推奨されるが、それ以外にも改質アスファルト等も使用できる。
本発明の常温アスファルト混合物を構成する脂肪酸としては、脂肪酸分子中に二重結合を有する動植物性油脂であれば使用可能である。植物油脂にあっては乾性油(ヨウ素価130以上)の範疇に属する、植物油脂を構成する不飽和脂肪酸としてその分子中に共役二重結合を有している桐油、オイチシカ油または脱水ひまし油が好適に使用できる。
本発明の脂肪酸とは、好ましくは不飽和脂肪酸であり、脂肪族基に、少なくとも1個、場合によっては、2個、3個の不飽和結合を有する化合物である。一般的には動植物由来の脂肪を分解して収得できる公知の化合物であり、カルボン酸を有する場合には酸性の化合物であり、オクタン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸のような炭素原子をC2〜C30個の適度の長さの炭化水素鎖を有しており、炭化水素鎖に少なくとも1個のカルボキシル基を有するのが通常である。また、場合によっては、脂肪酸と低級アルコールとのエステル、脂肪酸とナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛のような金属塩の形態も包含する。
この脂肪酸の硬化を合理的に促進する為には、本発明の脂肪酸の範疇に属する、空気中で徐々に酸化硬化する性質を備えた油である、いわゆる乾性油も推奨される。乾性油の特徴は、不飽和脂肪酸を相当量含むことであり、その量を示す当該技術分野において通常採用されている指標および分類であります、「ヨウ素価」により区分すれば、代表的な油脂の例は以下のとおりになる。

「ヨウ素価による分類」 「ヨウ素価」 「油脂の種類」
乾性油 130以上 桐油、亜麻仁油、等
半乾性油 100〜130 胡麻油、大豆油、等
不乾性油 100以下 菜種油、オリーブ油、等

以上のヨウ素価区分から、本発明の常温アスファルト混合物を構成する脂肪酸としては、酸化反応性あるいは酸化重合反応性の高さから、乾性油の使用が好ましく、乾性油としては1種のみならず2種以上を混合しても使用可能である。更にヨウ素価が130以上である範囲内において、乾性油に加えて半乾性油および/または不乾性油が含まれている混成物の状態の物も使用可能である。即ち、ヨウ素価が130以上であれば、乾性油のみならず、乾性油−半乾性油、乾性油−不乾性油、乾性油−半乾性油−不乾性油のような各種油脂を任意に混合してなる混成物でも使用可能である。
詳細には、乾性油として、ヨウ素価130以上のもの、例えばヨウ素価が130以上220程度の範囲に属する各種乾性油のものが挙げられるが、これらに属する桐油、亜麻仁油等の単独は勿論のこと、桐油と亜麻仁油のような、各種の混成物も使用できる。勿論、ヨウ素価130以上の桐油のような乾性油に、胡麻油のようなヨウ素価100〜130の半乾性油を3〜25wt%と若干含む混成物であっても、130以上のものと同程度の性能を発現する場合には、任意の各組成の混成物としても採用することができる。同様に、このような性能は、乾性油に若干の半乾性油と不乾性油を混合して成る混成物、例えば桐油に大豆油と菜種油を混合した乾性油から成る混成物の場合も性能を低下させない範囲で任意に使用できる。この乾性油が食用であるか、工業用であるかにおいても、含油量、物性および脂肪酸組成が相違する場合もあり、特に工業用の場合には、各種乾性油の単独や、各種乾性油の混成物も任意に使用できる。また、路面材料の性格から、種子などからの原料の粗製段階のもの、例えば、原料残渣を5〜20wt%程度含む乾性油である、いわゆる純度80〜95%程度の精製油や未精製油からなる各種乾性油を使用することが、その性能を低下させないという事実を吟味してから、使用することも出来る。
このような本発明の脂肪酸、特に不飽和脂肪酸を含む代表的な植物油脂としては、上記以外にも、サフラワ−油、落花生油、ヤシ油、綿実油のような各種のものが挙げられる。
本発明の脂肪酸の酸素による重合、硬化反応は、脂肪酸の脂肪族基に存在する不飽和基である、二重結合に基づく、直鎖状の線状の重合反応、共重合反応に基づくものを基本とするものである。
空気中で酸化して固化する油脂は、乾性油が最も高く、乾性油には分子中に不飽和脂肪酸を含有しており、不飽和基は二重結合であり、これが空気中の酸素と反応して酸化され、二重結合間の重合反応が進行する。油に含有される不飽和脂肪酸のような分子が、重合、共重合反応により、分子鎖を大きく成長させることが基本的な重合形態である。この不飽和基の二重結合は、油脂の品種、産地などにより、若干相違する場合があり、最も適した油脂を選定することも可能である。
乾性油は、成分として含む不飽和脂肪酸分子中に複数の二重結合を持っている。この二重結合は反応性が高く、空気中の酸素と徐々に結合して酸化され、過酸化物やラジカルが形成され、これらが反応開始剤となり二重結合間の重合反応が進行して高分子化して、最終的には流動性を失って固化する。不飽和結合の量が多いもの程、即ち、ヨウ素価の高い油ほど、固化するのが速い。
場合によっては、脂肪酸分子同士が架橋して架橋構造体として存在すること、あるいは部分的に隣接する脂肪族基の二重結合同士が、反応することもあり、分子の結合手が二次元、三次元構造という複数の結合手により複雑な構造を形成する、いわゆる多次元の架橋構造になることにより分子鎖が大きく成長する場合もある。
更には、脂肪酸分子が隣接する他の脂肪酸の不飽和基と反応することにより、二量化、三量化という、いわゆる多量化反応による高分子量体に成長し、複雑な重合反応を経ることにより、流動性を失った高分子量の固化物になる。炭化水素鎖に二重結合があれば、融点が低くなり、液状になる傾向を示すことが一般的に知られている。
この多次元の多くの結合手を有する架橋構造は、アスファルト混合物の、特に、道路舗装に施工した場合に、車両の通行に基づく振動に対して、長期間高い耐久性を発現する。更には、ひび割れの防止、滑面化の防止、平坦性低下防止、寄り、すべり抵抗低下、空隙つぶれ、破損度において、耐久性を有することになる。特に道路資材としては非常に適した特性を備えている。
また、ヨウ素価が130以上の乾性油は、固化の進行が早いので、反応促進剤の種類および添加量を選定して、また、施工時間および施工時の気温などの温度条件というような現場の状況を考慮してその仕様を調整する。同様に、ヨウ素価が100〜130の半乾性油、ヨウ素価が100以下の不乾性油のような使用は、酸化反応の進行が遅い場合があり、反応開始を、例えば、25℃の常温状態から、50℃に上げると、急速に反応が進行する場合もあるので、冬季に作業や、寒冷地の施工の場合には、反応促進剤の種類の選定や、量の調整は勿論のこと、環境を考慮した施工する際の反応温度条件なども調整する必要がある。
このように、本発明のアスファルト、動植物由来脂肪酸および反応促進剤からなる常温酸化反応硬化性の常温アスファルト混合物は、硬化時間に要する時間は、取り扱い温度を調節すれば、例えば、所定の硬化度を達成するために、25℃の施工温度で30分で硬化する仕様の混合物を、施工温度を50℃に上げると硬化時間が10分と短縮できる場合があるので、工期などの現場の状況に応じて混合物の材料を選択することが可能である。
更に、乾性油の酸化反応は、空気中の酸素と反応するために、発熱反応であり、反応速度の速いものなどは温度が急上昇する場合があり、その取り扱いには留意する必要がある。
勿論、不飽和脂肪酸化合物、動植物由来脂肪酸および反応促進剤として、具体的にどのような化合物を選定したか、どの程度の添加量にするかという、アスファルトの特徴、骨材の有無、繊維材料の有無により、硬化反応条件の仕様の違いにより、若干相違することもあるが、硬化達成時間は反応温度に依存するという傾向は一致する。
本発明は、このような脂肪酸に存在する二重結合を重合させるという原理を利用することにより、空気中で酸化固化する性質を備えた常温アスファルト混合物を提供したものであるが、舗装作業のスケジュール、工期、交通量などを考慮して、アスファルト混合物の仕様を調整することができることも本発明の特徴の一つである。
動植物由来脂肪酸類からなる乾性油の使用量は、そのアスファルト混合物を如何なる用途の材料として使用するかということと、如何なるヨウ素価の乾性油を選定したかという事情を考慮して決める。前記アスファルトと前記乾性油の重量比率が1:99から99:1の範囲で前記アスファルト混合物中に含まれていることが必要である。
具体的な混合仕様で表すと、アスファルト100重量部に対して、25、10、5重量部と順次添加量を少なくすれば、粘度が上昇する傾向があり、半固体となる傾向を示すため、常温での施工を前提とした常温アスファルト混合物のバインダーとしては不向きとなる。
一方、脂肪酸を100、200、300重量部と順次多くすれば、粘度が低下し、常温での取り扱いは容易となるが、アスファルトの含有量が少なくなるため、常温アスファルト混合物のバインダとして使用した場合、たわみ性や飛散抵抗性などが低下する傾向を示す。
結局、本発明で特定するアスファルト混合物の成分からなる仕様のものが、そのバインダーに適しており、骨材、繊維材料などの材料を任意に併用することにより、空気中で酸化することにより早期硬化性、飛散抵抗性などの特殊な機能、および硬度のような特性を発現することに優位であることを知見したものである。
以下にその脂肪酸組成(含有%)を、下記の非特許文献2〜4を抜粋援用して、表1に示す。
成分中の不飽和脂肪酸の量を示す
指標であるヨウ素価が、130以上の油を乾性油という。表1に見るとおり、亜麻仁油、桐油、トール油、紅花油(サフラワー油)等が挙げられる。中でも桐油は、他の乾性油とは全く成分組成が異なっている。
この乾性油とは、二重結合部位が酸化反応あるいは酸化重合反応することでそれ自体が硬化するため、従来のカットバックアスファルトと違い、揮発性有機溶剤(VOC)のような環境に有害な成分が土壌中および大気中に飛散することがない。
カットバック剤である前記乾性油の添加量は、前記アスファルト100重量部に対して、植物油脂の含有量が1〜9900重量部の範囲で添加することができる。好ましくは40〜400重量部の範囲で、最も好ましくは50〜250重量部の範囲で任意に添加することができる。
本発明で使用される桐油脂肪酸は、主として共役トリエン酸であるα−エレオステアリン酸を約70〜80%含有しているため、酸化反応性あるいは酸化重合反応性が極めて高いことが特徴である。そのため、桐油脂肪酸に半乾性油あるいは不乾性油が混合されている成る混成物であっても十分な反応性を示すことができる。ただし、混合する半乾性油あるいは不乾性油の重量割合が増加することで性能面が低下する恐れがあるため、硬化強度等を評価できる性能試験にて、桐油脂肪酸と半乾性油あるいは不乾性油の配合割合を決定する必要がある。
次に、本発明のアスファルト混合物を形成する、反応促進剤等について順次説明をする。
すなわち、乾性油の固化反応は、油脂により性能に違いがあり、空気による酸化反応の遂行が難しい場合とか、必要以上に時間や手間を費やす場合には、反応促進剤を併用することが必要である。
本発明の要旨は、少なくともアスファルト、動植物由来脂肪酸および反応促進剤からなる酸化反応あるいは酸化重合反応型常温アスファルト混合物から本質的に構成されるものである。このアスファルト混合物の施工時に反応促進剤を併用することにより、空気中の酸素により重合することで固化させるという原理に基づくものである。更に、脂肪酸の酸化反応あるいは酸化重合反応が、円滑に遂行できない場合に備えて、反応促進剤を併用して、より短時間に、しかも完璧に重合を達成するという手法に基づくものである。
反応促進剤とは、触媒的なものや、過酸化物のように自己で遊離の酸素を提供するもの、或いは、脂肪酸に直接空気中の酸素により反応を開始する酸化の拠点を与える化合物など各種の過酸化物が推奨される。酸化重合反応を円滑に遂行するためには、酸素、過酸化物などの分解により生成するラジカル重合開始剤を重合系に添加する場合が多い。
施工時に必要により任意のイオン重合触媒やラジカル重合触媒のような公知の重合触媒からなる重合開始剤、重合触媒を併用し、または液状または溶融状態の脂肪酸状態から強固な三次元架橋構造を有する不融物の状態に硬化させる硬化促進剤等を併用することにより硬化の程度や硬化時間を調整することも可能であり、これらの調整により混合物中の植物由来不飽和脂肪酸が空気中の酸素により硬化を開始することにより早期に高い強度を発現することができる。
具体的には、代表的なものとして、アゾ系ラジカル開始剤、過酸化物系ラジカル開始剤などがあげられる。例えば、アゾ系としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、過酸化系としては、ベンゾイルパーオキシド、3,3’,5,5’−テトラメチル−1,4−ジフェノキノン、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノキシル、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネートなどが低温ラジカル開始剤として知られており、これらは例えば、Wako製品として、商品名V−40、V−50、V−70等として容易に入手できる。
また、水溶性、油溶性のラジカル反応開始剤なども有るので、アスファルト混合物の施工を考慮して任意に選定する必要がある。
反応促進剤として、特に酸化重合促進剤または開始剤の機能を果たす具体的な例をあげると、エチレン系ビニルモノマーの重合にも共通する、過酸化水素、過酸化ブチル、過酸化クミルブチル、アルキルヒドロ過酸化物、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどのような各種過酸化物や、上記に示す2−2’−アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ化合物が挙げられる。また、慣用のコバルト触媒などにより、不飽和脂肪酸の二重結合が酸化され、ハイドロパーオキサイドが形成され、これが他の不飽和結合に反応して、ラジカルを形成するというプロセスにより重合が進行する態様もある。
本発明のアスファルト混合物を構成する反応促進剤としては、酸化反応あるいは酸化重合反応を促進できる材料であれば良く、金属系触媒あるいはラジカル開始剤等が挙げられる。
本発明のアスファルト混合物を形成する金属系触媒あるいはラジカル開始剤には混合物への分散性が良いものが望まれる。
金属系触媒では、長鎖脂肪酸と、ナトリウム、カリウム以外の金属塩を指す。例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、リシノール酸、ナフテン酸、オクチル酸等の脂肪酸と、リチウム、マンガン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、鉛、コバルト等の金属塩が挙げられる。特に、ステアリン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト等々が、好ましく使用できる。
本発明で使用する反応促進剤の添加量は、前記乾性油と前記反応促進剤の重量比率が99:1から30:70の範囲で含まれている程度に調整すればよい。反応促進剤の量が少ないと重合反応が適正に進行しない。一方反応促進剤が多すぎると、反応に寄与しない部分が硬化物中に残り、硬化反応の促進に悪い影響を与える。さらに価格の面では勿論のこと、硬化物の物性にも悪い影響を与える。前記乾性油と前記反応促進剤の重量比率が例えば、4:6、5:5、6:4、7:3というように、反応促進剤の化合物の性質、アスファルト混合物の仕様、施工作業の気温などを考慮して重量比率99:1から30:70の範囲で任意に調整することが可能である。
具体的な混合仕様に基づいて配合割合を表示すれば、乾性油100重量部に対して、反応促進剤の1〜230重量部であることが望ましい。好ましくは、1〜25重量部の添加量である。桐油脂肪酸100重量部に対して、反応促進剤を230重量部超えて添加しても、脂肪酸量に対して反応促進剤が大過剰量の添加となるため無駄になる。また、反応促進剤の1重量部未満の添加では、桐油脂肪酸の合計量100重量部に対しては少量すぎて早期での酸化反応の効果が期待できない。
この反応開始剤は、カットバック剤である桐油脂肪酸の酸化反応あるいは酸化重合反応の反応促進剤として機能するものである。また、桐油脂肪酸と反応促進剤の混合により、常温アスファルト混合物の硬化するまでに要する養生時間が変化し、短縮される。
このような常温アスファルト混合物を施工した際に、プレートまたはタンパで転圧3するとアスファルト中に分散した前記乾性油が、空気中の酸素と酸化反応あるいは酸化重合反応により硬化する。
一方、ラジカル開始剤は、ラジカル反応を進めるために穏和な反応条件でラジカルを発生させる化合物を指し、一般的に結合エネルギーの小さな弱い結合を持つ。例えば、ジハロゲン、アゾ化合物、有機過酸化物等が挙げられる。
また、反応促進剤、ラジカル開始剤などは、あらかじめカットバックアスファルトに添加しておくことが標準的な使用方法である。
次に、本発明のアスファルト、二重結合を分子中に有する動植物由来脂肪酸類からなる乾性油、及び反応促進剤からなるアスファルト混合物に対して、施工において標準的に併用する骨材、繊維材料等について順次説明をする。
骨材として、慣用的に使用される砂、砂利、砕石、スラグ、石粉、JIS規格(JIS A 5001:2008)に準じた単粒度砕石、粒度調整砕石、クラッシャランおよびコンクリートの粉細粒、アスファルト舗装の切削骨材のような再利用のものを含めて、単独又は適宜混合した通常の骨材として利用されている各種骨材を使用できる。タルク、シリカ、クレー、炭酸カルシウムなどを併用することも可能である。その他、アスファルト混合物の接着性改善や工法使用目的として、アスファルトを骨材にコーティングしたプレコート骨材等も使用できる。骨材の添加量は、例えば、舗装の場合に、その舗装に要求される特性に応じて任意に現場の裁量により決めることができる量であるが、通常は、アスファルト100重量部に対して骨材200〜17000重量部、好ましくは900〜9900重量部である。骨材の材質および形状は任意であり、粒径は最大粒径が0.01〜200mmと、材質は勿論のこと、粗骨、細骨材の種類により適宜変えることが出来るが、任意のものが採用できるので、参考までに、本願の混合物の標準的な骨材の粒度範囲を示す。
[骨材の標準的な粒度範囲の仕様例]
骨材は、その材料の材質、種類および入手経路等により、その状態に若干の違いがあるが、上記の骨材粒度を有するものが望ましい。
勿論、常温アスファルト混合物の施工後に早期に交通解放した場合に、常温アスファルト混合物が完全に硬化する前であっても容易に飛散・流動しないような骨材粒度とすることも重要である。
本発明のアスファルト混合物を形成する繊維材料は、混合物への分散性が良いものが望ましい。また、繊維材料は、強度およびたわみ性に影響する材料であるため、カットバック剤の添加に起因するアスファルトの軟化点、強度および可撓性の低下を補足する重要な役割を果たす。さらに、混合物中の繊維材料は、硬化したカットバックアスファルトと共に隣接する骨材同士を繋ぎ合わせている。そのため、混合物のたわみ性が向上すると共に交通荷重がかかった場合、骨材飛散の発生が抑制されるという作用を奏する。
繊維材料としては、セルロースのような天然繊維、植物繊維、ビニロンのような合成樹脂繊維等の有機質繊維、ガラス、炭素繊維、鉱物繊維のような無機質繊維等の各種の繊維材料が挙げられる。その繊維材料の形態は、通常は繊維長0.05〜120mm程度、好ましくは繊維長0.1〜30mm程度の、より好ましくは繊維長0.1〜10mm程度である。繊維径は0.5〜500μm、好ましくは繊維径1.0〜100μm程度のものである。繊維材料として、特に望ましくは繊維長0.5〜5.0mm、繊維径5.0〜80μmの範囲のものが望ましい。繊維材料は、アスファルト混合物中に、アスファルト100重量部に対して、1〜150重量部、好ましくは2〜30重量部の程度配合する。
繊維長が、0.08mmという、いわゆる0.1mm以下になれば、繊維としての機能が発現せず、補強効果が期待できない。また、12mm、18mmというような10mm以上になれば、アスファルトへの混合、特に乾性油などに分散性等において偏在、集塊、切断のような支障が発生して、補強効果の発現が期待できないため、繊維長0.1〜10mmの範囲が望ましい。繊維径は、1.0μmでは、常温アスファルト混合物を補強するためには、細すぎるため、所定の強度が発現できない。また、90、100μmとなれば、アスファルト混合物との混合、分散性等に支障が生じる。いずれにしても、本発明の常温アスファルト混合物へ使用する繊維材料としては、繊維長0.5〜5.0mm、繊維径5.0〜80μm程度のものが推奨される。
本発明の常温アスファルト混合物の標準仕様のものを示すと、コストおよびアスファルトとの混合性を考慮し、アスファルト100重量部に桐油脂肪酸100重量部および一般的に使用されている平均繊維長1.0mm、繊維径50μmのセルロース繊維5重量部添加した場合のものが挙げられ、その挙動を解析する。
混合物中の繊維材料は、硬化したカットバックアスファルトと共に隣接する骨材同士を繋ぎ合わせている。そのため、混合物のたわみ性が向上すると共に交通荷重がかかった場合、骨材飛散の発生が抑制される。
以上のように、本発明の常温アスファルト混合物とは、施工現場では、乾性油である桐油脂肪酸でカットバックされたアスファルト、骨材、繊維材料からなる混合物であり、これに反応促進剤として金属系触媒あるいはラジカル開始剤を添加することで酸化反応あるいは酸化重合反応が進行し、硬化するものである。
アスファルト100重量部、桐油脂肪酸100重量部、及び金属系あるいは過酸化水素系反応促進剤2重量部のアスファルト混合物の硬化物は、上記で説明したとおり、多次元の架橋した硬化物になると予想され、これが、結合を強固にすることにより、特に道路などの通行振動に長期に耐えうる硬化物を形成することになる。しかし、これに、骨材、繊維を併用すれば、本来の充填剤としての機能が発現して、耐久性、耐磨耗性、耐流動性が向上する。これには多くの技術的な理由が想定できるが、二重結合を分子中に有する脂肪酸と反応促進剤による酸化反応あるいは酸化重合反応、および架橋反応が、脂肪酸同士ばかりでなく、アスファルト表面、および繊維表面を反応の起点として開始されることに起因することも理由ではないかと考えられる。いずれにせよ、道路資材としては卓越した性能を発現することが可能である。
この現象は、水の存在を伴う、前記の「湿式施工型」における、界面に水が存在する場合には期待できなく、若干の水が存在しても本発明の乾式施工型の特有の利点および機能を発現することができる。
本発明の施工は、舗装現場で、舗装の現場の状況を考慮して、アスファルトや、二重結合を分子中に有する脂肪酸を含む乾性油、及び反応促進剤を如何なる材料にするかを判断して適宜その仕様を決め、さらに舗装道路としての性格を決めて、骨材、繊維材料の種類や、混合量などを決めて常温アスファルト混合物を作成して施工することが通常の施工方法である。
本発明の具体的な施工方法を示すと、0〜30℃の常温骨材あるいは30〜180℃に加熱した骨材、あるいは必要に応じて繊維材料を添加・混合し、次いで前記アスファルト、乾性油及び反応促進剤を混練したバインダー混合物を混練して施工することにより、空気中の酸素により酸化反応または酸化重合反応して固化し、強度を発現することにより常温アスファルト混合物の固化方法が達成される。
常温骨材は、硬化が達成できるが、加熱骨材は、酸化反応や酸化重合反応を迅速に達成する為に有益であるが、加熱などは作業現場における取り扱いに配慮しなければならない。
さらに、簡易施工の便宜のために、本発明の施工方法として、0〜30℃の常温骨材あるいは30〜180℃に加熱した骨材、これに必要に応じて繊維材料を添加・混合し、次いで前記アスファルト、乾性油及び反応促進剤を混練したバインダーとして得られた混合物を、酸素透過防止層および熱融着層を備える包装内に充填し、次いで、前記熱融着層を熱融着することで、前記混合物を前記包装内に密封すること、あるいは前記混合物を酸素の透過を防止できる容器内に密封することを特徴とする常温アスファルト混合物の製造方法が達成される。
これは、空気中の酸素などの影響を遮断することにより、作業現場で開封することにより酸化重合を開始させるという手法は、保管、移送や現場の調合を省略するために、現場作業の時間短縮や作業能率、安全性などの向上に寄与するものである。この形式は、混合物の品質を安定に維持することのできる一種の包装体であるパック形式の取り扱いであり、空気中の酸素の影響による混合物の硬化の進行を調整することが可能であり、施工現場では取り扱いにおいて重宝される使用形態である。特に、ポットホールのような局部的な剥離や破損の部分の短時間による能率的な補修などにも有益である。
例えば、特に、一定量、例えば、常温アスファルト混合物の20kgの量をパックとした場合に、現場の舗装に如何なる量を消費するかを目算して、所定のパック数を予め調達すれば、輸送の効率化、常温アスファルト混合物の現場での余分物の破棄などの無駄な浪費が節減できる。
図2に基づいて、本発明の常温アスファルト混合物を施工する手順を説明する。常温アスファルト混合物は、例えば図2(a)に示すような既設アスファルト舗装1に形成されたポットホール12に対して、図2(b)に示すように常温アスファルト混合物を充填する。その後に、ポットホールに物理的に高密に充填する関係上、ポットホールの空隙よりやや多めに充填することが推奨される。このポットホールのアスファルト混合物をプレート又はタンパ3で押し込み、均一に転圧する。この転圧した図2(c)に示す施工後のアスファルト混合物は、空気中の酸素と反応して硬化する。その施工後の状態は、図2(d)に示すとおり、ポットホールが補修された状態の既設アスファルト舗装となる。
この図1に示す、硬化の原理および構造を詳細に説明すると、本発明の常温アスファルト混合物は、それを構成する材料の特性および形態に基づいて解析すれば、アスファルト中に二重結合を脂肪酸分子中に有する植物油脂である乾性油が分散した状態の組成からなるカットバックアスファルト(以下、この組成を単に「カットバックアスファルト」と呼称することもある。)が骨材に被覆した状態となっている。また、前記カットバックアスファルト中に反応促進剤が分散している状態の構造になっている。
このような常温アスファルト混合物を施工した際に、プレートまたはタンパ3で転圧するとアスファルト中に分散した前記乾性油と、反応促進剤と、空気中の酸素が酸化反応あるいは酸化重合反応により硬化する。
なお、本発明の常温アスファルト混合物は、必要により、常温アスファルト結合部分に、特に作業性を損なわない範囲で、アスファルト混合物100重量部に対して、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステル、廃プラスチック、再生プラスチック、ゴム等の天然あるいは合成の各種樹脂やゴム材料を1.0〜20重量部と任意に配合することにより、舗装道路のわだちの形成の防止、骨材の飛散防止、耐久性、摩耗防止、振動崩壊等を防止することができる。
また、フェノール樹脂、テルペン樹脂のような各種粘着付与剤を必要により併用することが出来るが、公知のブロッキング防止剤の併用により、程度に調整することも出来る。
さらに、本発明の常温アスファルト混合物は、透水、排水機能を付与したり、明色や色彩機能を持たせることも可能である。騒音防止機能や、滑り止め機能を持たせることも可能である。
また、路面等の温度、日射などの過酷な状態に長期に放置することの多い材料であるという性格からして、乾性油硬化物、常温アスファルト混合物の硬化物の劣化を防止するために、不飽和脂肪酸中の二重結合が空気中の酸素と徐々に結合して酸化反応および酸化重合反応する性能を低下させない程度に、例えばフェノール系酸化防止剤、特にヒンダードフェノール等を併用すること、イオウ系化合物、りん系酸化防止剤を併用すること、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、などの公知の安定剤を任意に併用することが出来る。
以下に、本発明の典型的な実施例を挙げて説明をするが、本発明の技術範囲は、この実施例により限定されるものではなく、本願特許の請求範囲を実証するためのものである。
標準的な粒度範囲は表3に示すとおりであり、すべての実施例で使用している骨材粒度の仕様を表3に示す。
さらに、本願発明の常温アスファルト混合物の簡易的な製造方法を説明する。
(1)混合機械
使用する混合機械としては、カットバックアスファルトの製造では、小〜中型攪拌機を混合物の製造では、モルタルミキサーを使用した。
(2)バインダーの製造
150℃に加熱したストレートアスファルト60/80(100重量部)に対して、常温の桐油脂肪酸(100重量部)を添加し、120℃で1時間撹拌する。
(3)混合物の製造
混合物の混合は、骨材(9600重量部)、場合により繊維材料(2〜30重量部)を予め混合したものに対して、バインダー(200重量部)、反応促進剤(2重量部)を予め混合したものを混合・撹拌する。
(4)供試体作製手順
混合物製造後の供試体作製手順は、常温(20℃)の混合物をモールド(型枠)へ充填した後に締固めを実施し、任意に設定した恒温室で養生する。
〔実施例1〕
[種々の乾性油を用いた酸化反応あるいは酸化重合反応性の常温アスファルト混合物のマーシャル安定度試験結果]
以下、本発明の典型的な実施態様を実施例として挙げて説明をするが、本発明の技術範囲は、この実施例の範囲に限定されるものではない。
実施例で提示する常温アスファルト混合物の標準的な配合割合を表4に示す。
一般道路舗装に使用されるストレートアスファルト60/80(100重量部)に対して、各種乾性油(100重量部)の混合物を標準仕様として、これに、反応促進剤として金属系触媒であるナフチル酸コバルト溶液(Co:8.0%)(2重量部)を配合したマーシャル供試体を作製し、その硬化の程度をマーシャル安定度試験にて実証した。表5に実施例に使用した種々の乾性油のヨウ素価と、半乾性油および不乾性油のヨウ素価を示す。さらに、表6には、常温アスファルト混合物の配合割合とマーシャル安定度(kN)測定値を示す。マーシャル安定度試験には、養生時間1日後のマーシャル供試体について評価した。
上記の測定値を考察すれば、種々の乾性油でアスファルトをカットバックしたバインダーで、本願特許における酸化反応あるいは酸化重合反応性を有する常温アスファルト混合物を作製できることが分かる。その中で、桐油脂肪酸で作製されたバインダを使用したマーシャル安定度が高いことが示されている。これは、桐油脂肪酸の主成分であるα―エレオステアリン酸の酸化反応あるいは酸化重合反応性が極めて高いことによるものである。
〔実施例2〕
[乾性油と種々の半乾性油あるいは不乾性油を混合してなる混合脂肪酸を用いた酸化反応あるいは酸化重合反応性を有する常温アスファルト混合物のマーシャル安定度試験結果]
実施例1の結果を踏まえて、乾性油の代表例として桐油脂肪酸を使用することとした。桐油脂肪酸と表5に示す種々の半乾性油あるいは不乾性油を混合したときの配合割合とヨウ素価を表7に示す。そこで、表7に示す(桐油脂肪酸−半乾性油、あるいは桐油脂肪酸−不乾性油)混合油をストレートアスファルト60/80でカットバックしたバインダーを作製し、そのバインダーで作製した常温アスファルト混合物の配合割合とマーシャル安定度試験結果を表8に示す。マーシャル安定度試験には、養生時間1日後のマーシャル供試体について評価した。
上記の測定値を考察すれば、ヨウ素価130以上に調整された乾性油が含まれる混成油(乾性油−半乾性油あるいは乾性油−不乾性油)を用いて作製された常温アスファルト混合物であっても、本願発明における酸化反応あるいは酸化重合反応性を備えた常温アスファルト混合物を作製できることが分かる。
〔実施例3〕
[繊維材料の有無における骨材飛散抵抗性評価結果]
常温アスファルト混合物の骨材飛散抵抗性を評価することにより、繊維材料の添加の有用性を実証した。骨材飛散抵抗性の評価には、カンタブロ試験を採用した。そこで、配合割合と、カンタブロ試験により算出できた配合別の損失率(%)の試験値を表9に示す。
上記の測定値を考察すれば、セルロース繊維を添加している配合の方がセルロース繊維の無添加配合と比べて損失率(%)が低いため、セルロース繊維を添加している配合の方が無添加配合と比べて骨材飛散抵抗性が高いことが分かる。
〔実施例4〕
[アスファルトと乾性油の配合比率別マーシャル安定度試験結果]
アスファルトと乾性油の重量比率を、1:99から99:1の範囲で調整したバインダーで作製された常温アスファルト混合物の請求範囲の有効性を実証するために、マーシャル安定度試験にて硬化の程度をマーシャル安定度(kN)で示す。表10にアスファルトと乾性油の配合割合と測定値を示す。検証に使用したアスファルトと乾性油は、実施例1の結果を踏まえて、アスファルトはストレートアスファルト60/80を、乾性油には桐油脂肪酸を採用した。マーシャル安定度試験には、養生時間7日後のマーシャル供試体について評価した。
上記のマーシャル安定度試験の測定値を考察すると、すべての配合割合の安定度は極めて高い値を示しており、常温アスファルト混合物としての硬化性に優れていることが示された。そのため、アスファルトと乾性油の重量比率が1:99から99:1の範囲でアスファルト混合物中に含まれていることを特徴とする常温アスファルト混合物の請求範囲の有効性が示された。
〔実施例5〕
[種々の反応促進剤を用いて作製された常温アスファルト混合物のマーシャル安定度試験結果]
本願発明の酸化反応性あるいは酸化重合反応性を備えた常温アスファルト混合物は、反応促進剤として金属系触媒あるいはラジカル開始剤を使用できる。そのため、反応促進剤を使用することで従来技術(特許文献6)と比べて短い養生時間で高強度を発現できることを実証するために、種々の反応促進剤配合した常温アスファルト混合物を作製し、マーシャル安定度試験により硬化の程度を検証することとした。反応促進剤には、金属系触媒にナフチル酸コバルト溶液(Co:8.0%)、ラジカル開始剤に2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを使用した。マーシャル安定度試験には、養生時間1日後のマーシャル供試体について評価した。表11に使用した反応促進剤と、各養生温度におけるマーシャル安定度(kN)測定値を示す。
上記の測定値を考察すれば、すべての測定値が従来技術(特許文献6)に比べて短い養生時間で高い安定度を示していた。さらに言えば、ラジカル開始剤に比べて金属系触媒を反応促進剤として配合した常温アスファルト混合物の方が短い養生時間で高い安定度を示していたため、反応促進剤には金属系触媒の使用が望ましいといえる。
〔実施例6〕
[乾性油と反応促進剤の各配合割合におけるマーシャル安定度試験結果]
乾性油と反応促進剤の重量比率を、99:1から30:70の範囲で作製された常温アスファルト混合物の有効性の範囲を実証するために、マーシャル安定度試験にて硬化の程度をマーシャル安定度(kN)で示す。表12に乾性油と反応促進剤の配合割合と測定値を示す。検証に使用した乾性油と反応促進剤は、実施例5の結果を踏まえて、乾性油には桐油脂肪酸を、反応促進剤にはナフチル酸コバルト(Co:8.0%)を採用した。マーシャル安定度試験には、最終強度の確認のため、養生時間7日後のマーシャル供試体について評価した。
上記の測定値を考察すれば、従来技術(特許文献6)に比べて、乾性油と反応促進剤の重量比率が99:1から30:70の範囲で作製された本願発明の酸化反応性あるいは酸化重合反応性の特性を備えた常温アスファルト混合物の方が、マーシャル安定度試験値が高い値を示していることがわかる。
本発明の常温アスファルト混合物は、比較的安全に、混合、加工および施工ができ、かつ環境に優しい植物脂肪酸を使用しているため、工事関係者には作業性が非常に安全、能率、工期、短縮等において優位な効果を奏する。例えば、道路舗装、広場、施設等の舗装、防水工事、補修工事等の施工が容易に達成できるため、アスファルトを取り扱う産業の発達に大いに寄与する。
特に、常温アスファルト混合物は、雨天のような施工環境が悪い状態においても天候を考慮することなく短期間で作業ができるばかりでなく、大規模な道路の施工、補修環境に適しており、交通量の多い道路の短時間補修にはもちろんのこと、街中の、道路、ガス、セットバック等の、常時通行人が多く、注意を要する作業現場でもアスファルトの取扱いが安全で、短期間で施工することができため、常温アスファルトを利用する、特に、土木、建設を含めた産業分野の発展および新たな利用分野の可能性を期待することができる。施工作業において取り扱い上の簡便性、およびアスファルト材料としての性質、特性において優れているばかりでなく、通常の状態では、工事の雨天、天候などにも過度にも拘束されることのないので、全天候型アスファルト混合物として、作業計画、工事日程などのスケジュールの作成などにも安定的に寄与することが挙げられる。
1 既設アスファルト舗装
12 ポットホール
2 常温アスファルト混合物
3 プレート又はタンパ
特許第5939722号 特開平10−140010号公報 特開平11−012475号公報 特開2008−196145号公報 特許第5583978号 特開2013−72078号公報 特公平5−048323号公報
NETIS(新技術共有システム) 登録No.KT−090060−V ニチレキ株式会社 大川内啓至郎著「環境調和型印刷インキ用樹脂への取り組み」第2頁「表1」参照。 インターネット検索「油脂毎の脂肪酸組成表 主な植物油脂の脂肪酸組成(%)」より抜粋。 インターネット検索「油脂毎の脂肪酸組成表−塗料・コーティング・インキ−カネダ株式会社」より抜粋(「桐油」の部分)。

Claims (7)

  1. 骨材、道路舗装に使用されるストレートアスファルト又は改質アスファルト、脂肪酸分子中に共役二重結合を有する脂肪酸を主成分として含む乾性油、及び金属系触媒あるいはラジカル開始剤のいずれかを含有する反応促進剤から成ることを特徴とする常温アスファルト混合物。
  2. 骨材、繊維材料、道路舗装に使用されるストレートアスファルト又は改質アスファルト、脂肪酸分子中に共役二重結合を有する脂肪酸を主成分として含む乾性油、及び金属系触媒あるいはラジカル開始剤のいずれかを含有する反応促進剤から成ることを特徴とする常温アスファルト混合物。
  3. 前記乾性油が、乾性油と半乾性油、乾性油と不乾性油、又は乾性油と半乾性油と不乾性油から成る各混成物であって、ヨウ素価130以上に調整されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の常温アスファルト混合物。
  4. 前記アスファルトと前記乾性油の重量比率が1:99から99:1の範囲で前記アスファルト混合物中に含まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の常温アスファルト混合物。
  5. 前記乾性油と前記反応促進剤の重量比率が99:1から30:70の範囲で含まれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の常温アスファルト混合物。
  6. 0〜30℃の常温骨材あるいは30〜180℃に加熱した骨材、あるいはさらに繊維材料を添加・混合し、次いで前記アスファルト、前記乾性油及び前記反応促進剤を混練したバインダー混合物を混練して施工することにより、空気中の酸素により酸化反応または酸化重合反応して固化し、強度を発現することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の常温アスファルト混合物の固化方法。
  7. 0〜30℃の常温骨材あるいは30〜180℃に加熱した骨材、あるいはさらに繊維材料を添加・混合し、次いで前記アスファルト、前記乾性油及び前記反応促進剤を混練したバインダー混合物を混練して得られた混合物を、酸素透過防止層および熱融着層を備える包装内に充填し、次いで、前記熱融着層を熱融着することで、前記混合物を前記包装内に密封すること、あるいは前記混合物を酸素の透過を防止できる容器内に密封することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の常温アスファルト混合物の製造方法。
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