JP6577917B2 - ピンクランプ装置 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載されたピンクランプ装置は、板状部品に穿設された位置決め用の穴に嵌合するロケートピンと、板状部品をクランプする爪を有する揺動式のクランプアームとを備えている。
このようにスリットの開口部分が閉塞されることにより、スポット溶接時にスパッタが装置内に入ることを防ぐことができる。
特許文献2に示すピンクランプ装置では、溶接後に板状部材を解放するために爪がロケートピンのスリット内に収容される行程において、スリットの開口部が開放される時期がある。このため、このピンクランプ装置では、スポット溶接時に板状部品やロケートピンの表面などにスパッタとして付着した粉体やその他の微細な異物などがスリットの開口部から装置内に入るおそれがある。この明細書においては、スパッタとして付着した粉体を単に「スパッタ粉」という。
ピンクランプ装置内に入ったスパッタ粉やその他の微細な異物などがピストンロッドやカム機構などの摺動部分に付着すると、ピンクランプ装置が動作不良を起こし易くなる。
また、可動ピンの筒状部とハウジングとの間がリングによってシールされるから、スパッタ粉やその他の微細な異物がワーク当接部と可動ピンとの間から装置内に入ったとしても、これらの侵入物がピストンロッドの摺動部やカム機構のカムに付着することはない。
したがって、本発明によれば、使用するシリンダを一つとすることができるとともに、ピストンロッドやカムなどの摺動部に侵入物が付着することを防ぐことが可能になるから、低価格で動作の信頼性が高いピンクランプ装置を提供することができる。
図1に示すピンクランプ装置1は、図1において左側に図示されているワークとしての複数の板状部品2を互いに重ね合わせて保持するためのものである。図1には2枚の板状部品2が描かれているが、板状部品2の枚数は適宜変更可能である。以下においては、図1において板状部品2が位置する左側をピンクランプ装置1の前側とし、これとは反対側をピンクランプ装置1の後側として説明する。本発明における「一端」は、この実施の形態においては前端に相当する。また、本発明における「他端」は、この実施の形態においては後端に相当する。さらに、以下においては、図1の紙面と直交する方向を左右方向として説明する。
ワーク当接部材3は、本発明でいう「ワーク当接部」に相当するもので、円環状の円板部3aと、この円板部3aから前方に向けて突出する円筒部3bとによって構成されており、ロケートピン5が通る貫通穴6が穿設されている。
板状部3aは、図3に示すように、複数の固定用ボルトによって後述するハウジング8の前端部に固定されている。
貫通穴6の穴壁面には、図1に示すように、ロケートピン5との間をシールするためのリング状のシール部材9が設けられている。
取付部12は、図示していないロボットアームのツール取付座に取付けられるものである。
ハウジング8の後端部には、シリンダ13が取付けられている。このシリンダ13は、エアシリンダで、ハウジング8に固定用ボルト(図示せず)によって固定されたシリンダ本体14と、このシリンダ本体14の中に前後方向へ移動自在に嵌合されたピストン15と、このピストン15から前方に向けて延びるピストンロッド16とを備えている。
ピストンロッド16は、上述した中心線と同一軸線上に位置付けられ、ピストン15に固定用ボルト25によって固定されている。また、ピストンロッド16は、前側蓋体14bを貫通してハウジング8の本体部11内まで延びている。このピストンロッド16は、ピストン15と一体に前後方向(上述した本体部11の中心線Cと平行な方向)に往復する。
ピストンロッド16の前端部16aには、スリット26を横切る第1の連結ピン27を介して後述する可動ピン31が連結されている。第1の連結ピン27は、円柱状に形成されており、図5に示すように、ピストンロッド16の前端部16aと、後述する可動ピン31の円筒体32とを左右方向に貫通している。
可動ピン31は、図1に示すように、前端側に中空状のロケートピン5を有し、ピストンロッド16と一体に前後方向に移動するものである。この実施の形態による可動ピン31は、ピストンロッド16に第1の連結ピン27を介して連結された円筒体32と、この円筒体32の前端部に複数の第2の連結ピン33によって連結されたロケートピン5とに分けて構成されている。
円筒体32は、本発明でいう「筒状部」を構成するもので、ハウジング8の本体部11の中に前後方向へ移動自在に嵌合されている。上述した第1の連結ピン27は、図5に示すように、円筒体32の後端部に穿設された貫通孔34に嵌合する状態で円筒体32を径方向に貫通している。
ロケートピン5は、前後方向に延びる中空の円柱状に形成されている。このロケートピン5は、スパッタが付着し難い材料によって形成することができる。また、このロケートピン5には、スパッタが付着し難い表面処理を施すことができる。この実施の形態によるロケートピン5は、以下の4つの機能部を有している。
第2の機能部は、ワーク当接部材3の貫通穴6に移動自在に嵌合する軸部5bである。この軸部5bの前後方向の長さは、図1に示すように、可動ピン31がピストンロッド16とともに後方へ移動した状態において、このロケートピン5の先端部がワーク当接部材3より前方に突出する長さである。
クランプアーム4は、前後方向に細長い板状に形成されており、ロケートピン5の中空部5dと円筒体32の内部とに収容されている。この板状のクランプアーム4は、側面(主面)が前後方向に延びるとともに、第1の連結ピン27の軸線方向と直交する方向に延びる状態で使用されている。
爪45は、クランプアーム4の他の部分と一体に形成されており、他の部分より所定の方向に突出している。この所定の方向とは、前後方向および第1の連結ピン27の軸線方向と直交する方向であって、ロケートピン5の中心部から横穴44を指向する方向である。
爪45は、図4に示すように、クランプ位置に位置付けられた状態、すなわち横穴44を通ってロケートピン5から突出した状態において、横穴44が閉塞される形状に形成されている。
カム47は、往復動作を揺動動作に変換してクランプアーム4を揺動させるカム機構51の一部を構成するもので、クランプアーム4を貫通する貫通穴によって構成されている。貫通穴がクランプアーム4を貫通する方向は、第1の連結ピン27の軸線方向と平行な方向である。
カム47(貫通穴)の開口形状は、前後方向に延びる直線部47aと、この直線部47aの後端から傾斜して延びる傾斜部47bとを有する長穴状であって、固定ピン41が移動自在に嵌合する形状である。
カム47の傾斜部47bが傾斜する方向は、図1に示すように、前進時にクランプアーム4が連結ピン27を中心にして爪45の退避方向(図1においては反時計方向)に揺動する方向である。図1は、固定ピン41がカム47の直線部47aにおける前端部分に嵌合している状態で描いてある。この実施の形態によるピンクランプ装置1は、この状態で爪45がクランプ位置に位置するように構成されている。
すなわち、カム47は、ロケートピン5がワーク当接部材3から突出する方向(前方であって本発明でいう「第1の方向」)へクランプアーム4が移動することにより、爪45がロケートピン5内に収容され、かつクランプアーム4が後方(第1の方向とは反対の第2の方向)へ移動することにより爪45がロケートピン5から突出する形状に形成されている。
このように構成されたピンクランプ装置1を使用して2枚の板状部品2を保持するためには、図2に示す状態から行う。図2に示す状態は、ロケートピン5が前進し、爪45がロケートピン5内に収容されている状態である。この状態でピンクランプ装置1を板状部品2に接近させ、板状部品2の貫通穴2aにロケートピン5のガイド部5aを挿入する。このときのピンクランプ装置1の移動は、図示していないロボットによって行われる。そして、板状部品2がワーク当接部材3に当接するまでピンクランプ装置1を板状部品2に対して前進させる。
このように構成されたピンクランプ装置1によれば、一つのシリンダ13でロケートピン5とクランプアーム4とが駆動されて板状部品2を保持したり解放することができる。このため、このピンクランプ装置1の製造コストは、シリンダを2個使用するピンクランプ装置と較べると低く抑えることができる。
したがって、この実施の形態によれば、使用するシリンダ13を一つとすることができるとともに、ピストンロッド16やカム47などの摺動部に異物が付着することを防ぐことが可能になるから、低価格で動作の信頼性が高いピンクランプ装置を提供することができる。
Claims (3)
- 円筒状のハウジングと、
前記ハウジングの一端部に設けられたワーク当接部と、
前記ハウジングの他端部に設けられ、前記ハウジングの中心線と平行な方向に往復するピストンロッドを有するシリンダと、
前記ハウジングの内周部に移動自在に嵌合する筒状部を有し、一端側に前記ワーク当接部から突出する中空状のロケートピンが設けられるとともに他端部が前記ピストンロッドに連結された可動ピンと、
前記ピストンロッドに揺動自在に連結された状態で前記可動ピンの内部に配置され、揺動に伴って前記ロケートピンの横穴を通ってロケートピンの中空部に対して出入りする爪が一端部に設けられたクランプアームと、
前記可動ピンの内部に位置するカムを有し、前記ピストンロッドの往復動作を揺動動作に変換して前記クランプアームを前記可動ピンに対して揺動させるカム機構とを備え、
前記可動ピンの前記筒状部の外周部に、前記ハウジングの内周面に摺動する軸受の機能と、前記ハウジングと前記筒状部との間をシールする機能とを有するリングが設けられ、
前記ワーク当接部は、前記ロケートピンが通る貫通穴を有し、
前記可動ピンは、
前記筒状部を構成するとともに前記ピストンロッドに連結される円筒体と、
前記貫通穴に摺動自在に嵌合する軸部を有しかつ前記円筒体の内周部に嵌合する連結部を有するロケートピンとに分けて構成され、
前記連結部は、前記円筒体の径方向に延びる複数の連結ピンを介して前記円筒体に固定され、
前記連結ピンの前記径方向の外側への移動が前記リングによって規制されていることを特徴とするピンクランプ装置。 - 請求項1記載のピンクランプ装置において、
前記爪は、前記横穴を通って前記ロケートピンから突出した状態で前記横穴が閉塞される形状に形成されていることを特徴とするピンクランプ装置。 - 請求項1または請求項2に記載のピンクランプ装置において、
前記カム機構は、
前記クランプアームに形成された貫通穴からなるカムと、
前記可動ピンの前記筒状部を径方向に貫通する状態で前記中心線と平行に延びる長穴と、
前記ハウジングの径方向に延びて前記長穴およびカムに通されるとともに両端部が前記ハウジングに固定され、カムフォロアを構成するピンとを備え、
前記カムは、
前記ロケートピンが前記ワーク当接部から突出する第1の方向へ前記クランプアームが移動することにより前記爪がロケートピン内に収容され、かつ前記第1の方向とは反対の第2の方向へ前記クランプアームが移動することにより前記爪が前記ロケートピンから突出する形状に形成されていることを特徴とするピンクランプ装置。
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