JP6577329B2 - メカニカルシール - Google Patents

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本発明は、静止形・アウトサイド形のメカニカルシールに関する。
従来、ポンプ、ブロアやコンプレッサ等の回転機器に適用され得る静止形・アウトサイド形のメカニカルシールが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のメカニカルシールは、前述のような回転機器のケーシングと回転軸との間に設けられ、前記回転機器の機内領域と機外領域と遮蔽するために一次シール及び二次シールを形成するようになっている。
一例では、図5に示すように、メカニカルシール71は、回転機器72のケーシング73と回転軸74との間に設けられるものであり、筒状の取付部材81と、静止側リテーナリング82と、静止側密封環83と、ストッパリング84と、回転側密封環85と、付勢部材87とを備える。前記メカニカルシール71は、静止側シールリング88と、回転側シールリング89とを更に備える。
前記取付部材81、前記静止側リテーナリング82、前記静止側密封環83及び前記回転側密封環85は、それぞれ前記ケーシング73の内部76に直接又は間接的に連通する被密封流体領域77の一部を前記回転軸74との間に形成すべく、前記回転軸74から離れた状態で当該回転軸74を囲むように同心状に配置される。
前記取付部材81は、前記ケーシング73に取付可能に構成される。前記静止側リテーナリング82は、筒状部82a及び環状部82bを有する。前記筒状部82aは前記取付部材81に軸方向に移動可能に嵌め込まれ、前記環状部82bは前記筒状部81aの軸方向一方側に一体的に連結され且つ前記取付部材81外に配置される。
前記静止側密封環83は、静止側密封端面83aを有する。前記静止側密封環83は、前記環状部82bと隣り合うようにその軸方向一方に配置され、前記静止側リテーナリング82と共に軸方向に移動可能に構成される。前記ストッパリング84は、前記静止側密封環83よりも軸方向一方に配置され、前記回転軸74に外嵌されて一体回転可能に取り付けられる。
前記回転側密封環85は、前記静止側密封環83と前記ストッパリング84との間に配置される。前記回転側密封環85は、回転側密封端面85aを有する。この回転側密封端面85aは、前記静止側密封環83の静止側密封端面83aと対向するように配置される。そして、前記回転側密封環85は、前記回転軸74と一体回転すべく前記ストッパリング84に連結される。
前記付勢部材87は、スプリング96等からなるものであり、前記静止側リテーナリング82の環状部82bに保持される。前記付勢部材87は、前記静止側密封環83の静止側密封端面83aが前記回転側密封環85の回転側密封端面85aに圧接されるように、前記静止側密封環83を軸方向一方へ付勢するように構成される。
前記静止側シールリング88は、前記回転機器72の機内領域(前記ケーシング73の内部76及び被密封流体領域77)と機外領域(非密封流体領域78)との間を遮蔽するためのシールを形成可能なものである。前記静止側シールリング88は、互いに径方向に対向する前記取付部材81と前記静止側リテーナリング82の筒状部82aとの間に設けられる。
前記回転側シールリング89は、機内領域と機外領域との間を遮蔽するためのシールを形成可能なものである。前記回転側シールリング89は、前記回転機器72への前記メカニカルシール71の適用時に、前記回転軸74に直接外嵌されて、互いに径方向に対向する前記回転軸74と前記回転側密封環85との間に設けられる。
よって、前記メカニカルシール71の使用時に、前記回転機器72の機内領域と機外領域との間を遮蔽するために、前記静止側密封環83及び前記回転側密封環85を用いて一次シールを形成し、且つ、前記静止側シールリング88及び前記回転側シールリング89を用いて二次シールを形成し、前記回転機器72で扱われる流体が前記ケーシング73と前記回転軸74との間を通じて機内領域から機外領域へ漏れることを防止できる。
特開2013−050141号公報
静止形・アウトサイド形のメカニカルシール1においては、通常、一次シールのシール性能を考慮して、回転側密封環85は、静止側密封環83の静止側密封端面83aに対する当該回転側密封環85の回転側密封端面85aの圧接状態(平行度)を適切に維持するために、回転軸74に一体回転可能に取り付けられるストッパリング84にあまり強固に連結されない。
この連結には、例えば図5に示すように、前記ストッパリング84の周方向に適宜の間隔で設けられた複数のボルト98が用いられる。具体的には、前記各ボルト98がその頭部98aと前記ストッパリング84との間に隙間99が生じるように余裕をもって締め付けられ、この状態で前記ストッパリング84への前記回転側密封環85の連結が完了とされる。
そのうえで、静止形・アウトサイド形の前記メカニカルシール1においては、二次シールを形成するための静止側シールリング88及び回転側シールリング89が、互いに異なる最外径を有するものとされ、回転機器72への当該メカニカルシール1の適用時、最外径位置が径方向に関して前記回転軸74から異なる距離離れた状態で前記回転軸74を囲むように同心状に設けられる。
すなわち、前記回転側シールリング89が、前記静止側シールリング88のバランス径と異なる最外径を有し、前記回転軸74に外嵌される。そのため、前記静止側シールリング88が最外径位置を径方向に関して前記回転軸74から所定距離離した状態で配置される一方、前記回転側シールリング89が最外径位置を前記回転軸74に近接させた状態で配置される(図5参照)。
なお、前記静止側シールリング88のバランス径とは、前記取付部材81に接触する前記静止側シールリング88の接触面の径(即ち、最外径)のことを指す。
このことから、前記メカニカルシール1は、前記回転機器72への適用時にその内側の圧力(ケーシング73の内部76の圧力)に基づき負荷荷重を受ける当該メカニカルシール1における受圧領域に関して、軸方向一方向きの負荷荷重を受ける受圧領域の受圧面積と、軸方向他方向きの負荷荷重を受ける受圧領域の受圧面積との間に差異が生じる構造をとらざるを得ない。
前記ケーシング73の内部76は前記回転機器72の運転状況に応じて正圧状態又は負圧状態に変化し、前記被密封流体領域77は前記ケーシング73の内部76と同一の圧力状態となる。前記ケーシング3の内部6が負圧状態になった場合、前記被密封流体領域77も負圧状態となり、これに対応する負荷荷重を前記メカニカルシール1における受圧領域が受けることとなる。
前記被密封流体領域77が負圧状態となった場合、前記メカニカルシール1においては、前述の構造(前記静止側シールリング88及び前記回転側シールリング89の各々の設置状態)上、軸方向他方向きの負荷荷重を受ける受圧領域R12(12A・12B)の受圧面積が、軸方向一方向きの負荷荷重を受ける受圧領域R11(11A・11B)の受圧面積よりも大きくなる。
前記回転側密封環85における受圧領域においては、軸方向他方向きの負荷荷重を受ける受圧領域R12Aが、軸方向他一方向きの負荷荷重を受ける受圧領域R11Aよりも大きくなる。そのため、前記回転側密封環85に対して当該回転側密封環85を軸方向他方に(前記ケーシング73の内部76に向かって)引っ張る負荷荷重F10が作用することとなる。
この状態において、前記回転側密封環85は、付勢部材87の付勢荷重により軸方向一方へ付勢される前記静止側密封環83と圧接状態にあるので、この静止側密封環83により軸方向他方への移動をある程度阻止され得る。しかし、前記負荷荷重F10は、前記回転機器72の運転状況に変化が生じれば、前記付勢荷重を超えるように増大する可能性がある。
前記負荷荷重F10が前記付勢部材87の付勢荷重を超えた場合、前記回転側密封環85の一部又は全部が、この負荷荷重F10により引っ張られて、軸方向他方への位置ずれを起こす。
そしてこの位置ずれが発生すると、前記静止側密封端面83aに対する前記回転側密封端面85aの平行度の狂い、前記付勢部材87の付勢荷重の変化、一次シール部分や二次シール部分への異物の噛み込み等が引き起こされて、シール性能が低下する。特に、前記ケーシング73の内部76(前記被密封流体領域77)の圧力状態が正圧と負圧との間で頻繁に切り替えられるように前記回転機器72の運転が行われる状況で発生しやすい。このようなことから、従来のメカニカルシールでは、適用対象(回転機器)の運転状況に応じてシール性能が大きく損なわれる可能性がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、良好なシール性能を発揮し且つ安定的に維持できる、静止形・アウトサイド形のメカニカルシールの提供を目的とする。
請求項1に係る発明は、
被密封流体領域と非密封流体領域とを遮蔽するために、ケーシングとその開口部から突出する回転軸との間に設けられる静止形・アウトサイド形のメカニカルシールにおいて、
前記ケーシングの開口部に嵌込可能な筒状の嵌込部を有し、この嵌込部が前記開口部に嵌め込まれた状態で前記ケーシングに取り付けられるように構成された取付部材と、
前記取付部材の嵌込部に軸方向に移動可能に嵌め込まれた筒状部、及び、この筒状部の軸方向一方側に連結された環状部を有する静止側リテーナリングと、
静止側密封端面を有し、前記静止側リテーナリングの環状部の軸方向一方に配置されるとともに、前記静止側リテーナリングと共に軸方向に移動可能に構成された静止側密封環と、
前記静止側密封環よりも軸方向一方に配置され、前記回転軸に一体回転可能に外嵌固定され得るストッパリングと、
前記静止側密封環と前記ストッパリングとの間に配置される回転側密封環であって、前記静止側密封端面と対向する回転側密封端面、及び、前記ストッパリング側に形成された環状凹部を有し、前記回転軸と一体回転すべく前記ストッパリングに連結された回転側密封環と、
前記回転側密封環の環状凹部に挿入嵌合可能に且つ前記回転軸に外嵌可能に形成され、前記回転軸と一体回転すべく前記ストッパリングに連結された環状の嵌合部材と、
前記静止側リテーナリングの環状部に保持され、前記静止側密封端面が前記回転側密封端面に圧接されるように前記静止側密封環を軸方向へ付勢する付勢部材とを備え、
前記取付部材の嵌込部、前記静止側リテーナリング、前記静止側密封環及び前記回転側密封環は、それぞれ前記ケーシングの内部に直接又は間接的に連通する被密封流体領域の一部を前記回転軸との間に形成すべく、前記回転軸から離れた状態で当該回転軸を囲むように同心状に配置され、
前記取付部材の嵌込部と当該嵌込部の径方向内方に配置された前記静止側リテーナリングの筒状部との間に、被密封流体領域と非密封流体領域との間を遮蔽するためのシールを形成可能な静止側シールリングが設けられ、
前記回転側密封環と当該回転側密封環の径方向内方に配置された前記嵌合部材との間に、被密封流体領域と非密封流体領域との間を遮蔽するめのシールを形成可能な回転側シールリングが設けられ、
前記静止側シールリング及び前記回転側シールリングが、同一の最外径を有して、前記回転軸を囲むように同心状に配置される構成とされているものである。
この構成によれば、前記メカニカルシールの使用状態において、被密封流体領域と非密封流体機外領域との間を遮蔽するために、前記静止側密封環及び前記回転側密封環を用いて一次シールを形成するとともに、前記静止側シールリング及び前記回転側シールリングを用いて二次シールを形成し、流体が前記ケーシングと前記回転軸との間を通じて漏れることを防止できる。
また、静止形・アウトサイド形の前記メカニカルシールにおいては、その使用時に前記静止側リテーナリング、前記静止側密封環及び前記回転側密封環等の各部材に前記ケーシング内部の圧力に起因する負荷荷重が付与されるが、前述の前記静止側シールリング及び前記回転側シールリングの各々の設置状態に応じて前記各部材の受圧領域が規定されることとなる。
前記各部材の受圧領域としては、軸方向に関して互いに相反する向きの受圧領域、即ち軸方向一方向きの負荷荷重を受ける受圧領域と、軸方向他方向きの負荷荷重を受ける受圧領域とがあるが、前述のシールリング設置状態により、前記メカニカルシールは、必然的に、これら双方の受圧領域の受圧面積が同程度になる構造をとるものとなる。
したがって、前記メカニカルシールの使用時に、これに作用する負荷荷重のうち前記回転側密封環に対して軸方向他方向きに付与される負荷荷重が増大することを抑えて、この負荷荷重による前記回転側密封環の軸方向他方への位置ずれの発生を阻止しやすくなる。よって、前記メカニカルシールにおいて、良好なシール性能を発揮させ且つ安定的に維持できる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のメカニカルシールにおいて、
前記静止側リテーナリング及び/又は前記静止側密封環が、
軸方向に作用する負荷荷重を受ける第1静止側受圧領域、及び、
前記第1静止側受圧領域が受ける負荷荷重とは反対方向の負荷荷重を受ける第2静止側受圧領域
を含み、
前記第1静止側受圧領域が、前記第2静止側受圧領域よりも大きい受圧面積を有し、
前記回転側密封環が、
前記第1静止側受圧領域が受ける負荷荷重と同方向に作用する負荷荷重を受ける第1回転側受圧領域、及び、
前記第1回転側受圧領域が受ける負荷荷重とは反対方向の負荷荷重を受ける第2回転側受圧領域
を含み、
前記第1回転側受圧領域が、前記第2回転側受圧領域よりも小さい受圧面積を有し、
前記被密封流体領域の圧力状態が変化したとき、前記第1静止側受圧領域の受圧面積と前記第2静止側受圧領域の受圧面積との差に起因して、前記静止側リテーナリング及び前記静止側密封環に軸方向の負荷荷重が作用するとともに、前記第1回転側受圧領域の受圧面積と前記第2回転側受圧領域の受圧面積との差に起因して、前記静止側リテーナリング及び前記静止側密封環に作用する負荷荷重とは反対方向の負荷荷重が前記回転側密封環に作用するように構成されているものである。
請求項3に係る発明は、請求項1に記載のメカニカルシールにおいて、
前記第2回転側受圧領域の受圧面積から前記第1回転側受圧領域の受圧面積を差し引いた面積が、前記第1静止側受圧領域の受圧面積から前記第2静止側受圧領域の受圧面積を差し引いた面積と等しいものである。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のメカニカルシールにおいて、
前記第1回転側受圧領域の受圧面積から前記第2回転側受圧領域の受圧面積を差し引いた面積が、前記第1静止側受圧領域の受圧面積から前記第2静止側受圧領域の受圧面積を差し引いた面積と等しいものである。
この構成によれば、被密封流体領域が正圧状態になった場合に、前記第1負荷荷重の大きさを前記第2負荷荷重の大きさと一致させて、前記負荷荷重の全部を前記負荷荷重と確実に相殺できる。したがって、この場合であっても前記回転側密封環の軸方向他方への位置ずれを阻止して、前記静止側密封環と前記回転側密封環との間のシール性能を更に安定させることができる。
本発明によれば、良好なシール性能を発揮し且つ安定的に維持できる、静止形・アウトサイド形のメカニカルシールを提供できる。
本発明の一実施形態に係る静止形・アウトサイド形のメカニカルシールの使用状態を示す断面図である。 図1の一部拡大図である。 図1のメカニカルシールの内側が正圧になっている状態を示す一部拡大図である。 図1のメカニカルシールの内側が負圧になっている状態を示す一部拡大図である。 従来の静止形・アウトサイド形のメカニカルシールの一例の使用状態を示すとともに、このメカニカルシールの内側が負圧になっている状態を示す断面図である。
本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に、本発明の一実施形態に係るメカニカルシール1の使用状態の断面図を示す。図2に、図1の一部拡大図を示す。
図1及び図2に示すように、前記メカニカルシール1は、静止形・アウトサイド形のものであり、流体を扱うポンプ、ブロアやコンプレッサ等の回転機器(適用対象)2に適用可能なものである。ここで、前記回転機器2は、前記メカニカルシール1を適用した状態で、当該回転機器2内側の圧力を正圧又は負圧に切り替えながら運転を行うようになっている。
前記メカニカルシール1は、前記回転機器2のケーシング3とその開口部3aから突出する回転軸4との間に設けられて、機内領域(前記ケーシング3の内部6及び後述の被密封流体領域7)と機外領域(非密封流体領域8)との間を遮蔽すべくシールを形成し、前記回転機器2で扱われる流体が前記ケーシング3と前記回転軸4との間から漏れることを防止できるようになっている。
詳しくは、前記メカニカルシール1は、筒状の嵌込部11aを有する取付部材11と、静止側リテーナリング12と、静止側密封環13と、ストッパリング14と、回転側密封環15と、環状の嵌合部材16と、付勢部材17とを備えている。前記メカニカルシール1は、静止側シールリング18と、回転側シールリング19とを更に備えている。
前記取付部材11の嵌込部11a、前記静止側リテーナリング12、前記静止側密封環13及び前記回転側密封環15は、それぞれ前記ケーシング3の内部6に直接又は間接的に連通する被密封流体領域7の一部を前記回転軸4との間に形成すべく、内周面が前記回転軸4の外周面から離れた状態で前記回転軸4を囲むように同心状に配置される。
ここで、前記取付部材11の嵌込部11a、前記静止側リテーナリング12、前記静止側密封環13及び前記回転側密封環15は、丸棒状の前記回転軸4の外周形状に合わせた形状、即ち略断面円形の内周形状を有している。
被密封流体領域7は、前記回転軸4と前記メカニカルシール1の部材11・12・13・14との間にそれぞれ形成された環状の第1空間21、第2空間22、第3空間23及び第4空間24からなり、これらの空間21・22・23・24により前記回転機器2で扱われる流体が前記ケーシング3の内部6から流れ込むことを許容し且つその流体を収容できるように構成される。
被密封流体領域7においては、後述の前記静止側シールリング18及び前記回転側シールリング19の設置状態に起因して、前記第1空間21、前記第2空間22、前記第3空間23及び前記第4空間24のうち、前記第1空間21が最も大きな径方向幅を有するものとなり、前記第4空間24(後述の環状凹部15bの内部空間を除いたもの)が最も小さな径方向幅を有するものとなる。
図1及び図2に示すように、前記取付部材11は、前記ケーシング2の開口部3aに嵌込可能な筒状の前記嵌込部11aを有している。そして、前記取付部材11は、前記嵌込部11aが前記開口部3aに嵌め込まれた状態で前記ケーシング3に取り付けられるように構成されている。本実施形態において、前記取付部材11は、前記嵌込部11aのほか、固定部11bを更に有している。
前記取付部材11は、前記回転軸4の外径よりも大きい内径を有する断面L字状の非分割型の金属製円環状体からなり、前記回転軸4を囲繞可能に形成されている。前記嵌込部11aは、前記ケーシング3の開口部3aの内周形状に合わせた形状、即ち略断面円形の外周形状を有し、前記開口部3aに略隙間なく嵌め込まれ得るように形成されている。
前記固定部11bは、前記嵌込部11aの軸方向一方側から径方向外方に向かって突設されている。前記固定部11bは、前記嵌込部11aと一体的に成形され、前記嵌込部11aが前記開口部3aに嵌め込まれた場合に前記ケーシング3外でその外周面(前記開口部3aの周囲)と対向する位置に配置されるようになっている。
そして、前記取付部材11は、前記嵌込部11aを前記ケーシング3の開口部3aに嵌め込み且つ前記固定部11bを前記開口部3aの周囲を機外から覆うように配置しながら、ボルト26によりこの固定部11bを前記ケーシング3に締結することで、前記ケーシング3に前記嵌込部11a及び前記固定部11bを密接させた状態で固定されて取り付けられるようになっている。
前記静止側リテーナリング12は、筒状部12aと環状部12bとを有している。前記筒状部12aは、前記取付部材11の嵌込部11aに軸方向に移動可能に嵌め込まれている。前記環状部12bは、前記筒状部12aの軸方向一方側に連結されている。本実施形態において、前記静止側リテーナリング12は、押さえ部12cを更に有している。
前記静止側リテーナリング12は、前記回転軸4の外径よりも大きい内径を有する非分割型の金属製円筒体からなり、前記回転軸4を囲繞可能に形成されている。前記筒状部12aは、前記取付部材11の嵌込部11a内に挿入嵌合可能に形成されている。前記環状部12bは、前記筒状部12aに対して同一の内径及び大きい外径を有している。
前記環状部12bは、前記筒状部12aの軸方向一方に同心状に配置され、その状態で前記筒状部12aと一体的に成形されている。前記環状部12bは、前記筒状部12aが前記取付部材11の嵌込部11aに嵌め込まれたとき、前記取付部材11の固定部11bと軸方向に所定間隔隔てて対向する位置に配置されるようになっている。
前記筒状部12aは、また、静止側保持部12dを有している。前記静止側保持部12dは、前記筒状部12aの軸方向他端部に設けられ、前記静止側シールリング18を保持可能に構成されている。ここで、前記静止側保持部12dは、前記筒状部12aの全周にわたって延び且つ径方向外方へ開口する環状溝を含み、これに前記静止側シールリング18を係合保持できるようになっている。
こうして、前記静止側リテーナリング12は、前記筒状部12aを前記静止側シールリング18を介して前記嵌込部11aに嵌め込んだ状態で、前記取付部材11に軸方向に移動可能に保持されるようになっている。ここで、前記静止側リテーナリング12は、図示せぬピンにより、所定範囲での軸方向への移動を許容されつつ、前記取付部材11に対する相対回転を阻止される。
前記環状部12bは、環状突起12eを有している。前記環状突起12eは、前記環状部12bの軸方向一端部で径方向内側に設けられている。前記環状突起12eの突出面には、受止保持面12fが設けられている。前記受止保持面12fは、前記静止側密封環13の保持面13aを軸方向に関して受け止め保持可能に形成されている。
前記受止保持面12fは、軸方向と略直交する平滑な環状平面から形成されている。また、前記受止保持面12fには、前記静止側密封環13の係合凹部13bに係合可能なピン27が突設されている。そしてこのピン27が前記係合凹部13bに係合されることで、前記静止側リテーナリング12が前記静止側密封環13との相対回転を阻止されるようになっている。
前記押さえ部12cは、前記環状部12bの径方向外側の軸方向一方に配置されている。前記押さえ部12cは、前記環状部12bとは別体であり、前記環状突起12eに軸方向一方から他方に向かって移動可能に嵌合保持される環板状に形成されるとともに、前記静止側密封環13に接触しつつこれを囲むことができるように構成されている。
こうして、前記押さえ部12cは、前記静止側密封環13を前記環状部12bの径方向内側(前記環状突起12e)との間に挟むように前記環状突起12eに嵌合保持され、その状態で図示せぬボルトによりに前記環状部12bに締結されることで、前記静止側密封環13を前記環状突起12eとの間で締め付けて挟持できるようになっている。
前記静止側密封環13は、静止側密封端面13cを有している。前記静止側密封環13は、前記静止側リテーナリング12の環状部12bの軸方向一方に配置されるとともに、前記静止側リテーナリング12と共に軸方向に移動可能に設けられている。本実施形態において、前記静止側密封環13は、前記静止側リテーナリング12の環状突起12eに隣接配置されている。
前記静止側密封環13は、前記回転軸4の外径よりも大きい内径を有する分割型の円環状体からなり、前記回転軸4を囲繞可能に形成されている。前記静止側密封環13は、2つの円弧状の分割体を備えた2つ割り構造を有するものであり、前記2つの円弧状分割体を組み合わせて結合することにより円環状を呈するようになっている。
前記静止側密封環13は、本体部13dと、突出部13eを有している。前記本体部13dは、前記静止側リテーナリング12(前記環状突起12e)に当接可能な環状に形成されている。前記突出部13eは、前記本体部13dに対して大きい内径及び小さい外径を有する環状に形成されており、前記本体部13dの軸方向一方に同心状に配置されて、前記本体部13dと一体的に成形されている。
前記本体部13dの軸方向他端部には、前記保持面13aと、前記ピン27に係合可能な前記係合凹部13bが設けられている。前記保持面13aは、前記本体部13dの軸方向他端面に含まれるものあり、前記静止側リテーナリング12における前記受止保持面12fと当接できるように軸方向と略直交する平滑な環状平面から形成されている。
前記静止側密封環13は、また、前記突出部13eを前記本体部13dの径方向中途部から軸方向一方へ突出させ、これにより当該本体部13dの軸方向一端部のうち径方向内側部分が被密封流体領域7(前記第3空間23)に臨む2段筒状に形成されている。前記本体部13dの外周部には、テーパ面13f及び円筒面13gが設けられている。
前記テーパ面13fは、前記円筒面13gの軸方向一方に配置され、軸方向一方から他方に向かって漸次拡径する截頭円錐状に形成されている。そして、前記テーパ面13fは、前記静止側リテーナリング12の押さえ部12cと当接可能とされて、この押さえ部12cにより軸方向一方から他方に向かって押圧され得るようになっている。
前記突出部13eの突出端面には、前記静止側密封端面13cが含まれている。前記静止側密封端面13cは、軸方向に関して前記保持面13aと相反する向き(即ち、軸方向一方向き)の面であり、軸方向と略直交する平滑な環状平面から形成されている。前記静止側密封端面13cの面積は、前記保持面13aの面積よりも小さく設定されている。
また、前記静止側密封環13には、保持リング29が外嵌されている。前記保持リング29は、弾性を有するものであり、例えばガータスプリング又はOリング(ここではガータスプリング)から構成されている。前記保持リング29は、径方向の負荷が作用しない自然状態においては内径が前記本体部13dの軸方向他方側の外径よりも小さくなる状態となる。
そして、前記保持リング29は、径方向の負荷が作用するように前記本体部13d、詳しくはその前記円筒面13gに取り付けられると、自然状態から前記本体部13dの円筒面13gに嵌合し得る程度以上に拡径(弾性変形)して、前記2つの円弧状の分割体を組み合わせた状態で緊縛保持し、前記静止側密封環13を円環状に維持できるようになっている。
前記ストッパリング14は、前記静止側密封環13よりも軸方向一方に配置され、前記回転軸4に一体回転可能に外嵌固定され得るように構成されている。前記ストッパリング14は、前記メカニカルシール1において最も軸方向一方に配置さる部材であり、前記回転機器2への前記メカニカルシール1の適用時、前記回転軸4に軸方向に相対移動不能に固定される。
本実施形態において、前記ストッパリング14は、前記回転軸4の外径と略同一の内径を有する金属製円筒体からなり、前記回転軸4に略隙間なく外嵌可能に形成されている。前記ストッパリング14は、2つの円弧状の分割体を備えた2つ割り構造を有するものであり、前記2つの円弧状分割体を組み合わせてボルト34により結合することにより円環状を呈するようになっている。
前記ストッパリング14には、ねじ35が径方向に延在するように螺合されている。前記ストッパリング14は、前記回転軸4に外嵌された場合に前記ねじ35が前記回転軸4側へ締め込まれていくことにより、前記ねじ35により前記回転軸4に軸方向に相対移動不能に固定されて、前記回転軸4と一体回転できるようになっている。
前記回転側密封環15は、前記静止側密封環13と前記ストッパリング14との間に配置されている。前記回転側密封環15は、前記静止側密封端面8cと対向する回転側密封端面15aと、前記ストッパリング14側に、即ち軸方向一方側に形成された環状凹部15bを有し、前記回転軸4と一体回転すべく前記ストッパリング14に連結されている。
本実施形態において、前記回転側密封環15は、前記回転軸4の外径よりも大きい内径を有する分割型の円環状体からなり、前記回転軸4を囲繞可能に形成されている。前記回転側密封環15は、2つの円弧状の分割体を備えた2つ割り構造を有するものであり、前記2つの円弧状の分割体を組み合わせてボルト36・37により結合することにより円環状を呈するようになっている。
前記回転側密封環15の軸方向他端面のうち径方向中途部には、前記回転側密封端面15aが設けられている。前記回転側密封端面15aは、軸方向に関して前記静止側密封端面13cと相反する向き(即ち、軸方向他方向き)の面であり、この静止側密封端面13cと当接可能なように軸方向と略直交する平滑な環状平面から形成されている。
前記回転側密封環15は、また、周方向に適宜の間隔で設けられた複数のボルト38により前記ストッパリング14の径方向外側に締結されて、前記ストッパリング14ひいては前記回転軸4と一体回転可能とされている。ここで、前記各ボルト38は、従来と同様に、頭部38aと前記ストッパリング14との間に隙間39が生じるように余裕をもって締め付けられている。
前記環状凹部15bは、軸方向一方及び径方向内方へ開口する環状溝を含み、この環状溝に前記嵌合部材16を収容できるように設けられている。前記環状溝は、前記回転側密封環15の軸心を中心とする周方向に関して略均一な径方向幅を有し、前記回転側密封環15が前記ストッパリング14に連結された状態で前記嵌合部材16を略隙間なく挿入嵌合できるようになっている。
なお、前記静止側密封環13及び前記回転側密封環15は、シール条件等に応じて適宜に選択した材料を用いて構成可能であり、例えば、両者共に炭化珪素等のセラミックスや超合金等の硬質材で構成してもよいし、一方の密封環を炭化珪素等のセラミックスや超硬合金等の硬質材で構成し且つ他方の密封環をこれより軟質のカーボン等で構成してもよい。
前記嵌合部材16は、前記回転側密封環15の環状凹部15bに挿入嵌合可能に且つ前記回転軸4に外嵌可能な環状に形成され、前記回転軸4と一体回転すべく前記ストッパリング14に連結されている。前記嵌合部材16は、前記回転側密封環15の環状凹部15bに挿入嵌合されて、前記ストッパリング14と前記回転側密封環15の間に配置されている。
本実施形態において、前記嵌合部材16は、非分割型の環状体からなり、前記回転軸4に略隙間なく外嵌可能に形成されている。前記嵌合部材16は、前記ストッパリング14に対して同一の内径及び小さい外径(ここでは半分程度)を有し、前記ストッパリング14の軸方向他方に同心状に配置された状態で、ボルト31により前記ストッパリング14に相対回転不能に固定されている。
前記嵌合部材16は、また、前記環状凹部15bよりも小さい軸方向幅を有し、当該嵌合部材16の軸方向他端面と前記環状凹部15bの内周面との間に環状空間40が生じるように前記環状凹部15bに挿入嵌合されている。前記嵌合部材16の軸方向他端面及び前記環状凹部15bの内周面のうち底面は、それぞれ軸方向と略直交する平滑な環状平面から形成されている。
前記環状空間40は、前記嵌合部材16がOリング42を介して前記回転軸4に外嵌された場合、前記回転側密封環15及び前記嵌合部材16に加え、前記回転軸4に囲まれて、前記第4空間24と連通する隙間を形成するようになっている。こうして、前記環状空間40は、この場合には被密封流体領域7の一部を形成するようになっている。
また、前記嵌合部材16は、回転側保持部16aを有している。前記回転側保持部16aは、前記嵌合部材16の外周部に設けられ、前記回転側シールリング19を保持可能に構成されている。具体的には、前記回転側保持部16aは、前記嵌合部材16の全周にわたって延び且つ径方向外方へ開口する環状溝を含み、この環状溝に前記回転側シールリング19を係合保持できるようになっている。
前記付勢部材17は、前記静止側リテーナリング12の環状部12bに保持されている。前記付勢部材17は、前記静止側密封環13の静止側密封端面13cが前記回転側密封環15の回転側密封端面15aに圧接されるように前記静止側密封環13を軸方向一方へ付勢するように構成されている。
本実施形態において、前記付勢部材17は、スプリング受体45と、スプリング46とを有している。前記スプリング受体45は、前記環状部12bの貫通孔12gに軸方向に移動可能に嵌挿保持されている。前記スプリング46は、前記スプリング受体45と前記取付部材11の固定部11bとの間に介装されて、軸方向に伸縮可能とされている。
前記スプリング受体45を挟んで前記スプリング46と反対側には、調整ボルト48が設けられている。前記調整ボルト48は、前記押さえ部12cに螺合されつつ前記スプリング受体45に軸方向一方から当接しており、螺送操作されることで前記付勢部材17による付勢荷重(前記静止側密封環13の前記回転側密封環15への押圧接触力)を任意に調整できるように構成されている。
前記静止側シールリング18は、被密封流体領域7(機内領域)と非密封流体領域8(機外領域)との間を遮蔽するめのシールを形成可能なものである。前記静止側シールリング18は、前記取付部材11の嵌込部11aと当該嵌込部11aに嵌め込まれてその径方向内方に配置された前記静止側リテーナリング12の筒状部12aとの間に設けられている。
本実施形態において、前記静止側シールリング18は、所定の断面径を有するOリングから構成されている。前記静止側シールリング18は、前記筒状部12aにおける前記静止側保持部12dの環状溝に係合保持された状態で、互いに径方向に対向する前記取付部材11の嵌込部11aと前記筒状部12a(前記静止側保持部12d)との間をシールするようになっている。
前記回転側シールリング19は、被密封流体領域7と非密封流体領域8との間を遮蔽するめのシールを可能なものである。前記回転側シールリング19は、前記回転側密封環15とその前記環状凹部15bに挿入嵌合されてその径方向内方に配置された前記嵌合部材16との間に設けられている。
本実施形態において、前記回転側シールリング19は、所定の断面径を有するOリングから構成されている。前記回転側シールリング19は、前記嵌合部材16における前記回転側保持部16aの環状溝に係合保持され多状態で、互いに径方向に対向する前記回転側密封環15(前記環状凹部15b)と前記嵌合部材16との間をシールするようになっている。
そして、前記静止側シールリング18及び前記回転側シールリング19が、前略同一の最外径を有して、前記回転軸4を囲むように同心状に配置される構成とされている。言い換えれば、前記静止側シールリング18及び前記回転側シールリング19は、シールを形成する際、各々の最外径位置が仮想線V1上に位置するように径方向に関して前記回転軸4から略等距離離れた状態で前記回転軸4の周りに設けられるようになっている(図2参照)。
要するに、静止形・アウトサイド形の前記メカニカルシール1において、前記回転側シールリング19の最外径が、前記静止側シールリング18のバランス径と略同じに設定されている。なお、前記静止側シールリング18のバランス径とは、前記取付部材11の嵌込部11aに接触する前記静止側シールリング18の接触面の径(即ち、最外径)のことを指す。
本実施形態において、前記静止側シールリング18及び前記回転側シールリング19は、それぞれ、最外径位置が前記静止側密封環13の静止側密封端面13cと前記回転側密封環15の回転側密封端面15aとの圧接位置と径方向に関して前記回転軸4から同程度離れた状態となるように、前記静止側保持部12d及び前記回転側保持部16aに保持される。
また、前記静止側シールリング18及び前記回転側シールリング19は、それぞれ断面円形状に形成されている。そして、前記回転側シールリング19が、前記静止側シールリング18に対して同一又は若干小さい断面径を有しつつ、最外径位置を径方向に関して前記静止側シールリング18の最外径位置に揃えるように前記回転側保持部16aに保持可能とされている。
以上の構成により、前記メカニカルシール1において、前記回転機器2に適用された場合、その機内領域と機外領域との間を遮蔽するために、前記静止側密封環13及び前記回転側密封環15を用いて一次シールを形成するとともに、前記静止側シールリング18及び前記回転側シールリング19を用いて二次シールを形成し、前記回転機器2で扱われる流体が前記ケーシング3と前記回転軸4との間を通じて機内領域から機外領域へ漏れることを防止できる。
また、静止形・アウトサイド形の前記メカニカルシール1においては、その使用時に前記静止側リテーナリング12、前記静止側密封環13及び前記回転側密封環15等の各部材に負荷荷重(前記回転機器2内側の圧力(前記ケーシング3の内部6の圧力)に基づくもの)が付与されるが、前述の前記静止側シールリング18及び前記回転側シールリング19の各々の設置状態に応じて前記各部材12・13・15の受圧領域が規定されることとなる。
前記各部材12・13・15の受圧領域としては、軸方向に関して互いに相反する向きの受圧領域、即ち軸方向一方向きの負荷荷重を受ける受圧領域と、軸方向他方向きの負荷荷重を受ける受圧領域とがあるが、前述のシールリング設置状態により、前記メカニカルシール1は、必然的に、これら双方の受圧領域の受圧面積が同程度になる構造をとるものとなる。
したがって、前記メカニカルシール1の使用時に、これに作用する負荷荷重のうち前記回転側密封環15に対して軸方向他方向きに付与される負荷荷重が増大することを抑えて、この負荷荷重による前記回転側密封環の軸方向他方への位置ずれの発生を阻止しやすくなる。よって、前記メカニカルシール1において、良好なシール性能を発揮させ且つ安定的に維持できる。
本実施形態においては、図2に示すように、前記静止側リテーナリング12及び/又は前記静止側密封環13が、軸方向に関して相反する向きへ付与される負荷荷重を受け得る第1静止側受圧領域R1及び第2静止側受圧領域R2を含んでいる。前記第1静止側受圧領域R1は、前記第2静止側受圧領域R2よりも大きい受圧面積を有している。
前記回転側密封環15が、軸方向に関して相反する向きへ付与される負荷荷重を受け得る第1回転側受圧領域R3及び第2回転側受圧領域R4を含んでいる。前記第1回転側受圧領域R3は、前記第2回転側受圧領域R4よりも小さい受圧面積を有している。
そして、前記メカニカルシール1は、前記被密封流体領域7の圧力状態が変化したとき、前記第1静止側受圧領域R1の受圧面積と前記第2静止側受圧領域R2の受圧面積との差に起因して、前記静止側リテーナリング12及び前記静止側密封環13に軸方向一方向き又は他方向きの第1負荷荷重が作用するように構成されている。
前記メカニカルシール1は、また同時に、前記第1回転側受圧領域R3の受圧面積と前記第2回転側受圧領域R4の受圧面積と差に起因して、前記回転側密封環に前記静止側リテーナリング12及び前記静止側密封環13と反対向きの軸方向他方向き又は一方向きの第2負荷荷重が作用するように構成されている。
詳しくは、前記第1静止側受圧領域R1、前記第2静止側受圧領域R2、前記第1回転側受圧領域R3及び前記第2回転側受圧領域R4は、それぞれ、対応する部材12・13・15うち、径方向に関して被密封流体領域7と略一致するように広がる領域に位置し、被密封流体領域7の圧力状態に応じて負荷荷重を軸方向に付与されるようになっている。
なお、被密封流体領域7の圧力状態は、前記回転機器2の運転状況に応じて前記ケーシング3の内部6の圧力状態が正圧状態又は負圧状態に切り替わることで変化する。被密封流体領域7は、前記ケーシング3の内部6が正圧状態になった場合には正圧状態となり、前記ケーシング3の内部6が負圧状態になった場合には負圧状態となる。
例えば、図3に示すように、被密封流体領域7(前記ケーシング3の内部6)が正圧状態になった場合、前記第1静止側受圧領域R1及び前記第1回転側受圧領域R3に軸方向一方向きの負荷荷重が付与され、且つ、前記第2静止側受圧領域R2及び前記第2回転側受圧領域R4に軸方向他方向きの負荷荷重が付与されることとなる。
この場合、前記回転側密封環15に対して軸方向他方向きに作用する第1負荷荷重F1aの全部又は一部を、前記静止側リテーナリング12及び前記静止側密封環13に対して軸方向一方向きの作用する第2負荷荷重F2aと相殺することが可能となる。したがって、前記回転側密封環15が軸方向他方へ位置ずれすることを極力阻止できる。
また、図4に示すように、被密封流体領域7(前記ケーシング3の内部6)が負圧状態になった場合、前記第1静止側受圧領域R1及び前記第1回転側受圧領域R3に軸方向他方向きの負荷荷重が作用し、且つ、前記第2静止側受圧領域R2及び前記第2回転側受圧領域R4に軸方向一方向きの負荷荷重が付与されることとなる。
この場合、前記回転側密封環15に対して軸方向一方向きの第1負荷荷重F1bが作用し、これにより前記回転側密封環15を前記ストッパリング14に向かって押し付けるようにすることが可能となる。したがって、前記回転側密封環15を前記ストッパリング14により支えて、この回転側密封環15が軸方向他方へ位置ずれすることを阻止できる。
よって、前記回転機器2の運転状況に応じて被密封流体領域7(前記ケーシング3の内部6)が正圧状態に切り替わった場合であっても、また負圧状態に切り替わった場合であっても、前記回転側密封環15の軸方向他方への位置ずれを抑制して、前記静止側密封環13と前記回転側密封環15との間のシール性能の安定化を図ることができる。
なお、被密封流体領域7が負圧状態になった場合、前記静止側リテーナリング12及び前記静止側密封環13に対して軸方向他方向きの第2負荷荷重F2bが作用するが、前記静止側リテーナリング12及び前記静止側密封環13の位置ずれは前記付勢部材17の付勢荷重が前記第2負荷荷重F2bよりも高く設定することで阻止できるようになっている。
また、本実施形態においては、前記第2回転側受圧領域R4の受圧面積から前記第1回転側受圧領域R3の受圧面積を差し引いた面積が、前記第1静止側受圧領域R1の受圧面積から前記第2静止側受圧領域R2の受圧面積を差し引いた面積と略等しくなるように設定されている。
したがって、被密封流体領域7が正圧状態になった場合に、前記第1負荷荷重F1aの大きさを前記第2負荷荷重F2aの大きさと実質的に一致させて、前記第1負荷荷重F1aの全部を前記第2負荷荷重F2aと略確実に相殺することが可能となる。よって、この場合であっても前記回転側密封環15の軸方向他方への位置ずれを阻止して、前記静止側密封環13と前記回転側密封環15との間のシール性能を更に安定させることができる。
1 メカニカルシール
3 ケーシング
4 回転軸
6 ケーシングの内部
7 被密封流体領域
8 非密封流体領域
11 取付部材
11a 嵌込部
12 静止側リテーナリング
12a 筒状部
12b 環状部
13 静止側密封環
13c 静止側密封端面
14 ストッパリング
15 回転側密封環
15a 回転側密封端面
15b 環状凹部
16 嵌合部材
17 付勢部材
18 静止側シールリング
19 回転側シールリング
R1 第1静止側受圧領域
R2 第2静止側受圧領域
R3 第1回転側受圧領域
R4 第2回転側受圧領域

Claims (3)

  1. 被密封流体領域と非密封流体領域とを遮蔽するために、ケーシングとその開口部から突出する回転軸との間に設けられる静止形・アウトサイド形のメカニカルシールにおいて、
    前記ケーシングの開口部に嵌込可能な筒状の嵌込部を有し、この嵌込部が前記開口部に嵌め込まれた状態で前記ケーシングに取り付けられるように構成された取付部材と、
    前記取付部材の嵌込部に軸方向に移動可能に嵌め込まれた筒状部、及び、この筒状部の軸方向一方側に連結された環状部を有する静止側リテーナリングと、
    静止側密封端面を有し、前記静止側リテーナリングの環状部の軸方向一方に配置されるとともに、前記静止側リテーナリングと共に軸方向に移動可能に構成された静止側密封環と、
    前記静止側密封環よりも軸方向一方に配置され、前記回転軸に一体回転可能に外嵌固定され得るストッパリングと、
    前記静止側密封環と前記ストッパリングとの間に配置される回転側密封環であって、前記静止側密封端面と対向する回転側密封端面、及び、前記ストッパリング側に形成された環状凹部を有し、前記回転軸と一体回転すべく前記ストッパリングに連結された回転側密封環と、
    前記回転側密封環の環状凹部に挿入嵌合可能に且つ前記回転軸に外嵌可能に形成され、前記回転軸と一体回転すべく前記ストッパリングに連結された環状の嵌合部材と、
    前記静止側リテーナリングの環状部に保持され、前記静止側密封端面が前記回転側密封端面に圧接されるように前記静止側密封環を軸方向へ付勢する付勢部材とを備え、
    前記取付部材の嵌込部、前記静止側リテーナリング、前記静止側密封環及び前記回転側密封環は、それぞれ前記ケーシングの内部に直接又は間接的に連通する被密封流体領域の一部を前記回転軸との間に形成すべく、前記回転軸から離れた状態で当該回転軸を囲むように同心状に配置され、
    前記取付部材の嵌込部と当該嵌込部の径方向内方に配置された前記静止側リテーナリングの筒状部との間に、被密封流体領域と非密封流体領域との間を遮蔽するためのシールを形成可能な静止側シールリングが設けられ、
    前記回転側密封環と当該回転側密封環の環状凹部の径方向内方に配置された前記嵌合部材との間に、被密封流体領域と非密封流体領域との間を遮蔽するめのシールを形成可能な回転側シールリングが設けられ、
    前記静止側シールリング及び前記回転側シールリングが、同一の最外径を有して、前記回転軸を囲むように同心状に配置される構成とされていることを特徴とするメカニカルシール。
  2. 前記静止側リテーナリング及び/又は前記静止側密封環が、
    軸方向に作用する負荷荷重を受ける第1静止側受圧領域、及び、
    前記第1静止側受圧領域が受ける負荷荷重とは反対方向の負荷荷重を受ける第2静止側受圧領域
    を含み、
    前記第1静止側受圧領域が、前記第2静止側受圧領域よりも大きい受圧面積を有し、
    前記回転側密封環が、
    前記第1静止側受圧領域が受ける負荷荷重と同方向に作用する負荷荷重を受ける第1回転側受圧領域、及び、
    前記第1回転側受圧領域が受ける負荷荷重とは反対方向の負荷荷重を受ける第2回転側受圧領域
    を含み、
    前記第1回転側受圧領域が、前記第2回転側受圧領域よりも小さい受圧面積を有し、
    前記被密封流体領域の圧力状態が変化したとき、前記第1静止側受圧領域の受圧面積と前記第2静止側受圧領域の受圧面積との差に起因して、前記静止側リテーナリング及び前記静止側密封環に軸方向の負荷荷重が作用するとともに、前記第1回転側受圧領域の受圧面積と前記第2回転側受圧領域の受圧面積との差に起因して、前記静止側リテーナリング及び前記静止側密封環に作用する負荷荷重とは反対方向の負荷荷重が前記回転側密封環に作用するように構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のメカニカルシール。
  3. 前記第2回転側受圧領域の受圧面積から前記第1回転側受圧領域の受圧面積を差し引いた面積が、前記第1静止側受圧領域の受圧面積から前記第2静止側受圧領域の受圧面積を差し引いた面積と等しいことを特徴とする請求項2に記載のメカニカルシール。
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