JP6575794B2 - 分析試料採取装置及び採取試料分析装置 - Google Patents

分析試料採取装置及び採取試料分析装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6575794B2
JP6575794B2 JP2015027932A JP2015027932A JP6575794B2 JP 6575794 B2 JP6575794 B2 JP 6575794B2 JP 2015027932 A JP2015027932 A JP 2015027932A JP 2015027932 A JP2015027932 A JP 2015027932A JP 6575794 B2 JP6575794 B2 JP 6575794B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
liquid
dust
sampling tube
solid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015027932A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016151445A (ja
Inventor
賢治 徳政
賢治 徳政
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chugoku Electric Power Co Inc
Original Assignee
Chugoku Electric Power Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chugoku Electric Power Co Inc filed Critical Chugoku Electric Power Co Inc
Priority to JP2015027932A priority Critical patent/JP6575794B2/ja
Publication of JP2016151445A publication Critical patent/JP2016151445A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6575794B2 publication Critical patent/JP6575794B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)

Description

本発明は、分析用試料を採取する分析試料採取装置及び採取試料を分析する採取試料分析装置に関する。
一般的な火力発電所では、排ガスに含まれる窒素酸化物(NO)を除去するため選択接触還元法(SCR法)を使用した脱硝装置が設置されている。選択接触還元法は、排ガス中にアンモニアを吹き込み、脱硝触媒上でNOとアンモニアとを反応させNOを窒素と水とに分解する方法である。脱硝触媒は、使用に伴い性能が劣化するため、脱硝触媒から未反応のまま排出されるアンモニア(リークアンモニアと呼ばれる)の濃度を測定することで性能監視が行われる。
脱硝装置出口排ガス中のアンモニア濃度は、脱硝触媒の劣化把握、さらには酸性硫安によるエアーヒーターの閉塞に大きく関係しているため高精度で測定することが求められる。しかしながら脱硝装置出口排ガスの場合、排ガス中に多量に含まれる煤塵、さらに硫黄酸化物(SO)、NOがアンモニアの正確な分析を困難にしている。煤塵が多い場合、サンプリング系統の閉塞、コンタミネーションの原因となる。またSOを含むため、温度が低下すると酸性硫安が生成する。
これに対し、本件出願人らは、排ガス中のアンモニア濃度を高精度で分析する方法として、2重構造のガス採取管を採用し、内管側に洗浄液を流し内管内を洗浄し、その洗浄液も吸収液と一緒に分析対象とする方法を開発している。(例えば特許文献1参照)。
特許第3616876号公報
特許文献1に記載の方法は、アンモニア(含むアンモニア化合物)の付着の可能性のある部分を洗浄し、その洗浄液も分析対象とするので、洗浄によりアンモニア(含むアンモニア化合物)が完全に除去されている場合、アンモニア濃度を高精度で分析することができる。しかしながら実際には、ガス採取管に付着したアンモニア(含むアンモニア化合物)を洗浄操作により完全に除去することができない場合もある。
洗浄操作を十分に行うべく、多量の洗浄液で洗浄することも考えられるが、多量の洗浄液で洗浄すると回収された洗浄液中のアンモニア濃度が低く、分析精度が低下する。また廃液を増やす原因となる。また特許文献1に記載の方法は、バッチ処理で試料採取を行う方法であるため、排ガス中のアンモニア濃度が低い場合、試料採取間隔が1時間以上必要であり、短時間内の濃度変化を計測することができない。
特許文献1に記載の方法は優れた方法ではあるが、より安定的に、より正確に、より短時間内に、またオンラインで排ガス中のアンモニア濃度を測定するには更なる改善が必要である。このような課題は、排ガス中のアンモニア濃度測定に限らず、他の分析用ガスの採取及び分析の際にも当てはまる。
本発明の目的は、簡単な装置構成で、ガスに含まれる分析対象成分を正確に採取することが可能であり、オンラインで分析可能な試料を提供できる分析試料採取装置、オンラインで分析対象成分を正確に分析することができる採取試料分析装置を提供することである。
本発明は、先端部側がガス流通路に挿入され前記ガス流通路内のガスを採取するガス採取管と、前記ガス採取管を所定の温度に保持するヒートパイプと、前記ガス採取管内に液を供給する液供給手段と、前記ガス採取管を介して採取される前記ガスと前記液供給手段を通じて供給される前記液との混合物を分離する気固液分離前処理装置と、前記ガス採取管と前記気固液分離前処理装置とを結ぶ導管と、を含み、前記ガスは、煤塵を含み、さらに温度が低下するとガスに含まれる一部の化合物が析出するガスであり、前記ガス採取管は、前記ヒートパイプにより前記化合物が析出しない温度領域と前記化合物が析出する温度領域とに区分けされ、前記液が、分析対象成分を吸収する吸収液、又は前記化合物を溶解させ、かつ分析対象成分を吸収しない洗浄液であり、前記液は、前記ガス採取管に対しては化合物が析出する温度領域にのみ供給されることを特徴とする分析試料採取装置である。
本発明の分析試料採取装置において、前記ヒートパイプの作動流体の加熱源が、前記ガス流通路内を流通するガスであり、前記ヒートパイプの作動流体の冷却源が、前記ガス流通路外の大気であることを特徴とする。
また本発明の分析試料採取装置において、前記導管は、内壁面に螺旋状の溝を有し又は内壁面に密接する螺旋状のコイルを有し、内部を流通する前記混合物に旋回流を与え、前記導管の内壁面に液膜を形成させることを特徴とする。
また本発明の分析試料採取装置において、前記ガスが、アンモニアを含むガスであり、前記分析対象成分がアンモニアであることを特徴とする。
また本発明の分析試料採取装置において、前記ガス流通路が、ボイラ排ガスを処理する排煙脱硝装置の出口部の煙道であり、前記ガス流通路内のガスが、前記煙道内のボイラ排ガスであることを特徴とする。
本発明は、前記分析試料採取装置と、液中の分析対象成分を分析する分析装置と、を備え、前記液が、前記分析対象成分を吸収する吸収液であり、前記ガス採取管を介して一定流量のガスを連続的に採取しつつ、前記液供給手段を介して一定流量の前記吸収液を連続的に前記ガス採取管内に供給し、前記気固液分離前処理装置を用いて、前記混合物をガスと煤塵が除去された吸収液と煤塵が濃縮された吸収液とに分離し、前記分析装置は、前記気固液分離前処理装置で分離された、煤塵が除去された吸収液中の分析対象成分をオンラインで分析することを特徴とする採取試料分析装置である。
本発明の採取試料分析装置において、前記気固液分離前処理装置は、前記混合物からガスを分離するガス分離装置と、前記ガス分離装置から送られる煤塵を含む吸収液を一時的に貯める吸収液貯槽と、前記吸収液貯槽の液位を制御する液面制御弁と、前記吸収液貯槽に連結し、煤塵を含む吸収液から煤塵のない吸収液と煤塵が濃縮された吸収液とに分離する遠心分離装置と、前記遠心分離装置から排出される煤塵が濃縮された吸収液から煤塵を分離する固液分離槽と、を含み、前記吸収液貯槽と前記遠心分離装置と前記固液分離槽とは連通し、前記液面制御弁は、前記固液分離槽からの吸収液の排出量を調整し、前記吸収液貯槽の液位を制御することを特徴とする。
本発明は、前記分析試料採取装置と、ガスに含まれる分析対象成分を分析する分析装置と、を備え、前記液が、前記化合物を溶解させ、かつ前記分析対象成分を吸収しない洗浄液であり、前記ガス採取管を介して一定流量のガスを連続的に採取しつつ、前記液供給手段を介して一定流量の前記洗浄液を連続的に前記ガス採取管内に供給し、前記気固液分離前処理装置を用いて、前記混合物を分析対象成分を含むガスと煤塵を含む洗浄液とに分離し、前記分析装置は、前記気固液分離前処理装置で分離された、分析対象成分を含むガス中の分析対象成分をオンラインで分析することを特徴とする採取試料分析装置である。
本発明によれば、簡単な装置構成で、ガスに含まれる分析対象成分を正確に採取することが可能であり、オンラインで分析可能な試料を提供できる分析試料採取装置、オンラインで分析対象成分を正確に分析することができる採取試料分析装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る採取試料分析装置1の概略構成図である。 図1のII部の拡大図である。 図1のIII部の拡大図である。 図1の採取試料分析装置1の使用先である火力発電所100の概略構成図である。 ボイラ排ガス中の硫黄酸化物濃度と酸性硫安(硫酸水素アンモニウム)生成温度との関係を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る採取試料分析装置2の概略構成図である。 本発明の第3実施形態に係る採取試料分析装置3の概略構成図である。 本発明の第4実施形態に係る採取試料分析装置4の概略構成図である。
図1は、本発明の第1実施形態に係る採取試料分析装置1の概略構成図である。図2及び図3は、図1のII部拡大図、図1のIII部の拡大図である。また図4は、本発明の第1実施形態に係る採取試料分析装置1の使用先である火力発電所100の概略構成図である。
本発明の第1実施形態の採取試料分析装置1は、分析用の試料ガスを採取するガス採取管11と、ガス採取管11を一定の温度に保持するヒートパイプ25と、ガス採取管11に吸収液を供給する液供給装置76と、分析可能に吸収液と採取ガス及び煤塵とを分離する気固液分離前処理装置50と、試料ガスを分析する分析装置91とを含む。
採取試料分析装置1は、火力発電所100のボイラ排ガスの分析、特にボイラ排ガスに含まれる窒素酸化物NOxを除去する排煙脱硝装置109の出口側の排ガス中のアンモニア濃度測定に好適に使用することができる。以下、本発明の第1実施形態の採取試料分析装置1を用いて、排煙脱硝装置109の出口側の排ガス中のアンモニア濃度を測定する場合を例にとり、採取試料分析装置1の構成を詳細に説明する。但し、本発明の第1実施形態に係る採取試料分析装置1は、排煙脱硝装置109の出口側の排ガス中のアンモニア濃度の測定以外にも使用することが可能であり、火力発電所100の構成も以下に示す構成に限定されるものではない。
火力発電所100は、微粉炭焚きボイラ101を有し、火炉103で発生する燃焼ガスは、加熱器などの伝熱管105を加熱し、さらに後部煙道部に設置された節炭器107で熱回収され、ボイラ101から排出される。ボイラ101から排出される温度を低下させた燃焼ガス(排ガス)は、排煙脱硝装置109に送られ、ここで排ガスに含まれる窒素酸化物NOxが除去される。
排煙脱硝装置109は、選択接触還元方式の排煙脱硝装置であり、脱硝反応器内に脱硝触媒を収納し、脱硝反応器の上流側において排ガス中にアンモニアが供給される。排ガスに含まれる窒素酸化物NOxは、脱硝触媒上でアンモニアと反応し、窒素と水に還元される。
排煙脱硝装置109で窒素酸化物NOxが除去された排ガスは、空気予熱器111に送られ、ここでボイラ101の燃焼用空気を予熱する。その後、電気集塵機113で排ガス中の煤塵が徐塵され、さらに排煙脱硫装置115で排ガス中の硫黄酸化物SOxが除去され、煙突117から大気中に放散される。
ボイラ101、排煙脱硝装置109、空気予熱器111、電気集塵機113、排煙脱硫装置115及び煙突117は、煙道119で結ばれており、本実施形態では排煙脱硝装置109の出口側の排ガス中のアンモニア濃度を測定すべく、ガス採取管11が排煙脱硝装置109の出口部の煙道119に設置されている。
ガス採取管11は、煙道119内を流れる排ガスを採取する装置であり、金属製の円筒パイプからなり、煙道壁(ダクト壁)121に設けられた採取口から先端部12が煙道119内に挿入されており、基端部13は、煙道壁121の外側(大気側)に位置している。煙道119を流れる排ガスは、温度が約300〜400℃であり、排ガス中には、窒素酸化物NOx、硫黄酸化物SOx、アンモニアの他、多量の煤塵を含むので、ガス採取管11は、それに耐えるものでなければならない。
ガス採取管11に鉄Fe、バナジウムV、モリブデンMoなどの触媒成分が含まれる場合、排ガス中のアンモニアが、ガス採取管11内で分解する恐れがある。特に排ガス中のアンモニア濃度は、0.1〜5ppm程度と低いためアンモニアの分解には十分注意する必要がある。このためガス採取管11には、ステンレス製パイプ内にアルミニウム製パイプを挿入したガス採取管、又はステンレス製パイプの内面にアルミニウムを蒸着させたガス採取管が好ましい。
ガス採取管11の長さ及び大きさは、特に限定されるものではない。ガス採取管11の内径を例示すれば、5〜25mmφ程度である。
ガス採取管11のうち煙道壁121を跨ぐ部分及びその前後部分は、ヒートパイプ25を介して所定の温度に保持されている。以下、ヒートパイプ25を介して所定の温度に保持されている領域を温度保持領域15と言う。ガス採取管11の温度保持領域15の長さを例示すれば、煙道壁121を挟み、煙道119内側に100〜300mm程度、煙道119外側に100〜300mm程度であり、全長で400〜600mm程度である。なお、煙道壁121の厚さは200mm程度である。本実施形態においてガス採取管11の先端部12及び基端部近傍14は、非温度保持領域である。非温度保持領域は、ヒートパイプ25を介して所定の温度に保持されていない領域である。
本実施形態では、温度保持領域15は、約300℃に保持される。この温度は、ガス採取管11の温度保持領域15でアンモニア化合物が析出しない温度である。なお、ガス採取管11の温度保持領域15の温度は、必ずしも300℃に限定されるものではなく、アンモニア化合物が析出しない温度であればよい。
排煙脱硝装置109の出口側の排ガスの場合、アンモニア化合物として酸性硫安(硫酸水素アンモニウム)が生成する。図5は、ボイラ排ガスにおける硫黄酸化物SOの濃度と酸性硫安(硫酸水素アンモニウム)生成温度との関係を示す。図5より排ガス中のアンモニア濃度が1ppmで、排ガス中の硫黄酸化物SOの濃度が10ppmであれば、酸性硫安(硫酸水素アンモニウム)は、約230℃で生成することが分かる。酸性硫安は、アンモニア濃度及び硫黄酸化物SO濃度が高い程、高い温度で生成する。
ヒートパイプ25は、ガス採取管11のうち温度保持領域15を覆うように、ガス採取管11に設けられており、煙道壁121を跨ぎ、煙道119内及び煙道119外に位置している。本実施形態では、ガス採取管11とヒートパイプ25とが一体化しており、ヒートパイプ25の外周壁33に設けられた固定用フランジ36を介して煙道壁121に固定されている。なお、ガス採取管11及びヒートパイプ25の煙道壁121に対する固定方法は、他の方法であってもよい。
ヒートパイプ25は、ウィック式ヒートパイプであり、ガス採取管11と一体化された2重管構造であり、ガス採取管11の外壁19にコンテナと呼ばれる密閉容器を有する。密閉容器は、両端が封止された円筒パイプ27が、ガス採取管11の外壁19に気密状態で固着され形成されている。円筒パイプ27とガス採取管11とで形成される空間部29は、ウィックと呼ばれる毛細管構造となっており、当該空間部29には、作動流体31が充填されている。また円筒パイプ27には、作動流体31の作動状態を確認するために、前記空間部29内の圧力を検出する圧力計35が設けられている。
ヒートパイプ25とガス採取管11とを一体化した構造とすると、ヒートパイプ25とガス採取管11との伝熱性に優れる。但し、ヒートパイプは、ガス採取管11と別体であってもよい。ヒートパイプの形状を、中心部をガス採取管11が挿通する挿通孔を設けたパイプ形状とし、ヒートパイプの中心部にガス採取管11を挿通させてもよい。さらにはガス採取管11を覆うようにヒートパイプを巻き付けてもよい。このような構成とすれば、ヒートパイプの製作が容易となり、又は市販のヒートパイプを使用することも可能である。この場合、ヒートパイプとガス採取管11との間に隙間が生じ、ヒートパイプとガス採取管11との間の伝熱性能が低下しないようにする必要がある。
ヒートパイプは、ガス採取管11内に配置することも可能であるが、段差が生じるので、本実施形態のように煤塵が多い場合には、段差部に煤塵が溜まり好ましくない。
ヒートパイプ25で使用する作動流体は、ガス採取管11を300℃に保持可能であればよい。作動流体としては、熱媒油が例示される。
煙道119内に位置するヒートパイプ25の外周壁33には、煙道119内を流れる排ガスとヒートパイプ25との間の伝熱を促進すべく、加熱用フィン37が取り付けられている。加熱用フィン37を設けなくてもよいが、加熱用フィン37を設けることで煙道119内を流れる排ガスとヒートパイプ25との間の伝熱が促進され、結果、ヒートパイプ25をコンパクトにすることができる。
上記ヒートパイプ25は、加熱用フィン37が取付けられた部分も含め煙道119内に位置する部分が加熱部となり、煙道119外に位置する部分が冷却部となる。
ガス採取管11の基端部近傍14は、ヒートパイプ25で覆われていない。ガス採取管11の基端部近傍14の外壁には、大気によりガス採取管11内の採取ガス(試料ガス)を冷却すべく、冷却用フィン21が取り付けられている。
ガス採取管11は、導管40を介して気固液分離前処理装置50と接続する。またガス採取管11には、液供給装置76を介して吸収液が送られる。
導管40は、ガス採取管11の出口部にアダプタ47を介して接続され、ガス採取管11から送られる採取ガス及び吸収液を気固液分離前処理装置50に導く。導管40は、内壁面42には螺旋状の溝43が設けられた柔軟性を有するチューブ41からなる。このような導管40に吸収液と採取ガスとを流すと、チューブ41内に旋回流が形成され、遠心力でチューブ内壁面42に液膜44が安定的に形成される。この液膜44の形成により気液接触面積が大きくなり、アンモニアが吸収液に十分吸収される。またアンモニア化合物が析出し導管40に付着することを防止できる。導管40は、柔軟性を備えるので自由に配置できる長所がある。
チューブ41内で旋回流を形成させる方法は、内壁面42に螺旋状の溝43を設ける方法の他、チューブ41内の内径と同じ外径の螺旋状コイルをチューブ41内に挿入する方法がある。またチューブ内壁面42により安定的に液膜44を形成させるには、チューブ内壁面42を親水処理するのがよい。親水性処理は、例えば内面に酸化チタンをコーティングし、親水性のコーティング層を設けることで行える。
旋回流を形成する導管40の他に、気液接触面積を大きくする器具、装置としては液膜ガス吸収搭、マイクロリアクター等が考えられる。しかしながら液膜ガス吸収搭は、固定式で自由に曲げることができず、さらにガス及び液とも流通方向が垂直方向に限定されるため、設置の自由度が非常に狭い。また装置が大きく設置場所も限定される。
マイクロリアクター(アンモニア分析計)に親水性チューブを使用した場合、チューブ径が小さいときには、液が表面張力によりチューブの壁面側に膜状に広がり、チューブ中央をガスが流れる。この状態は気液接触面積が大きく、ガスが十分に吸収される好ましい状態である。しかしながらチューブ径が大きくなると、表面張力だけではチューブ壁面に液膜を保持することができなくなり、脈流、淀みが発生し、安定したガスの吸収ができなくなる。
アダプタ47は、ゴム弾性を有するフッ素樹脂系の円筒体であり、ガス採取管11及び導管40を差し込むことでガス採取管11及び導管40が連結される。アダプタは、上記アダプタ47に限定されるものではなく、ガス採取管11と導管40、さらには液供給管79を気密及び液密可能に連結できれば他のアダプタであってもよい。またガス採取管11と導管40、さらには液供給管79を気密及び液密可能に連結できればアダプタ以外の方法を用いてもよい。
気固液分離前処理装置50は、導管40から送られる採取ガス、吸収液及び煤塵を含む気固液流体(混合物)から採取ガスを分離するガス分離装置51と、ガス分離装置51から送られる煤塵を含む吸収液を一時的に貯める吸収液貯槽56と、吸収液貯槽56の液位を制御する液面制御弁59と、吸収液貯槽56に連結し、煤塵を含む吸収液から煤塵のない吸収液と煤塵が濃縮された吸収液とに分離する固液分離装置64と、固液分離装置64から排出される煤塵が濃縮された吸収液から煤塵を分離する固液分離槽68とを含む。
ガス分離装置51は、サイクロン51であり、サイクロン51の流入管52、上部出口管53は、それぞれ導管40、ガス吸引ポンプ85と接続し、サイクロンの下部ノズル54は、吸収液貯槽56と接続する。ガス採取管11及び導管40を経由してサイクロン51に送られる採取ガス、吸収液及び煤塵を含む気固液流体は、ここで採取ガスと煤塵を含む吸収液とに分離される。採取ガスは、ガス吸引ポンプ85で吸引され、煤塵を含む吸収液は下部ノズル54から吸収液貯槽56へ送られる。なお吸引ポンプ85の後流側には、吸引ガス量を測定するガスメータ86が設置されている。
ガス分離装置51は、サイクロン51の他、慣性力を利用した衝突式気液分離装置、ルーバー式気液分離装置などを使用することができる。2台以上の気液分離装置を直列に配置してもよく、異なる型式の気液分離装置を直列に配置してもよい。
吸収液貯槽56は、サイクロン51から送られる煤塵を含む吸収液を一時的に貯める貯槽であり、上部にサイクロン51が、下部に固液分離装置64が接続する。吸収液貯槽56は、槽内に吸収液に浮くマグネットフロート57を有する。マグネットフロート57は、磁石を内蔵した樹脂製のフロートなど公知のマグネットフロートを使用することができる。
液面制御弁59は、吸収液貯槽56の液位を制御する弁であり、弁本体60と、マグネット61と、弁本体60とマグネット61とを結ぶ連結棒62とを含む。弁本体60は、固液分離槽68の上部に取付けられ、直接的には固液分離槽68からの排出量を調整する。吸収液貯槽56と固液分離槽68とは、固液分離装置64を介して連通するため、固液分離槽68から排出する吸収液(排液)量を制御することで、吸収液貯槽56の液位を制御することができる。マグネット61は、吸収液貯槽56内のマグネットフロート57と連動し、吸収液貯槽56の液位に応じて上下動する。マグネット61の上下動により、弁60が開閉し、排出量を制御して液面を一定のレベルに保持する。
固液分離装置64は、遠心分離機64であり、吸収液貯槽56の底部に接続される。遠心分離機64は、高速モーター65により凹凸の翼を持つ円盤66を回転させ、吸収液貯槽56から送られる煤塵を含む吸収液から煤塵のない吸収液と煤塵が濃縮された吸収液とに分離する。ここで煤塵のない吸収液とは、全く煤塵を含まない吸収液の他、微量の煤塵を含むものの実質的に煤塵のない吸収液とみなされるものも含まれる。煤塵のない吸収液は、途中にフィルター70が介装されたラインを通じて分析装置であるFIA(フローインジェクション)分析装置91に送られ、吸収液中のアンモニア濃度が測定される。固液分離装置64として、遠心分離機64に代えフィルターを使用すると、煤塵で直ちに閉塞するため好ましくない。
固液分離槽68は、遠心分離機64から送られる煤塵が濃縮された吸収液を受入れ静置し、重力沈降により煤塵を分離する。上部には、液面制御弁59の弁本体60が取付けられ、煤塵を沈降分離させた吸収液は、液面制御弁59を経由して排出される。固液分離槽68の底部には、沈降した煤塵を取出すための清掃キャップ69が設けられている。
液供給装置76は、液供給タンク77、液供給ポンプ78及び液供給管79とで構成され、液供給管79を通じて吸収液をガス採取管11の基端部13側の非温度保持領域に供給する。液供給管79は、L字型の管体81を有し、これがアダプタ47に突き刺され固定されている。液供給管79の先端80は、ガス採取管11の温度保持領域15とガス採取管11の基端部13側の非温度保持領域との境界に位置するように設置されている。
本採取試料分析装置1では、採取ガスと吸収液とを接触させ、採取ガスに含まれるアンモニアを吸収液で吸収し、この吸収液を分析装置で分析しアンモニア濃度を求める。供給された吸収液は、採取ガスに含まれるアンモニアを吸収する役目の他、ガス採取管11の基端部13側の非温度保持領域内にアンモニア化合物が析出しないように当該領域を洗浄し、あるいは当該領域に析出したアンモニア化合物を溶解する役目を担う。
ここで使用される吸収液は、採取ガスに含まれるアンモニアガスを吸収し、アンモニア化合物を溶解させ、アンモニア化合物に含まれるアンモニア、アンモニウムイオン等を吸収する必要がある。このような吸収液には、ホウ酸水溶液など酸性の水溶液が例示される。
分析装置91は、吸収液に含まれるアンモニアをオンラインで分析可能な公知の分析計を使用可能であり、分析精度等に応じて適宜選択して使用すればよい。分析装置91としては、フローインジェクション(FIA)分析装置が例示される。FIA分析装置は、分析対象成分を含む液体試料、本実施形態では、アンモニアを含む吸収液と試薬とにより発色(退色)反応を生じさせ、この溶液の吸光光度からアンモニア濃度を測定する。
次に上記採取試料分析装置1の排ガス中のアンモニア濃度測定要領について説明する。
吸引ポンプ85を作動させ、ガス採取管11を通じて排ガスを連続的に一定の流量で採取する。同時に、液供給装置76を通じて、ガス採取管11の基端部13側の非温度保持領域に吸収液を一定の流量で連続的に供給する。ガス採取管11を通じて採取された採取ガスは、ガス採取管11及び気固液分離前処理装置50につながる導管40を流通する過程で、吸収液と接触しアンモニアは吸収液に吸収される。気固液分離前処理装置50で採取ガス及び煤塵が分離された吸収液は、分析装置91によりアンモニア濃度が測定される。
以上のように採取試料分析装置1を使用し、一定流量の採取ガスを採取し、かつ一定流量の吸収液を供給することで、オンラインで排ガス中のアンモニアガスを分析することができる。分析装置91に送られる吸収液は、煤塵が除去されているので精度よく分析することができる。排ガスに含まれる煤塵がアンモニアを吸着している場合もあるが、本採取試料分析装置1を使用することで煤塵に吸着するアンモニアも分析対象とすることができる。
従来の採取試料分析装置では、ガス採取管が温度保持領域と非温度保持領域とに区分けされておらず、本実施形態の温度保持領域に該当する部分にも洗浄液が供給されていた。このため従来の方法では、ガス採取管の同じ場所が、約300℃の温度となったり100℃以下の温度になったりする。このように加温、冷却を繰り返すと、アンモニア化合物が析出し、ガス採取管内に付着し易くなる。さらに温度が大きく変化するため洗浄液による洗浄も難しく、析出したアンモニア化合物を十分に洗浄することができない。
これに対して、本採取試料分析装置1は、ガス採取管11が温度保持領域15と非温度保持領域とに区分けされ、温度保持領域15は常に一定温度に保持されているのでこの領域にアンモニア化合物が析出することはない。一方、基端部13側の非温度保持領域は、アンモニア化合物が析出する温度領域であるが、この部分には吸収液が常時供給されているので、アンモニア化合物が析出することはない。仮に析出したとしても吸収液に溶解するためガス採取管11内にアンモニア化合物が付着することはない。これによりアンモニア化合物の析出、付着による不具合を解消することができる。
ガス採取管11の温度保持領域15をヒートパイプ25に代え、電気ヒータ、熱媒装置を使用して行うことも考えられるが、共に温度保持手段として好ましくない。
電気ヒータの場合、温度分布の大きさが懸念される。局所的に温度が低下するとアンモニア化合物が析出する。一方で、アンモニア化合物が析出しないように温度を高めに設定した場合、500℃以上の場所ができるとアンモニアが分解してしまう。さらに通常、煙道119付近には、電源がないため電気ヒータは使い難い。熱媒装置は、電気ヒータに比較して温度の均一性に優れるが、熱媒を加熱する装置、熱媒を循環又は撹拌する装置が必要となり、装置が大型化し、かつ構成が複雑化する。
これに対してヒートパイプ25は、簡単な構造でコンパクトながら温度の均一性、熱伝達性に優れる。さらには電源も不要であり、ガス採取管11の温度保持手段として優れる。ヒートパイプ25を動作させるには、加熱源と冷却源が必要であるが、加熱源には煙道119内を流れる排ガスを、冷却源には大気を利用することができるので簡単に実用化することができる。
本採取試料分析装置1も長期間の運転に伴い、ガス採取管11の温度保持領域15とガス採取管11の基端部13側の非温度保持領域との境界部にアンモニア化合物が付着する恐れがある。よって定期的に、液供給装置76を介して洗浄用の液を、ガス採取管11の先端部12側に流し、ガス採取管11の温度保持領域15とガス採取管11の基端部13側の非温度保持領域との境界部さらには温度保持領域15を洗浄することが好ましい。洗浄用の液としては、水が挙げられる。なおこの洗浄操作は、後述の他の実施形態に係る採取試料分析装置にも当てはまる。
図6は、本発明の第2実施形態に係る採取試料分析装置2の概略構成図である。本発明の第1実施形態に係る採取試料分析装置1と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態に係る採取試料分析装置2は、第1実施形態に係る採取試料分析装置1と同様に、連続的に排ガスを採取しオンラインで分析する。但し、第1実施形態に係る採取試料分析装置1が吸収液を分析するのに対して、第2実施形態に係る採取試料分析装置2では、洗浄後の採取ガスを分析する。このため第1実施形態に係る採取試料分析装置1では、ガス採取管11に吸収液を供給するが、第2実施形態に係る採取試料分析装置2では、ガス採取管11に洗浄液を供給する。
採取試料分析装置2の気固液分離前処理装置50は、導管40から送られる採取ガス、吸収液及び煤塵を含む気固液流体から採取ガスを分離するガス分離装置51と液封トラップ71とで構成される。気固液分離前処理装置50が、第1実施形態に係る採取試料分析装置1の気固液分離前処理装置50に比較して簡便な構成であるのは、ガスを分離した後の煤塵を含む洗浄液を処理する必要がないことにより、第2実施形態の気固液分離前処理装置50は、実質的にはガス分離装置と言える。
サイクロン51で分離されたガスは、ガス吸引ポンプ85で吸引され分析装置93に送られ、ガス中のアンモニアが分析される。ガス分離装置は、サイクロン51の他、慣性力を利用した衝突式気液分離装置、ルーバー式気液分離装置などを使用することができる。2台以上の気液分離装置を直列に配置してもよく、異なる型式の気液分離装置を直列に配置してもよいことは、第1実施形態の採取試料分析装置1と同じである。
液封トラップ71は、サイクロン51の下部ノズル54から採取ガスが流出することを防止する装置であり、タンク72を備え、タンク72の天井面にサイクロン51の下部ノズル54が接続する。タンク72の底部には排出ノズル74が設けられ、タンク72内には洗浄液に浮く球状のフロート73を有し、排出ノズル74とフロート73とでトラップを形成する。液封トラップ71内に所定量の洗浄液が溜まると、フロート73が浮き洗浄液が排出され、液位が低下するとフロート73が排出ノズル74を塞ぎガスの流出を防止する。これによりガスを排出させることなく、洗浄液を排出することができる。
液封トラップ71は、サイクロン51から採取ガスが流出することを防止しつつ、煤塵を含む洗浄液を排出することができれば、他の構造、形態であってもよい。但し、洗浄液には、煤塵が含まれているため煤塵により動作不良とならない構造、形態とする必要がある。
液供給装置76の構成は、第1実施形態の採取試料分析装置1の液供給装置76と同じである。洗浄液には、アンモニア化合物を溶解可能でかつ、アンモニアを吸収しない洗浄液が使用される。本実施形態では、アンモニア化合物として酸性硫安(硫酸水素アンモニウム)が挙げられ、洗浄液としてアルカリ性の水、例えば水酸化ナトリウム水溶液が挙げられる。洗浄液で洗浄された採取ガスは、アンモニア化合物及び煤塵を含まず、アンモニアガスを含むこととなる。
分析装置93は、気固液分離前処理装置50により洗浄液が分離された採取ガスに含まれるアンモニアを分析する。ここで使用可能な分析装置は、採取ガスに含まれるアンモニアをオンラインで分析可能であれば、特定の分析装置に限定されるものではない。要求される精度に応じた分析装置を使用することが必要なことは当然である。分析装置93に送られる採取ガス(試料ガス)は、煤塵、SOが除去されているため高精度の分析装置を使用することができる。
ここで使用可能な分析装置としては、公知のガス分析計を使用することができる。ガス分析計としては、光源にレーザーを使用し吸光強度からアンモニア濃度を検出するレーザー式ガス分析計、NO−NHの還元反応によるNO濃度の減少を測定することでNH濃度を検出するNO−NH還元差動方式の煙道排ガスアンモニア測定装置(例えば株式会社島津製作所製)、酸化触媒処理後の増加窒素酸化物成分をアンモニア濃度として科学発効法により測定するアンモニア測定装置(例えば株式会社堀場製作所製)が例示される。分析装置93には、ガス流量計を備えないタイプの分析装置があるが、そのような分析装置の場合、別途、ガス流量計を設ければよい。
次に上記採取試料分析装置2の排ガス中のアンモニア濃度測定要領について説明する。
吸引ポンプ85及び分析装置93を作動させ、ガス採取管11を通じて排ガスを連続的に一定の流量で採取する。同時に、液供給装置76を通じて、ガス採取管11の基端部13側の非温度保持領域に洗浄液を一定の流量で連続的に供給する。ガス採取管11を通じて採取された採取ガスは、ガス採取管11及び気固液分離前処理装置50につながる導管40を流通する過程で、洗浄液と接触し洗浄される。この過程で煤塵、SOは、洗浄液に吸収される。気固液分離前処理装置50により洗浄液が分離された採取ガスは、ガス分析装置93でアンモニア濃度が測定される。
以上のように採取試料分析装置2を使用し、一定流量の採取ガスを採取し、かつ一定流量の洗浄液を供給することで、オンラインで排ガス中のアンモニアガスを分析することができる。分析装置93に送られる採取ガスは、洗浄液で洗浄され、アンモニア化合物及び煤塵が除去されているので精度よく分析することができる。排ガスに含まれる煤塵がアンモニアを吸着している場合もあるが、本採取試料分析装置2を使用することで煤塵も洗浄されるので、煤塵に吸着するアンモニアも分析対象とすることができる。
ヒートパイプ25の効果、洗浄液を供給することによるアンモニア化合物の析出防止効果は、第1実施形態に係る採取試料分析装置1のところで説明した通りである。また導管40の作用効果も、第1実施形態に係る採取試料分析装置1のところで説明した通りである。
図7は、本発明の第3実施形態に係る採取試料分析装置3の概略構成図である。本発明の第1及び第2実施形態に係る採取試料分析装置1、2と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
第3実施形態に係る採取試料分析装置3は、第1実施形態に係る試料ガス分析装置1と同様に、連続的に排ガスを採取し、かつ連続的に吸収液を供給し、吸収液に吸収されたアンモニアをオンラインで分析する。このため第3実施形態に係る採取試料分析装置3と第1実施形態に係る採取試料分析装置1とは、装置の基本構成は同一である。但し、第3実施形態に係る採取試料分析装置3と第1実施形態に係る採取試料分析装置1とでは、ガス採取管11の温度が大きく異なる。これに伴いヒートパイプ26の構造及び液供給管の先端位置が第1実施形態に係る採取試料分析装置1と異なる。
第3実施形態に係る採取試料分析装置3では、ガス採取管11の温度保持領域の温度を100℃以下の温度に保持する。これは、ガス採取管11の温度保持領域をアンモニア化合物が析出する温度でかつ吸収液が蒸気とならない温度とし、この温度保持領域を吸収液で確実に洗浄可能とすることで、排ガスの安定採取及び分析精度向上を実現するものである。
第3実施形態に係る採取試料分析装置3において、ガス採取管11の温度保持領域15は、煙道壁121を跨ぐ部分及びその前後部分であり、具体的にはヒートパイプ26で覆われた領域である。ガス採取管11の温度保持領域15の全長は、第1実施形態に係る採取試料分析装置1のガス採取管11と同じであるが、第1実施形態に係る採取試料分析装置1のガス採取管11に比較し、煙道119内側の長さが短く、逆に煙道119外側の長さが長い。ガス採取管11の先端部12及び基端部近傍14は、非温度保持領域である。非温度保持領域は、ヒートパイプ26を介して所定の温度に保持されていない領域である。
ヒートパイプ26は、第1実施形態に係る採取試料分析装置1のヒートパイプ25と同様に、ガス採取管11の外壁19に一体的に設けられている。
ヒートパイプ26は、ウィック式のヒートパイプであり、ガス採取管11を覆う円筒部28の他に、円筒部28に直交するように設けられた冷却部30を有する。冷却部30は、煙道119外に位置する円筒部28に、円筒部28と連通するように円筒部28と一体的に設けられている。また冷却部30の外周面には、放熱を促進するための冷却用フィン34が設けられている。
ヒートパイプ26で使用する作動流体は、ガス採取管11を100℃以下に保持可能であればよく、水、メタノール、アセトンが例示される。なお、ヒートパイプ26とガス採取管11とを別体としてもよい点などは、第1実施形態に係る採取試料分析装置1のヒートパイプ25と同じであるので説明を省略する。
液供給管79は、ガス採取管11の温度保持領域15全体を洗浄可能に、先端部80がガス採取管11の温度保持領域15の煙道119側端部に位置するように設けられている。その他、液供給装置76、導管40、気固液分離前処理装置50の構造、仕様は、第1実施形態に係る採取試料分析装置1と同じである。また吸収液も第1実施形態に係る採取試料分析装置1で使用する吸収液と同じである。
採取試料分析装置3の採取ガス中のアンモニア濃度測定要領は、第1実施形態に係る採取試料分析装置1と同じであり、吸収液中のアンモニアを分析する。
第1実施形態に係る採取試料分析装置1では、ガス採取管11の温度保持領域15をアンモニア化合物が析出しない温度とし、アンモニア化合物が析出する恐れがあるガス採取管11の基端部13側の非温度保持領域を吸収液で洗浄する。これに対して、第3実施形態に係る採取試料分析装置3では、ガス採取管11の温度保持領域15をアンモニア化合物が析出する温度でかつ吸収液が蒸気とならない温度とし、この温度保持領域15を吸収液で確実に洗浄する。なお、第3実施形態に係る採取試料分析装置3においてもガス採取管11の基端部13側の非温度保持領域は、吸収液で洗浄される。
上記のように第1実施形態に係る採取試料分析装置1と第3実施形態に係る採取試料分析装置3とでは、ガス採取管11の温度が大きく異なり、これに伴いヒートパイプ25、26の構造及び液供給管の先端部80の位置が異なる。しかしながらヒートパイプ25、26を用いて、ガス採取管11の特定の領域を温度保持領域15として常に一定の温度に保持し、かつアンモニア化合物が析出する温度領域を吸収液で洗浄することで排ガスの安定採取及び分析精度向上を実現する点は同じである。
図8は、本発明の第4実施形態に係る採取試料分析装置4の概略構成図である。本発明の第1〜第3実施形態に係る採取試料分析装置1、2、3と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
第4実施形態に係る採取試料分析装置4は、第2実施形態に係る採取試料分析装置2と同様に、連続的に排ガスを採取し、かつ連続的に洗浄液を供給し、気固液分離前処理装置50により採取ガス及び煤塵が除去された洗浄後の採取ガスをオンラインで分析する。第4実施形態に係る採取試料分析装置4は、採取ガス管11及びヒートパイプ26が第3実施形態に係る採取試料分析装置3と同一であり、気固液分離前処理装置50が第2実施形態に係る採取試料分析装置2と同一である。
第4実施形態に係る採取試料分析装置4で使用する洗浄液は、第2実施形態に係る採取試料分析装置2で使用する洗浄液と同じである。
第4実施形態に係る採取試料分析装置4の洗浄された採取ガス中のアンモニア濃度測定要領は、第2実施形態に係る採取試料分析装置2と同じである。第2実施形態に係る採取試料分析装置2と比較してガス採取管11の温度保持領域15の温度が異なるが、排ガスを安定的に採取できる点及び高い分析精度を実現できる点は同じである。
以上、第1〜第4実施形態に係る採取試料分析装置を用いて説明したように、本発明に係る採取試料分析装置は、ヒートパイプ25、26を介してガス採取管11を所定温度に保持することができるので、化合物が析出する領域が特定され吸収液、洗浄液による洗浄が容易となる。さらに化合物が析出する温度領域に常時、液を流しておくことで化合物の析出及び/又は付着を防止することが可能であり、分析試料を安定的に採取可能であると共にガスに含まれる分析対象成分を正確に採取し、オンラインで分析することができる。
本発明のようにヒートパイプを介して化合物が析出しない温度領域と化合物が析出する温度領域とに区分されたガス採取管の場合、ガス採取管に対し化合物が析出する温度領域にのみ、常時、洗浄液又は吸収液を供給すれば、少ない洗浄液量又は吸収液量で化合物の析出及び/又は付着を防止することができる。また少ない吸収液量で採取ガス中の分析対象成分を吸収すれば分析対象成分の濃度が低下せず、分析精度を高く維持することができる。さらに化合物が析出しない温度領域には、液が供給されないのでその領域の温度が低下せず、その領域に化合物が析出することはない。これにより予期せぬ場所への化合物の析出が防止される。
また本発明に係る採取試料分析装置を使用すれば、形態がガスであっても液であってもよいので種々の分析計を使用することが可能であり、使い勝手がよく実用性に優れる。なお、上記実施形態では、火力発電所の煙道排ガスを例として、本発明に係る採取試料分析装置を説明したが、本発明に係る採取試料分析装置は、他のガスの採取及び分析にも適用可能なことは言うまでもない。また上記実施形態では、採取試料分析装置について説明したが、分析装置を省略すれば採取試料分析装置を好適な分析試料採取装置として使用可能である。また上記実施形態では、ウィック式のヒートパイプを使用する例を示したが、ヒートパイプは、他の種類のヒートパイプ、例えば自励振動ヒートパイプを用いてもよい。
図面を参照しながら好適な分析試料採取装置及び採取試料分析装置について説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更及び修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。
1、2、3、4 採取試料分析装置
11 ガス採取管
12 ガス採取管の先端部
13 ガス採取管の基端部
14 ガス採取管の基端部近傍
15 温度保持領域
19 ガス採取管の外壁
25、26 ヒートパイプ
40 導管
41 チューブ
42 内壁面
43 溝
44 液膜
50 気固液分離前処理装置
51 ガス分離装置,サイクロン
56 吸収液貯槽
59 液面制御弁
64 固液分離装置,遠心分離機
68 固液分離槽
71 液封トラップ
76 液供給装置
80 液供給管先端部
81 L字型の管体
91、93 分析装置
100 火力発電所
109 排煙脱硝装置
119 煙道
121 煙道壁

Claims (8)

  1. 先端部側がガス流通路に挿入され前記ガス流通路内のガスを採取するガス採取管と、
    前記ガス採取管を所定の温度に保持するヒートパイプと、
    前記ガス採取管内に液を供給する液供給手段と、
    前記ガス採取管を介して採取される前記ガスと前記液供給手段を通じて供給される前記液との混合物を分離する気固液分離前処理装置と、
    前記ガス採取管と前記気固液分離前処理装置とを結ぶ導管と、を含み、
    前記ガスは、煤塵を含み、さらに温度が低下するとガスに含まれる一部の化合物が析出するガスであり、
    前記ガス採取管は、前記ヒートパイプにより前記化合物が析出しない温度領域と前記化合物が析出する温度領域とに区分けされ、
    前記液が、分析対象成分を吸収する吸収液、又は前記化合物を溶解させ、かつ分析対象成分を吸収しない洗浄液であり、
    前記液は、前記ガス採取管に対しては化合物が析出する温度領域にのみ供給されることを特徴とする分析試料採取装置。
  2. 前記ヒートパイプの作動流体の加熱源が、前記ガス流通路内を流通するガスであり、前記ヒートパイプの作動流体の冷却源が、前記ガス流通路外の大気であることを特徴とする請求項1に記載の分析試料採取装置。
  3. 前記導管は、内壁面に螺旋状の溝を有し又は内壁面に密接する螺旋状のコイルを有し、内部を流通する前記混合物に旋回流を与え、前記導管の内壁面に液膜を形成させることを特徴とする請求項1又は2に記載の分析試料採取装置。
  4. 前記ガスが、アンモニアを含むガスであり、前記分析対象成分がアンモニアであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の分析試料採取装置。
  5. 前記ガス流通路が、ボイラ排ガスを処理する排煙脱硝装置の出口部の煙道であり、前記ガス流通路内のガスが、前記煙道内のボイラ排ガスであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の分析試料採取装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の分析試料採取装置と、
    液中の分析対象成分を分析する分析装置と、を備え、
    前記液が、前記分析対象成分を吸収する吸収液であり、
    前記ガス採取管を介して一定流量のガスを連続的に採取しつつ、前記液供給手段を介して一定流量の前記吸収液を連続的に前記ガス採取管内に供給し、
    前記気固液分離前処理装置を用いて、前記混合物をガスと煤塵が除去された吸収液と煤塵が濃縮された吸収液とに分離し、
    前記分析装置は、前記気固液分離前処理装置で分離された、煤塵が除去された吸収液中の分析対象成分をオンラインで分析することを特徴とする採取試料分析装置。
  7. 前記気固液分離前処理装置は、前記混合物からガスを分離するガス分離装置と、
    前記ガス分離装置から送られる煤塵を含む吸収液を一時的に貯める吸収液貯槽と、
    前記吸収液貯槽の液位を制御する液面制御弁と、
    前記吸収液貯槽に連結し、煤塵を含む吸収液から煤塵のない吸収液と煤塵が濃縮された吸収液とに分離する遠心分離装置と、
    前記遠心分離装置から排出される煤塵が濃縮された吸収液から煤塵を分離する固液分離槽と、を含み、
    前記吸収液貯槽と前記遠心分離装置と前記固液分離槽とは連通し、
    前記液面制御弁は、前記固液分離槽からの吸収液の排出量を調整し、前記吸収液貯槽の液位を制御することを特徴とする請求項6に記載の採取試料分析装置。
  8. 請求項1から5のいずれか1項に記載の分析試料採取装置と、
    ガスに含まれる分析対象成分を分析する分析装置と、を備え、
    前記液が、前記化合物を溶解させ、かつ前記分析対象成分を吸収しない洗浄液であり、
    前記ガス採取管を介して一定流量のガスを連続的に採取しつつ、前記液供給手段を介して一定流量の前記洗浄液を連続的に前記ガス採取管内に供給し、
    前記気固液分離前処理装置を用いて、前記混合物を分析対象成分を含むガスと煤塵を含む洗浄液とに分離し、
    前記分析装置は、前記気固液分離前処理装置で分離された、分析対象成分を含むガス中の分析対象成分をオンラインで分析することを特徴とする採取試料分析装置。
JP2015027932A 2015-02-16 2015-02-16 分析試料採取装置及び採取試料分析装置 Active JP6575794B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015027932A JP6575794B2 (ja) 2015-02-16 2015-02-16 分析試料採取装置及び採取試料分析装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015027932A JP6575794B2 (ja) 2015-02-16 2015-02-16 分析試料採取装置及び採取試料分析装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016151445A JP2016151445A (ja) 2016-08-22
JP6575794B2 true JP6575794B2 (ja) 2019-09-18

Family

ID=56696439

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015027932A Active JP6575794B2 (ja) 2015-02-16 2015-02-16 分析試料採取装置及び採取試料分析装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6575794B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6951283B2 (ja) * 2018-03-30 2021-10-20 株式会社日立製作所 微粒子分析装置、微粒子分析システム及び洗浄方法
CN114720212B (zh) * 2022-06-08 2022-08-23 南京波瑞自动化科技有限公司 一种用于烟道内颗粒物浓度检测的可调速取样装置
CN116202810B (zh) * 2023-04-25 2023-07-11 山西地丘环境科技有限公司 一种生态环境地质勘察取样装置

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5619432A (en) * 1979-07-26 1981-02-24 Fuji Electric Co Ltd Exhaust gas sampler
JPS6049251B2 (ja) * 1979-12-30 1985-10-31 富士電機株式会社 排ガスサンプリングプロ−ブ
JPH08210954A (ja) * 1994-09-28 1996-08-20 Nisshin Steel Co Ltd 排ガス中のso3ガス採取方法及び装置と、so3濃度の 分析方法及び装置
JP4227711B2 (ja) * 1999-09-09 2009-02-18 東亜ディーケーケー株式会社 排ガス試料採取方法及び採取装置
JP3616876B2 (ja) * 2002-09-27 2005-02-02 中国電力株式会社 吸着性の高いガス成分を含む分析用排ガス採取方法
JP2005254157A (ja) * 2004-03-12 2005-09-22 Chugoku Electric Power Co Inc:The 脱塵装置、並びにそれを用いた脱硫装置及び排ガス処理システム
EP1736753B1 (en) * 2004-04-01 2013-09-25 The Chugoku Electric Power Co., Inc. Method for sampling flue gas for analysis containing gas component having high susceptibility to adsorption
US7964018B2 (en) * 2007-12-03 2011-06-21 Samsung Electronics Co., Ltd. Apparatus and method for collecting and detecting airborne particles
JP2010156592A (ja) * 2008-12-26 2010-07-15 Horiba Ltd 排ガスサンプリング装置
JP2013130444A (ja) * 2011-12-21 2013-07-04 Mitsubishi Heavy Ind Ltd ミスト含有ガス分析装置
WO2015059781A1 (ja) * 2013-10-23 2015-04-30 中国電力株式会社 分析試料採取装置及びその使用方法、採取試料分析装置及び採取試料分析方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016151445A (ja) 2016-08-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6575794B2 (ja) 分析試料採取装置及び採取試料分析装置
CA2803817C (en) Gas analysis device, mercury removal system, gas analysis method, and removal method for mercury in flue gas
CN106353457B (zh) 一种基于盐吸收的检测烟气so3的方法及系统
JP2010236877A (ja) 排ガス中のアンモニア濃度の測定装置、および測定方法
CN102419292A (zh) 烟气中so3测定系统
CN105181614B (zh) 三氧化硫分析仪器及方法
WO2005100947A1 (ja) 吸着性の高いガス成分を含む分析用排ガス採取方法
CN103471878A (zh) 一种用于湿法脱硫系统尾部烟气中so3的采样收集系统
CN109342284A (zh) 一种用于烟气中有害物质的检测系统及检测方法
JP5876614B2 (ja) 分析試料採取装置及びその使用方法、採取試料分析装置及び採取試料分析方法
JP2008190950A (ja) 試料中の酸化セレン除去方法と除去装置、およびこれを用いた石炭燃焼排気ガス中の水銀測定方法および測定装置
CN101046481B (zh) 试样处理装置及设有该装置的测定装置
CN106248442A (zh) 一种检测烟气中so3的方法及系统
JP3361994B2 (ja) アンモニア分析計
JP2010156592A (ja) 排ガスサンプリング装置
JP2008232741A (ja) 液体流量センサ、これを用いた清浄水供給システムおよび試料中の酸化セレン除去装置、およびこれらを用いた石炭燃焼排気ガス中の水銀測定装置
JP2007271460A (ja) 石炭燃焼排気ガス中の水銀測定方法および測定装置
CN202814766U (zh) 烟气预处理式电厂脱硝系统逃逸氨取样分析装置
JP2016166847A (ja) ガス採取装置
CN103134718A (zh) 烟气中气态总汞的监测系统及方法
CN109893916A (zh) 一种多管并联自由旋线除雾装置
CN209894557U (zh) 一种燃煤烟气中so3的二级采样系统
JP6641850B2 (ja) 排ガス採取装置
JP5466870B2 (ja) 水銀濃度の測定方法及び測定装置
CN205982241U (zh) 一种基于盐吸收的检测烟气so3的烟气反应装置及系统

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180207

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180822

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180912

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20190319

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190423

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20190424

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20190522

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190725

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190807

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6575794

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150