JP6575269B2 - 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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質量%で、
Si:1.7%超、3.3%以下、
Mn:0.08%以上、1.5%未満、
Al:0.1%以上、2.0%以下、
P:0.03%超、0.13%以下、
Sn:0.04%超、0.15%以下、
Cu:0.12%以下、
C:0.005%以下、
S:0.004%以下、
N:0.005%以下、
残部:Feおよび不純物であり、
下記式(1)および式(2)を満足し、φ2=0°断面のφ1=20°,Φ=15°の強度が5以上(好ましくは6以上)であることを特徴とする、無方向性電磁鋼板。
Si+2Al−Mn≧2 ・・・ 式(1)
ただし、式(1)において、SiはSiの質量%、AlはAlの質量%、MnはMnの質量%である。
B50ave/Bs≧0.81 ・・・ 式(2)
ただし、式(2)において、B50aveは、鋼板表面に平行でかつ、圧延方向に対して0°、22.5°、45°、67.5°、90°の角度の方向の各磁束密度B50をB50(0°)、B50(22.5°)、B50(45°)、B50(67.5°)、B50(90°)とした場合に下記式(3)で求められる値であり、Bsは飽和磁束密度である。
B50ave = [B50(0°)+2×{(B50(22.5°)+B50(45°)+B50(67.5°)}+B50(90°)]/8・・・ 式(3)
板厚が0.10〜0.15mmであることを特徴とする、[1]に記載の無方向性電磁鋼板
質量%で、
Si:1.7%超、3.3%以下、
Mn:0.08%以上、1.5%未満、
Al:0.1%以上、2.0%以下、
P:0.03%超、0.13%以下、
Sn:0.04%超、0.15%以下、
Cu:0.12%以下、
C:0.005%以下、
S:0.004%以下、
N:0.005%以下、
残部:Feおよび不純物であり、
下記式(1)を満足する鋼素材に熱間圧延を施す熱間圧延工程と、前記熱間圧延により得られた熱間圧延鋼板に焼鈍を施す熱延板焼鈍工程と、前記熱延板焼鈍工程により得られた鋼板に冷間圧延を施して所望の板厚に仕上げる冷間圧延工程と、前記冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板に仕上げ焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程とを有する[1]に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法において、
前記熱延板焼鈍工程において、950℃以上、1050℃以下で10秒以上、3分以下保持し、
前記冷間圧延工程を多パス圧延とし、1パス目の圧下率を30%以上、2パス目までの合計圧下率を55%以上とし、冷間圧延の合計圧下率を90%超、96%以下とし、
前記仕上げ焼鈍工程において、950℃以上、1050℃以下で10秒以上、120秒以下保持することを特徴とする、無方向性電磁鋼板の製造方法。
Si+2Al−Mn≧2 ・・・ 式(1)
ただし、式(1)において、SiはSiの質量%、AlはAlの質量%、MnはMnの質量%である。
前記熱延板焼鈍工程において、950℃以上、1050℃以下で10秒以上、3分以下保持した後に、800℃以上、920℃以下で10秒以上、2分以下保持する連続焼鈍を実施することを特徴とする、[3]に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
前記冷間圧延工程における仕上げ板厚を0.10〜0.15mmとすることを特徴とする、[3]または[4]のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
Siは、鋼の固有抵抗を増加させ、また、鉄損を低減する作用を呈する。この作用を得るためには、1.7%超が必要である。一方、Siが3.3%を超えると、鋼が脆化し、圧延性が低下する。好ましくは2.0%以上、3.2%以下である。
Mnは、鋼の固有抵抗を高め、また、硫化物を粗大化して無害化する作用を呈する。この作用を得るためには、0.08%以上が必要である。一方、Mnが1.5%を超えると、磁束密度の低下及びコストの上昇を招くとともに、冷延時に割れ易くなる。好ましくは0.1%以上、1.3%以下である。
Alは、脱酸剤として有効であり、更に、窒化物を粗大にして無害化することもできる。また、Siと同様に、鋼の固有抵抗を増加させ、鉄損を低減させる。これらの作用を得るためには、0.1%以上が必要である。しかし、2.0%を超えると、鋼が脆化し、圧延性が低下するばかりか、飽和磁束密度が低下する。好ましくは0.2%以上1.8%以下である。
Pは磁束密度を向上させる効果を有している。高磁束密度化効果を得る観点から、P含有量は0.03%超とする。一方、P含有量が0.13%超では、冷間圧延時に破断を生じる可能性がある。好ましくは0.04%以上0.12%以下である。
Snは、集合組織を改善して磁気特性を向上させる作用を有する。そのため0.04%超とする。好ましくは0.05%超である。一方、Snを過剰に含有させると冷間圧延での破断率が高まる。したがって、Sn含有量は0.15%以下とする。好ましくは0.14%以下である。
Cuは、鋼板の比抵抗を高めて鉄損を低減させる作用を有する。しかしながらCu含有量を制限して圧延母材の表面性状を改善することにより、薄手材の磁束密度をP、Snの複合添加によって向上させるために、0.12%以下とする。本発明において、Cuは任意元素であり、0%でもよい。好ましくは0.01%以上である。
Cは、不純物として含有され、磁気特性を劣化させる元素である。このため、C含有量は0.005%以下とする。本発明においてはCは0%でもよいが、過度のC含有量の低減はコスト増加につながるため、0.0005%以上が好ましい。
Sは、不純物として鋼中に含有される元素であり、鋼中のMnと結合して微細なMnSを形成し、焼鈍時の結晶粒の成長を阻害して磁気特性を劣化させることから、0.004%以下とする。好ましくは0.002%以下である。本発明においてはSは0%でもよいが、過度のS含有量の低減はコスト増加につながるため、0.0001%以上が好ましい。
Nは、不純物として含有され、Alなどと結合して微細な介在物を形成し、焼鈍時の結晶粒の成長を阻害して磁気特性を劣化させる元素である。したがって、N含有量は0.005%以下とする。Nは低ければ低いほど好ましいが、製造コスト増加につながるため下限は特に設けない。
不純物には、以上に例示したC、S、Nの他、製造工程において不可避的に混入する不純物が含まれる。
式(1)において、SiはSiの質量%、AlはAlの質量%、MnはMnの質量%である。フェライト−オーステナイト変態を有する鋼の場合、仕上げ焼鈍をフェライト域焼鈍とするために焼鈍温度が制約され、その結果、所望の鉄損レベルを確保することが困難な場合がある。そこで、フェライト−オーステナイト変態に対する指標としてSi+2×Al−Mnを採用し、変態を有しない鋼とするために、式(1)を満足させることとする。
式(2)において、B50aveは、鋼板表面に平行でかつ、圧延方向に対して0°、22.5°、45°、67.5°、90°の角度の方向の各磁束密度B50をB50(0°)、B50(22.5°)、B50(45°)、B50(67.5°)、B50(90°)とした場合に下記式(3)で求められる値であり、Bsは飽和磁束密度である。B50は、磁化力が5000[A/m]における磁束密度[T]を表す。
B50ave = [B50(0°)+2×{B50(22.5°)+B50(45°)+B50(67.5°)}+B50(90°)]/8・・・ 式(3)
板厚薄手材の磁束密度を向上する観点から、{111}面の低減のみならず{100}面あるいはそれに近い方位を発達させることが重要である。本発明の無方向性電磁鋼板では、磁束密度を向上させる方位として結晶方位分布関数(ODF)におけるφ2=0°断面のφ1=20°、Φ=15°の方位の発達が特徴であり、磁束密度を向上させる観点から、その強度(ランダム強度比)を5以上とする。好ましくは6以上である。ODFはX線回折法によって得られた極点図から解析されるものであり、{110}、{200}、{211}および{310}極点図を用いればよい。本発明の対象である板厚薄手材においては板厚方向の結晶方位分布は小さく、極点図を測定する位置は板厚の1/4位置とする。当該の方位が発達する理由は明確でないが、冷間圧延前の粒界に偏析したP,Snによって粒界での変形拘束力が変化することで冷間圧延時の不均一変形が助長された結果、仕上げ焼鈍の際に上記の方位が発達するものと推察される。
板厚薄手化により鉄損が減少する。そのため、低鉄損と高磁束密度を両立する観点から、板厚は0.10〜0.15mmとする。
表1に示す化学成分の鋼を溶製し、熱間圧延にて板厚2.0mmに仕上げた。その後、1000℃で40秒間保持した後に800℃で60秒保持する連続焼鈍型の熱延板焼鈍を施し、冷間圧延にて板厚0.15mmに仕上げた。その際、1パス目の圧下率を32%とし、2パス目までの合計圧下率を60%、合計圧下率を93%とした。その後、1000℃で30秒間保持する仕上げ焼鈍を施した。得られた無方向性電磁鋼板を55mm角の単板試験片に打ち抜き、単板磁気測定器にて磁束密度B50と鉄損W10/800(800Hzにて1.0Tに磁化した場合の鉄損)を測定するとともに、板厚1/4位置にてX線回折法により{110}、{200}、{211}および{310}極点図を測定し、ODFからφ2=0°断面のφ1=20°、Φ=15°の集積度(強度)を評価した。結果を表1に示す。下線は本発明で規定する範囲外を示す。
これらに対して、本発明で限定する条件を満足する鋼番号11〜22は磁気特性向上に好ましい集合組織が発達しており、鉄損、磁束密度とも優れていた。
表1の鋼番号10と19の熱延板(板厚2.3mm)に対し、(A)1000℃で40秒間保持する熱延板焼鈍、(B)1000℃で40秒間保持した後に800℃で90秒保持する連続焼鈍型の熱延板焼鈍、(C)900℃で40秒間保持する熱延板焼鈍、(D)950℃で5秒保持する熱延板焼鈍のいずれかを施した。その後、多パスの冷間圧延工程にて、1パス目の圧下率、2パス目までの合計圧下率、合計圧下率を変化させて板厚0.15〜0.35mmに仕上げた。得られた冷間圧延後の鋼板に1000℃で30秒間保持する仕上げ焼鈍を施した。試験番号2-12については900℃で10秒保持する仕上げ焼鈍、試験番号2-13については950℃で5秒保持する仕上げ焼鈍を施した。得られた無方向性電磁鋼板を55mm角の単板試験片に打ち抜き、単板磁気測定器にて磁束密度B50と鉄損W10/800(800Hzにて1.0Tに磁化した場合の鉄損)を測定するとともに、板厚1/4位置にてX線回折法により{110}、{200}、{211}および{310}極点図を測定し、ODFからφ2=0°断面のφ1=20°、Φ=15°の集積度を評価した。結果を表2に示す。
Claims (5)
- 質量%で、
Si:1.7%超、3.3%以下、
Mn:0.08%以上、1.5%未満、
Al:0.1%以上、2.0%以下、
P:0.03%超、0.13%以下、
Sn:0.04%超、0.15%以下、
Cu:0.12%以下、
C:0.005%以下、
S:0.004%以下、
N:0.005%以下、
残部:Feおよび不純物であり、
下記式(1)および式(2)を満足し、結晶方位分布関数におけるφ2=0°断面のφ1=20°,Φ=15°の強度が5以上であることを特徴とする、無方向性電磁鋼板。
Si+2Al−Mn≧2 ・・・ 式(1)
ただし、式(1)において、SiはSiの質量%、AlはAlの質量%、MnはMnの質量%である。
B50ave/Bs≧0.81 ・・・ 式(2)
ただし、式(2)において、B50aveは、鋼板表面に平行でかつ、圧延方向に対して0°、22.5°、45°、67.5°、90°の角度の方向の各磁束密度B50をB50(0°)、B50(22.5°)、B50(45°)、B50(67.5°)、B50(90°)とした場合に下記式(3)で求められる値であり、Bsは飽和磁束密度である。
B50ave = [B50(0°)+2×{B50(22.5°)+B50(45°)+B50(67.5°)}+B50(90°)]/8・・・ 式(3) - 板厚が0.10〜0.15mmであることを特徴とする、請求項1に記載の無方向性電磁鋼板
- 質量%で、
Si:1.7%超、3.3%以下、
Mn:0.08%以上、1.5%未満、
Al:0.1%以上、2.0%以下、
P:0.03%超、0.13%以下、
Sn:0.04%超、0.15%以下、
Cu:0.12%以下、
C:0.005%以下、
S:0.004%以下、
N:0.005%以下、
残部:Feおよび不純物であり、
下記式(1)を満足する鋼素材に熱間圧延を施す熱間圧延工程と、前記熱間圧延により得られた熱間圧延鋼板に焼鈍を施す熱延板焼鈍工程と、前記熱延板焼鈍工程により得られた鋼板に冷間圧延を施して所望の板厚に仕上げる冷間圧延工程と、前記冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板に仕上げ焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程とを有する請求項1に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法において、
前記熱延板焼鈍工程において、950℃以上、1050℃以下で10秒以上、3分以下保持し、
前記冷間圧延工程を多パス圧延とし、1パス目の圧下率を30%以上、2パス目までの合計圧下率を55%以上とし、冷間圧延の合計圧下率を90%超、96%以下とし、
前記仕上げ焼鈍工程において、950℃以上、1050℃以下で10秒以上、120秒以下保持することを特徴とする、無方向性電磁鋼板の製造方法。
Si+2Al−Mn≧2 ・・・ 式(1)
ただし、式(1)において、SiはSiの質量%、AlはAlの質量%、MnはMnの質量%である。 - 前記熱延板焼鈍工程において、950℃以上、1050℃以下で10秒以上、3分以下保持した後に、800℃以上、920℃以下で10秒以上、2分以下保持する連続焼鈍を実施することを特徴とする、請求項3に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
- 前記冷間圧延工程における仕上げ板厚を0.10〜0.15mmとすることを特徴とする、請求項3または4のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
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