JP6575011B2 - 自立性耐圧ボトル - Google Patents
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Description
また、耐圧ボトル110の底部111の中央に下方突出部112が配置してあるため、耐圧ボトル110が飲料の充填ラインのコンベアで搬送される際に、下方突出部112がライン上のアルカリ溶液に浸水して割れが発生し易いという問題もある。
前記底部が、その中央部に平面部が設けられ、この平面部の周囲に、下方へ突出した半球状の脚部が複数設けられた構成を有することを特徴とする。
なお、底部に設ける半球状の脚部は、ボトルが安定して自立するように、平面部の周囲に少なくとも三つ以上を設け、各々ボトル底部からの下方への突出幅を適宜に設定して、各脚部の先端を机上などの水平な接地面に接地させた状態で平面部が水平となるように設けることが好ましい。
脚部は、ボトルの自立性が保持されるのであれば、平面部の周囲に適宜な態様、例えば平面部の片側に複数、他側に一つ又は複数の脚部を設ける態様で配置可能であるが、底部全体に対して脚部が偏って配置されていると、自立性が不安定となって倒れやすくなるとともに、脚部を含む底部全面で肉厚が不均一となって賦形性も悪くなり、変形しやすく耐圧性が低下する。よって、半球状の脚部は、平面部の周囲であって、底部の投影面内におけるボトルに軸心Oを中心とした同一円周上に、複数の脚部が周方向に沿って、隣接した脚部との間隔が等間隔となるように配置することが好ましい。この場合、各脚部のボトル底部からの下方への突出幅を同じとすることで、ボトルを立たせた状態で平面部が水平となり、ボトルを安定して自立させることができる。
(関係式)a/b=1.5〜2.2
胴部の半径aと前記距離bとの比が前記関係式の数値範囲内であれば、飲料が充填されたボトルを、テーブル上などの接地面上に安定的に立たせておくことができる。
胴部の半径aと前記距離bとの比が、1.5より小さいと、底部の平面部の面積が大きくなって底部の中央部分の耐圧性が低下して変形を来し易くなり、また、2.2より大きく、脚部が底部の中央側に寄っていると、ボトルが倒れやすくなる。よって、前記比は1.5〜2.2の範囲であることが好ましく、1.6〜1.8であればより好ましい。
(関係式) a/d=5〜18
胴部の半径aと前記高さdとの比が前記関係式の数値範囲内であれば、飲料が充填されたボトルを安定的に立たせておくことができるとともに、飲料の充填ラインでアルカリ溶液が底部に接触する面積が小さくなり、割れの発生を抑えることができ、苛酷環境保管時にも底部が飛び出すことがなく、ボトルの自立性を保つことができる。
胴部の半径aと前記高さdとの比が、5より小さいと、脚部が長くなって成形不良を来たし易くなり、特に肉厚が不均一となって賦形性が悪化し、自立性が保てなくなる。また、18より大きいと、接地面と底部の距離が近くなって、苛酷環境保管時にボトルの底部が飛び出したときに、その飛び出した部分が接地面に当たって自立性が保てなくなることがある。よって、前記比は5〜18の範囲であることが好ましく、7〜11であればより好ましい。
(関係式) R3<R2<R1
底部の起点部から脚部及び平面部に至る外周面が、前記各曲率半径の湾曲面を連ねて形成されていれば、成形性が良く、また、胴部から脚部に至る外観がすっきりとした見栄えの良いものとなる。
ボトルを、その全長を182mm〜300mm、胴部内径を106mm程度の寸法に設定し、満注容量が1L〜2Lの大きさに形成する場合、前記脚部の接地面から底部中央に設けられた平面部までの高さdを3mm〜10mmに設定するとともに、前記各曲率半径をR1が35mm〜45mm、R2が20mm〜45mm、R3が5mm〜15mmの範囲内に設定すれば、成形性が良くボトルの見栄えも良好なものとなり、且つ耐圧性能も良好なものとなる。
さらに、ボトルの底部の耐圧性を高めるとともに凹みなどの成形不良の発生を抑制するため、底部の中央の平面部内に、ボトルの軸心Oを中心とする円形の肉厚部が形成されていることが好ましい。
各脚部の外側面が面する位置の金型に点状にエアースリットが入っていれば、脚部の賦形性が良好となって各脚部の厚みが均等に揃えられ、脚部の高さに差が出るようなことはなく、脚部の高さの違いによって立てたボトルがぐらつくなどの自立性不良の発生を抑止することができる。金型に設けるエアースリットは、各脚部の半球状の頂点を中心とし、この中心点とその周囲に等間隔開けた複数点とに配置されていることが好ましい。
なかでも、ボトル内面にダイヤモンドライクカーボン(以下、「DLC」という。)などの炭素を含む薄膜をコーティングしてガスバリア性を高めることで、ボトルに充填されるビールなどの炭酸ガスが溶け込んだ飲料の品質劣化を抑制し、適正な品質を保って保管したり運搬したりすることができる。
ボトル内面へのDLC成膜は、公知のプラズマ化学蒸着技術によって行うことができる。成膜は、ボトル内部の全面に均等に、且つ密着性良く行うことが肝要であり、酸素透過率が0.010cc/pkg/day/air以下であることが望ましい。
図1と図2は本発明の一実施形態の自立性耐圧ボトルの外観と底面を、図5は六面外観を各々示しており、図示されたボトル1は、ポリエステル系樹脂からなるパリソンを二軸延伸ブロー成形してなる、口栓部2、肩部3、胴部4及び底部5を備えたプラスチックボトルであり、その全長(ボトルの高さ)を182mm程度、胴部4の内径を106mm程度の大きさに設けて、内部に1Lの飲料を充填して密封包装することができるように形成してある。
図2において、各半球状の脚部52の湾曲する部分の輪郭を二本の細線で囲って示してあるが、各脚部52は隣接する脚部52同士で湾曲面が交差することなく、所定の間隔を開けて底部5の表面から下方へ独立して突出した形状に設けてある。
また、各脚部52の外周面には、成形時に各脚部52の外側面が面する位置の金型に形成された点状エアースリットの跡である点状の凸部52aが脚部52の半球状の頂点と、これを中心とした周囲とに五つ配置して形成してある。
また、各脚部52は、胴部4の半径aと、脚部5の接地面(最下点)から平面部51までの高さdの比(a/d)が、5〜18の範囲(a/d=5〜18)となるように設けてある。
さらに、図4に示されるように、胴部4の肉厚t1は0.2mm〜0.5mm、底部5の平面部51の肉厚t2は1.3mm〜3.2mm、脚部52の接地面の肉厚t3は0.3mm〜1.0mmの範囲内に設定してある。また、底部5の平面部51には、その中央にボトル1の軸心Oを中心とする円形の肉厚部51aを設けて、その周囲の平面部51の肉厚t2よりも厚くしてある。
図1に示された形状のボトルを成形し、その内面にDLC被膜をコーティングして、1L用の自立性耐圧ボトル1を作製した。
ボトル1の成形寸法は、全長が182mm、胴部4の内径を106mm、脚部52の高さdを5.6mm、底部起点部5aから脚部52と平面部51に連なる湾曲面の曲率半径が曲率半径R1を40mm、R2を30mm、R3を8mmとし、また、胴部4の肉厚t1を0.2mm〜0.5mm、平面部51の肉厚t2を2.2mm、脚部52の接地面の肉厚t3を0.8mmに設定した。
このボトル1の底部5は、その中央部に平坦な平面部51が配置されており、ボトルの外方へ突出する突起はない。
図6に示された形状のボトルを成形し、その内面にDLC被膜をコーティングして、2L用の自立性耐圧ボトル1を作製した。
ボトル1の成形寸法は、全長が300mm、胴部4の肉厚t1を0.3mm〜0.4mm、平面部51の肉厚t2を1.9mm、脚部52の接地面の肉厚t3を0.5mmに設定する以外、実施例1の各部の寸法と同じに設定した。
このボトル1の底部5も、その中央部に平坦な平面部51が配置されており、ボトルの外方へ突出する突起はない。
実施例1と同じ成形寸法のボトルであって、内面にDLC被膜はコーティングされていない自立性耐圧ボトルを作製した。
実施例2と同じ成形寸法のボトルであって、内面にDLC被膜はコーティングされていない自立性耐圧ボトルを作製した。
図7に示された、略半球状基礎ベースを輪郭に独立した複数の脚形状を有する、1L用の自立性耐圧ボトルを作製した。
ボトルの成形寸法は、全長が182mm、胴部の内径が106mmと実施例1と同じであるが、ボトルの底部の中央部分は、実施例1と異なり、下方へ突出した湾曲形状に形成した。このボトルの内面には、DLC被膜はコーティングされていない。
図8に示された、底部をペタロイド形状に設けるとともに、底部中央に下方へ突出した突起部を配置した、400ml用の自立性耐圧ボトルを作製した。
ボトルの成形寸法は、全長を205mm、胴部の内径を66mmに設定した。このボトルの内面には、DLC被膜はコーティングされていない。
自立性耐圧ボトルに、3ガスボリュームの炭酸水をボトル天面の下方40mmの高さに達するまで充填するとともにキャップをして密封し、その状態で、底部に凹んだり突出したりする形状の変化があるか否かを、底部の外観を目視により確認した。
自立性耐圧ボトルに、3ガスボリュームの炭酸水をボトル天面の下方40mmの高さに達するまで充填するとともにキャップをして密封し、これを38℃60%RHの苛酷環境下で一週間保管した後、底部に凹んだり突出したりする形状の変化があるか否かを、底部の外観を目視により確認した。
前記項目1と同様に自立性耐圧ボトルに炭酸水を充填するとともにキャップをして密封し、これを、自立方向から徐々に傾けることが可能な治具に設置し、自立性耐圧ボトルが倒れるときの傾き角度を測定した。
前記項目1と同様に自立性耐圧ボトルに炭酸水を充填するとともにキャップをして密封し、これを、0.9mの高さから、ボトルの底部側を下向けて垂直に落下させ、底部の割れ発生の有無を目視で確認した。
前記項目1と同様に自立性耐圧ボトルに炭酸水を充填するとともにキャップをして密封し、これを、0.2%の水酸化ナトリウム水溶液(深さ20mm)中に立たせて15分間浸水した後、底部の変形及び割れの有無を目視で確認した。
ボトルの内面に黒色インキでマスキングを行い、DLC成膜後にジエチルエーテルでマスキングを除去し、高精度微細形状測定器(ET4000A:小坂研究所社製)を用いて成膜段差形状測定から膜厚を求めた。
製作した自立性耐圧ボトルの酸素透過率を測定した。測定は、酸素透過率測定装置(Oxtran:Modern Contorl社製、単位cc/pkg/day/air)を用い、23℃、相対湿度50%の条件下で行なった。
また、未コーティングボトルに対する改善率をBIF(Barrier Improvemennt Factor)として算出した。
前記項目1と同様に自立性耐圧ボトルに炭酸水を充填するとともにキャップをして密封し、この状態の炭酸ガスボリュームを測定した。
測定は、ガスボリュームテスター(DGV−1;ビクスル社製)を用いて行い、炭酸水充填直後に測定したガスボリュームをA、38℃60%RHに一週間保管後に測定したガスボリュームをBとし、算出式(B/A×100)にて保持率を導出することで行なった。
実施例1,2における自立性耐圧ボトル1は、炭酸水の充填後及び保管後において、底部が接地面の向きへ飛び出るような変形は発生せず、良好な耐圧性を備えていることが確認できた。また、自立性が良好で、底部の剛性も高いとともにアルカリ水溶液に対する耐性も高いことが確認できた。さらに、内面にDLCコーティングを施していない実施例3,4と比較して、酸素透過率(BIF)が10倍以上あり、また、炭酸ガス保持率が95%以上あることにより、実施例1,2のボトルは耐圧性能を有するボトル形状であるとともに、高い酸素バリア性及び炭酸ガス保持性能を具備していることが確認できた。
実施例3,4のボトルは、炭酸水の充填後及び保管後において、底部が接地面の向きへ飛び出るような変形は発生せず、またアルカリ水溶液に対する耐性も高かった。
比較例1のボトルは、炭酸水の充填後の保管により底部が接地面の向きへ飛び出す変形が発生し、自立性が損なわれる結果となった。
また、比較例2のボトルでは、底部が接地面の向きに飛び出す変形は生じなかったが、アルカリ溶液浸水時に底部の割れが発生した。
Claims (5)
- 口栓部と肩部と胴部と底部とを備えた自立性耐圧ボトルにおいて、
前記底部の中央部に平面部が設けられ、
この平面部の周囲に、下方へ突出した半球状の脚部が複数設けられ、
底部の起点部から前記脚部及び平面部に至る外周面が、
底部の起点部の輪郭の曲率半径R1、脚部の輪郭の外側部分の曲率半径R2及び内側部分の曲率半径R3の湾曲面を連ねて形成され、前記脚部の周面は前記曲率半径R3の湾曲面を介して前記平面部に繋がっており、
前記R1はボトルの外方へ、R2及びR3はボトルの内方へ、それぞれ湾曲した曲率半径であり、これらが以下の関係式を満たすように設けられた構成を有することを特徴とする自立性耐圧ボトル。
(関係式) R3<R2<R1 - 複数の脚部は、各脚部の湾曲面が隣接する脚部同士で交差しない配置に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の自立性耐圧ボトル。
- ボトルの軸心Oから胴部の内面までの胴部の半径aと、半球状の脚部の輪郭の半径を規定する中心点cとボトルの軸心Oの間の距離bが、以下の関係式を満たすように設けられた構成を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の自立性耐圧ボトル。
(関係式)a/b=1.5〜2.2 - 胴部の半径aと、脚部の接地面から底部中央に設けられた平面部までの高さdが、以下の関係式を満たすように設けられた構成を有することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の自立性耐圧ボトル。
(関係式)a/d=5〜18 - 各脚部の外周面であって、それぞれの脚部の半球状の頂点とこれを中心とした周囲の等間隔開けた位置に点状の凸部が設けられた構成を有することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の自立性耐圧ボトル。
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