JP6573512B2 - グロープラグ - Google Patents
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Description
A−1.グロープラグの構成:
図1は、本発明の一実施形態としてのグロープラグの概略構成を示す断面図である。図1では、グロープラグ100の軸線OLを一点鎖線で示している。また、図1では、軸線OLと平行にX軸が設定され、また、X軸とそれぞれ直交するようにY軸およびZ軸が設定されている。以降の説明では、グロープラグ100において、後述するセラミックヒータ30が配置されている側(−X方向側)を「先端側」と呼び、後述する収容部材90が配置されている側(+X方向側)を「後端側」と呼ぶ。
温度測定用導電体36の配置位置について、図6ないし図8、および上述の図2を用いて詳細に説明する。
図11は、中軸40の共振振動を模式的に示す説明図である。図11では、図1から符号の一部を省略している。グロープラグ100が軸線方向と垂直な方向の振動を受けた場合、中軸40は、或る特定の周波数で共振振動する。例えば、図11において太い破線で示すように共振振動する。このとき、中軸40の基部46に限らず、弾性部材80よりも後端側に位置して収容部材90に収容されている端子部44も振動する。グロープラグ100が振動を受けた際には、主体金具10に固定されている収容部材90も振動することとなる。ここで、収容部材90の共振周波数と、中軸40の共振周波数は互いに異なるので、収容部材90に固定されると共に中軸40の端子部44と接合されている外部コネクタには機械的負荷が掛かる。同様に、収容部材90および端子部44にも機械的負荷が掛かる。
上述の構成を有するグロープラグ100は、例えば以下のような工程を経て製造される。まず、プレス成形や射出成形などの成形方法により成形した基体31の半割体に、射出成形により成形した発熱体32および温度測定用導電体36をそれぞれ所定位置に配置し、さらにプレス成形や射出成形などの成形方法により、基体31の残りの半割り部分を成形する。本実施形態において上述の「成形した発熱体32」とは、射出成形により成形した2つのリード部33a,33bの成形体および、同じく射出成形により形成した連結部35の成形体を意味する。そして、得られた成形体に対して焼成および研削加工を行なうことにより、セラミックヒータ30を得る。次に、中軸用リング50と導通部材用リング70とにセラミックヒータ30を圧入すると共に、セラミックヒータ30の外周に外筒20を圧入によって組み付ける。さらに、中軸40を中軸用リング50に圧入後レーザ溶接で固定し、中軸40のうち弾性部材80の主孔82に挿入される部分よりも先端側の外周面と、中軸リング50の外周面とを、絶縁フィルム110で覆う。そして、導通部材用リング70と導通部材60とをレーザ溶接で固定する。これらの組み付け部材を主体金具10の軸孔18に挿入し、主体金具10と外筒20とを溶接する。その後、主体金具10の後端側から弾性部材80を挿入する。この際、挿入を容易にするために、弾性部材80の主孔82、副孔84、および主体金具10との接触面に、シリコンオイルなどの絶縁性耐熱オイルを塗布してもよい。そして、収容部材90によって弾性部材80を軸線OLに沿って圧縮した状態で、収容部材90を主体金具10に固定する。以上により、グロープラグ100が得られる。
上述のグロープラグ100における、発熱体32に対する温度測定用導電体36の相対位置のずれによる温度測定の精度低下の抑制効果を確認するため、実際にグロープラグ100を製造し、かかるグロープラグ100を用いた温度測定の実験を行なった。具体的には、温度測定用導電体36を基準位置に配置してグロープラグ100を製造すると共に、かかる基準位置からずれた位置に温度測定用導電体36を配置してグロープラグ100を2つ製造した。これら合計3つのグロープラグ100に対して、それぞれセラミックヒータ30が1200℃になるような電圧を発熱体32に印加した状態で、温度測定用導電体36に50Vを印加して、温度測定用導電体36を流れる電流を測定し、かかる電流値から基体31の抵抗値を求めた。そして、基準位置に温度測定用導電体36を配置したグロープラグ100の抵抗値と、基準位置からずれた位置に温度測定用導電体36を配置した2つのグロープラグ100の抵抗値との差に基づき、温度測定の精度を評価した。
図13は、第2実施形態のグロープラグにおける連結部近傍の構成を拡大して示す部分拡大図である。図14は、第2実施形態のグロープラグにおける温度測定用導電体の配置位置を示す第1の説明図である。図15は、第2実施形態のグロープラグにおける温度測定用導電体の配置位置を示す第2の説明図である。図14では、第2実施形態のグロープラグにおいて、図1に示す第1実施形態のグロープラグ100におけるA−A断面と同様な位置での断面、すなわち、セラミックヒータ30の断面を示している。図15では、第2実施形態の温度測定用導電体36a、特に通電部37aの先端側の射影と、発熱体32の先端側の射影と、基体31の先端側の射影とを示している。図15における射影を得るための投影は、上述した第1実施形態において、図8に示す射影を得るための投影と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
図16は、第3実施形態のグロープラグにおける連結部近傍の構成を拡大して示す部分拡大図である。第3実施形態のグロープラグは、発熱体32に代えて発熱体32aを備える点において、第1実施形態のグロープラグ100と異なる。第3実施形態のグロープラグにおける他の構成要素は、第1実施形態のグロープラグ100の構成要素と同じであるので、同じ構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。図16の下方左側は、上方中央に示す領域AR3を拡大して表している。
D−1.変形例1:
各実施形態において、第1の仮想面への温度測定用導電体36,36aの射影は、いずれも外側輪郭領域AR1の内部に配置されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、温度測定用導電体36,36aの位置がY軸方向に平行にずれて、外側輪郭領域AR1の輪郭の一部が、温度測定用導電体36,36aの射影内部に位置してもよい。この構成では、温度測定用導電体36,36aの一部は、外側輪郭領域AR1の内部に位置するが、その他の部分は、外側輪郭領域AR1の外に位置する。また、温度測定用導電体36,36aの射影と、外側輪郭領域AR1とで、互いに輪郭の一部のみが重なり、他の部分は重ならない構成であってもよい。すなわち、一般には、温度測定用導電体36,36aの射影の少なくとも先端側の一部が外側輪郭領域AR1に重なるように、温度測定用導電体36,36aを配置してもよい。また、上述の各構成からも理解できるように、各実施形態では、通電部37,37aの射影のすべてが、外側輪郭領域AR1および内側輪郭領域AR2の内部に位置していたが、通電部37,37aの射影の少なくとも一部が、外側輪郭領域AR1または内側輪郭領域AR2と重ならなくても良い。
第1,2実施形態では、発熱体32は、一対のリード部33a,33bの成形体と、連結部35の成形体との合計2つの成形体により構成されていた。また、第3実施形態では、発熱体32aは、1つの成形体により構成されていた。しかしながら、本発明は、これら実施形態に限定されず、発熱体は、3つ以上の任意の数の成形体により構成されてもよい。例えば、第1,2実施形態における連結部35に相当する部分が、2つの成形体により構成されてもよい。この場合、最も先端側に位置する成形体が、本発明における連結部に相当する。したがって、かかる構成を第1実施形態に適用した場合、温度測定用導電体36の先端、すなわち、通電部37の先端(図2に示す先端371)の射影が、上述の最先端の成形体の射影の後端よりも先端側に位置し、且つ、最先端の成形体の射影に重ならないように、温度測定用導電体36が配置されることとなる。また、上記構成を第2実施形態に適用した場合、温度測定用導電体36a(通電部37a)の射影における先端371aが、最先端の成形体の射影における内側の輪郭に対して軸線方向に沿ってより先端側に位置するように、温度測定用導電体36aが配置されることとなる。
第2実施形態において、温度測定用導電体36a(通電部37a)の先端371aの射影は、連結部35の射影における内側の輪郭に対して、軸線方向に沿ってより先端側に位置していたが、本発明は、これに限定されない。かかる先端371aの射影は、連結部35の射影における内側の輪郭と一致してもよい。かかる構成においても、第2実施形態と同様な効果を奏する。
上記実施形態において、弾性部材80と収容部材90とは、軸線OLに沿った方向に互いに接触して配置されていたが、軸線OLに沿った方向に代えて、または軸線OLに沿った方向に加えて、径方向に互いに接触して配置されていてもよい。換言すると、弾性部材80の後端側の端面は、収容部材90の先端側の端面よりも後端側に位置していてもよい。また、弾性部材80と収容部材90とは、互いに離間して配置されていてもよい。このような構成によっても、実施形態のグロープラグ100と同様な効果を奏する。
上記実施形態において、弾性部材80は、収容部材90によって軸線OLに沿って押圧されることにより圧縮されていたが、他の部材によって圧縮されていてもよい。例えば、弾性部材80と収容部材90とが互いに接触しない構成においては、グロープラグの後端近傍に配置された図示しない他の部材と、主体金具10とによって、弾性部材80が軸線OLに沿って圧縮されていてもよい。すなわち、一般には、弾性部材80は、軸線OLに沿って圧縮されて配置されていてもよい。また、軸線OLに沿った方向における弾性部材80の圧縮は、省略されてもよい。このような構成によっても、実施形態のグロープラグ100と同様な効果を奏する。
上記実施形態において、軸線OLに沿った弾性部材80の長さは、中軸40の基部46の径方向の長さと等しかったが、本発明はこれに限定されるものではない。軸線OLに沿った弾性部材80の長さは、中軸40の基部46の径方向の長さよりも長くてもよく、短くてもよい。このような構成によっても、実施形態のグロープラグ100と同様な効果を奏する。
第1,3実施形態のグロープラグ100において、温度測定用導電体36,36aは、グロープラグ100(セラミックヒータ30)の温度検出に用いられていた。また、第2実施形態のグロープラグでは、上記温度測定に加えて、イオン電流値の検出に用いられていた。しかしながら、本発明は、これに限定されない。温度測定用導電体36,36aは、上述の温度測定に加えて、例えば、セラミックヒータ30の異常等の推定や燃料室の圧力検出など、グロープラグ100またはセラミックヒータ30の状態、若しくは、グロープラグ100またはセラミックヒータ30の設置環境に関連する指標値を検出(センシング)するために用いられてもよい。
上記実施形態のグロープラグ100は、ディーゼルエンジン等の内燃機関のシリンダヘッドに装着されて用いられていたが、例えば、バーナシステム等の可燃性ガスの着火源として用いられてもよい。
上記実施形態におけるグロープラグ100の構成はあくまでも一例であり、種々変更可能である。例えば、発熱体32,32aと中軸40とは、セラミックヒータ30と中軸40とが中軸用リング50によって物理的に接続されることによって電気的に接続されていたが、他の部材を介して電気的に接続されていてもよい。また、セラミックヒータ30と中軸40とは、直接固定されていてもよい。また、例えば、温度測定用導電体36,36aと導通部材60とは、導通部材用リング70によって電気的に接続されていたが、剛体の他の部材を介して電気的に接続されていてもよく、直接固定されていてもよい。また、例えば、グロープラグ100は1つの弾性部材80を備えていたが、軸線OLに沿って互いに並んで配置される複数の弾性部材80を備えていてもよい。また、例えば、弾性部材80は、単一の部材により形成されていたが、複数の部材により形成されていてもよい。また、例えば、導通部材60の接続部64および弾性部材80の副孔84は、半円弧状の断面形状を有していたが、それぞれ直線状等の任意の断面形状を有していてもよい。このような構成によっても、実施形態のグロープラグ100と同様な効果を奏する。
12…雄ねじ部
14…工具係合部
16…加締部
18…軸孔
20…外筒
30…セラミックヒータ
31…基体
32,32a…発熱体
33a…第1のリード部
33b…第2のリード部
33c…第1のリード部
33d…第2のリード部
34a,34b…電極取出部
35,35a…連結部
36,36a…温度測定用導電体
37,37a…通電部
38…電極取出部
40…中軸
42…小径部
44…端子部
46…基部
50…中軸用リング
60…導通部材
62…リング部
64…接続部
66…導電体端子部
70…導電部材用リング
72…突出部
80…弾性部材
82…主孔
84…副孔
90…収容部材
91…軸孔
100…グロープラグ
110…絶縁フィルム
132…発熱体
133a,133b…リード部
135…連結部
136…温度測定用導電体
351,352…境界
371,371a…先端
AR1…外側輪郭領域
AR11…領域
AR12…領域
AR2…内側輪郭領域
AR21…領域
AR3…領域
BE,BEa…後端
L1,L2…直線
OL…軸線
d1a,d1b,d1c,d2a,d2b,d2c…距離
Claims (5)
- 軸線に沿って延びる軸孔が形成されている筒状の主体金具と、
センシング用導電体と、通電によって発熱する発熱体と、を有し、前記センシング用導電体および前記発熱体を互いに隔離した状態で自身の内部に埋設して保持すると共に、自身の先端部が前記主体金具から突出した状態で前記軸孔に配置されているセラミックヒータと、
前記軸線に沿って延び、前記軸孔内に配置され、前記セラミックヒータと直接または剛体の他部材を介して固定されている剛体の中軸であって、
前記発熱体と電気的に接続され、外部からの電流を前記発熱体に導通する中軸と、
前記軸線と平行に延び、前記軸孔内に配置され、前記センシング用導電体と電気的に接続されている導通部材と、
を備えるグロープラグであって、
前記導通部材は、剛体であり、且つ、前記中軸と離間してなり、
前記軸孔内に配置され、前記中軸と前記導通部材とが前記軸線と平行な方向に貫通して配置されている弾性部材と、
前記主体金具の後端側に連結され、前記中軸のうち前記弾性部材よりも後端側に位置する中軸後端部と、前記導通部材のうち前記弾性部材よりも後端側に位置する導通部材後端部と、を収容する筒状の収容部材と、
をさらに備えることを特徴とする、グロープラグ。 - 請求項1に記載のグロープラグであって、
前記弾性部材と前記収容部材とは、互いに接触して配置されていることを特徴とする、グロープラグ。 - 請求項1または請求項2に記載のグロープラグであって、
前記弾性部材は、前記軸線に沿って圧縮して配置されていることを特徴とする、グロープラグ。 - 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のグロープラグであって、
前記センシング用導電体は、前記セラミックヒータの状態または前記セラミックヒータの設置環境に関連する指標値を検知するために用いられることを特徴とする、グロープラグ。 - 請求項4に記載のグロープラグであって、
前記センシング用導電体は、前記セラミックヒータの温度を推定する機能、または、前記セラミックヒータが設置されている燃焼室内に発生したイオンに基づくイオン電流値を検出する機能を有することを特徴とする、グロープラグ。
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