以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、理解を容易にするために図示を省略または簡略化した部分があり、また、各部の寸法比は必ずしも正確なものではない。
図1は、本実施形態に係る土壌水分測定装置1の使用状態を示した概略図である。同図に示されるように、土壌水分測定装置1は、土壌100中に挿入される挿入部10と、挿入部10に接続される本体部20と、を備えている。挿入部10は、土壌100中に差し込みやすいように略棒状に構成されており、挿入方向に沿って配列された複数の水分検出部30を備えている。
この水分検出部30は、土壌100と接触して土壌水分張力(pF値)を測定するものである。水分検出部30は、例えば素焼きの陶磁器等の多孔質の素材からなる筒状(円筒状)の多孔質部30aと、多孔質部30aを介して周囲の土壌100と連通する空間である測定空間30bと、を有している。すなわち、水分検出部30は、測定空間30b内に封入された水が多孔質部30aを介して周囲の土壌に吸引されることに伴う測定空間30b内の圧力変化から土壌水分張力を測定するテンシオメータから構成されている。
本実施形態では、多孔質部30aを筒状に構成することで、複数の水分検出部30を挿入方向に沿って挿入部10に配列することを可能としている。そして、本実施形態では、このように複数の水分検出部30を挿入方向に沿って配列することで、土壌100中の異なる深さの地点における土壌水分張力を測定することを可能としている。具体的に図1に示す例では、挿入部10に6つの水分検出部30を設けることで、地面101からの深さがD1〜D6となる6箇所の測定位置における土壌水分張力を測定することを可能としている。
このように、深さ方向の複数の測定位置における土壌水分張力を測定することで、土壌100における土壌水分張力の深さ方向の分布を求めることが可能となる。また、深さ方向の複数の測定位置における測定値の例えば平均値を求めることで、局所的な外乱等の影響を排除し、土壌100における土壌水分張力をより高精度に把握することが可能となる。すなわち、本実施形態では、土壌水分についてより多面的な測定を行うことが可能であり、より多彩な視点から土壌水分および土壌そのものを評価することが可能となっている。
水分検出部30は、単独で土壌水分張力を測定可能な1つのテンシオメータユニットとして構成されている。さらに本実施形態では、水分検出部30を互いに連結可能に構成することで、互いに連結された複数の水分検出部30をそのまま挿入部10の一部として使用すると共に、連結する水分検出部30の個数を変更するだけで容易に測定位置の数を変更可能としている。
なお、本実施形態では、先端部材40を最も先端側の水分検出部30に連結することで、最も先端側の水分検出部30を適切に保護すると共に、先端部材40の先端を適宜に尖らせることで、挿入部10の土壌100中への挿入を容易にしている。また、本実施形態では、本体部20を直接水分検出部30と連結可能に構成することで、土壌水分測定装置1を簡潔に構成すると共に、土壌水分測定装置1の組み立ておよび取り扱いを容易にしている。
図2は、水分検出部30の構成を示した概略断面図である。また、図3(a)は、図2におけるA−A線断面図であり、図3(b)は、図3(a)におけるB−B線断面図である。これらの図に示されるように、水分検出部30は、測定空間30bを形成する中間部材31、先端側蓋部材32および基端側蓋部材33と、測定空間30b内を貫通する貫通部材34と、を備えている。水分検出部30はまた、測定空間30b内の圧力を測定するための圧力検出器35と、測定空間30b内に封入された水が所定の量まで減少したことを検出するための水量検出器36と、これらの検出器を含む水分検出部30全体を制御する測定制御部37と、水分検出部30を隣接する水分検出部30または本体部20と電気的に接続するためのケーブル38と、を備えている。
中間部材31は、素焼きの陶磁器等の適宜のセラミックスから構成され、挿入部10の挿入方向を軸方向(図2の上下方向)とする段付き円筒状の部材である。中間部材31の軸方向の両端部は、それぞれ先端側蓋部材32および基端側蓋部材33内に挿入される小径部31a、31bとなっている。そして、2つの小径部31a、31bの間の大径部31cは、外部に露出して筒状の多孔質部30aを構成する部分となっている。
先端側蓋部材32および基端側蓋部材33は、適宜の強度および合成を有する金属または樹脂等から構成され、挿入部10の挿入方向を軸方向とする略円柱状の部材である。先端側蓋部材32および基端側蓋部材33は、円筒状の中間部材31の両端の開口を塞ぐことによって測定空間30bを形成する。さらに、本実施形態では、先端側蓋部材32に先端側連結部30cを設け、基端側蓋部材33に基端側連結部30dを設けることで、水分検出部30同士を互いに連結可能としている。
先端側蓋部材32の先端側(図2の下側)には、測定制御部37を収容するための制御用凹部32aが設けられ、基端側(図2の上側)には、中間部材31の小径部31aを収容して中間部材31を接続するための接続用凹部32bが設けられている。また、制御用凹部32aの底部32a1には、圧力検出器35を収容するための圧力検出用凹部32cと、水量検出器36を収容するための水量検出用凹部32dと、が設けられている。さらに、制御用凹部32aの底部32a1と接続用凹部32bの底部32b1の間には、貫通部材34を固定するための固定用孔32eが設けられている。また、接続用凹部32bの底部32b1の水量検出用凹部32dに対応する位置には、水量検出器36を圧力検出器35よりも基端側(上側)に配置するための凸部32fが設けられている。
また、先端側蓋部材32の先端側端部には、先端側連結部30cが設けられている。先端側連結部30cは、先端側蓋部材32の他の部分よりも小径に構成されると共に、その外周面には雄ねじ30c1が形成されている。
基端側蓋部材33の先端側(図2の下側)には、中間部材31の小径部31bを収容して中間部材31を固定するための接続用凹部33aが設けられ、基端側(図2の上側)には、基端側連結部30dを備える連結用凹部33bが設けられている。さらに、接続用凹部33aの底部33a1と連結用凹部33bの底部33b1の間には、測定空間30b内に水を供給するための供給用孔33cと、貫通部材34を固定するための固定用孔33dが設けられている。供給用孔33cの内周面には、雌ねじ33c1が形成されており、ねじ33eによって供給用孔33cに栓がされるように構成されている。
基端側連結部30dは、基端側蓋部材33の基端側端部となる連結用凹部33bの開口側に設けられている。基端側連結部30dは、連結される先端側連結部30cを収容すべく連結用凹部33bの他の部分よりも大径に構成されると共に、その内周面には先端側連結部30cの雄ねじ30c1と螺合する雌ねじ30d1が形成されている。
貫通部材34は、適宜の強度および合成を有する金属または樹脂等から構成された段付き円筒状の部材である。貫通部材34は、両端の小径部34a、34bが先端側蓋部材32および基端側蓋部材33の固定用孔32e、33d内に挿入されることで先端側蓋部材32および基端側蓋部材33の間に固定されている。従って、貫通部材34は、挿入部10の挿入方向を軸方向として測定空間30b内を貫通するように配置されており、先端側蓋部材32の制御用凹部32aおよび基端側蓋部材33の連結用凹部33bを連通する部材となっている。
本実施形態では、貫通部材34をこのように設け、貫通部材34内にケーブル38を通すことで、土壌水分張力の測定精度に影響を及ぼすことなく、水分検出部30の先端側から基端側にかけてケーブル38を配置することを可能としている。すなわち、貫通部材34をこのように設けることで、測定空間30bの密閉性を確保しつつ、ケーブル38を適切に保護した状態で配置することが可能となる。また、ケーブル38を測定空間30bの内部に通すことで、筒状の多孔質部30aの全周を周囲の土壌100と適切に接触させることが可能となる。
また、本実施形態では、貫通部材34をこのように設けることで、貫通部材34を補強部材として兼用することを可能としている。すなわち、先端側蓋部材32および基端側蓋部材33を貫通部材34によって接続することで、セラミックス等の脆性材料からなる中間部材31に過度な応力が加わらないようにしている。なお、本実施形態では、中間部材31および測定空間30bの中心軸Cに対して貫通部材34をオフセットさせて配置することで、圧力検出器35および水量検出器36を配置するスペースを確保するようにしているが、貫通部材34の配置がこれに限定されないことはいうまでもない。
圧力検出器35は、測定制御部37に制御されて測定空間30b内の圧力を検出するものであり、既存の各種圧力センサから構成することができる。上述のように、水分検出部30はテンシオメータユニットであり、土壌水分張力の測定は、圧力検出器35による測定空間30b内の圧力の検出結果に基づいて行われる。圧力検出器35は、少なくとも一部が圧力検出用凹部32c内に収容された状態で測定空間30bの下側(先端側)配置されている。水量検出器36は、測定制御部37に制御されて測定空間30b内に封入された水が所定の量まで減少したことを検出するものであり、既存の例えば電気抵抗式や静電容量式の水分センサ等から構成することができる。本実施形態では、水量検出器36を設けることで、測定空間30b内に封入された水が土壌水分張力の測定が不可能または困難な程度にまで減少したことを検出するようにしている。水量検出器36は、少なくとも一部が水量検出用凹部32d内に収容された状態で、圧力検出器35と共に測定空間30bの下側(先端側)に配置されている。また、水量検出器36は、圧力検出器35よりも距離Dだけ上側(基端側)に配置されている。
本実施形態では、測定空間30bにおいて水が溜まる側である下側(先端側)に圧力検出器35および水量検出器36をまとめて配置し、検出の安定性および精度を高めるようにしている。すなわち、測定空間30b内の水量が減少した場合にも、圧力検出器35のプローブ35aおよび水量検出器36のプローブ36a、すなわち測定空間30b内に配置される部分が空気に触れにくいようにすることで、検出の安定性および精度を高めるようにしている。特に、圧力検出器35においては、プローブ35aが空気に触れるようになると検出結果が温度に大きく影響されることとなるが、本実施形態では、測定空間30b内の水が略枯渇するまで圧力検出器35のプローブ35aが水に接した状態とすることが可能となっている。さらに、本実施形態では、測定制御部37を、圧力検出器35および水量検出器36と同じく下側(先端側)に配置することで、水分検出部30の組み立ておよびメンテナンス等を容易にしている。
また、本実施形態では、水量検出器36を距離Dだけ圧力検出器35の上方(基端側)に配置することで、測定空間30b内の水量の減少によって圧力検出器35の検出精度が低下する前に、水量検出器36が水量の減少を検出するようにしている。すなわち、本実施形態では、水量の減少を早い段階で検出することで圧力検出器35による圧力検出の信頼性を高め、これにより、土壌水分張力の測定の信頼性を高めるようにしている。なお、距離Dの大きさは、特に限定されるものではなく、測定空間30bの寸法および形状や、圧力検出器35および水量検出器36の性能等に応じて適宜に設定すればよい。また、圧力検出器35および水量検出器36の配置をずらすのではなく、圧力検出器35のプローブ35aおよび水量検出器36のプローブ36a、すなわち測定空間30b内に配置される部分の位置を調整するようにしてもよい。
測定制御部37は、CPU、ROMおよびRAM等を備える既存のマイコンから構成されている。本実施形態では、水分検出部30に測定制御部37を設けることで、各水分検出部30が他の水分検出部30に対する自身の相対的な位置を検出した上で、土壌水分張力の測定を行うことを可能としている。測定制御部37の機能の詳細については後述する。
測定制御部37は、制御用凹部32a内に配置された基板39上に配置されている。この基板39は、脚部39aを介して制御用凹部32aの底部32a1に固定されている。また、基板39には、先端側に隣接する水分検出部30のケーブル38が接続される基板側コネクタ39bが設けられている。
ケーブル38は、水分検出部30同士を電気的に接続すると共に、後述する本体部20と水分検出部30を電気的に接続し、水分検出部30同士の間および本体部20と水分検出部30の間の通信を可能にするものである。ケーブル38は、上述のように貫通部材34内を通して配置されており、一端が基板39を介して測定制御部37に接続されている。また、ケーブル38の他端には、基端側に隣接する水分検出部30の基板側コネクタ39b、または後述する本体部20の本体側コネクタ20a(図4参照)に接続されるケーブル側コネクタ38aが設けられている。
なお、本実施形態では、ケーブル38を介して本体部20から水分検出部30に電力を供給するようにしている。すなわち、ケーブル38は、通信を行うための通信線として機能するだけでなく、水分検出部30に電力を供給するための電力供給線としても機能するようになっている。
図1に戻って、本体部20は、挿入部10を土壌100中に挿入する際に把持される部分であり、また、挿入部10が土壌100中に挿入された後も地面101の上に突出した状態を維持することで、土壌水分測定装置1の存在を示すためのものである。図4は、本体部20の構成を示した概略断面図である。同図に示されるように、本体部20は、筐体21と、筐体21の下部に設けられた接続部材22と、を備えている。本体部20はまた、水分検出部30およびその他の各部を制御する基本制御部23と、水分検出部30による測定結果を記憶する記憶部24と、外部の機器と通信を行う通信部25と、土壌水分測定装置1の各部に電力を供給する電源部26と、を備えている。
筐体21は、略四角柱状の箱体であり、基本制御部23、記憶部24、通信部25および電源部26を内部に収容して保護すると共に、挿入部10の挿入時には外側を把持されるものである。筐体21は、着脱可能に設けられたカバー21aを備えており、このカバー21aを取り外すことで、内部の記憶部24および電源部26等にアクセスすることが可能となっている。
接続部材22は、本体部20の下側において挿入部10を本体部20に接続するためのものであり、本体側連結部22aを備えている。この本体側連結部22aは、雄ねじ22a1を有し、水分検出部30の先端側連結部30cと略同一の構成となっている。すなわち、接続部材22は、本体側連結部22aに基端側連結部30dを連結することにより、直接水分検出部30を接続可能に構成されている。また、接続部材22には、最も基端側の水分検出部30のケーブル側コネクタ38aと基本制御部23に繋がる本体側コネクタ20aを接続するための貫通孔22bが設けられている。
接続部材22はまた、本体側連結部22aに向けて漸次外径が減少する略円錐状のテーパ部22cを備えている。テーパ部22cを設けることで、挿入部10を土壌100中に挿入した際に、地面101の凹凸によらず適宜に本体部20を地面101と密着させることができる。これにより、土壌水分測定装置1を安定的に設置することが可能になると共に、地面101近傍において挿入部10と土壌100の間に隙間が生じるのを防止し、測定精度を高めることが可能となる。
基本制御部23は、CPU、ROMおよびRAM等を備える既存のマイコンから構成され、基板27上に配置されている。基本制御部23は、基板27および基板27に繋がる本体側コネクタ20aを介してケーブル38に接続されるようになっており、これにより、基本制御部23および各水分検出部30の測定制御部37がネットワーク接続されるようになっている。
記憶部24は、基本制御部23が受信した各水分検出部30の測定結果を記憶するものであり、基本制御部23と共に基板27上に配置されている。本実施形態の記憶部24は、メモリカードスロット24aを備えており、このメモリカードスロット24aに挿入されたメモリカード24bに測定結果を記憶するように構成されているが、例えばUSBメモリ等、その他の記憶媒体に測定結果を記憶するようにしてもよい。
通信部25は、図示を省略したアンテナを介して外部の機器と無線通信を行い、測定に関する各種設定を定義した定義ファイル等を外部の機器から受信すると共に、各水分検出部30の測定結果等を外部の機器に送信するものである。本実施形態では、例えばBluetooth(登録商標)やZigbee(登録商標)等の近距離無線通信を行うように通信部25を構成することで、消費電力を低減するようにしている。
電源部26は、本体部20の基本制御部23および記憶部24、ならびに水分検出部30の圧力検出器35、水量検出器36および測定制御部37等を動作させるための電力を供給するものである。電源部26は、基板27を介して基本制御部23および記憶部24に接続されると共に、本体側コネクタ20aに接続されている。本実施形態の電源部26は、2本の単3形乾電池およびこれらを保持する電池ホルダから構成されているが、その他の各種一次電池または二次電池を使用するようにしてもよい。また、電源部26は、外部の商用電源等から電力が供給されるものであってもよい。
次に、基本制御部23および測定制御部37の機能について説明する。図5は、基本制御部23および測定制御部37の接続状態および機能構成を示したブロック図である。上述のように、基本制御部23および測定制御部37は、ケーブル38を介してネットワーク接続されている。また、記憶部24および通信部25は基本制御部23に接続され、圧力検出器35および水量検出器36は測定制御部37に接続されている。そして、通信部25は、インターネット200に接続された中継器210と無線通信を行い、中継器210およびインターネット200を介してサーバ220との間で測定結果や定義ファイル等の各種データの送受信を行う。
基本制御部23は、CPUがROM等に記憶されたプログラムを実行することによって実現される機能構成として、基本制御手段23a、データ記憶手段23b、通信制御手段23cおよび設定更新手段23dを備えている。基本制御手段23aは、土壌水分測定装置1全体の基本的な制御を行うと共に、記憶部24に記憶した定義ファイルに基づいて、測定制御部37に土壌水分張力の測定を実行させるものである。この定義ファイルには、測定開始日時、測定周期(例えば、1日おき、1週間おき等)、測定終了日時等の各種設定情報が設定されている。
データ記憶手段23bは、測定制御部37から送信された信号に基づき、測定結果のデータを記憶部24のメモリカード24bに記憶させると共に、通信部25がサーバ220から受信した定義ファイルを記憶部24に記憶させるものである。通信制御手段23cは、通信部25を制御し、記憶部24に記憶された測定結果のデータ等を中継器210を介してサーバ220に送信すると共に、中継器210を介して定義ファイル等をサーバ220から受信するものである。設定更新手段23dは、サーバ220から受信した定義ファイルと記憶部24に記憶されている定義ファイルを比較し、最新の定義ファイルをサーバ220から受信したと判断したならば、記憶部24に記憶されている定義ファイルを最新のものに更新するものである。
測定制御部37は、CPUがROM等に記憶されたプログラムを実行することによって実現される機能構成として、位置検出手段37a、測定手段37bおよび水量検出手段37cを備えている。このうち、位置検出手段37aは、他の水分検出部30に対する自身の水分検出部30の相対的な位置を検出するものである。
具体的に、位置検出手段37aは、電源の投入後、基本制御部23からの指令に基づき、まず基板側コネクタ39bを介して隣接する水分検出部30が接続されているか否かを検出する。そして、基板側コネクタ39bに隣接する水分検出部30が接続されている場合、すなわち自身の先端側に水分検出部30が接続されている場合には、その接続されている水分検出部30の測定制御部37から送信される信号を待ち受ける。また、基板側コネクタ39bに隣接する水分検出部30が接続されていない場合には、自身の水分検出部30が最も先端側に配置されていると判断し、その旨を位置情報として記憶すると共に、ケーブル側コネクタ38aを介して接続されている水分検出部30、すなわち自身の基端側に接続されている水分検出部30の測定制御部37に自身の位置情報を示す信号を送信する。
自身の先端側に接続されている測定制御部37からの信号を待ち受けている測定制御部37の位置検出手段37aは、先端側の測定制御部37から受信した信号に基づいて自身の水分検出部30が先端側から何番目に配置されているかを判断し、自身の水分検出部30が何番目であるかを位置情報として記憶すると共に、基端側に接続されている水分検出部30の測定制御部37に自身の位置情報を示す信号を送信する。
すなわち、例えば先端側から2番目の水分検出部30の測定制御部37の位置検出手段37aは、最も先端側の水分検出部30の測定制御部37から受信した信号に基づいて自身が2番目であると判断し、2番目である旨の位置情報を示す信号を基端側に隣接する水分検出部30、すなわち先端側から3番目の水分検出部30の測定制御部37に送信する。そして、先端側から3番目の水分検出部30の測定制御部37の位置検出手段37aは、2番目の水分検出部30の測定制御部37から受信した信号に基づいて自身が3番目であると判断し、自身が3番目である旨の位置情報を示す信号を4番目の水分検出部30の測定制御部37に送信する。
このようにして、各水分検出部30における位置検出手段37aは、自身の水分検出部30が先端側から何番目に配置されているかを次々に検出し、位置情報として記憶する。また、最も基端側の水分検出部30における位置検出手段37aは、自身の位置情報を示す信号を基本制御部23に送信し、これにより、基本制御部23は、水分検出部30の個数を把握することができる。そして、基本制御部23は、これらの位置情報に基づいて各水分検出部30を識別すると共に、水分検出部30の個数および寸法から各水分検出部30が配置されている深さ、すなわち水分検出部30の測定位置を把握する。従って、本実施形態では、位置検出手段37aを設けることにより、各水分検出部30の測定位置を把握可能な形で、各水分検出部30を識別することが可能となっている。
測定手段37bは、圧力検出器35を制御し、圧力検出器35から送信された信号に基づいて土壌水分張力の測定を行うものである。測定手段37bは、基本制御部23からの指令に基づいて土壌水分張力の測定を実行し、測定結果を位置情報と共に基本制御部23へ送信する。測定制御部37から測定結果を受信した基本制御部23のデータ記憶手段23bは、位置情報ごと、すなわち測定位置ごとに測定結果を記憶部24に記憶させる。
水量検出手段37cは、水量検出器36を制御し、水量検出器36から送信された信号に基づいて測定空間30b内の水が所定の量、すなわち土壌水分張力の測定が不可能または困難となる量まで減少しているか否かを検出するものである。水量検出手段37cは、基本制御部23からの指令に基づき、測定手段37bによる土壌水分張力の測定前に測定空間30b内の水量を測定し、水量が予め設定された所定の量まで減少していることを検出した場合には、その旨を示す信号を位置情報と共に基本制御部23に送信する。基本制御部23は、水量の減少を検出したことを示す信号を受信した場合、その旨を位置情報と共に記憶部24に記憶させると共に、その位置情報に対応する測定制御部37に土壌水分張力の測定を停止するように指令する。
このように、本実施形態では、基本制御部23と複数の測定制御部37をネットワーク接続すると共に、各測定制御部37に位置検出手段37aを設けることによって、複数の測定位置における測定結果を簡便且つ効率的に記憶することを可能にしている。また、水分検出部30の個数を自由に変更することができるため、土壌水分張力の測定位置の数を測定条件等に応じて適宜に設定することが可能となっている。
なお、上述の位置検出手段37aによる位置検出の手法は、あくまで一例であり、例えば各水分検出部30が基端側から何番目に配置するかを検出するようにしてもよいし、その他の既知の各種手法によって各水分検出部30が自身の相対的な位置を検出するようにしてもよい。また、位置検出手段37aを測定制御部37に設けるのではなく、基本制御部23が各水分検出部30の相対的な位置関係を検出し、各水分検出部30にIDを付与するようにしてもよい。また、基本制御部23および水分検出部30を接続するネットワーク構成は、特に限定されるものではなく、適宜のネットワーク構成を採用すればよい。また、ネットワーク構成によっては、位置検出専用の通信線をネットワーク接続とは別に設けるようにしてもよい。
次に、土壌水分測定装置1の動作手順について説明する。電源の投入後、基本制御部23の基本制御手段23aは、各水分検出部30の測定制御部37に上述の位置検出を実行させる。各水分検出部30の位置検出が完了したならば、基本制御手段23aは、予め記憶部24に記憶された定義ファイルに基づいて各測定制御部37に土壌水分張力の測定を実行させる。
土壌水分張力の測定は、定義ファイルに基づく測定タイミングごとに実行される。基本制御手段23aは、基本制御部23の備えるタイマによって時間を計測し、測定タイミングが到来したならば、まず各測定制御部37に水量検出手段37cによる測定空間30b内の水量の減少の検出を実行させる。その後、基本制御手段23aは、水量の減少を検出しなかった測定制御部37には、引き続き測定手段37bによる土壌水分張力の測定を実行させ、データ記憶手段23bは、測定制御部37から受信した測定結果を位置情報ごとに記憶部24に記憶させる。基本制御手段23aはまた、水量の減少を検出した測定制御部37には土壌水分張力の測定を実行させず、データ記憶手段23bは、水量が減少した旨を測定結果として位置情報と共に記憶部24に記憶させる。
測定結果を記憶部24に記憶したならば、次に基本制御部23は、通信制御手段23cが通信部25を制御して測定結果をサーバ220に送信すると共に、サーバ220から定義ファイルを受信し、設定更新手段23dが最新の定義ファイルをサーバ220から受信したか否かを判定する。そして、設定更新手段23dは、最新の定義ファイルを受信したと判定した場合には、記憶部24に記憶された定義ファイルを更新し、この場合、基本制御手段23aはその後、更新された定義ファイルに基づいて各測定制御部37に土壌水分張力の測定を実行させることとなる。
以上の手順により、1回の土壌水分張力の測定が完了する。基本制御部23の基本制御手段23aは、上記手順を完了したならば、次の測定タイミングが到来するまで、通信部25等の各部への電力供給を停止する等して土壌水分測定装置1をスリープ状態とする。その後、基本制御手段23aは、次の測定タイミングが到来したならば土壌水分測定装置1をスリープ状態から復帰させ、上記手順を再度実行して土壌水分の測定を行う。
このように本実施形態では、予め記憶部24に記憶した定義ファイルに基づいて基本制御手段23aが各測定制御部37に土壌水分張力の測定を実行させるため、複数の水分検出部30による多面的な測定を簡便に行うことが可能となっている。また、測定を開始した後であっても、随時定義ファイルを更新することができるため、気象条件等の各種条件の変化に応じて測定スケジュール等を柔軟に変更することが可能となっている。また、土壌水分張力の測定、測定結果の記憶および送信、ならびに定義ファイルの受信を測定タイミングにおける一連の動作として実行し、その後は次の測定タイミングまでスリープ状態となるため、電源部26の容量を小さくして本体部20をコンパクトに構成しながらも、長期間にわたる測定が可能となっている。
なお、測定結果の送信および定義ファイルの受信は、測定タイミングごとに行う必要は必ずしもなく、複数回に一回の割合で行うようにしてもよい。また、測定タイミングとは別に設けた通信タイミングにおいて測定結果の送信および定義ファイルの受信を行うようにしてもよく、測定結果の送信および定義ファイルの受信を別のタイミングで行うようにしてもよい。また、水分検出部30の位置検出は、測定タイミングごとに行うようにしてもよい。また、測定空間30b内の水量の減少を一旦検出した水分検出部30については、次回以降の水量の減少の検出および測定を行わせないようにしてもよい。
また、通信部25は、直接インターネット200に接続可能に構成されるものであってもよく、サーバ220が接続されたローカルネットワークに直接または中継器210を介して接続されるものであってもよい。また、通信部25が有線通信を行うものであってもよいことはいうまでもない。また、通信部25ならびに通信制御手段23cおよび設定更新手段23dを省略し、メモリカード24bを介して測定結果の取得や定義ファイルの更新等を行うようにしてもよい。
次に、土壌水分測定装置1のその他の形態について説明する。図6は、2つの水分検出部30の間に配置されるスペーサ50を挿入部10に設けるようにした場合の一例を示した概略図である。この例のスペーサ50は、水分検出部30の先端側連結部30cと略同一の構成の先端側連結部50a、および水分検出部30の基端側連結部30dと略同一の構成の基端側連結部50bを備え、水分検出部30と同様に水分検出部30と連結することが可能に構成されている。
また、スペーサ50の内部には、中継ケーブル51が設けられており、この中継ケーブルの先端側コネクタ51aを先端側の水分検出部30のケーブル側コネクタ38aに接続し、基端側コネクタ51bを基端側の水分検出部30の基板側コネクタ39bに接続することによって、スペーサ50の両側の水分検出部30同士が電気的に接続されるようになっている。
このように、挿入部10にスペーサ50を設けることにより、水分検出部30同士の間の距離を調整することができるため、土壌水分張力の測定位置の設定の自由度を高めることが可能となる。なお、スペーサ50は、長さの異なるものを複数用意しておくようにしてもよいし、スペーサ50を伸縮可能に構成するようにしてもよい。また、スペーサ50同士を連結させることによっても長さを調整することは可能である。また、本体部20と最も基端側の水分検出部30の間にスペーサ50を配置するようにしてもよいことはいうまでもない。
図7は、多孔質部30aおよび測定空間30bの位置が異なる複数種類の水分検出部30を使用するようにした場合の一例を示した概略図である。この例では、多孔質部30aおよび測定空間30bが基端側、中央部および先端側に配置された3種類の水分検出部30を使用している。このように、多孔質部30aおよび測定空間30bの軸方向(挿入方向)の位置が異なる複数種類の水分検出部30を用意し、これらを適宜に組み合わせて連結させることによっても、土壌水分張力の測定位置の設定の自由度を高めることが可能となる。なお、この場合においても、スペーサ50を使用するようにしてもよいことはいうまでもない。また、水分検出部30の軸方向(挿入方向)の長さを異ならせるようにしてもよい。
図8は、本体部20に通信開始スイッチ60を設けるようにした場合の一例を示した図である。この例では、本体部20に外部から操作可能な通信開始スイッチ60を設け、この通信開始スイッチ60が操作された場合(ONとなった場合)に、基本制御部23の基本制御手段23aが基本制御部23ならびに記憶部24および通信部25をスリープ状態から復帰させ、通信制御手段23cが通信部25を制御して測定結果の送信および定義ファイルの受信を近傍の携帯端末230との間で行うようになっている。
すなわち、この例では、例えば測定者が通信機能を有するノートPCやタブレットPC、スマートフォン等の携帯端末230を持参して土壌水分測定装置1の設置場所に行き、通信開始スイッチ60を操作することで、それまでの測定結果の収集および定義ファイルの更新を行うことが可能となっている。このようにすることで、通信部25の消費電力を低減して長期間の測定を可能としながらも、中継器210の設置を省略することができるため、低コストで測定を行うことが可能となる。また、土壌水分測定装置1の設置場所の自由度が増し、例えば人里離れた山中奥深くに土壌水分測定装置1を設置したり、複数の土壌水分測定装置1を広範囲にわたって設置したりといったことも容易となるため、より多面的な測定を行うことが可能となる。
なお、通常は中継器210を介してサーバ220と通信を行い、通信開始スイッチ60が操作された場合には、近傍の携帯端末230と通信を行うようにしてもよい。また、通信開始スイッチ60に代えて、操作された場合に測定および通信を行う測定通信開始スイッチを設けるようにしてもよく、この場合さらに定義ファイルを省略し、測定通信開始スイッチが操作された場合にのみ測定および通信が実行されるようにしてもよい。
また、通信開始スイッチ60を、例えば適宜の磁石等を近づけることによって非接触で操作可能に構成し、本体部20の内部に通信開始スイッチ60を隠蔽して設けるようにしてもよい。この場合、不用意に通信開始スイッチ60が操作されることによる無駄な電力消費を防止することができる。また、RFIDタグを検出した場合にONとなるように通信開始スイッチ60を構成し、セキュリティ性を高めるようにしてもよい。
図9(a)〜(c)は、圧力検出器35のプローブ35aがより空気に触れにくいようにした場合の例を示した概略図であり、図3(a)におけるB−B線断面図である。これらの例では、圧力検出器35のプローブ35a、すなわち測定空間30b内に配置される部分を周壁32gによって囲むようにしている。この周壁32gは、中心軸Cと略平行な軸を中心とする周方向に形成されている。測定空間30b内の水は、主に中心軸C周りの多孔質部30aからの漏出により徐々に減少していくため、このような周壁32gを設けることで、水量が減少した場合にも周壁32gの内側に水を留めておくことが可能となる。すなわち、圧力検出器35のプローブ35aが水に接した状態を長期間、安定的に維持することができるため、圧力検出の安定性および精度をより高めることが可能となる。
なお、この場合、図9(a)に示されるように、圧力検出器35および水量検出器36の配置を軸方向にずらさないようにしてもよいし、図9(b)および(c)に示されるように、圧力検出器35および水量検出器36の配置を軸方向にずらすようにしてもよい。周壁32gを設けることによって、各検出器の配置をずらさなくても、水量の減少に伴う圧力検出器35の検出精度の低下前に水量検出器36が水量の減少を検出可能とすることができるため、各検出器の配置の自由度が高まることとなる。
また、この場合、周壁32gは、図9(a)に示されるように、接続用凹部32bの底部32b1から突設されるものであってもよいし、図9(b)および(c)に示されるように、接続用凹部32bの底部32b1に設けられた貯留用凹部32hの側壁から構成されるものであってもよい。また、周壁32gを貯留用凹部32hの側壁から構成した場合、図9(c)に示されるように、周壁32gを傾斜させることで、水がプローブ35aの近傍に集まりやすくするようにしてもよい。また、周壁32gの高さおよび形状、ならびに設置範囲等が特に限定されないことはいうまでもない。
その他、図示は省略するが、本体部20は、挿入部10とは別体に配置されるものであってもよい。すなわち、挿入部10および本体部20は、適宜の通信ケーブル等を介して電気的にのみ接続されるものであってもよい。また、本体部20に適宜の通信インタフェースを設け、基本制御部23、記憶部24および通信部25を本体部20とは別体に設けるようにしてもよい。この場合さらに、定義ファイルの編集および測定結果のデータ処理等が可能な適宜のPC等から基本制御部23等を構成し、サーバ220との通信を省略するようにしてもよい。また、基本制御部23のみ、記憶部24のみ、通信部25のみ、または電源部26のみを本体部20とは別体に構成するようにしてもよい。
また、記憶部24および通信部25は、基本制御部23と測定制御部37の間のネットワーク接続を介して基本制御部23に接続されるものであってもよく、同様に、圧力検出器35および水量検出器36は、ネットワーク接続を介して測定制御部37に接続されるものであってもよい。
また、水分検出部30の測定制御部37は、基本制御部23に制御されるのではなく、位置の検出および土壌水分張力の測定等を自立的に実行するものであってもよい。さらに、測定手段37bは、ネットワーク接続された記憶部24および通信部25を直接制御するものであってもよい。すなわち、基本制御部23を省略するようにしてもよい。また、この場合、記憶部24、通信部25および電源部26を水分検出部30ごとに設けるようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る土壌水分測定装置1は、土壌100中に挿入される挿入部10と、挿入部10に設けられる複数の水分検出部30と、を備え、水分検出部30は、多孔質部30aを備えるテンシオメータから構成され、挿入部10の挿入方向に沿って配列されている。
このような構成とすることで、挿入部10を土壌100中に挿入するだけで、複数の測定位置における土壌水分張力を測定することが可能となるため、土壌100中に含まれる水分に関し、より多面的な測定を簡便に行うことができる。
また、多孔質部30aは、挿入方向を軸方向とする筒状に構成されている。このようにすることで、挿入部10の構造を複雑化することなく、複数の水分検出部30を挿入方向に沿って配列することができる。また、挿入部10の外周の略全域に亘って多孔質部30aを設けることが可能となるため、複数の水分検出部30を挿入方向に沿って配列しながらも、土壌水分張力の測定精度を高めることができる。
また、水分検出部30は、挿入方向の両端に連結部(先端側連結部30cおよび基端側連結部30d)を備え、連結部を介して水分検出部30同士が互いに連結可能に構成されている。このようにすることで、複数の水分検出部30をそのまま挿入部10の一部として使用することが可能となるため、土壌水分測定装置1を簡潔に構成し、組み立ておよび取り扱いを容易にすることができる。また、連結する水分検出部30の個数を変更するだけで容易に測定位置の数を変更することが可能となるため、土壌水分測定装置1の汎用性を高めることができる。
また、挿入部10の少なくとも一部は、互いに連結された複数の水分検出部30から構成されている。このようにすることで、土壌水分測定装置1を簡潔に構成し、組み立ておよび取り扱いを容易にすることができる。
また、水分検出部30は、多孔質部30aを介して外部と連通する測定空間30bと、挿入方向を軸方向として測定空間30bを貫通する筒状の貫通部材34と、を備え、貫通部材34の内部に、水分検出部30が通信を行うための通信線(ケーブル38)が通されている。このようにすることで、土壌水分張力の測定精度に影響を及ぼすことなく、複数の水分検出部30と本体部20の間でネットワーク通信を行うことができる。
また、貫通部材34の内部には、水分検出部30に電力を供給するための電力供給線(ケーブル38)が通されている。このようにすることで、土壌水分張力の測定精度に影響を及ぼすことなく、挿入方向に沿って配列された複数の水分検出部30に電力を供給することができる。
また、水分検出部30は、測定空間30bに対して挿入部10の先端側に配置され、測定空間30b内の圧力を検出する圧力検出器35と、測定空間30bに対して挿入部10の先端側に配置され、測定空間30b内の水の量が所定の量まで減少したことを検出する水量検出器36と、を備えている。水量検出器36を設けることで、測定空間30b内の水が土壌水分張力の測定が不可能または困難な程度にまで減少したことを検出することができる。また、各検出器を先端側に配置することで、各検出器の測定空間30b内に配置される部分が空気に触れにくいようにすることが可能になるため、検出の安定性および精度を高めることができる。
また、水分検出部30は、多孔質部30aを有する筒状の中間部材31と、中間部材31の両端の開口部を塞ぐ蓋部材(先端側蓋部材32および基端側蓋部材33)と、を備えている。このようにすることで、筒状の多孔質部30aおよびその内側の測定空間30bを備える水分検出部30をシンプル且つコンパクトに構成しながらも、適宜の強度および剛性を持たせることができる。
また、水分検出部30は、蓋部材(先端側蓋部材32および基端側蓋部材33)を介して水分検出部30同士が互いに連結可能に構成されている。このようにすることで、水分検出部30をシンプル且つコンパクトに構成すると共に、水分検出部30同士を確実に連結させるようにすることができる。
また、水分検出部30は、自身を制御する測定制御部37を備え、測定制御部37は、測定を実行する測定手段37bと、他の水分検出部30に対する自身の相対的な位置を検出する位置検出手段37aと、を備えている。このようにすることで、水分検出部30の数、すなわち測定位置の数を自由且つ容易に変更可能でありながらも、複数の測定位置における土壌水分張力の測定結果を簡便且つ効率的に記憶することができる。
また、土壌水分測定装置1は、水分検出部30による測定結果を記憶する記憶部24が設けられ、挿入部10が接続される本体部20を備えている。このようにすることで、複数の測定位置における土壌水分張力の測定から測定結果の記憶までを一体的な1つの装置内で完結して行うことが可能となるため、土壌水分測定装置1の取り扱いを容易にすると共に汎用性を高めることができる。
また、土壌水分測定装置1は、本体部20に設けられ、水分検出部30を制御する基本制御部23を備え、基本制御部23は、記憶部24に記憶された定義ファイルに基づいて水分検出部30に測定を実行させる基本制御手段23aを備えている。このようにすることで、複数の水分検出部30を適宜に制御して測定を行うことが可能となるため、より多面的な測定を簡便に行うことができる。
また、土壌水分測定装置1は、本体部20に設けられ、外部の機器(サーバ220、携帯端末230)と通信を行う通信部25を備え、基本制御部23は、通信部25を制御して外部の機器から定義ファイルを受信する通信制御手段23cと、外部の機器から受信した定義ファイルが最新のものである場合に、記憶部24に記憶された定義ファイルを更新する設定更新手段23dと、を備えている。このようにすることで、測定開始後に随時定義ファイルを更新することが可能となるため、各種条件の変化等に応じて測定スケジュール等を柔軟に変更することができる。
また、通信制御手段23cは、水分検出部30による測定結果を外部の機器(サーバ220、携帯端末230)へ送信する度に外部の機器から定義ファイルを受信する。このようにすることで、通信時間を短縮し、消費電力を低減しながらも、適宜のタイミングで定義ファイルを受信することができる。
また、土壌水分測定装置1は、本体部20に設けられる通信開始スイッチ60を備え、通信制御手段23cは、通信開始スイッチ60が操作された場合に、水分検出部30による測定結果を外部の機器(携帯端末230)へ送信する。このようにすることで、通信時の消費電力および通信に要するコストを低減すると共に、土壌水分想定装置1の設置場所の自由度を増加させることができる。
また、本実施形態に係る水分検出部30は、筒状の多孔質部30aと、多孔質部30aの軸方向の両側に設けられた連結部(先端側連結部30cおよび基端側連結部30d)と、を備え、連結部を介して互いに連結可能に構成されたテンシオメータである。このような構成とすることで、複数の測定位置における土壌水分張力を容易に測定することが可能となるため、土壌100中に含まれる水分に関し、より多面的な測定を簡便に行うことができる。
また、本実施形態に係る同条水分測定方法は、所定の方向に沿って一列に配列された複数のテンシオメータ(水分検出部30)を所定の方向に沿って土壌100内に挿入し、複数位置における土壌水分張力を測定するようになっている。このような構成とすることで、複数の測定位置における土壌水分張力を容易に測定することが可能となるため、土壌100中に含まれる水分に関し、より多面的な測定を簡便に行うことができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の土壌水分測定装置およびテンシオメータならびに土壌水分測定方法は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、土壌水分測定装置1を構成する各部の形状および配置構成は、上記実施形態において示したものに限定されず、その他の形状および配置構成を採用することができる。また、挿入部10の挿入方向は、鉛直方向に限定されるものではなく、測定場所の状態に応じたその他の方向であってもよい。
また、上記実施形態において示した作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したものに過ぎず、本発明による作用および効果は、これらに限定されるものではない。