<第1の実施の形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10を斜め前方から見た斜視図、図3及び図4はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図3では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とを有している。
外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技場の島設備に設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
この外枠11によって遊技機主部12が開閉可能な状態で支持されている。具体的には、図2に示すように、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具18が固定されている。これら上側支持用金具17及び下側支持用金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている。
図3に示すように、遊技機主部12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15(図4参照)とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。
内枠13における回動基端側の端部には、前扉枠14が回動可能に取り付けられており、同前扉枠14は正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13における回動基端側の端部には、図4に示すように、裏パックユニット15が回動可能に取り付けられており、同裏パックユニット15が正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
次に、前扉枠14について説明する。なお、以下の説明では、図1及び図2を参照するとともに、前扉枠14の背面の構成については図3及び図5を参照する。図5は前扉枠14を背面側から見た分解斜視図である。
図3に示すように、前扉枠14は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす合成樹脂製の枠体20を主体に構成されており、内枠13における前面側のほぼ全域を覆っている。枠体20の中央部分には後述する遊技領域PEのほぼ全域を遊技機前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部21(図1参照)が形成されており、その窓部21はガラスユニット30によって同前扉枠14の背面側から覆われている。
図5に示すように、枠体20には窓部21を囲むようにしてガラスユニット設置部22が形成されている。詳しくは、ガラスユニット設置部22は、枠体20の背面側に配されているとともにパチンコ機10の前方に向けて凹んでおり、その底部に上記窓部21が配設されている。ガラスユニット30は、ガラスユニット設置部22に嵌まることで上下方向及び左右方向への変位が規制されている。
ガラスユニット30は、透明性を有するガラスパネル31,32と、それらガラスパネル31,32を保持するガラスホルダ33とを備えている。ガラスホルダ33は、窓部21に沿って形成された環状の枠部34を有しており、同枠部34によって囲まれた領域にガラスパネル31,32が収容されている。
より具体的には、枠部34には、上記囲まれた領域を前後に仕切る仕切り部が形成されている。仕切り部は枠部34の中央側へ起立するとともに当該枠部34の周方向に延びる突条をなしており、この仕切り部によってガラスパネル31,32を個別に収容する収容部が区画形成されている。
各ガラスパネル31,32は、仕切り部を挟んで相対向した状態で、同仕切り部に対して接着されている。これにより、ガラスパネル31,32の間に所定の隙間が確保され、両ガラスパネル31,32同士の干渉を回避しつつ、それらガラスパネル31,32によって遊技領域PEがパチンコ機10の正面側から2重に覆われた状態となっている。
また、枠部34には、ガラスパネル31,32を収容している側とは反対側に突出するようにして枠体20に対する取付部35が複数形成されている。取付部35は枠体20の背面に対向する板状をなしており、枠体20には、これら取付部35を同枠体20との間に挟んで挟持するレバー部材23が配設されている。
レバー部材23は、取付部35を挟持する挟持位置と挟持しない解除位置とに回動可能な状態で取り付けられている。レバー部材23において取付部35と対向している部分には同取付部35側に突出する凸部が形成されており、同凸部が取付部35に形成された凹部に嵌まることにより、上記挟持位置から解除位置への移動が規制された状態、すなわち挟持位置にて保持された状態となる。
本実施の形態においては、ガラスユニット30を枠体20に対して装着する際に同ガラスユニット30をガラスユニット設置部22から脱落しないようにして簡易的に保持するための手段が上記レバー部材23と併設されている。
具体的には、枠体20の背面には当該背面から後方へ突出するとともに先端部分に上方への返しが形成された突起が設けられており、ガラスホルダ33の取付部35には突起(詳しくは上記返し)が引っ掛かる受け部36が形成されている。この受け部36に突起が引っ掛かることで装着完了位置からのガラスユニット30の脱落が簡易的に回避された状態となる。なお、突起の返しをかわすようにしてガラスユニット30を上方に持ち上げることで、上記引っ掛かりが解除され、枠体20からのガラスユニット30が取り外し可能となる。
上記ガラスユニット30については重量が嵩みやすい。このため、仮にレバー部材23による固定操作が完了するまで同ガラスユニット30を手で支え続ける必要が生じると、ガラスユニット30の装着作業にかかる作業負荷が大きくなると想定される。この点、上述したようにガラスユニット30を装着完了位置にて簡易的に保持すれば、レバー部材23による固定作業を行う際に手でガラスユニット30を支え続ける必要がなくなり、作業の容易化を実現することができる。故に、ガラスユニット30の装着作業にかかる作業負荷が大きくなることを抑制できる。
再び図1を参照して説明すれば、窓部21の周囲には各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部24が設けられている。環状電飾部24では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。より詳しくは、環状電飾部24の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯する機能が付与されたトップランプ部25が設けられ、窓部21の左右両側には賞球払出中に点灯する機能が付与されたサイドランプ部26が設けられている。また、トップランプ部25の左右両側には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部27が設けられている。
以下、図1及び図6を参照して、サイドランプ部26及びそれに付随する構成について説明する。図6は図1のA−A線部分断面図である。
図1に示すようにサイドランプ部26は枠体20における左右両端部に沿うようにして上下に延びている。サイドランプ部26の中央部分については上記窓部21の内側へ張り出しており、当該中央部分が前側のガラスパネル31(窓部21によって区画された領域)に遊技機前方から隙間を隔てて対峙している(図6参照)。より詳しくは、サイドランプ部26の中央部分が遊技領域PEに対して前方からガラスパネル31を挟んで対峙している。
図6に示すように、サイドランプ部26は、発光体(詳しくはLED)が実装されてなる発光基板26aと、発光基板26aの前方に配置され発光体からの光を拡散する光拡散部26bと、それら発光基板26a及び光拡散部26bを遊技機前方から覆うカバー部26cとを有している。光拡散部26bによって拡散された光は、カバー部26cを通じて遊技機前方、遊技機側方及び遊技機中央側に照射されることとなる。
遊技領域PEにおいてサイドランプ部26の後方に位置している部分(以下、便宜上「後方領域BE」と称する)をサイドランプ部26の前方から視認しようとした場合、当該視認はサイドランプ部26によって妨げられることとなる。故に、一見するとサイドランプ部26を遊技領域PE側へ張り出して設けサイドランプ部26の占有領域を拡げることが遊技領域PEの視認性の低下を招来する要因になると懸念される。
しかしながら、上述の如くサイドランプ部26を前側のガラスパネル31に対して遊技機前方に離間させて配設し、遊技盤80からサイドランプ部26までの距離を大きくすることにより、後方領域BEの視認性を実質的に担保することができる。具体的には、遊技を行っている際には遊技者の目が遊技領域PEの中央部位の前方に位置しやすい。このため、遊技者はサイドランプ部26側に目線を移すことにより、サイドランプ部26をかわして後方領域BEを視認することができる。これにより、サイドランプ部26に付与された報知機能及び演出機能を向上しつつ、それに起因した遊技領域PEの視認性の低下を抑えることが可能となる。
以上詳述したように、サイドランプ部26の左右幅を拡げることで、演出用の発光体と報知用の発光体とを左右に並べて配置することが容易となっている。つまり、報知用の発光体をパチンコ機10の外側寄りに配置して、ホール管理者等の他者による確認を容易化するとともに、演出用の発光体をパチンコ機10の内側寄り(遊技者寄り)に配置して演出機能を好適に発揮させることが可能となっている。これにより、上記報知機能と演出機能とを好適に共存させている。
図2又は図6に示すように、サイドランプ部26とガラスパネル31との間には透明パネル41が配設されており、この透明パネル41によって上記隙間が塞がれている。上述の如くサイドランプ部26を遊技機前方へオフセットして配設する構成においては、メンテナンス作業等を行う場合に、同サイドランプ部26に対してガラスパネル31側から指を引っ掛ける等して前扉枠14が遊技機前方へ引っ張られる可能性がある。仮にこのような行為が行われた場合には、サイドランプ部26に破損や変形等の不都合が生じ得る。
この点、透明パネル41によって上記隙間への指等の挿入を妨げる構成を採用することにより、サイドランプ部26が引っ張られるといった不都合を生じにくくすることができる。故に、上記後方領域BEの視認性を担保しつつサイドランプ部26を好適に保護することができる。
再び図2を参照して説明すれば、前扉枠14における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部28と下側膨出部29とが上下に並設されている。上側膨出部28には上方に開口した上皿28aが設けられており、下側膨出部29には同じく上方に開口した下皿29aが設けられている。上皿28aは、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導く機能を有している。また、下皿29aは、上皿28a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有している。
上側膨出部28において上皿28a(遊技球の貯留領域)よりも前側となる部位には、遊技者らにより手動操作される操作スイッチ40が設けられている。操作スイッチ40は、後述する図柄表示装置の表示画面等にて所定の演出を行わせることを目的として遊技の進行の過程で遊技者が所定の指示を行うための操作装置である。操作スイッチ40の操作に基づいて実行される演出については後に詳しく説明する。
下側膨出部29と横並びとなる位置には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル45が設けられている。遊技球発射ハンドル45が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
前扉枠14の背面には、図5に示すように、通路形成ユニット50が取り付けられている。通路形成ユニット50は、合成樹脂により成形されており、上皿28aに通じる前扉側上皿通路51と、下皿29a(図2等参照)に通じる前扉側下皿通路52とが形成されてなる。通路形成ユニット50の上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部53が形成されており、当該受口部53を仕切壁54によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路51と前扉側下皿通路52の入口部分とが形成されている。前扉側上皿通路51及び前扉側下皿通路52は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路51に入った遊技球は上皿28aに導かれ、前扉側下皿通路52に入った遊技球は下皿29aに導かれる。
次に、図7に基づき内枠13について詳細に説明する。図7は内枠13の正面図である。なお、図7においては、図3と同様にパチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
内枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース60を主体に構成されている。樹脂ベース60の前面における回動基端側(図7の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具71,72が取り付けられている。また、前扉枠14の背面における回動基端側(図5の右側)には、それら支持金具71,72に対応させて軸受け金具57,58が設けられている。支持金具71,72には軸部が形成されており、それら軸部が前扉枠14の軸受け金具57,58の軸受け孔に挿入されることで内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。つまり、これら支持金具71,72及び軸受け金具57,58は内枠13に対する組付機構を構成している。
内枠13の前面には施錠装置75が設けられている。施錠装置75は、前扉枠14に向けて延びる複数の前扉用鉤部材76を有している。これら前扉用鉤部材76に対応させて、前扉枠14の背面には内枠13側に延びる鉤受け部材59が複数設けられている(図3参照)。前扉用鉤部材76が鉤受け部材59に引っ掛かることにより前扉枠14が閉じた状態で施錠される。また、図4に示すように、施錠装置75は、内枠13の後方へ延びる内枠用鉤部材77を有している。これら内枠用鉤部材77が外枠11の鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
再び図7を参照して説明すれば、樹脂ベース60の右下隅部には、施錠装置75の解錠操作を行うためのシリンダ錠78が設置されている。シリンダ錠78は施錠装置75に一体化されており、その先端部分(鍵穴部分)が上記前扉枠14に設けられた孔部を通じてパチンコ機10の前方に露出している。シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを右に回すことで内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、同キーを左に回すことで外枠11に対する内枠13の施錠が解除される。
樹脂ベース60の前面における略中央部分には、遊技盤80を収容する遊技盤収容部61が形成されている。遊技盤収容部61は、パチンコ機10の後方に凹み、遊技盤80を収容する収容空間を区画形成しており、樹脂ベース60に取り付けられた遊技盤80がその収容空間に嵌まった状態となっている。
遊技盤収容部61は、遊技盤80の背面に対向する平板状の対向板部62と、同対向板部62から遊技機前方へ起立し遊技盤80の周縁に沿って延びる周壁部63とによって構成されている。対向板部62は、その略中央に中央開口64が形成されており、内枠13の正面視において略矩形枠状をなしている。周壁部63は、遊技盤80における上下左右の各端面に対して個々に対向する上側壁部65,下側壁部66,左側壁部67,右側壁部68が連なってなり、全体として遊技盤80を囲む環状をなしている。なお、周壁部63は中央開口64を囲むようにして形成されているとも言える。
遊技盤80は、木製の合板80Pと同合板における前側の板面を覆うセルシート80Sとを有してなり、その前面が遊技盤収容部61の開放部分を通じて樹脂ベース60の正面側に露出している。この露出している部位、すなわち遊技盤80の前面には、遊技球が流下する遊技領域PEが形成されている。既に説明したように遊技領域PEはガラスパネル31,32によって覆われている。後側のガラスパネル32は、遊技盤80の前面との隙間が遊技球の直径よりも僅かに大きくなるように、すなわち遊技領域PEを流下する遊技球が同遊技領域PEの同一箇所にて前後に並ばないように配置されている。これにより、遊技領域PEでの球詰まりを抑制している。なお、遊技盤80は木製に限定されるものではなく、合成樹脂製とすることも可能である。
以下、図8に基づき遊技盤80(特に遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。図8(a)は遊技盤80の正面図、図8(b)は遊技盤80の断面図である。
遊技盤80には、ルータ加工が施されることによって自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口が形成されている。各開口には、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83a,83b、スルーゲート84、可変表示ユニット85、メイン表示部90等がそれぞれ設けられている。一般入賞口81、可変入賞装置82及び作動口83a,83bに遊技球が入ると、それら遊技球が後述する検知スイッチにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤80の最下部にはアウト口86が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口86を通って遊技領域PEから排出される。
また、遊技盤80には、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の釘87が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘87や風車等の各種構成によって、遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口81等への入賞が適度な確率で発生するように調整されている。
可変入賞装置82は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置82の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、同可変入賞装置82の開放が複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として繰り返されるように設定されている。
可変表示ユニット85は遊技盤80の中央上寄りに配置されており、その下方に作動口83a,83bが配置されている。より詳しくは、作動口83a,83bは、作動口83aを上側、作動口83bを下側として上下に並設されている。下側の作動口83bには、左右一対の可動片よりなるガイド片(サポート片)としての電動役物が設けられている。電動役物は、作動口83bへの入球が不可又は困難となる閉鎖状態(非サポート状態又は非ガイド状態)と、当該閉鎖状態よりも遊技球の入球が容易となる開放状態(サポート状態又はガイド状態)とに切り替え可能となっており、上記スルーゲート84への入賞に基づく抽選に当選した場合に主制御装置によって開放状態となるように制御される。電動役物の開閉態様としては、上側の作動口83aよりも下側の作動口83bへの入賞頻度が低くなるように設定された低頻度サポートモードと、上側の作動口83aよりも下側の作動口83bへの入賞頻度が高くなるように設定された高頻度サポートモードとが設定されており、各作動口83a,83bへの入球に基づく抽選によって所定の当たり結果となった場合に低頻度サポートモードから高頻度サポートモードへ移行される構成となっている。
可変表示ユニット85及び作動口83a,83bは、遊技性を司る部位であり遊技者の注意が集まりやすい。それら可変表示ユニット85及び作動口83a,83bを遊技機中央において上下に並べて配置することで両者間での視線の移動量を抑え、遊技者の目に生じる負担の低減に貢献している。
メイン表示部90は、遊技領域PEの下部側の外縁に沿って配設された装飾部材に設けられている。装飾部材は、遊技盤80の盤面からパチンコ機10前方に延出している。より具体的には、装飾部材の前面は、遊技領域PEをパチンコ機10前方から視認可能とするために前扉枠14に設けられたガラスパネル32と対向しており、さらにガラスパネル32との間の距離は遊技球1個分よりも狭くなっている。これにより、装飾部材の前面の前方を遊技球が落下していくのが防止されている。
装飾部材の前面から露出するようにしてメイン表示部90が設けられている。つまり、メイン表示部90は、前扉枠14のガラスユニット30を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっているとともに、当該メイン表示部90の前方を遊技球が落下していくことが抑制されている。
図示による詳細な説明は省略するが、メイン表示部90はセグメント表示器を有してなり、当該セグメント表示器には作動口用結果表示部、役物用結果表示部、上作動口83a用の保留数表示部、下作動口83b用の保留数表示部、スルーゲート84用の保留数表示部が設けられている。
作動口用結果表示部は、各作動口83a,83bに1対1で対応させて上作動口用の表示領域と下作動口用の表示領域と有しており、これら表示領域において、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。この場合、同表示領域では、作動口83a,83bへの入賞をトリガとして、各表示用セグメントにおける点灯及び消灯を順次行うことによる絵柄の変動表示(可変表示)が行われ、その変動表示の停止結果として、同入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。つまり、上作動口83aへの入賞に基づく抽選結果は上作動口用の表示領域にて明示され、下作動口83bへの入賞に基づく抽選結果は下作動口用の表示領域にて明示される。
役物用結果表示部は、スルーゲート84への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果を明示するための表示部である。この場合、役物用結果表示部では、スルーゲート84への入賞をトリガとして、各表示用セグメントにおける点灯及び消灯を順次行うことによる絵柄の変動表示(又は、可変表示若しくは切換表示)が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート84への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。スルーゲート84への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、役物用結果表示部にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、下作動口83bに設けられた電動役物83cが所定の態様で開放状態となる。
また、遊技球が作動口83a,83bを通過した回数は最大4回まで保留され、各作動口用の保留数表示部によってその保留個数が表示されるようになっている。同様に、遊技球がスルーゲート84を通過した回数は最大4回まで保留され、スルーゲート用の保留数表示部によってその保留個数が表示されるようになっている。
可変表示ユニット85は、作動口83a,83bへの入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置94を備えている。図柄表示装置94は、液晶ディスプレイ(表示画面94a)を備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置によりその表示内容が制御されている。具体的には、表示画面94aにおいては、上段,中段及び下段に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示される。そして、大当たり発生時には、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示され、特別遊技状態へと移行される。なお、表示画面94aにおける表示態様を以下のように変更してもよい。すなわち、左,中及び右に並べて図柄を表示し、それら図柄を上下スクロールさせるようにして変動表示させてもよい。
また、可変表示ユニット85は、図柄表示装置94を囲むようにして形成されたセンターフレーム95を備えており、このセンターフレーム95によって遊技領域PEを流下する遊技球が図柄表示装置94に衝突することが回避されている。
ここで、図8(b)を参照して、遊技盤80の合板80Pに取り付けられたセルシート80Sについて補足説明する。セルシート80Sは、光透過性を有する樹脂材料、例えばキャブロイド(登録商標)等で形成された樹脂シート80aSが表側、レンズホロフィルム80bSが裏側となるようにして接着剤で固定されてなり、樹脂シート80aSを通じてレンズホロフィルム80bSを透視可能となっている。
樹脂シート80aSの背面には、パチンコ機10の機種に関する絵柄等がオフセット印刷により描画又は着色されている。この絵柄等によってパチンコ機10の意匠性の向上が図られている。
レンズホロフィルム80bSは、表側から順にアルミ蒸着が施されたPETレンズエンボスフィルムと片面コート紙とが配され、それら両者が2液アクリル系粘着材によって固定されてなる。PETレンズエンボスフィルムについては、縦横に配列された複数の半円形のレンズ部を有し、遊技機正面側から遊技盤80を見た場合に、遊技盤80に奥行きがあるかのような印象を遊技者に与えやすくなっている。
特に、キャブロイドに表示されている絵柄の輪郭を明瞭なものとすることで、奥行き感を薄れることを抑制している。また、当該絵柄には暖色系よりも寒色系のインクを多く用いることで、更なる奥行き感の向上が図られている。
既に説明したように、前扉枠14に設けられたサイドランプ部26については、遊技機中央側を向いている部分が発光しているかのようにして光を照射する機能を有している。サイドランプ部26から照射された光の一部は、遊技盤80のセルシート80Sに到達し、レンズホロフィルム80bSによって遊技機正面側へ反射されることとなる(図6の一点鎖線参照)。
これにより、遊技者に対して、あたかも遊技盤80自体が発光しているかのように、又は遊技盤80の後方に配置された発光体からの光が遊技盤80を通じて照射されているかのように印象付けることが可能となっている。特に、レンズホロフィルム80bSにおいては半円形のレンズ部を多用することで、遊技者に実際の光源よりも多くの光源を有しているかのように錯覚させることが可能となっている。
なお、本実施の形態においては、PETレンズエンボスフィルムが半円形のレンズ部を有する構成としたが、これに限定されるものではなく、角形のレンズ部を有する構成としてもよい。本願発明においては、レンズ部の中心からの距離に応じて多様な奥行きを表現できるの対して、角形のレンズ部を採用することで一様に整った奥行きを表現できる。
再び図7を用いて説明すれば、樹脂ベース60における遊技盤収容部61(遊技盤80)の下方には、遊技球発射ハンドル45の操作に基づいて遊技領域PEへ遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。遊技球発射機構110は、所定の発射待機位置に配置された遊技球を打ち出すソレノイド111と、同ソレノイド111によって打ち出された遊技球の発射方向を規定する発射レール112と、上記発射待機位置に遊技球を供給する球送装置113と、それら各種構成111〜113が装着されているベースプレート114とを主要な構成として備えており、同ベースプレート114が後述する補強プレートを介して樹脂ベース60に取り付けられている。
発射レール112は、遊技盤80側に向けて上り傾斜となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート114に固定されている。発射レール112の下流側の端部(すなわち下端部)寄りとなる位置には、球送装置113から供給された遊技球を上述した発射待機位置に留める球ストッパが配されている。球ストッパよりも更に下流側となる位置に、上記ソレノイド111が配置されている。
ソレノイド111は、後述する電源・発射制御装置に対して電気的に接続されている。その電源・発射制御装置からの電気的な信号の出力に基づいてソレノイド111の出力軸が伸縮方向に往復動することにより、発射待機位置に置かれた遊技球が遊技盤80側、詳しくは遊技盤80に装着された誘導レール100に向けて打ち出される。
誘導レール100は、後述する遊技領域区画部材と共に遊技領域PEを同遊技領域PEの外形が略円形状となるように区画形成している。また、誘導レール100は、遊技球の直径よりも若干大きな隙間を隔てて対峙するように配置された内レール101及び外レール102からなり、それら両レール101,102によって一条の誘導通路103が区画形成されている。誘導通路103は、発射レール112の先端側(斜め下方)に開放された入口部分104と、遊技領域PEの上部に位置する出口部分105とを有している。ソレノイド111の動作に基づいて発射された遊技球は、発射レール112→誘導レール100(入口部分104→出口部分105)の順に移動することにより遊技領域PEに導かれる。なお、遊技盤80において出口部分105の先側、詳しくは内レール101の先端付近には、遊技領域PEに到達した遊技球の同誘導通路103内への逆戻りを防止する逆戻り防止部材106が取り付けられており、先んじて遊技領域PEに至った遊技球によって後続する遊技球の打ち出しが妨げられることを抑制している。
誘導レール100を構成している各レール101,102は、遊技領域PEの略中央部分を中心とする円弧状をなしている。このため、誘導通路103を通過する遊技球は、自身に発生する遠心力により外レール102に沿って、すなわち外レール102に接触したまま移動(摺動又は転動)しやすくなっている。
誘導レール100は、遊技球発射ハンドル45が遊技球を遊技領域PEに到達させることができる程度に操作された場合に、すなわち遊技球発射ハンドル45の操作量が第1の規定量を超えた場合に、発射レール112から打ち出された遊技球が当該誘導レール100の入口部分104、詳しくは外レール102において発射レール112の延長上に位置する特定部位に着地するように形成されている。
外レール102は、その特定部位における接線の向きが発射レール112のレール方向と略同一となるように形成されている。発射された遊技球の移動方向と、特定部位における接線の方向とを揃えることにより、遊技球の着地によって生じる衝撃を低減するとともに同遊技球の跳ね返りを抑え、誘導レール100によるそれら遊技球の円滑な誘導を可能としている。
なお、図8に示すように、外レール102は、当該外レール102を遊技盤80に対して固定する固定手段として複数の固定ピン102aを備えている。固定ピン102aは外レール102に沿って配設されており、それら固定ピン102aの間に上記特定部位が設定されている。これにより、特定部位での外レール102の若干の撓み変形(弾性変形)を許容し、同特定部位に遊技球が着地した際の衝撃を低減することが可能となっている。
図7に示すように、誘導レール100及び発射レール112は、同誘導レール100の入口部分104と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁を挟んで斜めに対峙するように配置されている。つまり、それら両レール100,112は、同誘導レール100の入口部分104と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁近傍にて左右にずれるようにして配置されている。これにより両レール100,112を遊技盤80の下端縁に近づけつつ、誘導レール100の入口部分104と発射レール112との間には所定間隔の隙間を形成している。
このようにして形成された隙間よりも下側にはファール球通路55(図3参照)が配設されている。ファール球通路55は前扉枠14の通路形成ユニット50に一体成形されている。仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導通路103内を逆戻りする場合には、それらファール球が上記隙間を介してファール球通路55内に入ることとなる。ファール球通路55は前扉側下皿通路52に通じており、ファール球通路55に入った遊技球は図1等に示した下皿29aに排出される。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
また、樹脂ベース60には、遊技盤収容部61からの遊技盤80の取り外しを不可とするロック状態と、同遊技盤80の取り外しを許容するアンロック状態とに切替可能なロック装置が複数設けられている。ロック装置はロック状態にて遊技盤80の前面に当接する当接部を有しており、同当接部が遊技盤80の前面に当接することによって遊技盤80の前扉枠14側への変位が抑えられることとなる。なお、ロック装置による遊技盤の保持強度は、ガラスユニット30を枠体20に固定するレバー部材23の保持強度よりも高くなるように設定されている。
樹脂ベース60において発射レール112の左方(詳しくは前扉枠14を支持している側)には樹脂ベース60を前後方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔を覆うようにして通路形成部材121が配設されている。通路形成部材121は、樹脂ベース60に対してネジ止めされており、本体側上皿通路122と本体側下皿通路123とを有している。それら本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部材121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニット50の受口部53(図3参照)が入り込んでおり、本体側上皿通路122の下方には前扉側上皿通路51が配置され、本体側下皿通路123の下方には前扉側上皿通路51が配置されている(図7参照)。
樹脂ベース60において通路形成部材121の下方には、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123からの遊技球の流出を規制するシャッタ124が設けられている。シャッタ124は、両通路の出口部分を狭め遊技球の流出を阻止する阻止位置と、遊技球の流出を許容する許容位置との両位置に切り替え可能な状態で樹脂ベース60によって支持されている。また、樹脂ベース60にはシャッタ124を阻止位置に向けて付勢する付勢部材が取り付けられており、前扉枠14を内枠13に対して開いた状態では付勢部材の付勢力によってシャッタ124が阻止位置に留まる構成となっている。これにより、本体側上皿通路122又は本体側下皿通路123に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合に、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が回避されている。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット50に設けられた受口部53により上記付勢力に抗してシャッタ124が許容位置に押し戻される。この状態では、本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路51と、本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路52とがそれぞれ連通し、遊技球の移動が許容されることとなる。
次に、図9に基づき内枠13(樹脂ベース60及び遊技盤80)の背面構成について説明する。図9は内枠13の背面図である。
樹脂ベース60の背面における回動基端側(図9の右側)には、軸受け金具132が取り付けられている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部133が形成されており、これら軸受け部133により内枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。また、樹脂ベース60の背面には、裏パックユニット15を内枠13に固定するための固定レバー134が複数設けられている。
既に説明したように樹脂ベース60における遊技盤収容部61の底部分(すなわち上記対向板部62)には樹脂ベース60の厚さ方向に貫通し同樹脂ベース60の背面側に開放された中央開口64が形成されており、その中央開口64が遊技盤収容部61に収容された遊技盤80によって内枠13の正面側から覆われている。遊技盤80の背面には制御装置等の各種構成が搭載されており、それら各種構成は中央開口64を通じて内枠13の背側に露出した状態となっている。ここで、図10に基づき遊技盤80の背面の構成について詳細に説明する。図10は遊技盤80を後方から見た斜視図である。
遊技盤80の背面には、可変表示ユニット85(図8参照)を遊技盤80に対して搭載する合成樹脂製の台座部材141が固定されている。台座部材141は、遊技盤80側に開放された略箱状をなしており遊技盤80の背面のほぼ全域を覆っている。台座部材141の一部は樹脂ベース60の中央開口64を通じて同樹脂ベース60の背面側に突出しており、その突出した部分に対して上述した図柄表示装置94(図8参照)と、その図柄表示装置94を駆動するための表示制御装置とが取り付けられている。これら図柄表示装置94及び表示制御装置は前後方向(樹脂ベース60の厚さ方向)に図柄表示装置が前側且つ表示制御装置が後側となるように重ねて配置されている。さらに、遊技盤80には、表示制御装置の後方に位置するようにして音声ランプ制御装置ユニット142が搭載されている。音声ランプ制御装置ユニット142は、音声ランプ制御装置143と、取付台144とを具備する構成となっており、取付台144上に音声ランプ制御装置143が装着されている。
音声ランプ制御装置143は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
音声ランプ制御装置ユニット142の下方には、台座部材141を後方から覆うようにして主制御装置ユニット160が設けられている。主制御装置ユニット160は、遊技盤80の背面に固定された合成樹脂製の取付台161と、その取付台161に搭載された主制御装置162とを有している。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としてのボックス封印部164によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。ボックス封印部164は、基板ボックス163の短辺部に複数設けられ、そのうち少なくとも1つが用いられて封印処理が行われる。
ボックス封印部164はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、ボックス封印部164を構成する係止孔部に係止ピンを挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。ボックス封印部164による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、複数のボックス封印部164のうち、少なくとも1つの係止孔部に係止ピンを挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止ピンが挿入されたボックス封印部と基板ボックス163本体との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の係止孔部に係止ピンを挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
基板ボックス163と取付台161とは台座封印部165によって開封不能に連結されている。詳しくは、台座封印部165は、ボックス封印部164と同様に係止孔部及び係止ピンを有しており、係止孔部に対して係止ピンが挿入されることで基板ボックス163と取付台161とが分離不能に結合されるようになっている。これにより、基板ボックス163の不正な取り外しが行われた場合に、その事実を把握しやすくなっている。
台座部材141において遊技盤80の背面と対向している部分には、前記一般入賞口81,可変入賞装置82,上作動口83a,下作動口83bの遊技盤開口部に対応し且つ下流側で1カ所に集合する回収通路が形成されている。これにより、一般入賞口81等に入賞した遊技球は何れも回収通路を介して遊技盤80の下方に集合する構成となっている。つまり、台座部材141には各種入賞口に入賞した遊技球を回収する機能が付与されている。
遊技盤80の下方には後述する排出通路が配されており、回収通路によって遊技盤80の下方に集合した遊技球は排出通路内に導出される。なお、アウト口86についても同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球はアウト口86を介して排出通路内に導出される。
また、上記回収通路には、遊技盤80表側の一般入賞口81に入賞した遊技球を検知する入賞口スイッチと、可変入賞装置82に入賞した遊技球を検知するカウントスイッチと、作動口83a,83bに入った遊技球を検知する作動口スイッチとが装着されており、それら各種スイッチによって入賞検知機構が構成されている。更に、台座部材141において可変表示ユニット85の左右両側には、スルーゲート84を通過する遊技球を検知するゲートスイッチが設けられている。これら各種スイッチは主制御装置162に対して電気的に接続されており、各スイッチによる検知情報が同主制御装置162に出力される構成となっている。
次に、図4及び図11に基づき裏パックユニット15について説明する。図11は裏パックユニット15の正面図である。
図4に示したように、内枠13は裏パックユニット15によって後方から覆われている。裏パックユニット15は、図11に示すように、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。
裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット85を囲むのに十分な大きさを有する。
ベース部211には、その右上部に外部出力端子板213が設けられている。外部出力端子板213には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置(ホールコンピュータHC)へ各種信号が出力される。また、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン214が設けられており、掛止ピン214を内枠13に設けられた前記軸受け部133に挿通させることで、裏パックユニット15が内枠13に対して回動可能に支持されている。ベース部211には、内枠13に設けられた固定レバー134が挿通される複数の挿通部215が形成されており、固定レバー134が挿通部215に挿通された状態にてベース部211に後方から当接することにより内枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。払出機構部202には、裏パック201の最上部に配されているとともに上方に開口したタンク221が設けられており、遊技ホールの島設備から供給される遊技球がそのタンク221に逐次補給される。タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール222が連結され、タンクレール222の下流側には上下方向に延びるケースレール223が連結されている。ケースレール223の最下流部には払出装置224が設けられている。払出装置224より払い出された遊技球は、当該払出装置224の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部225に供給される。
遊技球分配部225は、払出装置224より払い出された遊技球を上皿28a、下皿29a又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部が上述した本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路を介して上皿28aに通じ、外側の開口部が本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路を介して下皿29aに通じるように形成されている。
ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤には、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路が形成されており、当該排出通路の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路等から排出通路に導出された遊技球は当該排出通路を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台241を有し、取付台241に払出制御装置242と電源・発射制御装置243とが搭載されている。これら払出制御装置242と電源・発射制御装置243とは、払出制御装置242がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置242においては基板ボックス244内に払出装置224を制御する払出制御基板が収容されており、当該払出制御基板に設けられた状態復帰スイッチ245が基板ボックス244外に突出している。例えば、払出装置224における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ245が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源・発射制御装置243は、基板ボックス246内に電源・発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル45の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源・発射制御装置243には電源スイッチ247が設けられている。電源スイッチ247を操作することにより、パチンコ機10の電源を投入状態(オン状態)又は遮断状態(オフ状態)に切り替え可能となっている。
ここで、本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持される。上記主制御装置162には、RAM消去スイッチ166が設けられている。当該RAM消去スイッチ166を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
<パチンコ機10の電気的構成>
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図12のブロック図に基づいて説明する。
主制御装置162に設けられた主制御基板401には、MPU402が搭載されている。MPU402は、当該MPU402により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM403と、そのROM403内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM404と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵された素子である。なお、MPU402が有する機能の一部、例えば、ROM403の機能やRAM404の機能などを別の素子として有する構成としてもよい。
MPU402には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU402の入力側には、主制御装置162に設けられた停電監視基板405、払出制御装置242及び各種検知センサ311a〜311eなどが接続されている。この場合に、停電監視基板405には電源・発射制御装置243が接続されており、MPU402には停電監視基板405を介して電力が供給される。また、各種検知センサ311a〜311eの一部として、一般入賞口81、可変入賞装置82、上作動口83a、下作動口83b及びスルーゲート84などの各種入賞対応入球部(払出対応入球部)に設けられた検知センサがそれぞれ接続されており、これら検知センサからの検知情報(検知信号)に基づいて主制御装置162のMPU402により各入球部への入賞判定(入球判定)が行われる。また、MPU402では、上作動口83a及び下作動口83bへの入賞に基づいて大当たり発生抽選を実行するとともに、スルーゲート84への入賞に基づいてサポート発生抽選を実行する。
MPU402の出力側には、停電監視基板405、払出制御装置242及び音声ランプ制御装置143が接続されている。払出制御装置242には、例えば、上述した作動口83a,83b等の入賞対応入球部への入賞判定結果に基づいて賞球コマンドが出力される。この場合、賞球コマンドの出力に際しては、ROM403のコマンド情報記憶エリア425が参照される。そして、一般入賞口81への入賞を特定した場合には10個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、可変入賞装置82への入賞を特定した場合には15個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、上作動口83aへの入賞を特定した場合には3個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、下作動口83bへの入賞を特定した場合には4個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力される。
音声ランプ制御装置143には、主制御装置162から変動用コマンド、種別コマンド、変動終了コマンド、オープニングコマンド及びエンディングコマンドなどの各種コマンドが出力される。この場合、これら各種コマンドの出力に際しては、ROM403のコマンド情報記憶エリア425が参照される。これら各種コマンドの詳細については、後に説明する。なお、上記各コマンドは、所定のバイト数の情報として構成されており、当該所定のバイト数の情報として各種情報が含まれている。
また、MPU402の出力側には、可変入賞装置82の開閉扉を開閉動作させる可変入賞駆動部82c、下作動口83bの電動役物83cを開閉動作させる電動役物駆動部83d、及びメイン表示部90が接続されている。主制御基板401には各種ドライバ回路が設けられており、当該ドライバ回路を通じてMPU402は各種駆動部の駆動制御を実行する。
つまり、開閉実行モードにおいては大入賞口82aが開閉されるように、MPU402において可変入賞駆動部82cの駆動制御が実行される。また、電動役物83cのサポート抽選に当選した場合には、電動役物83cが開閉されるように、MPU402において電動役物駆動部83dの駆動制御が実行される。また、MPU402によってメイン表示部90の表示制御が実行される。
さらには、MPU402の出力側に外部出力端子板213が接続されており、この外部出力端子板213を通じて遊技ホール側の管理制御装置(ホールコンピュータHC)に対して各種入球部への入球情報や大当たり等の抽選結果に関する情報が出力される。これにより、ホールコンピュータHCにてパチンコ機10の状態等を把握することが可能となっている。
停電監視基板405は主制御基板401と電源・発射制御装置243とを中継しており、同停電監視基板405には電源・発射制御装置243から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する機能が付与されている。払出制御装置242は、主制御装置162から入力した賞球コマンドに基づいて、払出装置224により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。
電源・発射制御装置243は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御基板401や払出制御装置242等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を所定の電力経路を通じて供給する。また、電源・発射制御装置243は、遊技球発射機構110の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構110は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
音声ランプ制御装置143は、主制御装置162から入力した各種コマンドに基づいて、前扉枠14に設けられた表示ランプ部24〜26やスピーカ部27等を駆動制御するとともに、表示制御装置500を制御するものである。
表示制御装置500では、音声ランプ制御装置143から入力したコマンドに基づいて、図柄表示装置94の表示制御を実行する。この場合に、音声ランプ制御装置143では、主制御装置162から入力した各種コマンドに基づいて、図柄表示装置94における図柄の変動表示態様(例えばリーチ発生の有無及びリーチ演出の内容等)や図柄の停止表示態様(変動表示の終了に伴い最終的に停止表示させる図柄の組み合わせの種類)を決定する。
ここで、各遊技回の図柄の変動表示に係る構成及び同変動表示の内容について説明する。なお、以下の説明においては適宜図13を参照する。図13は図柄表示装置の表示画面における表示内容を説明するための説明図である。
図6(a)に示すように、図柄表示装置94の表示画面94aには、上段・中段・下段の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が設定されている。各図柄列Z1〜Z3は、主図柄と副図柄が所定の順序で配列されて構成されている。そして、表示画面94aでは、これら各図柄列Z1〜Z3の図柄が周期性をもって所定の向き(具体的には、右から左)にスクロールするように変動表示される。この場合、上図柄列Z1には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の降順に配列されるとともに、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。下図柄列Z3には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の昇順に配列されるとともに、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、上図柄列Z1と下図柄列Z3は18個の図柄により構成されている。これに対し、中図柄列Z2には、数字の昇順に「1」〜「9」の9種類の主図柄が配列された上で「9」の主図柄と「1」の主図柄との間に「4」の主図柄が付加的に配列され、これら各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、中図柄列Z2に限っては、10個の主図柄が配されて20個の図柄により構成されている。
また、図6(b)に示すように、表示画面94aは、図柄列毎に3個の図柄が停止表示されるようになっており、結果として3×3の計9個の図柄が停止表示されるようになっている。また、表示画面94aには、5つの有効ライン、すなわち左ラインL1、中ラインL2、右ラインL3、右下がりラインL4、右上がりラインL5が設定されている。そして、上図柄列Z1→下図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示が停止し、いずれかの有効ラインに所定の図柄の組み合わせ(例えば同一の数字が付された図柄の組み合わせ)が形成された状態で全図柄列Z1〜Z3の変動表示が終了すれば、通常大当たり結果又は確変大当たり結果の発生として大当たり動画が表示されるようになっている。
なお、上記のように各図柄列の変動表示が停止されることに鑑みれば、上図柄列Z1を第1図柄列(又は第1絵柄列)、下図柄列Z3を第2図柄列(又は第2絵柄列)、中図柄列Z2を第3図柄列(又は第3絵柄列)と称することができる。
上記各主図柄のうち、奇数番号(1,3,5,7,9)が付された主図柄は「特定図柄」に相当し、確変大当たり結果が発生する場合には、例えば同一の特定図柄の組み合わせが停止表示される。また、偶数番号(2,4,6,8)が付された主図柄は「非特定図柄」に相当し、通常大当たり結果が発生する場合には、例えば同一の非特定図柄の組み合わせが停止表示される。
なお、図柄表示装置94における図柄の変動表示の態様は上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数などは適宜変更可能である。例えば、複数の図柄列を横並びとなるように設定し、図柄列における図柄の変動表示の方向を縦方向に設定してもよい。
表示画面94aの下部、詳しくは個別に設定された上図柄列の変動表示領域と中図柄の変動表示領域と下図柄の変動表示領域とを有してなる変動表示領域の下方には、保留表示領域が設定されている。当該保留表示領域は、遊技球が上作動口83aに入賞した場合の最大保留個数と同一の数の単位保留表示領域が左右方向に並ぶようにして区画表示された上作動口用の保留数表示領域Daと、遊技球が下作動口83bに入賞した場合の最大保留個数と同一の数の単位保留表示領域が左右方向に並ぶようにして区画表示された下作動口用の保留数表示領域Dbとによって構成されている。
具体的には、遊技球が上作動口83aに入賞した場合の最大保留個数は4個であり、これに対応させて上作動口用の保留数表示領域Daには、第1単位保留表示領域、第2単位保留表示領域、第3単位保留表示領域、第4単位保留表示領域が設定されている。また、遊技球が下作動口83bに入賞した場合の最大保留個数は4個であり、これに対応させて下作動口用の保留数表示領域Dbには、第1単位保留表示領域、第2単位保留表示領域、第3単位保留表示領域、第4単位保留表示領域が設定されている。
例えば、遊技球が上作動口83aに入賞した場合の保留個数が1個の場合には、第1単位保留表示領域のみにて所定の保留用画像が表示され、遊技球が上作動口83aに入賞した場合の保留個数が4個の場合には、第1単位保留表示領域〜第4単位保留表示領域の全てにおいて所定の保留用画像が表示される構成となっている。なお、図13(b)においては、上作動口83aにおける保留個数が3個であり、下作動口83bにおける保留個数が2個である場合について例示している。
<各種カウンタについて>
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
MPU402は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり発生抽選、メイン表示部90の表示の設定、図柄表示装置94の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図14の概略図に示すように、大当たり発生の抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、確変大当たり結果や通常大当たり結果等の大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置94が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、図柄表示装置94における変動表示時間を決定する変動種別カウンタCSとを用いることとしている。さらに、下作動口83bの電動役物83cを電役開放状態とするか否かの抽選に使用する電動役物開放カウンタC4を用いることとしている。
各カウンタC1〜C3,CINI,CS,C4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM404の所定領域に設定された抽選カウンタ用バッファ431に適宜格納される。抽選カウンタ用バッファ431において、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3に対応した情報は、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞が発生した場合に、取得情報記憶手段としての保留球格納エリア432に格納される。
保留球格納エリア432は、上作動口用保留エリアRa及び下作動口用保留エリアRbからなる保留エリアREと、実行エリアAEとを備えている。保留エリアRa,Rbは、第1エリアRa1,Rb1、第2エリアRa2,Rb2、第3エリアRa3,Rb3、第4エリアRa4,Rb4を備えており、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞履歴に合わせて、抽選カウンタ用バッファ431に格納されている大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報が保留情報として、いずれかのエリアRa1〜Ra4,Rb1〜Rb4に格納される。なお、当該保留情報が特別情報に相当する。
この場合、第1エリアRa1,Rb1〜第4エリアRa4,Rb4には、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞が複数回連続して発生した場合に、第1エリアRa1,Rb1→第2エリアRa2,Rb2→第3エリアRa3,Rb3→第4エリアRa4,Rb4の順に各数値情報が時系列的に格納されていく。このようにそれぞれ4つのエリアRa1〜Ra4,Rb1〜Rb4が設けられていることにより、上作動口83a又は下作動口83bへの遊技球の入賞履歴がそれぞれ最大4個まで保留記憶されるようになっている。また、保留球格納エリア432には総保留数記憶領域が設けられており、当該総保留数記憶領域には上作動口83a又は下作動口83bへの入賞履歴を保留記憶している数を特定するための情報が格納される。
実行エリアAEは、メイン表示部90の変動表示を開始する際に、保留エリアREの第1エリアRa1,Rb1に格納された各値を移動させるためのエリアであり、1遊技回の開始に際しては実行エリアAEに記憶されている各種数値情報に基づいて、当否判定などが行われる。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜299の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり299)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜599)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が上作動口83a又は下作動口83bに入賞したタイミングでRAM404の保留球格納エリア432に格納される。
大当たり当選となる乱数の値は、ROM403における当否情報群記憶手段としての当否テーブル記憶エリア421に当否テーブル(当否情報群)として記憶されている。ここで、当否テーブルの内容について説明する。
当否テーブルには、2進数の情報からなるアドレス情報と、同じく2進数の情報からなる大当たり数値情報とが1対1で対応させて設定されている。具体的には、アドレス情報は10進数で表して「1」〜「10」の10種類が設定されているとともに、大当たり数値情報は10進数で表して「7」,「36」,「67」,「100」,「131」,「164」,「195」,「223」,「241」,「272」の10種類が設定されており、これらアドレス情報と大当たり数値情報とが1対1で対応付けられている。各大当たり数値情報の数値は、大当たり乱数カウンタC1において更新され得る乱数情報の数値範囲である「0」〜「299」に含まれている。
ここで、本パチンコ機10では、当否抽選手段における抽選モードとして、低確率モード(低確率状態)と高確率モード(高確率状態)とが設定されている。そして、低確率モードにおいて参照される大当たり数値情報の数と、高確率モードにおいて参照される大当たり数値情報の数とが異なっており、前者の方が後者よりも少ない数となっている。具体的には、低確率モードにおいては当否抽選に際して、アドレス情報が「1」である大当たり数値情報のみが参照され、高確率モードにおいては当否抽選に際して、全てのアドレス情報に対応した大当たり数値情報が参照される。つまり、低確率モードでは大当たり当選となる数値情報が1個であり、高確率モードでは低確率モードよりも多い10個である。これにより、低確率モードにおいて大当たり当選となる確率が1/300であるのに対して高確率モードにおいて大当たり当選となる確率が1/30であり、高確率モードの方が低確率モードよりも大当たり当選となる確率が高くなる。なお、低確率モードよりも高確率モードの方の当選確率が高くなるのであれば、上記当選となる乱数の数及び値は任意である。
大当たり種別カウンタC2は、0〜29の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。大当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が上作動口83a又は下作動口83bに入賞したタイミングでRAM404の保留球格納エリア432に格納される。
ここで、本パチンコ機10では、(1)開閉実行モード終了後の当否抽選手段における当否抽選モード、(2)開閉実行モード終了後の下作動口83bの電動役物83cにおけるサポートモード、という2つの条件に差異を設けることにより、複数種の大当たり結果が設定されている。当否抽選モードとしては、上述したとおり低確率モードと高確率モードとが設定されている。
サポートモードとしては、遊技領域PEに対して同様の態様で遊技球の発射が継続されている状況で比較した場合に、下作動口83bの電動役物83cが単位時間当たりに開放状態となる頻度が相対的に高低となるように、低頻度サポートモード(低頻度サポート状態又は低頻度ガイド状態)と高頻度サポートモード(高頻度サポート状態又は高頻度ガイド状態)とが設定されている。
具体的には、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとでは、電動役物開放カウンタC4を用いた電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率は同一(例えば、共に4/5)となっているが、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、電役開放状態当選となった際に電動役物83cが開放状態となる回数が多く設定されており、さらに1回の開放時間が長く設定されている。この場合、高頻度サポートモードにおいて電役開放状態当選となり電動役物83cの開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間は、1回の開放時間よりも短く設定されている。さらにまた、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間として短い時間が選択されるように設定されている。
上記のように高頻度サポートモードでは、低頻度サポートモードよりも下作動口83bへの入賞が発生する確率が高くなる。換言すれば、低頻度サポートモードでは、下作動口83bよりも上作動口83aへの入賞が発生する確率が高くなるが、高頻度サポートモードでは、上作動口83aよりも下作動口83bへの入賞が発生する確率が高くなる。そして、下作動口83bへの入賞が発生した場合には、所定個数の遊技球の払出が実行されるため、高頻度サポートモードでは、遊技者は持ち球をあまり減らさないようにしながら遊技を行うことができる。
なお、高頻度サポートモードにおいて低頻度サポートモードよりも単位時間当たりに電役開放状態となる頻度を高くする上での構成は、上記のものに限定されることはなく、例えば電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率を高くする構成としてもよい。また、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間(例えば、スルーゲート84への入賞に基づき役物用結果表示部にて実行される変動表示の時間)が複数種類用意されている構成においては、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、短い確保時間が選択され易い又は平均の確保時間が短くなるように設定されていてもよい。さらには、開放回数を多くする、開放時間を長くする、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間を短くする(すなわち、役物用結果表示部における1回の変動表示時間を短くする)、係る確保時間の平均時間を短くする及び当選確率を高くするのうち、いずれか1条件又は任意の組み合わせの条件を適用することで、低頻度サポートモードに対する高頻度サポートモードの有利性を高めてもよい。
大当たり種別カウンタC2に対する遊技結果の振分先は、ROM403における振分情報群記憶手段としての振分テーブル記憶エリアに振分テーブル(振分情報群)として記憶されている。そして、かかる振分先として、通常大当たり結果(低確率対応特別遊技結果)と、確変大当たり結果(高確率対応特別遊技結果)とが設定されている。
通常大当たり結果は、開閉実行モードの終了後に、当否抽選モードが低確率モードとなるとともに、サポートモードが移行後において遊技回数が終了基準回数(具体的には、100回)となるまで高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。なお、終了基準回数が経過した後に、低頻度サポートモードに移行する。
確変大当たり結果は、開閉実行モードの終了後に、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。当該高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり状態当選となり、それによる開閉実行モードに移行するまで継続する。
振分テーブルにおいて、「0〜9」が通常大当たり結果に対応しており、「10〜29」が確変大当たり結果に対応しているが、この数値の振分は任意である。また、大当たり結果の振分先は、上記の2種類に限定されることはなく、例えば、開閉実行モードにおいて遊技球の獲得期待値が高低となるように複数のモードを設定し、当該開閉実行モードの移行先のモードに差異を設けることで大当たり結果の種別を上記の2種類よりも増やす構成としてもよい。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に更新され、遊技球が上作動口83a又は下作動口83bに入賞したタイミングでRAM404の保留球格納エリア432に格納される。より詳しくは、上作動口83a又は下作動口83bに遊技球が入賞したタイミングでRAM404の保留エリアREに格納される。そして、ROM403のリーチ用テーブル記憶エリアに記憶されたリーチ用テーブルに基づいてリーチを発生させるか否かを決定することとしている。但し、開閉実行モードに移行する遊技回においては、MPU402では、リーチ乱数カウンタC3の値に関係なくリーチ発生の決定を行う。なお、リーチ表示の発生に対応したリーチ乱数カウンタC3の数は、各遊技状態において同一となっているが、遊技状態に応じて各々個別に設定されるものであってもよい。例えば、サポートモードが高頻度サポートモードである場合の方が、低頻度サポートモードよりも、リーチ表示の発生に対応したリーチ乱数カウンタC3の数が多く設定された構成としてもよい。
ここで、リーチ表示(リーチ状態)とは、図柄(絵柄)の変動表示(又は可変表示)を行うことが可能な図柄表示装置94を備え、可変入賞装置82の開閉実行モードが高頻度入賞モードとなる遊技回では変動表示後の停止表示結果が特別表示結果となる遊技機において、図柄表示装置94における図柄(絵柄)の変動表示(又は可変表示)が開始されてから停止表示結果が導出表示される前段階で、前記特別表示結果となり易い変動表示状態であると遊技者に思わせるための表示状態をいう。
換言すれば、図柄表示装置94の表示画面94aに表示される複数の図柄列のうち一部の図柄列について図柄を停止表示させることで、高頻度入賞モードの発生に対応した大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性があるリーチ図柄の組み合わせを表示し、その状態で残りの図柄列において図柄の変動表示を行う表示状態のことである。
より具体的には、図柄の変動表示を終了させる前段階として、図柄表示装置94の表示画面94a内の予め設定された有効ライン上に、高頻度入賞モードの発生に対応した大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性のあるリーチ図柄の組み合わせを停止表示させることによりリーチラインを形成させ、当該リーチラインが形成されている状況下において最終停止図柄列により図柄の変動表示を行うことである。
図13を参照してリーチ表示の表示内容について具体的に説明すると、最初に上段の図柄列Z1において図柄の変動表示が終了され、さらに下段の図柄列Z3において図柄の変動表示が終了された状態において、いずれかの有効ラインL1〜L5に同一の数字が付された主図柄が停止表示されることでリーチラインが形成され、当該リーチラインが形成されている状況下において中段の図柄列Z2において図柄の変動表示が行われることでリーチ表示となる。そして、高頻度入賞モードが発生する場合には、リーチラインを形成している主図柄と同一の数字が付された主図柄がリーチライン上に停止表示されるようにして中段の図柄列Z2における図柄の変動表示が終了される。
また、リーチ表示には、上記のようにリーチ図柄の組み合わせを表示した状態で、残りの図柄列において図柄の変動表示を行うとともに、その背景画面において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものや、リーチ図柄の組み合わせを縮小表示させる又は非表示とした上で、表示画面の略全体において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものが含まれる。また、リーチ表示が行われている場合又はリーチ表示の前に所定のキャラクタといった所定画像を用いた予告表示を行うか否かの決定を、リーチ乱数カウンタC3やその他のカウンタを用いて行うようにしてもよい。
変動種別カウンタCSは、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSは、メイン表示部90における変動表示時間と、図柄表示装置94における図柄の変動表示時間とをMPU402において決定する上で用いられる。変動種別カウンタCSは、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、図柄表示装置94による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSのバッファ値が取得される。
電動役物開放カウンタC4は、例えば、0〜249の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり249)に達した後0に戻る構成となっている。電動役物開放カウンタC4は定期的に更新され、スルーゲート84に遊技球が入賞したタイミングでRAM404の電役保留エリア433に格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された電動役物開放カウンタC4の値によって電動役物83cを開放状態に制御するか否かの抽選が行われる。例えば、C4=0〜199であれば、電動役物83cを開放状態に制御し、C4=200〜249であれば、電動役物83cを開放状態に制御しない。
既に説明したように、MPU402では、少なくとも変動種別カウンタCSのバッファ値を用いて、図柄表示装置94における変動表示時間が決定されるが、その決定に際してはROM403の変動表示時間テーブル記憶エリア423が用いられる。また、MPU402では、実行エリアAEに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値及び大当たり種別カウンタC2の値を用いて、メイン表示部90における停止結果が決定されるが、その決定に際してはROM403の停止結果テーブル記憶エリア424に記憶された停止結果テーブルが参照される。
<主制御装置162にて実行される各種処理について>
次に、主制御装置162内のMPU402にて各遊技回での遊技を進行させる上で実行されるタイマ割込み処理及び通常処理を説明する。なお、MPU402では、上記タイマ割込み処理及び通常処理の他に、電源投入に伴い起動されるメイン処理やNMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理が実行されるが、これらの各種処理については説明を省略する。
<タイマ割込み処理>
先ず、タイマ割込み処理について、図15のフローチャートを参照しながら説明する。本処理はMPU402により定期的に(例えば2msec周期で)起動される。
ステップS101では、各種検知センサ311a〜311eの読み込み処理を実行する。すなわち、主制御装置162に接続されている各種検知センサ311a〜311eの状態を読み込むとともに、当該検知センサの状態(検知センサからの検知情報)を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。例えば、上作動口83aへの入球が発生したと判定した場合には、RAM404の各種フラグ格納エリア435に上作動口用の入賞検知フラグを格納し、下作動口83bへの入球が発生したと判定した場合には、同各種フラグ格納エリア435に下作動口用の入賞検知フラグを格納する。また、スルーゲート84を遊技球が通過したと判定した場合には、RAM404の各種フラグ格納エリア435にスルーゲート用の入賞検知フラグを格納する。
その後、ステップS102では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントするとともに、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM404の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS103では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4をそれぞれ1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM404の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS104では、スルーゲート84への入賞に伴うスルー用の入賞処理を実行する。スルー用の入賞処理では、RAM404の各種フラグ格納エリア435にスルーゲート用の入賞検知フラグが格納されているか否かを判定し、同フラグが格納されている場合には電役保留エリアに記憶されている役物保留記憶数が4未満であることを条件として、前記ステップS103にて更新した電動役物開放カウンタC4の値を電役保留エリアに格納する。また、音声ランプ制御装置143に対して、保留記憶数と対応する可変表示ユニット85の保留ランプ部46を点灯させるための処理を実行する。そして、各種フラグ格納エリア435にスルーゲート用の入賞検知フラグが格納されている場合には、同入賞検知フラグを消去して当該スルーゲート用の入賞処理を終了する。
ステップS104のスルーゲート用の入賞処理を実行した後はステップS105に進み、当該ステップS105にて作動口83a,83bへの入賞に伴う作動口用の入賞処理を実行し、本タイマ割込み処理を終了する。
<作動口用の入賞処理>
ここで、図16及び図17のフローチャートを参照して作動口用の入賞処理について説明する。
ステップS201では、遊技球が上作動口83aに入賞(始動入賞)したか否かをRAM404の各種フラグ格納エリア435に上作動口用の入賞検知フラグが格納されているか否かによって判定する。同入賞検知フラグが格納されていると判定した場合、すなわち遊技球が上作動口83aへの入賞が発生した旨の検知信号を受信した場合には、ステップS202に進み、払出制御装置242に遊技球を3個払い出させるための賞球コマンドをセットする。
続くステップS203では、上作動口83aに遊技球が入賞した旨を示す情報を遊技ホール側のホールコンピュータHCに対して信号出力すべく外部信号設定処理を行う。これにより、上作動口83aへの入賞が発生した旨がホールコンピュータHCにて把握される。
その後、ステップS204では、上作動口用の保留エリアRaの保留数記憶領域に格納された値を読み出し、当該保留エリアRaに保留記憶されている始動保留記憶数RaNをセットする(以下、上作動口用始動保留記憶数RaNともいう)。その後、ステップS205では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を格納する情報取得処理を行い、本入賞処理を終了する。
一方、ステップS201にて遊技球が上作動口83aに入賞していないと判定した場合にはステップS206に進む。ステップS206では、RAM404の各種フラグ格納エリア435に下作動口用の入賞検知フラグが格納されているか否かによって判定する。同入賞検知フラグが格納されていると判定した場合、すなわち遊技球が下作動口83bへの入賞が発生した旨の検知信号を受信した場合には、ステップS207に進み、払出制御装置242に遊技球を4個払い出させるための賞球コマンドをセットする。なお、ステップS202,S207にてセットした賞球コマンドは、後述する通常処理の外部出力処理S401にて払出制御装置242に対して送信される。
続くステップS208では、下作動口83bに遊技球が入賞した旨を示す情報を遊技ホール側のホールコンピュータHCに対して信号出力すべく外部信号設定処理を行う。これにより、下作動口83bへの入賞が発生した旨がホールコンピュータHCにて把握される。
その後、ステップS209では、下作動口用の保留エリアRbの保留数記憶領域に格納された値を読み出し、当該保留エリアRbに保留記憶されている始動保留記憶数RbNをセットする(以下、下作動口用始動保留記憶数RbNともいう)。その後、ステップS205にて情報取得処理を行い、本入賞処理を終了する。
一方、ステップS201,S206の両処理にてそれぞれ否定判定をした場合、すなわち上作動口83a,下作動口83bのいずれにも遊技球が入賞しなかった場合には、そのまま本入賞処理を終了する。
ここで、図17を参照して、ステップS205の情報取得処理について説明する。
<情報取得処理>
情報取得処理においては先ずステップS301にて、上述したステップS204又はステップS209にてセットした始動保留記憶数N(RaN又はRbN)が上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判定する。始動保留記憶数Nが上限値である場合にはそのまま本情報取得処理を終了し、上限値未満である場合には、ステップS302にて対応する結果表示部用保留エリアの始動保留記憶数Nを1インクリメントするとともに、ステップS303にて総保留数記憶領域に格納された値(以下、共通保留数CRNと言う)を1インクリメントする。
続くステップS304では、上記ステップS103にて更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び変動種別カウンタCSの各値を、対応する結果表示部用保留エリアの空き記憶領域エリアのうち最初の記憶エリア、すなわち上記ステップS302にて1インクリメントした保留記憶数と対応する記憶エリアに格納する。
つまり、上作動口用の始動保留記憶数RaNがセットされている場合には、前記ステップS103にて更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び変動種別カウンタCSの各値を、上作動口用の保留エリアRaの空き記憶エリアのうち最初の記憶エリア、すなわち上記ステップS302にて1インクリメントした上作動口用の始動保留記憶数RaNと対応する保留エリアRaに格納する。
また、下作動口用の始動保留記憶数RbNがセットされている場合には、上記ステップS103にて更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、下作動口用の保留エリアRbの空き記憶エリアのうち最初の記憶エリア、すなわち上記ステップS302にて1インクリメントした下作動口用の始動保留記憶数RbNと対応する保留エリアRbに格納する。
続くステップS305及びステップS306では、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞が発生したことをサブ側(副側)の制御装置である音声ランプ制御装置143及び表示制御装置500に認識させるための処理である保留情報の確認処理及び保留コマンドの設定処理を実行する。その後、上記入賞検知フラグが格納されている場合には同フラグを消去し、本情報取得処理を終了する。
ステップS306の保留コマンドの設定処理にて設定された保留コマンドは後述する通常処理の外部出力処理(ステップS401)にて音声ランプ制御装置143に送信されることとなる。なお、ステップS305,S306の各処理についての詳細な説明は後述する。
<通常処理>
次に、通常処理の流れを図18のフローチャートを参照しながら説明する。通常処理は電源投入に伴い起動されるメイン処理が実行された後に開始される処理であり、通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS401〜S406の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS408,S409のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理においては先ず、ステップS401にて外部信号出力処理を実行する。ステップS401の外部信号出力処理では、タイマ割込み処理又は前回の通常処理で設定したコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。具体的には、賞球コマンドの有無を判定し、賞球コマンドが設定されていればそれを払出制御装置242に対して送信する。また、変動用コマンド、種別コマンド、変動終了コマンド等の演出用コマンドが設定されている場合にはそれを音声ランプ制御装置143に対して送信する。
次に、ステップS402では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1インクリメントするとともに、カウンタ値が最大値に達した際にはカウンタ値を0にクリアする。そして、変動種別カウンタCSの更新値を、RAM404の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS403では、各遊技回における遊技を制御するための遊技回制御処理を実行する。この遊技回制御処理では、大当たり判定、図柄表示装置94による図柄の変動表示の設定、メイン表示部90の表示制御などを行う。
ステップS403の遊技回制御処理を実行した後は、ステップS404に進み、遊技状態移行処理を実行する。詳細は後述するが、この遊技状態移行処理により、遊技状態が開閉実行モード、高確率モード、高頻度サポートモードなどに移行する。なお、ステップS403の遊技回制御処理及びステップS404の遊技状態移行処理についての詳細は後述する。
続くステップS405では、下作動口83bに設けられた電動役物83cを駆動制御するための電役サポート用処理を実行する。この電役サポート用処理では、RAM404の電役保留エリア433に格納されている電動役物開放カウンタC4から取得した数値情報を用いて電動役物83cを開放状態とするか否かの電役開放抽選を行うとともに、電役開放状態当選となった場合には電動役物83cの開閉処理を実行する。また、電役開放抽選の抽選結果を教示するように、メイン表示部90の表示制御などを行う。
ここで、既に説明したとおり、電動役物83cによるサポートの態様として、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとが設定されており、遊技状態移行処理にていずれかのサポートモードへの移行が行われる。この処理を経てRAM404の各種フラグ格納エリア435に高頻度サポートフラグがセットされている場合は高頻度サポートモードとなり、当該フラグがセットされていない場合には低頻度サポートモードとなる。
電役サポート用処理では、RAM404の各種フラグ格納エリア435に高頻度サポートフラグがセットされているか否かを判定することで、高頻度サポートモードであるか否かを判定する。そして、高頻度サポートモードである場合には低頻度サポートモードの場合よりも、電役開放状態当選となった際に、電動役物83cが開放状態となる回数を多く設定するとともに、1回の開放時間を長く設定する。また、高頻度サポートモードである場合は、電役開放状態当選となり電動役物83cの開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間が、1回の開放時間よりも短くなるように設定する。
ちなみに、開閉実行モードに移行した場合には、RAM404の各種フラグ格納エリア435に高頻度サポートフラグがセットされていたとしても、サポートモードは強制的に低頻度サポートモードに設定される。
その後、ステップS406では、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、電源・発射制御装置243から発射許可信号を入力していることを条件として、所定期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球発射機構110のソレノイドを励磁する。これにより、遊技球が遊技領域PEに向けて打ち出される。
続くステップS407にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判定する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCSの更新を繰り返し実行する。
つまり、ステップS408では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算するとともに、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM404の該当するエリアに格納する。また、ステップS409では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1加算するとともに、それらのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。そして、変動種別カウンタCSの更新値を、RAM404の該当するエリアに格納する。
ここで、ステップS401〜S406の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCSについてもランダムに更新することができる。
<遊技回制御処理>
次に、ステップS403の遊技回制御処理を図19〜図22のフローチャート等を参照して説明する。
遊技回制御処理においては先ず、図19のフローチャートに示すように、ステップS501にて開閉実行モード中か否かを判定する。開閉実行モード中である場合には、ステップS502以降の処理、すなわちステップS503〜ステップS505の遊技回開始用処理及びステップS506〜ステップS509の遊技回進行処理のいずれも実行することなく、本遊技回制御処理を終了する。
開閉実行モード中でない場合には、ステップS502にて、メイン表示部90の作動口用結果表示部が変動表示中であるか否かを判定する。作動口用結果表示部が変動表示中でない場合には、ステップS503〜ステップS505の遊技回開始用処理に進む。遊技回開始用処理では、先ずステップS503にて、始動保留球の総数(共通保留数CRN)が「0」か否かを判定する。共通保留数CRNが「0」である場合とは、保留球格納エリア432に保留情報が記憶されていないことを意味する。したがって、そのまま本遊技回制御処理を終了する。
一方、共通保留数CRNが「0」でない場合には、ステップS504にて保留球格納エリア432の保留エリアREに記憶されているデータを変動表示用に設定するためのデータ設定処理を実行し、さらにステップS505にてメイン表示部90における変動表示及び図柄表示装置94における変動表示を開始させるための変動開始処理を実行した後に、本遊技回制御処理を終了する。
ここで、ステップS504のデータ設定処理及びステップS505の変動開始処理について詳細に説明する。先ず、ステップS504のデータ設定処理について、図20のフローチャートを参照して説明する。
<データ設定処理>
データ設定処理では、先ず上作動口用の保留エリアRa及び下側作動口用の保留エリアRbに記憶された保留情報のうち最も古いものがどちらの保留エリアRa,Rbに格納されているかを判定する。そして、上述した最も古い保留情報が格納されている保留エリアを対象として、以下の処理を実行する。なお、以下の説明においては、先ず上側作動口用の保留エリアRaが対象となった場合について説明し、その後、下側作動口用の保留エリアRaが対象となった場合について説明する。
ステップS601にて、保留エリアRaの始動保留球数RaN及び共通保留数CRNを1ディクリメントする。続くステップS602にて、保留エリアRaの第1エリアRa1に格納されたデータを実行エリアAEに移動する。
その後、ステップS603にて、保留エリアRaの各エリアRa1〜Ra4に格納されたデータ(すなわち、保留情報)をシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、第1エリアRa1〜第4エリアRa4に格納されているデータを下位エリア側に順にシフトさせる処理であって、第1エリアRa1のデータをクリアするとともに、第2エリアRa2→第1エリアRa1、第3エリアRa3→第2エリアRa2、第4エリアRa4→第3エリアRa3といった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
続くステップS604では、保留エリアのデータのシフトが行われたことを音声ランプ制御装置143に認識させるための情報であるシフト時コマンドを設定する。その後、本データ設定処理を終了する。ステップS604にて設定されたシフト時コマンドは、通常処理(図18)におけるステップS401にて、音声ランプ制御装置143を経由し、表示制御装置500に送信される。表示制御装置500では、シフト時コマンドを受信することで、上作動口用の保留数表示領域Daにおける表示を、保留個数の減少に対応させて変更するための処理を実行する。
一方、下側作動口用の保留エリアRbが対象となった場合についても同様に、先ず、ステップS601にて、保留エリアRbの始動保留球数RbN及び共通保留数CRNを1ディクリメントする。続くステップS602にて、保留エリアRbの第1エリアRb1に格納されたデータを実行エリアAEに移動する。
その後、ステップS603にて、保留エリアRbの各エリアRb1〜Rb4に格納されたデータ(すなわち、保留情報)をシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、第1エリアRb1〜第4エリアRb4に格納されているデータを下位エリア側に順にシフトさせる処理であって、第1エリアRb1のデータをクリアするとともに、第2エリアRb2→第1エリアRb1、第3エリアRb3→第2エリアRb2、第4エリアRb4→第3エリアRb3といった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
続くステップS604では、保留エリアのデータのシフトが行われたことを音声ランプ制御装置143に認識させるための情報であるシフト時コマンドを設定する。その後、本データ設定処理を終了する。ステップS604にて設定されたシフト時コマンドは、通常処理(図12)におけるステップS401にて、音声ランプ制御装置143を経由し、表示制御装置500に送信される。表示制御装置500では、シフト時コマンドを受信することで、下作動口用の保留数表示領域Dbにおける表示を、保留個数の減少に対応させて変更するための処理を実行する。
<変動開始処理>
次に、ステップS505の変動開始処理について、図21のフローチャートを参照して説明する。
変動開始処理では、先ずステップS701にて、今回の変動開始処理にて参照した保留情報が大当たり当選に対応しているか否かを判定するための当否判定処理を実行する。具体的には、実行エリアAEに格納された情報のうち大当たり判定用の情報、すなわち大当たり乱数カウンタC1によって更新された情報から取得した情報を把握する。そして、当否抽選モードが低確率モードである場合には、ROM403の当否テーブル記憶エリア421に記憶された低確率モード用の当否テーブルを参照して、上記把握した情報が大当たり当選に対応した情報に含まれているかを特定し、当否抽選モードが高確率モードである場合には、ROM403の当否テーブル記憶エリア421に記憶された高確率モード用の当否テーブルを参照して、上記把握した情報が大当たり当選に対応した情報に含まれているかを特定する。
続くステップS702では、ステップS701における当否判定処理の結果が大当たり当選に対応した結果であるか否かを判定する。大当たり当選に対応した結果である場合には、ステップS703にて種別判定処理を実行する。
種別判定処理では、実行エリアAEに格納された情報のうち種別判定用の情報、すなわち大当たり種別カウンタC2によって更新された情報から取得した情報を把握する。また、ROM403の振分テーブル記憶エリアに記憶された振分テーブルを参照して、上記把握した種別判定用の情報が確変大当たり結果に対応した情報に含まれているかを特定する。
続くステップS704では、ステップS703における種別判定処理において特定した情報に基づいて今回の大当たり当選の種別が確変大当たり結果であるか否かを判定する。確変大当たり結果である場合には、ステップS705にて確変大当たり用の停止結果設定処理を実行し、確変大当たり結果でない場合には、ステップS706にて通常大当たり用の停止結果設定処理を実行する。また、ステップS702にて大当たり当選ではないと判定した場合には、ステップS707にて外れ時用の停止結果設定処理を実行する。
ステップS705〜ステップS707の各停止結果設定処理では、メイン表示部90に最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報を、ROM403の停止結果テーブル記憶エリア424に記憶されている停止結果テーブルを参照して特定し、その特定した情報をRAM404に記憶する。また、ステップS705及びステップS706では、今回の遊技回の当否判定結果が、確変大当たり結果又は通常大当たり結果であることをMPU402にて特定するための情報をRAM404の各種フラグ格納エリア435に格納する。具体的には、ステップS705では確変大当たりフラグを格納し、ステップS706では通常大当たりフラグを格納する。
ステップS705〜ステップS707のいずれかの処理を実行した後は、ステップS708にて、変動表示時間の設定処理を実行する。
<変動表示時間の設定処理>
変動表示時間の設定処理では、図22のフローチャートに示すように、先ずステップS801にて、上記当否抽選に当選しているか否かを判定する。具体的には、RAM404の各種フラグ格納エリア435に確変大当たりフラグ又は通常大当たりフラグの何れかが格納されているか否かを判定する。
ステップS801にて否定判定をした場合、すなわち上記当否抽選の結果が外れ結果である場合には、ステップS802に進む。ステップS802では、今回の遊技回において図柄表示装置94にてリーチ表示が発生するか否かを判定する。具体的には、実行エリアAEに格納されているリーチ乱数カウンタC3の値がリーチ発生に対応した値である場合には、リーチ表示の発生として、ステップS802にて肯定判定をする。リーチ乱数カウンタC3の値を用いたリーチ発生の有無の特定に際しては、ROM403のリーチ判定用テーブル記憶エリアに記憶されているリーチ判定用テーブルを参照する。
ステップS801及びステップS802の何れか一方にて肯定判定をした場合にはステップS803に進み、ROM403の変動表示時間テーブル記憶エリア423に記憶されているリーチ発生用変動表示時間テーブルを参照して今回の変動種別カウンタCSの値等に対応した変動表示時間情報を取得し、続くステップS804にてその変動表示時間情報をRAM404の各種カウンタエリア434に設けられた変動表示時間カウンタエリア(変動表示時間計測手段)にセットする。その後、本設定処理を終了する。
つまり、本実施の形態においては、当否抽選の結果が大当たり当選結果である場合又は同当否抽選の結果が外れ結果となり且つリーチ発生用の抽選に当選した場合に、リーチ表示を実行する構成となっている。
ここで、リーチ表示には、変動表示態様が互いに異なるノーマルリーチ表示とスーパーリーチ表示とが設けられている。リーチ発生用変動表示時間テーブルには、ノーマルリーチ表示及びスーパーリーチ表示それぞれに対応した変動表示時間情報が設定されており、当該テーブルを参照することによって、それぞれのリーチ表示に対応した変動表示時間情報が取得される。なお、リーチ表示の種類の決定に関しては、リーチ表示の種類と変動種別カウンタCSの値とが対応したテーブルが設けられており、当該テーブルを参照することで、今回の変動種別カウンタCSの値に対応したリーチ表示が決定される。
さらに、リーチ発生用変動表示時間テーブルは、大当たりの種別に対応している。具体的には、確変大当たり結果の場合に、特定図柄の組み合わせを停止表示できるように、変動表示時間が設定されているとともに、通常大当たり結果の場合に、非特定図柄の組み合わせを停止表示できるように、変動表示時間が設定されている。
一方、ステップS802にて否定判定をした場合には、ステップS805にて変動表示時間テーブル記憶エリア423に記憶されているリーチ非発生用変動表示時間テーブルを参照して今回の変動種別カウンタCSの値に対応した変動表示時間を取得し、ステップS806にてその変動表示時間情報を上記変動表示時間カウンタエリアにセットする。その後、本設定処理を終了する。
なお、リーチ非発生時における変動表示時間情報は、始動保留球数Nの数が多いほど変動表示時間が短くなるように設定されている。但し、これに限定されることはなく、例えば、始動保留球数Nの数に依存しない構成としてもよく、始動保留球数Nの数が少ないほど変動表示時間が短くなるように設定されていてもよい。また、サポートモードが高頻度サポートモードである状況においては低頻度サポートモードである状況よりも、保留情報の数が同一である場合で比較して、短い変動表示時間が選択されるようにリーチ非発生用変動表示時間テーブルが設定されているが、これに限定されることはなく、選択される変動表示時間が同一であってもよく、上記の関係とは逆であってもよい。さらには、リーチ発生時における変動表示時間に対して、上記構成を適用してもよく、大当たり当選時と外れリーチ時とで選択され易い変動表示時間と選択され難い変動表示時間とが異なっている構成としてもよい。また、確変大当たり用の変動表示時間テーブル、通常大当たり用の変動表示時間テーブル、外れリーチ用の変動表示時間テーブル及び完全外れ用の変動表示時間テーブルがそれぞれ個別に設定されている構成としてもよい。
以上のとおり、各遊技回の変動表示時間は、リーチ発生の有無、リーチ表示の種類、保留情報の数及び変動種別カウンタの値等をパラメータとして決定される。但し、各遊技回の変動表示時間は、他の保留情報の内容、具体的には、他の保留情報に含まれる大当たり判定用の情報、種別判定用の情報及びリーチ判定用の情報をパラメータとすることなく決定される。
変動開始処理(図21)の説明に戻り、ステップS708にて変動表示時間の設定処理を実行した後は、ステップS709にて、変動用コマンド及び種別コマンドを設定する。変動用コマンドには、リーチ発生の有無の情報及び変動表示時間の情報が含まれる。また、種別コマンドには、遊技結果の情報が含まれる。つまり、種別コマンドには、遊技結果の情報として、確変大当たり結果の情報、通常大当たり結果の情報、外れ結果の情報などが含まれる。
ステップS709にて設定された変動用コマンド及び種別コマンドは、通常処理(図18)におけるステップS401にて、音声ランプ制御装置143に送信される。音声ランプ制御装置143では、受信した変動用コマンド及び種別コマンドに基づいて、その遊技回における表示ランプ部24〜26の発光パターンやスピーカ部27からの音の出力パターンを決定し、その決定した演出の内容が実行されるように表示ランプ部24〜26及びスピーカ部27を制御する。また、音声ランプ制御装置143は、受信した変動用コマンド及び種別コマンドに基づいてその遊技回における図柄表示装置94での変動表示パターンを決定し、その決定した変動表示パターンが実行されるように、上記変動用コマンド及び種別コマンドをその情報形態を維持したまま変動表示パターンを特定するための情報を付加して表示制御装置500に送信する。その後、ステップS710にてメイン表示部90の作動口用表示部において絵柄の変動表示を開始させた後に、本変動開始処理を終了する。
遊技回制御処理(図19)の説明に戻り、メイン表示部90が変動表示中である場合には、ステップS506〜ステップS509の遊技回進行用処理を実行する。遊技回進行用処理では、先ずステップS506にて、今回の遊技回の変動表示時間が経過したか否かを判定する。具体的には、RAM404の変動表示時間カウンタエリアに格納されている変動表示時間情報の値が「0」となったか否かを判定する。当該変動表示時間情報の値は、上述したように、変動表示時間の設定処理(図22)においてセットされる。また、このセットされた変動表示時間情報の値は、タイマ割込み処理(図15)が起動される度に、1ディクリメント(減算)される。
変動表示時間が経過していない場合には、ステップS507にて変動表示用処理を実行する。変動表示用処理では、メイン表示部90における表示態様を変更する。その後、本遊技回制御処理を終了する。
変動表示時間が経過している場合には、ステップS508にて変動終了処理を実行する。変動終了処理では、上記ステップS705〜ステップS707のいずれかの処理にてRAM404に記憶した情報を特定し、その情報に対応した絵柄がメイン表示部90にて停止表示されるように当該メイン表示部90を制御する。
続くステップS509では、変動終了コマンドを設定する。その後、本遊技回制御処理を終了する。ステップS509にて設定された変動終了コマンドは、通常処理(図18)におけるステップS401にて、音声ランプ制御装置143に送信される。音声ランプ制御装置143では、受信した変動終了コマンドをその情報形態を維持したまま表示制御装置500に送信する。表示制御装置500では、当該変動終了コマンドを受信することにより、その遊技回における最終停止図柄の組み合わせを確定表示(最終停止表示)させる。
<遊技状態移行処理>
次に、ステップS404の遊技状態移行処理を図23のフローチャートを参照して説明する。
遊技状態移行処理においては、先ずステップS901にて、開閉実行モード中か否かを判定する。開閉実行モード中でない場合にはステップS902に進み、1の遊技回のメイン表示部90(詳しくは作動口用表示部)における絵柄の変動表示が終了したタイミングか否かを判定する。変動表示が終了したタイミングでない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
変動表示が終了したタイミングである場合には、ステップS903にて、今回の遊技回の遊技結果が開閉実行モードへの移行に対応したものであるか否かを判定する。具体的には、RAM404に、通常大当たりフラグ又は確変大当たりフラグのいずれかが格納されているか否かを判定する。上記各フラグのいずれもが格納されていない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
上記各フラグのいずれかが格納されている場合には、ステップS904にて、RAM404の各種カウンタエリア434に設けられたラウンドカウンタエリアRCに、「15」をセットする。ラウンドカウンタエリアRCは、可変入賞装置82の大入賞口82aが開放された回数をカウントするためのカウンタエリアである。その後、本遊技状態移行処理を終了する。
一方、開閉実行モード中である場合には、ステップS901にて肯定判定をし、ステップS905に進む。ステップS905では、大入賞口開閉処理を実行する。大入賞口開閉処理では、大入賞口82aが閉鎖中である場合には、ラウンドカウンタエリアRCが「1」以上であることを条件として、可変入賞駆動部82cを駆動状態とすることで大入賞口82aを開放させる。また、大入賞口82aが開放中である場合には、当該大入賞口82aの開放から所定時間が経過していること又は所定個数の遊技球が入賞していることを条件として、可変入賞駆動部82cの駆動状態を停止し、大入賞口82aを閉鎖させる。
続くステップS906では、ラウンドカウンタエリアRCの値が「0」か否かを判定する。ラウンドカウンタエリアRCの値が「0」でない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。ラウンドカウンタエリアRCの値が「0」である場合には、ステップS907にて、開閉実行モード終了時の移行処理を実行する。
開閉実行モード終了時の移行処理では、RAM404に確変大当たりフラグが格納されている場合には、当否抽選モードを高確率モードに設定するとともに、サポートモードを高頻度サポートモードに設定する。なお、これら高確率モード及び高頻度サポートモードは少なくとも大当たり当選が次回発生するまで維持される。また、RAM404に通常大当たりフラグが格納されている場合には、当否抽選モードを低確率モードに設定するとともに、サポートモードを高頻度サポートモードに設定する。但し、高頻度サポートモードは遊技回が100回継続した場合に終了され、その後、当否抽選モードが低確率モードであり且つサポートモードが低頻度サポートモードである通常遊技状態に移行する。
その後、ステップS908にて、開閉実行モードの終了処理を実行した後に、本遊技状態移行処理を終了する。開閉実行モードの終了処理では、通常大当たりフラグ又は確変大当たりフラグのうち、格納されているフラグを消去する。
<音声ランプ制御装置143>
次に、図24のブロック図を参照して音声ランプ制御装置143について説明する。
音声ランプ制御装置は、MPU452が搭載された音声ランプ制御基板451を具備している。MPU452には、当該MPU452により実行される各種プログラムや固定値データを記憶したROM453と、そのROM453内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM454と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵されている。なお、MPU452においてはROM453及びRAM454が1チップ化されていることは必須の構成ではなく、それぞれが個別にチップ化された構成としてもよい。これは、他の制御装置のMPUにおいても同様である。
MPU452には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU452の入力側には主制御装置162が接続されており、当該主制御装置162から既に説明した、変動用コマンド、種別コマンド及び変動終了コマンドといった遊技回制御用コマンド(遊技回制御用情報)を受信する。また、シフト時コマンドや後述する保留コマンドといった保留表示制御用コマンド(保留表示制御用情報)、更には、オープニングコマンドやエンディングコマンドといった開閉実行モード用コマンド(開閉実行モード用情報)を受信する。
MPU452の出力側には、既に説明したように前扉枠14に設けられた表示ランプ部24〜26及びスピーカ部27、表示制御装置500が接続されている。この場合に、上記各種コマンドは、情報形態をそのまま維持した状態で表示制御装置500に送信される。
また、MPU452の入力側には前扉枠14に設けられた演出用の操作スイッチ40が接続されており、当該操作スイッチ40からの検知情報(検知信号)が入力される。MPU452においては、当該検知情報に基づいて操作スイッチ40が操作されたか否かを判定し、当該判定の結果操作が行われたと判定した場合には当該操作が有効期間内に行われたことを条件として同操作に対応する演出を実行するためのコマンドを表示制御装置500に送信する。
MPU452では、主制御装置162から送信された変動用コマンドを受信することで、遊技回用の演出を開始させる必要があることを認識し、遊技回用演出開始処理を実行する。また、主制御装置162から送信された終了コマンドを受信することで、遊技回用の演出を終了させる必要があることを認識し、遊技回用演出終了処理を実行する。また、主制御装置162から送信された大当たり演出用の各種コマンドを受信することで、大当たり演出を開始させる必要があること又は進行させる必要があることを認識し、大当たり演出用処理を実行する。また、主制御装置162から送信されたデモ表示用のコマンドを受信することで、デモ表示を開始させる必要があることを認識し、デモ表示用処理を実行する。
なお、MPU452において主制御装置162からコマンドを受信するとは、主制御装置162からコマンドを直接受信する構成に限定されることはなく、中継基板に中継されたコマンドを受信する構成も含まれる。
遊技回用演出開始処理では、変動用コマンド及び種別コマンドの両コマンドに基づいて、該当遊技回の変動表示時間(表示継続期間)を把握する変動表示時間の把握処理と、リーチ表示の有無を把握するリーチ表示把握処理と、大当たり結果の有無を把握する大当たり結果発生の把握処理と、大当たり結果が発生する場合における大当たり種別を把握する大当たり種別の把握処理と、を実行する。また、リーチ表示把握処理、大当たり結果発生の把握処理及び大当たり種別の把握処理における把握結果に基づいて、本遊技回において図柄表示装置94の表示画面94aにて行う表示演出の種類を決定する表示演出把握処理を実行するとともに、本遊技回において図柄表示装置94の表示画面94aに最終停止表示させる図柄の種類を決定する図柄種別把握処理を実行する。そして、これら各把握処理の結果に基づいて、変動表示時間の情報及び表示演出の種類の情報を含む変動パターンコマンドと、最終停止表示させる図柄の種類の情報を含む図柄指定コマンドを、表示制御装置500に送信する。
また、遊技回用演出開始処理では、上記各処理の処理結果に基づいて、遊技回用の表示発光テーブルと遊技回用の音声テーブルとをROM453から読み出す。遊技回用の表示発光テーブルにより、該当する遊技回の進行過程における表示発光部44の発光態様が規定される。また、遊技回用の音声テーブルにより、該当する遊技回の進行過程におけるスピーカ部27からの出力態様が規定される。
ここで、図25に基づき図柄表示装置94(表示画面94a)にて表示される図柄の変動表示態様について補足説明する。図25(a)は変動表示態様の種類を示す概略図、図25(b)群は各変動表示態様の概要を示す概略図である。
図25(a)に示すように、表示画面94aにて実行される図柄の変動表示態様については、完全外れ,ノーマルリーチA,ノーマルリーチB,スーパーリーチA,スーパーリーチB,スーパーリーチCの5つに大別される。これら各変動表示態様については、変動表示時間が異なるように設定されており、主制御装置162からのコマンドに付与され変動表示時間に係る情報に基づいて遊技回毎の変動表示態様の概要を把握可能となっている。
具体的には、完全外れの変動表示時間については「3sec〜8sec」(保留数に応じて差が設定されている)、ノーマルリーチAの変動表示時間については「10sec」、ノーマルリーチBの変動表示時間についてはノーマルリーチAの変動表示時間よりも長い「15sec」、スーパーリーチAの変動表示時間についてはノーマルリーチA,Bの変動表示時間よりも長い「16sec」、スーパーリーチBの変動表示時間についてはスーパーリーチAの変動表示時間よりも長い「17sec」、スーパーリーチCの変動表示時間については他のスーパーリーチA,Bの変動表示時間よりも長い「18sec」となっており、変動表示時間が長くなるにつれて大当たりの当選期待度が高くなるように設定されている。例えば、主制御装置162からのコマンドに付与された変動表示時間に関する情報が「15sec」である場合には、表示制御装置500にてノーマルリーチBを実行すべき旨が把握されることとなる。
ここで、図25(b1)を参照してノーマルリーチA,Bの変動表示態様について説明する。ノーマルリーチA,Bが選択された場合には、先ず停止表示されている全ての図柄列の変動表示(スクロール表示)を開始し、その後、上段の図柄列Z1において図柄の変動表示を終了し(停止表示させ)、さらに下段の図柄列Z3において図柄の変動表示を終了する(停止表示させる)。このようにして上下の図柄列Z1,Z3を停止表示した状態において、いずれかの有効ラインL1〜L5(図6参照)に同一の数字が付された主図柄が停止表示されることでリーチラインが形成される。そして、当該リーチラインが形成されている状況下において中段の図柄列Z2の変動表示が行われることでリーチ表示となる。リーチ表示となった後、中段の図柄列Z2を停止表示することにより、変動表示が終了する。そして、リーチライン上に当該リーチ表示を構成している図柄と同一の図柄が停止することで大当たりに当選した旨が報知され、同リーチライン上にそれ以外の図柄が停止することで大当たりに当選していない旨が報知されることとなる。このようにして、最終停止表示された図柄の組み合わせについては所定期間に亘ってそのまま維持される。つまり、停止表示期間が経過するまでは今回の遊技回が続いており、当該停止表示期間が経過することにより次の遊技回への移行が許容されることとなる。
本実施の形態においてはリーチラインが形成された後の中図柄列Z2の変動表示時間に差を設定することにより、ノーマルリーチAとノーマルリーチBとの変動表示時間の差が確保されているが、両者の差の設定の仕方については任意である。例えば、変動表示が開始されてからリーチラインが形成されるまでの時間に差を設定することにより、上記変動表示時間の差を確保することも可能である。
次に、上述したノーマルリーチA,Bの変動表示態様を踏まえてスーパーリーチA,B,Cの変動表示態様について説明する。図25(b2)〜(b4)に示すように、スーパーリーチA,B,Cについては、ノーマルリーチA,Bと同様の過程を経て上述したリーチラインを形成する。そして、リーチラインを形成した後、中図柄列Z2の変動表示に併せて、所定のキャラクタを動画として表示することによりリーチ演出を行う構成となっている。具体的には、スーパーリーチAにおいてはリーチラインが形成された後、中図柄列Z2の変動表示領域の中央(変動表示領域MEの中央)に妖精を模したキャラクタが表示され、スーパーリーチBにおいてはリーチラインが形成された後、中図柄列Z2の変動表示領域の中央(変動表示領域MEの中央)に男の子を模したキャラクタが表示され、スーパーリーチCにおいてはリーチラインが形成された後、中図柄列Z2の変動表示領域の中央(変動表示領域MEの中央)に女の子を模したキャラクタが表示されることとなる。
また、本実施の形態においては、スーパーリーチA〜スーパーリーチCについては、キャラクタが2D表示される2D対応表示(2D演出)とキャラクタが3D表示される3D対応表示(3D演出)とが設定されている。3D対応表示については、キャラクタが表示されてから所定の待機期間を経過した後に、当該キャラクタの画像が2Dに対応した平面的なものから3Dに対応した立体的にものに変更される。これに合わせて各種ランプ部24〜26の発光態様及びスピーカ部27からの音声の出力態様が変更される。つまり、キャラクタの大きさや動き等の諸条件は同一であるが、その表示態様が平面的なものか立体的なものかで差別化されることで、演出態様の多様化が図られている。
変動表示態様がスーパーリーチA〜スーパーリーチCの何れかに対応している場合には、音声ランプ制御装置143にて、3D演出を実行するか否かの抽選処理を行う。詳しくは、ROM453の抽選用テーブル記憶エリア461に格納されている抽選用テーブルと、RAM454の各種カウンタエリア472に格納されている抽選用カウンタの値とを照らし合わせることで、2D演出とするかそれとも3D演出とするかが決定される構成となっている。
抽選用テーブルについては、大当たり結果用と外れ結果用とがそれぞれ記憶されており、大当たり結果に対応する抽選テーブルでは外れ結果に対応する抽選テーブルよりも3D演出が選択されやすい構成となっている。故に、3D演出のほうが2D演出よりも大当たりの当選期待度が高くなるように設定されている。なお、これら2D演出及び3D演出についての詳細は後述する。
<表示制御装置500>
次に、再び図24のブロック図を参照して、表示制御装置500について説明する。
表示制御装置500は、図24に示すように、統括CPU510、2D用表示CPU520、3D用表示CPU530、メモリモジュール540、ワークRAM550、VRAM560,570、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)580が搭載された表示制御基板501を備えている。
統括CPU510は、表示制御装置500においてメイン制御部としての機能を有しており、制御プログラム等の読み出し(フェッチ)、解釈(デコード)及び実行を行う。詳細には、統括CPU510は表示制御基板501に搭載された入力ポート505にバスを介して接続されており、音声ランプ制御装置143から送信された各種コマンドは入力ポート505を通じて統括CPU510に入力される。なお、統括CPU510において音声ランプ制御装置143からコマンドを受信するとは、音声ランプ制御装置143からコマンドを直接受信する構成に限定されることはなく、中継基板に中継されたコマンドを受信する構成も含まれる。
統括CPU510は、バスを介してワークRAM550、メモリモジュール540及び表示CPU520,530と接続されており、音声ランプ制御装置143から受信したコマンドに基づいて、メモリモジュール540に記憶された各種データをワークRAM550に転送させる転送指示を行う。また、統括CPU510は、バスを介して表示CPU520,530と接続されており、音声ランプ制御装置143から受信したコマンドに基づいて、それら表示CPU520,530に動作用のコマンドを出力する。
各表示CPU520,530についても、メモリモジュール540及びVRAM560,570に接続されており、統括CPU510から受信した動作用のコマンドに基づいてメモリモジュール540に記憶された各種データをVRAM560,570に転送させる転送指示を行う。また、表示CPU520,530は、バスを介してVDP580と接続されており、統括CPU510から受信したコマンドに基づいて、図柄表示装置94に画像信号を出力させる描画指示を行う。以下、メモリモジュール540、ワークRAM550、VRAM560,570及びVDP580について説明する。
メモリモジュール540は、制御プログラム及び固定値データを含む制御用データ(制御用情報)を予め記憶しているとともに、2D画像及び3D画像を表示するための各種画像データ(画像用情報)を予め記憶している記憶手段である。当該メモリモジュール540は、記憶保持に外部からの電力供給が不要な不揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてNAND型フラッシュメモリが用いられている。ちなみに、記憶容量は4Gビットであるが、かかる記憶容量は表示制御装置500における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、当該メモリモジュール540は、パチンコ機10の使用に際して、非書き込み用であって読み出し専用のメモリ(ROM)として用いられる。
メモリモジュール540に記憶されている各種画像データには、図柄表示装置94に表示される図柄やキャラクタなどのスプライトデータ(2次元画像データ)、図柄表示装置94に表示される図柄やキャラクタなどのオブジェクト用のポリンゴン(3次元画像データ)、当該オブジェクトに貼り付けられるテクスチャ用の画像データ、背景データ(例えば1フレーム分の画像において最背面の画像を構成する背面用の画像データ)、及び動画像データなどを含む各種画像データ(画像用情報)が含まれている。
各スプライトデータは、キャラクタの外形や模様を規定するビットマップ形式データと、ビットマップ画像の各ピクセルでの表示色を決定する際に参照される色パレットテーブルとの組み合わせを少なくとも含んでいる。
また、上記オブジェクトとは、仮想3次元空間に相当する3次元の座標系であるワールド座標系(ワールド空間)に配置される3次元の仮想物体であり、複数のポリゴンによって構成された3次元情報である。また、ポリゴンとは、複数個の3次元座標の頂点で定義される多角形平面である。オブジェクト用の画像データには、例えばサーフェスモデルを適用するため、オブジェクト毎に予め設定された基準座標を原点として、各ポリゴンの頂点座標情報が設定されている。つまり、各オブジェクト用の画像データでは、自己完結のローカル座標系において各ポリゴンの相対位置(すなわち、向きやサイズ)が3次元的に定義されている。
テクスチャとは、オブジェクトの各ポリゴンに貼り付ける画像であり、テクスチャがオブジェクトに貼り付けられることにより、オブジェクトに対応する画像、例えば図柄やキャラクタなどを含む表示画像が生成される。テクスチャ用の画像データの持ち方は、任意であるが、例えばビットマップ形式データと、ビットマップ画像の各ピクセルでの表示色を決定する際に参照される色パレットテーブルとの組み合わせを少なくとも含んでいる。
最背面の画像は、2次元画像を構成している。背面用の画像データの持ち方は、任意であるが、例えば2次元の静止画像データが圧縮された状態のJPEG形式データとして記憶保持されている。ちなみに、当該背面用の画像データがワールド座標系に配置される場合には板ポリゴンが利用される。
ワークRAM550は、メモリモジュール540から読み出されて転送された制御用データを一時的に記憶しておくとともに、フラグ等を一時的に記憶しておくための記憶手段である。ワークRAM550は、記憶保持に外部からの電力供給が必要な揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてDRAMが用いられている。但し、DRAMに限定されることはなくSRAMといった他のRAMを用いてもよい。なお、記憶容量は1Gビットであるが、かかる記憶容量は表示制御装置500における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、ワークRAM550は、パチンコ機10の使用に際して、読み書き両用として用いられる。
ワークRAM550には、統括CPU510からメモリモジュール540へのデータ転送指示に基づき、当該メモリモジュール540から制御用データが転送される。この場合、当該制御用データは、その制御用データに対応した統括CPU510における処理の実行タイミングとなるまでに事前に転送される。そして、統括CPU510は、ワークRAM550に転送された制御用データを必要に応じて内部のメモリ領域(レジスタ群)に読み込み、各種処理を実行する。
VRAM560,570は、図柄表示装置94に対して画像出力を行うために必要な各種データを一時的に記憶しておくための記憶手段である。当該VRAM560,570は、記憶保持に外部からの電力供給が必要な揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてSDRAMが用いられている。但し、SDRAMに限定されることはなく、DRAM、SRAM又はデュアルポートRAMといった他のRAMを用いてもよい。なお、記憶容量は2Gビットであるが、かかる記憶容量は表示制御装置500における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、当該VRAM560,570は、パチンコ機10の使用に際して、読み書き両用として用いられる。
各VRAM560,570は展開用バッファ561,571を備えており、展開用バッファ561,571には、各表示CPU520,530からメモリモジュール540へのデータ転送指示に基づき、当該メモリモジュール540から画像データ(上述したスプライトデータ、ポリゴン、背景データ等)が転送される。この場合、当該画像データは、その画像データを用いたVDP580における処理の実行タイミングとなるまでに事前に転送される。また、各VRAM560,570には、VDP580により描画データが作成されるフレームバッファ562,572が設けられている。なお、VRAM560,570がVDP580に内蔵されていてもよい。
VDP580は、各表示CPU520,530からの描画指示に基づき、展開用バッファ561,571に記憶保持されているデータを用いて、具体的には加工することにより、図柄表示装置94に対して描画を行う画像生成デバイスであり、図柄表示装置94において液晶表示部94bを駆動制御するように組み込まれた画像処理デバイス94cを操作する一種の描画回路である。VDP580はICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。
詳細には、VDP580は、制御部581と、レジスタ582と、動画デコーダ583と、表示回路584と、を備えている。また、これら各回路はバスを介して相互に接続されているとともに、各表示CPU520,530用のI/F585及びVRAM560,570用のI/F586が接続されている。
VDP580では、各表示CPU520,530から送信された描画指示情報としての描画リストをレジスタ582に記憶させる。レジスタ582に描画リストが記憶されることにより、制御部581では描画リストに従ったプログラムが起動されて予め定められた処理が実行される。なお、制御部581が動作するための制御プログラムの全てが描画リストにより提供される構成としてもよく、制御プログラムを予め記憶したメモリを制御部581に内蔵させ、当該制御プログラムと描画リストの内容とによって制御部581が所定の処理を実行する構成としてもよい。また、メモリモジュール540から制御プログラムを事前に読み出す構成としてもよい。
上記処理として、制御部581では、両VRAM560,570の展開用バッファ561,571の一方に展開されている画像データを用いて(又は加工することにより)、フレームバッファ562,572の一方に1フレーム分の描画データを作成する。なお、1フレーム分の描画データとは、予め定められた更新タイミングで図柄表示装置94の表示画面94aにおける画像が更新される構成において、一の更新タイミングにおける画像を表示させるのに必要なデータのことをいう。
ここで、フレームバッファ562,572には、複数のフレーム領域562a,562b,572a,572bがそれぞれ設けられている。具体的には、2D用表示CPU520に1対1で対応して設けられた第1VRAM560のフレームバッファ562は第1フレーム領域562a及び第2フレーム領域562bを有し、3D用表示CPU530に1対1で対応して設けられた第2VRAM570は第1フレーム領域572a及び第2フレーム領域572bを有している。これら各フレーム領域562a,562b,572a,572bは、それぞれ1フレーム分の描画データを記憶可能な容量に設定されている。
具体的には、各フレーム領域562a,562b,572a,572bにはそれぞれ、液晶表示部94b(すなわち表示画面94a)のドット(画素)に所定の倍率で対応させた多数の単位エリア(単位設定領域)が含まれている。各単位エリアは、いずれの色を表示するかを特定するためのデータを格納可能な記憶容量を有している。より詳細には、フルカラー方式が採用されており、各ドットにおいてR(赤),G(緑),B(青)のそれぞれに256色の設定が可能となっている。これに対応させて、各単位エリアにおいては、RGB各色に1バイト(8ビット)が割り当てられている。つまり、各単位エリアは、少なくとも3バイトの記憶容量を有している。
なお、フルカラー方式に限定されることはなく、例えば各ドットにおいて256色のみ表示可能な構成においては、各単位エリアにおいて色情報を格納するために必要な記憶容量は1バイトでよい。
各フレームバッファ562,572には、第1フレーム領域562a,572a及び第2フレーム領域562b,572bが設けられていることにより、一方のフレーム領域に作成された描画データを用いて図柄表示装置94への描画が実行されている状況において、他のフレーム領域に対して今後用いられる描画データの作成が実行される。つまり、各フレームバッファ562,572においては、ダブルバッファ方式が採用されている。
表示回路584では、各フレーム領域562a,562b,572a,572bの何れか1つに作成された描画データに基づいて液晶表示部94bの各ドットに対応した画像信号が生成され、その画像信号が、表示回路584に接続された出力ポート506を介して図柄表示装置94に出力される。また、表示回路584からは水平同期信号又は垂直同期信号などの同期信号も出力される。当該表示回路584には、上記画像信号の生成及び出力を行うために、スケーラ588及び画像信号出力部587が設けられている。また、動画デコーダ583では、VRAM560,570の展開用バッファ561,571に転送された動画像データのデコードを実行する。
ここで、図柄表示装置94にて実行される演出にかかる処理について説明する。なお、本実施の形態においては、2D対応表示及び3D対応表示の何れを実行するかについては、遊技回の開始時ではなく、保留情報が主制御装置から送信された際に決定される構成となっている。そこで、以下の説明においては先ず、主制御装置162のMPU402にて実行される表示態様を決定するうえでの前提となる処理について説明する。
<保留情報の確認処理>
始めにタイマ割込み処理にて実行される保留情報の確認処理について説明する。図26のフローチャートに示すように、保留情報の確認処理においては、先ずステップS1001にて、保留球格納エリア432の各保留エリアRa,Rbに記憶された始動保留記憶数RaN,RbNと、同保留球格納エリア432の総保留数記憶領域に記憶された共通保留数CRNとを読み出し、かかる保留個数の情報をMPU402のレジスタに記憶する。その後、ステップS1002〜S1006にて今回の入賞によって取得された保留情報に大当たり当選の情報が含まれているか否かを確認する。
具体的には、先ずステップS1002にて、上作動口83a又は下作動口83bへの今回の入賞に基づきステップS304にて取得した保留情報のうち大当たり判定用の情報、すなわち取得済みの大当たり乱数カウンタC1の値を把握する。
続くステップS1003では、低確率モードであるか否かを判定する。具体的には、RAM404の各種フラグ格納エリア435に高確率モードフラグが格納されているか否かを判定することで、現状の当否抽選モードが低確率モードであるか否かを判定する。低確率モードである場合にはステップS1004に進み、低確率モード用の当否テーブルを参照してステップS1002にて把握した大当たり判定用の情報(大当たり乱数カウンタC1の値)が大当たり当選に対応する情報群に含まれているかを特定する。また、高確率モードである場合にはステップS1005に進み、上述した高確率モード用の当否テーブルを参照して、ステップS302にて把握した大当たり判定用の情報(大当たり乱数カウンタC1の値)が大当たり当選として設定された情報に含まれているかを特定する。
ステップS1004又はステップS1005の後はステップS1006に進み、ステップS1002にて把握した大当たり判定用の情報(大当たり乱数カウンタC1の値)が大当たり当選に対応しているか否かを判定する。大当たり当選に対応している場合には、ステップS1007にてMPU402のレジスタに大当たり情報を記憶し、そのまま本保留情報の確認処理を終了する。
一方、ステップS1006にて否定判定をした場合には、ステップS1008に進む。ステップS1008では、上作動口83a又は下作動口83bへの今回の入賞に基づきステップS304にて取得した保留情報のうち外れリーチ判定用の情報、すなわち取得済みのリーチ乱数カウンタC3の値を把握する。
続くステップS1009では、ROM403のリーチ判定用テーブル記憶エリア(リーチ判定用情報群記憶手段)426に記憶されているリーチ判定用テーブル(リーチ判定用情報群)を参照して、ステップS1008にて把握したリーチ判定用の情報(リーチ乱数カウンタC3の値)がリーチ当選として設定された情報に含まれているかを特定する。
ステップS1009の処理を実行した後はステップS1010に進み、ステップS1008にて把握したリーチ判定用の情報(リーチ乱数カウンタC3の値)がリーチ発生に対応しているか否かを判定する。リーチ発生に対応している場合には、ステップS1011にて、MPU402のレジスタにリーチ発生情報を記憶した後に、本確認処理を終了する。一方、リーチ発生に対応していない場合には、そのまま本確認処理を終了する。
<保留コマンドの設定処理>
次に、図27のフローチャートを参照して保留コマンドの設定処理について説明する。
保留コマンドの設定処理においては先ず、ステップS1101にて、MPU402のレジスタに大当たり情報が記憶されているか否かを判定することで、直前の保留情報の確認処理(図26)において大当たり判定用の情報が大当たり当選に対応していると特定されたか否かを判定する。大当たり情報が記憶されている場合にはステップS1102に進み、大当たり対応保留コマンドを設定する。なお、上記コマンドの設定や後述する各種コマンドの設定は、RAM404に設けられたコマンド設定エリアに対してコマンド情報を格納することにより行われる。
一方、ステップS1101にて否定判定をした場合、すなわちMPU402のレジスタに大当たり情報が記憶されていないと判定した場合には、ステップS1103に進み、MPU402のレジスタにリーチ発生情報が記憶されているか否かを判定することで、直前の保留情報の確認処理(図26)においてリーチ判定用の情報がリーチ発生に対応していると特定されたか否かを判定する。リーチ発生情報が記憶されている場合には、ステップS1104にて外れリーチ対応保留コマンドを設定し、リーチ発生情報が記憶されていない場合には、ステップS1105にて完全外れ対応保留コマンドを設定する。
ステップS1102,S1104,S1105にて保留コマンドの設定を行う場合には、記憶されている大当たり種別カウンタC2の値や変動種別カウンタCSの値等を参照して変動表示時間を決定し、同変動表示時間にかかる情報を当該保留コマンドに格納する。変動表示時間の決定に際しては、上記ステップS708に示した変動表示時間の設定処理と同じように、変動表示時間テーブルが参照される。このようにして設定された保留コマンドが表示制御装置500に送信され、同表示制御装置500においては同保留コマンドに基づいて図柄の変動表示態様等を把握可能となる。
ステップS1102、ステップS1104、ステップS1105のいずれかのコマンド設定処理を実行した後は、ステップS1106にて、保留個数の情報を上記保留コマンドに対して設定する処理を実行する。かかる処理として具体的には、上記設定された保留コマンドの情報は、複数バイトの情報として構成されており、そのうちの一部のビットに対して、自身が保留コマンドである旨の情報や保留コマンドの種別の情報が含まれているとともに、保留個数の情報が設定可能となっている。この場合に、ステップS1106では、先ず直前の保留情報の確認処理(図26)におけるステップS1001にてMPU402のレジスタに記憶された保留個数の情報を読み出し、その後に、既に設定されている保留コマンドにおける保留個数の情報用のビットに対して上記読み出した保留個数の情報を論理和などの演算処理によって格納する。これにより、ステップS1102、ステップS1104、ステップS1105のいずれかの処理にて設定された保留コマンドに対して、かかる保留コマンドに対応した保留情報が何個目のものであるかを特定するための情報が含まれることとなる。以上詳述したステップS1106の処理を実行した後に、本保留コマンド設定処理を終了する。
なお、ステップS1106にて保留個数の情報が含められた保留コマンドは、次回の通常処理(図18)におけるステップS401の外部出力処理により、音声ランプ制御装置143に送信される。音声ランプ制御装置143では、かかる保留コマンドを受信することにより、保留情報が増加したことを特定する。また、音声ランプ制御装置143では、保留コマンドをその形態を維持したまま表示制御装置500に送信する。表示制御装置500では、その受信した保留コマンドに基づいて画像データ準備用の処理等を実行する。当該準備用の処理については後に詳細に説明する。
また、保留コマンドの設定の仕方は、表示制御装置500において保留コマンドによって、大当たり当選の有無、大当たり当選の場合にはその際の大当たり種別、大当たり当選でない場合にはリーチ発生の有無等、言い換えれば図柄の変動表示態様を特定することができるのであれば任意である。例えば、大当たり対応保留コマンド,外れリーチ対応保留コマンド,完全外れ対応保留コマンドの組み合わせが、各保留個数に対応させて個別に設定されており、保留コマンドの設定処理では、保留情報の確認処理(図26)における確認結果に応じて一の保留コマンドを選択する構成とすることも可能である。
次に、図28及び図29のフローチャートを参照して、主制御装置162から音声ランプ制御装置143へコマンドが送信された場合に同音声ランプ制御装置143にて実行されるコマンド対応処理のうち保留コマンドに対応するもの(以下、保留コマンド対応処理と称する)について説明する。なお、保留コマンド対応処理は、所定の周期(例えば、2msec周期)で繰り返し起動される。
<保留コマンド対応処理>
図28のフローチャートに示すように、保留コマンド対応処理においては先ず、ステップS1201にて大当たり対応コマンドを受信しているか否かを判定する。ここで、音声ランプ制御装置143のMPU452ではコマンドの受信を主制御装置162から行うが、この受信したコマンドはRAM454のコマンド格納エリア471に一旦格納される。当該コマンド格納エリア471は、複数のコマンドを個別に記憶可能であって先に記憶したコマンドから読み出し可能なリングバッファとして構成されており、複数のコマンドを同時期に受信した場合であってもそれら各コマンドに対応した処理を良好に実行できるようになっている。ステップS1201の判定に際しては、コマンド格納エリア471における今回の読み出し対象のエリアに大当たり対応保留コマンドを受信しているか否かを判定する。なお、かかるコマンドの読み出しの構成は、以下のコマンドの読み出しにおいても同様である。
大当たり対応保留コマンドを受信している場合には、ステップS1202にて、今回受信したコマンドに含まれる保留個数の情報を特定し、その特定した保留個数の情報をRAM454の各種カウンタエリア472に格納された消去用カウンタに設定する。当該消去用カウンタに設定された保留個数の情報は、後述するように、新たに遊技回が開始されるたびに1ディクリメントされるように更新される。
ステップS1202にて消去用カウンタの設定を行った後は、ステップS1203に進み、大当たり対応設定処理を実行する。以下、図29(a)のフローチャートを参照して大当たり対応設定処理について説明する。
<大当たり対応設定処理>
大当たり対応設定処理では、先ずステップS1301にて今回受信した保留コマンドがスーパーリーチA〜スーパーリーチCの何れかに対応しているか否かを判定する。本実施の形態では大当たりの当選期待度が異なるようにして図柄の変動表示態様が複数設定されており、各変動表示態様によって遊技回における大当たりの当選期待度が報知される構成が採用されているが、上記ステップS1301においてはROM453の変動表示パターン記憶エリア462を参照して保留コマンドがスーパーリーチA〜スーパーリーチCに対応するものであるか否かを判定する。
ステップS1301にて否定判定をした場合には、そのまま本設定処理を終了する。一方、ステップS1301にて肯定判定をした場合、すなわち保留情報の中にスーパーリーチA〜スーパーリーチCに対応するものがある場合には、ステップS1302に進む。ステップS1302ではROM453の抽選用テーブル記憶エリア461に記憶された大当たり対応の抽選処理用テーブルを参照し、続くステップS1303にて上述した3D演出を実行するか否かの抽選処理を実行する。
具体的には、RAM454の各種カウンタエリア472に格納されている抽選用カウンタから3D演出抽選用のカウンタ値(数値情報)を読み出し、ROM453の抽選用テーブル記憶エリア(3D演出抽選用情報群記憶手段)461に記憶されている3D演出抽選用テーブル(3D演出抽選用情報群)を参照して、上記読み出した抽選用のカウンタ値が当選結果に対応しているか否かを判定する。なお、抽選用カウンタの値は、保留コマンド対応処理(図28)が起動される度に、すなわち約2msec周期で更新(1インクリメント)される構成となっている。
ステップS1303の処理を実行した後はステップS1304に進み、3D演出に当選したか否かを判定する。ステップS1304にて否定判定をした場合には、そのまま本設定処理を終了する。一方、ステップS1304にて肯定判定をした場合には、ステップS1305に進む。
ステップS1305にて表示制御装置500へ送信する保留コマンドの更新処理を実行した後、本大当たり対応設定処理を終了する。具体的には、今回受信した保留コマンドの形態をそのままに維持しつつ、3D演出が実行すべき旨の情報を追加する。これにより、表示制御装置500においては、保留コマンドを受信することで、当該保留コマンドから、同保留コマンドにかかる保留情報、詳しくは変動表示パターンの種別、大当たりの有無、3D演出を実行の可否等を把握することができる。
再び保留コマンド対応処理(図28)の説明に戻り、ステップS1203の処理を実行した後は、ステップS1204に進み、RAM454の保留情報格納エリア474(詳しくは第1エリアRc1〜第8エリアRc8において保留情報が格納されていないエリアのうち最も若いエリア)に大当たりに対応する保留情報(詳しくは、3D演出の可否にかかる情報)をセットし、本保留コマンド対応処理を終了する。
ここで、保留情報格納エリア474にかかる構成について補足説明する。保留情報格納エリア474は、上述の如く第1エリアRc1〜第8エリアRc8を有しており、各エリアにつき1の保留情報を格納可能な構成となっている。各エリアRc1〜Rc8に格納された保留情報は、主制御装置162からシフト時コマンドを受信することにより、すなわち遊技回が開始された場合に、下位エリア側に順にシフトされることとなる。具体的には、第1エリアRc1のデータをクリアするとともに、第2エリアRc2→第1エリアRc1、第3エリアRc3→第2エリアRc2、第4エリアRc4→第3エリアRc3 ・・・ 第8エリアRc8→第7エリアRc7といった具合に各エリア内のデータがシフトされる。なお、主制御装置162の保留球格納エリア432においては、上作動口用保留エリアRaと下作動口用保留エリアRbとが区別して設けられていたが、音声ランプ制御装置143の保留情報格納エリア474においては入球先に関係なく保留情報が時系列的にまとめて記憶される構成となっている。
再びステップS1201の説明に戻り、同ステップS1201にて大当たり対応保留コマンドを受信していないと判定した場合には、ステップS1205に進む。ステップS1205では、外れリーチ対応保留コマンドを受信しているか否かを判定する。
ステップS1205にて肯定判定をした場合、すなわち外れリーチ対応保留コマンドを受信していると判定した場合にはステップS1206に進み、外れリーチ対応設定処理を実行する。ここで、図29(b)のフローチャートを参照し、外れリーチ対応設定処理について説明する。
<外れリーチ対応設定処理>
外れリーチ対応設定処理では、先ずステップS1401にて今回受信した保留コマンドがスーパーリーチA〜スーパーリーチCの何れかに対応しているか否かを判定する。本実施の形態では大当たりの当選期待度が異なるようにして図柄の変動表示態様が複数設定されており、各変動表示態様によって遊技回における大当たりの当選期待度が報知される構成が採用されているが、上記ステップS1301においてはROM453の変動表示パターン記憶エリア462を参照して保留コマンドがスーパーリーチA〜スーパーリーチCに対応するものであるか否かを判定する。
ステップS1401にて否定判定をした場合には、そのまま本設定処理を終了する。一方、ステップS1401にて肯定判定をした場合、すなわち保留情報の中にスーパーリーチA〜スーパーリーチCに対応するものがある場合には、ステップS1402に進む。ステップS1402ではROM453の抽選用テーブル記憶エリア461に記憶された外れ対応の抽選処理用テーブルを参照し、続くステップS1403にて上述した3D演出を実行するか否かの抽選処理を実行する。
具体的には、RAM454の各種カウンタエリア472に格納されている抽選用カウンタから3D演出抽選用のカウンタ値(数値情報)を読み出し、ROM453の抽選用テーブル記憶エリア(3D演出抽選用情報群記憶手段)461に記憶されている3D演出抽選用テーブル(3D演出抽選用情報群)を参照して、上記読み出した抽選用のカウンタ値が当選結果に対応しているか否かを判定する。なお、抽選用カウンタの値は、保留コマンド対応処理(図28)が起動される度に、すなわち約2msec周期で更新(1インクリメント)される構成となっている。
ステップS1303の処理を実行した後はステップS1304に進み、3D演出に当選したか否かを判定する。ステップS1304にて否定判定をした場合には、そのまま本設定処理を終了する。一方、ステップS1304にて肯定判定をした場合には、ステップS1305に進む。
ステップS1305にて表示制御装置500へ送信する保留コマンドの更新処理を実行した後、本大当たり対応設定処理を終了する。具体的には、今回受信した保留コマンドの形態をそのままに維持しつつ、3D演出が実行すべき旨の情報を追加する。これにより、表示制御装置500においては、この保留コマンドを受信することで、当該保留コマンドから、同保留コマンドにかかる保留情報、詳しくは変動表示パターンの種別、大当たりの有無、3D演出を実行の可否等を把握することができる。
再び保留コマンド対応処理(図28)の説明に戻り、ステップS1206の処理を実行した後は、ステップS1204に進み、RAM454の保留情報格納エリア474(詳しくは第1エリアRc1〜第8エリアRc8において保留情報が格納されていないエリアのうち最も若いエリア)に外れに対応する保留情報(詳しくは、3D演出の可否にかかる情報)をセットし、本保留コマンド対応処理を終了する。
以上詳述した、保留コマンド対応処理においては、保留コマンドを参照して3D演出を実行するか否かを決定し、その結果が保留情報格納エリア474に記憶されることとなる。
音声ランプ制御装置143においては、主制御装置162から変動開始コマンドを受信した際に、改めて変動表示の態様等の演出態様を特定する構成となっている。この際、保留情報格納エリア474において当該変動開始コマンドに対応するエリアを参照して3D演出を行うか否かを特定する。つまり、3D演出の可否については変動開始コマンドを受信する前の保留コマンド受信時に特定される構成となっており、変動開始コマンドを受信した際には、その特定された結果を参照するに過ぎず再度3D演出の抽選を行うことはない。
<表示制御装置500にて実行される処理>
次に、表示制御装置500にて実行される各種処理について説明する。表示制御装置500においては、表示制御装置500への動作電力の供給が開始された場合や、パチンコ機10のリセットが行われた場合に起動されるメイン処理、音声ランプ制御装置143からコマンド(ストローブ信号)を受信した場合に、その時点で実行されている処理が何であったとしても最優先で起動されるコマンド対応処理、予め定められた周期(詳しくは20msec周期)で繰り返し起動されるタイマ割込み処理とが実行される。これら各種処理については、統括CPU510にて実行され、統括CPU510からのコマンドに応じて、表示CPU520,530等が動作する構成となっている。なお、本実施の形態においては、統括CPU510によって主要な制御を実行し、表示CPU520,530によって描画データを生成するための各種処理を実行する構成とすることにより、表示制御装置500における処理負荷を分散させている。
本実施の形態においては、3D演出を実行する際の3D画像データの読み出し/消去を工夫することにより、表示制御装置500にかかる処理負荷の増大を抑えている。以下、3D画像データの読み出し/消去にかかる各種処理について説明する。
<コマンド対応処理>
先ず、図30(a)のフローチャートを参照して、コマンド対応処理を構成する保留コマンド対応処理について説明する。
保留コマンド対応処理においては先ず、ステップS1501にて音声ランプ制御装置143を通じて主制御装置162から保留コマンドを受信しているか否かを判定する。
ステップS1501にて否定判定をした場合には、そのまま本コマンド判定処理を終了する。ステップS1501にて肯定判定をした場合には、ステップS1502に進み、保留情報の設定処理を実行する。ワークRAM550の保留情報格納エリア554(詳しくは第1エリアRd1〜第8エリアRd8において保留情報が格納されていないエリアのうち最も若いエリア)に今回受信した保留コマンドにかかる保留情報(詳しくは、演出の態様、当否情報、3D演出の可否にかかる情報)をセットし、本保留コマンド対応処理を終了する。
ここで、保留情報格納エリア554にかかる構成について補足説明する。保留情報格納エリア554は、上述の如く第1エリアRd1〜第8エリアRd8を有しており、各エリアにつき1の保留情報を格納可能な構成となっている。各エリアRd1〜Rd8に格納された保留情報は、主制御装置162からシフト時コマンドを受信することにより、すなわち遊技回が開始された場合に、下位エリア側に順にシフトされることとなる。具体的には、第1エリアRd1のデータをクリアするとともに、第2エリアRd2→第1エリアRd1、第3エリアRd3→第2エリアRd2、第4エリアRd4→第3エリアRd3 ・・・ 第8エリアRd8→第7エリアRd7といった具合に各エリア内のデータがシフトされる。なお、主制御装置162の保留球格納エリア432においては、上作動口用保留エリアRaと下作動口用保留エリアRbとが区別して設けられていたが、音声ランプ制御装置143の保留情報格納エリア474においては入球先に関係なく保留情報が時系列的にまとめて記憶される構成となっている。
また、表示制御装置500における保留情報格納エリア554と、音声ランプ制御装置143の保留情報格納エリア474とは、格納される保留情報が一致している。
再び保留コマンド対応処理の説明に戻り、ステップS1502の処理を実行した後は、ステップS1503に進み、今回の保留情報が3D演出にかかる保留情報であるか否かを判定する。ステップS1503にて否定判定をした場合には、そのまま本保留コマンド対応処理を終了する。
一方、ステップS1503にて肯定判定をした場合には、ステップS1504にて3D画像データの読出開始タイミングの設定処理を実行した後、本保留コマンド対応処理を終了する。
ここで、図30(b)のフローチャートを参照して、3D画像データの読出開始タイミングの設定処理について説明する。
<3D画像データの読出開始タイミングの設定処理>
当該設定処理においては先ず、ステップS1601にて先行して記憶されている保留情報に3D演出にかかる保留情報が存在しているか、又は現在実行中の遊技回が3D演出にかかる遊技回であるかを判定する。
ステップS1601にて否定判定をした場合にはステップS1602に進み、3D画像データの読出開始処理を実行した後、本設定処理を終了する。3D画像データの読出開始処理においては、メモリモジュール540に格納されている3D画像データ(詳しくは3D画像の圧縮データ)を読み出して第2VRAM570の展開用バッファ571に解凍した状態で記憶するための処理を行う。
本実施の形態における3D画像データについては、他の2D画像データと比較して、そのデータ量が大きく、読み出し及び圧縮に要する時間が嵩む構成となっているが、保留コマンドを受信した時点で、データの読み出しを開始することで、実際に3D画像演出を実行するまでのデータの準備期間を好適に確保することが可能となる。
ステップS1601にて否定判定をした場合には、ステップS1603に進む。ステップS1603ではステップS1601にて肯定判定をする要因となった保留情報と、今回受信した保留情報とが同一の3D演出に対応するものであるかを判定する。それら各保留情報が全て同一の3D演出に対応するものであると判定した場合には、そのまま、本設定処理を終了する。
一方、ステップS1603にて否定判定をした場合、すなわち先行して記憶されている保留情報の中に今回受信した保留情報とは異なる3D演出に対応するものが存在している場合、又は現在進行中の遊技回が今回受信した保留情報とは異なる3D演出に対応するものである場合には、ステップS1604に進む。
ステップS1604では、現在リーチ表示が行われている最中又はリーチ表示が実行される遊技回であるか否かを判定する。ステップS1604にて否定判定をした場合には、上記ステップS1602にて3D画像データの読出開始処理を実行した後、本設定処理を終了する。
ステップS1604にて肯定判定をした場合には、ステップS1605にて3D画像データの読出開始タイミングの遅延処理を実行した後、本設定処理を終了する。ステップS1605の遅延処理について補足説明すると、今回受信した保留情報より先に記憶されている保留情報の中にリーチ表示が行われないものがある場合には、その保留情報にかかる遊技回が開始される際に、今回受信した保留情報より先に記憶されている保留情報の中にリーチ表示が行われない保留情報が存在しない場合には今回受信した遊技回が開始される際に3D画像データの読み出しを開始するように読出開始タイミングを特定するための読出開始用フラグをワークRAM550の各種フラグ格納エリア553に格納する。
<変動表示制御処理>
次に、図31〜図33のフローチャートを参照して、上記タイマ割込み処理の一環として行われる変動表示制御処理について説明する。
変動表示制御処理においては、先ずステップS1701において、図柄表示装置94にて1遊技回分の図柄の変動表示が実行されているか否かを判定する。1遊技回分の図柄の変動表示が行われていない場合にはステップS1702にて、主制御装置162から送信された変動用コマンドを受信しているか否かを判定する。変動用コマンドを受信していない場合には、そのまま本変動表示制御処理を終了する。変動用コマンドを受信している場合には、ステップS1703にて変動開始用処理を実行した後に、本変動表示制御処理を終了する。変動開始用処理は、主制御装置162から送信された変動用コマンドを受信したことに基づき、図柄表示装置94における図柄の変動表示を開始させるための処理である。
ここで、図32(a)のフローチャートを参照して、変動開始用処理について説明する。変動開始用処理においては先ず、ステップS1801にて演出態様特定処理を実行する。具体的には、ワークRAM550の保留情報格納エリア554に格納されている保留情報(詳しくは変動表示時間にかかる情報や当否情報等)と、同じくワークRAM550に格納されている変動表示パターンテーブルとを参照して、図柄表示装置94における図柄の変動表示態様を特定する。
ステップS1801の特定処理を実行した後はステップS1802に進み、3D画像データの読出開始指示があるか否かを判定する。具体的には、ワークRAM550の各種フラグ格納エリア553に読出開始用フラグが格納されているか否かを判定する。ステップS1802にて否定判定をした場合には、そのまま本変動開始用処理を終了する。一方、ステップS1802にて肯定判定をした場合には、続くステップS1803にて指定された3D画像データの読出開始処理を実行した後、本変動開始処理を終了する。ステップS1803の処理を実行することで、メモリモジュール540に記憶されている3D画像の圧縮データのうち指定されたものが、第2VRAM570の展開用バッファ571に解凍された状態で記憶される。
再び図31の説明に戻り、ステップS1701にて肯定判定をした場合、すなわち1遊技回分の図柄の変動表示が行われている場合には、ステップS1704に進む。ステップS1704では、主制御装置162から送信された変動終了コマンドを受信しているか否かを判定する。変動終了コマンドを受信していない場合には、図柄の変動表示が実行されている場合の図柄表示装置94を制御する変動中用処理を実行する。具体的には、変動中用処理を構成するステップS1705〜S1706の処理を実行した後に、本変動表示制御処理を終了する。
ステップS1705では、今回の遊技回が3D演出を実行する遊技回であるか否かを判定する。詳しくは、ワークRAM550の各種フラグ格納エリア553に3D演出実行フラグが格納されているか否かを判定する。ステップS1705にて肯定判定をした場合にはステップS1706に進み、2D演出から3D演出への切替タイミングであるか否かを判定する。ステップS1706にて肯定判定をした場合には、ステップS1707にて演出切替用処理を実行した後、本変動表示制御処理を終了する。一方、ステップS1705及びステップS1706の何れかにて否定判定をした場合には、そのまま本変動表示制御処理を終了する。
ここで、ステップS1707にて実行される演出切替用処理について、図32(b)のフローチャートを参照しながら説明する。
<演出切替用処理>
演出切替用処理においては、先ずステップS1901にて3D画像データの読み出しが完了しているか否かを判定する。ステップS1901にて肯定判定をした場合には、ステップS1902に進み、3D用表示CPUの有効化処理を行う。具体的には、ワークRAM550の各種フラグ格納エリア553に、有効化フラグを格納する。このフラグは後述するV割り込み処理等にて参照され、同フラグが格納されている間は3D用表示CPU530の動作が許容されることとなる。なお、上述したステップS1706の判定タイミングについては、図柄表示装置94にて実際に3D演出が実行されるよりも筈かに早いタイミングとなっている。これは、3D画像用の準備処理(例えば描画リストの作成)等に要する期間を担保するための工夫である。
一方、ステップS1901にて否定判定をした場合、すなわち何らかの不具合等が発生して3D画像データの読み出しが完了していないと判定した場合には、ステップS1903に進み、ワークRAM550の各種フラグ格納エリア553に、2D用表示CPU520を代用するための代用フラグを格納する。このフラグが格納されている場合には、3D演出がキャンセルされ、2D演出が続行されることとなる。
再び、図31の説明に戻り、ステップS1704にて肯定判定をした場合、すなわち変動終了コマンドを受信している場合には、ステップS1708にて変動終了用処理を実行した後に、本変動表示制御処理を終了する。変動終了用処理では、図柄表示装置94の表示画面94aにて予め定められた図柄の組み合わせが停止表示されるように(確定表示されるように)、図柄表示装置94を制御する。
ここで、図33のフローチャートを参照して、変動終了用処理において3D演出にかかる各種処理ついて説明する。変動終了用処理においては、ステップS2001にて3D演出が完了したか否かを判定する。ステップS2001にて否定判定をした場合には、そのまま本変動終了用処理を終了する。この際、仮にワークRAM550の各種フラグ格納エリア553に上述した有効化フラグや代用フラグが格納されている場合には、これら各フラグを消去する。
ステップS2001にて肯定判定をした場合にはステップS2002に進み、描画用CPUを2D用表示CPU520に切り替えるための処理を実行する。具体的には、ワークRAM550の各種フラグ格納エリア553に格納されている有効化フラグを消去する。これにより、以降の処理においては、3D用表示CPU530が無効化され、描画リストの作成には専ら2D用表示CPU520が使用されることとなる。
ステップS2002の処理を実行した後は、ステップS2003以降の3D画像データの消去にかかる各種処理を実行する。
具体的には、先ずステップS2003にて今回使用した3D画像データと同一の3D画像データにかかる保留情報がワークRAM550の保留情報格納エリアに格納されているか否かを判定する。ステップS2003にて否定判定をした場合には、ステップS2004にて3D画像データの消去処理を実行する。具体的には、第2VRAM570の展開用バッファ571に記憶されている3D画像データの消去処理を実行する。その後、本変動終了用処理を終了する。
一方、ステップS2003にて肯定判定をした場合、すなわち、後続の遊技回にて同一の3D画像にかかる3D演出が実行されることが予定されている場合には、ステップS2005に進む。ステップS2005では、今回の遊技回と、次に同一の3D演出が実行される遊技回の間に他の遊技回が存在しているか否かを判定する。ステップS2005にて肯定判定をした場合には、ステップS2004にて3D画像データの消去処理を実行した後、本変動終了用処理を終了する。一方、ステップS2005にて肯定判定をした場合には、第2VRAM570の展開用バッファ571に記憶されている3D画像データを消去することなく、そのまま本変動終了用処理を終了する。このようにして3D画像データの消去を留保することで、次回その3D画像データにかかる遊技回にて3D演出が実行されるまで、当該3D画像データが展開用バッファ571にて保持されたままとなる。
次に、図34のフローチャートを参照してタイマ割込み処理を構成するV割込み処理について説明する。
なお、VDP580は図柄表示装置94に1フレーム分の画像信号を出力する場合、表示画面94aの左上の隅角部分にあるドットから画像信号の出力を始めて、当該ドットを一端に含む横ライン上に並ぶドットに対して順次画像信号を出力するとともに、各横ラインに対して上から順に左から右のドットへと画像信号を出力する。そして、表示画面94aの右下の隅角部分にあるドットに対して最後に画像信号を出力する。この場合に、VDP580は当該最後のドットに対して画像信号を出力したタイミングで、統括CPU510へV割込み信号を出力して1フレームの画像の更新が完了したことを統括CPU510に認識させる。このV割込み信号の出力周期は20msecとなっている。この点、V割込み処理は、V割込み信号の受信に同期して起動されると見なすこともできる。但し、V割込み信号を受信していなくても、前回のV割込み処理が起動されてから20msecが経過している場合には、新たにV割込み処理が起動される。なお、V割込み信号を受信した後は、遊技進行に合わせて2D用表示CPU520及び3D用表示CPU530の何れかに動作用のコマンドが出力されることとなる。
<V割込み処理>
V割込み処理では、先ずステップS2101にて、コマンド解析処理を実行する。具体的には、ワークRAM550のコマンド格納エリア551に格納されているコマンドの内容を解析する。続くステップS2102では、ステップS2101の解析結果に基づいて、新規コマンドを受信しているか否かを判定する。新規コマンドを受信している場合には、ステップS2103にて、コマンド対応処理を実行する。
コマンド対応処理では、受信しているコマンドに対応したプログラムを実行するためのデータテーブルを把握する。データテーブルとは、受信したコマンドに対応した動画を図柄表示装置94の表示画面94aに表示させる場合において、画像の各更新タイミングにおける1フレーム分の画像を表示させるのに必要な処理が定められた情報群である。
ここで、統括CPU510が音声ランプ制御装置143から受信するコマンドとしては、既に説明したとおり、変動用コマンド、種別コマンド、変動終了コマンド、オープニングコマンド、エンディングコマンド等がある。これらのコマンドを受信した場合、それら各コマンドに対応した遊技回用演出を図柄表示装置94にて実行するために必要なデータテーブルを把握する。また、変動終了コマンドを受信した場合には現状実行されている遊技回用演出を最終停止させるために必要なデータテーブルを把握する。
なお、遊技回ごとの変動表示の態様については、既に説明した変動開始用処理にて特定されているため、この特定された情報に基づいて、コマンド対応処理が実行される。
遊技回用演出を実行するために必要なデータテーブルのうち当該遊技回用演出を開始させるのに必要なデータテーブルは常用プログラムデータとしてワークRAM550の常用エリアに既に転送されている。また、遊技回用演出を最終停止させるために必要なデータテーブル、大当たり演出を開始させるために必要なデータテーブル及びデモ表示を実行するために必要なデータテーブルも、常用プログラムデータとしてワークRAM550の常用エリアに既に転送されている。さらにそれらデータテーブルに基づく処理を実行する上で必要な他のプログラムデータも常用プログラムデータとしてワークRAM550の常用エリアに既に転送されている。
ステップS2103にてコマンド対応処理を実行した後は、ステップS2104にて、プログラムデータの事前転送が必要であるか否かを判定する。ここで必要であると判定されるデータは、ステップS2103において必要であると判定されたデータテーブルのうち常用プログラムデータに含まれていないデータテーブルと、そのデータテーブルに基づく処理を実行する上で必要な他のプログラムデータである。
プログラムデータの事前転送が必要である場合には、ステップS2105にて、メモリモジュール540に対してその必要なプログラムデータの転送要求を行う。メモリモジュール540では、当該プログラムデータに対応したアドレス指定コマンドを統括CPU510から受信することで、ワークRAM550の変更用エリアへのプログラムデータの転送を開始する。
つまり、統括CPU510ではコマンドを新たに受信した場合、そのコマンドを解析したタイミングで新たなプログラムデータの転送が必要か否かを判定し、必要であればプログラムデータの転送要求を行う。これにより、極力早いタイミングでプログラムデータの事前転送を開始することができる。ちなみに、この転送要求に際しては、転送要求対象のプログラムデータが記憶されている論理アドレスだけでなく、転送先のアドレスも指定される。また、コマンドに対応した処理を実行する上で最初のタイミングの処理を含むデータテーブルやプログラムデータは、常用プログラムデータとして初期起動時に転送されているため、コマンドを受信してからそれに対応した処理が開始されるまでに待機時間が生じないようになっている。
ステップS2102にて否定判定をした場合、ステップS2104にて否定判定をした場合又はステップS2105の処理を実行した後は、ステップS2106に進む。ステップS2106では、ポインタ更新処理を実行する。当該ポインタ更新処理では、データテーブルに設定されているポインタの情報を、1フレーム分進めるように更新する。これにより、今回の更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるために必要な処理を、統括CPU510において把握することが可能となる。
続くステップS2107では、タスク用処理を実行する。タスク用処理では、今回の更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるために、VDP580に描画指示を行う上で必要なパラメータの演算を行わせるべく表示CPU520,530に演算用のコマンドを出力する。当該タスク用処理の詳細については後に説明する。
続くステップS2108では、描画リスト出力処理を実行する。描画リスト出力処理では、今回の処理回に係る更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるための描画リストを作成させるべく表示CPU520,530にリスト作成用のコマンドを出力する。かかるコマンドを受信した表示CPU520,530では、描画リストを作成し、その作成した描画リストをVDP580に送信する。この場合、当該描画リストでは、直前のタスク用処理にて把握された画像が描画対象となり、さらに当該タスク用処理にて更新したパラメータの情報が合わせて設定される。VDP580では、この描画リストに従ってVRAM560,570の何れかのフレーム領域に描画データを作成する。このVDP580における処理については後に詳細に説明する。
続くステップS2109では、プログラムデータの転送中であるか否かを判定する。プログラムデータの転送中である場合には、そのまま本V割込み処理を終了する。一方、プログラムデータの転送中でない場合には、ステップS2110にて、現状設定されているデータテーブルにおいて現状以降の更新タイミングとして設定されている情報を参照することで、画像データの転送が必要か否かを判定する。
各種画像データのうち、常用プログラムデータに基づく描画指示に際して使用される画像データは、常用画像データとして設定されている。つまり、常用画像データとして、遊技回用演出を開始させるのに必要な画像データ、大当たり演出を開始させるために必要な画像データ、及びデモ表示を実行するために必要な画像データが設定されている。これら画像データの転送要求は、上記メイン処理における初期設定処理においてメモリモジュール540に対して既になされており、統括CPU510においてコマンドを受信する状況となった場合にはその転送が完了している。
なお、当該構成に限定されることはなく、常用画像データの転送が完了するまでは、少なくともステップS2106以降の処理が実行されない構成としてもよい。この場合、統括CPU510にて上記メイン処理が起動して図柄表示装置94にて初期画像が表示されてからは、常用画像データの転送が完了するまでその初期画像の表示が継続されることとなる。また、初期画像データの転送に際して、図柄の変動表示を行うために必要な画像データの総データ容量よりも小さいデータ容量の簡易図柄データも同時に転送する構成とし、常用画像データ群の転送が完了していない状況で、変動用コマンドを受信した場合には、簡易図柄による変動表示を行う構成としてもよい。
ステップS2110にて転送が必要であると判定される画像データは、現状設定されているデータテーブルにおいて現状以降の更新タイミングで必要となる画像データであって、常用画像データに含まれていない画像データである。画像データの転送が必要でない場合には、そのまま本V割込み処理を終了する。画像データの転送が必要である場合には、ステップS2111にて、メモリモジュール540に対してその必要な画像データの転送要求を行った後に、本V割込み処理を終了する。メモリモジュール540では、当該画像データに対応したアドレス指定コマンドを受信することで、展開用バッファ561,571の変更用エリアへの画像データの転送を開始する。
つまり、統括CPU510では現状設定されているデータテーブルを参照して、新たな画像データの転送が必要か否かを判定し、必要であれば画像データの転送要求を行い、VDP580において描画データを作成する上で必要となるタイミングとなるまでに画像データが事前転送されているようにする。これにより、VDP580において描画データの作成を円滑に行うことができる。ちなみに、この転送要求に際しては、転送要求対象の画像データが記憶されている論理アドレスだけでなく、転送先のアドレスも指定される。また、常用画像データが初期起動時に転送されているため、コマンドを受信してからそれに対応した画像の表示が開始されるまでに待機時間が生じないようになっている。
ここで、ステップS2109の処理が実行されることにより、画像データの転送よりもプログラムデータの転送が優先されることとなる。また、このようにプログラムデータの転送が優先されたとしても、データテーブルを参照して画像データの転送の必要性が判定される構成であるため、ステップS2109にて一旦転送が回避されたとしても、その後のV割込み処理にて転送の必要性が判定されて転送要求が実行される。これにより、プログラムデータと画像データとの転送タイミングが重複しないようにすることができるとともに、プログラムデータの転送を優先することができる。
<タスク用処理>
ここで、ステップS2107のタスク用処理について説明する。本実施の形態においては、2D画像用のタスク用処理と、3D画像用のタスク用処理とが設定されており、前者は2D用表示CPU520によって実行され、後者は3D用表示CPU530によって実行される構成となっている。
以下、タスク用処理について簡単に説明する。タスク用処理においては、先ず制御開始用の設定処理を実行する。制御開始用の設定処理では、今回の処理回で表示CPU520,530において新たに制御(演算)を開始する個別画像を設定するための処理を実行する。なお、個別画像とは、背面用の画像データなどの静止画像データにより規定される一の2D画像や、オブジェクト用の画像データとテクスチャ用の画像データとの組み合わせにより規定される一の3D画像等のことである。
制御開始用の設定処理を実行した後は、背景用演算処理を実行する。背景用演算処理では、背景の画像を構成することとなる最背面用の静止画像や、背景用スプライト、背景用板ポリゴンのうち、今回の制御更新対象を把握する。また、その把握した制御更新対象について、ワールド座標系内(仮想2次元平面上又は仮想3次元空間)における座標、回転角度、スケール、明暗を付けるためのライトの情報、投影を行うためのカメラの情報、及びZテスト指定などといった描画リストを作成する上で必要な各種パラメータを演算して導き出す処理を実行する。そして、その導き出した各種パラメータを、ワークRAM550において各個別画像に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
続いて、演出用演算処理を実行する。演出用演算処理では、リーチ表示、予告表示及び大当たり演出といった各種演出において表示対象となる演出の画像を構成する演出スプライトのうち、今回の制御更新対象を把握する。また、その把握した制御更新対象について、上記各種パラメータを導き出す。そして、その導き出した各種パラメータを、ワークRAM550において各個別画像に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
その後、図柄用演算処理を実行する。図柄用演算処理では、各遊技回において変動表示の対象となる図柄のうち、今回の制御更新対象を把握する。また、その把握した制御更新対象について、上記各種パラメータを導き出す。そして、その導き出した各種パラメータを、ワークRAM550において各個別画像に対応させて確保されたエリアに書き込むことで制御用の情報を更新する。
ちなみに、これら各処理では、個別画像の各種パラメータを画像更新タイミングとなる度に、特定のパターンに従って変化させるように設定されたアニメーション用データが用いられる。このアニメーション用データは、個別画像の種類に応じて定められている。また、アニメーション用データは、表示CPU520,530において読み出す必要があるタイミングとなるまでにワークRAM550に事前転送される。
その後、ワールド座標系への配置対象の把握処理を実行する。ワールド座標系への配置対象の把握処理では、上記各処理により制御更新対象となった各個別画像のうち、今回の描画リストにおいて描画対象として設定する個別画像を把握する処理を実行する。当該把握は、現状設定されているデータテーブルに基づいて行われる。ここで把握された個別画像が、描画リストにおいて描画対象として設定される。
当該把握は、現状設定されている描画範囲の情報と、各種個別画像の座標、回転角度及びスケールの情報とを参照して予め定められた演算を実行することで行われる。ここで把握された個別画像が、描画リストにおいて描画対象として設定される。このように描画リストにて指定する個別画像を、制御開始済みの全ての個別画像とするのではなく、表示対象の個別画像のみとすることで、VDP580において表示対象の個別画像を選別する必要がなく、また選別しないとしても表示対象ではない個別画像について無駄に描画処理を行う必要がなくなる。これにより、VDP580の処理負荷の軽減が図られる。
<VDP580における基本的な処理>
次に、VDP580にて実行される基本的な処理について説明する。
VDP580では、表示CPU520,530から送信されたコマンドに基づいてレジスタ582の値を設定する処理、表示CPU520,530から送信された描画リストに基づいてフレームバッファ562,572のフレーム領域に描画データを作成する処理、及びフレーム領域に作成された描画データに基づいて図柄表示装置94に画像信号を出力する処理が実行される。
上記各処理のうち、レジスタ582の値を設定する処理は、表示CPU520,530用のI/F585に付随する図示しない回路によって、コマンドを受信した場合にその都度実行される。また、描画データを作成する処理は、予め定められた周期(例えば、1msec)で制御部581によって繰り返し起動される。また、画像信号を出力する処理は、表示回路584によって、予め定められた画像信号の出力開始タイミングとなることで実行される。
以下、上記描画データを作成する処理について詳細に説明する。当該処理の説明に先立ち、表示CPU520,530からVDP580に送信される描画リストの内容について説明する。
描画リストには、ヘッダ情報が設定されている。ヘッダ情報には、当該描画リストに係る1フレーム分の画像を、第1フレーム領域及び第2フレーム領域のうちいずれを作成対象とするかを示す情報であるターゲットバッファの情報が設定されている。また、ヘッダ情報には、デコード指定の有無及びデコード対象となる動画像データが転送されているアドレスの情報が設定されている。また、ヘッダ情報には、各種指定情報が設定されている。各種指定情報の内容については後に説明する。
描画リストには、上記ヘッダ情報以外にも、今回の描画データの作成に際してワールド座標系への配置対象となる複数種類の画像データが設定されており、さらに各画像データの描画順序の情報と、各画像データのパラメータ情報とが設定されている。詳細には、描画順序の情報が連番の数値情報となるようにして設定されているとともに、各数値情報に1対1で対応させてパラメータの情報が設定されている。
本実施の形態においては、図柄表示装置94に2D画像及び3D画像を表示可能となっており、上記描画リストは2D画像用のものと3D画像用のものとで異なっており、描画の手順についても相違している。そこで、以下の説明においては、先ず図35を参照して、2D画像にかかる構成について説明する。
2D画像にかかる描画順序は、1フレーム分の画像において表示画面94a奥側に位置するように表示させたい個別画像から先に描画対象となるように設定されている。なお、個別画像とは、背景データといった静止画像データにより規定される一の静止画像や、図柄スプライトデータといったスプライトデータにより規定される一のスプライトのことである。図35(a)の描画リストでは、背景データが最初の描画対象として設定されているとともに、スプライトデータAが2番目、スプライトデータBが3番目、・・・として設定されている。したがって、描画対象のフレーム領域562a,562bに対して、最初に背景データが書き込まれ、その後に当該背景データに重なるようにしてスプライトデータAが書き込まれ、さらにスプライトデータBが書き込まれる。なお、1フレーム分の画像においては、背景画像→演出画像→図柄の順序で手前側となるように、各個別画像が表示される。
パラメータの情報P(1),P(2),P(3),・・・には、複数種類のパラメータが設定されている。背景データのパラメータP(1)について具体的には、図35(b)に示すように、VRAM560において背景データが転送されているエリアのアドレスの情報と、背景データを書き込む場合における2次元平面上の位置を示す座標の情報と、背景データを書き込む場合における2次元平面上の回転角度を示す回転角度の情報と、背景データの初期状態として設定されているサイズに対して、フレーム領域562a,562bに書き込む際の倍率を示すスケールの情報と、背景データを書き込む場合における全体の透過情報(又は透明情報)を示す一律α値の情報と、αデータの適用有無及び適用対象を示すαデータ指定の情報とが設定されている。上記パラメータの種類は、図35(c)に示すように、スプライトデータAについても同様である。
ここで、座標の情報は、画像データを構成する全ピクセルについて個別に設定されるのではなく、一の画像データに対して一の座標の情報が設定される。具体的には、座標の情報が指定される基準ピクセルとして画像データの中心の1ピクセルが設定されている。VDP580では、指定される座標の情報が画像データの中心の1ピクセルであることを認識可能となっており、画像データの配置に際してはその中心の1ピクセルが指定された座標上となるようにする。これにより、2D用表示CPU520において一の画像データに対して指定すべき座標情報の情報容量を抑えることができる。また、2D用表示CPU520やVDP580において画像データの全ピクセルについて座標を認識可能としておく必要がないため、プログラムの簡素化も図られる。
ちなみに、上記基準ピクセルは中心の1ピクセルに限定されることはなく、例えば左上や右上といった隅角のピクセルであってもよい。スプライトデータや静止画像データは基本的に矩形状として規定されているため、隅角のピクセルを基準ピクセルとすることで、2D用表示CPU520やVDP580において基準ピクセルの認識を行い易くなる。
また、一律α値とは、一の画像データの全ドットに対して適用される透過情報のことであり、2D用表示CPU520における演算結果として導出される数値情報である。当該一律α値は、画像データの全ピクセルに一律で適用される。一方、αデータとは、背景データやスプライトデータの各ピクセル単位で適用される透過情報のことであり、画像データとしてNAND型フラッシュメモリに予め記憶されている。当該αデータは、同一の背景データ又は同一のスプライトデータの範囲内において各ピクセル単位で透過情報を相違させることができる。このαデータは、一律α値を設定するためのプログラムデータに比べデータ容量が大きい。
上記のように一律α値とαデータとが設定されていることにより、背景データやスプライトデータの透過度をピクセル単位で細かく制御するのではなく全ピクセルに対して一律で制御すればよい状況では一律α値で対応することができることで必要なデータ容量の削減が図られるとともに、αデータを適用することによって透過度をピクセル単位で細かく制御することも可能となる。
次に、図36を参照して、3D画像にかかる構成について説明する。
図36(a)の描画リストでは、背面用の画像データが最初の描画対象として設定されているとともに、背景用オブジェクトAが2番目、背景用オブジェクトBが3番目、・・・として設定されている。また、これら背景用の画像データよりも後の順番として、演出用の画像データが設定されており、例えば演出用オブジェクトAがm番目、演出用オブジェクトBがm+1番目、・・・として設定されている。また、これら演出用の画像データよりも後の順番として、図柄用の画像データが設定されており、例えば図柄用オブジェクトAがn番目、図柄用オブジェクトBがn+1番目、・・・として設定されている。
パラメータの情報P(1),P(2),P(3),・・・,P(m),P(m+1),・・・,P(n),P(n+1),・・・には、複数種類のパラメータが設定されている。背面用の画像データのパラメータP(1)について具体的には、図36(b)に示すように、VRAM570において背面用の画像データが転送されているエリアのアドレスの情報と、背面用の画像データを設定する場合におけるワールド座標系内の位置を示す座標の情報(X値の情報,Y値の情報,Z値の情報)と、背面用の画像データを設定する場合におけるワールド座標系内の回転角度を示す回転角度の情報と、背面用の画像データの初期状態として設定されているスケールに対して、ワールド座標系に設定する際の倍率を示すスケールの情報と、背面用の画像データを設定する場合における全体の透過情報(又は透明情報)を示す一律α値の情報と、が設定されている。
ここで、座標の情報は、オブジェクト用の画像データの全ピクセルについて個別に設定される。また、この座標の情報はオブジェクト用の画像データに対して設定されているが、テクスチャ用の画像データには設定されていない。テクスチャ用の画像データは、各ピクセルの座標値が、オブジェクト用の画像データの各ピクセルに関連付けて予め定められている。この座標値は、ワールド座標系における座標値とは異なるUV座標値であり、オブジェクト用の画像データ及びテクスチャ用の画像データの組み合わせに対して付属させた状態でNAND型フラッシュメモリに記憶されている。このUV座標値はテクスチャマッピングする際にVDP580により参照される。
また、パラメータ(P1)には、背面用の画像データを描画用の仮想2次元平面上に投影する場合における仮想カメラの座標及び向きの情報を含むカメラの情報と、背面用の画像データをレンダリングする場合における陰影を決定する仮想光源の位置及び向きの情報を含むライトの情報と、が設定されている。
また、パラメータ(P1)には、隠面消去を行う手法の一種であるZバッファ法の適用有無を示すZテスト指定の情報が設定されている。Zバッファ法とは、ワールド座標系内において多数のオブジェクトや2次元画像が奥行き方向(Z軸方向)に重なった場合に、Z軸上に並ぶ各ピクセル(又は各ボクセル、各画素)について視点からの距離を順次参照し、最も視点に近いピクセルに設定されている数値情報をフレーム領域572a,572bにおける対応する単位エリアに設定する深度調整用の処理方法である。当該Zバッファ法を適用する場合に、VRAM570に設けられたZバッファが利用される。
なお、上記隠面消去を行う手法としてZバッファ法以外にも、Zソート法が設定されている。Zソート法とは、Z軸上に並ぶ各ピクセルについて、各ピクセルに設定されている数値情報をフレーム領域572a,572bにおける対応する単位エリアに順次設定する深度調整用の処理方法である。当該Zソート法を適用する場合には、各ピクセルに設定されているα値が参照されて必要に応じて既に説明したような加算処理や既に説明したような融合用の演算の処理が実行されることとなる。Zソートによる隠面処理の具体的な処理構成の説明は省略するが、エフェクト画像を表示させる場合に起動される。
また、パラメータ(P1)には、αデータの適用有無及び適用対象を示すαデータ指定の情報と、フォグの適用有無及び適用対象を示すフォグ指定の情報と、背景画像を表示するために作成された背景画像用の描画データについて別保存の有無を示す別保存指定の情報と、が設定されている。
ここで、α値とは対応するピクセルの透過情報のことである。このα値の描画リスト上における設定の仕方として、上記一律α値を指定する方法と、αデータ指定を行う方法とがある。一律α値とは、一の画像データの全ピクセルに対して適用される透過情報のことであり、3D用表示CPU530における演算結果として導出される数値情報である。当該一律α値は、画像データの全ピクセルに一律で適用される。一方、αデータとは、2Dの静止画像データやテクスチャ用の画像データの各ピクセル単位で適用される透過情報のことであり、画像データとしてNAND型フラッシュメモリに予め記憶されている。当該αデータは、同一の静止画像データ又は同一のテクスチャ用の画像データの範囲内において各ピクセル単位で透過情報を相違させることができる。このαデータは、一律α値を設定するためのプログラムデータに比べデータ容量が大きい。
上記のように一律α値とαデータとが設定されていることにより、2Dの静止画像データやテクスチャ用の画像データの透過度をピクセル単位で細かく制御するのではなく全ピクセルに対して一律で制御すればよい状況では一律α値で対応することができることで必要なデータ容量の削減が図られるとともに、αデータを適用することによって透過度をピクセル単位で細かく制御することも可能となる。
また、フォグとは、ワールド座標系において所定方向、具体的にはZ軸方向の位置に対する明るさの度合いを調整するための情報である。フォグは、霧を表現したり、洞窟内を表現したりする場合に使用される。ここで、1フレーム分の画像の全体に対して単一のフォグを適用してもよい。この場合、1フレーム分の画像に一定の態様でフォグがかかることとなる。また、これに代えて、1フレーム分の画像の全体に対して複数のフォグを適用してもよい。この場合、Z軸方向の奥側に配置されているオブジェクトに対してその他のオブジェクトと同様のフォグを適用すると暗すぎることで質感がでないような状況において、当該オブジェクトには別のフォグを設定する構成とするとよい。これにより、上記質感を損なわせないようにしつつ、フォグを設定することによる効果を得ることができる。
また、別保存とは、一旦作成した背景画像用の描画データをその後のフレームにおいてそのまま使用するために、フレーム領域572a,572bとは別に設けられたモード用バッファに書き込み保存しておくことをいう。モード用バッファには、各表示モードに1対1で対応するように、第1モード用バッファと、第2モード用バッファとが設けられている。
また、パラメータP(2)といった他のパラメータでは、図36(c)に示すように、上記図36(b)の各種情報のうち、背景用の画像データの情報に代えて、オブジェクトの情報とテクスチャの情報とが設定されている。これらの情報としては、オブジェクトやテクスチャが転送されているエリアのアドレスの情報が設定されている。
<描画処理>
次に、VDP580における描画処理について、図37のフローチャートを参照しながら説明する。
先ずステップS2201では、既に受信している描画リストにて指示された描画データの作成が完了しているか否かを判定する。描画データの作成が完了している場合には、ステップS2202にて、表示CPU520,530から新たな描画リストを受信しているか否かを判定する。新たな描画リストを受信している場合には、ステップS2203にて、受信時の対応処理を実行する。
受信時の対応処理では、描画リストに含まれるターゲットバッファの情報から、今回受信した描画リストに対応した1フレーム分の画像をいずれのフレーム領域に作成するかを把握して、その把握したフレーム領域を描画データの作成対象として設定する。
続くステップS2204では、内容把握処理を実行する。内容把握処理では、描画リストにおいて描画対象として最初に設定されている画像データの種類を把握するとともに、当該画像データの各種パラメータを把握する。また、例えばスプライトデータの場合には、ビットマップ画像の各ドットに対して色パレットデータを適用する。
続くステップS2205では、書き込み処理を実行する。書き込み処理では、ステップS2204における内容把握処理の把握結果に基づいて、作成対象として設定されているフレーム領域に今回の描画対象の画像データを書き込む。
一方、ステップS2201にて、既に受信している描画リストにて指示された描画データの作成途中であると判定した場合には、ステップS2206にて描画リストのカウンタの更新処理を実行する。これにより、描画対象が次の描画順序の画像データに切り換えられる。そして、当該切り換えられた画像データについて、上記ステップS2204及びステップS2205の処理を実行する。つまり、描画処理が複数回実行されることで、一の描画リストにより指示された1フレーム分の画像の描画データが作成される。
なお、1回の描画処理で1個の画像データのみが処理される構成に限定されることはなく、1回の描画処理で複数個の画像データが処理される構成としてもよく、また描画処理の各処理回において同一個数の画像データが処理される構成に限定されることはなく、描画処理の各処理回において異なる個数の画像データが処理される構成としてもよい。
ステップS2202にて否定判定した場合、又はステップS2205の処理を実行した後は、ステップS2207にて、表示回路584において1フレーム分の画像信号出力が完了しているか否かを判定する。完了していない場合にはそのまま本描画処理を終了し、完了している場合にはステップS2208にて表示CPU520,530にV割込み信号を出力した後に、本描画処理を終了する。
上記1フレーム分の描画データの作成は20msec周期の範囲内で完了するように行われる。また、作成された描画データに基づいて表示回路584から図柄表示装置94に画像信号が出力されるが、既に説明したとおりダブルバッファ方式が採用されているため、当該画像信号の出力は当該出力に係るフレームに対して1フレーム分後の描画データの作成と並行して行われる。なお、表示回路584は1フレーム分の画像信号の出力が完了する毎に参照対象とするフレーム領域を交互に切り換えるセレクタ回路を有しており、当該セレクタ回路による切換によって、制御部581において描画データの描画対象となっているフレーム領域が画像信号を出力するための出力対象とならないように規制されている。
ここで、図25及び図38を参照して、本実施の形態における表示演出の態様について例示する。図38は表示画面94aにおけるキャラクタの動作を示す概略図である。なお、以下の説明においては、スーパーリーチCを例示対象としているが、スーパーリーチA及びスーパーリーチBについても演出の大まかな流れについては同様である。
先ず図25(b4)を参照して2D演出(スーパーリーチC)について説明する。スーパーリーチCが実行される場合には、先ず全ての図柄列Z1〜Z3が停止している状態からそれら図柄列Z1〜Z3が横方向へ変動表示を開始する。なお、背景画像(本実施の形態においては図示を省略するが海底を模した画像)については、変動表示の開始に関係なく横方向へのスクロール表示が継続される。
その後、上図柄列Z1→下図柄列Z3の順に図柄列の変動表示が停止し、リーチ表示に移行する。そして、リーチ表示に移行した後の所定のタイミングにて表示画面94aの中央に女の子のキャラクタ画像が表示される。かかるキャラクタ画像については、2D用表示CPU520にてスプライトデータを用いて生成され、遊技進行に合わせて、そのポーズ(姿勢又は形態)が変化する。
具体的には、図38(a)→図38(b)→図38(a)に示すように左右に手を振る動作を行い。かかる動作に合わせて中図柄列Z2が横方向へ変動表示する。そして、所定の期間に亘って手を振る動作を行った後、中図柄列Z2の変動速度の低下に合わせて、次の動作へと移行する。具体的には図38(c)→図38(d)→図38(c)に示すように手を上方に突き上げる動作を行う。
その後、図25(b4)に示すように、変動表示の終了タイミングとなることで、中図柄列Z2の変動表示が停止するとともに、キャラクタ画像の動きが停止する。
本実施の形態においては、以上の2D演出が実行されている最中にキャラクタ画像が2D画像から3D画像へと変化する3D演出が実行される。この際、2D画像及び3D画像は、キャラクタの大きさ、位置、姿勢等の各種パラメータが一致することで、画像の変化が円滑に行われる構成となっている。
このような3D演出への移行タイミングについては、大当たり結果となる期待度に応じて複数設定されている。具体的には、図38(a)に示すようにキャラクタ画像が手を振っているタイミング(詳しくは手が最も体に近い位置に存在しているタイミング)にて3D画像に切り替わる態様と、図38(c)に示すようにキャラクタ画像が手を上下に動かしているタイミング(詳しくは手が最も体に近い位置に存在しているタイミング)にて3D画像に切り替わる態様とが設定されている。
ここで、図39を参照し3D演出への切替態様について説明する。図39は2D演出から3D演出への切替の様子を示す概略図である。
先ず、図39(a)を参照して、第1の切替態様について説明する。表示画面94aにてリーチ表示が開始されてから第1期間が経過したタイミングでは、図39(a1)に示すように表示画面94aに表示されている2Dのキャラクタ画像が手を振る動作を行っている最中であり、手を最も体に近づけた状態となるようにして表示されている。より詳しくは、2D用表示CPU520によって上記条件に合致するキャラクタ画像が描画されている。このタイミングでは、3D用表示CPU530によって現在表示されているキャラクタ画像と位置、大きさ、姿勢等が全て合致するようにして3D画像の各種パラメータが設定され、VDP580では現在表示されている2D画像用のフレームバッファ562とは異なる3D画像用のフレームバッファ572にて3D画像の描画が行われる。そして、3D画像が完成した直後のタイミングにて表示画面94aに表示されているキャラクタ画像が2D画像から3D画像に置き換えられ、その後は3D演出が完了するまで3D用表示CPU530を用いて生成された3D画像の表示が継続されることとなる。
第2の切替態様についても、表示制御装置500にて実行される表示用の処理については同様となっている。具体的には、表示画面94aにてリーチ表示が開始されてから第2期間が経過したタイミングでは、図39(b1)に示すように表示画面94aに表示されている2Dのキャラクタ画像が手を上下に動かしている最中であり、手を最も体に近づけた状態となるようにして表示されている。より詳しくは、2D用表示CPU520によって上記条件に合致するキャラクタ画像が描画されている。このタイミングでは、3D用表示CPU530によって現在表示されているキャラクタ画像と位置、大きさ、姿勢等が全て合致するようにして3D画像の各種パラメータが設定され、VDP580では現在表示されている2D画像用のフレームバッファ562とは異なる3D画像用のフレームバッファ572にて3D画像の描画が行われる。そして、3D画像が完成した直後のタイミングにて表示画面94aに表示されているキャラクタ画像が2D画像から3D画像に置き換えられ、その後は3D演出が完了するまで3D用表示CPU530を用いて生成された3D画像の表示が継続されることとなる。このように、第1及び第2の切替態様においては、2D画像と置き換わるようにして3D画像を表示することで、それら両演出の関連性を遊技者に対して認識させやすくしている。また、表示態様の変化を円滑なものとすることが可能となっている。
以上詳述したように、本実施の形態においては、2D画像を用いた2D演出と3D画像を用いた3D演出とが採用されており、音声ランプ制御装置143における3D演出用の抽選に当選した場合には、2D演出に3D演出が割り込む構成となっている。このため、2D演出のみを実行するタイプの遊技機と比較して、3D演出を実行する場合に表示制御装置500にかかる処理負荷が大きくなる。このような、処理負荷の増大は表示制御装置500の円滑な動作を妨げる要因になり得るため好ましくなく、本実施の形態においては既に説明したように当該不都合の発生を抑えるための各種工夫が施されている。
以下、図40及び図41を参照して、表示制御装置500における表示制御の流れについて説明する。図40は3D画像データの読込態様及び消去態様を示すタイミングチャート、図41は3D画像データの読込態様及び消去態様を示すタイミングチャートである。
先ず、図40(a)を参照して、メモリモジュール540からの3D画像データの読み出しタイミングについて説明する。
ta1のタイミングにて遊技回が開始した後のta2のタイミングにて作動口83への入球が発生すると、保留領域に空があることを条件として主制御装置162から保留コマンドが送信される。音声ランプ制御装置143ではこの保留コマンドに基づいて当該保留コマンドに対応する遊技回(図40(a)においては次の遊技回)にて3D演出を実行するか否かの抽選を行う。その抽選にて当選した場合には、当該保留コマンドが音声ランプ制御装置143を経由して表示制御装置500へ届くことで、ta2のタイミングにて実行されている遊技回がリーチ表示非対応の遊技回であることを条件として、メモリモジュール540から第2VRAM570(詳しくは展開用バッファ571)への3D画像データの読み出しを開始する。
その後、ta3のタイミングにて本遊技回が終了し、続くta4のタイミングにて3D演出対応の遊技回が開始される。
ta6のタイミングにて3D演出が開始されるまでに、上述した3D画像データの読み出しが完了しているため、当該タイミングでの2D演出から3D演出への切替が円滑に実行されることとなる。
ta7のタイミングにて本遊技回が終了すると、この時点での保留情報に同様の3D演出に対応するものが存在しているか否かを判断し、当該保留情報が存在していないことを条件として、第2VRAM570に記憶されている3D画像データを消去する。
次に、図40(b)を参照して、3D画像データの別の読み出し態様について説明する。
tb1のタイミングにて遊技回が開始した後のtb2のタイミングではリーチ表示へ移行する。リーチ表示が行われている期間中のtb3のタイミングにて作動口83への入球が発生すると、保留領域に空きがあることを条件として主制御装置162から保留コマンドが送信される。音声ランプ制御装置143ではこの保留コマンドに基づいて当該保留コマンドに対応する遊技回(図40(b)においては次の遊技回)にて3D演出を実行するか否かの抽選を行う。その抽選にて当選した場合には、当該保留コマンドが音声ランプ制御装置143を経由して表示制御装置500へ届くこととなる。保留コマンドが表示制御装置500に届いたtb3のタイミングでは、リーチ表示が実行されている。そこで、ただちにメモリモジュール540から第2VRAM570(詳しくは展開用バッファ571)への3D画像データの読み出しを開始するのではなく、当該読み出しが先送りされる。
具体的には、tb4のタイミングにて本遊技回が終了し、tb5のタイミングにて上記保留コマンドに対応する遊技回が開始すると、当該遊技回の開始を契機として遅延されていた3D画像データの読み出しが開始されることとなる。
その後、tb7のタイミングにてリーチ表示へ移行するが、上述した3D画像データの読み出しはこのtb7タイミングよりも前のtb6のタイミングまでに完了するように構成されている。より詳しくは、変動表示が開始してからリーチ表示に移行するまでの期間(tb5のタイミングからtb7のタイミングまでの期間)よりも、3D画像データの読み出しに要する期間のほうが短くなるように設定されているため、3D演出が実施される場合にはほぼ全てでリーチ表示への移行前に3D画像データの読み出しが完了することとなる。なお、実際には3D画像データの読み出しにかかる期間については、表示制御装置500の状態(処理負荷や温度条件等)に応じて変化するが、このようなばらつきを考慮した上で3D画像データの読み出しに用する期間と変動表示開始からリーチ表示へ移行するまでの期間とが設定されている。
リーチ表示が実行されている最中は、表示制御装置500に生じる処理負荷が通常の変動表示時や停止表示時と比較して大きくなる。そこで、リーチ表示が実行されている場合には、3D画像データの読み出しを留保する構成とすることで、表示制御装置500に生じる処理負荷が過度に大きくなることを抑制することが可能となっている。
次に、図41を参照して、第2VRAM570の展開用バッファ571に記憶されている3D画像データの消去タイミングについて、上記例示した態様とは異なる態様について説明する。
tc1のタイミングにて3D演出に対応する遊技回が開始すると、これに併せてメモリモジュール540からの3D画像データの読み出しを開始する。tc2のタイミングにて3D画像データの読み出しが完了し、tc3のタイミングにて通常の変動表示からリーチ表示に移行する。ここで、リーチ表示が実施されているtc4のタイミングにて作動口83への入球が発生すると、保留領域に空きがあることを条件として主制御装置162から保留コマンドが送信される。音声ランプ制御装置143ではこの保留コマンドに基づいて当該保留コマンドに対応する遊技回(図40(c)においては2つ後の遊技回)にて3D演出を実行するか否かの抽選を行う。その抽選にて当選した場合には、当該保留コマンドが音声ランプ制御装置143を経由して表示制御装置500へ届くこととなる。保留コマンドが表示制御装置500に届いたtc4のタイミングでは、第2VRAM570(詳しくは展開用バッファ571)に当該保留コマンドにかかる3D演出と同じ3D演出用の3D画像データが記憶されている。このため、改めて3D画像データの読み出しが行われることはない。
tc6のタイミングにて本遊技回が終了すると、この時点で保留情報に今回の遊技回と同様の3D演出に対応するものが存在していること、更にはその保留情報に到達するまでに、他の3D演出が実行されないことを条件として、3D画像データの消去が留保されることとなる。
本実施の形態においては、tc7のタイミングにて完全外れに対応する遊技回が始まり、tc8のタイミングにて当該遊技回が終了する。この間も3D画像データが第2VRAM570に記憶されたままで維持され、tc9のタイミングで始まる3D演出対応の遊技回へと受け継がれることとなる。
tc10のタイミングでリーチ表示へ移行し、tc11のタイミングで3D演出が開始されるにあたり、上記第2VRAM570に記憶されている3D画像データが使用される。そして、tc12のタイミングで3D演出を終了すると、後続する3D演出対応の保留情報が存在していないため、第2VRAM570に記憶されている3D画像データが消去される。
以上詳述した第1の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
2D演出と関連付けて3D演出を実施する構成とすることで、演出への理解が困難になることを抑えつつ、演出態様の多様化を実現している。つまり、1の遊技回中に2D演出及び3D演出の両者を実施する場合には、両者を関連付けない構成とすることも可能であるが、これは、遊技演出の一体感を弱くし、遊技者を困惑させる要因となり得る。
具体的には、2D演出にて表示されている2Dのキャラクタ画像が、大きさ、位置、姿勢(形状)等の各種情報を引き継ぐようにして3Dのキャラクタ画像に置き換わる。これにより、3D演出を実行する際に、演出への理解が困難になることを回避することが可能となっている。
このように、2D演出及び3D演出を併用する構成においては、3D画像データのデータ量が2D画像データのデータ量よりも大きい点、更にはデータの取り扱い時に必要となるパラメータや処理が複雑になる点から、表示制御装置500にかかる処理負荷が大きくなる。より詳しくは、画像データを用いて描画用データを生成する場合には、データ量が大きくなるほど処理負荷や処理期間等が増大する。ここで、例えば処理負荷の局所的な高まりが生じた場合に処理落ちが発生したり描画データの形成が遅れたりして、表示演出の円滑さが損なわれやすくなると懸念される。これは、上述した表示演出への注目度向上の妨げとなり得るため好ましくない。
この点、本実施の形態においては、3D演出が開始されるよりも前に、圧縮された3D画像データを解凍された状態となるようにして読み出しておくことにより、3D演出開始時又はその直前に処理負荷等が過度に大きくなることを抑制することができる。これにより、表示演出への注目度の向上を図りつつそれに起因した処理負荷の増大を抑制することができる。故に、表示演出の多様化を好適に実現できる。
また、3D画像データについてはそのデータ量が大きくなればなるほどメモリモジュール540からの読み出しに要する期間が長くなる。これは、3D演出の開始タイミングに生じる制約を強くしたり、3D画像データのデータ量に生じる制約を強くしたりする要因となる。これは、演出の多様化や3D演出の見栄えの向上等の妨げとなり得る。
この点、本実施の形態においては、保留コマンドを受信した際に、その保留情報にかかる遊技回が開始する前に、データの読み出しを行う構成が採用されている。これにより、3D画像データの読み出しを余裕を持って行うことができ、上述した各種制約を払拭することが可能となっている。故に、データ量の大きな3D画像データの使用を促進して見栄えの向上や表示演出の多様化等を実現でき、更には3D演出の開始タイミングを早めに設定することができ演出の多様化を実現できる。これにより、表示演出への注目度の向上に貢献できる。
表示制御装置500に生じる処理負荷については、図柄表示装置94にて停止表示されている場合や通常の変動表示が行われている場合と比較して、リーチ表示が行われている場合に大きくなりやすい。そこで、上記3D画像データの読み出しを行う際には、このリーチ表示と並行して読み出しが行われないように、当該読み出しの開始タイミングが工夫されている。これにより、表示制御装置500に生じる処理負荷が一時的に過度に大きくなることを回避している。
例えば、3D画像データを上記第2VRAM570に常時記憶させておく構成とした場合には、上述したような都度のデータの読み出しが不要となり処理負荷の増大を抑えることができる。しかしながら、このような構成では、第2VRAM570に要求されるデータ容量が増大したり、使用される3D画像が限られることで3D演出のバリエーションが少なくなったりして、演出の多様化と表示制御装置500にかかる構成を簡素化とを両立することが困難になる。
ここで、本実施の形態においては、3D画像データの読み出し/消去の機会を減らす工夫が施すことで、演出の多様性を維持しつつ、要求されるデータ容量の増大を抑えることが可能となっている。
具体的には、3D画像データにかかる3D演出が実行された遊技回の後に再び同じ3D画像データにかかる3D演出が行われる予定となっている場合であって、間に他の3D演出が実施されない場合には、第2VRAM570に記憶されている3D画像データを次回使用時まで消去することなく保持したままとする。これにより、一度読み出した3D画像データが無駄に消去→再読み出しされることを回避し、後に所定の画像にかかる演出が実行される際の処理負荷を抑えることができる。
<第2の実施の形態>
上記第1の実施の形態においては、3D演出を実施する際には、遊技回が開始した後に内部的に予め設定されているタイミングとなることで2D演出(2D画像)から3D演出(3D画像)への切替を行う構成としたが、本実施の形態においては、この切替タイミングを多様化する構成が採用されている。以下、本実施の形態における3D演出にかかる構成を第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
作動口83への入球が発生し、主制御装置162から保留コマンドが音声ランプ制御装置143に送信されると、音声ランプ制御装置143では、上記第1の実施の形態と同様に、3D演出を実行するか否かの抽選を行う。当該保留コマンドに対応する遊技回が開始される際には、主制御装置162から変動用コマンドが送信される。
音声ランプ制御装置143では、変動用コマンドを受信した際に、上記抽選にて3D演出に当選していることを条件として、ROM453の抽選用テーブル記憶エリア461に記憶されている操作対応/非対応決定用テーブルを参照し、その3D演出を操作スイッチ40の操作に対応させるか否かを抽選する。
かかる抽選処理にて、操作対応3D演出に当選した場合には、操作非対応3D演出(上記第1の実施の形態における3D演出に相当)とは異なり、3D演出の開始タイミングが遊技者による操作スイッチ40の操作によって決定されることとなる。
音声ランプ制御装置143においては、この操作対応3D演出に当選した場合には、その旨を示す操作対応3D演出用フラグをRAM454の各種フラグ格納エリア473に格納し、表示制御装置500へ送信する変動用コマンドに操作対応3D演出に当選した旨を示す情報を付加する処理を行う。
音声ランプ制御装置143においては、当該変動用コマンドにかかる遊技回が開始される際に、操作対応3D演出用フラグが格納されていることを条件として、操作スイッチ40の操作受付期間を設定し、その期間での操作の監視を行う。そして、当該操作スイッチ40が操作受付期間中に操作された場合には、その旨を示す操作検知コマンドを表示制御装置500へ送信する。
表示制御装置500においては、受信した変動用コマンドが操作対応3D演出に対応している場合には、ワークRAM550の保留情報格納エリア554に操作対応3D演出用フラグを格納する。この操作対応3D演出用フラグが格納されている場合には、操作スイッチ40の操作が行われることで3D演出への切替が行われるように各種制御を行う。また、操作が有効に受け付けられる期間を報知するための情報が表示画面94aに表示されるように報知用処理が実行されることとなる。かかる報知の内容としては、例えば表示画面94aに「ボタンを押せ!」等のメッセージが表示される構成とすればよい。但し、報知の態様については、少なくとも遊技者に操作を促すことができるのであれば任意であり、例えば報知機能を音声ランプ制御装置143に付与し、ランプ部24〜26やスピーカ部27を用いて報知を行う構成としてもよい。
操作非対応3D演出を実行する場合には、予め設定されたタイミングにて2D画像から3D画像への切り替えを行うことができるため、スプライトデータ及びポリゴンデータの態様(大きさ、位置、姿勢(形状)等)を統一することが容易である。しかしながら、操作対応3D演出が実行される場合には、切替のタイミングが遊技者に一任されるため、2D画像と3D画像との関連性を維持することが困難になる。そこで、両者の関係を維持するための構成が別途必要となる。具体的には、3D用表示CPUにて実行される描画リストの作成時に、操作に対応させたパラメータの設定を行う必要がある。
以下、図42のフローチャートを参照して、上記タスク用処理に基づいて実行される操作対応3D演出用描画リスト作成処理について説明する。なお、操作非対応の場合の描画リスト作成処理については、上記第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
3D演出用描画リスト作成処理においては、先ずステップS2301にて操作対応3D演出にかかる遊技回であるか否かを判定する。かかる判定処理は、ワークRAM550の各種フラグ格納エリア553に上記操作対応3D演出用フラグが格納されていることで肯定判定する。
ステップS2301にて否定判定をした場合には、すなわち操作非対応3D演出にかかる遊技回である場合には、そのまま本作成処理を終了する。
一方、ステップS2301にて肯定判定をした場合には、ステップS2302に進み、操作受付期間中であるか否かを判定する。詳しくは、統括CPU510においては操作対応3D演出にかかる変動用コマンドを受信することで、ワークRAM550の各種カウンタエリア552に格納された有効受付期間用タイマカウンタに所定の値をセットする。このタイマカウンタについては、統括CPU510にてタイマ割込み処理が実行される度に更新され(「1」づつ減算され)、当該有効受付期間用タイマカウンタの値が「0」ではない予め設定された値となることで、有効期間が開始となったと判定する。なお、有効受付期間用タイマカウンタの値が「0」となることで、有効受付期間が終了することとなる。なお、本実施の形態においては、有効受付期間用タイマカウンタが「0」となるタイミングが3D演出の終了タイミングと一致している。
ステップS2302にて肯定判定をした場合には、音声ランプ制御装置143から操作検知コマンドを受信しているか否かを判定する。操作検知コマンドは、有効受付期間中に1度のみ送信される構成となっており、当該有効受付期間中に2度目以降の操作が行われた場合に操作検知コマンドが送信されることはない。
ステップS2303にて肯定判定をした場合には、ステップS2304に進み、現在表示中の2D画像データ(スプライトデータ)におけるキャラクタの姿勢にかかるパラメータを把握するための処理を実行する。
ステップS2304にて把握処理を実行した後はステップS2305に進み、3D画像データ(ポリゴンデータ)におけるキャラクタの姿勢にかかるパラメータを演算するための処理を実行する。
以下、図43を参照して、ステップS2304の把握処理及びステップS2305の演算処理について説明する。図43は、3D描画用データの作成の様子を示す概略図であり、(1)群はキャラクタ画像にかかるスプライトデータを仮想2次元平面に配置した状態を示し、(2)群はキャラクタ画像にかかるポリゴンデータを仮想3次元空間に配置した状態を示し、(3)群は表示画面94aにて表示される3D画像を概略的に示している。
図43(a1)に示すように、上記スプライトデータは2D連結オブジェクトを有してなる。2D連結オブジェクトは、複数の部品オブジェクト(部分オブジェクト)が連結部を関節として連結された一単位のオブジェクトであり、各部品オブジェクトを相対的に変位させることで2D画像のキャラクタに動きを与えるために設定されている。連結オブジェクトを用いることにより、2D画像のキャラクタをスムーズに動作させることができる。なお、連結オブジェクトが骨格部と関節部とを有していることに鑑みれば、ボーンモデルと称することもできる。
2D連結オブジェクトには、キャラクタの腕を表現するために、第1の連結オブジェクトPC1(左腕に相当)と第2の連結オブジェクトPC2(右腕に相当)とが設定されている。第1の連結オブジェクトPC1には、相互に異なる箇所に連結部CT1(肩関節に相当),CT2(肘関節に相当)が設定されており、第2の連結オブジェクトPC2は相互に異なる箇所に連結部CT3(肩関節に相当),CT4(肘関節に相当)が設定されている。
また、図43(a2)に示すように、ポリゴンデータは上記スプライトデータの連結オブジェクトPC1,PC2に対応する3D連結オブジェクトを有してなる。3D連結オブジェクトは、複数の部品オブジェクト(部分オブジェクト)が連結部を関節として連結された一単位のオブジェクトであり、各部品オブジェクトを相対的に変位させることで3D画像のキャラクタに動きを与えるために設定されている。連結オブジェクトを用いることにより、3D画像のキャラクタをスムーズに動作させることができる。
3D連結オブジェクトには、キャラクタの腕を表現するために、第1の連結オブジェクトPD1(左腕に相当)と第2の連結オブジェクトPD2(右腕に相当)とが設定されている。第1の連結オブジェクトPD1には、相互に異なる箇所に連結部CU1(肩関節に相当),CU2(肘関節に相当)が設定されており、第2の連結オブジェクトPD2は相互に異なる箇所に連結部CU3(肩関節に相当),CU4(肘関節に相当)が設定されている。
ここで、ステップS2304の把握処理においては、現在表示されているスプライトデータの連結オブジェクトPC1,PC2において連結部CT1〜CT4の座標を取得する処理を実行する。そして、ステップS2305の演算処理においては、ポリゴンデータの各連結オブジェクトPD1,PD2の連結部CU1〜CU4の座標に上記把握した2D座標を3D座標に変換したものを適用する。これにより、仮想2次元空間に配置されているスプライトデータと、仮想3次元空間に配置されているポリゴンデータとの形態(姿勢)が一致することとなる。なお、本実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様に、3D演出が実行され得る期間中にキャラクタ画像自体が表示画面94aを移動することはなく、経時的な変化については腕の位置のみに限定されている。このため、上記連結部にかかる位置情報の合わせ込みを行うことで、スプライトデータとポリゴンデータと形態を一致させることができる。
例えば、キャラクタ画像の腕が上下に移動している最中に3D演出移行の契機として操作スイッチ40の操作が行われた場合であっても、図43(b)群に示すように、2D画像データ(スプライトデータ)の連結部CT1〜CT4の座標取得→3次元座標への変換を行うことで、ポリゴンデータの連結部CU1〜CU4の位置が定まることとなり、スプライトデータとポリゴンデータと形態を一致させることができる。
ステップS2305の処理を実行した後、又はステップS2302及びステップS2303の何れかにて否定判定をした場合には、ステップS2306に進み、その他の各種パラメータ(例えば配色やカメラの位置等)を決定した後、本作成処理を終了する。
本実施の形態においては、3D演出の開始タイミングが遊技者の操作に応じて決定される。仮に、操作されてから3D表示が行われるまでのタイムラグ(待ち時間)が大きくなると、キャラクタ画像の円滑な動きが妨げられることとなる。この点、3D演出が確定した場合には、3D演出の実施を待つことなく、事前に3D画像の読み出し処理を実施しておくことで、操作→3D演出実施の応答性を向上させることができる。故に、2D画像と3D画像とが入れ替わる構成を採用したとしても、その切替タイミングにてキャラクタ画像の円滑な動きが妨げられることを抑制できる。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず例えば次のように実施してもよい。ちなみに、以下の各構成を個別に上記実施の形態に対して適用してもよく、一部又は全部を組み合わせて上記実施の形態に対して適用してもよい。
(1)上記各実施の形態では、通常は表示画面94aにて2D演出を実行し、所定の条件が成立した場合に2D演出に代えて3D演出を実行する構成とした。そして、3D演出にかかる画像データを3D演出の実施が決定されたことに基づいて3D画像を読み出す構成とした。しかしながら、このような先行読み出しの対象となるデータについては3D画像である必要は必ずしもなく、2D画像や動画データ等であってもよい。言い換えれば、特定種類のキャラクタや特定種類の背景画像を表示するための画像データとして、使用に際しての処理負荷が相対的に高い第1画像データと、使用に際しての処理負荷が相対的に小さい第2画像データとが設定されている構成においては、第1画像データの読み出しを上記実施の形態に示したように工夫することで、処理負荷が局所的に大きくなることを回避できるのであって、各画像データの種類については任意である。
なお、動画を読み出す構成については、動画データを表示画面94aに表示する前に、例えば読み込みが完了したタイミングでデコードを開始するとよい。これにより、動画表示への切り替えを円滑に進めることができ、当該切替時の処理負荷の増大を好適に抑えることができる。
(2)上記第1の実施の形態では、保留コマンドの受信に基づいて、3D画像データの読み出しを開始する構成としたが、予め定められた流れに従って一連の演出が行われる構成においては、3D画像データの読み出しに併せて又は3D画像データの読み出しを完了した後に描画リストを作成する構成としてもよい。特に、上記実施の形態に示すように、2D用表示CPU520、3D用表示CPU530、更には第1VRAM560、第2VRAM570を有する構成であるため、2D用表示CPU520及び第1VRAM560が使用されている場合に3D用表示CPU530及び第2VRAM570を使用しても、2D演出が妨げられることを抑制できる。
(3)3D画像の読み出しに要する期間に応じて、3D演出の開始タイミングを変更する構成としてもよい。
例えば3D画像データのデータ量が大きく設定され、3D画像データの読み出しに要する期間が遊技回の開始から予め定められた3D演出の開始タイミングまでの期間よりも長く設定され、更には、先の遊技回にて読み出しを開始した場合には、上記予め定められた開始タイミングまでに3D画像データの読み出しが完了するように設定されている構成においては、後者の読み出しパターンにおいては、予定通りのタイミングで3D演出を開始し、前者のパターンでは3D画像データの読み出しが完了した後のタイミングとなるように開始タイミングを遅延させることも可能である。
特に、表示制御装置500にかかる構成が複雑になれば、処理負荷等の影響により読み出しに要する期間がばらつきやすい。そこで、このようなばらつきを加味して、開始タイミングを変化させれば、更なる構成の複雑化を回避しつつ、演出の多様化を実現できる。
(4)上記実施の形態では、リーチ表示に移行する前に、3D画像の読み出しが完了する構成、すなわちリーチ表示と3D画像の読み出しとが同時期におこなわれない(重複しない)構成とした。但し、3D画像の読み出しについては、少なくとも3D演出が実行される前に読み出しが完了していればよく、リーチ表示と3D画像の読み出しとが同時期に行われる構成とすることも可能である。但し、上述したようにリーチ表示においては、表示制御装置500に生じる処理負荷が大きくなる。故に、望ましくは、リーチ表示と重ならないようにして3D画像の読み込みを行う構成とすることで、処理負荷の局所的な高まりを抑えることが好ましい。
(5)上記各実施の形態では、3D演出を実行し得る期間中は、画面中央にてキャラクタ画像が待機する構成とし、当該キャラクタ画像が腕部分のみを動かす構成としたが、これを変更し、キャラクタ画像が表示画面94aを左右/上下等に移動する構成としてもよい。特に、第2の実施の形態においては、操作スイッチ40が操作されることで3D演出が開始される構成であり、2D画像と3D画像との位置や形が一致する構成が採用されていることを特徴の1つとしている。そこで、かかる変形例を第2の実施の形態に適用する場合には、描画リストの作成時に、2D画像(スプライトデータ)の位置情報(2次元座標)を把握し、その把握した位置情報を3次元座標に変換する処理を実行する構成とするとよい。
(6)上記各実施の形態では、後に実行される遊技回にて同様の3D演出を実行することを条件として、3D画像データの消去を留保する構成とした。3D画像データの消去を留保する条件を以下のように変更することも可能である。すなわち、今回の遊技回が外れ結果であって、現在格納されている保留情報の中に大当たり結果に対応するものが存在し、当該保留情報が今回と同じリーチ表示が適用されている場合に、3D画像の消去を留保し、同保留情報にかかる遊技回でのリーチ表示を強制的に3D演出を行う構成としてもよい。つまり、後の遊技回にて大当たりに対応した同じリーチ表示が行われる場合には、3D演出の抽選に外れている場合であっても、強制的に3D演出を行う構成としてもよい。
更には、大当たり結果に対応する保留情報が存在している場合には、演出に十分な時間が確保されている場合、すなわちスーパーリーチが実行される場合には、強制的にスーパーリーチの種類を今回の遊技回と同様となるように変更してもよい。例えば、通常の変動表示からリーチ表示に到るまでの期間を短縮することで、上述した強制的な合わせ込みにより演出に違和感が生じることを抑制できる。
なお、上記各種変形例を採用する場合には、表示制御装置500から音声ランプ制御装置143に演出変更用のコマンドを送信する構成とすればよい。
(7)上記各実施の形態では、大当たりに当選している場合には、遊技回終了後に開閉実行モードへ移行する。開閉実行モードでは遊技回が進行することがない。そこで、大当たり結果に対応した遊技回の終了後には3D画像データを消去する構成とすることにより、開閉実行モード中も第2VRAM570の展開用バッファ571を利用可能となる。
(8)3D演出を経て大当たりに当選した場合には、3D画像データを保持したままとし、開閉実行モード中に当該3D画像データを用いた表示演出を実行する構成とすることも可能である。これにより、画像データの読み出しにかかる処理負荷の増大を抑えつつ、開閉実行モード中の表示演出の多様化に貢献できる。
(9)上記実施の形態では、遊技回にて2D表示/3D表示の切り替えを行ったが、開閉実行モード中に同様の切替を行う構成としてもよい。例えば、大当たりの種別を遊技回終了時には隠蔽する構成とし、開閉実行モード中の2D/3Dの切り替えによって大当たり種別を示唆又は報知する構成としてもよい。
(10)上記各実施の形態では、キャラクタを3D表示する構成としが、3D表示する対象については任意である。例えば、キャラクタ画像に加えて又はこれに代えて、背景や図柄を3D表示する構成としてもよい。
(11)上記各実施の形態では、表示制御装置500に統括CPU510、2D用表示CPU520、3D用表示CPU530を設けたが、それら3つに分割された機能を1のCPUに付与してもよい。
(12)主制御装置162から出力されるコマンドに基づいて、音声ランプ制御装置143により表示制御装置500が制御される構成に代えて、主制御装置162から出力されるコマンドに基づいて、表示制御装置500が音声ランプ制御装置143を制御する構成としてもよい。この場合、主制御装置162から音声ランプ制御装置143を介するsことなく入力されるコマンドに基づいて、表示制御装置500が演出の内容を決定するようにしてもよい。また、音声ランプ制御装置143と表示制御装置500とが別々に設けられた構成に代えて、両制御装置が一の制御装置として設けられた構成としてもよい。この場合、当該集約された制御装置が、主制御装置162から出力されるコマンドに基づいて、演出の内容を決定するようにしてもよい。
また、音声ランプ制御装置143及び表示制御装置500のうち一方の機能が主制御装置162に集約されていてもよく、それら両制御装置の両機能が主制御装置162に集約されていてもよい。また、主制御装置162から音声ランプ制御装置143に出力されるコマンドの構成も任意である。
(13)上記実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも本発明を適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されるか所定時間が経過することでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
更に、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも本発明を適用できる。
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
なお、下記の特徴群に記載された発明は、「パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機は、遊技にかかる制御プログラムが記憶されたメモリ等の素子やCPUが実装された制御基板を備えており、その制御基板によって一連の遊技が制御されている。なお、CPUやメモリが個別に制御基板に実装されているのではなく、それらが集積化された状態で制御基板に実装された構成も知られている。上記遊技機においては、表示画面を有する液晶表示装置等の表示装置が搭載されたものが知られている。かかる遊技機では、予め記憶され画像データを有する画像データ用のメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像データを用いて表示画面に所定の画像が表示される(例えば、特許文献1参照)。2次元画像データを用いて画像の表示が行われる場合についてより詳細に説明すると、画像データ用のメモリには背景を表示するための画像データ、キャラクタなどを表示するための画像データ等が記憶されており、それら画像データを読み出すことで背景の手前にてキャラクタなどを表示させるための描画データが形成される。そして、当該描画データがVRAMといった記憶手段に記憶され、その描画データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで上記背景の手前にキャラクタなどが配置された画像が表示画面にて表示される。また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間に3次元画像データであるポリゴンが配置されるとともに、そのポリゴンに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたポリゴンを所望の視点から平面上に投影した描画データが作成される。そして、その描画データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、表示画面に立体的な画像が表示される。」という背景技術について、「ここで、例えば上記3次元画像データ等のデータ量の大きい画像データを用いることで見栄えの向上や表示演出の多様化等を実現することが可能となり、表示演出への注目度の向上に貢献できる。しかしながら、データ量が大きくなるほど処理負荷や処理にかかる時間等が増大することとなる。例えば処理負荷の局所的な高まりが生じた場合には、処理落ちが発生したり描画データの形成が遅れたりして、表示演出の円滑さが損なわれやすくなると懸念される。これは、上述した表示演出への注目度向上の妨げとなり得るため好ましくない。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
特徴1.表示画面(表示画面94a)を有する表示部(図柄表示装置94)と、
前記表示部に表示する表示演出として第1演出を実施する第1演出手段(表示制御装置500における2D用表示CPU520等)と、
同じく前記表示部に表示する表示演出として第2演出を実施する第2演出手段(表示制御装置500における3D用表示CPU530等)と
を備え、
遊技に際し、前記第1演出手段による第1演出、及び前記第2演出手段による第2演出のいずれかを選択して前記表示部での表示演出を実施する遊技機であって、
前記第2演出手段は、
前記表示部での第2演出の実施前にベースデータ記憶手段(表示制御装置500におけるメモリモジュール540)から圧縮された所定の画像データ(例えばポリゴンデータ)を解凍された状態となるようにして読み出す読出手段(3D用表示CPU530における画像データの読出処理を実行する機能)と、
当該読出手段により読み出した画像データを用いて第2演出用描画データを生成し、その第2演出用描画データを一時記憶手段(第2VRAM570)に一時記憶させるデータ生成手段(3D用表示CPU530における描画用データ生成処理を実行する機能)と、
前記表示部での第2演出の実施に際し、前記一時記憶手段に記憶されている前記第2演出用描画データを前記表示部に表示させる表示制御手段(表示制御装置500のVDP580)と
を有し、
前記表示部で前記第1演出手段による第1演出が実施される遊技モード下において、現時点以降に前記表示部で第2演出が実施されることの実施要求の有無を判定する判定手段と、
前記判定手段により実施要求有りと判定されたことに基づいて、前記読出手段による画像データの読み出しと、前記データ生成手段による第2演出用描画データの生成及び一時記憶とのうち少なくとも前者を、前記第2演出の準備処理として実施する前処理実施手段と
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴1によれば、第2演出が開始されるタイミングよりも前に、圧縮された所定の画像データを解凍された状態となるようにして読み出しておくことにより、表示演出に使用される画像データのデータ容量が、準備に要する期間(例えば読み出しに必要となる期間)により制限されることを抑制できる。これにより、データ量の大きな画像データの使用を促進して見栄えの向上や表示演出の多様化等を実現でき、表示演出への注目度の向上に貢献できる。
画像データについてはそのデータ量が大きくなればなるほどベースデータ記憶手段からの読み出しに要する期間が長くなる。この点、本特徴によれば、第2演出用描画データの準備を余裕を持って行うことができる。これにより、第2演出用描画データを用いた表示演出を行う直前にて表示制御手段に生じる処理負荷が過度に大きくなることを抑制できる。
上述の如く画像データを用いて描画用データを生成する場合には、データ量が大きくなるほど処理負荷や処理期間等が増大する。ここで、例えば処理負荷の局所的な高まりが生じた場合に処理落ちが発生したり描画データの形成が遅れたりして、表示演出の円滑さが損なわれやすくなると懸念される。これは、上述した表示演出への注目度向上の妨げとなり得るため好ましくない。この点、本特徴においては表示部で第2演出が実施されることの実施要求があると判定されたことに基づいて読出手段による画像データの読み出しを行うことで、演出開始時又はその直前に処理負荷等が過度に大きくなることを抑制することができる。これにより、表示演出への注目度の向上を図りつつそれに起因した処理負荷の増大を抑制することができる。故に、表示演出の多様化を好適に実現できる。
なお、近年では演出用の操作手段を採用し、操作に応じて演出の内容を変化させるタイプの遊技機が提案されている。そこで上述の如く事前に準備処理を行う構成とすれば、本特徴に示す技術的思想を操作対応演出にかかる構成に適用した場合であっても、操作受付時に描画データの生成に要する期間を短縮し、操作に対する応答性を高めることができる。
特徴2.表示画面(表示画面94a)を有する表示部(図柄表示装置94)と、
前記表示部に表示する表示演出として第1演出を実施する第1演出手段(表示制御装置500における2D用表示CPU520等)と、
同じく前記表示部に表示する表示演出として第2演出を実施する第2演出手段(表示制御装置500における3D用表示CPU530等)と
を備え、
遊技に際し、前記第1演出手段による第1演出、及び前記第2演出手段による第2演出のいずれかを選択して前記表示部での表示演出を実施する遊技機であって、
前記第2演出手段は、
前記表示部での第2演出の実施前にベースデータ記憶手段(表示制御装置500におけるメモリモジュール540)から所定の画像データ(例えばポリゴンデータ)を読み出す読出手段(3D用表示CPU530における画像データの読出処理を実行する機能)と、
当該読出手段により読み出した画像データを用いて第2演出用描画データを生成し、その第2演出用描画データを一時記憶手段(第2VRAM570)に一時記憶させるデータ生成手段(3D用表示CPU530における描画用データ生成処理を実行する機能)と、
前記表示部での第2演出の実施に際し、前記一時記憶手段に記憶されている前記第2演出用描画データを前記表示部に表示させる表示制御手段(表示制御装置500のVDP580)と
を有し、
前記表示部で前記第1演出手段による第1演出が実施される遊技モード下において、現時点以降に前記表示部で第2演出が実施されることの実施要求の有無を判定する判定手段と、
前記判定手段により実施要求有りと判定されたことに基づいて、前記読出手段による画像データの読み出しと、前記データ生成手段による第2演出用描画データの生成及び一時記憶とを、前記第2演出の準備処理として実施する前処理実施手段と
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴1によれば、第2演出が開始されるタイミングよりも前に、第2演出の準備処理(画像データの読み出しと、第2演出用描画データの生成及び一時記憶)を実施することにより、表示演出に使用される画像データのデータ容量が、準備に要する期間(例えば読み出しに必要となる期間)により制限されることを抑制できる。これにより、データ量の大きな画像データの使用を促進して見栄えの向上や表示演出の多様化等を実現でき、表示演出への注目度の向上に貢献できる。
また、画像データを用いて描画データを生成する場合には、データ量が大きくなるほど処理負荷や処理期間等が増大する。ここで、例えば処理負荷の局所的な高まりが生じた場合に処理落ちが発生したり描画データの形成が遅れたりして、表示演出の円滑さが損なわれやすくなると懸念される。これは、上述した表示演出への注目度向上の妨げとなり得るため好ましくない。この点、本特徴においては表示部で第2演出が実施されることの実施要求があると判定されたことに基づいて読出手段による画像データの読み出しを行うことで、演出開始時又はその直前に処理負荷等が過度に大きくなることを抑制することができる。これにより、表示演出への注目度の向上を図りつつそれに起因した処理負荷の増大を抑制することができる。故に、表示演出の多様化を好適に実現できる。
特徴3.前記所定の画像データは、前記第1演出手段によって使用される画像データよりもデータ量が大きいものであり、
前記第2演出手段は、前記表示部にて前記第1演出が実行された後に、同表示部にて前記第2演出を実施するものであることを特徴とする特徴1又は特徴2に記載の遊技機。
特徴3に示すように画像データのデータ量に大小の差が設定されている構成においては、第1演出を第2演出に先行させることで、第2演出用描画データの準備期間を確保しやすくなる。
特徴4.所定条件が成立したことに基づいて特別情報を取得する情報取得手段(主制御装置162のMPU402において情報取得処理を実行する機能)と、
前記情報取得手段の取得した特別情報が付与情報に対応しているか否かの付与判定を行う付与判定手段(主制御装置162のMPU402において当否判定処理を実行する機能)と、
前記付与判定手段による付与判定の結果が、判定対象の特別情報が前記付与情報に対応しているとする付与対応結果となったことに基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段(主制御装置162のMPU402において大入賞口開閉処理を実行する機能)と
を備え、
前記表示制御手段は、前記表示画面において複数の絵柄を変動表示する絵柄表示手段を有し、
前記表示部において絵柄の変動表示を開始させ、前記付与判定の判定結果に対応した停止結果を表示し前記絵柄の変動表示が終了されることを遊技回の1回として各遊技回の絵柄の変動表示が行われるように前記絵柄表示手段を制御する遊技回制御手段(主制御装置162のMPU402において遊技回制御処理を実行する機能)を備え、
前記表示部にて実施される変動表示の態様には、前記変動表示を開始した後に、付与対象となる絵柄の組み合わせが成立する可能性のある各絵柄のうち最終停止絵柄を除く他の絵柄を停止表示させている状況下にて同最終停止絵柄を変動表示させるリーチ変動表示を行わせる態様が含まれており、
前記前処理実施手段は、前記判定手段により実施要求有りと判定されたことに基づいて、前記リーチ変動表示へ移行するまでに前記読出手段による画像データの読み出しを実施することを特徴とする特徴1乃至特徴3のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴4に示すようにリーチ変動表示が実行されるタイプの遊技機においては、リーチ変動表示となった後に遊技者の注目度を高めるための各種工夫が施されていること一般的である。例えば、予め設定された動画が表示されたり、キャラクタ等を出現させて同キャラクタに所定の動作を実行させたりするといった演出が行われる。かかる事情から、リーチ変動表示となった後は、表示制御手段における処理負荷がリーチ変動表示となる前よりも大きくなりやすい。そこで、上述した第1画像データの読み出しをリーチ変動表示に移行するまでに完了させる構成とすることで、処理負荷が大きくなっている状況下にて読み出しを行う必要がなくなり、表示制御手段の処理負荷が過度に大きくなることを抑制できる。
特徴5.前記前処理実施手段は、前記表示部にて前記リーチ変動表示が行われていない期間中に前記読出手段による画像データの読み出しを実施し、当該リーチ変動表示が行われている期間中は当該読み出しを行わないことを特徴とする特徴4に記載の遊技機。
特徴5によれば、特徴4に示した効果を一層好適に発揮させることができる。
なお、「前記情報取得手段の取得した特別情報を、複数の数として予め定められた規定数を上限として記憶する取得情報記憶手段(主制御装置162のMPU402における保留球格納エリア432)を備え、前記付与判定手段は、前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報が付与情報に対応しているか否かの付与判定を行うとともに、前記取得情報記憶手段に複数の特別情報が記憶されている場合にはそれら複数の特別情報に対して前記付与判定を順次行う」構成を採用している場合には、第2演出が実行される前に実行される他の遊技回においてもリーチ変動表示が行われる可能性があるが、このような構成においても他の遊技回におけるリーチ変動表示時には読み出しが回避されることで、実用上好ましい構成を実現できる。
特徴6.所定条件が成立したことに基づいて特別情報を取得する情報取得手段(主制御装置162のMPU402において情報取得処理を実行する機能)と、
前記情報取得手段の取得した特別情報が付与情報に対応しているか否かの付与判定を行う付与判定手段(主制御装置162のMPU402において当否判定処理を実行する機能)と、
前記付与判定手段による付与判定の結果が、判定対象の特別情報が前記付与情報に対応しているとする付与対応結果となったことに基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段(主制御装置162のMPU402において大入賞口開閉処理を実行する機能)と、
前記情報取得手段の取得した特別情報を、複数の数として予め定められた規定数を上限として記憶する取得情報記憶手段(主制御装置162のMPU402における保留球格納エリア432)と
を備え、
前記付与判定手段は、前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報が付与情報に対応しているか否かの付与判定を行うとともに、前記取得情報記憶手段に複数の特別情報が記憶されている場合にはそれら複数の特別情報に対して前記付与判定を順次行うものであり、
前記第2演出手段は、
前記所定の画像データの使用後に、前記取得情報記憶手段に記憶されている他の特別情報に、当該所定の画像データを用いた第2演出に対応するものが存在するか否かを判定する先判定手段(表示制御装置500の統括CPU510)と、
前記先判定手段によって、他の特別情報に前記所定の画像データを用いた前記第2演出に対応するものが存在すると判定された場合に、少なくともその特別情報にかかる遊技回にて同第2演出が実行されるまで同所定の画像データの消去を留保する留保手段と
を有していることを特徴とする特徴1乃至特徴5のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴6によれば、所定の画像データにかかる第2演出が実行された遊技回の後に再び同じ画像データにかかる第2演出が行われる予定となっている場合には、一時記憶手段に記憶されている所定の画像データが次回使用されるまで消去されることなく保持されたままとなる。これにより、一度読み出した所定の画像データが無駄に消去→再読み出しされることを回避し、後に所定の画像にかかる演出が実行される際の処理負荷を抑えることができる。
なお、本遊技回にかかる特別情報と、後の所定の画像データにかかる第2演出に対応した特別情報との間に、上記一時記憶手段の利用が確定している他の特別情報が存在する場合には、所定の画像データの消去を留保することなく消去する構成とするとよい。これにより、一時記憶手段に求められる記憶容量が無駄に大きくなることを抑制できる。
特徴7.前記第2演出手段は、
前記前処理実施手段による準備に要する期間のうち前記読出手段による前記所定の画像データの読み出しにかかる期間を把握する読出期間把握手段と、
前記読出期間把握手段によって把握された読出期間に応じて、前記第2演出手段による前記第2演出の開始タイミングを決定する開始タイミング決定手段と
を有していることを特徴とする特徴1乃至特徴3のいずれか1つに記載の遊技機。
所定の画像の読み込みに要する期間については、読み込み時の処理負荷等によって変化し得る。そこで、読み込みに要する期間に応じて、第2演出を開始するタイミングを変更するさせる構成とすることで、第2演出が単調になることを抑制することができる。
なお、「所定条件が成立したことに基づいて特別情報を取得する情報取得手段(主制御装置162のMPU402において情報取得処理を実行する機能)と、前記情報取得手段の取得した特別情報が付与情報に対応しているか否かの付与判定を行う付与判定手段(主制御装置162のMPU402において当否判定処理を実行する機能)と、前記付与判定手段による付与判定の結果が、判定対象の特別情報が前記付与情報に対応しているとする付与対応結果となったことに基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段(主制御装置162のMPU402において大入賞口開閉処理を実行する機能)と、前記情報取得手段の取得した特別情報を、複数の数として予め定められた規定数を上限として記憶する取得情報記憶手段(主制御装置162のMPU402における保留球格納エリア432)とを備え、前記付与判定手段は、前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報が付与情報に対応しているか否かの付与判定を行うとともに、前記取得情報記憶手段に複数の特別情報が記憶されている場合にはそれら複数の特別情報に対して前記付与判定を順次行う」構成を併用した場合には、先に記憶されている特別情報の数等によって、所定の画像データの読み出し用の期間が変化し得る。つまり、第2演出の開始タイミングを変化させることができる。例えば、第2演出を少しでも長く見たい遊技者は、少しでも多くの特別情報が記憶された状態となるようにして遊技を行うこととなり、遊技機の稼働率の向上に貢献できる。
特徴8.所定条件が成立したことに基づいて特別情報を取得する情報取得手段(主制御装置162のMPU402において情報取得処理を実行する機能)と、
前記情報取得手段の取得した特別情報が付与情報に対応しているか否かの付与判定を行う付与判定手段(主制御装置162のMPU402において当否判定処理を実行する機能)と、
前記付与判定手段による付与判定の結果が、判定対象の特別情報が前記付与情報に対応しているとする付与対応結果となったことに基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段(主制御装置162のMPU402において大入賞口開閉処理を実行する機能)と、
前記情報取得手段の取得した特別情報を、複数の数として予め定められた規定数を上限として記憶する取得情報記憶手段(主制御装置162のMPU402における保留球格納エリア432)と
を備え、
前記付与判定手段は、前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報が付与情報に対応しているか否かの付与判定を行うとともに、前記取得情報記憶手段に複数の特別情報が記憶されている場合にはそれら複数の特別情報に対して前記付与判定を順次行うものであり、
前記第2演出手段は、
前記所定の画像データの使用後に、前記取得情報記憶手段に記憶されている他の特別情報に、当該所定の画像データを用いた第2演出に対応するものが存在するか否かを判定する先判定手段(表示制御装置500の統括CPU510)と、
前記先判定手段によって、他の特別情報に前記所定の画像データを用いた前記第2演出に対応するものが存在すると判定された場合に、少なくともその特別情報にかかる遊技回にて同第2演出が実行されるまで同所定の画像データの消去を留保する留保手段と
を有していることを特徴とする特徴7に記載の遊技機。
特徴8によれば、所定の画像データにかかる第2演出が実行された遊技回の後に再び同じ画像データにかかる第2演出が行われる予定となっている場合には、一時記憶手段に記憶されている所定の画像データが次回使用されるまで消去されることなく保持されたままとなる。これにより、一度読み出した所定の画像データが無駄に消去→再読み出しされることを回避し、後に所定の画像にかかる演出が実行される際の処理負荷を抑えることができる。
なお、本遊技回にかかる特別情報と、後の所定の画像データにかかる第2演出に対応した特別情報との間に、上記一時記憶手段の利用が確定している他の特別情報が存在する場合には、所定の画像データの消去を留保することなく消去する構成とするとよい。これにより、一時記憶手段に求められる記憶容量が無駄に大きくなることを抑制できる。
特徴9.前記付与判定手段による付与判定の結果が、判定対象の特別情報が前記付与情報に対応しているとする付与対応結果となったことに基づいて遊技状態を遊技者に有利な特別遊技状態へ移行させる遊技状態移行手段(主制御装置162のMPU402において開閉実行モードへ移行する機能)と、
前記第2演出が終了した後に、当該遊技回が当選結果に対応する遊技回であるか否かを判定する結果判定手段と
を備え、
前記特別遊技状態においては、当該特別遊技状態が終了するまで次の遊技回の開始が規制される構成となっており、
前記付与判定の結果が付与結果である場合に、前記一時記憶手段に記憶されている前記所定の画像データを消去することを特徴とする特徴6又は特徴8に記載の遊技機。
一時記憶手段に記憶されている画像データを適宜消去する構成とすることにより、一時記憶手段に要求される記憶容量が大きくなることを抑制できる。特別遊技状態へと移行した場合には次の遊技回が開始されるまで、第1画像データは不要になり得る。そこで、当選結果となった場合には、記憶されている特別情報の中に第1画像データに対応するものが存在しないことを条件として第1画像データを消去する構成とすれば、実用上好ましい構成を実現できる。
特徴10.所定条件が成立したことに基づいて特別情報を取得する情報取得手段(主制御装置162のMPU402において情報取得処理を実行する機能)と、
前記情報取得手段の取得した特別情報を、複数の数として予め定められた規定数を上限として記憶する取得情報記憶手段(主制御装置162のMPU402における保留球格納エリア432)と、
前記情報取得手段の取得した特別情報が付与情報に対応しているか否かの付与判定を行う付与判定手段(主制御装置162のMPU402において当否判定処理を実行する機能)と、
前記付与判定手段による付与判定の結果が、判定対象の特別情報が前記付与情報に対応しているとする付与対応結果となったことに基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段(主制御装置162のMPU402において大入賞口開閉処理を実行する機能)と
を備え、
前記付与判定手段は、前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報が付与情報に対応しているか否かの付与判定を行うとともに、前記取得情報記憶手段に複数の特別情報が記憶されている場合にはそれら複数の特別情報に対して前記付与判定を順次行うものであり、
前記表示制御手段は、前記表示画面において複数の絵柄を変動表示する絵柄表示手段を有し、
前記表示部において絵柄の変動表示を開始させ、前記付与判定の判定結果に対応した停止結果を表示し前記絵柄の変動表示が終了されることを遊技回の1回として各遊技回の絵柄の変動表示が所定の変動表示期間に亘って行われるように前記絵柄表示手段を制御する遊技回制御手段(主制御装置162のMPU402において遊技回制御処理を実行する機能)を備え、
前記所定の画像データの使用後に、前記取得情報記憶手段に記憶されている他の特別情報に、付与判定結果に対応するものが存在するか否かを判定する判定手段(表示制御装置500)と、
前記判定手段によって、他の特別情報に付与判定結果に対応するものが存在すると判定された場合に、当該他の特別情報にかかる遊技回にて前記第2演出が実行されるように演出態様に変更する演出態様変更手段と、
少なくとも当該特別情報にかかる遊技回にて前記第2演出が実行されるまで前記所定の画像データの消去を留保する留保手段と
を有していることを特徴とする特徴1乃至特徴9のいずれか1つに記載の遊技機。
遊技においては、表示演出の結果が外れとなるばかりでは、以降その演出が発生しても遊技者の注目を引くことは困難になる。この点、本特徴によれば、第2演出を実行して外れ結果となった場合であっても、その後に付与判定結果(例えば当たり結果)となった場合には第2演出が再度実行されることで、遊技者に対して残念な結果のみが印象付けられることを回避することができる。これにより、所定の画像データにかかる表示演出を実行した際に、注目度向上効果が上手く発揮されなくなるといった不都合を生じにくくすることができる。
なお、例えば「前記変動表示期間として、第1変動表示期間と、当該第1変動表示期間よりも長く設定された第2変動表示期間とを有し、前記第2演出は、前記第2変動表示期間となっている場合に実行される構成となっており、前記付与判定手段による付与判定結果が付与結果となる特別情報については、前記絵柄の変動表示期間として前記第2変動表示期間が選ばれる構成となっている」構成に本特徴に示す技術的思想を適用することで、演出の変更によって遊技の円滑な進行が妨げられるといった不都合を好適に回避することができる。
特徴11.前記第2演出手段は、前記第1演出が実行されている場合に、前記表示部に表示される2次元のオブジェクトに対応した3次元画像データであり、
前記表示画面に表示されている前記オブジェクトにかかるオブジェクト情報を取得するオブジェクト情報取得手段を備え、
前記データ生成手段は、前記オブジェクト情報取得手段によって取得されたオブジェクト情報に基づいて、前記所定の画像データの態様を変更する手段を有し、
前記第2演出手段は、所定の表示切替タイミングとなった場合に、少なくとも前記オブジェクトを前記所定の画像データから生成された3次元画像に置き換えることを特徴とする特徴1乃至特徴10のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴12によれば、一連の演出が行われている過程で、第2画像の少なくとも一部を構成しているオブジェクトを3次元画像に置き換えることで、画像の少なくとも一部が2次元画像から3次元画像に切り替わったかのような印象を遊技者に与えることができる。
また、オブジェクト情報取得手段を有していることで、第1画像への切り替わりのタイミングを任意に設定することができる。そして、このように自由度を担保したとしても、それに起因して、予め用意すべきデータを減縮し、実用上好ましい構成を実現することができる。
なお、「所定の画像データの態様を変更する」とは、仮想3次元空間内にオブジェクトと同じ位置となるようにして、所定の画像データを配置すること、当該所定の画像データを前記オブジェクトに合わせて変形すること等を含み、「所定の画像データから生成された3次元画像に置き換える」とは表示部に表示されている2次元のオブジェクトを非表示にするとともに、仮想3次元空間に視点を設定し、当該視点に基づいて設定される投影平面に上記所定の画像データを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて描画用データを生成することを含む。
特徴12.遊技者により操作される操作手段(操作スイッチ40)と、
操作が有効に受け付けられる状態となっていることを報知する報知手段(表示制御装置500における報知機能)と
を備え、
前記データ生成手段は、前記操作手段が操作されたことに基づいて、第2演出用描画データを生成するものであることを特徴とする特徴1乃至特徴11のいずれか1つに記載の遊技機。
遊技者の操作に基づいて表示演出を変化させる構成においては、操作に対する応答性が低下することで、操作と演出との一体感が低下しやすくなる。この点、本特徴においては、表示画面にて第2演出の対象となるオブジェクトが表示されている場所に所定の画像データにかかるオブジェクトが表示されるまでの期間が間延びすることを抑え、演出を好適に実行させることができる。
とくに、予め所定の画像データの読み出しを完了しておくことで、操作時に実行すべき処理を少なくすることができ、応答性の向上を実現している。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル45)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域(遊技領域PE)に導く球通路(誘導レール100)と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(一般入賞口81等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにした遊技機。
球使用ベルト式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、さらに、球受皿を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。