JP6570987B2 - 測定装置および測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、測定対象の検出位置において検出した物理量に基づいて被測定量を測定する測定装置および測定方法に関するものである。
この種の測定装置として、下記特許文献1に開示された測定装置が知られている。この測定装置は、測定対象(試料)の表面上の直線に沿って規定した4つの接点に探針をそれぞれ接触させ、外側の2本の探針間に電流を供給している状態で、内側の2本の探針間の電圧を検出し、その測定値に基づいて測定対象の表面抵抗を測定可能に構成されている。
一方、出願人は、表面抵抗をより正確に測定するため、測定対象の表面上の直線に沿った複数(例えば5つ)の検出位置における電位を検出し、検出した各電位に基づいて表面抵抗を測定する測定装置を開発している。この測定装置を用いて表面抵抗を測定する際には、直線に沿って一定の間隔で配置した複数のプローブを備えたプローブユニットの各プローブを測定対象の表面に接触させる。次いで、測定対象の表面における2つ位置間に電流を供給した状態で、測定対象の表面に規定されている基準位置と各プローブの各接触位置との間の電圧を測定する。続いて、各接触位置における各電圧に基づいて表面抵抗を測定する。
特開昭64−47960号公報(第3頁、第1図)
ところが、出願人が開発している上記の測定装置には、改善すべき以下の課題がある。すなわち、上記の測定装置では、直線に沿って一定の間隔で配置した複数のプローブを測定対象の表面に接触させ、各接触位置における電圧に基づいて表面抵抗を測定している。この場合、表面抵抗を正確に測定するには、プローブを設計上の位置に正確に配置する必要がある。しかしながら、プローブユニットを製造する際の製造誤差によって、プローブの実際の配設位置と設計上の位置との間に多少の誤差が生じることがある。このため、上記の測定装置には、プローブの配設位置と設計上の位置との間の誤差に起因して、測定精度の向上が困難となっており、その改善が望まれている。
本発明は、かかる改善点に鑑みてなされたものであり、測定精度を向上させ得る測定装置および測定方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の測定装置は、測定対象の検出位置に配置されて当該測定対象の供給位置に電気信号が供給されている状態で当該検出位置における物理量を検出する検出部と、当該検出部によって検出された前記物理量に基づいて被測定量を測定する測定部とを備えた測定装置であって、前記検出部は、n個(nは2以上の整数)の行にn個がそれぞれ配列されると共に当該各行に直交するn個の列にn個がそれぞれ配列されてマトリクスをなしかつ当該各行における配列パターンと当該各列における配列パターンとが同一となるように配列された(n×n)個の前記検出位置にそれぞれ配置され、
前記測定部は、1個の前記行における前記n個の検出位置についての前記物理量を検出する工程を当該行の位置と前記供給位置とを予め規定された位置関係に維持して当該供給位置を変更しつつn個の前記行に対してそれぞれ実行することによって前記各行におけるi番目(iは1からnまでの整数)の前記検出位置についてn回ずつ検出された当該各物理量と、1個の前記列における前記n個の検出位置についての前記物理量を検出する工程を当該列の位置と前記供給位置とを前記位置関係に維持して当該供給位置を変更しつつn個の前記列に対してそれぞれ実行することによって前記各列におけるj番目(jは1からnまでの整数)の前記検出位置についてn回ずつ検出された当該各物理量とを平均化処理して得た値に基づいて前記被測定量を測定する。
また、請求項2記載の測定装置は、請求項1記載の測定装置において、前記各行における前記配列パターンとして当該各行の前記n個の検出位置が等間隔で配列され、前記各列における前記配列パターンとして当該各列の前記n個の検出位置が等間隔で配列されている。
また、請求項3記載の測定方法は、測定対象の検出位置に検出部を配置して当該測定対象の供給位置に電気信号を供給している状態で当該検出部によって検出された当該検出位置における物理量に基づいて被測定量を測定する測定方法であって、n個(nは2以上の整数)の行にn個がそれぞれ配列されると共に当該各行に直交するn個の列にn個がそれぞれ配列されてマトリクスをなしかつ当該各行における配列パターンと当該各列における配列パターンとが同一となるように配列された(n×n)個の前記検出位置に前記検出部をそれぞれ配置し、1個の前記行における前記n個の検出位置についての前記物理量を検出する工程を当該行の位置と前記供給位置とを予め規定された位置関係に維持して当該供給位置を変更しつつn個の前記行に対してそれぞれ実行することによって前記各行におけるi番目(iは1からnまでの整数)の前記検出位置についてn回ずつ検出された当該各物理量と、1個の前記列における前記n個の検出位置についての前記物理量を検出する工程を当該列の位置と前記供給位置とを前記位置関係に維持して当該供給位置を変更しつつn個の前記列に対してそれぞれ実行することによって前記各列におけるj番目(jは1からnまでの整数)の前記検出位置についてn回ずつ検出された当該各物理量とを平均化処理して得た値に基づいて前記被測定量を測定する。
また、請求項4記載の測定方法は、請求項3記載の測定方法において、前記各行における前記配列パターンとして当該各行の前記n個の検出位置が等間隔で配列され、前記各列における前記配列パターンとして当該各列の前記n個の検出位置が等間隔で配列されている。
請求項1記載の測定装置、および請求項3記載の測定方法によれば、各行におけるi番目の検出位置についてn回ずつ検出された各物理量と各列におけるj番目の検出位置についてn個ずつ検出された各物理量とを平均化処理して得た値に基づいて被測定量を測定することにより、例えば、検出部を製造する際の製造誤差によって、検出部の実際の配設位置と設計上の位置との間に誤差が生じている場合においても、その誤差の影響を十分に低減することができる。したがって、この測定装置および測定方法によれば、平均化処理して得た値に基づいて測定する被測定量としての被測定量の測定精度を十分に向上させることができる。また、この測定装置および測定方法によれば、行に配列された検出位置の物理量と列に配列された検出位置の物理量とを検出することで、互いに直交する2つの方向で電気信号を供給した2つの状態で1つの検出位置の物理量を2回検出することができる。このため、この測定装置および測定方法によれば、例えば、各検出部が、全体として1つの方向に位置ずれしているときに、各行に配列されている検出位置の物理量だけを検出したり、各列に配列されている検出位置の物理量だけを検出したりする構成および方法とは異なり、検出部の位置ずれに起因する物理量の誤差を確実に軽減することができる。
また、請求項2記載の測定装置、および請求項4記載の測定方法によれば、各行におけるn個の検出位置を等間隔で配列し、各列におけるn個の検出位置を等間隔で配列したことにより、例えば、iやjが異なる値を複数用いて被測定量としての被測定量を測定する際に、検出位置の間隔が異なる構成および方法と比較して、間隔の相違を補正する処理を不要とすることができるため、その分、被測定量の測定効率を向上させることができる。また、検出位置を等間隔で配列することにより、各検出位置に接触(配置)させる検出部も等間隔で配列することとなるため、各検出部をユニット化した検出部ユニットを製造する際に、検出部の間隔が異なる検出部ユニットと比較して、検出部の配列精度を向上させることができると共に、検出部ユニットの製造効率を向上させることができる。
測定装置1の構成を示す構成図である。 検出位置71および供給位置72の配列パターンを示すシート体70の平面図である。 検出用プローブ21および供給用プローブ22の配列パターンを示すプローブユニット11の平面図である。 測定方法を説明する説明図である。 表面抵抗測定処理50のフローチャートである。 検出位置71および供給位置72の他の配列パターンを示すシート体70の平面図である。 検出位置71および供給位置72の配列パターンを示す他のシート体70の平面図である。
以下、測定装置および測定方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、測定装置の一例としての図1に示す測定装置1の構成について説明する。測定装置1は、例えば、図2に示す測定対象としてのシート体70の表面抵抗ρ(被測定量の一例)を測定可能に構成されている。具体的には、測定装置1は、図1に示すように、プローブユニット11、処理部12、記憶部13および表示部14を備えて構成されている。
プローブユニット11は、図3に示すように、25本の検出用プローブ21a〜21y(以下、区別しないときには「検出用プローブ21」ともいう)と、20本の供給用プローブ22a〜22t(以下、区別しないときには「供給用プローブ22」ともいう)と、各検出用プローブ21および各供給用プローブ22を支持する支持部23とを備えて構成されている。
この場合、各検出用プローブ21は、検出部に相当し、シート体70の表面抵抗ρを測定する際に、シート体70の表面70aにおける25個((n×n)個の一例)の検出位置71a〜71y(以下、区別しないときには「検出位置71」ともいう)にそれぞれ配置されて(接触して)、各検出位置71における物理量としての電圧Vを検出するのに用いられる。また、各供給用プローブ22は、表面抵抗ρを測定する際に、シート体70の供給位置72a〜72t(以下、区別しないときには「供給位置72」ともいう)に測定用の電気信号の一例としての電流Iを供給するのに用いられる。
また、各検出位置71は、図2に示すように、5個(n個の一例)の行L1〜L5(以下、区別しないときには「行L」ともいう)にそれぞれ5個が配列されると共に、各行Lに直交する5個(n個の一例)の列R1〜R5(以下、区別しないときには「列R」ともいう)にそれぞれ5個が配列されたマトリクスMをなし、かつ各行Lにおける配列パターン(各検出位置71間の間隔)と各列Rにおける配列パターン(各検出位置71間の間隔)とが同一となるようにシート体70の表面70aに配列されている。また、プローブユニット11の各検出用プローブ21は、各検出位置71に各々の先端部がそれぞれ配置される(接触する)ように支持部23の配設面23aに配置されている。つまり、各検出用プローブ21は、図3に示すように、各検出位置71の配列パターンと同じ配列パターンで(すなわち、5個の行L(L1〜L5)および5個の列R(R1〜R5)で構成されるマトリクスMをなすと共に、各行Lにおける配列パターンと各列Rにおける配列パターンとが同一となるように)配設面23aに配列されている。この場合、図2に示すように、マトリクスMを構成する各行Lおよび各列Rにおける各検出位置71の配列パターンの一例として、各検出位置71がそれぞれ等間隔に配列されている。したがって、各検出用プローブ21も、図3に示すように、マトリクスMを構成する各行Lおよび各列Rにおいて各検出位置71の各間隔と同じ長さでそれぞれ等間隔に配列されている。
また、各供給位置72は、図2に示すように、マトリクスMを構成する各行Lおよび各列Rに対して一対ずつ(2つの供給位置72を1組として)設けられている。また、各組の供給位置72は、各行Lおよび各列Rに対して同じ位置関係(規定位置関係)となるように配列されている。具体的には、各組の一対の供給位置72は、各行Lおよび各列Rの延長線上において、直近の検出位置71からそれぞれ同じ距離だけ離間した位置に配列されている。また、プローブユニット11の各供給用プローブ22は、各供給位置72に各々の先端部がそれぞれ配置される(接触する)ように支持部23の配設面23aに配置されている。つまり、各供給用プローブ22は、図3に示すように、各供給位置72の配列パターンと同じ長さの間隔での同じ配列パターンで配設面23aに配列されている。
処理部12は、測定部に相当し、測定用の電流Iを出力する図外の電源部を備え、各行Lおよび各列Rに対してそれぞれ設けられている一組(一対)の供給位置72に電流Iを供給している状態においてプローブユニット11の検出用プローブ21によって検出される電圧V(物理量)に基づいてシート体70の表面抵抗ρ(被測定量)を測定する。この場合、処理部12は、後述する平均化処理を実行することにより、1個の行Lの5個の検出位置71における電圧Vを検出する工程を全て(5個)の行Lについてそれぞれ実行することによって各行Lにおけるi番目(iは1から5(n)までの整数)の検出位置71について5回(n回)ずつ検出された各電圧Vと、1個の列Rの5個の検出位置71における電圧Vを検出する工程を全て(5個)の列Rについてそれぞれ実行することによって各列Rにおけるj番目(jは1から5(n)までの整数)の検出位置71について5回(n回)ずつ検出された各電圧Vとを平均化処理して得た値に基づいて被測定量としての表面抵抗ρを測定する。
記憶部13は、処理部12の制御に従って各検出位置71の各電圧V、および処理部12によって算出される電圧Vの平均値(相加平均値)Vkを記憶する。また、記憶部13は、処理部12によって測定される表面抵抗ρを記憶する。表示部14は、処理部12の制御に従って表面抵抗ρを表示する。
次に、測定装置1を用いて、図2に示すシート体70の表面抵抗ρを測定する測定方法について説明する。
まず、図4に示すように、表面70aを上向きにした状態でシート体70を載置台200の上に載置する。次いで、各検出用プローブ21および各供給用プローブ22の先端部を下向きにした状態でプローブユニット11をシート体70の上に載置する。この際に、同図に示すように、シート体70の表面70aにおける各検出位置71および各供給位置72に各検出用プローブ21の先端部および各供給用プローブ22の先端部がそれぞれ配置される(接触する)。
続いて、図外の操作部を操作して測定の開始を指示する。これに応じて、処理部12が、図5に示す表面抵抗測定処理50を実行する。この表面抵抗測定処理50では、処理部12は、シート体70の表面70aに配列されている検出位置71で構成されるマトリクスMにおける各行Lのうちの1つとして、例えば、行L1(図2参照)を選択する(ステップ51)。
次いで、処理部12は、図外の電源部から測定用の電気信号としての電流Iを出力し、行L1に対して設けられている供給位置72a,72b(図2参照)に配置されている供給用プローブ22a,22b(図3参照)を介して供給位置72a,72bに電流Iを供給する(ステップ52)。
続いて、処理部12は、行L1に配列されている検出位置71a〜71e(図2参照)にそれぞれ配置されている検出用プローブ21a〜21e(図3参照)によってそれぞれ検出される各検出位置71a〜71eと図外のグランド電位との間の各電圧Vを検出して記憶部13に記憶させる(ステップ53)。
次いで、処理部12は、全ての行Lの各検出位置71において検出された電圧Vの記憶が終了したか否かを判別する(ステップ54)。この場合、この時点では、全ての行Lの検出位置71における電圧Vの記憶が終了していないため、処理部12は、ステップ54においてその旨を判別し、次いで、ステップ51を実行して、次の行Lとして、例えば、行L2を選択し、続いて、上記したステップ52〜54を実行する。以下、同様にして、処理部12は、ステップ51〜54を繰り返して実行し、行L3〜L5の各検出位置71において検出された電圧Vを記憶させる(ステップ53)。
この場合、全ての行Lにおける検出位置71の電圧Vの検出を実行することで、各行Lにおけるi番目(図2における左側から数えた検出位置71の順番)の検出位置71についての電圧Vの検出を行Lの数である5回実行したこととなり、各行Lにおけるi番目の検出位置71について、それぞれ5個の電圧Vが検出(記憶)される。
次いで、処理部12は、全ての行Lの検出位置71において検出された電圧Vの記憶が終了したときには、ステップ54においてその旨を判別し、続いて、マトリクスMにおける各列Rのうちの1つとして、例えば、列R1(図2参照)を選択する(ステップ55)。
次いで、処理部12は、図外の電源部から測定用の電気信号としての電流Iを出力し、列R1に対して設けられている供給位置72k,72l(図2参照)に接触している供給用プローブ22k,22l(図3参照)を介して供給位置72k,72lに電流Iを供給する(ステップ56)。
続いて、処理部12は、列R1に配列されている各検出位置71a,71f,71k,71p,71uにそれぞれ配置されている各検出用プローブ21a,21f,21k,21p,21uによってそれぞれ検出される各検出位置71a,71f,71k,71p,71uと図外のグランド電位との間の各電圧Vを検出して記憶部13に記憶させる(ステップ57)。
次いで、処理部12は、全ての列Rの検出位置71において検出された電圧Vの記憶が終了したか否かを判別する(ステップ58)。この場合、この時点では、全ての列Rの検出位置71における電圧Vの記憶が終了していないため、処理部12は、ステップ58においてその旨を判別し、次いで、ステップ55を実行して、次の列Rとして、例えば、列R2を選択し、続いて、上記したステップ56〜58を実行する。以下、同様にして、処理部12は、ステップ55〜58を繰り返して実行し、列R3〜L5の各検出位置71において検出された電圧Vを記憶させる(ステップ57)。
この場合、全ての列Rにおける検出位置71の電圧Vの検出を実行することで、各列Rにおけるj番目(図2における上側から数えた検出位置71の順番)の検出位置71についての電圧Vの検出を列Rの数である5回実行したこととなり、各列Rにおけるj番目の検出位置71について、それぞれ5個の電圧Vが検出(記憶)される。
また、ステップ55〜58(各列Rのに各検出位置71おける電圧Vの検出)を実行した際に各検出位置71について1回ずつ検出された電圧Vは、ステップ51〜54(各行Lの各検出位置71おける電圧Vの検出)を実行した際に1回ずつ検出されている。つまり、ステップ51〜58を実行することで、互いに直交する2つの方向(行Lの方向および列Rの方向)で電流Iを供給した2つの状態で、1つの検出位置71についての電圧Vの検出を2回実行したこととなる。
ここで、例えば、図6に示すように、各検出用プローブ21の位置(同図において黒い点で示す位置)が、設計上の位置(同図において破線で示す位置)よりも全体として列Rの方向に(同図における上下方向に)位置ずれしているプローブユニット11を想定する。このプローブユニット11を用いて、シート体70のマトリクスMにおける各列Rに配列されている検出位置71の電圧Vだけを検出したときには、各列Rにおけるj番目の検出位置71について検出した5個の電圧Vを平均したとしても、検出用プローブ21の位置ずれに起因する電圧Vの誤差が生じている電圧Vをそのまま平均したこととなり、誤差を軽減することが困難となる。一方、このプローブユニット11では、検出用プローブ21の行Lの方向の位置ずれが生じていないため、各行Lにおけるi番目の検出位置71について検出した5個の電圧Vについては、検出用プローブ21の位置ずれに起因する電圧Vの誤差が生じていない。このため、互いに直交する2つの方向(行Lの方向および列Rの方向)で電流Iを供給した2つの状態で各検出位置71における電圧Vをそれぞれ2回検出するこの測定装置1および測定方法では、後述するように、各行Lにおけるi番目の検出位置71について検出した5個の電圧Vと、各列Rにおけるj番目の検出位置71について検出した5個の電圧Vとを平均化することで、検出用プローブ21の位置ずれに起因する電圧Vの誤差を軽減することが可能となっている。
次いで、処理部12は、全ての列Rにおける検出位置71の電圧Vの検出が終了したときには、ステップ58においてその旨を判別し、続いて、平均化処理を実行する(ステップ59)。この平均化処理では、処理部12は、次の式(1)から電圧Vの平均値(相加平均値)Vkを算出して、記憶部13に記憶させる。
Vk=(Σ[y=1,n]Vi,Ly+Σ[x=1,n]Vj,Rx)/2n・・・式(1)
なお、式(1)において、Vkは、各行Lにおけるi番目の検出位置71の電圧V、および各列Rにおけるj番目(iおよびjは同じ値)の検出位置71の電圧Vの平均値を意味する。また、yは、行Lの番号を意味し、Vi,Lyは、行Lyにおけるi番目の検出位置71における電圧Vを意味する。また、xは、列Rの番号を意味し、Vj,Rxは、列Rxにおけるj番目の検出位置71における電圧Vを意味する。
ここで、この測定装置1および測定方法では、上記したように、各行Lにおけるi番目の検出位置71について5回ずつ検出された各電圧Vと各列Rにおけるj番目の検出位置71について5個ずつ検出された各電圧Vとを平均化処理して得た平均値Vk、つまり、10個の電圧Vを平均化処理して得た平均値Vkに基づいて表面抵抗ρを測定している。このため、この測定装置1および測定方法では、プローブユニット11を製造する際の製造誤差によって、検出用プローブ21の実際の配設位置と設計上の位置との間に誤差が生じている場合においても、その誤差の影響を十分に低減することが可能となっている。
次いで、処理部12は、算出した平均値Vkおよび電流Iの値に基づいて、つまり平均値Vkを電流Iの値で除算して、シート体70の表面抵抗ρを測定(算出)し(ステップ60)、続いて、表面抵抗ρを記憶部13に記憶させると共に表示部14に表示させて。表面抵抗測定処理50を終了する。
このように、この測定装置1および測定方法によれば、各行Lにおけるi番目の検出位置71について5回ずつ検出された各電圧Vと各列Rにおけるj番目の検出位置71について5個ずつ検出された各電圧Vとを平均化処理して得た平均値Vkに基づいて表面抵抗ρを測定することにより、プローブユニット11を製造する際の製造誤差によって、検出用プローブ21の実際の配設位置と設計上の位置との間に誤差が生じている場合においても、その誤差の影響を十分に低減することができる。したがって、この測定装置1および測定方法によれば、平均値Vkに基づいて測定する被測定量としての表面抵抗ρの測定精度を十分に向上させることができる。また、この測定装置1および測定方法によれば、行Lに配列された検出位置71の電圧Vと列Rに配列された検出位置71の電圧Vとを検出することで、互いに直交する2つの方向で電流Iを供給した2つの状態で1つの検出位置71の電圧Vを2回検出することができる。このため、この測定装置1および測定方法によれば、例えば、プローブユニット11における各検出用プローブ21が、全体として1つの方向に位置ずれしているときに、各行Lに配列されている検出位置71の電圧Vだけを検出したり、各列Rに配列されている検出位置71の電圧Vだけを検出したりする構成および方法とは異なり、検出用プローブ21の位置ずれに起因する電圧Vの誤差を確実に軽減することができる。
また、この測定装置1および測定方法によれば、各行Lにおける5個の検出位置71を等間隔で配列し、各列Rにおける5個の検出位置71を等間隔で配列したことにより、例えば、kが異なる(iやjが異なる)平均値Vkを複数用いて被測定量としての表面抵抗ρを測定する際に、検出位置71の間隔が異なる構成および方法と比較して、間隔の相違を補正する処理を不要とすることができるため、その分、表面抵抗ρの測定効率を向上させることができる。また、検出位置71を等間隔で配列することにより、各検出位置71に接触(配置)させるプローブユニット11の検出用プローブ21も等間隔で配列することとなるため、検出用プローブ21の間隔が異なるプローブユニット11と比較して、検出用プローブ21の配列精度を向上させることができると共に、プローブユニット11の製造効率を向上させることができる。
なお、測定装置、測定方法および測定対象は、上記の構成、方法および測定対象に限定されない。例えば、1つの行Lに対して設けられる供給位置72に電流Iを供給している状態(この状態を「電流供給状態」ともいう)でその行Lに配列されている5つの検出位置71における電圧Vを検出する例について上記したが、電流供給状態において、その行Lに配列されている5つの検出位置71に加えて、その行Lに隣接する他の行Lに配列されている各検出位置71の電圧Vを検出する構成および方法を採用することもできる。同様にして、1つの列Rに対して設けられる供給位置72に電流Iを供給している電流供給状態でその列Rに配列されている5つの検出位置71に加えて、その列Rに隣接する他の列Rに配列されている各検出位置71の電圧Vを検出する構成および方法を採用することもできる。この構成および方法では、例えば、表面抵抗ρの測定(算出)の際に隣接する行Lや列Rに配列されている各検出位置71の電圧Vも用いることで、表面抵抗ρの測定精度をさらに向上させることができる。
また、上記の例では、シート体70を測定対象としているが、シート体70以外の板状体や柱状体を測定対象とすることができるのは勿論である。また、物理量としての電圧Vを検出対象とする例について上記したが、電流、電力、照度、輝度および磁界等の電圧V以外の各種の物理量を検出対象とすることができ、これらの物理量を検出部(センサ)によって検出する構成を採用することができる。また、被測定量としての表面抵抗ρを測定する例について上記したが、表面抵抗ρ以外の各種の被測定量(例えば、上記した各種の物理量)を測定する構成および方法に適用することができる。
また、各行Lにおける5個の検出位置71を等間隔で配列し、各列Rにおける5個の検出位置71を等間隔で配列した例について上記したが、図7に示すように検出位置71を配列する構成および方法を採用することもできる。なお、同図における各構成要素について、図2に示した構成要素と同様のものについては同一の符号を付して重複する説明を省略する。図7に示すように、この構成および方法では、各行Lにおける隣接する検出位置71同士の間隔が互いに異なる(一例として、同図における左側から右側に向かうに従って間隔が大きくなる)配列パターンで検出位置71が配列されている。また、この構成および方法では、各列Rにおける隣接する検出位置71同士の間隔が、各行Lにおける隣接する検出位置71同士の間隔と同じ間隔の配列パターンで検出位置71が配列されている。このように、各行Lにおける各検出位置71の配列パターン(各行Lにおける各検出位置71の間隔)と、各列Rにおける各検出位置71の配列パターン(各列Rにおける各検出位置71の間隔)とが同一である限り、任意の配列パターンを採用することができる。
また、nの一例として5を採用した例について上記したが、nは2以上の任意の整数に規定することができる。
また、平均化処理として、各電圧Vを相加平均する例について上記したが、平均化処理の他の例として、次の式(2)から電圧Vの加重平均値Voを算出する構成および方法を採用することもできる。
Vo=(Σ[y=1,n]Vi,Ly・wi,Ly+Σ[x=1,n]Vj,Rx・wj,Rx)/(Σ[y=1,n]wi,Ly+Σ[x=1,n]wj,Rx)・・・式(2)
なお、式(2)において、Voは、上記した各行Lにおけるi番目の検出位置71の電圧V、および上記した各列Rにおけるj番目(iおよびjは同じ値)の検出位置71の電圧Vの加重平均値を意味する。また、yは、行Lの番号を意味し、Vi,Lyは、行Lyにおけるi番目の検出位置71の電圧Vを意味する。また、wi,Lyは、行Lyにおけるi番目の検出位置71に対して予め規定された重みを意味する。また、xは、列Rの番号を意味し、Vj,Rxは、列Rxにおけるj番目の検出位置71の電圧Vを意味する。また、wj,Rxは、列Rxにおけるj番目の検出位置71に対して予め規定された重みを意味する。
また、平均化処理の他の例として、次の式(3)から電圧Vの2乗平均値Vpを算出する構成および方法を採用することもできる。
Vp=√[{Σ[y=1,n](Vi,Ly)+Σ[x=1,n](Vj,Rx)}/2n]・・・式(3)
なお、式(3)において、Vpは、上記した各行Lにおけるi番目の検出位置71の電圧V、および上記した各列Rにおけるj番目(iおよびjは同じ値)の検出位置71の電圧Vの2乗平均値を意味する。また、yは、行Lの番号を意味し、Vi,Lyは、行Lyにおけるi番目の検出位置71の電圧Vを意味する。また、xは、列Rの番号を意味し、Vj,Rxは、列Rxにおけるj番目の検出位置71の電圧Vを意味する。
また、平均化処理の他の例として、各電圧Vを相乗平均したり調和平均したりする構成および方法を採用することもできる。
1 測定装置
11 プローブユニット
12 処理部
21a〜21y 検出用プローブ
22a〜22t 供給用プローブ
70 シート体
70a 表面
71a〜71y 検出位置
72a〜72t 供給位置
I 電流
L1〜L5 行
M マトリクス
R1〜R5 列
V 電圧
ρ 表面抵抗

Claims (4)

  1. 測定対象の検出位置に配置されて当該測定対象の供給位置に電気信号が供給されている状態で当該検出位置における物理量を検出する検出部と、当該検出部によって検出された前記物理量に基づいて被測定量を測定する測定部とを備えた測定装置であって、
    前記検出部は、n個(nは2以上の整数)の行にn個がそれぞれ配列されると共に当該各行に直交するn個の列にn個がそれぞれ配列されてマトリクスをなしかつ当該各行における配列パターンと当該各列における配列パターンとが同一となるように配列された(n×n)個の前記検出位置にそれぞれ配置され、
    前記測定部は、1個の前記行における前記n個の検出位置についての前記物理量を検出する工程を当該行の位置と前記供給位置とを予め規定された位置関係に維持して当該供給位置を変更しつつn個の前記行に対してそれぞれ実行することによって前記各行におけるi番目(iは1からnまでの整数)の前記検出位置についてn回ずつ検出された当該各物理量と、1個の前記列における前記n個の検出位置についての前記物理量を検出する工程を当該列の位置と前記供給位置とを前記位置関係に維持して当該供給位置を変更しつつn個の前記列に対してそれぞれ実行することによって前記各列におけるj番目(jは1からnまでの整数)の前記検出位置についてn回ずつ検出された当該各物理量とを平均化処理して得た値に基づいて前記被測定量を測定する測定装置。
  2. 前記各行における前記配列パターンとして当該各行の前記n個の検出位置が等間隔で配列され、前記各列における前記配列パターンとして当該各列の前記n個の検出位置が等間隔で配列されている請求項1記載の測定装置。
  3. 測定対象の検出位置に検出部を配置して当該測定対象の供給位置に電気信号を供給している状態で当該検出部によって検出された当該検出位置における物理量に基づいて被測定量を測定する測定方法であって、
    n個(nは2以上の整数)の行にn個がそれぞれ配列されると共に当該各行に直交するn個の列にn個がそれぞれ配列されてマトリクスをなしかつ当該各行における配列パターンと当該各列における配列パターンとが同一となるように配列された(n×n)個の前記検出位置に前記検出部をそれぞれ配置し、
    1個の前記行における前記n個の検出位置についての前記物理量を検出する工程を当該行の位置と前記供給位置とを予め規定された位置関係に維持して当該供給位置を変更しつつn個の前記行に対してそれぞれ実行することによって前記各行におけるi番目(iは1からnまでの整数)の前記検出位置についてn回ずつ検出された当該各物理量と、1個の前記列における前記n個の検出位置についての前記物理量を検出する工程を当該列の位置と前記供給位置とを前記位置関係に維持して当該供給位置を変更しつつn個の前記列に対してそれぞれ実行することによって前記各列におけるj番目(jは1からnまでの整数)の前記検出位置についてn回ずつ検出された当該各物理量とを平均化処理して得た値に基づいて前記被測定量を測定する測定方法。
  4. 前記各行における前記配列パターンとして当該各行の前記n個の検出位置が等間隔で配列され、前記各列における前記配列パターンとして当該各列の前記n個の検出位置が等間隔で配列されている請求項3記載の測定方法。
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