1.多孔質担体粒子を含むデバイス
本出願は、有益物質を患者に送達するためのデバイスを提供する。デバイスは、複数の担体粒子を封入するシェルを含む。担体粒子は多孔質であり、および薬物などの有益物質は細孔内に配置されている。有益物質は、細孔からデバイスの内部に、次いでシェルの少なくとも一部分の透過性部分を通って拡散することができる。本出願はこれらのデバイスを生成して、使用する方法を提供する。
A.シェルの特性
シェルは担体粒子を封入し、体の一部位に局在化した担体を保持する。同時に、シェルは有益物質(薬物など)がシェルから出て、標的組織に到達するのを可能にする。このように、シェルの少なくとも一部分は、有益物質を通すことができる。
シェルは、デバイスに構造を提供することもできる。シェルは寸法安定性であり、粒子の非存在下でその形状を保持することができる。例えば、シェルは、担体材料粒子で満たされてないときでも、その形状を保持する硬質のチューブを含むことができる。チューブは、シェルの第1の端および第2の端の非存在下でその形状を保持することもできる。
一部の実施形態において、デバイスは単一のシェルを含む。
特定の実施形態において、部材が粒子を内部に保持するように、シェルは各端を閉じる部材を有するチューブから作られている。この型のデバイス100を図1に分解図で示す。チューブ102は、第1の端102aおよび第2の端102bを有する。第1の部材104はチューブ102の第1の端102aに接触する。第2の部材106はチューブ102の第2の端102bに接触する。チューブ102、第1の部材104および第2の部材106は、複数の多孔質粒子108を封入する。細孔は、薬物の様な有益物質を受け入れるのに適している。
図1において第1の部材104および第2の部材106はほぼ同じ厚さで示しているが、これらの部材は異なる厚さにしてもよい。加えて、この例示において、第1の部材104および第2の部材106は、チューブ102とほぼ同じ直径である。しかし、これらの部材は、チューブ内に粒子を保持するようにサイズ設定されている限りわずかに大きい直径またはわずかに小さい直径でもよい。第2節でさらに詳細に述べるが、第1および第2の部材は、チューブの両端で高分子層の架橋結合を誘発することによって、チューブの両端でin situで形成されることができる。
図1のデバイスは実質的にシリンダー状(すなわち、デバイスは円形断面を有するチューブを備える)であるが、他の幾何学的形状も可能である。チューブは、内部に粒子を含むのに適している円形、楕円形、正方形、長方形、六角形または他の任意の形状の断面を有することができる。図2は、断面が正方形であるチューブ202で生成されたデバイス200の分解立体図である。チューブ202は、第1の端202aおよび第2の端202bを有する。第1の部材204は第1の端202aに接触し、第2の部材206は第2の端202bに接触する。チューブ202、第1の部材204および第2の部材206は複数の多孔質粒子108を封入する。
図3は、チューブと接触する第1および第2の部材を含むデバイス300を示す。特に、チューブ302は、第1の部材304と接触する第1の端302aを有する。チューブ302は、第2の部材306と接触する第2の端302bを有する。
一部の実施形態において、デバイスの長さ(すなわち、第1の部材と第2の部材との間の距離)は、約1〜2mm、2〜4mm、4〜6mm、6〜8mm、8〜10mm、1〜2cm、2〜4cmまたは4〜10cmである。特定の実施形態において、デバイスの幅(例えば、チューブの直径または第1および第2の部材の直径)は、約0.1〜0.2mm、0.2〜0.4mm、0.4〜0.6mm、0.6〜0.8mm、0.8mm〜1.0mm、1〜2mm、2〜4mm、4〜6mm、6〜8mm、8〜10mm、1〜2cm、2〜4cmまたは4〜10cmである。デバイスは、注入(例えば、長さが約4mm未満で直径が約0.5mm未満、例えば大きさが約30ゲージ〜約15ゲージの少なくとも1本の針または大きさが約30ゲージ〜約15ゲージのカニューレを介して取り付けるため、好ましくは22ゲージ未満のカニューレを介して取り付けるため)用の形に作られ、サイズ設定されてもよい。そのようなデバイスが眼の硝子体内への埋入用に調製される場合、一部の実施形態においてデバイスは、7mm未満の切開部から挿入できるように、いずれの方向においても約7mmを超えない。このように、一部の実施形態において、デバイスは高さが7mm、直径が3mmを超えない。
チューブ壁は、いずれの他の材料の非存在下でもチューブがその形状を保持するのを可能するのに十分な厚さであることが好ましい。一部の実施形態において、チューブ壁の厚さは、約0.01mmと約1.0mmとの間で変動する。一部の実施形態において、チューブ壁は約0.01〜0.02mm、0.02〜0.04mm、0.04〜0.06mm、0.06〜0.08mm、0.08〜1.0mm、1〜2mm、2〜4mmまたは4〜10mmである。デバイスのチューブの例示的な直径としては、内径が0.011”±0.001”、外径が0.0145”±0.001”が挙げられる。また、デバイスのチューブの例示的な直径としては、内径が0.0061”±0.001”、外径が0.0145”±0.001”が挙げられる。また、デバイスのチューブの例示的な直径としては、内径が0.016”±0.001”、外径が0.018”±0.001”が挙げられる。
シェルの少なくとも一部分は、有益物質を通すことができる。「透過性」とは、シェルが有効量の有益物質をデバイスから出ることを可能にすることを意味する。シェルの特定の部分は、有益物質を通すことができないこともある。本明細書で用いる場合、「不透過性」という用語は、デバイスが有効量の有益物質を患者に送達する期間中、所望の局所もしくは全身の生理効果または薬理効果を得るのに必要とされる速度で有益物質の通過を層が通さないことを意味する。一部の実施形態において、不透過性領域は、有益物質に対して、透過性領域の透過性の10%、5%、2%、1%、0.5%、0.2%、0.1%、0.05%、0.02%または0.01%未満の透過性を有する。
一部の実施形態において、チューブは有益物質を通すことができる。一部の実施形態において、第1の部材は有益物質を通すことができる。一部の実施形態において、第2の部材は有益物質を通すことができる。一部の実施形態において、チューブは不透過性であり、および部材の一方または両方は透過性である。一部の実施形態において、有益物質のさらに大きな放出を促進するために、チューブは透過性材料製である。例えば、チューブ、第1の部材および第2の部材はすべて透過性である。
シェルの一部分の透過性は、その厚さに影響を受けることがある。デバイスの透過性領域と比較して、不透過性部材は、相当量の有益物質を放出しないように十分に厚い必要がある。不透過性部材の厚さは、例えば、約0.01mmと約2mmとの間、好ましくは約0.01mmと約0.5mmとの間、最も好ましくは約0.01mmと約0.2mmとの間でありうる。透過性部材は、チューブ内に担体粒子を含むのに十分に厚い必要があるが、有効量の有益物質の放出を妨げるほど厚くてはならない。透過性部材の厚さは、例えば、約0.01mmと約2mmとの間、好ましくは約0.01mmと約0.5mmとの間、最も好ましくは約0.01mmと約0.2mmとの間でありうる。
特定の実施形態において、シェルの少なくとも一部分は多孔質であり、および有益物質はその細孔を通ってシェルから出ることができる。細孔は、担体粒子が任意の相当量で細孔を通過しないほど小さくなければならない。
好ましくは、シェルは、材料が接触する体液中で基本的には不溶性である。
一部の実施形態において、シェルは実質的に生物分解性でない。一部の実施形態において、シェルは有益物質の少なくとも90%、95%または99%の放出前に、生物学的環境において実質的に生物分解されない。一部の実施形態において、シェルは有益物質の少なくとも90%、95%または99%の放出後に、生物学的環境において実質的に生物分解される。
一部の実施形態において、シェルはポリマーを含む。特に、チューブ、第1の部材および/または第2の部材はポリマーであってよい。一般的に言って、主題のデバイスで用いる好適な生体適合性ポリマーとしては、ポリ(酢酸ビニル)(PVAC)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリアルキルシアノアクリラート、ポリウレタン、ナイロンまたはその共重合体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。乳酸モノマーを含むポリマーにおいて、乳酸はD−乳酸、L−乳酸(例えば、ポリ−L−乳酸(PLLA))またはD−異性体およびL−異性体の任意の混合物であってよい。一部の実施形態において、ポリマーはポリイミドである。一部の実施形態において、ポリマーは、乳酸(L)モノマーとグリコール酸(G)モノマーを約95%Lと5%Gの割合で含むPLGAである。Lのパーセンテージは、80%と97%との間で変動しうる。Gのパーセンテージは、3%と20%のと間で変動しうる。一部の実施形態において、ポリマーは熱硬化性、放射線硬化性、光(紫外線を含む)硬化性、蒸気硬化性または触媒による硬化性である。特定の実施形態において、ポリマーは、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサンまたはシリコーンカルボナート共重合体などのシリコーンである。
PVAの様な特定のポリマーは、ポリマー架橋結合の程度を変えることによって多少透過性になりうる。一部のポリマーは、薬物コア中のポリマーと薬の相対特性によって透過性または不透過性でありうる。例えば、所定のポリマーは小分子に透過できるが、抗体には不透過性でありうる。シェルの透過性部分の構造に適した例示的なポリマーとしては、PVAおよびPEGが挙げられる。シェルの不透過性の構造に適した例示的なポリマーとしては、ナイロン、ポリウレタン、EVA、ポリアルキルシアノアクリラート、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)、ポリカーボナナート(PC)、ポリ(メチルメタクリラート)(PMMA)、高グレードエチレン酢酸ビニル(EVA)(例えば、9%ビニル含有量)、ポリ乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)およびポリビニルアルコール(PVA)、特に架橋結合PVAが挙げられる。
特定の実施形態において、シェルは、金、プラチナおよび(外科用)ステンレス鋼などの金属を含む。例えば、チューブは金属製でもよい。一部の実施形態において、シェルの金属部分は、有益物質を通さない。金属は、好ましくは生体適合性である。特定の実施形態において、金属は生分解性である。生体適合性合金および/または生分解性合金は、Fe(鉄)、Mg(マグネシウム)、Mn(マンガン)、Pd(パラジウム)、Co(コバルト)、Al(アルミニウム)、W(タングステン)、B(ホウ素)、C(炭素)、S(硫黄)、Si(ケイ素)、Li(リチウム)、Zr(ジルコニウム)、Ca(カルシウム)、Y(イットリウム)、Zn(亜鉛)のうちの1または複数を含みうる。例示的な生分解性金属は、H. Hermawan“Biodegradable Metals”SpringerBriefs in Materials 2012p.13−22頁およびMoravejおよびMartovani,“Biodegradable Metals for Cardiovascular Stent Application:Interests and New Opportunities”Int J Mol Sci. 2011; 12(7): 4250−4270に記述されている。特定の実施形態において、シェルはシリコン(たとえば、ケイ素元素)またはシリカを含む。シリコンシェルまたはシリカシェルは、生分解性である。
チューブ、第1の部材および第2の部材の材料を選んで、有益物質の所望の放出速度を達成することができる。例えば、デバイスの「低流量」実施形態は、図4の断面図に例示する。デバイス400は、不透過性材料製のチューブ402および不透過性材料製の第1の部材404を含む。第2の部材406は透過性材料製である。粒子408はデバイス400内部に含まれる。粒子408は、最初に有益物質410をデバイスの内部で放出する。次いで有益物質410は、デバイスから出るために、透過性の第2の部材406を通って拡散する。相当量の有益物質は、チューブ402または第1の部材404を通ってデバイスから出ない。例えば、好適な実施形態において、チューブは不透過性のポリ(dl−ラクチド−co−グリコリド)PLGAを含み、第1の部材は、シリコーンなどの不透過性物質製であり、第2の部材は透過性のポリ(ビニルアルコール)(PVA)を含む。
対照的に、図5の断面図はデバイスの「高流量」実施形態を示す。デバイス500は、不透過性材料製のチューブ502を含む。第1の部材504および第2の部材506は両方とも透過性材料製である。粒子508はデバイス500の内部に含まれる。粒子508は、最初に有益物質510をデバイスの内部に放出する。次いで有益物質510は、デバイスから出るために、透過性の第1の部材504および第2の部材506を通って拡散する。相当量の有益物質は、チューブ502を通ってデバイスから出ない。例えば、好適な実施形態において、チューブは不透過性のポリ(dl−ラクチド−co−グリコリド)PLGAを含み、第1および第2の部材は透過性のポリ(ビニルアルコール)(PVA)を含む。
有益物質は、化学ポテンシャルが低い方向、すなわちデバイスの外面に向かって拡散する。デバイスからの有益物質の放出は、いくつかの要素によって制御される。それは、有益物質の溶解速度、細孔からの担体材料の放出速度、およびシェルの通路によって影響される。デバイスの形状、大きさおよび材料を選択して、有益物質の所望の放出速度を達成することができる。このように、一部の実施形態において、放出速度は、主に有益物質の溶解で決定される。別の実施形態において、放出速度は、主に担体材料の細孔からの有益物質の放出によって決定される。さらに別の実施形態において、放出速度は、主にシェルの透過性によって決定される。一部の実施形態において、放出速度は、これらの3つのステップのうちのいずれかの2つまたはすべてによって、著しく影響を受ける。
デバイスのシェルを通る有益物質の拡散速度は、例えば、シンク条件下で行われる拡散セル調査を介して決定しうる。シンク条件下で行われる拡散セル調査において、ドナーコンパートメント内の高濃度と比較する場合、レセプターコンパートメント内の薬物の濃度は基本的にゼロである。
材料は薬物を通すことができ、また薬物が材料を通って拡散するか、さもなければ通過する速度は本質的に調節しうることを理解されたい。したがって、シェルの透過性部分は、放出速度を制限することもでき、または放出速度を調節することができる。そのような膜の透過性はデバイスの放出速度を調節する最も重要な要素の一つでありうる。
一部の実施形態において、デバイスは、時間とともに基本的に一定である速度(すなわち、ゼロ次反応速度論)で有益物質を放出する。目標が維持期間にわたり患者への略一定量の有益物質を維持することである場合、ゼロ次放出は望ましい。
B.担体材料の特性
担体材料は薬物などの有益物質を保持し、徐々に放出する。有益物質は、担体材料内の細孔に存在する。担体材料は、デバイスのシェルによって封入された複数の粒子である。それぞれの担体粒子はデバイスの内部に有益物質を放出し、そこから次いで有益物質はシェルから出る。
特定の好適な実施形態において、最大径で測定したデバイスの粒子は、1〜5ミクロンの範囲内でd10(デバイス内の粒子の10%が1〜5ミクロンの範囲内の数以下の直径を有することを意味する)を有し、5〜10ミクロンの範囲内でd50(デバイス内の粒子の50%が5〜10ミクロンの範囲内の数以下の直径を有することを意味する)を有し、および10〜20ミクロンの範囲内でd90(デバイス内の粒子の90%が10〜20ミクロンの範囲内の数以下の直径を有することを意味する)を有する。一部の実施形態において、d10は1〜5ミクロン、1〜3ミクロンまたは3〜5ミクロンである。一部の実施形態において、d50は5〜7ミクロン、6〜8ミクロン、7〜9ミクロンまたは8〜10ミクロンである。一部の実施形態において、d90は10〜15ミクロンまたは15〜20ミクロンである。特定の実施形態において、最大径で測定した、デバイスの粒子の平均粒径は、約1〜約500ミクロン、例えば、約5〜500ミクロン、約5〜約100ミクロンまたは約5〜約20ミクロンである。一部の実施形態において、最大寸法で測定した、60%を超える、70%を超える、80%を超えるまたは90%を超える粒子の粒径は、1〜20ミクロン、好ましくは5〜15ミクロンである。粒子の平均粒径は、1と20ミクロンの間、例えば、5〜15ミクロンとの間または約15ミクロン、約16ミクロン、約17ミクロン、約18ミクロン、約19ミクロンである。
一部の実施形態において、担体は、半導体シリコンなどの半導体材料を含む。多孔質の担体材料として用いることができる追加材料の例としては、ゲルマニウム、セラミックス、金属酸化物、骨質リン酸塩、リン酸カルシウム(例えばヒドロキシアパタイト)、他の無機リン酸塩、カーボンブラック、炭酸塩、硫酸塩、アルミン酸塩、ホウ酸塩、アルミノケイ酸塩、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化チタンおよび他の同等の材料がある。
デバイスは、ケイ素元素、二酸化ケイ素(シリカ)、一酸化ケイ素、ケイ酸塩(例えばSiF6 2−、Si2O7 6−またはSiO4 4−の陰イオンを持つケイ素を含む化合物)などのシリコン系担体材料またはそれらの材料の任意の組み合わせを含んでもよい。担体材料は、例えば、半導体シリコン、ケイ素元素、多結晶シリコンまたは非晶質シリコンであってもよい。シリコンは非ドープ、または(例えばリンで)ドープされていてもよい。担体材料は、炭化シリコンまたは窒化シリコンであってもよい。特定の好適な実施形態において、担体材料は、ケイ素元素の完全なまたは部分的なフレームワークを含み、そのフレームワークは二酸化ケイ素表層によってかなりまたは完全におおわれる。他の好適な実施形態において、担体材料は、完全に、またはほぼ完全にシリカである。特定の実施形態において、シリコン系担体材料は、合成非晶質シリカである。特定の実施形態において、シリコン系担体材料は、ヒュームドシリカである。
特定の実施形態において、担体材料はシリカ、例えば、約50%超のシリカ、例えば、約60重量%超のシリカ、約70重量%超のシリカ、約80重量%超のシリカ、約90重量%超のシリカ、約95重量%超のシリカ、約99重量%超のシリカまたは約99.9重量%超さえのシリカを含む。多孔質シリカは、Grace Davison(商標名Davisilの下で販売れている)、SilicycleおよびMacherey−Nagelなどの供給元から購入することができる。
特定の実施形態において、担体材料は、ケイ素元素、約60重量%超のシリコン、約70重量%超のシリコン、約80重量%超のシリコン、約90重量%超のシリコンまたは約95重量%超さえのシリコンを含む。シリコンは、Vesta Ceramicsなどの供給元から購入することができる。
シリコン系材料の純度は、エネルギー分散型X線分析、蛍光X線、誘導結合発光分光法またはグロー放電質量分光法などの技術を用いて、定量的に評価することができる。
シリコン系担体材料は、多孔質の非晶質固体または多孔質の結晶質固体を含むこともある。例えば、シリコン系担体材料は、ケイ素元素またはその化合物、例えば二酸化ケイ素もしくはケイ酸塩を非晶形で含むこともある。特定の実施形態において、ケイ素元素またはその化合物は、結晶形で存在する。別の実施形態において、担体材料は、非晶質シリカおよび/または非晶質シリコンを含む。特定の実施形態において、シリコン系材料は、約60重量%超の非晶質、約70重量%超の非晶質、約80重量%超の非晶質、約90重量%超の非晶質、約92重量%超の非晶質、約95重量%超の非晶質、約99重量%超の非晶質または約99.9重量%超さえの非晶質である。特定の実施形態において、非晶質シリカはヒュームドシリカである。特定の実施形態において、非晶質シリカは合成非晶質シリカである。
X線回折分析を用いて、シリコン系材料の結晶相を特定することができる。粉末回折は、例えば、Scintag PAD−X回折計、例えばCU K−α放射線を用いる液体窒素冷却型ゲルマニウム固体検出器を備えたX回折計で行うことができる。
担体材料の多孔率は、約30%〜約95%、約30%〜約90%または約60%〜約80%でありうる。本明細書で用いる場合、多孔率とは、材料中の間隙の尺度であり、間隙の体積と材料の総体積との比率である。特定の実施形態において、担体材料の多孔率は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%または少なくとも約90%さえである。特定の実施形態において、多孔率は、約40%超、例えば約50%超、約60%超または約70%超さえである。
デバイスの担体材料の表面積対重量比は、約20m2/g〜約2000m2/g、例えば約20m2/g〜約1000m2/gまたは約100m2/g〜約300m2/gさえから選択される。特定の実施形態において、表面積は約200m2/g超、約250m2/g超または約300m2/g超である。特定の実施形態において、表面積は約200m2/gである。
特定の実施形態において、有益物質は、材料の表面から少なくとも約10ミクロン、少なくとも約20ミクロン、少なくとも約30ミクロン、少なくとも約40ミクロン、少なくとも約50ミクロン、少なくとも約60ミクロン、少なくとも約70ミクロン、少なくとも約80ミクロン、少なくとも約90ミクロン、少なくとも約100ミクロン、少なくとも約110ミクロン、少なくとも約120ミクロン、少なくとも約130ミクロン、少なくとも約140ミクロンまたは少なくとも約150ミクロンの細孔の深さまで分配される。特定の実施形態において、有益物質は、実質的に一様に担体材料の細孔内に分配される。
有益物質は、担体材料中のある深さまで充填することができ、これは有益物質が担体材料に浸透する深さと担体材料の全幅との比率として算定される。特定の実施形態において、有益物質は、担体材料の少なくとも約10%の深さまで、担体材料中の少なくとも約20%の深さまで、担体材料中の少なくとも約30%の深さまで、担体材料中の少なくとも約40%の深さまで、担体材料中の少なくとも約50%の深さまで、または担体材料中の少なくとも約60%の深さまで分配される。
充填総量の定量化は、いくつかの分析方法、例えば、医薬組成物の重量分光法、EDX(X線によるエネルギー分散分析)分光法、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)もしくはラマン分光法、または溶液中の溶出治療薬の紫外分光光度法、滴定、HPLCもしくは質量分析法によって成し遂げることができる。充填の均一性の定量化は、断面EDX、オージェの深さプロファイリング、ミクロラマンおよびミクロFTIRなどの空間分解能が可能な組成技術によって得ることができる。
担体材料は、有益物質を受け入れることができる細孔を含むことが好ましい。微小孔担体(2nm未満の孔径)、メソ孔担体(2〜50nmの孔径)およびマクロ孔担体(>50nmの孔径)はすべて好適な担体材料である。特定の実施形態において、担体材料の平均孔径は、2〜50nm(例えば約5〜約40nm)、約15〜約40nm(例えば約20〜約30nm)から選択される。特定の実施形態において、平均孔径は、約2〜約15nm、例えば約5〜約10nmから選択される。特定の実施形態において、平均孔径は約30nmである。特定の実施形態において、担体材料の細孔の50%超は孔径が2〜50nmであり、担体材料の細孔の60%超は孔径が2〜50nmであり、担体材料の細孔の70%超は孔径が2〜50nmであり、担体材料の細孔の80%超は孔径が2〜50nmであり、または担体材料の細孔の90%超さえも孔径が2〜50nmである。
特定の実施形態において、担体材料は、メソ孔二酸化ケイ素などの多孔質の二酸化ケイ素、またはヒュームドシリカなどの非晶質シリカを含む。
特定の実施形態において、担体材料は明確に定義された孔径の細孔の集団を有する、すなわち担体材料の孔径の分布は定義された範囲内に含まれる。特定の実施形態において、明確に定義された細孔の集団は、その集団について約1nm〜15nmの平均孔径内、好ましくはその集団について約10nm、約5nmまたは3nmもしくは2nmでさえの平均孔径内の約50%〜約99%の孔径を有する。特定の実施形態において、担体材料の細孔の約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超または約95%超さえも規定範囲内の孔径を有する。同様に、明確に定義された孔径を有する集団は、細孔の約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超または約95%超さえもがその集団の平均孔径の20%内、好ましくは15%、10%内または5%内さえの孔径を有する集団でありうる。
細孔(例えば、メソ孔)径分布は、ガス吸着法、高解像度走査電子顕微鏡検査法、核磁気共鳴クリオポロシメトリーおよび示差走査熱量測定法などの確立した分析方法を用いて定量化することができる。
一部の実施形態において、明確に定義された孔径を有する細孔の集団は、孔径の標準偏差がその集団についての平均孔径の20%未満、好ましくは15%未満、10%未満または5%未満さえである集団でありうる。
孔径は、生体系において有益物質の放出速度を制御するために、有益物質の寸法特性にあらかじめ選択してもよい。一般的に、細孔が小さすぎると、有益物質の充填が妨げられ、一方細孔が大きすぎると、放出速度に対して所望の制御を発揮するのに有益物質と十分に強く相互作用しない。例えば、担体材料の平均孔径は、例えば200,000〜500,000amuの高分子量分子に対して例えば15nm〜40nmの大きな細孔および例えば10,000〜50,0000amuの低分子量分子に対して例えば2nm〜10nmの小さい細孔から選択することができる。例えば、直径約6nmの平均孔径は、約14,000〜15,000amu(例えば約14,700amu)の分子量分子に好適でありうる。直径約10nmの平均孔径は、約45,000〜50,000amu(例えば約48,000amu)の分子量の分子に対して選択してもよい。直径約25〜30nmの平均孔径は、約150,000amuの分子量の分子に対して選択してもよい。
生体系において有益物質の放出速度を制御するために、孔径は、有益物質の分子半径に適応するようにあらかじめ選択してもよい。例えば、直径約25nm〜約40nmの平均孔径は、約6nm〜約8nmの最大分子半径を有する分子に好適でありうる。分子半径は、X線結晶解析データに基づいて分子の物理的寸法を用いることによる、または分子の溶液状態の大きさを表す流体力学的半径を用いることによるなどの任意の好適な方法によって算出することができる。溶液状態の算出は、算出する溶液の性質に依存するので、一部の測定についてはX線結晶解析データに基づいて物理的寸法を用いることが好ましい。本明細書で用いる場合、最大の分子半径は、治療薬の最大寸法の半分を表す。
特定の実施形態において、平均孔径は、分子、例えば細孔内のタンパク質、の凝集を限定するように選択する。タンパク質などの生体分子がデバイス内で凝集すると、生体系への分子の制御放出を妨害すると考えられているので、これを防ぐことは有利である。したがって、孔径と生体分子の大きさとの関係に起因し、例えば、どんな時でも1つの生体分子のみが細孔に入ることができる細孔は、複数の生体分子が一緒に細孔に入って、細孔内で凝集することが可能な細孔よりも好ましい。特定の実施形態において、複数の生体分子(例えば、タンパク質)は、細孔に充填されることができるが、細孔の深さに起因し、この細孔の深さ全体に分配されたタンパク質はそれほどではないにせよ凝集する。例えば、細孔の孔径は、細孔内部のタンパク質の直径よりわずかに大きいこともある。この場合、細孔の孔径が狭いと、タンパク質の配列を抑えることができ、凝集を減少させる。
特定の実施形態において、担体材料は、各材料が異なる有益物質に適応するようにあらかじめ選択され、異なる特性(例えば、孔径、粒径または表面特性)を有する2種以上の異なる材料を含む。例えば、その孔径が第1の有益物質に適応する第1の細孔の集団を有する材料と、その孔径が第2の有益物質に適応する第2の細孔の集団を有する別の材料との2種の異なる担体材料を混合してもよい。一部の実施形態において、デバイスは、その孔径が第1の有益物質に適応する第1の細孔の集団を有する第1の担体粒子の集団と、その孔径が第2の有益物質に適応する第2の細孔の集団を有する第2の担体粒子の集団とを含む。特定の別の実施形態において、粒子は、例えば、担体材料が分子鋳型技術によって生成され、細孔の特性が2種以上の有益物質(例えば、異なる分子半径を有する2種の有益物質)のためにあらかじめ選択された、2つ以上の明確に定義された細孔の集団を有する単一の材料を含む。このように、担体材料は、本明細書に記述の制御方法で、2種以上の有益物質を送達することができる。そのような実施形態において、有益物質の充填は、最大の薬剤から最小の薬剤に順序づけることが好ましく、その結果最大の薬剤は最大の細孔に選択的に吸着され(すなわち、最大の薬剤は最小の細孔に適合しない)、その結果大きい細孔は小さい薬剤を吸着しない。
担体材料が2種以上の異なる明確に定義された細孔の集団(例えば、異なる細孔集団は本質的に非重複である)を有する特定の実施形態において、異なる細孔の集団の特性間の差異は、各異なる有益物質が特定の細孔集団に吸着されることを限定するように選択されることが好ましい。特定の実施形態において、2つ以上の異なる明確に定義された細孔の集団の平均孔径は、大きな有益物質が小さい細孔に吸着されることを限定するように選択されることができる。平均孔径の差異は、担体材料中の異なる細孔の集団のための平均孔径間の差異として定義されることができる。例えば、少なくとも10nmの平均孔径の差異は、その平均孔径が少なくとも10nm異なる(「平均孔径の差異」)、少なくとも2つの細孔の集団を含むことができ、例えば、組成物が10nmおよび20nmの平均孔径を有する2つの孔径集団、10nm、20nmおよび30nmの平均孔径を有する3つの細孔集団、または10nm、20nm、30nmおよび40nmの平均孔径を有する4つの細孔集団を含みうることを示すことがある。特定の実施形態において、平均孔径の差異は、好ましくは少なくとも約5nm、少なくとも約10nm、少なくとも15nm、少なくとも約20nmまたは少なくとも約30nmである。特定の実施形態において、2つ以上の明確に定義された細孔集団は、任意の2つの集団が小さい平均孔径の少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、40%または50%も異なるように、異なる平均孔径を有する。
特定の実施形態において、細孔を分離する担体材料の壁は、5nm未満、例えば、約4.8nm、約4.6nm、約4.4nm、約4.2nm、約4.0nm、約3.8nm、約3.6nm、約3.4nm、約3.2nm、約3.0nm、約2.8nmまたは約2.6nmもの平均幅を有する。特定の実施形態において、細孔を分離する担体材料の壁は、約3nm未満、例えば、約2.8nm、約2.6nm、約2.4nm、約2.2nm、約2.0nm、1.8nm、約1.6nm、約1.4nm、約1.2nm、約1.0nmまたは約0.8nmもの平均幅を有する。
デバイスの寸法および形態は、例えば、200keVで作動する2000JEOL電子顕微鏡を用いる透過電子顕微鏡(TEM)によって測定することができる。TEM用の試料は、希薄スラリーを介して、金属グリッド上の細孔カーボンフィルムに多くの多孔質担体材料を分配することによって調製することができる。
特定の実施形態において、担体材料の細孔は、約0.1mL/g〜約5mL/gの担体材料の容積を有する空間を規定する。特定の実施形態において、細孔容積は約0.2mL/g〜約3mL/g、例えば約0.4mL/g〜約2.5mL/g、例えば1.0mL/g〜約2.5mL/gである。
特定の実施形態において、担体材料の充填レベルは、担体材料および有益物質の総合重量に基づいて最高70重量%、例えば最高40重量%である。充填レベルは、充填した有益物質の重量を、充填した治療薬および担体材料の総合重量で割って、100を掛けて算出する。特定の実施形態において、担体材料の充填レベルは、10%超、例えば15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超または50%超である。特定の実施形態において、担体材料の充填レベルは、5%未満である。充填レベルは、約5%と約10%との間であってもよい。特定の実施形態において、担体材料の充填レベルは、約10重量%と約20重量%との間、約20重量%と約30重量%との間、約30重量%と約40重量%との間、約40重量%と約50重量%との間または約50重量%と約60重量%との間である。
本明細書に記述の充填体積は、有益物質が占める多孔質材料中における細孔の容積について評価することができる。担体材料のための有益物質が占める最大充填体積のパーセンテージ(すなわち有益物質が占める多孔質の担体材料中における細孔の総容積のパーセンテージ)は、約30%〜約100%、例えば約50%〜約90%でありうる。任意の担体材料について、この値は、充填中に有益物質が占める体積を充填前の担体材料の間隙体積で割って、100を掛けることによって決定することができる。
特定の実施形態において、最大直径で測定した担体粒子の平均粒径は、約1〜約500ミクロン、例えば約5〜約100ミクロンである。特定の実施形態において、デバイス中における粒子の少なくとも80%、90%、99%または100%でさえ、約1〜約500ミクロン、例えば約5〜約500ミクロンまたは約2〜約100ミクロンである。
粒子への有益物質の充填速度を上げるために、比較的小さい粒子を使用することは有利になりうる。小さい粒子は有益物質が浸透する深さが浅い細孔なので、粒子を充填するのに必要な時間は減少しうる。孔径が寸法において分子直径または治療薬の大きさと同じようであるとき、これは特に有利になりうる。小さい粒子は、最大寸法で測定した1〜20ミクロン、例えば、約10〜20ミクロン、例えば約15〜20ミクロンでありうる。
一部の態様において、粒子の60%超、70%超、80%超または90%は最大寸法で測定した1〜20ミクロン、好ましくは5〜15ミクロンの粒径を有する。粒子の平均粒径は、1ミクロンと20ミクロンとの間、例えば5ミクロンと15ミクロンとの間または約15ミクロン、約16ミクロン、約17ミクロン、約18ミクロン、約19ミクロンである。
平均粒径を含む粒径分布は、例えば、Malvern Instruments,UK社製のMalvern粒径分析器、モデルMastersizerを使用して測定することができる。
ヘリウムネオンガス・レーザー光は、担体材料の懸濁液を含んでいる光学セルを介して投影されうる。担体材料に当たる光線は、粒径に反比例する角度を通って拡散する。光検出器アレイはいくつかのあらかじめ決めた角度での光強度を測定し、次いで測定した光束値に比例する電気信号は、試料の担体材料および水性分散剤の屈折率から予測した散乱パターンに対してマイクロコンピュータシステムによって処理される。
上述のものを含む好適な担体材料を調製する方法は、国際公開第WO2012/061377号に見出すことができ、この文書はその全体を参照によって明示的に組み込む。
特定の実施形態において、デバイスは1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤も含む。一部の実施形態において、賦形剤は充填剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、安定剤、香味剤、染料、着色剤、崩壊剤または界面活性剤である。一部の実施形態において、緩衝剤を用いて、デバイス内で微細環境pHを作成することによって薬物放出速度を目的に合わせる。pHは、有益物質の溶解速度または有益物質のためのシェルの透過性に影響を及ぼすことができ、それによって全体の放出速度に影響を及ぼす。難溶性または疎水性組成物の湿潤性を向上させるために、界面活性剤を用いて、担体の電荷、親油性または親水性を調整してもよい。薬学的に許容される賦形剤として役立つことができる一部の例としては、(1)ラクトース、グルコースおよびショ糖などの糖類;(2)トウモロコシ澱粉およびジャガイモ澱粉などの澱粉;(3)カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロース;(4)トラガント末;(5)モルト;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)ココア脂、坐剤ワックスなどの疎水性材料;(9)ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油などの油;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール;(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;および(16)医薬組成物で使用される他の非毒性適合物質が挙げられる。賦形剤は、担体材料の細孔内に配置してもよい。別の実施形態において、賦形剤は粒子の外側、かつデバイスのシェルの内部にある。例えば、粒子は、溶液中に懸濁させるおよび/またはスラリーを形成してもよく、賦形剤は溶液に溶解させてもよい。
C.デバイスによる送達可能な有益物質
デバイスは、治療有効量の有益物質を収納しおよび送達することができる。好適な実施形態において、有益物質は治療薬である。本明細書で用いる場合、「治療薬」という用語は、活性分子ならびに活性分子の塩を包含する。治療薬は、例えば、薬物またはプロドラッグでありうる。
特定の実施形態において、有益物質は疾患の治療または予防に有用な任意の薬剤から選択される。特定の実施形態において、有益物質は小分子治療薬、すなわち、1000amu未満の分子量を有する化合物から選択される。好適な実施形態において、有益物質は1000amu超の分子量を有する大分子から選択される。特定の実施形態において、本発明の有益物質は生体分子である。本明細書で用いる場合、生体分子とは、タンパク質、多糖および核酸などの大きな高分子、ならびに一次代謝産物、二次代謝産物および天然産物またはその合成変形物などの小分子を含む、生体によって生成されるいずれの分子も指す。特に、抗体、リガンドおよび酵素などのタンパク質は、本明細書に記述のデバイス中において有益物質として用いることができる。特定の実施形態において、デバイスで用いる生体分子は、約10,000amu〜約500,000amuの分子量を有する。
一部の実施形態において、有益物質は抗体などのタンパク質である。一部の実施形態において、抗体はモノクローナル抗体である。抗体は、例えば、完全長抗体の抗原結合部分、例えば、Fabフラグメントまたは単鎖可変フラグメントでありうる。デバイスで送達することができる特定の治療用抗体としては、ラニビズマブおよびベバシズマブが挙げられる。
本明細書のデバイスを用いて投与することができるポリヌクレオチドとしては、DNA、RNAおよびDNAとRNAの類似体が挙げられる。例えば、ポリヌクレオチドは、2′O−Meヌクレオチドまたはジデオキシヌクレオチドを含みうる。ポリヌクレオチドは、遺伝子治療のためにタンパク質をコードすることができ、またはアンチセンス経路を介して標的遺伝子の発現を減少させるようにデザインすることができる。
特定の実施形態において、有益物質の分子量は10,000と50,000amuとの間、50,000と100,000amuとの間または100,000と150,000amuとの間である。特定の実施形態において、有益物質は、5,000amuと200,000amuとの間、例えば約10,000と約150,000amuとの間の分子量を有するタンパク質である。
有益物質の大きさは、代わりに、例えばX線結晶解析または流体力学的半径によって決定することができる分子半径で特徴づけることができる。有益物質は、例えば、0.5nm〜20nm、例えば約0.5nm〜10nm、約1〜8nmさえから選択した分子半径を有するタンパク質でありうる。
担体材料の孔径は、少なくとも一部は有益物質の大きさに基づいて選択することができる。1〜2.5nmの分子半径を有する有益物質は、4.5〜5.8nmの最小の細孔半径を有する担体材料と共に有利に使用することができる。7nmの分子半径を有する有益物質は、11〜13nm、例えば約12nmの最小の細孔半径を有する担体材料と共に有利に使用することができる。所定の有益物質のための適切な孔径の選択についてのさらなる考察は、例えば、国際公開第WO2012/061377号に見出すことができ、その全体を参照によって明示的に組み込む。
一部の実施形態において、担体粒子は液剤で充填される。有利には、液剤を充填した担体粒子は、その液剤自体よりも取扱いが容易でありうる。このように、本明細書のデバイスは、液剤を送達する制御放出デバイスのための製造過程を容易にすることができる。一部の実施形態において、液剤はカルボン酸部分を含む。一部の実施形態において、デバイス中の液体有益物質は、プロスタグランジンまたはプロスタグランジン類似体である。例えば、液剤はラタノプロストの遊離酸の形であってもよい。別の例として、液剤はトラボプロストの遊離酸の形でありうる。一部の実施形態において、液剤は、トレプロスチニル、イロプロストまたはベラプロストなどのプロスタサイクリンまたはプロスタサイクリン類似体である。一部の実施形態において、液体はビタミンEなどの脂溶性ビタミンを含む。
特定の実施形態において、有益物質は分解および/または不活性化を起こしやすく、および担体材料は有益物質の分解および/または不活性化を減少させる。有益物質は、例えば、分解またはアンフォールディング/変性によって不活性化しうる。例えば、有益物質は、第1または第2の部材を硬化する(例えば、熱または紫外線で)プロセスの間、不活性化を起こしやすく、担体材料はこの不活性化を減少させる。例えば、担体材料は、有益物質を不活性化する(例えば、硬化で用いられる光の波長を吸収することによって)薬剤を遮断することができる。別の例として、担体は、有益物質を不活性化する薬剤の作用に対して、例えば、活性立体配座にある有益物質を安定させることによって、およびタンパク質のアンフォールディングまたは分解を制限することによって有益物質を安定させることができる。一部の実施形態において、担体材料なしの有益物質は、デバイス生成中同じ条件下で、担体材料内の有益物質の少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、50倍または100倍の不活性化(例えば分解またはアンフォールディング)を経験する。
一部の実施形態において、担体材料内の有益物質は室温で、同じ条件下で担体材料なしの有益物質の半減期の少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、50倍または100倍の半減期を有する。一部の実施形態において、担体材料内の有益物質は室温で、同じ条件下で担体材料なしの有益物質の有効期間の少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、50倍または100倍の有効期間を有する。特定の実施形態において、担体材料内の有益物質は、25℃で少なくとも15日間、1ヵ月間、2ヵ月間、3ヵ月間、6ヵ月間、少なくとも1年間、少なくとも1.5年間、少なくとも2年間、少なくとも2.5年間、少なくとも3年間または少なくとも4年間安定である。安定性は、例えば、高速サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)によって、または保存した生体分子を充填したデバイスの生物活性を、新たに調製した生体分子を充填したデバイスの試料と、もしくは保存の前に測定したデバイスの活性化と比較することによって評価することができる。好ましくは、保管期間の終わりに、保管されたデバイスの活性は、新たに調製した対応するデバイスの活性の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%でさえある。したがって、本開示は、生体分子を充填したデバイスが、患者に投与される前に、25℃で少なくとも6ヵ月間、少なくとも1年間、少なくとも1.5年間、少なくとも2年間、少なくとも2.5年間、少なくとも3年間または少なくとも4年間保管される
治療の方法を可能とみなす。一部の実施形態において、分解感受性有益物質は、抗体を含むタンパク質などの生体分子である。
一部の実施形態において、デバイスは2種以上の有益物質を含む。例えば、デバイスは、粒子の2つの集団を含むことができ、各集団には1種の有益物質が充填されている。あるいは、単一粒子は2種以上の有益物質を含むこともできる。そのような一部の実施形態において、単一粒子は大きな細孔の集団と小さい細孔の集団を有し、細孔の各集団には1種の有益物質が含まれる。細孔の2つの集団を有する担体は、前述のB節に記載する。
多くの異なる有益物質は、上述のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデデバイスなど)に組み込むことができる。
例えば、好適な薬物としては、ステロイド、α受容体拮抗薬、β受容体拮抗薬、炭酸脱水酵素阻害薬、アドレナリン作動薬、生理活性ペプチドおよび/またはタンパク質、抗悪性腫瘍薬、抗生物質、鎮痛剤、抗炎症薬、筋弛緩薬、抗癲癇薬、抗潰瘍薬、抗アレルギー薬、強心薬、抗不整脈薬、血管拡張薬、降圧薬、抗糖尿病剤、抗高脂血症薬、抗凝固薬、溶血薬、抗結核薬、ホルモン薬、麻薬拮抗薬、骨破壊抑制薬、骨形成促進剤、血管新生抑制剤、抗菌薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、グルココルチコイド薬または他の抗炎症性コルチコステロイド、オピオイド鎮痛薬などのアルカロイド鎮痛剤、例えばヌクレオシド抗ウイルス薬または非ヌクレオシド抗ウイルス薬などの抗ウイルス薬、抗良性前立腺肥大症(BPH)薬、抗真菌化合物、抗増殖性化合物、抗緑内障化合物、免疫調節化合物、細胞輸送/運動阻害剤、サイトカインペグ化剤、α遮断薬、抗男性ホルモン薬、抗コリン作動薬、プリン作動薬、ドーパミン作動薬、局所麻酔薬、バニロイド作動薬、亜酸化窒素阻害剤、抗アポトーシス剤、マクロファージ活性化阻害剤、抗代謝剤、神経保護剤、カルシウムチャネル遮断薬、γアミノ酪酸(GABA)拮抗剤、αアゴニスト、抗精神薬、チロシンキナーゼ阻害剤、ヌクレオシド化合物およびヌクレオチド化合物、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態が挙げられる。
本明細書に記載のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデバイス)で使用する好適なNSAIDとしては、ジクロフェナク、エトドラク、フェノプロフェン、フロクタフェニン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、モラゾン、ナプロキセン、ペリソキサール、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、スキシブゾン、トロペシン、キシモプロフェン、ザルトプロフェン、ジレウトンおよびゾメピラクならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態が挙げられる。
本明細書に記載のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデバイス)で使用する好適な炭酸脱水酵素阻害薬としては、ブリンゾールアミド、アセタゾラミド、メタゾラミド、ジクロルフェナミド、エトキスゾラミドおよびドルゾラミドならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態が挙げられる。
本明細書に記載のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデバイス)で使用する好適なアドレナリン作動物質としては、ブリモニジン、アプラクロニジン、ブナゾシン、レボベタキソロール、レボブノロール、カルテオロール、イソプレナリン、フェノテロール、メチプラノロールおよびクレンブテロール、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態が挙げられる。
本明細書に記載のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデバイス)で使用する好適なα受容体拮抗薬としては、ブリモニジンおよびその類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態が挙げられる。
本明細書に記載のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデバイス)で使用する好適なβ受容体拮抗薬としては、アテノロール、ベタキソロールおよびチモロール、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態が挙げられる。
本明細書に記載のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデバイス)で使用する好適な抗ウイルス薬としては、ネビラピンおよびその類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態が挙げられる。
本明細書に記載のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデバイス)で使用する好適なアルカロイド鎮痛剤としては、デソモルヒネ、デゾシン、ジヒドロモルフィン、エプタゾシン、エチルモルヒネ、グラフェニン、ヒドロモルホン、イソラドール、ケトベミドン、p−ラクトフェチド、レボルファノール、メプタジノール、メタゾシン、メトポン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ノルレボルファノール、ノルモルヒネ、オキシモルフィン、ペンタゾシン、フェニルペリジン、フェニルラミドール、トラマドールおよびビミノール、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態が挙げられる。
本明細書に記載のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデバイス)で使用する好適なグルココルチコイドとしては、21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アネコルタブアセタート、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコルト、デソニド、デスオキシメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコルト、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、フルチカゾンプロピオナート、ハイドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、パラメサゾン、プレドニゾロン、21−ジエチルアミノ酢酸プレドニゾロン、酢酸フルプレドニデン、ホルモコルタル、エタボン酸ロテプレドノール、メドリゾン、フロ酸モメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25−ジエチルアミノ酢酸プレドニソロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾン、プレドニバール、プレドニリデン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニドおよびトリアムシノロンヘキサセトニド、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態が挙げられる。
本明細書に記載のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデバイス)で使用する好適なステロイドとしては、ハルシノニド、プロピオン酸ハルベタゾール、ハロメタソーン、酢酸ハロプレドン、イソフルプレドン、エタボン酸ロテプレドノール、マジプレドン、リメキソロンおよびチキソコルトール、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態が挙げられる。
本明細書に記載のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデバイス)で使用する好適なBPH薬としては、フィナステリドおよびオサテロン、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態が挙げられる。
本明細書に記載のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデバイス)で使用する好適な抗悪性腫瘍化合物としては、アドリアマイシン、アリトレチノイン(9−シス−レチノイン酸);ブレオマイシンAを含むブレオマイシン;カペシタビン(5’−デオキシ−5−フルオロシチジン);カルビシン;クロロゾトシン、クロモマイシンA3を含むクロモマイシン、クラドリビン;コルヒチン、シタラビン;ダウノルビシン:デメコルチン、デノプテリン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン;ドロモスタノロン、エダトレキサート、エノシタビン、エピルビシン、エピチオスタノール、エストラムスチン;エトポシド;フロクスウリジン、フルダラビン、5−フルオロウラシル、ホルメスタン、ゲムシタビン;イリノテカン;レンチナン、ロニダミン、メレンゲストロール、メルファラン;メノガリル、メトトレキサート;ミトラクトール;ノガラマイシン;ノルジヒドログアイヤレチン酸、オリボマイシンAなどのオリボマイシン、パクリタキセル;ペントスタチン;ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィロマイシン、プレドニムスチン、ピューロマイシン;ラニムスチン、リストセチンAなどのリストセチン;テモゾロミド;テニポシド;トムデックス;トポテカン;ツベルシジン、ウベニメクス、バルルビシン(N−トリフルオロアセチルアドリアマイシン−14−バレラート)、ビノレルビン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビンおよびゾルビシン、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態が挙げられる。
本明細書に記載のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデバイス)で使用する好適な抗菌化合物としては、カプレオマイシンIA、カプレオマイシンIB、カプレオマイシンIIAおよびカプレオマイシンIIBを含むカプレオマイシン;カルボマイシンAを含むカルボマイシン;カルモナム;セファクロル、セファドロキシル、セファマンドール、セファトリジン、セファゼドン、セファゾリン、セフブペラゾン、セフカペンピボキシル、セフクリジン、セフジニル、セフジトレン、セフィム、セフェタメト、セフメノキシム、セフメタゾール、セフミノクス、セフォジジム、セホニシド、セフォペラゾン、セフォラニド、セフォタキシム、セフォテタン、セフォチアム、セフォキシチン、セフピミゾール、セフピラミド、セフピロム、セフプロジル、セフロキサジン、セフスロジン、セフタジジム、セフテラム、セフテゾール、セフチブテン、セフチオフル、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム、セフゾナム、セファレキシン、セファログリシン、セファロリジン、セファロスポリンC、セファロチン、セファピリン、セファマイシンCなどのセファマイシン、セフラジン、クロルテトラサイクリン;クラリスロマイシン、クリンダマイシン、クロメトシリン、クロモサイクリン、クロキサシリン、シクラシリン、ダノフロキサシン、デメクロサイクリン、デストマイシンA、ジクロキサシリン、ジリスロマイシン、ドキシサイクリン、エピシリン、エリスロマイシンA、エタンブトール、フェンベニシリン、フロモキセフ、フロルフェニコール、フロキサシリン、フルメキン、フォルチミシンA、フォルチミシンB、フォルフォマイシン、フラルタドン、フシジン酸、ゲンタマイシン、グリコニアジド、グアメサイクリン、ヘタシリン、イダルビシン、イミペネム、イセパマイシン、ジョサマイシン、カナマイシン、レウマイシンA1などのレウマイシン、リンコマイシン、ロメフロキサシン、ロラカルベフ、リメサイクリン、メロペナム、メタンピシリン、メタサイクリン、メチシリン、メズロシリン、ミクロノマイシン、ミデカマイシンA1などのミデカマイシン、ミカマイシン、ミノサイクリン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、モキサラクタム、ムピロシン、ナフシリン、ネチリシン、ノルカルディアンAなどのノルカルディアン、オレアンドマイシン、オキシテトラサイクリン、パニペネム、パズフロキサシン、ペナメシリン、ペニシリンG、ペニシリンNおよびペニシリンOなどのペニシリン、ペニル酸、ペンチルペニシリン、ペプロマイシン、フェネチシリン、ピパサイクリン、ピペラシリン、ピルリマイシン、ピバンピシリン、ピブセファレキシン、ポルフィロマイシン、プロピアリン、キナシリン、リボスタマイシン、リファブチン、リファミド、リファンピン、リファマイシンSV、リファペンチン、リファキシミン、リチペネム、ロキタマイシン、ロリテトラサイクリン、ロサラマイシン、ロキシスロマイシン、サンサイクリン、シソマイシン、スパルフロキサシン、スペクチノマイシン、ストレプトゾシン、スルベニシリン、スルタミシリン、タランピシリン、テイコプラニン、テモシリン、テトラサイクリン、チオストレプトン、チアムリン、チカルシリン、チゲモナム、チルミコシン、トブラマイシン、トロポスペクトロマイシン、トロバフロキサシン、タイロシンおよびバンコマイシン、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態が挙げられる。
本明細書に記載のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデバイス)で使用する好適な抗真菌化合物としては、フルコナゾールおよびその類似体、誘導体、薬学薬的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態が挙げられる。
本明細書に記載のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデバイス)で使用する好適な免疫応答修飾物質としては、ムラミルジペプチドおよびその類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態が挙げられる。
本明細書に記載のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデバイス)で使用する好適なペプチドおよびタンパク質としては、インスリン、成長ホルモン、インスリン関連成長因子、熱ショックタンパク質およびそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態が挙げられる。
本明細書に記載のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデバイス)で使用する好適な麻酔薬および鎮痛剤としては、リドカイン、ベンゾジアゼパムおよびそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態が挙げられる。
本明細書に記載のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデバイス)で使用する好適な細胞輸送/運動阻害剤としては、サイトカラシンBおよびその類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態が挙げられる。
本明細書に記載のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデバイス)で使用する好適な抗増殖薬/抗有糸分裂性薬およびプロドラッグとしては、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビン)などの天然産物、パクリタキセル、エピジポドフィロトキシン(例えば、エトポシド、テニポシド)、抗生物質(例えば、アクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシンおよびイダルビシン)、アンスラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)およびマイトマイシン、酵素(例えば、L−アスパラギナーゼ);抗血小板プロドラッグ;抗増殖性/抗有糸分裂性アルキル化プロドラッグ、例えばナイトロジェンマスタード(メクロレタミン、シクロホスファミドおよび類似体、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、アルキルスルホネート−ブスルファン、ニトロソウレア(カルムスチン(BCNU)および類似体、ストレプトゾシン)、トリアゼン、ダカルバジン(DTIC));抗増殖性/抗有糸分裂性の抗代謝剤、例えば、葉酸類似体(メトトレキサート)、ピリミジン類似体(フルオロウラシル、フロクスウリジンおよびシタラビン)、プリン類似体および関連した阻害剤(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチンおよび2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン);プラチナ配位化合物(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、マイトテイン、アミノグルテチミド;ホルモン薬(例えば、エストロゲン、プロゲスチン);抗凝固薬(例えば、ヘパリン、合成ヘパリン塩および他のトロンビン阻害剤);フィブリノーゲンプロドラッグ、例えば組織プラスミノーゲン活性化物質、ストレプトキナーゼおよびウロキナーゼ、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ;抗遊走剤;抗分泌薬(ブレベルジン);抗炎症薬、例えば、コルチコステロイド(コルチゾル、コルチゾン、フルドロコルチゾン、フルオシノロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾンおよびデキサメタゾン)、NSAIDS(サリチル酸および誘導体、アスピリン、アセトアミノフェン、インドールおよびインデン酢酸(インドメタシン、スリンダクおよびエトドラク)、ヘテロアリール酢酸(トルメチン、ジクロフェナクおよびケトロラク)、アリールプロピオン酸(例えば、イブプロフェンおよび誘導体)、アントラニル酸(メフェナム酸およびメクロフェナム酸)、エノール酸(ピロキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾンおよびオキシフェンタトラゾン)、ナブメトン、金化合物(オーラノフィン、オーロチオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム)ならびに6−マンノースリン酸);免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス(FK−506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリンおよびミコフェノール酸モフェチル);血管新生剤、例えば、血管内皮性増殖因子(VEGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF));アンジオテンシン受容体遮断薬;一酸化窒素ドナー剤;アンチセンスオリゴヌクレオチドならびにそれらの組み合わせ;細胞周期阻害剤、mTOR阻害剤、増殖因子シグナル伝達キナーゼ阻害剤、血管新生阻害剤、血管新生阻害剤およびアポトーシス阻害剤、ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態が挙げられる。
本明細書に記載のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデバイス)で使用する好適な抗ウイルス薬としては、アシクロビル、アジドウリジン、アニソマイシン、アマンタジン、ブロモビニルデオキシウリジン、クロロビニルデオキシウリジン、シタラビン、デラビルジン、ジダノシン、デオキシノジリマイシン、ジデオキシシチジン、ジデオキシイノシン、ジデオキシヌクレオシド、デスシクロビル、デオキシアシクロビル、エファビレンツ、エンビロキシム、フィアシタビン、ホスカルネット、フィアルリジン、フルオロチミジン、フロクスウリジン、ガンシクロビル、ヒペリシン、イドクスウリジン、インターフェロン、インターロイキン、イセチオネート、ネビラピン、ペンタミジン、リバビリン、リマンタジン、スタブジン、サルグラモスチム、スラミン、トリコサンチン、トリ臭化チミジン、トリクロロチミジン、トリフルオロチミジン、トリソジウムホスホモノホルメート、ビダラビン、ジドブジン、ザルシタビンおよび3−アジド−3−デオキシチミジンならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態が挙げられる。
本明細書に記載のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデバイス)で使用する他の好適な抗ウイルス薬としては、2′,3′−ジデオキシアデノシン(ddA)、2′,3′−ジデオキシグアノシン(ddG)、2′,3′−ジデオキシシチジン(ddC)、2′,3′−ジデオキシチミジン(ddT)、2′3′−ジデオキシ−ジデオキシチミジン(d4T)、2′−デオキシ−3′−チア−シトシン(3TCまたはラミブジン)、2′,3′−ジデオキシ−2′−フルオロアデノシン、2′,3′−ジデオキシ−2′−フルオロイノシン、2′,3′−ジデオキシ−2′−フルオロチミジン、2′,3′−ジデオキシ−2′−フルオロシトシン、2′3′−ジデオキシ−2′,3′−ジデヒドロ−2′−フルオロチミジン(Fd4T)、2′3′−ジデオキシ−2′−β−フルオロアデノシン(F−ddA)、2′3′−ジデオキシ−2′−β−フルオロ−イノシン(F−ddI)および2′,3′−ジデオキシ−2′−β−フルオロサイトシン(F−ddC)が挙げられる。一部の実施形態において、抗ウイルス薬は、トリソジウムホスホモノホルメート、ガンシクロビル、トリフルオロチミジン、アシクロビル、3′−アジド−3′−チミジン(AZT)、ジデオキシイノシン(ddI)およびイドクスウリジンならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態から選択される。
局所的もしくは全身的生理的または薬理学的に有益な効果をもたらすために、本明細書に記載のデバイス(例えば、シェルおよび多孔質シリコン系担体粒子を含むデバイス)で使用する、眼およびその周辺組織への投与のための好適な有益物質としては、ニモジピンおよび関連した化合物などの神経保護薬;抗生物質、例えば、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシンおよびエリスロマイシン;抗菌薬、例えば、スルホンアミド、スルファセタミド、スルファメチゾールとスルフィソキサゾール;イドクスウリジンを含む抗ウイルス薬;および他の抗菌薬、例えば、ニトロフラゾンおよびプロピオン酸ナトリウム;抗アレルギー性剤、例えば、アンタゾリン、メタピリレン、クロルフェニラミン、ピリラミンとプロフェンピリダミン;抗炎症薬、例えば、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン21−リン酸塩、フルオシノロン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン21−リン酸塩、酢酸プレドニゾロン、フルオロメトロン、ベタメタゾンおよびトリアムシノロン;うっ血除去薬、例えば、フェニルエフリン、ナファゾリンおよびテトラヒドロゾリン;縮瞳薬および抗コリンエステラーゼ薬、例えば、ピロカルピン、サリチル酸エセリン、カルバコール、ジイソプロピルフルオロリン酸、ホスホリンヨウ素および臭化デメカリウム;散瞳薬、例えば、硫酸アトロピン、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、オイカトロピンとヒドロキシアンフェタミン;エピネフリンなどの交感神経様作動薬;ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、保護形態;およびプロドラッグ、例えば、Design of Prodrugs,編集Hans Bundgaard,Elsevier Scientific Publishing Co.,Amsterdam,1985に記載のものが挙げられる。他の薬剤の特定のために、Remington’s Pharmaceutical Sciencesなどのいずれの標準薬学テキストブックも参照してよい。
プロドラッグは、一般に、生理学的条件下で、患者の体内で治療的に活性薬剤に変わる化合物である。プロドラッグを生成する一般的な方法は、プロドラッグを活性の生体部分に変えるために生理学的条件下で加水分解される、エステルなどの選択された部分を含むことである。別の実施形態において、プロドラッグは宿主動物の酵素活性によって変わる。プロドラッグは、一般的に、生体活性部分の化学修飾によって形成される。好適なプロドラッグ誘導体の選択および調製の従来の方法は、例えば、Design of Prodrugs, 編H.Bundgaard,Elsevier,1985に記述されている。
そのような化合物のどのような薬学的に許容される形状でも、有益物質、すなわち、遊離塩基もしくは薬学的に許容される塩またはそのエステルとして使用されることができる。薬学的に許容される塩としては、例えば、硫酸塩、乳酸塩、酢酸塩、ステアリン酸塩、塩酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩などが挙げられる。
2.調製方法
本明細書に記述するデバイスは、種々の方法で調製されることができ、その一部は上記1節に記述する。好ましい態様において、デバイスは、担体粒子でチューブを充填し、チューブの両端を閉じ込めることによって調製される。
担体粒子は調製するかまたは準備する。一部の実施形態において、担体粒子は、非多孔質材料に細孔を導入することによって多孔質にする。これは、平行細孔を生成するためにシリコンなどの固体を陽極酸化することによって行われる。一部の実施形態において、陽極酸化はエッチング、例えば、ウエットエッチングまたはドライエッチングと共に行われる。このように、一部の実施形態において、細孔は電気化学エッチングによって形成される。
一部の実施形態において、細孔が最初に形成されると、担体粒子は多孔質になる。例えば、ゾルゲル合成において、溶液は多孔質の網状組織またはポリマーゲルを形成するように誘導される。ゾルゲル合成は、例えば、多孔質シリカを生成するのに用いることができる。多孔質シリカは、例えば、マグネシウム蒸気による処理によってシリコンに化学的に還元されることができる。マグネシウム蒸気方法およびシリカを還元するための関連方法は、国際公開第WO2012/114126号に記述されている。
一部の実施形態において、担体材料の大きなかたまりの一部またはすべては多孔質でできており、次いで多孔質の領域をミリングして小さい粒子にする。別の実施形態において、粒子は非多孔質の材料から形成されており、次いで細孔を粒子に導入する。
担体粒子を形成する際に、メッシュを使用して、所望の粒径の粒子を選択することができる。
特定の実施形態において、多孔質のシリコン系担体材料は、酸水素炎中で四塩化ケイ素の火炎加水分解法によって調製することができる。
担体粒子をデバイスに組み入れる前にまたは組み入れた後に、この粒子に有益物質を充填してもよい。
チューブは生成してもまたは準備したものでもよい。一部の実施形態において、チューブは、例えば、高分子物質から押出成形する。市販の押出成形機は、RandcastleモデルRCP−0250 Microtruder(Randcastle Extrusion Systems,Cedar Grove,N.J.)およびそれに付随するヒーター、コントローラなどが含まれる。例示的な押出成形機は、例えば、米国特許第5,569,429号、同第5,518,672号および同第5,486,328号にも開示されている。押出成形機は、押出物の断面形状をつくる出口ポートを含みうる。一部の実施形態において、チューブは押出成形後に硬化させる。一部の実施形態において、チューブはチューブ内部の担体粒子組成物と共に同時に押出成形する。好適な実施形態において、チューブは担体粒子の非存在下で成形され、次いで担体粒子は成形したチューブに挿入される。一部の実施形態において、チューブは複数の管状セグメントに分割される。分割は、剪断機、スライシングブレードまたは他の任意の技術を用いてもよい。
チューブに担体粒子を充填する。一部の実施形態において、チューブは完成デバイスの数倍の長さにして、チューブに担体粒子を充填する前または充填してから適切な長さに切断する。一部の実施形態において、粒子は、チューブに入れるときは、乾燥しており、紛体または粒状体の硬度を有することもある。別の実施形態において、粒子は、チューブに入れるときは、溶液に溶解しており、スラリーの硬度を有することもある。スラリーは毛細管作用でチューブに引き入れてもよく、または例えば、シリンジを用いてチューブに押し込んでもよい。好適な実施形態において、担体粒子は、チューブに入れるときに有益物質を充填する。しかし、粒子は、このステップ後、例えば粒子がチューブ内にあるが、部材を付け加えてチューブを閉ざす前に、または一方もしくは両方の部材を付け加えた後でも、薬物を充填することもできる。
第1の部材および第2の部材をチューブの第1の端および第2の端に付け加えて、粒子を封入する。一部の実施形態において、部材の一方または両方は、チューブの一端または両端の本来の位置に形成される。ある量のポリマー溶液をチューブの端に塗布してもよい。例えば、ポリマーの薄膜がチューブの端に形成されるように、チューブの一端をポリマー溶液に1回または複数回浸すことができる。あるいは、ポリマー溶液は、滴下、吹付け、ブラッシングまたは他の手段でチューブの端に塗布してもよい。一旦ポリマーがチューブと接触すると、ポリマーはチューブの端上で硬化する(架橋結合によって硬くなる)ことができる。ポリマーは、例えば、熱、放射線、光(紫外線または青色光などの可視光を含む)、蒸発および触媒を用いて硬化させることができる。可視域または近可視光域(例えば、紫外線波長帯または青色波長帯)の光による硬化によって、時として、強すぎる硬化技術に起因しうる有益物質の不活性化を防ぐ。一部の実施形態において、硬化は、波長可変レーザーなどの強い光源を用いて行われる。各ポリマーは、1種または複数種の好適な硬化技術を用いて硬化することができ、多数の例が当技術分野で知られている。例えば、PVAは、(例えば)紫外線、赤外線および/またはオーブンで硬化PVAを加熱することによって硬化することができる。特定の実施形態において、第1または第2の部材の所望の厚さは、ポリマーの被膜を1回または複数回塗布することによって得ることができる。各被膜は、次の被膜を塗布する前に乾燥させ、および/または硬化させでもよい。
特定の実施形態において、デバイスシェルは、熱硬化PVAを含む。特に、熱硬化した第1の部材および/または第2の部材は、PVA溶液をチューブの第1の端に塗布し、次いでそのPVAを加熱することによって形成することができる。PVAは、例えば60〜120℃の範囲内の温度、例えば80℃で、少なくとも2時間、好ましくは少なくとも4時間、例えば5時間、加熱することができる。加熱は、例えば、オーブン内または他の発熱体内で行われることができる。
一部の実施形態において、デバイスおよび/またはデバイスの成分は殺菌する。デバイスの耐熱性部分は、例えば高圧蒸気殺菌法によって加熱殺菌することができる。デバイスまたはその成分を殺菌する別の方法としては、放射線、紫外線、アルコールに中に浸漬または濾過による殺菌が挙げられる。一部の実施形態において、感熱成分(生体分子を含む有益物質など)は、濾過殺菌する。特定の実施形態において、デバイスまたはその成分のすべての加熱殺菌は、感熱成分をデバイスに添加する前に行われる。例えば、粒子および/またはシェルは、有益物質がデバイスに添加される前に加熱殺菌してもよい。
例えばデバイスに適切なゲージの針をあらかじめ組み込み、エンドユーザへの出荷のためにこの組立体を適切なパッケージに入れることによって、デバイスを包装してもよい。
3.使用方法
本開示は、所望の局所的もしくは全身的な生理効果または薬理効果を得るために患者を治療する方法を提供する。これらの方法は、本開示のデバイスを患者に投与すること、および患者と直接接触するために有益物質がデバイスを通過するのを可能にすることを含む。懸念の病状の治療を可能にするように十分な期間および条件下でデバイスは投与されることができる。特定の実施形態において、患者は哺乳生物であり、好適な実施形態において、患者はヒトである。
特定の実施形態において、デバイス患者の体内の所望の位置に挿入される。例えば、デバイスは患者の体内に注入または外科的に埋入されることができる。有益物質が眼に作用するとき、デバイスは有益物質を徐々に目に放出して、有益物質の異なる製剤の痛みを伴う反復投与を回避することができる。したがって、デバイスは、患者の眼に、例えば、眼の硝子体、網膜の下に、および強膜の上に外科的に埋入されることができる。デバイスは、頭蓋骨内および硬膜内を含み脳内に、足首、膝、腰、肩、ひじ、手首を含み関節中に、腫瘍に直接など体内の多くの他の位置にも皮下、筋肉内、腹腔内、鼻孔内、経皮の投与を含み、挿入されることができる。デバイスは、経口投与されることもできる。
一部の実施形態において、デバイスは注射によって患者に投与される。注射は、例えば、約30ゲージ〜約12ゲージの針、または内径が約0.0055インチ〜約0.0850インチにわたる針などの標準ゲージ皮下注射針を使用することができる。注入できるデバイスは、例えば、関節鏡、カテーテルまたは他の医療用具を介して投与することもできる。
局所薬物送達のために、デバイスは作用部位にまたは作用部位近くに外科的に埋入することができる。本明細書に記述のように、例えば、眼球状態、原発性腫瘍、リウマチ状態および関節炎状態、ならびに慢性疼痛の治療で用いられるデバイスはこのような例にあてはまる。
全身的軽減のために、デバイスは、例えば、皮下に、筋肉内に、動脈内に、くも膜下腔内にまたは腹膜内に埋入されることができる。デバイスが全身レベルの持続をもたらし、早期代謝を回避できる場合は、このような例にあてはまる。加えて、デバイスは経口投与されることができる。
本明細書に記載のデバイスは、特に、緑内障、増殖性硝子体網膜症、糖尿病黄斑浮腫を含む黄斑浮腫、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、ぶどう膜炎、眼球血管新生および眼感染症などの眼球状態の治療に好適でありうる。デバイスは、特に、眼ヒストプラズマ症のヒト患者の治療および獣医使用の両方で眼用デバイスとしての使用でも好適であり、この場合デバイスは眼の硝子体内に外科的に埋入することができる。
特定の実施形態において、デバイスは、ウイルス感染症の母子感染のリスクを減少させる1種または複数種の薬物を含みうる。ウイルス感染症の例としては、HIV、ボーエン様丘疹症、水痘、小児HIV感染症、ヒト牛痘、C型肝炎、デング熱、エンテロウイルス、疣贅状表皮発育異常症、伝染性紅斑(第五病)、BuschkeおよびLowensteinの巨大尖圭コンジローム、手足口病、単純ヘルペス、ヘルペス6型ウイルス、帯状疱疹、カポジ水痘様発疹症、麻疹、搾乳者結節、伝染性軟属腫、サル痘、 ヒツジ鵞口瘡、小児バラ疹、風疹、天然痘、ウイルス性出血熱、性器疣贅、および非性器疣贅が挙げられる。
特定の実施形態において、デバイスは、HIV感染症またはHIV感染症への易感染性を阻害または低減する抗ウイルス薬を含むことができる。デバイスは、サイトメガロウイルス感染症、トキソプラズマ症、ニューモシスチスカリニおよびミコバクテリウム・アビウム・イントラセルラーレなどのHIVおよびAIDS関連日和見感染に感染した哺乳生物を治療するために用いることができる。
一部の実施形態において、デバイスは、肺高血圧症を治療する1種または複数種の薬物を含む。
特定の実施形態において、デバイスを用いて、少なくとも以下の部位に関連する所望の局所的もしくは全身的な生理効果または薬理効果を得るのに効果的な薬剤の制御放出および徐放をもたらすことができる:癌原発性腫瘍(例えば、グリア芽細胞腫)の治療;眼血管新生を含む血管新生の阻害:眼球浮腫を含む浮腫:眼球炎症を含む炎症;慢性疼痛;関節炎;リウマチ状態;糖尿病および小人症などのホルモン欠乏症;および移植拒絶反応の予防および癌療法などにおける免疫応答の変容。多種多様な他の病状は、本明細書の送達デバイスを用いて予防または治療することもできる。そのような病状は、当業者には周知である。当業者でない場合、Goodman and Gilman,The Pharmacological Basis of Therapeutics,8th版,Pergamon Press,NY,1990;およびRemington’s Pharmaceutical Sciences, 18th版,Mack Publishing Co.,Easton,Pa., 1990を参照してもよく;これら両方は参照により本明細書に組み込む。
一部の実施形態において、デバイス(例えば、多孔質シリコン系担体粒子を封入するシェルを含むデバイス)は、サイトメガロウイルス(CMV)網膜炎の治療のために眼にガンシクロビルを送達する。特定の実施形態において、デバイス(例えば、多孔質シリコン系担体粒子を封入するシェルを含むデバイス)は、眼血管新生、黄斑浮腫、滲出型または委縮型加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞症または後部ブドウ膜炎の治療のために眼にフルオシノロンアセトニドを送達する。一部の実施形態において、デバイス(例えば、多孔質シリコン系担体粒子を封入するシェルを含むデバイス)は、例えば、癌、黄斑変性(特に滲出型加齢黄斑変性)、糖尿病網膜症、血管新生緑内障、黄斑浮腫または網膜症に起因する場合、眼血管新生を含む血管新生の治療のためにベバシズマブまたはラニビズマブを送達する。一部の実施形態において、デバイス(例えば、多孔質シリコン系担体粒子を封入するシェルを含むデバイス)は、高眼圧症および/または緑内障の治療のためにラタノプロストを眼に送達する。
本明細書のデバイスは、シミュレートした体液に浸漬すると、または患者に投与すると、持続期間にわたり有益物質を放出することができる。例えば、デバイスは、1週間〜1年間、2週間〜1年間、1ヵ月〜1年間、2ヵ月〜1年間、3ヵ月〜1年間または6ヵ月〜1年間、有効量の有益物質放出することができる。一部の実施形態において、デバイスは、1ヵ月〜2年間、2ヵ月〜2年間、3ヵ月〜2年間または6ヵ月〜2年間、有効量の有益物質放出することができる。
ここで本発明を全般的に記述し、以下の実施例を参照することによって、さらに容易に理解されよう。実施例は本発明の特定の態様および実施形態の例示の目的で単に含まれており、本発明を限定することを意図しない。例えば、本明細書に開示する粒子デバイス、有益物質および実験計画法は、適当な機能を確認するための例示的なツールおよび方法を表す。したがって、開示する特定のデバイス、有益物質および実験計画のいずれも本発明の開示の範囲内で取り替えられうることが容易に理解されよう。
実施例1:シリコン粒子を生成する方法
約5mm2のメソ孔シリコンフレークは、5〜20mohm−cm抵抗シリコンウエハの陽極酸化によって生成した膜からプールした。電解質組成物は、40%フッ化水素酸とメタノールの一定混合物(重量比1:1)であった。フレークをエタノール−水混合液で徹底的に洗浄し、乾燥させ、次いでローターミルに続いてジェットミルにかけて、規定の粒度分布の紛体を生成し、次いで800℃で3時間、大気中熱酸化させた。次いで、小バッチサイズでふるいにかけることによって、または大バッチサイズで沈降技術によって最終標的粒度分布(1〜5ミクロンの範囲内でd10、5〜10ミクロンの範囲内でd50、10〜20ミクロンの範囲内でd90)を達成した。
実施例2:ヒュームドシリカによる放出プロファイル
予備形成したポリイミドチューブにラタノプロストおよびヒュームドシリカ(Cab−O−Sil)を1:1(重量比)の割合で充填した。チューブの一端をシリコーンで密封し、他端をポリビニルアセテートで密封した。このチューブを37℃で70日間、PBSに浸漬した。PBSを毎日交換し、ラタノプロスト放出量をHPLCで測定した(図6)。
実施例3:陽極酸化シリコンによる放出プロファイル
予備成形したポリイミドチューブにラタノプロストと陽極酸化シリコン粒子を1:1(重量比)の割合で混合したものを充填した。次いでチューブを所望の長さに切断し、チューブの一端をシリコーンで密封し、他端をポリビニルアセテートで密封した。このチューブを37℃で30日間、PBSに浸漬した。PBSを毎日交換し、ラタノプロスト放出をHPLCで定量測定した(図7)。
均等物
当業者は、本明細書に記述の化合物およびその使用方法の多くの均等物を認識する、または単なるルーチンの実験法を用いて確認することができる。そのような均等物は、本発明の範囲内であると考えられ、以下の特許請求の範囲によって包含される。当業者は、本明細書に記述の実施形態のすべての組み合わせが本発明の範囲内であることも認識する。
上述の実施形態は、場合によっては好ましい特性(例えば、有効な薬剤の量の好ましい範囲、および好ましい層の好ましい厚さ)に関して記述しているが、これらの選択は本発明を限定することを決して意味していない。当業者によって容易に理解されるように、好ましい特性は、投与方法、使用する有益物質、使用するシェルおよび担体材料、所望の放出速度などによって決まる。同様に、実際の放出速度および放出継続時間は、上記に加えて種々の要因、例えば、治療される病状、患者の年齢および状態、投与経路、ならびに当業者にとって容易に明白である他の要因によって決まる。
前述の米国の特許および他の刊行物のすべては、それぞれの全体を参照によって本明細書に明示的に組み込む。