JP6567929B2 - 電鋳方法及び電鋳装置 - Google Patents

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Description

本発明は、高能率、高品質、低コストでありながら、分厚い電鋳シェルや一定肉厚の電鋳シェルなどを形成させることができる電鋳方法及び電鋳装置に関する。
めっき処理の一つとして知られる電鋳は、カソード(陰極)として使用する原型に対し、その表面に、ある程度、分厚い肉厚の電鋳シェルを析出形成させることができる。この電鋳において、めっき槽中に台形状の原型を沈めて電鋳を行うことで、原型の表面に箱状(蓋無しの中空体)をした電鋳シェルを形成させる方法が知られている(特許文献1等参照)。
一方で、めっき槽中に回転自在に保持させた円板状の原型を回転させつつ、その片面に沿わせてめっき液を供給する(層流を生じさせる)ようにして、高速電鋳を目指す方法が提案されている(特許文献2等参照)。
特開平7−207485号公報 特開平8−104992号公報
めっき槽中に沈めた原型によって箱状の電鋳シェルを形成させる従来の電鋳方法(特許文献1のもの)では、原型及びめっき液が共に静置状態にあるために、一定肉厚の電鋳シェルを形成させることが難しいということがあった。また、処理時間が長く、高コストになるという問題もあった。
のみならず、この電鋳方法において電鋳シェルの肉厚を分厚くする場合は、更に長い処理時間を要することになるが、肉厚を一定にするためには、定期的に電鋳処理を中断して形成途中の電鋳シェルをめっき槽から取り出し、この電鋳シェルの表面研削や研磨を行う必要があり、益々、製造効率の低下や製造コストの高騰化等を招来するものとなっていた。
一方、めっき槽中に回転自在に保持させた原型を回転させながら、この原型の片面にのみ電鋳シェルを形成させる従来の電鋳方法(特許文献2のもの)では、原型を回転させる必要があることから、めっき槽のみならず、回転駆動装置や原型を保持する構造などの設備が大型になる。また、原型の回転により発生する遠心力の影響を鑑みれば、原型自体、その大きさにも制限が生じる。
結果として、この電鋳方法は大型の電鋳シェルを形成する場合には不向きであるという問題があった。のみならず、原型の回転を原因として、めっき槽内ではめっき液が大きな波打ちやうねり等を伴った流動を起こすことになるので、電鋳シェルの肉厚が一定しないという問題もあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、原型の形状や大きさに制限されずに電鋳シェルの形成ができ、また分厚い肉厚を形成することもでき肉厚の一定化をも可能とするものであって、これらの電鋳シェルを高能率、高品質、低コストにて形成できるようにした電鋳方法及び電鋳装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る電鋳方法は、カソードとして使用する原型とこの原型の表面から離反して配置されたアノード体との間に形成される電鋳空間へめっき液を供給し、前記原型と前記アノード体との間に電鋳電圧を印加することで前記原型表面に電鋳シェルを析出形成させる電鋳方法において、前記原型は厚さ方向への突出成分を備えた立体形に形成されたものとし且つ前記アノード体は前記原型の立体表面を包囲するものとしたうえで、前記原型の一端部と前記アノード体における同側の端部とを連結する閉鎖板に前記原型の立体表面に沿った配置で設けたノズル孔により前記電鋳空間へ向けてめっき液を噴出させることにより当該電鋳空間内で前記原型の立体表面に沿ったメッキ液の層流を生じさせると共に、前記めっき液が供給圧に伴う流速よりも高速化するように前記原型と前記アノード体との間隔を近接させ、前記めっき液を加圧供給しつつ電鋳電圧の印加を行うことを特徴とする。
一方、本発明に係る電鋳装置は、厚さ方向への突出成分を備えた立体形で形成されカソードとして使用する原型と、前記原型の立体表面を包囲する状態で且つ前記立体表面から電鋳空間を離して配置されたアノード体と、前記電鋳空間にめっき液を加圧供給することで前記原型の立体表面に沿った層流を生じさせる送液ポンプと、を有しており、前記アノード体は、前記電鋳空間を通るめっき液の層流の流速が前記送液ポンプによる供給流速よりも高速になるように前記原型の立体表面との通路幅を近接させて配置され、前記原型の一端部と前記アノード体における同側の端部とが閉鎖板により連結され、前記閉鎖板には前記送液ポンプにより供給されるめっき液を前記原型の立体表面に沿った位置から前記電鋳空間へ噴出するノズル孔が設けられていることを特徴とする。
前記原型の一端部と前記アノード体における同側の端部とが閉鎖板により連結され、前記閉鎖板には前記送液ポンプにより供給されるめっき液を前記原型の立体表面に沿った位置から前記電鋳空間へ噴出するノズル孔が設けられたものとするのが好適である。
前記原型は中心軸まわりに全方位形とされ、前記アノード体は前記原型の全方位を取り囲む枠形とされることにより、前記電鋳空間が中空形体に形成されたものとすることができる。
前記原型は中心軸の一方寄りが径小で他方寄りが径大となる円錐形又は円錐台形に形成されており、前記アノード体は前記原型の径小側表面を包囲する部位が径小で前記原型の径大側表面を包囲する部位が径大となる開口を備えた円錐凹部形に形成されたものとしてもよい。
前記アノード体は、内径の違いを段階的に区分することによって形成した複数のセグメントを前記原型の中心軸方向で段積みした構造を有したものとしてもよい。
前記ノズル孔は、前記原型の立体表面に沿う方向に長いスリット状に開口形成することができる。
或いは、前記ノズル孔は、前記電鋳空間で形成されるめっき液の層流が前記原型のまわりを周回する旋回流となるように孔軸を旋回方向に傾斜させて設けることができる。
前記電鋳空間と前記送液ポンプとの間には前記送液ポンプから前記電鋳空間へ向けた供給ラインと前記電鋳空間から前記送液ポンプへ向けた回収ラインとが設けられ、前記供給ラインにはめっき液から不純物を除去する濾過器が設けられていると共に前記回収ラインにはめっき液を暫時貯留する管理槽が設けられており、前記供給ラインは複数本の支流ラインにより前記電鋳空間に区画設定された複数ブロックへ接続され、これら支流ラインごとに前記濾過器が各別に設けられたものとするのが好適である。
本発明に係る電鋳方法及び電鋳装置では、原型の形状や大きさに制限されずに電鋳シェルの形成ができ、また分厚い肉厚を形成することもでき肉厚の一定化をも可能とするものであって、これらの電鋳シェルを高能率、高品質、低コストにて形成できるようになる。
本発明に係る電鋳装置の第1実施形態を示した側断面図である。 第1実施形態の電鋳装置において原型を省略して示した平面図である。 本発明に係る電鋳装置の全体構成を概略的に示した模式図である。 原型の立体形状を説明した模式図である。 本発明に係る電鋳装置の第2実施形態を示した側断面図である。 第2実施形態の電鋳装置において原型を省略して示した平面図である。 第2実施形態の電鋳装置で採用したノズル孔を拡大して示した平面図である。 図7のA−A線断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1乃至図3は、本発明に係る電鋳装置1の第1実施形態を示している。図1に示すように、この電鋳装置1は、厚さ方向への突出成分を備えた立体形で形成された原型2と、この原型2の立体表面を包囲する状態で設けられたアノード体3とを有している。
なお、アノード体3は容器型の装置本体4内に収容設置されたものとし、原型2は装置本体4の上部開口を塞ぐように設けられる蓋体5の下面に固定されたものとした。
原型2には蓋体5の上部で突出する陰極端子2aが設けられており、この陰極端子2aと直流電源(図示略)の陰極側とが電気的に接続される。すなわち、この原型2はアノード体3に対応するカソードとして使用される。
またアノード体3には装置本体4の側部へ突出する陽極端子3aが設けられており、この陽極端子3aと直流電源の陽極側とが電気的に接続される。
本第1実施形態において原型2は、中心軸まわりに全方位形を呈するものとしてある。具体的には、原型2は中心軸の一方寄り(図1の下位側)が径小で他方寄り(図1の上位側)が径大となる逆円錐台形に形成されたものとした。
ここにおいて「全方位形」とはいわゆる回転対称形であって、円錐形や円柱形などをはじめとして角錐形や角柱形などのn回対称形も含んでいる。また中心軸からの張出形状(張出度合い)が方角によって異なるような回転非対称形も含むものとする。
また、原型2の基本形状として「厚さ方向への突出成分」を前提としているのは、原型2が扁平な一面のみを表面としている場合を除くことを言い、肉厚的なボリュウムを備えることで厚さ方向にも表面としての広がりを有していることを表している。
例えば、図1及び図2に示したような逆円錐台形では、その直径が厚さ方向への突出成分に相当するので、この原型2の表面は逆円錐台形の外周面としての曲面的な広がりを有していることになる。
このようなことから、原型2は図4(a)に示すように端面を円形や楕円形等とする柱状としたり、図4(b)に示すように端面を半円形とする柱状としたり、図4(c)に示すように端面を三角形とする柱形状としたり、図4(d)に示すような端面を四角形とする柱形状としたりすることでもよい。また錐形状や柱形状の他、ブロック状などとすることも可能である。なお、図4(b)に示すように、原型2が有する立体表面の全てにアノード体3が対向しない場合を含む。
これに対してアノード体3は、原型2の立体表面を取り囲む枠形とされている。具体的には、アノード体3は原型2の全方位を取り囲んでおり径小側表面を包囲する下方の部位が径小で、原型2の径大側表面を包囲する上方の部位が径大となる開口を備えた円錐凹部形(すり鉢状)に形成されたものとした。
アノード体3の表面(内周面)は、原型2の立体表面(外周面)に対して一定間隔を保持するように離されており、これら原型2とアノード体3との間に電鋳空間7が形成されている。言い換えれば、アノード体3は、その表面が原型2の中心軸から見て、当該原型2の立体表面と相似的な関係を有したものと言うことができる(図4各図を参照)。
原型2とアノード体3との間の電鋳空間7は、めっき液を流動させるスペースであると共に、原型2の表面に電鋳シェルSを形成させるためのスペースとして活用される。本第1実施形態の場合、電鋳空間7は下すぼみの中空形体に形成されることになる。そのため、この電鋳装置1を用いて形成される電鋳シェルSは、原型2の表面(外周面全周)を取り囲んで下すぼみの中空形体を呈するものとなる。
この電鋳空間7に対し、新鮮なめっき液は装置本体4の底9に設けられた供給管部11と、原型2の下端部とアノード体3の下端部とを連結している閉鎖板10に設けられたノズル孔12とを介して供給される。
また電鋳空間7を経た後のめっき液は、電鋳空間7の上部からオーバーフロー状に排出された後、装置本体4の閉鎖板10に設けられた排出管部13を介して装置本体4外へと取り出される。
図3に示すように、装置本体4の供給管部11には供給ライン15が接続されている。この供給ライン15は、送液ポンプ16から電鋳空間7へ向けてめっき液を供給するための経路であって、この供給ライン15にはめっき液を加圧供給する送液ポンプ16と、めっき液から不純物を除去する濾過器20とが設けられている。
本第1実施形態では、図2に示すように、装置本体4の供給管部11が複数本(図例では3本)設けられたものとして、電鋳空間7内に区画設定した複数ブロック(周方向に120°で区分けした3区画とした)に満遍なくめっき液が行き渡るように、それぞれの供給管部11を割り当てている。
そのため、供給ライン15は各供給管部11に対応させて複数本(3本)の支流ライン15aを有して構成されるものとした。そしてこれら各支流ライン15aに個別に対応させるように、送液ポンプ16及び濾過器20も複数台(3台)ずつ設けられたものとしてある。
なお、各支流ライン15aのライン方向(めっき液が流れる方向)において、送液ポンプ16や濾過器20の配置は特に限定されるものではなく、また送液ポンプ16と濾過器20との配置順(どちらを上流側にするか)についても限定されない。
これに対し、装置本体4の排出管部13には回収ライン21が接続されている。この回収ライン21は、電鋳空間7からめっき液を回収し、その後再び送液ポンプ16へ向けて供給するための経路であって、この回収ライン21にはめっき液を暫時貯留する管理槽22が設けられている。
管理槽22では、貯留しためっき液の濃度や温度を、設定値の許容範囲内に保持すべく自動又は手動操作により調整するようにしてある。
なお、本第1実施形態では、供給ライン15が複数本の支流ライン15aを有し、且つ各支流ライン15aに送液ポンプ16が設けられた構成としているので、めっき液の単位時間当たりの供給量と排水量とを釣り合わせる意味において、装置本体4に設ける排出管部13は太径にして複数本(図2では2本)設けてある。
以上の説明から明らかなように、めっき液は、供給ライン15(複数本の支流ライン15a)及び回収ライン21により、送液ポンプ16、濾過器20、電鋳空間7、管理槽22の間を一巡することを繰り返すように、循環流動を行うようになる。
本発明に係る電鋳装置1では、電鋳空間7の通路幅W(図1参照)を設定するに際して、原型2の立体表面に沿うようにめっき液に生じる層流の流速が、送液ポンプ16による供給流速よりも高速になることを目安として、原型2の立体表面にアノード体3を近接させるような配置としている。すなわち、原型2の立体表面(外周面)とアノード体3の表面(内周面)との間隔が狭くなるように設定している。
ここにおいて、めっき液の流速を送液ポンプ16の供給流速よりも高速にするというのは、あくまでも送液ポンプ16が電鋳空間7に一定のめっき液流れを発生できるようなポンプ能力を有していることを前提にしている。
本発明者は、実際には、電鋳空間7を通るめっき液の流速を0.2〜0.5m/secとするのが好適であることを幾多の実験により突き止めている。通路幅Wは、電鋳空間7の大きさや得ようとする電鋳シェルSの肉厚にもよるが、29〜70mmの範囲で調整するのがよい。
このようにめっき液の流速を高速化することで、めっき液に含まれる不純物が電鋳シェルSに付着するのを防止でき、また電鋳シェルSの肌荒れを防止できることになる。まためっき液に不規則な揺れ(波立ち)や淀みを生じないことに繋がり、電鋳シェルSの肉厚一定化に大きく寄与するものと考えられる。
のみならず、めっき液の流速を高速化することで、電鋳シェルSの形成効率を高めることもできる。すなわち、めっき液の流速を0.2〜0.5m/secとすることで、電鋳シェルSの形成前の原型表面や形成途中の電鋳シェル表面に対して、電流密度を4〜10A/dm2に上げることができる(従来の電鋳法ではせいぜい2〜3A/dm2程度である)。このことで、電鋳シェルSに対する焦げ付き防止作用を得ることにも繋がる。
めっき液の流速が0.2m/secに満たない場合は、電流密度を4A/dm2まで上げることができず、一方で、めっき液の流速が0.5m/secを超えるようにしても、電鋳シェルSの形成効率を高める効果が低いことが判っている。
本第1実施形態では、前記したようにアノード体3を円錐凹部形(すり鉢状)に形成する必要があることから、アノード体3は、内径の違いを段階的に区分することによってリング状に形成した複数の異径セグメント30a〜30eを、原型2の中心軸方向に沿って内径の小さなものから徐々に大きなものへと移行する順番で段積みさせた構造としている。
このような段積み構造を採用することで、原型2がその立体表面に複雑な曲面を有している場合(第1実施形態でも原型2の外周面は若干径方向外方へ膨らむ形状としてある)であっても、この曲面の立体表面に沿わせてアノード体3を配置することが容易となり、電鋳空間7の通路幅Wを一定に保持させることができる。
しかも、電鋳処理の継続に伴ってアノード体3から金属イオンが溶解した後に、各セグメント30a〜30eを新品のものと交換する作業がいとも簡単に行え、この交換作業により再び、電鋳空間7の通路幅Wを一定に保持できるという利点に繋がる。
各セグメント30a〜30eは、リング状に形成した透水性の収容体(網材や袋材など)に銅などのアノードボールを多数詰め込んで、各段ごとに上面を封鎖したものである。このようにアノード体3(各セグメント30a〜30e)において、アノードボールの詰め込み構造を採用することは、電鋳空間7の通路幅Wを可及的に狭く設定するという条件のもとで、原型2の表面積に対するアノード体3の表面積比を所定の範囲内(2倍程度)に設定するうえで好都合と言える。
すなわち、前記したように電鋳空間7は、通路幅Wを可及的に狭くすることがめっき液の供給流速を高速にさせるうえで必要とされている。しかし、電鋳空間7の通路幅Wが狭くなる点だけに着目してアノード体3を形成すると、原型2の表面積に対してアノード体3の表面積を十分に大きく確保できないおそれがある。
アノード体3の表面積比が原型2の2倍に満たない場合には、電鋳シェルSの形成効率が低くなる(肉厚成長が遅い)という事情がある。とは言え、アノード体3の表面積比が原型2の2倍を超えると、金属イオンの溶解が過多となり電鋳シェルSの表面が粗面になるおそれがある。
めっき液の流速を高速化するための具体的手段としては、原型2の下端部とアノード体3の下端部とを連結している閉鎖板10に設けるノズル孔12を、図1及び図2に示すように、原型2の外周面に沿ってスリット状に開口形成にする例を挙げることができる。
このようにノズル孔12をスリット状にし、且つ原型2の外周面に沿った配置とする(原型2の外周面に近接させる)ことにより、めっき液の層流を原型2の立体表面(形成途中の電鋳シェル表面である場合を含む)から剥離し難くし、また原型2の立体表面に接することによる減速(管路抵抗)を可及的に小さく抑制できる利点が得られる。更に、原型2の立体表面や形成途中の電鋳シェル表面に対して、めっき液に含まれる不純物や気泡等が付着する機会を与えないようにできる。
なお、閉鎖板10には、ノズル孔12のメンテナンス(孔内の清掃)やスリット幅の変更などが簡単に行えるように、交換可能な目皿32を着脱自在な構造で設けておき、この目皿32に対してノズル孔12を設けるようにするのがよい。
また、原型2の下端部にピボット受け凹部を備えた座部34を設け、装置本体4の底9に対してピボット受けに嵌合する円錐状突起35を設けておくと、アノード体3に対する原型2の芯合わせや、原型2の外周面に対するノズル孔12のスリット幅一定化などが簡単且つ確実に行えるようになり、好適である。
以上詳説した本発明に係る電鋳装置1により、本発明に係る電鋳方法を実施するには、送液ポンプ16を稼動させ、原型2とアノード体3との間に形成される電鋳空間7へめっき液を供給し、送液ポンプ16、濾過器20、電鋳空間7、管理槽22の間を一巡する循環流動を生じさせる。そしてこの状況下で原型2とアノード体3との間(電鋳空間7)へ電鋳電圧を印加する。
電鋳空間7へ供給されるめっき液は、送液ポンプ16による供給流速よりも高速化されて0.2〜0.5m/secの流速で原型2の立体表面に沿った(近接した)層流を生じさせるようになり、電鋳シェルSの形成前の原型表面や形成途中の電鋳シェル表面に対して、単位表面積当たりの電流値を4〜10A/dm2として高速処理が行われるようにする。
このような電鋳方法では、原型2を回転させるものではないので、その形状や大きさが制限されることはない。また得られた電鋳シェルSは、分厚い肉厚を形成することもでき、肉厚の一定化も可能となる。例えば、電鋳シェルSの内径を数百mm〜数千mmといった大型のものにすることや、電鋳シェルSの肉厚を数十mmといった分厚いものにすることができる。
そして、このように電鋳シェルSを肉厚一定にできるので、電鋳処理の途中で何度も処理を中断して形成途中の電鋳シェルSをわざわざ表面研削等するといった手間をかける必要はなく、一気呵成に目標とする肉厚を得ることができる。
かくして、電鋳シェルSを高能率、高品質、低コストにて形成できる。例えば、前記したような内径が数百mm〜数千mm、肉厚が数十mmといった大型の電鋳シェルSであっても、僅か1日程度の極めて短時間のうちに形成できることになる。
図5乃至図8は、本発明に係る電鋳装置1の第2実施形態を示している。本第2実施形態の電鋳装置1が前記した第1実施形態と最も異なるところは、ノズル孔12が小孔の貫通孔とされて多数設けられており、且つ図7及び図8に示すように、各ノズル孔12がその孔軸を傾斜させて設けられている点にある。
ノズル孔12の孔軸を傾斜させることで、電鋳空間7では原型2の外周面に沿ってできる層流が、当該原型2のまわりを周回しつつ上昇するような螺旋状の旋回流となる。勿論、この旋回流は、送液ポンプ16による供給流速よりも高速化されて0.2〜0.5m/secの流速を生じたものとなっている。
なお、全てのノズル孔12の傾斜方向は、旋回流の旋回方向(例えば反時計回り)に揃えておくのが好適である。
その他の構成及び作用効果については第1実施形態と略同様であり、同一作用を奏するものに同一符号を付することでここでの詳説は省略する。
ところで、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、原型2は上位側が径小で下位側が径大となる正位の円錐台形としてもよく、アノード体3は、上位開口部が径小で下位開口部が径大となるドーム形としてもよい。この場合、原型2を容器型の装置本体4内に収容設置されたものとし、アノード体3を蓋体5の下面に固定されたものとすればよい。
電鋳空間7と管理槽22とを接続する回収ライン21の適所で負圧を発生させ、電鋳空間7からめっき液を強制吸引させるようにしてもよい。この場合、電鋳空間7内では強力な高速流が発生することになる。
そこで、例えばアノード体3の表面に対し、原型2のまわりを取り囲むような傾斜フィンや傾斜リブ、或いは傾斜溝などを設けておくと、めっき液に対して、原型2のまわりに沿った旋回流の発生を促すことができる。このような旋回流によっても、めっき液の層流を高速化させることになるので効果的である。
アノード体3は銅に限らず、亜鉛、ニッケル、クロム、金、銀などをはじめとして何ら限定されるものではない。
本発明に係る電鋳装置1は、装置本体4内にアノード体3を取り付けず、また蓋体5と共に原型2を取り付けない状態にすることで、装置本体4内を貯槽として活用することができる。
そのため、この状態の貯槽を、本発明に係る電鋳装置1(電鋳処理を実施するもの)とは別に脱脂処理、水洗処理、活性処理、酸洗い処理などの工程に設置して、ノズル孔12から各種処理に必要な処理液を供給するといった使い方ができる。例えば、前処理用、及び後処理用を本発明に係る電鋳装置1に加えた合計3台の装置だけで、めっき処理全体(全工程)の自動化ラインを構成することができる。
このようにすることで、装置自体のイニシャルコストを低廉化できることはもとより、各種処理において、ノズル孔12からの各液の噴出流を有効活用できることになって、処理時間の短縮化などを図ることができる。この作用効果は、電鋳シェルSが大型化すればするほど、その移載などに関して作業や構造物の省略化が図れるために、もたらされる実益もそれだけ大きくなる。
1 電鋳装置
2 原型
2a 陰極端子
3 アノード体
3a 陽極端子
4 装置本体
5 蓋体
7 電鋳空間
9 底
10 閉鎖板
11 供給管部
12 ノズル孔
13 排出管部
15 供給ライン
15a 支流ライン
16 送液ポンプ
20 濾過器
21 回収ライン
22 管理槽
30a〜30eセグメント
32 目皿
34 座部
35 円錐状突起
S 電鋳シェル
W 通路幅

Claims (8)

  1. カソードとして使用する原型とこの原型の表面から離反して配置されたアノード体との間に形成される電鋳空間へめっき液を供給し、前記原型と前記アノード体との間に電鋳電圧を印加することで前記原型表面に電鋳シェルを析出形成させる電鋳方法において、
    前記原型は厚さ方向への突出成分を備えた立体形に形成されたものとし且つ前記アノード体は前記原型の立体表面を包囲するものとしたうえで、
    前記原型の一端部と前記アノード体における同側の端部とを連結する閉鎖板に前記原型の立体表面に沿った配置で設けたノズル孔により前記電鋳空間へ向けてめっき液を噴出させることにより当該電鋳空間内で前記原型の立体表面に沿ったメッキ液の層流を生じさせると共に、
    前記めっき液が供給圧に伴う流速よりも高速化するように前記原型と前記アノード体との間隔を近接させ、
    前記めっき液を加圧供給しつつ電鋳電圧の印加を行うことを特徴とする電鋳方法。
  2. 厚さ方向への突出成分を備えた立体形で形成されカソードとして使用する原型と、
    前記原型の立体表面を包囲する状態で且つ前記立体表面から電鋳空間を離して配置されたアノード体と、
    前記電鋳空間にめっき液を加圧供給することで前記原型の立体表面に沿った層流を生じさせる送液ポンプと、を有しており、
    前記アノード体は、
    前記電鋳空間を通るめっき液の層流の流速が前記送液ポンプによる供給流速よりも高速になるように前記原型の立体表面との通路幅を近接させて配置され
    前記原型の一端部と前記アノード体における同側の端部とが閉鎖板により連結され、前記閉鎖板には前記送液ポンプにより供給されるめっき液を前記原型の立体表面に沿った位置から前記電鋳空間へ噴出するノズル孔が設けられていることを特徴とする電鋳装置。
  3. 前記原型は中心軸まわりに全方位形とされ、前記アノード体は前記原型の全方位を取り囲む枠形とされることにより、前記電鋳空間が中空形体に形成されていることを特徴とする請求項2記載の電鋳装置。
  4. 前記原型は中心軸の一方寄りが径小で他方寄りが径大となる円錐形又は円錐台形に形成されており、
    前記アノード体は前記原型の径小側表面を包囲する部位が径小で前記原型の径大側表面を包囲する部位が径大となる開口を備えた円錐凹部形に形成されていることを特徴とする請求項3記載の電鋳装置。
  5. 前記アノード体は、内径の違いを段階的に区分することによって形成した複数のセグメントを前記原型の中心軸方向で段積みした構造を有していることを特徴とする請求項4記載の電鋳装置。
  6. 前記ノズル孔は、前記原型の立体表面に沿う方向に長いスリット状に開口形成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の電鋳装置。
  7. 前記ノズル孔は、前記電鋳空間で形成されるめっき液の層流が前記原型のまわりを周回する旋回流となるように孔軸を旋回方向に傾斜させて設けられていることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の電鋳装置。
  8. 前記電鋳空間と前記送液ポンプとの間には前記送液ポンプから前記電鋳空間へ向けた供給ラインと前記電鋳空間から前記送液ポンプへ向けた回収ラインとが設けられ、
    前記供給ラインにはめっき液から不純物を除去する濾過器が設けられていると共に前記回収ラインにはめっき液を暫時貯留する管理槽が設けられており、
    前記供給ラインは複数本の支流ラインにより前記電鋳空間に区画設定された複数ブロックへ接続され、
    これら支流ラインごとに前記濾過器が各別に設けられている
    ことを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれか1項に記載の電鋳装置。
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