JP6567763B2 - 象牙質およびエナメル質コンディショニングのための作用剤 - Google Patents

象牙質およびエナメル質コンディショニングのための作用剤 Download PDF

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Description

本発明は、歯科修復材料への耐久性のある強い結合を実現するために歯構造(象牙質およびエナメル質)をコンディショニングするための製剤に関する。この製剤は、取り扱いが簡便で、エラー耐性が高く、かつ結合の長期耐久性が改善されていることを特徴とする。
歯の切削加工(掘削)の場合、主に微細な掘削片からなる、いわゆるスメア層が歯面に形成される。スメア層は、歯の次の修復のために使用される物質の接着を妨げる。スメア層を除去するための標準法は、35〜37%のリン酸を用いる歯面の処理である。前記方法は、「トータルエッチング」(TE)または「エッチアンドリンス」法とも称される。スメア層を除去することにより、次に塗布される歯科接着剤と健全かつ機械的に負荷可能な歯面の間の接触が可能となる。リン酸によって、歯のエナメル質に特有の微小保持力を有する(microretentive)エッチングパターンが創出され、したがって、接着剤系へのマイクロメカニカル接着剤結合が可能となる。象牙質では、コンディショニング剤によってスメア層から象牙細管が遊離し、コラーゲン繊維を曝露させる。接着剤によって細管およびコラーゲン繊維を浸潤させて、マイクロメカニカル結合を導く(Pashley, D.H.、The evolution of dentin bonding from no−etch to total−etch to self−etch、Adhes. Tech. Sol. 2002年、1巻、1〜5頁)。
TE接着剤を用いる直接修復治療の通常の処理手順は、以下の作業ステップを提供する:(1)う蝕組織の機械的除去、(2)リン酸を用いる歯面のエッチング、(3)水を用いるリン酸のリンス除去、(4)歯科エアブロー(「乾燥用」)を用いた窩洞表面からの過剰な水の除去、(5)接着剤の塗布、(6)溶媒の吹き飛ばし、(7)接着剤の光硬化、(8)充填コンポジットの塗布、および任意選択で、修復を完了するためのさらなるステップ。
前記方法の重要なステップは、リン酸をリンス除去した後に歯面を乾燥するステップである。修復の耐久性は、使用された接着剤と関係なく、大部分は象牙質表面の湿気に左右されることが示されている。高いレベルの接着を実現するために、接着剤の塗布前にある特定の残留湿気が設定されなければならない(「ウェットボンディング技法」)。しかしながら、その強い脱灰作用のために、リン酸は象牙質に存在するコラーゲン原繊維を曝露させる。このようにして調製された象牙質では、若干長すぎるエアブローを用いる乾燥が曝露されたコラーゲン原繊維の崩壊をすでにもたらし、それによって健全な歯構造と直接接触し、接着剤によるコラーゲン繊維の、およびエッチングによって広げられた細管の浸潤が妨害される。この結果は、初期接着剤結合の大幅な低下、象牙質結合の長期耐久性の欠如(特に、例えば咬頭の構造など、機械的に大きな負荷のかかる位置において)および外部刺激下での歯液の移動の増加であり、したがって、術後性の過敏症の発生率の上昇である(Pashley, D.H.、The evolution of dentin bonding from no−etch to total−etch to self−etch、Adhes. Tech. Sol. 2002年、1巻、1〜5頁)。これらの問題は、患者にとっては極めて不快であり、患者が再度処理されなければならないので歯科医にとっては面倒である。
しかしながら、過乾燥と同様に、象牙質の乾燥が不十分であってもマイナスの結果を有する。過剰に湿っている象牙質に接着剤が塗布される場合、水相溶性の高い接着剤成分と水相溶性の低い接着剤成分の間に相分離が生じる。通常の光開始剤系はわずかに水相溶性に乏しいため、水分の豊富な相における接着剤の重合性は制限される。得られた接着剤層は、組成および重合度に関して不均質であり、その結果、接着剤結合が低下し、不十分な細管の封鎖が生じる。
この問題は、理想的な象牙質の接着を実現するための最適な湿気が、使用される接着剤に強く左右される点において、さらに複雑である。修復歯科学ではトータルエッチングプロトコルが極めて重要であるにもかかわらず、したがって、代替案が強く求められている。
トータルエッチングプロトコルの別の問題は、しっかりと接着されなければならない象牙質(15秒)とエナメル質(30秒)におけるリン酸の滞留時間であるが、それらは異なっている。より耐酸性のエナメル質は、コンディショニングのためにリン酸とより長く接触することを必要とするため、通常、エナメル質は最初にリン酸で15秒間処理され、次いで、酸を象牙質にも塗布し、処理をさらに15秒間続ける(Brady, L.A.、Total−etch or self−etch: the debate continues、DentistryIQ、2011年)。
しかしながら、エッチング剤をエナメル質に塗布する場合、とりわけ小さい窩洞の場合、象牙質との接触を完全に排除することができず、象牙質において長すぎる酸の作用をもたらす。長すぎる象牙質のエッチングは、象牙細管の過剰な広がりおよび象牙質表面の強い脱灰をもたらす(「オーバーエッチング」)。しかしながら、極めて広がった象牙細管を接着剤で完全に封鎖することは、オーバーエッチング後に術後性の過敏症の発生率が著しく上昇することからも明らかであるように、最も難しい(Brady, L.A.、Total−etch or self−etch: the debate continues、DentistryIQ、2011年)。
さらに、リン酸は、コラーゲン組織中に天然に存在するマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)およびシステインカテプシンを活性化することが公知である。接着剤を供給した後、その他の点では、窩洞への接着剤の供給が正しく行われていた場合でも、これらの酵素が曝露したコラーゲンネットワークを徐々に分解させる。コラーゲンネットワークは、接着剤層においてかなりの体積を占めているため、その分解は窩洞を残し、歯−接着剤結合の機械的負荷能力を低減させる。修復歯組織における象牙質コラーゲンの酵素分解についての数多くのin vitro調査によって、比較的短期間の後であっても、結合効果が著しく低減することが示されている(Tjaderhane, L.ら、Optimizing dentin bond durability: Control of collagen degradation by matrix metalloproteinases and cysteine cathepsins、Dent. Mater. 2013年、29巻、116〜135頁)。
言及された問題のために、トータルエッチングプロトコルは、塗布ミスを受けやすく、所望の結果を得られないことが多い。リン酸使用の不利益を避けることを目的として、数多くの代替のコンディショニング剤が開発されてきた。Johnson, G.ら、Dentin bonding systems: a review of current products and techniques、The Journal of the American Dental Association、1991年、122巻、34〜41頁では、11種の異なる市販の象牙質接着剤について調査され、v.Meerbeek, M.ら、Morphological aspects of the resin−dentin interdiffusion zone with different dentin adhesive systems、J. Dent. Res. 1992年、71巻、1530〜40頁では、27種の象牙質接着剤を互いに比較している。これらの刊行物に記載されている物質は、リン酸に加えて、歯面の前処理のために、金属塩と混合することがあるアミノ酸、錯化剤、無機酸または有機酸を含む。
酸の種類、さらなる添加剤、塗布濃度および期間に応じて、これらの代替コンディショニング剤は、象牙質の形態学にプラスの効果を有することがある。しかしながら、リン酸と比較して、これらは、通常、エナメル質のコンディショニングに乏しく、その結果、接着剤とエナメル質の間の接着剤結合の耐久性が低くなる。当業者によく知られているように、このことは、普通は、マージンの封鎖品質の低下および修復の寿命の低下をともなう。強いエナメル質の接着および高いエナメル質マージンの品質を実現するために、したがって、リン酸を使用するトータルエッチング技法が、依然として、最も効果的な方法を代表する(Lopes, G.C.ら;Enamel acid etching: a review, Compend. Contin. Educ. Dent. 2007年、28巻、662〜669頁)。
Pashley, D.H.、The evolution of dentin bonding from no−etch to total−etch to self−etch、Adhes. Tech. Sol. 2002年、1巻、1〜5頁 Brady, L.A.、Total−etch or self−etch: the debate continues、DentistryIQ、2011年 Tjaderhane, L.ら、Optimizing dentin bond durability: Control of collagen degradation by matrix metalloproteinases and cysteine cathepsins、Dent. Mater. 2013年、29巻、116〜135頁 Johnson, G.ら、Dentin bonding systems: a review of current products and techniques、The Journal of the American Dental Association、1991年、122巻、34〜41頁 v.Meerbeek, M.ら、Morphological aspects of the resin−dentin interdiffusion zone with different dentin adhesive systems、J. Dent. Res. 1992年、71巻、1530〜40頁 Lopes, G.C.ら;Enamel acid etching: a review, Compend. Contin. Educ. Dent. 2007年、28巻、662〜669頁
本発明の目的は、エナメル質の接着とマージンの封鎖品質に関して、リン酸を使用するトータルエッチング法に匹敵する結果をもたらすが、前記方法の上記不利益を有さない、歯の処理のためのコンディショニング剤を提供することである。特に、この作用剤は、歯面に残留する湿気の度合いに関係なく、高いレベルの接着を得て、コラーゲンの分解を誘導しないものである。さらに、この作用剤は、異なる曝露時間を観測する必要なく、歯のエナメル質と象牙質に同時に使用することができるものである。最後に、この作用剤は、象牙質のオーバーエッチングによる術後性の過敏症の発生を引き起こさない。
この目的は、少なくとも1種の遷移金属の塩および/または少なくとも1種の典型金属の塩を含む水溶液によって、本発明により達成される。本発明によれば、元素周期表の第4周期から第6周期の金属が好ましい。驚くべきことに、このような溶液は、歯科修復治療の場合にコンディショニング剤として使用するのに適していることが見出された。
本発明によれば、歯科修復治療のためのコンディショニング剤は、歯面、すなわち歯のエナメル質および/または象牙質、特に歯の切削加工後に存在するスメア層に直接塗布することができ、次の歯科修復物質、例えば接着剤などを塗布するための歯面を調製し、これらの物質の歯のエナメル質および/または象牙質への接着を改良する作用剤を意味する。
遷移金属塩および典型金属塩の水溶液は、無機酸または有機酸を添加しなくても、歯構造をエッチングすることができ、少なくとも部分的にスメア層を溶解することができることが見出された。
本発明によれば、多価金属塩、特に金属が+2、特に+3または+4の原子価を有する金属塩の溶液が好ましい。特に好ましいのは、元素周期表の第4族(CAS IVB族)の金属塩ならびに第14および15典型金属の族(CAS IVAおよびVA族)の金属塩であり、特に極めて好ましいのは、Zr4+、Hf4+、Sn4+およびBi3+およびTi4+の塩、特にZr4+、Hf4+、Sn4+およびBi3+の塩である。これらの中で、Zr4+、Hf4+、Bi3+およびTi4+の塩、特にZr4+、Hf4+、およびBi3+の塩が最も好ましい。これらの塩は、単独でまたは前記塩の2種もしくはそれ超の混合物として使用することができる。
全ての場合に、金属塩に加えて添加される酸(酸としては、ブレンステッド酸、すなわちpK値が9未満のプロトン供与酸を意味する)を含有しないこれらの金属塩溶液は、本発明によれば、特に極めて好ましい。したがって、本発明による金属塩溶液は、好ましくは、鉱酸も、リン酸も、かつカルボン酸、ホスホン酸およびスルホン酸などの有機酸も含有しない。
本発明により使用される金属塩は、好ましくは、強酸の、特に鉱酸の塩であり、すなわちこれらは、好ましくは、Cl、Br、I、NO 、SO 2−をアニオンとして、任意選択でオキソアニオンとの混合塩として含有する。
一般に、アクア錯体の形成または所望の濃度範囲での均質溶液の実現を妨げるアニオンを含有しないか、または緩衝作用を有するような塩が好ましい。したがって、本発明による溶液は、好ましくは、EDTAも、ニトリロトリ酢酸(NTA)も、ホルメート、アセテート、カーボネート、ハイドロゲンカーボネートも、pKa値が3より大きい酸の塩も含有しない。
特に適切な本発明による遷移金属塩および典型金属塩の溶液は、SnClの、特にZrOCl、ZrO(NO、Zr(SO、Hf(SO、HfCl、Hf(NO、TiOSO、Bi(NO、またはこれらの混合物の溶液である。
上記言及した金属塩に加えて、本発明による遷移金属塩および典型金属塩の溶液は、好ましくは他の典型金属および/または遷移金属の1種または複数の塩をさらに含むことができ、典型金属の場合には、+2から+3の原子価を有する金属の塩が特に好ましく、遷移金属の場合には、+2の原子価を有する金属が特に好ましい。特に極めて好ましいのは、アルミニウム、銅または亜鉛の塩、特にCu2+、Zn2+およびAl3+の塩、例えばAl(NO、CuSOおよびZnSOなどである。これらの金属は、MMPに対する溶液の効力を強化することが見出された。金属塩溶液は、有利には、さらなる金属塩として、スズ塩、好ましくはSn4+の塩、より好ましくはSnClを含むこともできる。さらなる塩としてスズ塩を使用することは、金属塩溶液が少なくとも1種のさらなる金属塩を含まなければならないことを意味する。
特に好ましい実施形態によれば、本発明による製剤は、遷移金属および典型金属の1種または複数の塩の水溶液または有機物水溶液から実質的になり、有機酸または無機酸などの酸の添加を含有しない。
本発明により使用される金属塩溶液は、象牙質および歯のエナメル質をエッチングし、スメア層を全体的にまたは部分的に溶解することができることが見出された。この効果に対する正確な理由は不明である。金属塩は、水溶液中でいわゆるアコ錯体(aquo complex)、すなわちリガンドとして少なくとも1種の水分子を含有する錯体を形成し、これらの錯体は、反応式(1)に従ってHを供与することによって、酸として反応することが仮定される:
したがって、本発明により、アコ錯体を形成するような遷移金属および典型金属の塩、特に水溶液中、25℃で、−2から+4(Bi3+、Sn4+、Hf4+、Zr4+、Ti4+)、好ましくは−1から+2(Bi3+、Hf4+、Zr4+)のpKa値を有するアコ錯体を形成するものが好ましい(S. J. Hawkes、Journal of Chemical Education、第73巻、第6号(1996年)、516〜517頁を参照のこと)。
金属カチオンMeは、その電荷密度によって、配位水の極性、したがって塩溶液の酸性度を決定する。本発明によれば、電荷の高い金属カチオンを含有する遷移金属イオン、すなわち少なくとも2価の金属カチオン(Me2+)、特に好ましいのは3価または4価の金属カチオン(Me3+またはMe4+)である。
(1)で供与されるプロトンは、反応式(2)に従って、歯のエナメル質、象牙質およびスメア層からヒドロキシアパタイトの溶解をもたらすことが想定される:
次いで、放出されたホスフェートアニオンは、反応式(3)に従って、遷移金属塩の金属カチオン(例えば、Me=Zr4+)とリン酸塩を形成することができる:
本発明によれば、これらの遷移金属塩が好ましく、これらの遷移金属塩の金属カチオンは低溶解度のリン酸塩、すなわち使用条件下で沈殿するリン酸塩を形成する。ここで、低溶解度のとは、水中20℃で、10−4未満の、好ましくは10−6未満の、特に好ましくは10−8未満の溶解積を意味する。
添加される酸、特にリン酸、またはシュウ酸、マレイン酸もしくはクエン酸などの多座有機酸が存在しないことによって、金属イオンの活性が増加し、したがって、低溶解度の金属リン酸塩の形成が促進される。これは、本発明による溶液が、好ましくは、添加される酸またはEDTAなどの錯化剤を含有しないことの理由である。
リン酸イオンの沈殿は、反応式(2)による平衡を右に向かって移動させ、したがって、辛うじてしかエッチングできない歯のエナメル質の溶解を促進する。コンディショニング剤が使い切られた場合に反応は終了する。
エナメル質の良好なエッチング作用にもかかわらず、驚くべきことに、本発明により使用される遷移金属塩および典型金属塩の溶液は、象牙質のオーバーエッチングをもたらさないことが見出された。例えば、−OH、−COOH、−CONH−または−NHなどの配位基へのコラーゲンの結合によって、遷移金属塩がスメア層に存在するコラーゲン片の架橋をもたらし、したがってタンパク質含量の増加した領域(例えば、スメア層で満たされた象牙細管の内容積)はそれほど強くエッチングされないことが仮定される。エッチング剤の象牙質のミネラル相との拡散駆動反応は、リンスによって除去される金属塩−コラーゲン層の緩い接着によって減速される。この手段によって、より過敏な象牙質のオーバーエッチングが防止され、術後性の過敏症のリスクが著しく低減され、一方所望のより強いエッチング効果がコラーゲンを含まない歯のエナメル質で起こる。
無機酸または有機酸が、かつキレート剤が存在しないことも、前記酸とキレート剤が金属カチオンのコラーゲンの官能基との反応を妨げるため、コラーゲン架橋に関して有利である。
金属塩の選択およびその濃度によって、歯のコンディショニングの間の本発明による溶液の活性は、式(1)および(3)に従って調整されうる。
驚くべきことに、本発明による金属塩溶液を用いる象牙質のエッチングにより、過乾燥に対する抵抗性が一際増大される。臨床使用において、このことは、確立されたリン酸によるコンディショニングと比較して、技術の耐用性の極めて有利な上昇を表す。エッチングプロセスの間のコラーゲン繊維の遷移金属および典型金属の塩とのイオン性架橋もこのことの原因であると仮定され、これにより過乾燥の場合の崩壊に対してコラーゲン繊維を安定化させる。
さらに、本発明による遷移金属塩および典型金属塩の溶液は、マトリックスメタロプロテイナーゼまたはシステインカテプシンの活性化をもたらさないことが見出された。むしろ、この金属塩溶液を使用することによって、MMP活性が低減され、したがって、象牙質結合の長期耐久性が増大する。これはまた、おそらく、遷移金属塩および典型金属塩と象牙質タンパク質との相互作用によるものである。金属イオンの、特に多価金属イオンのコラーゲンまたはコラーゲンに保有された酵素などのタンパク質への結合が、導入された電荷によって、その三次構造の耐久性に変化をもたらしうる。マトリックスメタロプロテイナーゼまたはシステインカテプシンの場合には、特に、本発明により好まれる多価金属塩との接触により、いかなる場合でも、活性の劇的な低減または完全な損失までももたらし、これは、三次構造の変化によるものである。
本発明により使用される金属塩、特に本発明により好まれる金属塩は、生物学的適合性が極めて高く、固有の色をもたない。これらは、クロム、ニッケル、鉄、オスミウム、バナジウムまたは銀の塩を用いる場合に多く見られるように、歯に有色沈着物を形成しない。さらに、これらの塩は、口腔内使用に適する溶媒または溶媒混合物に十分に可溶性である。
本発明によれば、0.5から25wt%、特に好ましくは2から15wt%、特に極めて好ましくは4から10wt%の遷移金属塩および/または典型金属塩、特にZrOCl、ZrO(NO、Zr(SO、Hf(SO、HfCl、Hf(NO、TiOSO、Bi(NO、SnClまたはこれらの混合物を含む溶液が好ましい。
添加可能であると言及された金属塩、特に金属Cu2+、Zn2+およびAl3+の金属塩は、好ましくは0.01%から5%の濃度で導入される。
さらに、本発明による溶液は、少なくとも1種の溶媒、すなわち水または水と有機溶媒の混合物を含む。1種または複数の有機溶媒の添加が、例えば表面の湿気、製剤の安定性および/またはリンス性を改善するために有利でありうる。好ましい有機溶媒は、グリセロール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物、特にグリセロールである。
特に好ましいのは、2から15wt%の遷移金属塩および/もしくは典型金属塩、36から98wt%の水および0から49wt%の有機溶媒を含む溶液、または4から10wt%の遷移金属塩および/もしくは典型金属塩、42から96wt%の水および0から48wt%の有機溶媒を含む溶液である。
本発明によるエッチング剤は、さらに有利には、増粘剤、染料、抗菌剤、保存剤、フレーバー、香料および流動助剤などの1種または複数の添加剤を含むことができる。
増粘剤は、歯への液だれのないピンポイントの塗布を可能とする扱いやすい稠度に設定するのに役立つ。増粘剤は、無機または有機材料から選択することができる。好ましい無機材料は,例えばアエロジルなどのナノ粒子のフュームドシリカである。好ましい有機材料は、セルロース誘導体、ポリウレタンベースの会合性増粘剤、およびポリエチレンオキシドである。有機および無機増粘剤の混合物を使用することもできる。好ましい増粘剤は、ポリエチレンオキシド、シリカ、特にこれらの混合物である。
染料は、処理面を局部化することを、かつリンス中にエッチング剤の完全除去を確保することを可能にするために、歯においてエッチング剤を容易に検出可能にするために役立つ。エッチング剤をリンス除去する際、着色剤は容易かつ完全に除去することができなければならない。染料は、無機または有機化合物からなりうる。特に、色素、例えばコバルトスピネルが無機染料として考えられる。好ましい有機染料は、例えばメチレンブルーなどの可溶性化合物、および例えば銅フタロシアニンなどの分散性色素である。
任意選択で、添加剤が、所望の効果を実現するために、すなわち、例えば、特定の粘度または色に設定するために必要とされる量で添加される。
本発明による歯科物質は、主に天然歯(象牙質および歯のエナメル質)の表面をコンディショニングするのに適している。これは、典型的に、歯科医によって口腔内で行われる治療用途である。代表的な用途は、歯科セメント、充填コンポジット、コーティング材料および前装用材料の塗布前に歯面をコンディショニングすること、特に、歯科修復治療の場合に、すなわち、損傷した歯の修復の場合に、例えば修復充填治療の場合に歯面をコンディショニングすることである。本発明は、歯面の口腔内および口腔外エッチングのための本発明による金属塩溶液の使用、ならびに歯の処理の間にマトリックスメタロプロテイナーゼおよび/またはシステインカテプシンの不活性化のためのそれらの使用にも関する。
本発明によるこの溶液の使用は、リン酸をベースとする公知のエッチング剤と同様の方法で行われる。
修復充填治療は、好ましくは、以下の方法ステップを含む:
(1)脱灰組織の機械的エキスカベーションによるう蝕病変の調製。
(2)例えば、ブラシ状歯科アプリケーター(「マイクロブラシ」)を用いた、またはペースト状製剤の場合にはシリンジを用いた、接着剤により結合される歯面への本発明によるコンディショニング剤の塗布。ここで、コンディショニング剤は、歯にのみ塗布され、滞留時間に作用剤を移動させる必要はない。
(3)予定された滞留時間(5〜120秒、好ましくは10〜90秒、特に好ましくは15〜60秒)の後、コンディショニング剤は、水の噴射により歯面からリンス除去される。リン酸の場合と異なり、象牙質のオーバーエッチングを避けるためのエナメル質と象牙質のための滞留時間の差は必要ない。象牙質における滞留時間は、リン酸の場合と異なり、オーバーエッチングを避けるために厳密に制限される必要もない。日々の臨床業務において最も実現しやすいため、エナメル質と象牙質において等しい長さの滞留時間が好ましい。
(4)歯面は、エッチングされたエナメル質が蒼白色の(chalky−white)の外観を呈するまで、空気流で乾燥させる。この作業ステップでは、リン酸でエッチングされた象牙質が過乾燥されることが多く、コラーゲン原繊維の崩壊を招いた。したがって、従来の手順では、ブロー乾燥後、例えば湿ったマイクロブラシを用いて、象牙質を選択的に再度湿らせることが多い。本発明によるエッチング剤を使用する場合、ブロー乾燥後に象牙質を再度湿らせる必要はない。
(5)歯科接着剤は、エッチングされた歯面に塗布される。
(6)接着剤は、空気流でブローされ、次いで、例えば光で硬化される。
(7)接着剤に適する充填コンポジットおよび充填のタイプが窩洞に導入され、光硬化される。
接着剤として、任意の市販の歯科接着剤を使用することができる。歯科接着剤は、使用説明書に従って使用される。この方法も本発明の対象である。
本発明によるエッチング剤は、リン酸がエッチング剤として通常使用されていた全ての歯科用途に適している。さらに、本発明による金属塩溶液をコンディショニング剤として有利に使用することができる治療的使用は以下である:
− クラウン、ブリッジ、インレー、アンレーなどの予め製作された金属、セラミックまたはポリマー修復物の接着セメント合着による、固定歯科補綴物の固定。ここで、接着処理(コンディショニング)が終了した後に、セメントまたは低粘度の固定コンポジットによって、歯に修復物を固定すること以外は、このプロセスは上述の通りである。固定コンポジットの硬化は、例えば自己または光硬化によって通常の方式で起こる。
− 歯裂溝の封鎖などの予防手段。咬合性歯裂溝の封鎖の場合、金属塩溶液が歯に塗布され、エッチング剤をリンス除去した後、歯面をブロー乾燥し、自由流動歯裂溝シーラント、例えばメタクリレートベースの自由流動コンポジット材料を塗布し、次いで硬化させた。
− ブラケットまたは歯列矯正具の固定など、歯列矯正手段。ここで、金属塩溶液を歯の関連部分に塗布し、エッチング剤をリンス除去した後、歯面をブロー乾燥し、特定の固定コンポジットを使用して、それと共に金属またはセラミックワイヤーリテイナーを歯に固定する。次いで、固定コンポジットが硬化される。
本発明による金属塩溶液は、口腔外で、すなわち治療目的ではなく、例えばプロテーゼ、人工歯、インレー、アンレー、クラウンおよびブリッジなどの歯科修復物の表面を前処理するために使用することもできる。この前処理は、例えば、接着剤固定の場合の接着の改良のため、および/または例えば、特にガラスセラミック修復物からタンパク質性の不純物を除去することによって、表面をクリーニングするために役立つ。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
歯に対するコンディショニング剤として治療的に使用するための1種または複数の遷移金属塩および/または典型金属塩を含む水溶液。
(項目2)
前記1種または複数の遷移金属塩および/または典型金属塩が、元素周期表の第4族および/または第14もしくは15典型金属の族の金属の塩である、項目1に記載の溶液。
(項目3)
前記遷移金属塩および/または典型金属塩が、3価または4価の金属イオンの塩である、項目1または2に記載の溶液。
(項目4)
前記金属イオンが、Zr 4+ 、Hf 4+ 、Ti 4+ 、Bi 3+ またはSn 4+ である、項目3に記載の溶液。
(項目5)
前記遷移金属塩または典型金属塩が、Cl 、Br 、I 、NO 、SO 2− をアニオンとして、任意選択でオキソアニオンとの混合塩として含む、項目1から4のいずれか一項に記載の溶液。
(項目6)
遷移金属塩および/または典型金属塩として、ZrOCl 、ZrO(NO 、Zr(SO 、Hf(SO 、HfCl 、Hf(NO 、TiOSO 、Bi(NO 、SnCl 、またはこれらの塩の混合物を含む、項目1から5のいずれか一項に記載の溶液。
(項目7)
Cu 2+ 、Zn 2+ 、Al 3+ の塩およびこれらの混合物から選択されるさらなる金属塩をさらに含む、項目1から6のいずれか一項に記載の溶液。
(項目8)
Al(NO 、CuSO 、ZnSO またはこれらの混合物をさらに含む、項目7に記載の溶液。
(項目9)
前記金属イオンが、Zr 4+ 、Hf 4+ 、Ti 4+ 、またはBi 3+ である、項目3に記載の溶液。
(項目10)
前記遷移金属塩または典型金属塩が、Cl 、Br 、I 、NO 、SO 2− をアニオンとして、任意選択でオキソアニオンとの混合塩として含む、項目9に記載の溶液。
(項目11)
遷移金属塩および/または典型金属塩として、ZrOCl 、ZrO(NO 、Zr(SO 、Hf(SO 、HfCl 、Hf(NO 、TiOSO 、Bi(NO 、またはこれらの塩の混合物を含む、項目9から10のいずれか一項に記載の溶液。
(項目12)
Cu 2+ 、Zn 2+ 、Al 3+ 、Sn 4+ の塩およびこれらの混合物から選択されるさらなる金属塩をさらに含む、項目9から12のいずれか一項に記載の溶液。
(項目13)
さらなる金属塩として、Al(NO 、CuSO 、ZnSO 、SnCl またはこれらの混合物を含む、項目12に記載の溶液。
(項目14)
付加酸を含有しない、項目1から13のいずれか一項に記載の溶液。
(項目15)
0.5から25wt%の遷移金属塩および/または典型金属塩を含む、項目1から14のいずれか一項に記載の溶液。
(項目16)
2から15wt%の遷移金属塩および/もしくは典型金属塩、36から98wt%の水および0から49wt%の有機溶媒、または4から10wt%の遷移金属塩および/もしくは典型金属塩、42から96wt%の水および0から48wt%の有機溶媒を含む、項目1から15のいずれか一項に記載の溶液。
(項目17)
有機溶媒として、グリセロール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオールおよびポリエチレングリコールまたはこれらの混合物を含む、項目1から16のいずれか一項に記載の溶液。
(項目18)
歯科修復治療において、損傷した歯の修復において、または修復充填治療において歯面をコンディショニングする際に、前記歯面に対するコンディショニング剤として、歯科セメント、充填コンポジット、コーティング材料または前装用材料の塗布前に使用するための、項目1から17のいずれか一項に記載の溶液。
(項目19)
接着セメント合着による固定歯科補綴物の固定において、歯裂溝の封鎖などの予防手段において、またはブラケットの固定などの歯列矯正手段において、コンディショニング剤として使用するための、項目1から17のいずれか一項に記載の溶液。
(項目20)
歯面をエッチングするための、項目1から17のいずれか一項に記載の溶液。
(項目21)
マトリックスメタロプロテイナーゼおよび/またはシステインカテプシンの不活性化のための、項目1から17のいずれか一項に記載の溶液。
(項目22)
歯科修復物、プロテーゼ、人工歯、インレー、アンレー、クラウンおよびブリッジの表面を口腔外で前処理するための、項目1から17のいずれか一項に記載の金属塩溶液の使用。
本発明は、図面および実施例によって以下にさらに詳細に説明される。
図1は、調製直後、24時間の保存後および48時間の保存後の脱灰歯のスライスを示す。酸で脱灰した後、歯のコラーゲンマトリックスが残っている。これは保存の間変化せず、すなわち、コラーゲンは脱灰によって分解されなかった。
図2は、I型コラゲナーゼ添加後の脱灰歯のスライスを示す。48時間以内に、コラゲナーゼは、コラーゲンマトリックスをほぼ完全に分解させる。
図3は、コラゲナーゼ処理の60秒前に、2%の塩化ジルコニル(ZrOCl)溶液に浸漬した脱灰歯のスライスを示す。図3は、コラーゲンマトリックスの分解が、実際に、ジルコニウム塩によって完全に阻害されたことを示す。
図4は、1%の塩化ジルコニル溶液に浸漬した脱灰歯のスライスを示す。ここでも、コラーゲンマトリックスの分解は完全に阻害されている。
図5は、37%のリン酸で30秒および15秒間エッチングした後の、ウシの歯のエナメル質およびウシの象牙質上のエッチングパターンを示す。
図6は、水およびグリセロールの1:1混合物中ZrOClの4%溶液(溶液A)で30秒および15秒間エッチングした後の、ウシの歯のエナメル質およびウシの象牙質上のエッチングパターンを示す。
図7は、水およびグリセロールの1:1混合物中Zr(SOの4%溶液(溶液B)で30秒および15秒間エッチングした後の、ウシの歯のエナメル質およびウシの象牙質上のエッチングパターンを示す。
図8は、水およびグリセロールの1:1混合物中ZrO(NOの4%溶液(溶液D)で15秒間エッチングした後の、ウシの歯のエナメル質およびウシの象牙質上のエッチングパターンを示す。
図9は、水中ZrO(NOの6%溶液(溶液E)で15秒間エッチングした後の、ウシの歯のエナメル質およびウシの象牙質上のエッチングパターンを示す。
図10は、水およびグリセロールの1:1混合物中ZrO(NOの10%溶液(溶液F)で15秒間エッチングした後の、ウシの歯のエナメル質およびウシの象牙質上のエッチングパターンを示す。
図11は、水およびグリセロールの1:1混合物中ZrO(NOの15%溶液(溶液G)で15秒間エッチングした後の、ウシの歯のエナメル質およびウシの象牙質上のエッチングパターンを示す。
図12は、水およびPEG400の1:1混合物中ZrO(NOの10%溶液(溶液H)で15秒間エッチングした後の、ウシの歯のエナメル質およびウシの象牙質上のエッチングパターンを示す。
図13は、水、グリセロール、増粘剤および色素の混合物中ZrO(NOの10%溶液(溶液I)で15秒間エッチングした後の、ウシの歯のエナメル質およびウシの象牙質上のエッチングパターンを示す。
図14は、水およびグリセロールの混合物中TiOSOの0.5%溶液(溶液J)で30秒および15秒間エッチングした後の、ウシの歯のエナメル質およびウシの象牙質上のエッチングパターンを示す。
図15は、水中SnClの4%溶液(溶液K)で30秒および15秒間エッチングした後の、ウシの歯のエナメル質およびウシの象牙質上のエッチングパターンを示す。
図16は、水中Bi(NOの2%溶液(溶液L)で30秒および15秒間エッチングした後の、ウシの歯のエナメル質およびウシの象牙質上のエッチングパターンを示す。
図17は、水中Hf(SOの4%溶液(溶液M)で30秒および15秒間エッチングした後の、ウシの歯のエナメル質およびウシの象牙質上のエッチングパターンを示す。
図18は、水中HfClの4%溶液(溶液N)で30秒および15秒間エッチングした後の、ウシの歯のエナメル質およびウシの象牙質上のエッチングパターンを示す。
図19は、水中6%のZrO(NOおよび4%のZnSOを含む溶液(溶液O)で30秒および15秒間エッチングした後の、ウシの歯のエナメル質およびウシの象牙質上のエッチングパターンを示す。
図20は、水中6%のZrO(NOおよび4%のCuSOを含む溶液(溶液P)で30秒および15秒間エッチングした後の、ウシの歯のエナメル質およびウシの象牙質上のエッチングパターンを示す。
図21は、水中6%のZrO(NOおよび4%のAl(SOを含む溶液(溶液Q)で30秒および15秒間エッチングした後の、ウシの歯のエナメル質およびウシの象牙質上のエッチングパターンを示す。
(実施例1)
コンディショニング剤の調製
成分を混合することによって、表1に示した組成を有する遷移金属溶液を調製した。
(実施例2)
象牙質接着の決定
歯構造への接着の決定は、Ultradentプロトコル(ISO 29022)に従って行った。このため、本発明による溶液A〜Qを、それぞれの場合に、調製された歯面に塗布した。髄と歯頚の除去後、エナメル象牙境まで低温硬化性ポリエステル−スチレン樹脂に埋め込んだウシの前歯を試験基質とした。試験体の調製直前に、埋め込んだ歯を、水冷しながら、P120 SiC研磨紙を有する円柱面に対して平行平面な研削盤で研削した。通常の目視検査によって、象牙質層が曝露されたことを確認した。次いで、P120研削ステップの跡が見えなくなるまで、試料をP400 SiC研磨紙で研削した。次いで、P400紙で研削した歯面を、さらなる機械的作用なしで、歯毎におよそ10秒間、ぬるめの流水(25〜35℃)中でリンスした。次いで、接着剤を塗布するまで、歯を、23〜37℃に調温した水道水中で保存した。
次いで、歯を、水が表面に見えなくなるまで、圧縮空気でブロー乾燥した。ブラシ状歯科アプリケーター(「マイクロブラシ」)を用いてエッチング剤を塗布した。ペースト状製剤の場合には、コンディショニング剤をシリンジで塗布した。接着剤により結合される歯面をコンディショニング剤の連続層で被覆した。層は、予定した滞留時間の間、撹拌せず歯の上にそのままにした。15から30秒の滞留時間後、コンディショニング剤を、残留物が見えなくなるまで、歯科用ユニットの噴射水でリンス除去した。リンス後、エッチングされた象牙質表面を表2に示した方法に従って乾燥させた。
その後、2滴の各接着剤を混合プレート上に置き、マイクロブラシで前処理した歯面に塗布した。接着剤は、以下に記載したように使用するために製造業者の説明書に従って使用した。次いで、およそ2〜8cmの距離から、最初は弱く、次いで段々強くなる空気流で、強い空気流下で動かないフィルムが形成されるまで、接着剤をブローした。次いで、この接着剤層を、光重合デバイス(Bluephase Style;Ivoclar Vivadent)を用いて10秒間硬化させた。
このようにして調製した歯を、調製した側を上にしてUltradentの塗布装置に導入し、固定ネジを少し締めることによって塗布金型に固定した。次いで、使用される充填コンポジット(Tetric EvoCeram BulkFill;Ivoclar Vivadent)を、塗布金型の開口部から、層の厚みが1〜1.5mmで塗布し、次いで、Bluephase Styleで光に曝露することによって20秒間硬化させた。重合が終了した後、保持されていたネジを緩め、コンポジット試験片を、コンポジットプラグにコンポジットコンデンサーを用いてわずかな圧力をかけることよってクランプ装置から取り除いた。それぞれ一連の測定のために、5個の試験片を調製し、接着測定の前に水道水中に37±1℃で24時間保存した。
実際の接着測定の前に、コンポジットプラグの直径を、ノギスを用いて小数点第2位まで正確に測定し、この値を試験機(testXpert;ZWICK−ROELL)の評価ソフトウェアに記録した。
接着力の決定のために、ZWICK 010万能試験機(ZWICK−ROELL)を使用した。試験片を、すくい面を下向きにした(「クラウンダウン」)クランプ装置にISO29022に従って固定し、次いで、せん断装置を、半円形の押し面がコンポジットプラグをしっかりつかむように配置し、せん断装置を歯に対して水平に置いた。測定手順が開始すると、せん断装置が1mm/分で下降し、それによって試験片は、破断するまで基質の面に平行にせん断応力により負荷をかけられた。接着強度は、破断の際にかけられる破断力とコンポジットプラグの下の接着面の商として計算される。このデータをメガパスカル(MPa)で示す。
接着の絶対係数に加えて、接着係数の調査にも試験片の破損に関して破壊の種類が含まれた。試験片は、象牙質の「凝集性」についてかまたは象牙質と接着剤の間の「接着性」についてかのいずれかで、せん断負荷に関して失敗している。通常、凝集破壊は、ISO29022に従った象牙質の測定の間に、20MPa超の接着係数で起こり、健全な歯構造と接着剤の間の直接接触を指す。一方、接着破壊は、通常、20MPa未満の接着係数で起こり、健全な歯構造に接する接着剤の不浸透性である分離層(例えば、崩壊したコラーゲン)を指す。
確立したリン酸と比較して、本発明によるコンディショニング溶液の技術的耐性を試験するために、接着剤を塗布する前の接着係数の調査のために、異なる長さの時間乾燥することによって、象牙質表面の湿り気を変化させる場合がある。以下の水分レベルが生じた(表2):
市販の歯科接着剤Excite F(Ivoclar Vivadent AG)およびPrime&Bond NT(Dentsply)を用いて、言及したISO基準に従ってせん断結合強度の値を決定した。選択した接着剤は、リン酸を用いてエッチングした歯面に使用するためのトータルエッチング接着剤として意図されており、これらの製品に対して通常の2種の溶媒(ExciTE F:エタノール、Prime&Bond NT:アセトン)を有する。製造業者によって提供された使用のための説明書に従って、両方の接着剤をエッチング歯面に使用した。
ExciTE F:接着剤の層をマイクロブラシでエッチング歯面に塗布し、軽い圧力で10秒間マッサージし、次いで、動かない膜が形成されるまでエアブロー装置で通気した。光重合装置(Bluephase Style;Ivoclar Vivadent)を用いて、後者を10秒間光に曝露した。次いで、コンポジットプラグ(Tetric EvoCeram BulkFill;Ivoclar Vivadent)を記載されているように移植し、せん断結合強度を測定した。
Prime&Bond NT:接着剤の連続層をマイクロブラシでエッチング歯面に塗布した。20秒間の滞留時間後、歯面はもはや湿って光っておらず、さらなる接着剤の層を使用のための説明書に従って塗布した。次いで、連続した、光っている膜が形成されるまで、エアブロー装置を用いて通気が行われた。光重合装置(Bluephase Style;Ivoclar Vivadent)を用いて、後者を10秒間光に曝露した。その後、記載されているように、コンポジットプラグ(Tetric EvoCeram BulkFill;Ivoclar Vivadent)を移植し、せん断結合強度を測定した。結果を表3にまとめる。
表3のデータは、湿った象牙質に使用した場合のコンディショニング剤A〜BおよびE〜Qについて、接着剤に関係なく、従来のリン酸と同等の効果および適当な接着結果を示している。象牙質がより強く乾燥されるかまたは過乾燥された場合でも、リン酸で処理した表面の接着係数は、期待したよりも著しく減少した。一方、この点において代表的に試験したコンディショニング剤A〜GおよびIは、乾燥プロセスによってほとんど影響を受けないか、または全く影響を受けなかった。
(実施例3)
歯のエナメル質への接着の決定
歯のエナメル質への接着の測定は、実施例2と同様に行った。ほとんど純粋に無機組織としてのエナメル質は、コラーゲン原繊維を含有しないため、乾燥時間は変えなかった。したがって、エナメル質の接着を試験するために、乾燥基質のみを調査した;エッチング剤のリンス除去後、表面を歯科用ユニットからの強い空気流でおよそ5秒間乾燥させた。目的は、歯科医によく知られている蒼白色のエナメル質表面の画像を得るためであった。確立した30秒の基準と比較して、15秒まで減少させたエッチング期間の効果を試験するために、選択した試料について両方の滞留期間を調査した。エナメル質の接着係数についての結果を表4に示す。
表4に示されたエナメル質の接着値は、試験された接着剤に関係なく、測定の精度内で、コンディショニング剤A〜Qについて、従来のリン酸に匹敵するものである。歯の基質の性質の変動のために現れる値が低かったとしても、臨床上適当な結合を保証するのに十分高いものである。基質の硬さのためにエナメル質試料は接着剤により常に破損するため、ここでは破損の種類(破壊パターン)については言及しなかった。
(実施例4)
歯のエナメル質に関するマージンの質の決定
エナメル質の結合を評価するために重要なマージンの質を測定した。マージンの質は、ウシの歯の円形窩洞におけるコンポジットと歯の間の境の欠陥のない割合を示す。例えば、割れ目、膨張または隙間などの欠陥が、歯−コンポジット境の60%で観察されうる場合、マージンの質は40%である。走査電子顕微鏡(SEM)「VP DSM」(Zeiss、Germany)によって評価を行った。
マージンの質の決定のために、5つの試験片をそれぞれ一連の測定のために調製した。窩洞の調製は、それぞれの場合に、水冷しながら、40,000rpmのダイアモンド研磨バー(直径:4mm、深度:2.5mm)を用いて、行った。このため、最初の掘削のためにKomet No.909/040ダイアモンド研磨バー(4mm)を、仕上げのために円柱状のダイアモンド研磨バーNo.2504(1.9mm、25μm)を用意した。エッチング剤(溶液B)をマイクロブラシで塗布し、窩洞壁を覆い、撹拌しないで15秒間作用させた。次いで、エッチング剤を噴射水でリンス除去し、蒼白色のエナメル質が目視できるまでエアブロー装置で窩洞表面をブロー乾燥させた。ExciTE F接着剤(Ivoclar Vivadent)を、使用のための説明書に従って、乾燥表面に塗布し、作用させ、ブロー乾燥させ、光硬化させた(Bluephase Style;Ivoclar Vivadent)。次いで、充填コンポジット(Tetric EvoCeram;Ivoclar Vivadent)を、2mmの増分でこのようにして調製された窩洞に導入し、次の増分の前に各増分を光硬化させた。最後に、置いた充填材をポリッシュし(SiCペーパー、P600−グリット、1200−グリット、2500−グリット、0.5μmのMasterprep(Buehler)/ポリッシングディスク(4000−グリット))、37℃の蒸留水中で48時間保存した。
走査電子顕微鏡(SEM)による次の検査の間の真空アーチファクトを防ぐために、試験片のレプリカ(印象シリコーン:「Virtual extra light body」、fast set;圧力容器;2バール)について検査を行った。真空でシリコーンの蒸散による泡の形成を防ぐために、エポキシ樹脂(Stycast)を用いた硬化後に、これらの印象を鋳造した。最後に、電子線における荷電を防ぐために、接点用銀をこれらのレプリカに塗布した。
マージン封鎖の質の分析を300倍の倍率でSEMによって行った。円柱状窩洞(φ4mm)のマージン全体を40個のマージンセクションに分け、正常マージンのパーセントによる比率を各マージンセクションに割り当てた。次いで、パーセンテージの合計をマージンセクションの数(=40)で割った。マージンセクションに認識できる隙間、凹凸またはマージンの破壊が存在しなければ、正常であると判断した。欠陥のないマージンの比率が平均で70%超である場合、マージンの質は良好である。コンディショニング剤BおよびExciTE F接着剤についてのこの検査の結果を表5に示す。
表5に示すように、コンディショニング剤Bは、37%のリン酸を使用する従来の手段と同等のマージンの質を示す。
(実施例5)
コラーゲン分解の阻害
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)により誘導されたコラーゲン分解に関するジルコニウム塩溶液の影響を調査するために、厚さ1mmのウシの歯のスライスを精密丸鋸を用いて調製した。歯のスライスを、室温で2MのHCl中に置くことによって完全に脱灰させ、次いで、クエン酸緩衝液を用いて無酸洗浄した。
コラーゲンの酵素分解に関するエッチングゲルの効果を調査するために、「Collagenase Substrate Kit」(Fluka;No.27672/27670)で使用されるI型コラゲナーゼを代表的なMMPとして使用した。
参照試料は、この洗浄ステップ後、さらに処理せず、直接調査した。一方、試験試料は、1%または2%の塩化ジルコニル溶液中に60秒間浸漬し、次いで、蒸留水で注意深くリンスした。ブランク試験は、コラゲナーゼもジルコニウム塩溶液も用いずに処理した。
コラーゲン試料をペトリ皿に置き、I型コラゲナーゼの緩衝溶液で覆った。ジルコニウム塩溶液で処理しなかった試料の場合、実験室用振盪機を使用して穏やかに撹拌しながら試料を37℃でインキュベーションすることにより、脱灰した歯のスライスの酵素分解が起こった。図1から4は、この試験の場合に決定された結果を示す。
図1は、コラゲナーゼを用いず、かつジルコニウム塩を用いないブランク試験について示す。48時間の保存後でさえも、脱灰した歯のスライスにおいて検出可能な変化はなく、すなわちコラーゲンは分解されなかった。
図2は、48時間以内にコラゲナーゼを添加することにより、脱灰した歯のスライスがほぼ完全に分解されることを示す。24時間後にはすでに、顕著な分解が検出可能である。
図3および4では、象牙質のコラーゲンがジルコニウム塩溶液と短時間接触しても、酵素分解に対して安定化されていることを見ることができる。48時間後でさえも、ジルコニウム処理した試料の場合、分解は目に見えなかった。
(実施例6)
エナメル質および象牙質におけるエッチングパターンの決定
本発明によるコンディショニング溶液による微小保持力を有するエッチングパターンの形成を証明するために、ウシのエナメル質およびウシの象牙質を実施例1からの製剤と接触させ、予定した滞留時間後に水でリンスし、走査電子顕微鏡で表面を検査した。従来より使用されているリン酸を比較とした。エッチング剤に関係なく、象牙質における滞留時間は15秒であり、エナメル質では15から30秒であった。同じ倍率での結果を図5から21に表す。
図5から21は、象牙質について、リン酸と本発明によるコンディショニング剤の間の有意な差を示す。したがって、15秒後にはすでに、リン酸は、スメア層の除去と、リン酸によって薄くエッチングされ、したがって薄く平らになっている細管のマージンの静電荷電の結果として、電子線で形成する白色面において認識可能な著しい脱灰現象とによって、全ての細管の開口を引き起こす(図5)。
一方、本発明によるコンディショニング剤を使用する場合(図6〜21)、象牙質表面のすぐ下の細管は、ほとんど封鎖されたままである。リン酸を用いた処理後と異なり、静電荷電をもたらすオーバーエッチングされた細管のマージンの脱灰現象は、ほとんど目に見えない。したがって、本発明による製剤では、象牙質のオーバーエッチングを排除することができる。
象牙質と対照的に、図5〜21は、エナメル質について、リン酸と本発明によるコンディショニング剤の間の有意な差を示さない。全ての金属塩溶液は、エナメル質における保持力を有するエッチングパターンの形成を導き、このことにより、全ての調査したケースにおいて、塗布した接着剤に対する良好な結合効果が保証される。

Claims (13)

  1. 歯に対するコンディショニング剤として治療的に使用するための少なくとも1種の遷移金属塩および/または典型金属塩を含む水溶液であって、前記遷移金属塩および/または典型金属塩が、Zr 4+ 、Hf 4+ 、Ti 4+ またはBi 3+ の塩である、溶液
  2. 前記遷移金属塩および/または典型金属塩が、Cl、Br、I、NO 、SO 2−をアニオンとして、任意オキソアニオンとの混合塩として含む、請求項に記載の溶液。
  3. 前記遷移金属塩および/または典型金属塩としてのZrOCl 、ZrO(NO 、Zr(SO 、Hf(SO 、HfCl 、Hf(NO 、TiOSO 、Bi(NO 、またはこれらの塩の混合物を含む、請求項1から2のいずれか一項に記載の溶液。
  4. Cu2+、Zn2+、Al3+の塩およびこれらの混合物から選択されるさらなる金属塩をさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の溶液。
  5. Al(NO、CuSO、ZnSOまたはこれらの混合物を前記さらなる塩として含む、請求項に記載の溶液。
  6. 付加酸を含有しない、請求項1からのいずれか一項に記載の溶液。
  7. 0.5から25wt%の遷移金属塩および/または典型金属塩を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の溶液。
  8. 2から15wt%の遷移金属塩および/もしくは典型金属塩、36から98wt%の水および0から49wt%の有機溶媒を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の溶液。
  9. 4から10wt%の遷移金属塩および/もしくは典型金属塩、42から96wt%の水および0から48wt%の有機溶媒を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の溶液。
  10. 有機溶媒として、グリセロール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオールおよびポリエチレングリコールまたはこれらの混合物を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の溶液。
  11. 歯科修復治療において、損傷した歯の修復において、または修復充填治療において歯面をコンディショニングする際に、前記歯面に対するコンディショニング剤として、歯科セメント、充填コンポジット、コーティング材料または前装用材料の塗布前に使用するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の溶液。
  12. 接着セメント合着による固定歯科補綴物の固定において、歯裂溝の封鎖などの予防手段において、またはブラケットの固定などの歯列矯正手段において、コンディショニング剤として使用するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の溶液。
  13. 歯科修復物、プロテーゼ、人工歯、インレー、アンレー、クラウンおよびブリッジの表面を口腔外で前処理するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の金属塩溶液の使用。
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