図13は、従来技術によるFPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、FPC用コネクタを正面側から観た状態図である。図14は、従来技術によるFPC用コネクタの構成を示す拡大縦断面図である。図15は、従来技術によるFPC用コネクタに備わる金属シェルを拡大した斜視断面図である。
図16は、従来技術によるFPC用コネクタの要部の構成を示す斜視断面図であり、FPCを挿入した状態図である。図17は、従来技術によるFPC用コネクタの要部の構成を示す斜視断面図であり、解除ボタンを押した状態図である。
なお、本願の図13は、特許文献1の図1に相当している。又、本願の図14と図15は、特許文献1の図4と図5に相当し、本願の図16と図17は、特許文献1の図16と図17に相当している。
図13から図17を参照すると、従来技術によるFPC用コネクタ(以下、コネクタと略称する)9は、直方体状のハウジング91と複数のベローズ形のコンタクト92を備えている。又、コネクタ9は、金属シェル93と一対の四角柱状の解除ボタン94・94を備えている。コネクタ9は、図示しないプリント基板に実装できる。
図13を参照すると、ハウジング91は、その一方の面にスロット91kを開口している。スロット91kには、FPC9fを挿入できる(図16又は図17参照)。スロット91kの底面には、櫛の歯状の溝91dを形成している。これらの溝91dには、複数のコンタクト92を配列できる(図14参照)。
図14を参照すると、複数のコンタクト92は、それらの接点92sをスロット91kに臨んで配置している。これらの接点92sは、FPC9fの一方の面に配列した導体パターン91fに接触できる(図16又は図17参照)。又、コンタクト92は、ハウジング91の背面から延出したリード部92rを有している。リード部92rは、図示しないプリント基板にハンダ接合できる。
図14を参照すると、コネクタ9は、コンタクト92と対向配置された複数のベローズ形のグラウンドコンタクト93gを更に備えている。これらのグラウンドコンタクト93gは、金属シェル93の一部がスロット91kに突出している(図15参照)。これらのグラウンドコンタクト93gの接点は、FPC9fの他方の面に配列したグラウンドパターン92fに接触できる(図16又は図17参照)。
図13から図17を参照すると、金属シェル93は、上面板93aと下面板93bを有している。又、金属シェル93は、連結板93cと一対の側面板93d・93dを有している。金属シェル93は、ハウジング91の背面側から組み込むことができる。
図13から図17を参照すると、上面板93aは、ハウジング91の上面を覆っている。下面板93bは、ハウジング91の底面を覆っている。連結板93cは、上面板93aと下面板93bを連結している。そして、連結板93cは、ハウジング91の背面を覆っている。一対の側面板93d・93dは、ハウジング91の両側面を覆っている。
図13を参照すると、一対の解除ボタン94・94は、ハウジング91の両端部に配置されている。図14又は図16を参照して、解除ボタン94は、その中間部がハウジング91の一部で弾性支持されている。又、解除ボタン94は、上面板93aを介して、ハウジング91の上面から上部が突出している。
図14又は図16を参照して、解除ボタン94を指などで押下すると、解除ボタン94を傾動した状態で降下できる(図17参照)。解除ボタン94を解放すると、元の状態に弾性復帰できる(図14又は図16参照)。
図15を参照すると、下面板93bは、連結板93cに向かって、U字状に反転した一対の反転片931・931を両端部に備えている。反転片931は、その一部を略直角に折り曲げた台形状の爪片93nを有している。
図16を参照して、FPC9fをスロット91kに挿入すると、FPC9fの先端縁が爪片93nの斜辺に当接する。FPC9fをスロット91kに更に挿入すると、FPC9fが爪片93nを押し下げることができる。
図16を参照して、FPC9fの先端縁がスロット91kの奥壁に当接した状態では、FPC9fの両側部に切り欠いた凹部9kに向かって、爪片93nを弾性復帰できる。そして、コネクタ9に対して、FPC9fを抜け止めできる。このように、コネクタ9は、反転片931及び台形状の爪片93nで構成した、FPCの脱落防止機構を備えている。
図17を参照して、解除ボタン94を指などで押下すると、反転片931を下面板93bに降下できる。これに伴い、爪片93nが凹部9kから離れ、コネクタ9からFPC9fを引き抜くことができる。
特許文献1によるFPC用コネクタは、開閉自在なカバーハウジングを必要とせず、金属シェルを利用してFPCの脱落防止機構を構成しているので、製造コストを削減できる、としている。
しかし、特許文献1によるFPC用コネクタは、一対の解除ボタンを昇降自在に保持するために、ハウジングの厚さを厚くしているという問題がある。つまり、FPC用コネクタの実装高さが高いという問題がある。低背化したFPC用コネクタが求められている。
又、特許文献1によるFPC用コネクタは、一対の解除ボタンを操作した状態で、FPCを引き抜く必要があるので、不便であるという問題がある。FPCを引き抜くことが容易なFPC用コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、FPCとプリント基板を電気的に接続するFPC用コネクタであって、FPCの着脱が容易であり、低背化したPC用コネクタを提供することを目的とする。
本発明者は、FPCを挿入自在なFPC収容室を内部に有するハウジングと、ハウジングの内部に配列された複数のコンタクトと、ハウジングの上面を覆う上面板、及び、ハウジングの底面を覆う下面板を有する金属シェルと、ハウジングの上面の第1凹部を開閉自在な主面板を有する金属カバーでFPC用コネクタを構成し、下面板の先端部からU字状に反転する一対の反転片を下面板の両側部に配置し、これらの一対の反転片の先端部に抜け止め用の台形台状のランスを設け、主面板を開いた状態では、一対のランスが降下して、FPCの着脱を容易とし、主面板を閉じた状態では、一対のランスが上昇復帰して、FPCの両側部に切り欠いた第2凹部に係止することでFPCの脱落が困難な構造とすることで、FPC用コネクタを低背化できると考え、これに基づいて、以下のような新たなFPC用コネクタを発明するに至った。
(1) 一対の第1凹部を端末の両側部に切り欠いたFPCを挿入自在に一方の端部を開口したFPC収容室を内部に有し、前記FPC収容室に向かって窪んだ第2凹部を上面に有する平板状のハウジングと、このハウジングのFPC収容室の内部に配列され、前記FPCと電気的に接続自在な複数のコンタクトと、断面を略U字状に形成し、前記ハウジングの他方の端部の上面を部分的に覆う上面板、及び、前記ハウジングの底面を覆う下面板を有する金属シェルと、前記ハウジングの第2凹部を開閉自在な略矩形の主面板を有し、長手方向に沿って密着曲げした重ね板を前記主面板の一方の端部に有する金属カバーと、を備え、前記金属カバーは、前記主面板の他方の端部に配置され、相反する向きに突出する一対の円筒状の回動軸を有し、前記下面板は、両側部に配置され、一対の前記回動軸を回動自在に支持する一対の支持片と、両端部に配置され、当該下面板の先端部から基端部に向かってU字状に反転した一対の反転片と、を有し、前記反転片は、前記第1凹部に係脱自在な台形台状のランスを先端部に有し、前記主面板を前記第2凹部から開いた状態では、前記主面板の他方の端部が前記反転片を前記下面板に向かって移動させることで、前記FPC収容室に前記FPCを挿抜自在に前記ランスが降下し、前記主面板を前記第2凹部に閉じた状態では、前記主面板の他方の端部が前記反転片を前記下面板から復帰させることで、前記ランスを前記第1凹部に係合させる、FPC用コネクタ。
(2) 前記ランスは、前記反転片の先端に向かって上り傾斜した第1斜面壁と、前記反転片及び前記第1斜面壁と連続した第2斜面壁と、を有している、(1)記載のFPC用コネクタ。
(3) 一対の前記回動軸は、前記ハウジングの厚さを超えることなく、前記ハウジングの厚さ方向の略中間部に支持されている、(1)又は(2)記載のFPC用コネクタ。
(4) 前記ハウジングは、前記FPC収容室の開口の両端部を囲う一対の厚肉部と、前記FPC収容室の開口の前縁から逃げる略矩形の切り欠き部と、を有する、(1)から(3)のいずれかに記載のFPC用コネクタ。
(5) 前記コンタクトは、前記FPC収容室の内部に配置され、前記FPCの導体パターンに接触自在な接点と、前記ハウジングの基端部に配置され、プリント基板にハンダ接合自在なリード部と、を有する、(1)から(4)のいずれかに記載のFPC用コネクタ。
(6) 前記コンタクトは、前記FPC収容室の内部に配置され、前記FPCの導体パターンに接触自在な接点と、前記ハウジングの基端部に配置され、プリント基板にハンダ接合自在なリード部と、を有する、(1)から(4)のいずれかに記載のFPC用コネクタ。
本発明によるFPC用コネクタは、ハウジングの底面を覆う下面板を有する金属シェルと、ハウジングの第1凹部を開閉自在な主面板を有する金属カバーと、を備え、下面板の先端部からU字状に反転する一対の反転片を下面板の両側部に配置し、これらの一対の反転片の先端部に抜け止め用の台形台状のランスを設け、主面板を開いた状態では、一対のランスが降下して、FPCの着脱を容易とし、主面板を閉じた状態では、一対のランスが上昇復帰して、FPCの両側部に切り欠いた第2凹部に係止することでFPCの脱落が困難な構造とすることで、FPC用コネクタを低背化できる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[FPC用コネクタの構成]
最初に、本発明の一実施形態によるFPC用コネクタの構成を説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、FPC用コネクタを正面側から観た状態図である。図2は、前記実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、FPC用コネクタを背面側から観た状態図である。
図3は、前記実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す斜視分解組立図であり、FPC用コネクタを正面側から観た状態図である。図4は、前記実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す斜視分解組立図であり、FPC用コネクタを背面側から観た状態図である。
図5は、前記実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す図であり、図5(A)は、FPC用コネクタの正面図、図5(B)は、FPC用コネクタの平面図、図5(C)は、FPC用コネクタの右側面図、図5(D)は、FPC用コネクタの左側面図、図5(E)は、FPC用コネクタの下面図である。
図6は、前記実施形態によるFPC用コネクタに備わる金属シェルの要部を拡大した斜視図である。図7は、前記実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す縦断面図であり、図5(B)のA−A矢視断面図である。
図8は、前記実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す縦断面図であり、図5(B)のB−B矢視断面図である。
(全体構成)
図1から図8を参照すると、本発明の一実施形態によるFPC用コネクタ(以下、コネクタと略称する)10は、平板状のハウジング1と複数のコンタクト2を備えている。又、コネクタ10は、金属シェル3と金属カバー4を備えている。
図1から図8を参照すると、ハウジング1は、FPC収容室11を内部に有している。FPC収容室11は、FPC1fを挿入自在に、ハウジング1の一方の端部を開口している。FPC1fは、一対の第1凹部12f・12fを端末の両側部に切り欠いている(図1又は図2参照)。又、ハウジング1は、FPC収容室11に向かって窪んだ第2凹部12を上面に有している(図3又は図4参照)。
図3又は図4及び図8を参照すると、複数のコンタクト2は、ハウジング1のFPC収容室11の内部に配列されている。そして、複数のコンタクト2は、FPC1fと電気的に接続できる。
図1から図4及び図7又は図8を参照すると、金属シェル3は、その断面を略U字状に形成している。又、金属シェル3は、上面板31と下面板32を有している。上面板31は、ハウジング1の他方の端部の上面を部分的に覆っている。下面板32は、ハウジング1の底面を覆っている。
図1から図4及び図7又は図8を参照すると、金属カバー4は、略矩形の主面板41を有している。主面板41は、ハウジング1の第2凹部12を開閉できる。又、主面板41は、重ね板411を一方の端部に有している。重ね板411は、主面板41の長手方向に沿って密着曲げしている。
図1から図5を参照すると、金属カバー4は、一対の円筒状の回動軸41s・41sを有している。これらの回動軸41s・41sは、主面板41の他方の端部に配置されている。又、これらの回動軸41s・41sは、相反する向きに突出している。
図1から図5を参照すると、下面板32は、一対の支持片32s・32sを両側部に有している。これらの支持片32s・32sは、一対の回動軸41s・41sを回動自在に支持している。
図3又図6及び図7を参照すると、下面板32は、基端部に向かってU字状に反転した一対の322・322を両端部に有している。反転片322は、抜け止め用の台形台状のランス32aを先端部に有している(図3又は図6参照)。ランス32aは、FPC1fの第1凹部12fに係脱できる(図1又は図2参照)。
図11(A)又は図11(B)を参照して、金属カバー4の主面板41がハウジング1の第2凹部12を開いた状態では、一対のばね片41u・41uの隅部が一対の反転片322・322を押圧して、一対の反転片322・322を下面板32に向かって変位できる。そして、FPC収容室11にFPC1fを挿抜自在に、一対のランス32a・32aが降下する。
一方、図7又は図11(C)を参照して、金属カバー4の主面板41がハウジング1の第2凹部12を閉じた状態では、一対の反転片322・322は、下面板32から離間している。金属カバー4の主面板41がハウジング1の第2凹部12を閉じた状態では、一対のランス32a・32aが弾性復帰して、一対の第1凹部12f・12fに係止できる(図1又は図2参照)。そして、コネクタ10に対して、FPC1fを抜け止めできる。
実施形態によるコネクタ10は、ハウジング1の底面を覆う下面板32を有する金属シェル3と、ハウジング1の第2凹部12を開閉自在な主面板41を有する金属カバー4と、を備え、下面板32の先端部からU字状に反転する一対の反転片322・322を下面板32の両側部に配置し、これらの一対の反転片322・322の先端部に抜け止め用の台形台状のランス32aを設け、主面板41を開いた状態では、一対のランス32a・32aが降下して、FPC1fの着脱を容易とし、主面板41を閉じた状態では、一対のランス32a・32aが上昇復帰して、FPC1fの両側部に切り欠いた第1凹部12fに係止することでFPC1fの脱落が困難な構造とすることで、FPC用コネクタを低背化できる。
(ハウジングの構成)
次に、実施形態によるハウジング1の構成を説明する。図1から図8を参照すると、ハウジング1は、絶縁性を有している。非導電性の材料からなる合成樹脂を成形して、所望の形状の絶縁性のハウジング1を得ることができる。
図3又は図4を参照すると、ハウジング1は、一対の厚肉部1t・1tと略矩形の切り欠き部1cを有している。一対の厚肉部1t・1tは、FPC収容室11の開口11kの両端部を囲っている。切り欠き部1cは、FPC収容室11の開口11kの前縁から逃げている。なお、一対の厚肉部1t・1t及び切り欠き部1cの作用は、後述する。
又、図3又は図4を参照すると、ハウジング1は、一対の矩形の穴部1h・1hとU字状に穿設された一対の軸受部1u・1uを有している。これらの一対の穴部1h・1h及び軸受部1u・1uは、ハウジング1の両端部に形成している。
図3又は図4を参照すると、一対の穴部1h・1hには、金属カバー4の両端部に形成した一対のU字状のばね片41u・41uを導入できる。一対の軸受部1u・1uは、一対の回動軸41s・41sを支持できる。
(コンタクトの構成)
次に、実施形態によるコンタクト2の構成を説明する。図3又は図4及び図8を参照すると、コンタクト2は、導電性を有している。導電性の金属板を打ち抜き加工して、所望の形状の導電性のコンタクト2を得ることができる。コンタクト2は、加工の容易性や、ばね特性、導電性などを考慮すれば、例えば、銅合金が好ましく用いられるが、銅合金に限定されない。
図3又は図4及び図8を参照すると、コンタクト2は、その基端部がハウジング1に片持ち支持されている(図8参照)。又、コンタクト2は、その先端部をFPC収容室11の内部に配置している。そして、コンタクト2は、その先端部に接点2sを有している。接点2sは、FPC1fの導体パターン11fに接触できる(図1又は図2参照)。
又、図3又は図4及び図8を参照すると、コンタクト2は、リード部2rを基端部に有している。リード部2rは、プリント基板8pの一方の面81pにハンダ接合できる(図1又は図2参照)。つまり、実施形態によるコネクタ10は、プリント基板に表面実装できる表面実装型コネクタである。
(金属シェルの構成)
次に、実施形態による金属シェル3の構成を説明する。図3又は図4を参照すると、金属シェル3は、導電性を有している。導電性を有する金属製の展開板を打ち抜き加工又は折り曲げ加工して、所望の形状の導電性の金属シェル3を得ることができる。
図1又は図2を参照して、金属シェル3がハウジング1の他方の端部の上面、及び、ハウジング1の底面を覆うことで、FPC収容室11を電磁遮蔽できる。又、金属カバー4の主面板41がハウジング1の第2凹部12を閉じた状態では、FPC収容室11を電磁遮蔽できる。これにより、コンタクト2から電磁波が漏洩しないように、又は、コンタクト2に不要な電磁波を誘導しないように、FPC収容室11をシールドできる。
図1から図5を参照すると、一対の支持片32s・32sは、リード部32rを他端部に有している。これらのリード部32r・32rは、プリント基板8pの一方の面81pにハンダ接合できる(図1又は図2参照)。これにより、コネクタ10のハンダ接合強度を補強できる。
又、図1から図5を参照すると、下面板32は、三つのリード部33rを先端部から突出している。これらのリード部33rは、プリント基板8pの一方の面81pにハンダ接合できる(図1又は図2参照)。これにより、コネクタ10のハンダ接合強度を補強できる。
図3又は図4及び図5(E)又は図8を参照すると、下面板32は、三つの板ばね片321を有している。板ばね片321は、下面板32に片持ち支持されている。FPC1fをFPC収容室11に挿入した状態では、三つの板ばね片321は、コンタクト2の接点2sに向けて、FPC1fを押圧できる。
図3又は図6及び図7を参照すると、下面板32は、基端部に向かってU字状に反転した一対の反転片322・322を両端部に有している。図7又は図11(C)を参照して、金属カバー4の主面板41がハウジング1の第2凹部12を閉じた状態では、一対の反転片322・322は、下面板32から離間している。
一方、図11(A)又は図11(B)を参照して、金属カバー4の主面板41がハウジング1の第2凹部12を開いた状態では、一対のばね片41u・41uの隅部が一対の反転片322・322を押圧して、一対の反転片322・322を下面板32に向かって変位できる。
図3又は図6及び図7を参照すると、反転片322は、抜け止め用の台形台状のランス32aを先端部に有している。ランス32aは、第1斜面壁323と第2斜面壁324を有している(図7参照)。第1斜面壁323は、反転片322の先端に向かって上り傾斜している。又、第2斜面壁324は、反転片322及び第1斜面壁323と連続している(図7参照)。つまり、ランス32aは、反転片322の一部が打ち出し成形されている。これより、ランス32aの撓み強度を補強できる。
一方、図1又は図2を参照すると、FPC1fは、一対の第1凹部12f・12fを端末の両側部に有している。図12(A)又は図12(B)を参照して、金属カバー4の主面板41がハウジング1の第2凹部12を開いた状態では、一対のばね片41u・41uが一対の反転片322・322の隅部に押圧されて、一対のランス32a・32aは、下面板32に向かって変位している。
図12(B)に示した状態では、FPC1fは、一対のランス32a・32aを通過して、FPC収容室11に挿入できる。図12(B)に示した状態から図12(C)に示すように、金属カバー4の主面板41がハウジング1の第2凹部12を閉じた状態では、一対のランス32a・32aが弾性復帰して、一対の第1凹部12f・12fに係止できる(図1又は図2参照)。そして、コネクタ10に対して、FPC1fを抜け止めできる。
(金属カバーの構成)
次に、実施形態による金属カバー4の構成を説明する。図3又は図4を参照すると、金属カバー4は、導電性を有している。導電性を有する金属製の展開板を打ち抜き加工又は折り曲げ加工して、所望の形状の導電性の金属カバー4を得ることができる。
図3又は図4を参照して、主面板41は、ハウジング1の第2凹部12の深さ程度の板厚を有することが好ましく、主面板41がハウジング1の第2凹部12を閉じた状態では、ハウジング1の上面と主面板41の上面が面一になることが好ましい。
図3又は図4を参照して、一対の回動軸41s・41sは、前述した展開板の一部を円筒状に成形することが好ましく、金属カバー4を生産性よく製造できる。しかし、円筒状の回動軸41sを金属カバー4の両端部に溶接などで接合することを排除しない。
図3又は図4を参照して、主面板41は、密着曲げした重ね板411を一方の端部に有しているので、重ね板411の部位は、板厚が2倍になっている。そして、曲げ強度は、板厚の3乗に比例するので、重ね板411の曲げ強度は、主面板41の曲げ強度の8倍になっている。
図1又は図2及び図5を参照すると、一対の回動軸41s・41sは、ハウジング1の厚さを超えることなく、ハウジング1の厚さ方向の略中間部に支持されている。
図1から図8を参照すると、実施形態によるコネクタ10は、ハウジング1の第2凹部12を開閉自在な主面板41を有する金属カバー4を備え、金属カバー4は、相反する向きに突出する一対の円筒状の回動軸41s・41sを有し、これらの回動軸41s・41sは、ハウジング1の厚さを超えることなく、ハウジング1の厚さ方向の略中間部に支持されているので、ハウジング1の第2凹部12の中央部を撓ませることなく、コネクタ10を低背化できる。
[FPC用コネクタの作用]
次に、実施形態によるコネクタ10の動作を説明しながら、コネクタ10の作用及び効果を説明する。
図9は、前記実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す図であり、図9(A)は、FPC用コネクタにFPCを装着した状態を示す平面図、図9(B)は、FPC用コネクタにFPCを装着した状態を示す右側面図、図9(C)は、FPC用コネクタにFPCを装着した状態を示す斜視図である。
図10は、前記実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す右側面図であり、図10(A)は、金属カバーを開いてFPCを挿入する前の状態図、図10(B)は、金属カバーを開いてFPCを挿入した状態図、図10(C)は、FPCを挿入して金属カバーを閉じた状態図である。
図11は、前記実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す縦断面図であり、図11(A)は、金属カバーを開いてFPCを挿入する前の状態図、図11(B)は、金属カバーを開いてFPCを挿入した状態図、図11(C)は、FPCを挿入して金属カバーを閉じた状態図である。
図12は、前記実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す縦断面図であり、図12(A)は、金属カバーを開いてFPCを挿入する前の状態図、図12(B)は、金属カバーを開いてFPCを挿入した状態図、図12(C)は、FPCを挿入して金属カバーを閉じた状態図である。
図1又は図2を参照して、プリント基板8pの一方の面81pと略平行な水平方向から、FPC1fの端末をコネクタ10の開口11kに挿入することで、複数のコンタクト2を介して、FPC1fの端末に露出された導体パターン11fとプリント基板8pのパターンを電気的に接続できる。実施形態によるコネクタ10は、「水平取付形コネクタ」ということもできる。
図10(A)又は図11(A)を参照して、金属カバー4の主面板41がハウジング1の第2凹部12を開いた状態では、一対のばね片41u・41uが一対の反転片322・322の隅部に押圧されて、一対のランス32a・32aは、下面板32に向かって変位している。
又、図12(A)を参照して、金属カバー4の主面板41がハウジング1の第2凹部12を開いた状態では、一対のばね片41u・41uが一対の反転片322・322の隅部に押圧されて、一対のランス32a・32aは、下面板32に向かって変位している。
図11(A)又は図12(A)に示すように、金属カバー4を開いた状態では、FPC収容室11の開口11kに向かって(図1参照)、FPC1fをFPC収容室11に挿入できる。図8を参照して、コンタクト2の接点2sとFPC収容室11の底面とは、FPC1fの厚さ未満に離反している。そして、実施形態によるコネクタ10は、FPC1fの厚みを利用して、FPC1fを挿抜できることから、いわゆる、NON−ZIF(Zero Insertion Force)タイプのFPC用コネクタを構成している。
実施形態によるコネクタ10は、主面板41を開いた状態では、一対のランス32a・32aが降下して、FPC1fの着脱を容易とし、主面板41を閉じた状態では、一対のランス32a・32aが上昇復帰して、FPC1fの両側部に切り欠いた第1凹部12fに係止することでFPC1fの脱落が困難な構造とすることで、FPC用コネクタを低背化できる。
図13から図17を参照して、従来技術によるコネクタ9は、FPC9fをスロット91kに挿入することで、爪片93nが降下した後に弾性復帰して、コネクタ9に対して、FPC9fを抜け止めしていた。一方、コネクタ9に対して、FPC9fを引き抜く場合は、一対の解除ボタン94・94を指などで押下している。
図13から図17を参照して、従来技術によるコネクタ9は、一対の解除ボタン94・94を昇降自在に保持するために、ハウジング91の厚さを厚くしているという問題があった。又、従来技術によるコネクタ9は、一対の解除ボタン94・94を操作した状態で、FPC9fを引き抜く必要があるので、不便であるという問題があった。
一方、実施形態によるコネクタ10は、主面板41を開いた状態では、一対のランス32a・32aが降下して、FPC1fの着脱を容易である。又、主面板41を閉じた状態では、一対のランス32a・32aが上昇復帰して、FPC1fの両側部に切り欠いた第1凹部12fに係止することでFPC1fの脱落が困難である。実施形態によるコネクタ10は、FPCを引き抜くための解除ボタンを必要とせず、低背化できる。又、実施形態によるコネクタ10は、FPCを引き抜くための操作が容易である。
図11(B)又は図12(B)に示すように、FPC1fの端末をFPC収容室11に挿入した状態では、コンタクト2の接点2sは、FPC1fの導体パターン11fに接触できる(図1又は図8参照)。
図11(B)又は図12(B)に示した状態では、複数のコンタクト2の接点2sは、FPC1fの幅方向に沿って、等分布荷重を付勢している。しかし、複数のコンタクト2の先端部は、ハウジング1の上面で押さえられているので、複数の接点2sの反力で、ハウジング1の第2凹部12の中央部が撓む心配がある。つまり、複数の接点2sは、それらの中央部の接触力が不足する心配がある。
図11(C)又は図12(C)に示すように、金属カバー4の主面板41がハウジング1の第2凹部12を閉じた状態では、第2凹部12を主面板41で押さえているので、ハウジング1の第2凹部12の中央部が撓む心配が無くなる。つまり、複数の接点2sは、略均一の接触力でFPC1fの導体パターン11fに接触できる。
このように、実施形態によるコネクタ10は、コネクタ10を低背化して、ハウジング1の中央部の撓みを抑制している。又、実施形態によるコネクタ10は、FPCの着脱が容易であるという利点がある。
更に、実施形態によるコネクタ10は、図12(C)に示すように、金属カバー4の主面板41がハウジング1の第2凹部12を閉じた状態では、一対のランス32a・32aが弾性復帰して、一対の第1凹部12f・12fに係止でき(図1又は図2参照)、コネクタ10に対して、FPC1fを抜け止めできるという利点もある。
又、図9を参照すると、実施形態によるコネクタ10は、一対の厚肉部1t・1tでFPC1fの両側部を囲っているので、FPC1fを上方に引き回したときに、応力が集中する開口11kの両端部の破損を防止できる(図1参照)。又、FPC1fを上方に引き回したときに、FPC1fが膨らむので、開口11kの前縁から逃げる略矩形の切り欠き部1cを設けることで、開口11kの両端部の破損を防止できる(図3参照)。
このように、実施形態によるコネクタ10は、FPCの引き回しに起因するハウジングの破損を防止できるという利点がある。
図10(C)又は図11(C)及び図12(C)に示した状態から、重ね板411を把持して、主面板41を時計方向に回動することで、一対の反転片322・322を下面板32に向かって変位できる(図12(B)参照)。そして、コネクタ10からFPC1fを引き抜くことができる。