JP6565392B2 - (メタ)アクリル樹脂溶液 - Google Patents

(メタ)アクリル樹脂溶液 Download PDF

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本発明は、(メタ)アクリル樹脂溶液に関する。
(メタ)アクリル樹脂溶液は、(メタ)アクリル樹脂が溶媒に溶解してなる溶液であり、これを基材上に塗布し、乾燥させて、基材上に(メタ)アクリル樹脂層を形成するために広く用いられている。
このような(メタ)アクリル樹脂溶液は、これを構成する(メタ)アクリル樹脂の種類や、添加する添加剤により、例えば粘着剤層、接着剤層、表面保護層などの様々な種類の(メタ)アクリル樹脂層を形成することができる。添加剤としては、例えば(メタ)アクリル樹脂として架橋剤と架橋しうるものを用いた場合には、架橋剤が挙げられる。架橋剤と架橋しうる(メタ)アクリル樹脂を用い、架橋剤を添加することで、より剛性の高い(メタ)アクリル樹脂層を得ることができる。表面抵抗の小さな(メタ)アクリル樹脂層を得る目的や、あるいは(メタ)アクリル樹脂として架橋剤と架橋しうるものを用いた場合には架橋を促進する目的で架橋剤と共に、弱酸と強塩基とからなるイオン性化合物を添加することもある〔非特許文献1〕。
しかし、弱酸と強塩基とからなるイオン性化合物は、(メタ)アクリル樹脂溶液中で析出して沈殿物を生じ易いという問題があった。イオン化合物の沈殿物が生じてしまうと、(メタ)アクリル樹脂溶液から形成される(メタ)アクリル樹脂層は平滑性、均一性などに劣るものとなり易い。
「工業化学雑誌」第69巻第9号第1876頁〜第1881頁
そこで本発明者は、イオン性化合物の沈殿物が生じにくい(メタ)アクリル樹脂溶液を開発するべく鋭意検討した結果、更に有機カルボン酸を含むことで、沈殿物が生じにくくなることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A−1)に由来する構成単位を含む重合体である(メタ)アクリル樹脂(A)、弱酸と強塩基とからなるイオン性化合物(B)および有機カルボン酸(C)を含有することを特徴とする(メタ)アクリル樹脂溶液を提供するものである。
本発明の(メタ)アクリル樹脂溶液は、これに含まれる弱酸と強塩基とからなるイオン性化合物(B)の沈殿物が生じにくい。このため、本発明の(メタ)アクリル樹脂溶液を基材上に塗布し、乾燥させて得られる(メタ)アクリル樹脂層は、より平滑性および均一性の高いものとなる。
以下、本発明を詳細に説明する。
〔(メタ)アクリル樹脂(A)〕
本発明の(メタ)アクリル樹脂溶液は、(メタ)アクリル樹脂(A)を含有する。(メタ)アクリル樹脂(A)は、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A−1)に由来する構成単位を含む重合体である。
なお、本発明においては、「メタクリル」および「アクリル」を総称して「(メタ)アクリル」と称し、「(メタ)アクリル樹脂」とは「メタクリル樹脂」および「アクリル樹脂」を、「(メタ)アクリル酸」とは「メタクリル酸」および「アクリル酸」をそれぞれ意味する。
〔(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A−1)〕
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A−1)〔以下、単量体(A−1)と略称することがある。〕としては、例えば式(I)
Figure 0006565392
で示される単量体が挙げられる。
式(I)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。Rは、炭素数1〜14のアルキル基を表す。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A−1)としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ラウリルの如きアクリル酸直鎖アルキルエステル、
アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸イソオクチルのアクリル酸分枝アルキルエステル、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ラウリルの如きメタクリル酸直鎖アルキルエステル、
メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソオクチルの如きメタクリル酸分枝アルキルエステルなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で、または2種以上を組合わせて用いられる。
これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A−1)の中でも、例えばアクリル酸n−ブチルなどのアクリル酸直鎖アルキルエステルが好ましい。
(メタ)アクリル樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A−1)に由来する構成単位を主体とする重合体、具体的には単量体(A−1)に由来する構成単位を50重量%以上の割合で含む重合体であることが好ましく、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A−1)に由来する構成単位のみからなり、その含有量が100重量%である重合体であってもよいが、通常は単量体(A−1)と共重合しうる単量体に由来する構成単位を有するものが用いられる。なお、単量体(A−1)に由来する構成単位の含有量は、(メタ)アクリル樹脂(A)を基準とする重量基準の含有量(重量%)である。
〔分子内に水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(A−2)〕
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A−1)と共重合しうる単量体としては、例えば分子内に水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(A−2)〔以下、単量体〔A−2〕と略称することがある。〕が挙げられる。単量体(A−2)を用いることにより、(メタ)アクリル樹脂中に架橋剤と反応し得る反応点が付与されて、架橋剤と架橋し得る(メタ)アクリル樹脂(A)とすることができる。
分子内に水酸基を有するアクリル単量体(A−2)としては、例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で、または2種以上を組合わせて用いられる。分子内に水酸基を有するアクリル単量体(A−2)として好ましくは、例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチルである。
(メタ)アクリル樹脂(A)が分子内に水酸基を有するアクリル単量体(A−2)に由来する構成単位を含む場合、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A−1)に由来する構成単位の含有量は通常50重量%以上、好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、通常100重量%未満、好ましくは99.9重量%以下、更に好ましくは99.5重量%以下であり、単量体(A−2)に由来する構成単位の含有量は通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下、更に好ましくは30重量%以下、好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上である。(メタ)アクリル樹脂(A)が、単量体(A−1)および単量体(A−2)をこのような割合で含有することにより、本発明の(メタ)アクリル樹脂溶液がさらに架橋剤を含有する場合には、本発明の(メタ)アクリル樹脂用液を基材上に塗布し、乾燥して得られる(メタ)アクリル樹脂層として架橋された層を形成することができる。なお、単量体〔A−2〕に由来する構成単位の含有量は、(メタ)アクリル樹脂(A)を基準とする重量基準の含有量(重量%)である。
〔分子内に芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体(A−3)〕
(メタ)アクリル酸エステル(A−1)と共重合しうる単量体として、分子内に芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体(A−3)〔以下、単量体(A−3)と略称することがある。〕も挙げられる。単量体(A−3)としては、例えば式(II)
Figure 0006565392
で示される単量体が挙げられる。
式(II)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。Rはアリール基を表し、例えばフェニル基、ベンジル基、ナフチル基などが挙げられ、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基などの核アルキル置換フェニル基、ビフェニル基、トリフェニル基なども挙げられる。Xは単結合を表すか、または−(CO)−で示される2価の残基を表し、ここでnは1〜4の整数、好ましくは1または2を表す。
分子内に芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体(A−3)としては、例えばアクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸2−(2−フェノキシエトキシ)エチル、エチレンオキサイド変性ノニルフェノールのアクリル酸エステル、アクリル酸2−(4−ビフェニリル)エチル、
メタクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−(2−フェノキシエトキシ)エチル、エチレンオキサイド変性ノニルフェノールのメタクリル酸エステル、メタクリル酸2−(4−ビフェニリル)エチルなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
これらの単量体(A−3)の中でも、アクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸2−(2−フェノキシエトキシ)エチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−(2−フェノキシエトキシ)エチルが好ましく用いられる。
分子内に芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体(A−3)を用いる場合、(メタ)アクリル樹脂(A)における単量体(A−3)に由来する構成単位の含有量は、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上であり、通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下である。
〔他の単量体〕
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A−1)と共重合しうる単量体として、上記単量体(A−2)および単量体(A−3)の他の単量体も挙げられ、例えば分子内にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体、分子内に極性官能基を有する不飽和単量体、分子内に脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸単量体、スチレン系単量体、ビニル系単量体、(メタ)アクリルアミド誘導体、分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有する単量体も挙げられる。ここで「(メタ)アクリロイル基」とは、「メタクリロイル基」および「アクリロイル基」を意味する。
分子内にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えばアクリル酸、アクリル酸2−カルボキシエチル、アクリル酸3−カルボキシプロピル、アクリル酸4−カルボキシブチル、メタクリル酸、メタクリル酸2−カルボキシエチル、メタクリル酸3−カルボキシプロピル、メタクリル酸4−カルボキシブチルなどが挙げられる。
分子内に極性官能基を有する不飽和単量体とは、単量体(A−1)、単量体(A−2)および上記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の化合物であって、極性官能基を有する不飽和単量体のことである。極性官能基としては、例えばエポキシ環をはじめとする複素環基が上げられる。このような分子内に極性官能基を有する不飽和単量体としては、例えばアクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、ビニルカルバゾール、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。
分子内に脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸単量体における脂環式構造とは、炭素数が、通常5以上、好ましくは5〜7程度のシクロパラフィン構造である。分子内に脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸単量体としては、例えばアクリル酸イソボルニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸シクロドデシル、アクリル酸メチルシクロヘキシル、アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸tert−ブチルシクロヘキシル、α−エトキシアクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシルフェニル、
メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸シクロドデシル、メタクリル酸メチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸tert−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシルフェニルなどが挙げられる。
スチレン系単量体としては、例えばスチレンのほか、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレンの如きアルキルスチレン、
フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレンの如きハロゲン化スチレン、
ニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
ビニル系単量体としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニルの如き脂肪酸ビニルエステル、
塩化ビニル、臭化ビニルの如きハロゲン化ビニル、
塩化ビニリデンの如きハロゲン化ビニリデン、
ビニルピリジン、ビニルピロリドンの如き含窒素芳香族ビニル、
ブタジエン、イソプレン、クロロプレンの如き共役ジエン単量体、
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド誘導体としては、例えばN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(5−ヒドロキシペンチル)(メタ)アクリルアミド、N−(6−ヒドロキシヘキシル)(メタ)アクリルアミド、N−(メトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(エトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(プロポキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、 N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリルアミド、N−〔2−(2−オキソ−1−イミダゾリジニル)エチル〕(メタ)アクリルアミド、2−アクリロイルアミノ−2−メチル−1−プロパンスルホン酸などが挙げられる。
分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有する単量体としては、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの如き分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの如き分子内に3個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体などが挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂(A)が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A−1)および、これと共重合しうる単量体の共重合体である場合、単量体(A−1)に由来する構成単位の含有量は通常50重量%以上であり、単量体(A−1)と共重合しうる単量体に由来する構成単位の含有量は、通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下である。
〔(メタ)アクリル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)〕
(メタ)アクリル樹脂(A)の分子量は、その用途に適したものが選択され、(メタ)アクリル樹脂溶液を構成しうるものであれば限定されるものではない。例えば本発明の(メタ)アクリル樹脂溶液を用いて(メタ)アクリル樹脂層として粘着剤層を形成する場合には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で50万〜200万、さらには50万〜180万の(メタ)アクリル樹脂(A)が好ましく用いられる。本発明の(メタ)アクリル樹脂溶液を基材上に塗布し、乾燥させて(メタ)アクリル樹脂層として粘着剤層を形成する場合には、(メタ)アクリル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)が50万以上であると、高温高湿下での接着力に優れた粘着剤層を形成することができる。また、基材として偏光板などの光学フィルムを用い、本発明の(メタ)アクリル樹脂溶液を光学フィルム上に塗布し、乾燥させて光学フィルム上に(メタ)アクリル樹脂層として粘着剤層を形成する場合に、(メタ)アクリル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)が200万以下であると、ガラス板などに貼合したときに温度変化などにより光学フィルムの寸法が変化しても、この寸法変化に容易に追随することのできる粘着剤層を形成することができる。
(メタ)アクリル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)と、GPCによる標準スチレン換算の数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)として表される分子量分布は、通常3〜7である。
〔(メタ)アクリル樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)〕
(メタ)アクリル樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、本発明の(メタ)アクリル樹脂溶液を用いて(メタ)アクリル樹脂層として粘着剤層を形成する場合には、粘着剤層を形成し易い点で、−10℃〜−60℃の範囲であることが好ましい。(メタ)アクリル樹脂(A)のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
〔(メタ)アクリル樹脂(A)の製造〕
(メタ)アクリル樹脂(A)は、例えば(メタ)アクリル樹脂(A)を構成する構成単位に相当する単量体を重合させることにより製造することができる。重合方法としては、例えば溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法などの通常の重合法が挙げられる。重合は通常、単量体に重合開始剤を添加し、重合させることにより行われる。
重合開始剤は、光の照射により分解して重合を開始する光重合開始剤であってもよいし、加熱されることにより分解して重合を開始する熱重合開始剤であってもよい。
熱重合開始剤としては、例えば2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2′−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)の如きアゾ化合物、
ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジプロピルパーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシピバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイドの如き有機過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、及び過酸化水素の如き無機過酸化物などが挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトンなどが挙げられる。
重合開始剤として、過酸化物と還元剤とを組合わせた、いわゆるレドックス開始剤も使用することができる。
重合開始剤の使用量は単量体の合計量100重量部当り通常0.001重量部〜5重量部である。
(メタ)アクリル樹脂(A)の製造方法として通常は、溶液中で単量体を重合させる溶液重合法が用いられる。溶液重合法により重合させるには、例えば有機溶媒中に単量体を溶解させ、窒素ガス雰囲気下で熱重合開始剤を添加し、熱重合開始剤の分解開始温度以上、例えば40℃〜90℃、好ましくは50℃〜80℃の温度で3時間〜15時間程度反応させる方法が挙げられる。重合反応を制御するために、有機溶媒に単量体や熱重合開始剤を連続的に添加してもよいし、間欠的に添加してもよい。単量体や熱重合開始剤はそのまま添加してもよいが、予め重合に用いる有機溶媒と同様の有機溶媒に溶解させた状態で添加してもよい。
溶液重合法に用いられる有機溶媒としては通常、単量体や熱重合開始剤を溶解し得、得られる(メタ)アクリル樹脂(A)をも溶解しうるものが適宜選択して用いられ、例えばトルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素、
酢酸エチル、酢酸ブチルの如きエステル、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールの如き脂肪族アルコール、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンの如きケトンなどが挙げられる。
溶液重合法により、有機溶媒に溶解した状態で(メタ)アクリル樹脂(A)を得ることができる。
〔弱酸と強塩基とからなるイオン性化合物(B)〕
イオン性化合物(B)は、弱酸と強塩基とからなる化合物である。イオン性化合物(B)を構成する弱酸としては、例えばカルボン酸末端を有する有機酸が挙げられ、具体的には、例えばカルボキシラートアニオンが挙げられる。
カルボキシラートアニオンとしては、例えば蟻酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、ヘプタン酸イオン、オクタン酸イオン、ラウリン酸イオンなどの直鎖飽和アルキルカルボキシラートイオン、
安息香酸、桂皮酸などの芳香族カルボキシラートアニオン、
ニコチン酸などのヘテロ環式構造を有するカルボキシラートイオン、コハク酸、フマル酸、フタル酸などのジカルボラートイオン、
2−2(2−エトキシ)エトキシカルボラートイオンなどのオキシエチレン骨格を有するカルボキシラートのアニオンなどが挙げられる。
これらの弱酸は、それぞれ単独であってもよいし、2種以上が組み合わされていてもよい。
強塩基としては、例えば金属イオン、ヘテロ環式構造を有するカチオンなどが挙げられる。
金属イオンとしては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオン、セシウムイオン、バリウムイオンなどのアルカリ土類金属イオンなどが挙げられる。
ヘテロ環式構造を有するカチオンとしては、例えばピロリニウムイオン、イミダゾリウムイオン、トリアゾニウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピリジニウムイオン、ピペリジニウムイオンなどが挙げられる。
これらのイオン性化合物(B)はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組合わせて用いてもよい。
弱酸と強塩基とからなるイオン性化合物(B)の含有量は、その目的により適宜選択され、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル樹脂(A)100重量部当りのイオン性化合物(B)の含有量で通常は0.0001重量部以上、好ましくは0.001重量部以上であり、通常は3重量部以下、好ましくは0.5重量部以下である。イオン性化合物(B)の含有量が0.0001重量部を下回るとイオン性化合物(B)の目的とする効果、例えば(メタ)アクリル樹脂層の表面抵抗を下げる効果や、架橋を促進する効果が十分に得られなくなる惧れがあるほか、有機カルボン酸(C)による効果を発揮し易い。3重量部を超えると、経済性の点で不利である。
〔有機カルボン酸(C)〕
本発明の(メタ)アクリル樹脂溶液は、上記の(メタ)アクリル樹脂(A)および上記イオン性化合物(B)と共に、有機カルボン酸(C)を含有する。有機カルボン酸(C)としては、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸などの直鎖アルキル鎖を有する1価のカルボン酸、
シュウ酸などの2価のカルボン酸、
クエン酸などの3価のカルボン酸などが挙げられ、それぞれ単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
有機カルボン酸(C)の中でも、(メタ)アクリル樹脂溶液を調製する際の取り扱いが容易であることから、25℃において液体であるか、または固体であるものが好ましく、液体である場合には、20℃に於ける蒸気圧が0.0013hPa(0.001mmHg)以上、さらには0.0040hPa(0.003mmHg)以上であることが好ましい。
また、有機カルボン酸(C)が25℃において液体である場合、有機カルボン酸の沸点が300℃を上回ると、本発明の(メタ)アクリル樹脂溶液の保管中や(メタ)アクリル樹脂層の形成するために基材上に塗布している間に有機カルボン酸(C)が揮発して、沈殿物を生じてしまう惧れがあることから、その沸点は通常300℃以下であり、好ましくは270℃以下、通常25℃以上、さらには70℃以上であることが好ましい。
弱酸と強塩基とのイオン性化合物(B)の含有量に対する有機カルボン酸(C)の含有量は重量比(C/B)で通常5〜2000である。重量比(C/B)が5以上であることで、イオン性化合物(B)の沈殿物の生成を効果的に抑制できる。重量比が2000を超えると、形成される(メタ)アクリル樹脂層に有機カルボン酸(C)が残留してしまう惧れがある。有機カルボン酸(C)が残存してしまうと、例えば(メタ)アクリル樹脂(A)の架橋反応を阻害する惧れがある。
本発明の(メタ)アクリル樹脂溶液は、添加剤、例えば架橋剤を含有していなくて、含有量が0(ゼロ)重量%であってもが、を含有していてもよい。添加剤としては、(メタ)アクリル樹脂(A)、イオン性化合物(B)および有機カルボン酸(C)以外の成分、例えば架橋剤、シラン化合物、帯電防止剤、耐候安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、染料、顔料などの着色剤、無機フィラー、紫外線硬化性化合物、(メタ)アクリル樹脂(A)以外の樹脂などが挙げられる。
本発明の(メタ)アクリル樹脂溶液は、これらの成分が溶媒に溶解してなるものである。溶媒として通常は(メタ)アクリル樹脂(A)を溶解しうるものが用いられ、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどの脂肪族アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトンなどが挙げられる。かかる溶媒の中でも、疎水性の溶媒の多くはイオン性化合物(B)の溶解性が低く、具体的には溶媒100重量部に対するイオン性化合物(B)の溶解度が例えば0.001重量部未満であり、イオン性化合物(B)の沈殿物を生じやすいので、このようなイオン性化合物(B)の沈殿物を生じやすい溶媒を用いる場合に、本発明は有効である。
溶媒の含有量は、用いる(メタ)アクリル樹脂(A)の種類、目的とする(メタ)アクリル樹脂層の厚みや、(メタ)アクリル樹脂を塗布する基材などに応じて塗布し易い濃度が適宜選択されるが、通常は(メタ)アクリル樹脂溶液から溶媒等の揮発成分を除いた固形分に対して2重量倍〜20重量倍の範囲である。例えば溶媒の含有量が多いと、得られる(メタ)アクリル樹脂層の厚みを薄くすることが容易となり、溶媒の含有量が少ないと、得られる(メタ)アクリル樹脂層の厚みを厚くすることが容易となる。
〔(メタ)アクリル樹脂溶液の製造〕
本発明の(メタ)アクリル樹脂溶液は、溶媒中で(メタ)アクリル樹脂(A)、弱酸と強塩基とからなるイオン性化合物(B)および有機カルボン酸(C)を混合することにより製造することができる。具体的には、例えば以下の方法(1)〜方法(2)が挙げられる。
方法(1):(メタ)アクリル樹脂(A)が溶媒に溶解している溶液に、イオン性化合物(B)および有機カルボン酸(C)を同時に添加する方法が挙げられる。このときイオン性化合物(B)および有機カルボン酸(C)はそのままで添加してもよいし、予め溶媒に溶解または分散させた状態で添加してもよい。
方法(2):(メタ)アクリル樹脂(A)が溶媒に溶解している溶液に、イオン性化合物(B)を添加し、次いで有機カルボン酸(C)を添加する方法も挙げられる。このとき、イオン性化合物(B)は、そのまま添加してもよいし、予め溶媒に溶解または分散させた状態で添加してもよく、有機カルボン酸(C)はそのまま溶液に添加してもよいし、予め溶媒に溶解または分散させた状態で添加してもよい。
方法(3):(メタ)アクリル樹脂(A)が溶媒に溶解している溶液に、有機カルボン酸(C)を添加し、次いでイオン性化合物(B)を添加してもよい。このとき、有機カルボン酸(C)はそのまま溶液に添加してもよいし、予め溶媒に溶解または分散させた状態で添加してもよく、イオン性化合物(B)は、そのまま添加してもよいし、予め溶媒に溶解または分散させた状態で添加してもよい。
上記の各方法において、(メタ)アクリル樹脂(A)が溶解している溶液は、(メタ)アクリル樹脂(A)を溶媒に溶解させることにより調製したものを用いてもよいし、例えば溶液重合法により(メタ)アクリル樹脂(A)を得た場合には、重合反応後の反応混合物をそのまま用いてもよい。
このようにして調製した(メタ)アクリル樹脂溶液は、さらに溶媒を添加して目的の濃度となるまで希釈してもよい。
〔(メタ)アクリル樹脂層の形成〕
本発明の(メタ)アクリル樹脂溶液を用いて(メタ)アクリル樹脂層を形成するには、例えば基材上に本発明の(メタ)アクリル樹脂溶液を塗布し、乾燥させればよい。基材上に本発明の(メタ)アクリル樹脂溶液を塗布し、乾燥させることにより、基材上に(メタ)アクリル樹脂層が形成されて、基材上にこの(メタ)アクリル樹脂層が形成された(メタ)アクリル樹脂層付き基材を製造することができる。
(メタ)アクリル樹脂(A)として架橋剤と架橋反応し得るものを用い、添加剤として架橋剤を添加した場合には、通常は(メタ)アクリル樹脂層を構成する(メタ)アクリル樹脂(A)をさらに架橋させる。架橋させることで、より剛性の高い(メタ)アクリル樹脂層を形成することができる。基材上に形成される(メタ)アクリル樹脂層は、本発明の(メタ)アクリル樹脂溶液から形成される層である。
このようにして形成される(メタ)アクリル樹脂層としては、用いる(メタ)アクリル樹脂(A)により、例えば粘着剤層、接着剤層、表面保護層などが挙げられる。
基材上にこのような(メタ)アクリル樹脂層が形成された(メタ)アクリル樹脂層付基材としては、例えば基材が紙であり、その片面に(メタ)アクリル樹脂層として粘着剤層が形成された付箋が挙げられる。このとき、(メタ)アクリル樹脂溶液しては、粘着剤層を形成しうるものが用いられる。
また、(メタ)アクリル樹脂層付基材として、基材が光学フィルムであり、その片面または両面に(メタ)アクリル樹脂層として粘着剤層が形成された粘着剤層付光学フィルムも挙げられる。基材として用いられる光学フィルムとしては、例えば偏光板、位相差板などが挙げられる。偏光板は、その吸収軸に直交する直線偏光成分はそのまま透過し、平行な振動面を有する直線偏光成分は吸収する光学フィルムであり、例えば液晶表示装置を構成するガラス製液晶セルの表裏両面に、互いの吸収軸が直交するように貼合されて用いられるものである。また、偏光板は、有機EL装置の片面に貼合して用いられる。
以下、実施例により本発明を拠り詳細に説明する。
なお、以下の実施例において「重量部」は「部」と、「重量%」は「%」とそれぞれ省略して記すことがある。
〔重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)の測定〕
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、カラムとして東ソー(株)製「TSK gel XL」4本および昭和電工(株)製「Shodex GPC KF-802」1本をこの順で直列に接続し、溶出液としてテトラヒドロフランを用い、試料濃度5mg/mL、試料導入量100μL、温度40℃、流速1mL/分の条件で、標準ポリスチレン換算で求めた。
〔重合例1〕((メタ)アクリル樹脂1の調製)
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた反応容器に、溶媒としての酢酸エチル81.8部、単量体(A−1)としてのアクリル酸ブチル70.4部及びアクリル酸メチル20.0部、単量体(A−2)としてのアクリル酸2−ヒドロキシエチル1.0部、単量体(A−3)としてのアクリル酸2−フェノキシエチル8.0部、並びにその他のモノマーとしてアクリル酸0.6部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に上げた。その後、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)0.14部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。開始剤の添加した後1時間この温度で保持し、次いで内温を54〜56℃に保ちながら酢酸エチルを添加速度17.3部/hrで反応容器内へ連続的に加え、アクリル樹脂の濃度が35%となった時点で酢酸エチルの添加を止め、さらに酢酸エチルの添加開始から12時間経過するまでこの温度で保温した。最後に酢酸エチルを加えて(メタ)アクリル樹脂1の濃度が20%となるように調節して、(メタ)アクリル樹脂1の溶液(酢酸エチル溶液)を調製した。得られた(メタ)アクリル樹脂1のGPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは140万であり、Mw/Mnは4.3であった。
〔重合例2〕((メタ)アクリル樹脂2の溶液の調製)
重合例1で用いたと同じ反応容器に、溶媒としての酢酸エチル81.8部、単量体(A−1)としてのアクリル酸ブチル54.0部及びアクリル酸メチル35.0部、単量体(A−2)としてのアクリル酸2−ヒドロキシエチル3.0部並びに単量体(A−3)としてのアクリル酸2−フェノキシエチル8.0部の混合溶液を仕込んだこと以外は重合例1と同様の方法により、(メタ)アクリル樹脂2の溶液(酢酸エチル溶液)を調製した。得られた(メタ)アクリル樹脂のGPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは147万であり、Mw/Mnは3.5であった。
以上の重合例1および重合例2における単量体組成、得られた(メタ)アクリル樹脂1および(メタ)アクリル樹脂2の重量平均分子量Mw、分子量分布Mw/Mnを表1にまとめた。表中、単量体組成の欄にある符号は、それぞれ次の単量体を意味する。
単量体(A−1)
BA :アクリル酸ブチル
MA :アクリル酸メチル
単量体(A−2)
HEA :アクリル酸2−ヒドロキシエチル
単量体(A−3)
PEA :アクリル酸2−フェノキシエチル
その他モノマー
AA :アクリル酸
Figure 0006565392
〔弱酸と強塩基からなるイオン性化合物(B)〕
イオン性化合物(B)として以下の化合物をそれぞれ準備した。
酢酸ナトリウム:和光純薬工業(株)から入手した。
オクタン酸ナトリウム:和光純薬工業(株)から入手した。
酢酸カリウム:和光純薬工業(株)から入手した。
p−tBu安息香酸ナトリウム:和光純薬工業(株)から入手したp−t−ブチル安息香酸ナトリウムを用いた。
ニコチン酸ナトリウム:東京化成工業(株)から入手した。
酢酸セシウム:東京化成工業(株)から入手した。
酢酸バリウム:シグマアルドリッチジャパンから入手した。
〔有機カルボン酸(C)〕
有機カルボン酸(C)として以下の化合物を準備した。
酢酸 :蒸気圧15.2hPa(11.4mmHg)(20℃)、沸点97℃、
和光純薬工業(株)から入手した。
アクリル酸:蒸気圧4.1hPa(3.1mmHg)(20℃)、沸点142℃、
(株)日本触媒から入手した。
オクタン酸:蒸気圧0.0053hPa(0.004mmHg)(20℃)、
沸点237℃
和光純薬工業(株)から入手した。
実施例1
重合例1で得た(メタ)アクリル樹脂1の溶液と、表2に示すイオン性化合物(B)(酢酸ナトリウム)および有機カルボン酸(C)(酢酸)とを混合し、固形分濃度が14%となるようにメチルエチルケトンにより希釈して、(メタ)アクリル樹脂溶液を調製した。なお、表2におけるイオン性化合物(B)および有機カルボン酸(C)の使用量は、(メタ)アクリル樹脂1の溶液中の固形分100部当りの使用量である。
調製直後と、室温で24時間保存した後の(メタ)アクリル樹脂溶液をそれぞれ目視で確認して以下の基準で保存安定性を評価したところ、イオン性化合物(B)〔酢酸ナトリウム〕の細かな凝集物が観察されたが液中で均一に分散していた。また、沈殿物は確認されなかった〔評価結果は○〕。評価結果を表2に示す。
◎:イオン性化合物(B)は完全に溶解しており、沈殿物や凝集物は確認できない。
○:イオン性化合物(B)の細かな凝集物が観察されたが、液中で均一に分散されてお
り、また沈殿物は確認できなかった。
×:イオン性化合物(B)が析出して沈殿物が確認された。
得られた(メタ)アクリル樹脂溶液を基材に塗布し、乾燥することにより(メタ)アクリル樹脂層を形成することができる。形成される(メタ)アクリル樹脂層は、イオン性化合物(B)の沈殿物に起因する凹凸や不均一性のない、平坦で均一な層となる。
実施例2〜実施例4
イオン性化合物(B)(酢酸ナトリウム)および有機カルボン酸(C)(酢酸)の使用量を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に操作して(メタ)アクリル樹脂溶液を得、評価した。結果を表2に示す。
比較例1
有機カルボン酸(C)を使用しなかった以外は実施例1と同様に操作して(メタ)アクリル樹脂溶液を得た。調製直後と、室温で24時間保存した後の(メタ)アクリル樹脂溶液をそれぞれ目視で確認したところ、いずれもイオン性化合物(B)の沈殿物が観察された〔評価結果は×〕。評価結果を表2に示す。
得られた(メタ)アクリル樹脂溶液を基材に塗布し、乾燥することにより(メタ)アクリル樹脂層を形成すると、形成される(メタ)アクリル樹脂層は、層内にイオン性化合物(B)の沈殿物を含むものとなる。
実施例5〜実施例7
イオン性化合物(B)(酢酸ナトリウム)および有機カルボン酸(C)(酢酸)の使用量を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に操作して(メタ)アクリル樹脂溶液を得た。評価結果を表2に示す。
実施例8
(メタ)アクリル樹脂1の溶液に代えて重合例2で得た(メタ)アクリル樹脂2の溶液を用い、有機カルボン酸(C)(酢酸)の使用量を表2のとおりとした以外は実施例1と同様に操作して(メタ)アクリル樹脂溶液を得た。評価結果を表2に示す。
実施例9〜実施例14および比較例2〜比較例7
イオン性化合物(B)および有機カルボン酸(C)としてそれぞれ表2に記載の化合物を表2に記載の使用量で使用した以外は実施例1と同様に操作して(メタ)アクリル樹脂溶液を得た。評価結果を表2に示す。
Figure 0006565392

Claims (7)

  1. (メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A−1)に由来する構成単位を含む重合体である(メタ)アクリル樹脂(A)、弱酸と強塩基とからなるイオン性化合物(B)および有機カルボン酸(C)を含有することを特徴とする(メタ)アクリル樹脂溶液であって、
    前記イオン性化合物(B)の含有量に対する前記有機カルボン酸(C)の含有量が重量比(C/B)で5〜2000である(メタ)アクリル樹脂溶液。
  2. 前記(メタ)アクリル樹脂(A)が、更に水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(A−2)に由来する構成単位を含む重合体である請求項1に記載の(メタ)アクリル樹脂溶液。
  3. 前記(メタ)アクリル樹脂(A)100重量部当りの前記イオン性化合物(B)の含有量が0.0001重量部以上0.5重量部以下である請求項1又は請求項2に記載の(メタ)アクリル樹脂溶液。
  4. 前記イオン性化合物(B)を構成する弱酸がカルボキシラートアニオンである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の(メタ)アクリル樹脂溶液。
  5. 前記有機カルボン酸(C)の20℃における蒸気圧が0.0013hPa以上である請求項1〜請求項4のいずれかに記載の(メタ)アクリル樹脂溶液。
  6. 基材上に(メタ)アクリル樹脂層が形成された(メタ)アクリル樹脂層付き基材を製造する方法であり、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の(メタ)アクリル樹脂溶液を基材上に塗布し、乾燥させることを特徴とする前記(メタ)アクリル樹脂層付き基材の製造方法。
  7. 基材上に請求項1〜請求項のいずれかに記載の(メタ)アクリル樹脂溶液から形成される(メタ)アクリル樹脂層が形成されてなる(メタ)アクリル樹脂層付き基材。
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