JP6563737B2 - 体位固定シェルおよび体位固定シェルシステム - Google Patents

体位固定シェルおよび体位固定シェルシステム Download PDF

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Description

本発明は、放射線治療等において患者の頭部あるいは頭頸部を移動しないように固定するために用いる体位固定シェルおよび体位固定シェルシステムに関する。
患者、被験者の頭部等を固定するために用いる体位固定シェルは熱可塑性樹脂からなるネット状のシート素材から形成されている。治療台等の天板に固定したベースプレートに患者等を載せ、熱を加えて軟化させた状態のシェルを患者の頭部に押し付けて型を取り、型取りした後のシェルを用いて患者の頭部等を、移動しないようにベースプレートに固定している。このような体位固定シェルシステムは非特許文献1に開示されている。
一般的に使用されている頭部あるいは頭頸部用の体位固定シェルシステムでは、頭部あるいは頭頸部を包むように型取りしたシェルを配置し、その両端縁を頭尾方向に延びる状態でベースプレートの側に固定している。また、肩部分まで延びる大きさのシェルを用いる場合には、肩部分を包むシェルの部分の左右の縁端部を、肩の両側の位置において、頭尾方向に延びる状態で、ベースプレートの側に固定している。これにより、放射線治療中等において、患者等の頭部あるいは頭頸部が移動しないように固定される。
"ESFORM製品紹介"、[online]、エンジニアリングシステム株式会社、[平成26年7月24日検索]、インターネット<URL:http://www.esform.com>
ここで、従来の頭部あるいは頭頸部固定用の体位固定シェルシステムには次のような解決すべき課題がある。すなわち、患者の頭部あるいは頭頸部はシェルによって移動しないように固定されているが、肩の部位は僅かではあるが移動させることができてしまう。患者が肩の部位を移動させると、これに繋がっている頭頸部も微小ではあるが移動してしまう。
頭頸部は、その幅方向の両側からシェルによって挟まれているので、幅方向への移動は阻止される。しかしながら、頭尾方向の移動を確実に防止できない。なお、シェルとして、頭部の左右の部位および上側の部位で、ベースプレートの側に固定されるU型固定シェルが知られている。U型固定シェルの場合であっても、患者が肩を頭尾方向に移動させようとすると、シェルによって固定されている頭部が頭尾方向、特に、尾側に移動するおそれがある。
本発明の課題は、このような点に鑑みて、肩部の移動に起因して頭部あるいは頭頸部の固定精度が低下するという弊害を防止可能な体位固定シェルおよび、当該体位固定シェルを用いた体位固定シェルシステムを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の体位固定シェルは、
熱を加えて軟化させた状態で前記ベースプレートに載せる患者あるいは被験者の頭部あるいは頭頸部に沿った形状に成形して当該頭部あるいは頭頸部を移動しないように前記ベ
ースプレートに固定するための熱可塑性樹脂製の固定用シェル部と、
熱を加えて軟化させた状態で前記患者あるいは被験者の左右の肩部に沿った形状に成形して当該肩部を頭尾方向に移動しないように前記ベースプレートに固定するための熱可塑性樹脂製の拘束用シェル部と、
を有していることを特徴としている。
本発明の体位固定シェルでは、拘束用シェル部によって患者等の肩の頭尾方向の移動が阻止される。したがって、肩の頭尾方向への移動に起因して、頭部あるいは頭頸部が頭尾方向に移動してしまい、固定シェルによる固定精度が低下するという弊害を解消できる。
患者等の肩が頭尾方向に移動しないように確実に拘束するために、前記拘束用シェル部は、前記ベースプレートに留め付ける左右一対の第1留め付け部および左右一対の第2留め付け部を備え、前記第1留め付け部のそれぞれは、前記肩部の頭尾方向の頭側において、前記ベースプレートに留め付けられ、前記第2留め付け部のそれぞれは、前記患者あるいは被験者の左右の脇下を通して、前記ベースプレートに留め付けられるようになっていることが望ましい。
例えば、前記第1留め付け部は、前記ベースプレートに対して、前記頭尾方向とは異なる方向に延びる状態に留め付けられる所定長さのシェル縁端部であり、前記第2留め付け部は、前記ベースプレートに対して、前記頭尾方向に延びる状態に留め付けられる所定長さのシェル縁端部である。
このように第1、第2留め付け部を配置すると、第1、第2留め付け部をベースプレートに取り付けた状態では、患者等の左右の肩が、頭尾方向の頭側から第1留め付け部に繋がっているシェル部分によって拘束され、患者等の脇下の部位が両側から第2留め付け部に繋がっているシェル部分によって拘束される。この結果、患者等の肩の頭尾方向への移動が確実に阻止される。
この場合、前記第1留め付け部は、前記ベースプレートに対して、前記頭尾方向に直交する幅方向を向く状態に留め付けるようにすることができる。
次に、前記固定用シェルおよび前記拘束用シェルは、一枚のシェルから形成することができる。
例えば、前記シェルは、成形前の平面展開状態において、前記固定用シェルとして機能する長方形部分と、前記長方形部分よりも頭尾方向に直交する幅方向に広く、前記拘束用シェルとして機能する広幅長方形部分と、前記長方形部分および前記広幅長方形部分の間を繋き、前記長方形部分よりも前記横幅が狭い括れ部分とを備えた形状とすることができる。この場合、前記広幅長方形部分において、前記括れ部分の前記幅方向の両側から当該幅方向の外方に延びる左右の縁端部を前記第1留め付け部とし、前記幅方向の両側において前記頭尾方向に延びる左右の縁端部を前記第2留め付け部とすることができる。
また、前記シェルは、成形前の平面展開状態において、前記固定用シェルとして機能する逆U字形輪郭部分と、前記逆U字形輪郭部分よりも頭尾方向に直交する幅方向に広く、前記拘束用シェルとして機能する長方形部分とを備えた形状とすることができる。この場合、前記長方形部分において、前記逆U字形輪郭部分に連続して前記幅方向の両側に延びる左右の縁端部を前記第1留め付け部とし、前記幅方向の両側において前記頭尾方向に延びる左右の縁端部を前記第2留め付け部とすることができる。
一枚のシェルから形成する代わりに、二枚のシェルを使用し、そのうちの一枚のシェル
を前記固定用シェル部とし、残りの一枚のシェルを前記拘束用シェル部としてもよい。
また、三枚のシェルを使用することも可能であり、この場合には、そのうちの一枚を前記固定用シェル部とし、残りの二枚のシェルを前記肩部の左右の部位を拘束する前記拘束用シェル部とすることができる。
この場合には、前記拘束用シェル部のそれぞれは、成形前の平面展開状態において、左右対称な四辺形輪郭のシェルであり、前記拘束用シェル部における前記頭尾方向の頭側の辺は前記頭尾方向に直交する幅方向に延びる前記第1留め付け部であり、前記頭尾方向の尾側の辺は前記幅方向の内側に向かって前記頭尾方向の尾側に傾斜する方向に延びる前記第2留め付け部であり、前記拘束用シェル部のそれぞれは、前記固定用シェル部における前記幅方向の両側の部分に重なった状態で、前記肩部を前記ベースプレートに固定するようになっていることが望ましい。
次に、本発明の体位固定シェルシステムは、ベースプレートと、上記構成の体位固定シェルとを有しており、前記ベースプレートは、前記第1留め付け部を着脱可能に取り付けることのできるプレート側第1留め付け部と、前記第2留め付け部を着脱可能に取り付けることのできるプレート側第2留め付け部とを備えていることを特徴としている。
次に、体位固定シェルをベースプレートに取り付ける留め付け手段としては、従来から使用されている留め付け用のピン、レバー等を用いることができる。この代わりに、前記第1留め付け部と前記プレート側第1留め付け部の間、および前記第2留め付け部と前記プレート側第2留め付け部の間を、位置決めピンおよび面ファスナを用いて着脱可能に結合することもできる。
次に、本発明の体位固定シェルにおいて、前記拘束用シェル部は、上記の第1、第2留め付け部に加えて、前記ベースプレートに留め付けられる左右一対の第3留め付け部を備え、前記第3留め付け部は、前記ベースプレートに載せた患者あるいは被験者の左右の肩部に対して、前記頭尾方向に直交する幅方向の外側の位置において、前記ベースプレートに留め付けられる部位であることが望ましい。
第2留め付け部と第3留め付け部の間に患者等の肩が挟まれた状態で固定される。これにより、左右の肩は、頭尾方向に移動しないように拘束されるだけでなく、幅方向にも移動しないように確実に拘束される。よって、患者等の頭部あるいは頭頸部が、左右の肩の部分の移動に伴って頭尾方向あるいは幅方向に移動してしまうことを確実に防止できる。
ここで、前記第1留め付け部のそれぞれを、前記ベースプレートに対して、前記頭尾方向とは異なる方向に延びる状態に留め付けられる所定長さのシェル縁端部とし、前記第2留め付け部を、前記ベースプレートに対して、前記頭尾方向に直交する幅方向の一定の間隔の位置において留め付けられる部位とし、前記第3留め付け部を、前記第2留め付け部の幅方向の外側において前記頭尾方向に延びる状態に前記ベースプレート取り付けられる所定長さのシェル縁端部とすることができる。
この場合、前記第1留め付け部および前記第3留め付け部は、相互に直交する状態で前記ベースプレートに取り付けられる所定長さのシェル縁端部とすることができる。
第3留め付け部が備わっている体位固定シェルの場合において、前記固定用シェル部および前記拘束用シェル部を、一枚のシェルから形成することができる。
この場合には、例えば、
前記シェルは、成形前の平面展開状態において、
前記固定用シェル部として機能する長方形部分と、
前記長方形部分よりも頭尾方向に直交する幅方向に広く、前記拘束用シェル部として機能する広幅長方形部分と、
前記長方形部分および前記広幅長方形部分の間を繋き、前記長方形部分よりも前記横幅が狭い括れ部分と、
を備えており、
前記広幅長方形部分において、前記括れ部分の前記幅方向の両側から当該幅方向の両側に延びる左右の縁端部が前記第1留め付け部であり、前記幅方向の両側において前記頭尾方向に延びる左右の縁端部が前記第3留め付け部であり、前記左右の縁端部から前記幅方向の内側に同一距離だけ離れた左右の部位が前記第2留め付け部である。
この代わりに、シェルを次の形状とすることもできる。すなわち、
前記シェルは、成形前の平面展開状態において、
前記固定用シェル部として機能する逆U字形輪郭部分と、
前記逆U字形輪郭部分よりも頭尾方向に直交する幅方向に広く、前記拘束用シェル部として機能する長方形部分と、
を備えており、
前記長方形部分において、前記逆U字形輪郭部分に連続して前記幅方向の両側に延びる左右の縁端部が前記第1留め付け部であり、前記幅方向の両側において前記頭尾方向に延びる左右の縁端部が前記第3留め付け部であり、前記左右の縁端部から前記幅方向の内側に同一距離だけ離れた左右の部位が前記第2留め付け部である。
また、第3留め付け部を備えた体位固定シェルを二枚のシェルから構成することができる。この場合には、一枚のシェルは前記固定用シェル部であり、残りの一枚のシェルは前記拘束用シェル部である。
次に、本発明の体位固定シェルシステムは、
ベースプレートと、
上記構成の第1〜第3留め付け部を備えた体位固定シェルと、
を有しており、
前記ベースプレートは、前記第1留め付け部を着脱可能に取り付けることのできるプレート側第1留め付け部と、前記第2留め付け部を着脱可能に取り付けることのできるプレート側第2留め付け部と、前記第3留め付け部を着脱可能に取り付けることのできるプレート側第3留め付け部とを備えていることを特徴としている。
この場合、前記第1留め付け部と前記プレート側第1留め付け部の間、前記第2留め付け部と前記プレート側第2留め付け部の間、および、前記第3留め付け部と前記プレート側第3留め付け部の間をそれぞれ、取り外し可能な状態で結合する位置決めピンおよび面ファスナを備えていることが望ましい。
本発明の実施の形態1の体位固定シェルシステムに用いる体位固定シェルを示す平面図である。 実施の形態1の体位固定シェルシステムに用いるベースプレートを示す平面図および側面図である。 実施の形態1の体位固定シェルシステムの使用状態を示す部分斜視図である。 実施の形態1におけるベースプレートに対する体位固定シェルの止め付け方法の一例を示す説明図である。 実施の形態1の体位固定シェルシステムに用いる体位固定シェルの別の例を示す平面図および使用状態を示す説明図である。 本発明の実施の形態2の体位固定シェルシステムに用いる体位固定シェルを示す平面図である。 実施の形態2の体位固定シェルシステムに用いるベースプレートを示す平面図および側面図である。 実施の形態2の体位固定シェルシステムの使用状態を示す部分斜視図である。 本発明の実施の形態3の体位固定シェルシステムに用いる体位固定シェルを示す平面図および頭部用シェルの別の例を示す平面図である。 実施の形態3の体位固定シェルシステムの使用状態を示す部分斜視図である。 本発明の実施の形態4の体位固定シェルシステムに用いる体位固定シェルを示す平面図である。 実施の形態4の体位固定シェルシステムの使用状態を示す部分斜視図である。 実施の形態5の体位固定シェルシステムの使用状態を示す説明図である。 実施の形態5に用いる体位固定シェルを示す平面図である。 実施の形態6の体位固定シェルシステムの使用状態を示す説明図である。 実施の形態6に用いる体位固定シェルを示す平面図である。
以下に、図面を参照して本発明を適用した体位固定シェルシステムの実施の形態を説明する。なお、以下に述べる各実施の形態は本発明の実施の形態の典型例を示すものであり、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
[実施の形態1]
図1、図2および図3は、本発明の実施の形態1に係る体位固定シェルシステムを示す図であり、図1はその使用状態を示す部分斜視図であり、図2はその体位固定シェルの平面図であり、図3(a)、(b)はそのベースプレートの平面図および側面図である。なお、これらの図において、ベースプレートに載せた患者あるいは被験者の頭尾方向をY、これに直交する方向をXとして示し、ベースプレート、体位固定シェルについても、使用状態においてこれらの方向に対応する方向を頭尾方向Y、幅方向Xとして説明する。実施の形態2以降についても同様である。
図1に示すように、体位固定シェルシステム1は、ベースプレート2と、このベースプレート2に取り外し可能な状態で留め付けられる体位固定シェル3と、頭頸部サポート4とを備えている。
体位固定シェル3は熱可塑性樹脂からなるネット状の一枚のシート素材から形成されている。熱を加えて軟化させた状態で、ベースプレート2に載せた患者あるいは被験者(以下、単に「患者P」という。)の頭頸部Paに押し付けて型を取る。型取りした後の体位固定シェル3は、ベースプレート2に取り付けて頭頸部Paを移動しないように固定する。
図2に示すように、体位固定シェル3は、成形前(型取り前)の平面展開状態において、長方形の固定用シェル部5と、この固定用シェル部5よりも頭尾方向Yに直交する幅方向Xに広い長方形の拘束用シェル部6と、これらの間を繋ぐ最も狭い幅の括れ部分7とを備えた形状をしている。固定用シェル部5は、ベースプレート2に載せた患者Pの頭頸部Paを移動しないようにベースプレート2に固定し、拘束用シェル部6は、患者Pの肩部Pbを頭尾方向Yに移動しないようにベースプレート2に固定する(図1参照)。
固定用シェル部5の幅方向Xの両側のシェル縁端部5a、5bには、これらに沿って、一定幅の細長い硬質プレート8a、8bが固定されている。これらの硬質プレート8a、
8bには、それらの長さ方向に一定の間隔で複数個、例えば3個の円形の留め孔9が形成されている。硬質プレート8a、8bが取り付けられたシェル縁端部5a、5bは、固定用シェル部5をベースプレート2に取り外し可能に留め付けるための留め付け部として機能する。
拘束用シェル部6において、その頭尾方向Yの頭側の左右のシェル縁端部6a、6bには、これらに沿って幅方向Xに延びる一定幅の細長い硬質プレート10a、10bが固定されている。硬質プレート10a、10bには、幅方向Xに一定の間隔で、複数個、例えば3個の円形の留め孔11が形成されている。硬質プレート10a、10bが取り付けられた左右のシェル縁端部6a、6bは、拘束用シェル部6をベースプレート2に取り外し可能に留め付けるための第1留め付け部として機能する。
また、拘束用シェル部6において、その幅方向Xの両側のシェル縁端部には、頭尾方向Yの頭側の端から幅方向の内側に三角形に切り欠かれた切り欠き縁13a、13bが形成され、これらの切り欠き縁13a、13bの端からは頭尾方向Yに沿って尾側に直線状に延びるシェル縁端部14a、14bが形成されている。これらのシェル縁端部14a、14bには、これらに沿って頭尾方向Yに延びる一定幅の細長い硬質プレート15a、15bが固定されている。硬質プレート15a、15bには、頭尾方向Yに沿って一定の間隔で、複数個、例えば3個の円形の留め孔16が形成されている。硬質プレート15a、15bが取り付けられたシェル縁端部14a、14bは、拘束用シェル部6をベースプレート2に取り外し可能に留め付けるための第2留め付け部として機能する。
ここで、左右の第1留め付け部(硬質プレート10a、10bが取り付けられたシェル第1のシェル縁端部6a、6b)は、留め付け用の留め具17を用いて、図1に示すように、患者Pの肩部Pbの頭尾方向Yの頭側において、ベースプレート2に対して、頭尾方向Yとは異なる方向に延びる状態に取り付けられる。本例では、頭尾方向Yに直交する幅方向Xに延びる状態に取り付けられる。これに対して、左右の第2留め付け部(硬質プレート15a、15bが取り付けられたシェル縁端部14a、14b)は、同じく留め具18を用いて、図1に示すように、患者Pの脇下Pcを通して、ベースプレート2に対して、頭尾方向Yに延びる状態に取り付けられる。
図3を参照して説明すると、ベースプレート2は例えばカーボン製のプレートであり、頭尾方向Yに長い略長方形のプレート部分21と、このプレート部分21の先端側の縁である頭尾方向Yの頭側の縁の中央部分から頭側に突出している長方形枠部22とを備えている。ベースプレート2は、治療台あるいは検査台の天板(図示せず)の側に固定される。ベースプレート2のプレート部分21には、持ち運びの際に利用する手掛け用の細長い一対の開口部24が形成されている。
また、ベースプレート2のプレート部分21における頭尾方向Yの頭側の左右の縁端部分には、体位固定シェル3の第2留め付け部である左右の硬質プレート15a、15bを留め具18によって留め付けるための複数個の円形の留め孔25が形成されている。左右の留め孔25は、幅方向に一定の間隔で、二列の留め孔列が頭尾方向に形成されており、各留め孔列は頭尾方向Yに一定の間隔で形成した複数個の留め孔25からなる。これら左右の留め孔25が形成されている部位が、プレート側第2留め付け部として機能し、ここに、体位固定シェル3の左右のシェル縁端部14a、14bに取り付けた硬質プレート15a、15b(第2留め付け部)が、留め具18によって留め付けられる。
ベースプレート2のプレート部分21における頭尾方向Yの頭側の左右の端面26a、26bには、それぞれ幅方向Xに一定の間隔で、複数個、本例では3個の円形の留め孔27(図1参照)が形成されている。これら左右の留め孔27が形成されている部位がプレ
ート側第1留め付け部として機能し、ここに、体位固定シェル3の左右のシェル縁端部6a、6bに取り付けた硬質プレート10a、10b(第1留め付け部)が、留め具17によって留め付けられる。
ベースプレート2の長方形枠部22における左右の側端面28a、28bは、体位固定シェル3の固定用シェル部5の左右の硬質プレート8a、8bを留め付けるためのプレート側留め付け部となっている。ここには、固定用シェル部5の硬質プレート8a、8bが、側端面28a、28bのそれぞれと留め付け用プレート29a、29bのそれぞれとの間に挟まれ、留め具30によって留め付けられている。
ベースプレート2の長方形枠部22の長方形開口部22aには、図1に示すように、頭頸部サポート4が装着される。頭頸部サポート4の患者Pの頭頸部Paを載せた状態で、体位固定シェル3によって頭頸部Paがベースプレート2に固定される。
この構成の体位固定シェルシステム1では、図1に示すように、体位固定シェル3の固定用シェル部5によって、患者Pの頭頸部Paが固定される。また、体位固定シェル3の拘束用シェル部6の第1留め付け部(シェル縁端部6a、6b、硬質プレート10a、10b)はベースプレート2の左右の端面26a、26bに留め付けられ、ここに繋がっているシェル部分によって、頭尾方向Yの頭側から肩部Pbが拘束される。
さらに、拘束用シェル部6の第2留め付け部(シェル縁端部14a、14b、硬質プレート15a、15b)はベースプレート2の左右の縁側の表面部分に留め付けられ、ここに繋がっている左右のシェル部分は患者Pの左右の脇下Pcを通って延びている。拘束用シェル部6の左右の縁端部に形成されていた切り欠き縁13a、13bの部分は、型取り時(成形時)に大きく伸びて、患者Pの腕Pdにおける肩への付け根部分を取り囲む縁部分となっている。これら左右のシェル部分によって、脇下Pcの部分が左右から拘束される。
これにより、拘束用シェル部6によって、患者Pの肩部Pbの部分の頭尾方向Yの移動が確実に拘束される。よって、肩部Pbの部分の移動によって、頭頸部Paの固定精度が低下してしまう不具合を防止できる。
(ベースプレートへの留め付け方法の別の例)
図4は、体位固定シェルをベースプレートに留め付けるための別の方法を示す図であり、(a)はプレート側留め付け部を示す説明図であり、(b)は体位固定シェルの側の第1、第2留め付け部を示す説明図である。
図示の留め付け方法は、上記の体位固定シェルシステム1に適用した場合の例である。したがって、実施の形態1の各部に対応する部位には同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
本例では、細長い一定幅の面ファスナと、その両側に配置される一対の位置決めピンとを用いて、体位固定シェル3の拘束用シェル部6がベースプレート2の側に留め付けられる。そのために、体位固定シェル3の拘束用シェル部6の第1留め付け部の硬質プレート10a、10bには、それぞれ、一対のピン孔101が形成され、これらの間には、面ファスナ102が取り付けられている。同様に、体位固定シェル3の拘束用シェル部6の第2留め付け部の硬質プレート15a、15bにも、それぞれ、一対のピン孔103が形成され、それらの間に面ファスナ104が取り付けられている。本例では、ピン孔101、103は同一間隔で同一形状のものであり、面ファスナ102、104は共通のものである。
ベースプレート2の側には、体位固定シェル3の拘束用シェル部6の第1留め付け部が留め付けられる左右の端面には、一対の位置決めピン105が取り付けられ、これらの間には面ファスナ106が取り付けられている。面ファスナ106は、着脱可能な状態で、体位固定シェル3の側の面ファスナ102に結合可能である。同様に、ベースプレート2における拘束用シェル部6の第2留め付け部が留め付けられる左右の縁端側の表面部分にも、それぞれ、一対の位置決めピン107が取り付けられ、これらの間には面ファスナ108が取り付けられている。面ファスナ108は、体位固定シェル3の側の第2留め付け部の面ファスナ104に対して、着脱可能な状態で、結合可能である。本例では、位置決めピン105、107は同一間隔で同一形状のものであり、面ファスナ106、108は共通のものである。
体位固定シェル3の拘束用シェル部6の第1、第2留め付け部のピン孔101、103を、それぞれ、ベースプレート2の側のプレート側第1、第2留め付け部の位置決めピン105、107に位置決めして押し込み、双方の面ファスナ102と106、104と108同士を結合させる。これにより、体位固定シェル3の拘束用シェル部6がベースプレート2の側に固定される。体位固定シェル3の固定用シェル部5の側は、実施の形態1の場合と同様な留め付け方法によって、ベースプレート2の側に留め付けられる。
なお、体位固定シェルをベースプレートに留め付ける方法は、上記の方法に限定されるものではなく、各種の方法を採用することができる。
(体位固定シェルの別の例)
図5(a)は上記の体位固定シェル3の代わりに用いることのできる体位固定シェルを示す平面図であり、図5(b)はその使用状態を示す説明図である。本例の体位固定シェル113は肩部固定用の第1留め付け部が頭尾方向Yに対して45度傾斜方向に延びている点が上記の体位固定シェル3と相違している。これ以外の構成は体位固定シェル3と実質的に同一である。
これらの図に示すように、体位固定シェル113は、成形前(型取り前)の平面展開状態において、長方形の固定用シェル部115と、この固定用シェル部115よりも頭尾方向Yに直交する幅方向Xに広い長方形の拘束用シェル部116と、これらの間を繋ぐ最も狭い幅の括れ部分117とを備えた形状をしている。固定用シェル部115は、ベースプレート2に載せた患者Pの頭頸部Paを移動しないようにベースプレート2に固定し、拘束用シェル部116は、患者の肩部を頭尾方向Yに移動しないようにベースプレート2に固定する。
固定用シェル部115の幅方向Xの両側のシェル縁端部115a、115bには、これらに沿って、一定幅の細長い硬質プレート118a、118bが固定されている。これらの硬質プレート118a、118bには、それらの長さ方向に一定の間隔で複数個、例えば3個の円形の留め孔119が形成されている。硬質プレート118a、118bが取り付けられたシェル縁端部115a、115bは、固定用シェル部115をベースプレート2に取り外し可能に留め付けるための留め付け部として機能する。
拘束用シェル部116において、その頭尾方向Yの頭側の左右の部分は一定幅で頭尾方向Yの頭側に向かって外方に45度の方向に延びる張り出し部分116A、116Bとなっている。張り出し部分116A、116Bの先端縁であるシェル縁端部116a、116bは、頭尾方向Yの頭側に向かって内側に45度傾斜した方向に延びる左右対称な縁端部であり、これらの縁端部には、一定幅の細長い硬質プレート120a、120bが固定されている。硬質プレート120a、120bには、一定の間隔で、複数個、例えば3個
の円形の留め孔121が形成されている。硬質プレート120a、120bが取り付けられた左右のシェル縁端部116a、116bは、拘束用シェル部116をベースプレート2に取り外し可能に留め付けるための第1留め付け部として機能する。
また、拘束用シェル部116において、左右の張り出し部分116A、116Bの頭尾方向Yの尾側には、幅方向Xの両側のシェル縁端部124a、124bが頭尾方向Yに沿って尾側に直線状に延びている。これらのシェル縁端部124a、124bには、これらに沿って頭尾方向Yに延びる一定幅の細長い硬質プレート125a、125bが固定されている。硬質プレート125a、125bには、頭尾方向Yに沿って一定の間隔で、複数個、例えば3個の円形の留め孔126が形成されている。硬質プレート125a、125bが取り付けられたシェル縁端部124a、124bは、拘束用シェル部116をベースプレート2に取り外し可能に留め付けるための第2留め付け部として機能する。
図5(b)に示すように、左右の第1留め付け部(硬質プレート120a、120bが取り付けられたシェル縁端部116a、116b)は、留め付け用の留め具17を用いて、患者の肩部(図示せず)の頭尾方向の頭側において、ベースプレート2に対して、頭尾方向とは異なる方向に延びる状態に取り付けられる。本例では、頭尾方向に直交する幅方向に延びる状態に取り付けられる。シェル素材は熱を加えて軟化させた状態においては自在に延びるので、前述の体位固定シェル3の第1留め付け部(硬質プレート10a、10bが取り付けられたシェル縁端部6a、6b)と同様な位置に取り付け可能である。また、左右の第2留め付け部(硬質プレート125a、125bが取り付けられたシェル縁端部124a、124b)は、同じく留め具18を用いて、図5(b)に示すように、患者の脇下(図示せず)を通して、ベースプレート2に対して、頭尾方向Yに延びる状態に取り付けられる。
なお、本例では第1留め付け部のシェル縁端部116a、116bは45度で傾斜する方向に延びているが、45度以外の傾斜角度のシェル縁端部を形成してもよい。いずれの場合であっても、熱を加えて軟化させたシェル素材の伸びによって、ベースプレート2の側の定まった留め付け位置に留め付け可能である。
[実施の形態2]
図6、図7および図8は、本発明の実施の形態2に係る体位固定シェルシステムを示す図であり、図6はその使用状態を示す部分斜視図であり、図7はその体位固定シェルの平面図であり、図8(a)、(b)はそのベースプレートの平面図および側面図である。
図6に示すように、実施の形態2に係る体位固定シェルシステム40は、治療台等の天板42Aに取り外し可能に取り付けられるベースプレート42Bと、このベースプレート42Bに取り外し可能な状態で留め付けられる体位固定シェル43と、頭頸部サポート44とを備えている。
体位固定シェル43は熱可塑性樹脂からなるネット状の一枚のシート素材から形成されている。熱を加えて軟化させた状態で、ベースプレート42Bに載せた患者あるいは被験者(以下、単に「患者」という。)の頭頸部(図示せず)に押し付けて型を取る。型取りした後の体位固定シェル43は、図に示すように、ベースプレート42Bに取り付けて頭頸部を移動しないように固定する。
図7に示すように、体位固定シェル43は、成形前の平面展開状態において、逆U字形輪郭の固定用シェル部45と、この固定用シェル部45よりも幅方向Xに広い略長方形輪郭の拘束用シェル部46とを備えている。固定用シェル部45は、ベースプレート42Bに載せた患者の頭頸部を移動しないようにベースプレート42Bに固定し、拘束用シェル
部46は、患者の肩部を頭尾方向Yに移動しないようにベースプレート42Bに固定する(図6参照)。
固定用シェル部45の逆U字状輪郭のシェル縁端部45aおよび、このシェル縁端部45aの左右の端から拘束用シェル部46の左右の第1のシェル縁端部46aの外端までを、両側から挟む状態に、一定幅の逆U状の硬質プレート48が上下から固定されている。
硬質プレート48の逆U字状輪郭のプレート部分48aが取り付けられている固定用シェル部45のシェル縁端部45aは、ベースプレート42Bに留め付ける留め付け部である。また、硬質プレート48は、逆U字状輪郭部分の左右の端から幅方向Xの外側に向けて、僅かに頭尾方向Yの尾側に傾斜した方向に延びている左右のプレート部分48b、48cを備えている。これらのプレート部分48b、48cに取り付けられている拘束用シェル部46の左右のシェル縁端部46a、46bは、拘束用シェル部46を、ベースプレート42Bに留め付けるための第1留め付け部として機能する。
一方、拘束用シェル部46において、その幅方向Xの両側のシェル縁端部には、頭尾方向Yの途中の部位に波形に切り取られた切り欠き縁49a、49bが形成されている。これらの切り欠き縁49a、49bの頭尾方向Yの尾側の端からは、頭尾方向Yの尾側に直線状に延びるシェル縁端部50a、50bが形成されている。これらのシェル縁端部50a、50bには、これらに沿って頭尾方向Yに延びる一定幅の細長い硬質プレート51a、51bが固定されている。硬質プレート51a、51bには、頭尾方向Yに沿って一定の間隔で、幅方向Xの外方に開口する留め具取付け溝51が複数箇所、例えば2か所に形成されている。硬質プレート51a、51bが取り付けられた左右の第2のシェル縁端部50a、50bは、拘束用シェル部46をベースプレート42Bに取り外し可能に留め付けるための第2留め付け部として機能する。
図8に示すように、ベースプレート42Bは、体位固定シェル43に対応した一回り大きな輪郭形状をしており、頭尾方向Yの頭側が狭い幅の長方形部分となっており、尾側が広幅の長方形部分となっている。また、幅方向の中央部分には頭頸部サポート44を装着するための長方形の開口部53が形成されている。
ベースプレート42Bにおける狭い幅の長方形部分の左右の角部には、留め付けレバー54が取り付けられている。また、ベースプレート42Bは、狭い幅の長方形部分と広幅の長方形部分の間に、左右に広がる凹曲線状の縁端部が形成されており、これらの縁端部にも、それぞれ、留め付けレバー54が取り付けられている。体位固定シェル43における固定用シェル部45から拘束用シェル部46に亘る範囲に取り付けた硬質プレート48(図7参照)は、留め付けレバー54によって、ベースプレート42Bに留め付けられる。
体位固定シェル43の拘束用シェル部46において、硬質プレート48の左右のプレート部分48b、48cは、図6、図7に示すように、患者の肩部の頭尾方向Yの頭側において、ベースプレート42Bに対して、頭尾方向Yとは異なる方向に延びる状態に取り付けられる。本例では、ほぼ幅方向Xに延びる状態に取り付けられる。
これに対して、拘束用シェル部46の左右の硬質プレート51a、51bは、それらの留め具取付け溝52に通して、留めた留め具55によって、ベースプレート42Bに留め付けられる。これら硬質プレート51a、51bに繋がっているシェル部分は、患者Pの左右の脇下を通して、ベースプレート42Bに対して、頭尾方向Yに延びる状態に取り付けられる。拘束用シェル部46の左右の縁端部に形成されていた切り欠き縁49a、49bの部分は、型取り時(成形時)に大きく伸びて、患者の腕を取り囲む縁部分となってい
る。
この構成の体位固定シェルシステム40では、図6に示すように、体位固定シェル43の固定用シェル部45によって、患者の頭頸部が固定される。また、体位固定シェル43の拘束用シェル部46の第1留め付け部(シェル縁端部46a、46b、硬質プレート48の左右のプレート部分48b、48c)は、ベースプレート42Bの左右の縁端部分に留め付けレバー54によって留め付けられ、ここに繋がっているシェル部分によって、頭尾方向Yの頭側から肩が拘束される。さらに、拘束用シェル部46の第2留め付け部(シェル縁端部50a、50b、硬質プレート51a、51b)は、ベースプレート42Bの左右の縁側の表面部分に、留め具55によって留め付けられ、これらに繋がっている左右のシェル部分は患者の左右の脇下を通って延びている。これら左右のシェル部分によって、脇下の部分が左右から拘束される。これにより、拘束用シェル部46によって、患者の肩の部分の頭尾方向Yの移動が確実に拘束される。よって、肩の部分の移動によって、頭頸部の固定精度が低下してしまう不具合を防止できる。
[実施の形態3]
図9および図10は実施の形態3に係る体位固定シェルシステムを示す図である。図9は体位固定シェルシステムの使用状態を示す部分斜視図であり、図10(a1)および(a2)は体位固定シェルを構成する頭部固定用シェルおよび肩脇拘束用シェルを示す平面図であり、図10(b1)〜(b4)は頭部固定用シェルの変形例を示す平面図である。
図9に示すように、実施の形態3に係る体位固定シェルシステム60は、ベースプレート62と、このベースプレート62に取り外し可能な状態で留め付けられる体位固定シェル63と、頭頸部サポート64とを備えている。体位固定シェル63は、別個の二枚のシェルからなり、そのうちの一枚のシェルが頭部固定用シェル65であり、残りの一枚のシェルが肩脇拘束用シェル66である。
図10(a1)に示すように、体位固定シェル63の頭部固定用シェル65は、成形前の平面展開状態において、略長方形の輪郭形状をしたネット状の熱可塑性樹脂からなるシート素材からなる。頭部固定用シェル65の幅方向Xの両側のシェル縁端部65a、65bには、これらに沿って、一定幅の細長い硬質プレート68a、68bが固定されている。これら硬質プレート68a、68bには、それらの長さ方向に一定の間隔で複数個、例えば3個の円形の留め孔69が形成されている。硬質プレート68a、68bが取り付けられている左右のシェル縁端部65a、65bは、頭部固定用シェル65をベースプレート62に取り外し可能に留め付けるための留め付け部として機能する。
図10(a2)に示すように、肩脇拘束用シェル66は、成形前の平面展開状態において、略長方形の輪郭形状をしたネット状の熱可塑性樹脂からなるシート素材からなる。肩脇拘束用シェル66において、その頭尾方向Yの頭側の左右の第1のシェル縁端部66a、66bには、これらに沿って幅方向Xに延びる一定幅の細長い硬質プレート70a、70bが固定されている。硬質プレート70a、70bには、幅方向Xに一定の間隔で、複数個、例えば3個の円形の留め孔71が形成されている。硬質プレート70a、70bが取り付けられている左右の第1のシェル縁端部66a、66bは、肩脇拘束用シェル66をベースプレート62に取り外し可能に留め付けるための第1留め付け部として機能する。
また、肩脇拘束用シェル66において、その幅方向Xの両側のシェル縁端部には、頭尾方向Yの頭側の端から幅方向の内側に三角形に切り欠かれた切り欠き縁73a、73bが形成され、これらの切り欠き縁73b、73bの端からは頭尾方向Yに沿って尾側に直線状に延びる第2のシェル縁端部74a、74bが形成されている。これらの第2のシェル
縁端部74a、74bには、これらに沿って頭尾方向Yに延びる一定幅の細長い硬質プレート75a、75bが固定されている。硬質プレート75a、75bには、頭尾方向Yに沿って一定の間隔で、複数個、例えば2個の円形の留め孔76が形成されている。硬質プレート75a、75bが取り付けられた左右の第2のシェル縁端部74a、74bは、肩脇拘束用シェル66をベースプレート62に取り外し可能に留め付けるための第2留め付け部として機能する。
肩脇拘束用シェル66の硬質プレート70a、70b(第1留め付け部)は、留め付け用の留め具77を用いて、図9に示すように、患者の肩部の頭尾方向Yの頭側において、ベースプレート62に対して、頭尾方向Yとは異なる方向に延びる状態に取り付けられる。本例では、頭尾方向Yに直交する幅方向Xに延びるベースプレート62の左右の端面に取り付けられる。これに対して、硬質プレート75a、75b(第2留め付け部)は、同じく留め具78を用いて、図9に示すように、患者の脇下を通して、ベースプレート62に対して、頭尾方向Yに延びる状態に取り付けられる。肩脇拘束用シェル66の左右のシェル縁端部の切り欠き縁73a、73bの部分は、成形時には当該部分を中心として延びて広がり、図9に示すように、患者の腕部を取り囲む縁部分として機能する。
ベースプレート62および頭頸部サポート64は、実施の形態1のベースプレート2および頭頸部サポート4のそれぞれと同様な構成であるので、それらの説明は省略する。
この構成の体位固定シェルシステム60では、図9に示すように、体位固定シェル63を構成する頭部固定用シェル65によって、患者の頭部が固定される。また、体位固定シェル63を構成する肩脇拘束用シェル66の第1留め付け部(第1のシェル縁端部66a、66b、硬質プレート70a、70b)はベースプレート62の左右の端面に留め付けられ、ここに繋がっているシェル部分によって、頭尾方向Yの頭側から肩が拘束される。さらに、肩脇拘束用シェル66の第2留め付け部(第2のシェル縁端部74a、74b、硬質プレート75a、75b)はベースプレート62の左右の縁側の表面部分に留め付けられ、ここに繋がっている左右のシェル部分は患者の左右の脇下を通って延びている。これら左右のシェル部分によって、脇下の部分が左右から拘束される。これにより、肩脇拘束用シェル66によって、患者の肩の部分の頭尾方向Yの移動が確実に拘束される。よって、肩の部分の移動によって、頭部の固定精度が低下してしまう不具合を防止できる。
なお、頭部固定用シェル65としては、図10(b1)〜(b4)に例示するように、各種の形状、構造のシェルを用いることが可能である。
[実施の形態4]
図11および図12は実施の形態4に係る体位固定シェルシステムを示し、図11は体位固定シェルシステムの使用状態を示す部分斜視図であり、図12(a)は体位固定シェルを構成する頭頸部固定用シェルを示す平面図であり、図12(b)および(c)は、それぞれ左右の肩脇拘束用シェルを示す平面図である。
図11に示すように、実施の形態4に係る体位固定シェルシステム80は、ベースプレート82と、このベースプレート82に取り外し可能な状態で留め付けられる体位固定シェル83と、頭頸部サポート84とを備えている。体位固定シェル83は、別個の三枚のシェルからなり、そのうちの一枚のシェルが頭頸部固定用シェル85であり、残りの二枚のシェルが左右の肩脇拘束用シェル86A、86Bである。
体位固定シェル83の頭頸部固定用シェル85は熱可塑性樹脂からなるネット状のシート素材からなり、図12(a)に示すように、長方形輪郭の頭頸部固定部分85Aと、この頭頸部固定部分85Aにおける頭尾方向Yの尾側の縁端に、狭い幅の括れ部分85Bを
介して繋がっている胸部覆い部分85Cとを備えている。
頭頸部固定部分85Aの幅方向Xの両側のシェル縁端部85a、85bには、これらに沿って、一定幅の細長い硬質プレート88a、88bが固定されている。これら硬質プレート88a、88bには、それらの長さ方向に一定の間隔で複数個、例えば3個の円形の留め孔89が形成されている。硬質プレート88a、88bが取り付けられたシェル縁端部85a、85bは、頭頸部固定用シェル85をベースプレート82に取り外し可能に留め付けるための留め付け部として機能する。
左右の肩脇拘束用シェル86A、86Bは左右対称な形状であるので、左側の肩脇拘束用シェル86Aについて説明し、他方の説明は省略する。肩脇拘束用シェル86Aは熱可塑性樹脂からなるネット状のシート素材からなり、図12(b)、図12(c)に示すように、平面展開状態において四辺形輪郭のシェルである。
肩脇拘束用シェル86Aにおける頭尾方向Yの頭側の辺は幅方向Xに延びる第1のシェル縁端部86aであり、頭尾方向の尾側の辺は幅方向Xの内側に向かって頭尾方向Yの尾側に傾斜する方向に延びる第2のシェル縁端部86bである。
肩脇拘束用シェル86Aにおいて、その第1のシェル縁端部86aには、これに沿って幅方向Xに延びる一定幅の細長い硬質プレート90aが固定されている。硬質プレート90aには、幅方向Xに一定の間隔で、複数個、例えば2個の円形の留め孔91が形成されている。硬質プレート90aが取り付けられたシェル縁端部86aは、肩脇拘束用シェル86Aをベースプレート82に取り外し可能に留め付けるための第1留め付け部として機能する。
また、肩脇拘束用シェル86Aにおいて、その第2のシェル縁端部86bにも、これに沿って延びる一定幅の細長い硬質プレート95aが固定されている。硬質プレート95aには、これに沿って一定の間隔で、複数個、例えば2個の円形の留め孔96が形成されている。硬質プレート95aが取り付けられたシェル縁端部86bは、肩脇拘束用シェル86Aをベースプレート82に取り外し可能に留め付けるための第2留め付け部として機能する。
肩脇拘束用シェル86Aの硬質プレート90a(第1留め付け部)は、留め付け用の留め具97を用いて、図11に示すように、患者の肩部の頭尾方向Yの頭側において、ベースプレート82に対して、頭尾方向Yとは異なる方向に延びる状態に取り付けられる。本例では、頭尾方向Yに直交する幅方向Xに延びる状態に取り付けられる。これに対して、硬質プレート95a(第2留め付け部)は、同じく留め具98を用いて、図11に示すように、患者の脇下を通して、ベースプレート82に対して、頭尾方向Yに延びる状態に取り付けられる。
また、肩脇拘束用シェル86Aは、図11に示すように、患者の腕部を取り囲む状態に配置される。さらに、この肩脇拘束用シェル86Aは一定の幅があるので、取り付けた状態において、頭頸部固定用シェル85の胸部覆い部分85Cの幅方向の縁端部分に上側から重なった状態に配置される。さらに説明すると、これらのシェルは型取り時に軟化溶融した状態で相互に重ねた状態に取り付けられる。よって、相互に物理的に結合した状態になり、左右の肩脇拘束用シェル86A、86Bが幅方向Xの両側にずれて拘束状態が解除されてしまうことがない。
なお、ベースプレート82および頭頸部サポート84は、実施の形態1のベースプレート2および頭頸部サポート4のそれぞれと同様な構成であるので、それらの説明は省略す
る。
この構成の体位固定シェルシステム80では、図11に示すように、体位固定シェル83を構成する頭頸部固定用シェル85によって、患者の頭頸部が固定される。また、体位固定シェル83を構成する左右の肩脇拘束用シェル86A、86Bの第1留め付け部(シェル縁端部86a、硬質プレート90a)はベースプレート82の左右の端面に留め付けられ、それらの第2留め付け部(シェル縁端部86b、硬質プレート95a)は、患者の左右の脇下を通って、ベースプレート82の左右の縁側の表面部分に留め付けられる。
よって、左右の肩脇拘束用シェル86A、86Bによって、患者の頭尾方向Yの頭側から左右の肩の部分が拘束され、左右の脇下の部分が左右から拘束される。これにより、肩脇拘束用シェル86A、86Bによって、患者の肩の部分の頭尾方向Yの移動が確実に拘束される。よって、肩の部分の移動によって、頭頸部の固定精度が低下してしまう不具合を防止できる。
[実施の形態5]
図13および図14は、本発明の実施の形態5に係る体位固定シェルシステムを示し、図13(a)〜(c)はその使用状態を示す部分斜視図であり、図14はその体位固定シェルの平面図である。
図13に示すように、体位固定シェルシステム200は、ベースプレート202と、このベースプレート202に取り外し可能な状態で留め付けられる体位固定シェル203と、頭頸部サポート204とを備えている。
体位固定シェル203は熱可塑性樹脂からなるネット状の一枚のシート素材から形成されている。熱を加えて軟化させた状態で、ベースプレート202に載せた患者あるいは被験者(以下、単に「患者P」という。)の頭頸部Paに押し付けて型を取る。型取りした後の体位固定シェル203は、ベースプレート202に取り付けて頭頸部Paを移動しないように固定する。
図14に示すように、体位固定シェル203は、成形前(型取り前)の平面展開状態において、長方形の固定用シェル部205と、この固定用シェル部205よりも頭尾方向Yに直交する幅方向Xに広い長方形の拘束用シェル部206と、これらの間を繋ぐ最も狭い幅の括れ部分207とを備えた形状をしている。固定用シェル部205は、ベースプレート202に載せた患者Pの頭頸部Paを移動しないようにベースプレート202に固定し、拘束用シェル部206は、患者Pの肩部Pbを頭尾方向Yおよび幅方向Xに移動しないようにベースプレート202に固定する(図13参照)。
固定用シェル部205の幅方向Xの両側のシェル縁端部205a、205bには、これらに沿って、一定幅の細長い硬質プレート208a、208bが固定されている。これらの硬質プレート208a、208bには、それらの長さ方向に一定の間隔で複数個、例えば3個の円形の留め孔209が形成されている。硬質プレート208a、208bが取り付けられたシェル縁端部205a、205bは、固定用シェル部205をベースプレート202に取り外し可能に留め付けるための留め付け部として機能する。
拘束用シェル部206において、その頭尾方向Yの頭側の左右のシェル縁端部206a、206bには、これらに沿って幅方向Xに延びる一定幅の細長い硬質プレート210a、210bが固定されている。硬質プレート210a、210bには、幅方向Xに一定の間隔で、複数個、例えば2個の円形の留め孔211が形成されている。硬質プレート210a、210bが取り付けられた左右のシェル縁端部206a、206bは、拘束用シェ
ル部206をベースプレート202に取り外し可能に留め付けるための第1留め付け部として機能する。
拘束用シェル部206において、その幅方向Xの両側のシェル縁端部には、頭尾方向Yの頭側の端から幅方向の内側に三角形に切り欠かれた切り欠き縁213a、213bが形成され、これらの切り欠き縁213a、213bの端からは頭尾方向Yに沿って尾側に直線状に延びるシェル縁端部214a、214bが形成されている。これらのシェル縁端部214a、214bには、これらに沿って頭尾方向Yに延びる一定幅の細長い硬質プレート215a、215bが固定されている。硬質プレート215a、215bには、頭尾方向Yに沿って一定の間隔で、複数個、例えば2個の円形の留め孔216が形成されている。硬質プレート215a、215bが取り付けられたシェル縁端部214a、214bは、拘束用シェル部206をベースプレート202に取り外し可能に留め付けるための第3留め付け部として機能する。
さらに、拘束用シェル部206において、左右のシェル縁端部214a、214bから幅方向の内側に同一の距離だけ離れた位置には、円形の留め孔241a、241bが形成されている。これらの留め孔を規定するシェル円形内周縁部242a、242bには、同心状に、円盤状の硬質プレート243a、243bが固定されている。硬質プレート243a、243bの中心部にも留め孔244a、244bが形成されている。硬質プレート243a、243bが取り付けられたシェル円形内周縁部242a、242bは、拘束用シェル部206をベースプレート202に取り外し可能に留め付けるための第2留め付け部として機能する。
左右の第1留め付け部(硬質プレート210a、210bが取り付けられたシェル縁端部206a、206b)は、留め付け用の留め具217を用いて、図13に示すように、患者Pの肩部Pbの頭尾方向Yの頭側において、ベースプレート202に対して、頭尾方向Yとは異なる方向に延びる状態に取り付けられる。本例では、頭尾方向Yに直交する幅方向Xに延びる状態に取り付けられる。
これに対して、左右の第2留め付け部(硬質プレート243a、243bが取り付けられたシェル円形内周縁部242a、242b)は、それぞれ1本の留め具245を用いて、図13に示すように、患者Pの脇下Pcを通して、ベースプレート202に取り付けられる。
左右の第3留め付け部(硬質プレート215a、215bが取り付けられたシェル縁端部214a、214b)は、留め具218を用いて、図13に示すように、患者Pの肩部Pbの外側(幅方向Xの外側)の位置において、ベースプレート202の端面に、頭尾方向Yに延びる状態に取り付けられる。
ベースプレート202は実施の形態1のベースプレート2(図3)と同一構成であり、例えばカーボン製のプレートであり、頭尾方向Yに長い略長方形のプレート部分221と、このプレート部分221の先端側の縁である頭尾方向Yの頭側の縁の中央部分から頭側に突出している長方形枠部222とを備えている。ベースプレート202は、治療台あるいは検査台の天板(図示せず)の側に固定される。
ベースプレート202のプレート部分221における頭尾方向Yの頭側の左右の縁端部分には、図13(c)に示すように、体位固定シェル203の第2留め付け部である左右の硬質プレート243a、243bを留め具245よって留め付けるための複数個の円形の留め孔225が形成されている。左右の留め孔225は、幅方向に一定の間隔で、二列の留め孔列が頭尾方向に形成されており、各留め孔列は頭尾方向Yに一定の間隔で形成し
た複数個の留め孔225からなる。これら左右の留め孔225が形成されている部位が、プレート側第2留め付け部として機能する。
また、ベースプレート202のプレート部分221における頭尾方向Yの頭側の左右の側端面には、図13(c)に示すように、体位固定シェル203の第3留め付け部である左右の硬質プレート215a、215bを留め具218よって留め付けるための複数個の円形の留め孔232が形成されている。左右の留め孔232は、幅方向に一定の間隔で形成されている。これら左右の留め孔232が形成されている部位が、プレート側第3留め付け部として機能する。
なお、図13(a)に示すように、ベースプレート202のプレート部分221における頭尾方向Yの頭側の左右の端面には、それぞれ幅方向Xに一定の間隔で、複数個、本例では2個の円形の留め孔(図示せず)が形成されている。これら左右の留め孔が形成されている部位がプレート側第1留め付け部として機能し、ここに、体位固定シェル203の左右のシェル縁端部206a、206bに取り付けた硬質プレート210a、210b(第1留め付け部、図においては硬質プレート210bのみを示す。)が、留め具217によって留め付けられる。
また、ベースプレート202の長方形枠部222における左右の側端面226a、226b(図においては側端面226bのみを示す。)は、体位固定シェル203の固定用シェル部205の左右の硬質プレート208a、208bを留め付けるためのプレート側留め付け部となっている。ここには、固定用シェル部5の硬質プレート208a、208bが、留め具219によって留め付けられている。
さらに、ベースプレート202の長方形枠部222の長方形開口部(図示せず)には、図13(b)から分かるように、頭頸部サポート204が装着される。頭頸部サポート204の患者Pの頭頸部Paを載せた状態で、体位固定シェル203によって頭頸部Paがベースプレート220に固定される。
この構成の体位固定シェルシステム200では、図13に示すように、体位固定シェル203の固定用シェル部205によって、患者Pの頭頸部Paが固定される。
また、体位固定シェル203の拘束用シェル部206の第1留め付け部(シェル縁端部206a、206b、硬質プレート210a、210b)はベースプレート202の左右の端面226a、226bに留め付けられ、ここに繋がっているシェル部分によって、頭尾方向Yの頭側から肩部Pbが拘束される。
さらに、拘束用シェル部206の第2留め付け部(硬質プレート243a、243bが取り付けられているシェル円形内周縁部242a、242b)はベースプレート202の左右の縁側の表面部分に留め付けられ、ここに繋がっている左右のシェル部分は患者Pの左右の脇下Pcを通って延びている。これら左右のシェル部分によって、脇下Pcの部分が左右から拘束される。
これに加えて、拘束用シェル部206の第3留め付け部(硬質プレート215a、215bが取り付けられたシェル縁端部214a、214b)はベースプレート202の左右の側端面に留め付けられ、これらに繋がっている左右のシェル部分は患者Pの肩部Pbを外側から拘束する。これら左右のシェル部分と、第2留め付け部に繋がっている内側のシェル部分との間に、左右の肩部Pbが幅方向の両側から拘束される。
これにより、拘束用シェル部206によって、患者Pの肩部Pbの部分の頭尾方向Yの
移動が確実に拘束される。同時に、肩部Pbの幅方向の移動も確実に拘束される。よって、肩部Pbの部分の移動によって、頭頸部Paの固定精度が低下してしまう不具合を防止できる。
[実施の形態6]
図15および図16は実施の形態6の体位固定シェルシステムを示し、図15(a)、(b)は使用状態を示す説明図であり、図16はその体位固定シェルを示す平面図である。
図15に示すように、実施の形態6に係る体位固定シェルシステム300は、治療台等の天板(図示せず)に取り外し可能に取り付けられるベースプレート302と、このベースプレート302に取り外し可能な状態で留め付けられるフレーム型の体位固定シェル303とを備えている。
体位固定シェル303は熱可塑性樹脂からなるネット状の一枚のシート素材から形成されている。熱を加えて軟化させた状態で、ベースプレート302に載せた患者あるいは被験者(以下、単に「患者P」という。)の頭頸部Paに押し付けて型を取る。型取りした後の体位固定シェル303は、図に示すように、ベースプレート302に取り付けて頭頸部Paを移動しないように固定する。
図16に示すように、体位固定シェル303は、成形前の平面展開状態において、逆U字形輪郭の固定用シェル部305と、この固定用シェル部305よりも幅方向Xに広い略長方形輪郭の拘束用シェル部306とを備えている。固定用シェル部305は、ベースプレート302に載せた患者Pの頭頸部Paを移動しないようにベースプレート302に固定し、拘束用シェル部306は、患者Pの肩部Pbを頭尾方向Yおよび幅方向Xに移動しないようにベースプレート302に固定する(図15参照)。
固定用シェル部305の逆U字状輪郭のシェル縁端部305aから、このシェル縁端部305aの左右の端に繋がる拘束用シェル部306の左右のシェル縁端部306aの頭尾方向Yの尾側の端まで、一定幅の硬質プレート308が固定されている。
硬質プレート308の逆U字状輪郭のプレート部分308aが取り付けられている固定用シェル部305のシェル縁端部305aは、ベースプレート302に留め付ける留め付け部である。
また、硬質プレート308は、逆U字状輪郭部分の左右の端から幅方向Xの外側に向けて、僅かに頭尾方向Yの尾側に傾斜した方向に延びる左右のプレート部分308b、308cと、これらのプレート部分308b、308cの外端に連続して、頭尾方向Yの尾側に延びているプレート部分308d、30eとを備えている。硬質プレート308には、その長さ方向に沿って左右対称の位置に留め孔309が形成されている。
これらの左右のプレート部分308b〜308eに取り付けられている拘束用シェル部306の左右のシェル縁端部306b〜306eは、拘束用シェル部306を、ベースプレート302に留め付けるための留め付け部として機能する。特に、シェル縁端部のうち、左右のシェル縁端部306b、306cは、ベースプレート302における患者Pの肩部Pbの頭尾方向Yの頭側の部位に留め付けられる第1留め付け部として機能する。また、左右の頭尾方向Yに延びるシェル縁端部306d、306eは、ベースプレート302における患者Pの肩部Pbの幅方向Xの外側の部位に留め付けられる第3留め付け部として機能する。
さらに、拘束用シェル部306において、左右のシェル縁端部306d、306eから幅方向の内側に同一の距離だけ離れた位置には、円形の留め孔341a、341bが形成されている。これらの留め孔を規定するシェル円形内周縁部342a、342bには、同心状に、円盤状の硬質プレート343a、343bが固定されている。硬質プレート343a、343bの中心部にも留め孔344a、344bが形成されている。硬質プレート343a、343bが取り付けられたシェル円形内周縁部342a、342bは、拘束用シェル部306をベースプレート302に取り外し可能に留め付けるための第2留め付け部として機能する。
左右の第1留め付け部、第3留め付け部(硬質プレート308の308b〜308eが取り付けられているシェル縁端部306b〜306e)は、図15に示すように、留め付け用の留め具317を用いてベースプレート302に留め付けられる。第3留め付け部のシェル縁端部306d、306eは、患者Pの肩部Pbの頭尾方向Yの頭側において、ベースプレート302に対して、頭尾方向Yとは異なる方向、本例では、頭尾方向Yにほぼ直交する幅方向Xに延びる状態に取り付けられる。
これに対して、左右の第2留め付け部(硬質プレート343a、343bが取り付けられたシェル円形内周縁部342a、342b)は、それぞれ1本の留め具345を用いて、図15に示すように、患者Pの脇下Pcを通して、ベースプレート302に取り付けられる。
左右の第3留め付け部(硬質プレート308のプレート部分308b、308cが取り付けられたシェル縁端部306b、306c)は、図15に示すように、留め具317を用いて患者Pの肩部Pbの外側(幅方向Xの外側)の位置において、ベースプレート302の縁端部に、頭尾方向Yに延びる状態に取り付けられる。
ベースプレート302は、図示を省略するが、体位固定シェル303の輪郭形状に対応した頭部側プレート部分と、一定幅の本体側プレート部分を備えている。また、その外周縁部に沿って一定の間隔で留め孔(図示せず)が形成されている。体位固定シェル303の第1〜第3留め付け部に対峙する部分が第1〜第3プレート側留め付け部である。
この構成の体位固定シェルシステム300では、図15に示すように、体位固定シェル303の固定用シェル部305によって、患者Pの頭頸部Paが固定される。
また、体位固定シェル303の拘束用シェル部306の第1留め付け部(シェル縁端部306b、306c、硬質プレート308のプレート部分308b、308c)はベースプレート302の左右の縁端部に留め付けられ、ここに繋がっているシェル部分によって、頭尾方向Yの頭側から肩部Pbが拘束される。
さらに、拘束用シェル部306の第2留め付け部(硬質プレート343a、343bが取り付けられているシェル円形内周縁部342a、342b)はベースプレート302の左右の縁側の表面部分に留め付けられ、ここに繋がっている左右のシェル部分は患者Pの左右の脇下Pcを通って延びている。これら左右のシェル部分によって、脇下Pcの部分が左右から拘束される。
これに加えて、拘束用シェル部306の第3留め付け部(硬質プレート308のプレート部分30d、308eが取り付けられたシェル縁端部306d、306e)はベースプレート302の左右の縁端部に留め付けられ、これらに繋がっている左右のシェル部分は患者Pの肩部Pbを外側から拘束する。これら左右のシェル部分と、第2留め付け部に繋がっている内側のシェル部分との間に、左右の肩部Pbが幅方向の両側から拘束される。
これにより、拘束用シェル部306によって、患者Pの肩部Pbの部分の頭尾方向Yの移動が確実に拘束される。同時に、肩部Pbの幅方向の移動も確実に拘束される。よって、肩部Pbの部分の移動によって、頭頸部Paの固定精度が低下してしまう不具合を防止できる。
1 体位固定シェルシステム、2 ベースプレート、3 体位固定シェル、
4 頭頸部サポート、5a,5b シェル縁端部、6a,6b シェル縁端部、
8a、8b 硬質プレート、9 留め孔、10a,10b 硬質プレート、
11 留め孔、13a,13b 切り欠き縁、14a,14b シェル縁端部、
15a,15b 硬質プレート、16 留め孔、17 留め具、18 留め具、
21 プレート部分、22 長方形枠部、22a 長方形開口部、24 開口部、
25 留め孔、26a,26b 端面、27 留め孔、28a,28b 側端面、
29a,29b 留め付け用プレート、30 留め具、
P 患者、Pa 頭頸部、Pb 肩部、Pc 脇下、Pd 腕、
X 幅方向、Y 頭尾方向、

40 体位固定シェルシステム、42A 天板、42B ベースプレート、
43 体位固定シェル、44 頭頸部サポート、45 固定用シェル部、
46 拘束用シェル部、45a シェル縁端部、
46a,46b シェル縁端部、48 硬質プレート、48a プレート部分、
48b,48c プレート部分、
49a,49b 切り欠き縁、50a,50b シェル縁端部、
51a,51b 硬質プレート、52 留め具取付け溝、
53 開口部、54 留め付けレバー、55 留め具、

60 体位固定シェルシステム、62 ベースプレート、63 体位固定シェル、
64 頭頸部サポート、65 頭部固定用シェル、
65a,65b シェル縁端部、66 肩脇拘束用シェル、
66a,66b シェル縁端部、68a,68b 硬質プレート、
69 留め孔、70a、70b 硬質プレート、71 留め孔、
73a,73b 切り欠き縁、74a,74b シェル縁端部、
75a,75b 硬質プレート、76 留め孔、77,78 留め具、

80 体位固定シェルシステム、82 ベースプレート、83 体位固定シェル、
84 頭頸部サポート、85 頭頸部固定用シェル、
85a,85b シェル縁端部、86A,86B 肩脇拘束用シェル、
86a 第1のシェル縁端部、86b 第2のシェル縁端部、
88a,88b 硬質プレート、89 留め孔、90a 硬質プレート、
91 留め孔、95a 硬質プレート、96 留め孔、97,98 留め具、

101 ピン孔、102 面ファスナ、103 ピン孔、104 面ファスナ、
105 位置決めピン、106 面ファスナ、107 位置決めピン、
108 面ファスナ、

113 体位固定シェル、115 固定用シェル部、
115a,115b シェル縁端部、
116 拘束用シェル部、116A,116B 張り出し部
118a,118b 硬質プレート、120a,120b 硬質プレート、
124a,124b シェル縁端部、125a,125b 硬質プレート、

200 体位固定シェルシステム、202 ベースプレート、203 体位固定シェル、204 頭頸部サポート、205 固定用シェル部、205a、205b シェル縁端部206 拘束用シェル部、206a,206b シェル縁端部、207 括れ部分、
208a,208b 硬質プレート、209 留め孔、
210a,210b 硬質プレート、213a,213b 切り欠き縁、
214a,214b シェル縁端部、215a,215b 硬質プレート、
219 留め具、221 プレート部分、222 長方形枠部、226b 側端面、
232 留め孔、241a,241b 留め孔、
242a,242b シェル円形内周縁部、243a,243b 硬質プレート、
244a,244b 留め孔、245 留め具、

300 体位固定シェルシステム、302 ベースプレート、303 体位固定シェル、305 固定用シェル部、305a シェル縁端部、306 拘束用シェル部、
306a シェル縁端部、306b〜306e シェル縁端部、
308 硬質プレート、308a〜308e プレート部分、309 留め孔、
317 留め具、341a,341b 留め孔、
342a,342b シェル円形内周縁部、343a,343b 硬質プレート、
344a,344b 留め孔

Claims (20)

  1. 熱を加えて軟化させた状態でベースプレートに載せる患者あるいは被験者の頭部あるいは頭頸部に沿った形状に成形して当該頭部あるいは頭頸部を移動しないように前記ベースプレートに固定するための熱可塑性樹脂製の固定用シェル部と、
    熱を加えて軟化させた状態で前記患者あるいは被験者の左右の肩部に沿った形状に成形して当該肩部を頭尾方向に移動しないように前記ベースプレートに固定するための熱可塑性樹脂製の拘束用シェル部と、
    を有しており、
    前記拘束用シェル部は、前記ベースプレートに留め付けられる左右一対の第1留め付け部および左右一対の第2留め付け部を備えた一枚のシェルから形成されており
    前記第1留め付け部のそれぞれは、前記ベースプレートに載せた患者あるいは被験者の左右の肩部の頭尾方向の頭側において、前記ベースプレートに留め付けられる部位であり、
    前記第2留め付け部のそれぞれは、前記患者あるいは被験者の左右の脇下を通して、前記ベースプレートに留め付けられる部位である体位固定シェル。
  2. 前記第1留め付け部のそれぞれは、前記ベースプレートに対して、前記頭尾方向とは異なる方向に延びる状態に留め付けられる所定長さの第1シェル縁端部であり、
    前記第2留め付け部のそれぞれは、前記ベースプレートに対して、前記頭尾方向に延びる状態に留め付けられる所定長さの第2シェル縁端部である請求項1に記載の体位固定シェル。
  3. 前記第1留め付け部および前記第2留め付け部は、相互に直交する状態で前記ベースプレートに留め付けられる所定長さの第1、第2シェル縁端部である請求項1に記載の体位固定シェル。
  4. 前記固定用シェル部および前記拘束用シェル部は、一枚のシェルから形成されている請求項1に記載の体位固定シェル。
  5. 前記シェルは、成形前の平面展開状態において、
    前記固定用シェル部として機能する長方形部分と、
    前記長方形部分よりも頭尾方向に直交する幅方向に広く、前記拘束用シェル部として機能する広幅長方形部分と、
    前記長方形部分および前記広幅長方形部分の間を繋き、前記長方形部分よりも横幅が狭い括れ部分と、
    を備えており、
    前記広幅長方形部分において、前記括れ部分の前記幅方向の両側から当該幅方向の両側に延びる左右の縁端部が前記第1留め付け部であり、前記幅方向の両側において前記頭尾方向に延びる左右の縁端部が前記第2留め付け部である、
    請求項4に記載の体位固定シェル。
  6. 前記シェルは、成形前の平面展開状態において、
    前記固定用シェル部として機能する逆U字形輪郭部分と、
    前記逆U字形輪郭部分よりも頭尾方向に直交する幅方向に広く、前記拘束用シェル部として機能する長方形部分と、
    を備えており、
    前記長方形部分において、前記逆U字形輪郭部分に連続して前記幅方向の両側に延びる左右の縁端部が前記第1留め付け部であり、前記幅方向の両側において前記頭尾方向に
    延びる左右の縁端部が前記第2留め付け部である、
    請求項4に記載の体位固定シェル。
  7. 二枚のシェルを有し、そのうちの一枚のシェルは前記固定用シェル部であり、残りの一枚のシェルは前記拘束用シェル部である請求項1に記載の体位固定シェル。
  8. 三枚のシェルを有し、そのうちの一枚は前記固定用シェル部であり、残りの二枚のシェルは前記肩部の左右の部位を拘束する前記拘束用シェル部である請求項1に記載の体位固定シェル。
  9. 前記拘束用シェル部のそれぞれは、成形前の平面展開状態において、左右対称な矩形輪郭のシェルであり、
    前記拘束用シェル部における前記頭尾方向の頭側の辺は前記頭尾方向に直交する幅方向に延びる前記第1留め付け部であり、前記頭尾方向の尾側の辺は前記幅方向の内側に向かって前記頭尾方向の尾側に傾斜する方向に延びる前記第2留め付け部であり、
    前記拘束用シェル部のそれぞれは、前記固定用シェル部における前記幅方向の両側の部分に重なった状態で、前記肩部を前記ベースプレートに固定するようになっている請求項8に記載の体位固定シェル。
  10. 前記拘束用シェル部は、更に、前記ベースプレートに留め付けられる左右一対の第3留め付け部を備え、
    前記第3留め付け部は、前記ベースプレートに載せた患者あるいは被験者の左右の肩部に対して、前記頭尾方向に直交する幅方向の外側の位置において、前記ベースプレートに留め付けられる部位である請求項1に記載の体位固定シェル。
  11. 前記第1留め付け部のそれぞれは、前記ベースプレートに対して、前記頭尾方向とは異なる方向に延びる状態に留め付けられる所定長さのシェル縁端部であり、
    前記第2留め付け部は、前記頭尾方向に直交する幅方向において一定の間隔の位置において、前記ベースプレートに留め付けられる部位であり、
    前記第3留め付け部は、前記第2留め付け部の幅方向の外側において前記頭尾方向に延びる状態に前記ベースプレートに取り付けられる所定長さのシェル縁端部である請求項10に記載の体位固定シェル。
  12. 前記第1留め付け部および前記第3留め付け部は、相互に直交する状態で前記ベースプレートに取り付けられる所定長さのシェル縁端部である請求項11に記載の体位固定シェル。
  13. 前記固定用シェル部および前記拘束用シェル部は、一枚のシェルから形成されている請求項10に記載の体位固定シェル。
  14. 前記シェルは、成形前の平面展開状態において、
    前記固定用シェル部として機能する長方形部分と、
    前記長方形部分よりも頭尾方向に直交する幅方向に広く、前記拘束用シェル部として機能する広幅長方形部分と、
    前記長方形部分および前記広幅長方形部分の間を繋き、前記長方形部分よりも横幅が狭い括れ部分と、
    を備えており、
    前記広幅長方形部分において、前記括れ部分の前記幅方向の両側から当該幅方向の両側に延びる左右の縁端部が前記第1留め付け部であり、前記幅方向の両側において前記頭尾方向に延びる左右の縁端部が前記第3留め付け部であり、前記左右の縁端部から前記幅方向の内側に同一距離だけ離れた左右の部位が前記第2留め付け部である
    請求項13に記載の体位固定シェル。
  15. 前記シェルは、成形前の平面展開状態において、
    前記固定用シェル部として機能する逆U字形輪郭部分と、
    前記逆U字形輪郭部分よりも頭尾方向に直交する幅方向に広く、前記拘束用シェル部として機能する長方形部分と、
    を備えており、
    前記長方形部分において、前記逆U字形輪郭部分に連続して前記幅方向の両側に延びる左右の縁端部が前記第1留め付け部であり、前記幅方向の両側において前記頭尾方向に延びる左右の縁端部が前記第3留め付け部であり、前記左右の縁端部から前記幅方向の内側に同一距離だけ離れた左右の部位が前記第2留め付け部である
    請求項13に記載の体位固定シェル。
  16. 二枚のシェルを有し、そのうちの一枚のシェルは前記固定用シェル部であり、残りの一枚のシェルは前記拘束用シェル部である請求項10に記載の体位固定シェル。
  17. ベースプレートと、
    請求項1ないし9のうちのいずれか一つの項に記載の体位固定シェルと、
    を有しており、
    前記ベースプレートは、前記第1留め付け部を着脱可能に取り付けることのできるプレート側第1留め付け部と、前記第2留め付け部を着脱可能に取り付けることのできるプレート側第2留め付け部とを備えている、
    体位固定シェルシステム。
  18. 前記第1留め付け部と前記プレート側第1留め付け部の間、および前記第2留め付け部と前記プレート側第2留め付け部の間を、それぞれ、取り外し可能な状態で結合する位置決めピンおよび面ファスナを備えている請求項17に記載の体位固定シェルシステム。
  19. ベースプレートと、
    請求項10ないし16のうちのいずれか一つの項に記載の体位固定シェルと、
    を有しており、
    前記ベースプレートは、前記第1留め付け部を着脱可能に取り付けることのできるプレート側第1留め付け部と、前記第2留め付け部を着脱可能に取り付けることのできるプレート側第2留め付け部と、前記第3留め付け部を着脱可能に取り付けることのできるプレート側第3留め付け部とを備えている、
    体位固定シェルシステム。
  20. 前記第1留め付け部と前記プレート側第1留め付け部の間、前記第2留め付け部と前記プレート側第2留め付け部の間、および、前記第3留め付け部と前記プレート側第3留め付け部の間をそれぞれ、取り外し可能な状態で結合する位置決めピンおよび面ファスナを備えている請求項19に記載の体位固定シェルシステム。
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