JP6563209B2 - 機能性水硬性無機粒子及びそれを含む水硬性粒子 - Google Patents
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Description
(I)機能性水硬性無機粒子450質量部に対し、水225質量部及びJIS R5201(1997年)に記載の標準砂1350質量部を含むモルタル組成物について、JIS R5201(1997年)に準拠して求められる15打フロー値(F0)と、機能性水硬性無機粒子を550℃で加熱後に同様に調製したモルタル組成物の15打フロー値(F1)との比(F0/F1)が、1.1以上である。
(II)前記条件(I)下での15打フロー値(F0)と、クレイを標準砂100質量部に対して0.2質量部含むこと以外は前記15打フロー値(F0)と同様にして求められる15打フロー値(F2)との比(F0/F2)が、1.2以下である。
本発明はまた、上記機能性水硬性無機粒子を含有する水硬性粒子でもある。
以下に本発明を詳述する。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も本発明の好ましい形態である。
本発明の機能性水硬性無機粒子は、水硬性無機粒子に機能性(流動性及び耐クレイ性)を付与したものともいえ、水硬性無機粒子を含む。
本明細書中、「水硬性」とは、水の存在下で水和反応が生じ、固体として硬化していくような狭義の「水硬性」の他、水だけでは水和しないものの、刺激剤と称される少量の物質の存在下で水和反応が生じ、固体として硬化していくような「潜在水硬性」をも意味する。
なお、水硬性無機粒子及びポゾラン活性無機粒子は、未だ水和(硬化)していない状態にあること、すなわち未水和であることが好適である。
本明細書中、粒子の粒径は、市販の粒度分布測定装置を用いて測定することができる。例として、HORIBA社製、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−910を用いて、試料をエタノールで超音波分散させた後、相対屈折率1.10の条件で測定することができる。
すなわち、機能性水硬性無機粒子450質量部に対し、水225質量部及びJIS R5201(1997年)に記載の標準砂1350質量部を含むモルタル組成物について、JIS R5201(1997年)に準拠して求められる15打フロー値(F0)と、機能性水硬性無機粒子を550℃で加熱後に同様に調製したモルタル組成物の15打フロー値(F1)との比(F0/F1)が、1.1以上となるものである。F0/F1がこの範囲にあるということは、当該機能性水硬性無機粒子が、水硬性組成物に高い流動性を与えるものであることを意味する。通常、550℃という高温で加熱すると、有機物質(例えば、有機系分散剤等)を含んでいる場合はこの有機物質が水硬性無機粒子から分離されるため、加熱後の機能性水硬性無機粒子を含むモルタル組成物のフロー値は、有機物質に由来しない物性値、すなわち機能性水硬性無機粒子を構成する水硬性無機粒子本来の物性値であるといえる。F0/F1は、好ましくは1.15以上、より好ましくは1.2以上である。上限は特に限定されないが、取扱い性の観点から、50以下であることが好ましい。
本明細書中、標準砂とは、JIS R5201(1997年)に記載のものである。
F1は、機能性水硬性無機粒子を550℃で3時間加熱した後、この加熱後の機能性水硬性無機粒子を用いたこと以外は、F0と同様にして測定した15打フロー値である。
すなわち、機能性水硬性無機粒子450質量部に対し、水225質量部及び標準砂1350質量部を含むモルタル組成物について、JIS R5201(1997年)に準拠して求められる15打フロー値(F0)と、クレイを標準砂100質量部に対して0.2質量部含むこと以外は同様にして求められる15打フロー値(F2)との比(F0/F2)が、1.2以下となるものである。この比が1.2以下となる機能性水硬性無機粒子は耐クレイ性に優れるため、耐クレイ性が求められる用途に特に好適なものとなる。より好ましくは1.15以下、更に好ましくは1.1以下である。下限は0.9以上であることが好ましい。
F2は、機能性水硬性無機粒子450質量部に対し、水225質量部、標準砂1350質量部及びクレイ2.7部を含むモルタル組成物について、JIS R5201(1997年)に従って求められる15打フロー値である。
ここで、機能性水硬性無機粒子が水硬性無機粒子に加えてポゾラン活性無機粒子を更に含む場合、機能性水硬性無機粒子が上述した条件(I)及び(II)を満たす限り、該ポゾラン活性無機粒子は、その表面の一部又は全部が有機系分散剤で被覆されたものであってもよいし、被覆されていないものであってもよいが、被覆されたものであることが好適である。
なお、粒子表面に有機系分散剤が吸着又は付着していることは、例えば、X線光電子分光法等を用いて粒子表面の炭素含有率(炭素濃度)を測定すること等により確認することができる。
機能性水硬性無機粒子におけるSi及びCaに対するCの相対表面濃度は、縦軸が毎秒あたりのカウント数、横軸が結合エネルギーを示すXPSのチャートから、C1sのピーク面積をC1sの感度係数で除した値を、Si2pのピーク面積をSi2pの感度係数で除した値と、Ca2pのピーク面積をCa2pの感度係数で除した値との合計値で、除した値であり、下記数式(1)で表される。
測定装置:ULVAC−PKI社製、PHI Quantera SXMを用い、X線源はAlKα、ビーム径は100μm、ビーム出力は25W−15kVとする。
試料調整法:SUS社製φ3ワッシャー内に、測定試料である粒子粉末を充填後、スパチュラを用いて指圧で固定化する。それをSUS社製の冶具でサンプル台にセットする。カーボンテープ等のカーボン種の冶具は一切使用しない。
深さ方向の分析方法:Ar+イオン(2kV−25mA)によって、SiO2換算で8nm/分の速度でエッジングを行い、深さ方向分析を行う。
Si2p、Ca2p、C1sの測定では、パスエネルギーを280eV、エネルギーステップを0.5eVに設定する。
Si2pのピーク面積は100eV付近のピークを14回積算した後、Shirley法によりバックグラウンド除去して算出する。
Ca2pのピーク面積は345〜350eV付近のピークを14回積算した後、Shirley法によりバックグラウンド除去して算出する。
C1sのピーク面積は285eV付近のピークを14回積算した後、Shirley法によりバックグラウンド除去して算出する。
なお、感度係数は測定装置固有の値であり、当該装置のSi2p、Ca2p、C1sの感度係数は、それぞれ119.676、597.269及び87.799である。したがって、本明細書でいう「相対表面濃度」とは、ULVAC−PKI社製の測定装置「PHI Quantera SXM」を用いて求められる値である。
1、まず機能性水硬性無機粒子内に存在する有機系分散剤の量を求める。この「機能性水硬性無機粒子内に存在する有機系分散剤の量」とは、該機能性水硬性無機粒子を電気炉の中で加熱して求められる、150℃における強熱減量率(これを(p)とする)と、450℃における強熱減量率(これを(q)とする)との差(=p−q)である。ここでの各温度の強熱減量率は、各温度に加熱後の質量残存率(質量%)を意味する。
2、次に、機能性水硬性無機粒子のXPSを測定してケイ素(Si)及びカルシウム(Ca)に対する炭素(C)の相対表面濃度の値(これを(x)とする)を求めた後、該機能性水硬性無機粒子を電気炉の中で加熱し、550℃で3時間加熱した後の無機粒子のXPSを測定してケイ素(Si)及びカルシウム(Ca)に対する炭素(C)の相対表面濃度の値(これを(y)とする)を求め、これらの差(=x−y)を算出する。
3、上記2で求めた相対表面濃度の差(x−y)を、上記1で求めた機能性水硬性無機粒子内に存在する有機系分散剤の量(p−q)で除す。このように「(x−y)/(p−q)」により求められる値を、「有機系分散剤単位量あたりのケイ素(Si)及びカルシウム(Ca)に対する炭素(C)の相対表面濃度(z)」とする。
リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、アミノスルホン酸塩(例えば、アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等、特開平1−113419号公報参照)等のスルホン酸塩;ポリオール誘導体;ポリオキシアルキレン基とアニオン性基とを有する重合体(例えば、3−メチル3−ブテン−1−オール等の特定の不飽和アルコールにエチレンオキシド等を付加したアルケニルエーテル系単量体及び不飽和カルボン酸系単量体を含む単量体成分を用いて得られる共重合体又はその塩(特開昭62−68808号公報、特開平10−236858号公報、特開2001−220417号公報参照));(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル又はポリエチレン(プロピレン)グリコールモノ(メタ)アリルエーテル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)及び(メタ)アクリル酸(塩)を用いた共重合体(特開昭62−216950号公報参照);(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)及び(メタ)アクリル酸(塩)を用いて得られる共重合体(特開平1−226757号公報参照);ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテルとマレイン酸(塩)との共重合体(特開平4−149056号公報参照);ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸(塩)、及び、(メタ)アリルスルホン酸(塩)又はp−(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸(塩)を用いて得られる共重合体(特開平6−191918号公報参照);アルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体、その加水分解物又はその塩(特開平5−43288号公報参照);
以下に、スルホン酸系分散剤、リン酸系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤の好ましい形態を説明する。なお、1分子中にスルホン酸基、リン酸基及びカルボン酸基のうち少なくとも2種以上を有する化合物も、本発明の好ましい有機系分散剤に含まれる。
スルホン酸基含有化合物は、分子中にスルホン酸基を有する化合物であり、一般にスルホン酸系分散剤として水硬性無機粒子に使用されている化合物を1種又は2種以上を使用することができる。中でも、分子中に芳香族基を有する化合物であることが好ましい。
具体的には、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のポリアルキルアリールスルホン酸塩;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸塩;リグニンスルホン酸塩、変性リグニンスルホン酸塩等のリグニンスルホン酸塩;ポリスチレンスルホン酸塩;等が挙げられる。
なお、ビスフェノール化合物のスルホン化は特に限定されず、通常のスルホン化剤(例えば、硫酸、クロルスルホン酸、三酸化イオウ等)の存在下、通常の手法で行えばよい。
上記ナフタレンスルホン酸系化合物とアルデヒド化合物との縮合反応では、これらの比率(ナフタレンスルホン酸系化合物/アルデヒド化合物;モル%)を、10〜90/90〜10とすることが好ましい。より好ましくは10〜50/50〜90である。また、更に、ビスフェノール化合物のスルホン化物を添加して縮合反応を行う場合、ナフタレンスルホン酸系化合物とビスフェノール化合物のスルホン化物との総量100モル%中、ナフタレンスルホン酸系化合物を50〜99モル%とすることが好ましい。より好ましくは30〜90モル%である。
スルホン酸基含有化合物の重量平均分子量は、例えば、以下の測定条件(1)の下、ポリスチレンスルホン酸を標準物質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPCとも称す)により測定することができる。
装置:Waters社製、Waters Alliance(2695)
解析ソフト:Waters社製、Empowerプロフェッショナル+GPCオプション
使用カラム:東ソー社製、TSK guard column SWXL+TSKgelG4000SWXL+G2000SWXL
検出器:多波長可視紫外(PDA)検出器(Waters 2996)
溶離液:30mM CH3COONa/CH3CN=6/4
較正曲線作成用標準物質:創和科学社製ポリスチレンスルホン酸[ピークトップ分子量(Mp)976000、356000、77900、15650、4600]
較正曲線:上記ポリスチレンスルホン酸のMp値と溶出時間とを基礎にして3次式で作成
流量:0.7mL/min
カラム温度:40℃
測定時間:45分
試料液注入量:100μL(試料濃度0.5質量%の溶離液調製溶液)
リン酸基含有化合物は、分子中にリン酸基を有する化合物であり、一般にリン酸系分散剤として水硬性無機粒子に使用されている化合物を1種又は2種以上を使用することができる。中でも、分散性能により優れる観点から、ポリアルキレングリコールを含むリン酸系重合体、リン酸系縮合物が好ましい。
なお、重量平均分子量は、例えば、以下の測定条件(2)の下、ポリエチレングリコールを標準物質として、GPCにより測定することができる。
装置:Waters社製、Waters Alliance(2695)
解析ソフト:Waters社製、Empowerプロフェッショナル+GPCオプション
使用カラム:東ソー社製、TSK guard column SWXL+TSKgelG4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters社製、Waters 2414)
溶離液:水10999g及びアセトニトリル6001gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶解し、更に酢酸でpH6.0に調整した溶液
較正曲線作成用標準物質:ポリエチレングリコール[ピークトップ分子量(Mp)300000、200000、107000、50000、27700、11840、6450、1470]
較正曲線:上記ポリエチレングリコールのMp値と溶出時間とを基礎にして3次式で作成流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
測定時間:45分
試料液注入量:100μL(試料濃度0.5質量%の溶離液調製溶液)
リン酸系重合体は、リン酸基を含む重合体であればよいが、例えば、下記一般式(2)で表される(ポリ)アルキレングリコール系単量体と、下記一般式(3)で表されるリン酸系単量体とを含む単量体成分を重合して得られる重合体であることが好ましい。
なお、2種以上のオキシアルキレン基が存在する場合、その付加形態は、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの付加形態であってもよい。
R5が炭化水素基を表す場合、得られる重合体の親水性をより向上させる観点から、その炭素数(炭素原子数)は1〜12が好ましく、より好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2である。炭化水素基としては、例えば、アルキル基(直鎖、分岐鎖又は環状)、フェニル基、アルキル置換フェニル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基等が好適であり、中でもアルキル基(直鎖、分岐鎖又は環状)が好ましく、メチル基がより好ましい。
なお、2種以上のオキシアルキレン基が存在する場合、その付加形態は、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの付加形態であってもよい。
リン酸系縮合物は、例えば、リン酸エステルとアルデヒド化合物との縮合物が好適である。リン酸エステルとしては、リン酸類(塩であってもよい)と、水酸基含有化合物とのエステル化物であれば特に限定されず、1種又は2種以上を使用することができる。なお、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、リン酸トリエステルのいずれであってもよい。
なお、リン酸塩類が塩である場合は、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩等が挙げられる。
上記リン酸類と水酸基含有化合物のエステル化物の具体例として、例えば、フェノキシエタノールをリン酸でエステル化したフェノキシエタノールホスフェート等が挙げられる。
(ポリ)アルキレングリコール鎖を有する芳香族化合物及び/又は複素環式化合物としては、例えば、芳香環を含む化合物及び/又は複素環を含む化合物に、(ポリ)アルキレングリコール鎖が結合した構造を有することが好ましい。
芳香環を含む化合物は、炭素数6〜10の芳香環を含むことが好適である。
複素環を含む化合物は、5〜10員環の複素環を含むことが好ましく、また、ヘテロ原子を1〜5個有するものが好ましく、より好ましくは1〜3個、更に好ましくは1〜2個である。ヘテロ原子として好ましくは、O、N、S及び/又はPである。
なお、(ポリ)アルキレングリコール鎖中に2種以上のオキシアルキレン基が存在する場合、その付加形態は、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの付加形態であってもよい。
ポリカルボン酸系分散剤とは、カルボキシル基及び/又はその塩の構造部分を有する重合体(ポリカルボン酸系重合体)を含む分散剤であることが好ましく、中でも、分散性能により優れる観点から、ポリアルキレングリコールを含むものが好適である。上記有機系分散剤としてより好ましくは、ポリアルキレングリコールを含有するポリカルボン酸系重合体を含むことである。このようなポリカルボン酸系重合体は、特に、上記無機粒子表面への吸着性が高く、しかも表面被覆後により充分な分散性を発揮することができる。すなわち本発明の機能性水硬性無機粒子は、ポリアルキレングリコールを含有するポリカルボン酸系重合体を含むことが好適である。
オキシエチレン基が主体であるとは、ポリアルキレングリコールが2種以上のオキシアルキレン基により形成される場合に、オキシアルキレン基を形成する全アルキレンオキシドのモル数において、エチレンオキシドが大半を占めるものであることを意味する。これにより、ポリカルボン酸系重合体の親水性と疎水性とのバランスがより良好なものとなり、該重合体の奏する効果がより充分に発揮されることとなる。具体的には、ポリアルキレングリコールを構成する全オキシアルキレン基100モル%中、オキシエチレン基が50〜100モル%であることが好ましい。より好ましくは60〜100モル%、更に好ましくは70〜100モル%、特に好ましくは80〜100モル%、最も好ましくは90〜100モル%である。
なお、各構成単位は、各単量体が有する重合性二重結合(炭素炭素二重結合)が単結合となった構造を意味する。
以下では、不飽和ポリアルキレングリコール系単量体(a)を「単量体(a)」とも称し、不飽和カルボン酸系単量体(b)を「単量体(b)」とも称し、単量体(a)由来の構成単位(A)と単量体(b)由来の構成単位(B)とを有する重合体を「共重合体(I)」とも称する。
上記不飽和ポリアルキレングリコール系単量体(a)は、重合性不飽和基と、ポリアルキレングリコール鎖とを有する単量体であればよい。
上記ポリアルキレングリコール鎖としては、例えば、炭素数2〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上により構成されることが好適である。2種以上のオキシアルキレン基が存在する場合、その付加形態は、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの付加形態であってもよい。上記オキシアルキレン基の炭素数としては、2〜8が好ましく、より好ましくは2〜4である。更に好ましくは2である、すなわち上記ポリアルキレングリコール鎖は、ポリエチレングリコール鎖であることが好適である。
上記炭素数2〜18のオキシアルキレン基の具体例及び好ましい形態については上述したとおりである。
上記一般式(4)において、R7及びR8は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表し、pは、0、1又は2である。したがって、「C(R7)H=C(R8)−(CH2)p−」で表されるアルケニル基は、炭素数2〜6のアルケニル基に相当するが、このアルケニルの炭素数として好ましくは、3〜5である。
上記「C(R7)H=C(R8)−(CH2)p−」で表されるアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、メタリル基、3−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基等が挙げられる。これらの中でも、ビニル基、アリル基、メタリル基、3−メチル−3−ブテニル基が好ましい。
なお、R7及びR8としては、R7が水素原子であり、かつR8がメチル基であることが好適であり、このような形態は本発明の好適な実施形態の1つである。
上記炭化水素基としては、例えば、アルキル基(直鎖、分岐鎖又は環状)、フェニル基、アルキル置換フェニル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基等が好適である。中でも、アルキル基(直鎖、分岐鎖又は環状)がより好ましい。中でも、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、炭素数3〜12の脂環式アルキル基が好ましく、より好ましくは、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、炭素数3〜4の脂環式アルキル基であり、更に好ましくは、炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、炭素数3の脂環式アルキル基である。
上記一般式(5)において、Xは、炭素数1〜2の2価のアルキレン基、又は、直接結合を表す。Xが直接結合を表す場合、一般式(5)中のXに結合している炭素原子と酸素原子とが直接に結合した形態を有することとなる。上記Xとしては、これらの中でも、炭素数1〜2の2価のアルキレン基であることが好ましい。すなわち、メチレン基又はエチレン基が好ましい。
1)上記一般式(4)中のR9が水素原子である場合、例えば、アルカリ触媒及び/又は酸触媒の存在下で、不飽和アルコールに、炭素数2〜18のアルキレンオキシドを所定モル付加することによって単量体(a)を得る方法。
なお、上記不飽和アルコールは、例えば、アリルアルコール、メタリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等の炭素数2〜6のアルケニル基を有するアルコールの1種又は2種以上が好適である。
上記アルカリ触媒は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられ、酸触媒としては、例えば、三フッ化ホウ素、四塩化スズ等が挙げられる。
なお、炭素数1〜18のアルコール類は、メタノール、エタノール等の炭素数1〜18のアルコール類等が挙げられる。
炭素数2〜6のハロゲン化アルケニルは、例えば、アリルクロリド、メタリルクロリド等が挙げられる。
上記不飽和カルボン酸系単量体(b)は、重合性不飽和基と吸着基であるカルボキシル基及び/又はその塩の構造部分とを有する単量体であればよく特に限定されないが、(メタ)アクリル酸系単量体等の不飽和モノカルボン酸系単量体(b−1)であることが好ましい。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、並びに、これらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩等の1種又は2種以上を使用することができる。中でも、共重合性の観点から、(メタ)アクリル酸及び/又はこれらの塩が好ましい。
なお、特に、上記単量体(b)として不飽和モノカルボン酸系単量体(b−1)の1種又は2種以上を使用する場合は、構成単位(A)と、不飽和モノカルボン酸系単量体(b−1)由来の構成単位(B−1)との構成比率((A)/(B−1))が70〜95/5〜30(質量比)であることが好適であり、これにより本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。より好ましくは75〜90/10〜25、更に好ましくは79〜85/15〜21、特に好ましくは80〜85/15〜20である。
上記単量体成分はまた、上記単量体(a)及び単量体(b)と共重合可能な単量体として、不飽和モノアクリル酸エステル系単量体(c)の1種又は2種以上を含んでもよい。すなわち、上記共重合体(I)は、更に、不飽和モノカルボン酸エステル系単量体(c)由来の構成単位(C)を含んでいてもよい。不飽和モノアクリル酸エステル系単量体(c)由来の構成単位(C)を更に含むことにより、流動性を一定時間保持することが期待できる。
(1)単量体の全部を反応容器に連続投入する方法。
(2)単量体(a)の全部を反応容器に初期に投入し、その他の単量体の全部を反応容器に連続投入する方法。
(3)単量体(a)の一部を反応容器に初期に投入し、単量体(a)の残りとその他の単量体の全部を反応容器に連続投入する方法。
(4)単量体(a)の一部とその他の単量体の一部を反応容器に初期に投入し、単量体(a)の残りとその他の単量体の残りをそれぞれ反応容器に交互に数回に分けて分割投入する方法。
更に、反応途中で各単量体の反応容器への投入速度を連続的又は段階的に変えることにより各単量体の単位時間当りの投入質量比を連続的又は段階的に変化させて、共重合体中の各構成単位の比率が異なる共重合体の混合物を重合反応中に合成するようにしてもよい。なお、ラジカル重合開始剤は反応容器に初めから仕込んでもよく、反応容器へ滴下してもよく、また目的に応じてこれらを組み合わせてもよい。
重合体の重量平均分子量は、例えば、上述したGPC測定条件(2)の下、ポリエチレングリコールを標準物質として、GPCにより測定することができる。
機能性水硬性無機粒子を電気炉の中で加熱し、450℃における強熱減量率(これを(q)とする)と、550℃における強熱減量率(これを(r)とする)との差(=q−r)を、水和度とする。
ここでの各温度の強熱減量率とは、各温度に加熱後の質量残存率(質量%)を意味する。
本発明はまた、上述した本発明の機能性水硬性無機粒子を含有する水硬性粒子でもある。このような水硬性粒子は、例えば、上記機能性水硬性無機粒子とともに、必要に応じて、上記機能性水硬性無機粒子には該当しない、水硬性無機粒子及び/又はポゾラン活性無機粒子を含むものが挙げられる。この場合、上記機能性水硬性無機粒子による作用効果をより充分に発現させるため、無機粒子の総量100質量%に対し、上記機能性水硬性無機粒子が2質量%以上であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、特に好ましくは20質量%以上、一層好ましくは30質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
本発明の機能性水硬性無機粒子は、例えば、水硬性無機粒子(及び必要に応じてポゾラン活性無機粒子)を有機系分散剤を含む溶媒に分散させた後、該溶媒を留去し、粉末化する工程を含む製造方法により得ることができる。なお、上記製造方法は、通常の製造手段で採用される他の工程(例えば、洗浄工程等)を更に含んでもよい。
なお、上記溶媒が水と有機溶媒とを含む場合、上記溶媒中の有機溶媒と水との総量100質量%に対し、水が50質量%以下であることが好適である。これにより、水硬性無機粒子の水和を制御することが可能になる。有機溶媒と水との総量100質量%に対する水の割合としてより好ましくは30質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下、一層好ましくは1質量%以下、最も好ましくは水を実質的に含まないこと、すなわち有機溶媒を用いる場合は水を実質的に含まないことが最も好ましい。
なお、粉末化工程後に、篩(例えば、JIS試験篩等)を用いて、得られる機能性水硬性無機粒子の粒径を調整することが好適である。
本発明の機能性水硬性無機粒子は、水と混合されることで、水硬性組成物を与えることができる。このような上記機能性水硬性無機粒子及び水を含む水硬性組成物は、本発明の好適な実施形態の1つである。水硬性組成物としては、例えば、セメントペースト、モルタル、コンクリート、プラスター等が挙げられる。
なお、本発明の機能性水硬性無機粒子は耐クレイ性に優れるものであるため、クレイを含んでいてもよい。
上記機能性水硬性無機粒子を用いる水硬性組成物としては、例えば、上記機能性水硬性無機粒子と、水と、上述した必要に応じて添加される他の成分とを混合する工程を含むことが好適であり、その他の工程は特に限定されない。本発明では、上記機能性水硬性無機粒子を用いることにより、高い流動性を示す水硬性組成物を短時間で容易に得ることができるため、このような水硬性組成物の製造方法は、水硬性組成物を使用する技術分野において極めて有用である。
なお、本発明の技術は、石膏等の水と反応して硬化する無機粒子にも適用でき、発明の範囲である。
温度計、撹拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水81.9gと3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキシド(EO)を平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−50)138.8gを仕込み、撹拌下に反応装置を窒素置換し、80℃に昇温した。次に、アクリル酸9.1gをイオン交換水13.6gで希釈した水溶液を3時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水71.0gに3−メルカプトプロピオン酸0.8gを溶解させた水溶液並びにイオン交換水41.1gに過硫酸アンモニウム1.7gを溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃にて1時間攪拌を続け重合反応を終了し、重量平均分子量(Mw)が20000であるポリカルボン酸系共重合体の水溶液を得た。得られたポリカルボン酸系共重合体水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH7まで中和した後、50℃にて減圧(50mmHg)乾燥し、粉砕して、JIS試験篩メッシュ換算表における70メッシュを通過する粉末状のポリカルボン酸系共重合体に調製した。これをポリカルボン酸系分散剤(1)と称す。
同様の方法で、原料や組成を変更し、ポリカルボン酸系分散剤(2)、(6)、(7)を調製した。各ポリカルボン酸系分散剤の組成、分子量を表1に示す。
温度計、撹拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水80gを仕込み、撹拌下に反応装置を窒素置換し、80℃に昇温した。次に、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキシドの付加モル数:10モル)112.6g、メタクリル酸13.7gと3−メルカプトプロピオン酸1.74gをイオン交換水50.1gで溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水40.5gに過硫酸アンモニウム1.35gを溶解させた水溶液を5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃にて1.5時間攪拌を続けた後、重合反応を終了し、重量平均分子量(Mw)が15000であるポリカルボン酸系共重合体の水溶液を得た。得られたポリカルボン酸系共重合体水溶液に水酸化カルシウムを加え、pH7まで中和した後、50℃にて減圧(50mmHg)乾燥し、粉砕して、JIS試験篩メッシュ換算表における70メッシュを通過する粉末状のポリカルボン酸系共重合体に調製した。これをポリカルボン酸系分散剤(3)と称す。
同様の方法で、原料や組成を変更し、ポリカルボン酸系分散剤(4)を調製した。各ポリカルボン酸系分散剤の組成、分子量を表1に示す。
温度計、撹拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水75.5gと3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキシド(EO)を平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−50)159.6g、マレイン酸20.42g、30%過酸化水素水0.56gを仕込み、撹拌下に反応装置を窒素置換し、65℃に昇温した。次に、L−アスコルビン酸0.22gをイオン交換水13.6gで希釈した水溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、65℃にて1時間攪拌を続け重合反応を終了し、重量平均分子量(Mw)が35000であるポリカルボン酸系共重合体の水溶液を得た。得られたポリカルボン酸系共重合体水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH7まで中和した後、50℃にて減圧(50mmHg)乾燥し、粉砕して、JIS試験篩メッシュ換算表における70メッシュを通過する粉末状のポリカルボン酸系共重合体に調製した。これをポリカルボン酸系分散剤(5)と称す。
ポリカルボン酸系分散剤(5)の組成、分子量を表1に示す。
温度計、撹拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水200gを仕込み、撹拌下に反応装置を窒素置換し、80℃に昇温した。次に、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキシドの付加モル数:23モル)65.9g、リン酸モノ(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸エステルとリン酸ジ−〔(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸〕エステルの混合物(ライトエステルP−1M、共栄社化学社製)40.6g、3−メルカプトプロピオン酸1.7gをイオン交換水97.0gで溶解させた水溶液を1.5時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水45gに過硫酸アンモニウム4.7gを溶解させた水溶液を1.5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃にて1時間攪拌を続けた後、イオン交換水15gに過硫酸アンモニウム2.4gを溶解させた水溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃にて1.5時間攪拌を続けた後、重合反応を終了し、重量平均分子量(Mw)が20000であるリン酸系共重合体の水溶液を得た。得られたリン酸系共重合体水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH7まで中和した後、50℃にて減圧(50mmHg)乾燥し、粉砕して、JIS試験篩メッシュ換算表における70メッシュを通過する粉末状のリン酸系共重合体に調製した。これをリン酸系分散剤(1)と称す。リン酸系分散剤(1)の組成、分子量を表1に示す。
温度計、撹拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水13.8g、ポリエチレングリコール(エチレンオキシドの平均付加モル数:120モル)モノフェニルエーテル250.0g、フェニルホスホン酸29.7g、及び硫酸9.2gを仕込み、撹拌下に反応装置を窒素置換し、100℃に昇温した。次に、ホルムアルデヒド4.23gをイオン交換水7.86gで希釈した水溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃にて1時間攪拌を続け、重縮合反応を終了し、重量平均分子量(Mw)が25000であるリン酸系縮合体の水溶液を得た。得られたリン酸系縮合体水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH7まで中和した後、50℃にて減圧(50mmHg)乾燥し、粉砕して、JIS試験篩メッシュ換算表における70メッシュを通過する粉末状のリン酸系縮合体に調製した。これをリン酸系分散剤(2)と称す。リン酸系分散剤(2)の組成、分子量を表1に示す。
太平洋セメント社製普通ポルトランドセメント1000gをHobertミキサー(N−50)に投入し、調製例1で得たポリカルボン酸系分散剤(1)を0.6g(セメント固形分に対して0.06質量%)溶解させたエタノール溶液200.6g(エタノールは200g、エタノール/セメント質量比=0.2)をミキサー内に投入した。投入後、1速にて120秒撹拌した後、撹拌を停止し、30秒かけて容器壁面に付着するペーストを掻き落とした。エタノール溶液を投入してから180秒後に2速に切替え、撹拌を再開し、180秒間撹拌した後、撹拌を停止した。得られたペーストをバットに移し、50℃条件下で減圧乾燥(50mmHg)を行い、エタノールを完全に留去した。乾燥後、粉砕を行い、JIS試験篩メッシュ換算表における70メッシュに相当する篩を用いて粒径を調整し、ポリカルボン酸系分散剤(1)で表面を被覆した普通ポルトランドセメント(表面被覆無機粒子(1)とも称す)を得た。
製造例1と同様の方法を用いて、表面被覆剤の種類及び量を変更し、製造例2〜9に示される表面被覆無機粒子(2)〜(9)を得た。
IPN−50:3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを平均50モル付加した単量体
PGM−10E:メトキシポリエチレングリコール(エチレンオキサイドの平均付加モル数:10モル)メタクリレート
PGM−23E:メトキシポリエチレングリコール(エチレンオキサイドの平均付加モル数:25モル)メタクリレート
MLA−150:2−メチルプロペン−3オールにエチレンオキサイドを平均150モル付加した単量体
PH−120:フェノールにエチレンオキサイドを平均120モル付加した単量体
SAA:アクリル酸ナトリウム
MAA−Ca:メタクリル酸カルシウム
SMA:マレイン酸ナトリウム
PME:リン酸モノ(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸エステルとリン酸ジ−〔(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸〕エステル
PHP:フェニルホスホン酸
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
FAD:ホルムアルデヒド
なお、表1の製造例1〜7中、単量体組成は、単量体Bを塩(完全中和)換算して記載しているが、各製造例では単量体Bは全て酸型で重合した。
続いて、同じ坩堝を再び電気炉に入れ、550℃、窒素雰囲気下(流量2L/分)で2時間加熱した。得られたセメントについて、その粒子表面のSi2p及びCa2pに対するC1sの相対表面濃度をXPSにより測定した。得られた結果から、有機系分散剤単位量
あたりのSi、Caに対するCの相対表面濃度を計算した。結果を表2に示す。
太平洋セメント社製普通ポルトランドセメント1000gをHobertミキサーに投入し、調製例1で得た粉末状ポリカルボン酸系分散剤(1)0.6g(セメント固形分に対して0.06質量%)をHobertミキサー(N−50)に投入し、1速にて60秒間撹拌した。撹拌を停止し、粉末状ポリカルボン酸系分散剤(1)を含有するプレミックスセメントを得た。
製造例10と同様の方法を用いて、粉末状ポリカルボン酸系分散剤(2)を含有するプレミックスセメント、粉末状ポリカルボン酸系分散剤(3)を含有するプレミックスセメントを各々得た。
製造例1で得た普通ポルトランドセメント(表面被覆無機粒子(1))450gをHobertミキサー(N−50)に投入し、消泡剤を含む水225gをミキサーに投入した(水/セメント質量比=0.5)。消泡剤は、気泡がモルタル組成物の流動性に及ぼす影響を避けることを目的に添加し、空気量が3.0容積%以下になるようにした。具体的にはオキシアルキレン系消泡剤を、ポリカルボン酸系分散剤に対して0.1質量%になるような量で使用した。なお、モルタルの空気量が3.0容積%より大きい場合には、空気量が3.0容積%以下になるように消泡剤の添加量を調節した。投入後、JIS R 5201に(1997年)準拠して、標準砂1350gを投入し、モルタルを調製した。得られたモルタルについて、15打フロー値を測定した。結果を表3に示す。
次に、製造例1で得た普通ポルトランドセメント(表面被覆無機粒子(1))450gを電気炉(ADVANTEC社製KM−600)にて、550℃で3時間加熱した後、20℃まで冷却したセメントをHobertミキサー(N−50)に投入し、消泡剤を含む水225gをミキサーに投入した(水/セメント質量比=0.5)。消泡剤は、空気量が3.0容積%以下になるようにした。投入後、JIS R5201(1997年)に準拠して、標準砂1350gを投入し、モルタル組成物を調製した。得られたモルタル組成物について、15打フロー値を測定した。結果を表3に示す。
また、製造例1で得た普通ポルトランドセメント(表面被覆無機粒子(1))450gおよびクレイ(クニゲルV1:クニミネ工業)2.7g(砂に対して、0.2質量%)をHobertミキサー(N−50)に投入し、1速にて60秒間撹拌した。撹拌を停止し、消泡剤を含む水225gをミキサーに投入した(水/セメント質量比=0.5)。消泡剤は、空気量が3.0容積%以下になるようにした。投入後、JIS R5201(1997年)に準拠して、標準砂1350gを投入し、モルタル組成物を調製した。得られたモルタル組成物について、15打フロー値を測定した。結果を表3に示す。
試験例1と同様の方法にて、試験例2〜9のモルタル組成物を調製し、15打フロー値を測定した。結果を表3に示す。
太平洋セメント社製普通ポルトランドセメント450gをHobertミキサー(N−50)に投入し、調製例1で得たポリカルボン酸系分散剤(1)0.27g(セメント固形分に対して0.06質量%)及び消泡剤を溶解させた水225gをミキサーに投入した(水/セメント質量比=0.5)。消泡剤は、空気量が3.0容積%以下になるようにした。投入後、JIS R5201(1997年)に準拠して、標準砂1350gを投入し、モルタル組成物を調製した。得られたモルタル組成物について、15打フロー値を測定した。結果を表3に示す。
次に、太平洋セメント社製普通ポルトランドセメント450gを電気炉(ADVANTEC社製KM−600)にて、550℃で3時間加熱した後、20℃まで冷却したセメントをHobertミキサー(N−50)に投入し、調製例1で得たポリカルボン酸系分散剤(1)0.27g(セメント固形分に対して0.06質量%)及び消泡剤を溶解させた水225gをミキサーに投入した(水/セメント質量比=0.5)。消泡剤は、空気量が3.0容積%以下になるようにした。投入後、JIS R5201(1997年)に準拠して、標準砂1350gを投入し、モルタル組成物を調製した。得られたモルタル組成物について、15打フロー値を測定した。結果を表3に示す。
また、太平洋セメント社製普通ポルトランドセメント450g及びクレイ(クニゲルV1:クニミネ工業)2.7g(砂に対して、0.2質量%)をHobertミキサー(N−50)に投入し、1速にて60秒間撹拌した。撹拌を停止し、調製例1で得たポリカルボン酸系分散剤(1)0.27g(セメント固形分に対して0.06質量%)及び消泡剤を溶解させた水225gをミキサーに投入した(水/セメント質量比=0.5)。消泡剤は、空気量が3.0容積%以下になるようにした。投入後、JIS R5201(1997年)に準拠して、標準砂1350gを投入し、クレイ含有モルタル組成物を調製した。得られたモルタル組成物について、15打フロー値を測定した。結果を表3に示す。
比較試験例1と同様の方法で、比較試験例2、3のモルタル組成物を調製し、得られたモルタル組成物について、15打フロー値を測定した。結果を表3に示す。
製造例10で得た普通ポルトランドセメント(粉末状ポリカルボン酸系分散剤(1)を含有するプレミックスセメント)450gをHobertミキサー(N−50)に投入し、消泡剤を含有する水225gをミキサーに投入した(水/セメント質量比=0.5)。消泡剤は、空気量が3.0容積%以下になるようにした。投入後、JIS R5201(1997年)に準拠して、標準砂1350gを投入し、モルタル組成物を調製した。得られたモルタル組成物について、15打フロー値を測定した。結果を表3に示す。
次に、製造例10で得た普通ポルトランドセメント(粉末状ポリカルボン酸系分散剤(1)を含有するプレミックスセメント)450gを電気炉(ADVANTEC社製KM−600)にて、550℃で3時間加熱した後、20℃まで冷却したセメントをHobertミキサー(N−50)に投入し、消泡剤を含有する水225gをミキサーに投入した(水/セメント質量比=0.5)。消泡剤は、空気量が3.0容積%以下になるようにした。投入後、JIS R5201(1997年)に準拠して、標準砂1350gを投入し、モルタル組成物を調製した。得られたモルタル組成物について、15打フロー値を測定した。結果を表3に示す。
また、製造例10で得た普通ポルトランドセメント(粉末状ポリカルボン酸系分散剤(1)を含有するプレミックスセメント)450g及びクレイ(クニゲルV1:クニミネ工業)2.7g(砂に対して、0.2質量%)をHobertミキサー(N−50)に投入し、消泡剤を含有する水225gをミキサーに投入した(水/セメント質量比=0.5)。消泡剤は、空気量が3.0容積%以下になるようにした。投入後、JIS R5201に準拠して、標準砂1350gを投入し、クレイ含有モルタル組成物を調製した。得られたモルタル組成物について、15打フロー値を測定した。結果を表3に示す。
比較試験例4と同様の方法で、比較試験例5、6のモルタル組成物を調製し、得られたモルタル組成物について、15打フロー値を測定した。結果を表3に示す。
一方、比較試験例1〜3で用いたセメントは条件(I)を満たさないため、ここで使用されたセメント粒子そのものには、水硬性組成物に充分な流動性を付与する性能がない(又は低い)ことが分かった。それゆえ、流動性を有するモルタル組成物を得るにはポリカルボン酸系分散剤の添加が不可欠であったが、クレイ含有により流動性が大幅に低下し、耐クレイ性に劣る結果となった。比較試験例4〜6で用いたプレミックスセメントは、粉末状の分散剤を予めセメントと混合して得たものであるが、この場合もクレイ含有により流動性が大幅に低下した。
以上より、流動性及び耐クレイ性に優れる水硬性組成物を得るには、水硬性無機粒子を含み、かつ条件(I)及び(II)を満たす必要があることが分かった。
なお、表には記載していないが、試験例1〜9では、各表面被覆無機粒子に水投入後の混練が容易で、混練時間(流動性が均一になるまでの時間)が大幅に短縮された。それゆえ、本発明の機能性水硬性無機粒子を用いれば、流動性及び耐クレイ性に優れた水硬性組成物を短時間でかつ容易に得ることが可能になることも分かった。
Claims (4)
- 水硬性無機粒子及び有機系分散剤を含み、
該水硬性無機粒子は、表面の一部又は全部が有機系分散剤で被覆され、該有機系分散剤は、スルホン酸系分散剤、リン酸系分散剤、及び、ポリカルボン酸系分散剤からなる群より選択される少なくとも1種であり、
かつ下記条件(I)及び(II)を満たすことを特徴とする機能性水硬性無機粒子。
(I)機能性水硬性無機粒子450質量部に対し、水225質量部及び標準砂1350質量部を含むモルタル組成物について、JIS R5201(1997年)に準拠して求められる15打フロー値(F0)と、機能性水硬性無機粒子を550℃で加熱後に同様に調製したモルタル組成物の15打フロー値(F1)との比(F0/F1)が、1.1以上である。
(II)前記条件(I)下での15打フロー値(F0)と、クレイを標準砂100質量部に対して0.2質量部含むこと以外は前記15打フロー値(F0)と同様にして求められる15打フロー値(F2)との比(F0/F2)が、1.2以下である。 - 前記機能性水硬性無機粒子は、ポリアルキレングリコールを含有するポリカルボン酸系重合体を含むことを特徴とする請求項1に記載の機能性水硬性無機粒子。
- 前記水硬性無機粒子は、セメントであることを特徴とする請求項1又は2に記載の機能性水硬性無機粒子。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の機能性水硬性無機粒子を含有することを特徴とする水硬性粒子。
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