JP6562333B1 - 仕切弁 - Google Patents

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Abstract

本発明の仕切弁は、中空部と、前記中空部を挟み互いに対向するように設けられて連通する流路となる第1開口部及び第2開口部とを有する弁箱と、前記弁箱の前記中空部内に配置され前記第1開口部を閉塞可能な中立弁体と、前記中立弁体を前記第1開口部に対して閉塞状態にする弁閉塞位置と、前記中立弁体を前記第1開口部から退避した開放状態にする弁開放位置との間で、前記中立弁体を動作する位置切り替え部として機能し、流路方向に延在する軸線を有する回転軸と、前記回転軸を回転させる電動アクチュエータを備える回転装置と、を具備する

Description

本発明は、弁体(弁板)による流路を開閉する動作に加えて、弁体をスライド動作させる振り子型,直動型等に適した仕切弁に関する。特に、本発明は、真空装置等において、異なる圧力を有する2つの空間をつなげている流路及び異なるプロセスを行う2つの空間をつなげている流路を仕切り(閉鎖し)、この仕切り状態を開放する(2つの空間をつなぐ)、仕切弁に関する。
本願は、2018年4月2日に日本に出願された特願2018−071148号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
真空装置等においては、チャンバーと配管との間、配管と配管との間、あるいは配管とポンプ等との間等、異なる真空度の2つの空間の間を仕切り、仕切られた2つの空間をつなげる仕切りバルブが設けられている。このような仕切りバルブとしては、様々な形態の弁が知られている。
例えば、弁板をスライドさせて流路の弁開閉位置に弁板を挿入し、更にこの弁板を作動させて流路を仕切り(閉弁動作)、あるいは上記弁板を作動させて流路をつなぎ(開弁動作)、更に弁板をスライドさせ、流路から弁箱内の退避位置に弁板を退避させる構造が知られている。このような構造を有する弁としては、振り子型,直動型,ドア型等が知られている。
振り子型仕切弁は、流路を構成する第1開口部及び第2開口部が形成されかつ中空部を有する弁箱と、中空部において回転軸に固設されて回転軸と垂直をなす面に平行な方向において広がっている支持体と、この支持体に固設された弁体(シールリング板が開口部に設けられている構造の場合には弁板)とが配置された構造を有する。この仕切弁においては、上記回転軸を回転させて、上記弁体を回動させ、上記弁体を開口部(流路)の弁開閉位置に挿入し、または、上記弁体を開口部が形成されていない退避位置に退避させる。
従来の上記振り子型仕切弁としては、ハウジングの中空部内に、回転軸において回動可能な弁板と、ハウジングの開口部に配置された摺動可能なシールリング板と、ハウジングに一体形成されたフランジに上記シールリング板を摺動させるアクチュエータとが設けられた構造が知られている。この仕切弁においては、上記シールリング板を上記弁板に当接及び押圧して流路を閉鎖し、または、上記シールリング板を上記弁板から離間させて流路を開放する(例えば、特許文献1参照)。
この振り子型仕切弁のアクチュエータは、ボルトと環状室(シリンダ)とピストンとスプリングとが、シールリング板の摺動方向に直列に配置された構造を有する。従って、流路を閉鎖するときは、スプリングに生じる復元力が、ピストン,シリンダ,及びボルトを介してシールリング板に伝達される。
このような振り子型仕切弁としては、流路を気密的に遮断し、耐摩耗性に優れ、メンテナンスが容易な弁が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この仕切弁においては、外側弁体部がアームによって駆動装置に接続されており、外側弁体部を開口軸に沿って縦移動させる。ゆえに、アームに対して動力伝達装置により縦移動を促す起動装置は、仕切弁の面積が大型化するにつれて、大きな駆動力が必要となる。
また、特許文献2に開示された構造を大型の仕切弁に適用した場合、潰すべきOリングの体積が増加することに加えて、回転軸からOリングが遠方に離れた位置に配置される。このため、必要なモーメント荷重に対し、剛体となるように回転軸を設計しなければならないので、仕切弁の重量増加の一因となる。
ゆえに、特許文献2に開示された構造は、小型の仕切弁には有効であるが、大型の仕切弁には不向きである。
上述した仕切弁において、例えば、弁体の駆動には、特許文献1および特許文献2のように、圧縮空気を用いる、あるいは、特許文献3に記載されるように電動アクチュエータを用いることが知られている。
また、バルブタイプは異なる技術であるが、特許文献4に記載されるようなノーマルクローズ(ノーマリークローズド)、つまり、駆動電力供給あるいは圧縮空気供給などが消失した際に、自動的に流路を閉鎖可能として、バルブ閉位置となる安全性の高いバルブが求められている。
このノーマルクローズとは、弁仕切り動作をおこなう際に弁体等を駆動させる駆動電力が供給されていない、または、圧縮空気(圧空)が作用していない状態などでは、弁が開状態にある場合は自動的に閉状態となり、弁が閉状態にある場合は、流路を閉じる状態を維持することを意味している。
日本国特許第3655715号公報 日本国特開2013−32840号公報 日本国特開2014−027706号公報 日本国特開2013−190028号公報
しかし、特許文献1および特許文献2記載のスライド弁では、このようなノーマルクローズ化は施されていなかった。
また、特許文献1に記載される圧空駆動する仕切弁において、バネ部材を用いてノーマルクローズ化する構成とすることが考えられる。この場合には、ノーマルクローズ化とするバネ部材の付勢力によって、動作が停止する際などに駆動部または弁体等の可動部そのものが、他の部材に当接する可能性がある。最近、仕切弁の開閉動作の迅速化、および、仕切弁で閉塞する面積の大型化が求められている。これにともない、パーティクル発生の原因としてこの衝撃発生の防止が不十分であることがクローズアップされてきた。この問題を解決するために、ダンパー等の機械的手段を設けることも考えられる。
しかし、仕切弁が設置される装置・製造ライン等においては、仕切弁の設置姿勢はそれぞれの装置・ラインによって設定される。このため、通常、仕切弁の製造時には設置姿勢を特定することはできない。このため、仕切弁の設計では、あらかじめ全ての設置姿勢に対応してダンパーを設置することは現実的でなかった。これは、仕切弁は、その設置姿勢によって開閉動作時の動作方向が変化するという理由による。なぜならば、動作方向の変化により、開閉動作による衝撃量が変動するからである。しかし、この衝撃を吸収するために機械的手段によって対応するには、可能性のある仕切弁の設置姿勢に対して、考えられる衝撃料に対応して、多数種のダンパーを用意するなど現実的とはいえない手段しかなかったからである。
また、特許文献1および特許文献2記載のスライド弁では、圧空を用いた駆動制御方式としている。しかし、この方式に変えて、電動モータを用いた駆動制御方式を採用したいという要求があった。さらに、特許文献2に記載されるように、バネ部材を用いてノーマルクローズを可能な構成とした場合には、電動モータ駆動に必要な電力が大きくなってしまう。しかし、駆動電力を低減したいという要求が発生した。
同時に、大きな面積での仕切り動作可能とするためには、仕切弁そのものが大型化するため、重量の増大した弁体等の可動部を駆動するために、駆動部における出力を増大することが求められる。同時に、駆動部を含めて、それぞれの部品の体積も大きくなる傾向にある。しかし、電動モータ駆動に必要な電力が大きくなってしまうため、これを低減し、また、仕切弁を構成するそれぞれの部品を省スペース化・小型化を実現したいという要求があった。
さらに、特許文献3に記載の技術では、2次電源を用いて駆動しているが、このような駆動方式に対しては、バルブの使用期間と2次電源の信頼性の維持可能期間とを比較すると、2次電源および電動アクチュエータが大型化・重量化・コストアップをもたらすという懸念がある。このため、2次電源を用いることなく、機械的に信頼性を高め、バルブ単体でノーマルクローズを可能な構成を実現したいという要求が発生してきた。
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、衝撃発生によるパーティクル発生を防止し、駆動電力を低減し、部品の省スペース化が図れ、高い信頼性の仕切り動作を可能とし、可動弁部の軽量化を図り、ノーマルクローズ構造を有する仕切弁を提供することを目的とする。
本発明の第1態様に係る仕切弁は、
中空部と、前記中空部を挟み互いに対向するように設けられて連通する流路となる第1開口部及び第2開口部とを有する弁箱と、
前記弁箱の前記中空部内に配置され前記第1開口部を閉塞可能な中立弁体と、
前記中立弁体を前記第1開口部に対して閉塞状態にする弁閉塞位置と、前記中立弁体を前記第1開口部から退避した開放状態にする弁開放位置との間で、前記中立弁体を動作する位置切り替え部として機能し、流路方向に延在する軸線を有する回転軸と、
前記回転軸を回転させる電動アクチュエータを備える回転装置と、
を具備する。
前記中立弁体は、前記位置切り替え部に接続される中立弁部と、前記中立弁部に対して前記流路方向における位置が変更可能に接続される可動弁部と、を有する。
前記可動弁部は、前記可動弁部に周設され前記第1開口部の周囲の弁箱内面に密着されるシール部が設けられるとともに前記中立弁部に対して前記流路方向における位置が変更可能に接続される第1可動弁部と、前記第1可動弁部に対して前記流路方向に摺動可能とされる第2可動弁部と、を有する。
前記仕切弁は、前記弁箱に内蔵されている複数の第1付勢部と、前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との間に配されている第2付勢部と、第3付勢部とを備える。
前記第3付勢部は、前記第1可動弁部を前記中立弁部に対して前記流路方向における位置が変更可能に接続するとともに、前記第1可動弁部を前記流路方向における中央位置に向けて付勢する。
複数の前記第1付勢部は、非圧縮性流体により駆動して前記第1可動弁部を前記流路方向において前記第1開口部に向けて付勢して前記シール部を前記第1開口部の周囲の弁箱内面に密着可能とする機能を有する。
前記第2付勢部は、前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との前記流路方向における厚み寸法を、調整が可能なように駆動する。
前記仕切弁は、複数の前記第1付勢部を非圧縮性流体により駆動する非圧縮性流体駆動装置を有する。
前記回転装置は、電断時に前記中立弁体を前記弁閉塞位置とするとともに、前記回転軸の回転動作と前記第1付勢部の閉塞動作とを順次動作可能とする。
これにより上記課題を解決した。
本発明の第2態様に係る仕切弁は、
中空部と、前記中空部を挟み互いに対向するように設けられて連通する流路となる第1開口部及び第2開口部とを有する弁箱と、
前記弁箱の前記中空部内に配置され前記第1開口部を閉塞可能な中立弁体と、
前記中立弁体を前記第1開口部に対して閉塞状態にする弁閉塞位置と、前記中立弁体を前記第1開口部から退避した開放状態にする弁開放位置との間で、前記中立弁体を動作する位置切り替え部として機能し、流路方向に延在する軸線を有する回転軸と、
前記回転軸を回転させる電動アクチュエータを備える回転装置と、
を具備する。
前記中立弁体は、前記位置切り替え部に接続される中立弁部と、前記中立弁部に対して前記流路方向における位置が変更可能に接続される可動弁部と、を有する。
前記可動弁部は、前記可動弁部に周設され前記第1開口部の周囲の弁箱内面に密着されるシール部が設けられるとともに前記中立弁部に対して前記流路方向における位置が変更可能に接続される第1可動弁部と、前記第1可動弁部に対して前記流路方向に摺動可能とされる第2可動弁部と、を有する。
前記仕切弁は、前記弁箱に内蔵されている複数の第1付勢部と、前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との間に配されている第2付勢部とを備える。
複数の前記第1付勢部は、非圧縮性流体により駆動して前記第1可動弁部を前記流路方向において前記第1開口部に向けて付勢して前記シール部を前記第1開口部の周囲の弁箱内面に密着可能とする機能、及び、前記第1可動弁部を前記中立弁部に対して前記流路方向における位置が変更可能に接続するとともに、前記第1可動弁部を前記流路方向における中央位置に向けて付勢する機能を有する。
前記第2付勢部は、前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との前記流路方向における厚み寸法を、調整が可能なように駆動する。
前記仕切弁は、複数の前記第1付勢部を非圧縮性流体により駆動する非圧縮性流体駆動装置を有する。
前記回転装置は、電断時に前記中立弁体を前記弁閉塞位置とするとともに、前記回転軸の回転動作と前記第1付勢部の閉塞動作とを順次動作可能とする。
これにより上記課題を解決した。
また、前記回転装置は、電断時に前記中立弁体を付勢力により前記弁閉塞位置とする電断付勢装置と、前記電動アクチュエータおよび前記電断付勢装置による前記回転軸の回転を切り替える回転切替装置を有することができる。
また、前記回転装置は、電断回復時に前記電断付勢装置を復帰状態にする復帰装置を有することができる。
また、前記回転軸には、前記中立弁体に対するカウンターウエイトが設けられることができる。
本発明の第1態様に係る仕切弁は、
中空部と、前記中空部を挟み互いに対向するように設けられて連通する流路となる第1開口部及び第2開口部とを有する弁箱と、
前記弁箱の前記中空部内に配置され前記第1開口部を閉塞可能な中立弁体と、
前記中立弁体を前記第1開口部に対して閉塞状態にする弁閉塞位置と、前記中立弁体を前記第1開口部から退避した開放状態にする弁開放位置との間で、前記中立弁体を動作する位置切り替え部として機能し、流路方向に延在する軸線を有する回転軸と、
前記回転軸を回転させる電動アクチュエータを備える回転装置と、
を具備する。
前記中立弁体は、前記位置切り替え部に接続される中立弁部と、前記中立弁部に対して前記流路方向における位置が変更可能に接続される可動弁部と、を有する。
前記可動弁部は、前記可動弁部に周設され前記第1開口部の周囲の弁箱内面に密着されるシール部が設けられるとともに前記中立弁部に対して前記流路方向における位置が変更可能に接続される第1可動弁部と、前記第1可動弁部に対して前記流路方向に摺動可能とされる第2可動弁部と、を有する。
前記仕切弁は、前記弁箱に内蔵されている複数の第1付勢部と、前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との間に配されている第2付勢部と、第3付勢部とを備える。
前記第3付勢部は、前記第1可動弁部を前記中立弁部に対して前記流路方向における位置が変更可能に接続するとともに、前記第1可動弁部を前記流路方向における中央位置に向けて付勢する。
複数の前記第1付勢部は、非圧縮性流体により駆動して前記第1可動弁部を前記流路方向において前記第1開口部に向けて付勢して前記シール部を前記第1開口部の周囲の弁箱内面に密着可能とする機能を有する。
前記第2付勢部は、前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との前記流路方向における厚み寸法を、調整が可能なように駆動する。
前記仕切弁は、複数の前記第1付勢部を非圧縮性流体により駆動する非圧縮性流体駆動装置を有する。
前記回転装置は、電断時に前記中立弁体を前記弁閉塞位置とする。前記回転装置は、前記回転軸の回転動作と前記第1付勢部の閉塞動作とを順次動作可能とする。
これにより、通常の通電時(駆動電力が供給された時)には、回転装置の電動アクチュエータが中立弁体を回転駆動する。同時に、通常ではない電断時(駆動電力の供給が遮断された時)には、回転装置が中立弁体を回転駆動することを可能とする。これにより、ノーマルクローズが可能な仕切弁とすることができる。
同時に、前記第3付勢部が、前記第1可動弁部を前記中立弁部に対して前記流路方向における位置が変更可能に接続するとともに、前記第1可動弁部を前記流路方向における中央位置に向けて付勢する。複数の前記第1付勢部は、非圧縮性流体駆動装置によって駆動され、前記第1可動弁部を前記流路方向において前記第1開口部に向けて付勢して前記シール部を前記第1開口部の周囲の弁箱内面に密着可能とする機能を有する。前記第2付勢部は、可動弁部に内蔵されて、前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との前記流路方向における厚み寸法を、調整が可能なように駆動する。
本発明の第2態様に係る仕切弁は、
中空部と、前記中空部を挟み互いに対向するように設けられて連通する流路となる第1開口部及び第2開口部とを有する弁箱と、
前記弁箱の前記中空部内に配置され前記第1開口部を閉塞可能な中立弁体と、
前記中立弁体を前記第1開口部に対して閉塞状態にする弁閉塞位置と、前記中立弁体を前記第1開口部から退避した開放状態にする弁開放位置との間で、前記中立弁体を動作する位置切り替え部として機能し、流路方向に延在する軸線を有する回転軸と、
前記回転軸を回転させる電動アクチュエータを備える回転装置と、
を具備する。
前記中立弁体は、前記位置切り替え部に接続される中立弁部と、前記中立弁部に対して前記流路方向における位置が変更可能に接続される可動弁部と、を有する。
前記可動弁部は、前記可動弁部に周設され前記第1開口部の周囲の弁箱内面に密着されるシール部が設けられるとともに前記中立弁部に対して前記流路方向における位置が変更可能に接続される第1可動弁部と、前記第1可動弁部に対して前記流路方向に摺動可能とされる第2可動弁部と、を有する。
前記仕切弁は、前記弁箱に内蔵されている複数の第1付勢部と、前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との間に配されている第2付勢部とを備える。
複数の前記第1付勢部は、非圧縮性流体により駆動して前記第1可動弁部を前記流路方向において前記第1開口部に向けて付勢して前記シール部を前記第1開口部の周囲の弁箱内面に密着可能とする機能、及び、前記第1可動弁部を前記中立弁部に対して前記流路方向における位置が変更可能に接続するとともに、前記第1可動弁部を前記流路方向における中央位置に向けて付勢する機能を有する。
前記第2付勢部は、前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との前記流路方向における厚み寸法を、調整が可能なように駆動する。
前記仕切弁は、複数の前記第1付勢部を非圧縮性流体により駆動する非圧縮性流体駆動装置を有する。
前記回転装置は、電断時に前記中立弁体を前記弁閉塞位置とする。前記回転装置は、前記回転軸の回転動作と前記第1付勢部の閉塞動作とを順次動作可能とする。
これにより、通常の給電時には、回転装置の電動アクチュエータが中立弁体を回転駆動する。同時に、電断時には回転装置が中立弁体を回転駆動することを可能とする。これにより、ノーマルクローズ可能な仕切弁とする。同時に、複数の前記第1付勢部は、非圧縮性流体駆動装置によって駆動され、前記第1可動弁部を前記流路方向において前記第1開口部に向けて付勢して前記シール部を前記第1開口部の周囲の弁箱内面に密着可能とする機能を有する。前記第2付勢部は、前記第1可動弁部を前記中立弁部に対して前記流路方向における位置が変更可能に接続するとともに、前記第1可動弁部および前記第2可動弁部を前記流路方向における中央位置に向けて付勢する機能を有する。前記第2付勢部は、前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との前記流路方向における厚み寸法を、調整が可能なように駆動する。
前記回転装置は、電断時に前記中立弁体を付勢力により前記弁閉塞位置とする電断付勢装置と、前記電動アクチュエータおよび前記電断付勢装置による前記回転軸の回転を切り替える回転切替装置と、を有する。
これにより、通常の給電時において、電動アクチュエータが中立弁体を回転駆動する際に、電動アクチュエータは、電断付勢装置の付勢力に対抗して駆動する必要がない。このため、電動アクチュエータは、小さな出力で済む。したがって、仕切弁は、小型化、省スペース化、および、ノーマルクローズ化を可能することができる。
前記回転装置は、電断回復時に前記電断付勢装置を復帰状態にする復帰装置を有する。
これにより、電断回復時(電断状態から通電の回復した状態となるとき)に復帰装置を起動させることのみで、ノーマルクローズ化して安全性を維持することが可能な仕切弁となる。
前記回転軸には、前記中立弁体に対するカウンターウエイトが設けられる。これにより、回転装置において、電動アクチュエータおよび電断付勢装置における出力を小さくすることができる。したがって、仕切弁は、小型化、省スペース化、および、ノーマルクローズ化を可能とすることができる。
本発明の第1態様に係る仕切弁においては、複数の前記第1付勢部の各々は、前記弁箱において、前記第1可動弁部に対して作用する位置に配され、かつ、前記第1可動弁部に沿って設けられてもよい。
本発明の第1態様に係る仕切弁においては、複数の前記第1付勢部は、前記第1可動弁部に対して、引張力を作用してもよい。
本発明の第1態様に係る仕切弁においては、複数の前記第1付勢部は、前記第1可動弁部に対して、圧縮力を作用してもよい。
本発明の第1態様に係る仕切弁においては、前記第3付勢部は、板バネあるいはコイルばねであってもよい。
本発明の第1態様に係る仕切弁は、弁箱の中空部内に配置された可動弁部が第1可動弁部と第2可動弁部とによって構成されている。仕切弁は、第1可動弁部と、この第1可動弁部に対して軸方向に摺動シール可能な状態で嵌合される第2可動弁部と、第1可動弁部を第2付勢部を介して保持する中立弁体とを備える弁体構造を有する。
また、本発明の第1態様に係る仕切弁は、第1可動弁部を中立弁部に対して流路方向における位置が変更可能に接続するとともに、第1可動弁部を前記流路方向における中央位置に向けて付勢する第3付勢部を備える。
さらに、本発明の第1態様に係る仕切弁は、弁箱の内部に設けられ、第1可動弁部を弁箱内面のシール面に向く方向に押圧し、非圧縮性流体駆動装置によって駆動されて伸縮が可能な昇降機構を構成する第1付勢部を有する。
この構成によれば、2つの第1可動弁部及び第2可動弁部と2つの第2付勢部及び第3付勢部とによって弁体が構成され、もう1つの第1付勢部は弁箱に内蔵した構成が得られるので、第1付勢部の重量分だけ弁体構造の軽量化が図れる。
本発明の第1態様に係る仕切弁においては、開弁状態から閉弁状態とする場合には第1付勢部が機能し、逆に閉弁状態から開弁状態とする場合には第3付勢部が機能する。
また、非圧縮性流体駆動装置によって駆動される第1付勢部によって、ノーマルクローズ動作を実現することができる。
さらに、本発明の第2態様に係る仕切弁によれば、第1付勢部が第3付勢部の機能も兼ね備えた構成を実現することができる。これにより、さらに弁体構造の軽量化が図れるので、より好ましい。
ここで、非圧縮性流体駆動装置としては、例えば油圧により駆動可能な装置を採用することができる。
従来の仕切弁では、エアシリンダは弁体構造に含まれており、エアシリンダに対して圧空を導入する供給路が必要であり、弁体構造が複雑になっていた。これに対して、本発明の上記態様に係る第1付勢部は、弁箱の内部に配置され、弁体構造に含まれておらず、かつ、非圧縮性流体駆動装置によって駆動可能であるため、弁体構造の簡素化をもたらす。
また、本発明の上記態様に係る仕切弁においては、弁箱の内部に第1付勢部を配置した構造を採用したことにより、仕切弁が潰すべきOリングの反力は弁箱で受けることができるので、回転軸および中立弁部の剛体はOリングの反力を考慮せずに設計可能となる。これは、弁体構造の軽量化をもたらす。
従来の仕切弁では、逆圧キャンセル率が75%程度のエアシリンダを用いていた。これに対して、本発明の態様では、第1可動弁部をシール面に向く方向に押圧する昇降機構を構成する第1付勢部を採用したことにより、100%の逆圧キャンセル率が得られる。
ゆえに、本発明の上記態様に係る仕切弁は、高い信頼性の仕切り動作が可能であり、可動弁部の軽量化が図れるとともに、100%の逆圧キャンセル率が実現できる、仕切弁を提供することができる。
本発明の実施形態に係る仕切弁の構成を示す流路に直交した断面図である。 本発明の実施形態に係る仕切弁の構成を示す流路に沿った断面図であり、弁体が退避動作可能位置(FREE)に配置されている場合を示す図である。 図1における線分A−Oに沿う要部を示す流路に沿った拡大断面図であり、弁体が退避動作可能位置(FREE)に配置されている場合を示す図である。 図1における線分B−Oに沿う要部を示す流路に沿った拡大断面図であり、弁体が退避動作可能位置(FREE)に配置されている場合を示す図である。 図1における線分C−Oに沿う要部を示す流路に沿った拡大断面図であり、弁体が退避動作可能位置(FREE)に配置されている場合を示す図である。 図1における付勢部Cの要部を示す拡大断面図であり、弁体が退避動作可能位置(FREE)に配置されている場合を示す図である。 本発明の実施形態に係る仕切弁の構成を示す流路に沿った断面図であり、弁体が弁閉位置(正圧or差圧無)に配置されている場合を示す図である。 図1における線分A−Oに沿う要部を示す流路に沿った拡大断面図であり、弁体が弁閉位置(正圧or差圧無)に配置されている場合を示す図である。 図1における線分B−Oに沿う要部を示す流路に沿った拡大断面図であり、弁体が弁閉位置(正圧or差圧無)に配置されている場合を示す図である。 図1における線分C−Oに沿う要部を示す流路に沿った拡大断面図であり、弁体が弁閉位置(正圧or差圧無)に配置されている場合を示す図である。 図1における付勢部Cの要部を示す拡大断面図であり、弁体が弁閉位置(正圧or差圧無)に配置されている場合を示す図である。 本発明の実施形態に係る仕切弁の構成を示す流路に沿った断面図であり、弁体が逆圧位置に配置されている場合を示す図である。 図1における線分A−Oに沿う要部を示す流路に沿った拡大断面図であり、弁体が逆圧位置に配置されている場合を示す図である。 図1における線分B−Oに沿う要部を示す流路に沿った拡大断面図であり、弁体が逆圧位置に配置されている場合を示す図である。 図1における線分C−Oに沿う要部を示す流路に沿った拡大断面図であり、弁体が逆圧位置に配置されている場合を示す図である。 本発明の実施形態の変形例において使用するボールプランジャ機構を示す図である。 本発明の実施形態の変形例における仕切弁の構成を示す流路に沿った断面図であり、弁体が退避動作可能位置(FREE)に配置されている場合を示す図である。 本発明の実施形態の変形例における仕切弁の構成を示す流路に沿った断面図であり、弁体が弁閉位置(正圧or差圧無)に配置されている場合を示す図である。 本発明の実施形態の変形例における仕切弁の構成を示す流路に沿った断面図であり、弁体が逆圧位置に配置されている場合を示す図である。 従来の仕切弁の構成を示す横断面図である。 従来の仕切弁の構成を示す流路に沿った断面図であり、弁体が退避動作可能位置に配置されている場合を示す図である。 従来の仕切弁の構成を示す流路に沿った断面図であり、弁体が弁閉位置に配置されている場合を示す図である。 本発明の実施形態に係る仕切弁における油圧駆動装置および第1付勢部を説明する概略構成図である。 本発明の実施形態に係る仕切弁における第1付勢部の配置を説明するための斜視図である。 本発明の実施形態に係る仕切弁における第1付勢部の配置を説明するための斜視図である。 本発明の実施形態に係る仕切弁における油圧駆動装置の油圧発生部を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る仕切弁における油圧駆動装置の油圧発生部を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る仕切弁における油圧駆動装置の油圧発生部を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る仕切弁における回転装置を説明するための上面図である。 本発明の実施形態に係る仕切弁における回転装置を説明するための正面図である。 本発明の実施形態に係る仕切弁における回転装置を説明するための回転軸方向の断面図である。 本発明の実施形態に係る仕切弁における回転装置を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る仕切弁における回転装置を示す説明図である。
以下、本発明に係る仕切弁の実施形態を、図面に基づいて説明する。
また、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識し得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法及び比率が実際のものとは適宜に異ならせてある。
本発明の技術範囲は、以下に述べる実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
本実施形態において、可動弁部Aは本発明の第1可動弁部に対応し、可動弁部Bは本発明の第2可動弁部に対応している。また、付勢部Aは本発明の第1付勢部に対応し、付勢部Bは本発明の第2付勢部に対応し、付勢部Cは本発明の第3付勢部に対応している。
<実施形態>
図1は、本実施形態における仕切弁の構成を示す流路に直交する平面図である。
図2は、本実施形態における仕切弁の構成を示す流路に沿った断面図で、弁体が退避動作可能位置(FREE)に配置されている場合を示す図である。図2は、図1における線分B−O−Cに相当する。図3〜図6は、図2と同様に、弁体が退避動作可能位置(FREE)に配置されている場合を示す図である。
図3は、図1における線分A−Oに沿う要部を示す流路に沿った拡大断面図であり、弁箱に内蔵された付勢部Aの付近に位置する部材の構造を示す図である。
図4は、図1における線分B−Oに沿う要部を示す流路に沿った拡大断面図であり、可動弁部Aと可動弁部Bとの間に配された付勢部Bの付近に位置する部材の構造を示す図である。
図5は、図1における線分C−Oに沿う要部を示す流路に沿った拡大断面図であり、付勢部Aと付勢部Bが存在しない位置における可動弁部Aと可動弁部Bを示す図である。
図6は、図1における付勢部Cの要部を示す拡大断面図であり、図2において付勢部Cを紙面奥行き方向に見た図である。
図7は、本実施形態における仕切弁の構成を示す流路に沿った断面図で、弁体が弁閉位置(正圧or差圧無)に配置されている場合を示す図である。図7は、図1における線分B−O−Cに相当する。図8〜図11は、図7と同様に、弁体が弁閉位置(正圧or差圧無)に配置されている場合を示す図である。
図8は、図1における線分A−Oに沿う要部を示す流路に沿った拡大断面図であり、弁箱に内蔵された付勢部Aの付近に位置する部材の構造を示す図である。
図9は、図1における線分B−Oに沿う要部を示す流路に沿った拡大断面図であり、可動弁部Aと可動弁部Bとの間に配された付勢部Bの付近に位置する部材の構造を示す図である。
図10は、図1における線分C−Oに沿う要部を示す流路に沿った拡大断面図であり、付勢部Aと付勢部Bが存在しない位置における可動弁部Aと可動弁部Bを示す図である。
図11は、図1における付勢部Cの要部を示す拡大断面図であり、図7において付勢部Cを紙面奥行き方向に見た図である。
図12は、本実施形態における仕切弁の構成を示す流路に沿った断面図で、弁体が逆圧位置に配置されている場合を示す図である。図12は、図1における線分B−O−Cに相当する。図13〜図15は、図12と同様に、弁体が逆圧位置に配置されている場合を示す図である。
図13は、図1における線分A−Oに沿う部を示す流路に沿った拡大断面図であり、弁箱に内蔵された付勢部Aの付近に位置する部材の構造を示す図である。
図14は、図1における線分B−Oに沿う要部を示す流路に沿った拡大断面図であり、可動弁部Aと可動弁部Bとの間に配された付勢部Bの付近に位置する部材の構造を示す図である。
図15は、図1における線分C−Oに沿う要部を示す流路に沿った拡大断面図であり、付勢部Aと付勢部Bが存在しない位置における可動弁部Aと可動弁部Bを示す図である。
図23は、図2における油圧駆動装置および付勢部Aを説明する概略構成図である。
図24は、図2における付勢部Aの配置を説明するための斜視図である。
図25は、図2における付勢部Aの配置を説明するための斜視図である。
図26〜図28は、図2における油圧駆動装置の油圧発生部を示す断面図である。
図29は、本実施形態における回転装置および油圧駆動装置の一部を説明するための上面図である。
図30は、本実施形態における回転装置および油圧駆動装置の一部を説明するための正面図である。
図31は、本実施形態における回転装置および油圧駆動装置の一部を説明するための回転軸方向の断面図である。
図32は、本実施形態における回転装置の他の例を説明するための正面図である。
図33は、本実施形態における回転装置の他の例を説明するための正面図である。
[振り子型仕切弁]
本発明の実施形態に係る仕切弁100は、図1〜図15に示すように、振り子型スライド弁である。
仕切弁100は、中空部11と、中空部11を挟み互いに対向するように設けられて連通する流路となる第1開口部12a及び第2開口部12bとを有する弁箱10と、弁箱10の中空部11内に配置され第1開口部12aを閉塞可能な中立弁体5を備える。
第1開口部12aから第2開口部12bに向かって流路Hが設定されている。なお、以下の説明において、この流路Hに沿った方向を流路方向Hと称することがある。
仕切弁100は、中立弁体5を第1開口部12aに対して閉塞状態(図7)にする弁閉塞位置と、中立弁体5を第1開口部12aから退避した開放状態(図2)にする弁開放位置との間で動作する、位置切り替え部として機能する。また、仕切弁100は、流路方向Hに延在する軸線を有する回転軸20を有する。
中立弁体5は、前記位置切り替え部(中立弁体5)に接続される中立弁部30、及び、中立弁部30に対して流路方向Hの位置が変更可能に接続される可動弁部40、から構成されている。
可動弁部40は、可動弁部A60(可動弁枠部)と可動弁部B50(可動弁板部)を備える。可動弁部A60(可動弁枠部)は、可動弁部Aに周設され第1開口部12aの周囲に位置する弁箱10の内面に密着される第1シール部61が設けられる。可動弁部B50(可動弁板部)は、可動弁部A60(可動弁枠部)に対して流路方向Hに摺動可能とされる。
弁箱10には、複数の付勢部A70(ピストン)が内蔵されている。弁箱10の内部に配置された付勢部A70は、可動弁部A60をシール面に向く方向に押圧する、伸縮が可能な昇降機構を構成している。付勢部A70は、油圧駆動装置(非圧縮性流体駆動装置)700に接続されており油圧によって駆動される。
これにより、付勢部A70は、可動弁部A60を流路方向Hにおける第1開口部12aに向けて付勢して第1シール部61を第1開口部12aの周囲に位置する弁箱10の内面に密着可能とする機能を有する。
また、本発明の実施形態に係る仕切弁は、可動弁部Aを中立弁部に対して流路方向における位置が変更可能に接続するとともに、可動弁部Aを前記流路方向における中央位置に向けて付勢する付勢部Cを備える。
さらに、本発明の実施形態に係る仕切弁は、弁箱の内部に、可動弁部Aを弁箱内面10Aのシール面に向く方向に押圧する、伸縮が可能な昇降機構を構成する付勢部Aを有する。
この構成によれば、2つの可動弁部A、Bと1つの付勢部Bとによって弁体を構成し、もう1つの付勢部Aは弁箱に内蔵した構成が得られるので、付勢部Aの重量分だけ弁体構造の軽量化が図れる。本発明の実施形態に係る仕切弁においては、開弁状態(図2)から閉弁状態(図7)とする場合には付勢部Aが機能し、逆に閉弁状態(図7)から開弁状態(図2)とする場合には付勢部Cが機能する。
可動弁部A60(可動弁枠部)と可動弁部B50(可動弁板部)との間には、付勢部B(バネ)が配されている(可動弁部に内蔵されている)。付勢部Bは、可動弁部A60(可動弁枠部)と可動弁部B(可動弁板部)との流路方向Hにおける厚み寸法を、調整が可能なように駆動する。
回転軸20が符号R1で示された方向(流路Hの方向に交差する方向)に回転すると、この回転に従って、接続部材(不図示)を介して回転軸20に固定されている中立弁部30も方向R1に沿って回動する。また、可動弁部40は中立弁部30に厚さ方向のみ摺動可能として接続されているため、可動弁部40は、中立弁部30と一体に回転する。
このように中立弁部30を回転することにより、流路Hが設けられていない中空部11とされる退避位置から第1開口部12aに対応する位置とされる流路Hの弁閉位置に可動弁部40が振り子運動で移動する。
そして、弁箱10に内蔵された付勢部A70は、弁箱10の内部に配置され油圧駆動装置700から供給された油圧(加圧非圧縮性流体)によって駆動可能な油圧駆動部(固定部)71と、この油圧駆動部(固定部)71によって、固定部71から可動弁部A60に向く方向へ伸縮が可能な可動部72と、から構成されている。また、付勢部A70は、可動部72を縮退する方向に付勢するバネ73を有することもできる。
また、可動部72の周囲には、可動部72先端側位置にリング状のシール部材(Oリング)75が設けられている。シール部材75によって油圧駆動部(固定部)71側から可動弁部A60側が配置されている真空側(真空空間)を隔離するように、可動部72がシールされた状態で、可動部72が伸縮自在とされている。
これにより、付勢部A70は、油圧によって付勢部A70の先端部を可動弁部A60に当接させて、可動弁部A60を第1開口部12aに向けて移動させる機能を備えている。
付勢部A70は、可動弁部A60を第1開口部12aに向けて移動させる機能により、可動弁部A60を弁箱10の内面に接しさせ、可動弁部A60を前記弁箱10の内面に押圧し、流路Hを閉鎖する(閉弁動作)。
逆に、付勢部C90は、可動弁部A60を第1開口部12aから離間可能とする機能により、可動弁部A60を弁箱10の内面から引き離した後、可動弁部A60を退避させることにより、前記流路Hを開放する(解除動作)。
弁箱10の内面に対して可動弁部A60を当接させる付勢部A70による機械的な当接動作と、弁箱10の内面から可動弁部A60を引き離す付勢部C90による機械的な分離動作によって、閉弁動作と解除動作が可能となる。
この解除動作の後に、回転軸20が符号R2で示された向きに回転する(退避動作)と、この回転に従って中立弁部30および可動弁部40(すなわち、可動弁部A60と可動弁部B50)も向きR2に回動する。
さらに、可動弁部A60と可動弁部B50との流路方向Hにおける厚み寸法を、調整可能なように駆動する付勢部Bは、前記可動弁部Aと前記可動弁部Bとの間に配されている。すなわち付勢部Bは、可動弁部に内蔵されている。この付勢部Bの存在により、可動弁部Aと前記可動弁部Bは、一連の動作(閉弁動作、解除動作、退避動作)において連動する。
この解除動作と退避動作とにより、可動弁部40は上記弁開閉位置から上記退避位置に退避して弁開状態とする弁開動作が行われる。
このように、本発明の実施形態に係る仕切弁においては、2つの可動弁部A60及び可動弁部B50と2つの付勢部B80及び付勢部C90とによって弁体を構成し、もう1つの付勢部Aは弁箱に内蔵した構成が得られる。すなわち、本発明の実施形態では、もう1つの付勢部Aが弁箱に内蔵された分だけ、弁体の軽量化が可能となる。
したがって、本発明の実施形態によれば、高い信頼性の仕切り動作が可能であり、可動弁部の軽量化が図れるとともに、100%の逆圧キャンセル率が実現できる、仕切弁を提供することができる。
[弁箱10]
弁箱10は、中空部11を有するフレームによって構成されている。フレームの図示上面には第1開口部12aが設けられており、フレームの図示下面には第2開口部12bが設けられている。
仕切弁100は、第1開口部12aが露出されている空間(第1空間)と第2開口部12bが露出されている空間(第2空間)の間に挿入される。仕切弁100は、第1開口部12aと第2開口部12bとをつなげている流路H、即ち、第1空間と第2空間とをつなげている流路Hを仕切り(閉鎖し)、この仕切り状態を開放する(第1空間と第2空間をつなぐ)。
弁箱10の中空部11には、回転軸20、中立弁部30、可動弁部40を構成する2つの可動弁部A60(スライド弁板)と可動弁部B50(カウンター板)、及び、2つの付勢部B80(保持バネ)と付勢部C90(補助バネ)が設けられている。弁箱10を構成するフレームの内部には、付勢部A(昇降機構)が設けられている。
[回転軸20]
回転軸20は、流路Hとほぼ平行状態に延在して弁箱10を貫通するとともに回転可能に設けられている。回転軸20は、不図示の駆動装置により回転可能である。
回転軸20には、接続部材(不図示)が固着されている。この接続部材は、例えば、略平板状の部材であり、回転軸20の一端に対してネジ等によって固着される。
[中立弁部30]
中立弁部30は、回転軸20の軸線に対して直交する方向に延在し、この方向に平行な面に含まれるように配置される。中立弁部30は、接続部材(不図示)を介して、あるいは接続部材(不図示)を介さずに直接、回転軸20に固定される。
図1に示すように、中立弁部30は、可動弁部40に重なる円形部30aと、回転軸20の回転に伴って円形部30aを回転させる回転部30bとを有する。回転部30bは、回転軸20と円形部30aとの間に位置しており、回転軸20から円形部30aに向けて、2本の腕が延びたアーム形状で形成されている。これにより、円形部30aは、アーム部と呼称される場合もある。
これら回転軸20、中立弁部30は、弁箱10に対して回動はするが、流路H方向には位置変動しないように設けられている。
回転軸20は、中立弁部30に対して流路方向Hに沿った上側と下側のいずれにも選択的に接続することができる。あるいは、回転軸20に対して、中立弁体5の全体、即ち、中立弁体5の両面に取り付けることができる。
本実施形態においては、仕切弁の閉弁時において、可動弁部40が第1開口部12aを塞ぐように中立弁体5が移動する仕切弁の配置に基づき、仕切弁の開閉動作が行われる場合について説明する。
[可動弁部40、可動弁部B50(可動弁板部:カウンター板)、可動弁部A60(可動弁枠部:スライド弁板)]
可動弁部40は略円板状とされ、円形部30aと略同心円状に形成された可動弁部B50と、この可動弁部B50の周囲を囲むように配置された略円環状の可動弁部A60とを有する。可動弁部A60は、中立弁部30に流路H方向に摺動可能として接続されている。また、可動弁部B50は、可動弁部A60に摺動可能として嵌合されている。
可動弁部B50と可動弁部A60とは、付勢部B80(保持バネ)によって符号B1,B2(図2)で示された方向(往復方向)に摺動しながら移動可能である。ここで、符号B1,B2で示された方向とは、可動弁部B50および可動弁部A60の面に垂直な方向であり、回転軸20の軸方向に平行な流路H方向である。
また、可動弁部B50の外周付近における全領域には、内周クランク部50cが形成されている。また、可動弁部A60の内周付近における全領域には、外周クランク部60cが形成されている。
本実施形態においては、外周クランク部60cは、流路H方向と平行な摺動面60bを有する。内周クランク部50cは、流路H方向と平行な摺動面50bを有する。外周クランク部60c及び内周クランク部50cは、摺動面50b、60bどうしが摺動可能となるように嵌合している。この摺動を可能にするため、Oリング等からなる第3シール部52(摺動シールパッキン)が外周クランク部60cと内周クランク部50cとの間に配されている。
弁箱10の内面に対向(当接)する可動弁部A60の表面には、第1開口部12aの形状に対応して円環状に形成された、例えば、Oリング等からなる第1シール部61(弁板シールパッキン)が設けられている。
この第1シール部61は、閉弁時に可動弁部40が第1開口部12aを覆っている状態で、第1開口部12aの周縁となる弁箱10の弁箱内面10Aに接触し、可動弁部A60及び弁箱10の弁箱内面10Aによって押圧される。これによって、第1空間は第2空間から確実に隔離される(仕切り状態が確保される)。
弁箱10の弁箱内面10Aに対向(当接)する可動弁部B50の表面には、第2開口部12bの形状に対応して円環状に形成された、例えば、Oリング等からなる第2シール部51(カウンタークッション)が設けられている。
回転軸20の弁箱10外側端部には、この回転軸20を駆動させる(回転させる)ための回転軸駆動機構(回転装置)200(図29参照)が接続される。
[回転軸駆動機構200]
回転軸20を回転させるための回転軸駆動機構(回転装置)200は、電動アクチュエータとされる。
回転軸駆動機構(回転装置)200は、図29〜図31に示すように、回転軸20に連結された遊星ギアクラッチ210と、遊星ギアクラッチ210に接続された駆動源であるモータ220と、遊星ギアクラッチ210に接続された電断付勢装置230、回転切替装置240、および、復帰装置と、を有している。
回転軸駆動機構200は、電断時(駆動電力の供給が遮断された時)に中立弁体(弁体)5を弁閉塞位置とする。
回転軸駆動機構200は、回転軸20の回転動作と付勢部A70の閉塞動作とを順次動作可能な構成となっている。
電断付勢装置230は、付勢力を有するぜんまいバネ231を備えたバネリーン式とされる。
電断付勢装置230は、通常の通電時に巻き締められたぜんまいバネ231を、電断時に解放する構成とされる。
このとき、電断付勢装置230は、ぜんまいバネ231の付勢力により中立弁体5を弁閉塞位置とするように回転軸20を回転する。
回転切替装置240は、通電時と電断時とにおいて、回転軸20を回転駆動する駆動源に対する接続状態を切り替え可能な構成とされる。
具体的には、通常の通電時(駆動電力が供給された時)には、モータ220によって回転軸20を回転駆動する。
また、通常ではない電断時(駆動電力の供給が遮断された時)には、電断付勢装置230によって回転軸20を回転駆動する。
復帰装置は、電断時に付勢力が開放された電断付勢装置230を、電断状態から通電の回復した状態となる電断回復時において、トルクが貯蔵された復帰状態にする機能を有する。
なお、これら電断付勢装置230と回転切替装置240と復帰装置とは、互いに共通する構成を有していてもよい。
具体的には、回転軸駆動機構200として、遊星ギアクラッチ(遊星歯車式クラッチ)210を有する。
遊星ギアクラッチ210は、駆動ギア211と、太陽ギア212と、複数の遊星ギア213と、内歯ギア214と、フランジ部215と、これらを収納するケーシング201と、を有する構成とされる。
駆動ギア211は、モータ220の駆動により回転する。
駆動ギア211は、回転軸20の外周に回転自在に取り付けられる。
太陽ギア212は、駆動ギア211と一体に形成される。太陽ギア212は、回転軸20の外周に回転自在に取り付けられる。
遊星ギア213は、太陽ギア212に対して回転軸20の径方向の外側に位置する。
遊星ギア213は、回転軸20の周方向に複数個が設けられる。
複数の遊星ギア213は、いずれも太陽ギア212に噛みあうように配置される。
内歯ギア214は、回転軸20の外周に回転自在に取り付けられる。
内歯ギア214は、回転軸20の径方向の内側を向いた内周歯214aを有する。
内歯ギア214は、内周歯214aにより、各遊星ギア213に噛みあう。
内歯ギア214の内周歯214aは、各遊星ギア213に対して回転軸20の径方向外側に位置する。
フランジ部215は、回転軸20の外周向きに張り出すように接続される。
フランジ部215は、回転軸20と一体として回転する。
フランジ部215には、各遊星ギア213を貫通する支軸213cの一端が回転自在に取り付けられる。
回転軸20は、遊星ギアクラッチ210における出力軸とされている。
回転軸20を通すスリーブ211aにより太陽ギア212と駆動ギア211とが連結される。
内歯ギア214の外周には、外周歯214bが設けられる。
内歯ギア214は、外周歯214bで内中継ギア233と噛み合うように連結される。
内中継ギア233は、ぜんまい軸231cの外周に回転自在に取り付けられる。
ぜんまい軸231cは、回転軸20と平行な位置に配置される。
内中継ギア233は、ぜんまい軸231cと同軸の外中継ギア234と一体とされる。
外中継ギア234は、ぜんまい軸231cの外周に回転自在に取り付けられる。
外中継ギア234には、小中継ギア243が噛み合わされる。
小中継ギア243は、ブレーキ軸241cの外周に回転自在に取り付けられる。
ブレーキ軸241cは、回転軸20、および、ぜんまい軸231cと平行な位置に配置される。
小中継ギア243は、ブレーキ軸241cと同軸の大中継ギア244と一体とされる。
大中継ギア244は、ぜんまいギア235が噛み合わされる。
小ぜんまいギア235は、ぜんまい軸231cと同軸の大ぜんまいギア236と一体とされる。
小ぜんまいギア235と大ぜんまいギア236とは、ぜんまい軸231cと一体として回転する。
大ぜんまいギア236には、ブレーキギア245が噛み合わされる。
ブレーキギア245は、ブレーキ軸241cと一体として回転する。
ぜんまい軸231cには、ぜんまいバネ231が接続される。
ぜんまい軸231cは、付勢力を開放したぜんまいバネ231によって駆動可能とされる。
ぜんまい軸231cには、ぜんまいバネ231を巻き上げる際に、一定の状態で巻き上げが停止するように、巻き上げ停止部231dが設けられる。
ぜんまい軸231cには、ぜんまいバネ231が充分巻き締められたことを検知するセンサ250が設けられる。
センサ250は、励磁作動式ブレーキ241に検出信号を出力可能に接続される。
ブレーキ軸241cには、巻き締められたぜんまいバネ231を電断時に解放する回転切替装置240としての励磁作動式ブレーキ241が接続されている。
ぜんまいバネ231は、トルク貯蔵ユニットとされる。
ぜんまいバネ231は、付勢力の解放時に、中継ギア部を介して回転軸20を回転させる。これにより、回転軸駆動機構200は、中立弁体5を弁閉塞位置とするように構成される。
励磁作動式ブレーキ241は、通電時に、ぜんまいバネ231に対するブレーキ機能を発揮する。これにより、通電時に、ぜんまい軸231cの回転が停止される。
励磁作動式ブレーキ241は、電断時に、ぜんまいバネ231に対するブレーキ機能を解除して、ぜんまいバネ231の付勢力を解放する。これにより、電断時に、ぜんまい軸231cが回転自在とされる。
モータ220には、無励磁作動式ブレーキ221が接続されている。
無励磁作動式ブレーキ221は、電断時に、ブレーキ機能を発揮して、モータ220の回転を停止する。
無励磁作動式ブレーキ221は、通電時に、ブレーキ機能を解除して、モータ220を回転駆動可能とする。
なお、モータ220には、上記の構成以外にも、トルク・回転数を調整するギアユニットおよび制御用のモータユニットが付随していてもよい。
また、回転軸20には、回動位置を規制するストッパ21が設けられる。
ストッパ21は、回転軸20が弁閉塞位置と弁開放位置との間で回動可能に規制する。
ストッパ21には、中立弁体5が弁閉塞位置となったことを検知する切替弁704が接続されている。この切替弁704がONになると、後述するように、油圧駆動部(固定部)71において、接続された油圧駆動装置700から供給された油圧が減少することで、付勢部A70の可動部72を伸長する閉塞方向に駆動可能とされている。
回転軸駆動機構200は、通常の通電時(駆動電力が供給されている状態)において、励磁作動式ブレーキ241は、ブレーキ機能を発揮してこの状態を維持している。
また、ぜんまいバネ231は、巻き締められた状態を維持している。
同時に、通常の通電時に、無励磁作動式ブレーキ221は、ブレーキ機能が機能していない。したがって、モータ220の駆動力は、遊星ギアクラッチ210を介して回転軸20を回動可能となっている。
具体的には、回転軸駆動機構200において、励磁作動式ブレーキ241は、ブレーキ軸241cの回転が停止された状態を維持する。
この状態では、ブレーキ軸241cと一体とされたブレーキギア245の回転が停止された状態を維持する。
このため、ブレーキギア245と噛み合う大ぜんまいギア236、大ぜんまいギア236と小ぜんまいギア235と一体のぜんまい軸231cは、いずれも、回転が停止された状態を維持する。
同時に、小ぜんまいギア235と噛み合う大中継ギア244、大中継ギア244と一体の小中継ギア243、小中継ギア243と噛み合う外中継ギア234、外中継ギア234と一体の内中継ギア233は、いずれも、回転が停止された状態を維持する。
また、同様に、内中継ギア233と外周歯214bで噛み合う内歯ギア214は、回転が停止された状態を維持する。
この状態で、モータ220を駆動させると、遊星ギアクラッチ210では、駆動ギア211が回転駆動される。
すると、駆動ギア211と一体の太陽ギア212が回転する。
また、太陽ギア212に噛み合う遊星ギア213が回転する。
このとき、遊星ギア213は、支軸213cの軸周りに回転する。
遊星ギア213が回転した際に、内歯ギア214は回転が停止されている。このとき、遊星ギア213は、内周歯214aで内歯ギア214と噛み合っているため、遊星ギア213は、内歯ギア214の周方向に回転移動する。
この内歯ギア214の周方向に移動する遊星ギア213に追従して、フランジ部215が回転する。
これにより、フランジ部215と一体とされた回転軸20が回動する。
電断時(駆動電力の供給が遮断された時)には、回転軸駆動機構200において、無励磁作動式ブレーキ221は、ブレーキ機能が機能する。これにより、モータ220が駆動しない状態となる。
これにより、駆動ギア211は回転が停止した状態となる。同時に、駆動ギア211と一体とされた太陽ギア212は回転が停止した状態となる。
同時に、励磁作動式ブレーキ241は、ブレーキ機能が機能しなくなる。
これにより、ブレーキ軸241cは、回転可能な状態となる。
すると、ブレーキ軸241cと一体とされたブレーキギア245は、回転可能な状態となる。
このため、ブレーキギア245と噛み合う大ぜんまいギア236は、回転可能な状態となる。また、大ぜんまいギア236と一体とされた小ぜんまいギア235およびぜんまい軸231cは、回転可能な状態となる。
すると、巻き締められたぜんまいバネ231の付勢力が解放されて、ぜんまい軸231cが回転する。
ぜんまい軸231cの回転にともなって、ぜんまい軸231cと一体とされた小ぜんまいギア235が回転する。
小ぜんまいギア235の回転にともなって、小ぜんまいギア235と噛み合う大中継ギア244、大中継ギア244と一体の小中継ギア243は、いずれも、回転する。
さらに、小中継ギア243と噛み合う外中継ギア234、外中継ギア234と一体の内中継ギア233は、いずれも、回転する。
これにより、内中継ギア233と外周歯214bで噛み合う内歯ギア214は、回転する。
内歯ギア214の回転により、内歯ギア214と内周歯214aで噛み合っている遊星ギア213は、支軸213cの軸周りに回転する。
このとき、太陽ギア212は回転が停止されている。このため、太陽ギア212と噛み合う遊星ギア213は、太陽ギア212の周方向に移動する。
この太陽ギア212の周方向に移動する遊星ギア213に追従して、フランジ部215が回転する。
これにより、フランジ部215と一体とされた回転軸20が回動する。
このように、電断時には、回転軸駆動機構200において、巻き締められたぜんまいバネ231が解放されることで、回転軸20が弁閉塞位置まで回動する。
回転軸20の回動に追従して、回転軸20と一体とされたストッパ21が弁閉塞位置まで回動する。
回転軸20およびストッパ21が弁閉塞位置になると、ストッパ21は切替弁704に当接する。すると、切替弁704がONになり、付勢部A70の可動部72が伸長する閉塞方向に駆動されて弁閉塞状態となる。
電断状態から復帰する際には通電可能な状態となっている。
このため、無励磁作動式ブレーキ221は、ブレーキ機能が機能しない状態とされる。
したがって、モータ220の駆動力は、遊星ギアクラッチ210を介して回転軸20を回動可能となっている。
電断状態から通常の通電状態へ復帰する電断回復時には、回転軸駆動機構200において、まず、励磁作動式ブレーキ241は、ブレーキ機能が機能しない状態を維持する。
これにより、ブレーキ軸241cが回転可能な状態を維持する。
すると、ブレーキ軸241cと一体とされたブレーキギア245は、回転可能な状態を維持する。
このため、ブレーキギア245と噛み合う大ぜんまいギア236は、回転可能な状態となる。
また、大ぜんまいギア236と一体とされた小ぜんまいギア235およびぜんまい軸231cは、回転可能な状態となる。
ぜんまい軸231cと一体とされた小ぜんまいギア235が回転可能な状態となる。
小ぜんまいギア235と噛み合う大中継ギア244、大中継ギア244と一体の小中継ギア243は、いずれも、回転可能な状態となる。
さらに、小中継ギア243と噛み合う外中継ギア234、外中継ギア234と一体の内中継ギア233は、いずれも、回転可能な状態となる。
内中継ギア233と外周歯214bで噛み合う内歯ギア214は、回転可能な状態となる。
この状態で、モータ220を駆動させると、遊星ギアクラッチ210では、駆動ギア211が回転駆動される。
すると、駆動ギア211と一体の太陽ギア212が回転する。
また、太陽ギア212に噛み合う遊星ギア213が回転する。
このとき、遊星ギア213は、支軸213cの軸周りに回転する。
この状態で、弁体5の重量により、フランジ部215および回転軸20は、回動しない。したがって、駆動ギア211の回転により、太陽ギア212、遊星ギア213を介して内歯ギア214が回動する。
すると、内歯ギア214と外周歯214bで噛み合う内中継ギア233は、回転する。
内中継ギア233の回転にともなって、内中継ギア233と一体の外中継ギア234は回転する。
さらに、外中継ギア234と噛み合う小中継ギア243、小中継ギア243と一体の大中継ギア244、大中継ギア244と噛み合う小ぜんまいギア235は、いずれも回転する。
小ぜんまいギア235の回転にともなって、小ぜんまいギア235と一体とされたぜんまい軸231cが回転する。
ぜんまい軸231cが回転することで、連結されたぜんまいバネ231が巻き締められる。
同時に、小ぜんまいギア235の回転にともなって、小ぜんまいギア235と一体とされた大ぜんまいギア236が回転する。大ぜんまいギア236の回転にともなって、ブレーキ軸241cが回転する。
ぜんまいバネ231が充分巻き締められて、電断時に中立弁体5を弁閉塞位置とするのに充分な状態となった場合、これをセンサ250で検知して励磁作動式ブレーキ241は、ブレーキ機能を機能させる。
励磁作動式ブレーキ241のブレーキ機能により、ブレーキ軸241cの回転が停止される。
これにより、ブレーキ軸241cと一体とされたブレーキギア245、ブレーキギア245と噛み合う大ぜんまいギア236、大ぜんまいギア236と一体のぜんまい軸231cは、いずれも、回転が停止された状態となる。
これにより、ぜんまいバネ231は、充分巻き締められた状態を維持されて、電断発生に対する待機状態となる。
さらに、大ぜんまいギア236と一体とされる小ぜんまいギア235は、回転が停止された状態となる。
これにより、小ぜんまいギア235と噛み合う大中継ギア244、大中継ギア244と一体の小中継ギア243、小中継ギア243と噛み合う外中継ギア234、外中継ギア234と一体の内中継ギア233は、いずれも、回転が停止された状態となる。
また、同様に、内中継ギア233と外周歯214bで噛み合う内歯ギア214は、回転が停止された状態となる。
この状態で、モータ220を駆動させると、モータ220の駆動力が回転軸20に伝達して、中立弁体5を回動させることが可能となる。
この通電開始時(電断回復時)に、励磁作動式ブレーキ241を機能させずにモータ220の駆動によって、ぜんまいバネ231を巻き締める動作可能な構成が復帰装置とされている。
[付勢部B80(保持バネ)]
付勢部B80(保持バネ)は、可動弁部Aと可動弁部Bとの間に位置しており、可動弁部A60と可動弁部B50とが重なる領域に、局所的に配置される。すなわち、付勢部B80は、可動弁部40(可動弁部A60と可動弁部B50との間)に内蔵されている。付勢部B80を設ける箇所は、3箇所以上が好ましく、互いに離間して設けられる。互いに離間する付勢部B80の配置としては、等間隔の配置に限定されず、複数の付勢部B80が非等間隔で配置されている構造が採用されても構わない。図1は、弁体の中心Oから見て、3個の付勢部B80が同じ角度位置(120度)に配された構成例を示している。
付勢部B80は、可動弁部A60(可動弁枠部:スライド弁板)に固定されたボルト状のガイドピン81の長軸部によって、可動弁部Bの動きを誘導(規制)するように構成されている。付勢部B80を構成する保持バネは、弾性部材(例えば、スプリング、ゴム等)で形成されている。
付勢部B80(保持バネ)は、可動弁部A60と可動弁部B50との流路方向Hにおける厚み寸法を、調整が可能なように駆動する。これにより、可動弁部B50は、可動弁部A60の動く方向(符号B1の方向,あるいは符号B2の方向)へ連動する。その際、可動弁部B50は、流路方向Hにおける厚み寸法を調整が可能なように駆動するので、上述した閉弁時には、可動弁部A60の第1シール部61が弁箱10の弁箱内面10Aに接触する際の衝撃を緩和する。
また、開弁時や逆圧時には、可動弁部B50の第2シール部51が弁箱10の弁箱内面10Bに接触する際の衝撃を緩和する。この衝撃を受けた際に、可動弁部B50と弁箱内面10Bと第2シール部51によって密閉空間が形成される。この密閉空間に圧力を与えている気体を除去するために、可動弁部B50には気抜き穴53が設けられる。
[ガイドピン81]
ガイドピン81は、可動弁部A60に固設されて流路方向Hに立設されており、太さ寸法が均一の棒状体で構成されている。ガイドピン81は、付勢部B80内を貫通し、可動弁部B50に形成された孔部50hに嵌合している。
このガイドピン81は、可動弁部B50と可動弁部A60とが摺動する方向(符号Qで示す軸)が符号B1,B2に示された方向からずれないように、かつ、可動弁部B50と可動弁部A60とが摺動した際にも、可動弁部B50及び可動弁部A60の姿勢が変化せずに平行移動を行うように、可動弁部B50と可動弁部A60の位置規制を確実に誘導する。
[付勢部C90(補助バネ)]
付勢部C90(補助バネ)は、中立弁部30と可動弁部A60との間に設けられ、弁箱10の流路方向Hにおいて、可動弁部A60を中立弁部30に対して流路方向における位置が変更可能に接続するとともに、可動弁部Aを前記流路方向における中央位置に向けて付勢する。これにより、本発明の実施形態において、仕切弁が閉弁状態(図7)から開弁状態(図2)に変わる場合に、付勢部C90が機能する。すなわち、付勢部C90は、閉弁状態(図7)から、弁箱10の内面から可動弁部A60を引き離す機械的な分離動作を促す構造を有する。
付勢部C90は、中立弁部30の外周位置に位置する円形部30aを有し、可動弁部A60の外周位置に位置し、円形部30aと重なる部位(位置規制部65)に設けられている。
付勢部C90は、弁体の中心Oから見て、付勢部B80と同じ角度位置に配されている。図1は、3個の付勢部C90が配置された構成例を示している。
付勢部C90も付勢部B80と同様に弾性部材(例えば、スプリング、ゴム、板バネ等)である。
中でも、付勢部C90として板バネ(図6、図11)を用いた場合は、可動弁部A60を中立弁部30(アーム)に向けて引き込み保持する機能α[閉弁状態(図7)から機械的な分離動作を促す機能]に加えて、中立弁部30(アーム)に対する可動弁部A60の半径方向の位置を保持する機能βも備えることができるので、より好ましい。
図6は、仕切弁が開弁状態(図2)にある場合の付勢部C90を示す模式的な断面図である。図11は、仕切弁が閉弁状態(図7)にある場合の付勢部C90を示す模式的な断面図である。
図6や図11に示すように、板バネ(付勢部C90)の両端部に近い部分が、固定ピン92,93によってリング状部材92a、92bを挟んで、中立弁部30の円形部30aの周方向に沿って係止されている。また、板バネの中央部に近い部分が、印圧ピン91によって可動弁部A60の位置規制部65に係止されている。
仕切弁が開弁状態(図2)にある板バネは、曲部90Aを有することにより、高さ方向の距離が縮まった状態、すなわち、中立弁部30(アーム)に対する可動弁部A60の離間距離が狭くなった状態にある(図6)。
これに対して、仕切弁が閉弁状態(図7)にある場合の板バネは、図6に示す曲部90Aを解消することにより、高さ方向の距離が伸びた状態、すなわち、中立弁部30(アーム)に対する可動弁部A60の離間距離が広がった状態にある(図11)。
このように、付勢部C90として、極めて簡素な構造からなる板バネを採用することで、本発明の実施形態に係る仕切弁における付勢部C90は、上述した2つの機能(機能αと機能β)が安定して得られる。
[付勢部A70(昇降機構)]
付勢部A70(昇降機構)は、弁箱に内蔵されており、上述した2つの可動弁部A、可動弁部B及び2つの付勢部B、付勢部Cを含む弁体、とは別体をなしている。
付勢部A70は、油圧駆動装置700から油(作動流体、加圧非圧縮性流体)が供給されることで油圧駆動部(固定部)71に作用した油圧により、可動部72の先端72aを可動弁部A60に向けて伸長する。この動作によって、付勢部A70は、可動弁部A60を流路方向Hに沿って第1開口部12aに向けて付勢する。付勢部A70は、この可動部72の伸長動作により、第1シール部61を第1開口部12aの周囲の弁箱内面10Aに密着可能とする機能を有している。
この可動部72の伸長動作は、弁箱10に内蔵された複数の付勢部A70においていずれもほぼ同時に動作可能とされている。
付勢部A70は、逆に第1シール部61を第1開口部12aの周囲の弁箱内面10Aから離間可能とする機能は有していないが、自ら(後述する可動部72)が初動する位置(後述する固定部71内の位置)に戻る機能は備えている。ゆえに、付勢部A70は、付勢部A70から可動弁部A60へ向かう方向へ伸縮可能な昇降機構である。
このような構成を有する複数の付勢部A70は各々、弁箱10において、可動弁部A60に対して作用する位置に配され、かつ、可動弁部A60に沿って設けられる。
図1に示す構成例においては、付勢部A70を設ける箇所は、3箇所以上が好ましく、互いに離間して設けられる。
互いに離間する付勢部A70の配置としては、等間隔の配置に限定されず、複数の付勢部A70が非等間隔で配置されている構造が採用されても構わない。図1および図23,図24は、弁体の中心Oから見て、4個の付勢部A70が同じ角度位置(90度)に配された構成例を示している。
図1に示す構成例における付勢部A70は、付勢部A70の角度位置が前述した付勢部B80と付勢部Cが配置された角度位置と重ならないように構成されている。
本実施形態における付勢部A70は、弁箱10の内部に設けられた油圧駆動部(固定部)71と、油圧駆動部(固定部)71から可動弁部A60に向く方向へ伸縮可能な可動部72と、可動部72を縮退する方向に付勢するバネ73(図23)と、から構成されている。
油圧駆動部(固定部)71は、油圧駆動装置700に接続されており、この油圧駆動装置700から供給された油圧によって可動部72を上記方向に伸縮可能な構成とされている。
油圧駆動装置700は、図23に示すように、油圧駆動部(固定部)71に油圧を供給する油圧を発生させる油圧発生部701と、油圧発生部701から油圧駆動部(固定部)71に接続される油圧管702と、油圧管702に設けられて可動弁部A60の開動作終了時に油圧供給を切断するように作動可能なソレノイドバルブ703と、油圧管702に設けられて回転軸20の回転が閉位置となっていることを検出して油圧供給を切り替え可能な切替弁704と、油圧発生部701を駆動するモータ等の駆動部705と、駆動部705を制御する制御部(コントローラ)706と、駆動部705を駆動するための電力を供給する電源707と、を有する。
また、油圧発生部701は、図26〜図28に示すように、ノーマルクローズが可能な構成とされている。
付勢部A70は、油圧駆動時に、作動流体である油(作動油)が、可動弁部A60が配置されている真空側に漏れることを防止する多段のシール装置が設けられている。
油圧発生部701は、可動部72を伸縮動作する際に、正圧または負圧となる油圧を油圧駆動部(固定部)71に供給するとともに、動作終了時に、油圧駆動部71に対する油圧供給を切断可能とされている。また、油圧発生部701は、可動弁部A60への可動部72の当接状態を適切に制御可能となっている。
図26〜図28は、油圧駆動装置700における油圧発生部701を示す断面図である。図26は、油圧駆動装置700における油圧発生部701の閉弁状態を示す。図27は、油圧駆動装置700における油圧発生部701の閉開状態を示す。図28は、油圧駆動装置700における油圧発生部701の過圧状態を示す。
油圧発生部701は、図26に示すように、油圧駆動部(固定部)71に非圧縮性流体である圧油を加圧して供給する油圧シリンダ710と、油圧シリンダ710を付勢する付勢部材720と、付勢部材720に抗して油圧シリンダ710を駆動可能なシリンダ駆動部730と、これらの部材を収納するケーシング750と、を備えている。
油圧シリンダ710は、有底筒状のシリンダ本体711と、シリンダ本体711の内部で軸線方向に相対的に移動可能なピストン712とを有する。
ピストン712は、ピストン712の軸線に沿って内部を貫通する油圧流路713を有し、油圧流路713が油圧管702に接続されている。油圧流路713は、非圧縮性流体である圧油(駆動流体)を油圧管702に対して流入可能または流出可能である。
油圧管702に接続されるピストン712の油圧流路713は、ケーシング750を貫通する。ピストン712の端部712aは、Oリングおよびシール材によってシールされる。ピストン712の端部712aは、ケーシング750に取り付け固定される。
ピストン712の端部712aと反対側となる端部712bは、シリンダ本体711の内部に位置する。ピストン712は、シリンダ本体711に同軸上に位置する。
シリンダ本体711の端部711a(第1端)は開口されている。シリンダ本体711の端部711aを通じて、シリンダ本体711の内部にピストン712の端部712bが挿入される。
シリンダ本体711はピストン712に対して軸線方向に相対的に移動可能である。シリンダ本体711はケーシング750に対して軸線方向に相対的に移動可能である。
シリンダ本体711の端部711b(第2端)はシリンダ本体711の内部空間を閉塞している。シリンダ本体711の底面(端部711bとは反対の面)と、ピストン712の端部712bの端面との間で油圧空間714が形成される。油圧空間714には、非圧縮性流体である圧油(駆動流体)が充填される。
油圧空間714の容積は、シリンダ本体711がピストン712に対して軸線方向に相対的に移動した場合に増減する。この油圧空間714の容積の増減にともない、油圧空間714に充填された圧油が、油圧流路713を介して油圧管702に流入または流出する。
シリンダ本体711の端部711aには、フランジ部711cが外周位置に設けられる。フランジ部711cは、端部711aにおいて、シリンダ本体711の径方向外側に張り出して周設される。
ケーシング750の内部において、シリンダ本体711の端部711bに向かう面には、付勢部材720となる内バネ721の端部721bおよび外バネ722の端部722bが当接している。
フランジ部711cにおいて、端部711aと反対側の面には、シリンダ本体711の外周面に近接して周溝711dが周設される。周溝711dには、付勢部材720となる内バネ721の端部721aが当接している。フランジ部711cにおいて、周溝711dの外周位置となるフランジ部711cの端部711bに向かう面には、外バネ722の端部722aが当接している。
付勢部材720は、内バネ721および外バネ722を有する。内バネ721および外バネ722は、コイルバネとされる。内バネ721および外バネ722は、シリンダ本体711およびピストン712と同軸状に配置される。内バネ721は、シリンダ本体711の外周面の径寸法よりもやや大きい内径寸法を有する。外バネ722は、内バネ721の外径寸法よりもやや大きい内径寸法を有する。外バネ722は、内バネ721よりも大きな線径とされる。外バネ722は、内バネ721よりも大きな付勢力を有する。
内バネ721および外バネ722は、伸縮方向への付勢力をシリンダ本体711に伝達可能とされている。内バネ721および外バネ722は、いずれもシリンダ本体711のフランジ部711cを、ピストン712の端部712aに向けて押圧するように付勢されている。
内バネ721の端部721bおよび外バネ722の端部722bは、ケーシング750に当接している。これにより、付勢部材720は、シリンダ本体711をケーシング750に対して付勢する。
なお、付勢部材720は、シリンダ本体711を付勢することが可能であれば、この構成に限られない。
シリンダ本体711の内周面には、端部711aに近接する位置に、ブシュ711e、Y形パッキン711f,711gが設けられる。シリンダ本体711の内周面とピストン712の外周面とは摺動可能に密閉される。
シリンダ本体711の端部711bには、外側位置にシリンダ駆動部730の駆動軸731の端部731aが同軸状として接続される。
シリンダ駆動部730は、シリンダ本体711をピストン712に対して軸線方向に相対的に移動させる駆動軸731と、モータ等の駆動部705によって駆動軸731を駆動する駆動伝達部と、を有する。
駆動軸731は、シリンダ本体711およびピストン712と同軸状態としてケーシング750内に配置される。駆動軸731は、軸方向に移動可能とされる。駆動軸731は、ピストン712およびケーシング750に対して軸線方向に相対的に移動可能である。
駆動軸731の外周面には、端部731aに近接する位置に、ボールネジ731cが形成される。
駆動軸731の軸方向におけるボールネジ731cの長さは、シリンダ本体711が軸方向に移動する際、ボールネジ731cの全ての範囲(終了域、ネジ形成面)に対して、後述する内側螺面732cが螺合状態を維持可能なように設定される。
駆動軸731の径方向外側には、ボールネジ731cの外周位置に、ネジ駆動ギア732が同軸状に配置される。駆動軸731は、ネジ駆動ギア732によってケーシング750に対して支持される。
駆動軸731の端部731aと反対側となる端部731bには、後述する回り止め731hが径方向に突出して設けられる。回り止め731hは、ケーシング750に設けられたすべり溝757の内部に位置する。回り止め731hは、駆動軸731が回転しないで軸方向に移動可能なように、駆動軸731の移動方向を規制している。
ネジ駆動ギア732は筒状とされる。ネジ駆動ギア732は、ケーシング750に対して回転可能に支持される。
ネジ駆動ギア732の外周にはボールベアリング732f,732gが設けられる。ボールベアリング732f,732gは、ケーシング750に対して駆動軸731と同軸に回転可能としてネジ駆動ギア732を支持する。
なお、ネジ駆動ギア732は、ケーシング750に対して軸方向には移動しない。
ネジ駆動ギア732の内周には内側螺面732cが形成される。内側螺面732cは、駆動軸731のボールネジ731cと螺合する。
ネジ駆動ギア732が回転した場合、内側螺面732cと螺合しているボールネジ731cにより、駆動軸731に回転力が作用する。駆動軸731は、回り止め731hおよびすべり溝757によって回転が規制されている。
したがって、駆動軸731は、すべり溝757に規制された方向、すなわち、駆動軸731の軸方向に移動する。
ネジ駆動ギア732の外周には外側ギア732dが形成される。外側ギア732dは、ネジ駆動ギア732の軸方向において、ボールベアリング732fおよびボールベアリング732gの間に挟まれた位置に形成される。ネジ駆動ギア732において、外側ギア732dは、径方向の最外側に位置する。
なお、ネジ駆動ギア732は、内側螺面732cの形成された内ネジ駆動ギア732aと、外側ギア732dの形成された外ネジ駆動ギア732bと、が一体として接続されていることができる。
外側ギア732dは、駆動ギア733dと噛合する。駆動ギア733dは、駆動軸731の軸線と平行な回転軸線を有する。
駆動ギア733dは、駆動軸731の軸線と平行な回転軸734に回転自在に支持される。回転軸734は、駆動軸731の径方向における外側に離間した位置にケーシング750に支持される。
駆動ギア733dは、駆動ギア733dと同軸上にある駆動ギア733eと一体に形成される。駆動ギア733eは、駆動ギア733dよりも大きな径寸法を有する。駆動ギア733eは、駆動ギア733dと一体に回転する。
駆動ギア733eは、駆動ギア735と噛合する。駆動ギア735は、駆動軸731の軸線と平行な回転軸線を有する。駆動ギア735は、駆動軸731の軸線と平行な回転軸736に回転自在に支持される。回転軸736は、駆動軸731の径方向における外側位置で、回転軸734よりもさらに離間した位置にケーシング750に支持される。
駆動ギア735は、駆動ギア737と噛合する。駆動ギア737は、駆動軸731の軸線と平行な回転軸線を有する。駆動ギア737は、駆動軸731の軸線と平行なモータ等の駆動部705の回転駆動軸705aに固定される。
回転駆動軸705aは、駆動軸731の径方向における外側位置で、回転軸736よりもさらに離間した位置に配置されている。回転駆動軸705aは、ケーシング750に貫通状態として回転可能に取り付けられる。
ネジ駆動ギア732、ボールベアリング732f,732g、内側螺面732c、外側ギア732d、駆動ギア733d、駆動ギア733e、回転軸734、駆動ギア735、回転軸736、駆動ギア737は、駆動伝達部を構成する。
ケーシング750は、筒状のケーシング筒751と、ケーシング筒751の一端を閉塞するケーシング蓋752と、ケーシング筒751の他端を閉塞する後ケーシング753と、ケーシング筒751の内部(収納空間755)においてケーシング蓋752と後ケーシング753との間に設けられるリング754と、後ケーシング753の他端を閉塞する蓋部758と、からなる。
ケーシング筒751は、シリンダ本体711、ピストン712、駆動軸731と同軸状に延在する内部形状を有する。ケーシング筒751の内部は収納空間755を形成している。
収納空間755は、シリンダ本体711と、ピストン712と、付勢部材720となる内バネ721および外バネ722と、駆動軸731の端部731aと、を内部に収納する。
収納空間755は、2つの開口を有する。2つの開口のうち一方には、ピストン712が位置しており、この開口はケーシング蓋752によって閉塞されている。
ケーシング蓋752にはピストン712が接続固定されている。ケーシング蓋752にはピストン712の端部712aが貫通している。
収納空間755の2つの開口のうち他方には、駆動軸731が位置しており、この開口は後ケーシング753によって閉塞されている。後ケーシング753には、駆動軸731が貫通している。
収納空間755は、後ケーシング753に近接する位置に、リング754が設けられる。
リング754は、駆動軸731と同軸として駆動軸731の周囲に配置される。リング754の内周と駆動軸731の外周とは離間している。
リング754は、フランジ部711cの内周、すなわち、シリンダ本体711の外周面の径寸法と等しい内径を有する。また、リング754は、フランジ部711cの外径寸法と等しい外径を有する。
リング754のケーシング蓋752に対向する面には、付勢部材720となる内バネ721の端部721bおよび外バネ722の端部722bが当接している。
リング754のケーシング蓋752に対向する面には、周溝711dに対応するように周溝754dが周設される。
周溝754dには、付勢部材720となる内バネ721の端部721bが当接している。周溝754dの外周に位置し、かつ、リング754のケーシング蓋752に向かう面には、外バネ722の端部722bが当接している。
ケーシング筒751と後ケーシング753とは、収納空間755よりも駆動軸731の径方向外側に向けて延在する駆動系支持部751k,753kが設けられる。駆動系支持部751k,753kは、ケーシング筒751および後ケーシング753に対して周方向の一部分をなすフランジ状に形成される。
駆動系支持部751kと駆動系支持部753kとは、互いに接触している。駆動系支持部751kと駆動系支持部753kとの間には、ネジ駆動ギア732、ボールベアリング732f,732g、内側螺面732c、外側ギア732d、駆動ギア733d、駆動ギア733e、回転軸734、駆動ギア735、回転軸736、および、駆動ギア737が挟持される。
駆動系支持部751kと駆動系支持部753kとの対向する面には、ネジ駆動ギア732、ボールベアリング732f,732g、内側螺面732c、外側ギア732d、駆動ギア733d、駆動ギア733e、回転軸734、駆動ギア735、回転軸736、および、駆動ギア737に対応する凹凸部が形成されている。凹凸部は、これらの部材を支持している。
また、駆動系支持部751kには、回転駆動軸705aが貫通している。駆動系支持部751kには、モータ等の駆動部705が取り付けられている。
ケーシング筒751と外ネジ駆動ギア732b(ネジ駆動ギア732)との間にはボールベアリング732fが設けられる。ボールベアリング732fは、ケーシング筒751に対してネジ駆動ギア732を回転可能に支持する。
後ケーシング753と外ネジ駆動ギア732b(ネジ駆動ギア732)との間にはボールベアリング732gが設けられる。ボールベアリング732gは、後ケーシング753に対してネジ駆動ギア732を回転可能に支持する。
後ケーシング753には、駆動軸731が軸方向に移動した際に、駆動軸731の端部731bの逃げとなる後空間756が形成される。
後空間756と収納空間755との境界となる位置には、ネジ駆動ギア732が配置される。つまり、後空間756と収納空間755との境界となる位置には、駆動軸731が軸方向に移動可能として配置されている。
後空間756には、拡径するようにすべり溝757が形成される。すべり溝757は、駆動軸731の径方向外側に位置する。すべり溝757は、回り止め731hがすべり溝757の内部を摺動することで、駆動軸731の回転を規制するとともに、駆動軸731の軸方向の移動を可能とする。
後空間756の端部は、蓋部758によって閉塞されている。
後空間756において蓋部758に近い位置には、駆動軸731の端部731bが当接可能なリミッタスイッチ760が設けられる。リミッタスイッチ760は、制御部706に接続される。
リミッタスイッチ760は、駆動軸731が収納空間755から後空間756に向けて移動した場合に、駆動軸731の端部731bがリミッタスイッチ760に当接したことを検知する。このとき、リミッタスイッチ760は、駆動軸731の端部731bが所定の位置に到達したことを制御部706に出力する。
この信号を受け取った制御部706は、モータ等の駆動部705の駆動を停止する信号を出力する。これにより、モータ等の駆動部705は駆動を停止する。したがって、リミッタスイッチ760の設置された位置によって、駆動軸731の移動位置が規制される。
油圧発生部701は、制御部706の出力信号によって、モータ等の駆動部705を駆動可能とされる。
制御部706が駆動信号を出力すると、モータ等の駆動部705が駆動して、回転駆動軸705aが回転する。回転駆動軸705aの回転により、回転駆動軸705aに取り付けられた駆動ギア737が回転する。駆動ギア737の回転は、駆動ギア737に噛合する駆動ギア735に伝達される。駆動ギア735の回転は、駆動ギア735に噛合する駆動ギア733eに伝達される。
駆動ギア733eの回転は、駆動ギア733eに一体として形成された駆動ギア733dに伝達される。駆動ギア733dの回転は、駆動ギア733dに噛合する外側ギア732dに伝達されて、ネジ駆動ギア732が回転する。外側ギア732dの回転は、外側ギア732dに一体として形成されたネジ駆動ギア732の内側螺面732cに伝達される。
ネジ駆動ギア732の内側螺面732cの回転は、ネジ駆動ギア732に噛合する駆動軸731のボールネジ731cに伝達されて、駆動軸731が回転する。ネジ駆動ギア732は、ボールベアリング732f,732gによって支持されている。このため、ネジ駆動ギア732が回転しても、ネジ駆動ギア732は軸方向に移動しない。
駆動軸731は、内側螺面732cによって支持されるとともに、回り止め731hがすべり溝757の内部に位置して、駆動軸731の移動方向が規制されている。このため、駆動軸731は、ネジ駆動ギア732が回転した場合に軸方向に移動する。
このように、駆動伝達部によって、モータ等の駆動部705の回転駆動力が駆動軸731に伝達され、駆動軸731が軸方向に移動する。
駆動軸731が軸方向に移動すると、駆動軸731に一体として接続されたシリンダ本体711も、同様にして軸方向に移動する。このとき、ピストン712は、ケーシング蓋752に固定されているので移動しない。これにより、シリンダ本体711とピストン712とが軸線方向に相対的に移動する。
ここで、シリンダ本体711とピストン712とが相対的に移動することで、シリンダ本体711内部の油圧空間714の容積が変化する。油圧空間714の容積変化に応じて、油圧空間714に充填された非圧縮性流体である圧油(駆動流体)が油圧流路713に流入または流出する。
シリンダ本体711には、フランジ部711cに当接する付勢部材720となる内バネ721および外バネ722が付勢力を付与している。
本実施形態の仕切弁においては、ノーマルクローズを可能とするため、付勢部材720からの付勢力は、内バネ721および外バネ722が伸長する方向に発生する。つまり、付勢部材720からシリンダ本体711へ付与された付勢力が発生する方向は、シリンダ本体711がネジ駆動ギア732から離間する方向に一致する。
したがって、付勢部材720の付勢力は、シリンダ本体711における油圧空間714の容積が減少するようにシリンダ本体711に付与されている。
また、本実施形態の仕切弁においては、ノーマルクローズ、つまり、モータ等の駆動部705が駆動された際に、オープン可能とする。このため、モータ等の駆動部705の駆動により駆動軸731が移動する方向は、付勢部材720の付勢力の方向とは反対向きとなる。
つまり、モータ等の駆動部705の駆動により、駆動軸731はピストン712から離間する方向に移動する。したがって、モータ等の駆動部705の駆動により、シリンダ本体711における油圧空間714の容積は増大するように駆動軸731が移動する。
油圧発生部701においては、モータ等の駆動部705を駆動しない場合、図26に示すように、付勢部材720の付勢力によって油圧空間714の容積が減少する。これにより、非圧縮性流体である圧油(駆動流体)が、油圧空間714から油圧流路713を介して油圧管702に対して流入する。このとき、付勢部A70では油圧が作用して、可動部72の先端72aが伸長する。
また、油圧発生部701は、モータ等の駆動部705を駆動した場合、図27に示すように、モータ等の駆動部705の駆動力によって油圧空間714の容積が増大する。これにより、非圧縮性流体である圧油(駆動流体)が油圧流路713を介して油圧管702から油圧空間714に対して流入する。このとき、付勢部A70では油圧が作用して、可動部72の先端72aが縮退する。
また、油圧発生部701では、何らかの原因により、シリンダ本体711がケーシング蓋752に向けてオーバーランした場合でも、図28に示すように、フランジ部711cがケーシング蓋752に当接して、シリンダ本体711の移動を停止する。これにより、油圧空間714の減少を所定範囲に制限する。したがって、油圧発生部701は、過剰な圧油(駆動流体)を付勢部A70へ流入させないことができる。
この構成により、付勢部A70は、可動部72の先端72aを可動弁部A60の下面60sbに当接させて、可動弁部A60を第1開口部12aに向けて移動させる機能と、自ら(可動部72)が初動する位置(固定部71内の位置)に戻る機能の2つの機能を有しており、弁体の昇降機構の役割を担う。
図2〜図5は、可動弁部40(可動弁部A60、可動弁部B50)が、弁箱10の何れの弁箱内面10A、10Bとも接していない状態を表わしている。この状態を、弁体がFREEな状態と呼称する。図6は、FREEな状態(図2)における付勢部Cの要部を示す拡大図であり、図2において付勢部Cを紙面奥行き方向に見た図である。
この弁体がFREEな状態において、上述した付勢部A70の機能、すなわち、可動弁部A60を第1開口部12aに向けて移動させる機能により、可動弁部A60を弁箱10の弁箱内面10Aに接するまで移動させ、可動弁部A60を前記弁箱内面10Aに押圧することによって、流路Hを閉鎖する(閉弁動作)。
図7〜図10は、上記の閉弁動作により流路Hが閉鎖された状態を表している。この状態を、正圧/差圧無の状態と呼称する。図11は、正圧/差圧無の状態(図7)における付勢部Cの要部を示す拡大図であり、図7において付勢部Cを紙面奥行き方向に見た図である。
この弁体が正圧/差圧無の状態において、上述した付勢部C90の機能、すなわち、可動弁部A60を中立弁部30に対して流路方向における位置が変更可能に接続するとともに、可動弁部Aを前記流路方向における中央位置に向けて付勢する機能により、可動弁部A60を弁箱10の内面から引き離し、可動弁部A60を退避させることによって、前記流路Hを開放する(解除動作)。
このように、本実施形態の仕切弁においては、Oリング等からなる第1シール部61(弁板シールパッキン)とOリング等からなる第3シール部52(摺動シールパッキン)とが、ほぼ同一円筒面上に配置される(例えば、図3〜図5に示すラインRに重なるように配置される)ため、約100%の逆圧キャンセル率が得られる。
また、本実施形態の仕切弁における付勢部A70は、弁箱10に内蔵されており、2つの可動弁部A60、可動弁部B50と2つの付勢部B80、付勢部C90とを含む中立弁体5とは別体をなしている。これにより、本実施形態の仕切弁100は、付勢部A70の重量分だけ弁体構造の軽量化が図れる。
また、付勢部A70が油圧駆動装置700によって作動流体が非圧縮性の油圧により動作する構成とされたため、作動流体が圧空(圧縮空気)等の圧縮性流体を用いる場合に比べて、省スペース化を図るとともに、同時に、確実な閉弁動作をおこなうことが可能となる。さらに、圧空駆動に比べて、動作上の安全性を向上することもできる。
ゆえに、本実施形態の仕切弁によれば、高い信頼性の仕切り動作が可能であると共に、弁体の重量が軽減されるので、弁体の上下移動や弁体を旋回移動する際に要する駆動力を抑制できるため、弁体の構成の簡素化および軽量化が実現する。
図20〜図22は従来の仕切弁501を示す図であり、図20は横断面図を示しており、図21及び図22は縦断面図を示している。図21は、弁体が退避動作可能位置に配置されている場合を示しており、図22は、弁体が弁閉位置に配置されている場合を示している(特許文献4)。
図20〜図22に示すように、従来の仕切弁501では、本実施形態の仕切弁100における付勢部A70に相当するリング状のエアシリンダ580が弁体構造に含まれており、エアシリンダ580に対して圧空を導入する供給路541も必要であり、弁体構造が極めて複雑になっていた。また、図20〜図22に示す従来例の仕切弁の構成において、大きな面積を有する仕切弁において閉塞をおこなうことが考えられる。この場合には、エアシリンダ580をリング状に形成する際に、要求される高動作正確性・高密閉性を満たすためには、必要な加工精度が極めて高い。このため、そのような従来の仕切弁の製造時における高コスト化が懸念される。
これに対して、本発明の実施形態に係る付勢部A70は、弁箱10の内部に配置され、弁体構造に含まれないので、弁体構造の簡素化も図れる。従来の仕切弁501が必須とした供給路541は、本実施形態の仕切弁100においては不要である。また、付勢部A70として、複数の通常形態の円柱・円筒状のピストン・シリンダを用いることが可能なため、要求される高動作正確性・高密閉性を満たす仕切弁を低コストで製造することができる。
ゆえに、本発明の実施形態に係る仕切弁は、弁箱の内部に配置され、弁体構造に含まれない付勢部A70を採用したことにより、回転軸20を回転可能とする駆動装置として、従来よりも低パワーで駆動する部材や装置を低コストに選択することも可能となるので、本発明は省エネルギー型の仕切弁の実現に寄与する。
したがって、本発明は、高い信頼性の仕切り動作が可能であり、可動弁部の軽量化が図れるとともに、100%の逆圧キャンセル率が実現でき、ノーマルクローズ構造を有する仕切弁の提供に貢献する。
なお、図2は、付勢部A70が、第2開口部12bに近い位置において、弁箱10(10b)に内蔵されている構成を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、第2開口部12bに近い位置に代えて、第1開口部12aに近い位置に付勢部A70を設けても構わない。付勢部A70が可動弁部A60に対して作用できるならば、付勢部A70を設ける位置は自由に設定することが可能である。
上述した実施形態においては、図2に示した付勢部A70は、前記可動弁部A60に対して圧縮力を作用する構成例を示しており、機械的な当接動作によって、閉弁動作を行っているが、本発明はこの構成に限定されない。
圧縮力を作用する機能を備えた付勢部A70としては、油圧以外にも、例えば、上述したシリンダ機構の他に、圧空機構、電磁機構、等が挙げられる。なお、圧空機構等は、仕切弁100が大面積でない場合など、付勢部A70として特に有効である。これは、仕切弁100の設置姿勢によることがなく、開閉動作を安全におこなうことができるためである。
なお、付勢部A70が前記可動弁部A60に対して圧縮力を作用する機能と、可動弁部A60に対して引張力を作用する機能とを兼ね備えた構成例については、後述する図17〜図19に基づき、変形例として説明する。
図2に示した付勢部A70は、図1における線分A−Oに沿う断面図である図3から明らかなように、図1において可動弁部A60の下方(紙面奥側)に配されている。すなわち、本実施態様は、図23,図24に示すように、付勢部A70が90度ピッチで4箇所に配された構成例を示している。この構成例は、4個の付勢部A70が等間隔で配置された場合を示しているが、本発明は、この構成に限定されるものではなく、付勢部A70の個数は、3個以上の複数であればよく、付勢部A70の間隔は非等間隔であっても構わない。
また、本実施態様は、弁箱10の内部に局所的に配されて付勢部A70として機能する部材としてピン状のシリンダを開示しているが、本発明はこの部材に限定されるものではない。例えば、ピン状のシリンダに代えて、リング状のシリンダを、付勢部A70として用いてもよい。
[弁体が退避動作可能位置(FREE)の状態]
以下では、図1〜図6に基づき、弁体がFREEの状態について説明する。
図1は本発明の実施形態に係る仕切弁の構成を示す横断面図であり、図2は縦断面図である。図3は図1における線分A−Oに沿う要部を示す拡大図、図4は図1における線分B−Oに沿う要部に示す拡大図、図5は図1における線分C−Oに沿う要部を示す拡大図である。また、図6は図2における付勢部Cの要部を示す拡大図である。
中立弁体5がFREEの状態とは、中立弁体5が弁箱10の内面(第1開口部12aの周囲に位置する弁箱10の内面、第2開口部12bの周囲に位置する弁箱10の内面)と接していない状態である。
付勢部A70(昇降機構)は、弁箱10の内部に配置された固定部71と、固定部71から可動弁部A60に向く方向へ油圧により伸縮可能な可動部72とから構成されており、固定部71とともに可動部72も弁箱10の内部に配置された状態にある。つまり、中立弁体5とは別体をなす付勢部A70(昇降機構)は、中立弁体5と接していない状態である。
換言すると、付勢部A70(昇降機構)は、弁箱10に内蔵されており、2つの可動弁部A60、可動弁部B50、及び付勢部B80を含む中立弁体5とは別体をなしている。
この付勢部A70は、油圧駆動装置700に接続されるとともに弁箱10の内部に配置された固定部71と、固定部71から可動弁部A60に向く方向へ伸縮可能な可動部72とから構成されている。
この構成により、付勢部A70は、可動部72の先端72aを可動弁部A60の下面60sbに当接させて、可動弁部A60を第1開口部12aに向けて移動させる機能と、可動弁部A60を逆に第1開口部12aから離間可能とする機能の2つの機能を有しており、弁体の昇降機構の役割を担う。
図3に示すように、付勢部A70を構成する可動部72の先端72aが、可動弁部A60の下面60sbに当接する(矢印F1)ことにより、中立弁体5を構成する可動弁部A60は、弁箱10の内面(第1開口部12aの周囲の弁箱10の弁箱内面10A)に向けて移動する(矢印F2)。この移動により、第1シール部61(弁板シールパッキン)が弁箱10の弁箱内面10Aに接した状態が、閉弁位置の状態(閉弁状態)である。
可動弁部B50と可動弁部A60とは、保持バネ(付勢部B80)によって符号B1,B2(図2)で示された方向(往復方向)に第3シール部52を介して摺動しながら移動可能とされているので、この移動時には、可動弁部B50も可動弁部A60と同じ方向へ移動する。
[弁体が弁閉位置(正圧or差圧無)の状態]
以下では、図7〜図10に基づき、弁体が弁閉位置の状態について説明する。
図7は本発明の実施形態に係る仕切弁の構成を示す縦断面図である。図8は図1における線分A−Oに沿う要部を示す拡大図、図9は図1における線分B−Oに沿う要部を示す拡大図、図10は図1における線分C−Oに沿う要部を示す拡大図である。
中立弁体5が弁閉位置の状態とは、中立弁体5が弁箱10の一方の内面(第1開口部12aの周囲の弁箱内面10A)と接した状態であり、他方の内面(第2開口部12bの周囲に位置する弁箱10の内面)とは接していない状態である。
付勢部A70(昇降機構)は、弁箱10の内部に配置された固定部71から可動部72を油圧により可動弁部A60に向く方向へ伸延させて、可動部72の先端72aを可動弁部A60の下面60sbに当接させる。これにより、可動弁部A60を第1開口部12に向けて移動させることにより、可動弁部A60の上面60saに設けた第1シール部61を、弁箱10の第1開口部12aの周囲の弁箱内面10A)と接した状態とする。
[弁体が逆圧位置の状態]
以下では、図12〜図15に基づき、弁体が逆圧位置の状態について説明する。
図12は本発明の実施形態に係る仕切弁の構成を示す縦断面図である。図13は図1における線分A−Oに沿う要部を示す拡大図、図14は図1における線分B−Oに沿う要部を示す拡大図、図15は図1における線分C−Oに沿う要部を示す拡大図である。
中立弁体5が逆圧位置の状態とは、中立弁体5が弁箱10の一方の内面(第1開口部12aの周囲の弁箱内面10A)と接した状態を保ちながら、他方の内面(第2開口部12bの周囲に位置する弁箱10の内面)にも接した状態である。逆圧とは、閉弁状態から開弁状態の方向へ弁体に対して圧力が加わることである。
中立弁体5が逆圧を受けた場合、弁体を構成する可動弁部A60と可動弁部B50の間に位置する付勢部B80が機能する。すなわち、可動弁部B50と可動弁部A60とは、付勢部B80によって符号B1,B2(図12)で示された方向(往復方向)に第3シール部52を介して摺動しながら移動可能とされているので、中立弁体5が逆圧を受けた場合、可動弁部B50は可動弁部A60に対して符号B2の方向へ移動する。
これにより、可動弁部B50は、弁箱10の他方の内面(第2開口部12bの周囲の弁箱内面10B)に衝突することになる。この衝突による衝撃を緩和するため、可動弁部B50は、第2シール部51を、第2開口部12bの周囲の弁箱内面10Bに対向する箇所に備えている。このように、中立弁体5が受けた力(符号B2の方向に受けた力)を、弁箱10の弁箱内面10B(裏側のボディ)で受けてもらう機構が、逆圧キャンセル機構である。
第2シール部51としては、弾性体が好適に用いられる。可動弁部B50が弁箱10の弁箱内面10Bに衝突した場合、衝突した瞬間に発生するゴミや、弁箱10の弁箱内面10B(裏側のボディ)がミリ単位で変形して微小摺動が起こり発生するゴミを防止する対応策が必要となる。第2シール部51が弾性体であれば、衝突時に弾性体が変形することにより、何れのゴミであっても発生を防ぐことが可能となる。
本実施形態の仕切弁においては、ノーマルクローズを可能なように回転軸20を回動させる構成として、バネ等による付勢力を発生する構成が設けられていない。したがって、この付勢力に対抗して回転軸20を回動させる構成は、設けられていない。このため、モータの出力およびぜんまいバネの付勢力を削減できる。これにより、低コスト化、小型化、省スペース化が可能な仕切弁を提供することができる。
同時に、弁閉塞時に、回転軸20の閉回動と可動弁部B50の閉塞状態とを順次おこなうことが可能となる。さらに、電断弁の閉塞時に、回転軸20の閉回動と可動弁部B50の閉塞状態とを順次おこなうことが可能となる。これにより、電断時にも二次電源等を用意することなく、ノーマルクローズが可能な仕切弁の構成とすることができる。同時に、電断時における安全性を向上した仕切弁を提供することができる。
さらに、通電復帰時に、モータによる復帰動作をおこなうだけで、ぜんまいバネを巻き締めるとともに、通常の通電状態に復帰することが可能となる。このため、より安全なノーマルクローズが可能な構成の仕切弁を提供することができる。
<実施形態の変形例>
図17〜図19は、本発明の実施形態の変形例における仕切弁の構成を示す縦断面図である。図17は、弁体が退避動作可能位置(FREE)に配置されている場合において、図3に相当する線分A−Oに沿う要部を示す拡大図である。図18は、弁体が弁閉位置(正圧or差圧無)に配置されている場合において、図8に相当する線分A−Oに沿う要部を示す拡大図である。図19は、弁体が逆圧位置に配置されている場合において、図13に相当する線分A−Oに沿う要部を示す拡大図である。
図17〜図19における付勢部A70は、前記可動弁部A60に対して圧縮力を作用する機能と、可動弁部A60に対して引張力を作用する機能とを兼ね備えた構成例を示している。
この2つの機能を兼ね備えるために、変形例の付勢部A70は、弁箱10の内部に配置された固定部71と、固定部71から可動弁部A60に向く方向へ伸縮が可能な可動部72と、から構成されている。さらに可動部72の側面には、図16に示すようなボールプランジャが埋設されている。
このボールプランジャは、可動部72が油圧駆動部(固定部)71に近い位置に配置するように縮退した状態となった場合において、リング状のシール部材(Oリング)75よりも可動部72の先端の近くに位置している。
なお当該部分のような油圧による直線導入部におけるシール部材は、2重シールにするなど油漏れ緩衝空間を設けることが望ましい。特に当該部が直接真空部に面する構成の場合は真空槽内を油汚染する確率を下げることができるため、特に推奨される。また真空・大気環境ともに周囲を油汚染する可能性を下げる目的で、作動油は蒸気圧の低い油を用いることが望ましい。作動油の蒸気圧は要求される真空度等により決定されるが、一般には10−3Pa程度以下として選択される。
ここで、「プランジャ」とは、ワークを位置決め・固定するための機械要素部品であり、プランジャは、プランジャ本体と、プランジャ本体に内蔵されたスプリングと、スプリングの先端に位置する先端部材(ボールまたはピン)を備えている。プランジャは、先端部材に荷重が加わると、先端部材はプランジャ本体の内部に沈み込み、荷重が解けるとスプリングの力で先端部材が元の位置に戻る機構を有する。
特に、ボールプランジャは、スプリングの先端に位置するボールが動作するプランジャであり、上下方向だけでなく横方向から加わる荷重によってボールを沈み込ませることができるため、スライドする機構の位置決めに適している。
ボールプランジャ72Bを可動部72の側面に設けるとともに、可動弁部A60において可動部72の先端部が当接する部位65Aに、可動部72の先端部とボールプランジャ72Bの受け手となる凹部65eを配置する。この構成によれば、変形例の付勢部A70は、前記可動弁部A60に対して油圧による圧縮力を作用する機能と、可動弁部A60に対して引張力を作用する機能とを兼ね備えることが可能となる。
ところで付勢部A70に内蔵された圧縮コイルバネ(バネ)73(図23)が圧縮された状態で停止している場合、そのバネ73の変位量に応じた反発力はシリンダのピストン面における油圧による力と同等となっている。つまり、バネ73の反発力は油圧に変換されているため、油圧発生部701を介して駆動部705に伝達される。つまり駆動部705はバネ73の反発力と同等の力を発揮させなければ平衡状態、つまり停止状態を保つことができない。しかし、本実施形態の構成ではソレノイドバルブ703により油圧回路を遮断することが可能である。つまりバネ73の反発力を受ける状況であってもソレノイドバルブ703を遮断すれば停止状態を保ちかつ駆動部705は力を発生させる必要がない。その結果、駆動部705が温度上昇することを防ぐことが可能となる。
また、この変形例における仕切弁では、可動弁部A60と付勢部A70の一部である可動部72との間にボールプランジャ72Bを設けた構成と同じように、中立弁部30と可動弁部A60の一部である位置規制部65との間にもボールプランジャ65Bを設けた構成を採用する。これにより、上述した実施形態における付勢部C90が不要となる。
ゆえに、変形例の仕切弁は、上述した実施形態の仕切弁に比較して、高い信頼性の仕切り動作が可能であると共に、弁体の重量がさらに軽減されるので、弁体の上下移動や弁体を旋回移動する際に要する駆動力を一段と抑制できる。このため、ノーマルクローズ向上を実現し、弁体の構成の簡素化および軽量化が容易に実現する。
この変形例における仕切弁では、可動弁部B50と可動弁部A60の一部であり可動弁部B50に重なる位置にある部位67との間には、上述した実施形態と同じ構成からなる付勢部B80が配置されている。ゆえに、この変形例における仕切弁においても、付勢部B80によって、弁体の上下移動や弁体を旋回移動する際に要する駆動力が得られる。
つまり、変形例における仕切弁においては、ボールプランジャを設けた構成を採用することにより、上述した実施形態の仕切弁において必須であった、付勢部C90が弁体構造から排除することが可能となる。したがって、変形例によれば、弁体の上下移動や弁体を旋回移動する際に要する駆動力を一段と抑制でき、弁体の構成の簡素化および軽量化が図れる仕切弁をもたらす。
なお、この変形例では、2つのボールプランジャ72B、65Bを設けた構成を開示したが、必ずしも2つのボールプランジャを一緒に組込む必要はない。すなわち、上述した実施形態の仕切弁において、2つのボールプランジャ72B、65Bを設けた構成のうち、何れか1つを採用しても構わない。
また、複数個の付勢部A70が弁箱10の内部に配置される場合、付勢部A70として、例えば、上述した実施形態に示した「可動弁部Aに対して圧縮力を作用する構造(第1構造)」と、上述した変形例に示した「可動弁部Aに対して圧縮力を作用する機能と、可動弁部A60に対して引張力を作用する機能とを兼ね備えた構造(第2構造)」とを、交互に配置する構成が採用されてもよい。あるいは、2つの第1構造の間に複数の第2構造が配置された構造や、2つの第2構造の間に複数の第1構造が配置された構造が採用されてもよい。
さらに、次のような例も可能である。
<実施形態の他の変形例>
図32は、本実施形態における回転手段の他の例を示す説明図である。
[回転軸駆動機構200]
本変形例においては、上述した実施形態と異なるのは、遊星ギアクラッチに関する点であり、これ以外の上述した実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
本変形例における回転軸駆動機構(回転装置)200も、上述した実施形態と同様に、回転軸20を回転させるための電動アクチュエータとされる。
回転軸駆動機構(回転装置)200では、ぜんまい軸231cとブレーキ軸241cとが一本の合同軸205cである構成とされる。
合同軸205cは、回転軸20と平行に配置される。合同軸205cは、上述した実施形態におけるぜんまい軸231cに対応する配置とされる。
合同軸205cには、ぜんまいバネ231と励磁作動式ブレーキ241とが接続される。
ぜんまいバネ231と励磁作動式ブレーキ241とは、合同軸205cにおける軸線方向で異なる位置として、合同軸205cに接続される。
また、モータ220と駆動ギア211の間には、中継ギア209が配置される。
大中継ギア244および小中継ギア243は、回転軸20に回転自在に取り付けられる。
本例では、回転軸駆動機構200において、さらなる省スペース化を図ることができる。
さらに、本例では、回転軸20に中立弁体5のカウンターウエイト(バランサー)CWが設けられて、モータ220およびぜんまいバネ231において必要なトルクを低減可能とされている。
カウンターウエイト(バランサー)CWは、回転軸20の中立弁体5と軸対象な位置に設けられる。さらに、このカウンターウエイトCWは、切替弁704作動用スイッチ21に設けることもできる。
なお、図32において、符号32は、カウンターウエイト(バランサー)を取り付ける箇所を示している。
また、本例では、上述した実施形態と同等の効果を奏することができる。
<実施形態の他の変形例>
図33は、本実施形態における回転手段の他の例を示す説明図である。
[回転軸駆動機構200]
本変形例においては、上述した実施形態と異なるのは、電断付勢装置に関する点であり、これ以外の上述した実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
本変形例における回転軸駆動機構(回転装置)200も、回転軸20を回転させるための電動アクチュエータとされる。回転軸駆動機構(回転装置)200は、回転軸20に接続された打ち子式の電断付勢装置230、回転切替装置、および、復帰装置を有している。
回転軸駆動機構(回転装置)200において、回転軸20は、モータ220が接続される。
また、回転軸20には、回転軸20の径方向外側に向けて突出した打ち子22が設けられる。
電断付勢装置230は、この打ち子22と、弧状ギア(扇形ギア,セクターギア)273と、巻き締めギア237と、復帰装置としての巻き締めモータ(付図示)と、を有する。
打ち子22は、図29〜図31に示したストッパ21と同様に、回転軸20から径方向外側向きに突出する。
打ち子22は、回転軸20において、モータ220とは異なる軸方向位置で接続される。
打ち子22には、回転軸20の軸方向に突出する突出部22aが先端に設けられる。
突出部22aは、打ち子22と一体に回転軸20回りに回転する。
弧状ギア(扇形ギア,セクターギア)273は、回転軸20に回動自在に取り付けられる。
弧状ギア273は、回転軸20の軸方向において、打ち子22に隣接した位置に取り付けられる。
弧状ギア273は、回転軸20の周方向における一部分に弧状歯部273aを有する。
弧状ギア273は、回転軸20の径方向における弧状歯部273aよりも内側に、当接溝273dを有する。
当接溝273dは、回転軸20の径方向に向いた面に形成される。
当接溝273dは、回転軸20の周方向に凹んだ形状である。
当接溝273dは、打ち子22の突出部22aが当接可能な位置に配置される。
当接溝273dは、回転軸20の径方向において、突出部22aに対応する位置に設けられる。
弧状歯部273aは、回転軸20の周方向において、後述するように、通常の通電時に、弁体5が弁開位置と弁閉位置との間で振り子動作する際には、弧状ギア273の当接溝273dに打ち子22の突出部22aが当接しない範囲に周設される。
巻き締めギア237は、ぜんまい軸231c取り付けられる。
巻き締めギア237は、ぜんまい軸231cの軸方向において、弧状ギア273の弧状歯部273aに対応する位置に取り付けられる。
巻き締めギア237は、弧状ギア273の弧状歯部273aに噛み合う。
ぜんまい軸231cには、巻き締めモータ(不図示)が接続される。
巻き締めモータは、ぜんまい軸231cを回動して、ぜんまいバネ231を巻き上げ可能である。
巻き締めギア237が弧状ギア273の弧状歯部273aに噛み合った状態のときに、巻き締めギア237と弧状ギア273とは、互いに回転を伝達可能である。
また、巻き締めギア237が弧状ギア273の弧状歯部273aに噛み合わない状態、つまり、巻き締めギア237が弧状ギア273の欠歯部に対応する位置にある状態のとき、巻き締めギア237と弧状ギア273とは、空転して、互いに回転を伝達しない。
つまり、弧状ギア(扇形ギア,セクターギア)273は、弧状歯部273aが巻き締めギア237に噛み合っている状態において、巻き締めギア237と同期して回転する。
弧状ギア273が回転軸20回りに回動して、弧状歯部273aが巻き締めギア237から外れると、弧状ギア273と巻き締めギア237とは連結されない。
本例では、通常の通電時には、図33に示すように、ぜんまいバネ231は、巻き締めモータ(不図示)によって、巻き締められた状態を維持している。
このとき、弁体5が弁開位置と弁閉位置との間で振り子動作するため、弧状ギア273は、回転軸20の周方向において、打ち子22の突出部22aが当接しない範囲に位置している。
同時に、弧状ギア273の弧状歯部273aと巻き締めギア237とが噛合した状態となっている。
この場合、打ち子22の突出部22aは、弧状ギア273のいずれの部分にも当接することがない。
このため、弧状ギア273および巻き締めギア237は、回転軸20の回動に影響を与えない。
これに対して、電断時には、無励磁作動式ブレーキ221が機能してモータ220が駆動しなくなる。
同時に、励磁作動式ブレーキ241が機能しなくなる。
これにより、巻き締められたぜんまいバネ231の付勢力が解放される。
なお、弧状ギア273は、回転軸20に回転自在に取り付けられているため、この駆動電力の供給が遮断された初期状態には、弧状ギア273の回動が回転軸20に影響を与えることがない。
ぜんまいバネ231の付勢力が解放されると、ぜんまいバネ231の付勢力により、図33に矢印RZ1で示すように、ぜんまい軸231cが回動する。
これにより、図33に矢印RZ1で示すように、ぜんまい軸231cと一体に巻き締めギア237が回動する。
巻き締めギア237の回動により、図33に矢印RZ2で示すように、巻き締めギア237と噛み合う弧状ギア273が回動する。
このとき、弧状ギア273は、弧状歯部273aに対応する角度だけ回転軸20の周りに回動する。
すると、弧状歯部273aと同一角度となるように一体に当接溝273dが、図33に矢印RZ2で示すように、回転軸20の周りに回動する。
弧状ギア273の回動により、当接溝273dには打ち子22の突出部22aが当接した状態となる。さらに、弧状ギア273が回動すると、当接溝273dが打ち子22の突出部22aを回転軸20の周方向に押圧する。
これにより、図33に矢印RZ3で示すように、打ち子22が回転軸20の回りに所定角度回動する。
打ち子22の回動に追従して、図33に矢印RZ3で示すように、回転軸20が所定角度回動する。
このように、回転軸駆動機構(回転装置)200は、巻き締めギア237、弧状ギア273、打ち子22を介して、回転軸20を所定角度回動する。これにより、回転軸駆動機構(回転装置)200は、電断時には、中立弁体5を弁閉塞位置となるまで回動することができる。
つまり、回転軸駆動機構(回転装置)200は、ノーマルクローズを可能な構成を実現している。
ここで、励磁作動式ブレーキ241には、緩和装置を設けることもできる。緩和装置は、弧状ギア273が回動を開始した際に、打ち子22の突出部22aに当接溝273dが勢いよく当接しないようにする機能を有する。緩和装置は、弧状ギア273と打ち子22とが当接するまで、ぜんまいバネ231の付勢力を制限する機能を有する。
緩和装置としては、巻き締めモータの端子間に挿入した回生抵抗を、巻き締めモータにおける駆動軸の制動力として、用いる構成が考えられる。
このとき、回転軸20の周方向において、打ち子22の角度位置と、弧状ギア273の角度位置と、の双方の角度に応じて、巻き締めモータにおける回生抵抗の抵抗値を可変にすることができる。
回生抵抗の抵抗値を制御することにより、巻き締めモータに対する制動力を理想的な値に制御する。これにより、緩和装置における緩和機能を最適化することができる。
さらに、緩和装置として、これ以外の構成などを採用することができる。
また、本例では、電断状態から復帰する電断回復時に、回転軸駆動機構(回転装置)200は、巻き締めモータを駆動して、弧状ギア273が打ち子22に当接しない位置まで、弧状ギア273を回動させる。
さらに、弧状ギア273を回動させて、弧状ギア273の欠歯部を巻き締めギア237に対応する位置とする。この状態で、巻き締めモータにより、巻き締めギア237を空転させる。この状態で、巻き締めモータにより、ぜんまいバネ231を巻き締める。
さらに、回転軸駆動機構(回転装置)200は、ぜんまいバネ231の巻き締めが完了した後に、励磁作動式ブレーキ241を機能させて、通常の通電時における仕切弁100の動作に移る。
ここで、ぜんまいバネ231の巻き締めが完了した後に、無励磁作動式ブレーキ221のブレーキ機能が機能していない状態とする。
あるいは、回転軸駆動機構(回転装置)200は、電断回復時に、励磁作動式ブレーキ241を動作させることなく、巻き締めモータに通電した状態を維持することができる。これにより、回転軸駆動機構(回転装置)200において、巻き締めギア237の停止状態を保持する構成、つまり、弁体5が通常動作可能な状態を保持する構成も可能である。
本例では、上記の各例と同等の効果を奏することができる。
本発明においては、上記の各実施形態および各例における構成を適宜組み合わせて実施することが可能である。
本発明は、真空装置等において、真空度や温度あるいはガス雰囲気等性質の異なる2つの空間を連結している流路を仕切る状態と、この仕切り状態を開放した状態を切り替える用途の仕切弁に広く適用でき、また油圧回路を閉回路としたことで、どのような設置姿勢においても安全で確実な動作状態を維持することができる。
5…中立弁体(弁体)
10,10a,10b…弁箱
10A,10B…弁箱内面
11…中空部
12a…第1開口部
12b…第2開口部
20…回転軸
30…中立弁部(アーム)
30a…円形部
30b…回転部(アーム)
40…可動弁部
50…可動弁部B(第2可動弁部、可動弁板部:カウンター板)
51…第2シール部(カウンタークッション)
52…第3シール部(摺動シールパッキン)
60…可動弁部A(第1可動弁部、可動弁枠部:スライド弁板)
61…第1シール部(弁板シールパッキン)
65…位置規制部
65B…ボールプランジャ
70…付勢部A(第1付勢部、昇降機構)
71…固定部
72…可動部
72B…ボールプランジャ
80…付勢部B(第2付勢部、保持バネ)
81…保持バネ用(ガイド)ピン
90…付勢部C(第3付勢部、補助バネ)
91…補助バネ用(印圧)ピン
100…仕切弁
200…回転軸駆動機構(回転装置)
700…油圧駆動装置(非圧縮性流体駆動装置)
701…油圧発生部
702…油圧管
703…ソレノイドバルブ
704…切替弁
705…駆動部
706…制御部(コントローラ)
707…電源707

Claims (5)

  1. 仕切弁であって、
    中空部と、前記中空部を挟み互いに対向するように設けられて連通する流路となる第1開口部及び第2開口部とを有する弁箱と、
    前記弁箱の前記中空部内に配置され前記第1開口部を閉塞可能な中立弁体と、
    前記中立弁体を前記第1開口部に対して閉塞状態にする弁閉塞位置と、前記中立弁体を前記第1開口部から退避した開放状態にする弁開放位置との間で、前記中立弁体を動作する位置切り替え部として機能し、流路方向に延在する軸線を有する回転軸と、
    前記回転軸を回転させる電動アクチュエータを備える回転装置と、
    を具備し、
    前記中立弁体は、前記位置切り替え部に接続される中立弁部と、前記中立弁部に対して前記流路方向における位置が変更可能に接続される可動弁部と、を有し、
    前記可動弁部は、前記可動弁部に周設され前記第1開口部の周囲の弁箱内面に密着されるシール部が設けられるとともに前記中立弁部に対して前記流路方向における位置が変更可能に接続される第1可動弁部と、前記第1可動弁部に対して前記流路方向に摺動可能とされる第2可動弁部と、を有し、
    前記仕切弁は、前記弁箱に内蔵されている複数の第1付勢部と、前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との間に配されている第2付勢部と、第3付勢部とを備え、
    前記第3付勢部は、前記第1可動弁部を前記中立弁部に対して前記流路方向における位置が変更可能に接続するとともに、前記第1可動弁部を前記流路方向における中央位置に向けて付勢し、
    複数の前記第1付勢部は、非圧縮性流体により駆動して前記第1可動弁部を前記流路方向において前記第1開口部に向けて付勢して前記シール部を前記第1開口部の周囲の弁箱内面に密着可能とする機能を有し、
    前記第2付勢部は、前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との前記流路方向における厚み寸法を、調整が可能なように駆動し、
    前記仕切弁は、複数の前記第1付勢部を非圧縮性流体により駆動する非圧縮性流体駆動装置を有し、
    前記回転装置は、電断時に前記中立弁体を前記弁閉塞位置とするとともに、前記回転軸の回転動作と前記第1付勢部の閉塞動作とを順次動作可能とする、
    仕切弁。
  2. 仕切弁であって、
    中空部と、前記中空部を挟み互いに対向するように設けられて連通する流路となる第1開口部及び第2開口部とを有する弁箱と、
    前記弁箱の前記中空部内に配置され前記第1開口部を閉塞可能な中立弁体と、
    前記中立弁体を前記第1開口部に対して閉塞状態にする弁閉塞位置と、前記中立弁体を前記第1開口部から退避した開放状態にする弁開放位置との間で、前記中立弁体を動作する位置切り替え部として機能し、流路方向に延在する軸線を有する回転軸と、
    前記回転軸を回転させる電動アクチュエータを備える回転装置と、
    を具備し、
    前記中立弁体は、前記位置切り替え部に接続される中立弁部と、前記中立弁部に対して前記流路方向における位置が変更可能に接続される可動弁部と、を有し、
    前記可動弁部は、前記可動弁部に周設され前記第1開口部の周囲の弁箱内面に密着されるシール部が設けられるとともに前記中立弁部に対して前記流路方向における位置が変更可能に接続される第1可動弁部と、前記第1可動弁部に対して前記流路方向に摺動可能とされる第2可動弁部と、を有し、
    前記仕切弁は、前記弁箱に内蔵されている複数の第1付勢部と、前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との間に配されている第2付勢部とを備え、
    複数の前記第1付勢部は、非圧縮性流体により駆動して前記第1可動弁部を前記流路方向において前記第1開口部に向けて付勢して前記シール部を前記第1開口部の周囲の弁箱内面に密着可能とする機能、及び、前記第1可動弁部を前記中立弁部に対して前記流路方向における位置が変更可能に接続するとともに、前記第1可動弁部を前記流路方向における中央位置に向けて付勢する機能を有し、
    前記第2付勢部は、前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との前記流路方向における厚み寸法を、調整が可能なように駆動し、
    前記仕切弁は、複数の前記第1付勢部を非圧縮性流体により駆動する非圧縮性流体駆動装置を有し、
    前記回転装置は、電断時に前記中立弁体を前記弁閉塞位置とするとともに、前記回転軸の回転動作と前記第1付勢部の閉塞動作とを順次動作可能とする、
    仕切弁。
  3. 前記回転装置は、電断時に前記中立弁体を付勢力により前記弁閉塞位置とする電断付勢装置と、前記電動アクチュエータおよび前記電断付勢装置による前記回転軸の回転を切り替える回転切替装置を有する、
    請求項1又は請求項2に記載の仕切弁。
  4. 前記回転装置は、電断回復時に前記電断付勢装置を復帰状態にする復帰装置を有する、
    請求項3に記載の仕切弁。
  5. 前記回転軸には、前記中立弁体に対するカウンターウエイトが設けられる、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の仕切弁。
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