以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。本実施形態では、厚みセンサを有するエッチング装置について説明する。
図1に示すように、エッチング装置内において、エッチングの被対象物となる半導体ウェハ1が配置される。半導体ウェハ1の一面側、つまり表面側には、エッチングを行う箇所が開口部とさせられたマスク2が配置されている。そして、半導体ウェハ1の表面側がエッチング液20にさらされ、マスク2の開口部から半導体ウェハ1の一部がエッチング液20によってエッチングされるようになっている。
このような半導体ウェハ1としては、例えば半導体圧力センサや半導体加速度センサを製造するためのものが該当する。これら各センサに備えられる薄膜状のダイヤフラムを形成する際に、半導体ウェハ1の表面側から特定の場所をエッチングすることで、半導体ウェハ1を薄膜化するが、エッチングする場所を規定するために、マスク2を用いたエッチングを行っている。
また、エッチング装置には、厚みセンサ3が備えられている。厚みセンサ3は、半導体ウェハ1の他面側、つまり裏面側に配置されている。厚みセンサ3は、例えば光ファイバで構成される送受光機構となるヘッドを備え、ヘッドの端面を送光面および受光面として光の照射および入力を行うことで厚み測定を行う。すなわち、厚みセンサ3は、送受光機構を通じて赤外線などの所定波長の光を照射すると共に半導体ウェハ1で反射した光を受け取り、エッチング箇所における半導体ウェハ1の厚み測定を行う。この原理については周知となっているため、詳細については説明を省略するが、厚みセンサ3は、半導体ウェハ1の表裏それぞれで反射した光の干渉光を検出し、検出した干渉光の位相もしくは周期に基づいて半導体ウェハ1の厚み測定を行っている。
さらに、エッチング装置には、遮蔽体を構成する遮蔽板4が備えられている。遮蔽板4は、厚みセンサ3と半導体ウェハ1との間に配置され、厚みセンサ3が照射する光を透過する材料、例えば石英、ガラス、透明樹脂などによって構成されている。この遮蔽板4により、エッチング液や異物が厚みセンサ3側に侵入することを抑制する遮蔽機能を果たすことができる。本実施形態の場合、遮蔽板4は、円盤状とされ、遮蔽板4と対応する位置に開口部5aが形成された支持台5に設置されている。より詳しくは、開口部5aは支持台5を円筒状に貫通させた貫通孔によって構成されているが、半導体ウェハ1側において、開口部5aの開口径が厚みセンサ3側よりも部分的に拡大されることで段付部5bとされている。遮蔽板4は、段付部5bに配置されて、開口部5aを塞いでいる。
このような構成において、開口部5aを通じて厚みセンサ3からの光が遮蔽板4に入射されると、遮蔽板4を通過して半導体ウェハ1に光が伝えられる。そして、半導体ウェハ1の表裏面で光が反射すると、その反射光の干渉光が遮蔽板4を通過して厚みセンサ3に入射されるようになっている。
ただし、遮蔽板4においても厚みセンサ3から照射された光が反射することから、この反射光がそのまま厚みセンサ3に戻ると、その影響で高精度な厚み測定が行えなくなる。このため、遮蔽板4のうち少なくとも厚みセンサ3から照射される光が通過する部分が光の照射方向、より詳しくは光の照射中心に対する垂直面から傾斜した傾斜面となるようにしている。本実施形態の場合、遮蔽板4のうち半導体ウェハ1側の一面を表面、厚みセンサ3側となる他面を裏面とすると、表裏面が平行面とされており、表裏面ともに厚みセンサ3から照射される光の入射方向に対して傾斜した傾斜面とされている。例えば、段付部5bの高さ、つまり支持台5の表面側からの凹み量を変化させることで、段付部5bの表面が遮蔽板4の傾斜に対応した傾斜面となるようにすることで、遮蔽板4を傾斜させることができる。
このため、図2に示すように、厚みセンサ3から照射された光が遮蔽板4の表裏面において反射しても、その反射光は厚みセンサ3には入射されないようにできる。具体的には、遮蔽板4のうちの傾斜面の法線方向と厚みセンサ3から照射される光のなす角度をθとすると、遮蔽板4の表裏面での反射光は厚みセンサ3から照射される光に対して2×θの角度をなすことになる。したがって、厚みセンサ3の幅と厚みセンサ3から遮蔽板4の裏面までの距離と反射角を加味して、遮蔽板4のうちの傾斜面が厚みセンサ3から照射される光に対してなす角度θを設定すれば、遮蔽板4での反射光は厚みセンサ3に入射されないようにできる。
その一方で、遮蔽板4を透過した光が半導体ウェハ1の表裏面で反射してくると、その干渉光は再び遮蔽板4を通過して厚みセンサ3側に戻る。したがって、厚みセンサ3にて厚み測定を行うための光に関しては、遮蔽板4の表裏面が傾斜面とされていても的確に厚みセンサ3に入射されるようになっている。
このようにして、エッチング装置における厚みセンサ3の近傍が構成されている。このように遮蔽板4を備えることにより、半導体ウェハ1をエッチング装置にセットしたり取り外す際などに、異物が落下したとしても、それが厚みセンサ3に衝突することを防止できる。また、半導体ウェハ1にクラックなどの欠陥が存在していたとしても、厚みセンサ3などがエッチング液に曝されないようにできる。このため、厚みセンサ3などの設備故障が発生することを防止でき、生産性の悪化を防止することが可能となる。
さらに、遮蔽板4のうち厚みセンサ3から照射される光が透過する部分を光の照射方向に対して傾斜した傾斜面となるようにしている。このため、遮蔽板4での反射光による影響を抑制でき、厚み測定が高精度に行えるようにできる。以下、この理由について説明する。
図3は、仮に、遮蔽板4の表裏面を厚みセンサ3からの光の照射方向に対して垂直な方向にした場合の光の影響を表している。この図に示すように、厚みセンサ3から光を照射した場合、その反射光は、遮蔽板4の裏面で反射する光(1)と、遮蔽板4の表面で反射する光(2)と、半導体ウェハ1の裏面で反射する光(3)と、半導体ウェハ1の表面で反射する光(4)となる。
例えば、位置検出精度を高めるために、厚みセンサ3と半導体ウェハ1との間の距離は数mm程度とされ、これらの間にギャップが設けられる。このギャップを大きくしてしまうと、厚み測定を行いたい部位に的確に光が照射されるようにするために必要な位置精度、例えば厚みセンサ3の傾きなどの精度が厳しくなる。特に、エッチング対象部位が微細になると、厚み測定を行いたい部位が狭くなり、エッチング対象部位ではない場所を厚み測定してしまうため、位置精度が厳しくなる。したがって、遮蔽板4を厚みセンサ3と半導体ウェハ1との間に配置する場合にも、これらの間のギャップを数mmとした状態で配置されるようにすることが必要になる。
また、半導体ウェハ1の厚みは、例えば1mmより薄くされる。そして、厚みセンサ3と半導体ウェハ1との間に遮蔽板4を配置した場合、遮蔽板4の厚みも薄くなるため、厚みセンサ3と半導体ウェハ1との間に、遮蔽板4を配置することによって半導体ウェハ1の厚みに近い光学ギャップが存在することになる。
この場合、厚みセンサ3による厚み測定の為に本来取得したい干渉光は、光(3)と光(4)の干渉光であるのに、光(1)と光(2)との干渉光、光(2)と光(3)との干渉光、さらには光(1)と光(3)との干渉光まで厚みセンサ3に入射される。
実際の測定においては、例えば、厚みセンサ3から照射する光の波長を変えながら、受光した光の波長と反射率をモニタする。そして、このモニタ結果をフーリエ変換によって解析することで膜厚パワースペクトルを得る。図4は、その実験結果の一例を示している。この図に示されるように、厚みセンサ3から照射する光の波長を変えると、同位相の光の干渉光となる場合には光が強め合い、逆位相の光の干渉光となる場合には光が弱めあうため、波長に応じて反射率が振幅する振動波形となる。このとき、光(3)と光(4)のみの干渉光による波形であれば理想的な振動波形となるが、上記したように、光(1)および光(2)の影響によって他の干渉光も厚みセンサ3に入射されることになるため、図4中の上段に示したように理想的な振動波形になっていない。したがって、この結果をフーリエ変換によって解析すると、図4中の下段に示したように、複数の膜厚においてパワースペクトルのピークが発生することになる。例えば、図4中においては、パワースペクトルの各ピークは、光(1)と光(2)の干渉光、光(2)と光(3)との干渉光、光(3)と光(4)との干渉光、光(1)と光(3)とのに基づくものである。このため、本来測定したい光(3)と光(4)の干渉光以外に基づくピークが存在しているため、そのピークに基づいて厚み測定を行ってしまい、高精度な測定が行えなくなる。
特に、エッチング中に、遮蔽板4に対して図示しない駆動部からの振動が加わると、半導体ウェハ1の裏面と遮蔽板4の表面との間の距離が小刻みに変わり、それがノイズ成分となって、より高精度な測定の妨げになる。
これに対して、本実施形態にかかるエッチング装置では、遮蔽板4のうち厚みセンサ3から照射される光が透過する部分を光の照射方向に対して傾斜した傾斜面となるようにしている。このような構成としている場合、図2に示したように、厚みセンサ3から照射された光が遮蔽板4の表裏面において反射しても、その反射光は厚みセンサ3には殆ど入射されないようにできる。
このため、本実施形態のエッチング装置を用いて、厚みセンサ3から照射する光の波長を変えながら、受光した光の波長と反射率をモニタすると共に、モニタ結果をフーリエ変換によって解析して膜厚パワースペクトルを得ると図5の結果となる。すなわち、図5に示されるように、厚みセンサ3から照射する光の波長を変えると、同位相の光の干渉光となる場合には光が強め合い、逆位相の光の干渉光となる場合には光が弱めあうため、波長に応じて反射率が振幅する振動波形となる。このとき、光(1)と光(2)の影響が無いため、光(3)と光(4)のみの干渉光による理想的な振動波形となる。そして、この結果をフーリエ変換によって解析すると、図5中の下段に示したように、測定したい光(3)と光(4)の干渉光に基づく1つの膜厚のみでパワースペクトルのピークが発生することになる。したがって、本来測定したい光(3)と光(4)の干渉光に基づくパワースペクトルのピークに基づいて的確に厚み測定を行うことが可能となり、高精度な測定を行うことができる。
以上説明したように、本実施形態のエッチング装置においては、厚みセンサ3と半導体ウェハ1との間に遮蔽板4を備えると共に、遮蔽板4のうち厚みセンサ3から照射される光が透過する部分を光の照射方向に対して傾斜した傾斜面となるようにしている。これにより、厚みセンサ3の損傷を防ぎつつ、厚み測定を高精度に行うことが可能となる。
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態に示した構造がエッチングポットを有するエッチング装置に適用される場合について説明する。なお、エッチング装置に備えられる主な構成については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図6に示すエッチング装置は、エッチングポット10を有し、エッチングポット10にエッチングの被対象物となる半導体ウェハ1を配置し、エッチング液20を導入することで半導体ウェハ1のエッチングを行う。
具体的には、エッチング装置は、エッチングポット10に加えて、エッチングベース11、モータ12、攪拌翼13、メインヒータ14、サブヒータ15などを有した構成とされている。
エッチングポット10は、エッチング液20が導入されるエッチング処理室を構成すると共に半導体ウェハ1を保持する。具体的には、エッチングポット10は、底部10a、支持ベース10b、押えリング10c、シリンダ10dおよびヘッド10eなどが備えられている。
底部10aは、テフロン(登録商標)などによって構成されており、エッチングポット10の底面を構成する部分である。底部10aは、中央部に貫通孔10aaが形成された円環状部材によって構成されており、エッチングベース11の上に配置されている。この底部10aの中央部に形成された貫通孔10aa内にサブヒータ15の先端部分が挿通されていると共に支持ベース10bが配置されている。
支持ベース10bは、テフロンなどによって構成されており、底部10aの貫通孔内においてサブヒータ15を介して配置されている。本実施形態の場合、この支持ベース10bが第1実施形態で説明した支持台5を構成しており、図7に示すように、支持ベース10bに開口部5aや段付部5bが備えられている。支持ベース10bは、上面が平坦面とされており、この平坦面を搭載面として半導体ウェハ1が搭載される。
なお、支持ベース10bの上に直接半導体ウェハ1が搭載されても良いが、本実施形態の場合、例えばテフロンシートなどで構成される搭載用のシート材10fを介して半導体ウェハ1が搭載されている。また、支持ベース10bの中央部には貫通孔10baが形成されており、シート材10fのうち貫通孔10baと対応する位置にも開口部10faが形成されている。そして、貫通孔10baや開口部10faを通じて厚みセンサ3の照射する光が半導体ウェハ1に入射されると共に、半導体ウェハ1から反射してきた光の干渉光が厚みセンサ3に伝えられるようになっている。
押えリング10cは、テフロンなどによって構成されており、押えリング10cが底部10a側に押さえられることで、押えリング10cと底部10aとの間に半導体ウェハ1が挟持される。押えリング10cは、中空部を有する円筒状部材で構成されており、底部10a側の先端において、内径が縮小する方向に突き出した押え部10caが形成され、この押え部10caにおいて半導体ウェハ1を上方から押し付けるようになっている。具体的には、押え部10caには環状溝部10cbが形成されており、環状溝部10cb内にOリング10ccが配置されている。このOリング10ccが半導体ウェハ1の外周部に当接させられることで、半導体ウェハ1を押えつつ、エッチング液20が導入されるエッチング処理室から外部に漏れることを抑制できるようになっている。
また、押えリング10cのうち底部10a側の先端には、外形が拡大する方向に突き出したフランジ部10cdが形成されている。このフランジ部10cdと底部10aとの間にシリンダ10dが配置されている。
シリンダ10dは、底部10aと押えリング10cとの間を締結する締結部材を構成し、例えばゴムなどの弾性材料によって構成されたリング状部材によって構成されている。このシリンダ10dが底部10aと押えリング10cとの間に配置されることで、これらの間の気密性が保持可能とされる。
ヘッド10eは、テフロンなどによって構成されており、押えリング10cにおける底部10aと反対側の先端において、押えリング10cを覆う蓋部材を構成する。ヘッド10eによって押えリング10cが覆われることで、エッチング処理室が構成される。ヘッド10eには、水が収容される還流器10eaが備えられている。この還流器10eaにて、エッチング液20から揮発した水蒸気を冷却し、水に戻すことでエッチング液20の濃度を安定させている。
エッチングベース11は、エッチングポット10が載置されると共にメインヒータ14および厚みセンサ3が設置される基台となる。エッチングベース11は、円盤状で構成され、中央部に貫通孔11aが形成されていて、この貫通孔11a内に厚みセンサ3が配置されている。また、貫通孔11aの周囲にも環状孔11bが形成されており、環状孔11bにサブヒータ15のコイル15aが配置されている。
モータ12は、ヘッド10eに設置されており、攪拌翼13の駆動を行う。モータ12には、駆動軸12aが接続されており、この駆動軸12aの先端に攪拌翼13が取り付けられることで、モータ12が駆動されると攪拌翼13が図中矢印で示したように回転させられる。
攪拌翼13は、駆動軸12aの先端に配置された翼状の部材であり、例えば複数枚が駆動軸12aの回転方向において等間隔に配置されている。攪拌翼13は、モータ12によって回転させられることによってエッチング液20を攪拌し、エッチング液20の濃度分布および温度分布を均一化する。
メインヒータ14は、半導体ウェハ1の表面に対して対向するように平面状に配置されており、エッチング液20中に浸されることで、エッチング液20の加熱および半導体ウェハ1の加熱を行っている。例えば、メインヒータ14は、内部にコイル14aが備えられ、コイル14aへ通電を行うことによって通電量に応じた加熱を行う。メインヒータ14が平面状に配置されていることから、半導体ウェハ1の表面全面を均等に加熱できると共に、エッチング液20を広範囲に加熱できる。そして、攪拌翼13によるエッチング液20の攪拌によって、より均熱化されたエッチング液20を半導体ウェハ1に触れさせることができる。
サブヒータ15は、半導体ウェハ1の裏面側から半導体ウェハ1の外縁部を加熱するものである。例えば、サブヒータ15は、内部にコイル15aが備えられ、コイル15aへ通電を行うことによって通電量に応じた加熱を行う。半導体ウェハ1は、表面側において、Oリング10ccによって押えられることから、半導体ウェハ1の表面側からは外縁部の加熱が十分に行えない。このため、サブヒータ15によって半導体ウェハ1の裏面側から半導体ウェハ1の外縁部を加熱することで、半導体ウェハ1の内部側と外縁部側の温度が均等になるようにしている。
このような構造によって本実施形態にかかるエッチング装置が構成されている。そして、上記したように、本実施形態では、支持ベース10bが第1実施形態で説明した支持台5を構成していることから、この支持ベース10bに対して遮蔽板4が設置されている。遮蔽板4は、反射防止コーティングがなされた石英やガラスもしくは透明樹脂などによって構成され、例えば1mmの厚さとされている。また、半導体ウェハ1と遮蔽板4との間のギャップは0.5mm程度とされている。
さらに、エッチング装置には、駆動制御部16、本体制御部17およびコンピュータ18が備えられている。
駆動制御部16は、厚みセンサ3を駆動するものである。具体的には、駆動制御部16は、支持ベース10bの上面、つまり水平面方向をXY平面とし、XY平面に対する法線方向、つまり鉛直方向をZ方向として、厚みセンサ3をXY平面上およびZ方向において移動させることで位置調整を行う。また、駆動制御部16は、波長可変レーザ光の照射および検出を行う回路を有しており、厚みセンサ3のヘッド、つまり先端から光の照射を行うと共に、半導体ウェハ1で反射してきた光の干渉光を検出する。
例えば、駆動制御部16は、波長可変レーザとして1515nm〜1585nmの波長帯で光の波長を可変させる。また、駆動制御部16は、フーリエ変換回路を有しており、検出した干渉光をフーリエ変換し、変換結果を解析することで半導体ウェハ1の厚み測定を行う。
このような駆動制御部16により、厚みセンサ3からの光が半導体ウェハ1の所望位置、例えばダイヤフラムを形成する位置に照射され、半導体ウェハ1の表裏面で反射された光の干渉光が再び厚みセンサ3に戻るように位置調整が行われる。そして、駆動制御部16により、厚みセンサ3から光を照射したときに戻ってきた干渉光を検出し、ダイヤフラムの厚み測定を行うようになっている。
本体制御部17は、エッチング装置でのエッチングの開始および停止の制御やメインヒータ14およびサブヒータ15による加熱の制御、エッチング液の供給および排出の制御を行う。図示しないが、エッチングポット10にはエッチング液の導入口や希釈用の純水の導入口が備えられており、それらからエッチング液や純水が導入されることでエッチング処置室内でのエッチングが可能となる。また、図示しないが、エッチングポット10にはエッチング液などの排出口が備えられており、エッチング後にはそれらからエッチング液などを排出し、エッチング処置室からの半導体ウェハ1の取り出しが行えるようになっている。
コンピュータ18は、駆動制御部16および本体制御部17を制御する部分である。コンピュータ18は、駆動制御部16を制御することで厚みセンサ3のヘッドの位置調整を行わせたり、光照射および干渉光の検出結果を取得して厚み測定を行っている。コンピュータ18による駆動制御部16の制御は、エッチング途中にも行うことが可能となっており、干渉光の検出結果に応じて厚みセンサ3のヘッドの位置調整を行うことで、適切な厚み測定を行えるようにしている。
また、コンピュータ18は、本体制御部17を制御することで、エッチング液および純水の導入量の調整やエッチング液および半導体ウェハ1の温度調整を行っている。具体的には、コンピュータ18は、本体制御部17に対して開始信号を送ることで、エッチング液などを導入するとともにヒータ加熱を行うことで半導体ウェハ1のエッチングを開始する。そして、コンピュータ18は、半導体ウェハ1が所望の厚みまでエッチングされたことを検出すると、本体制御部17に対して終了信号を送ることで、加熱を停止したりエッチング液などを排出させることでエッチングを終了させる。例えば、半導体ウェハ1の所望位置を0.3mmの厚さから10μmの厚さにエッチングして薄膜化し、10μmの暑さになったことが検出されると、エッチングを終了させる。
このようにして、本実施形態のエッチング装置が構成されている。このようなエッチング装置において、図7に示すように、エッチングポット10における支持ベース10bに遮蔽板4が配置されている。そして、第1実施形態と同様に、遮蔽板4のうち少なくとも厚みセンサ3から照射される光が通過する部分が光の入射方向に対して傾斜した傾斜面、すなわちエッチング面や厚みセンサ3のヘッドの受光面に対して非平行な面となるようにしている。
このため、厚みセンサ3から照射された光が遮蔽板4の表裏面において反射しても、その反射光は厚みセンサ3には入射されないようにできる。その一方で、遮蔽板4を透過した光が半導体ウェハ1の表裏面で反射してくると、その干渉光は再び遮蔽板4を通過して厚みセンサ3側に戻る。したがって、厚みセンサ3にて厚み測定を行うための光に関しては、遮蔽板4の表裏面が傾斜面とされていても的確に厚みセンサ3に入射される。これにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1、第2実施形態に対して遮蔽板4の構造を変更したものであり、その他については第1、第2実施形態と同様であるため、第1、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。なお、ここでは第2実施形態に示したエッチング装置において遮蔽板4の構造を変更した場合について説明するが、第1実施形態についても同様のことが適用できる。
図8に示すように、遮蔽板4の表裏面のうちの一面のみ、本実施形態の場合は半導体ウェハ1側となる表面のみについて、厚みセンサ3から照射される光が通過する部分が光の入射方向に対して傾斜した傾斜面となるようにしている。そして、遮蔽板4のうちのもう一方の面、本実施形態の場合は厚みセンサ3側となる裏面については、厚みセンサ3から照射される光が通過する部分が光の入射方向に対して垂直となる垂直面となるようにし、半導体ウェハ1に対して平行な平行面となるようにしている。
このように、遮蔽板4に半導体ウェハ1に対する平行面が存在していたとしても、その平行面からの反射光の影響による厚みの誤測定が行われなければ良い。すなわち、遮蔽板4の裏面から半導体ウェハ1の裏面までの距離が測定対象となる半導体ウェハ1の厚みと差があることで光学ギャップがあれば、フーリエ変換すると半導体ウェハ1の厚みよりも大きな光学ギャップのピークとして表れる。このため、厚み測定の際には、遮蔽板4の反射光の影響による干渉光についは除外することで、誤測定することなく厚み測定を行うことが可能となる。例えば、エッチング前の半導体ウェハ1の厚みが300μmである場合において、遮蔽板4の最大厚みが1mm、遮蔽板4から半導体ウェハ1までの距離が0.1mmであるとすと、フーリエ変換を行ったときの干渉光のピークはシリコン厚さ換算で500μm近くの位置に現れる。このため、半導体ウェハ1の厚みよりも大きな光学ギャップとして表れることから、上記の効果が得られる。
特に、本実施形態の場合、遮蔽板4のうち半導体ウェハ1から近い側の面となる表面側については傾斜面としており、半導体ウェハ1から遠い側の面となる裏面側を半導体ウェハ1に対する平行面としている。このため、遮蔽板4の裏面と半導体ウェハ1の裏面との間の距離を稼ぐことができ、光学ギャップを設け易い。したがって、遮蔽板4を半導体ウェハ1から遠ざけなくとも上記効果を得ることが可能となる。
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して厚みセンサ3と遮蔽板4との間に集光レンズを備えるものであり、その他については第1〜第3実施形態と同様であるため、第1〜第3実施形態について説明する。なお、ここでは第1実施形態に対して集光レンズを備える場合を例に挙げて説明するが、第2、第3実施形態でも同様のことが適用できる。
図9に示すように、厚みセンサ3のヘッドを光ファイバとした場合において、遮蔽板4との間に集光レンズ30を備えることもできる。この場合、集光レンズ30については、厚みセンサ3の一部として備えることもできるし、厚みセンサ3とは別体として備えることもできる。
集光レンズ30を備える場合、厚みセンサ3のヘッドから照射された光が集光レンズ30で集光され、これが遮蔽板4を透過して半導体ウェハ1に照射される。そして、半導体ウェハ1で反射した光の干渉光が再び集光レンズ30で集光されて厚みセンサ3に戻される。これに基づいて、半導体ウェハ1の厚み測定が行われる。このとき、集光レンズ30で集光された光が遮蔽板4でも反射することになるが、遮蔽板4の傾きにより、その傾斜角度をθとすると、遮蔽板4での反射光はその傾斜角度の二倍となる2θずれて厚みセンサ3側に戻ることになる。すなわち、反射光の結像は2θ傾斜した軸上に集光され、厚みセンサ3のヘッドとして用いられる光ファイバの照射光の中心からずれる。
このため、図10に示すように、電界モード分布が厚みセンサ3のヘッド中心において最も強くなる分布になるとすると、遮蔽板4での反射光に基づく電界モード分布はヘッド中心からずれた位置で最も強くなる。一方、半導体ウェハ1での反射光に基づく電界モード分布は、ヘッド中心において最も強くなり、光ファイバで構成される厚みセンサ3のヘッドに結合できる電界モード分布となる。このため、フーリエ変換等によって光のパワースペクトルのピークを解析することで、遮蔽板4での反射光による成分を除外することができ、遮蔽板4の反射光による影響を小さくすることが可能となる。
また、遮蔽板4から半導体ウェハ1までの距離をL1、厚みセンサ3のヘッドの半径をr、遮蔽板4での反射光の電界モード分布の光ファイバ中心からのずれ量をL3とすると、ずれ量L3は距離L1および傾斜角度θによって決まる。このため、ずれ量L3が半径rよりも大きくなるように、距離L1、傾斜角度θ、半径rを設計することで、より遮蔽板4の反射光による影響を小さくすることができる。
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して半導体ウェハ1の面方位を考慮に入れた厚み検出を行えるようにするものであり、その他については第1〜第4実施形態と同様であるため、第1〜第4実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図11Aに示すように、半導体ウェハ1の表面にマスク2を形成し、マスク2の開口部を通じて半導体ウェハ1の所望位置をエッチングすることで薄膜状のダイヤフラムを形成することができる。このとき、半導体ウェハ1として{110}面のシリコンウェハを用いることがある。この場合、エッチングされることで形成される凹部の側面は{100}、{110}となり、凹部の底面は、図11Bに示すように、一定間隔、例えば5〜10μmピッチで三角形状のピークと谷を持つ凹凸形状が繰り返された形状となる。底面の凹凸は細かな凹凸であるため、厚みセンサ3から照射された光がこの底面で反射したときに、概ね底面が平坦面である場合に生じる反射光と同様となるが、光の散乱も生じる。
このため、散乱によって厚みセンサ3からの光の強度が弱まらないように半導体ウェハ1から厚みセンサ3の受光面までの距離が近く、かつ、凹凸形状を平均化した厚さ値を出せるような光径であることが望ましい。
例えば、厚みセンサ3のヘッドを光ファイバで構成し、光ファイバの半径rを10μm、集光レンズ30の倍率を5:1とし、エッチング面にφ50μm焦点で光が照射されるように各部を配置すると、凹凸による厚さバラツキが平均化されて厚み測定が行える。
また、厚みセンサ3のヘッドと半導体ウェハ1の間の距離を極力近くすることで受光量を大きくすることが望ましい。その場合、遮蔽板4と半導体ウェハ1との間の距離L1を0.5mm程度にすると、遮蔽板4を傾けた制御が有効となる。この光学設計では、遮蔽板4の角度を2度以上傾けることで、遮蔽板4での反射光の影響を防ぐことが可能となる。以下、この効果が得られる理由について説明する。
まず、図12Aに示すように、半導体ウェハ1と遮蔽板4との間の距離をL1、半導体ウェハ1と集光レンズ30との間の距離をL2、集光レンズ30から厚みセンサ3のヘッドまでの距離をL3とする。また、遮蔽板4の傾斜角度をθとし、半導体ウェハ1に照射されたときの光の強度をaとする。さらに、光の照射中心と虚像中心の位置ずれをb、光径をω0とし、虚像の半径をωrとする。
光の強度分布は、一般的にガウス関数で表すことができ、次式のように表される。
そして、遮蔽板4での反射光が厚みセンサ3のヘッドの光ファイバに結合する光パワーPは、次式で表される。
ここで、P1は反射光強度、g1、g2は、光ファイバの導波モードと光ファイバの受光面での反射光の規格化電界分布関数である。g1、g2は、それぞれ上記したガウス関数で表すことができる。
また、光ファイバで構成される厚みセンサ3のヘッドへの集光としては、半導体ウェハ1で集光した光が可逆的に光ファイバへ戻る成分と遮蔽板4で反射された光が集光レンズ30を介して光ファイバへ集光される成分とがある。結合光学として考えた場合、反射光については半導体ウェハ1上での像が結像倍率をもって光ファイバ上へ結像されると考えられる。遮蔽板4からの反射光は半導体ウェハ1上への虚像が結像されると見做せる。
また、位置ずれbについては、遮蔽板4の傾斜角θに応じた変位分となることから、次式で表される。そして、この位置ずれbが光径ω0よりも大きければ(b>ω0)、遮蔽板4での反射光の影響を防ぐことが可能となる。
b=L1tan(2θ)
また、遮蔽板4からの反射光の光ファイバへの結合パワーを近似的に定式化するため、集光レンズ30で集光された光と虚像の光のオーバラップを虚像の中心位置での光パワーで表現する。すなわち、図12Bに示すように、半導体ウェハ1の裏面での虚像の半径をωrとし、厚みセンサ3が照射する光の虚像の光パワーの分布をP(x)とすると、P(x)は数式4で表される。また、図13Aに示すように、集光レンズ30の厚み中央位置での光の半径をωbとすると、虚像の半径ωrは、数式5で表される。
P(x)=exp(−2(x−b)2/ωr2)
ωr=2L2/L1×ωb
また、半径ωbは、厚みセンサ3の照射する光の開口角NA、つまりsinθに対して距離L3を掛けることによって算出され、次式となる。なお、ここでは、NA=0.1としている。
ωb=L3×0.1
ここで、集光レンズ30で集光された光と虚像の光のオーバラップが厚みセンサ3に対する戻り光のパワーとなる。また、図13Bに示すように、遮蔽板4の傾斜角度θによって照射光の集光ビームの中心位置に対する虚像の集光ビームの中心位置が変わる。そして、近似的に、虚像の中心位置のパワーが遮蔽板4の傾斜角度θに対する反射戻り光の影響度となる。
具体的に、光ファイバで構成される厚みセンサ3のヘッドの半径rを10μm、距離L1を0.5mm、集光レンズ30の倍率を5:1とし、エッチング面にφ50μm焦点で光が照射されるようにして、上記式を用いてシミュレーションを行った。その結果、図14に示す結果が得られた。なお、本図において、横軸は遮蔽板4の傾斜角度θ、縦軸は傾斜角度θを0°としたときを1とした反射パワーに対する相対強度を示している。
この図に示す結果から、傾斜角度θが1°の場合は、反射パワーが0°の場合と比較して0.2倍、つまり1/5のパワーに低減されている。また、傾斜角度θが2°の場合は、反射パワーが0°の場合と比較して殆ど無視できるパワーに低減されている。このように、遮蔽板4を傾斜角度θで傾斜させた傾斜面とすることによって、遮蔽板4の反射光による反射パワーを低減でき、反射光による影響を低減することが可能となる。
なお、この図に示すシミュレーション結果は、距離L1=0.5mmとした場合の結果であり、距離L1の値が変わればシミュレーション結果も変わる。距離L1を大きくすれば、傾斜角度θが小さくても反射パワーを低減できるが、距離L1が大きくなる分、半導体ウェハ1での反射光の干渉光の受光量が減るため、得たい厚み測定のために得たい受光量との関係から距離L1や傾斜角度θを設定すれば良い。
(第6実施形態)
第6実施形態について説明する。本実施形態は、第1〜第5実施形態に対して遮蔽板4の構造を変更したものであり、その他については第1〜第5実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
上記各実施形態では、遮蔽板4のうちの少なくとも一面の全面を傾斜面とした。しかしながら、遮蔽板4のうち少なくとも光が通過する部分について傾斜面とすれば良い。このため、光が通過する部分と異なる位置において、支持台5に保持される保持部を設け、この保持部が半導体ウェハ1の表裏面と平行、換言すれば光の照射中心に対する垂直面と平行な平行面となるようにしても良い。本実施形態では、図15に示すように、遮蔽板4のうちの中央部のみを傾斜面とし、外縁部を半導体ウェハ1の表裏面と平行な平行面としている。
このように、遮蔽板4のうちの一部のみを傾斜面とした構造としても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、遮蔽板4のうち支持台5への搭載部分、つまり段付部5bの表面を水平面とすることができるため、段付部5bの加工を容易に行うことが可能となる。
なお、図15では、第1実施形態のように、遮蔽板4のうち光が通過する部分において表裏面が共に傾斜面とされて平行となるようにする場合を例に挙げた。これに加えて、図16Aや図16Bに示すように、遮蔽板4のうち光が通過する部分において表面側もしくは裏面側のみが傾斜面とされる場合についても、上記と同様の構造を適用できる。すなわち、遮蔽板4のうち光が通過する中央部についてのみ傾斜面が備えられるようにし、保持部となる外縁部を半導体ウェハ1の表裏面と平行な平行面としても良い。
(第7実施形態)
第7実施形態について説明する。本実施形態は、第6実施形態に対してシール機構を備えたものであり、その他については第6実施形態と同様であるため、第6実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図17に示すように、遮蔽板4の表裏面のうちの水平面とされた外縁部にOリング等のシール部材40、41が配置されている。また、遮蔽板4よりも半導体ウェハ1側には、例えば円周上に複数のネジ孔42aが形成されていると共に中央部に貫通孔42bが形成された円環状の押え部材42が配置されている。この押え部材42が複数の固定ネジ43で支持台5に締結されることで、シール部材40、41および遮蔽板4を挟持している。
このように、シール部材40、41によって遮蔽板4の周囲をシールすることで、仮にエッチング液が漏れてきたとしても遮蔽板4と支持台5との間を通じて厚みセンサ3側まで侵入することを防止できる。また、外部の振動に基づいて遮蔽板4自身が動く可能性が減り、遮蔽板4と半導体ウェハ1との間の距離の変動を抑制できて、距離の変動に伴うノイズも抑制できる。
なお、このようなシール機構については、遮蔽板4の外縁部が水平面とされていない第1実施形態などの構造のものについても適用できる。しかしながら、遮蔽板4の外縁部を水平面とすることで、シール部材40、41を容易に配置することが可能となる。したがって、遮蔽板4の外縁部を水平面とする構造において、シール部材40、41を備えるようにすると、容易にシール機構を備えることができるし、より的確にシールが可能になるため、よりエッチング液が厚みセンサ3側に漏れることを効果的に抑制できる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、厚みセンサ3における光の照射方向については、半導体ウェハ1の裏面に対する垂直方向としているが、必ずしも垂直である必要はなく、反射光が厚みセンサ3に戻る角度であれば、垂直方向に対して傾斜していても良い。
また、半導体ウェハ1が支持される支持台5に開口部5aを形成して厚みセンサ3を配置したり遮蔽板4を配置した。これも一例を示したに過ぎず、支持台5のうち半導体ウェハ1を支持する部分と、厚みセンサ3や遮蔽板4が配置される部分を別々の部材で構成しても良い。
また、上記実施形態では、遮蔽体を構成するものとして板状の遮蔽板4を例に挙げて説明したが、遮蔽体は必ずしも板状である必要はない。