JP6561627B2 - 触媒コーティング膜及びそれを用いたインジェクタ - Google Patents

触媒コーティング膜及びそれを用いたインジェクタ Download PDF

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本発明は、触媒コーティング膜及びそれを用いたインジェクタに関する。
従来より、内燃機関構成部品内にデポジットが付着すると、燃料噴霧状態が乱れたり、燃焼悪化により燃費悪化や不具合の要因となる。このため、デポジットを分解する部材が必要とされている。そこで、特許文献1では、デポジットを分解する触媒被覆部として酸化セリウム(CeO)が燃焼室の表面に設けられた構成が提案されている。
特表2004−530839号公報
ここで、触媒被覆部によってデポジットを分解するためには、デポジットと接触し、分解反応するための十分広い表面積が必要になる。このため、触媒被覆部の表面積を確保しようとすると、触媒被覆部の表面の凹凸を増やす必要がある。しかしながら、デポジットに対する触媒被覆部の表面の凹凸等のアンカー効果によってデポジットが、特に触媒効果を発揮しない低温時に触媒被覆部に付着しやすくなってしまうという問題がある。
また、燃料噴霧を行うインジェクタの噴孔に触媒被覆部がコーティングされた場合、噴孔にデポジットが付着しやすくなるので、噴孔が狭くなってしまう。このため、燃料噴霧状態や燃費が悪化してしまうという問題がある。
本発明は上記点に鑑み、デポジットの付着を抑制、分解を促進することができる触媒コーティング膜及びそれを用いたインジェクタを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1、2に記載の発明では、燃料が劣化することで発生するデポジットの付着を抑制、分解を促進する触媒コーティング膜であって、ポーリングの電気陰性度が1.7以下である元素を少なくとも1つ含んだ塩基性酸化物と、第8族から第10族に含まれる金属と、によって構成された界面部(14)を備えていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明では、塩基性酸化物及び金属は、界面部(14)に繋がる隙間部(15、18)を構成している。また、塩基性酸化物及び金属は、母材(20)に設けられており、隙間部(15、18)は、母材(20)側に向かって狭くなっていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明では、塩基性酸化物及び金属は、母材(20)に設けられている。また、金属は、母材(20)から離れるに従って密度が低くなっていることを特徴とする。
請求項13に記載の発明では、ノズル(31)に設けられていると共に、燃料が噴射される噴孔(32)を備えている。また、燃料が劣化することで発生するデポジットの付着を抑制、分解を促進するものであって、ポーリングの電気陰性度が1.7以下である元素を少なくとも1つ含んだ塩基性酸化物と、第8族から第10族に含まれる金属と、によって構成された界面部(14)を有し、噴孔(32)にコーティングされた触媒コーティング膜(10)と、を備えたインジェクタであることを特徴とする。
これによると、界面部(14)において発生する極性のある活性気相成分によって付着力の高い極性のある官能基を選択的に活性化することができる。すなわち、デポジットの分子量を変えること無く極性の小さい官能基に変化させることができる。さらに、作用で重要な部分は界面部分であり、反応面積を広くとるために触媒コーティング膜の最表面を粗くする必要もない。したがって、デポジットの付着を抑制、分解を促進することができる。
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の第1実施形態に係る触媒コーティング膜の断面図である。 触媒作用によってニトロ基がアミノ基に変化する内容を示した図である。 図1に示された触媒コーティング膜によるデポジット付着抑制効果を説明するための図である。 本発明の第2実施形態に係るコアシェル構造を示した断面図である。 図4に示されたコアシェル構造による触媒コーティング膜の断面図である。 時間経過に対するデポジット重量減少率の変化を示した図である。 各触媒のデポジット重量減少率を示した図である。 第3実施形態に係るインジェクタが内燃機関に適用された模式図である。 図8に示されたノズルの拡大断面図である。 他の実施形態に係る触媒コーティング膜の断面図である。 他の実施形態に係る触媒コーティング膜の断面図である。 他の実施形態に係る触媒コーティング膜の断面図である。 他の実施形態に係る触媒コーティング膜の断面図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。本実施形態に係る触媒コーティング膜は、例えば内燃機関の燃焼室を構成する壁面にコーティングされることで、燃焼時に発生するデポジットの付着力を抑制しつつ、デポジットの分解を促進するものである。
図1に示されるように、触媒コーティング膜10は、例えば金属製の母材20の上にコーティングされている。具体的に、触媒コーティング膜10は、金属で構成された金属層11と塩基性酸化物で構成された酸化物層12とが積層された積層構造を構成している。
本実施形態では、母材20の上に金属層11が配置され、この金属層11の上に酸化物層12が積層されている。この酸化物層12の上に、さらに、金属層11及び酸化物層12が積層されている。触媒コーティング膜10は最表面13を酸化物層12とする4層構造を構成している。
なお、上記では積層構造を4層としているが、界面部14を増やすためには酸化物層12や金属層11を数十層とすることが好ましい。もちろん、酸化物層12と金属層11とがそれぞれ1層の積層構造でも構わない。
金属層11と酸化物層12との接触部は、金属と塩基性酸化物との界面部14を構成している。この界面部14が触媒作用を発生させる。すなわち、塩基性酸化物と金属との界面から発生する活性気相成分がデポジットに対して作用する。
金属層11を構成する金属は、Ni、Cu、Pd、Ag、Pt、Au等の第8族から第10族に含まれる金属である。本実施形態では、金属はAgである。また、金属層11はAgのナノ粒子によって構成されている。
酸化物層12を構成する塩基性酸化物は、ポーリングの電気陰性度が1.7以下である元素を少なくとも1つ含んだ酸化物である。ここで、「ポーリングの電気陰性度が1.7以下である元素」とは、Al、Sc、Ti、Y、Mn、V、Sr、Ba、Mg、Li、Na、Nb、Zr、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Hf等である。
本実施形態では、塩基性酸化物はCeを含んだ酸化物(酸化セリウム)である。セリウムは+2〜+4までの価数をとることが知られており、CeO、Ce等の量比を持って酸素と結合する。酸化セリウムはこれらの総称であり、以降は、代表的にCeOと記載する。
また、酸化物層12は、CeOのナノ粒子で構成されている。すなわち、触媒コーティング膜10の最表面13が塩基性酸化物であるCeOで構成されている。したがって、界面部14は銀セリアを構成している。
また、触媒コーティング膜10は、積層構造の界面部14に繋がる隙間部15を有している。隙間部15は、金属層11を構成するAgのナノ粒子の隙間や、酸化物層12を構成するCeOのナノ粒子の隙間によって構成されている。つまり、燃焼室の雰囲気がこの隙間部15に入り込んで界面部14まで導かれる。
そして、隙間部15は、触媒コーティング膜10の最表面13側に広くなっており、母材20側に向かって狭くなっている。言い換えると、金属層11及び酸化物層12を構成するナノ粒子の密度が母材20側から最表面13側に向かって低くなっている。これにより、触媒コーティング膜10の最表面13側では活性気相成分の透過パスを増大させる効果がある。また、隙間部15の断熱効果によって、熱によりデポジットを分解促進させる効果がある。
さらに、触媒コーティング膜10は、母材20から離れるに従って金属の密度が低くなっている。すなわち、熱伝導率の高い銀の密度が触媒コーティング膜10の最表面13に向かって小さくなるので、最表面13から母材20への熱流出を抑えることができる。したがって、触媒コーティング膜10によるデポジットの熱分解を促進させることができる。以上が、本実施形態に係る触媒コーティング膜10の構成である。
次に、触媒コーティング膜10がデポジットにもたらす作用について説明する。まず、内燃機関の燃焼室内では、ガソリン燃料、含酸素燃料、含水素燃料等の燃料が劣化することでデポジットが発生する。例えば、デポジットは、炭化水素、オレフィン、カルボン酸塩、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩など多様な成分を含む。これらのうち、2重結合等の重合しやすい部位を活性化すると、重合が促進され、高分子量の難燃成分となりやすいという性質がある。
例えば、デポジットの一種であるニトロ化合物は、付着力が高い極性であるニトロ基(NO)を持っている。このため、このニトロ基が、デポジットを燃焼室の壁面等に付着させてしまう。このような状況において、燃焼室内に存在する水素分子を含んだ雰囲気が本実施形態に係る触媒コーティング膜10の隙間部15に入り込んだとした場合に界面部14に接触すると、水素分子がAgとCeOとの界面に作用してH、H等の極性のある活性気相成分が発生すると考えられる。この活性気相成分が、図2に示されるようにニトロ基を選択的にアミノ基(NH)に還元すると推定される。
すなわち、触媒コーティング膜10は、付着力の高い極性のある官能基を選択的に活性化し、デポジットの分子量を変えることなく、極性の小さい官能基へと変化させることができる。これにより、燃焼室の壁面等に対するデポジットの付着抑制が可能となる。
ここで、図2に示されるように、二重結合部位を保持したまま、言い換えるとC=Cの二重結合部を壊さずに極性が強いニトロ基が極性の弱いアミノ基に変化する。二重結合部が反応してしまうと、重合が進み、分子量の大きいものが生成されてしまい、分解が困難になるが、そのような反応がほぼ起こらない。したがって、デポジットを高分子量の難燃成分に変化させずに、デポジットの付着力を低下及び分解を促進させることができる。
発明者らは、母材20としてSUSの平板に積層構造の触媒コーティング膜10を形成し、この触媒コーティング膜10の効果について調べた。
まず、触媒コーティング膜10が母材20の上に形成された試験片を製造する。母材20に触媒コーティング膜10をコーティングするにあたり、塩基性酸化物と金属との界面さえ作ることができれば物理蒸着、化学蒸着法、ゾル・ゲル法等いずれの方法を採用しても良い。ここでは、ナノ粒子を制御性良く形成するために、アークプラズマ蒸着法を用いた。
具体的には、母材20として厚さ1mm及び3cm角のSUS片をアークプラズマ装置のチャンバ内に挿入し、Ceターゲット及び銀ターゲットを用いて膜厚換算で2nm、0.5nmずつ交互にパルス蒸着することで触媒コーティング膜10を作製した。すなわち、0.5nm厚のAg層を50層、2.0nm厚のCeOを51層形成した。なお、セリウムは酸素雰囲気中で成膜した。
そして、実エンジン環境を模擬したデポジット堆積試験装置で試験片を評価した。環境雰囲気は窒素雰囲気中に酸素濃度10%、NO3000ppmを導入し、雰囲気圧0.85MPaとした。また、試験装置内を220℃に加温し、その温度を保ちながら6時間、実燃料をインジェクタから試験片に向けて噴射し、試験片のデポジット堆積量を調べた。インジェクタの噴射量は0.01ml/回、12回/minとした。
上記の試験前後の試験片の重量変化からデポジット重量を計量した。また、触媒コーティング膜10がコーティングされていないSUSのみの試験片を基準としてデポジットの付着抑制効果を調べた。その結果を図3に示す。
図3に示されるように、SUSのみの試験片に対して、本実施形態に係る触媒コーティング膜10がコーティングされた試験片は、表面粗さRaが僅かに増加した。しかしながら、220℃試験後の重量については、SUSのみの試験片の重量が1.67mg増加したことに対し、銀と酸化セリウムの積層構造の触媒コーティング膜10がコーティングされた試験片の重量の増加は0.36mgであった。これは触媒コーティング膜10の触媒作用によってデポジットの付着力が弱められ分解を促進したためであると考えられる。
以上のように、本実施形態に係る触媒コーティング膜10の界面部14によって表面粗さに頼ることなく、重合を避けながら付着力の高い極性のある官能基を選択的に付着力の弱い極性に変化させることができる。したがって、デポジットの付着を抑制、分解を促進することができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。図4に示されるように、本実施形態では、塩基性酸化物及び金属はコアシェル構造を構成している。具体的には、Agのナノ粒子で構成されたコア部16がCeOのナノ粒子で構成されたシェル部17によって覆われている。なお、コアシェル構造の曲率を無限大に大きくしていくと、平面上の積層構造に対応しているため、本実施形態で効果のあるものは、第1実施形態でも効果がある。
そして、図5に示されるように、触媒コーティング膜10はコアシェル構造が母材20の上に多数積み重ねられることで構成されている。そして、最も外側のコアシェル構造の表面が触媒コーティング膜10の最表面13となる。
ここで、本実施形態においても触媒コーティング膜10はAgとCeOとの界面部14に繋がる隙間部18を有している。本実施形態では、隙間部18は、コアシェル構造における隙間とコアシェル構造間の隙間との両方を含んでいる。また、コアシェル構造間の隙間部18は母材20側に向かって狭くなっている。図示しないが、コア部16を構成するAgナノ粒子は、母材20から離れるに従って密度が低くなっている。
発明者らは、様々な材料で触媒コーティング膜10を製造し、これらの触媒のデポジット分解効果を調べた。まず、各種の触媒について説明する。
(1)銀セリアコアシェル触媒
本実施形態に係る触媒である。銀セリアコアシェル触媒は逆ミセル法により作製した。はじめに、シクロヘキサン20mlを溶媒として界面活性剤ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル8mlを加え、銀アンミン錯体水溶液2ml(0.15M)を滴下し、15分間撹拌した。
次に、アルゴン中で硝酸セリウム溶液2ml(0.10M)を滴下し、撹拌の後、60℃で1時間静置した。この後、エタノールを滴下し、沈殿物を遠心分離で回収した。回収物を12時間真空乾燥後、大気中で500℃で3時間焼成した。作製したナノ粒子をTEM・EDX観察し、粒径10〜50nm、銀コア層10nm程度、セリア層0.3〜20nm程度の銀セリアコアシェル触媒構造を確認した。
(2)セリア触媒(CeO
硝酸セリウム6水和物を用いて共沈法により酸化セリウムナノ粒子を作製した。比表面積は82.6m/gである。
(3)銀セリア触媒(Ag/CeO
酸化セリウム粒子に含浸法で銀40wt%を担持した。銀セリアコアシェル触媒と同等の銀とセリア重量比とした。比表面積は42.7m/gである。
(4)銀セリアプラセオジアコアシェル触媒
本実施形態に係る触媒である。銀セリアプラセオジアコアシェル触媒は逆ミセル法により作製した。はじめに、シクロヘキサン20mlを溶媒として界面活性剤ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル8mlを加え、銀アンミン錯体水溶液2ml(0.15M)を滴下し、15分間撹拌した。
次に、CeとPrのモル比が9:1になるよう調製した硝酸セリウムと硝酸プラセオジウムの混合溶液2ml(0.10M)をアルゴン中で滴下し、撹拌の後、60℃で1時間静置した。この後、エタノールを滴下し、沈殿物を遠心分離で回収した。回収物を12時間真空乾燥後、大気中で500℃で3時間焼成した。作製したナノ粒子をTEM・EDX観察し、粒径10〜50nm、銀コア層10nm程度、セリアとプラセオジア層0.3〜20nm程度のコアシェル触媒構造を確認した。
(5)Pdセリア触媒(Pd/CeO
金属としてPdを採用した。共沈法により作製したセリアナノ粒子に、含浸法でPd5wt%を担持した。比表面積は60.8m/gである。
(6)セリアジルコニア触媒
共沈法によりモル比Ce:Zr=9:1になるように作製した。比表面積は69.8m/gである。
(7)チタニア触媒(TiO
市販品である。日本アエロジル社製P-25を用いた。結晶構造として、アナターゼ、ルチルを含む。比表面積は50.2m/gである。
(8)アルミナ触媒(Al
市販品である。住友化学社製γアルミナ AKP−G15を用いた。比表面積は164.0m/gである。
そして、実燃料から回収したデポジットと各種触媒を重量比1:6の割合になるように混合し、乳鉢で5分程度均一混合した。また、そのうちの2.8mgを回収し、熱重量測定装置(日立ハイテク社製TG/DTA−6300)で燃焼分解によるデポジットの重量減少率を測定した。昇温速度を10℃/minとし、6時間大気中で260℃で加熱した後、その重量減少率から活性を判断した。その結果を図6及び図7に示す。
図6では、銀セリア触媒、セリア触媒、触媒なし、チタニア触媒についてのデポジット重量減少率が示されているが、時間経過と共にデポジット重量減少率はそれぞれ減少している。
また、図7に示されるように、図6以外の触媒も含めた6時間後のデポジット重量減少率を見てみると、金属を含まないチタニア触媒及びアルミナ触媒はデポジットの分解量が少なかった。また、Pdセリア触媒はセリア触媒と同等のデポジット分解量だった。セリアジルコニア触媒はこれらよりもデポジット分解量が多かった。
これらに対し、銀セリアコアシェル触媒によるデポジット重量減少率が99%であり、最も良い結果が得られた。つまり、銀セリアコアシェル触媒はデポジットをほぼ分解できたと言える。これに対し、銀セリア触媒はコアシェル構造ではないが、デポジットを93%分解できた。コアシェル構造との6%の差は、銀セリア触媒によるデポジットの分解は進むが、重合物が形成されて難燃焼物が形成されてしまったことが原因であると推定される。しかしながら、他の触媒と比べると銀セリア触媒はデポジットを充分分解できた。
以上のように、触媒コーティング膜10をコアシェル構造で構成することで、デポジットの付着力を弱めるだけでなく、デポジットの分解を促進することもできる。
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、上記各実施形態で示された触媒コーティング膜10がインジェクタに適用されている。
図8に示されるように、インジェクタ30は、内燃機関40の燃焼室41に燃料を噴射するように構成された燃料噴射装置である。インジェクタ30は燃料を噴射するためのノズル31を備えている。図9に示されるように、ノズル31は燃料42が通過する複数の噴孔32を有している。そして、触媒コーティング膜10は、各噴孔32の壁面33にコーティングされている。
このように、インジェクタ30の噴孔32に触媒コーティング膜10がコーティングされることで、噴孔32にデポジットが付着することを抑制することができる。これにより、インジェクタ30の燃料噴霧状態の悪化や、内燃機関40の燃費の悪化を抑制することができる。
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された触媒コーティング膜10の構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明を実現できる他の構成とすることもできる。例えば、金属は原子クラスタとして構成されていても良い。また、塩基性酸化物は、原子クラスタもしくはアモルファスで構成されていても良い。
上記各実施形態では、金属として主にAgを例に説明したが、Agの他にNi、Cu、Pd、Pt、Auのいずれかでも良い。なお、金属は、酸化物として構成されていても良いし、異種元素の酸化物として構成されていても構わない。
上記各実施形態では、触媒コーティング膜10はCeを含む酸化物とAgの組み合わせによって構成されていたが、塩基性酸化物がTiを含む酸化物(酸化チタン)であると共に金属がAgとして構成されていても良い。この場合、例えば、触媒コーティング膜10の最表面13は塩基性酸化物のTiOで構成される。
上記各実施形態で示された触媒コーティング膜10の他に、図10〜図13に示された構成でも良い。図10に示されるように、触媒コーティング膜10はコアシェル構造を採用すると共に、最表面13側のコア部16が母材20側のコア部16よりもサイズが大きくなるように構成されていても良い。これによると、触媒コーティング膜10において構造によって容易に母材20側の隙間部18を小さく、最表面13側の隙間部18を大きくすることができる。
また、図11に示されるように、触媒コーティング膜10はコアシェル構造を採用すると共に、最表面13が平らになっていなくても良い。上述のように、触媒コーティング膜10の触媒作用によってデポジットの付着力が弱まり、デポジットが触媒コーティング膜10に付着しにくくなるので、触媒コーティング膜10の最表面13の表面粗さの許容量を上げることができる。
そして、図12に示されるように、触媒コーティング膜10は母材20に金属と塩基性酸化物の両方が接触するように構成されていても良い。さらに、図13に示されるように、触媒コーティング膜10は積層構造を採用すると共に、金属層11及び酸化物層12を構成するナノ粒子のサイズが母材20側に向かって小さくなるように構成されていても良い。この場合、金属層11のナノ粒子のサイズを最表面13側に向かって大きくすることも可能である。
10 触媒コーティング膜
11 金属層
12 酸化物層
14 界面部
15、18 隙間部
16 コア部
17 シェル部

Claims (13)

  1. 燃料が劣化することで発生するデポジットの付着を抑制、分解を促進する触媒コーティング膜であって、
    ポーリングの電気陰性度が1.7以下である元素を少なくとも1つ含んだ塩基性酸化物と、第8族から第10族に含まれる金属と、によって構成された界面部(14)を備え
    前記塩基性酸化物及び前記金属は、前記界面部(14)に繋がる隙間部(15、18)を構成しており、
    前記塩基性酸化物及び前記金属は、母材(20)に設けられており、
    前記隙間部(15、18)は、前記母材(20)側に向かって狭くなっていることを特徴とする触媒コーティング膜。
  2. 燃料が劣化することで発生するデポジットの付着を抑制、分解を促進する触媒コーティング膜であって、
    ポーリングの電気陰性度が1.7以下である元素を少なくとも1つ含んだ塩基性酸化物と、第8族から第10族に含まれる金属と、によって構成された界面部(14)を備え
    前記塩基性酸化物及び前記金属は、母材(20)に設けられており、
    前記金属は、前記母材(20)から離れるに従って密度が低くなっていることを特徴とする触媒コーティング膜。
  3. 前記塩基性酸化物及び前記金属は、前記金属で構成された金属層(11)と前記塩基性酸化物で構成された酸化物層(12)とが積層された積層構造を構成していることを特徴とする請求項1または2に記載の触媒コーティング膜。
  4. 前記塩基性酸化物及び前記金属は、前記金属で構成されたコア部(16)が前記塩基性酸化物で構成されたシェル部(17)によって覆われたコアシェル構造を構成していることを特徴とする請求項1または2に記載の触媒コーティング膜。
  5. 前記金属は、ナノ粒子もしくは原子クラスタとして構成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の触媒コーティング膜。
  6. 前記塩基性酸化物は、ナノ粒子、原子クラスタ、及びアモルファスのいずれかで構成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の触媒コーティング膜。
  7. 前記金属は、Agであることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の触媒コーティング膜。
  8. 前記金属は、Ni、Cu、Pd、Pt、Auのいずれかであることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の触媒コーティング膜。
  9. 前記塩基性酸化物は、Ceを含む酸化物であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の触媒コーティング膜。
  10. 前記塩基性酸化物は、Al、Sc、Ti、Y、Mn、V、Sr、Ba、Mg、Li、Na、Nb、Zr、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Hfのいずれかを含んで構成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の触媒コーティング膜。
  11. 前記塩基性酸化物はCeを含む酸化物であると共に、前記金属はAgであり、
    最表面(13)が前記Ceを含む酸化物で構成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の触媒コーティング膜。
  12. 前記塩基性酸化物はTiを含む酸化物であると共に、前記金属はAgであり、
    最表面(13)が前記Tiを含む酸化物で構成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の触媒コーティング膜。
  13. ノズル(31)に設けられていると共に燃料が噴射される噴孔(32)と、
    前記燃料が劣化することで発生するデポジットの付着を抑制、分解を促進するものであって、ポーリングの電気陰性度が1.7以下である元素を少なくとも1つ含んだ塩基性酸化物と、第8族から第10族に含まれる金属と、によって構成された界面部(14)を有し、前記噴孔(32)にコーティングされた触媒コーティング膜(10)と、
    を備えていることを特徴とするインジェクタ。
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