JP6559645B2 - パイプ材の製造方法及びパイプ材の製造装置 - Google Patents
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Description
従来は主として熱硬化性プリプレグを円筒状に巻き重ねて加圧加熱することでパイプ材を成形していた(例えば、特許文献1,2)。
しかし、熱硬化性樹脂の場合、熱による化学反応を伴うため、一旦化学反応が終了すると修正が困難であるといった欠点がある。
このようなボイドが発生した部位では、炭素繊維織物等と熱可塑性樹脂が密着していないため完成したパイプ材の性能特性が悪くなるという問題があった。
前記上金型(21)及び下金型(22)は、閉状態で上金型(21)と下金型(22)との間には前記中子(10)に巻回された熱可塑性プリプレグ(1)を露出させる隙間(M)が形成される形状で、しかも前記中子(10)に相対向する断面円弧状で中心角αを180度未満とする支持面(21a,22a)を有し、
前記上金型(21)及び下金型(22)のうち、上金型(21)だけに温度制御可能な熱源(H)を設け、
前記中子(10)の回転角度δを前記中心角αよりも小さくして、前記中子(10)を間欠的に回転駆動可能として、
前記上下金型(21,22)を開状態として前記中子(10)を所定角度δ回転する工程と、前記上下金型(21,22)を閉状態として、前記回転後の前記中子(10)を挟み込んで加圧加熱する工程を繰り返して行うことを特徴とする。
さらには、本発明は、前記上金型(21)の支持面(21a)の中心角αを90度にしたことを特徴とする。
前記上金型(21)及び下金型(22)は、閉状態で上金型(21)と下金型(22)との間には前記中子(10)に巻回された熱可塑性プリプレグ(1)を露出させる隙間(M)が形成される形状で、しかも前記中子(10)に相対向する断面円弧状で中心角αを90度以下とする支持面(21a,22a)を有するとともに、前記上金型(21)だけは温度制御可能な熱源(102)を有し、
前記中子(10)の回転角度δを前記中心角αよりも小さい回転角度δで前記中子(10)を間欠的に回転駆動させる回転駆動手段(106)と、
前記上金型(21)及び下金型(22)を開閉させ、閉状態で前記中子(10)を加圧するプレス手段(104)と、
前記プレス手段(104)を介して前記上下金型(21,22)を開状態として前記回転駆動手段(106)を介して前記中子(10)を所定角度δ回転し、前記プレス手段(104)を介して前記上下金型(21,22)を閉状態として、前記回転後の前記中子(10)を挟み込んで加圧加熱させる処理を繰り返して実行させる制御手段(100)を備えることを特徴とする。
また、支持面の中心角αよりも小さい角度の回転角度δで中子は間欠的に回転させられつつ熱可塑性プリプレグを巻回するようにするもので、しかも上金型だけに熱源が設けられたものであるので、一般的な金型のように、中子の全周を覆うようにされるものと比較して、熱プレスする面積を小さくして高いプレス圧を集中してかけることで中子と巻回される熱可塑性プリプレグの間から空気を押し出してボイド(空隙)の発生を抑制することができる。
これによって、品質性能に優れた、プリプレグを使用したパイプ材の成形品を製造することができる。
パイプ材の製造装置は、図1及び図2に示すように、略中央に回転自在にセットされた中子10に対して上金型21及び下金型22を昇降させ、上金型21の下降時及び下金型22の上昇時に上下金型21,22を開状態から閉状態にして中子10を挟み込んで加圧するプレス機31と、そのプレス機31を駆動させるサーボモータ104と、上下金型21,22が開状態にされたときに中子10を回転させる中子位置制御用サーボモータ106と、全体を制御するCPUからなる制御ユニット100を備えている。
支持面21a,22aは中子10側に凹んだ凹面で、上下金型21,22の閉状態では、図1に示すように、上下左右に延びる線を45度回転させた線(互いに直交する斜め45度の2つの線)で中子10をそれが延びる長手方向に上下左右に四分割したときの上側の部分全体を丁度覆うように上金型21の支持面21aは当接し、下側の部分全体を丁度覆うように下金型22の下支面22aは当接するようにしている。
これにより、左側の部分と右側の部分は、上下金型21,22の閉状態に形成された隙間Mから露出される。
なお、ヒータ102,サーボモータ104,中子位置制御用モータ106及びトルクモータ108は、サイリスタアンプ103,サーボアンプ105,位置制御用サーボアンプ107及びトルク制御用サーボアンプ109をそれぞれ介して制御ユニット100に接続されている。
制御ユニット100には、マンマシンインタフェイス(I/F)101を介して図示を省略したROM,RAMなどの記憶装置,各種スイッチやキーボードなどの入力装置,プリンタなどの出力装置に接続されている。
中子上片部10aの下面には長手方向に延びる蟻溝状の凹部10cが形成されるとともに、中子下片部10bの上面には長手方向に延びる凸部10dが形成され、中子上片部10aと中子下片部10bは互いに嵌合している。
熱可塑性プリプレグ(セミプレグも含む)1とは、強化材に炭素繊維織物、母材に熱可塑性樹脂を含浸又は半含浸させたものであり、熱可塑性樹脂としては、例えば、PA6,PA66,PC,POM,PU,PPS,PA9T,PA46,PAR,LCP,PSU,PES,PEEK,PEI,PAI,TPI,PTFE等があげられる。
本実施形態では、熱可塑性樹脂としてPA6を使用した。
図6は、制御ユニット100の処理を示すフローチャートであり、図7は、上下金型1,22の開閉状態とそのときの中子10の回転位置を示している。
最初、ロールRLから引き出された熱可塑性プリプレグ1の端部は、両面テープ(接着剤であってもよい)によって中子10に固定される。
最初はフラグFは、「0」であるので、図7(a)に示すように、中子10を水平ラインLから熱可塑性プリプレグ1が巻き取られたロールRLから上金型21側に、図7(a)では反時計回りに、130度回転させて、その位置P2に中子1に固定された熱可塑性プリプレグ1の先端が位置するように中子位置制御用サーボモータ106を駆動させる(ステップS5)。中子10の位置は中子位置センサー114によって検知される。
そして、Nの値が「0」であると処理を終了するが、「0」でなければ、上述したステップS3に戻る。
本実施形態の場合、材料支給回数Nを100回と設定しているのでステップS13ではNの値は99(=100−1)となりステップS3に戻って、プレス機31を駆動させることにより上下金型21,22が開状態にされる。
このとき、図7(c)に示されるように、中子10に対して、熱可塑性プリプレグ1は先端の位置P2から上金型21の支持面21aのロールRL側端部P1までの間が熱プレスされる。
その後は、上述したステップS8〜ステップS12までの処理を、ステップS13〜ステップS14で材料支給回数Nが「0」になるまで実行する。
本実施形態では、材料支給回数Nを100回としたので、熱可塑性プリプレグ1がロールRLから100回引き出され、100回熱プレスされる。
特に、中子10の回転角度δ(75度)は、上金型21の支持面21aの中心角α(90度)よりも小さい回転角度δにしているので、図7(e)に示すように、水平ラインLから120度の位置P2から135度のP3間では中子10に対して熱可塑性プリプレグ1はオーバーラップされるようになっている。
したがって、上金型21が当接することで熱した熱可塑性プリプレグ1の部位は、中子10が回転させられることにより隙間Mを介して外気に接触するとともに下金型22にも接触することにより冷却されるので、一般的な熱プレス機のように、上金型21に設けられたヒータ102を冷却するための装置を特別に用意する必要はない。
また、上金型21の支持面21aの中心角αだけを90度あるいはそれ以下にして、中子10の回転角度δをその90度以下の中心角αよりもさらに小さくして間欠的に熱プレスするようにしてもよい。
さらには、上金型21の支持面21aの中心角αを180度未満にして、中子10の回転角度δをその中心角αよりもさらに小さくして間欠的に熱プレスするようにしてもよい。
10a 中子上片部
10b 中子下片部
10c 凹部
10d 凸部
21 上金型
21a 支持面
22 下金型
31 プレス機
32 ガイドロール
100 制御ユニット
101 マンマシンインタフェイス(I/F)
102 ヒータ
103 サイリスタアンプ
104 サーボモータ
105 サーボアンプ
106 中子位置制御用サーボモータ
107 位置制御用サーボアンプ
108 トルクモータ
109 トルク制御用サーボアンプ
111 上金型温度センサー
112 プレス圧力センサー
113 プレス位置センサー
114 中子位置センサー
115 プリプレグロールトルクセンサー
M 隙間
RL ロール
Claims (6)
- 断面円形で棒状の中子を回転しつつ熱可塑性プリプレグを巻回して積層したものを上下から開閉自在の上金型及び下金型で挟み込んで加圧して熱処理を施すパイプ材の製造方法であって、
前記上金型及び下金型は、閉状態で上金型と下金型との間には前記中子に巻回された熱可塑性プリプレグを露出させる隙間が形成される形状で、しかも前記中子に相対向する断面円弧状で中心角αを180度未満とする支持面を有し、
前記上金型及び下金型のうち、上金型だけに温度制御可能な熱源を設け、
前記中子の回転角度δを前記中心角αよりも小さくして、前記中子を間欠的に回転駆動可能として、
前記上下金型を開状態として前記中子を所定角度δ回転する工程と、前記上下金型を閉状態として、前記回転後の前記中子を挟み込んで加圧加熱する工程を繰り返して行うことを特徴とするパイプ材の製造方法。 - 前記上金型の支持面の中心角αを90度以下にしたことを特徴とする請求項1に記載のパイプ材の製造方法。
- 前記上金型の支持面の中心角αを90度にしたことを特徴とする請求項1に記載のパイプ材の製造方法。
- 断面円形で棒状の中子を回転しつつ熱可塑性プリプレグを巻回して積層したものを上下から開閉自在の上金型及び下金型で挟み込んで加圧して熱処理を施すパイプ材の製造装置であって、
前記上金型及び下金型は、閉状態で上金型と下金型との間には前記中子に巻回された熱可塑性プリプレグを露出させる隙間が形成される形状で、しかも前記中子に相対向する断面円弧状で中心角αを90度以下とする支持面を有するとともに、前記上金型だけは温度制御可能な熱源を有し、
前記中子の回転角度δを前記中心角αよりも小さい回転角度δで前記中子を間欠的に回転駆動させる回転駆動手段と、
前記上金型及び下金型を開閉させ、閉状態で前記中子を加圧するプレス手段と、
前記プレス手段を介して前記上下金型を開状態として前記回転駆動手段を介して前記中子を所定角度δ回転し、前記プレス手段を介して前記上下金型を閉状態として、前記回転後の前記中子を挟み込んで加圧加熱させる処理を繰り返して実行させる制御手段を備えることを特徴とするパイプ材の製造装置。 - 前記中子は、切断面が長手方向に傾斜するように延びるように2分割された中子上片部と中子下片部からなり、一方に対して他方を長手方向にスライドさせることにより両者を完全に分離することができるようにしたことを特徴とする請求項4に記載のパイプ材の製造装置。
- 前記中子上片部の下面には長手方向に延びる凹部又は凸部が形成されるとともに、前記中子下片部の上面には長手方向に延びる凸部又は凹部が形成され、前記中子上片部と中子下片部は互いに嵌合していることを特徴とする請求項5に記載のパイプ材の製造装置。
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JP2016253384A JP6559645B2 (ja) | 2016-12-27 | 2016-12-27 | パイプ材の製造方法及びパイプ材の製造装置 |
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JP2018103505A JP2018103505A (ja) | 2018-07-05 |
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