以下の例示的な実施形態や変形例には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、同様の構成要素には共通の符号が付されるとともに、重複する説明が部分的に省略される。実施形態や変形例に含まれる部分は、他の実施形態や変形例の対応する部分と置き換えて構成されることができる。また、実施形態や変形例に含まれる部分の構成や位置等は、特に言及しない限りは、他の実施形態や変形例と同様である。
以下に説明する実施形態の電力変換装置は、3個の電力変換回路を設けることによって、出力を向上させつつ、大型化を抑制する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の電力変換装置10の全体構成図である。第1実施形態の電力変換装置10は、直流電力源12u、12v、12wが出力した直流電力を、U相、V相及びW相を含む三相交流電力に変換して、モータ等の三相交流負荷14へ提供する。
図1に示すように、第1実施形態の電力変換装置10は、第1三相電力変換回路201と、第2三相電力変換回路202と、第3三相電力変換回路203と、三相変成器22と、U相用電流検出部24uと、V相用電流検出部24vと、W相用電流検出部24wと、制御部26とを備える。
第1三相電力変換回路201は、第1交流変換部281と、第2交流変換部282と、第3交流変換部283とを有する。第1交流変換部281、第2交流変換部282、及び、第3交流変換部283は、入力される直流電力を交流電力に変換する。
第1交流変換部281は、三相交流のU相を出力する。第1交流変換部281は、上側スイッチング部Su1及び下側スイッチング部Sd1を有する。各スイッチング部Su1、Sd1は、IGBT等の半導体のスイッチング素子と、ダイオード等の半導体の整流素子とを有する。2個のスイッチング部Su1、Sd1は、直列に接続されている。第1交流変換部281の一端部である、上側スイッチング部Su1の一方の端部(即ち、直流端子)は、直流電力源12uの正極と接続される正極端子12upに接続されている。第1交流変換部281の他端部である、下側スイッチング部Sd1の一方の端部(即ち、直流端子)は、直流電力源12uの負極と接続される負極端子12unに接続されている。正極及び負極は入れ替えてもよい。上側スイッチング部Su1の他方の端部及び下側スイッチング部Sd1の他方の端部は、互いに接続されて、三相交流のうちU相を出力する第1交流出力端子301として機能する。第1交流出力端子301は、三相交流負荷14のU相入力端子と接続されるU相出力端子14uに接続される。
第2交流変換部282は、スイッチング素子及び整流素子を含み、直列に接続された上側スイッチング部Su2及び下側スイッチング部Sd2を有する。第2交流変換部282の一端部である、上側スイッチング部Su2の一方の端部は、直流電力源12uの正極と接続される正極端子12upに接続されている。第2交流変換部282の他端部である、下側スイッチング部Sd2の一方の端部は、直流電力源12uの負極と接続される負極端子12unに接続されている。上側スイッチング部Su2の他方の端部及び下側スイッチング部Sd2の他方の端部は、互いに接続されて、第2交流出力端子302として機能する。第2交流出力端子302は、三相変成器22に接続される。
第3交流変換部283は、スイッチング素子及び整流素子を含み、直列に接続された上側スイッチング部Su3及び下側スイッチング部Sd3を有する。第3交流変換部283の一端部である、上側スイッチング部Su3の一方の端部は、直流電力源12uの正極と接続される正極端子12upに接続されている。第3交流変換部283の他端部である、下側スイッチング部Sd3の一方の端部は、直流電力源12uの負極と接続される負極端子12unに接続されている。上側スイッチング部Su3の他方の端部及び下側スイッチング部Sd3の他方の端部は、互いに接続されて、第3交流出力端子303として機能する。第3交流出力端子303は、三相変成器22に接続される。
第2三相電力変換回路202は、第4交流変換部284と、第5交流変換部285と、第6交流変換部286とを有する。第4交流変換部284、第5交流変換部285、及び、第6交流変換部286は、入力される直流電力を交流電力に変換する。
第4交流変換部284は、スイッチング素子及び整流素子を含み、直列に接続された上側スイッチング部Su4及び下側スイッチング部Sd4を有する。第4交流変換部284の一端部である、上側スイッチング部Su4の一方の端部は、直流電力源12vの正極端子12vpと接続されている。第4交流変換部284の他端部である、下側スイッチング部Sd4の一方の端部は、直流電力源12vの負極端子12vnと接続されている。上側スイッチング部Su4の他方の端部及び下側スイッチング部Sd4の他方の端部は、互いに接続されて、第4交流出力端子304として機能する。第4交流出力端子304は、三相変成器22に接続される。
第5交流変換部285は、三相交流のV相を出力する。第5交流変換部285は、スイッチング素子及び整流素子を含み、直列に接続された上側スイッチング部Su5及び下側スイッチング部Sd5を有する。第5交流変換部285の一端部である、上側スイッチング部Su5の一方の端部は、直流電力源12vの正極端子12vpと接続されている。第5交流変換部285の他端部である、下側スイッチング部Sd5の一方の端部は、直流電力源12vの負極端子12vnと接続されている。上側スイッチング部Su5の他方の端部及び下側スイッチング部Sd5の他方の端部は、互いに接続されて、三相交流のうちV相を出力する第5交流出力端子305として機能する。第5交流出力端子305は、三相交流負荷14のV相入力端子と接続されるV相出力端子14vに接続される。
第6交流変換部286は、スイッチング素子及び整流素子を含み、直列に接続された上側スイッチング部Su6及び下側スイッチング部Sd6を有する。第6交流変換部286の一端部である、上側スイッチング部Su6の一方の端部は、直流電力源12vの正極端子12vpと接続されている。第6交流変換部286の他端部である、下側スイッチング部Sd6の一方の端部は、直流電力源12vの負極端子12vnと接続されている。上側スイッチング部Su6の他方の端部及び下側スイッチング部Sd6の他方の端部は、互いに接続されて、第6交流出力端子306として機能する。第6交流出力端子306は、三相変成器22に接続される。
第3三相電力変換回路203は、第7交流変換部287と、第8交流変換部288と、第9交流変換部289とを有する。第7交流変換部287、第8交流変換部288、及び、第9交流変換部289は、入力される直流電力を交流電力に変換する。
第7交流変換部287は、スイッチング素子及び整流素子を含み、直列に接続された上側スイッチング部Su7及び下側スイッチング部Sd7を有する。第7交流変換部287の一端部である、上側スイッチング部Su7の一方の端部は、直流電力源12wの正極端子12wpと接続されている。第7交流変換部287の他端部である、下側スイッチング部Sd7の一方の端部は、直流電力源12wの負極端子12wnと接続されている。上側スイッチング部Su7の他方の端部及び下側スイッチング部Sd7の他方の端部は、互いに接続されて、第7交流出力端子307として機能する。第7交流出力端子307は、三相変成器22に接続される。
第8交流変換部288は、スイッチング素子及び整流素子を含み、直列に接続された上側スイッチング部Su8及び下側スイッチング部Sd8を有する。第8交流変換部288の一端部である、上側スイッチング部Su8の一方の端部は、直流電力源12wの正極端子12wpと接続されている。第8交流変換部288の他端部である、下側スイッチング部Sd8の一方の端部は、直流電力源12wの負極端子12wnと接続されている。上側スイッチング部Su8の他方の端部及び下側スイッチング部Sd8の他方の端部は、互いに接続されて、第8交流出力端子308として機能する。第8交流出力端子308は、三相変成器22に接続される。
第9交流変換部289は、三相交流のW相を出力する。第9交流変換部289は、スイッチング素子及び整流素子を含み、直列に接続された上側スイッチング部Su9及び下側スイッチング部Sd9を有する。第9交流変換部289の一端部である、上側スイッチング部Su9の一方の端部は、直流電力源12wの正極端子12wpと接続されている。第9交流変換部289の他端部である、下側スイッチング部Sd9の一方の端部は、直流電力源12wの負極端子12wnと接続されている。上側スイッチング部Su9の他方の端部及び下側スイッチング部Sd9の他方の端部は、互いに接続されて、三相交流のうちW相を出力する第9交流出力端子309として機能する。第9交流出力端子309は、三相交流負荷14のW相入力端子と接続されるW相出力端子14wに接続される。
スイッチング部Sun、Sdn(n=1、2・・9)は、制御部26からのゲート駆動信号に基づいて、オンとオフとが切り替わる自己消弧素子である。
三相変成器22は、第1U相変成端子32uと、第1V相変成端子32vと、第1W相変成端子32wと、第2U相変成端子34uと、第2V相変成端子34vと、第2W相変成端子34wとを有する。
第1U相変成端子32uは、第4交流出力端子304に接続される。第1V相変成端子32vは、第8交流出力端子308に接続される。第1W相変成端子32wは、第3交流出力端子303に接続される。第2U相変成端子34uは、第7交流出力端子307に接続される。第2V相変成端子34vは、第2交流出力端子302に接続される。第2W相変成端子34wは、第6交流出力端子306に接続される。
図2は、三相変成器22の一例を示す全体図である。図2において、各巻線の一端に記載の黒丸側から電流が流れると、同じ方向の磁束を発生させることを示す。
三相変成器22は、鉄心36と、U相一次側巻線38uと、V相一次側巻線38vと、W相一次側巻線38wと、U相二次側巻線40uと、V相二次側巻線40vと、W相二次側巻線40wとを更に有する。U相一次側巻線38u、V相一次側巻線38v、W相一次側巻線38w、U相二次側巻線40u、V相二次側巻線40v、及び、W相二次側巻線40wは、それぞれ第1一次側巻線、第2一次側巻線、第3一次側巻線、第1二次側巻線、第2二次側巻線、及び、第3二次側巻線の一例である。
鉄心36は、三脚鉄心構造を有する。鉄心36は、第1脚部42uと、第2脚部42vと、第3脚部42wと、第1継部44aと、第2継部44bとを有する。第1脚部42uの一端、第2脚部42vの一端、及び、第3脚部42wの一端は、第1継部44aに連結されている。第1脚部42uの他端、第2脚部42vの他端、及び、第3脚部42wの他端は、第2継部44bに連結されている。第1脚部42u、第2脚部42v、及び、第3脚部42wは、例えば、それぞれ等間隔で配置されている。
U相一次側巻線38u、V相一次側巻線38v、W相一次側巻線38w、U相二次側巻線40u、V相二次側巻線40v、及び、W相二次側巻線40wの巻き数は、それぞれ同じである。従って、U相一次側巻線38u、V相一次側巻線38v、W相一次側巻線38w、U相二次側巻線40u、V相二次側巻線40v、及び、W相二次側巻線40wは、同じ大きさの電力が供給された場合、同じ大きさのインピーダンスを生じさせる。U相一次側巻線38u、V相一次側巻線38v、W相一次側巻線38w、U相二次側巻線40u、V相二次側巻線40v、及び、W相二次側巻線40wの巻き方向は、それぞれ同じである。従って、U相一次側巻線38u、V相一次側巻線38v、W相一次側巻線38w、U相二次側巻線40u、V相二次側巻線40v、及び、W相二次側巻線40wは、同じ向きの電力が供給された場合、同じ方向のインピーダンスを生じさせる。
U相一次側巻線38uは、第1脚部42uに巻かれている。U相一次側巻線38uの一端は、第4交流変換部284の第4交流出力端子304に接続される第1U相変成端子32uとして機能する。
V相一次側巻線38vは、第2脚部42vに巻かれている。V相一次側巻線38vの一端は、第8交流変換部288の第8交流出力端子308に接続される第1V相変成端子32vとして機能する。
W相一次側巻線38wは、第3脚部42wに巻かれている。W相一次側巻線38wの一端は、第3交流変換部283の第3交流出力端子303に接続される第1W相変成端子32wとして機能する。
U相二次側巻線40uは、U相一次側巻線38uと同じ第1脚部42uに巻かれている。従って、U相二次側巻線40uは、U相一次側巻線38uと同じ磁気回路に設けられている。U相二次側巻線40uの一端は、第7交流変換部287の第7交流出力端子307に接続される第2U相変成端子34uとして機能する。
V相二次側巻線40vは、V相一次側巻線38vと同じ第2脚部42vに巻かれている。従って、V相二次側巻線40vは、V相一次側巻線38vと同じ磁気回路に設けられている。V相二次側巻線40vの一端は、第2交流変換部282の第2交流出力端子302に接続される第2V相変成端子34vとして機能する。
W相二次側巻線40wは、W相一次側巻線38wと同じ第3脚部42wに巻かれている。従って、W相二次側巻線40wは、W相一次側巻線38wと同じ磁気回路に設けられている。W相二次側巻線40wの一端は、第6交流変換部286の第6交流出力端子306に接続される第2W相変成端子34wとして機能する。
U相一次側巻線38uの他端、V相一次側巻線38vの他端、及び、W相一次側巻線38wの他端は、互いに接続されている。即ち、U相一次側巻線38u、V相一次側巻線38v、及び、W相一次側巻線38wは、スター結線されている。U相二次側巻線40uの他端、V相二次側巻線40vの他端、及び、W相二次側巻線40wの他端は、互いに接続されている。即ち、U相二次側巻線40u、V相二次側巻線40v、及び、W相二次側巻線40wは、スター結線されている。
図2において、U相一次側巻線38u、V相一次側巻線38v、W相一次側巻線38w、U相二次側巻線40u、V相二次側巻線40v、及び、W相二次側巻線40wの端部に記載の黒丸は、同じ極性の電圧を発生させることを示す。U相一次側巻線38uの一端、V相一次側巻線38vの一端、及び、W相一次側巻線38wの一端の極性は、U相二次側巻線40uの他端、V相二次側巻線40vの他端、及び、W相二次側巻線40wの他端の極性と同じである。
図1に戻って、U相用電流検出部24uは、第1三相電力変換回路201の第1交流変換部281からU相出力端子14uへと流れる電流の値であるU相出力電流値IuAを検出する。U相用電流検出部24uは、検出したU相出力電流値IuAを制御部26へ出力する。
V相用電流検出部24vは、第2三相電力変換回路202の第5交流変換部285からV相出力端子14vへと流れる電流の値であるV相出力電流値IvBを検出する。V相用電流検出部24vは、検出したV相出力電流値IvBを制御部26へ出力する。
W相用電流検出部24wは、第3三相電力変換回路203の第9交流変換部289からW相出力端子14wへと流れる電流の値であるW相出力電流値IwCを検出する。W相用電流検出部24wは、検出したW相出力電流値IwCを制御部26へ出力する。
制御部26は、電力変換装置10の制御全般を司る。制御部26は、回路等によって構成されたハードウエアであってもよく、プログラム等のソフトウエアを読み込むことによって機能するCPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置であってもよい。
制御部26は、三相電力変換回路201、202、203をPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御することによって、三相交流電力を出力する。制御部26は、スイッチング部Sun、Sdnのオンとオフとを切り替えるゲート駆動信号を生成して、電力変換装置10を制御する。
図3は、制御部26によるゲート駆動信号GuA、GxA、GvA、GyA、GwA、GzA、GuB、GxB、GvB、GyB、GwB、GzB、GuC、GxC、GvC、GyC、GwC、GzCの生成を説明する図である。各ゲート駆動信号を区別する必要がない場合、ゲート駆動信号の符号を“G”とする。
図4は、スイッチング部Sun、Sdnとゲート駆動信号Gとの関係を説明する図である。尚、図4は、主に第1三相電力変換回路201について説明する。第2三相電力変換回路202及び第3三相電力変換回路203の構成については、図4に括弧書きで符号を付与する。
図3に示すように、制御部26は、コンパレータ回路46を有する。コンパレータ回路46には、予め設定された第1正弦変調波SINU、第2正弦変調波SINV、及び、第3正弦変調波SINWがPWM制御の変調波として入力される。
第1正弦変調波SINU、第2正弦変調波SINV、及び、第3正弦変調波SINWの周期は、同じである。正弦変調波SINU、SINV、SINWは、互いに位相がずれている。例えば、第1正弦変調波SINUの位相は、第2正弦変調波SINVの位相に対して120°(即ち、周期/3、または、2π/3)ずれている。第3正弦変調波SINWの位相は、第1正弦変調波SINUの位相及び第2正弦変調波SINVの位相に対して120°ずれている。
コンパレータ回路46は、第1交流変換部281のスイッチング部Su1、Sd1のゲート駆動信号GuA、GxA、第4交流変換部284のスイッチング部Su4、Sd4のゲート駆動信号GuB、GxB、及び、第7交流変換部287のスイッチング部Su7、Sd7のゲート駆動信号GuC、GxCを、第1正弦変調波SINUに基づいて生成する。
コンパレータ回路46は、第2交流変換部282のスイッチング部Su2、Sd2のゲート駆動信号GvA、GyA、第5交流変換部285のスイッチング部Su5、Sd5のゲート駆動信号GvB、GyB、及び、第8交流変換部288のスイッチング部Su8、Sd8のゲート駆動信号GvC、GyCを、第2正弦変調波SINVに基づいて生成する。
コンパレータ回路46は、第3交流変換部283のスイッチング部Su3、Sd3のゲート駆動信号GwA、GzA、第6交流変換部286のスイッチング部Su6、Sd6のゲート駆動信号GwB、GzB、及び、第9交流変換部289のスイッチング部Su9、Sd9のゲート駆動信号GwC、GzCを、第3正弦変調波SINWに基づいて生成する。
コンパレータ回路46には、予め設定された第1三角搬送波TRIA、第2三角搬送波TRIB、及び、第3三角搬送波TRICがPWM制御の三角搬送波として入力される。第1三角搬送波TRIA、第2三角搬送波TRIB、及び、第3三角搬送波TRICの周期は同じである。三角搬送波TRIA、TRIB、TRICの周期は、スイッチング部Sun、Sdnのスイッチング周期に応じて設定される。例えば、スイッチング部Sun、Sdnのスイッチング周期が50Hzの場合、三角搬送波TRIA、TRIB、TRICの周期は、500Hzまたはそれ以上に設定される。正弦変調波SINU、SINV、SINWの周期は、三角搬送波TRIA、TRIB、TRICの周期よりも長い。三角搬送波TRIA、TRIB、TRICは、互いに位相がずれている。例えば、三角搬送波TRIA、TRIB、TRICは、互いに位相が120°ずれている。
コンパレータ回路46は、第1交流変換部281のスイッチング部Su1、Sd1のゲート駆動信号GuA、GxA、第2交流変換部282のスイッチング部Su2、Sd2のゲート駆動信号GvA、GyA、及び、第3交流変換部283のスイッチング部Su3、Sd3のゲート駆動信号GwA、GzAを、第1三角搬送波TRIAに基づいて生成する。
コンパレータ回路46は、第4交流変換部284のスイッチング部Su4、Sd4のゲート駆動信号GuB、GxB、第5交流変換部285のスイッチング部Su5、Sd5のゲート駆動信号GvB、GyB、及び、第6交流変換部286のスイッチング部Su6、Sd6のゲート駆動信号GwB、GzBを、第2三角搬送波TRIBに基づいて生成する。
コンパレータ回路46は、第7交流変換部287のスイッチング部Su7、Sd7のゲート駆動信号GuC、GxC、第8交流変換部288のスイッチング部Su8、Sd8のゲート駆動信号GvC、GyC、及び、第9交流変換部289のスイッチング部Su9、Sd9のゲート駆動信号GwC、GzCを、第3三角搬送波TRICに基づいて生成する。
コンパレータ回路46は、互いに位相が120°ずれた三角搬送波TRIA、TRIB、TRICを用いて、ゲート駆動信号Gを生成する。これにより、電力変換装置10は、三相交流負荷14に印加されるPWM制御による電圧の等価的な搬送波の周波数を、三角搬送波TRIA、TRIB、TRICの周波数の3倍とすることができるので、出力電圧に含まれる高調波を低減することができる。
コンパレータ回路46は、正弦変調波SINU、SINV、SINW及び三角搬送波TRIA、TRIB、TRICに基づいて、各スイッチング部Sun、Sdnのオンとオフとを切り替えるゲート駆動信号Gを生成する。制御部26は、コンパレータ回路46が生成したゲート駆動信号Gを対応するスイッチング部Sun、Sdnへ出力して、当該スイッチング部Sun、Sdnのオンとオフの切り替えを制御する。
図5は、制御部26による第1三相電力変換回路201のゲート駆動信号Gの生成を説明する図である。図5に示すように、制御部26のコンパレータ回路46は、第1正弦変調波SINUと、第1三角搬送波TRIAとを比較して、第1正弦変調波SINUと第1三角搬送波TRIAの大小関係に基づいて、第1交流変換部281のゲート駆動信号GuA、GxAを生成する。
例えば、コンパレータ回路46は、第1正弦変調波SINUの大きさが第1三角搬送波TRIAの大きさよりも大きい(即ち、SINU>TRIA)の期間、ゲート駆動信号GuAを“1”として、ゲート駆動信号GxAを“0”とする。コンパレータ回路46は、第1正弦変調波SINUの大きさが第1三角搬送波TRIAの大きさよりも小さい(即ち、SINU<TRIA)の期間、ゲート駆動信号GuAを“0”として、ゲート駆動信号GxAを“1”とする。
コンパレータ回路46は、第2正弦変調波SINV及び第1三角搬送波TRIAから、第2交流変換部282のゲート駆動信号GvA、GyAを生成する。ここで、第2正弦変調波SINVが第1正弦変調波SINUよりも時間Δtaずれている場合、ゲート駆動信号GvA、GyAはそれぞれゲート駆動信号GuA、GxAよりも時間Δtaずれる。
コンパレータ回路46は、第3正弦変調波SINW及び第1三角搬送波TRIAから、第3交流変換部283のゲート駆動信号GwA、GzAを生成する。ここで、第3正弦変調波SINWが第2正弦変調波SINVよりも時間Δtaずれている場合、ゲート駆動信号GwA、GzAはそれぞれゲート駆動信号GvA、GyAよりも時間Δtaずれる。
図6は、制御部26による第2三相電力変換回路202及び第3三相電力変換回路203のゲート駆動信号Gの生成を説明する図である。
制御部26のコンパレータ回路46は、図6に示す第1正弦変調波SINUと、第2三角搬送波TRIBとを比較する。コンパレータ回路46は、第1正弦変調波SINUと第2三角搬送波TRIBとの大小関係に基づいて、第4交流変換部284のゲート駆動信号GuB、GxBを生成する。
例えば、コンパレータ回路46は、第1正弦変調波SINUの大きさが第2三角搬送波TRIBの大きさよりも大きい期間、ゲート駆動信号GuBを“1”として、ゲート駆動信号GxBを“0”とする。コンパレータ回路46は、第1正弦変調波SINUの大きさが第2三角搬送波TRIBの大きさよりも小さい期間、ゲート駆動信号GuBを“0”として、ゲート駆動信号GxBを“1”とする。
同様に、コンパレータ回路46は、第2正弦変調波SINVの大きさが第2三角搬送波TRIBの大きさよりも大きい期間、第5交流変換部285のゲート駆動信号GvBを“1”として、ゲート駆動信号GyBを“0”とする。コンパレータ回路46は、第2正弦変調波SINVの大きさが第2三角搬送波TRIBの大きさよりも小さい期間、ゲート駆動信号GvBを“0”として、ゲート駆動信号GyBを“1”とする。ここで、図6に示すように、第1三角搬送波TRIAが第2三角搬送波TRIBよりも時間Δtbずれている場合、ゲート駆動信号GvB、GyBはそれぞれゲート駆動信号GvA、GyAよりも時間Δtbずれる。
同様に、コンパレータ回路46は、第3正弦変調波SINWと第2三角搬送波TRIBとの大きさを比較して、第6交流変換部286のゲート駆動信号GwB、GzBを生成する。
コンパレータ回路46は、第1正弦変調波SINUと、第3三角搬送波TRICとを比較して、第1正弦変調波SINUと第3三角搬送波TRICとの大小関係に基づいて、第7交流変換部287のゲート駆動信号GuC、GxCを生成する。
例えば、コンパレータ回路46は、第1正弦変調波SINUの大きさが第3三角搬送波TRICの大きさよりも大きい期間、ゲート駆動信号GuCを“1”として、ゲート駆動信号GxCを“0”とする。コンパレータ回路46は、第1正弦変調波SINUの大きさが第3三角搬送波TRICの大きさよりも小さい期間、ゲート駆動信号GuCを“0”として、ゲート駆動信号GxCを“1”とする。
同様に、コンパレータ回路46は、第2正弦変調波SINVと第3三角搬送波TRICとの大きさを比較して、第8交流変換部288のゲート駆動信号GvC、GyCを生成する。
同様に、コンパレータ回路46は、第3正弦変調波SINWと第3三角搬送波TRICとの大きさを比較して、第9交流変換部289のゲート駆動信号GwC、GzCを生成する。
図7は、制御部26による正弦変調波SINU、SINV、SINWの生成を説明する図である。図7に示すように、制御部26は、正弦波生成部50を更に有する。正弦波生成部50は、三相/dq変換部52と、減算器54a、54bと、PI制御部56aと、PI制御部56bと、dq/三相変換部58とを有する。
三相/dq変換部52は、電流検出部24u、24v、24wが出力した出力電流値IuA、IvB、IwCを取得する。三相/dq変換部52は、出力電流値IuA、IvB、IwCを、位相角θで回転する回転座標上の直流量Id、Iqにdq変換する。三相/dq変換部52は、直流量Idを減算器54aに出力するとともに、直流量Iqを減算器54bに出力する。
減算器54aは、d軸電流司令Id*から直流量Idを減算して算出した減算値を、PI制御部56aへ出力する。PI制御部56aは、減算器54aが出力した減算値を比例積分演算して算出したd軸電圧指令Vd*を、dq/三相変換部58へ出力する。
減算器54bは、q軸電流司令Iq*から直流量Iqを減算して算出した減算値を、PI制御部56bへ出力する。PI制御部56bは、減算器54bが出力した減算値を比例積分演算して算出したq軸電圧指令Vq*を、dq/三相変換部58へ出力する。
dq/三相変換部58は、d軸電圧指令Vd*及びq軸電圧指令Vq*を、位相角θに基づいて、三相量に逆dq変換して、PWM制御の正弦変調波SINU、SINV、SINWを生成する。
次に、第1実施形態の電力変換装置10の動作について説明する。
図6に二点鎖線で示すゲート駆動信号GuA、GyBが“1”の場合についての動作について説明する。この場合、上側スイッチング部Su1及び下側スイッチング部Sd5はオンとなる。一方、下側スイッチング部Sd1及び上側スイッチング部Su5はオフとなる。また、スイッチング部Su1と略同位相の正弦変調波によるゲート駆動信号Gによって駆動される上側スイッチング部Su7、Su4もオンとする。下側スイッチング部Sd5と略同位相の正弦変調波によるゲート駆動信号Gによって駆動される下側スイッチング部Sd2、Sd8もオンとする。
この場合、電圧E0が、直流電力源12uの正極端子12upに接続された上側スイッチング部Su1及びU相出力端子14uと、直流電力源12uの負極端子12unに接続された第2V相変成端子34vとの間に印加される。
また、電圧E0が、直流電力源12vの正極端子12vpに接続された第1U相変成端子32uと、直流電力源12vの負極端子12vnに接続された下側スイッチング部Sd5及び負極端子14vnとの間に印加される。
上側スイッチング部Su7と下側スイッチング部Sd2がオンなので、U相二次側巻線40uの第2U相変成端子34u及びV相二次側巻線40vの第2V相変成端子34vを介して、正極端子12wpから負極端子12unへと電流が流れる。上側スイッチング部Su4と下側スイッチング部Sd8とがオンなので、U相一次側巻線38uの第1U相変成端子32u及びV相一次側巻線38vの第1V相変成端子32vを介して、正極端子12vpから負極端子12wnへと電流が流れる。ここで、例えば、SINU=1の場合、交流の出力は最大となる。この場合、U相一次側巻線38u及びU相二次側巻線40uに生じる磁束は、互いに打ち消し合う。同様に、V相一次側巻線38v及びV相二次側巻線40vに生じる磁束は、互いに打ち消し合う。従って、交流の出力が最大の場合、直流電力源12vの正極端子12vpに接続された第1U相変成端子32uと、直流電力源12uの負極端子12unに接続された第2V相変成端子34vとの電圧は、E0となる。
第2V相変成端子34vに対するU相出力端子14uの電圧E0、第1U相変成端子32uに対する第2V相変成端子34vの最大の電圧E0、及び、V相出力端子14vに対する第1U相変成端子32uの電圧E0を加算した電圧は、3E0となる。これにより、電力変換装置10は、交流の最大出力を、三相電力変換回路201、202、203の出力の3倍とすることができる。この場合、U相一次側巻線38u及びV相一次側巻線38vには、互いに位相が120°ずれた電圧E0が印加されているので、三相変成器22には、最大でも31/2E0の電圧しか印加されない。従って、電力変換装置10は、三相変成器22の容量を、交流の最大出力の1/31/2(=31/2E0/3E0)にすればよいので、三相変成器22を小型化でき、安価な三相変成器22を適用できる。
また、三相電力変換回路201、202、203は、交流の出力電圧の1/3の電圧に耐えられればよいので、スイッチング素子の耐圧を下げることができる。これにより、電力変換装置10は、安価な三相電力変換回路201、202、203を適用することができる。
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態の電力変換装置110の全体構成図である。図8に示すように、電力変換装置110は、U相用差分検出部60uと、V相用差分検出部60vと、W相用差分検出部60wとを更に有する。
U相用差分検出部60u、V相用差分検出部60v及びW相用差分検出部60wは、例えば、配線等に接続及び接触することなく配線に流れる電流を検出可能な非接触型の電流検出器である。非接触型の電流検出器の一例は、直流成分を検出可能なホール電流検出器である。
U相用差分検出部60uは、第4交流変換部284の第4交流出力端子304とU相一次側巻線38uの第1U相変成端子32uとの間に流れる電流IuBと、第7交流変換部287の第7交流出力端子307とU相二次側巻線40uの第2U相変成端子34uとの間に流れる電流IuCとの差分であるU相用差電流値ΔIu(=IuB−IuC)を検出する。尚、U相用差分検出部60uは、電流IuBと電流IuCとが逆方向(即ち、逆極性)に流れる領域で、U相用差電流値ΔIuを検出する。U相用差電流値ΔIuは、三相変成器22の励磁電流でもある。U相用差分検出部60uは、検出したU相用差電流値ΔIuを制御部26へ出力する。U相用差電流値ΔIuは、第1差電流値の一例である。
V相用差分検出部60vは、第8交流変換部288の第8交流出力端子308とV相一次側巻線38vの第1V相変成端子32vとの間に流れる電流IvCと、第2交流変換部282の第2交流出力端子302とV相二次側巻線40vの第2V相変成端子34vとの間に流れる電流IvAとの差分であるV相用差電流値ΔIv(=IvC−IvA)を検出する。尚、V相用差分検出部60vは、電流IvCと電流IvAとが逆方向に流れる領域で、V相用差電流値ΔIvを検出する。V相用差電流値ΔIvは、三相変成器22の励磁電流でもある。V相用差分検出部60vは、検出したV相用差電流値ΔIvを制御部26へ出力する。V相用差電流値ΔIvは、第2差電流値の一例である。
W相用差分検出部60wは、第3交流変換部283の第3交流出力端子303とW相一次側巻線38wの第1W相変成端子32wとの間に流れる電流IwAと、第6交流変換部286の第6交流出力端子306とW相二次側巻線40wの第2W相変成端子34wとの間に流れる電流IwBとの差分であるW相用差電流値ΔIw(=IwA−IwB)を検出する。尚、W相用差分検出部60wは、電流IwAと電流IwBとが逆方向に流れる領域で、W相用差電流値ΔIwを検出する。W相用差電流値ΔIwは、三相変成器22の励磁電流でもある。W相用差分検出部60wは、検出したW相用差電流値ΔIwを制御部26へ出力する。W相用差電流値ΔIwは、第3差電流値の一例である。
制御部26は、U相用差電流値ΔIuによって、第1正弦変調波SINUを補正する。制御部26は、V相用差電流値ΔIvによって、第2正弦変調波SINVを補正する。制御部26は、W相用差電流値ΔIwによって、第3正弦変調波SINWを補正する。以下、差電流値ΔIu、ΔIv、ΔIwによる正弦変調波SINU、SINV、SINWの補正について説明する。
図9は、制御部26による差電流値ΔIu、ΔIv、ΔIwに基づいた正弦変調波SINU、SINV、SINWの補正を説明する図である。図9に示すように、制御部26は、補正部62を更に有する。補正部62は、PI制御部64uと、PI制御部64vと、PI制御部64wと、減算器66u、66v、66wと、加算器68u、68v、68wとを有する。
PI制御部64uは、U相用差分検出部60uが検出した励磁電流に対応するU相用差電流値ΔIuを取得する。PI制御部64uは、U相用差電流値ΔIuを比例積分演算して算出したU相用補正量SINU_CMPを、減算器66u及び加算器68uへ出力する。
減算器66u及び加算器68uは、正弦波生成部50が出力した第1正弦変調波SINUを取得する。減算器66uは、励磁電流に基づいて算出されたU相用補正量SINU_CMPを、第1正弦変調波SINUから減算して生成した正弦変調波SINUBをコンパレータ回路46へ出力する。加算器68uは、励磁電流に基づいて算出されたU相用補正量SINU_CMPを、第1正弦変調波SINUに加算して生成した正弦変調波SINUCをコンパレータ回路46へ出力する。換言すれば、減算器66u及び加算器68uは、U相一次側巻線38u及びU相二次側巻線40uに流れる直流成分に対応する励磁電流に基づいて、第1正弦変調波SINUを補正して、出力する。
補正部62は、第1正弦変調波SINUを補正することなく、正弦変調波SINUAとしてコンパレータ回路46へ出力する。
コンパレータ回路46は、正弦変調波SINUAの大きさと第1三角搬送波TRIAの大きさとを比較して、ゲート駆動信号GuA、GxAを生成する。コンパレータ回路46は、正弦変調波SINUBの大きさと第2三角搬送波TRIBの大きさとを比較して、ゲート駆動信号GuB、GxBを生成する。コンパレータ回路46は、正弦変調波SINUCの大きさと第3三角搬送波TRICの大きさとを比較して、ゲート駆動信号GuC、GxCを生成する。
PI制御部64vは、V相用差分検出部60vが検出した励磁電流に対応するV相用差電流値ΔIvを取得する。PI制御部64vは、V相用差電流値ΔIvを比例積分演算して算出したV相用補正量SINV_CMPを、減算器66v及び加算器68vへ出力する。
減算器66v及び加算器68vは、正弦波生成部50が出力した第2正弦変調波SINVを取得する。減算器66vは、励磁電流に基づいて算出されたV相用補正量SINV_CMPを、第2正弦変調波SINVから減算して生成した正弦変調波SINVCをコンパレータ回路46へ出力する。加算器68vは、励磁電流に基づいて算出されたV相用補正量SINV_CMPを、第2正弦変調波SINVに加算して生成した正弦変調波SINVAをコンパレータ回路46へ出力する。換言すれば、減算器66v及び加算器68vは、V相一次側巻線38v及びV相二次側巻線40vに流れる直流成分に対応する励磁電流に基づいて、第2正弦変調波SINVを補正して、出力する。
補正部62は、第2正弦変調波SINVを補正することなく、正弦変調波SINVBとしてコンパレータ回路46へ出力する。
コンパレータ回路46は、正弦変調波SINVBの大きさと第2三角搬送波TRIBの大きさとを比較して、ゲート駆動信号GvB、GyBを生成する。コンパレータ回路46は、正弦変調波SINVCの大きさと第3三角搬送波TRICの大きさとを比較して、ゲート駆動信号GvC、GyCを生成する。コンパレータ回路46は、正弦変調波SINVAの大きさと第1三角搬送波TRIAの大きさとを比較して、ゲート駆動信号GvA、GyAを生成する。
PI制御部64wは、W相用差分検出部60wが検出した励磁電流に対応するW相用差電流値ΔIwを取得する。PI制御部64wは、W相用差電流値ΔIwを比例積分演算して算出したW相用補正量SINW_CMPを、減算器66w及び加算器68wへ出力する。
減算器66w及び加算器68wは、正弦波生成部50が出力した第3正弦変調波SINWを取得する。減算器66wは、励磁電流に基づいて算出されたW相用補正量SINW_CMPを、第3正弦変調波SINWから減算して生成した正弦変調波SINWAをコンパレータ回路46へ出力する。加算器68wは、励磁電流に基づいて算出されたW相用補正量SINW_CMPを、第3正弦変調波SINWに加算して生成した正弦変調波SINWBをコンパレータ回路46へ出力する。換言すれば、減算器66w及び加算器68wは、W相一次側巻線38w及びW相二次側巻線40wに流れる直流成分に対応する励磁電流に基づいて、第3正弦変調波SINWを補正して、出力する。
補正部62は、第3正弦変調波SINWを補正することなく、正弦変調波SINWCとしてコンパレータ回路46へ出力する。
コンパレータ回路46は、正弦変調波SINWCの大きさと第3三角搬送波TRICの大きさとを比較して、ゲート駆動信号GwC、GzCを生成する。コンパレータ回路46は、正弦変調波SINWAの大きさと第1三角搬送波TRIAの大きさとを比較して、ゲート駆動信号GwA、GzAを生成する。コンパレータ回路46は、正弦変調波SINWBの大きさと第2三角搬送波TRIBの大きさとを比較して、ゲート駆動信号GwB、GzBを生成する。
第2実施形態の電力変換装置110は、励磁電流である差電流値ΔIを検出して、当該差電流値ΔIが小さくなるように、正弦変調波を補正及び生成している。ここで、三相交流負荷14がモータ等の発動機の場合、電力変換装置110は直流(即ち、周波数が0の交流)から三相変成器22の定格周波数まで変化する交流周波数の電力を出力する。このように、直流または極低周波数の電力が三相変成器22に印加される場合には、三相変成器22に発生する磁束に直流的な偏りである直流偏磁が発生する。
しかしながら、電力変換装置110は、差電流値ΔIが小さくなるように、正弦変調波を補正及び生成しているので、直流偏磁を抑制して、磁束が偏った相の磁束の飽和を抑制することができるので、飽和した極性側の励磁電流の増大を低減できる。これにより、電力変換装置110は、励磁電流の増加に伴う電流波形の歪みを低減して、電流波形のピーク値がスイッチング部Sun、SdnのIGBT等の半導体素子の定格値を超えることを抑制できる。この結果、電力変換装置110は、電流波形のピーク値が半導体素子の定格値を超えた場合の運転停止を抑制して、安定した運転を実現することができる。
また、電流を別々に検出してから当該電流に基づいて差電流値ΔIを算出する場合、差電流値ΔIの精度が低い。例えば、電流IuB、及び、電流IuCを別々に検出した後、差電流値ΔIuを算出する場合、差電流値ΔIuは電流IuB、IuCに比べて小さい(例えば、1%程度)ので、差電流値ΔIuが定格電流である電流IuB、IuCを検出する電流検出器の検出レンジの誤差の範囲となり、差電流値ΔIuを精度よく検出することができない。しかしながら、電力変換装置110では、電流値ではなく差電流値ΔIを直接検出しているので、差電流値ΔIをより精度よく検出することができる。
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態の電力変換装置210の全体構成図である。尚、図10において、上述の実施形態と同じ構成には、一部符号を省略している。図11は、第3実施形態の三相変成器222と、三相電力変換回路204、205との接続関係を説明する拡大図である。図12は、第3実施形態の三相変成器222の一例を示す全体図である。
図10及び図11に示すように、第3実施形態の電力変換装置210は、三相変成器22に代えて三相変成器222と、第4三相電力変換回路204と、第5三相電力変換回路205と、蓄電部の一例であるコンデンサ70とを備える。
図12に示すように、三相変成器222は、鉄心36と、U相一次側巻線238uと、V相一次側巻線238vと、W相一次側巻線238wと、U相二次側巻線240uと、V相二次側巻線240vと、W相二次側巻線240wとを有する。
U相一次側巻線238u、V相一次側巻線238v、W相一次側巻線238w、U相二次側巻線240u、V相二次側巻線240v、及び、W相二次側巻線240wは、両端が互いにスター結線等によって接続されていないオープン巻線である。
U相一次側巻線238uの一端、V相一次側巻線238vの一端、W相一次側巻線238wの一端は、それぞれ、第1U相変成端子32u、第1V相変成端子32v、第1W相変成端子32wとして機能する。
U相一次側巻線238uの他端、V相一次側巻線238vの他端、W相一次側巻線238wの他端は、それぞれ、第3U相変成端子72u、第3V相変成端子72v、第3W相変成端子72wとして機能する。
U相二次側巻線240uの一端、V相二次側巻線240vの一端、及び、W相二次側巻線240wの一端は、それぞれ、第2U相変成端子34u、第2V相変成端子34v、第2W相変成端子34wとして機能する。
U相二次側巻線240uの他端、V相二次側巻線240vの他端、及び、W相二次側巻線240wの他端は、それぞれ、第4U相変成端子74u、第4V相変成端子74v、第4W相変成端子74wとして機能する。
第4三相電力変換回路204は、入力される直流電力を交流電力に変換する。第4三相電力変換回路204は、第10交流変換部2810と、第11交流変換部2811と、第12交流変換部2812とを有する。
第10交流変換部2810は、上側スイッチング部Su10及び下側スイッチング部Sd10を有する。第10交流変換部2810の一端部である、上側スイッチング部Su10の一方の端部(即ち、直流端子)は、コンデンサ70の一端に接続されている。第10交流変換部2810の他端部である、下側スイッチング部Sd10の一方の端部(即ち、直流端子)は、コンデンサ70の他端に接続されている。上側スイッチング部Su10の他方の端部及び下側スイッチング部Sd10の他方の端部は、互いに接続されて、第10交流出力端子3010として機能する。第10交流出力端子3010は、第3U相変成端子72uを介してU相一次側巻線238uに接続される。
第11交流変換部2811は、上側スイッチング部Su11及び下側スイッチング部Sd11を有する。第11交流変換部2811の一端部である、上側スイッチング部Su11の一方の端部は、コンデンサ70の一端に接続されている。第11交流変換部2811の他端部である、下側スイッチング部Sd11の一方の端部は、コンデンサ70の他端に接続されている。上側スイッチング部Su11の他方の端部及び下側スイッチング部Sd11の他方の端部は、互いに接続されて、第11交流出力端子3011として機能する。第11交流出力端子3011は、第3V相変成端子72vを介してV相一次側巻線238vに接続される。
第12交流変換部2812は、上側スイッチング部Su12及び下側スイッチング部Sd12を有する。第12交流変換部2812の一端部である、上側スイッチング部Su12の一方の端部は、コンデンサ70の一端に接続されている。第12交流変換部2812の他端部である、下側スイッチング部Sd12の一方の端部は、コンデンサ70の他端に接続されている。上側スイッチング部Su12の他方の端部及び下側スイッチング部Sd12の他方の端部は、互いに接続されて、第12交流出力端子3012として機能する。第12交流出力端子3012は、第3W相変成端子72wを介してW相一次側巻線238wに接続される。
第5三相電力変換回路205は、入力される直流電力を交流電力に変換する。第5三相電力変換回路205は、第13交流変換部2813と、第14交流変換部2814と、第15交流変換部2815とを有する。
第13交流変換部2813は、上側スイッチング部Su13及び下側スイッチング部Sd13を有する。第13交流変換部2813の一端部である、上側スイッチング部Su13の一方の端部は、コンデンサ70の一端に接続されている。第13交流変換部2813の他端部である、下側スイッチング部Sd13の一方の端部は、コンデンサ70の他端に接続されている。上側スイッチング部Su13の他方の端部及び下側スイッチング部Sd13の他方の端部は、互いに接続されて、第13交流出力端子3013として機能する。第13交流出力端子3013は、第4U相変成端子74uを介してU相二次側巻線240uに接続される。
第14交流変換部2814は、上側スイッチング部Su14及び下側スイッチング部Sd14を有する。第14交流変換部2814の一端部である、上側スイッチング部Su14の一方の端部は、コンデンサ70の一端に接続されている。第14交流変換部2814の他端部である、下側スイッチング部Sd14の一方の端部は、コンデンサ70の他端に接続されている。上側スイッチング部Su14の他方の端部及び下側スイッチング部Sd14の他方の端部は、互いに接続されて、第14交流出力端子3014として機能する。第14交流出力端子3014は、第4V相変成端子74vを介してV相二次側巻線240vに接続される。
第15交流変換部2815は、上側スイッチング部Su15及び下側スイッチング部Sd15を有する。第15交流変換部2815の一端部である、上側スイッチング部Su15の一方の端部は、コンデンサ70の一端に接続されている。第15交流変換部2815の他端部である、下側スイッチング部Sd15の一方の端部は、コンデンサ70の他端に接続されている。上側スイッチング部Su15の他方の端部及び下側スイッチング部Sd15の他方の端部は、互いに接続されて、第15交流出力端子3015として機能する。第15交流出力端子3015は、第4W相変成端子74wを介してW相二次側巻線240wに接続される。
コンデンサ70は、第4三相電力変換回路204及び第5三相電力変換回路205に直流電力を供給する。
図13は、制御部26による第4正弦変調波SINUD、第5正弦変調波SINVD、第6正弦変調波SINWD、第7正弦変調波SINUE、第8正弦変調波SINVE、第9正弦変調波SINWEの生成を説明する図である。図13に示すように、制御部26は、第2正弦波生成部250を更に有する。第2正弦波生成部250は、加算器257a、257bと、dq/三相変換部258a、258bとを有する。
本実施形態では、PI制御部56aは、減算器54aが出力した減算値を比例積分演算して算出したd軸電圧指令Vd*を、dq/三相変換部58、dq/三相変換部258a及びdq/三相変換部258bへ出力する。PI制御部56bは、減算器54bが出力した減算値を比例積分演算して算出したq軸電圧指令Vq*を、dq/三相変換部58、dq/三相変換部258a及びdq/三相変換部258bへ出力する。
加算器257aは、位相角θに定数π/6を加算した位相角θaを、dq/三相変換部258aへ出力する。dq/三相変換部258aは、PI制御部56a、56bから取得したd軸電圧指令Vd*及びq軸電圧指令Vq*を、定数π/6が加算された位相角θに基づいて、三相量に逆dq変換して、PWM制御の正弦変調波SINUD、SINVD、SINWDを生成する。
加算器257bは、位相角θに定数7π/6を加算した位相角θbを、dq/三相変換部258bへ出力する。dq/三相変換部258bは、PI制御部56a、56bから取得したd軸電圧指令Vd*及びq軸電圧指令Vq*を、定数7π/6が加算された位相角θに基づいて、三相量に逆dq変換して、PWM制御の正弦変調波SINUE、SINVE、SINWEを生成する。
換言すれば、制御部226の第2正弦波生成部250は、第1正弦変調波SINU、第2正弦変調波SINV、及び、第3正弦変調波SINWと同じd軸電圧指令Vd*及びq軸電圧指令Vq*に基づいて、第4三相電力変換回路204及び第5三相電力変換回路205の各交流変換部2810〜2815のゲート駆動信号Gを生成するための正弦変調波SINUD、SINVD、SINWD、SINUE、SINVE、SINWEを生成する。
第2正弦波生成部250は、生成した正弦変調波SINUD、SINVD、SINWD、SINUE、SINVE、SINWEをコンパレータ回路46へ出力する。
第3実施形態の電力変換装置210では、制御部26のコンパレータ回路46が、予め設定された第4三角搬送波TRIDと第4正弦変調波SINUDに基づいて、上側スイッチング部Su10のゲート駆動信号GuD及び下側スイッチング部Sd10のゲート駆動信号GxDを生成する。コンパレータ回路46は、第4三角搬送波TRIDと第5正弦変調波SINVDに基づいて、上側スイッチング部Su11のゲート駆動信号GvD及び下側スイッチング部Sd11のゲート駆動信号GyDを生成する。コンパレータ回路46は、第4三角搬送波TRIDと第6正弦変調波SINWDに基づいて、上側スイッチング部Su12のゲート駆動信号GwD及び下側スイッチング部Sd12のゲート駆動信号GzDを生成する。
コンパレータ回路46は、予め設定された第5三角搬送波TRIEと第7正弦変調波SINUEに基づいて、上側スイッチング部Su13のゲート駆動信号GuE及び下側スイッチング部Sd13のゲート駆動信号GxEを生成する。コンパレータ回路46は、第5三角搬送波TRIEと第8正弦変調波SINVEに基づいて、上側スイッチング部Su14のゲート駆動信号GvE及び下側スイッチング部Sd14のゲート駆動信号GyEを生成する。コンパレータ回路46は、第5三角搬送波TRIEと第9正弦変調波SINWEに基づいて、上側スイッチング部Su15のゲート駆動信号GwE及び下側スイッチング部Sd15のゲート駆動信号GzEを生成する。
上側スイッチング部Su4及び下側スイッチング部Sd10がオンの場合について、電力変換装置210の動作を説明する。この場合、電流が、オンの上側スイッチング部Su4に流れると、当該電流は、U相一次側巻線238u及び下側スイッチング部Sd10を介してコンデンサ70へと流れる。これにより、コンデンサ70が充電されるので、電力変換装置210は、第4三相電力変換回路204及び第5三相電力変換回路205がない第1実施形態の電力変換装置10と比べて、交流の出力を増加させることができる。
換言すれば、第3実施形態の電力変換装置210は、第1実施形態の電力変換装置10と同じ電圧の交流を出力する場合に、第4三相電力変換回路204及び第5三相電力変換回路205によって、三相変成器222に印加される電圧を低減できる。具体的には、第4三相電力変換回路204及び第5三相電力変換回路205の出力電圧の振幅に応じて、三相変成器222に印加される電圧を低減できる。例えば、第4三相電力変換回路204及び第5三相電力変換回路205の出力電圧の振幅を、三相電力変換回路201、202、203の出力電圧の振幅と同じ3−1/2E0にした場合、電力変換装置210が最大出力の3E0を出力している状態では、U相一次側巻線38u及びV相一次側巻線38vには、互いに位相が120°ずれた電圧(1−3−1/2)E0が印加される。従って、三相変成器222には、最大でも(31/2−1)E0の電圧しか印加されない。この場合、電力変換装置210は、三相変成器222の容量を、三相交流負荷14の容量(即ち、電力変換装置210の交流の最大出力)の(31/2−1)/3とすることができる。
また、第4三相電力変換回路204及び第5三相電力変換回路205の出力電圧の振幅を、三相電力変換回路201、202、203の出力電圧の振幅よりも大きくすることによって、三相変成器222の容量を、三相交流負荷14の容量の(31/2−1)/3よりも小さくすることができる。
(第4実施形態)
図14は、第4実施形態の電力変換装置310の全体構成図である。尚、図14において、上述の実施形態と同じ構成には、一部符号を省略している。図14に示すように、電力変換装置310は、第2U相用差分検出部360uと、第2V相用差分検出部360vと、第2W相用差分検出部360wと、電圧検出部76とを更に有する。
第2U相用差分検出部360u、第2V相用差分検出部360v及び第2W相用差分検出部360wは、例えば、非接触型の電流検出器である。
第2U相用差分検出部360uは、第10交流変換部2810の第10交流出力端子3010とU相一次側巻線238uの第3U相変成端子72uとの間に流れる電流IuDと、第13交流変換部2813の第13交流出力端子3013とU相二次側巻線240uの第4U相変成端子74uとの間に流れる電流IuEとの差分である第2U相用差電流値ΔIu2(=IuD−IuE)を検出する。尚、第2U相用差分検出部360uは、電流IuDと電流IuEとが逆方向(即ち、逆極性)に流れる領域で、第2U相用差電流値ΔIu2を検出する。第2U相用差電流値ΔIu2は、三相変成器222の励磁電流でもある。第2U相用差分検出部360uは、検出した第2U相用差電流値ΔIu2を制御部26へ出力する。
第2V相用差分検出部360vは、第11交流変換部2811の第11交流出力端子3011とV相一次側巻線238vの第3V相変成端子72vとの間に流れる電流IvDと、第14交流変換部2814の第14交流出力端子3014とV相二次側巻線240vの第4V相変成端子74vとの間に流れる電流IvEとの差分である第2V相用差電流値ΔIv2(=IvD−IvE)を検出する。尚、第2V相用差分検出部360vは、電流IvDと電流IvEとが逆方向に流れる領域で、第2V相用差電流値ΔIv2を検出する。第2V相用差電流値ΔIv2は、三相変成器222の励磁電流でもある。第2V相用差分検出部360vは、検出した第2V相用差電流値ΔIv2を制御部26へ出力する。
第2W相用差分検出部360wは、第12交流変換部2812の第12交流出力端子3012とW相一次側巻線238wの第3W相変成端子72wとの間に流れる電流IwDと、第15交流変換部2815の第15交流出力端子3015とW相二次側巻線240wの第4W相変成端子74wとの間に流れる電流IwEとの差分である第2W相用差電流値ΔIw2(=IwD−IwE)を検出する。尚、第2W相用差分検出部360wは、電流IwDと電流IwEとが逆方向に流れる領域で、第2W相用差電流値ΔIw2を検出する。第2W相用差電流値ΔIw2は、三相変成器222の励磁電流でもある。第2W相用差分検出部360wは、検出した第2W相用差電流値ΔIw2を制御部26へ出力する。
電圧検出部76は、コンデンサ70の電圧値を検出して、制御部26へ出力する。これにより、制御部26は、取得したコンデンサ70の電圧値に基づいて、コンデンサ70の電圧を制御できる。
図15は、制御部26による差電流値ΔIu2、ΔIv2、ΔIw2に基づいた正弦変調波SINU、SINV、SINWの補正を説明する図である。制御部26は、第2U相用差電流値ΔIu2によって、第1正弦変調波SINUを補正する。制御部26は、第2V相用差電流値ΔIv2によって、第2正弦変調波SINVを補正する。制御部26は、第2W相用差電流値ΔIw2によって、第3正弦変調波SINWを補正する。以下、差電流値ΔIu、ΔIv、ΔIwによる正弦変調波SINU、SINV、SINWの補正について説明する。図15に示すように、制御部26は、補正部362を更に有する。補正部362は、PI制御部364uと、PI制御部364vと、PI制御部364wと、減算器366u、366v、366wと、加算器368u、368v、368wとを有する。
PI制御部364uは、第2U相用差分検出部360uが出力した第2U相用差電流値ΔIu2を取得する。PI制御部364uは、第2U相用差電流値ΔIu2を比例積分演算して算出したU相用補正量SINU2_CMPを、減算器366u及び加算器368uへ出力する。
減算器366u及び加算器368uは、正弦波生成部50が出力した第1正弦変調波SINUを取得する。減算器366uは、第1正弦変調波SINUからU相用補正量SINU2_CMPを減算して生成した正弦変調波SINUBをコンパレータ回路46へ出力する。加算器368uは、第1正弦変調波SINUにU相用補正量SINU2_CMPを加算して生成した正弦変調波SINUCをコンパレータ回路46へ出力する。
補正部362は、第1正弦変調波SINUを補正することなく、正弦変調波SINUAとしてコンパレータ回路46へ出力する。
PI制御部364vは、第2V相用差分検出部360vが出力した第2V相用差電流値ΔIv2を取得する。PI制御部364vは、第2V相用差電流値ΔIv2を比例積分演算して算出したV相用補正量SINV2_CMPを、減算器366v及び加算器368vへ出力する。
減算器366v及び加算器368vは、正弦波生成部50が出力した第2正弦変調波SINVを取得する。減算器366vは、第2正弦変調波SINVからV相用補正量SINV2_CMPを減算して生成した正弦変調波SINVCをコンパレータ回路46へ出力する。加算器368vは、第2正弦変調波SINVにV相用補正量SINV2_CMPを加算して生成した正弦変調波SINVAをコンパレータ回路46へ出力する。
補正部362は、第2正弦変調波SINVを補正することなく、正弦変調波SINVBとしてコンパレータ回路46へ出力する。
PI制御部364wは、第2W相用差分検出部360wが出力した第2W相用差電流値ΔIw2を取得する。PI制御部364wは、第2W相用差電流値ΔIw2を比例積分演算して算出したW相用補正量SINW2_CMPを、減算器366w及び加算器368wへ出力する。
減算器366w及び加算器368wは、正弦波生成部50が出力した第3正弦変調波SINWを取得する。減算器366wは、第3正弦変調波SINWからW相用補正量SINW2_CMPを減算して生成した正弦変調波SINWAをコンパレータ回路46へ出力する。加算器368wは、第3正弦変調波SINWにW相用補正量SINW2_CMPを加算して生成した正弦変調波SINWBをコンパレータ回路46へ出力する。
補正部362は、第3正弦変調波SINWを補正することなく、正弦変調波SINWCとしてコンパレータ回路46へ出力する。
図16は、制御部26による正弦変調波SINUD、SINVD、SINWD、SINUE、SINVE、SINWEの補正を説明する図である。図16に示すように、制御部26は、補正部462を更に有する。補正部462は、減算器464と、PI制御部466と、加算器468と、減算器470と、乗算器472u、472v、472w、474u、474v、474wとを有する。
減算器464は、目標値であるd軸電圧指令Vd*から、電圧検出部76が検出したコンデンサ70の電圧である直流電圧Vdcを減算して、PI制御部466へ出力する。PI制御部466は、直流電圧Vdcが減算されたd軸電圧指令Vd*に対して比例積分演算を実行して正弦変調波補正量VDC_CMPを出力する。加算器468は、正弦変調波補正量VDC_CMPに定数1.0を加算して、乗算器472u、472v、472wへ出力する。減算器470は、正弦変調波補正量VDC_CMPから定数1.0を減算して、乗算器474u、474v、474wへ出力する。
乗算器472uは、第4正弦変調波SINUDを取得する。乗算器472uは、定数1.0が加算された正弦変調波補正量VDC_CMPを、第4正弦変調波SINUDに乗算した正弦変調波SINUD2をコンパレータ回路46へ出力する。乗算器472vは、第5正弦変調波SINVDを取得する。乗算器472vは、定数1.0が加算された正弦変調波補正量VDC_CMPを、第5正弦変調波SINVDに乗算した正弦変調波SINVD2をコンパレータ回路46へ出力する。乗算器472wは、第6正弦変調波SINWDを取得する。乗算器472wは、定数1.0が加算された正弦変調波補正量VDC_CMPを、第6正弦変調波SINWDに乗算した正弦変調波SINWD2をコンパレータ回路46へ出力する。
乗算器474uは、第7正弦変調波SINUEを取得する。乗算器474uは、定数1.0が減算された正弦変調波補正量VDC_CMPを、第7正弦変調波SINUEに乗算した正弦変調波SINUE2をコンパレータ回路46へ出力する。乗算器474vは、第8正弦変調波SINVEを取得する。乗算器474vは、定数1.0が減算された正弦変調波補正量VDC_CMPを、第8正弦変調波SINVEに乗算した正弦変調波SINVE2をコンパレータ回路46へ出力する。乗算器474wは、第9正弦変調波SINWEを取得する。乗算器474wは、定数1.0が減算された正弦変調波補正量VDC_CMPを、第9正弦変調波SINWEに乗算した正弦変調波SINWE2をコンパレータ回路46へ出力する。
コンパレータ回路46は、第4三角搬送波TRID及び正弦変調波SINUD2、SINVD2、SINWD2に基づいて、ゲート駆動信号GuD、GxD、GvD、GyD、GwD、GzDを生成する。コンパレータ回路46は、第5三角搬送波TRIE及び正弦変調波SINUE2、SINVE2、SINWE2に基づいて、ゲート駆動信号GuE、GxE、GvE、GyE、GwE、GzEを生成する。
第4実施形態の電力変換装置310は、励磁電流を高精度に検出するとともに、直流成分である励磁電流によって正弦変調波を補正することによって、三相変成器222の直流偏磁を抑制できる。尚、第4実施形態の電力変換装置310では、制御部26は、電圧検出部76取得したコンデンサ70の電圧値に基づいて、コンデンサ70の電圧を制御することができる。例えば、制御部26は、第4三相電力変換回路204及び第5三相電力変換回路205の出力電圧の振幅を、三相電力変換回路201、202、203の出力電圧の振幅より大きくなるように、コンデンサ70の電圧を制御することができる。これにより、電力変換装置310は、三相変成器222に印加される電圧をより小さくして、三相変成器222の容量をより小さくすることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
各実施形態の構成の形状、機能、個数、接続関係等は適宜変更してよい。各実施形態は、組み合わせてもよい。
(変形例1)
図17は、変形例1の三相変成器522の一例を示す全体図である。三相変成器522は、U相一次側巻線38u、V相一次側巻線38v、W相一次側巻線38w、U相二次側巻線40u、V相二次側巻線40v、及び、W相二次側巻線40wを有する。U相一次側巻線38uの他端、V相一次側巻線38vの他端、及び、W相一次側巻線38wの他端は、スター結線されている。U相二次側巻線40uの他端、V相二次側巻線40vの他端、及び、W相二次側巻線40wの他端は、スター結線されている。変形例1の三相変成器522では、U相一次側巻線38uの他端、V相一次側巻線38vの他端、W相一次側巻線38wの他端、U相二次側巻線40uの他端、V相二次側巻線40vの他端、及び、W相二次側巻線40wの他端は、互いに接続されるとともに、中性点として接地されている。変形例1の三相変成器522では、各巻線の他端によって電力変換装置10の各部の対地電位を確定することができるので、設計上有効である。
上述の実施形態では、コンパレータ回路46が3つの三角搬送波によってゲート駆動信号を生成する例を示したが、コンパレータ回路46が1つの三角搬送波によって、ゲート駆動信号を生成してもよい。この場合、ゲート駆動信号GuA、GuB、GuCは、同じ信号になる。ゲート駆動信号GvA、GvB、GvCは、同じ信号になる。ゲート駆動信号GwA、GwB、GwCは、同じ信号になる。ゲート駆動信号GxA、GxB、GxCは、同じ信号になる。ゲート駆動信号GyA、GyB、GyCは、同じ信号になる。ゲート駆動信号GzA、GzB、GzCは、同じ信号になる。
上述の実施形態では、3本の脚部42u、42v、42w及び継部44a、44bによって一体化された構造の鉄心36を例に挙げたが、鉄心は3本の脚部がそれぞれ別体であってもよい。
上述の実施形態では、各巻線をスター結線としたが、いずれかの巻線間をデルタ結線にしてもよい。