JP6559566B2 - 癌患者をスクリーニングするための方法及びキット - Google Patents

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Description

発明の分野:
本発明は、癌患者をスクリーニングするための、特に癌患者が抗腫瘍処置の恩恵を受けるかどうかを決定するための方法及びキットに関する。
発明の背景:
今日、癌は、一般的に、UICC−TNMシステムに従って分類される。TNM(「腫瘍−所属リンパ節−転移(Tumor-Node-Metastasis)」)ステージ分類システムは、腫瘍のサイズ、所属リンパ節における腫瘍の有無、及び遠隔転移の有無を使用して、腫瘍にステージ及び転帰を割り当てる。
TNMシステムは、小さな腫瘍を有する患者は、原発部位により大きなサイズの腫瘍を有する患者よりも良好な予後を有するという観察から開発された。一般的に、原発部位に限局された腫瘍を有する患者は、所属リンパ節にも併発している患者よりも良好な予後を有し、また所属リンパ節併発患者は、ある生体部分から別の生体部分へと疾病が遠隔に広がった患者よりも良好である。従って、癌は、通常、4つのレベルにステージ分類される。ステージIの癌は、リンパ節に癌を有さない非常に限局された癌である。ステージIIの癌は、癌が始まった場所の近辺に広がっている。ステージIIIの癌は、リンパ節にまで広がっている。ステージIVの癌は、生体の遠隔部分まで広がっている。割り当てられたステージは、適切な療法の選択のための及び予後診断目的のための基礎として使用される。例えばステージIVの癌を有する患者には常に化学療法が推奨される。逆に、UICC−TNMステージI又はIIの癌を有する患者に化学療法を処方するための関連するガイドラインはない。従って、多数の利用可能な新規な療法のための重要な工程が、適切な癌療法のための効果的な患者の選択であるために一層、処置の決定を導く信頼性ある診断ツールが必要とされる。
ヒトにおいて、遺伝子発現の調節は、遺伝子の機能的産物の量及び出現のタイミングの制御を指す。遺伝子発現の制御は、必要とされる時に細胞が遺伝子産物を産生できるようにするために重要である。遺伝子の情報が遺伝子産物となる方法が調節される。短く要約すると、調節は、活性化因子の作用と阻害剤の作用との間の平衡に存する。
欧州特許第1777523号は、患者における癌の転帰を決定するための方法であって、前記癌に対する前記患者の適応免疫応答の存在又は代替的にはそのレベルを示す、1つ又はいくつかの生物学的マーカーの定量に基づいた方法を開示する。
十分な研究の後に、遠隔転移(ステージIV)を有さない患者について、本発明者らは以下を発見した:
1.免疫適応応答の遺伝子について低い発現レベル、及び免疫抑制応答を示す遺伝子について高い発現レベルを有する患者は、不良な予後(例えば短い無病生存期間)を有するだけでなく、処置の場合にも生存期間を有意に改善させないだろう。
2.免疫適応応答の遺伝子について高い発現レベル、及び免疫抑制応答を示す遺伝子について低い発現レベルを有する患者は、良好な予後(例えば長い無病生存期間)を有するだけでなく、処置の場合にも生存期間を有意に改善させないだろう。
3.免疫適応応答の遺伝子について高い発現レベル、及び免疫抑制応答を示す遺伝子について高い発現レベルを有する患者は、中間の予後を示すが、抗腫瘍処置は、生存期間に対して有意な影響(例えば、中間の予後から良好な予後)を及ぼすだろう。
最初の2つの患者群は、「不良な応答者」と判断され(すなわち、処置は、その生存期間に対して限定された(又は中程度の)影響を及ぼすだろう)、一方、第3の患者群は「良好な応答者」と判断される。
発明の要約:
それ故、本発明の主題は、癌患者をスクリーニングするための、特に癌患者が抗腫瘍処置の恩恵を受けるかどうかを決定するための方法及びキットである。
発明の詳細な説明:
本発明は、
i)患者から得られた腫瘍サンプルにおいて、ヒト適応免疫応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子GA〜GAの発現レベルELA〜ELA、及びヒト免疫抑制応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子GI〜GIの発現レベルELI〜ELIを決定する工程、
ii)工程i)で決定された発現レベルELA〜ELA及びELI〜ELIを、予め決定された参照値ELRA〜ELRA及びELRI〜ELRIと比較する工程(前記の予め決定された参照値は、前記遺伝子の発現レベル並びにカプランマイヤー曲線分析による患者の生存及び関連したログランクp値に従って、一団の癌患者を2つのグループに分別するように選択された)、
iii)患者が、良好(予め決定された参照値よりも高いレベル)又は不良(予め決定された参照値よりも低いレベル)の適応免疫応答及び良好又は不良の免疫抑制応答を有するかどうかを結論付ける工程
を含む、癌患者をスクリーニングするための方法に関する。
良好な適応免疫応答及び良好な免疫抑制応答を有する患者は、抗腫瘍処置の恩恵を受けることもできる。
本発明の1つの態様において、上記方法を受けさせた患者は、副腎皮質癌、肛門癌、胆管癌(例えば胆管周囲癌、遠位胆管癌、肝内胆管癌)、膀胱癌、骨癌(例えば骨芽細胞腫、骨軟骨腫、血管腫、軟骨粘液線維腫、骨肉腫、軟骨肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、骨巨細胞腫、脊索腫)、脳癌及び中枢神経系癌(例えば髄膜腫、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、上衣腫、神経膠腫、髄芽腫、神経節膠腫、シュワン腫、胚細胞腫、頭蓋咽頭腫)、乳癌(例えば腺管上皮内癌、浸潤性腺管癌、浸潤性小葉癌、非浸潤性小葉癌、女性化乳房)、キャッスルマン病(例えば巨大リンパ節過形成、血管濾胞性リンパ節過形成)、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌(例えば子宮内膜腺癌、腺類癌、漿液性乳頭状腺癌、明細胞)、食道癌、膀胱癌(粘液性腺癌、小細胞癌)、消化管カルチノイド腫瘍(例えば絨毛癌、破壊性絨毛腺腫)、ホジキン病、カポジ肉腫、腎臓癌(例えば腎細胞癌)、咽頭癌及び下咽頭癌、肝臓癌(例えば血管腫、肝腺腫、限局性結節性過形成、肝細胞癌)、肺癌(例えば小細胞肺癌、非小細胞肺癌)、中皮腫、形質細胞腫、鼻腔癌及び副鼻腔癌(例えば感覚神経芽細胞腫、正中肉芽腫)、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、口腔癌及び中咽頭癌、卵巣癌、膵臓癌、陰茎癌、下垂体癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫(例えば胎児性横紋筋肉腫、胞巣状横紋筋肉腫、多形性横紋筋肉腫)、唾液腺癌、皮膚癌(例えば黒色腫、非黒色腫皮膚癌)、胃癌、精巣癌(例えば精上皮腫、非セミノーマ性胚細胞癌)、胸腺癌、甲状腺癌(例えば濾胞状癌、未分化癌、低分化癌、甲状腺髄様癌)、膣癌、外陰癌、及び子宮癌(例えば子宮平滑筋肉腫)からなる群より選択された固形癌を患う。
「腫瘍サンプル」という用語は、患者の腫瘍に由来する任意の組織サンプルを意味する。組織サンプルは、インビトロにおける評価の目的のために得られる。サンプルは、新鮮、凍結、固定(例えばホルマリン固定)又は包埋(例えばパラフィン包埋)され得る。特定の態様において、サンプルは、患者の腫瘍サンプルで実施された生検から得られる。一例は、結腸直腸癌を患う患者の腸で実施された内視鏡生検である。
本発明の好ましい実施条件下において、ヒト適応免疫応答を示す1つの遺伝子及びヒト免疫抑制応答を示す1つの遺伝子(1対の遺伝子)の発現レベルELが本発明の方法において評価される。好ましくは各々の1から3つの遺伝子、より好ましくは各々の1又は2つの遺伝子が使用される。各種類の限られた数の遺伝子が、良好かつ信頼性のある結果をもたらし、かつ実施し易い。特に、両方の各遺伝子に対して1つの参照値で十分である。遺伝子数が多くなるほど、参照値はより洗練される。参照値の決定例を以後に示す。
1対又は2対を超える遺伝子の使用は、実行するのがより困難でより価格が高く時間がかかるが、しかしながら、他の利点を与える。例えば、ある遺伝子の発現レベルの評価が間違っている場合、全体的な結果は、同じ種類(ヒト適応免疫応答又は免疫抑制応答)の他の予備遺伝子によって補われる。
本明細書において使用される「適応免疫応答を示す遺伝子」という表現は、腫瘍における適応免疫応答の動作主体であるか、又は腫瘍における適応免疫応答の確立に寄与する細胞によって発現される任意の遺伝子を指す。「獲得免疫応答」とも呼ばれる適応免疫応答は、抗原に依存したT細胞サブタイプの刺激、B細胞活性化、及び抗体産生を含む。例えば、適応免疫応答の細胞は、細胞障害性T細胞、メモリーT細胞、Th1細胞及びTh2細胞、活性化マクロファージ、及び活性化樹状細胞、NK細胞及びNKT細胞を含むがそれらに限定されるわけではない。従って、適応免疫応答を示す遺伝子は、典型的には、Th1適応免疫のために、細胞障害性応答のために、又は記憶応答のために共調節される遺伝子のクラスターから選択され得、かつ、Th1細胞表面マーカー、インターロイキン(又はインターロイキンレセプター)又はケモカイン又は(ケモカインレセプター)をコードし得る。
特定の態様において、適応免疫応答を示す遺伝子は、
− CXCL13、CXCL9、CCL5、CCR2、CXCL10、CXCL11、CXCR3、CCL2及びCX3CL1からなるケモカイン及びケモカインレセプターのファミリー、
− IL15からなるサイトカインファミリー、
− IFNG、IRF1、STAT1、STAT4及びTBX21からなるTH1ファミリー、
− ITGAE、CD3D、CD3E、CD3G、CD8A、CD247、CD69及びICOSからなるリンパ球膜レセプターファミリー、
− GNLY、GZMH、GZMA、GZMB、GZMK、GZMM及びPRF1からなる細胞障害性分子ファミリー、
及びキナーゼLTK
からなる群より選択される。
本明細書において以下の表5に示されているような処置に対する患者の応答について最善の結果をもたらすために好ましいこのような遺伝子が、表1において報告されている:
本明細書において使用される「免疫抑制応答を示す遺伝子」という表現は、腫瘍における免疫抑制応答の動作主体であるか、又は腫瘍における免疫抑制応答の確立に寄与する細胞によって発現される任意の遺伝子を指す。例えば、免疫抑制応答は、
− 抗原依存的なT細胞サブタイプの刺激の共阻害:遺伝子CD276、CTLA4、PDCD1、CD274又はVTCN1(B7H4)、
− マクロファージ及び樹状細胞の不活性化、並びにNK細胞の不活性化:遺伝子TSLP、CD1A又はVEGFA、
− 癌幹細胞マーカーの発現、分化及び/又は発癌:PROM1、IHH、
− 腫瘍環境において産生される免疫抑制タンパク質の発現:遺伝子PF4、REN、VEGFA
を含む。
例えば、免疫抑制応答の細胞としては、未熟樹状細胞(CD1A)、制御性T細胞(Treg細胞)、及びIL17A遺伝子を発現しているTh17細胞が挙げられる。
従って、適応免疫応答を示す遺伝子は、典型的には、共調節される適応免疫遺伝子の群から選択され得、免疫抑制遺伝子は免疫細胞(例えば樹状細胞)の不活性化を示し得、かつ免疫抑制応答の誘導に寄与し得る。
特定の態様において、免疫抑制応答を示す遺伝子は、本明細書において以下の表2に報告された遺伝子からなる群より選択される:
前記遺伝子が好ましい。なぜなら、それらは本明細書において以下の表5に示されているような処置に対する患者の応答について最善の結果をもたらすからである。
本発明の好ましい実施条件下において、適応免疫応答を示す遺伝子は、GNLY、CXCL13、CX3CL1、CXCL9、ITGAE、CCL5、GZMH、IFNG、CCR2、CD3D、CD3E、CD3G、CD8A、CXCL10、CXCL11、GZMA、GZMB、GZMK、GZMM、IL15、IRF1、LTK、PRF1、STAT1、CD69、CD247、ICOS、CXCR3、STAT4、CCL2及びTBX21からなる群より選択され、免疫抑制応答を示す遺伝子は、PF4、REN、VEGFA、TSLP、IL17A、PROM1、IHH、CD1A、CTLA4、PDCD1、CD276、CD274及びVTCN1(B7H4)からなる群より選択される。
ある適応遺伝子とある免疫抑制遺伝子を合わせた場合(図9に例示)にいくつかの遺伝子は、より頻繁に有意であると判明するので、最も好ましい遺伝子は:
− 適応免疫応答を示す遺伝子:CD3G、CD8A、CCR2及びGZMA、
− 免疫抑制応答を示す遺伝子:REN、IL17A、CTLA4及びPDCD1
である。
本発明のさらに好ましい実施条件下において、適応免疫応答を示す遺伝子及び免疫抑制遺伝子を示す遺伝子は、それぞれ、上記の表1及び2の遺伝子からなる群より選択される。
本発明のさらに好ましい実施条件下において、1対の遺伝子が、以下の表5の遺伝子の組合せから選択される。太い線によって連結された図9の両方の種類の遺伝子の組合せがより好ましい。
以下の表5の組合せ番号2、3、7、8、9、10、15、41、43、44、55、56及び66が好ましい。他の好ましい遺伝子対は、以下の表5の組合せ番号2、3、7、8、9、10、15、41、43、44、55、56及び66、並びにCD3G−VEGF、CD3E−VEGF及びCD8A−VEGFである。
2つの遺伝子対(全部で4つの遺伝子)の好ましい組合せは、
− CCR2、CD3G、IL17A及びREN、並びに
− CD8A、CCR2、REN及びPDCD1
である。
本発明のプロセスへの使用のために選択される遺伝子の的確な選択は、患者のために考えられる処置の種類に依存し得る。例えば、エルボイ(登録商標)として市販されているMDX−010又はMDX−101としても知られるイピリムマブなどの免疫系を活性化することによって作用するモノクローナル抗体などの薬物を使用する処置が患者のために考えられる場合には、免疫抑制応答についてはCX3CL1、IL15、CD247、CD3G、CD8A、PRF1、CCL5及びTBX21からなる群より選択された遺伝子、好ましくはCX3CL1及びIL15、並びに適応免疫応答については遺伝子CTLA4が好ましいだろう。
アバスチン(登録商標)として市販されているベバシズマブなどの血管内皮増殖因子A(VEGF−A)を阻害する抗体などの処置が患者のために考えられる場合には、適応免疫応答についてはIL15及びGZMAからなる群より選択された遺伝子、並びに免疫抑制応答については遺伝子VEGFAが好ましいだろう。
BMS−936558などのPD−1をターゲティングする抗体などの処置が患者のために考えられる場合、同じような考察が、例えば、遺伝子対GZMA−PDCD1(CD279とも称される)にもあてはまる。
本明細書において、対象の各遺伝子の名称は、以下のインターネットアドレス:http://www.gene.ucl.ac.uk/nomenclature/index.htmlで特に利用可能なHUGO遺伝子命名法委員会のデータベースをはじめとする国際的に認められた遺伝子配列及びタンパク質配列データベースに見られるような、国際的に認められた対応する遺伝子の名称を指す。本明細書において、対象の各遺伝子の名称はまた、国際的に認められた遺伝子配列データベースGenbankに見られるような、国際的に認められた対応する遺伝子の名称を指してもよい。これらの国際的に認められた配列データベースを通して、本明細書に記載された対象の各遺伝子に対する核酸は、当業者によって読み出され得る。
本発明の癌予後診断法は、遺伝子の組合せを用いて実施され得、ただし、前記組合せは、適応免疫応答を示す少なくとも1つの遺伝子と免疫抑制応答を示す少なくとも1つの遺伝子を含む。本発明の方法に使用され得る遺伝子の数は、本発明を実施する時に実際的に利用可能な対象の生物学的に明確に異なる遺伝子の数によってのみ制限される。従って、1つの態様において、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49及び50個の明確に異なる遺伝子の組合せが定量化され、好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の遺伝子の組合せ、より好ましくは2、3、4、5又は6個の遺伝子の組合せが定量化される。しかしながら、高い統計学的関連性(例えば10−3未満のP値)に到達するために必要とされる組合せ遺伝子の数は、遺伝子の組合せを定量するために使用される技術に依存するだろう。適応免疫応答を示す遺伝子として使用される遺伝子の数及び免疫抑制応答を示す遺伝子として使用される遺伝子の数は同じであっても異なっていてもよい。
本発明の好ましい実施条件下において、各種類(適応免疫応答及び免疫抑制応答)のほぼ平衡のとれた数の遺伝子が使用され、例えば各々2つ、又は各々3つ、又は一方の種類5つと他方の種類6つが使用される。
患者から得られた腫瘍サンプルにおける遺伝子の発現レベルの決定は、当技術分野において周知の一団の技術によって実施され得る。
典型的には、遺伝子の発現レベルは、この遺伝子によって産生されるmRNAの量を決定することによって評価される。それ故、本出願の主題は、ヒト適応免疫応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベルELA又はヒト免疫抑制応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベルELIを、前記遺伝子に対応するmRNAの量を決定することによって決定することを含む、上記に定義された癌患者をスクリーニングするための方法である。
mRNAの量を決定するための方法は当技術分野において周知である。例えば、サンプル(例えば患者から調製された細胞又は組織)中に含まれる核酸を、まず標準的な方法に従って、例えば溶解酵素又は化学溶液を使用して抽出するか、あるいは、製造業者の指示に従って核酸結合樹脂によって抽出する。このようにして抽出されたmRNAを、その後、ハイブリダイゼーション(例えばノザンブロット分析)及び/又は増幅(例えばRT−PCR)によって検出する。好ましくは、定量又は半定量RT−PCRが好ましい。リアルタイム定量又は半定量RT−PCRが特に有利である。
他の増幅法としては、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写介在増幅法(TMA)、鎖置換増幅法(SDA)及び核酸配列ベース増幅法(NASBA)、定量的な次世代RNAシークエンス(NGS)が挙げられる。
少なくとも10個のヌクレオチドを含みかつ対象のmRNAに対して配列相補性又は相同性を示す核酸(ポリヌクレオチド)は、本明細書において、ハイブリダイゼーションプローブ又は増幅プライマーとして有用性を見出す。このような核酸は、同等なサイズの相同領域に対して完全に同一である必要はないが、典型的には少なくとも約80%同一、より好ましくは85%同一、さらにより好ましくは90〜95%同一であると理解される。特定の態様において、ハイブリダイゼーションを検出するために、核酸と、検出可能なラベルなどの適切な手段とを組み合わせて使用することが有利である。蛍光、放射能、酵素又は他のリガンド(例えばアビジン/ビオチン)を含む多種多様な適切な指示薬が当技術分野において公知である。
プローブは、典型的には、10〜1000ヌクレオチド長、例えば10〜800、より好ましくは15〜700、典型的には20〜500ヌクレオチド長の一本鎖核酸を含む。プライマーは、典型的には、増幅しようとする対象の核酸に完全に又はほぼ完全に一致するように設計された、10〜25ヌクレオチド長の、より短い一本鎖核酸である。プローブ及びプライマーは、それらがハイブリダイズする核酸に「特異的」であり、すなわち、それらは好ましくは高ストリンジェンシーなハイブリダイゼーション条件下(最も高い融解温度Tm、例えば50%ホルムアミド、5×又は6×SCCに相当する。SCCは0.15MのNaCl、0.015Mのクエン酸Naである)でハイブリダイズする。
上記の増幅法及び検出法におけるプライマー又はプローブとして使用され得る核酸をキットとして構築し得る。このようなキットは、共通プライマー及び分子プローブを含む。好ましいキットはまた、増幅が起こったかどうかを決定するのに必要とされる成分を含む。キットはまた、例えば、PCR緩衝液及び酵素;陽性対照配列、反応制御プライマー;並びに特定配列を増幅及び検出するための説明書を含み得る。
特定の態様において、本発明の方法は、卵丘細胞から抽出された全RNAを提供する工程、ならびに前記RNAを、より特定すると定量又は半定量RT−PCRを用いて、増幅及び特異的プローブに対するハイブリダイゼーションにかける工程を含む。
開示された方法を使用して作製されたプローブは、核酸の検出、例えばインサイツハイブリダイゼーション(ISH)手順(例えば、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)、発色インサイツハイブリダイゼーション(CISH)、及び銀インサイツハイブリダイゼーション(SISH))又は比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)のために使用され得る。
インサイツハイブリダイゼーション(ISH)は、中期又は間期染色体標本(例えばスライド上に載せられた細胞又は組織サンプル)の状況でのターゲット核酸配列(例えばゲノムターゲット核酸配列)を、ターゲット核酸配列(例えばゲノムターゲット核酸配列)に特異的にハイブリダイズ可能な又は特異的なラベル化プローブと接触させることを含む。スライドは、場合により、例えば、均一なハイブリダイゼーションを妨害する可能性のあるパラフィン又は他の材料を除去するために前処理される。サンプル及びプローブは両方共に、例えば、加熱によって処理して、二本鎖核酸を変性させる。プローブ(適切なハイブリダイゼーション緩衝液中で調合された)及びサンプルを、ハイブリダイゼーションを起こす(典型的には平衡に達する)ことを可能とするに十分な条件下及び十分な時間をかけて合わせる。染色体標本を洗浄して、過剰なプローブを除去し、染色体ターゲットの特異的なラベル化の検出を標準的な技術を使用して実施する。
例えば、ビオチニル化プローブを、フルオレセインラベル化アビジン又はアビジン−アルカリホスファターゼを使用して検出することができる。蛍光色素の検出のために、蛍光色素を直接検出しても、又はサンプルを、例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)コンジュゲートアビジンと共にインキュベーションしてもよい。FITCシグナルの増幅は、必要であれば、ビオチンにコンジュゲートさせたヤギ抗アビジン抗体と共にインキュベーションし、洗浄し、FITCにコンジュゲートさせたアビジンと共に2回目のインキュベーションを行なうことによって行なうことができる。酵素活性による検出のために、サンプルを、例えば、ストレプトアビジンと共にインキュベーションし、洗浄し、ビオチンにコンジュゲートさせたアルカリホスファターゼと共にインキュベーションし、再度洗浄し、予め平衡化させることができる(例えばアルカリホスファターゼ(AP)緩衝液中で)。インサイツハイブリダイゼーション手順の一般的な記載については、例えば米国特許第4,888,278号を参照されたい。
FISH、CISH及びSISHのための数多くの手順が当技術分野において公知である。例えば、FISHを実施するための手順は、米国特許第5,447,841号;第5,472,842号;及び第5,427,932号;及び例えば、Pinkel et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 83:2934-2938, 1986; Pinkel et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 85:9138-9142, 1988;及びLichter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 85:9664-9668, 1988に記載されている。CISHは、例えば、Tanner et al., Am. J. Pathol. 157:1467-1472, 2000及び米国特許第6,942,970号に記載されている。さらなる検出法は、米国特許第6,280,929号に提供されている。
数多くの試薬及び検出スキームを、FISH、CISH及びSISH手順と共に使用して、感度、解像度又は他の望ましい特性を向上させることができる。上記に考察しているように、フルオロフォア(蛍光色素及びQUANTUM DOTS(登録商標)を含む)を用いてラベル化されたプローブを、FISHを実施すれば、直接光学的に検出することができる。あるいは、プローブを、非蛍光分子、例えばハプテン(例えば以下の非制限的な例など:ビオチン、ジゴキシゲニン、DNP、及び種々のオキサゾール、ピラゾール、チアゾール、ニトロアリール、ベンゾフラザン、トリテルペン、尿素、チオ尿素、ロテノン、クマリン、クマリンをベースとした化合物、ポドフィロトキシン、ポドフィロトキシンをベースとした化合物、及びそれらの組合せ)、リガンド又は他の間接的に検出可能な部分でラベル化することができる。このような非蛍光分子でラベル化されたプローブ(及びそれらが結合したターゲット核酸配列)は、その後、サンプル(例えば、プローブが結合する細胞又は組織サンプル)を、ラベル化された検出試薬、例えば選択されたハプテン又はリガンドに特異的な抗体(又はレセプター、又は他の特異的な結合対)と接触させることによって検出することができる。検出試薬を、フルオロフォア(例えばQUANTUM DOTS(登録商標))又は別の間接的に検出可能な部分でラベル化することができるか、あるいはフルオロフォアでラベル化され得る1つ以上の追加の特異的結合対(例えば二次抗体又は特異的抗体)と接触させることができる。
他の例において、蛍光発生組成物又は発色性組成物を、検出可能な蛍光、着色又は別様に検出可能なシグナル(例えばSISHにおける検出可能な金属粒子の沈着のように)へと変換することのできる酵素で、プローブ又は特異的結合剤(例えば抗体、例えば一次抗体、レセプター又は他の結合剤)をラベル化する。上記に示されているように、酵素を、関連プローブもしくは検出試薬に、直接的に又はリンカーを介して間接的に付着させることができる。適切な試薬(例えば結合試薬)及び化学物質(例えばリンカー及び付着化学物質)の例は、米国特許出願公開公報第2006/0246524号;第2006/0246523号及び第2007/0117153号に記載されている。
ラベル化されたプローブに特異的な結合剤の対を適切に選択することによって、マルチプレックス検出スキームを作成して、1回のアッセイで(例えば、1つの細胞もしくは組織サンプル、又は1つを超える細胞もしくは組織サンプル上で)複数のターゲット核酸配列(例えばゲノムターゲット核酸配列)の検出を促進することができることが当業者によって理解されるだろう。例えば、第一ターゲット配列に対応する第一プローブを、ビオチンなどの第一ハプテンでラベル化することができ、一方、第二のターゲット配列に対応する第二プローブをDNPなどの第二ハプテンでラベル化することができる。サンプルをプローブに曝露した後、サンプルを第一の特異的な結合剤(この場合、第一フルオロフォア、例えば585nmで発光する第一のスペクトル的に明確に異なるQUANTUM DOTS(登録商標)でラベル化されたアビジン)及び第二の特異的な結合剤(この場合、第二フルオロフォア(例えば705nmで発光する、例えば第二のスペクトル的に明確に異なるQUANTUM DOTS(登録商標))でラベル化された抗DNP抗体又は抗体フラグメント)と接触させることによって、結合したプローブを検出することができる。さらに他のプローブ/結合剤の対も、他のスペクトル的に明確に異なるフルオロフォアを使用してマルチプレックス検出スキームに加えることができる。直接的及び間接的な数多くのバリエーション(1工程、2工程又はそれ以上)を想定することができ、その全てが、開示されたプローブ及びアッセイの脈絡において適切である。
プローブは、典型的には、10〜1000、例えば10〜800、より好ましくは15〜700、典型的には20〜500のヌクレオチド長の一本鎖核酸を含む。プライマーは、典型的には、増幅しようとする対象の核酸に完全に又はほぼ完全に一致するように設計された、10〜25ヌクレオチド長の、より短い一本鎖核酸である。プローブ及びプライマーは、それらがハイブリダイズする核酸に「特異的」であり、すなわち、それらは好ましくは高ストリンジェンシーなハイブリダイゼーション条件下(最も高い融解温度Tm、例えば50%ホルムアミド、5×又は6×SCCに相当する。SCCは0.15M NaCl、0.015M クエン酸Naである)でハイブリダイズする。
上記の増幅法及び検出法に使用される核酸プライマー又はプローブをキットとして構築し得る。このようなキットは、共通プライマー及び分子プローブを含む。好ましいキットはまた、増幅が起こったかどうかを決定するために必要な成分も含む。キットはまた、例えばPCR緩衝液及び酵素;陽性対照配列、反応対照プライマー;並びに特定配列を増幅及び検出するための説明書も含み得る。
特定の態様において、本発明の方法は、卵丘細胞から抽出された全RNAを提供する工程、ならびにより特定すると定量又は半定量RT−PCRを用いて、前記RNAを増幅及び特異的なプローブへのハイブリダイゼーションにかける工程を含む。
別の好ましい態様において、発現レベルはDNAチップ分析によって決定される。このようなDNAチップ又は核酸マイクロアレイは、基材(これはマイクロチップ、スライドガラス又はマイクロスフィアのサイズのビーズであり得る)に化学的に付着させた、種々の核酸プローブからなる。マイクロチップは、ポリマー、プラスチック、樹脂、多糖、シリカもしくはシリカをベースとした材料、炭素、金属、無機ガラス、又はニトロセルロースから構成され得る。プローブは、約10〜約60塩基対であり得る、核酸、例えばcDNA又はオリゴヌクレオチドを含む。発現レベルを決定するために、場合によりまず逆転写にかけられた試験被験者からのサンプルをラベル化し、ハイブリダイゼーション条件でマイクロアレイと接触させると、マイクロアレイ表面に付着させたプローブ配列に相補的であるターゲット核酸間との複合体が形成される。その後、ラベル化されたハイブリダイズした複合体を検出し、定量又は半定量することができる。ラベル化は、種々の方法によって、例えば放射性ラベル化又は蛍光ラベル化の使用によって達成することができる。マイクロアレイハイブリダイゼーション技術の多くの変法が、当業者には利用可能である(例えば、Hoheisel, Nature Reviews, Genetics, 2006, 7:200-210参照)。
遺伝子の発現レベルは、絶対発現レベル又は規準化された発現レベルとして表現される。両方の種類の値が、本発明の方法において使用され得る。遺伝子の発現レベルが、定量PCRが発現レベルの評価法として使用される場合には、規準化発現レベルとして好ましくは表現される。なぜなら、実験開始時においては小さな差異が、多くのサイクルの後には巨大な差異をもたらし得るからである。
典型的には、発現レベルは、遺伝子の発現を、患者の癌ステージを決定する際に関係しない遺伝子、例えば構成的に発現されているハウスキーピング遺伝子の発現と比較することによって、前記遺伝子の絶対発現レベルを補正することによって規準化される。規準化のために適切な遺伝子としては、ハウスキーピング遺伝子、例えばアクチン遺伝子ACTB、リボソーム18S遺伝子、GUSB、PGK1、及びTFRCが挙げられる。この規準化は、あるサンプル、例えば患者のサンプルの発現レベルを、別のサンプルの発現レベルと比較、又は異なる入手源のサンプルの比較を可能とする。
本発明の方法は、工程i)で決定された発現レベルELA〜ELA及びELI〜ELIを、予め決定された参照値ELRA〜ELRA及びELRI〜ELRI(まとめてELRと命名する)と比較することを含む。予め決定された参照値ELRA〜ELRA及びELRI〜ELRIは、確定した値又はある範囲の値であり得る。
例えば、考えられる遺伝子についての患者の腫瘍サンプルの発現レベルELAが、対応する予め決定された参照値(又は数値範囲)ELRAより高い場合には、その患者は「良好な応答者」(「高い」、又は例えば「陽性」などの任意のこのような評価)と判断され、ELAがELRAより低い場合いは「不良な応答者」(「低い」、又は「陰性」などの任意のこのような評価)と判断される。
比較のために使用される予め決定された参照値は、国際公開公報第2007045996号に記載されているように決定され得る「カットオフ」値からなり得る。
比較のために使用される予め決定された参照値は、以下に記載されているように決定され得る「カットオフ」値からなり得る。各遺伝子についての各参照(「カットオフ」)値ELRは、
a)癌を患う患者から腫瘍組織サンプルの収集物を提供する工程;
b)工程a)で準備された収集物に含まれる各腫瘍組織サンプルについての関連遺伝子の発現レベルを決定する工程;
c)前記発現レベルに従って、腫瘍組織サンプルを順位付けする工程;
d)その発現レベルに従って順位付けされた、それぞれ増加しているメンバー数、減少しているメンバー数の部分集合対に、前記腫瘍組織サンプルを分類する工程;
e)工程a)で提供した各腫瘍組織サンプルについて、対応する癌患者についての実際の臨床転帰に関する情報(すなわち、無病生存期間(DFS)又は全生存期間(OS)又はその両方)を提供する工程;
f)腫瘍組織サンプルの各部分集合対について、カプランマイヤー生存率曲線を得る工程;
g)腫瘍組織サンプルの各部分集合対について、両方の部分集合間の統計学的有意性(p値)を計算する工程;
h)発現レベルの参照値ELRとして、p値が最も小さい発現レベル値を選択する工程
の工程を含む方法を実施することによって決定され得る。
このようにして得られた発現レベル値の周囲に、例えばELR±5又は10%に信頼区間が構築され得る。
例えば、100人の患者の100個の癌サンプルについての、遺伝子G1の発現レベルを評価した。100個のサンプルが、遺伝子G1の発現レベルに従って順位付けされる。サンプル1は最も高い発現レベルを有し、サンプル100は最も低い発現レベルを有する。第一のグループ分類は、2つの部分集合を提供する:一方はサンプル番号1で、他方は99個の他のサンプル。次のグループ分類は、一方はサンプル1及び2、他方は98個の残りのサンプルを提供するなどし、最後のグループ分類(一方はサンプル1〜99で、他方はサンプル番号100である)まで同様に続ける。対応する癌患者の実際の臨床転帰に関連する情報に従って、2つの部分集合の各99個の群についてのカプランマイヤー曲線を作成する。また、各99個の群について、両方の部分集合間のp値を計算した。
最小p値の基準に基づいた識別が最も強くなるように参照値ELRが選択される。別の言葉で言えば、p値が最小である両方の部分集合間の境界に対応する発現レベルが、参照値と判断される。本発明者らによって作成された実験によると、参照値ELRは、必ずしも発現レベルの中央値ではないことを注記すべきである。
日常の作業では、参照値ELR(カットオフ値)を本発明の方法に使用して、腫瘍サンプルを識別し得、それ故、対応する患者を識別し得る。
時間を関数としたカプランマイヤーの生存率曲線は、一般的に、処置後の特定の期間に生存する患者の割合を測定するために使用され、これらは当業者には周知である。P値は、統計学的に有意な試験において慣用的に使用される。
当業者はまた、遺伝子の発現レベルの同評価技術が、好ましくは、参照値を得るために、そしてその後、本発明の方法を受けさせた患者の遺伝子発現レベルの評価のために使用されるべきであることを理解する。
このような予め決定された発現レベルの参照値は、上記で定義された任意の遺伝子について決定され得、そして癌患者をスクリーニングするために本発明の方法に使用され得る。ヒト適応免疫応答を示す1つ又はいくつかの各々の遺伝子についての参照値ELRA、及びヒト免疫抑制応答を示す1つ又はいくつかの各々の遺伝子についての参照値ELRIが、本発明の方法を実施するのに必要とされる。
癌を患う患者の腫瘍組織サンプルを、参照値ELRA〜ELRA及びELRI〜ELRIを得るために使用された技術と同じ技術を使用することによって、例えば、関連遺伝子によって産生されたmRNAの量を決定することによって(例えば定量PCRを使用して)、遺伝子GA〜GA及びGI〜GIのそれぞれの発現レベルELA〜ELA及びELI〜ELIを決定し得る。2つの異なる遺伝子又はいくつかの異なる遺伝子についての関連データを得るために種々の技術が使用され得る。しかしながら、好ましくは、先に引用された又は本明細書の以下の実施例において使用されたものから好ましくは選択された、同じ技術が実施される。
例えばELA1がELRA1よりも高い場合、患者は、ヒト適応免疫応答に関して良好な応答者と判断され、ELA1がELRA1よりも低い場合には不良な応答者と判断される。同様に、ELI1がELRI1よりも高い場合、患者は、ヒト免疫抑制応答に関して良好な応答者と判断され、ELI1がELRI1よりも低い場合には不良な応答者と判断される。
特に顕著なのは、発現レベルの評価技術に従って、参照値よりも低い数値は、実際に、発現レベルが参照レベルよりも高いことを意味し得るという事実である。例えば、以下の実施例において、リアルタイムPCRを使用して、関連参照値よりも低いdCT値は、シグナルがより早期に検出されたこと、すなわち、遺伝子の発現レベルが参照レベルよりも高いことを意味する。
本発明の主題である患者をスクリーニングするための方法は、非常に有利な特性及び品質を有する。
前記方法は、特に、ヒト適応免疫応答及びヒト免疫抑制応答に関する患者の応答の知見から、実験章において証明されたように、癌のタイプ、発生源又はステージとは独立して、患者のDFS及びOSに関する予後の良好な評価を行なうことを可能とする。
1つの「カットオフ」値の設定は、患者についてのDFS及びOSに関する不良な予後と良好な予後との区別を可能とする。実際に高度に統計学的に有意な値(例えば低いP値)は、一般的に、1つの任意の定量値としてだけでなく、連続した任意の定量値の範囲として得られる。従って、本発明の1つの代替的な態様において、確定した参照値ELRを使用する代わりに、値の範囲が与えられる。
それ故、最小の統計学的に有意な値(最小の有意閾値、例えば最大の閾値P値)は任意に設定され、工程g)で計算された統計学的に有意な値がより高い(より有意、例えばより低い値)複数の任意の定量値の範囲が保持され、よって、定量値の範囲が与えられる。この定量値の範囲は、上記したような「カットオフ」値を含む。「カットオフ」値のこの特定の態様に従って、発現レベルを、同定された数値範囲と比較することによって、不良又は良好な臨床転帰予後を決定することができる。特定の態様において、従って、カットオフ値は、例えば最も高い統計学的に有意な値が見られる定量値(例えば一般的には見出される最小P値)を中心とした定量値の範囲からなる。例えば、1〜10の仮説に基づいた尺度により、理想的なカットオフ値(最も高い統計学的有意性を有する数値)が5であるならば、適切な(例示的な)範囲は4〜6であり得る。
それ故、患者は、免疫適応応答を示す遺伝子及び免疫抑制応答を示す遺伝子の発現レベルを測定することによって得られた数値を比較することによって評価され得、ここで、5を超える数値は良好な予後(逆に遺伝子が免疫抑制応答を示す場合には不良な予後)を示し、5未満の数値は不良な予後(逆に、遺伝子が免疫抑制応答を示す場合には良好な予後)を示す。別の態様において、患者は、免疫適応応答を示す遺伝子及び免疫抑制応答を示す遺伝子の発現レベルを測定することによって得られた値を比較し、尺度で数値を比較することによって評価され得、ここで、4〜6の範囲を超える数値は、良好な予後(逆に、遺伝子が免疫抑制応答を示す場合には不良な予後)を示し、4〜6の範囲を下回る数値は不良な予後(逆に、遺伝子が免疫抑制応答を示す場合には良好な予後)を示し、4〜6の範囲内に入る数値は中間の予後を示す。
本発明の別の態様によると、本発明の癌患者をスクリーニングするための方法はさらに、患者がヒト適応免疫応答及びヒト免疫抑制応答の各々について良好な応答者であるならば、患者は抗腫瘍処置を有利に受けるであろうと結論付ける工程を含む。本発明のさらに別の態様によると、本発明の癌患者をスクリーニングするための方法はさらに、患者がヒト適応免疫応答及びヒト免疫抑制応答の両方について良好な応答者ではないならば、患者は抗腫瘍処置を有利に受けないであろうと結論付ける工程を含む。
特定の態様において、本発明の方法は、遺伝子の発現レベルについて測定された定量値を、それぞれ以下の2つの可能性に分類することを含む比較工程を含む:(i)発現レベルについての定量値が予め決定された対応する参照値よりも高い場合には第一の可能性(第一の可能性は例えば「Hi」と命名される)、及び(ii)発現レベルについての定量値が予め決定された対応する参照値よりも低い場合には第二の可能性(第二の可能性は例えば「Lo」と命名される)。
比較工程の結果が、免疫適応応答を示す遺伝子についての「Hi」値及び免疫抑制応答を示す遺伝子についての「Lo」値からなるならば、良好な予後がもたらされ、処置は患者の生存率に対して限定された(又は中程度の)影響を及ぼすだろう(すなわち、「抗腫瘍処置に対して不良な応答者」)ことが、実施例から分かる。同じように、比較工程の結果が、免疫適応応答を示す遺伝子についての「Lo」値及び免疫抑制応答を示す遺伝子についての「Hi」値からなるならば、不良な予後がもたらされ、処置は患者の生存率に対して限定された(又は中程度の)影響を及ぼすだろう(すなわち、「抗腫瘍処置に対して不良な応答者」)。逆に、比較工程の結果が、免疫適応応答を示す遺伝子についての「Hi」値及び免疫抑制応答を示す遺伝子についての「Hi」値からなるならば、中間の予後がもたらされ、処置は患者の生存率に対して有意な影響を及ぼすだろう(すなわち、「抗腫瘍処置に対して良好な応答者」)。遠隔転移(ステージII/IIIの患者に示される)を有さない患者については、異なる状況が本明細書における以下の表3で要約される。
分類の混成物であるスコアも計算され得る。例えば、免疫適応応答を示す遺伝子発現レベルが予め決定された参照値よりも高い場合には、正の係数(例えば+1)が割り当てられ、免疫適応応答を示す遺伝子発現レベルが予め決定された参照値よりも低い場合には、負の係数(例えば−1)が割り当てられる。逆に、免疫抑制応答を示す遺伝子発現レベルが予め決定された参照値よりも低い場合には、正の係数(例えば+1)が割り当てられ、免疫抑制応答を示す遺伝子発現レベルが予め決定された参照値よりも高い場合には、負の係数(例えば−1)が割り当てられる。
スコアの計算は、2つを超える遺伝子の組合せが使用される場合の比較工程の結果の理解をより容易にするために特に適している。典型的には、このようなスコアが0の数値に近づけば近づくほど、処置は、患者の生存率に対して正の効果を及ぼすだろう(すなわち、患者は処置の恩恵を受けるだろう)。
それ故、本発明の方法は、とりわけ、現在までに決して同定されていなかった新規な患者群、すなわち、癌が抗癌処置によって成功裡に処置されるであろう患者を同定することを可能とする。
抗癌処置は、放射線療法、化学療法又は免疫療法からなり得る。その処置は、アジュバント療法(すなわち、原発腫瘍の外科的切除後の処置)又はネオアジュバント療法(すなわち原発腫瘍の外科的切除前の処置)からなり得る。
それ故、本発明は、本発明の上記の方法に従って、抗腫瘍処置に対する良好な応答者であると判断されたステージI〜IIIの癌患者の処置に使用するための、化学療法剤、放射線療法剤、又は免疫治療剤、好ましくは後者に関する。
「化学療法剤」という用語は、腫瘍増殖を阻止するのに効果的である化合物を指す。化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えばチオテパ及びシクロホスファミド;アルキルスルホナート類、例えばブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン;アジリジン類、例えばベンゾドーパ、カルボクオン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドパ(uredopa);エチレンイミン類及びメチルメラミン類、例えばアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド及びトリメチロールメラミン;アセトゲニン類(特にブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン類;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体のKW−2189及びCBI−TMIを含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン:スポンギスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、シクロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノボエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素類、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えばエンジイン抗生物質(例えばカリケアマイシン、特にカリケアマイシン(11及びカリケアマイシン211、例えば、Agnew Chem Intl. Ed. Engl. 33:183-186 (1994)を参照;ダイネミシン、例えばダイネミシンA;エスペラミシン;並びに、ネオカルジノスタチンクロモフォア及び関連色素タンパク質エンジイン抗生物質クロモフォア)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルチノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシ、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシ、及びデオキシドキソルビシを含む)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えばメトトレキサート及び5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリン類似体、例えばフルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5−FU;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎皮質剤、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えばフォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミド配糖体;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジクオン;エフロルニチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;マイタンシノイド、例えばマイタンシン及びアンサマイトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲンナニウム(spirogennanium);テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2''−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン類(特にT−2毒素、ベルカリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;デカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル(タキソール(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, N.J.)及びドセタキセル(タキソテア(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロラムブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えばシスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;カペシタビン;及び上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体が挙げられる。また、この定義には、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば抗エストロゲン剤、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)−イミダゾール、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びトレミフェン(フェアストン);並びに抗アンドロゲン剤、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド及びゴセレリン;並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体も含まれる。
本明細書に使用される「免疫療法剤」という用語は、癌細胞に対する生体の免疫応答を間接的にもしくは直接的に増強、刺激もしくは増大させる、及び/又は他の抗癌療法の副作用を低減させる、化合物、組成物又は処置を指す。従って、免疫療法は、癌細胞に対する免疫系の応答を直接的にもしくは間接的に刺激もしくは増強する、及び/又は他の抗癌剤によって引き起こされ得る副作用を和らげる療法である。免疫療法はまた、当技術分野において、免疫学的療法、生物学的療法、生物学的反応修飾療法、及び生物療法とも称される。当技術分野において公知の一般的な免疫療法剤の例としては、サイトカイン、癌ワクチン、モノクローナル抗体、及び非サイトカインアジュバントが挙げられるがそれらに限定されない。あるいは、免疫療法剤による処置は、患者に、ある量の免疫細胞(T細胞、NK細胞、樹状細胞、B細胞など)を投与することからなり得る。
免疫療法剤は非特異的であり得、すなわち、免疫系を全般的に高めることができ、よって、ヒト生体は癌細胞の増殖及び/又は蔓延に対して戦うのにより効果的となるか、あるいはそれらは特異的であり得、すなわち、癌細胞それ自体をターゲティングとすることができ、免疫療法処方計画は、非特異的免疫療法剤及び特異的免疫療法剤の使用を組合せ得る。
非特異的免疫療法剤は、免疫系を刺激又は間接的に向上させる物質である。非特異的免疫療法剤は、単独で癌の処置のための主要な療法として使用され、並びに主要な療法に加えて使用され、その場合には、非特異的な免疫療法剤は、他の療法(例えば癌ワクチン)の効力を増強するためのアジュバントとして機能する。非特異的免疫療法剤はまた、この後者の脈絡において、他の療法の副作用(例えば、特定の化学療法剤によって誘発される骨髄抑制)を低減させるように機能し得る。非特異的免疫療法剤は、重要な免疫系細胞に対して作用し、二次応答、例えばサイトカイン及び免疫グロブリンの産生の増加などを引き起こし得る。あるいは、前記薬剤は、それ自体、サイトカインを含み得る。非特異的免疫療法剤は、一般的に、サイトカイン又は非サイトカインアジュバントとして分類される。
多くのサイトカインが、免疫系を高めるように設計された一般的な非特異的免疫療法として、又は他の療法と共に提供されるアジュバントとしてのいずれかとして、癌の処置に用途を見出す。適切なサイトカインとしては、インターフェロン、インターロイキン及びコロニー刺激因子が挙げられるがそれらに限定されない。
本発明によって考えられるインターフェロン(IFN)としては、一般的な種類のIFN、IFN−アルファ(IFN−α)、IFN−ベータ(IFN−β)及びIFN−ガンマ(IFN−γ)が挙げられる。IFNは、例えば、癌細胞の増殖を遅延させることによって、癌細胞のより正常な行動を有する細胞への発達を促進させることによって、及び/又は癌細胞による抗原の産生を増加させて免疫系が癌細胞をより容易に認識して破壊するようにすることによって、癌細胞に対して直接的に作用し得る。IFNはまた、例えば、血管新生を減速させることによって、免疫系を高めることによって、及び/又はナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞及びマクロファージを刺激することによって、癌細胞に対して間接的に作用することができる。組換えIFN−アルファは、Roferon(Roche Pharmaceuticals)及びIntron A(Schering Corporation)から市販されている。IFN−アルファの単独での使用又は他の免疫療法剤もしくは化学療法剤との併用は、黒色腫(転移性黒色腫を含む)、腎臓癌(転移性腎臓癌を含む)、乳癌、前立腺癌及び子宮頸癌(転移性子宮頸癌を含む)を含む、種々の癌の処置に効力を示した。
本発明によって考えられるインターロイキンとしては、IL−2、IL−4、IL−11及びIL−12が挙げられる。市販されている組換えインターロイキンの例としては、Proleukin(登録商標)(IL−2;Chiron Corporation)及びNeumega(登録商標)(IL−12;Wyeth Pharmaceuticals)が挙げられる。Zymogenetics, Inc. (Seattle, Wash.)は、本発明の組合せに使用が考えられてもいる組換え型IL−21を現在試験している。単独で又は他の免疫療法剤もしくは化学療法剤と組み合わせたインターロイキンは、腎臓癌(転移性腎臓癌を含む)、黒色腫(転移性黒色腫を含む)、卵巣癌(再発卵巣癌を含む)、子宮頸癌(転移性子宮頸癌を含む)、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、脳癌及び前立腺癌を含む、種々の癌の処置に効力を示した。
インターロイキンはまた、種々の癌の処置においてIFN−αと組み合わせて良好な活性を示した(Negrier et al., Ann Oncol. 2002 13(9):1460-8;Touranietal, JClin Oncol. 2003 21(21):398794)。
本発明によって考えられるコロニー刺激因子(CSF)としては、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF又はフィルグラスチム)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF又はサルグラモスチム)及びエリスロポエチン(エポエチンアルファ、ダルベポエチン)が挙げられる。1つ以上の増殖因子を用いての処置は、従来の化学療法を受けている患者における新たな血液細胞の生成を刺激するのに役立ち得る。従って、CSFを用いての処置は、化学療法に伴う副作用を低減させるのに役立ち得、より高用量の化学療法剤の使用を可能とし得る。種々の組換えコロニー刺激因子、例えば、ニューポジェン(登録商標)(G-CSF; Amgen)、ノイラスタ(ペグフィルグラスチム; Amgen)、ロイキン(GM-CSF; Berlex)、プロクリット(エリスロポエチン;Ortho Biotech)、エポジェン(エリスロポエチン;Amgen)、アラネスプ(エリスロポエチン)が市販されている。コロニー刺激因子は、黒色腫、結腸直腸癌(転移性結腸直腸癌を含む)及び肺癌を含む、癌の処置に効力を示した。
本発明の組合せに使用するのに適した非サイトカインアジュバントとしては、レバミソール、ミョウバン水酸化物(ミョウバン)、カルメット・ゲラン桿菌(ACG)、不完全フロイントアジュバント(IFA)、QS−21、DETOX、キーホールリムペットヘモシアニン(KLH)及びジニトロフェニル(DNP)が挙げられるがそれらに限定されない。他の免疫療法及び/又は化学療法と組み合わせた非サイトカインアジュバントは、例えば大腸癌及び結腸直腸癌(レバミソール);黒色腫(BCG及びQS−21);腎臓癌及び膀胱癌(BCG)を含む、種々の癌に対する効力を示した。
特異的又は非特異的ターゲットを有することに加えて、免疫療法剤は能動的であり得、すなわち、生体自身の免疫応答を刺激し得るか、又はそれらは受動的であり得、すなわち生体外で生成された免疫系成分を含み得る。
受動的で特異的な免疫療法は、典型的には、癌細胞の表面上に見られる特定の抗原に対して特異的であるか又は特定の細胞増殖因子に対して特異的である、1つ以上のモノクローナル抗体の使用を含む。モノクローナル抗体は、癌の処置における多くの方法に使用されることにより、例えば、特定の種類の癌に対する被験者の免疫応答を増強し得、血管形成に関与する因子などの特定の細胞増殖因子をターゲティングすることによるか、又は化学療法剤、放射性粒子もしくは毒素などの他の抗癌剤に連結もしくはコンジュゲートさせた場合に癌細胞への前記薬剤の送達を増強することにより癌細胞の増殖を妨害し得る。
本発明の組合せに包含するのに適した癌免疫療法剤として現在使用されているモノクローナル抗体としては、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))、イブリツモバブチウキセタン(ゼバリン(登録商標))、トシツモマブ(ベキサール(登録商標))、セツキシマブ(C−225、アービタックス(登録商標))、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標))、ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ(登録商標))、アレムツズマブ(キャンパス(登録商標))及びBL22が挙げられるがそれらに限定されない。モノクローナル抗体は、乳癌(進行転移性乳癌を含む)、結腸直腸癌(進行及び/又は転移性結腸直腸癌を含む)、卵巣癌、肺癌、前立腺癌、子宮頸癌、黒色腫及び脳腫瘍を含む、多種多様な癌の処置に使用される。他の例としては、抗CTLA4抗体(例えばイピリムマブ)、抗PD1抗体、抗PDL1抗体、抗TIMP3抗体、抗LAG3抗体、抗B7H3抗体、抗B7H4抗体、又は抗B7H6抗体が挙げられる。
モノクローナル抗体は、単独で又は他の免疫療法剤もしくは化学療法剤と組み合わせて使用され得る。
能動的で特異的な免疫療法は、典型的には、癌ワクチンの使用を含む。全癌細胞、癌細胞の一部、又は癌細胞に由来する1つ以上の抗原を含む、癌ワクチンが開発された。癌ワクチンは、単独で又は1つ以上の免疫療法剤もしくは化学療法剤と組み合わせて、黒色腫、腎臓癌、卵巣癌、乳癌、結腸直腸癌及び肺癌を含む、数種類の癌の処置において調べられている。生体の免疫応答を増強するために、癌ワクチンと組み合わせた非特異的な免疫療法剤が有用である。
免疫療法処置は、Nicholas P. Restifo, Mark E. Dudley及びSteven A. Rosenberg “Adoptive immunotherapy for cancer: harnessing the T cell response, Nature Reviews Immunology, Volume 12, April 2012に記載されているような養子免疫療法からなり得る。養子免疫療法では、患者の循環中のリンパ球又は腫瘍浸潤リンパ球をインビトロで単離し、IL−2などのリンホカインによって活性化させるか又は腫瘍壊死のための遺伝子を形質導入し、そして再投与する(Rosenberg et al., 1988; 1989)。活性化リンパ球は、最も好ましくは、血液又は腫瘍サンプルから前に単離され、そしてインビトロで活性化(又は「増殖」)された患者自身の細胞である。この形態の免疫療法は、数症例の黒色腫及び腎臓癌の退縮をもたらした。
本明細書に使用される「放射線療法剤」という用語は、癌を処置又は寛解するのに効果的であることが当業者に公知である任意の放射線療法剤を指すことを目的とするが、これに限定されない。例えば、放射線療法剤は、密封小線源療法又は放射線核種療法で投与されるような薬剤であり得る。このような方法は、場合によりさらに、例えば化学療法及び/又は別の放射線療法などであるが、これらに限定されない、1つ以上の追加の癌療法の処置を含み得る。
本発明のさらなる目的は、本発明の方法を実施するためのキットに関し、前記キットは、患者から得られたサンプル中の本発明の遺伝子クラスターの発現レベルを測定するための手段を含む。
キットは、上記したようなプローブ、プライマー、マクロアレイ、又はマイクロアレイを含み得る。例えば、キットは、通常、DNAから作られ、予めラベル化されていてもよい、上記に定義したような1セットのプローブを含み得る。あるいは、プローブはラベル化されていなくてもよく、ラベル化のための成分が、キット内の別々の容器に含まれていてもよい。キットはさらに、特定のハイブリダイゼーションプロトコールに必要とされる、ハイブリダイゼーション試薬又は他の適切にパッケージングされた試薬及び材料(固相マトリックス(適用可能である場合)及び標準物質を含む)を含み得る。あるいは、本発明のキットは、予めラベル化されていてもよいか、又はアフィニティ精製部分もしくは付着部分を含んでいてもよい、増幅プライマーを含み得る。キットはさらに、特定の増幅プロトコールに必要とされる、増幅試薬並びにまた他の適切にパッケージングされた試薬及び材料を含み得る。
表5の統計学的データに基づいた一例として、3つの適応遺伝子(CD3G+CCR2+GZMA)及び3つの抑制遺伝子(REN+PDCD1+VEGF)から構成されるキットが、抗VEGF処置(アバスチン)、特にGZMA/VEGFの組合せ、抗PD1処置、特にCD3G/PDCD1、CCR2/PDCD1、GZMA/PDCD1の組合せ、又は表5のP値によって示されるようなアジュバント化学療法を含む、療法に対する応答を予測するのに特に適している。
本発明のさらなる目的は、
− 上記の方法に従って癌患者をスクリーニングする工程、
− 患者が、ヒト適応免疫応答及びヒト免疫抑制応答の各々について良好な応答者であると結論づける工程、
− 患者に適切な抗癌処置、好ましくは化学療法処置又は免疫治療処置、好ましくは後者を施す工程
からなる工程を含む、癌の処置法である。
本発明の癌処置法の好ましい工程及び産物は前に記載されている通りである。
本発明は、以下の図面及び実施例によってさらに説明されるだろう。これらの実施例及び図面は、決して本発明の範囲を制限するものと捉えるべきではない。
図1は、遺伝子CD3G、GZMH及びITGAEについての及びその対応する最適な参照値についての、調製1に記載されているような73対の部分集合に関するカプランマイヤー曲線(時間(月)に対する無病生存率)を示す。 図2は、遺伝子CD3G、GZMH及びITGAEについての及びその対応する最適な参照値についての、調製1に記載されているような73対の部分集合に関するカプランマイヤー曲線(時間(月)に対する無病生存率)を示す。 図3は、遺伝子CD3G、GZMH及びITGAEについての及びその対応する最適な参照値についての、調製1に記載されているような73対の部分集合に関するカプランマイヤー曲線(時間(月)に対する無病生存率)を示す。 図4は、発現レベル値(横座標としての横軸)に対するp値の曲線(縦軸尺度10−4から10)を示す。x軸を横切る垂直方向の線(図4の22.26及び21.05における)は、それぞれカットポイントの最適値及び中央値を示す。HRの最適値は、カットポイントの最適値(無病生存期間曲線における)におけるハザード比の数値を示す。 図5は、発現レベル値(横座標としての横軸)に対するp値の曲線(縦軸尺度10−4から10)を示す。x軸を横切る垂直方向の線(図4の22.26及び21.05における)は、それぞれカットポイントの最適値及び中央値を示す。HRの最適値は、カットポイントの最適値(無病生存期間曲線における)におけるハザード比の数値を示す。 図6は、発現レベル値(横座標としての横軸)に対するp値の曲線(縦軸尺度10−4から10)を示す。x軸を横切る垂直方向の線(図4の22.26及び21.05における)は、それぞれカットポイントの最適値及び中央値を示す。HRの最適値は、カットポイントの最適値(無病生存期間曲線における)におけるハザード比の数値を示す。 図7は、ステージII/IIIの結腸直腸癌患者の無病生存期間(DFS)についてのカプランマイヤー曲線を示す。4つの群が示されており、2つの患者部分集合に化学療法を受けさせ(CHIMIO)、2つの他の部分集合は処置されなかった(NON)。HiHiの患者は、全ての他の患者(「その他」)と比較して、両方の遺伝子(CD8A及びCTLA4)の高い発現を有する。 図8は、結腸直腸癌のステージIVの患者の4つの部分集合のカプランマイヤー曲線を示す。2つの患者部分集合に化学療法を受けさせ(CHIMIO)、2つの他の部分集合は処置されなかった(NON)。HiHiの患者は、全ての他の患者(「その他」)と比較して、両方の遺伝子の高い発現を有する。 図9は、両方の種類の遺伝子の組合せを示す。線は、患者間の遺伝子発現パターンの類似性を示した2つの遺伝子間の相関を示す。 図10は、ステージI、II、IIIの結腸直腸癌患者の無病生存期間(DSF)についてのカプランマイヤー曲線を示す。4つの群が示されており、2つの患者部分集合に化学療法を受けさせ(CHIMIO)、2つの他の部分集合は処置されなかった(NON)。HiHiの患者は、全ての他の患者(「その他」)と比較して、両方の遺伝子(CD8A及びVEGFA)の高い発現を有する。 図11は、ステージII/IIIの結腸直腸癌患者の全生存期間(OS)についてのカプランマイヤー曲線を示す。4つの群が示されており、2つの患者部分集合に化学療法を受けさせ(CHIMIO)、2つの他の部分集合は処置されなかった(NON)。HiHiの患者は、全ての他の患者(「その他」)と比較して、両方の遺伝子(CD3E及びVEGFA)の高い発現を有する。 図12は、ステージII/IIIの結腸直腸癌患者の無病生存期間(DSF)についてのカプランマイヤー曲線を示す。4つの群が示されており、2つの患者部分集合に化学療法を受けさせ(CHIMIO)、2つの他の部分集合は処置されなかった(NON)。HiHiの患者は、全ての他の患者(「その他」)と比較して、両方の遺伝子(CD3G及びVEGFA)の高い発現を有する。 図13は、ステージI、II、IIIの結腸直腸癌患者の無病生存期間(DSF)についてのカプランマイヤー曲線を示す。4つの群が示されており、2つの患者部分集合に化学療法を受けさせ(CHIMIO)、2つの他の部分集合は処置されなかった(NON)。HiHiの患者は、全ての他の患者(「その他」)と比較して、両方の遺伝子(CD3G及びVEGFA)の高い発現を有する。 図14は、初期ステージ(I、II)の肺癌患者の全生存期間(OS)についてのカプランマイヤー曲線を示す。4つの群が示されており、2つの患者部分集合に化学療法を受けさせ(ACT)、2つの他の部分集合は処置されなかった(OBS)。HiHiの患者は、全ての他の患者(「その他」)と比較して、両方の遺伝子(図14:PDCD1及びCCL2、図15:PDCD1及びCD247、図16:PDCD1及びCD3E、図17:VEGFA及びCD3E、図18:PDCD1及びCXCL10)の高い発現を有する。 図15は、初期ステージ(I、II)の肺癌患者の全生存期間(OS)についてのカプランマイヤー曲線を示す。4つの群が示されており、2つの患者部分集合に化学療法を受けさせ(ACT)、2つの他の部分集合は処置されなかった(OBS)。HiHiの患者は、全ての他の患者(「その他」)と比較して、両方の遺伝子(図14:PDCD1及びCCL2、図15:PDCD1及びCD247、図16:PDCD1及びCD3E、図17:VEGFA及びCD3E、図18:PDCD1及びCXCL10)の高い発現を有する。 図16は、初期ステージ(I、II)の肺癌患者の全生存期間(OS)についてのカプランマイヤー曲線を示す。4つの群が示されており、2つの患者部分集合に化学療法を受けさせ(ACT)、2つの他の部分集合は処置されなかった(OBS)。HiHiの患者は、全ての他の患者(「その他」)と比較して、両方の遺伝子(図14:PDCD1及びCCL2、図15:PDCD1及びCD247、図16:PDCD1及びCD3E、図17:VEGFA及びCD3E、図18:PDCD1及びCXCL10)の高い発現を有する。 図17は、初期ステージ(I、II)の肺癌患者の全生存期間(OS)についてのカプランマイヤー曲線を示す。4つの群が示されており、2つの患者部分集合に化学療法を受けさせ(ACT)、2つの他の部分集合は処置されなかった(OBS)。HiHiの患者は、全ての他の患者(「その他」)と比較して、両方の遺伝子(図14:PDCD1及びCCL2、図15:PDCD1及びCD247、図16:PDCD1及びCD3E、図17:VEGFA及びCD3E、図18:PDCD1及びCXCL10)の高い発現を有する。 図18は、初期ステージ(I、II)の肺癌患者の全生存期間(OS)についてのカプランマイヤー曲線を示す。4つの群が示されており、2つの患者部分集合に化学療法を受けさせ(ACT)、2つの他の部分集合は処置されなかった(OBS)。HiHiの患者は、全ての他の患者(「その他」)と比較して、両方の遺伝子(図14:PDCD1及びCCL2、図15:PDCD1及びCD247、図16:PDCD1及びCD3E、図17:VEGFA及びCD3E、図18:PDCD1及びCXCL10)の高い発現を有する。 図19は、進行ステージの卵巣癌患者の無病生存期間(DFS)についてのカプランマイヤー曲線を示す。全ての患者に化学療法を受けさせた。完全な応答を示す2つの患者部分集合(CR)及び完全な応答を示さない他の2つの部分集合(IR)の、4つの群が示されている。HiHiの患者は、全ての他の患者(「その他」)と比較して、両方の遺伝子(CD1A及びCCL2)の高い発現を有する。 図20は、進行ステージの卵巣癌患者の無病生存期間(DFS)についてのカプランマイヤー曲線を示す。全ての患者に化学療法を受けさせた。完全な応答を示す2つの患者部分集合(CR)及び完全な応答を示さない他の2つの部分集合(IR)の、4つの群が示されている。HiHiの患者は、全ての他の患者(「その他」)と比較して、両方の遺伝子(CD1A及びCX3CL1)の高い発現を有する。 図21は、後期ステージ(III〜IV)の黒色腫患者のフィッシャーの正確確率検定分割表を示す。全ての患者に化学療法を受けさせた。完全な応答を示す2つの患者部分集合(CR)及び完全な応答を示さない他の2つの部分集合(PR、SD、PD)の、4つの群が示されている。HiHiの患者は、全ての他の患者(「その他」)と比較して、両方の遺伝子の高い発現を有する。HiHiの患者の代表例、例えば、REN/CCL5、CTLA4/CCL5、VEGFA/CD3E、CD276/CD8A、CTLA4/CD8A、PDCD1/STAT1、PDCD1/CXCL10、VEGFA/CXCL10、CD274/CXCL11、CTLA4/CXCL9が示されている。 図21は、後期ステージ(III〜IV)の黒色腫患者のフィッシャーの正確確率検定分割表を示す。全ての患者に化学療法を受けさせた。完全な応答を示す2つの患者部分集合(CR)及び完全な応答を示さない他の2つの部分集合(PR、SD、PD)の、4つの群が示されている。HiHiの患者は、全ての他の患者(「その他」)と比較して、両方の遺伝子の高い発現を有する。HiHiの患者の代表例、例えば、REN/CCL5、CTLA4/CCL5、VEGFA/CD3E、CD276/CD8A、CTLA4/CD8A、PDCD1/STAT1、PDCD1/CXCL10、VEGFA/CXCL10、CD274/CXCL11、CTLA4/CXCL9が示されている。
実施例1:
1.患者が、ヒト適応免疫応答及びヒト免疫抑制応答の各々について良好な応答者又は不良な応答者であるかどうかの決定
患者の結腸直腸腫瘍のサンプルによる遺伝子CD3G(免疫適応応答を示す遺伝子)及びREN(免疫抑制応答を示す遺伝子)の発現レベルが以下のように評価された:
患者はステージIIの結腸直腸癌を有していた。
前記患者の腫瘍組織サンプルを術後15分以内に瞬間凍結させ、液体窒素中で保存した。腫瘍の全RNAをRNeasy単離キット(Qiagen, Valencia, CA)を用いてのホモジナイゼーションによって単離した。RNAの完全性及び品質をバイオアナライザー−2100(Agilent Technologies, Palo Alto, CA)で評価した。RT−PCR実験を、製造業者の指示(Applied-Biosystems, Foster City, CA)に従って実施した。
定量リアルタイムTaqMan−PCRを、低密度アレイ及び7900ロボティックリアルタイムPCRシステム(Applied-Biosystems)を使用して実施した。18SリボソームRNAプライマー及びプローブを内部対照として使用した。
遺伝子発現分析を、18SリボソームRNA(dCt)に規準化されたCt値(閾値サイクル)を使用して実施した。
データを、SDSソフトウェアv2.2(Applied-Biosystems)及びTME統計モジュールを使用して分析した。
結果は以下の通りである:
CD3G: dCt=20.13
REN: dCt=20.15
関連参照値よりも低いdCt値は、シグナルがより早期に検出された、すなわち遺伝子の発現が高いことを意味する。
関連参照値よりも高いdCt値は、シグナルがより後期に検出された、すなわち遺伝子の発現が低いことを意味する。
上記の結果を、以下の以前に決定された参照値:ELRCD3G:22.26及びELRREN:21.48と比較した。
CD3GについてのdCtの結果は、参照値:ELRCD3Gよりも低いので、サンプルはこの基準に関して「高い」と判断される。RENについてのdCTの結果もまた参照値ELRRENよりも低いので、サンプルはこの基準に関して「高い」と判断される。
それ故、患者は、ヒト適応免疫応答についての良好な応答者及びヒト免疫抑制応答についての良好な応答者であると判断される。
2.患者が、化学療法(後期ステージの患者(ステージIV)についての標準的な治療法)又は抗PDL1mAbによる処置などの処置の恩恵を受けるかどうか=患者が、抗腫瘍処置に対する良好な応答者であるかどうかの決定
比較工程の結果は、CD3Gについての「Hi」値及びRENについての「Hi」値からなるので、中間の予後がもたらされ、考えられる化学療法を用いての処置又は抗PDL1mAbによる処置又は任意の他の効果的な処置は、患者の生存率に対して有意な影響を与えそうである。
それ故、患者は処置されるべきであり、処置の起こり得る副作用は、生存率の点で患者への恩恵によって正当化される。
実施例2:
1.患者が、ヒト適応免疫応答及びヒト免疫抑制応答の各々についての良好な応答者又は不良な応答者であるかどうかの決定
第二の患者の結腸直腸腫瘍のサンプルによる遺伝子CD3G及びRENの発現レベルが、実施例1の手順に従って評価された:
患者はステージIIの結腸直腸癌を有していた。
結果は以下の通りである:
CD3G: dCt=25.33
REN: dCt=31.51。
上記の結果を、上記と同じ決定された参照値と比較した。
CD3Gについての結果は参照値ELRCD3Gより高いので、サンプルはこの基準に関して「低い」と判断される。RENについての結果は参照値ELRRENよりも高いので、サンプルはこの基準に関して「低い」と判断される。
それ故、患者は、ヒト適応免疫応答についての不良な応答者及びヒト免疫抑制応答についての不良な応答者であると判断される。
2.患者が、化学療法又は抗PDL1mAbによる処置などの処置の恩恵を受けるかどうかの決定
比較工程の結果は、CD3Gについての「Lo」値及びRENについての「Lo」値からなるので、不良な予後がもたらされ、考えられる化学療法又は抗PDL1mAbによる処置を用いての抗腫瘍処置は、患者の生存率に対して有意な影響を全く与えないだろう。
それ故、化学療法又は抗PDL1mAbによる処置を用いて患者を処置することには、その処置が、生存率に対して価値ある効果を及ぼさず、また望ましくない副作用を誘発するであろうために、治療的関心が殆どないか又はない。
調製1:
「カットオフ」値からなる比較のために使用される参照値は、例えば、本明細書において以後に記載されているように予め決定され得る。
分析したRNAサンプルは108人の異なる患者からのものであった。これらの患者は、遺伝子発現実験のために使用された(Taqmanコホート)。コホートの観察時間は診断から最後の接触(死亡又は最後のフォローアップ)までの期間であった。データは、再発又は死亡しなかった患者については最後のフォローアップ時に検討されていた。進行/死亡又は最後のフォローアップまでの最小:最大値は、それぞれ、(0から136)か月であった。フォローアップデータが入手できなかった3人の患者は、生存分析から除外された。再発までの期間又は無病期間は、再発患者については手術日から確定腫瘍再発日までの期間として、また無病患者については手術日から最後のフォローアップ日までの期間として定義された。
組織病理学的所見及び臨床所見を、UICC−TNMステージ分類システムに従ってスコアリングした。術後患者の調査を、Laennec-HEGP病院で全ての患者についてCRC患者の一般的な慣行に従って実施した。アジュバント化学療法を、ステージII及びIIIのCRCを有する患者に施すか又は施さず、対症療法的な化学療法を、進行した結腸直腸癌患者(ステージIV)及び腫瘍の完全切除がなされていない患者に施した。アジュバント化学療法は、フルオロウラシル(FU)系であった。フォローアップデータを前向きに収集し、更新した。信頼し得るウェブベースのデータベース、TME.データベース(Tumor MicroEnvironment Database)をJava-2 Enterprise-Edition (J2EE)を使用して3層アーキテクチャ上に構築し、臨床データと高処理法によるデータを統合した。
a)1996年から2004年までの間にLaennec-HEGP病院(パリ、フランス)で腫瘍の初回切除を受けた結腸直腸癌(CRC)患者の記録が再調査された。十分なRNAの品質及び量を有する、1996年から2004年までのLaennec-HEGP病院から入手可能な凍結腫瘍サンプルが選択された(検証コホート1、n=108)。
b)108人の異なる患者からのRNAサンプルを、実施例1の技術を使用して、収集物の各腫瘍組織サンプルについての遺伝子CD8A及びCTLA4の発現レベルを決定するために分析した(Taqmanコホート);
c)腫瘍組織サンプルを、各遺伝子についてのその発現レベルに従って順位付けした。
d)分析された105個の腫瘍組織サンプルを、その発現レベルに従って順位付けされたそれぞれ増加しているメンバー番号、減少しているメンバー番号の部分集合の対に分類した:部分集合1の対:一方は遺伝子CD8Aの最善の発現レベルを有するサンプル、及び他方は遺伝子CD8Aのより低い発現レベルを有する全104個のサンプル。次いで、部分集合2の対:一方は遺伝子CD8Aの最善の発現レベルを有する2個のサンプル、及び他方は遺伝子CD8Aのより低い発現レベルを有する103個のサンプル等々、最後に、部分集合104の対;一方はCD8Aの最善の発現レベルを有する104個のサンプル、及び他方は遺伝子CD8Aの最も低い発現レベルを有するサンプル。
e)各腫瘍組織サンプルについて、対応する患者についての実際の臨床転帰に関する情報(すなわち、無病生存期間(DFS)又は全生存期間(OS)又はその両方)が得られた。コホートの観察時間は診断から最後の接触(死亡又は最後のフォローアップ)までの期間であった。データは、再発又は死亡しなかった患者については最後のフォローアップ時に検討されていた。進行/死亡又は最後のフォローアップまでの最小:最大値は、それぞれ、(0:136)か月であった。フォローアップデータが入手できなかった3人の患者は、生存分析から除外された。再発までの期間又は無病期間は、再発患者については手術日から確定腫瘍再発日までの期間として、また無病患者については手術日から最後のフォローアップ日までの期間として定義された。
f)部分集合の各対についてのカプランマイヤー曲線を描き:73人の異なる患者からの典型的なカプランマイヤー曲線を図1、2及び3に示す;
g)部分集合の各対についての両方の部分集合間の統計学的有意性(p値)を計算し、曲線で報告し;典型的な曲線は図2で示される。曲線は、一般的に凹面形であり、極端な部分集合の対は高いp値を有する。
h)参照値ELRは、p値が最小になるように選択される。
図1、2及び3は、遺伝子CD3G、GZMH及びITGAEについて及び対応する最適な参照値についての、調製1で記載されているような73対の部分集合に関する、カプランマイヤー曲線(時間(月)に対する無病生存率)を示す。患者群間の有意性を、ログランク検定を使用して計算した。P値を、Altman et al (Altman DG, et al J Natl Cancer Inst 86:829-35, 1994)によって提案された方法を適用して補正した。ハザード比(HR)を、Hollander et al (Hollander N, et al Stat Med 23:1701-13, 2004)によって示唆されているように補正した。
図1:CD3G。遺伝子CD3Gの参照値としてdCt=20.13を使用して、60個のメンバーの1つの部分集合(最も高い発現レベル)及び13個のメンバーの1つの部分集合(最も低い発現レベル)についての曲線が示されている。免疫遺伝子発現による再発の差異を示したDFSについてのカプランマイヤー曲線により、腫瘍内の高いCD3Gの発現に関連したより良好な予後(補正されたHR=3.74、P<0.0005)が判明した。生存率の中央値は、CD3Gの高い発現を有する患者については無限であり(達しない)、一方、CD3Gの低い発現を有する患者については僅か16か月であった。
図2:GZMH。遺伝子GZMHの参照値としてdCt=22.17を使用して、55個のメンバーの1つの部分集合(最も高い発現レベル)及び18個のメンバーの1つの部分集合(最も低い発現レベル)についての曲線が示されている。免疫遺伝子発現による再発の差異を示したDFSについてのカプランマイヤー曲線により、腫瘍内のGZMHの高い発現に関連したより良好な予後(補正されたHR=4.5、P<0.0005)が判明した。生存率の中央値は、GZMHの高い発現を有する患者については無限であり(達しない)、一方、GZMHの低い発現レベルを有する患者については僅か18か月であった。
図3:ITGAE。遺伝子ITGAEの参照値としてdCt=21.89を使用して、52個のメンバーの1つの部分集合(最も高い発現レベル)及び21個のメンバーの1つの部分集合(最も低い発現レベル)についての曲線が示されている。免疫遺伝子発現による再発の差異を示したDFSについてのカプランマイヤー曲線により、腫瘍内のITGAEの高い発現に関連したより良好な予後(補正されたHR=4.21、P<0.0005)が判明した。生存率の中央値は、ITGAEの高い発現を有する患者については無限であり(達しない)、一方、ITGAEの低い発現を有する患者については僅か16か月であった。
特に顕著には、73人の同じ患者群について、考えられる遺伝子に依存して、異なる部分集合対に対して最適の参照値が得られるという事実である。
図4、5及び6において、部分集合の対に対して、CD3GについてはおよそdCt=22.26、GZMHについてはおよそdCt=22.17、及びITGAEについてはおよそdCt=21.89の量に対応する最小p値が得られる。
患者群間の有意性を、ログランク検定を使用して計算した。P値及びハザード比(HR)を以前と同じように補正した。遺伝子発現についてのカットポイントを関数としたP値のプロットを示す図は、有意なカットポイントの範囲(P<0.05)、及び最適なカットポイントに対応するピーク(これは、さらに参照値ELRとして使用され得る)を明らかにする。
遺伝子とステージII〜IIIの癌を患う73人の一団の患者との種々の組合せに対する参照値ELRが上記方法に従って得られ、本明細書における以下の表4に報告されている。第一の遺伝子はヒト適応免疫応答を示し、第二の遺伝子はヒト免疫抑制応答を示す。この表において、各遺伝子の後に、上記の手順に従って得られたその対応する参照値が続く。

本明細書における以下の表5は、以下の患者群間の同じ遺伝子対についての比較の結果を要約する:
− 「HiHi」と分類され化学療法剤による処置を受けさせた患者、対、「HiHi」と分類されたが化学療法剤による処置を受けさせなかった患者、
− 「HiHi」と分類されなかったが(=その他)化学療法剤による処置を受けさせた患者、対、「HiHi」と分類されなかったが化学療法剤による処置を受けさせなかった患者。
結果は、無病生存率についてのログランクp値及び補正されたHR(ハザード比)で表現される。ログランクは、各々の観察されたイベント時間における2つの群のハザード関数の推定値を比較する、周知の統計学的検定である。ログランクは、各々の観察されたイベント時間における群の1つにおいて観察されたイベントの数及び予想されたイベントの数をコンピューター計算し、その後、これらを加算して、イベントがあった全ての時点における全体的な合計を得ることによって構築される。
ハザード比の補正は、Hollanderに従って以前と同じように行なわれた。

CD3G−VEGF、CD3E−VEGF及びCD8A−VEGFなどの他の遺伝子対を用いて得られた結果が本明細書において以下に提供される。
0.05未満のログランクP値が有意である。
その数値が無限である補正されたハザード比は、腫瘍の再発がないことを明らかとする。2つの曲線間のギャップは無限であり、P値は非常に有意である。
逆に、その数値が1又は1に近い補正されたハザード比は、両方の部分集合の患者の曲線が重なることを明らかとする。それ故、一方の曲線が処置された患者を示し、他方の曲線が処置されていない患者を示すので、処置は無効であったと結論付けられる。
結果の分析
例えば、第一の遺伝子対(CCL5−REN)について
− 0.0000(<0.0001)、それ故0.05未満のログランクP値は有意であり、補正されたハザード比の数値は無限であり、このことは、両方の遺伝子について高い発現レベルを有する患者群について、処置患者群において腫瘍の再発はなく、化学療法剤による処置が、患者の容態に対して重要な改善をもたらしたことを意味する。
− 他方で、両方の遺伝子について高い発現レベルを有さない3つの患者群について、補正されたハザード比の数値は、1に近い0.47であり(なぜなら、曲線は互いに近いからである(この種の典型的な曲線が図7に例示されている−3つの下の曲線))、かつ有意ではないP値である。それ故、両方の遺伝子について高い発現レベルを有さない患者については、化学療法剤による処置は、患者の容態に対して改善をもたらさなかった。
結論:それ故、表5の結果は、全遺伝子対の両方の遺伝子の発現レベルについての参照値が、化学療法剤による処置が、処置患者の容態に対して改善をもたらすかどうかを決定することを可能とすることを示す。手順に従ったこれらの遺伝子の組合せは、それ故、処置に対する応答の予測マーカーである。
図7は、癌ステージII/IIIの患者の4つの部分集合についてのDFSについてのカプランマイヤー曲線を示す。1対の部分集合の患者(CHIMIO)に化学療法を受けさせ、第二の部分集合の対の患者(NON=化学療法なし)には処置しなかった。各対は、「HiHi」患者の部分集合を含み、他の対は3つの他の患者群(その他)によって構成される。
曲線の記号の説明表:
実線:「Hi−Hi」処置患者(14人の患者)
点線:「Hi−Hi」の非処置患者(25人の患者)
破線:処置された「他の」患者(12人の患者)。
交互に並んだ点及び線から構成された線:非処置の「他の」患者(22人の患者)。
曲線の分析は、以下を示す:
− 0.0000(<0.0001)、それ故0.05未満のログランクP値が有意であり、補正されたハザード比の数値は無限であり、このことは、化学療法を受けた「HiHi」患者が、120か月後に腫瘍を再発しなかったことを意味する。
− 処置又は非処置の「他の」患者の曲線は類似している。それ故、抗腫瘍処置は、非「Hi−Hi」患者群に属する患者に対して有意で有益な効果をもたらさなかった。
− 処置又は非処置「HiHi」患者の曲線は異なる。非処置HiHi患者は、処置又は非処置の「その他」と類似した生存期間を有する。これに対し、処置HiHi患者は、延長された生存期間を有する。生存期間は、任意の他の患者群と比較して、「Hi−Hi」処置患者(抗腫瘍応答に対する応答者)からなる群においてかなり増強されている。
従って、ヒト適応免疫応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベル及びヒト免疫抑制応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベルと、予め決定された参照値との比較は、リスク−ベネフィットの平衡が患者にとって好ましいという意味で、患者が、癌に対して成功裡に処置され得るか否かを決定するための信頼性のある基準である。これは、患者をこのような遺伝子の組合せで層別化して、処置に対する患者の応答を予測することの価値を示す。
絶対参照値は、遺伝子の発現レベルを評価するための所与の方法に極めて特異的である。勿論、比較目的のために、同じ単位が好ましくは使用されるべきである。遺伝子の発現レベルを決定するために使用される技術が、定量PCRなどの指数関数的な現象を意味する場合、捕正された参照値が好ましくは使用されるべきである。本実験において、ハウスキーピング遺伝子(18S)と比較して規準化されたdCt値を使用した。
図8は、図7の曲線の種類の、癌ステージIVの患者の4つの部分集合についてのOSについてのカプランマイヤー曲線を示す。
曲線の記号の説明表は、図7と同じである:
実線:「Hi−Hi」処置患者(9人の患者)
点線:「Hi−Hi」の非処置患者(9人の患者)
破線:処置された「他の」患者(8人の患者)。
交互に並んだ点及び線から構成された線:非処置の「他の」患者(3人の患者)。
曲線の分析は、以下を示す:
− 両方の遺伝子について高い発現レベルを有する患者群は最善の生存率を有するが、化学療法で処置された患者群では、非処置患者と比較して、患者の容態に対する改善はなかった。
− 他方で、両方の遺伝子について高い発現レベルを有さない2つの患者群については、非処置患者が最悪の転帰(6か月後に50%の再発)を有し、化学療法で処置された患者は、延長された無病生存期間(20か月後に50%の再発)を有し、処置後のこれらの患者の容態に対する改善を示した。
従って、ヒト適応免疫応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベル及びヒト免疫抑制応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベルと、予め決定された参照値との比較は、リスク−ベネフィットの平衡が患者にとって好ましいという意味で、患者が、癌に対して成功裡に処置され得るか否かを決定するための信頼性のある基準である。これは、患者をこのような遺伝子の組合せで層別化して、処置に対する患者の応答を予測することの価値を示す。
絶対参照値は、遺伝子の発現レベルを評価するための所与の方法に極めて特異的である。勿論、比較目的のために、同じ単位が好ましくは使用されるべきである。遺伝子の発現レベルを決定するために使用される技術が、定量PCRなどの指数関数的な現象を意味する場合、補正された参照値が好ましくは使用されるべきである。本実験において、ハウスキーピング遺伝子(18S)と比較して規準化されたdCt値を使用した。
図9は、両方の種類の遺伝子のいくつかの組合せを示す。白い点は適応免疫応答を示す遺伝子を示し、黒い点は免疫抑制応答を示す遺伝子を示す。両方の種類の遺伝子間の線は、遺伝子組合せの有意な相関を示す。太い線が最も有意である。多くの接続されている線を含む遺伝子は、数個の線又は1本の線しか含まない遺伝子よりも汎用的である。例えば、適応免疫応答を示す遺伝子CD3Gは、免疫抑制応答を示す5つの異なる遺伝子に太い線によって連結されている。それ故、遺伝子CD3Gは、適応免疫応答を示す極めて汎用的な遺伝子である。他方で、PDCD1は、適応免疫応答を示す種々の遺伝子に数多くの太い線によって連結されている。それ故、遺伝子PDCD1は、免疫抑制応答を示す極めて汎用的な遺伝子である。
図10は、結腸直腸癌ステージI/III患者の4つの部分集合についてのカプランマイヤー曲線を示す。1対の部分集合の患者(CHIMIO)に化学療法を受けさせ、第二の対の部分集合の患者(NON=化学療法なし)には処置しなかった。各対は、「Hi−Hi」患者の部分集合を含み、他の対は3つの他の患者群(その他)によって構成される。
曲線の記号の説明表:
実線:「Hi−Hi」処置患者(3人の患者)
点線:「Hi−Hi」の非処置患者(11人の患者)
破線:処置された「他の」患者(24人の患者)。
交互に並んだ点及び線から構成された線:非処置の「他の」患者(58人の患者)。
曲線の分析は、以下を示す:
− 処置又は非処置の「他の」患者の曲線は類似している。それ故、抗腫瘍処置は、非「Hi−Hi」患者群に属する患者に対して有意で有益な効果をもたらさなかった。
− 処置又は非処置の「Hi−Hi」患者の曲線は異なる。非処置HiHi患者は、処置又は非処置の「その他」と類似した生存期間を有する。これに対し、処置HiHi患者は、延長された生存期間を有する。生存期間は、あらゆる他の患者群と比較して、「Hi−Hi」処置患者(抗腫瘍処置に対する応答者)からなる群においてかなり増強されている。
従って、ヒト適応免疫応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベル及びヒト免疫抑制応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベルと、予め決定された参照値との比較は、リスク−ベネフィットの平衡が患者にとって好ましいという意味で、患者が、癌に対して成功裡に処置され得るか否かを決定するための信頼性のある基準である。これは、患者をこのような遺伝子の組合せで層別化して、処置に対する患者の応答を予測することの価値を示す。
絶対参照値は、遺伝子の発現レベルを評価するための所与の方法に極めて特異的である。勿論、比較目的のために、同じ単位が好ましくは使用されるべきである。遺伝子の発現レベルを決定するために使用される技術が、定量PCRなどの指数関数的な現象を意味する場合、補正された参照値が好ましくは使用されるべきである。本実験において、ハウスキーピング遺伝子(18S)と比較して規準化されたdCt値を使用した。
図11は、結腸直腸癌ステージII/III患者の4つの部分集合についてのカプランマイヤー曲線を示す。1対の部分集合の患者(CHIMIO)に化学療法を受けさせ、第二の対の部分集合の患者(NON=化学療法なし)には処置しなかった。各対は、「Hi−Hi」患者の部分集合を含み、他の対は3つの他の患者群(その他)によって構成される。
曲線の記号の説明表:
実線:「Hi−Hi」処置患者(15人の患者)
点線:「Hi−Hi」の非処置患者(20人の患者)
破線:処置された「他の」患者(11人の患者)。
交互に並んだ点及び線から構成された線:非処置の「他の」患者(28人の患者)。
曲線の分析は、以下を示す:
− 処置又は非処置の「他の」患者の曲線は類似している。それ故、抗腫瘍処置は、非「Hi−Hi」患者群に属する患者に対して有意で有益な効果をもたらさなかった。
− 処置又は非処置の「Hi−Hi」患者の曲線は異なる。非処置HiHi患者は、処置又は非処置の「その他」と類似した生存期間を有する。これに対し、処置HiHi患者は、延長された生存期間を有する。生存期間は、あらゆる他の患者群と比較して、「Hi−Hi」処置患者(抗腫瘍処置に対する応答者)からなる群においてかなり増強されている。
従って、ヒト適応免疫応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベル及びヒト免疫抑制応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベルと、予め決定された参照値との比較は、リスク−ベネフィットの平衡が患者にとって好ましいという意味で、患者が、癌に対して成功裡に処置され得るか否かを決定するための信頼性のある基準である。これは、患者をこのような遺伝子の組合せで層別化して、処置に対する患者の応答を予測することの価値を示す。
絶対参照値は、遺伝子の発現レベルを評価するための所与の方法に極めて特異的である。勿論、比較目的のために、同じ単位が好ましくは使用されるべきである。遺伝子の発現レベルを決定するために使用される技術が、定量PCRなどの指数関数的な現象を意味する場合、補正された参照値が好ましくは使用されるべきである。本実験において、ハウスキーピング遺伝子(18S)と比較して規準化されたdCt値を使用した。
図12は、結腸直腸癌ステージII/III患者の4つの部分集合についてのカプランマイヤー曲線を示す。1対の部分集合の患者(CHIMIO)に化学療法を受けさせ、第二の対の部分集合の患者(NON=化学療法なし)には処置しなかった。各対は、「Hi−Hi」患者の部分集合を含み、他の対は3つの他の患者群(その他)によって構成される。
曲線の記号の説明表:
実線:「Hi−Hi」処置患者(14人の患者)
点線:「Hi−Hi」の非処置患者(22人の患者)
破線:処置された「他の」患者(12人の患者)。
交互に並んだ点及び線から構成された線:非処置の「他の」患者(26人の患者)。
曲線の分析は、以下を示す:
− 処置又は非処置の「他の」患者の曲線は類似している。それ故、抗腫瘍処置は、非「Hi−Hi」患者群に属する患者に対して有意で有益な効果をもたらさなかった。
− 処置又は非処置の「Hi−Hi」患者の曲線は異なる。非処置HiHi患者は、処置又は非処置の「その他」と類似した生存期間を有する。これに対し、処置HiHi患者は、延長された生存期間を有する。生存期間は、あらゆる他の患者群と比較して、「Hi−Hi」処置患者(抗腫瘍処置に対する応答者)からなる群においてかなり増強されている。
HiHi患者群において、非処置患者と処置患者の間のDFSについてのハザード比は6.36(p<0.05)であり、非処置患者と処置患者の間のOSについてのハザード比は4.81(p<0.05)である。
従って、ヒト適応免疫応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベル及びヒト免疫抑制応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベルと、予め決定された参照値との比較は、リスク−ベネフィットの平衡が患者にとって好ましいという意味で、患者が、癌に対して成功裡に処置され得るか否かを決定するための信頼性のある基準である。これは、患者をこのような遺伝子の組合せで層別化して、処置に対する患者の応答を予測することの価値を示す。
絶対参照値は、遺伝子の発現レベルを評価するための所与の方法に極めて特異的である。勿論、比較目的のために、同じ単位が好ましくは使用されるべきである。遺伝子の発現レベルを決定するために使用される技術が、定量PCRなどの指数関数的な現象を意味する場合、補正された参照値が好ましくは使用されるべきである。本実験において、ハウスキーピング遺伝子(18S)と比較して規準化されたdCt値を使用した。
図13は、結腸直腸癌ステージI/III患者の4つの部分集合についてのカプランマイヤー曲線を示す。1対の部分集合の患者(CHIMIO)に化学療法を受けさせ、第二の対の部分集合の患者(NON=化学療法なし)には処置しなかった。各対は、「Hi−Hi」患者の部分集合を含み、他の対は3つの他の患者群(その他)によって構成される。
曲線の記号の説明表:
実線:「Hi−Hi」処置患者(3人の患者)
点線:「Hi−Hi」の非処置患者(12人の患者)
破線:処置された「他の」患者(24人の患者)。
交互に並んだ点及び線から構成された線:非処置の「他の」患者(57人の患者)。
曲線の分析は、以下を示す:
− 処置又は非処置の「他の」患者の曲線は類似している。それ故、抗腫瘍処置は、非「Hi−Hi」患者群に属する患者に対して有意で有益な効果をもたらさなかった。
− 処置又は非処置の「Hi−Hi」患者の曲線は異なる。非処置HiHi患者は、処置又は非処置の「その他」と類似した生存期間を有する。これに対し、処置HiHi患者は、延長された生存期間を有する。生存期間は、あらゆる他の患者群と比較して、「Hi−Hi」処置患者(抗腫瘍処置に対する応答者)からなる群においてかなり増強されている。
従って、ヒト適応免疫応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベル及びヒト免疫抑制応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベルと、予め決定された参照値との比較は、リスク−ベネフィットの平衡が患者にとって好ましいという意味で、患者が、癌に対して成功裡に処置され得るか否かを決定するための信頼性のある基準である。これは、患者をこのような遺伝子の組合せで層別化して、処置に対する患者の応答を予測することの価値を示す。
絶対参照値は、遺伝子の発現レベルを評価するための所与の方法に極めて特異的である。勿論、比較目的のために、同じ単位が好ましくは使用されるべきである。遺伝子の発現レベルを決定するために使用される技術が、定量PCRなどの指数関数的な現象を意味する場合、補正された参照値が好ましくは使用されるべきである。本実験において、ハウスキーピング遺伝子(18S)と比較して規準化されたdCt値を使用した。
図14は、肺癌初期ステージ(I/II)患者の4つの部分集合についてのカプランマイヤー曲線を示す。1対の部分集合の患者(ACT)に化学療法を受けさせ、第二の対の部分集合の患者(OBS=化学療法なし)には処置しなかった。各対は、「Hi−Hi」患者の部分集合を含み、他の対は3つの他の患者群(その他)によって構成される。
曲線の記号の説明表:
実線:「Hi−Hi」処置患者(7人の患者)
点線:「Hi−Hi」の非処置患者(4人の患者)
破線:処置された「他の」患者(43人の患者)。
交互に並んだ点及び線から構成された線:非処置の「他の」患者(36人の患者)。
曲線の分析は、以下を示す:
− 処置又は非処置の「他の」患者の曲線は類似している。それ故、抗腫瘍処置は、非「Hi−Hi」患者群に属する患者に対して有意で有益な効果をもたらさなかった。
− 処置又は非処置の「Hi−Hi」患者の曲線は異なる。非処置HiHi患者は、処置又は非処置の「その他」と比較して不良な予後を有する。これに対し、「Hi−Hi」処置患者(抗腫瘍処置に対する応答者)からなる群は、非処置HiHi患者よりも良好な生存率を有する。
従って、ヒト適応免疫応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベル及びヒト免疫抑制応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベルと、予め決定された参照値との比較は、リスク−ベネフィットの平衡が患者にとって好ましいという意味で、患者が、癌に対して成功裡に処置され得るか否かを決定するための信頼性のある基準である。これは、患者をこのような遺伝子の組合せで層別化して、処置に対する患者の応答を予測することの価値を示す。
図15は、肺癌初期ステージ(I/II)患者の4つの部分集合についてのカプランマイヤー曲線を示す。1対の部分集合の患者(ACT)に化学療法を受けさせ、第二の対の部分集合の患者(OBS=化学療法なし)には処置しなかった。各対は、「Hi−Hi」患者の部分集合を含み、他の対は3つの他の患者群(その他)によって構成される。
曲線の記号の説明表:
実線:「Hi−Hi」処置患者(3人の患者)
点線:「Hi−Hi」の非処置患者(4人の患者)
破線:処置された「他の」患者(46人の患者)。
交互に並んだ点及び線から構成された線:非処置の「他の」患者(37人の患者)。
曲線の分析は、以下を示す:
− 処置又は非処置の「他の」患者の曲線は類似している。それ故、抗腫瘍処置は、非「Hi−Hi」患者群に属する患者に対して有意で有益な効果をもたらさなかった。
− 処置又は非処置の「HiHi」患者の曲線は異なる。非処置HiHi患者は、処置又は非処置の「その他」と類似した生存期間を有する。これに対し、処置HiHi患者は、延長された生存期間を有する。生存期間は、あらゆる他の患者群と比較して、「Hi−Hi」処置患者(抗腫瘍処置に対する応答者)からなる群においてかなり増強されている。
従って、ヒト適応免疫応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベル及びヒト免疫抑制応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベルと、予め決定された参照値との比較は、リスク−ベネフィットの平衡が患者にとって好ましいという意味で、患者が、癌に対して成功裡に処置され得るか否かを決定するための信頼性のある基準である。これは、患者をこのような遺伝子の組合せで層別化して、処置に対する患者の応答を予測することの価値を示す。
図16は、肺癌初期ステージ(I/II)患者の4つの部分集合についてのカプランマイヤー曲線を示す。1対の部分集合の患者(ACT)に化学療法を受けさせ、第二の対の部分集合の患者(OBS=化学療法なし)には処置しなかった。各対は、「Hi−Hi」患者の部分集合を含み、他の対は3つの他の患者群(その他)によって構成される。
曲線の記号の説明表:
実線:「Hi−Hi」処置患者(11人の患者)
点線:「Hi−Hi」の非処置患者(7人の患者)
破線:処置された「他の」患者(39人の患者)。
交互に並んだ点及び線から構成された線:非処置の「他の」患者(33人の患者)。
曲線の分析は、以下を示す:
− 処置又は非処置の「他の」患者の曲線は類似している。それ故、抗腫瘍処置は、非「Hi−Hi」患者群に属する患者に対して有意で有益な効果をもたらさなかった。
− 処置又は非処置の「HiHi」患者の曲線は異なる。非処置HiHi患者は、処置又は非処置の「その他」と比較して不良な予後を有する。これに対し、「Hi−Hi」処置患者(抗腫瘍処置に対する応答者)からなる群は、非処置HiHi患者よりも良好な生存率を有する。
従って、ヒト適応免疫応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベル及びヒト免疫抑制応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベルと、予め決定された参照値との比較は、リスク−ベネフィットの平衡が患者にとって好ましいという意味で、患者が、癌に対して成功裡に処置され得るか否かを決定するための信頼性のある基準である。これは、患者をこのような遺伝子の組合せで層別化して、処置に対する患者の応答を予測することの価値を示す。
図17は、肺癌初期ステージ(I/II)患者の4つの部分集合についてのカプランマイヤー曲線を示す。1対の部分集合の患者(ACT)に化学療法を受けさせ、第2の対の部分集合の患者(OBS=化学療法なし)には処置しなかった。各対は、「Hi−Hi」患者の部分集合を含み、他の対は3つの他の患者群(その他)によって構成される。
曲線の記号の説明表:
実線:「Hi−Hi」処置患者(39人の患者)
点線:「Hi−Hi」の非処置患者(33人の患者)
破線:処置された「他の」患者(11人の患者)。
交互に並んだ点及び線から構成された線:非処置の「他の」患者(7人の患者)。
曲線の分析は、以下を示す:
− 処置又は非処置の「他の」患者の曲線は類似している。それ故、抗腫瘍処置は、非「Hi−Hi」患者群に属する患者に対して有意で有益な効果をもたらさなかった。
− 処置又は非処置の「HiHi」患者の曲線は異なる。非処置HiHi患者は、処置又は非処置の「その他」と類似した生存期間を有する。これに対し、処置HiHi患者は、延長された生存期間を有する。生存期間は、あらゆる他の患者群と比較して、「Hi−Hi」処置患者(抗腫瘍処置に対する応答者)からなる群においてかなり増強されている。
従って、ヒト適応免疫応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベル及びヒト免疫抑制応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベルと、予め決定された参照値との比較は、リスク−ベネフィットの平衡が患者にとって好ましいという意味で、患者が、癌に対して成功裡に処置され得るか否かを決定するための信頼性のある基準である。これは、患者をこのような遺伝子の組合せで層別化して、処置に対する患者の応答を予測することの価値を示す。
図18は、肺癌初期ステージ(I/II)患者の4つの部分集合についてのカプランマイヤー曲線を示す。1対の部分集合の患者(ACT)に化学療法を受けさせ、第二の対の部分集合の患者(OBS=化学療法なし)には処置しなかった。各対は、「Hi−Hi」患者の部分集合を含み、他の対は3つの他の患者群(その他)によって構成される。
曲線の記号の説明表:
実線:「Hi−Hi」処置患者(9人の患者)
点線:「Hi−Hi」の非処置患者(7人の患者)
破線:処置された「他の」患者(41人の患者)。
交互に並んだ点及び線から構成された線:非処置の「他の」患者(33人の患者)。
曲線の分析は、以下を示す:
− 処置又は非処置の「他の」患者の曲線は類似している。それ故、抗腫瘍処置は、非「Hi−Hi」患者群に属する患者に対して有意で有益な効果をもたらさなかった。
− 処置又は非処置の「Hi−Hi」患者の曲線は異なる。非処置HiHi患者は、処置又は非処置の「その他」と比較して不良な予後を有する。これに対し、「Hi−Hi」処置患者(抗腫瘍処置に対する応答者)からなる群は、非処置HiHi患者よりも良好な生存率を有する。
従って、ヒト適応免疫応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベル及びヒト免疫抑制応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベルと、予め決定された参照値との比較は、リスク−ベネフィットの平衡が患者にとって好ましいという意味で、患者が、癌に対して成功裡に処置され得るか否かを決定するための信頼性のある基準である。これは、患者をこのような遺伝子の組合せで層別化して、処置に対する患者の応答を予測することの価値を示す。
図19は、進行卵巣癌患者の4つの部分集合についてのOSについてのカプランマイヤー曲線を示す。患者に化学療法を受けさせ、4つの部分集合の患者を分類した。完全応答を示す患者(CR)及び完全応答を示さない患者(IR)。各対は「Hi−Hi」患者の部分集合を含み、他の対は3つの他の患者群(その他)によって構成される。
曲線の記号の説明表:
実線:「Hi−Hi」処置患者(15人の患者)
点線:「Hi−Hi」の非処置患者(8人の患者)
破線:処置された「他の」患者(3人の患者)。
交互に並んだ点及び線から構成された線:非処置の「他の」患者(2人の患者)。
曲線の分析は、以下を示す:
− 処置又は非処置の「他の」患者の曲線は類似している。それ故、抗腫瘍処置は、非「Hi−Hi」患者群に属する患者に対して有意で有益な効果をもたらさなかった。
− 処置又は非処置の「Hi−Hi」患者の曲線は異なる。非処置HiHi患者は、処置又は非処置の「その他」と類似した生存期間を有する。これに対し、処置HiHi患者は、延長された生存期間を有する。生存期間は、あらゆる他の患者群と比較して、「Hi−Hi」処置患者(抗腫瘍処置に対する応答者)からなる群においてかなり増強されている。
従って、ヒト適応免疫応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベル及びヒト免疫抑制応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベルと、予め決定された参照値との比較は、リスク−ベネフィットの平衡が患者にとって好ましいという意味で、患者が、癌に対して成功裡に処置され得るか否かを決定するための信頼性のある基準である。これは、患者をこのような遺伝子の組合せで層別化して、処置に対する患者の応答を予測することの価値を示す。
図20は、進行卵巣癌患者の4つの部分集合についてのOSについてのカプランマイヤー曲線を示す。患者に化学療法を受けさせ、4つの部分集合の患者を分類した。完全応答を示す患者(CR)及び完全応答を示さない患者(IR)。各対は「Hi−Hi」患者の部分集合を含み、他の対は3つの他の患者群(その他)によって構成される。
曲線の記号の説明表:
実線:「Hi−Hi」処置患者(16人の患者)
点線:「Hi−Hi」の非処置患者(7人の患者)
破線:処置された「他の」患者(2人の患者)。
交互に並んだ点及び線から構成された線:非処置の「他の」患者(3人の患者)。
曲線の分析は、以下を示す:
− 処置又は非処置の「他の」患者の曲線は類似している。それ故、抗腫瘍処置は、非「Hi−Hi」患者群に属する患者に対して有意で有益な効果をもたらさなかった。
− 処置又は非処置の「Hi−Hi」患者の曲線は異なる。非処置HiHi患者は、処置又は非処置の「その他」と類似した生存期間を有する。これに対し、処置HiHi患者は、延長された生存期間を有する。生存期間は、あらゆる他の患者群と比較して、「Hi−Hi」処置患者(抗腫瘍処置に対する応答者)からなる群においてかなり増強されている。
従って、ヒト適応免疫応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベル及びヒト免疫抑制応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベルと、予め決定された参照値との比較は、リスク−ベネフィットの平衡が患者にとって好ましいという意味で、患者が、癌に対して成功裡に処置され得るか否かを決定するための信頼性のある基準である。これは、患者をこのような遺伝子の組合せで層別化して、処置に対する患者の応答を予測することの価値を示す。
図21は、後期ステージ(III−IV)黒色腫患者のフィッシャーの正確確率検定分割表を示す。全患者に化学療法を受けさせた。完全な応答を示す患者の2つの部分集合(CR)及び完全な応答を示さない他の2つの部分集合(PR、SD、PD)の、4つの群が示されている。HiHiの患者は、全ての他の患者(「その他」)と比較して、両方の遺伝子の高い発現を有する。HiHiの患者の代表例、例えば、REN/CCL5、CTLA4/CCL5、VEGFA/CD3E、CD276/CD8A、CTLA4/CD8A、PDCD1/STAT1、PDCD1/CXCL10、VEGFA/CXCL10、CD274/CXCL11、CTLA4/CXCL9が例示されている。有意なフィッシャーの正確確率検定は、HiHi遺伝子の組合せを有する患者対その他は、異なる疾病転帰及び処置に対する異なる応答を有するという事実を示す。HiHiを有する患者は、処置に対する完全な応答の頻度が増加している。
従って、ヒト適応免疫応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベル及びヒト免疫抑制応答を示す1つ又はいくつかの遺伝子の発現レベルと、予め決定された参照値との比較は、リスク−ベネフィットの平衡が患者にとって好ましいという意味で、患者が、癌に対して成功裡に処置され得るか否かを決定するための信頼性のある基準である。これは、患者をこのような遺伝子の組合せで層別化して、処置に対する患者の応答を予測することの価値を示す。
The continuum of cancer immunosurveillance: prognostic, predictive and mechanistic signatures, Galon J*, Angell HK, Bedognetti D, and Marincola F, Immunity. 2013 July 39(1), 11-26は、本発明の方法によって得られた結果と、好ましい疾病の転帰との間の良好な関連をさらに示す。
参考文献:
本出願全体を通して、種々の参考文献が、本発明が属する当技術分野の最新技術を記載している。これらの参考文献の開示は、本開示への参照により本明細書に組み入れられる。

Claims (4)

  1. )ステージIからIIIの固形癌患者から得られた腫瘍サンプルにおいて、ヒト適応免疫応答を示す少なくとも1つの遺伝子の発現レベル、及びヒト免疫抑制応答を示す少なくとも1つの遺伝子の発現レベルを決定する工程、
    ii)工程i)で決定された前記ヒト適応免疫応答を示す少なくとも1つの遺伝子の発現レベル、及び前記ヒト免疫抑制応答を示す少なくとも1つの遺伝子の発現レベルを、前記ヒト適応免疫応答を示す少なくとも1つの遺伝子、及び前記ヒト免疫抑制応答を示す少なくとも1つの遺伝子について予め決定された参照値と比較する工程であって、前記予め決定された参照値は、前記遺伝子の発現レベル並びにカプランマイヤー曲線分析による患者の生存及び関連したログランクp値に従って、一団の癌患者を2つのグループに分別するように選択される、工程、
    iii)前記患者は、適応免疫応答及び免疫抑制応答が良好(予め決定された参照値よりも高いレベル)又は不良(予め決定された参照値よりも低いレベル)かどうかを結論付ける工程、及び
    iv)患者が上記良好適応免疫応答及び上記良好な免疫抑制応答を有する場合に、抗腫瘍処置を受けるの有利である決定し、患者が上記不良な適応免疫応答及び上記不良な免疫抑制応答を有する場合、患者が上記良好な適応免疫応答及び上記不良な免疫抑制応答を有する場合、並びに、患者が上記不良な適応免疫応答及び上記良好な免疫抑制応答を有する場合に、抗腫瘍処置を受けるのに有利でないと決定する工程、
    を含む、ステージIからIIIの固形癌患者の抗腫瘍治療への応答性を評価するためのデータを提供するための方法であって、
    該ヒト適応免疫応答を示す少なくとも1つの遺伝子が、
    からなる群より選択され、かつ
    前記ヒト免疫抑制応答を示す少なくとも1つの遺伝子が、
    からなる群より選択される、方法。
  2. 適応免疫応答を示す1つの遺伝子及び免疫抑制応答を示す1つの遺伝子を、工程i)において使用する、請求項1記載の方法。
  3. 一対のヒト適応免疫応答を示す遺伝子及びヒト免疫抑制応答を示す遺伝子が、
    からなる群より選択される、請求項1又は2記載の方法。
  4. 請求項1〜3の一項の方法の、ヒト適応免疫応答を示す少なくとも1つの遺伝子の発現レベル及びヒト免疫抑制応答を示す少なくとも1つの遺伝子の発現レベルの決定の工程を実施するためのキットであって、該キットが、該適応免疫応答の少なくとも1つの遺伝子及び該免疫抑制応答の少なくとも1つの遺伝子に特異的なプローブ、プライマー又は抗体を含む、キット。
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