以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
まず、図1〜図3を参照して、本実施形態に係るショベルの基本構成について説明をする。
図1は、本実施形態に係るショベルを示す側面図である。
図1に示すように、ショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載される。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられる。ブーム4の先端には、アーム5が取り付けられ、アーム5の先端には、バケット6が取り付けられる。アタッチメントとしてのブーム4、アーム5、及びバケット6は、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。また、上部旋回体3には、オペレータが搭乗するキャビン10が設けられると共に、後述するディーゼルエンジン11(図8等参照)等が搭載される。
尚、本明細書において、上部旋回体3の「前部」は、上部旋回体3の中央から見てブーム4が取り付けられている側の部分を意味する。また、「前方」は上部旋回体の中央から見てブーム4が延在する方向を意味する。また、「左側」は上部旋回体3において前方(ブーム4が延在する方向)を向いたときに左となる部分を意味する。また、「右側」は上部旋回体3において前方(ブーム4が延在する方向)を向いたときに右となる部分を意味する。
図2は、本実施形態に係るショベルの駆動系の構成を示すブロック図である。図中、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは太い実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は細い実線でそれぞれ示されている。
本実施形態に係るショベルにおけるメイン駆動部としてのディーゼルエンジン11と、アシスト駆動部としての電動発電機12は、減速機13の2つの入力軸にそれぞれ接続される。減速機13の出力軸には、メインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続される。メインポンプ14には、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、斜板の角度(傾転角)を制御することでピストンのストローク長を調整し、吐出流量を制御することができる。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプである。
コントロールバルブ17は、操作装置26における操作に応じて、油圧系の制御を行う制御装置である。下部走行体1用の油圧モータ1A(右用)及び1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9は、高圧油圧ラインを介してコントロールバルブ17に接続される。
電動発電機12には、インバータ18Aを介して、蓄電装置としてのキャパシタ19(図3参照)を含む蓄電系120が接続される。また、パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続される。操作装置26は、レバー26A,26B、ペダル26Cを含む。レバー26A,26B、及びペダル26Cは、油圧ライン27及び油圧ライン28を介して、コントロールバルブ17及び圧力センサ29にそれぞれ接続される。圧力センサ29は、コントローラ30に接続される。
また、本実施形態に係るショベルは、旋回機構2が電動化され、旋回機構2を駆動する旋回用電動機21が設けられる。旋回用電動機21は、インバータ18Bを介して蓄電系120に接続される。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続される。
尚、本実施形態では、インバータ18A、18Bは、同一の筐体に収められる。以下、インバータ18A,18Bが一体化された部品をインバータ18とする。
コントローラ30は、本実施形態に係るショベルにおける駆動制御を行う主たる制御装置である。コントローラ30は、CPU及びROMを含む演算処理装置で構成され、ROMに格納される駆動制御用のプログラムをCPU上で実行することにより各種駆動制御が実現される。
コントローラ30は、圧力センサ29から供給される信号を速度指令に変換し、旋回用電動機21の駆動制御を行う。尚、圧力センサ29から供給される信号は、旋回機構2を旋回させるための操作装置26における操作量を表す信号である。
また、コントローラ30は、電動発電機12の運転制御(電動(アシスト)運転又は発電運転の切り替え)を行うとともに、昇降圧コンバータ100(図3参照)を駆動制御することによるキャパシタ19(図3参照)の充放電制御を行う。コントローラ30は、キャパシタ19の充電状態、電動発電機12の運転状態(電動(アシスト)運転又は発電運転)、及び旋回用電動機21の運転状態(力行運転又は回生運転)に基づき、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御を行い、これによりキャパシタ19の充放電制御を行う。
図3は、蓄電系120の回路図である。蓄電系120は、キャパシタ19、昇降圧コンバータ100、DCバス110等を含む。DCバス110は、キャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21の間での電力の授受を制御する。キャパシタ19には、キャパシタ19の電圧値、及び電流値を検出するキャパシタ電圧検出部112、及びキャパシタ電流検出部113が設けられる。キャパシタ電圧検出部112、及びキャパシタ電流検出部113により検出されるキャパシタ電圧値、及びキャパシタ電流値は、コントローラ30に供給される。
昇降圧コンバータ100は、電動発電機12、及び旋回用電動機21の運転状態に応じて、DCバス電圧値を一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作を切り替える。DCバス110は、インバータ18A、18Bと昇降圧コンバータ100との間に配設され、キャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21は、DCバス110を介して、電力の授受を行う。
昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧検出部111により検出されるDCバス電圧値、キャパシタ電圧検出部112により検出されるキャパシタ電圧値、及びキャパシタ電流検出部113により検出されるキャパシタ電流値に基づき行われる。
尚、以下において、インバータ18(インバータ18A,18B)、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19を集合的に、「電気駆動部品」と称する場合がある。
次に、図4を参照して、ディーゼルエンジン11から排出される排気ガスを処理する排気ガス処理装置150の構成について説明する。
図4は排気ガス処理装置150の構成例を示す図である。本実施形態では、排気ガス処理装置150は、ディーゼルエンジン11から排出される排気ガスを浄化する。ディーゼルエンジン11は、エンジンコントロールモジュール(以下、「ECM」と称する。)60により制御される。
ディーゼルエンジン11から排出される排気ガスは、ターボチャージャ61を通じて排気管62に流れる。そして、排気ガスは、排気管62から排気ガス処理装置150に流入し、排気ガス処理装置150で浄化された後で大気に排出される。
一方、エアクリーナ63を通じて吸気管64内に導入された吸入空気は、ターボチャージャ61及び冷却ユニット190(図8等参照)に含まれるインタークーラ65を通過してディーゼルエンジン11に供給される。
排気管62には第1排気処理部と第2排気処理部とが直列に設けられる。本実施形態における第1排気処理部は、排気ガス中の粒子状物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter)66である。また、第2排気処理部は排気ガス中のNOxを還元除去する選択還元触媒67である。
尚、第1排気処理部は、ディーゼル酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)であってもよい。
選択還元触媒67は液体還元剤の供給を受けて排気ガス中のNOxを連続的に還元することでNOxを除去する。本実施形態では、取扱性の観点から、液体還元剤として尿素水が用いられる。
尚、当然の如く、NOxを連続的に還元することのできる処理剤であれば、尿素水以外の他の処理剤が用いられてもよい。
排気管62における選択還元触媒67の上流側には選択還元触媒67に尿素水を供給するための尿素水噴射弁68が設けられる。尿素水噴射弁68は、尿素水供給配管69(以下、単に「配管69」と称する)を介して、尿素水タンク200に接続される。
配管69には、尿素水供給ポンプ70が設けられる。尿素水タンク200と尿素水供給ポンプ70との間には、フィルタ71が設けられる。尿素水タンク200内に貯留された尿素水は、尿素水供給ポンプ70により尿素水噴射弁68に供給される。そして、尿素水は、尿素水噴射弁68から排気管62における選択還元触媒67の上流位置において排気管62内に噴射される。
尿素水噴射弁68から噴射された尿素水は、選択還元触媒67に供給される。供給された尿素水は選択還元触媒67内において加水分解され、アンモニアが生成される。生成されたアンモニアは、選択還元触媒67内で排気ガスに含まれるNOxを還元する。これにより、ディーゼルエンジン11から排出された排気ガスが浄化される。
第1NOxセンサ72は尿素水噴射弁68の上流側に配設される。第2NOxセンサ73は選択還元触媒67の下流側に配設される。第1NOxセンサ72及び第2NOxセンサ73はそれぞれの配設位置における排気ガスに含まれるNOxの濃度を検出する。
尿素水タンク200には尿素水残量センサ74が配設される。尿素水残量センサ74は尿素水タンク200内の尿素水の残量を検出する。
第1NOxセンサ72、第2NOxセンサ73、尿素水残量センサ74、尿素水噴射弁68、及び尿素水供給ポンプ70は、排気ガスコントローラ75に接続される。排気ガスコントローラ75は、第1NOxセンサ72及び第2NOxセンサ73のそれぞれで検出されるNOx濃度に基づき、尿素水噴射弁68及び尿素水供給ポンプ70により適正量の尿素水が噴射されるよう噴射量制御を行う。
排気ガスコントローラ75は、尿素水残量センサ74から出力される尿素水の残量に基づき、尿素水タンク200の全容積に対する尿素水の残量の割合を算出する。本実施形態では、尿素水タンク200の全容積に対する尿素水の残量の割合を尿素水残量比と定義する。例えば、尿素水残量比50%は、尿素水タンク200の容量の半分の尿素水が尿素水タンク200内に残存していることを示す。
排気ガスコントローラ75は、通信手段(例えば、CANプロトコルに準拠するLAN等)を介して、ディーゼルエンジン11の制御を行うECM60と通信可能に接続される。また、ECM60は、通信手段(例えば、CANプロトコルに準拠するLAN等)を介して、ショベルコントローラ76に接続されている。
排気ガスコントローラ75が有している排気ガス処理装置150の各種情報はショベルコントローラ76も共有し得る。ECM60、排気ガスコントローラ75、ショベルコントローラ76のそれぞれは、CPU、RAM、ROM、入出力ポート、記憶装置等を含む。
ショベルコントローラ76には、モニター77(表示装置)が接続される。モニター77には、警告、運転条件等の情報やデータが表示される。
尚、ショベルコントローラ76は、コントローラ30と同一のものであってよい。
排気ガス処理装置150は、尿素水タンク200及び配管69の凍結を防止する凍結防止機構を有する。本実施形態では、凍結防止機構は、配管80を通過するディーゼルエンジン11のエンジン冷却水を利用する。具体的には、ディーゼルエンジン11を冷却した直後のエンジン冷却水は、比較的高い温度を維持しながら配管80の第1部分80aを通って第2部分80bに至る。第2部分80bは、尿素水タンク200の外面に接する配管80の一部である。エンジン冷却水は、第2部分80bを流れるときに、尿素水タンク200及びその内部にある尿素水に熱を供給する。その後、エンジン冷却水は、配管69に隣接して設置された配管80の第3部分80cを流れるときに、配管69及びその内部にある尿素水に熱を供給する。その後、熱を放出して比較的低い温度となったエンジン冷却水は配管80の第4部分80dを通って冷却ユニット190A(ラジエータ等)に至る。このようにして、凍結防止機構は、エンジン冷却水を利用して尿素水タンク200及び配管69に熱を供給し、尿素水タンク200及び配管69の凍結を防止する。
次に、図5〜図7を参照して、尿素水タンク200の詳細について説明する。図5〜図7は、尿素水タンク200の具体的な構成の一例を示す図である。図5は、尿素水タンク200を右斜め上前方から見た斜視図であり、図6はフィラー230を取り外した状態の尿素水タンク200を左斜め上前方から見た分解斜視図であり、図7は尿素水タンク200を左斜め下前方から見た斜視図である。
以下の説明では、尿素水タンク200の尿素水の補給作業時における作業者側に近い手前側(図中矢印X2方向側)を前方とし、奥側(図中矢印X1方向側)を後方とする。また、前後方向に直交する図中矢印Y1で示す方向を左とし、図中矢印Y2で示す方向を右とする。
尿素水タンク200は樹脂製であり、横断面が略矩形状で全体として略箱形状のタンク本体200aを有する。タンク本体200aの前方上部には、傾斜面200bが形成される。傾斜面200bは、上方に向かうにつれて後方側に近づくよう傾斜している。
また、傾斜面200bには、給液口200dが設けられる(図6参照)。給液口200dには、フィラー230が着脱可能に取り付けられる。尿素水は、補給時においてフィラー230を介して給液口200dからタンク本体200a内に補給される。
また、傾斜面200bには、レベルゲージ228が設けられる。レベルゲージ228は、タンク本体200a内の尿素水のレベル(液面高さ)を表示する。作業者は尿素水の補給処理時にレベルゲージ228を見ながら尿素水の補給を行うことで尿素水の溢れ出しを防止できる。
傾斜面200bの右方の側部には、凹部200cが形成される。凹部200cは、尿素水タンク200をタンク補強部材215に対して着脱する際の把持部(持ち手)として機能する。
また、尿素水タンク200の底部には、ドレインプラグ211が設けられる(図7参照)。ドレインプラグ211は、尿素水タンク200内に残留する尿素水を排水する際に取り外されるプラグである。
また、尿素水タンク200には、フィラー230が取り付けられる。フィラー230は、補給時に尿素水を尿素水タンク200の給液口200dに導く。フィラー230は、フィラー本体230a、フィラーチューブ233、及びフィラーキャップ235等を有する。
フィラー本体230aは筒状の部材であり、金属或いは他の材料(例えば、樹脂等)により形成される。フィラー本体230aは、フィラーブラケット231に溶接或いは接着等により取り付けられる。具体的には、筒形状のフィラー本体230aは、その略中央位置がフィラーブラケット231に固定される。そのため、固定状態において、フィラー本体230aの一端部は、フィラーブラケット231の外側に突出して外側突出部を形成し、他端部は、内側に突出して内側突出部を形成する。
フィラー本体230aの外側突出部は、外周にネジが形成される。フィラーキャップ235は、フィラー本体230aの外側突出部に着脱可能に装着される。
フィラー本体230aの内側突出部には、フィラーチューブ233の一端が取り付けられる。また、フィラーチューブ233の他端部は、尿素水タンク200の給液口200dに取り付けられる。
このようにして、フィラー230は、フィラーブラケット231を用いて尿素水タンク200に取り付けられる。フィラーブラケット231は板状部材であり、金属或いは他の材料(例えば樹脂等)により形成される。
また、尿素水タンク200には、上部取り付け部200e及び下部取り付け部200fが形成される。上部取り付け部200eは、タンク本体200aの上面部に形成される。下部取り付け部200fは傾斜面200bで給液口200dの下方に形成される。
上部取り付け部200e及び下部取り付け部200fにはネジ孔200hが形成される。各ネジ孔200hの位置は、フィラーブラケット231が尿素水タンク200に装着されたとき、フィラー取り付けボルト232の位置と対応するよう構成される。
フィラー取り付けボルト232を各取り付け部200e、200fのネジ孔200hに螺着することにより、フィラーブラケット231は尿素水タンク200に固定され、これによりフィラー230も尿素水タンク200に取り付けられる。
尿素水の補充は、フィラー230が尿素水タンク200に装着された状態で行われる。尿素水を補充するには、フィラーキャップ235をフィラー本体230aから取り外し、フィラー本体230aの外側端部から尿素水を注入する。これにより、尿素水はフィラーチューブ233を介して尿素水タンク200に補充される。
上述の如く構成された樹脂製の尿素水タンク200はタンク収納容器212に収納される。かかるタンク収納容器212は、タンク補強部材215とタンクブラケット226とを有する。
タンク補強部材215は、図5〜図7に示されるように、側部補強板215A、上部補強板215B、タンク載置板215C等を有する。側部補強板215A、上部補強板215B、タンク載置板215Cは、例えば鉄等の金属材或いは他の材質(尿素水タンク200の材質よりも強度が高い材料)により形成される。
側部補強板215Aは、上下方向(図中、Z1、Z2方向)に延在し、平面視でL字形状を有する。側部補強板215Aは、尿素水タンク200の四隅と対向する位置に配置され、尿素水タンク200の四隅位置を保持する。
上部補強板215Bは、隣り合う側部補強板215Aの上部を連結する。これにより、側部補強板215Aの上部は、上部補強板215Bにより固定される。
タンク載置板215Cは、尿素水タンク200を載置する基台である。また、タンク載置板215Cには側部補強板215Aの下端部が固定される。
タンク載置板215Cには、プラグ用開口部215Eが形成される。尿素水タンク200がタンク補強部材215に装着された際、ドレインプラグ211は、プラグ用開口部215Eに挿通され、タンク載置板215Cの下面から下方に突出する。
タンク載置板215Cの下面には、下部補強板215Dが配設される。下部補強板215Dは、タンク載置板215Cの長手方向(図5中、矢印Y1、Y2方向)に延在するよう設けられる。下部補強板215Dは、固定ボルト215Dbを用いて上部旋回体3の被固定部材(後述する保護カバー240)に固定され、これにより、タンク補強部材215は、上部旋回体3(保護カバー240)に固定される。
タンク補強部材215を構成する各板215A〜215Dの接合は、例えば溶接を用いて行うことができる。
タンクブラケット226は、タンク補強部材215に装着された尿素水タンク200の上部に取り付けられる。タンクブラケット226は、タンク補強部材215にタンク固定ボルト227を用いて固定される。
具体的には、前方に位置する側部補強板215A及び上部補強板215Bには、ボルト締結ブロック227aが溶接等により取り付けられる。このボルト締結ブロック227aには、タンク固定ボルト227と螺合するネジ孔が形成される。また、タンクブラケット226の前方端部には、タンク固定ボルト227を挿通する挿通孔(図に現れず)が形成された鍔状部226dが設けられる。
よって、タンク固定ボルト227を鍔状部226dに形成された挿通孔を挿通してボルト締結ブロック227aに締結することにより、タンクブラケット226は、タンク補強部材215に固定される。このように、タンクブラケット226がタンク補強部材215に固定された状態で、尿素水タンク200はタンク収納容器212内に収納された状態となる。
タンクブラケット226は、水平方向に延在する上部226aと、尿素水タンク200の傾斜面200bに沿った傾斜面226bを備える。傾斜面226bは、尿素水タンク200をタンク収納容器212内に収納した状態で、尿素水タンク200の傾斜面200bを上方から押さえることにより保持する。
そのため、尿素水タンク200は、特にボルト等を用いてタンク補強部材215に固定されなくても、タンクブラケット226によりタンク補強部材215内に収容された状態で保持される。このようにして、尿素水タンク200は、タンク収納容器212(タンク補強部材215、タンクブラケット226)により確実に保持されると共に補強される。
次に、本実施形態に係るショベルにおける電気駆動部品(インバータ18、昇降圧コンバータ100、キャパシタ19)及び尿素水タンク200の配置について説明する。
図8、図9は、本実施形態に係るショベルにおける電気駆動部品(インバータ18、昇降圧コンバータ100、キャパシタ19)及び尿素水タンク200の配置の第1例を示す上部旋回体3の概略的な平面図及び右側面図である。
図8に示すように、上部旋回体3の後部中央には、ディーゼルエンジン11が配置される。ディーゼルエンジン11には、その右側に位置する減速機13が動力伝達可能に接続されると共に、減速機13におけるディーゼルエンジン11が接続される側の反対側(右側)には、電動発電機12が動力伝達可能に接続される。即ち、ディーゼルエンジン11、減速機13、及び電動発電機12は、一体として、上部旋回体3の後部中央から右側後部にかけて配置されている。
電動発電機12及び減速機13の上には、排気ガス処理装置150が配置される。排気ガス処理装置150とディーゼルエンジン11(ターボチャージャー61)は、排気管62で接続される。
上部旋回体3の左側後部(ディーゼルエンジン11の左側)には、冷却ユニット190が配置される。冷却ユニット190は、ディーゼルエンジン11用のラジエータ、インタークーラ65を含む冷却ユニット190Aと、電動発電機12、旋回用電動機21、及び電気駆動部品用のラジエータ等を含む冷却ユニット190Bを含む。
上部旋回体3の左側前部には、キャビン10が配置される。
上部旋回体3の前部中央(キャビン10の右方)には、ブーム4を支持するブーム支持フレーム180が堅持されている。ブーム4は、ブーム支持フレーム180の右側フレーム180Rと左側フレーム180Lの間に挟まれた状態で、ブームピン4pが右側フレーム180R、ブーム4、左側フレーム180Lを貫通することにより支持される。
上部旋回体3の中央付近、即ち、上部旋回体3の旋回中心付近には、旋回用電動機21が配置される。
上部旋回体3の右側中央部(減速機13、電動発電機12、排気ガス処理装置150の前側)には、燃料タンク160が設けられる。燃料タンク160に貯蔵されるディーゼルエンジン11の燃料(軽油)は、燃料配管(不図示)を介してディーゼルエンジン11に供給される。
上部旋回体3の左側中央部(キャビン10の後方)には、ショベルの油圧駆動系で用いられる作動油を貯蔵する作動油タンク170が配置される。
電気駆動部品及び尿素水タンク200は、上部旋回体3の右側前部(右側中央部に配置される燃料タンク160の前方且つ前部中央に堅持されるブーム支持フレーム180の右方)に配置される。
図9に示すように、キャパシタ19は、燃料タンク160の前方に隣接して、旋回フレーム3a上に配置、固定される。具体的には、略直方体の外形形状(筐体)を有するキャパシタ19は、前方或いは後方に延出する平板状の取付足19aをその四隅に有し、かかる取付足19aが、制振ラバー等を含む支持部19Mを介して旋回フレーム3a上に固定される。
キャパシタ19の上には、旋回フレーム3aに固定されると共に、旋回フレーム3aの上面からかさ上げされた(離間した)上面243を有する保護カバー240が設けられる。そして、インバータ18、昇降圧コンバータ100及び尿素水タンク200が、保護カバー240の上面243に前後に並べて固定されることにより、キャパシタ19の上に重ねて配置されている。
保護カバー240の上面243においては、燃料タンク160の前方に隣接して尿素水タンク200が配置され、尿素水タンク200の前方に隣接してインバータ18及び昇降圧コンバータ100が配置される。尿素水タンク200の前方において、インバータ18及び昇降圧コンバータ100は、それぞれ、制振ラバー等を含む支持部18M及び支持部100Mを介して、左右に並べて(左から昇降圧コンバータ100、インバータ18の順で)保護カバー240の上面243に固定される。より具体的には、インバータ18及び昇降圧コンバータ100は、それぞれ、略同一体格の略直方体の外形形状を有する。インバータ18及び昇降圧コンバータ100は、平面視にて、それぞれの外形形状における長手方向の後端側が左斜め後方に向く態様(前端側が右斜め前方に向く態様)で、左右に並べて配置、固定される。
図9に示すように、キャパシタ19は、燃料タンク160に対して、ある程度の間隔を確保した前方位置に配置されている。これに対して、保護カバー240の上面243に配置される尿素水タンク200は、燃料タンク160に対して最小限の間隔を確保した前方位置に配置されている。そのため、キャパシタ19の後端位置は、尿素水タンク200の前後方向における中央付近(ドレインプラグ211が配置される前後位置)より前にある。また、保護カバー240における尿素水タンク200が配置される場所には、ドレイン孔241が設けられ、保護カバー240の上面243に尿素水タンク200が固定された状態で、保護カバー240の裏側からドレインプラグ211が露出するようになっている。これにより、尿素水タンク200の下方において、保護カバー240と旋回フレーム3aとの間の作業空間244が設けられ、かかる作業空間244とドレイン孔241を利用して、作業者がドレインプラグ211にアクセスすることができる。また、作業空間244が設けられることにより、キャパシタ19の後端の側面に接続される後述するワイヤハーネス(不図示)や冷却水ホース(不図示)の配索スペースとして有効活用することができる。即ち、ワイヤハーネスや冷却水ホースは、曲げにくい性質を有するため、キャパシタ19と燃料タンク160の間に作業空間244が設けられることにより、比較的容易にワイヤハーネスや冷却水ホースを配索することが可能になる。
また、図9に示すように、尿素水タンク200は、ブームピン4pが設けられる前後位置にラップして配置されるが、尿素水タンク200の上端位置は、ブームピン4pが挿入される高さより低いため、量産工程の最終段階でブーム4を組み付ける際に、ブームピン4pを右側から挿入することができる。
インバータ18は、昇降圧コンバータ100を介してキャパシタ19から供給される電力を用いて、電動発電機12、及び旋回用電動機21を駆動する。そのため、インバータ18と、電動発電機12及び旋回用電動機21とは、それぞれ、ワイヤハーネス31、及びワイヤハーネス32を介して接続される。インバータ18におけるワイヤハーネス31、32の取り出し口(ワイヤハーネス31、32との接続コネクタ)は、インバータ18の平面視における長手方向(以下、単に「インバータ18の長手方向」と称する)の後端の側面に設けられる。
尚、インバータ18は、ワイヤハーネス31、32の一端と接続する接続コネクタと同様、昇降圧コンバータ100との間のワイヤハーネス(不図示)の一端と接続する接続コネクタを、長手方向の後端の側面に有する。また、昇降圧コンバータ100は、かかるワイヤハーネスの他端と接続する接続コネクタを後方の側面、即ち、昇降圧コンバータ100の平面視における長手方向(以下、単に「昇降圧コンバータ100の長手方向」と称する)の後端の側面に有する。また、昇降圧コンバータ100は、キャパシタ19との間のワイヤハーネス(不図示)の一端と接続する接続コネクタを、長手方向の後端の側面に有する。また、キャパシタ19は、かかるワイヤハーネスの他端と接続する接続コネクタを後端の側面に有する。
図8に示すように、インバータ18から左斜め後方に延出するワイヤハーネス31は、後方の尿素水タンク200との干渉を避けるため、左向きに屈曲され、尿素水タンク200の前方を右から左に向けて延在する態様で配索される。ワイヤハーネス31は、尿素水タンク200の左端より左方において、後向きに屈曲され、尿素水タンク200及び燃料タンク160の左方において、前から後に向けて縦断する態様で配索される。そして、ワイヤハーネス31は、燃料タンク160の後端よりも後方において、右側に屈曲され、上部旋回体3の右側後部に配置される電動発電機12に接続される。
また、インバータ18から左斜め後方に延出するワイヤハーネス32は、ワイヤハーネス31と同様、左向きに屈曲され、尿素水タンク200の前方を右から左に向けて延在する態様で配索される。ワイヤハーネス32は、ワイヤハーネス31と同様、尿素水タンク200の左端より左方において、後向きに屈曲され、尿素水タンク200及び燃料タンク160と右側フレーム180Rの間において、前から後に向けて延在する態様で配索される。そして、ワイヤハーネス32は、右側フレーム180Rの後端より後方において、左向きに屈曲され、上部旋回体3の中央付近に配置される旋回用電動機21に接続される。
また、図9に示すように、インバータ18は、保護カバー240の上面243に配置されるため、インバータ18から後方に延出するワイヤハーネス31、32は、尿素水タンク200の左方において、前から後に向けて徐々に高さを下げる態様で配索される。そして、ワイヤハーネス31、32は、燃料タンク160の左方において、旋回フレーム3a上に配置、固定される。
電気駆動部品には、冷却ユニット190Bに含まれるラジエータから冷却水が供給される。かかる冷却水は、インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19内に設けられるウォータジャケットを循環する。これにより、インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19を冷却することができる。図8に示すように、冷却ユニット190と電気駆動部品(例えば、インバータ18)との間は、冷却水を供給するための冷却水ホース191で接続される。
インバータ18は、ワイヤハーネス31、32の一端と接続する接続コネクタと同様、長手方向の後端の側面に、冷却水ホース191の一端と接続する接続部を有する。インバータ18から左斜め後方に延出する冷却水ホース191は、ワイヤハーネス31、32と同様、尿素水タンク200との干渉を避けるため、左向きに屈曲され、尿素水タンク200の前方を右から左に向けて延在する態様で配索される。冷却水ホース191は、ワイヤハーネス31、32と同様、尿素水タンク200の左端より左方において、後向きに屈曲され、尿素水タンク200及び燃料タンク160の左方において、前から後に向けて縦断する態様で配索される。そして、冷却水ホース191は、ディーゼルエンジン11の前方において、左向きに屈曲され、右から左に向けて横断する態様で配索され、冷却ユニット190Bに接続される。
また、図9に示すように、インバータ18は、保護カバー240の上面243に配置されるため、インバータ18から後方に延出する冷却水ホース191は、ワイヤハーネス31、32と同様、尿素水タンク200の左方において、前から後に向けて徐々に高さを下げる態様で配索される。そして、冷却水ホース191は、燃料タンク160の左方において、旋回フレーム3a上で配置、固定される。
尚、図8中では、省略するが、電気駆動部品を冷却した冷却水を冷却ユニット190Bに戻すための冷却水ホースも同様に設けられる。例えば、インバータ18から導入された冷却水が、インバータ18、昇降圧コンバータ100、キャパシタ19の順で循環する仕様である場合、戻りの冷却水ホースは、冷却ユニット190Bとキャパシタ19との間を接続する。
図8に示すように、尿素水タンク200から延出する配管69は、ワイヤハーネス31と同様、尿素水タンク200及び燃料タンク160の左方において、前から後に向けて縦断する態様で配索され、上部旋回体3の右側後部に配置される排気ガス処理装置150に接続される。
ワイヤハーネス31、32は、配管69や冷却水ホース191と隣接する部分において、配管69や冷却水ホース191より上方に位置するように配索されることが好ましい。これにより、配管69や冷却水ホース191から尿素水や冷却水が漏れた場合であっても、ワイヤハーネス31、32に尿素水や冷却水がかからないようにすることができる。
図8、図9に示すように、キャパシタ19の前方に隣接する旋回フレーム3a上には、例えば、グリス用ペール缶、電動ポンプ、及びグリスガンを含む自動給脂装置やショベルのメンテナンス用の工具等を収容する収納箱250が配置される。収納箱250は、前端の鉛直面250aと上端の水平面250bとの間を接続する斜面部分にリッド250cを有し、リッド250cは、左右方向の所定軸を中心とする回動により開閉可能になっている(図中の点線参照)。収納箱250は、内部に浸入した水を外部に排出するためのドレイン孔(不図示)を下端部に有する。これにより、内部の収納物が水没しないようにすることができる。
図9に示すように上部旋回体3の右側前部における電気駆動部品、尿素水タンク200、及び収納箱250は、前方に向けて高さが下がる態様で階段状に配置され、外装カバー260で覆われている。即ち、インバータ18、昇降圧コンバータ100、キャパシタ19、尿素水タンク200、及び収納箱250は、前下がりの階段状に積層される態様で配置される。これにより、キャビン10に搭乗したオペレータが右前方を見る際に、電気駆動部品、尿素水タンク200、収納箱250等が視界を遮るようなことがなく、キャビン10の右側前方における適切な視野を確保することができる。
具体的には、キャパシタ19が配置される旋回フレーム3aからかさ上げされた保護カバー240の上面243において、燃料タンク160の前方に隣接して配置される尿素水タンク200の上端位置が最も高く、同じく保護カバー240の上面243において、尿素水タンク200の前方に隣接して配置されるインバータ18及び昇降圧コンバータ100の上端位置がその次に高く、キャパシタ19の前方の旋回フレーム3a上に配置される収納箱250の上端位置が最も低い位置になる。即ち、外装カバー260のうち、収納箱250の上面に相当する最も低い部分が第1段ステップ261となり、インバータ18及び昇降圧コンバータ100の上方を覆う部分が第2段ステップ262となり、尿素水タンク200の上方を覆う部分が第3段ステップ263となる。これにより、外装カバー260の第1段ステップ261、第2段ステップ262、第3段ステップ263が昇降ステップとして機能する。そして、作業者は、旋回フレーム3aの右側前部の前端に取り付けられた前端ステップ3bと、かかる昇降ステップ(各ステップ261〜263)を利用して、上部旋回体3の上部に昇りエンジンルームのメンテナンス等を行うことができる。
尚、外装カバー260のうち、第2段ステップ262の水平面と第3段ステップ263の水平面を接続する前下がりの斜面264には、図示しないリッドが設けられる。そして、作業者は、かかるリッドから尿素水タンク200のフィラー230にアクセスして尿素水の補充等を行うことができる。
このように、電気駆動部品及び尿素水タンク200と収納箱250が、前方に向けて高さが下がる態様で配置されることにより、配置形状に沿って、電気駆動部品及び尿素水タンク200と収納箱250を覆う外装カバー260がそのまま昇降ステップの機能を果たすことができる。即ち、電気駆動部品及び尿素水タンク200の効率的なレイアウトを実現しつつ、昇降ステップを設けることができる。
また、ショベルがアタッチメントとしてのブーム4、アーム5、バケット6を用いた作業を行う状況では、岩等の重量物が上から上部旋回体3の右側前部に衝突する可能性がある。例えば、図10に示すように、略水平面に位置するショベルが大きな斜度を有する斜面の掘削を行う状況では、斜面の高い位置の掘削を行うことがあるため、バケット6が斜面の土に含まれる岩等の重量物Sをショベル側に弾き飛ばしてしまう場合がある。そのため、バケット6に弾き飛ばされた重量物Sが上部旋回体3の右側前部に上方から衝突する可能性がある(図中矢印参照)。また、図11(a)、(b)に示すように、アーム5及びバケット6を全閉状態にし、掘削した岩等の重量物Sを含む土をバケット6に保持した状態で、排土するために上部旋回体3を左旋回する状況では、重量物Sがこぼれ落ちてしまう場合がある。そのため、バケット6からこぼれ落ちた重量物Sが上部旋回体3の右側前部に上方から衝突する可能性がある(図中矢印参照)。
図12に示す第1の比較例に係るショベルのように、キャパシタ19の上方を外装カバー260で覆い、キャパシタ19の上方に何も配置しない態様を採用すると、上方から衝突した重量物Sによって、外装カバー260と共に、キャパシタ19が大きく変形してしまう可能性がある。その結果、キャパシタ19に異常が発生し、ショベルが正常運転できなくなってしまう可能性がある。
これに対して、図13に示すように、本例に係るショベル(図8、図9参照)では、尿素水タンク200が、キャパシタ19の上方に重ねて配置されるため、上方から飛来した重量物Sがキャパシタ19に到達する前に、尿素水タンク200に衝突する可能性が高くなる。即ち、上方から飛来した岩等の重量物Sが、キャパシタ19に直接衝突しにくくなる。従って、ショベルの作業に起因して重量物Sが上部旋回体3の右側前部に衝突しても、キャパシタ19がダメージを受けにくくすることが可能となり、ショベルが正常運転できなくなるような事態の発生を抑制することができる。特に、電気駆動部品としてのインバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19や、これらを含む電気部品の間を接続する電気ケーブル(ワイヤハーネス)等は、安定運転の観点で繊細な取扱いを要求される。従って、本例で説明したように、電気駆動部品としてのキャパシタ19は、できるだけ衝撃や振動が発生する場所から離れて配置されるほうが好ましい。
また、電気駆動部品はショベル全体の構成要素で比較的高価であり、且つ交換の手間も比較的かかってしまうことから、ほかの部材・部品より優先して保護する構成とするほうが好ましいと言え、そのために、キャパシタ19等の電気駆動部品の上に、電気駆動部品とは異なる部材・部品(尿素水タンク200)を配置する構成であれば保護性能が向上する。
このように、前下がりの階段状に積層される態様で配置される電気駆動部品、尿素水タンク200、及び収納箱250のうち、尿素水タンク200を最上層に配置することで、
電気駆動部品(キャパシタ19)の保護性能(耐衝撃性)を向上させることができる。
続いて、図14、図15は、本実施形態に係るショベルにおける電気駆動部品(インバータ18、昇降圧コンバータ100、キャパシタ19)及び尿素水タンク200の配置の第2例を示す上部旋回体3の概略的な平面図及び右側面図である。
尚、本例の説明においては、上述した第1例と同様の配置がなされる構成についての説明は省略し、第1例と異なる部分を中心に説明する。
図14、図15に示すように、電気駆動部品及び尿素水タンク200は、第1例と同様に配置される。
一方、収納箱250は、第1例とは異なり、インバータ18及び昇降圧コンバータ100の上に重ねて配置されると共に、その上端位置は、後方に位置する尿素水タンク200の上端位置以下に設定されている。収納箱250は、第1例と同様、前端の鉛直面250aと上端の水平面250bとの間を接続する斜面部分にリッド250cを有し、リッド250cは、左右方向の所定軸を中心とする回動により開閉可能になっている(図中の点線参照)。収納箱250は、第1例と同様、内部に浸入した水を外部に排出するためのドレイン孔(不図示)を下端部に有する。また、かかるドレイン孔は、ドレインパイプ(不図示)に連結されており、かかるドレインパイプは、電気駆動部品(インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19)やワイヤハーネス31、32等に水がかからないような経路で水を排出する。
尚、例えば、旋回フレーム3aに固定される4本の脚部と、脚部の上端に支持され、インバータ18及び昇降圧コンバータ100の上方に位置する棚部を有する保持部材が設けられ、収納箱250は、かかる保持部材の棚部の上面に固定される。
図14に示すように、上部旋回体3の右側前部における電気駆動部品、尿素水タンク200、及び収納箱250は、第1例と同様、前方に向けて高さが下がる態様で階段状に配置され、外装カバー260で覆われている。即ち、インバータ18、昇降圧コンバータ100、キャパシタ19、尿素水タンク200、及び収納箱250は、前下がりの階段状に積層される態様で配置される。具体的には、キャパシタ19が配置される旋回フレーム3aからかさ上げされた保護カバー240の上面243において、燃料タンク160の前方に隣接して配置される尿素水タンク200の上端位置が最も高く、同じく保護カバー240の上面243において、尿素水タンク200の前方に隣接して配置されるインバータ18及び昇降圧コンバータ100の上に更に重ねて配置される収納箱250の上端位置がその次に高く、インバータ18及び昇降圧コンバータ100より前方のキャパシタ19の前部に相当する保護カバー240の上面243の部分が最も低い位置になる。即ち、外装カバー260のうち、キャパシタ19(保護カバー240の上面243)の前部の上方を覆う最も低い部分が第1段ステップ261となり、収納箱250の上方を覆う部分が第2段ステップ262となり、尿素水タンク200の上方を覆う部分が第3段ステップ263となる。これにより、第1例と同様、外装カバー260の第1段ステップ261、第2段ステップ262、第3段ステップ263が昇降ステップとして機能する。そして、作業者は、旋回フレーム3aの右側前部の前端に取り付けられた前端ステップ3bと、かかる昇降ステップ(各ステップ261〜263)を利用して、上部旋回体3の上部に昇りエンジンルームのメンテナンス等を行うことができる。
尚、外装カバー260のうち、第2段ステップ262の水平面と第3段ステップ263の水平面を接続する前下がりの斜面264には、第1例と同様、図示しないリッドが設けられる。
このように、電気駆動部品及び尿素水タンク200と収納箱250が、前方に向けて高さが下がる態様で配置されることにより、配置形状に沿って、電気駆動部品及び尿素水タンク200と収納箱250を覆う外装カバー260がそのまま昇降ステップの機能を果たすことができる。即ち、電気駆動部品及び尿素水タンク200の効率的なレイアウトを実現しつつ、昇降ステップを設けることができる。
また、上述の如く、ショベルがアタッチメントとしてのブーム4、アーム5、バケット6を用いた作業を行う状況では、岩等の重量物Sが上から上部旋回体3の右側前部に衝突する可能性がある(図10、図11参照)。
これに対して、本例に係るショベル(図14、図15参照)では、第1例と同様、キャパシタ19の上方に尿素水タンク200が配置されるため、上述の如く、ショベルの作業に起因して上方から飛来する岩等の重量物がキャパシタ19に直接衝突しにくくなる。従って、キャパシタ19の保護性能(耐衝撃性)を向上させることができる。
また、図16に示す第2の比較例に係るショベルのように、キャパシタ19の上に、インバータ18及び昇降圧コンバータ100を重ねて配置する場合、その上方を外装カバー260で覆い、インバータ18及び昇降圧コンバータ100の上方に何も配置しない態様を採用すると、ショベルの作業に起因して上方から飛来した重量物Sによって、外装カバー260と共に、インバータ18或いは昇降圧コンバータ100が大きく変形してしまう可能性がある。その結果、インバータ18或いは昇降圧コンバータ100に異常が発生し、ショベルが正常運転できなくなってしまう可能性がある。
これに対して、図17に示すように、本例に係るショベルでは、収納箱250がインバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19の上方に重ねて配置される。そのため、上方から飛来した岩等の重量物Sがインバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19に到達する前に、収納箱250に衝突する可能性が高くなる。即ち、上方から飛来した岩等の重量物Sが、インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19に直接衝突しにくくなる。従って、ショベルの作業に起因して重量物Sが上部旋回体3の右側前部に衝突しても、キャパシタ19がダメージを受けにくくすることが可能となり、ショベルが正常運転できなくなるような事態の発生を抑制することができる。
上述の如く、電気駆動部品としてのインバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19や、これらを含む電気部品の間を接続する電気ケーブル(ワイヤハーネス)等は、安定運転の観点で繊細な取扱いを要求される。従って、本例で説明したように、電気駆動部品としてのインバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19は、できるだけ衝撃や振動が発生する場所から離れて配置されるほうが好ましい。
また、上述の如く、電気駆動部品はショベル全体の構成要素で比較的高価であり、且つ交換の手間も比較的かかってしまうことから、ほかの部材・部品より優先して保護する構成とするほうが好ましいと言え、そのために、インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19等の電気駆動部品の上に、電気駆動部品とは異なる部材・部品(尿素水タンク200、収納箱250)を配置する構成であれば保護性能が向上する。
このように、前下がりの階段状に積層される態様で配置される電気駆動部品、尿素水タンク200、及び収納箱250のうち、尿素水タンク200及び収納箱250を最上層に配置することで、電気駆動部品(インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19)の保護性能(耐衝撃性)を向上させることができる。
また、収納箱250がインバータ18、昇降圧コンバータ100及びキャパシタ19の上方に重ねて配置されることにより、上部旋回体3の右側前部における前後方向の長さを短縮できると共に、キャビン10の右側前方におけるより適切な視野を確保することができる。
また、収納箱250がインバータ18及び昇降圧コンバータ100の上方に重ねて配置されることにより、例えば、ブームピン4pのメンテナンス(交換)に際して、外装カバー260を外した状態で、ブームピン4pにアクセスし易くなる。即ち、収納箱250を足場にして、ブームピン4pにアクセスすることができる。
また、収納箱250がインバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19の上方に重ねて配置されることにより、外装カバー260内に浸入した雨水等でこれらの電気駆動部品が浸水するような事態を抑制することができる。具体的には、外装カバー260内に浸入した雨水等の大部分が収納箱250内で受け止められ、上述の如く、ドレイン孔及びドレインパイプ(共に不図示)を通じて、インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19にかからないように排出される。従って、インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19等の電気駆動部品の保護性能(耐水性)を向上させることができる。
続いて、図18、図19は、本実施形態に係る電気駆動部品(インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19)及び尿素水タンク200の配置の第2例を示す上部旋回体3の概略的な平面図及び右側面図である。
尚、本例の説明においては、上述した第1例、第2例と同様の配置がなされる構成についての説明は省略し、第1例、第2例と異なる部分を中心に説明する。
電気駆動部品及び尿素水タンク200は、第1例、第2例と同様、上部旋回体3の右側前部(右側中央部に配置される燃料タンク160の前方)に配置される。
図18、図19に示すように、キャパシタ19は、第1例、第2例と同様、燃料タンク160の前方に隣接して、旋回フレーム3a上に固定される。但し、キャパシタ19は、第1例、第2例と異なり、燃料タンク160に対して、最小限の間隔を確保した前方位置に配置されている。
キャパシタ19の上には、第1例と同様、旋回フレーム3aに固定されると共に、旋回フレーム3aの上面からかさ上げされた(離間した)上面243を有する保護カバー240が設けられる。そして、インバータ18、昇降圧コンバータ100及び尿素水タンク200が、保護カバー240の上面243に前後に並べて固定されることにより、キャパシタ19の上に重ねて配置されている。
保護カバー240の上面243においては、燃料タンク160の前方に隣接してインバータ18及び昇降圧コンバータ100が前後に並べて配置され、インバータ18及び昇降圧コンバータ100の前方に隣接して尿素水タンク200が配置される。インバータ18及び昇降圧コンバータ100は、それぞれ、制振ラバー等を含む支持部18M及び支持部100Mを介して、前後に並べて(後ろからインバータ18、昇降圧コンバータ100の順で)保護カバー240の上面243に固定される。より具体的には、インバータ18及び昇降圧コンバータ100は、平面視にて、それぞれの長手方向が左右方向に向く態様で、前後に並べて配置、固定される。
図19に示すように、保護カバー240(の上面243)は、キャパシタ19の前端の前後位置よりも更に前方まで延在しており、かかる保護カバー240(の上面243)の部分には、尿素水タンク200が配置される。また、保護カバー240における尿素水タンク200が配置される場所には、第1例、第2例と同様、ドレイン孔241が設けられ、保護カバー240の裏側からドレインプラグ211が露出するようになっている。これにより、尿素水タンク200の下方において、保護カバー240と旋回フレーム3aとの間の作業空間244が設けられ、かかる作業空間244とドレイン孔241を利用して、作業者がドレインプラグ211にアクセスすることができる。また、作業空間244が設けられることにより、キャパシタ19の前端の側面にワイヤハーネス(不図示)や冷却水ホース(不図示)を接続する態様である場合、かかるワイヤハーネスや冷却水ホースの配索スペースとして有効活用することができる。
また、図19に示すように、尿素水タンク200の前後位置は、ブームピン4pが設けられる前後位置とラップしていない。そのため、量産工程の最終段階でブーム4を組み付ける際に、尿素水タンク200が邪魔になって、ブームピン4pを右側から挿入することできないような事態は発生しない。
図18に示すように、インバータ18は、第1例、第2例と同様、ワイヤハーネス31、32の取り出し口(ワイヤハーネス31、32との接続コネクタ)を、(長手方向の)左端の側面に有する。インバータ18から左方に延出するワイヤハーネス31、32は、ブーム支持フレーム180(右側フレーム180R)との干渉を回避するため、後向きに屈曲され、第1例、第2例と同様の態様で、それぞれ、電動発電機12、旋回用電動機21に接続される。
尚、インバータ18は、第1例、第2例と同様、昇降圧コンバータ100との間のワイヤハーネス(不図示)の一端に接続する接続コネクタを、(長手方向の)左端の側面に有する。また、昇降圧コンバータ100は、かかるワイヤハーネスの他端と接続する接続コネクタを(長手方向の)左端の側面に有する。また、昇降圧コンバータ100は、キャパシタ19との間のワイヤハーネス(不図示)の一端と接続する接続コネクタを(長手方向の)左端の側面に有する。また、キャパシタ19は、かかるワイヤハーネスの他端と接続する接続コネクタを前端或いは左端の側面に有する。
また、インバータ18は、第1例、第2例と同様、冷却水ホース191との接続部を長手方向の後端の側面に有する。インバータ18から左方に延出する冷却水ホース191は、ワイヤハーネス31、32と同様、ブーム支持フレーム180(右側フレーム180R)との干渉を回避するため、後向きに屈曲され、第1例、第2例と同様の態様で冷却ユニット190Bに接続される。
尚、図18中では、省略するが、第1例、第2例と同様、電気駆動部品を冷却した冷却水を冷却ユニット190Bに戻すための冷却水ホースも同様に設けられる。例えば、インバータ18から導入された冷却水が、インバータ18、昇降圧コンバータ100、キャパシタ19の順で循環する仕様である場合、戻りの冷却水ホースは、冷却ユニット190Bとキャパシタ19との間を接続する。キャパシタ19は、かかる冷却ホースとの接続部を前端の側面或いは左端の側面に有する。
図18、図19に示すように、キャパシタ19から作業空間244を挟んで前方に(保護カバー240の前端の旋回フレーム3aに対する取付部の前方に)隣接する旋回フレーム3a上には、収納箱250が配置される。収納箱250は、第1例、第2例と同様、前端の鉛直面250aと上端の水平面250bとの間を接続する斜面部分にリッド250cを有し、リッド250cは、左右方向の所定軸を中心とする回動により開閉可能になっている(図中の点線参照)。収納箱250は、第1例、第2例と同様、内部に浸入した水を外部に排出するためのドレイン孔(不図示)を下端部に有する。
また、図18、図19に示すように、インバータ18及び昇降圧コンバータ100の上方且つ燃料タンク160と尿素水タンク200の間に、収納箱255が設けられる。収納箱255は、上端の水平面255bの一部から、かかる水平面255bと前端の鉛直面255aの間を接続する斜面部分に渡って設けられるリッド255cを有し、リッド255cは、左右方向の所定軸を中心とする回動により開閉可能になっている(図中の点線参照)。収納箱255は、第2例の収納箱250と同様、内部に浸入した水を外部に排出するためのドレイン孔(不図示)を下端部に有する。また、かかるドレイン孔は、ドレインパイプ(不図示)に連結されており、かかるドレインパイプは、電気駆動部品(インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19)やワイヤハーネス31、32等に水がかからないような経路で水を排出する。
尚、例えば、旋回フレーム3aに固定される4本の脚部と、脚部の上端に支持され、インバータ18及び昇降圧コンバータ100の上方に位置する棚部を有する保持部材が設けられ、収納箱255は、第2例の収納箱250と同様、かかる保持部材の棚部の上面に固定される。また、図19に示すように、収納箱255は、ブームピン4pが設けられる前後位置にラップして配置されるが、ブームピン4pの取付後に組み付け作業が行われるため、量産工程の最終段階でブーム4を組み付ける際に、邪魔になるような事態は発生しない。
図19に示すように、上部旋回体3の右側前部における電気駆動部品、尿素水タンク200、及び収納箱250、255は、第1例、第2例と同様、前方に向けて高さが下がる態様で階段状に配置され、外装カバー260で覆われている。即ち、インバータ18、昇降圧コンバータ100、キャパシタ19、尿素水タンク200、及び収納箱250、255は、前下がりの階段状に積層される態様で配置される。具体的には、キャパシタ19が配置される旋回フレーム3aからかさ上げされた保護カバー240の上面243において、燃料タンク160の前方に隣接して配置されるインバータ18及び昇降圧コンバータ100の上に更に重ねて配置される収納箱255の上端位置が最も高く、同じく保護カバー240の上面243において、インバータ18及び昇降圧コンバータ100の前方に隣接して配置される尿素水タンク200の上端位置がその次に高く、キャパシタ19の前方の旋回フレーム3a上に配置される収納箱250の上端位置が最も低い位置になる。即ち、外装カバー260のうち、収納箱250の上面に相当する最も低い部分が第1段ステップ261となり、尿素水タンク200の上方を覆う部分が第2段ステップ262となり、収納箱255の上面に相当する部分が第3段ステップ263となる。これにより、第1例と同様、第2例と同様、外装カバー260の第1段ステップ261、第2段ステップ262、第3段ステップ263が昇降ステップとして機能する。そして、作業者は、旋回フレーム3aの右側前部の前端に取り付けられた前端ステップ3bと、かかる昇降ステップ(各ステップ261〜263)を利用して、上部旋回体3の上部に昇りエンジンルームのメンテナンス等を行うことができる。
尚、外装カバー260のうち、第2段ステップ262の水平面の前端から前下がりで設けられる斜面264には、第1例、第2例と同様、図示しないリッドが設けられる。そして、作業者は、かかるリッドから尿素水タンク200のフィラー230にアクセスして尿素水の補充等を行うことができる。
このように、電気駆動部品及び尿素水タンク200と収納箱250、255が、前方に向けて高さが下がる態様で配置されることにより、配置形状に沿って、電気駆動部品及び尿素水タンク200と収納箱250を覆う外装カバー260がそのまま昇降ステップの機能を果たすことができる。即ち、電気駆動部品及び尿素水タンク200の効率的なレイアウトを実現しつつ、昇降ステップを設けることができる。
また、上述の如く、ショベルがアタッチメントとしてのブーム4、アーム5、バケット6を用いた作業を行う状況では、岩等の重量物Sが上方から上部旋回体3の右側前部に衝突する可能性がある(図10、図11参照)。
これに対して、図20に示すように、本例に係るショベル(図18、図19参照)では、第1例、第2例と同様、ショベルの作業に起因して上方から飛来した重量物Sがキャパシタ19に到達する前に、尿素水タンク200に衝突する可能性が高くなる。即ち、上方から飛来した重量物Sがキャパシタ19に直接衝突しにくくなる。従って、ショベルの作業に起因して重量物Sが上部旋回体3の右側前部に衝突しても、キャパシタ19がダメージを受けにくくすることが可能となり、ショベルが正常運転できなくなるような事態の発生を抑制することができる。
また、図20に示すように、本例に係るショベルでは、第2例の収納箱250と同様、収納箱255がインバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19の上方に重ねて配置される。そのため、ショベルの作業に起因して上方から飛来した岩等の重量物Sがインバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19に到達する前に、収納箱250に衝突する可能性が高くなる。即ち、上方から飛来した岩等の重量物Sが、インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19に直接衝突しにくくなる。従って、ショベルの作業に起因して重量物Sが上部旋回体3の右側前部に衝突しても、インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19がダメージを受けにくくすることが可能となり、ショベルが正常運転できなくなるような事態の発生を抑制することができる。
このように、前下がりの階段状に積層される態様で配置される電気駆動部品、尿素水タンク200、及び収納箱250のうち、尿素水タンク200及び収納箱250を最上層に配置することで、第2例と同様、電気駆動部品(インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19)の保護性能(耐衝撃性)を向上させることができる。
また、第2例の収納箱250と同様、収納箱255がインバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19の上方に重ねて配置されることにより、外装カバー260内に浸入した雨水等でこれらの電気駆動部品が浸水するような事態を抑制することができる。従って、インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19等の電気駆動部品の保護性能(耐水性)を向上させることができる。
また、収納箱250、255の2個が配置されることにより、使用頻度や収納物の種類等に合わせて、収納箱250、255の用途分けて使用することができる。
続いて、図21、図22は、本実施形態に係る電気駆動部品(インバータ18、昇降圧コンバータ100、キャパシタ19)及び尿素水タンク200の配置の第4例を示す上部旋回体3の概略的な平面図及び右側面図である。
尚、本例の説明においては、上述した第1例〜第3例と同様の配置がなされる構成についての説明は省略し、第1例〜第3例と異なる部分を中心に説明する。
電気駆動部品及び尿素水タンク200は、第1例〜第3例と同様、上部旋回体3の右側前部(右側中央部に配置される燃料タンク160の前方)に配置される。
図21、図22に示すように、本例では、電気駆動部品であるインバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19は、第1例、第2例におけるキャパシタ19と略同一体格の筐体に収められ、電気駆動モジュール270として構成されている。電気駆動モジュール270の筐体内において、インバータ18が最も後方に配置され、その前に、昇降圧コンバータ100が配置され、キャパシタ19が最も前方に配置される。
電気駆動モジュール270の配置態様は、第1例、第2例におけるキャパシタ19と同様である。また、尿素水タンク200の配置態様は、第1例、第2例と同様である。
即ち、図22に示すように、電気駆動モジュール270は、燃料タンク160の前方に、制振ラバー等を含む支持部270Mを介して、旋回フレーム3a上に固定される。具体的には、略直方体の外形形状を有する電気駆動モジュール270は、前方或いは後方に延出する平板状の取付足270aをその四隅に有し、かかる取付足270aが支持部270Mを介して旋回フレーム3a上に固定される。また、保護カバー240の上面243において、燃料タンク160の前方に隣接して尿素水タンク200が配置される。
また、図22に示すように、電気駆動モジュール270は、燃料タンク160に対して、ある程度の間隔を確保した前方位置に配置されている。これに対して、保護カバー240の上面243に配置される尿素水タンク200は、第1例、第2例と同様、燃料タンク160に対して、最小限の間隔を確保した前方位置に配置されている。そのため、電気駆動モジュール270の後端位置は、尿素水タンク200の前後方向における中央付近(ドレインプラグ211が配置される前後位置)より前にある。これにより、第1例、第2例と同様、尿素水タンク200の下方において、保護カバー240と旋回フレーム3aとの間の作業空間244が設けられる。
電気駆動モジュール270は、ワイヤハーネス31、32との接続コネクタを後端の側面に有する。電気駆動モジュール270から後方に延出するワイヤハーネス31、32は、燃料タンク160との干渉を避けるため、左向きに屈曲され、燃料タンク160の前方を右から左に向けて延在する態様で配索される。そして、ワイヤハーネス31、32は、燃料タンク160の左端よりも左方で後向きに屈曲される。
また、電気駆動モジュール270は、ワイヤハーネス31、32の一端と接続する接続コネクタと同様、冷却水ホース191との接続部を後端の側面に有する。電気駆動モジュール270から後方に延出する冷却水ホース191は、ワイヤハーネス31、32と同様、燃料タンク160との干渉を避けるため、左向きに屈曲され、燃料タンク160の前方を右から左に向けて延在する態様で配索される。そして、冷却水ホース191は、ワイヤハーネス31、32と同様、燃料タンク160の左端よりも左方で後向きに屈曲される。
上述の如く、ワイヤハーネス31、32や冷却水ホース191は、曲げにくい傾向にある。しかし、本例では、電気駆動モジュール270の後方に作業空間244があるため、かかる作業空間244を有効活用することにより、ワイヤハーネス31、32や冷却水ホース191を緩やかな曲率で配索することが可能になる。
図22に示すように、収納箱250は、保護カバー240の上面243において、尿素水タンク200の前方に隣接して配置される。即ち、収納箱250は、尿素水タンク200と同様、電気駆動モジュール270の上方に重ねて配置される。また、収納箱250は、その上端位置が第2例と同様、後方に位置する尿素水タンク200の上端位置以下に設定されている。また、収納箱250は、第1例〜第3例と同様、前端の鉛直面250aと上端の水平面250bとの間を接続する斜面部分にリッド250cを有し、リッド250cは、左右方向の所定軸を中心とする回動により開閉可能になっている(図中の点線参照)。また、収納箱250は、第2例、第3例と同様、内部に浸入した水を外部に排出するためのドレイン孔(不図示)を下端部に有する。また、かかるドレイン孔は、ドレインパイプ(不図示)に連結されており、かかるドレインパイプは、電気駆動部品(インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19)やワイヤハーネス31、32等に水がかからないような経路で水を排出する。
図22に示すように、上部旋回体3の右側前部における電気駆動部品(電気駆動モジュール270)、尿素水タンク200、及び収納箱250は、第1例〜第3例と同様、前方に向けて高さが下がる態様で階段状に配置され、外装カバー260で覆われている。即ち、電気駆動モジュール270、尿素水タンク200、及び収納箱250は、前下がりの階段状に積層される態様で配置される。具体的には、電気駆動モジュール270が配置される旋回フレーム3aからかさ上げされた保護カバー240の上面243において、燃料タンク160の前方に隣接して配置される尿素水タンク200の上端位置が最も高く、同じく保護カバー240の上面243において、尿素水タンク200の前方に隣接して配置される収納箱250の上端位置がその次に高く、収納箱250より前方の電気駆動モジュール270の前部に相当する保護カバー240の上面243の部分が最も低い位置になる。即ち、外装カバー260のうち、電気駆動モジュール270(保護カバー240の上面243)の前部の上方を覆う最も低い部分が第1段ステップ261となり、収納箱250の上方を覆う部分が第2段ステップ262となり、尿素水タンク200の上方を覆う部分が第3段ステップ263となる。これにより、第1例〜第3例と同様、外装カバー260の第1段ステップ261、第2段ステップ262、第3段ステップ263が昇降ステップとして機能する。そして、作業者は、旋回フレーム3aの右側前部の前端に取り付けられた前端ステップ3bと、かかる昇降ステップ(各ステップ261〜263)を利用して、上部旋回体3の上部に昇りエンジンルームのメンテナンス等を行うことができる。
尚、外装カバー260のうち、第2段ステップ262の水平面と第3段ステップ263の水平面を接続する前下がりの斜面264には、第1例〜第3例と同様、図示しないリッドが設けられる。
このように、電気駆動部品(電気駆動モジュール270)及び尿素水タンク200と収納箱250が、前方に向けて高さが下がる態様で配置されることにより、配置形状に沿って、電気駆動部品(電気駆動モジュール270)及び尿素水タンク200と収納箱250を覆う外装カバー260がそのまま昇降ステップの機能を果たすことができる。即ち、電気駆動部品及び尿素水タンク200の効率的なレイアウトを実現しつつ、昇降ステップを設けることができる。
また、上述の如く、ショベルがアタッチメントとしてのブーム4、アーム5、バケット6を用いた作業を行う状況では、岩等の重量物Sが上方から上部旋回体3の右側前部に衝突する可能性がある(図10、図11参照)。
これに対して、本例に係るショベル(図21、図22参照)では、電気駆動モジュール270の上方に尿素水タンク200及び収納箱250が重ねて配置される。そのため、図23に示すように、ショベルの作業に起因して上方から飛来した重量物Sが電気駆動モジュール270に到達する前に、尿素水タンク200或いは収納箱250に衝突する可能性が高くなる。即ち、上方から飛来した重量物Sが電気駆動モジュール270に直接衝突しにくくなる。従って、ショベルの作業に起因して重量物Sが上部旋回体3の右側前部に衝突しても、電気駆動モジュール270がダメージを受けにくくすることが可能となり、ショベルが正常運転できなくなるような事態の発生を抑制することができる。
このように、前下がりの階段状に積層される態様で配置される電気駆動部品(電気駆動モジュール270)、尿素水タンク200、及び収納箱250のうち、尿素水タンク200及び収納箱250を最上層に配置することで、第2例、第3例と同様、電気駆動部品(インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19)の保護性能(耐衝撃性)を向上させることができる。
また、本例では、保護カバー240の上面243には、第1例、第2例と異なり、インバータ18、昇降圧コンバータ100が搭載されないため、図17に示すように、キャビン10の右前方における適切な視野を確保しつつ、収納箱250のサイズを拡大することができる。
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、上述した実施形態の第4例では、保護カバー240の上面243において、尿素水タンク200が燃料タンク160の前方に隣接して配置され、その前方に収納箱250が配置されるが、前後配置は逆であってもよい。即ち、保護カバー240の上面243において、収納箱250が燃料タンク160の前方に隣接して配置され、その前方に尿素水タンク200が配置されてもよい。かかる場合、収納箱250の上端位置は、尿素水タンク200の上端以上に設定される。また、かかる場合、尿素水タンク200の前端は、第3例におけるキャパシタ19に対する位置関係と同様、電気駆動モジュール270の前端よりもある程度前方にオフセットする態様で配置される。これにより、第3例と同様、尿素水タンク200の下方における保護カバー240と旋回フレーム3aとの間において、ドレインプラグ211にアクセスするための作業空間244を設定することができる。