以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
まず、図1〜図3を参照して、本実施形態に係るハイブリッドショベルの基本構成について説明をする。
図1は、本実施形態に係るハイブリッドショベルを示す側面図である。
図1に示すように、ハイブリッドショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載される。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられる。ブーム4の先端には、アーム5が取り付けられ、アーム5の先端には、バケット6が取り付けられる。アタッチメントとしてのブーム4、アーム5、及びバケット6は、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。また、上部旋回体3には、オペレータが搭乗するキャビン10が設けられると共に、後述するディーゼルエンジン11(図9等参照)等が搭載される。
尚、本明細書において、上部旋回体3の「前部」は、上部旋回体3の中央から見てブーム4が取り付けられている側の部分を意味する。また、「前方」は上部旋回体3の中央から見てブーム4が延在する方向を意味する。また、「左側」は上部旋回体3において前方(ブーム4が延在する方向)を向いたときに左となる部分を意味する。また、「右側」は上部旋回体3において前方(ブーム4が延在する方向)を向いたときに右となる部分を意味する。
図2は、ハイブリッドショベルの駆動系の構成を示すブロック図である。図中、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは太い実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は細い実線でそれぞれ示されている。
本実施形態に係るハイブリッドショベルにおけるメイン駆動部としてのディーゼルエンジン11と、アシスト駆動部としての電動発電機12は、減速機13の2つの入力軸にそれぞれ接続される。減速機13の出力軸には、メインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続される。メインポンプ14には、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、斜板の角度(傾転角)を制御することでピストンのストローク長を調整し、吐出流量を制御することができる。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプである。
コントロールバルブ17は、操作装置26における操作に応じて、油圧系の制御を行う制御装置である。下部走行体1用の油圧モータ1A(右用)及び1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9は、高圧油圧ラインを介してコントロールバルブ17に接続される。
電動発電機12には、インバータ18Aを介して、蓄電装置としてのキャパシタ19(図3参照)を含む蓄電系120が接続される。また、パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続される。操作装置26は、レバー26A,26B、ペダル26Cを含む。レバー26A,26B、及びペダル26Cは、油圧ライン27及び油圧ライン28を介して、コントロールバルブ17及び圧力センサ29にそれぞれ接続される。圧力センサ29は、コントローラ30に接続される。
また、本実施形態に係るハイブリッドショベルは、旋回機構2が電動化され、旋回機構2を駆動する旋回用電動機21が設けられる。旋回用電動機21は、インバータ18Bを介して蓄電系120に接続される。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続される。
尚、本実施形態では、インバータ18A、18Bは、同一の筐体に収められる。以下、インバータ18A,18Bが一体化された部品をインバータ18とする。
コントローラ30は、ハイブリッドショベルにおける駆動制御を行う主たる制御装置である。コントローラ30は、CPU及びROMを含む演算処理装置で構成され、ROMに格納される駆動制御用のプログラムをCPU上で実行することにより各種駆動制御が実現される。
コントローラ30は、圧力センサ29から供給される信号を速度指令に変換し、旋回用電動機21の駆動制御を行う。尚、圧力センサ29から供給される信号は、旋回機構2を旋回させるための操作装置26における操作量を表す信号である。
また、コントローラ30は、電動発電機12の運転制御(電動(アシスト)運転又は発電運転の切り替え)を行うとともに、昇降圧コンバータ100(図3参照)を駆動制御することによるキャパシタ19(図3参照)の充放電制御を行う。コントローラ30は、キャパシタ19の充電状態、電動発電機12の運転状態(電動(アシスト)運転又は発電運転)、及び旋回用電動機21の運転状態(力行運転又は回生運転)に基づき、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御を行い、これによりキャパシタ19の充放電制御を行う。
図3は、蓄電系120の回路図である。蓄電系120は、キャパシタ19、昇降圧コンバータ100、DCバス110等を含む。DCバス110は、キャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21の間での電力の授受を制御する。キャパシタ19には、キャパシタ19の電圧値、及び電流値を検出するキャパシタ電圧検出部112、及びキャパシタ電流検出部113が設けられる。キャパシタ電圧検出部112、及びキャパシタ電流検出部113により検出されるキャパシタ電圧値、及びキャパシタ電流値は、コントローラ30に供給される。
昇降圧コンバータ100は、電動発電機12、及び旋回用電動機21の運転状態に応じて、DCバス電圧値を一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作を切り替える。DCバス110は、インバータ18A、18Bと昇降圧コンバータ100との間に配設され、キャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21は、DCバス110を介して、電力の授受を行う。
昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧検出部111により検出されるDCバス電圧値、キャパシタ電圧検出部112により検出されるキャパシタ電圧値、及びキャパシタ電流検出部113により検出されるキャパシタ電流値に基づき行われる。
尚、以下において、インバータ18(インバータ18A,18B)、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19を集合的に、「電気駆動部品」と称する場合がある。
次に、図4を参照して、ディーゼルエンジン11から排出される排気ガスを処理する排気ガス処理装置150の構成について説明する。
図4は排気ガス処理装置150の構成例を示す図である。本実施形態では、排気ガス処理装置150は、ディーゼルエンジン11から排出される排気ガスを浄化する。ディーゼルエンジン11は、エンジンコントロールモジュール(以下、「ECM」と称する。)60により制御される。
ディーゼルエンジン11から排出される排気ガスは、ターボチャージャ61を通じて排気管62に流れる。そして、排気ガスは、排気管62から排気ガス処理装置150に流入し、排気ガス処理装置150で浄化された後で大気に排出される。
一方、エアクリーナ63を通じて吸気管64内に導入された吸入空気は、ターボチャージャ61及び冷却ユニット190(図9等参照)に含まれるインタークーラ65を通過してディーゼルエンジン11に供給される。
排気管62には第1排気処理部と第2排気処理部とが直列に設けられる。本実施形態における第1排気処理部は、排気ガス中の粒子状物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter)66である。また、第2排気処理部は排気ガス中のNOxを還元除去する選択還元触媒67である。尚、第1排気処理部は、ディーゼル酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)であってもよい。
選択還元触媒67は液体還元剤の供給を受けて排気ガス中のNOxを連続的に還元することでNOxを除去する。本実施形態では、取扱性の観点から、液体還元剤として尿素水が用いられる。
尚、当然の如く、NOxを連続的に還元することのできる処理剤であれば、尿素水以外の他の処理剤が用いられてもよい。
排気管62における選択還元触媒67の上流側には選択還元触媒67に尿素水を供給するための尿素水噴射弁68が設けられる。尿素水噴射弁68は、尿素水供給配管69(以下、単に「配管69」と称する)を介して、尿素水タンク200に接続される。
尿素水供給配管69には、尿素水供給ポンプ70が設けられる。尿素水タンク200と尿素水供給ポンプ70との間には、フィルタ71が設けられる。尿素水タンク200内に貯留された尿素水は、尿素水供給ポンプ70により尿素水噴射弁68に供給される。そして、尿素水は、尿素水噴射弁68から排気管62における選択還元触媒67の上流位置において排気管62内に噴射される。
尿素水噴射弁68から噴射された尿素水は、選択還元触媒67に供給される。供給された尿素水は選択還元触媒67内において加水分解され、アンモニアが生成される。生成されたアンモニアは、選択還元触媒67内で排気ガスに含まれるNOxを還元する。これにより、ディーゼルエンジン11から排出された排気ガスが浄化される。
第1NOxセンサ72は尿素水噴射弁68の上流側に配設される。第2NOxセンサ73は選択還元触媒67の下流側に配設される。第1NOxセンサ72及び第2NOxセンサ73はそれぞれの配設位置における排気ガスに含まれるNOxの濃度を検出する。
尿素水タンク200には尿素水残量センサ74が配設される。尿素水残量センサ74は尿素水タンク200内の尿素水の残量を検出する。
第1NOxセンサ72、第2NOxセンサ73、尿素水残量センサ74、尿素水噴射弁68、及び尿素水供給ポンプ70は、排気ガスコントローラ75に接続される。排気ガスコントローラ75は、第1NOxセンサ72及び第2NOxセンサ73のそれぞれで検出されるNOx濃度に基づき、尿素水噴射弁68及び尿素水供給ポンプ70により適正量の尿素水が噴射されるよう噴射量制御を行う。
排気ガスコントローラ75は、尿素水残量センサ74から出力される尿素水の残量に基づき、尿素水タンク200の全容積に対する尿素水の残量の割合を算出する。本実施形態では、尿素水タンク200の全容積に対する尿素水の残量の割合を尿素水残量比と定義する。例えば、尿素水残量比50%は、尿素水タンク200の容量の半分の尿素水が尿素水タンク200内に残存していることを示す。
排気ガスコントローラ75は、通信手段(例えば、CANプロトコルに準拠するLAN等)を介して、ディーゼルエンジン11の制御を行うECM60と通信可能に接続される。また、ECM60は、通信手段(例えば、CANプロトコルに準拠するLAN等)を介して、ショベルコントローラ76に接続されている。
排気ガスコントローラ75が有している排気ガス処理装置150の各種情報はショベルコントローラ76も共有し得る。ECM60、排気ガスコントローラ75、ショベルコントローラ76のそれぞれは、CPU、RAM、ROM、入出力ポート、記憶装置等を含む。
ショベルコントローラ76には、モニター77(表示装置)が接続される。モニター77には、警告、運転条件等の情報やデータが表示される。
尚、ショベルコントローラ76は、コントローラ30と同一のものであってよい。
排気ガス処理装置150は、尿素水タンク200及び尿素水供給配管69の凍結を防止する凍結防止機構を有する。本実施形態では、凍結防止機構は、配管80を通過するディーゼルエンジン11のエンジン冷却水を利用する。具体的には、ディーゼルエンジン11を冷却した直後のエンジン冷却水は、比較的高い温度を維持しながら配管80の第1部分80aを通って第2部分80bに至る。第2部分80bは、尿素水タンク200の外面に接する配管80の一部である。エンジン冷却水は、第2部分80bを流れるときに、尿素水タンク200及びその内部にある尿素水に熱を供給する。その後、エンジン冷却水は、尿素水供給配管69に隣接して設置された配管80の第3部分80cを流れるときに、尿素水供給配管69及びその内部にある尿素水に熱を供給する。その後、熱を放出して比較的低い温度となったエンジン冷却水は配管80の第4部分80dを通って冷却ユニット190A(ラジエータ等)に至る。このようにして、凍結防止機構は、エンジン冷却水を利用して尿素水タンク200及び尿素水供給配管69に熱を供給し、尿素水タンク200及び尿素水供給配管69の凍結を防止する。
次に、図5〜図7を参照して、尿素水タンク200の詳細について説明する。図5〜図7は、尿素水タンク200の具体的な構成の一例を示す図である。図5は、尿素水タンク200を右斜め上前方から見た斜視図であり、図6はフィラー230を取り外した状態の尿素水タンク200を左斜め上前方から見た分解斜視図であり、図7は尿素水タンク200を左斜め下前方から見た斜視図である。
以下の説明では、尿素水タンク200の尿素水の補給作業時における作業者側に近い手前側(図中矢印X2方向側)を前方とし、奥側(図中矢印X1方向側)を後方とする。また、前後方向に直交する図中矢印Y1で示す方向を左とし、図中矢印Y2で示す方向を右とする。
尿素水タンク200は樹脂製であり、横断面が略矩形状で全体として略箱形状のタンク本体200aを有する。タンク本体200aの前方上部には、傾斜面200bが形成される。傾斜面200bは、上方に向かうにつれて後方側に近づくよう傾斜している。
また、傾斜面200bには、給液口200dが設けられる(図6参照)。給液口200dには、フィラー230が着脱可能に取り付けられる。尿素水は、補給時においてフィラー230を介して給液口200dからタンク本体200a内に補給される。
また、傾斜面200bには、レベルゲージ228が設けられる。レベルゲージ228は、タンク本体200a内の尿素水のレベル(液面高さ)を表示する。作業者は尿素水の補給処理時にレベルゲージ228を見ながら尿素水の補給を行うことで尿素水の溢れ出しを防止できる。
傾斜面200bの右方の側部には、凹部200cが形成される。凹部200cは、尿素水タンク200をタンク補強部材215に対して着脱する際の把持部(持ち手)として機能する。
また、尿素水タンク200の底部には、ドレンプラグ211が設けられる(図7参照)。ドレンプラグ211は、尿素水タンク200内に残留する尿素水を排水する際に取り外されるプラグである。
また、尿素水タンク200には、フィラー230が取り付けられる。フィラー230は、補給時に尿素水を尿素水タンク200の給液口200dに導く。フィラー230は、フィラー本体230a、フィラーチューブ233、及びフィラーキャップ235等を有する。
フィラー本体230aは筒状の部材であり、金属或いは他の材料(例えば、樹脂等)により形成される。フィラー本体230aは、フィラーブラケット231に溶接或いは接着等により取り付けられる。具体的には、筒形状のフィラー本体230aは、その略中央位置がフィラーブラケット231に固定される。そのため、固定状態において、フィラー本体230aの一端部は、フィラーブラケット231の外側に突出して外側突出部を形成し、他端部は、内側に突出して内側突出部を形成する。
フィラー本体230aの外側突出部は、外周にネジが形成される。フィラーキャップ235は、フィラー本体230aの外側突出部に着脱可能に装着される。
フィラー本体230aの内側突出部には、フィラーチューブ233の一端が取り付けられる。また、フィラーチューブ233の他端部は、尿素水タンク200の給液口200dに取り付けられる。
このようにして、フィラー230は、フィラーブラケット231を用いて尿素水タンク200に取り付けられる。フィラーブラケット231は板状部材であり、金属或いは他の材料(例えば樹脂等)により形成される。
また、尿素水タンク200には、上部取り付け部200e及び下部取り付け部200fが形成される。上部取り付け部200eは、タンク本体200aの上面部に形成される。下部取り付け部200fは傾斜面200bで給液口200dの下方に形成される。
上部取り付け部200e及び下部取り付け部200fにはネジ孔200hが形成される。各ネジ孔200hの位置は、フィラーブラケット231が尿素水タンク200に装着されたとき、フィラー取り付けボルト232の位置と対応するよう構成される。
フィラー取り付けボルト232を各取り付け部200e、200fのネジ孔200hに螺着することにより、フィラーブラケット231は尿素水タンク200に固定され、これによりフィラー230も尿素水タンク200に取り付けられる。
尿素水の補充は、フィラー230が尿素水タンク200に装着された状態で行われる。尿素水を補充するには、フィラーキャップ235をフィラー本体230aから取り外し、フィラー本体230aの外側端部から尿素水を注入する。これにより、尿素水はフィラーチューブ233を介して尿素水タンク200に補充される。
上述の如く構成された樹脂製の尿素水タンク200はタンク収納容器212に収納される。かかるタンク収納容器212は、タンク補強部材215とタンクブラケット226とを有する。
タンク補強部材215は、図5〜図7に示されるように、側部補強板215A、上部補強板215B、タンク載置板215C等を有する。側部補強板215A、上部補強板215B、タンク載置板215Cは、例えば鉄等の金属材或いは他の材質(尿素水タンク200の材質よりも強度が高い材料)により形成される。
側部補強板215Aは、上下方向(図中、Z1、Z2方向)に延在し、平面視でL字形状を有する。側部補強板215Aは、尿素水タンク200の四隅と対向する位置に配置され、尿素水タンク200の四隅位置を保持する。
上部補強板215Bは、隣り合う側部補強板215Aの上部を連結する。これにより、側部補強板215Aの上部は、上部補強板215Bにより固定される。
タンク載置板215Cは、尿素水タンク200を載置する基台である。また、タンク載置板215Cには側部補強板215Aの下端部が固定される。
タンク載置板215Cには、プラグ用開口部215Eが形成される。尿素水タンク200がタンク補強部材215に装着された際、ドレンプラグ211は、プラグ用開口部215Eに挿通され、タンク載置板215Cの下面から下方に突出する。
タンク載置板215Cの下面には、下部補強板215Dが配設される。下部補強板215Dは、タンク載置板215Cの長手方向(図5中、矢印Y1、Y2方向)に延在するよう設けられる。下部補強板215Dは、固定ボルト215Dbを用いて旋回フレーム2aに固定され、これにより、タンク補強部材215は、旋回フレーム2aに固定される。
タンク補強部材215を構成する各板215A〜215Dの接合は、例えば溶接を用いて行うことができる。
タンクブラケット226は、タンク補強部材215に装着された尿素水タンク200の上部に取り付けられる。タンクブラケット226は、タンク補強部材215にタンク固定ボルト227を用いて固定される。
具体的には、前方に位置する側部補強板215A及び上部補強板215Bには、ボルト締結ブロック227aが溶接等により取り付けられる。このボルト締結ブロック227aには、タンク固定ボルト227と螺合するネジ孔が形成される。また、タンクブラケット226の前方端部には、タンク固定ボルト227を挿通する挿通孔(図に現れず)が形成された鍔状部226dが設けられる。
よって、タンク固定ボルト227を鍔状部226dに形成された挿通孔を挿通してボルト締結ブロック227aに締結することにより、タンクブラケット226は、タンク補強部材215に固定される。このように、タンクブラケット226がタンク補強部材215に固定された状態で、尿素水タンク200はタンク収納容器212内に収納された状態となる。
タンクブラケット226は、水平方向に延在する上部226aと、尿素水タンク200の傾斜面200bに沿った傾斜面226bを備える。傾斜面226bは、尿素水タンク200をタンク収納容器212内に収納した状態で、尿素水タンク200の傾斜面200bを上方から押さえることにより保持する。
そのため、尿素水タンク200は、特にボルト等を用いてタンク補強部材215に固定されなくても、タンクブラケット226によりタンク補強部材215内に収容された状態で保持される。このようにして、尿素水タンク200は、タンク収納容器212(タンク補強部材215、タンクブラケット226)により確実に保持されると共に補強される。
次に、本実施形態に係るハイブリッドショベルにおける電気駆動部品(インバータ18、昇降圧コンバータ100、キャパシタ19)及び尿素水タンク200の配置について説明する。
まず、図8を参照して、比較例に係るハイブリッドショベルにおける電気駆動部品及び尿素水タンクの配置について説明する。
図8は、比較例に係るハイブリッドショベルにおける電気駆動部品(インバータ18C、昇降圧コンバータ100C、キャパシタ19C)及び尿素水タンク200Cの配置を示す上部旋回体3Cの概略平面図である。
尚、電気駆動部品(インバータ18C、昇降圧コンバータ100C、キャパシタ19C)、尿素水タンク200C、及びこれらに接続されるワイヤハーネス31C、32C、配管69C以外の構成要素は、本実施形態と同様であるため、本実施形態と同一の符号を付す。
図8に示すように、上部旋回体3Cの後部中央には、ディーゼルエンジン11が配置される。ディーゼルエンジン11には、その右側に位置する減速機13が動力伝達可能に接続されると共に、減速機13におけるディーゼルエンジン11が接続される側の反対側(右側)には、電動発電機12が動力伝達可能に接続される。即ち、ディーゼルエンジン11、減速機13、及び電動発電機12は、一体として、上部旋回体3Cの後部中央から右側後部にかけて配置されている。
電動発電機12及び減速機13の上には、排気ガス処理装置150が配置される。排気ガス処理装置150とディーゼルエンジン11(ターボチャージャ61)は、排気管62で接続される。
上部旋回体3Cの左側後部(ディーゼルエンジン11の左側)には、冷却ユニット190が配置される。冷却ユニット190は、ディーゼルエンジン11用のラジエータ、インタークーラ65を含む冷却ユニット190Aと、電動発電機12、旋回用電動機21、及び電気駆動部品用のラジエータ191B、ウォータポンプ192B(図19参照)を含む冷却ユニット190Bを含む。
上部旋回体3Cの左側前部には、キャビン10が配置される。
上部旋回体3Cの前部中央(キャビン10の右方)には、ブーム4を支持するブーム支持フレーム180が配置されている。ブーム4は、ブーム支持フレーム180の右側フレーム180Rと左側フレーム180Lの間に挟まれた状態で、ブームピン4pが右側フレーム180R、ブーム4、左側フレーム180Lを貫通することにより支持される。
上部旋回体3Cの中央付近、即ち、上部旋回体3Cの旋回中心付近には、旋回用電動機21が配置される。
上部旋回体3Cの右側中央部(減速機13、電動発電機12、排気ガス処理装置150の前側)には、燃料タンク160が設けられる。燃料タンク160に貯蔵されるディーゼルエンジン11の燃料(軽油)は、燃料配管(不図示)を介してディーゼルエンジン11に供給される。
上部旋回体3Cの左側中央部(キャビン10の後方)には、ハイブリッドショベルの油圧駆動系で用いられる作動油を貯蔵する作動油タンク170が配置される。
尚、以上、図8を参照して説明した上部旋回体3Cに搭載される構成要素は、後述する図9〜図16を用いて説明する本実施形態に係るハイブリッドショベルにおいても同様の配置がなされるため、本実施形態に係るハイブリッドショベルの説明においては省略する。
電気駆動部品(インバータ18C、昇降圧コンバータ100C、及びキャパシタ19C)は、燃料タンク160の前方、即ち、上部旋回体3Cの右側前部(ブーム支持フレーム180の右側)に、2段重ねで配置される。具体的には、比較的体積が大きいキャパシタ19Cが上部旋回体3Cのフレーム上に配置、固定されると共に、キャパシタ19Cの上にインバータ18Cと昇降圧コンバータ100Cが左右に並べて配置される。
尚、インバータ18Cと昇降圧コンバータ100Cは、例えば、上部旋回体3Cのフレーム上面からかさ上げされた載置台に配置、固定される。
インバータ18Cは、昇降圧コンバータ100Cを介してキャパシタ19Cから供給される電力を用いて、電動発電機12、及び旋回用電動機21を駆動する。そのため、インバータ18Cと、電動発電機12及び旋回用電動機21とは、それぞれ、ワイヤハーネス31C、及びワイヤハーネス32Cで接続される。インバータ18Cにおけるワイヤハーネス31C、32Cの取り出し口、即ち、ワイヤハーネス31C、32Cとの接続コネクタは、後方の側面に設けられる。
インバータ18Cから後方に延出するワイヤハーネス31Cは、後方の燃料タンク160との干渉を避けるため、左側に屈曲された後、燃料タンク160の左方において、前から後に向けて縦断するように配索される。そして、ワイヤハーネス31Cは、燃料タンク160よりも後方位置において、右側に屈曲された後、上部旋回体3Cの右側後部に配置される電動発電機12に接続されるように配索される。
また、インバータ18Cから後方に延出するワイヤハーネス32Cは、ワイヤハーネス31Cと同様、左側に屈曲された後、燃料タンク160と右側フレーム180Rの間において、前から後に向けて延在するように配索される。そして、右側フレーム180Rの後端より後方位置において、左側に屈曲された後、上部旋回体3Cの中央付近に配置される旋回用電動機21に接続されるように配索される。
尚、図中において、キャパシタ19Cと昇降圧コンバータ100Cを接続するワイヤハーネスや、昇降圧コンバータ100Cとインバータ18Cを接続するワイヤハーネスは、図示が省略されている。
尿素水タンク200Cは、上部旋回体3Cの左側中央部に設けられる。具体的には、作動油タンク170と冷却ユニット190の間(作動油タンク170の後方且つ冷却ユニット190の前方)に配置される。尿素水タンク200Cと排気ガス処理装置150とは、配管69Cにより接続され、配管69Cを通じて、尿素水タンク200Cから排気ガス処理装置150に尿素水が供給される。
尿素水タンク200Cから延出する配管69Cは、ディーゼルエンジン11の前方において、左から右に向けて横断するように配索され、上部旋回体3Cの右側後部に配置される排気ガス処理装置150に接続される。
このように、電気駆動部品(インバータ18C)及び尿素水タンク200Cは、それぞれ、上部旋回体3Cの後部(右側後部)に隣接して配置される電動発電機12、及び排気ガス処理装置150と、ワイヤハーネス31C、及び配管69Cで接続される必要がある。そのため、本比較例のように、電気駆動部品と尿素水タンク200を分散して配置してしまうと、上部旋回体3C上の異なる部分から後方(右側後方)に向けて、ワイヤハーネス31C、及び配管69Cが配索されることになる。即ち、上部旋回体3Cにおける全く異なる部分に、ワイヤハーネス31Cと配管69Cとが配索されてしまう。すると、平面視で、ワイヤハーネス31Cと配管69Cの双方を避けるように他の部品を配置する必要が生じたり、また、他の部品の配置によって、ワイヤハーネス31C、又は配管69Cを配索できない事態が生じたりする可能性もあり、レイアウト効率が悪い。
そこで、本実施形態では、尿素水タンク200を、電気駆動部品(インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19)と隣接して、上部旋回体3の右側前部に配置する。これにより、ワイヤハーネス31(図9等参照)と配管69を近接して配索することができるため、レイアウト効率を向上させることができる。即ち、効率的な尿素水タンク200の配置を実現することができる。以下、図9〜図18を参照して、本実施形態に係るハイブリッドショベルにおける電気駆動部品と尿素水タンク200の配置について、具体的に説明する。
尚、図9〜図18において、キャパシタ19と昇降圧コンバータ100を接続するワイヤハーネス、昇降圧コンバータ100とインバータ18を接続するワイヤハーネス、尿素水供給ポンプ70、フィルタ71等は、図示が省略されている。
まず、図9、図10は、本実施形態に係る電気駆動部品(インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19)及び尿素水タンク200の配置の第1例を示す上部旋回体3の平面図及び右側面図である。
図9、図10に示すように、電気駆動部品及び尿素水タンク200は、上部旋回体3の右側前部(右側中央部に配置される燃料タンク160の前方)に配置される。具体的には、燃料タンク160の前方に隣接して尿素水タンク200がフレーム3a上に配置され、尿素水タンク200の前方に隣接して電気駆動部品が配置される。
尚、尿素水タンク200は、ブームピン4pが設けられる前後位置を含むように配置されるが、図10に示すように、ブームピン4pが挿入される高さより低いため、量産工程の最終段階でブーム4を組み付ける際に、ブームピン4pを右側から挿入することができる。
電気駆動部品は、2段重ねで配置される。具体的には、図10に示すように、比較的体積が大きいキャパシタ19が上部旋回体3のフレーム3a上に、制振ラバーを含む支持部材19Mを介して固定される。キャパシタ19の上には、フレーム3aに固定されると共に、フレーム3aの上面からかさ上げされた載置台204が設けられる。そして、インバータ18及び昇降圧コンバータ100は、それぞれ、制振ラバーを含む支持部材18M及び支持部材100Mを介して、載置台204の上面に左右に並べて固定される。
インバータ18は、昇降圧コンバータ100を介してキャパシタ19から供給される電力を用いて、電動発電機12、及び旋回用電動機21を駆動する。そのため、インバータ18と、電動発電機12及び旋回用電動機21とは、それぞれ、ワイヤハーネス31、及びワイヤハーネス32で接続される。インバータ18におけるワイヤハーネス31、32の取り出し口、即ち、ワイヤハーネス31、32との接続コネクタは、後方の側面に設けられる。
尚、インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19における図示しない他のワイヤハーネス(インバータ18と昇降圧コンバータ100を接続するワイヤハーネス、昇降圧コンバータ100とキャパシタ19を接続するワイヤハーネス)に対応する接続コネクタも、それぞれの後方の側面に設けられる。
図9に示すように、インバータ18から後方に延出するワイヤハーネス31は、後方の尿素水タンク200との干渉を避けるため、左側に屈曲された後、尿素水タンク200及び燃料タンク160の左方において、前から後に向けて縦断するように配索される。そして、ワイヤハーネス31は、燃料タンク160よりも後方位置において、右側に屈曲された後、上部旋回体3の右側後部に配置される電動発電機12に接続されるように配索される。
また、インバータ18から後方に延出するワイヤハーネス32は、ワイヤハーネス31と同様、左側に屈曲された後、尿素水タンク200及び燃料タンク160と右側フレーム180Rの間において、前から後に向けて延在するように配索される。そして、右側フレーム180Rの後端より後方位置において、左側に屈曲された後、上部旋回体3の中央付近に配置される旋回用電動機21に接続されるように配索される。
図9に示すように、尿素水タンク200から延出する配管69は、ワイヤハーネス31と同様、尿素水タンク200及び燃料タンク160の左方において、前から後に向けて縦断するように配索され、上部旋回体3の右側後部に配置される排気ガス処理装置150に接続される。ワイヤハーネス31と配管69は、上部旋回体3の前から後に向けて縦断する部分において、平面視で重なるように配索されている。これにより、平面視で、ワイヤハーネス31と配管69が占有する領域を低減させることができるため、上部旋回体3上に搭載する構成部品を効率的に配置することができる。即ち、尿素水タンク200の効率的な配置を実現することができる。
また、ワイヤハーネス31と配管69が平面視で重なるように配索される部分において、ワイヤハーネス31と配管69は、例えば、同一のコルゲート管に収容される等により一体として束ねられてもよい。これにより、ワイヤハーネス31における通電による発熱を効率的に配管69に受熱させることができる。即ち、尿素水を凍結しにくくすることができる。
尚、ワイヤハーネス31、32は、配管69と隣接して配索される部分(上述の如く、一体に束ねられる部分を含む)において、配管69より上方に位置するように配索される。これにより、配管69から尿素水が漏れた場合であっても、ワイヤハーネス31,32に尿素水がかからないようにすることができる。
また、図10に示すように、電気駆動部品及び尿素水タンク200は、同一の空間内に格納される態様で、カバー202に覆われる。これにより、電気駆動部品の発熱の作用で、尿素水タンク200内の尿素水を温めることができる。即ち、尿素水を凍結しにくくすることができる。
尚、カバー202には、リッド203が設けられ、作業者が、尿素水タンク200のフィラー230にアクセスすることができるようになっている。
続いて、図11、図12は、本実施形態に係る電気駆動部品(インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19)及び尿素水タンク200の配置の第2例を示す上部旋回体3の平面図及び右側面図である。以下、第1例と異なる部分を中心に説明する。
図11、図12に示すように、電気駆動部品及び尿素水タンク200は、第1例と同様、上部旋回体3の右側前部(右側中央部に配置される燃料タンク160の前方)に配置される。具体的には、燃料タンク160の前方に隣接して尿素水タンク200がフレーム3a上に配置され、尿素水タンク200の前方に隣接して電気駆動部品が配置される。
電気駆動部品は、2段重ねで配置される。具体的には、図12に示すように、比較的体積が大きいキャパシタ19が、第1例と同様、上部旋回体3のフレーム3a上に制振ラバーを含む支持部材19Mを介して固定される。キャパシタ19の上には、フレーム3aに固定されると共に、フレーム3aの上面からかさ上げされた載置台204が設けられる。そして、インバータ18及び昇降圧コンバータ100は、それぞれ、制振ラバーを含む支持部材18M及び支持部材100Mを介して、載置台204の上面に前後に並べて固定される。
インバータ18におけるワイヤハーネス31、32の取り出し口、即ち、ワイヤハーネス31、32との接続コネクタは、第1例と異なり、左側面に設けられる。
尚、インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19における図示しない他のワイヤハーネス(インバータ18と昇降圧コンバータ100を接続するワイヤハーネス、昇降圧コンバータ100とキャパシタ19を接続するワイヤハーネス)に対応する接続コネクタも、同様に、それぞれの左側面に設けられる。
図11に示すように、インバータ18から左方に延出するワイヤハーネス31は、後側に屈曲された後、尿素水タンク200及び燃料タンク160の左方において、第1例と同様、前から後に向けて縦断するように配索される。そして、ワイヤハーネス31は、燃料タンク160よりも後方位置において、右側に屈曲された後、上部旋回体3の右側後部に配置される電動発電機12に接続されるように配索される。
また、インバータ18から後方に延出するワイヤハーネス32は、ワイヤハーネス31と同様、後側に屈曲された後、尿素水タンク200及び燃料タンク160と右側フレーム180Rの間において、第1例と同様、前から後に向けて延在するように配索される。そして、右側フレーム180Rの後端より後方位置において、左側に屈曲された後、上部旋回体3の中央付近に配置される旋回用電動機21に接続されるように配索される。
このように、電気駆動部品におけるワイヤハーネスの接続部分(接続コネクタ)を左側面に設けることにより、電気駆動部品の後方にワイヤハーネスを配索するスペースを設ける必要がない。そのため、前後方向における電気駆動部品のレイアウト効率を更に高めて、電気駆動部品の搭載位置をより後方にすることが可能になる。これにより、ハイブリッドショベルの旋回時に電気駆動部品が障害物に接触する可能性を低減させることが可能となり、ハイブリッドショベルの安全性を更に高めることができる。特に、電動発電機12、旋回用電動機21を駆動するため、比較的高電圧、大電流の電力を供給する必要があり、電気駆動部品に接続される各ワイヤハーネスは比較的太くなるため、曲げにくい(設定可能な曲げRが比較的大きい)傾向にある。そのため、第2例に係るハイブリッドショベルによるレイアウト効率向上の効果は非常に大きい。
続いて、図13、図14は、本実施形態に係る電気駆動部品(インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19)及び尿素水タンク200の配置の第3例を示す上部旋回体3の平面図及び右側面図である。以下、第1例、第2例と異なる部分を中心に説明する。
図13、図14に示すように、電気駆動部品及び尿素水タンク200は、上部旋回体3の右側前部(右側中央部に配置される燃料タンク160の前方)に配置される。具体的には、燃料タンク160の前方に隣接して電気駆動部品が配置され、電気駆動部品の前方に隣接して尿素水タンク200が配置される。即ち、電気駆動部品と尿素水タンク200の前後配置が第2例に対して逆転している。
また、図14に示すように、上部旋回体3のフレーム3a上に配置される尿素水タンク200の上端位置は、2段重ねで配置された電気駆動部品の上端位置よりも高い。そのため、電気駆動部品と尿素水タンク200を覆うカバー202は、電気駆動部品を覆う部分の高さが尿素水タンク200を覆う部分の高さよりも低くなるような段差を有している。
かかる段差部分を含む、カバー202の電気駆動部品を覆う部分の上には、例えば、グリス用ペール缶、電動ポンプ、及びグリスガンを含む自動給脂装置等を収容する収納箱205が配置される。
尚、収納箱205の取り付け作業は、ブームピン4pを挿入する量産工程の後に実施される。
このように、上部旋回体3の右側前部において、電気駆動部品の前に尿素水タンク200を配置することにより、ハイブリッドショベルの旋回時に電気駆動部品が障害物に接触する可能性を更に低減させることが可能となり、ハイブリッドショベルの安全性を更に高めることができる。
また、液体が貯蔵される燃料タンク160及び尿素水タンク200が離れて配置されることになるため、隣接した位置に配置される場合に比して、ハイブリッドショベルの旋回Gに対する耐性を高めることが可能になる。
続いて、図15、図16は、本実施形態に係る電気駆動部品(インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19)及び尿素水タンク200の配置の第4例を示す上部旋回体3の平面図及び右側面図である。以下、第1例〜第3例と異なる部分を中心に説明する。
図15、図16に示すように、電気駆動部品及び尿素水タンク200は、上部旋回体3の右側前部(右側中央部に配置される燃料タンク160の前方)に配置される。具体的には、燃料タンク160の前方に隣接して電気駆動部品のうちのキャパシタ19がフレーム3a上に配置、固定される。キャパシタ19の上には、フレーム3aに固定されると共に、フレーム3aの上面からかさ上げされた載置台204が設けられる。そして、電気駆動部品のうちのインバータ18及び昇降圧コンバータ100と、尿素水タンク200が、載置台204の上面に前後に並べて固定されることにより、キャパシタ19の上に配置される。載置台204上においては、燃料タンク160の前方に隣接して電気駆動部品(インバータ18及び昇降圧コンバータ100)が配置され、かかる電気駆動部品の前方に隣接して尿素水タンク200が配置される。
また、図16に示すように、尿素水タンク200の上端位置は、ブームピン4pが挿入される位置より高いが、尿素水タンク200の前後位置は、ブームピン4pが設けられる前後位置とずれている。そのため、尿素水タンク200をキャパシタ19の上に配置する場合であっても、量産工程の最終段階でブーム4を組み付ける際に、ブームピン4pを右側から挿入することができる。
このように、電気駆動部品の一部の体積が大きい場合(キャパシタ19のサイズが大きい場合)であっても、かかる電気駆動部品の上に、尿素水タンク200を配置することにより、効率的な尿素水タンク200の配置を実現することができる。また、かかる電気駆動部品の上に、尿素水タンク200が前、残りの電気駆動部品(インバータ18及び昇降圧コンバータ100)が後の関係になるように配置することで、ブームピン4pの挿入に対する影響を回避することができる。
また、図15、図16に示すように、キャパシタ19の前端位置より、尿素水タンク200の前端位置の方が前方にある。これにより、電気駆動部品の一部(キャパシタ19)の上に尿素水タンク200を配置する場合であっても、ハイブリッドショベルの旋回時に電気駆動部品が障害物に接触する可能性を低減させることが可能となり、ハイブリッドショベルの安全性を高めることができる。
また、本実施形態では、尿素水タンク200が、後方の側面に加えて、下面から電気駆動部品(キャパシタ19)の熱を受熱することができるため、尿素水タンク200内の尿素水が凍結しにくくする効果を更に高めることができる。
尚、図16に示すように、載置台204上に配置される尿素水タンク200の上端位置は、第3例と同様、電気駆動部品(インバータ18及び昇降圧コンバータ100)の上端位置よりも高い。そのため、電気駆動部品と尿素水タンク200を覆うカバー202は、電気駆動部品(インバータ18及び昇降圧コンバータ100)を覆う部分の高さが尿素水タンク200を覆う部分の高さよりも低くなるような段差を有している。かかる段差部分を含む、カバー202の電気駆動部品を覆う部分の上には、第3例と同様、収納箱205が配置される。
続いて、図17、図18は、本実施形態に係る電気駆動部品(インバータ18、昇降圧コンバータ100、及びキャパシタ19)及び尿素水タンク200の配置の第5例を示す上部旋回体3の平面図及び右側面図である。以下、第1例〜第4例と異なる部分を中心に説明する。
図17、図18に示すように、電気駆動部品及び尿素水タンク200は、第1例と同様、上部旋回体3の右側前部(右側中央部に配置される燃料タンク160の前方)に配置される。具体的には、燃料タンク160の前方に隣接して尿素水タンク200がフレーム3a上に配置され、尿素水タンク200の前方に隣接して電気駆動部品が配置される。
また、電気駆動部品の配置は、第1例と同様である。具体的には、図18に示すように、電気駆動部品は、2段重ねで配置される。比較的体積が大きいキャパシタ19は、上部旋回体3のフレーム3a上に、制振ラバーを含む支持部材19Mを介して固定される。キャパシタ19の上には、フレーム3aに固定されると共に、フレーム3aの上面からかさ上げされた載置台204が設けられる。そして、インバータ18及び昇降圧コンバータ100は、それぞれ、制振ラバーを含む支持部材18M及び支持部材100Mを介して、載置台204の上面に左右に並べて固定される。
インバータ18におけるワイヤハーネス31、32の取り出し口、即ち、ワイヤハーネス31、32との接続コネクタは、第1例と同様、後方の側面(後端面)に設けられる。
図17、図18に示すように、インバータ18の後端面は、全体として、尿素水タンク200と前後方向で対向しているため、インバータ18の後端面から後方に延出するワイヤハーネス31は、尿素水タンク200を迂回して、上部旋回体3の後部に向けて延設される。具体的には、図17に示すように、インバータ18の後端部から後方に延出するワイヤハーネス31は、尿素水タンク200との干渉を避けるため、第1例と異なり、右側に屈曲され、尿素水タンク200の右方を前から後に向けて通過するように配索される。また、ワイヤハーネス31は、尿素水タンク200の右方を通過する部分で、尿素水タンク200と、上部旋回体3の右端部を前後に縦断する外側フレーム181(フレーム3aの構成要素)との間の左右位置に配索される。本例では、図17(及び後述する図20)に示すように、尿素水タンク200と外側フレーム181との間には、ワイヤハーネス31が通過可能な左右方向の空間が設けられる。また、図18に示すように、尿素水タンク200の右側面には、ワイヤハーネス31の配索経路を案内するガイド部材31Gが2つ設けられる。ワイヤハーネス31は、尿素水タンク200の右方を通過する部分で、ガイド部材31Gに保持されることにより、後下がりの経路で配索される。また、ワイヤハーネス31は、尿素水タンク200の右方を通過する部分で、前から後ろに向けて徐々に上部旋回体3(フレーム3a)の中央側に寄りつつ、尿素水タンク200と外側フレーム181の間を通過し、尿素水タンク200の下に潜る態様で配索される。そして、ワイヤハーネス31は、尿素水タンク200及び燃料タンク160の下を通過する態様で、上部旋回体3の後方に延設され、電動発電機12に接続される。
尚、本実施形態における尿素水タンク200は、上述の如く、タンク本体200aと、タンク本体200aを収納(固定)するタンク収納容器212(タンク補強部材215及びタンクブラケット226)を含み、ガイド部材31Gは、例えば、タンク収納容器213に固定される。
また、図17、図18に示すように、インバータ18の後端面には、インバータ18、昇降圧コンバータ100、キャパシタ19等を冷却する冷却水を循環させる冷却管33が接続される。以下、図19を用いて、冷却水を循環させる冷却系について説明する。
図19は、インバータ18、昇降圧コンバータ100、キャパシタ19等の冷却水を循環させる冷却系の構成の一例を示す図である。
図19に示すように、冷却系は、ラジエータ191B、ウォータポンプ192B、キャパシタ19、インバータ18、昇降圧コンバータ100、他の冷却対象を含む。
尚、他の冷却対象には、例えば、電動発電機12、旋回用電動機21、減速機13等が含まれうる。また、図19に示す冷却回路は、一例であり、任意の接続方法が採用されてよい。
ウォータポンプ192Bは、ラジエータ191Bで冷却された冷却水を吸い込んで吐出する。ウォータポンプ192Bから吐出された冷却水は、キャパシタ19、インバータ18、昇降圧コンバータ100、他の冷却対象のそれぞれに隣接するように配置される冷却管を循環し、ラジエータ191Bに戻る。これにより、キャパシタ19、インバータ18、昇降圧コンバータ100等が冷却される。
図17、図18に示すように、インバータ18の後端面は、上述の如く、全体として、尿素水タンク200と前後方向で対向しているため、インバータ18の後端面から後方に延出する冷却管33は、尿素水タンク200を迂回して、上部旋回体3の後部に向けて延設される。具体的には、図18に示すように、インバータ18の後端面から後方に延出する冷却管33は、尿素水タンク200との干渉を避けるため、下向きに屈曲され、尿素水タンク200及び燃料タンク160の下を前から後ろに向けて通過するように配索される。
以下、図20を参照して、尿素水タンク200及び燃料タンク160の下に配索される冷却管33の部分について説明をする。
図20は、上部旋回体3の尿素水タンク200が配置される部分の下面図である。
尚、図中、尿素水タンク200の下面を視認可能な状態になっているが、通常は、尿素水タンク200の下面を覆うカバーがフレーム3aに取り付けられている。
図20に示すように、フレーム3aは、外側フレーム181と連結する左右方向に延在するフレーム182,183を含む。フレーム182、183は、前後方向に所定の間隔を有して設けられ、尿素水タンク200は、上述のカバーをフレーム3aから外すことにより、フレーム182とフレーム183との間の前後方向の空間を通じて、視認可能となっている。
尿素水タンク200(具体的には、タンク本体200a)の下面には、内部の尿素水を排出するドレン口(不図示)が設けられると共に、該ドレン口を閉塞するプラグ200Dが設けられる。これにより、上述のカバーをフレーム3aから取り外すことにより、ドレンプラグ211を視認可能となり、作業者は、上部旋回体3の下から容易にドレンプラグ211にアクセスして、尿素水タンク200のメンテナンス作業を行うことができる。
また、尿素水タンク200の前端位置とフレーム182の後端位置の間には、ある程度の空間が設けられ、インバータ18の後端面から延出する冷却管33は、下向きに屈曲された後、当該空間(隙間)を通過して、尿素水タンク200の下に潜っている。尿素水タンク200の下を通過する部分の冷却管33には、冷却管33内の冷却水を排出するドレン口(不図示)が設けられると共に、該ドレン口を閉塞するドレンプラグ33Dが設けられる。これにより、上述のカバーをフレーム3aから取り外すことにより、ドレンプラグ33Dを視認可能となり、作業者は、上部旋回体3の下から容易にドレンプラグ211にアクセスして、冷却系のメンテナンスを行うことができる。また、尿素水タンク200のドレンプラグ211と、冷却管33のドレンプラグ33Dは、上述のカバーをフレーム3aから取り外すことにより、同時に視認可能である。そのため、尿素水タンク200及び冷却系の双方のメンテナンスを同時に行うことができ、メンテナンス作業の効率化を図ることができる。
また、インバータ18の後端から延出するワイヤハーネス31は、上述の如く、外側フレーム181と尿素水タンク200(の右側面)の間の空間(隙間)を通過して、尿素水タンク200の下に潜っている。
また、尿素水タンク200の下に潜ったワイヤハーネス31及び冷却管33は、フレーム183に設けられる貫通孔(不図示)を貫通して、上部旋回体3の後部に延設される。
このように、貯蔵タンク(尿素水タンク)は、蓄電装置及び駆動装置の後方で燃料タンクの前方に配置される。この構成によれば、貯蔵タンクが、貯蔵タンクに比べて相対的に高さの低い蓄電装置や駆動装置の後ろ、且つ貯蔵タンクに比べて相対的に高さの高い燃料タンクの前に配置されるので、右前に構成する昇降用のステップのレイアウトを容易に構成することができる。
また、駆動装置の後端部には、電動機に電力を供給するハーネスと、駆動装置に冷却水を循環させる冷却管とが接続される。ハーネスと冷却管との少なくとも一方は、尿素水タンクを迂回して上部旋回体の後部(例えば、アシストモータが配置されている場所)に向けて延設される。尿素水タンクが燃料タンクの前方、駆動装置の後方に配置されていたとしても、ハーネスや冷却管を上部旋回体の後方に延設することができる。
また、冷却管が尿素水タンクの下を通過する態様で迂回してもよい。この構成によれば、尿素水タンクを追加したことによるブーム支持フレームと燃料タンクとの間の領域のスペースを圧迫することを防ぐことができる。尿素水タンクの下のスペースを活用している。駆動装置は蓄電装置の上に配置されている。このため、駆動装置に接続されるハーネスや冷却管は尿素水タンクに対向することになる。このような構成であっても積極的に尿素水タンクの下側や上側を迂回することができる。
また、貯蔵タンクの第1ドレン口と冷却管の第2ドレン口とは同じ位置に配置され、1枚のカバーで覆われている。この1枚のカバーを外すことで、いずれのドレン口も同時に視認できる。また、それぞれ異なるカバーで覆われている場合は、メンテナンスの対象に合わせて外すべきカバーを記憶しておく必要があるが、メンテナンス対象に関わらず外すべきカバーが決まっているので、メンテナンスが容易になる。
また、駆動装置のハーネスは、尿素水タンクと外側フレームとの間に設けられたハーネス通過用のスペースを通過し、ブーム支持フレームと燃料タンクとの間の領域を消費しない。ハーネスは、燃料タンクの下側に導かれる。その際には、尿素水タンクに設けられたガイド部材により徐々に後ろ下がりになるように案内される。ハーネスは蓄電装置より上の位置から燃料タンクの下に案内されるが、このような構成によればハーネスが硬い場合でも、徐々に下の方向に案内することができ、ハーネスに負担をかけることが無い。
また、ハーネスは尿素水タンクの側を通過して燃料タンクの下に案内された後は、旋回フレームの中央側にある程度近づくように案内される。尿素水タンクを迂回した後は、できるだけ中央側に配設し、旋回フレームの側方から加わる外乱を回避できるような対応としている。
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。