JP6559464B2 - 作業車両の周囲監視装置 - Google Patents

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Description

本発明は、作業車両の周囲監視装置に関する。
油圧ショベル等の作業車両の周囲監視装置は、作業車両の周囲をカメラ等で撮影し、作業車両の周囲に存在する人や障害物を監視するものである。例えば、特許文献1に記載の技術では、作業時の作業車両の姿勢および作業範囲を描画する画像と、カメラで撮影した作業車両周辺の画像を作業車両の上方視点からの俯瞰画像に変換した画像と、カメラ等で検出した障害物を描画する画像とを、表示装置に重畳表示するようにしている。
しかしながら、カメラで撮影した映像を用いて二次元の俯瞰画像を生成すると歪みが発生しやすい。また、二次元画像では障害物との関係が把握し難い場合がある。そこで、特許文献2に記載の技術では、作業機の周囲の対象地形の形状をステレオカメラ等で撮影し、その撮影情報に基づいて対象地形の三次元形状を演算し、対象地形および作業機の三次元形状を重畳表示するようにしている。例えば、バケットを用いた土面の成形作業におけるバケットの動きや地形形状を三次元画像として提示することで、作業状況が分かりやすいようにしている。
特開2008−248613号公報 特開2008−144379号公報
ところで、周囲監視装置においては、作業時か否かに関係なく、また作業時には作業状態に応じて、作業車両の周囲の障害物の状況を運転者に認識しやすく提示することが求められる。しかしながら、特許文献2には、作業車両の周囲の障害物の状況を運転者に認識しやすく提示することに関しては、記載されていない。
本発明に係る作業車両の周囲監視装置は、作業車両の周囲に存在する障害物の位置を含む障害物情報を認識する障害物認識部と、前記作業車両の位置情報を受信する位置情報受信部と、前記作業車両の障害物情報を受信する無線受信部と、前記作業車両の操作信号及び前記障害物情報に基づいて画像を生成する際の視点位置を決定する視点位置決定部と、前記作業車両の周囲地形に関する三次元データが保持されている情報保持部と、前記情報保持部に保持されている前記三次元データに基づき、前記視点位置決定部によって決定された前記視点位置からの三次元表示画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部によって生成された前記三次元表示画像が表示される表示装置とを備え、前記障害物認識部は、前記障害物の位置が監視範囲内であるか否かを判定し、前記障害物認識部により前記障害物の位置が前記監視範囲外であると判定された場合に、前記視点位置決定部は、前記操作信号が前記作業車両の前進であると判定された場合には、前記視点位置を前記作業車両の後方斜め上方の位置とし、前記操作信号が前記作業車両の後進であると判定された場合には、前記視点位置を前記作業車両の前方斜め上方の位置とし、前記操作信号が前記作業車両の前進でも後進でもないと判定され、かつ前記操作信号が掘削動作であると判定された場合には、前記視点位置を前記作業車両の斜め前方の斜め上方位置とすることを特徴とする。
本発明によれば、作業車両の作業状態および周辺障害物に応じて自動で適切に選択された視点の三次元表示画像を提供することができるため、作業車両の周囲の障害物の状況が、従来よりも認識しやすくなる。
図1は、本実施の形態に係る周囲監視装置が適用される作業車両の一例を示す図である。 図2は、本実施の形態に係る周囲監視装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。 図3は、作業車両が停止状態にある場合の監視範囲を示す図である。 図4は、左旋回時および右旋回時の、フロント作業部の監視範囲を示す図である。 図5は、作業車両が前後方向に走行している時の監視範囲を示す図である。 図6は、旋回動作時における三次元表示画像の一例を示す図である。 図7は、作業車両が前進している時の三次元表示画像の一例を示す図である。 図8は、作業車両が後進している時の三次元表示画像の一例を示す図である。 図9は、掘削作業時における三次元表示画像の一例を示す図である。 図10は、人物が監視範囲に侵入した場合の、三次元表示画像の一例を示す図である。 図11は、車両停止時に移動障害物が監視範囲内に侵入した場合の、三次元表示画像の一例を示す図である。 図12は、作業車両走行時にダンプトラックが監視範囲内に侵入した場合の、三次元表示画像の一例を示す図である。 図13は、作業車両走行時に高架線が監視範囲内に侵入した場合の、三次元表示画像の一例を示す図である。 図14は、視点位置決定処理の一例を示すフローチャートである。 図15は、図14のステップS80の作業状況判定処理の一例を示すフローチャートである。 図16は、変形例を示す図である。
以下、図を参照して本発明による作業車両の周囲監視装置の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る周囲監視装置が適用される作業車両の一例である油圧ショベルの外観図である。作業車両1は、それぞれ垂直方向に回動するブーム1a、アーム1b、バケット1cからなる多関節型のフロント作業部1Aと、上部旋回体1d及び下部走行体1eからなる車体1Bとで構成される。ブーム1a、アーム1b、バケット1cはブームシリンダ3a、アームシリンダ3b、バケットシリンダ3cによりそれぞれ駆動される。
フロント作業部1Aにおいて、ブーム1aは、基端が上部旋回体1dの前部に回動可能に支持され、先端にアーム1bの一端が回動可能に支持されている。アーム1bの他端には、バケット1cが回動可能に支持されている。ブーム1aは、ブームシリンダ3aによって垂直方向に回動するように駆動される。アーム1bは、アームシリンダ3bによって垂直方向に回動するように駆動される。バケット1cは、バケットシリンダ3cによって垂直方向に回動するように駆動される。
車体1Bにおいて、操作室1fを有する上部旋回体1dは、下部走行体1eに対して旋回可能に取り付けられている。不図示の旋回モータ3d(図2を参照)が駆動されると、上部旋回体1dが下部走行体1eに対して旋回する。下部走行体1eは、左右一対の走行モータ3e,3f(3fは不図示)により駆動される。下部走行体1eおよび走行モータ3eは、車体1Bの反対側にも設けられており、この一対の走行モータ3e,3fは、それぞれ独立して駆動される。一対の走行モータ3e,3fが同時にあるいは独立して駆動されることにより、作業車両1は前進あるいは後進走行し、また、走行方向を変更することができる。
操作室1f内には、ブームシリンダ3aを駆動するブーム操作レバー、アームシリンダ3bを駆動するアーム操作レバー、バケットシリンダ3cを駆動するバケット操作レバー、上部旋回体1dを駆動する旋回モータ3d駆動用の旋回操作レバー、および走行モータ3e,3fを駆動する走行モータ操作レバーが設けられている(図2を参照)。また、図示していないが、操作室1f内には、表示装置および警報部等が搭載されている。
8a、8b、8cは、それぞれ、ブーム1a、アーム1bおよびバケット1cの回動支点に設けられた回動角を検出する角度検出器であり、8dは上部旋回体1dの旋回角を検出する旋回角検出器である。各検出器8a〜8dは図示しないドライバにより駆動される。検出した角度に関する情報は操作室1f内に搭載された表示モニタに表示される。
図2は、本実施の形態に係る周囲監視装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。周囲監視装置10は、監視コントローラ20と、表示装置50と、警報部40と、無線受信機10aと、GPS(Global Positioning System)受信機10bを備えている。監視コントローラ20は、表示画像生成部21と、障害物認識部22と、視点位置決定部23と、情報保持部24とを有している。情報保持部24は、予め、作業車両周囲において監視が必要とされる領域として設定された監視領域、周囲地形に関する三次元データ(例えば、三次元点群データ)、作業車両データ、障害物データ等を保持している。障害物データとしては、作業に関与する車両や作業員に関するデータや、静止障害物(後述する高架線120など)の種類及び位置のデータがある。周囲監視装置10の監視コントローラ20には、車体コントローラ30から車体情報39が入力される。
車体コントローラ30は車体制御部31を有している。車体制御部31には、ブームシリンダ3aの回動角を検出する角度検出器8aからの信号、アームシリンダ3bの回動角を検出する角度検出器8bからの信号、バケットシリンダ3cの回動角を検出する角度検出器8cからの信号、上部旋回体1dの旋回角を検出する旋回角検出器8dからの信号、および、操作室1fに設けられた操作レバー4a〜4eからの信号がそれぞれ入力される。操作レバー4a〜4eは例えば電気レバーにより構成される。図2の操作レバー4a〜4eは、順に、上述したブーム操作レバー、アーム操作レバー、バケット操作レバー、旋回操作レバー、走行モータ操作レバーである。なお、油圧式の操作レバーの場合には、操作信号はパイロット圧が対応する。
フロント作業部駆動用のシリンダ3a〜3cおよび旋回モータ3dは、操作レバー4a〜4dの操作量に応じて制御される。走行モータ3e,3fはそれぞれ操作レバー4eの操作量に応じて制御される。車体制御部31には、予め作業車両の形状や寸法などの幾何学情報が記憶されている。車体制御部31は、操作レバー4a〜4eからの信号と各検出器8a〜8dからの信号等の車体情報39を監視コントローラ20に送信する。
車体制御部31から入力された車体情報39は、情報保持部24に保持される。監視コントローラ20には、無線受信機10aおよびGPS受信機10bからの信号が入力され、情報保持部24に保持される。GPS受信機10bは、作業車両1の位置情報(絶対座標)を得るために搭載されている。また、無線受信機10aは、移動障害物(車両や作業員)からの情報を受信するために設けられている。各移動障害物は、GPS受信機および無線送信機を備えている。各移動障害物の無線送信機からは、各々の絶対座標(GPS情報)およびそれぞれに設定されたIDナンバーが、作業車両1の無線受信機10aに送信される。
障害物認識部22は、無線受信機10aおよびGPS受信機10bからの信号と、車体情報39と、障害物データと、三次元点群データとに基づいて、障害物の種類および位置を求める。すなわち、障害物情報を認識する。さらに、障害物認識部22は、障害物の位置が予め設定した監視範囲(後述する図3〜5参照)内であるか否かの判定も行う。なお、図示はしないが障害物認識部22とは別に判定部を設けてもよい。この判定部は、障害物認識部22からの障害物の位置を入力し、この障害物の位置が監視範囲内であるか否かの判定を行う。監視範囲内に障害物がある場合には、障害物認識部22は警報部40に制御信号を出力し、操作室内において警報を発生させる。情報保持部24の三次元点群データを使用する際に、三次元点群データにGPS情報による位置データを付与し、作業車両1の現在位置データとの比較を行うことで、三次元点群データ中の現在位置を推定することができる。なお、ここではGPS情報を用いているが、自己位置と三次元点群データとの位置関係を比較できる手段であればGPS情報に限らない。
表示画像生成部21は、三次元点群データと、GPS受信機10bからの信号に基づく作業車両1の位置と、視点位置決定部23によって決定された視点位置とに基づいて、静止障害物を含む三次元地形画像を生成する。さらに、表示画像生成部21は、無線受信器10aおよびGPS受信機10bからの信号に基づく作業車両1の位置および移動障害物の位置と、上記視点位置と、車体情報39と、情報保持部24に保持されている作業機データおよび障害物データとに基づいて、上記視点位置に対応した作業車両画像および移動障害物画像を生成する。そして、表示画像生成部21は、三次元地形画像上に作業車両画像および移動障害物画像を重畳表示した三次元表示画像を生成する。生成された三次元表示画像は、作業車両1の操作室内に設けられた表示装置50の表示モニタ上に表示される。
<監視範囲の説明>
図3〜図5は、作業車両1の各種動作時における監視範囲の一例を示す図である。図3は、作業車両1がフロント作業部1A、旋回または走行が全て停止した状態(このような作業動作を停止した状態を、以下では、単に停止状態と呼ぶ)にある場合の、監視範囲を示す図である。本実施形態における「停止状態」とは、作業車両のエンジンがONであるかOFFであるかに関係なく、フロント作業部の動作、旋回動作、走行動作の全てが停止している状態を示す。破線L1はフロント作業部1Aに関する監視範囲を示し、破線L2は車体1Bに関する監視範囲を示している。
図3(a)は作業車両1を左側方から見た図であり、図3(b)は上方から見た図である。フロント作業部1Aに関する監視範囲L1において、高さ方向範囲H1は、フロント作業部1Aの最も低い位置の高さよりも余裕度α1(m)だけ低い位置から、最も高い位置よりも余裕度α2(m)だけ高い位置までである。また、前後方向範囲D1は、フロント作業部1Aの最先端位置よりも余裕度α3(m)だけ前方位置から、フロント作業部1Aの最後端位置までである。左右方向範囲W1は、バケット左端よりも余裕度α4(m)だけ左側の位置から、バケット右端よりも余裕度α4(m)だけ右側の位置までである。
一方、車体1Bに関する監視範囲L2は、上部から見た範囲に関しては、上部旋回体1dの旋回中心から半径R2までの範囲である。半径R2は、後端旋回半径に余裕度α5(m)だけ大きく設定される。また、監視範囲L2の高さ範囲H2は、下部走行体1eの底面から車高よりも余裕度α6(m)だけ高い位置までである。
図4は、左旋回時(図4(a))および右旋回時(図4(b))に追加される、フロント作業部1Aの監視範囲L3、L4を説明する図である。図4(a)に示す左旋回時に追加される監視範囲L3は、フロント作業部1Aの左側に設定された扇形状の監視範囲であり、角度θは例えば60度に設定される。扇形状の半径R3は、作業部最後端から最先端に余裕度α7(m)を加えた位置までの寸法に設定される。また、監視範囲L3の高さ方向範囲は、図3の場合と同様のH1に設定される。一方、図4(b)に示す右旋回時に追加される監視範囲L4は、監視範囲L3を左右反転した形状を有しており、扇形状の角度および半径は監視範囲L3と同一に設定される。
図5は、作業車両1が前後方向に走行している時の監視範囲を示したものである。車体1Bに関する監視範囲は、図3に示した停止状態の場合と同様のL2に設定される。一方、フロント作業部1Aに関する監視範囲L5は、図3に示した監視範囲L1よりも大きく設定される。図5(b)では、比較のために監視範囲L1を二点鎖線で示した。監視範囲L5の高さ方向範囲は停止状態の場合と同じH1に設定される。監視範囲L5の前後方向範囲D2は、停止状態の場合の前後方向範囲D1よりも余裕度d(m)だけ前方に伸びている。監視範囲L5の後端位置は監視範囲L2の場合と同様に、フロント作業部1Aの最後端に設定される。余裕度dとしては、例えば、作業車両1が最高速度で走行した場合の、1秒間当たりの距離に設定される。また、監視範囲L5の左右方向範囲W2の寸法は、例えば、車体1Bの幅寸法と同一に設定される。
<障害物と視点位置との関係の説明>
表示画像生成部21において三次元表示画像を生成する際の視点位置は、作業車両1と障害物との位置関係や、障害物の種類によって異なる。以下では、上述した視点位置決定部23においてどのような視点位置が決定されるかについて、障害物と視点位置との関係の代表的な例をあげて説明する。
− 監視範囲L(L1〜L5)の内部に障害物が無い場合 −
まず、監視範囲Lの内部に障害物が無い場合について説明する。この場合、視点位置決定部23は、作業車両1の作業状況に応じて視点位置を決定する。作業状況としては、例えば、上部旋回体1dの旋回動作、作業車両1の前後への走行動作、フロント作業部1Aの駆動動作(例えば、掘削動作)などがある。これらの作業状況に応じて視点位置はそれぞれ異なるが、これらを総称して作業対応視点位置と呼ぶことにする。そして、上記の各作業状況に応じた個別の視点位置を、旋回時視点位置、前進時視点位置、後進時視点位置、掘削時視点位置と呼ぶことにする。
(旋回時視点位置)
図6は、旋回動作時における三次元表示画像の一例を示す。この場合、視点位置は作業車両1の真上の所定位置(以下では、旋回時視点位置と呼ぶ)に設定され、作業車両上方から作業車両1を見下ろしたような三次元表示画像が生成される。監視範囲は図示していないが、右旋回か左旋回かに応じて、図4に示すような監視範囲L1,L2,L3,L4が設定される。もちろん監視範囲を三次元表示画像上に重畳表示するようにしても良い。障害物認識部22はこの監視範囲L1,L2,L3,L4の内部に障害物があるか否かを常に判定している。
視点位置決定部23は、旋回動作時の旋回操作レバー4dの操作状態、すなわち、旋回操作レバー4dからの操作信号(電気信号またはパイロット圧)に基づいて旋回動作が行われているか否かを判定する。視点位置決定部23は、旋回動作が行われていると判定すると、視点位置を旋回時視点位置に決定する。なお、旋回動作に限らず、作業車両1の動作状態は、操作レバー4a〜4eからの操作信号や、角度検出器8a〜8dで検出される検出角度の時間変化から推定することができる。
視点位置決定部23により旋回時視点位置が決定されると、表示画像生成部21は、この視点位置情報と、情報保持部24に保持されている周囲地形の三次元点群データと、GPS受信機10bからの信号に基づく作業車両1の位置とに基づいて、旋回時視点位置から見た三次元地形画像を生成する。なお、三次元点群データには地面上に置かれた静止障害物が含まれているので、三次元地形画像はその静止障害物を含む三次元画像となっている。
さらに、表示画像生成部21は、旋回時視点位置に応じた作業車両画像および移動障害物画像を生成する。作業車両画像としては、そのときの作業車両1の姿勢に応じた三次元画像が生成される。作業車両1の姿勢は、(上部旋回体1dの旋回角度及びフロント作業部1Aの姿勢等)は、角度検出器8a〜8dによって検出された検出角度から算出することができる。
作業車両1および移動障害物の三次元画像を生成するに当たっては、作業車両1および移動障害物のアイコンデータが作業機データおよび障害物データとして予め情報保持部24に保持されている。表示画像生成部21は、それらのアイコンデータと、視点位置情報と、作業車両1の姿勢と、無線受信器10aからの信号に基づく移動障害物の位置情報とに基づいて、旋回時視点位置に応じた作業車両および移動障害物の三次元的なアイコン画像を生成する。表示画像生成部21は、三次元地形画像上に作業車両および移動障害物のアイコン画像を重畳した画像を、三次元表示画像として表示装置50に出力する。
なお、移動障害物が車両である場合には、複数種類の車両アイコンを情報保持部24に予め保持しておく。そして、無線送信される車両情報(障害物データ)に車種情報も含まれるようにし、その車種情報に応じて車両アイコンを選択するようにしても良い。
(前進時視点位置)
図7は、作業車両1が前進している時の三次元表示画像の一例を示す。作業車両1が前進している場合には、オペレータとしては、作業車両1と車両前方および側方の障害物との位置関係をより詳細に把握する必要がある。そのためには、図7に示すように、作業車両1の後方斜め上方から見た三次元表示画像が好ましい。この場合の視点位置を、ここでは前進時視点位置と呼ぶことにする。前進時視点位置の一例としては、車両中央を前後方向に通る垂直面上であって、車体1Bの中央から後方を見て、仰角45度の方向に選ぶことが考えられる。図7は、この方向の所定高さの位置から作業車両1を見た場合の三次元表示画像である。
(後進時視点位置)
図8は、作業車両1が後進している時の三次元表示画像の一例を示す。作業車両1が後進している場合には、オペレータとしては、作業車両1と車両後方および側方の障害物との位置関係をより詳細に把握する必要がある。そのためには、図8に示すように、作業車両1の前方斜め上方から見た三次元表示画像が好ましい。この場合の視点位置を、ここでは後進時視点位置と呼ぶことにする。後進時視点位置の一例としては、車両中央を前後方向に通る垂直面上であって、車体1Bの中央から前方を見て、仰角45度の方向に選ぶことが考えられる。図8は、この方向の所定高さの位置から作業車両1を見た場合の三次元表示画像である。
(掘削時視点位置)
図9は、掘削作業時における三次元表示画像の一例を示す。掘削作業をよりスムーズに、かつ正確に行うためには、掘削しているバケットと施工面との関係と、そのときの周囲の状況(障害物の状況など)をより詳細に把握する必要がある。そのためには、図9に示すように、作業車両1の斜め前方の斜め上方から見た三次元表示画像が好ましい。この場合の視点位置を、ここでは掘削時視点位置と呼ぶことにする。掘削時視点位置の一例としては、車両中心線から前方斜め右45度の方向であって、上部旋回体1dの中央から前方を見て、仰角45度の方向に選ぶことが考えられる。図9は、この方向の所定高さの位置から作業車両1を見た場合の三次元表示画像である。
− 監視範囲L(L1〜L5)の内部に障害物が有る場合 −
次に、監視範囲Lの内部に障害物が有る場合について説明する。この場合、次の3つに区分される。第1は、作業車両1の監視範囲に人物が侵入した場合である。第2は、停止している作業車両1の監視範囲に人物以外の移動障害物が侵入した場合である。第3は、作業車両1が走行移動している場合に、障害物が監視範囲に侵入した場合である。
(人接近時視点位置)
まず、1番目の、人物が監視範囲に侵入した場合について説明する。この場合、作業車両1に対して人物がどこにいるかが明確に分かる三次元表示画像を提供するのが好ましい。図10は、そのような場合の三次元表示画面の一例を示したものである。図10に示す例では、人物Mの存在する方向から作業車両1を見下ろすような視点位置から見た場合の、三次元表示画像を示している。この場合の視点位置を、ここでは人接近時視点位置と呼ぶことにする。このような画像を表示することで、人物Mが作業車両1の陰に入ることがなく、人物Mが作業車両1のどの方向に接近しているかが容易に認識できる。
図10は、人物Mは、作業車両1の後方斜め右45度の方向において、人物Mが監視範囲に侵入した場合を示したものである。このときの視点位置は、後方斜め右45度の方向の、例えば、仰角45度の方向から作業車両1を見下ろすような視点位置が採用される。その結果、作業車両1の手前側に人物Mの画像が表示されることになる。
2番目として、停止している作業車両1の監視範囲に人物以外の移動障害物が侵入した場合である。例えば、ダンプトラックのような車両が監視範囲に侵入した場合である。この場合、表示画像生成部21は、上述した監視範囲の内部に障害物が無い場合と同様の三次元表示画像を生成する。すなわち、作業対応視点位置に基づく三次元表示画像を生成する。その三次元表示画像には、監視範囲に侵入した移動障害物のアイコン画像が重畳表示される。図11は、旋回時視点位置で三次元表示画像が表されている状況において、すなわち、作業車両1が走行停止状態で旋回動作を行っているときに、移動障害物100が監視範囲内に侵入した場合の、三次元表示画像を示したものである。なお、説明は省略するが、その他の作業対応視点位置(前進時視点位置、後進時視点位置、掘削時視点位置)の場合も同様である。
3番目として、作業車両1が走行移動している場合に、人物以外の障害物が監視範囲に侵入した場合である。なお、障害物が移動障害物か静止障害物かに関係なく、同様の処理を行う。例えば、図12は、ダンプトラック110に作業車両1が接近したことにより、ダンプトラック110が監視範囲内に侵入した場合を示す。一方、図13は、作業車両1が高架線120に接近したことによって、その高架線120が監視範囲に侵入した場合を示す。図13では、高架線120が視認しやすいように、実際よりも太い円柱状の画像として表示されている。
いずれの場合も、三次元表示画面に、作業車両1および障害物(ダンプトラック、高架線)の少なくとも両方が収まり、障害物と作業車両1との関係が認識しやすい視点位置が採用される。その場合、フロント作業部1Aの動作範囲も収まるように視点位置を設定しても良い。ここでは、障害物毎に設定されるこのような視点位置を特定視点位置と呼ぶことにする。図12に示す例では、操作室1fよりも若干上方の高さ位置で、かつ、作業車両1とダンプトラック110との中間位置を、作業車両1の右側方上方から見るような視点位置が特定視点位置として設定されている。特定視点位置は、予め確認されている障害物の全てに対して設定しても良いし、特定の障害物のみに設定しても良い。
<視点位置決定処理>
図14は、視点位置決定部23で行われる視点位置決定処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、監視コントローラ20が起動すると開始され、監視コントローラ20が停止すると終了する。ステップS10では、監視範囲に障害物があるか否か、すなわち、監視範囲に障害物が侵入したという信号が障害物認識部22から入力されたか否かを判定する。監視範囲に障害物が無い場合にはステップS80へ進んで、作業状況に応じた視点位置を決定する処理(作業状況判定処理)を行う。ステップS80の処理は後述する。ステップS80の処理を実行したならば、ステップS10へ戻る。
一方、監視範囲に障害物があると判定された場合には、ステップS20へ進み障害物が人物か否かを判定する。上述したように作業現場にいる作業員や車両からは、無線通信によりGPS位置情報がそれぞれのIDナンバーとともに作業車両1へ送信される。そのため、障害物認識部22は、受信情報に基づいて作業員(人物)が監視範囲に侵入したか否かを判定することができる。視点位置決定部23は、人物が監視範囲に侵入したという信号を障害物認識部22から受信すると、ステップS30へ進んで視点位置を前述した人接近時視点位置に決定する。ステップS30の処理を実行したならば、ステップS10へ戻る。一方、監視範囲に侵入した障害物が人物でない場合には、ステップS20からステップS40へ進む。
ステップS40では、作業車両1が走行状態である否かを、走行モータ操作レバー4eの操作信号(車体情報39に含まれている)に基づいて判定する。作業車両1が走行状態でない、すなわち、停止している作業車両1の監視範囲内に移動障害物が侵入した場合には、ステップS80へ進んで作業状況判定処理を行う。一方、作業車両1が走行状態である場合には、すなわち、作業車両1が障害物に接近しつつある場合には、ステップS50へ進む。
ステップS50では、図12,13に示したような障害物に対して予め設定された特定視点位置があるか否かを判定する。侵入した障害物に対して特定視点位置が設定されていない場合には、ステップS70に進んで予め設定された標準視点位置に決定される。標準視点位置としては、例えば、作業車両1の全方位が見やすい図6に示す旋回時視点位置が用いられる。一方、特定視点が予め設定されている場合には、ステップS50からステップS60へ進んで、障害物に対して設定された特定視点位置を視点位置に決定する。ステップS60の処理を実行したならば、ステップS10へ戻る。
図15は、図14のステップS80の作業状況判定処理の一例を示したものである。ステップS100は、作業車両1が旋回動作を行っている状態か否かを判定し、旋回動作状態の場合にはステップS110へ進み、旋回動作を行っていない場合にはステップS120へ進む。ステップS110では、視点位置を旋回時視点位置に決定する。三次元表示画像は図6のようになる。この場合、右旋回か左旋回かについても判定し、左旋回の場合には図4(a)に示すような監視範囲L1,L2,L3を表示し、右旋回の場合に図4(b)に示すような監視範囲L1,L2,L4を表示するようにしても良い。
一方、ステップS120では、作業車両1が前進走行状態か否かを判定する。ステップS120で前進走行状態と判定されると、ステップS130へ進んで視点位置を前進時視点位置に決定する。すなわち、図7に示すような三次元表示画像が生成される。一方、ステップS120で前進走行状態でないと判定されると、ステップS140へ進んで後進走行状態か否かを判定する。ステップS140で後進走行状態と判定されると、ステップS150に進んで視点位置を後進時視点位置に決定する。すなわち、図8に示すような三次元表示画像が生成される。一方、ステップS140で後進走行状態でないと判定されると、ステップS160へ進む。
ステップS160では、作業車両1が掘削動作状態か否かを判定する。ステップS160で掘削動作状態であると判定されると、ステップS170へ進んで視点位置を図9に示すような掘削時視点位置に決定する。一方、掘削動作状態でないと判定されると、ステップS180へ進んで視点位置を停止状態時視点位置に決定する。停止状態視点位置とは作業車両1が前述した停止状態にある場合の視点位置であって、例えば、図6に示すような旋回時視点位置と同様の視点位置が用いられる。なお、停止状態視点位置として、装置起動時における停止状態では図6の場合と同様の視点位置とし、作業車両1が動作を行うっている状態から停止状態になった場合、直前の視点位置を維持するようにしても良い。例えば、ダンプトラック110へ接近している状態から停止した場合には、図12に示す視点位置を維持する。
(1)以上説明したように、作業車両1の周囲監視装置10は、作業車両1の周囲に存在する障害物の、例えば人物M、ダンプトラック110、高架線120などの、障害物情報(例えば、障害物の位置や種類)を認識する障害物認識部22と、作業車両1の例えば操作レバー4a〜4eの操作信号および障害物認識部22で認識された障害物情報に基づいて画像生成の際の視点位置を決定する視点位置決定部23と、視点位置からの三次元表示画像を生成する表示画像生成部21と、を備える。
このように、操作信号および検出された障害物に基づいて決定された視点位置からの三次元表示画像を生成しているので、作業車両1と障害物との相互の位置関係が把握しやすくなる。例えば、作業車両1の操作信号および認識された障害物情報からは車両の作業状況や周囲の状況がわかるので、図6〜13に示したように、作業状況や周囲の状況に応じて、作業車両1と障害物との関係が分かりやすい視点を決定することが可能となる。
(2)さらに、障害物認識部22は、認識された障害物の位置が監視範囲L内であるか否かを判定する。障害物の位置が監視範囲L外であると判定されると、視点位置決定部23が、操作レバー4a〜4eの操作信号に応じた視点位置を決定する。障害物の位置が監視範囲L外である場合には、障害物との間に余裕を持って作業ができるので、このような作業車両1の作業状況が分かりやすい視点位置(作業対応視点位置)における三次元表示画像を生成するのが望ましい。
(3)さらに、障害物が人物であって、その人物が監視範囲L内であると障害物認識部22により判定された場合には、図10に示すように、作業車両画像の手前側に人物画像が配置されるような視点に位置が決定される。このような視点位置の三次元表示画像においては、人物Mは作業車両1の陰に隠れるようなことがなく、人物Mとの位置関係を的確に認識することができる。
(4)また、障害物が人物以外であって、その障害物が監視範囲L内であると判定され、かつ、作業車両1が走行停止状態である場合には、作業車両1の操作信号に応じた視点位置、すなわち、作業車両1の作業状況に応じた視点位置とするのが好ましい。このように、作業車両1が走行停止状態であれば、図11のように作業状況(旋回動作)に応じた視点位置(旋回時視点位置)とすることで、監視範囲L内の障害物と作業車両との位置関係が把握しやすくなる。
(5)障害物が人物以外であって、その障害物が監視範囲L内であると判定され、かつ、作業車両1が旋回状態、走行状態、掘削状態のいずれかである場合には、図12や図13のように視点位置を作業車両および障害物の側方もしくは上方に決定する。このように視点位置を決定することで、作業車両1と障害物との位置関係が把握しやすくなる。
ところで、上述した実施形態では、障害物の検出、障害物と作業車両との相対位置の演算、侵入判定、視点位置の決定等を作業車両1の監視コントローラ20で行うような構成とした。しかし、図16に示すように、障害物に関する情報をセンタサーバ70に送信し、障害物の検出や、障害物と作業車両との相対位置の演算等の全てまたは一部をセンタサーバ70で行うようにしても良い。例えば、障害物の検出や、障害物と作業車両との相対位置の演算等の全てセンタサーバ70で行う構成の場合、それらの結果を作業車両1に無線送信し、作業車両1において侵入判定や視点位置の決定を行うようにしても良い。すなわち、監視コントローラ20は、作業車両の操作信号および入力された車両周囲の障害物に基づいて視点位置を決定し、その視点位置に基づく三次元表示画像を生成する。このように、作業負荷の一部をセンタサーバ70に請け負わせることによって、作業車両1側の処理負荷を低減することができる。図16において、80はGPS衛星であり、人物MのGPS位置情報はセンタサーバ70に送信される。
なお、上述した実施形態では、周囲地形に関する三次元データを予め情報保持部24に保持しておく構成としたが、作業車両1の周辺地形を計測器(例えば、レーザレンジファインダ等)で計測し、その計測結果(三次元点群データ)を使用するような構成でも構わない。計測器は、作業車両1に搭載しても良いし、作業車両1とは別に設置しても良い。データの取得タイミングとしては、事前に計測して情報保持部24に保持する以外に、リアルタイムで計測してもよい。また、異なる種類の計測器を組み合わせてもよい。例えば、レーザーレンジファインダの三次元点群データとカメラの映像データとを組み合わせて、三次元点群データに色情報を付与することで、周囲環境をより直感的に把握できる。
また、図12のようにダンプトラック110のような車両のアイコン画像を生成する場合に、車両の向きも考慮してアイコン画像を生成しても良い。例えば、ダンプトラック110からの無線情報にハンドル操作やシフトレバー操作を含め、その操作量に基づいて車両の向きを推定する。
さらに、図14のステップS40において走行状態か否かを判定しているが、例えば走行状態の代わりに旋回状態、掘削状態のいずれかで判定を行ってもよい。また、ステップS40で判定終了後に更に作業状態の判定を行うことで、複数の作業状態や複合動作について判定できるようにしてもよい。なお作業状態は走行状態、旋回状態、掘削状態に限るものでは無く、実際の作業内容や作業車両の機能によって別途設定してもよい。
なお、以上の説明はあくまでも一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では油圧ショベルを例に説明したが、ホイールローダなど種々の作業車両に適用することができる。
1…作業車両、1A…フロント作業部、1B…車体、1d…上部旋回体、1e…下部走行体、4a〜4e…操作レバー、10…周囲監視装置、20…監視コントローラ、21…表示画像生成部(画像生成部)、22…障害物認識部(判定部)、23…視点位置決定部、24…情報保持部、30…車体コントローラ、50…表示装置、110…ダンプトラック(人物以外の障害物)、120…高架線(人物以外の障害物)、L,L1〜L4…監視範囲、M…人物(障害物)

Claims (3)

  1. 作業車両の周囲に存在する障害物の位置を含む障害物情報を認識する障害物認識部と、
    前記作業車両の位置情報を受信する位置情報受信部と、
    前記作業車両の障害物情報を受信する無線受信部と、
    前記作業車両の操作信号及び前記障害物情報に基づいて画像を生成する際の視点位置を決定する視点位置決定部と、
    前記作業車両の周囲地形に関する三次元データが保持されている情報保持部と、
    前記情報保持部に保持されている前記三次元データに基づき、前記視点位置決定部によって決定された前記視点位置からの三次元表示画像を生成する画像生成部と、
    前記画像生成部によって生成された前記三次元表示画像が表示される表示装置とを備え
    前記障害物認識部は、前記障害物の位置が監視範囲内であるか否かを判定し、
    前記障害物認識部により前記障害物の位置が前記監視範囲外であると判定された場合に、前記視点位置決定部は、前記操作信号が前記作業車両の前進であると判定された場合には、前記視点位置を前記作業車両の後方斜め上方の位置とし、前記操作信号が前記作業車両の後進であると判定された場合には、前記視点位置を前記作業車両の前方斜め上方の位置とし、前記操作信号が前記作業車両の前進でも後進でもないと判定され、かつ前記操作信号が掘削動作であると判定された場合には、前記視点位置を前記作業車両の斜め前方の斜め上方位置とすることを特徴とする作業車両の周囲監視装置。
  2. 請求項1記載の作業車両の周囲監視装置において、
    前記障害物認識部は、前記位置情報受信部で受信された前記作業車両の位置情報、前記無線受信部で受信された前記作業車両の障害物情報及び前記三次元データに基づいて、前記障害物の種類及び位置を認識することを特徴とする作業車両の周囲監視装置。
  3. 請求項記載の作業車両の周囲監視装置において、
    前記視点位置決定部は、前記操作信号が旋回動作であると判定された場合には、前記視点位置を前記作業車両の真上の所定位置とすることを特徴とする作業車両の周囲監視装置。
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