JP6557762B1 - 揚鉱システム及び鉱石投入装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】揚鉱システムにおいて、高圧の吐出圧を有するポンプを用いる場合でも、水底で採取した鉱石を水上まで円滑に揚鉱可能にする。【解決手段】一実施形態に係る揚鉱システムは、ポンプと、鉱石回収部と、前記ポンプから水底まで延在する往路配管と、前記水底から前記鉱石回収部まで延在する復路配管と、前記水底で採取された鉱石を前記復路配管に投入するための鉱石投入装置と、を備え、前記鉱石投入装置は、外部の水から遮断された密閉容器を含み、前記密閉容器は、前記鉱石を貯留するための鉱石貯留空間と、前記往路配管および前記復路配管に連通する鉱石投入空間と、を内部に含み、前記鉱石投入空間は、鉱石投入口を介して前記鉱石貯留空間から前記鉱石の供給を受けるように構成される。【選択図】図1

Description

本開示は、揚鉱システム及び鉱石投入装置に関する。
海底に存在するマンガン団塊などの鉱物資源を採取し回収する装置として、特許文献1には、海上の母船から長い揚鉱管の先端を集鉱機と共に海底に降し、集鉱機で集めた鉱物資源を海水と共にスラリとして揚鉱管に移送し、揚鉱管の途中に設けられたポンプ内部を通過させて該スラリを海上の母船まで揚鉱するシステムが開示されている。
揚鉱システムでは、深い海底ほど高吐出圧のポンプを用いるか、若しくは多数のポンプを直列に配置して揚程を増加させる必要がある。特許文献2には、揚鉱用配管として海上に位置する両端が大気に開放されたU字管を用い、U字管の往路と復路とのヘッド差とポンプの推力とによって、復路においてスラリ上昇流を形成させることで、ポンプ動力を低減可能とした揚鉱システムが開示されている。
特開昭62−260994号公報 特開2003−269070号公報
深い海底から鉱物資源を採取する場合、ポンプの吐出圧が高くなるため必然的に揚鉱管内は高圧となるため、特許文献2のようにヘッド差を利用して揚鉱することは現実的ではない。揚鉱管内が高圧となるほど集鉱機で採取した鉱石を揚鉱管内に供給するのは困難になるため、採取した鉱石を水上まで円滑に移送することができなくなる。この問題を解決する手段は特許文献1及び2には開示されていない。特許文献2においては、海上に位置するU字管の両端が大気に開放されているが、海底の揚鉱管内は高圧となっており、上記問題が解消されていない。
また特許文献1では高速で回転するポンプ内部を鉱石が通過するため、ポンプ内部の摩耗や損傷により寿命が短く、そのうえポンプが水中にあるため点検、交換が容易に行えない。
一実施形態は、揚鉱システムにおいて、高圧の吐出圧を有するポンプを用いる場合でも、水底で採取した鉱石を水上まで円滑に揚鉱可能にすることを目的とする。
(1)一実施形態に係る揚鉱システムは、
ポンプと、
鉱石回収部と、
前記ポンプから水底まで延在する往路配管と、
前記水底から前記鉱石回収部まで延在する復路配管と、
前記水底で採取された鉱石を前記復路配管に投入するための鉱石投入装置と、
を備え、
前記鉱石投入装置は、外部の水から遮断された密閉容器を含み、
前記密閉容器は、
前記鉱石を貯留するための鉱石貯留空間と、
前記往路配管および前記復路配管に連通する鉱石投入空間と、
を内部に含み、
前記鉱石投入空間は、鉱石投入口を介して前記鉱石貯留空間から前記鉱石の供給を受けるように構成される。
上記(1)の構成において、外部の水から遮断された密閉容器の内部は、鉱石投入空間を介して往路配管及び復路配管と連通しているため、上記ポンプが非稼働の時には低圧状態となる。従って、この時に集鉱機で採取した鉱石を密閉容器に容易に供給できるため、上記問題を解決できる。密閉容器の鉱石貯留空間に貯留された鉱石は、鉱石投入口を介して往路配管及び復路配管に連通した鉱石投入空間に移送されるため、揚鉱時には、上記ポンプを稼働させることで、復路配管を介して水上の鉱石回収部まで移送できる。こうして、ポンプの吐出圧などに起因した揚鉱管内の圧力に関係なく、円滑な揚鉱が可能になる。また高圧のポンプ内部に鉱石を通すことなく鉱石を移送することが可能になる。なお、鉱石回収部は、例えば、水上に浮かぶ母船などの水上基地や水辺近くの陸上に設けることができる。
(2)一実施形態では、前記(1)の構成において、
前記鉱石投入空間は、前記鉱石貯留空間の下方に位置する。
上記(2)の構成によれば、鉱石投入空間が鉱石貯留空間の下方に位置するため、鉱石に加わる重力を利用して鉱石を鉱石貯留空間から鉱石投入空間まで移送できる。従って、この移送のために余分な動力を必要としない。
(3)一実施形態では、前記(2)の構成において、
前記鉱石貯留空間と前記鉱石投入口との間に、前記鉱石投入空間に向けて先細りした錐形空間が形成されている。
上記(3)の構成によれば、鉱石貯留空間と鉱石投入空間との間に上記錐形空間が形成されるため、鉱石貯留空間の鉱石は重力による鉱石投入空間への移動が容易になる。
(4)一実施形態では、前記(1)〜(3)の何れかの構成において、
複数の前記鉱石投入装置を備え、
前記往路配管および前記復路配管は前記複数の鉱石投入装置に選択的に接続可能に構成される。
上記(4)の構成によれば、往路配管及び復路配管を複数の鉱石投入装置に順々に接続することで、複数の鉱石投入装置から順々に鉱石を揚鉱できる。このように、複数の鉱石投入装置を用いることで、鉱石の採取量を増加でき、かつ採取効率を向上できる。
(5)一実施形態では、前記(1)〜(4)の何れかの構成において、
水底で前記鉱石を採取するための集鉱機と、
前記密閉容器と前記集鉱機とに接続され、前記集鉱機で採取された前記鉱石を前記密閉容器に移送するための鉱石供給ホースと、
前記鉱石供給ホースに設けられた遮断弁と、
を備える。
上記(5)の構成によれば、ポンプ非稼働時に低圧状態の密閉容器に集鉱機で採取した鉱石を鉱石供給ホースを介して供給するために、鉱石を密閉容器の鉱石貯留空間に容易に供給できる。ポンプが稼働する時は上記遮断弁を閉じておくことで、鉱石を含む水が集鉱機側へ逆流するのを防止できる。
(6)一実施形態では、前記(1)〜(5)の何れかの構成において、
前記鉱石投入空間に回転軸が上下方向に沿うように設けられた羽根車と、
前記復路配管を流れる水に含まれる前記鉱石の濃度、前記復路配管の水底部と水上部との差圧、または、前記復路配管を流れる前記鉱石を含む水の流量を検出するセンサと、
を備え、
前記センサの検出値に応じて前記羽根車の回転数が制御可能に構成されている。
上記(6)の構成によれば、上記センサの検出値に応じて羽根車の回転数を制御することで、復路配管を流れる水に含まれる鉱石の濃度や流量を制御できる。これによって、復路配管の詰まりを抑制でき、揚鉱を円滑に行うことができる。
(7)一実施形態では、前記(1)〜(6)の何れかの構成において、
前記ポンプは2MPa以上15MPa以下の吐出圧を形成可能に構成される。
上記(7)の構成によれば、上記ポンプの吐出圧を2〜15MPaとすることで、ポンプの高揚程が可能になり、水深が深い水底からでも揚鉱が可能になる。
(8)一実施形態に係る鉱石投入装置は、
水底で採取された鉱石を配管に投入するための鉱石投入装置であって、
外部の水から遮断された密閉容器を含み、
前記密閉容器は、
前記鉱石を貯留するための鉱石貯留空間と、
前記配管に連通する鉱石投入空間と、
を内部に含み、
前記鉱石投入空間は、鉱石投入口を介して、前記鉱石貯留空間から前記鉱石の供給を受けるように構成される。
上記(8)の構成において、上記密閉容器は外部の水から遮断され、かつ鉱石投入空間を介して往路配管及び復路配管を連通しているため、上記ポンプが非稼働の時には低圧状態を保持できる。従って、この時に集鉱機で採取した鉱石を密閉容器に容易に供給できる。密閉容器の鉱石貯留空間に貯留された鉱石は、鉱石投入口を介して往路配管及び復路配管に連通した鉱石投入空間に移送されるため、揚鉱時には、上記ポンプを稼働させることで、復路配管を介して水上の鉱石回収部まで移送できる。
(9)一実施形態では、前記(8)の構成において、
前記密閉容器が耐圧構造を有する。
上記(9)の構成によれば、密閉容器が耐圧構造を有するために、揚鉱管に設けられたポンプの吐出圧を増加し、揚鉱管系が高圧となっても、密閉容器が耐久性を保持できる。従って、深い水底での揚鉱作業が可能になる。
(10)一実施形態では、前記(8)又は(9)の構成において、
前記鉱石投入空間に回転軸が上下方向に沿うように設けられた羽根車を備える。
上記(10)の構成によれば、密閉容器の鉱石貯留空間に貯留された鉱石を鉱石投入口を介して鉱石投入空間へ投入する際に、上記羽根車の攪拌及び掻き出し作用により鉱石投入空間における鉱石の片寄りを抑制できるため、鉱石投入口の詰まりを抑制できる。これによって、鉱石を含む水を円滑に水上の鉱石回収部まで移送できる。
(11)一実施形態では、前記(10)の構成において、
前記鉱石投入空間において前記羽根車の外周側に環状流路が形成され、該環状流路に前記配管が連通している。
上記(11)の構成によれば、鉱石投入口から鉱石投入空間へ投入される鉱石を含む水は、羽根車の攪拌及び掻き出し作用及び遠心力によって片寄りなく上記環状流路に押し出されるため、詰まりを生じることなく上記配管に移送される。
(12)一実施形態では、前記(10)又は(11)の構成において、
前記羽根車を回転させる駆動部を備える。
上記(12)の構成によれば、上記駆動部で羽根車を回転することで、羽根車の攪拌及び掻き出し作用により、鉱石貯留空間の鉱石は鉱石投入口から片寄りなく鉱石投入空間へ移送されるので、鉱石投入口での鉱石の詰まりを抑制でき、これによって、鉱石を上記配管へ円滑に移送できる。また、上記駆動部が羽根車の回転数を制御できるものであれば、上記配管から流入する搬送水と鉱石投入口から投入される鉱石を含む水との混合割合を制御することで鉱石投入口での詰まりを抑制できる。
(13)一実施形態では、前記(10)又は(11)の構成において、
前記羽根車は、前記鉱石投入口から前記鉱石投入空間に投入される前記鉱石を含む水の動圧によって回転するように構成されている。
上記(13)の構成によれば、羽根車は鉱石投入口から鉱石投入空間に投入される鉱石を含む水の動圧によって回転されるので、羽根車を回転する駆動部及びその動力を必要としない。
(14)一実施形態では、前記(8)又は(9)の構成において、
前記鉱石投入空間において中心軸が上下方向に沿うように設けられた環状流路が形成されると共に、前記鉱石投入口は前記環状流路の一部に連通し、
前記配管は、前記環状流路の外周に対して接線方向に沿った向きで連通する往路配管および復路配管で構成されている。
上記(14)の構成において、往路配管及び復路配管は環状流路の外周に対して接線方向に沿った向きで連通するので、往路配管から流入する搬送水は環状流路の外周側を積極的に流れて環状流路を通って復路配管に流出する。かかる搬送水流の中に鉱石が鉱石投入口から重力落下で投入されるため、鉱石投入口及び環状流路で鉱石の詰まりなく円滑に復路配管へ移送できる。
幾つかの実施形態によれば、高圧の吐出圧を有するポンプを備える場合でも、水底で採取した鉱石を揚鉱管を介して水上まで円滑に運搬できる。従って、高圧の吐出圧を有するポンプを支障なく用いることができるため、深い海底からの鉱石の採取が可能になる。
一実施形態に係る揚鉱システムの全体構成図である。 一実施形態に係る鉱石投入装置の縦断面図である。 図2中のA―A線に沿う断面図である。 一実施形態に係る鉱石投入装置の縦断面図である。 一実施形態に係る鉱石投入装置の縦断面図である。 図2中のA―A線に沿う断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、これらの実施形態に記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状及びその相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は、一実施形態に係る揚鉱システム10を示す。揚鉱システム10は、例えば、海底にあるマンガン団塊など、水底に存在する鉱物資源を採取するために適用される。揚鉱システム10は、採取した鉱石を回収するための鉱石回収部12を水上(水面Ws上)に備える。鉱石回収部12は、例えば、同図に示すように、水面Ws上に浮かぶ母船14などに設けられるが、水辺近くの陸上に設けられてもよい。揚鉱システム10は、さらに、鉱石を含む水Srを移送するためのポンプ16と、ポンプ16から水底Sfまで延在する往路配管18と、水底Sfから鉱石回収部12まで延在する復路配管20とを含む揚鉱管を備える。例えば、ポンプ16、往路配管18の始端及び復路配管20の終端は鉱石回収部12などに設けられる。
揚鉱システム10は、図2〜図6に示すように、幾つかの実施形態に係る鉱石投入装置30(30A、30B、30C)を備える。鉱石投入装置30は、水底Sfに置かれ、水底Sfで採取された鉱石Mrを復路配管20に投入するために用いられる。鉱石投入装置30は、内部を外部の水から遮断可能な密閉構造を有する密閉容器32を含んで構成される。密閉容器32の内部には、集鉱機50から供給される鉱石Mrを一旦貯留するための鉱石貯留空間Sと、鉱石貯留空間Sと鉱石投入口34を介して連通する鉱石投入空間Sが形成されている。鉱石投入空間Sは、往路配管18及び復路配管20に連通し、鉱石投入口34を介して鉱石貯留空間Sから鉱石Mrの供給を受けるように構成される。
一実施形態では、密閉容器32は脚47によって支持され、水底Sfに置かれる。
上記構成において、外部の水から遮断された密閉容器32の内部は、鉱石投入空間Sを介して往路配管18及び復路配管20と連通しているため、ポンプ16が非稼働の時には低圧状態となる。従って、この時に集鉱機50で採取した鉱石Mrを密閉容器32の鉱石貯留空間Sに容易に供給できる。鉱石貯留空間Sに貯留された鉱石Mrは、鉱石投入口34を介して往路配管18及び復路配管20に連通した鉱石投入空間Sに移送される。揚鉱時に鉱石Mrは、ポンプ16を稼働させることで、復路配管20を介して水上の鉱石回収部12まで移送できる。このように、特許文献2のように、集鉱機50から直接配管に鉱石Mrを投入するのではなく、ポンプ16の非稼働時に鉱石Mrをバッチ式で密閉容器32に取り込むことができるので、ポンプ16がもつ吐出圧と関係なく円滑な揚鉱が可能になる。従って、揚鉱のために高吐出圧のポンプを使用することができるため、水深が深い水底Sfからでも揚鉱が可能になる。また、高圧のポンプ内部に鉱石を通すことなく鉱石を移送することが可能になる。
一実施形態では、鉱石回収部12において、鉱石を含む水Srから鉱石Mrを分離するセパレータ22が設けられ、復路配管20を通って上昇してきた鉱石を含む水Srはセパレータ22で鉱石Mrが分離される。セパレータ22の下流側にポンプ16が設けられ、ポンプ16には搬送水Wのみが流入し、搬送水Wはポンプ16から往路配管18を通って鉱石投入装置30に送られる。このように、ポンプ16には鉱石Mrが流入しないので、ポンプ16のインペラやケーシング、摺動部等の損傷及び摩耗を抑制できる。また、ポンプ16は水中ではなく水上の鉱石回収部12に設置されているので、ポンプ16及びポンプ16の部品の交換などメンテナンスが容易である。
図2〜図5に示す幾つかの実施形態では、鉱石投入空間Sは鉱石貯留空間Sの下方に配置される。
この実施形態によれば、鉱石貯留空間Sに貯留される鉱石Mrに加わる重力を利用して、鉱石Mrを鉱石貯留空間Sから鉱石投入口34を介して鉱石投入空間Sまで移送できる。従って、鉱石Mrを鉱石貯留空間Sから鉱石投入空間Sへ移送するための装置及び動力を必要としない。
一実施形態では、鉱石投入空間Sは密閉容器32の内部に設けられる中空のケーシング42の内部に形成される。ケーシング42は、例えば、図示のように、中心軸42aに沿う方向に短い円筒形を有する。鉱石投入空間Sは鉱石投入口34、往路配管18及び復路分岐管26に連通しており、ケーシング42の隔壁は水密な隔壁で構成される。
一実施形態では、図2、図4及び図5に示すように、鉱石貯留空間Sと鉱石投入口34との間に、鉱石投入空間Sに向けて先細りした錐形空間Sが形成されている。
この実施形態によれば、鉱石貯留空間Sと鉱石投入空間Sとの間に錐形空間Sが形成されることで、鉱石貯留空間Sから鉱石投入空間Sへの重力を利用した鉱石Mrの移動が容易になる。
一実施形態では、錐形空間Sは、鉱石投入空間Sに向けて先細りした錐形の底壁36が設けられて形成される。例えば、底壁36は円錐形を有する。鉱石貯留空間Sに貯留された鉱石Mrは重力によって底壁36に沿って滑り降りることで、鉱石投入空間S2への移動が容易になる。
一実施形態では、図1に示すように、揚鉱システム10は、水底Sfに設置される複数の鉱石投入装置30(30a、30b)を備える。そして、往路配管18及び復路配管20はこれら複数の鉱石投入装置30に選択的に接続可能に構成される。
この実施形態によれば、往路配管18及び復路配管20を複数の鉱石投入装置30に順々に接続することで、複数の鉱石投入装置30から順々に鉱石Mrを揚鉱できる。従って、鉱石Mrの採取量を増加でき、かつ採取効率を向上できる。
一実施形態では、図1に示すように、往路配管18は、鉱石投入装置30の近傍で鉱石投入装置30の数に合わせて分岐した複数の往路分岐管24(24a、24b)を備える。往路分岐管24(24a)は鉱石投入装置30(30a)の鉱石投入空間Sに連通し、往路分岐管24(24b)は鉱石投入装置30(30b)の鉱石投入空間Sに連通している。また、復路配管20は、鉱石投入装置30(30a)の近傍で鉱石投入装置30の数に合わせて分岐した複数の復路分岐管26(26a、26b)を備える。復路分岐管26(26a)は鉱石投入装置30(30a)の鉱石投入空間Sに連通し、復路分岐管26(26b)は鉱石投入装置30(30b)の鉱石投入空間Sに連通する。往路分岐管24及び復路分岐管26には夫々開閉弁28が設けられる。
鉱石回収部12に設けられた制御装置(不図示)によって、開閉弁28を順々に開閉することで、複数の鉱石投入装置30から順々に鉱石Mrを揚鉱できる。
一実施形態では、図1に示すように、揚鉱システム10は、水底Sfで鉱石Mrを採取するための集鉱機50を備える。密閉容器32と集鉱機50との間に鉱石供給ホース52が接続され、集鉱機50で採取された鉱石Mrは鉱石供給ホース52によって密閉容器32の鉱石貯留空間Sに移送される。鉱石供給ホース52には遮断弁54が設けられる。
この実施形態によれば、ポンプ非稼働時で鉱石貯留空間Sが低圧状態の時に、集鉱機50で採取した鉱石Mrを鉱石供給ホース52を介して供給できる。ポンプ16が稼働する揚鉱時においては遮断弁54を閉じておくことで、鉱石を含む水Srが集鉱機側へ逆流するのを防止できる。
一実施形態では、図1に示すように、複数の鉱石投入装置30が水底Sfに置かれているとき、鉱石供給ホース52の終端は、鉱石投入装置30の数に対応した数の分岐管56(56a、56b)に分岐し、分岐管56の各々が異なる鉱石投入装置30の鉱石貯留空間Sに連通される。各分岐管56には遮断弁54が設けられる。揚鉱時に揚鉱を行う鉱石投入装置30(30a)に対応した分岐管56(56a)の遮断弁54が閉じられることで、鉱石を含む水Srが集鉱機50に逆流するのを防止できる。
一実施形態では、鉱石投入装置30には、鉱石貯留空間Sに溜まった水を排水するための開閉弁39を備えた排水口38が設けられる。図1に示すように、集鉱機50から鉱石を含む水Srが供給される鉱石投入装置30(30b)では、開閉弁39が開放され、水のみ鉱石貯留空間S1から排出され、揚鉱を行う鉱石投入装置30(30a)では、開閉弁39は閉じられる。
一実施形態では、密閉容器32は水密な耐圧構造を有する。これによって、ポンプ16の吐出圧を増加し、揚鉱管系が高圧となっても、密閉容器32が水密性を保持できるので、深い水底での揚鉱作業で揚鉱管内が高圧となっても揚鉱作業が可能になる。
一実施形態では、図2〜図4に示すように、鉱石投入装置30(30A、30B)の鉱石投入空間Sに回転軸40aが上下方向に沿うように設けられた羽根車40を備える。
この実施形態によれば、密閉容器32の鉱石貯留空間Sに貯留された鉱石Mrを鉱石投入口34を介して鉱石投入空間Sへ投入する際に、羽根車40の回転による攪拌及び掻き出し作用により鉱石投入空間Sにおける鉱石Mrの片寄りを抑制できるため、鉱石投入口34での鉱石Mrの詰まりを抑制できる。これによって、鉱石を含む水Srを円滑に水上の鉱石回収部12まで移送できる。
一実施形態では、羽根車40は内部に鉱石投入空間Sを形成するケーシング42の内部に配置され、羽根車40の回転軸40a及びケーシング42の中心軸42aは鉛直方向に対して15°以内の傾斜角をもって配置される。
一実施形態では、羽根車40は外周側へ放射状に延在する複数のブレード41を有し、ブレード41の外径は鉱石投入口34より大きくなるように構成される。これによって、鉱石投入口34から落下するすべての鉱石Mrに対して羽根車40の攪拌及び掻き出し作用及び遠心力を付加できる。
一実施形態では、図3及び図6に示すように、鉱石投入空間Sにおいて羽根車40の外周側に環状流路Caが形成され、環状流路Caに往路分岐管24及び復路配管20が連通している。
この実施形態によれば、鉱石投入口34から鉱石投入空間Sへ投入される鉱石を含む水Srは、羽根車40の攪拌及び掻き出し作用及び遠心力によって環状流路Caに片寄りせずに押し出される。そのため、鉱石投入口34で詰まりを生ぜず、鉱石Mrは環状流路Caを通って円滑に復路配管20に移送される。
一実施形態では、図3及び図6に示すように、往路配管18及び復路配管20は、夫々環状流路Caに対して周方向で異なる位置で環状流路Caの外周面に対して接線方向に沿った向きで環状流路Caに連通する。
図3に示すように、往路配管18から流入する搬送水Wは、環状流路の外周側を積極的に流れて環状流路Caを矢印b方向へ流れ復路配管20に流出する。羽根車40は、後述する駆動部44によって又は搬送水Wの動圧によって矢印a方向へ回転する。搬送水Wの流れ中に鉱石Mrが鉱石投入口34から重力落下で投入されるため、鉱石投入口34及び環状流路Caで鉱石Mrの詰まりなく円滑に復路配管20へ移送できる。
一実施形態では、図2に示すように、羽根車40を回転させる駆動部44を備える。
この実施形態によれば、駆動部44で羽根車40を強制回転させることで、羽根車40の攪拌及び掻き出し作用により、鉱石貯留空間Sの鉱石Mrは鉱石投入口34から片寄りなく鉱石投入空間Sへ移送される。これによって、鉱石投入口34での鉱石Mrの詰まりを抑制でき、従って、鉱石Mrを復路配管20へ円滑に移送できる。また、駆動部44が羽根車40の回転数を制御できるものであれば、往路配管18から流入する搬送水Wと鉱石投入口34から投入される鉱石を含む水Srとの混合割合を制御することで、鉱石投入口34での詰まりを抑制できる。
一実施形態では、図2に示すように、羽根車40は回転軸40aを介して駆動部44に連結される。また、駆動部44はモータなどで構成され、密閉容器32の底壁の外側に設けられる。回転軸40aは密閉容器32の底壁に設けられたシール機能を有する軸受46で回転自在に支承される。
一実施形態では、図4に示すように、羽根車40は、鉱石投入口34から鉱石投入空間Sに投入される鉱石を含む水Srの動圧によって回転するように構成される。従って、駆動部44は設けられず、回転軸40aは軸受46で回転自在に支承される。
この実施形態によれば、羽根車40を回転する駆動部及びこの駆動部を駆動するための動力を必要としないため、低コスト及び省エネが可能となる。
一実施形態では、図5及び図6に示すように、鉱石投入空間Sの中心部に流路形成部48が設けられることで、環状流路Caが形成される。なお、環状流路Caを形成するための手段はこの手段に限定されない。環状流路Caを形成するケーシング42は中心軸42aが上下方向に沿うように設けられ、従って、環状流路Caの中心軸も上下方向に沿うように配置され、環状流路Caの中心軸は中心軸42aと重なる。
鉱石投入口34は環状流路Caの一部に連通するように配置される。往路配管18及び復路配管20は、上述のように、環状流路Caに対して周方向で異なる位置で環状流路Caの外周面に対して接線方向に配置される。
この実施形態によれば、上述のように、往路配管18から流入する搬送水Wが環状流路Caを通って復路配管20に流出し、この搬送水流の中に鉱石投入口34から鉱石Mrが重力落下するので、鉱石投入口34及び環状流路Caで鉱石Mrの詰まりなく円滑に復路配管20へ移送できる。
一実施形態では、図6に示すように、流路形成部48は円筒形を有し、流路形成部48の上面及び底面は夫々ケーシング42の上側内面及び下側内面に接続されている。これによって、環状流路Caの内周面及び外周面は夫々円弧を形成する。一実施形態では、環状流路Caの内周面及び外周面は同心円を形成する。なお、鉱石投入口34は、環状流路Caの周方向で、図6中の領域Rを除く任意の位置に配置できる。
一実施形態では、図1に示すように、復路配管20を流れる水Srに含まれる鉱石の濃度を計測するための濃度センサ60を備え、濃度センサ60の検出値に応じて駆動部44を制御し、羽根車40の回転数を制御する。濃度センサ60として、例えば密度計などが用いられる。
一実施形態では、復路配管20の水底部及び水上部に夫々圧力センサ62及び64を備え、復路配管20の水底部と水上部との差圧を検出し、この検出値に応じて羽根車40の回転数を制御する。
一実施形態では、復路配管20を流れる鉱石を含む水Srの流量を計測する流量センサ66を備え、流量センサ66の検出値に応じて駆動部44を制御し、羽根車40の回転数を制御する。
一実施形態では、センサ60〜66の検出値が入力され、これらの検出値に基づいて上記制御を自動的に行う制御部68を備える。
一実施形態では、センサ60、64、66及び制御部68は水上の鉱石回収部12に設けられ、センサ62は水底領域に設けられる。
上記実施形態によれば、センサ60〜66の検出値に応じて羽根車40の回転数を制御することで、復路配管20を流れる水Srに含まれる鉱石の濃度や鉱石を含む水Srの流量を制御することで、復路配管20の詰まりを抑制でき、揚鉱を円滑に行うことができる。
一実施形態では、ポンプ16は2MPa〜15MPaの吐出圧を形成可能に構成され、上記吐出圧で運転される。これによって、ポンプ16を高揚程とすることができるため、水深が深い水底からの揚鉱が可能になる。
幾つかの実施形態によれば、水底の鉱物資源を採取するために用いられる揚鉱システムにおいて、高圧の吐出圧を有するポンプを備えるときでも、水底で採取した鉱石を揚鉱管を介して水上まで円滑に揚鉱できる。従って、深い海底での鉱石採取も支障なく行うことができる。
10 揚鉱システム
12 鉱石回収部
14 母船
16 ポンプ
18 往路配管
20 復路配管
22 セパレータ
24(24a、24b) 往路分岐管
26(26a、26b) 復路分岐管
28、39 開閉弁
30(30A、30B、30C、30a、30b) 鉱石投入装置
32 密閉容器
34 鉱石投入口
36 底壁
38 排水口
40 羽根車
40a 回転軸
41 ブレード
42 ケーシング
42a 中心軸
44 駆動部
46 軸受
47 脚
48 流路形成部
50 集鉱機
52 鉱石供給ホース
54 遮断弁
56 分岐管
60 濃度センサ
62、64 圧力センサ
66 流量センサ
68 制御部
Ca 環状流路
Mr 鉱石
Sr 鉱石を含む水
鉱石貯留空間
鉱石投入空間
錐形空間
Sf 水底
W 搬送水
Ws 水面

Claims (14)

  1. ポンプと、
    鉱石回収部と、
    前記ポンプの吐出側に接続されて前記ポンプから水底まで延在する往路配管と、
    前記水底から前記鉱石回収部まで延在する復路配管と、
    前記水底で採取された鉱石を前記復路配管に投入するための鉱石投入装置と、
    を備え、
    前記鉱石投入装置は、外部の水から遮断された密閉容器を含み、
    前記密閉容器は、
    前記鉱石を貯留するための鉱石貯留空間と、
    前記往路配管および前記復路配管に連通する鉱石投入空間と、
    を内部に含み、
    前記鉱石投入空間は、鉱石投入口を介して前記鉱石貯留空間から前記鉱石の供給を受けるように構成されたことを特徴とする揚鉱システム。
  2. ポンプと、
    鉱石回収部と、
    前記ポンプから水底まで延在する往路配管と、
    前記水底から前記鉱石回収部まで延在する復路配管と、
    前記水底で採取された鉱石を前記復路配管に投入するための鉱石投入装置と、
    を備え、
    前記鉱石投入装置は、外部の水から遮断された密閉容器を含み、
    前記密閉容器は、
    前記鉱石を貯留するための鉱石貯留空間と、
    鉱石投入口を介して前記鉱石貯留空間に連通するとともに、前記往路配管および前記復路配管に連通する鉱石投入空間と、
    を内部に含み、
    前記鉱石投入空間は、前記鉱石投入口を介して前記鉱石貯留空間から前記鉱石の供給を受けるように構成され、
    前記鉱石投入空間は、前記鉱石貯留空間に連通する前記鉱石投入口の下方に位置することを特徴とする揚鉱システム。
  3. 前記鉱石貯留空間と前記鉱石投入口との間に、前記鉱石投入空間に向けて先細りした錐形空間が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の揚鉱システム。
  4. ポンプと、
    鉱石回収部と、
    前記ポンプから水底まで延在する往路配管と、
    前記水底から前記鉱石回収部まで延在する復路配管と、
    前記水底で採取された鉱石を前記復路配管に投入するための鉱石投入装置と、
    を備え、
    前記鉱石投入装置は、外部の水から遮断された密閉容器を含み、
    前記密閉容器は、
    前記鉱石を貯留するための鉱石貯留空間と、
    前記往路配管および前記復路配管に連通する鉱石投入空間と、
    を内部に含み、
    前記鉱石投入空間は、鉱石投入口を介して前記鉱石貯留空間から前記鉱石の供給を受けるように構成され、
    複数の前記鉱石投入装置を備え、
    前記往路配管および前記復路配管は前記複数の鉱石投入装置に選択的に接続可能に構成されることを特徴とする揚鉱システム。
  5. 水底で前記鉱石を採取するための集鉱機と、
    前記密閉容器と前記集鉱機とに接続され、前記集鉱機で採取された前記鉱石を前記密閉容器に移送するための鉱石供給ホースと、
    前記鉱石供給ホースに設けられた遮断弁と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の揚鉱システム。
  6. ポンプと、
    鉱石回収部と、
    前記ポンプから水底まで延在する往路配管と、
    前記水底から前記鉱石回収部まで延在する復路配管と、
    前記水底で採取された鉱石を前記復路配管に投入するための鉱石投入装置と、
    を備え、
    前記鉱石投入装置は、外部の水から遮断された密閉容器を含み、
    前記密閉容器は、
    前記鉱石を貯留するための鉱石貯留空間と、
    前記往路配管および前記復路配管に連通する鉱石投入空間と、
    を内部に含み、
    前記鉱石投入空間は、鉱石投入口を介して前記鉱石貯留空間から前記鉱石の供給を受けるように構成され、
    前記鉱石投入空間に回転軸が上下方向に沿うように設けられた羽根車と、
    前記復路配管を流れる水に含まれる前記鉱石の濃度、前記復路配管の水底部と水上部との差圧、または、前記復路配管を流れる前記鉱石を含む水の流量を検出するセンサと、
    を備え、
    前記センサの検出値に応じて前記羽根車の回転数が制御可能に構成されていることを特徴とする揚鉱システム。
  7. 前記ポンプは2MPa以上15MPa以下の吐出圧を形成可能に構成されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の揚鉱システム。
  8. 水底で採取された鉱石を配管に投入するための鉱石投入装置であって、
    外部の水から遮断された密閉容器を含み、
    前記密閉容器は、
    前記鉱石を貯留するための鉱石貯留空間と、
    鉱石投入口を介して前記鉱石貯留空間に連通するとともに、前記鉱石投入口の下方に位置し、前記配管に連通する鉱石投入空間と、
    を内部に含み、
    前記鉱石投入空間は、前記鉱石投入口を介して、前記鉱石貯留空間から前記鉱石の供給を受けるように構成されたことを特徴とする鉱石投入装置。
  9. 前記密閉容器が耐圧構造を有することを特徴とする請求項8に記載の鉱石投入装置。
  10. 前記鉱石投入空間に回転軸が上下方向に沿うように設けられた羽根車を備えることを特徴とする請求項8又は9に記載の鉱石投入装置。
  11. 前記鉱石投入空間において前記羽根車の外周側に環状流路が形成され、該環状流路に前記配管が連通していることを特徴とする請求項10に記載の鉱石投入装置。
  12. 前記羽根車を回転させる駆動部を備えることを特徴とする請求項10又は11に記載の鉱石投入装置。
  13. 水底で採取された鉱石を配管に投入するための鉱石投入装置であって、
    外部の水から遮断された密閉容器を含み、
    前記密閉容器は、
    前記鉱石を貯留するための鉱石貯留空間と、
    前記配管に連通する鉱石投入空間と、
    を内部に含み、
    前記鉱石投入空間は、鉱石投入口を介して、前記鉱石貯留空間から前記鉱石の供給を受けるように構成され、
    前記鉱石投入空間に回転軸が上下方向に沿うように設けられた羽根車を備え、
    前記羽根車は、前記鉱石投入口から前記鉱石投入空間に投入される前記鉱石を含む水の動圧によって回転するように構成されていることを特徴とする鉱石投入装置。
  14. 水底で採取された鉱石を配管に投入するための鉱石投入装置であって、
    外部の水から遮断された密閉容器を含み、
    前記密閉容器は、
    前記鉱石を貯留するための鉱石貯留空間と、
    前記配管に連通する鉱石投入空間と、
    を内部に含み、
    前記鉱石投入空間は、鉱石投入口を介して、前記鉱石貯留空間から前記鉱石の供給を受けるように構成され、
    前記鉱石投入空間において中心軸が上下方向に沿うように設けられた環状流路が形成されると共に、前記鉱石投入口は前記環状流路の一部に連通し、
    前記配管は、前記環状流路の外周に対して接線方向に沿った向きで連通する往路配管および復路配管で構成されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の鉱石投入装置。
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