JP6556745B2 - エポキシ樹脂の長期室温貯蔵 - Google Patents

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Description

本発明は、一般的にエポキシ樹脂及び特に熱可塑性材料で靭化されたエポキシ樹脂に関する。熱可塑性材料で靭化されたエポキシ樹脂を使用して高性能複合部品を作成する。より具体的には、本発明は、エポキシ樹脂を室温で貯蔵した場合、従来の硬化温度で硬化した場合でも、樹脂の硬化速度に悪影響を与えることなく、エポキシ樹脂の貯蔵終了時間(out−time)即ち貯蔵寿命を延ばすことを目的とする。
複合材料は、2種の主要な構成成分として、樹脂マトリックスと強化繊維とから典型的に構成される。1種以上のエポキシ樹脂を主要成分として含有する樹脂マトリクスが広く使用される。複合材料は、複合部品の物理的限界及び特性が非常に重要な航空宇宙産業の分野等の要求レベルの高い環境において機能を発揮することを求められることが多い。
予備含浸複合材料(プリプレグ)は、複合部品の製造の際に広く使用される。プリプレグは、未硬化樹脂と繊維強化材の結合体であり、それは、最終的な複合部品への成形及び硬化が容易な形態をしている。繊維強化材を樹脂に予備含浸することにより、製造業者は、繊維ネットワーク中に含浸される樹脂の量と位置を注意深く制御し、そして樹脂を、必要に合わせて確実にネットワーク中に分配させることができる。複合部品中の繊維と樹脂の相対的な量及び繊維ネットワーク内の樹脂の分布は、部品の構造特性に大きく影響することがよく知られている。プリプレグは、耐荷重又は構造の部品並びに特に、翼、胴体、隔壁及び操舵面等のエアロスペース構造部品を製造する際に使用するための好ましい材料である。これらの部品には、十分な強度、損傷許容性、層間破壊靭性及びこのような部品に普通に確立されている他の要件が備わっていることが重要である。
エアロスペースプリプレグに普通に使用される繊維強化材は、多方向織布又は互いに平行に延びる繊維を含有する一方向テープである。繊維は、典型的に多数の個々の繊維又はフィラメントの束の形態をしており、それは「トウ」と称される。繊維又はトウは、細断されて、そして樹脂中にランダムに配向して、不織マットを形成することもできる。これらの種々の繊維強化材の形状体は、注意深く制御した量の未硬化樹脂に含浸される。得られたプリプレグは、典型的に保護層の間に配置され、そして貯蔵又は製造施設への輸送のためにロールアップされる。
プリプレグは、ランダムに配向した、細断された一方向テープの短いセグメントの形態として、細断された一方向テープの不織マットを形成することもできる。このタイプのプリプレグは、「準等方性細断」プリプレグと称される。準等方性細断プリプレグは、細断された繊維ではなく、短い長さの細断された一方向テープ(チップ)がマット中でランダムに配向している点を除いて、より伝統的な不織繊維マットプリプレグに類似している。
硬化複合材料の引張強度は、強化繊維とマトリクス樹脂の個々の特性、及びこれら2種の成分間の相互作用によって殆どが決定される。加えて、繊維−樹脂体積比は、重要なファクターである。張力下にある硬化した複合体は、強化材トウ中にある個々の繊維フィラメントの多数の引張破壊から生じる蓄積された損傷の機構によって破壊する傾向がある。破壊したフィラメントの端部に隣接する樹脂の応力レベルが高くなり過ぎると、複合体全体が破壊する。従って、繊維強度、樹脂マトリクスの強度、及び破壊したフィラメント端部の近傍における応力の分散効率は全て、硬化した複合材料の引張強度に寄与する。
多くの用途で、硬化した複合材料の引張強度特性を最大化することが望まれる。しかし、引張強度を最大化する試みは、他の必要な特性、例えば圧縮性能及び損傷許容性に悪影響を与える結果となることが多い。加えて、引張強度を最大化する試みは、樹脂マトリクスの粘度、タック性及び貯蔵終了時間に予想外の影響を与える場合がある。
複合体の引張性能及び損傷耐性を高めるひとつの方法は、1種以上の熱可塑性材料をエポキシ樹脂マトリクス中に含ませることである。種々の異なる形態の種々の異なる熱可塑性材料が、エポキシ樹脂を靭化するのに使用されてきた。例えば、米国特許番号第7,754,322号参照。
多数層のプリプレグが、積層構造を有する構造用途のための複合部品を形成するのに通常使用される。このような複合部品の層間剥離も、可能性のある破壊の態様である。層間剥離は、2つの層が互いに剥離した場合に生じる。重要な設計制限要因には、層間剥離を開始するのに必要なエネルギーとそれを伝播するのに必要なエネルギーの両方が含まれる。層間剥離の開始と成長は、モードIとモードIIの破壊靭性を調べることにより決定することが多い。破壊靭性は、一方向繊維配向を有する複合材料を使用して通常測定される。複合材料の層間破壊靭性は、G1c(ダブルカンチレバービーム)及びG2c(エンドノッチフレックス)試験を使用して定量される。モードIでは、予備亀裂積層体破壊は、剥離力により支配され、そしてモードIIでは、亀裂は、せん断力により伝播する。G2c層間破壊靭性は、積層体が衝撃を受けた場合の圧縮能力に関係する。この圧縮特性は、指定された衝撃(CAI)後の積層体の圧縮として測定される。高損傷許容性を示すプリプレグ材料も高CAI及びG2c値を有する傾向にある。
未硬化樹脂の粘度は、プリプレグを形成する場合又は樹脂を成形プロセスで使用する場合に考慮しなければならない重要な要因である。樹脂の粘度は、樹脂成分を完全に混合し、そしてその後強化繊維中に十分に含浸させることが確実にできるように十分低くなければならない。樹脂の粘度は、プリプレグの貯蔵又はレイアップの間、樹脂がかなりの程度まで確実に流れないように十分高いことも必要である。これらの基本的な用件に適合する粘度を有しない樹脂は、プリプレグを作成するのに使用することはできない。未硬化樹脂の粘度は、硬化した複合部品が必要なレベルの強度及び/又は損傷許容性を示すために、貯蔵の間、受入れ可能な限度内に留まる必要がある。
硬化プリプレグの粘着性(stickiness又はtackiness)は、「タック性」と通常称される。未硬化プリプレグのタック性は、レイアップ及び成形操作の間の重要な考慮事項である。タック性が殆どないか又は全くないプリプレグは、成形して複合部品を形成することができる積層体に形成するのが困難である。逆に、タック性が高すぎるプリプレグは、取扱いが困難であり、そしてモールド中に配置することも困難となる場合がある。プリプレグは、取扱いが容易で且つ積層/成形特性が良好であることを確実にする適正な量のタック性を有することが望ましい。未硬化樹脂及びプリプレグのタック性は、得られた硬化複合体について必要なレベルの強度及び/又は損傷許容性が確実に得ることができるように、貯蔵及び取扱いの間、受入れ可能な限度内に維持されることが重要である。
未硬化樹脂の「貯蔵終了時間」又は「貯蔵寿命」は、粘度及びタック性等の重要な樹脂特性に悪影響を与える場合がある受入れ不可能な程度に硬化する前までの、樹脂が周囲条件に暴露されることができる時間の長さである。室温におけるエポキシ樹脂の貯蔵終了時間は、種々の要因に依存して広く変化する可能性があるが、使用している樹脂配合により、そして具体的には樹脂に含まれる硬化剤の種類及び量によって主に制御される。樹脂の貯蔵終了時間は、樹脂が受入れ不可能なレベルに硬化することなく、達成すべき貯蔵、輸送、正常な取扱い、レイアップ及び成形操作を可能とするのに十分な長さでなければならない。
硬化剤の量と種類は、熱可塑性材料靭化エポキシ複合部品を作成するのに典型的に使用される硬化プロセスに従って、未硬化樹脂を硬化することができるようなものであることも必要である。構造部品を作成するのに使用される、熱可塑性材料靭化エポキシ樹脂に対する典型的な硬化プロセスには、加圧下で175℃と185℃の間の温度に少なくとも2時間加熱することが含まれる。未硬化樹脂が従来の硬化温度で適切な硬化特性を示すこの要件は、未硬化樹脂の室温貯蔵終了時間を延長するものの能力に直接影響する。一般に、現在の熱可塑性材料靭化エポキシ樹脂は、約177℃で硬化されるが、これは、室温での貯蔵寿命が最大で2から3週間である。
このような靭化樹脂系から予想される構造特性の全てを示し、室温で6週間以上の期間貯蔵することができ、そしてその後このような熱可塑性材料靭化エポキシ樹脂に対する従来の硬化条件下で硬化される熱可塑性材料靭化エポキシ樹脂を提供することが望ましい。
本発明に従って、高レベルの強度、損傷許容性及び層間靭性が要求される航空宇宙産業の用途で使用するのに好適な未硬化樹脂を提供する。本発明は、一般のエポキシ樹脂にそして特に、1種以上の熱可塑性材料で靭化され、そして従来のジアミン硬化剤、例えば3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’−DDS)及び/又は4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(4,4’−DDS)で硬化されるエポキシ樹脂に適用可能である。
[3−(4−アミノベンゾイル)オキシフェニル]4−アミノベンゾアート(3−ABOAB)を3,3’−DDS又は4,4’−DDSの代わりに硬化剤として使用することにより、熱可塑性材料靭化エポキシ樹脂の室温における反応性はかなり低下する。その結果、熱可塑性材料靭化エポキシ樹脂の室温における貯蔵寿命を6週間以上に延長することができる。室温反応性が低い3−ABOABは、165℃と190℃の間の温度における適切な硬化を妨げることなく、熱可塑性材料靭化エポキシ樹脂複合体に対して予想される特性に沿った構造特性を有する硬化複合部品を形成する。
本発明は、四官能性及び二官能性のエポキシと結合することができる三官能性エポキシ樹脂から成るエポキシ樹脂成分を含む未硬化樹脂を範囲に含む。未硬化樹脂は、未硬化樹脂の熱放出が、前記未硬化樹脂を室温で貯蔵する場合、6週間までの期間実質的に一定に維持されるような十分な量の3−ABOABを硬化剤として更に含む。好ましい未硬化樹脂には、熱可塑性成分が含まれる。本発明には、繊維強化材と結合した未硬化樹脂、及び樹脂と繊維強化材の硬化結合体も含まれ、これらは、航空機の一次構造体の少なくとも一部として使用するのに好適である。
プリプレグ及び3−ABOAB硬化熱可塑性材料靭化エポキシ樹脂を使用してプリプレグを作成する方法も、本発明の一部である。プリプレグは、航空機の一次構造体の少なくとも一部として使用するのに好適な硬化複合部品を作成する際に使用するのに好適である。
本発明に係る上記したそして多くの他の特徴及び付随する利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することにより、より理解されるであろう。
図1は、航空機の斜視図であり、それは、本発明による複合材料を使用して作成することができる例示的な航空機の一次構造を示す。
図2は、ヘリコプター回転翼の部分図であり、それは、本発明による複合材料を使用して作成することができる例示的な航空機の一次構造を示す。
本発明に従う未硬化樹脂組成物を、エポキシ樹脂、好ましくは熱可塑性材料で靭化したものが必要な広範な種々の状況で使用することができる。未硬化エポキシ樹脂組成物を単独で使用することができるが、一般的には、組成物を繊維支持体と組合せて、複合体を形成する。複合材料は、プリプレグ、部分的に硬化したプリプレグ又は完全に硬化した最終的な部品の形態とすることができる。
複合材料は、任意の意図する目的のために使用することができるが、それらは、好ましくはエアロスペース乗物に使用され、そして特に好ましくは民間及び軍隊の航空機に使用される。例えば、複合材料は、非一次(二次)航空機構造体を作成するのに使用することができる。しかし、好ましくは複合材料を、一次航空機構造体等の構造の用途に使用することである。一次航空機構造体又は部品は、飛行中かなりの応力を受ける固定翼又は回転翼のいずれかの航空機の構成要素であり、そしてそれらは航空機が制御された飛行を維持するために本質的なものである。複合材料は、一般の耐荷重部品及び構造体を作成するための他の構造的用途にも使用することができる。
図1は、固定翼航空機10を示し、これには多くの例示的な一次航空機構造体及び部品が含まれ、これらは本発明に従う複合材料を使用して作成することができる。例示的な一次部品又は構造体には、翼12、胴体14及び尾翼16が含まれる。翼12には、多くの例示的な一次航空機部品、例えば補助翼18、翼前縁20、翼スラット22、スポイラー24、後縁26及び後縁フラップ28が含まれる。尾翼16には、多くの例示的な一次部品、例えば方向舵30、フィン32、水平安定板34、昇降舵36、及び尾部38も含まれる。図2は、ヘリコプター回転翼40の外側端部分を示し、それには、桁42及び外面44が一次航空機構造体として含まれる。他の例示的な一次航空機構造体には、翼桁、並びに一次部品に接続して一緒に一次構造体を形成する種々のフランジ、クリップ及びコネクターが含まれる。
本発明の未硬化樹脂及び予備含浸複合材料(プリプレグ)は、高強度及び損傷許容性が要求される航空宇宙産業及び任意の他の構造的用途における複合部品を形成するのに使用している現在の未硬化樹脂及び/又はプリプレグの代替物として使用することができる。本発明には、本発明の樹脂配合物を、プリプレグを作成するのに使用されている現在の樹脂の代わりに置換えることが含まれる。従って、本発明の樹脂配合物は、熱可塑性材料靭化エポキシ樹脂に好適な従来のプリプレグ製造及び硬化プロセスのいずれかで使用するのに好適である。
本発明に従う予備含浸複合材料は、強化繊維と未硬化樹脂マトリクスから構成される。強化繊維は、プリプレグ産業で使用される従来の繊維形状体のいずれかとすることができる。未硬化樹脂マトリクスには、二官能性、三官能性又は四官能性の1種以上のエポキシ樹脂を含むことができる。未硬化樹脂のエポキシ樹脂成分には、三官能性エポキシ樹脂が含まれるのが好ましい。エポキシ樹脂成分には、1種以上の四官能性エポキシ及び/又は1種以上の二官能性エポキシも含まれる。好ましいエポキシ樹脂成分は、二官能性エポキシ、三官能性エポキシ及び四官能性エポキシを含むものである。未硬化樹脂は好ましくは、熱可塑性成分を更に含む。本発明の特徴として、[3−(4−アミノベンゾイル)オキシフェニル]4−アミノベンゾアート(3−ABOAB)を硬化剤として使用する。3−ABOABの化学的構造を以下に示す。
以下に詳細に議論するように、本発明には、熱可塑性材料靭化エポキシ樹脂を硬化するために3−ABOABを使用して、165℃190℃の間の従来の硬化温度で硬化すべき樹脂の能力に悪影響を与えることなく、樹脂を室温で比較的長い期間貯蔵することができることを発見したことが含まれる。
エポキシ樹脂成分は、好ましくは1種以上の三官能性エポキシ樹脂から構成される。エポキシ樹脂成分は、四官能性エポキシ樹脂及び/又は二官能性エポキシ樹脂も含むことができる。三官能性、四官能性及び二官能性エポキシ樹脂の組合せが好ましい。多官能性エポキシ樹脂は、飽和、不飽和、脂環式(cycloaliphatic)、脂環式(alicyclic)又は複素環式であってもよい。好適な多官能性エポキシには、例えば、フェノール及びクレゾールエポキシノボラック、フェノール−アルデヒド付加物のグリシジルエーテル、二脂肪族(dialiphatic)ジオールのグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、芳香族エポキシ樹脂、二脂肪族トリグリシジルエーテル、脂肪族ポリグリシジルエーテル、エポキシ化オレフィン、臭素化樹脂、芳香族グリシジルアミン、複素環式グリシジルイミジン及びアミド、グリシジルエーテル、フッ素化エポキシ樹脂又はこれらの任意の組合せをベースとするものが含まれる。エポキシ樹脂成分は、マトリクス樹脂の40から65重量%と成るべきである。
三官能性エポキシ樹脂は、化合物の主鎖にあるフェニル環のパラ又はメタ位に直接又は間接のいずれかで置換された3つのエポキシ基を有するものとして理解されるであろう。四官能性エポキシ樹脂は、化合物の主鎖にあるフェニル環のメタ又はパラ位に直接又は間接のいずれかで置換された4つのエポキシ基を有するものとして理解されるでろう。
フェニル環は、他の好適な非エポキシ置換基で追加的に置換されていてもよい。好適な置換基には、例えば、水素、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、アリール、アリールオキシル、アラルキルオキシル、アラルキル、ハロ、ニトロ、又はシアノラジカルが含まれる。好適な非エポキシ置換基は、フェニル環にパラ又はオルト位にて結合することができ、又はエポキシ基によって占有されていないメタ位に結合することができる。好適な四官能性エポキシ樹脂には、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(三菱ガスケミカル社(日本、東京、千代田区)からTetrad−Xの名称で市販されている。)及びErisys GA−240(CVC Chemicals(ニュージャージー州、モリスタウン)から。)が含まれる。好適な三官能性エポキシ樹脂には、例えば、フェノール及びクレゾールエポキシノボラック、フェノール−アルデヒド付加物のグリシジルエーテル、芳香族エポキシ樹脂、二脂肪族トリグリシジルエーテル、脂肪族ポリグリシジルエーテル、エポキシ化オレフィン、臭素化樹脂、芳香族グリシジルアミン及びグリシジルエーテル、複素環式グリシジルイミジン及びアミド、グリシジルエーテル、フッ素化エポキシ樹脂又はこれらの任意の組合せをベースとするものが含まれる。
好ましい三官能性エポキシ樹脂は、トリグリシジルメタ−アミノフェノールである。トリグリシジルメタ−アミノフェノールは、Huntsman Advanced Materials(スイス、モンテー)からAraldite MY0600又はMY0610の商品名で、そして住友化学株式会社(日本、大阪)からELM−120の商品名で市販されている。
好適な多官能性エポキシ樹脂の追加的な例には、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(TGDDM、Araldite MY720及びMY721としてHuntsman Advanced Materials(スイス、モンテー)から、又はELM434として住友化学株式会社から市販されている。)、パラアミノフェノールのトリグリシジルエーテル(Aradite MY0500又はMY0510としてHuntsman Advanced Materialsから市販されている。)、Tactix556(Huntsman Advanced Materialsから市販されている。)等のジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂、トリス−(ヒドロキシルフェニル)及びTactix742(Huntsman Advanced Materialsから市販されている。)等のメタン系エポキシ樹脂が含まれる。他の好適な多官能性エポキシ樹脂には、DEN438(Dow Chemnicals(ミシガン州、ミッドランド)から)、DEN439(Dow Chemicalsから)、Araldite ECN1273(Huntsman Advanced Materialsから)、及びAraldite ECN1299(Huntsman Advanced Materialsから)が含まれる。TGDDM(MY720又はMY721)が好ましい四官能性エポキシである。
二官能性エポキシ樹脂は、樹脂成分中で使用される場合、任意の好適な二官能性エポキシ樹脂とすることができる。これには、2つのエポキシ官能性基を有する任意の好適なエポキシ樹脂が含まれることがわかるであろう。二官能性エポキシ樹脂は、飽和、不飽和、脂環式、脂環式又は複素環式とすることができる。
好適な二官能性エポキシ樹脂には、例えば、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールA(任意選択で臭素化)、フェノール及びクレゾールエポキシノボラック、フェノール−アルデヒド付加物のグリシジルエーテル、脂肪族ジオールのグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、エピコート(Epikote)、エポン(Epon)、芳香族エポキシ樹脂、脂肪族トリグリシジルエーテル、脂肪族ポリグリシジルエーテル、エポキシ化オレフィン、臭素化樹脂、芳香族グリシジルアミン、複素環式グリシジルイミジン及びアミド、グリシジルエーテル、フッ素化エポキシ樹脂、又はこれらの任意の組合せをベースとするものが含まれる。二官能性エポキシ樹脂は、好ましくはビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ジグリシジルジヒドロキシナフタレン、又はこれらの任意の組合せから選択される。最も好ましくは、ビスフェノールFのジグリシジルエーテルである。ビスフェノールFのジグリシジルエーテルは、Huntsman Advanced Materials (ニューヨーク、ブリュースター)からAralditeGY281及びGY285の商品名で市販されている。
本発明の未硬化樹脂には、好ましくはエポキシ樹脂に可溶性又は不溶性であってもよい1種以上の熱可塑性材料を含む熱可塑性成分も含まれる。好ましくは、熱可塑性成分には、可溶性及び不溶性の熱可塑性材料の組合せが含まれる。
可溶性熱可塑性材料について、靭化剤として使用されてきた任意の好適な可溶性熱可塑性ポリマーを使用することができる。典型的に、熱可塑性ポリマーは、不溶性粒子及び硬化剤の添加前に加熱することにより樹脂混合物中に溶解される粒子として樹脂混合物に添加される。熱可塑性ポリマーが高温マトリクス樹脂前駆体(即ち、エポキシ樹脂のブレンド)中に実質的に溶解されると、前駆体を冷却して、そして残りの成分(硬化剤と不溶性熱可塑性材料(単数又は複数))を添加する。
熱可塑性成分中に単独で又は組合せて使用することができる例示的な可溶性熱可塑性材料には、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド及びポリスルホンが含まれる。
ポリエーテルスルホン(PES)は、可溶性熱可塑性成分として使用するのが好ましい。PESは、Sumikaexcel 5003Pの商品名で販売されており、それは、住友化学株式会社から市販されている。5003Pの代替物としては、Solvay ポリエーテルスルホン105RP、又はVW−10200RP又は非ヒドロキシル末端の等級、例えばSolvay 1054P(Solvay Advanced Polymers−サウスカロライナ州、グリーンビル)がある。5003PとVW−10200RPの分子量は、46,500g/モルである。ポリエーテルイミドは、General Electric(マサチューセッツ州、ピッツフィールド)からULTEM1000Pの商品名で市販されている。未硬化樹脂マトリクスには、10から20重量%の溶解性熱可塑性材料が含まれると好ましい。12から18重量%の可溶性熱可塑性材料を含有する未硬化樹脂マトリクスがより好ましい。13から15重量%の可溶性熱可塑性材料を含有する樹脂マトリクスが、最も好ましい。
熱可塑性成分には、好ましくは不溶性熱可塑性粒子も含まれる。これらの粒子は、硬化プロセスの間に溶解せず、そして硬化複合材料の層間ゾーン内にそのまま残る。未硬化樹脂マトリクス中の不溶性粒子の量は、好ましくは、5から30重量%である。より好ましくは、6から18重量%の不溶性粒子を含有する樹脂マトリクスである。最も好ましくは、8から14重量%の不溶性粒子を含有する樹脂マトリクスである。
好適な熱可塑性粒子の例には、ポリアミドイミド(PAI)粒子とポリアミド(PA)粒子が含まれる。熱可塑性粒子は、室温(22℃)を超えるガラス転移温度(Tg)を有する。ポリアミド粒子が好ましい。
ポリアミド粒子には、特定のポリアミド又は粒子中に存在するポリアミド、並びに分子量及び結晶化度等のポリアミドポリマー及びコポリマーの重合特性において異なる種々の等級がある。ポリアミド粒子は、150から400ksiの間のヤング率を有すると好ましい。
好適なポリアミド粒子には、ポリアミド6(カプロラクタム−PA6)、ポリアミド12(カプロラクタム−PA12)、ポリアミド11及びこれらのポリアミドのコポリマーが含有される。粒子は100ミクロン未満の粒子サイズを有するべきである。粒子サイズは、5〜60ミクロン、そしてより好ましくは、5〜30ミクロンの範囲にあると好ましい。粒子は略球形とすべきである。粒子は、PCT出願WO2006/051222国際公開パンフレットに従うアニオン重合により、共押出し、沈殿重合、乳化重合、又は低温粉砕により作成することができる。好適なポリアミド粒子は、フランスのArkemaからオルガソル及びRilsanの商品名で市販されている。
オルガソル1002D NAT1は、例示的なポリアミド粒子である。オルガソル1002D NAT1は、100%のPA6から構成される。オルガソル1002D NAT1粒子のヤング率は、約300ksiである。51%に等しい結晶化度、26℃のガラス転移温度(Tg)、1.15の密度(ISO1183)、60,200(g/モル)の分子量、217℃の融点、及び20ミクロンの平均粒子サイズを有する粒子。好適な硬い粒子の別の例は、オルガソル3202D Nat1であり、これは、43%に等しい結晶化度、29のTg℃、1.09の密度(ISO1183)、60,800(g/モル)の分子量及び1.01の溶液粘度を有するPA6/PA12コポリマー粒子(80%PA6及び20%PA12)を含有する。オルガソル3202D Nat1のポリアミドコポリマー粒子は、平均粒子サイズが20ミクロンであり、融点が194℃である。
他の例示的なポリアミド粒子には、GRILAMIDTR55及びTR90が含まれ、これらは両方共、EMS Chemie AG(サウスカロライナ州、サムター)から市販されている。GRILAMIDTR55は、脂肪族、脂環式及び芳香族ポリマー主鎖を有するポリアミドである。TR55は、Tgが約160℃、モジュラスが約320ksiである。TR90は、脂肪族及び脂環式ポリマー主鎖を有するポリアミドである。TR90は、Tgが約155℃、及びモジュラスが約230ksiである。他の好適なポリアミド粒子には、ArkemaからRilsanPA11の商品名で販売されているPA11粒子が含まれる。更なる好適なポリアミド粒子には、平均粒子サイズが10ミクロンであり、KOBOProducts(ニュー・ジャージー州、サウス・プレインフィールド)からSP10Lの商品名で販売されているPA12粒子が含まれる。
未硬化樹脂には、PA粒子が含まれ、そしてPA粒子の量は全樹脂マトリクスの3から15重量%の範囲にあると好ましい。より好ましくは、PA粒子の量は8〜13重量%の範囲内である。異なるタイプのPA粒子の混合物を使用するのが好ましい。例えば、PA12粒子とPA11粒子の混合物がPA粒子の好ましいブレンドである。
好適なPAI粒子は、TORLON4000T又はTORLON4000TFとしてSolvay Advanced Polymers(ジョージア州、アルファレッタ)から市販されている。AI粒子の平均粒子サイズの範囲は、8ミクロンかた20ミクロンである。PAI粒子は、約600ksiのヤング率を有する。樹脂マトリクスは、必要に応じて、PAI粒子を全樹脂マトリクスの15重量%までの量で含むことができる。
未硬化樹脂には、少量(全樹脂マトリクスの5重量%まで)の弾性粒子も含むことができる。好適な弾性粒子には、ポリウレタンから主に構成される粒子が含まれる。弾性粒子には、好ましくは少なくとも95重量%のポリウレタンポリマーが含有される。エポキシ中に不溶性の高分子量弾性体から構成される他の弾性粒子も使用することができる。弾性粒子のヤング率は10ksi未満とするべきである。弾性粒子のTgは室温(22℃)以下とするべきである。
少量(5重量%未満)のシリカを含有するポリウレタン粒子は、好ましいタイプの弾性粒子である。Aston Chemicals(英国、アリスバーリー)からSUNPU−170の商品名で入手できるポリウレタン粒子が、好ましいタイプのポリウレタン粒子である。SUNPU−170は、HDI/トリメチロール ヘキシルラクトン クロスポリマー、及びシリカから構成される。粒子には、約95から99重量%のウレタンポリマーと1から5重量%のシリカが含まれる。粒子は、直径が5ミクロンから20ミクロンの範囲の微小球である。好適なポリウレタン粒子は、更にKobo Products(ニュー・ジャージー州、サウス・プレインフィールド)からBPD−500、BP−500T及びBP−500Wの商品名で入手できる。更に、これらの粒子は、HDI/トリメチロール ヘキシルラクトン クロスポリマー及びシリカから構成される。更に、粒子は、サイズが10ミクロンから15ミクロンの範囲の微小球である。BPD−500の微小球には、1から3重量%のシリカと97から99重量%のポリウレタンが含有される。アクリトニトリルブタジエンゴムから構成される粒子、例えばHYCAR 1472(B.F. Goodrichから入手可能である。)も好適な弾性粒子である。
粒子サイズ及び不溶性熱可塑性粒子と弾性粒子との相対的な量は、必要なレベルのOHC、CAI、Glc及びG2cが達成されるようにするだけでなく、エポキシ樹脂組成物の粘度が、プリプレグ調製に好適な範囲内となるように選択される。樹脂の粘度は、準等方性細断プリプレグを含むプリプレグを作成するのに航空宇宙産業で現在使用されている現在の高性能靭化樹脂の粘度と同じであるのが好ましい。本発明に従って、必要な未硬化樹脂特性と硬化複合体特性の組合せを達成するために、2以上の上記熱可塑性材料を組合せて、1つ以上のタイプの不溶性熱可塑性粒子を含有する熱可塑性成分を提供することが必要な場合がある。
3−ABOABを硬化剤として使用する場合には、熱可塑性成分を成す熱可塑性材料の量とタイプによって、室温で貯蔵する間に未硬化樹脂の熱放出特性がかなり影響を受けることは予想されない。加えて、3−ABOABを硬化剤として使用する場合には、種々のタイプと量の好適なエポキシ樹脂を使用することにより、熱放出特性がかなり影響を受けることは予想されない。
本発明の特徴として、熱可塑性材料靭化エポキシを、硬化剤として[3−(4−アミノベンゾイル)オキシフェニル]4−アミノベンゾアート(3−ABOAB)を使用して硬化する。PCT出願WO2011/083329国際公開パンフレットに記載の硬化剤、具体的には、硬化剤I(Curing AgentI)は、室温で6週間の貯蔵寿命を有するエポキシ樹脂を生成するには、室温における反応性が高すぎるので、適切ではない。
3−ABOABは、ノルボルナンジアミン(NBDA)を作成するための既知の化学的手順を使用して合成することができ、又は13p−BABBの商品名でのMitsui Chemicals America,Inc.等の化学薬品供給業者から商業的に購入することができる。
未硬化樹脂に含まれる3−ABOABの量は、未硬化樹脂中に存在するエポキシ樹脂の量とタイプに依存するであろう。3−ABOABの量は、未硬化樹脂の完全な硬化を確実にするのと同時に、樹脂を作成した後、少なくとも6週間、樹脂の熱放出を一定且つ比較的低いレベルに維持することを確実にするのに十分な量であるべきである。この量は、配合物中の各エポキシ樹脂の官能性と量をベースとして計算することができる。3−ABOABとエポキシ成分であるエポキシ樹脂(単数又は複数)との間の化学量論比は、0.65:1.0と1.1:0.8の間とすべきである。3−ABOABとエポキシ樹脂(単数又は複数)との間の好ましい化学量論比は、0.7:1と0.95:1の間である。
165℃と190℃の間の温度で完全な硬化を得るのに必要な3−ABOABの量は、一般的に全未硬化樹脂の15と45重量%の間となるであろうし、そしてエポキシ成分におけるエポキシ樹脂の官能性と量及び上記の3−ABOAB:エポキシの化学量論比に依存するであろう。3−ABOABの量を上記化学量論比の限定内に維持することによっても、熱放出が、室温で少なくとも6週間樹脂を貯蔵する間、低く且つ一定に確実に維持される。3−ABOAB硬化剤は、エポキシ樹脂に、他の従来の硬化剤、例えば3,3’−DDS又は4,4’−DDSと同じ方法で添加される。3−ABOABは、不溶性熱可塑性粒子と同時に未硬化樹脂に添加されるのが好ましい。
未硬化樹脂に1種の硬化剤が存在する場合は、それが3−ABOAであると好ましい。未硬化樹脂の室温反応性を高める可能性のある触媒、促進剤又は他の化合物を使用することは適切ではない。3−ABOAB以外の硬化剤の形態は、未硬化樹脂の全重量の5重量%以下とすべきである。好ましくは、3−ABOAB以外の硬化剤の形態は、未硬化樹脂の全重量の2重量%以下とすべきである。
未硬化樹脂には、プリプレグの粘度、タック性及び寿命(out life)、又は硬化複合部品の強度、損傷許容性及び溶媒耐性に悪影響を与えない場合は、更に追加的な成分、例えば性能強化又は改変剤及び追加的な熱可塑性ポリマーを含ませることができる。性能強化又は改変剤は、例えば可撓性付与剤、追加的な熱可塑性ポリマー、コアシェルゴム、難燃剤、湿潤剤、顔料/染料、UV吸収剤、抗真菌性化合物、充填剤、導電性粒子、及び粘度調整剤から選択することができる。好適な追加の熱可塑性ポリマーには、以下のいずれかが単独又は組合せのいずれかで含まれる:即ち、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、ポリフェニルスルホン、ポリイミド、アラミド、ポリエステル、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ尿素、ポリアリールエーテル、ポリアリールスルフィド、ポリカーボナート、ポリフェニレンオキシド(PPO)及び変性PPOである。
好適な充填剤には、例えば以下のいずれかが単独又は組合せのいずれかで含まれる:即ち、シリカ、アルミナ、チタニア、ガラス、炭酸カルシウム及び酸化カルシウムである。
好適な導電性粒子には、例えば以下のいずれかが単独又は組合せのいずれかで含まれる:即ち、銀、金、銅、アルミニウム、ニッケル、導電性等級の炭素、バックミンスターフラーレン、炭素粒子、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーである。金属被覆充填剤も使用することができ、例えば、ニッケル被覆炭素粒子及び銀被覆銅粒子である。
未硬化樹脂には、必要に応じて、追加的な非エポキシ熱硬化性重合性樹脂を含ませることができる。硬化すると、熱硬化性樹脂は、溶融及び再成形には適さない。本発明の好適な非エポキシ熱硬化性樹脂材料には、非限定的に、フェノールホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(メラミン)、ビスマレイミドの樹脂、ビニルエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、シアン酸エステル樹脂、エポキシドポリマー、又はこれらの任意の組合せが含まれる。熱硬化性樹脂は、好ましくはエポキシド樹脂、シアン酸エステル樹脂、ビスマレイミド、ビニルエステル、ベンゾオキサジン及びフェノール樹脂から選択される。必要に応じて、マトリクスには、更に好適なフェノール基含有樹脂、例えばレゾルシノール系樹脂、及びカチオン性重合により形成される樹脂、例えばDCPD−フェノールコポリマーが含まれる。更に追加的な好適な樹脂は、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、及び尿素−ホルムアルデヒド樹脂である。このような非エポキシ熱硬化性樹脂の量は、エポキシ成分の全重量をベースとして10重量%に限定すべきである。
未硬化樹脂は、標準プリプレグマトリクス処理に従って作成される。一般に、種々のエポキシ樹脂は、室温で一緒に混合されて、樹脂マトリクスを形成し、これに熱可塑性成分の可溶性熱可塑性部分を添加する。この混合物をその後、可溶性熱可塑性材料(単数又は複数)の融点よりも高い温度に、熱可塑性材料(単数又は複数)を実質的に溶融するのに十分な時間加熱する。この混合物をその後室温以下に冷却して、そしてその後熱可塑性成分の不溶性熱可塑性粒子部分、硬化剤及び(あるとすれば)他の添加剤を樹脂に混合して、室温で貯蔵するか又は繊維強化材に含浸してプリプレグとして室温で貯蔵する最終的な未硬化樹脂を形成する。
未硬化樹脂を、既知のプリプレグ製造技術のいずれかに従って、繊維強化材に適用する。繊維強化材は、十分に又は部分的に未硬化樹脂に含浸することができる。別の実施態様では、未硬化樹脂は、繊維強化材に、繊維強化材の近傍でそして接触して別のフィルム又は層として適用することができるが、繊維強化材を実質的に含浸しない。プリプレグは、典型的に保護フィルムで両側をカバーされ、早期硬化を回避するために、典型的に室温より十分に低く維持した温度で、貯蔵及び輸送のためにロールアップされる。必要であれば、他のプリプレグ製造プロセス及び貯蔵/輸送システムのいずれかを使用することができる。
プリプレグの繊維強化材は、合成若しくは天然の繊維又はこれらの組合せを含むハイブリッド又は混合繊維系から選択することができる。繊維強化材は、好ましくは繊維ガラス、炭素又はアラミド(芳香族ポリアミド)繊維等の任意の好適な材料から選択することができる。繊維強化材は、好ましくは炭素繊維である。
繊維強化材には、亀裂のある(即ち、ストレッチ破断した)又は選択的に不連続な繊維、又は連続した繊維が含まれてもよい。亀裂のある又は選択的に不連続な繊維を使用することにより、完全に硬化する前に複合材料のレイアップを促進し、成形性を改良することができる。繊維強化材は、織布、非捲縮、不織布、一方向、又は多軸織物構造形態、例えば準等方性細断プリプレグとすることができる。織布形態は、平織り、サテン、又は綾織スタイルから選択することができる。非捲縮及び多軸形態は、多くのパイル及び繊維配向を有することができる。このようなスタイル及び形態は、複合体強化材分野でよく知られており、そしてHexcel Reinforcements(フランス、ヴィルールバンヌ)を含む多くの会社から市販されている。
プリプレグは、連続的なテープ、トウプレグ、ウェブ、又は細断された長さ(細断及びスリット加工は、含浸後任意の時点で行うことができる)の形態とすることができる。プリプレグは、接着性又は表面フィルムとすることができ、そして追加的に織布、編物及び不織布の両方の種々の形態のキャリアを埋込むことができる。プリプレグを、例えば硬化の間の空気の除去を促進するために、完全に又は部分的にのみ含浸することができる。
例示的な未硬化樹脂は、50から70重量%のトリグリシジル−m−アミノフェノールと30から50重量%の3−ABOABから構成される。好ましい未硬化樹脂は、55から62重量%のトリグリシジル−m−アミノフェノールと38から45重量%の3−ABOABから構成される。
別の代表的な未硬化樹脂は、30から50重量%のトリグリシジル−m−アミノフェノール(三官能性エポキシ樹脂);9から15重量%のポリエーテルスルホン(可溶性熱可塑性材料);5から15重量%のポリアミド粒子(不溶性熱可塑性粒子)、及び30から50重量%の3−ABOAB(硬化剤)から構成される。好ましくは、ポリアミド粒子はナイロン−12粒子(SP10L)及びナイロン−11粒子(Rilsan11)の混合物である。好ましい未硬化樹脂は、38から45重量%のトリグリシジル−m−アミノフェノール(三官能性エポキシ樹脂);10から14重量%のポリエーテルスルホン(可溶性熱可塑性材料);5から8重量%のPA12ポリアミド粒子;3から6重量%のPA11粒子;及び33から37重量%の3−ABOAB(硬化剤)から構成される。
別の例示的な未硬化樹脂は、21から27重量%のトリグリシジル−p−アミノフェノール(三官能性エポキシ樹脂);21から27重量%の二官能性エポキシ樹脂;9から14重量%のポリエーテルスルホン(可溶性熱可塑性材料);5から15重量%のポリアミド粒子(不溶性熱可塑性粒子);及び25から35重量%の3−ABOAB(硬化剤)から構成される。好ましい未硬化樹脂は、23から25重量%のトリグリシジル−p−アミノフェノール(三官能性エポキシ樹脂);23から25重量%の二官能性エポキシ樹脂;10から12重量%のポリエーテルスルホン(可溶性熱可塑性材料);5から8重量%のPA12ポリアミド粒子;3から6重量%のPA11粒子;及び28から32重量%の3−ABOAB(硬化剤)から構成される。
別の例示的な未硬化樹脂は、20から27重量%のトリグリシジル−m−アミノフェノール(三官能性エポキシ樹脂);8から12重量%の三官能性エポキシ樹脂;14から18重量%の二官能性エポキシ;12から16重量%のポリエーテルスルホン(可溶性熱可塑性材料);5から15重量%のポリアミド粒子(不溶性熱可塑性粒子);及び20から30重量%の3−ABOAB(硬化剤)から構成される。好ましくは、ポリアミド粒子は、ナイロン−12粒子(SP10L)とナイロン−11粒子(Rilsan11)の混合物である。好ましい未硬化樹脂は、22から26重量%のトリグリシジル−m−アミノフェノール(三官能性エポキシ樹脂);9から11重量%の四官能性エポキシ樹脂;15から17重量%の二官能性エポキシ;13から16重量%のポリエーテルスルホン(可溶性熱可塑性材料);5から8重量%のPA12ポリアミド粒子;3から6重量%のPA11粒子;及び33から37重量%の3−ABOAB(硬化剤)から構成される。
プリプレグは、複合部品を形成するのに使用される標準的な技術のいずれかを使用して、成形することができる。典型的に、1つ以上のプリプレグの層を、好適なモールド中に配置し、そして硬化して最終的な複合部品を形成する。本発明のプリプレグを、当該技術分野で既知の任意の好適な温度、圧力、及び時間の条件を使用して完全に又は部分的に硬化することができる。典型的には、プリプレグを、165℃と190℃の間の温度のオートクレーブ中で硬化するが、好ましくは、硬化温度はおよそ175℃から180℃である。未硬化複合材料は、UV−可視放射、マイクロ波放射、電子ビーム、ガンマ放射、又は他の好適な熱又は非熱放射から選択される方法を使用しても硬化させることができる。
本発明の改良されたプリプレグから作成される複合部品は、多数の1次及び2次エアロスペース構造体(翼、胴体、隔壁等)等の物品を作成する際に用途が見出されるであろうが、高い引張強度、圧縮強度、層間破壊靭性及び衝撃損傷耐性が必要とされる自動車、鉄道、海洋及びエネルギー産業における他の高性能構造用途に対しても有用であろう。
本発明に従う3−ABOAB硬化樹脂は室温で比較的反応性がないが、熱可塑性材料靭化エポキシ樹脂に対する従来の硬化プロセスに従う硬化に対してなお適切であることが発見された。
本明細書中でプリプレグに関連して使用する場合には、「未硬化」マトリクス樹脂又は複合体材料の用語は、実質的な硬化反応、例えばB−ステージ又は他の部分的硬化プロセスを受けていない樹脂を含むことを意図する。例えば、室温で所定の期間貯蔵した後、樹脂の反応進行度(α)が5%未満であれば、樹脂は未硬化であると判断する。反応進行度は、「反応度」とも称される。樹脂の反応進行度は、示差走査熱量測定法(DSC)を使用することによって測定して、調製直後(時間=0)の樹脂の熱放出(ΔH)を決定し、その後室温にある一定時間暴露した後、残りの熱放出(ΔH)を決定する。反応進行度は、α=(1−ΔH/ΔH)×100として計算される。本発明に従って、室温で6週間の貯蔵終了時間又は貯蔵寿命は、未硬化樹脂が、室温で6週間貯蔵した後、反応進行度が5%未満であるような程度に未硬化のままであることを意味する。「完全に硬化」の用語は、反応進行度が95%を超えることを意味する。
本明細書の目的のために、室温は15℃から24℃の間の任意の温度であると考える。典型的に、未硬化樹脂は、18℃と24℃の間の温度で貯蔵されるであろう。
本発明がより容易に理解されるように、次に以下の本発明の例を参照する。
実施例1
本発明に従う例示的な未硬化樹脂配合を表1に示す。未硬化樹脂を、エポキシ樹脂成分を室温(22℃)で硬化剤としての3−ABOABと混合することにより調製した。2種の成分を十分に混合して未硬化樹脂を形成した。
未硬化樹脂は、プリプレグを作成する際に使用するのに好適な粘度を有していた。繊維強化材中に含浸させた場合、得られるプリプレグは、成形用の物品を形成する際に使用するのに受入れ可能なタック特性を有するであろう。例示的なプリプレグは、1つ以上の層の一方向炭素繊維を表1の樹脂配合物に含浸することにより調製することができる。一方向性炭素繊維を使用して、マトリクス樹脂量が全未硬化プリプレグ重量の約35重量%になり、そして繊維目付が1平方メートル当たり約190グラム(gsm)となるプリプレグを作成する。種々のプリプレグレイアップを標準的なプリプレグ作成手順を使用して調製することができる。プリプレグを180℃のオートクレーブ中で約2時間硬化すると、エアロスペース一次構造体で使用するのに好適な強度と損傷許容性が備わると予想される。
樹脂を室温(22℃)で6週間貯蔵した後の反応進行度を測定するために、表1の樹脂配合物について示差走査熱量測定(DSC)を行った。ΔHを測定するために、最初に調製した樹脂についてDSC試験を行った。ΔHは、室温で6週間貯蔵した後に測定した。DSC試験は、TA装置Q2000熱量計を使用して、5mgの樹脂サンプルについて行った。DSC試験は、−60℃から350℃の温度範囲に亘って、毎分10℃の傾斜率で行った。未硬化樹脂は、6週間の試験期間の間、未硬化のままであった。6週間の期間の後の樹脂の反応進行度は、5%未満であった。6週間の試験期間の後、未硬化樹脂サンプルを177℃で2時間大気圧で硬化した。硬化後の反応進行度(extent of reactivity)は、95%より高く、これは樹脂が完全に硬化したこを示す。
実施例2
本発明に従う別の例示的な樹脂配合物を表2に示す。未硬化樹脂を、エポキシ成分を室温でポリエーテルスルホンと混合することにより調製して、樹脂ブレンドを形成し、それを60分間120℃に加熱してポリエーテルスルホンを完全に溶解した。混合物を80℃に冷却し、そして成分の残り(ポリアミド粒子と3−ABOAB硬化剤)を添加し、そして十分に混合して、未硬化樹脂を形成した。
例1と同じDSC試験手順を使用して、樹脂配合物を試験した。6週間後、未硬化樹脂の反応進行度は、実質的に0%であった。177℃で2時間大気圧にて硬化した後、反応進行度は約95%を超えており、これにより、樹脂が完全に硬化したことを確認した。未硬化樹脂は、プリプレグを作成する際に使用するのに好適な粘度を有していた。繊維強化材に含浸する場合、得られるプリプレグは、成形用の物品を形成する際に使用するのに受入れ可能なタック特性を有するであろう。例示的なプリプレグを、1つ以上の層の一方向炭素繊維を表2の樹脂配合物に含浸することにより調製することができる。一方向炭素繊維を使用して、マトリクス樹脂量が全未硬化プリプレグ重量の約35重量%となり、且つ繊維目付が1平方メートル当たり約190グラム(gsm)であるプリプレグを作成する。種々のプリプレグレイアップを、標準的なプリプレグ作成手順を使用して調製することができる。プリプレグを180℃のオートクレーブ中で2時間硬化すると、エアロスペース一次構造体で使用するのに好適な強度と損傷許容性が備わると予想される。
実施例3
本発明に従う別の例示的な樹脂配合物を表3に示す。未硬化樹脂を、エポキシ成分を室温でポリエーテルスルホン(PES)と混合することにより調製して、樹脂ブレンドを形成し、それを60分間120℃に加熱して、PESを完全に溶解した。混合物を80℃に冷却し、そしてポリアミド粒子と3−ABPAB硬化剤を添加し、そして十分に混合して未硬化樹脂を形成した。
例1と同じDSC試験手順を使用して、樹脂配合物を試験した。6週間後、未硬化樹脂の反応進行度は、実質的に0%であった。177℃で2時間大気圧にて硬化した後、反応進行度は、95%を超えていた。未硬化樹脂は、プリプレグを作成する際に使用するのに適切な粘度を有していた。繊維強化材に含浸した場合、得られるプリプレグは、成形用の物品を形成する際に使用するのに受入れ可能なタック特性を有するであろう。例示的なプリプレグを、1つ以上の層の一方向炭素繊維を表3の樹脂配合物に含浸することにより調製することができる。一方向炭素繊維を使用して、マトリクス樹脂量が全未硬化プリプレグ重量の約35重量%になり、且つ繊維目付が1平方メートル当たり約190グラム(gsm)であるプリプレグを作成する。種々のプリプレグレイアップを、標準的なプリプレグ作成手順を使用して調製することができる。プリプレグを180℃のオートクレーブ中で2時間硬化すると、エアロスペース一次構造体で使用するのに好適な強度と損傷許容性が備わると予想される。
実施例4
本発明に従う別の例示的な樹脂配合物を表4に示す。未硬化樹脂を、エポキシ成分を室温でポリエーテルスルホン(PES)と混合することにより調製して、樹脂ブレンドを形成し、それを60分間120℃に加熱して、PESを完全に溶解した。混合物を80℃に冷却し、そしてポリアミド粒子と3−ABPAB硬化剤を添加し、そして十分に混合して未硬化樹脂を形成した。
例1と同じDSC試験手順を使用して樹脂配合物を試験した。6週間後、未硬化樹脂の反応進行度は、実質的に0%であった。177℃で2時間大気圧にて硬化した後、反応進行度は、95%を超えていた。未硬化樹脂は、プリプレグを作成する際に使用するのに適切な粘度を有していた。繊維強化材に含浸した場合、得られるプリプレグは、成形用の物品を形成する際に使用するのに受入れ可能なタック特性を有するであろう。例示的なプリプレグを、1つ以上の層の一方向炭素繊維を表3の樹脂配合物に含浸することにより調製することができる。一方向炭素繊維を使用して、マトリクス樹脂量が全未硬化プリプレグ重量の約35重量%になり、且つ繊維目付が1平方メートル当たり約190グラム(gsm)であるプリプレグを作成する。種々のプリプレグレイアップを、標準的なプリプレグ作成手順を使用して調製することができる。プリプレグを180℃のオートクレーブ中で2時間硬化すると、エアロスペース一次構造体で使用するのに好適な強度と損傷許容性が備わると予想される。
比較例1
比較用樹脂配合物を表5に示す。樹脂配合物は、3,3’−DDSを硬化剤として使用することを除いて、実施例4と同じである。未硬化樹脂を、エポキシ成分を室温でポリエーテルスルホン(PES)と混合することにより調製して、樹脂ブレンドを形成し、それを60分間120℃に加熱して、PESを完全に溶解した。混合物を80℃に冷却し、そしてポリアミド粒子と3,3’−DDSB硬化剤を添加し、そして十分に混合して未硬化樹脂を形成した。
実施例1と同じDSC試験手順を使用して、樹脂配合物を試験した。6週間後、未硬化樹脂の反応進行度は、30%を超えていた。177℃で2時間大気圧にて硬化した後、反応進行度は、95%を超えていた。
このように説明してきた本発明の例示的な実施態様から、当業者は、開示範囲内のことは、単なる例示であり、且つ種々の他の代替物、改作物及び改変物が本発明の範囲内で可能であることに気づくべきである。従って、本発明は上記の実施態様に限定されず、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。
なお、下記[1]から[20]は、いずれも本発明の一形態又は一態様である。
[1]
室温で少なくとも6週間貯蔵することができ、且つ165℃と190℃の間の温度にて2時間以下で完全に硬化することができる未硬化樹脂であって、該未硬化樹脂が、
二官能性エポキシ樹脂、三官能性エポキシ樹脂及び四官能性エポキシ樹脂からなる群から選択される1種以上のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂成分;並びに
該未硬化樹脂が室温で少なくとも6週間貯蔵することができ、且つ該未硬化樹脂が2時間以下で165℃と190℃の間の温度で完全に硬化することができるような十分な量の[3−(4−アミノベンゾイル)オキシフェニル]4−アミノベンゾアートを含む硬化剤、
を含む、上記未硬化樹脂。
[2]
前記エポキシ樹脂成分が、三官能性エポキシ樹脂と四官能性エポキシ樹脂を含む、[1]に記載の未硬化樹脂。
[3]
前記エポキシ樹脂成分が、二官能性エポキシ樹脂を含む、[2]に記載の未硬化樹脂。
[4]
前記未硬化樹脂が、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド及びポリアミドからなる群から選択される熱可塑性材料を含む熱可塑性成分を含む、[1]に記載の未硬化樹脂。
[5]
前記熱可塑性成分が、ポリエーテルスルホンを含む、[1]に記載の未硬化樹脂。
[6]
前記熱可塑性成分が、ポリアミドを含む、[5]に記載の未硬化樹脂。
[7]
[1]に記載の未硬化樹脂と繊維強化材とを含む未硬化複合材料。
[8]
[1]に記載の未硬化樹脂と繊維強化材とを含む複合材料であって、該未硬化樹脂が硬化されている、上記複合材料。
[9]
前記複合材料が、航空機の一次構造体の少なくとも一部を形成する、[8]に記載の複合材料。
[10]
室温で少なくとも6週間貯蔵することができ、且つ165℃と190℃の間の温度にて2時間以下で完全に硬化することができるプリプレグを作成する方法であって、該方法が、
室温で少なくとも6週間貯蔵することができ、且つ165℃と190℃の間の温度にて2時間以下で完全に硬化することができる未硬化樹脂を供給する段階であって、該未硬化樹脂が、
二官能性エポキシ樹脂、三官能性エポキシ樹脂及び四官能性エポキシ樹脂からなる群から選択される1種以上のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂成分;並びに
該未硬化樹脂が室温で少なくとも6週間貯蔵することができ、且つ該未硬化樹脂が2時間以下で165℃と190℃の間の温度で完全に硬化することができるような十分な量の[3−(4−アミノベンゾイル)オキシフェニル]4−アミノベンゾアートを含む硬化剤、
を含む、上記段階と、
該未硬化樹脂を繊維強化材と混合して、該プリプレグを供給する段階と、
を含む、上記方法。
[11]
前記エポキシ樹脂成分が、三官能性エポキシ樹脂と四官能性エポキシ樹脂を含む、[10]に記載の方法。
[12]
前記エポキシ樹脂成分が、二官能性エポキシ樹脂を含む、[11]に記載の方法。
[13]
前記未硬化樹脂が、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド及びポリアミドからなる群から選択される熱可塑性材料を含む熱可塑性成分を含む、[10]に記載の方法。
[14]
前記熱可塑性成分が、ポリエーテルスルホンを含む、[13]に記載の方法。
[15]
前記熱可塑性成分が、ポリアミド粒子を含む、[14]に記載の方法。
[16]
前記未硬化樹脂を硬化して、硬化した複合部品を形成する追加的な段階を含む、[10]に記載の方法。
[17]
前記硬化した複合部品が、航空機の一次構造体の少なくとも一部を形成する、[16]に記載の方法。
[18]
未硬化樹脂を室温で6週間以上貯蔵する方法であって、該方法が、
A)室温で少なくとも6週間貯蔵することができ、且つ165℃と190℃の間の温度にて2時間以下で完全に硬化することができる未硬化樹脂を供給する段階であって、該未硬化樹脂が、
a)二官能性エポキシ樹脂、三官能性エポキシ樹脂及び四官能性エポキシ樹脂からなる群から選択される1種以上のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂成分;並びに
b)該未硬化樹脂が室温で少なくとも6週間貯蔵することができ、且つ該未硬化樹脂が2時間以下で165℃と190℃の間の温度で完全に硬化することができるような十分な量の[3−(4−アミノベンゾイル)オキシフェニル]4−アミノベンゾアートを含む硬化剤;
を含む、上記段階と、
B)該未硬化樹脂を6週間以上室温で貯蔵する段階と、
を含む、上記方法。
[19]
前記エポキシ樹脂成分が、二官能性エポキシ樹脂、三官能性エポキシ樹脂及び四官能性エポキシ樹脂を含む、[19]に記載の未硬化樹脂を室温で貯蔵する方法。
[20]
前記熱可塑性成分が、ポリエーテルスルホンとポリアミド粒子を含む、[19]に記載の未硬化樹脂を室温で貯蔵する方法。

Claims (20)

  1. 室温で少なくとも6週間貯蔵することができ、且つ165℃と190℃の間の温度にて2時間以下で完全に硬化することができる未硬化樹脂組成物であって、該未硬化樹脂組成物が、
    二官能性エポキシ樹脂、三官能性エポキシ樹脂及び四官能性エポキシ樹脂からなる群から選択される1種以上のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂成分;並びに
    [3−(4−アミノベンゾイル)オキシフェニル]4−アミノベンゾアートを含む硬化剤、
    を含
    該[3−(4−アミノベンゾイル)オキシフェニル]4−アミノベンゾアートと該エポキシ樹脂との間の化学量論比が、0.65:1.0から1.1:0.8の範囲内である、
    上記未硬化樹脂組成物
  2. 前記エポキシ樹脂成分が、三官能性エポキシ樹脂と四官能性エポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の未硬化樹脂組成物
  3. 前記エポキシ樹脂成分が、二官能性エポキシ樹脂を含む、請求項2に記載の未硬化樹脂組成物
  4. 前記未硬化樹脂組成物が、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド及びポリアミドからなる群から選択される熱可塑性材料を含む熱可塑性成分を含む、請求項1に記載の未硬化樹脂組成物
  5. 前記熱可塑性成分が、ポリエーテルスルホンを含む、請求項に記載の未硬化樹脂組成物
  6. 前記熱可塑性成分が、ポリアミドを含む、請求項5に記載の未硬化樹脂組成物
  7. 請求項1に記載の未硬化樹脂組成物と繊維強化材とを含む未硬化複合材料。
  8. 請求項1に記載の未硬化樹脂組成物と繊維強化材とを含む複合材料であって、該未硬化樹脂組成物が硬化されている、上記複合材料。
  9. 前記複合材料が、航空機の一次構造体の少なくとも一部を形成する、請求項8に記載の複合材料。
  10. 室温で少なくとも6週間貯蔵することができ、且つ165℃と190℃の間の温度にて2時間以下で完全に硬化することができるプリプレグを作成する方法であって、該方法が、
    室温で少なくとも6週間貯蔵することができ、且つ165℃と190℃の間の温度にて2時間以下で完全に硬化することができる未硬化樹脂組成物を供給する段階であって、該未硬化樹脂組成物が、
    二官能性エポキシ樹脂、三官能性エポキシ樹脂及び四官能性エポキシ樹脂からなる群から選択される1種以上のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂成分;並びに
    [3−(4−アミノベンゾイル)オキシフェニル]4−アミノベンゾアートを含む硬化剤、
    を含該[3−(4−アミノベンゾイル)オキシフェニル]4−アミノベンゾアートと該エポキシ樹脂との間の化学量論比が、0.65:1.0から1.1:0.8の範囲内である、上記段階と、
    該未硬化樹脂組成物を繊維強化材と混合して、該プリプレグを供給する段階と、
    を含む、上記方法。
  11. 前記エポキシ樹脂成分が、三官能性エポキシ樹脂と四官能性エポキシ樹脂を含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記エポキシ樹脂成分が、二官能性エポキシ樹脂を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記未硬化樹脂組成物が、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド及びポリアミドからなる群から選択される熱可塑性材料を含む熱可塑性成分を含む、請求項10に記載の方法。
  14. 前記熱可塑性成分が、ポリエーテルスルホンを含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記熱可塑性成分が、ポリアミド粒子を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記未硬化樹脂組成物を硬化して、硬化した複合部品を形成する追加的な段階を含む、請求項10に記載の方法。
  17. 前記硬化した複合部品が、航空機の一次構造体の少なくとも一部を形成する、請求項16に記載の方法。
  18. 未硬化樹脂組成物を室温で6週間以上貯蔵する方法であって、該方法が、
    A)室温で少なくとも6週間貯蔵することができ、且つ165℃と190℃の間の温度にて2時間以下で完全に硬化することができる未硬化樹脂組成物を供給する段階であって、該未硬化樹脂組成物が、
    a)二官能性エポキシ樹脂、三官能性エポキシ樹脂及び四官能性エポキシ樹脂からなる群から選択される1種以上のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂成分;並びに
    b)[3−(4−アミノベンゾイル)オキシフェニル]4−アミノベンゾアートを含む硬化剤;
    を含該[3−(4−アミノベンゾイル)オキシフェニル]4−アミノベンゾアートと該エポキシ樹脂との間の化学量論比が、0.65:1.0から1.1:0.8の範囲内である、上記段階と、
    B)該未硬化樹脂組成物を6週間以上室温で貯蔵する段階と、
    を含む、上記方法。
  19. 前記エポキシ樹脂成分が、二官能性エポキシ樹脂、三官能性エポキシ樹脂及び四官能性エポキシ樹脂を含む、請求項18に記載の未硬化樹脂組成物を室温で貯蔵する方法。
  20. 前記未硬化樹脂組成物が、ポリエーテルスルホンとポリアミド粒子を含む熱可塑性成分を更に含有する、請求項18又は19に記載の未硬化樹脂組成物を室温で貯蔵する方法。
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