JP6554329B2 - ケーブルの防水構造 - Google Patents
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Description
そのため、接着剤を利用した防水構造を実際に製作する場面において、作業が煩雑になるという問題も存在する。
(a)該環状部材は該ケーブルシース上に圧着固定されている。
(b)該キャップ部材と該ケース部材は、固定手段によって互いを接続固定することが可能であるとともに、互いに固定された該キャップ部材と該ケース部材の内部には該環状部材と該シール部材を収容する収容空間が形成されている。
(c)該環状部材と該シール部材を収容するよう該キャップ部材と該ケース部材を接続固定することにより、該シール部材が該環状部材に当接するとともに、該キャップ部材もしくは該ケース部材に当接する。
(d)該圧着固定によって、該ケーブルシースの外径が縮径している。
(e)該シール部材が、リング状の弾性体材料で形成されるとともに、該シール部材のリング内径が、該環状部材が圧着される前の該ケーブルシースの外径以下である。
・機械的な固定構造のみで防水性能を有することができる。
・接着、熱融着が不要なため、ケーブルに使用される材料に左右されることなく適用可能であるとともに、気温、湿度などの外的要因の影響も少ない、簡便な作業で防水構造を得ることができる。
・圧着固定の利用により、引張方向に左右されない強度を得ることができる。
また、本発明の防水構造は図2に示した態様のケーブルのみならず、電気導体にシースを被覆した電線単体、同軸ケーブル単体や、光ファイバをケーブルシースで一括被覆した光ファイバケーブル、あるいは電線と光ファイバをケーブルシースで一括被覆した光電気複合ケーブルなどにも適用可能である。
本発明で特徴的なことは、ケーブルシース1a上にキャップ部材2、環状部材3、シール部材4、ケース部材5が挿通されるとともに、これらの部材が以下(a)〜(e)の関係を有することである。
(a)環状部材3はケーブルシース1aに圧着固定される。
(b)キャップ部材2とケース部材5は、固定手段によって互いを接続固定することが可能であるとともに、互いに固定されたキャップ部材2と該ケース部材5の内部には、環状部材3とシール部材4を収容する収容空間6が形成されている。
(c)環状部材3とシール部材4を収容するようキャップ部材2とケース部材5を互いに接続固定することにより、シール部材4が環状部材3に当接するとともに、キャップ部材2もしくはケース部材5に当接する。
(d)圧着固定によって、ケーブルシース1aの外径が縮径している。
(e)シール部材4が、リング状の弾性体材料で形成されるとともに、シール部材4のリング内径が、環状部材3が圧着される前のケーブルシース1aの外径以下である。
機械的な固定方法であるため、圧着によるケーブルシース1aの破損といった不具合が無いようにケーブルシース1aの外径、材料特性に対する適切な圧着寸法を設定すれば、ケーブルシース1aの材料が特定のものに限定されることなく、また、気温、湿度などの外的要因から影響も受けることなく、簡便な作業で強固な固定強度を得ることができる。
加えて、熱も使用しないため、ケーブル1に使用される材料に熱による悪影響が出ることもない。
ケーブル1が単体の電線、同軸ケーブルである時は、ポリエチレン樹脂、フッ素樹脂など、被覆材の材料として公知の物を適宜選択して使用すれば良い。
本願発明は接着性に乏しいフッ素樹脂被覆に対しても、良好な固定強度を有する防水構造を得ることができる。
なお、本発明においては、ケーブル1の長さ方向に沿った寸法のことを、長さ寸法と呼ぶことにする。
このように圧着固定を行うことで、ケーブルシース1aが環状部材3に対するストッパーとして機能し、環状部材3はケーブル1の長さ方向に動きにくくなり、圧着固定の強度向上に寄与する。
以下の説明ではシール部材4はケース部材5に当接するものとして記載するが、キャップ部材2に当接する場合でも同様のことが言える。
また、異常な力によって防水構造を設けた部分が動いたとしても、各部材の位置関係を維持して移動するため、防水性能は維持される。
図4に本発明に使用するキャップ部材2、ケース部材5の一例を示す。図4に示したキャップ部材2はケーブル挿通孔2aを有した円板形状、ケース部材5はケーブル挿通孔5aと、円柱状の中空部5cを有した円筒形状のものである。
すなわち、ケース部材5が有する中空部5cが、環状部材3とシール部材4を収容する収容空間6となる。
この寸法とすることで、環状部材3とケース部材5に挟まれることによってシール部材4が弾性変形し、弾性による反発力で環状部材3とケース部材5に対してより強い力で密着するため、確実性の高い防水性能を得ることができる。
なお、シール部材4の長さの寸法は、弾性変形する前の寸法を指す。
一般的なケーブルシース1aの形状は円形のため、円形の空洞を有するリング状のものがシール部材4として適当である。
このような寸法関係とすることで、リング状シール部材4とケーブルシース1aとの間の密着性が増し、より確実な防水性能が期待できる。
このように構成することで、図3(a)に示したように、ケーブルシース1aの縮径によって生じた空間にリング状シール部材4が収容され、より確実な防水性能が期待できる。
加えて、リング状シール部材4が環状部材3とケース部材5に挟まれて弾性変形した際に、図3(b)に示したように、弾性変形したリング状シール部材4がケーブルシース1aの縮径部分表面を押圧し、防水性能をより高めることができる。
環状部材3が六角形以上の多角形状にカシメ固定されることにより、円形に近い形状に変形するため、リング状シール部材4の内周辺が、カシメ固定された環状部材3の外周辺の外側に位置することが無くなり、より確実な防水効果が期待できる。
図6は、図2に示した、外径φ1mmである周知の電線1bの対撚り線4本に、編組シールド層1cを設けた後、ケーブルシース1aとして肉厚1.0mm、外径φ7.2mmのPVC(ポリ塩化ビニル)を押出し被覆した多芯ケーブル1に、本発明のケーブル防水構造を適用し、機器接続用ケーブルに加工したものである。
キャップ部材2との固定手段にはバヨネット固定式を採用し、ケース部材5の表面に図4に示したような係合溝5bを設けた。
また、ケース部材5の表面には、後述するコネクタハウジング10内にケース部材5の周囲を経路として水が浸入するのを防ぐ、Oリング8を嵌める溝を形成した。
シール部材4の内径φ5.8mmはケーブルシース1aの外径φ7.2mmより小さいが、弾性材料であるシリコーンゴムで形成されているため柔軟性を有し、多少の変形ができるので、ケーブルシース1aに対して過度な抵抗なく挿通できる。
カシメ固定後、環状部材3のカシメによって縮径したケーブルシース1aは、環状部材3が圧着された部分において、図5におけるh寸法が6mmの六角形状に縮径し、その前後も図3に示したようにテーパー状に縮径した
キャップ部材2は、長さ寸法3mm、外径φ15mmの円板形状をしており、φ7.5mmのケーブル挿通孔と、深さ2.5mm、φ13mmの、ケース部材5との係合部を有し、係合部内には図4に示したようなバヨネット固定の係合爪2bを設けた。
収容空間6の長さ寸法が6.5mmであるのに対し、環状部材3の長さ寸法は5mm、シール部材4の長さ寸法(太さ)は1.9mmであるため、キャップ部材2とケース部材5の固定が完了すると、シール部材4は潰れた状態となり、その弾性力で環状部材3とケース部材5に密着する。
こうして、本発明の防水構造は完成した。
その後、コネクタ9、接続固定したキャップ部材2、ケース部材5をコネクタハウジング10に収容し、ブーツ7をコネクタハウジング10に当接するようケース部材5の後端部に被せることによって、ケーブル1の一端側の組立加工が完了した。
なお、コネクタハウジング10の具体的な構造については本発明の本質的部分ではないため、説明を割愛する。
具体的な試験方法は、コネクタ9側からコネクタハウジング10内へ水が浸入するのを防ぐ措置を行った上で、本発明の防水構造を適用した部分を水深1mの水中に30分間浸漬させた後、コネクタハウジング10内への水の侵入の有無を確認する、という方法で行った。
具体的な試験方法は、上述した段落0042〜0050の記載に従って防水構造を完成させた後、ケース部材5とケーブルシース1aを引張試験機のチャックに固定し、引張速度10mm/minで引張る、という方法で行った。
すなわち、本発明の防水構造は、ケーブル1自体よりも強度が高く、通常使用される環境において十分な強度を有していることが確認できた。
1a ケーブルシース
1b 電線
1c 編組シールド層
2 キャップ部材
2a ケーブル挿通孔
2b 係合爪
3 環状部材
4 シール部材
5 ケース部材
5a ケーブル挿通孔
5b 係合溝
5c 中空部
6 収容空間
7 ブーツ
8 Oリング
9 コネクタ
10 コネクタハウジング
Claims (3)
- 電気導体、もしくは複数の電線を被覆するケーブルシース上に挿通したキャップ部材、環状部材、シール部材、ケース部材から構成されるケーブルの防水構造であって、以下(a)〜(e)の特徴を有するもの。
(a)該環状部材は該ケーブルシース上に圧着固定されている。
(b)該キャップ部材と該ケース部材は、固定手段によって互いを接続固定することが可能であるとともに、互いに固定された該キャップ部材と該ケース部材の内部には、該環状部材と該シール部材を収容する収容空間が形成されている。
(c)該環状部材と該シール部材を収容するよう該キャップ部材と該ケース部材を互いに接続固定することにより、該シール部材が該環状部材に当接するとともに、該キャップ部材もしくは該ケース部材に当接する。
(d)該圧着固定によって、該ケーブルシースの外径が縮径している。
(e)該シール部材が、リング状の弾性体材料で形成されるとともに、該シール部材のリング内径が、該環状部材が圧着される前の該ケーブルシースの外径以下である。 - 該収容空間の長さ寸法は、該環状部材の長さ寸法と該シール部材の長さ寸法の和よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の防水構造。
- 該圧着固定は、該環状部材が六角形以上の多角形形状にカシメられる、カシメ固定であることを特徴とする、請求項1または2に記載の防水構造。
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