JP6551812B1 - 切削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】穴あけ加工時の切屑排出性と旋削加工における切屑処理性を両立させる。【解決手段】切削工具は、切れ刃22の一部が形成された切削コーナ部18cと、第1すくい面24aと第2すくい面24bとを有するすくい面24と、凹部34を形成するように延在する第1壁面32a1および第2壁面32a2を有する壁面32aと、突起部32と、を備える。すくい面24は、切削コーナ部の近傍においてすくい角αaが大きくなる部分を有する。切れ刃22は、穴あけ加工と旋削加工とを同じ刃で加工する位置に配置されている。【選択図】図8

Description

本発明は、切削工具に関する。
穴あけ加工、内外径切削加工を可能とする多機能工具が提案されている。従来の多機能工具には、例えば、ボデーが刃先交換式ドリルと類似した形状を有しているものがある(例えば特許文献1の図2、請求項3等参照)。また、多機能工具には、切削インサートがすくい面上に設けられた凸状の隆起部分であり、ブレーカ突起部などとも呼ばれる突起部を有しているものもある(例えば特許文献2のFIG.1〜3等参照)。突起部は、旋削加工時における、切屑をいかに短くするか、かさばらない形状にするか、といった切屑の処理性の向上の観点で重要な部位である。
特表2012−516244号公報 米国特許出願公開第2008/0008545(A1)号明細書
しかし、従来の多機能工具には、その凸形状が穴あけ加工時の切屑に変形を加える事で切屑形状を不安定化させ、切削抵抗の増大、切れ刃の損傷を発生させるといった、形状に起因する問題を有するものがあった。このような問題は、別言すれば、穴あけ加工時の切屑排出性と旋削加工における切屑処理性とが両立していないということである。すなわち、従来の多機能工具によるドリル加工において、旋削加工の切屑は短い方が好ましい一方で、穴あけ加工の切屑は短いことが常に好ましいとは限らず、切屑を短くするための突起は穴あけ加工では無い方がよい場合があり得る。
そこで、本発明は、穴あけ加工時の切屑排出性と旋削加工における切屑処理性を両立することができる切削工具を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、切れ刃を有する切削工具であって、
切れ刃の一部が形成された切削コーナ部と、
切れ刃に沿って延在するすくい面であって、切れ刃から離れるにつれて当該切削工具の内方へ傾斜するように形成され、切れ刃から離れる方向に順に配置された第1すくい面と第2すくい面とを有し、第1すくい面は切れ刃の垂直断面において逃げ面に対し所定の角度を有し、第2すくい面は該第1すくい面に延在する、すくい面と、
すくい面とともに切れ刃に沿う凹部を形成するように延在する壁面であって、第1壁面と、該第1壁面に接続される第2壁面と、を有する壁面と、
切削コーナ部の近傍であって第1すくい面および第2すくい面上に設置される突起部と、を備え、
すくい面は、切削コーナ部の近傍においてすくい角が大きくなる部分を有し、
切れ刃は、穴あけ加工と旋削加工とを同じ刃で加工する位置に配置されている、切削工具である。
前述のごとく、突起部は旋削加工における、切屑を短くするといった切屑処理性の向上の観点から不可欠であるが、穴あけ加工における切屑に関していえば、突起部を有する切削コーナ側の切削速度が中心刃側に対して高くなることから、切削コーナ側のカール半径が大きくなり、切屑のカール半径が大きい箇所で突起部が切屑に変形を加える事で切屑形状が一様でなくなり不安定化し、切削抵抗の増大といった事象が発生しやすくなる。この点、前述のごとき本態様においては、すくい面が、切削コーナ部の近傍においてすくい角が大きくなる部分を有することから、従来構造よりもブレーカ高さ(切れ刃から第2壁面の上端までの高さのこと)を低減させ、穴あけ加工時における切屑を改善することが可能である。また、切れ刃が、穴あけ加工と旋削加工とを同じ刃で加工する位置に配置されていることから、穴あけ加工と旋削加工の両方に対応できる多機能工具用の突起形状(すくい面形状)とすることで、旋削加工時の切屑処理性を阻害することなく、穴あけ加工時における切屑排出性を向上させる事が可能である。
上記態様の切削工具において、第2すくい面が平面であってもよい。
上記態様の切削工具において、第2すくい面が曲面であってもよい。
上記態様の切削工具において、第1壁面は、第1すくい面に対して90°〜160°の開き角を有するものであってもよい。
上記態様の切削工具において、突起部の高さは切れ刃を基準として0.2mm以内であってもよい。
上記態様の切削工具において、第2壁面は、第1すくい面に対して90°〜160°の開き角を有するものであってもよい。
上記態様の切削工具において、切削コーナ部のすくい面は、内側にすくい角の大きくなる部分を有するものであってもよい。
上記態様の切削工具において、第2すくい面は、切削コーナ部から離れた部分で消滅する形状であってもよい。
上記態様の切削工具において、当該切削工具の切れ刃から凹部の最深部までの深さをブレーカ深さ、切れ刃から第2壁面の上端までの高さをブレーカ高さとした場合に、第2すくい面は、ブレーカ高さを、穴あけ加工時における切屑が第2壁面の外側へ誘導される高さとし、尚かつ、ブレーカ深さを、旋削加工時における切屑が凹部に入り込むように誘導される深さとするものであることが好ましい。
本態様においては、穴あけ加工時における切屑が第2壁面の外側へ誘導される高さとする、すなわち、穴あけ加工時における切屑を改善するために従来構造よりもブレーカ高さを低減させ得るようにすくい面を二段構成とし、穴あけ加工と旋削加工の両方に対応できる多機能工具用の突起形状(すくい面形状)とすることで、旋削加工時の切屑処理性を阻害することなく、穴あけ加工時における切屑排出性を向上させる事が可能となる。
切削工具の一態様である切削インサートの一例を示す斜視図である。 切削インサートの平面図である。 切削インサートの正面図(切削コーナ部のある側から見た図)である。 切削インサートの右側面図である。 切削インサートの切削コーナ部を拡大して示す斜視図である。 切削インサートの切削コーナ部を別の角度から拡大して示す斜視図である。 図2のVII-VII線における切削インサートの部分断面図である。 切削インサートの部分断面を拡大して示す図である。 穴あけ加工時における切屑の様子について説明する切削インサートの部分断面図である。 旋削加工時における切屑の様子について説明する切削インサートの部分断面図である。 切削インサートの別の形態を示す断面図である。 切削インサートが装着された切削工具本体の一例を示す図である。 (A)従来の切削インサートを使って穴あけ加工をした場合の切屑と、(B)本発明に係る切削インサートを使って穴あけ加工をした場合の切屑を示す図である。 切削インサートの断面構造の詳細な説明に用いる参考図である。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る切削工具の好適な実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る切削インサート10は、略菱形板状である(図1、図2等参照)。切削インサート10は、対向する2つの略菱形の端面12、14と、これら2つの端面12、14間に延在する周側面16とを有する。切削インサート10では、2つの端面12、14を貫通するように延びる軸線Aが定められる(図3等参照)。2つの端面12、14のうちの一方の端面12は例えば上面(以下の説明及び図中において符号18を付して表す)であり、他方の端面14は下面(以下の説明及び図中において符号20を付して表す)であって切削工具の工具本体100に設けたインサート取付座の底面に当接する着座面として機能するように構成されている(図12等参照)。なお、本明細書でいう上面、下面という表現は便宜的なものにすぎず、これによって鉛直方向上下の配置が決まるものではないし、上下を入れ替えて切削インサート10を使用することを妨げるものでもない。また、切削インサート10の部分断面について、本発明の特徴を表す構造を図8等においてわかりやすく示し、詳細な構造、寸法、角度などについては参考図としての図14に示して説明することとする。
切れ刃22は、上面18の鋭角をなす切削コーナ部18cの稜線部に関し、切削インサート10の上面18にある2つの鋭角部分のうちの一方の切削コーナ部18c、鈍角をなす切削コーナ部18dに形成されており、鋭角をなすコーナ部、鈍角をなすコーナ部、直線部を有する。なお、本発明は、1つの端面に関して形成される切れ刃の数を限定しない。1つの端面に関して形成される切れ刃の数は、1つでも、複数でもよい。
上面18と周側面16との交差部に切れ刃22が形成されている。切れ刃22は、上面18のすくい面24と、周側面16の逃げ面26との間に延在する。ただし、逃げ面26は、一方の端面12(上面18)に対して実質的に鋭角をなし、正の逃げ角を有している(図4等参照)。逃げ角は20°以下に設定されるとよく、本実施形態の切削インサート10では、一例として7°に設定されている。なお、部分的に逃げ角が異なってもよく、例えば図4に示されている位置では逃げ角が14°である。
切れ刃22は、下面20に近づくように傾斜するように形成されている(図3、図4参照)。逃げ面26に向かって水平方向から見た傾斜角度は7°である。切れ刃22は、円弧状切れ刃22aと直線状切れ刃22bとを含む(図5、図6等参照)。円弧状切れ刃22aは、上面18の鋭角をなす切削コーナ部18cの稜線部に形成されている。円弧状切れ刃22aは円弧状をなす(図6等参照)。円弧状切れ刃22aを構成する円弧の曲率半径の好適な範囲は0.2〜1.2mmであり、本実施形態では、0.4mmである。直線状切れ刃22bは、この円弧状切れ刃22aに連続するように延在する。直線状切れ刃22bは、円弧状切れ刃22aの両端から延在する。つまり、1つの切れ刃22につき2つの直線状切れ刃22bがある。これら円弧状切れ刃22aと直線状切れ刃22bとが被削材に切り込む切れ刃22となる。
切削インサート10には、その厚み方向に両端面12、14を貫通する取付穴28が形成される。取付穴28の中心軸線は、軸線Aに対して傾斜した軸線Cに一致する。上面18にはボス面30が存在する。これらボス面30は、円弧状切れ刃22aおよび直線状切れ刃22bより高位にあって、また、同一平面上にある。つまり、軸線Aに直交すると共に切削インサート10を上下に2等分するように周側面16を通過する平面(以下、中央平面)Mを定義するとき(図3参照)、ボス面30と中央平面Mとの距離は、円弧状切れ刃22aおよび直線状切れ刃22bを含む切れ刃22と中央平面Mとの距離よりも長い。そして、全てのボス面30は中央平面Mに平行な平面上に延在する。
上面18の円弧状切れ刃22aおよび直線状切れ刃22bの内側領域には、チップブレーカ突起部(以下、単に突起部ともいう)32が形成されている。突起部32の切れ刃22側を向く面32aは、上記すくい面24と共に、切れ刃22に沿って延在する凹部34を上面18に区画形成する。凹部34はチップブレーカ溝と称され得る。また、突起部32の面32aは凹部34から立ち上がる壁面なので以下、立ち上がり壁面と称される(以下、単に壁面とも称する)。すくい面24と、壁面32aとは、切れ刃22の任意の部分で切れ刃22に直交する断面において凹部34を有するように、切れ刃22のほぼ全てに沿って延在している。
壁面32aはすくい面24とともに切れ刃22に沿う凹部を形成するように延在する面であり、第1壁面32a1と第2壁面32a2を有する(図6等参照)。
第1すくい面24aは、切削インサート10の切れ刃22の垂直断面において、逃げ面26に対し一定の角度γを有する。角度γは、好適な範囲が例えば60〜87°であり、本実施形態では切削コーナ部18cの切れ刃22の真ん中(二等分面B上の位置)においてγ=64°である。
切削コーナ部18cは第1すくい面24aに加えて第2すくい面24bを有する。第2すくい面24bは、切れ刃22の垂直断面において、第1すくい面24aと所定の角度δ、例えば5°〜20°の角度を有し、すくい面24に延在する。
凹部34のうち、円弧状切れ刃22aおよび直線状切れ刃22bから凹部34の最底部に向けて延びる面は、上記すくい面24となる。このすくい面24は、切れ刃22から内側へ離間するにつれ漸次下方へ陥没するようにつまり上記中央平面Mへ近づくように傾いた傾斜面である。このようにすくい面24は正のすくい角を有するように形成されている。
このすくい面24は実質的に2つの面から構成されている。すくい面24は切れ刃22に直交する方向において切れ刃22から離れる方向に順に配置された第1すくい面24aおよび第2すくい面24bを有する。第1すくい面24aはすくい面24の1つの領域であり、すくい面24の第1領域である。第2すくい面24bはすくい面24のもう1つの領域であり、すくい面24の第2領域である。
このようなすくい面24はそのすくい角つまり傾斜角等が誇張して表された断面模式図に基づいてさらに説明される(図8参照)。ここで軸線Aに直交する平面(以下、軸線直交平面)つまり上記中央平面Mに平行な平面が定義される。本実施形態では、軸線直交平面は、着座面としての機能を有する下面20に実質的に平行であり、水平面と称されることもできる。上記第1すくい面24a、第2すくい面24bの軸線直交平面に対する傾斜角がすくい角αa、αbと定義され得る。第2すくい面24bのすくい角αbは、第1すくい面24aのすくい角αaよりも大きい。そのため、すくい面24は全体として上面18側に突出するように凸状である。
このように、第2すくい面24bのすくい角αbが第1すくい面24aのすくい角αaよりも大きいようにすくい面24は形成される。望ましくは、第1すくい面のすくい角αaは、5°以上、25°以下であり、より望ましくは、10°以上、20°以下である。本実施形態では第1すくい面24のすくい角αaはおよそ15°に設定されている。また、望ましくは、第2すくい面のすくい角αbは、10°以上40°以下であり、本実施形態ではおよそ30°に設定されている。また、すくい角αbとすくい角αaの差(δ=αb−αa)は、5°〜15°の範囲内にあることが好適である。
これは次の理由による。すなわち、すくい面24の第1すくい面24aおよび第2すくい面24bのうち、第1すくい面24aが被削材の切削にまず影響する。第1すくい面24aのすくい角αaが5°未満である切削インサートでは、第2すくい面24bのすくい角αbにかかわらず、切屑Zを薄くして切削抵抗を下げる効果が不十分である。他方、第1すくい面24aのすくい角αaが25°を超える切削インサートでは、第2すくい面24bのすくい角αbにかかわらず、刃先強度が低下する。したがって、例えばステンレス鋼の切削では、チッピングや欠損が発生しやすい。
逆に、第2すくい面24bのすくい角αbが10°未満であり第1すくい面24aのすくい角αaが上述した範囲にある切削インサートでは、第1すくい面24aと第2すくい面24bとの角度差が小さい。これは、第2すくい面24bを設ける効果を実質的に希釈する。また、第2すくい面24bのすくい角αbが40°を超えると共に第1すくい面24aのすくい角αaが上述した範囲にある切削インサートでは、切れ刃周辺の切削インサートの肉厚が不足するので、切れ刃が大きく欠損する可能性がある。
また、突起部32の立ち上がり壁面32aは、すくい面24と共に上面18に凹部34を形成するように延在する。立ち上がり壁面32aは凹部34から立ち上がる立ち上がり面であり、凹部34の最底部を1起点としてすくい面24から離れるにしたがって上方へ隆起するように延在する。ここでは立ち上がり壁面32aは平面あるいは曲面で構成されており、円弧状切れ刃22aおよび直線状切れ刃22bから漸次遠ざかるにつれて中央平面Mから遠ざかるように傾斜している。
突起部32は切削コーナ部18cの近傍にあり、第1すくい面24a、第2すくい面24b上に設置される。突起部32の高さ(突出高さ)は、例えば、切れ刃22を基準として0.4mmである。また、突起部32までの最大高低差0.53mm(つまり、切れ刃22から最底部(最深部)34aまでの深さは0.13mm)である。上面視(平面視)において突起部32の先端は好適な範囲としてR0.4〜R1mmのR形状、例えば本実施形態ではR0.4mmのR形状を有する。突起部32は、R形状に連続して直線部を有する。該直線部は第2壁面32a2と接続する。突起部32の切れ刃22を基準とした最も高い点は、例えば0.16mmである。
また、突起部32は、立ち上がり壁面32aに加えて、この立ち上がり壁面32aにつながり中央平面Mに略平行に延びる頂面32cを有する。頂面32cは、実質的に平坦な面である。頂面32cは切れ刃22よりも高位にあるように形成されている。これは、上記軸線Aに直交する平面であって切れ刃22を通るような平面を定義するとき、この平面は立ち上がり壁面32aを横断するように延在することを意味する。
立ち上がり壁面32aの上記軸線直交平面つまり水平面に対する傾斜角βは、上記第2すくい面24bのすくい角αbよりも大きい。傾斜角βは、望ましくは30°以上、80°以下に設定され、本実施形態ではおよそ45°に設定されている。傾斜角βが30°未満であるとき、突起部32で切屑Zは所望のカール変形をし難く、短く処理できない。傾斜角βが80°を超えると、凹部(チップブレーカ溝)34と切屑Zとの衝突が強くなりすぎ、切削抵抗が増大する可能性がある。それ故、この場合、びびりの発生頻度が高まると共に、工具寿命が短くなる場合がある。
そして、立ち上がり壁面32aは、第2すくい面24bに延在する溝底面つまり凹部底面につながる。
本実施形態の切削インサート10では、立ち上がり壁面32aは、第2すくい面24bの壁面側端部24dから内側に延びる略水平で小幅の上記溝底面から隆起している。この溝底面は省略可能である。この場合、立ち上がり壁面32aは、第2すくい面24bの壁面側端部24dから直接的に隆起するように第2すくい面24bに連続する。故に、この場合、立ち上がり壁面32aの立ち上がり部である結合部32bは、第2すくい面24bを延長した延長面S2上にある。
また、突起部32の頂面32cは、等位に並ぶ先述のボス面30より低く構成されている。このような構成は、特に両端面12、14に切れ刃22が形成される場合に有効である。対向する端面12、14のうちのいずれか一方を選択的に上面18として使用する切削インサートの場合、他方の端面は下面となる。この場合、該他方の端面の凹部(チップブレーカ溝)34の頂面であるボス面が切削工具本体100に設けたインサート取付座の底面に当接する着座面として機能することができる。
さらに、本実施形態の切削インサート10は、刃先近傍が内径、外径、端面、穴あけ加工に用いられうる形状とされ、穴あけ加工と旋削加工とを同じ切れ刃で加工できるように構成されたものでもある。以下、この構成について説明する(図9等参照)。
なお、本明細書では、切削インサート10の中央平面Mに垂直な方向における(別言すれば、軸線Aに平行な方向における)切れ刃22の円弧状切れ刃22aと凹部34の最底部(最深部)34aとの距離(寸法、あるいは高さ)をブレーカ深さと呼び、符号Bdで表す(図8参照)。また、中央平面Mに垂直な方向における切れ刃22の円弧状切れ刃22aと第2壁面32a2の上端つまり突起部32との距離(寸法、あるいは高さ)をブレーカ高さと呼び、符号Bhで表す(図8参照)。
本実施形態の切削インサート10における立ち上がり壁面32aは以下のように形成されている。すなわち、第2すくい面24bが形成されることで、ブレーカ高さBhが、穴あけ加工時における切屑Zが第2壁面32a2の外側へ誘導される高さとなり(図9参照)、尚かつ、ブレーカ深さBdは、旋削加工時における切屑Zが凹部34に入り込むように誘導される深さとなっている(図10参照)。このような機能を実現するブレーカ高さBhとして好適な数値範囲は0.1mm〜0.8mm、より好適な範囲は0.3mm〜0.5mmである。このように、第2すくい面24bにてブレーカ深さBdを増大することで、突起部32の高さを安易に低減するのではなく、旋削時の切屑Zに関しては、従来形状と同等のブレーカ深さBdを保持しつつ、穴あけ加工時の切屑Zに関してはブレーカ高さBhを低減する(図9、図10等参照)ことが可能となる。なお、切屑Zを処理するにあたっては、基本的にはブレーカ高さBhを低減することが上記のごとく奏功する。ブレーカ深さBdは補助的なパラメータであって、切屑Zが凹部34に引き込まれることで、相対的な高さが増す。
すくい面24を、第1すくい面24a及び第2すくい面24を有する二段構成とし、突起部33の相対的な高さを下げることで、従来構造よりもブレーカ高さBhを低減させ得る構成を実現することができ、こうすることにより、旋削加工時の切屑Zの処理性を阻害することなく(図10参照)、穴あけ加工時における切屑Zの排出性を向上させることが可能となる(図9参照)。本実施形態においては、切削コーナ部18cの近傍のみ、すくい角が大きくなる2段すくい面にすることで、切削コーナ部18cの近傍の切れ刃22のみを用いる旋削加工のみで突起部32が効くようにしている。すなわち、第2すくい面24bによって凹部34を深くしやすくなる(ブレーカ深さBdを深くしやすくなる)ので、相対的に、同じブレーカ突起の高さでも(つまり、ブレーカ高さBhが従来のものと同じだとしても)、チップブレーカ溝の高さが高くなった場合と同様の効果が得られるようになる。なお、切削コーナ部18の近傍に具体的な数値範囲があるわけではなく、当該切削インサート1の構造、切削の態様、切削対象などに応じ、「近傍」の具体的な範囲は変わりうる。あくまで一例として例示すれば、「近傍」は例えば切削コーナ部18cから距離が1mm以内の範囲であるが、先述のごとく旋削加工時の切屑Zの処理性を阻害することなく、かつ、穴あけ加工時における切屑Zの排出性を向上させることが可能であれば、「近傍」の範囲が具体的なある数値範囲に限定されることはない。

一般に、突起部33は、最適な状態で切屑Zを出すような形状とされており、従来の切削インサート(切削工具)であれば、通常、穴あけ加工時の切屑Zと旋削(穴広げ)加工時の切屑Zとが同じ経路を辿り、チップブレーカに当たる。この点、本実施形態では、穴あけ加工と旋削加工とで、切屑Zがチップブレーカを構成する面(立ち上がり壁面32a)に当たるか当たらないか、別言すれば切屑Zが凹部(チップブレーカ溝)34に入るか入らないかをコントロールできる形状(さらに別言すれば、壁面を使うか使わないかを選択できる形状)を実現している。具体的には、以上の説明から明らかなとおり、本実施形態の切削インサート10では従来構造よりもブレーカ深さBdが深く、ブレーカ高さBhが低い。ブレーカ深さBdは例えば0.05mm〜0.5mmであり、好ましくは0.08mm〜0.2mmである。
なお、旋削加工時における切屑Zをより細かに切断するという観点からすれば、本明細書でいう水平方向における切れ刃22から立ち上がり壁面32aまでの距離が短くなるように凹部34を構成してもよい。当該距離が短ければ、切削条件が変わった場合にも切屑Zが立ち上がり壁面32aに当たりやすい。なお、主に対応する切削条件は、切込みapと送りfである。なおかつ、水平方向における切れ刃22から立ち上がり壁面32aまでの距離が短い方が有利なのは、「切込みapが小さい」場合および「送りfが小さい」場合である。
以上、説明した切削インサート10は、切削工具本体(工具ボデー)100に設けたインサート取付座に着脱可能に装着される(図12参照)。切削インサート10は、着座面としての機能を有する下面20と周側面16のうちの少なくとも一部とをインサート取付座の底面と壁面とに夫々当接させて、インサート取付座に載置される。インサート取付座にはねじ穴が形成されている。切削インサート10の取付穴28に係合するまたは貫通するねじがインサート取付座のねじ穴に螺合されることで、切削インサート10は切削工具本体100に着脱可能に固定される。
切削工具本体100は、ドリル加工が可能なように切屑排出溝102を有する(図12参照)。切削工具本体100のシャンク径は、例えば約20mmである。工作機械にスリーブを介して切削工具本体100を固定し、内径、外径、端面、穴あけ加工を行うことができる。
なお、切削インサート10を切削工具本体100へ取り付ける取付機構または手段はこのような構成に限定されない。他の機械的または化学的な機構または手段が取付機構または手段として採用され得る。
上記した、対向する端面の両方を選択的に上面として使用する両面使用可能な切削インサート10の場合、一方の端面(端面12または端面14)がインサート取付座の底面に当接し得る。
切削工具本体100に装着された切削インサート10において、切削加工時、上面18はワークの回転方向を向けられる。このとき、穴あけ加工および内外径旋削加工の際は軸方向先端側の切れ刃22を主切れ刃とし、端面加工の際は外周方向に延びる切れ刃22を主切れ刃とする。また、この切削加工時、作用切れ刃22のうちの他方の直線状切れ刃22bおよびこの他方の直線状切れ刃22bに隣接する円弧状切れ刃22aの上記横切れ刃として機能しない残りの部分は、被削材の加工面側に面した前切れ刃として機能する。なお、作用切れ刃とは、切削インサート10が装着された切削工具において、切れ刃22の中で被削材に切り込まれる部分つまり切削に関与し得る切れ刃である。
この切削インサート10は、例えば被削材の回転中心線に平行な方向に送りを与えられて、回転中心線まわりに回転する被削材の外周面を旋削加工するために用いられる。この場合、上記横切れ刃は、回転中心線に直角の方向(切込み方向)で切込み全体にわたって被削材に接触して切削を主に担うことができる。前切れ刃は、この場合、被削材の加工面に接触して該加工面の形成を担うことができる。
以上に説明した切削加工において、切削インサート10の横切れ刃で主に生成した切屑Zは、該横切れ刃から立ち上がり壁面32a側に向かって流れる。このとき、切屑Zは、第1すくい面24aの表面に接触しながら該第1すくい面24a上を通過する(図10等参照)。
また、多機能工具である切削インサート10においては、先述のごとき作用効果に加えて、本実施形態のごとく第1すくい面24aのすくい角よりも第2すくい面24bのすくい角を大きくすることで、第2すくい面24bに切屑Zを接触させずに切屑処理ができる場合もある(図9参照)。その場合、このようなすくい面の構成はさらに切削抵抗の低減に寄与する。したがって、切削インサートおよび切屑Zの発熱を抑制できる。また、この場合、切屑Zと切削インサートとの接触面積が少ないので、切屑Zに発生した熱が切削インサートへ伝播することを抑制できる。したがって、切削インサートの表面温度の上昇を抑制可能である。
一方で、単純にすくい面24のすくい角を大きくしただけでは、一般に刃先強度が低下する。これに対して、本実施形態の切削インサート10では、第1すくい面24aの大きさ(切れ刃22からの長さ)を小さくし、よりすくい角の大きい第2すくい面24bが第1すくい面24aに隣接形成される。したがって、刃先強度の低下を最小限に抑えることができる。
第1すくい面24a上を通過した切屑Zは、第2すくい面24b上へ流れる。第2すくい面24bのすくい角αbは第1すくい面24aのすくい角αaよりも大きい。つまり、すくい面24は凸状を呈する。したがって、第1すくい面24aから第2すくい面24bにかけて流れる切屑Zは、第2すくい面24bの表面に積極的にまたは実質的に接触することができない。故に、切屑Zの温度上昇が抑制されるとともに、切屑Zとすくい面との間の擦過抵抗が大幅に抑えられる。したがって、切削インサートの工具寿命を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態に係る切削インサート10を説明したが、それらには種々の変更が適用され得る。切削インサート10の上面等の形状は、菱形だけでなく正方形、長方形、平行四辺形、三角形などの略多角形に変更可能である。つまり、切削インサート10は、略多角形板状であり得る。また、切削インサート10は、種々の材料から製作され得る。円弧状切れ刃および直線状切れ刃の少なくとも一部は、超硬合金、サーメット、セラミックなどの硬質材料、ダイヤモンド焼結体、立方晶窒化硼素焼結体などの超高圧焼結体、または、これらの硬質材料もしくは超高圧焼結体にCVD法、PVD法等により周期律表4A、5A、6A族金属の炭化物、窒化物、酸化物、炭窒化物、炭酸化物、炭窒酸化物、硼窒化物、硼炭窒酸化物、酸化アルミニウム及び窒化チタンアルミニウムよりなる群から選ばれる被腹膜、もしくは、非晶質炭素薄膜等をコーティングしたもので構成されるとよい。
また、上記実施形態では切削インサート10を例示しつつ説明したが、本発明は切削インサート以外の切削工具、ろう付け工具にも適用され得る。本発明は、上記した切削インサートの特徴を刃部に有する切削工具にも関する。このような切削工具は、一体的に取り付けられたチップまたは刃部を有し、該刃部の切れ刃に沿って上記すくい面および立ち上がり壁面を備え得る。
また、上記実施形態で説明した第2すくい面24bは平面には限らず、例えば、一定のすくい角をもたない曲面(例示すれば、円筒面のような曲面)で構成されていてもよい。同様に、上記実施形態で説明した第1すくい面24aもまた平面には限らず、例えば、一定のすくい角をもたない曲面で構成されていてもよい(後述の変形例、図14参照)。
また、突起部32や、面32a(第1壁面32a1、第2壁面32a2)の形状は、対象とする切削条件に応じて、様々な変更が可能である
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態にかかる切削インサート10を図11に示す。なお、図11では、特徴をわかりやすくするために、形状を誇張して示している。
第2すくい面24bは、切れ刃22の垂直断面において、第1すくい面24aと20°の角度を有しており、ブレーカ深さBdを増大させる形状となっている。ブレーカ深さBdは0.1mm〜0.2mmである。
本実施形態の切削インサート10においては、第2すくい面24bにてブレーカ深さBdを増大することで、突起部32の高さを安易に低減するのではなく、旋削時の切屑Zに関しては、従来形状と同等のブレーカ深さBdを保持しつつ、穴あけ加工時の切屑Zに関してはブレーカ高さBhを低減することが可能となる。
[実施例]
刃先交換式ドリルに類似したフルート形状を持つ切削工具本体100に、上記の実施形態に係る切削インサート10を装着し(図12参照)、被削材の穴あけ加工を実施して切屑Zを得て、比較品(第2すくい面をなくし、第1すくい面を延長した形状)を使った場合の切屑Zと比較した。
上記比較品のごとき従来の切削インサートを使って穴あけ加工をした場合の切屑Zは、穴あけ加工の切屑としては短すぎ(図13(A)参照)、切削抵抗の増大、切れ刃の損傷を発生させる等のおそれがあるものであったのに対し、本実施例における穴あけ加工の場合には、連続した形状の切屑Zが得られた(図13(B)参照)。すくい面24を適宜2段形状とし、相対的に突起部32の高さを下げる事で、穴あけ加工における切屑Zの排出性を阻害することなく、旋削加工時の切屑Zの処理性を向上する事が可能となることが確認された。
また、上記比較品のごとき従来の切削インサートを使って穴あけ加工をした場合、噛み込みの問題も生じていたのに対し、本実施例における穴あけ加工の場合にはこのような問題を回避することができる。ここで、従来発生していた2種類の噛み込み現象について説明しておくと、以下に(i)、(ii)として示すとおりである。
(i)切れ刃とワークとの間に噛み込む現象。突起によって強制的にカールさせられた(押し戻された)切屑が、穴奥(すなわち凹部の奥のほう)に向かって流出する。しかし、穴奥には切屑の逃げ場がないため、切削の邪魔をし、切れ刃が損傷する。実際には、常に切削による新しい切屑が生まれているので、切れ刃とワークとの間に切屑が「噛み込む」ことはないが、穴奥に多くの切屑が集まることで、穴が詰まった状態となり、噛み込みとよく似た状態になり、切れ刃が破損する場合がある。
(ii) 工具外周側の隙間とワークとの間に噛み込む現象。切れ刃によって、加工される穴径が定まるように、切れ刃より後方側の工具外周は(ワークをこすらないように)逃がされている。切屑が細かくなると、この隙間に入りやすくなり、ワークに傷をつけたり、工具の切れ刃外での損傷を起こしたりする。
[変形例]
切削インサート10の変形例を図面に示しつつ以下に説明する(図14参照)。
本例に係る切削インサート10において、切れ刃22から第1すくい面24aの終端部つまり立ち上がり壁面側端部24cまでの水平方向の距離Waは、切削コーナ部18cに設けた円弧状切れ刃22aの曲率半径よりも小さい。距離Waは、端面側から見た切れ刃22に直交すると共に軸線Aに直交する方向において、定義される。
また、切れ刃22から第2すくい面24bの終端部つまり立ち上がり壁面側端部24dまでの水平方向の距離Wbは、距離Waと同様に、端面側から見た切れ刃22に直交すると共に軸線Aに直交する方向において定義される(図14参照)。好適な距離の一例として、本実施形態における距離Waは0.2mm、Wb=0.3mmである。また、Wbの好ましい範囲はWaの1.5倍〜2倍である。
そして、立ち上がり壁面32aは、第2すくい面24bにつながる(切削インサート10に、チップブレーカ溝である凹部34の最底部、あるいは該最底部に延在する溝底面つまり凹部底面が形成されている場合は、当該最低部あるいは溝底面)につながる。立ち上がり壁面32aが溝底面から隆起を開始する場合の立ち上がり部つまり上記結合部32bは、第1すくい面24aの延長面S1または延長線L1よりも低位つまり中央平面M側にあり(着座面側にあり)、かつ、第2すくい面24bの延長面S2または延長線L2よりも高位つまり中央平面Mから離れた側にある(上面18側にある)。
また、切れ刃22から立ち上がり壁面32aの立ち上がり部までの水平方向の距離Wcは、距離Wa、Wbと同様に、端面側から見た切れ刃22に直交すると共に軸線Aに直交する方向において定義される(図14参照)。距離Wcは0.4mm以上、2mm以下であることが望ましく、本実施形態でもその範囲内である0.5mmに定められている。
10…切削インサート(切削工具)、12…端面、14…端面、16…周側面、18…上面、18c…切削コーナ部、18d…(鈍角をなす)切削コーナ部、20…下面、22…切れ刃、22a…円弧状切れ刃、22b…直線状切れ刃、24…すくい面、24a…第1すくい面、24b…第2すくい面、24c…立ち上がり壁面側端部、24d…立ち上がり壁面の側端部、26…逃げ面、28…取付穴、30…ボス面、32…突起部(チップブレーカ隆起部)、32a…面(立ち上がり壁面)、32a1…第1壁面、32a2…第2壁面、32b…結合部、32c…頂面、34…凹部(チップブレーカ溝)、34a…最底部(最深部)、100…工具本体、102…切屑排出溝、A…軸線、B…二等分面、Bd…ブレーカ深さ、Bh…ブレーカ高さ、C…軸線、M…中央平面、L1…第1すくい面の延長線、L2…第2すくい面の延長線、S1…第1すくい面の延長面、S2…第2すくい面の延長面、Wa…切れ刃22から第1すくい面24aの終端部つまり立ち上がり壁面側端部24cまでの水平方向の距離、Wb…切れ刃22から第2すくい面24bの終端部つまり立ち上がり壁面側端部24cまでの水平方向の距離、Wc…切れ刃22から立ち上がり壁面32aの立ち上がり部までの水平方向の距離、Z…切屑、αa…第1すくい面のすくい角、αb…第2すくい面のすくい角、β…立ち上がり壁面の軸線直交平面に対する傾斜角、γ…切削コーナ部の切れ刃の、垂直断面における、逃げ面に対する第1すくい面の角度、δ…第1すくい面に対する第2すくい面の角度(=αb−αa)

Claims (6)

  1. 切れ刃を有する切削工具であって、
    前記切れ刃の一部が形成された切削コーナ部と、
    前記切れ刃に沿って延在するすくい面であって、前記切れ刃から離れるにつれて当該切削工具の内方へ傾斜するように形成され、前記切れ刃から離れる方向に順に配置された第1すくい面と第2すくい面とを有し、前記第1すくい面は前記切れ刃の垂直断面において逃げ面に対し所定の角度を有し、前記第2すくい面は該第1すくい面に延在する、すくい面と、
    前記すくい面とともに前記切れ刃に沿う凹部を形成するように延在する壁面であって、第1壁面と、該第1壁面に接続される第2壁面と、を有する壁面と、
    前記切削コーナ部の近傍であって前記第1すくい面および前記第2すくい面上に設置される突起部と、を備え、
    前記すくい面は、前記切削コーナ部の近傍の切れ刃のみを用いる旋削加工時に用いられる当該切削コーナ部の当該近傍の部分のみ、前記第2すくい面が形成されていることによって、前記コーナ部から離れた当該第2すくい面が形成されていない部分よりもすくい角が大きくなる部分を有する形状であり、
    前記切れ刃は、穴あけ加工と旋削加工とを同じ刃で加工する位置に配置されている、切削工具。
  2. 前記第2すくい面が平面である、請求項1に記載の切削工具。
  3. 前記第2すくい面が曲面である、請求項1に記載の切削工具。
  4. 前記切削コーナ部のすくい面は、内側にすくい角の大きくなる部分を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の切削工具。
  5. 前記第2すくい面は、前記切削コーナ部から離れた部分で消滅する形状である、請求項1から4のいずれか一項に記載の切削工具。
  6. 当該切削工具の前記切れ刃から前記凹部の最深部までの深さをブレーカ深さ、前記切れ刃から前記第2壁面の上端までの高さをブレーカ高さとした場合に、前記第2すくい面は、前記ブレーカ高さを、穴あけ加工時における切屑が前記第2壁面の外側へ誘導される高さとし、尚かつ、前記ブレーカ深さを、旋削加工時における切屑が前記凹部に入り込むように誘導される深さとするものである、請求項1から5のいずれか一項に記載の切削工具。
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