以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態における有機EL表示ユニット100は、車両に搭載されている。有機EL表示ユニット100は、視認者が着座する座席と対向するインストルメントパネルにおいて、車載メータとして設置されている。有機EL表示ユニット100は、画像表示部50により、視認側へ向けて画像を表示する。これにより、有機EL表示ユニット100に対して視認側に位置する視認者は、表示される情報を知覚することができる。表示される情報としては、車両の速度、エンジン回転数、燃料残量、バッテリ残量、エンジン冷却水の水温、シフトレンジ、あるいは電動モータの電流値等の車両の状態、及び道路情報、視界補助情報、電子メール等の各種情報を採用することが可能である。
有機EL表示ユニット100は、図1,2に示すように、メータ電源回路10、メータ制御部12、画像制御部20、及び画像表示部50を備えている。ここで、画像制御部20のうち一部分と画像表示部50とが主体となって、表示器8が構成されている。
メータ電源回路10は、車両に搭載されたバッテリから供給されるバッテリ電圧に基づいて、メータ制御部12が動作する動作電圧、及び画像制御部20が動作する動作電圧をそれぞれ生成する電子回路である。
メータ制御部12は、CPU12a(Central Processing Unit)、RAM12b(Random Access Memory)、及びROM12c(Read Only Memory)を主体として構成されている。CPU12aは、RAM12b等を利用しつつ、ROM12cに予め記憶されたプログラム及び車載LAN4(Local Area Network)を通じた通信により取得したデータに応じて、信号処理を行なう。またCPU12aは、この信号処理で得られた制御信号を画像制御部20へ出力する。
具体的に、メータ制御部12は、車両の各種センサからデータを取得し、当該データに応じて、画像表示部50にて表示すべき数値又は表示すべきデザインに関する指示値を、制御信号として画像制御部20に出力するのである。データとしては、例えば、車速センサからの車両の速度データ、周辺監視装置からの周辺車両、周辺障害物に関するデータ等が挙げられる。
画像制御部20は、表示器8外部に設けられた表示器外要素21、及び表示器8内部に設けられた表示器内要素25を主体として構成され、画像表示部50を制御する。
表示器外要素21としては、GC22(Graphic Controller)、及びVRAM23(Video Random Access Memory)が該当する。GC22は、VRAM23を利用しつつ、CPU12aからの信号に応じて、画像表示部50に表示させる画像を生成する。またGC22は、こうして生成した画像のデータを、映像信号として、表示器8へ出力する。
表示器内要素25としては、表示電源回路26、タイミングコントローラ27、ソースドライバ28、及びゲートドライバ29が該当する。表示電源回路26は、例えばメータ電源回路10から供給される電源電圧に基づいて、タイミングコントローラ27が走査する動作電圧、及び各ドライバ28,29が動作する動作電圧をそれぞれ生成する。
タイミングコントローラ27は、GC22からの映像信号に応じて、タイミング信号を生成し、ソースドライバ28及びゲートドライバ29へ出力する。ソースドライバ28は、タイミング信号を、画像表示部50の各表示画素65に印加するための電圧波形に変換する。さらにソースドライバ28及びゲートドライバ29により、各表示画素65を発光させるための信号が出力される。
画像表示部50は、図3に示すように、カラーフィルタ方式の有機ELディスプレイであって、複数の表示画素61,65が2次元方向に配列された表示面50aにより画像を表示する。本実施形態の画像表示部50は、表示面50aのうち一部の領域に複層領域55を有しており、他部に単層領域51を有している。
図4に示す単層領域51には、単一の発光層52及び当該発光層52よりも視認側に配置されたカラーフィルタ層53が設けられている。こうした単層領域51の各表示画素61は、各層52,53に対応して、発光素子62及び透過部63を有している。発光素子62は、有機EL(Organic Electroluminescence)現象により発光する素子であり、有機発光ダイオード(OLED、Organic Light Emitting Diode)とも呼ばれている。
ここで、本実施形態では、発光素子62は、白色光を発する素子であり、発光素子62からの光は、カラーフィルタ層53に入射するようになっている。カラーフィルタ層53には、透過部63として、表示画素61に個別に対応した複数のフィルタ色を有するカラーフィルタ63aが設けられている。本実施形態では、フィルタ色として、赤色、緑色、及び青色が採用されている。こうしたフィルタ色のカラーフィルタ63aが、隣接する表示画素61に3色交互に割り当てられている。したがって、本実施形態における表示画素61とは、一般的に副画素又はサブ画素と呼ばれるものに対応している。
発光素子62からの光のうちフィルタ色に応じた色の光が、透過部63のカラーフィルタ63aを視認側へ透過する。そして、隣接する表示画素61の3色の輝度構成により、様々な色が再現されるようになっている。
また、透過部63は、周囲を遮光性のマスク部64に囲まれている。マスク部64が表示画素61と表示画素61との間を区画することにより、互いの表示画素61の光が混ざって視認されることが抑制される。
なお、本実施形態において、単層領域51では、画像として、各表示画素61の輝度が随時変動し得る動画を表示するようになっている。
図5に示す複層領域55には、互いに積層された複数の発光層56及び当該発光層56よりも視認側に配置されたカラーフィルタ層57が設けられている。こうした複層領域55の各表示画素65は、各層56,57に対応して、複数の発光素子66a,66b及び透過部67を有している。特に本実施形態では、複数の発光層56は2層56a,56bとなっており、発光素子66a,66bは、発光層56の数に対応した2つとなっている。
発光素子66a,66bは、各発光層56にそれぞれ1つずつ設けられている。各発光素子66a,66bは、単層領域51の発光素子62と同様に、有機EL(Organic Electroluminescence)現象により発光する素子であり、互いに同色である白色光を発する。
ここで、発光素子66a,66bの詳細を説明する。発光素子66a,66bは、有機層を挟む陽電極と陰電極との間に印加された電圧に応じて発光する。具体的に、電圧の印加により、陽電極からは正孔が注入され、陰電極からは電子が注入される。正孔及び電子が有機層にて結合されることで、有機層が励起され、励起状態から基底状態に戻る際に、発光現象が発生する。発光素子66a,66bの輝度は、およそ電流密度に比例するので、発光素子66a,66bへの電荷のチャージ量に対応している。
カラーフィルタ層57は、単層領域51のカラーフィルタ層53と同様の構成となっているが、カラーフィルタ層57における透過部67は、同一の表示画素65内における各発光層56の複数の発光素子66a,66bの光を合わせて透過するようになっている。すなわち、各発光素子66a,66bのうちフィルタ色に応じた糸の光が、合わさった状態で、透過部67のカラーフィルタ67aを透過する。このため、視認される表示画素65の輝度は、各発光素子66a,66bに対応する輝度を実質合算した輝度で視認され得る。また、透過部67は、単層領域51と同様のマスク部68に囲まれている。
また、本実施形態における表示画素65とは、表示画素61と同様に、一般的に副画素又はサブ画素と呼ばれるものに対応している。
なお、本実施形態において、複層領域55では、画像として、各表示画素61の輝度が随時変動し難い静止画(例えばアイコン)を表示するようになっている。
こうした複層領域55の表示画素65において、各発光素子66a,66bは、画像制御部20からの出力量に応じた輝度で個別に発光可能となっている。詳細に、図2に示す本実施形態のソースドライバ28及びゲートドライバ29は、各発光層56の各発光素子66a,66bに個別に接続されている。このため、ソースドライバ28及びゲートドライバ29は、各発光素子66a,66bを、個別に点灯又は消灯させることが可能であり、点灯させる場合には、個別の輝度で点灯させることが可能となっている。
本実施形態における出力量とは、例えば発光素子66a,66bの輝度に対応する電荷のチャージ量である。発光素子66a,66bの物性等により予め電荷のチャージ量に対応する電圧波形が既知となっているため、実際には陽電極と陰電極との間に印加する電圧の制御が出力量の出力に相当することとなる。
本実施形態における複層領域55の表示画素65に対する制御について、以下に詳細に説明する。図6に示すように、画像制御部20は、上述の表示器外要素21及び表示器内要素25により構築されている機能ブロックとして、輝度指定部30及び分担出力部32を有している。
輝度指定部30は、これから表示する画像に基づいた指定輝度を、各表示画素65毎に指定する。各表示画素65の指定輝度は、例えば、表示する画像のデータから、例えば視認者により予め設定された明るさの設定等を用いつつ決定される。なお、これらの指定輝度は、複層領域55、単層領域51の領域属性に関わらず指定され得る概念である。本実施形態では、主に表示器外要素21により輝度指定部30の機能が実現されている。
分担出力部32は、複層領域55の各表示画素65において、輝度指定部30により指定された指定輝度に各発光層56の個別の比率を乗じた値に対応する出力量を、各発光層56の発光素子66a,66bに個別に出力する。本実施形態において個別の比率は、常時固定された0より大きい定数として、設定されている。さらに本実施形態では、個別の比率は、同一の表示画素65内における各発光層56間にて等しい値に設定されている。すなわち、本実施形態では発光層56が2層であるため、複数の発光層56の比率の合計が100%となるように、各発光層56の比率はそれぞれ50%に設定されている。
こうした出力により、複層領域55の表示画素65は、同一の表示画素65内の各発光層56の分担により指定輝度に応じた輝度で点灯するようになっている。本実施形態では、主に表示器内要素25により分担出力部32の機能が実現されている。
さて、このような機能を有する有機EL表示ユニット100により実行される処理を、図7のフローチャートに基づいて説明する。図7のステップS10〜S31の一連の処理は、表示画素65毎に、かつ、画像が書き換えられる毎に実行される。なお、以下の説明において、各発光層56を区別するため、2層の発光層56のうち視認側に配置された発光層を上層56aと記載し、視認側とは反対側に配置された発光層56を下層56bと記載する。また、本実施形態の表示画素65は、副画素に対応しているため、以下の説明では副画素65aと記載する。
ステップS10では、処理対象の副画素65aを、今回点灯させるかを判定する。具体的に、輝度指定部30が処理対象の副画素65aについて、指定輝度を指定する。この指定輝度が0より大きい値であれば、今回点灯させる副画素65aであると判定され、すなわち肯定判定が下され、ステップS20に移る。指定輝度が0であれば、今回消灯させる副画素65aであると判定され、すなわち否定判定が下され、ステップS30に移る。
今回点灯させる副画素65aであると判定された場合のステップS20では、上層56aの発光素子66aを指定輝度の50%で点灯させる。具体的に、分担出力部32は、副画素65aの指定輝度に上層56aの個別の比率である50%を乗じた値に対応する出力量を、上層56aの発光素子66aに出力する。その結果、上層56aの発光素子66aが指定輝度の50%に応じた輝度で点灯する。ステップS20の処理後、ステップS21に移る。
ステップS21では、下層56bの発光素子66bを指定輝度の50%で点灯させる。具体的に、分担出力部32は、副画素65aの指定輝度に下層56bの個別の比率である50%を乗じた値に対応する出力量を、下層56bの発光素子66bに出力する。その結果、下層56bの発光素子66bが指定輝度の50%に応じた輝度で点灯する。ステップS21の処理を以って、一連の処理を終了する。
上層56aの発光素子66a及び下層56bの発光素子66bがそれぞれ指定輝度の50%に応じた輝度で点灯すると、透過部67は、各発光素子66a,66bからの光を合わせて透過することとなるため、処理対象の副画素65aは、指定輝度に応じた輝度で点灯する。仮に、発光素子66a,66bの劣化及び下層56bの発光素子66bの光が上層56aで受け得る損失が無視できる程度であれば、処理対象の副画素65aは、指定輝度に実質等しい輝度で点灯することとなる。
今回点灯させる副画素65aであると判定されなかった場合のステップS30では、上層56aの発光素子66aを消灯させる。ステップS30の処理後、ステップS31に移る。
ステップS31では、下層56bの発光素子66bを消灯させる。ステップS31の処理を以って、一連の処理を終了する。
図8では、赤色の副画素65aがステップS10にて今回点灯させる副画素65aであると判定され、緑色の副画素65aがステップS10にて今回点灯させる副画素65aであると判定され、青色の副画素65aがステップS10にて今回点灯させる副画素65aであると判定されなかった場合の、個別の比率の例が示されている。
(作用効果)
以上説明した第1実施形態の作用効果を以下に説明する。
本実施形態によると、指定輝度が、表示する画像に基づいて、各表示画素65毎に指定される。そして、複層領域55の各表示画素65において、指定輝度に各発光層56の個別の比率を乗じた値に対応する出力量が、各発光素子66a,66bに個別に出力される。互いに積層された各発光層56に設けられた発光素子66a,66bは、互いに同色で、かつ、出力量に応じた個別の輝度で、発光可能となっているので、複層領域55の各表示画素65は、同一の表示画素65内の各発光層56の分担により指定輝度に応じた輝度で点灯することとなる。こうして表示画素65の点灯が各発光層56に分担して実現されることによって、使用に伴う各発光層56の発光素子66a,66bの劣化を抑制したり、あるいは、仮に発光素子66a,66bが劣化したとしても指定輝度に応じた輝度で画像を表示可能となるので、焼き付きの発生を抑制することができる。したがって、高い視認性を長期間維持可能な有機EL表示ユニット100を提供することができる。
また、第1実施形態によると、常時固定された0より大きい定数として設定されている比率により、各発光層56の分担が実現される。このようにすると、表示画素65の点灯時には、当該表示画素65内の全ての発光層56が輝度を分担することとなるので、1つの発光素子66a又は66bにより表示画素65を点灯させる場合よりも、確実に各発光素子66a,66bの劣化が進むことを抑制できる。したがって、高い視認性を長期間維持可能となる。
また、第1実施形態によると、同一の表示画素65内における各発光層56間にて等しい値に設定されている比率により、各発光層56の分担が実現される。このようにすると、同一の表示画素65内の各発光素子66a,66b間における劣化進行のばらつきを抑制できるので、特定の発光素子66a,66bの劣化が早まることは抑制される。
また、第1実施形態によると、例えば画像としての動画を単層領域51にて表示し、静止画を複層領域55にて表示することが可能となる。すなわち、画像が漸次変化することにより焼き付きが生じ難い動画を単層領域51で表示するようにして画像表示部50全体の発光素子数を抑制する一方、同じ画像を表示し続けることにより焼き付きが生じやすい静止画は、複層領域55に表示されることで、画像表示部50全体において高い視認性を長期間維持可能となる。
(第2実施形態)
図9〜11に示すように、本発明の第2実施形態は第1実施形態の変形例である。第2実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第2実施形態の画像表示部50は、第1実施形態と同様、複数の発光層として、2層の発光層56が設けられた複層領域55を有している。ここで第2実施形態では、画像制御部220の制御に対して、各発光層56が異なる役割として機能する。したがって、発光層のうち1層を基本発光層256aと、他の1層を基本発光層256aを補助する補助発光層256bと、それぞれ記載する(図11参照)。
第2実施形態の画像制御部220は、図9に示すように、表示器外要素21及び表示器内要素25により構築されている機能ブロックとして、輝度指定部230及び分担出力部232に加えて、点灯記憶部234及び比率設定部236を有している。
点灯記憶部234は、基本発光層256aの発光素子66aの点灯時間を記憶する。具体的に、点灯記憶部234は、基本発光層256aの各発光素子66aについて、表示器8が製造された時点から現在までの累積の点灯時間を、個別に記憶する。点灯時間は、対応する発光素子66aの点灯時間を時間カウンタにより計測することで、点消灯に伴って随時更新される。本実施形態では、主に表示器内要素25により点灯記憶部234の機能が実現されている。より詳細には、点灯記憶部234の機能は、タイミングコントローラ27による時間のカウントと、タイミングコントローラ27の内部に設けられたメモリ(例えばRAM)での累積の点灯時間の記憶によって実現される。
比率設定部236は、点灯記憶部234が記憶した点灯時間に基づいて、補助発光層256bの個別の比率を設定する。具体的に本実施形態では、画像制御部220において、基本発光層256aの発光素子66aの累積の点灯時間と、補助発光層256bの比率との対応関係が、以下の表1に示すような輝度テーブルとしてテーブル記憶部238に予め記憶されている。
この輝度テーブルにおける補助発光層256bの比率は、基本発光層256aの発光素子66aの劣化により、点灯時間の累積に伴った出力量に対する輝度が低下した場合の輝度の低下比率に基づいて設定されている。比率設定部236は、この輝度テーブルを参照することにより、出力対象の表示画素65における補助発光層256bの個別の比率を設定することができる。
表1の輝度テーブルは、画像表示部50に採用された発光素子66a,66bの物性に応じて、予め設定されている。輝度テーブルは、例えば、車両に搭載された標準的な環境下での使用で、点灯時間に対する発光素子66a,66bの劣化の程度を測定した実験により作成することができる。また輝度テーブルは、シミュレーション等によって作成されてもよい。本実施形態では、主に表示器内要素25により比率設定部236の機能が実現されている。
第2実施形態の分担出力部232は、指定輝度の100%に対応した出力量を基本発光層256aの発光素子66aに出力する。この100%という比率は、常時固定された定数として設定されている。これと共に、分担出力部232は、指定輝度に比率設定部236が設定した比率を乗じた値に対応する出力量を補助発光層256bの発光素子66bに出力する。
さて、このような機能を有する有機EL表示ユニット100により実行される処理を、図10のフローチャートに基づいて説明する。図10のステップS210〜232の一連の処理は、表示画素65毎に、かつ、画像が書き換えられる毎に実行される。なお、以下の説明において、各発光層56を区別するため、2層の発光層56のうち視認側に配置された基本発光層256aを上層56aと記載し、視認側とは反対側に配置された補助発光層256bを下層56bと記載する。また、本実施形態の表示画素65は、副画素に対応しているため、以下の説明では副画素65aと記載する。
ステップS210では、第1実施形態のステップS10と同様に、処理対象の副画素65aを、今回点灯させるかを判定する。肯定判定が下された場合には、ステップS220に移る。否定判定が下された場合には、ステップS230に移る。
今回点灯させる副画素65aであると判定された場合のステップS220では、上層56aの発光素子66aを指定輝度の100%で点灯させる。具体的に、分担出力部232は、副画素65aの指定輝度の100%に対応する出力量を、上層56aの発光素子66aに出力する。その結果、上層56aの発光素子66aが指定輝度の100%に応じた輝度で点灯する。ステップS220の処理後、ステップS221に移る。
ステップS221では、上層56aの発光素子66aの点灯時間をタイミングコントローラ27のメモリから読み出す。ステップS221の処理後、ステップS222に移る。
ステップS222では、下層56bの発光素子66bを輝度テーブルの値で点灯させる。具体的に、比率設定部236は、S221にてタイミングコントローラ27のメモリから読み出した点灯時間をもとに、表1の輝度テーブルを参照することで、下層56bの個別の比率を取得することにより、当該下層56bの個別の比率を設定する。分担出力部232は、副画素65aの指定輝度に比率設定部236が設定した個別の比率を乗じた値に対応した出力量を、下層56bの発光素子66aに出力する。その結果、下層56bの発光素子66aが個別の比率を乗じた値に応じた輝度で点灯する。ステップS222の処理後、ステップS223に移る。
ステップS223では、時間カウンタのカウントを再開する。すなわち、上層56aの発光素子66aが点灯した状態となったため、点灯記憶部234は、点灯時間を、時間カウンタにより計測し、更新していくこととなる。ステップS223の処理を以って、一連の処理を終了する。
ここで、上層56aの発光素子66aの劣化の進行に伴って、出力量に対する当該発光素子66aの輝度が低下するので、当該発光素子66aにおける指定輝度の100%に応じた輝度は、輝度低下の影響を受けて指定輝度の100%より小さい輝度になり得る。本実施形態では、上層56aの発光素子66aの輝度の低下を、下層56bの発光素子66bが当該低下の比率の分だけ補助することとなるため、処理対象の副画素65aは、指定輝度に応じた輝度で点灯する。
今回点灯させる副画素65aであると判定されなかった場合のステップS230,S231は、第1実施形態のステップS30,S31と同様である。ステップS231の処理後、ステップS232に移る。
ステップS232では、時間カウンタを一時停止する。すなわち、上層56aの発光素子66aが消灯した状態となったため、点灯記憶部234は、点灯時間の更新を一時停止することとなる。ステップS232の処理を以って、一連の処理を終了する。
図11(a)では、赤色の副画素65aにおける発光素子66aの点灯時間が0時間であり、緑色の副画素65aにおける発光素子66aの点灯時間が0時間であり、青色の副画素65aにおける発光素子66aの点灯時間が0時間である場合の、個別の比率が示されている。図11(b)では、赤色の副画素65aにおける発光素子66aの点灯時間が1000時間であり、緑色の副画素65aにおける発光素子66aの点灯時間が500時間であり、青色の副画素65aにおける発光素子66aの点灯時間が0時間である場合の、個別の比率が示されている。図11(c)では、赤色の副画素65aにおける発光素子66aの点灯時間が2000時間であり、緑色の副画素65aにおける発光素子66aの点灯時間が1000時間であり、青色の副画素65aにおける発光素子66aの点灯時間が500時間である場合の、個別の比率が示されている。
このような第2実施形態においても、表示画素65の点灯が各発光層56に分担して実現されることによって、第1実施形態に準じた効果を奏することが可能となる。
また、第2実施形態によると、出力対象の表示画素65における現在までの累積の点灯時間に応じて設定される比率により、各発光層56の分担が実現される。このようにすると、累積の点灯時間と相関があると考えられる劣化の進行に対して、適切な出力量を設定できるので、各表示画素65の輝度を、指定輝度により近づけて点灯可能となる。したがって、高い視認性を長期間維持可能となる。
また、第2実施形態によると、基本発光層256aと補助発光層256bとが設けられた複層領域55の表示画素65において、基本発光層256aの発光素子66aには、指定輝度の100%に対応した出力量が出力される。これと共に、補助発光層256bの発光素子66bには、指定輝度に、記憶された累積の点灯時間に基づいて設定された比率を乗じた出力量が出力される。したがって、基本発光層256aの発光素子66aの劣化の進行に伴って、基本発光層256aの発光素子66aの出力量に対する輝度が低下したとしても、当該輝度低下分を、補助発光層256bの発光素子66bへの出力により補うことが可能となる。したがって、高い視認性を長期間維持可能となる。
(第3実施形態)
図12〜14に示すように、本発明の第3実施形態は第1実施形態の変形例である。第3実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第3実施形態の画像表示部50は、第1実施形態と同様、複数の発光層として、2層の発光層56が設けられた複層領域55を有している。
第3実施形態の画像制御部320は、表示器外要素21及び表示器内要素25により構築されている機能ブロックとして、図12に示すように、輝度指定部330及び分担出力部332に加えて、時間計測部340及び比率入替部342を有している。
時間計測部340は、比率入替部342が参照するための所定時間を、時間カウンタにより計測する。特に本実施形態では、所定時間は、1時間に設定されている。また、時間計測部340は、時間カウンタが所定時間の2倍である2時間を超えた場合に、時間カウンタをクリアして0に戻すようになっている。すなわち、各発光層56の発光素子66a,66bは、所定時間に発光層56の層数を乗じた周期で制御されるようになっているのである。本実施形態では、主に表示器内要素25により時間計測部340の機能が実現されている。
比率入替部342は、所定時間毎に、同一の表示画素65内において、各発光層56の個別の比率を入れ替える。特に本実施形態では、比率入替部342は、複数の発光層56の比率の合計が100%となるように、1つの発光層56の比率を100%に設定し、他の発光層56の比率を0%に設定するようになっている。そして、比率入替部342は、所定時間毎に、直前まで100%だった発光層56の比率を0%に変更すると共に、直前まで0%だった他の1つ発光層56の比率を100%に変更する。本実施形態では、発光層56が2層であるため、各発光層56の比率は、100%と0%とを交互に繰り返すこととなる。本実施形態では、主に表示器内要素25により比率入替部342の機能が実現されている。
さて、このような機能を有する有機EL表示ユニット100により実行される処理を、図13のフローチャートに基づいて説明する。図13のステップS310〜S335の一連の処理は、表示画素65毎に、かつ、画像が書き換えられる毎に実行される。なお、以下の説明において、各発光層56を区別するため、2層の発光層56のうち視認側に配置された発光層を上層56aと記載し、視認側とは反対側に配置された発光層を下層56bと記載する。また、本実施形態の表示画素65は、副画素に対応しているため、以下の説明では副画素65aと記載する。
ステップS310では、第1実施形態のステップS10と同様に、処理対象の副画素65aを、今回点灯させるかを判定する。肯定判定が下された場合には、ステップS320に移る。否定判定が下された場合には、ステップS341に移る。
今回点灯させる副画素65aであると判定された場合のステップS320では、時間カウンタが所定時間の1時間より大きいか否かを判定する。否定判定が下された場合(すなわち所定時間以下の場合)には、ステップS321へ移る。肯定判定が下された場合には、ステップS331へ移る。
時間カウンタが所定時間以下の場合のステップS321では、上層56aの発光素子66aを指定輝度の100%で点灯させる。具体的に、時間カウンタが0以上所定時間以下の場合、比率入替部342が上層56aの比率を100%に設定する。分担出力部332は、副画素65aの指定輝度に比率入替部342が設定した個別の比率である100%を乗じた値に対応した出力量を、上層56aの発光素子66aに出力する。その結果、上層56aの発光素子66aが指定輝度の100%に応じた輝度で点灯する。ステップS321の処理後、ステップS322に移る。
ステップS322では、下層56bの発光素子66bを指定輝度の0%で点灯させる。具体的に、時間カウンタが0以上所定時間以下の場合、比率入替部342が下層56bの比率を0%に設定する。分担出力部332は、副画素65aの指定輝度に比率入替部342が設定した個別の比率である0%を乗じた値に対応した出力量を、下層56bの発光素子66bに出力する。その結果、下層56bの発光素子66bが消灯する。ステップS322の処理後、ステップS323に移る。
ステップS323では、まだ時間カウンタの時間が1周期分経過していないので、時間カウンタをインクリメントする。ステップS323の処理を以って、一連の処理を終了する。
時間カウンタが所定時間より大きい場合のステップS331では、上層56aの発光素子66aを指定輝度の0%で点灯させる。具体的に、時間カウンタが所定時間より大きく、かつ、所定時間の2倍以下の場合、比率入替部342は、比率の入れ替えにより上層56aの比率を0%に設定する。分担出力部332は、副画素65aの指定輝度に比率入替部342が設定した個別の比率である0%を乗じた値に対応した出力量を、上層56aの発光素子66aに出力する。その結果、上層56aの発光素子66aが消灯する。ステップS331の処理後、ステップS332に移る。
ステップS332では、下層56bの発光素子66bを指定輝度の100%で点灯させる。具体的に、時間カウンタが所定時間より大きく、かつ、所定時間の2倍以下の場合、比率入替部342は、比率の入れ替えにより下層56bの比率を100%に設定する。分担出力部332は、副画素65aの指定輝度に比率入替部342が設定した個別の比率である100%を乗じた値に対応した出力量を、上層56aの発光素子66aに出力する。その結果、下層56bの発光素子66bが指定輝度の100%に応じた輝度で点灯する。ステップS332の処理後、ステップS333に移る。
ステップS333では、時間カウンタが所定時間の2倍の2時間より大きいか否かを判定する。肯定判定が下された場合、ステップS334に移る。否定判定が下された場合、ステップS335に移る。
ステップS334では、既に時間カウンタの時間が1周期分経過したので、時間カウンタをクリアする。ステップS334の処理を以って、一連の処理を終了する。
ステップS335では、まだ時間カウンタの時間が1周期分経過していないので、時間カウンタをインクリメントする。ステップS335の処理を以って、一連の処理を終了する。
このように、時間カウンタが0以上所定時間以下の場合と、時間カウンタが所定時間より大きく、かつ、所定時間の2倍以下の場合とで、各発光層56の個別の比率が入れ替わることにより、所定時間毎に、点灯する発光素子66a,66bが入れ替わることとなる。こうして、同一の副画素65a内の各発光層56の分担により、処理対象の当該副画素65aは、指定輝度に応じた輝度で点灯する。
今回点灯させる副画素65aであると判定されなかった場合のステップS341では、上層56aの発光素子66aを指定輝度の0%で点灯させる。換言すると、上層56aの発光素子66aを消灯させる。ステップS341の処理後、ステップS342に移る。
ステップS342では、下層56bの発光素子66bを指定輝度の0%で点灯させる。換言すると、下層56bの発光素子66bを消灯させる。ステップS342の処理後、ステップS343に移る。
図14では、赤色の副画素65aにおける時間カウンタが所定時間より大きく、かつ、所定時間の2倍以下であり、緑色の副画素65aにおける時間カウンタが0以上所定時間以下であり、青色の副画素65aのみがステップS310にて今回点灯させる副画素65aであると判定されなかった場合の、個別の比率の例が示されている。
このような第3実施形態においても、表示画素65の点灯が各発光層56に分担して実現されることによって、第1実施形態に準じた効果を奏することが可能となる。
また、第3実施形態によると、同一の表示画素65内において、所定時間毎に入れ替わる比率により、各発光層56の分担が実現される。このようにすると、特定の発光素子66a,66bに長時間連続して高い負荷がかかることを防止できる。すなわち、特定の発光素子66a,66bが高い負荷により自己発熱しても、所定時間毎に負荷を低下させることで、温度上昇を抑制することができる。したがって、各発光素子66a,66bの劣化の進行が減速するので、高い視認性を長期間維持可能となる。
(他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
上述の実施形態では、「副画素」を「表示画素」として本発明を適用したが、変形例1としては、副画素の集合としての「画素」を「表示画素」として本発明を適用してもよい。
変形例2としては、同一の表示画素65内の各発光素子66a,66bは、互いに同系色で発光するものであってもよい。
変形例3としては、カラーフィルタ63a,67aのフィルタ色として、赤色、緑色、及び青色の3色以外が採用されていてもよい。この例として、赤色及び青色の2色が採用されていてもよく、赤色、緑色及び青色に加えて黄色の4色が採用されていてもよい。また、赤色、緑色及び青色の3色に加えて、実質無色透明な透過部63,67を有する表示画素61,65が採用されていてもよい。
変形例4としては、画像表示部50は、カラーフィルタ層53,57を有しておらず、実質無色透明な透過部67が各発光層56の各発光素子66a,66bからの光を合わせて透過するものであってもよい。この場合に、異なる色で発光する発光素子66a,66bが、隣接する表示画素65において3色交互に割り当てられていることで、カラー表示が実現されていてもよく、各発光素子66a,66bが同じ色で発光することで、画像表示部50が単色表示をするものであってもよい。
変形例5としては、単層領域51を設けずに、表示面50aの全面が複層領域55となっていてもよい。
変形例6としては、複層領域55には、互いに積層された3層以上の発光層56が設けられていてもよい。
変形例7としては、画像制御部20のうち少なくとも一部は、画像表示部50と一体的に配置されていなくてもよい。すなわち、画像制御部20のうち少なくとも一部は、画像表示部50と通信することにより、当該画像表示部50を制御するものであってもよい。
第2実施形態に関する変形例8としては、複層領域55のうち少なくとも一部領域において、視認側とは反対側の発光層を基本発光層256aとし、視認側の発光層を補助発光層256bとした構成が採用されてもよい。
変形例9としては、本発明は、車載メータの他、インストルメントパネルにおいて運転席及び助手席の間に配置され、各種情報を表示するセンターディスプレイに適用することができる。さらに、車両用に限らず、各種輸送機器用の表示装置又は各種民生用機器に、本発明は適用可能である。