以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、一実施形態に係る送電装置及び非接触給電システムの適用例を示す図である。図1に示されるように、非接触給電システム1は、送電装置2と受電装置3とを備えており、送電装置2から受電装置3に電力を供給するためのシステムである。送電装置2及び受電装置3は、例えば上下方向に離間している。送電装置2は、例えば駐車場等に設置されている。受電装置3は、例えば電気自動車EVに搭載されている。非接触給電システム1は、駐車場等に到着した電気自動車EVに対し、磁界共鳴方式又は電磁誘導方式等のコイル間の磁気結合を利用して、電力を供給するように構成されている。
送電装置2は、非接触給電のための電力を供給する装置である。送電装置2は、電源PS(図2参照)によって供給された電力から所望の交流電力を生成し、受電装置3に送る。送電装置2は、例えば駐車場等の路面Rに設置される。送電装置2は、例えば駐車場等の路面Rから上方に突出するように設けられた送電コイル装置4を備えている。送電コイル装置4は、第1コイル21(図2参照)を含み、例えば扁平な錘台状又は直方体状をなしている。送電装置2は、電源PSから所望の交流電力を生成する。生成された交流電力が送電コイル装置4に送られることによって、送電コイル装置4は磁束を発生させる。
受電装置3は、送電装置2から電力を受け取り、負荷L(図2参照)に電力を供給する装置である。受電装置3は、例えば電気自動車EVに搭載される。受電装置3は、例えば電気自動車EVの車体(シャーシ等)の底面に取り付けられた受電コイル装置5を備えている。受電コイル装置5は、第2コイル31(図2参照)を含み、電力供給時において送電コイル装置4と上下方向に離間して対向する。受電コイル装置5は、例えば扁平な錘台状又は直方体状をなしている。送電コイル装置4で発生した磁束が受電コイル装置5に鎖交することによって、受電コイル装置5は誘導電流を発生させる。これにより、受電コイル装置5は、非接触(ワイヤレス)で送電コイル装置4からの電力を受け取る。受電コイル装置5が受け取った電力は、負荷Lに供給される。
(第1実施形態)
図2を参照して、第1実施形態に係る非接触給電システム1の回路構成を詳細に説明する。図2は、第1実施形態に係る非接触給電システム1の回路ブロック図である。図2に示されるように、非接触給電システム1は、電源PSから交流電力Pac1(第1交流電力)を受け、負荷Lに負荷電力Poutを供給するシステムである。電源PSは、商用電源等の交流電源であり、送電装置2に交流電力Pac1を供給する。交流電力Pac1の周波数は、例えば50Hz又は60Hzである。負荷Lは、バッテリ等の直流負荷であってもよく、モータ等の交流負荷であってもよい。
送電装置2は、電源PSから交流電力Pac1を供給される。送電装置2は、第1コイル21(コイル)と、第1変換器22(変換器)と、第1検出器23と、第1通信器24と、第1制御器25と、を備えている。
第1変換器22は、電源PSから供給される交流電力Pac1を、所望の交流電力Pac2(第2交流電力)に変換し、変換した交流電力Pac2を第1コイル21に供給する回路である。第1変換器22は、例えば、後述の周波数制御、及び位相シフト制御によって交流電力Pac2の大きさを変更することができる。第1変換器22は、電力変換器26と、直流交流変換器(DC/AC converter)27と、を備えている。
電力変換器26は、電源PSから供給された交流電力Pac1を直流電力Pdcに変換する交流直流変換器(AC/DC converter)である。電力変換器26は、例えば整流回路である。整流回路は、ダイオード等の整流素子で構成されてもよいし、トランジスタ等のスイッチング素子によって構成されてもよい。電力変換器26は、PFC(Power Factor Correction)機能及び昇降圧機能をさらに有していてもよい。電力変換器26は、第1制御器25によって直流電力Pdcの電圧Vdcの大きさを変更するように制御される。電力変換器26は、例えば、パルス幅変調で直流電力Pdcの電圧Vdcの大きさを変更する。電力変換器26は、変換した直流電力Pdcを直流交流変換器27に供給する。
直流交流変換器27は、電力変換器26によって変換された直流電力Pdcを交流電力Pac2に変換する。交流電力Pac2の周波数は、例えば81.38kHz〜90kHzである。直流交流変換器27は、例えばインバータ回路である。第1変換器22は、直流交流変換器27の出力に設けられたトランスをさらに備えていてもよい。直流交流変換器27は、第1制御器25によって交流電力Pac2の大きさを変更するように制御される。直流交流変換器27は、変換した交流電力Pac2を第1コイル21に供給する。
第1コイル21は、受電装置3に非接触で給電するためのコイルである。第1コイル21は、第1変換器22から交流電力Pac2を供給されることによって、磁束を発生する。第1コイル21と第1変換器22との間には、キャパシタ及びインダクタ(例えば、リアクトル)が接続されていてもよい。
第1検出器23は、電源PSから供給される交流電力Pac1の電圧Vac1のゼロクロスタイミングを検出するための回路を含む。交流電力Pac1の電圧Vac1のゼロクロスタイミングは、交流電力Pac1の電圧Vac1の電圧値が正の値から負の値又は負の値から正の値に切り替わるタイミングである。つまり、交流電力Pac1の電圧Vac1のゼロクロスタイミングは、電圧Vac1の電圧値が0Vとなるタイミングである。具体的には、第1検出器23は、交流電力Pac1の電圧Vac1の電圧値に基づいて交流電力Pac1の電圧Vac1のゼロクロスタイミングを検出する。第1検出器23は、交流電力Pac1の電圧Vac1を測定する電圧センサを含む。第1検出器23は、電圧Vac1を不図示の抵抗素子を介して下げた上で、下げられた電圧を監視することにより、ゼロクロスタイミングを検出する。第1検出器23は、ゼロクロスタイミングを示す同期情報を第1制御器25に出力する。第1検出器23は、同期情報として、例えば、交流電力Pac1の電圧Vac1の電圧値が0Vになったタイミングでパルス信号を出力する。
第1検出器23は、直流電力Pdcに関する測定値を取得するための回路を含む。直流電力Pdcに関する測定値を取得するための回路は、例えば、電圧センサ、電流センサ、又はその組み合わせである。第1検出器23は、直流電力Pdc、直流電力Pdcの電圧Vdc又は直流電力Pdcの電流Idcを測定する。第1検出器23は、取得した測定値を第1制御器25に出力する。
第1通信器24は、後述する受電装置3の第2通信器34と無線で通信を行うための回路である。第1通信器24は、例えば、電波を利用する通信方式用のアンテナ、光信号を利用する通信方式用の発光素子及び受光素子である。第1通信器24は、受電装置3から受信した情報を第1制御器25に出力する。
第1制御器25は、CPU(Central Processing Unit)及びDSP(Digital SignalProcessor)等の処理装置である。第1制御器25は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び送電装置2の各部と接続するインターフェース回路等を有してもよい。第1制御器25は、第1変換器22を制御することによって、交流電力Pac2の大きさを制御し、負荷Lに供給される負荷電力Poutの大きさを制御する電力制御を行う。電力制御は、周波数制御、及び位相シフト制御の少なくとも1つを用いて行われる。各制御において、交流電力Pac2の大きさを制御するためのパラメータが変更される。
ここで、図3を用いて周波数制御について説明する。図3のグラフの横軸は駆動周波数fを示し、縦軸は負荷電力Pout(の大きさ)を示す。駆動周波数fは、交流電力Pac2の周波数である。図3に示されるように、駆動周波数fに応じて、交流電力Pac2及び負荷電力Poutの大きさが変更される。駆動周波数fとしては、例えば81.38kHz〜90kHzが利用可能である。周波数が変わることにより、コイル及びキャパシタ等のリアクタンス素子のインピーダンスが変わり、交流電力Pac2及び負荷電力Poutの大きさが変化する。以下、本実施形態では、周波数が大きくなるにつれて、交流電力Pac2及び負荷電力Poutの大きさが小さくなるとする。第1制御器25は、駆動周波数fを変更することによって、交流電力Pac2及び負荷電力Poutの大きさを変更する周波数制御を実施する。周波数制御における上述のパラメータは、駆動周波数fである。交流電力Pac2の周波数とは、第1変換器22から出力される交流電流又は交流電圧の周波数である。
例えば、当初、駆動周波数fが周波数f2であったと仮定する。このときの負荷電力Poutは電力P2である。ここで、例えば、駆動周波数fを、周波数f2から周波数f1まで減少させる。すると、負荷電力Poutは、駆動周波数f=f1に対応する電力P1となる。よって、負荷電力Poutは、電力P2から電力P1まで増加する。一方、駆動周波数fを、周波数f2から周波数f3まで増加させる。すると、負荷電力Poutは、駆動周波数f=f3に対応する電力P3となる。よって、負荷電力Poutは、電力P2から電力P3まで減少する。
第1制御器25は、上述のように駆動周波数fを制御することによって、負荷電力Poutを所望の電力に近づける。実際に駆動周波数fを変化(増加及び減少)させる制御においては、駆動周波数fをステップ単位で変化させてもよい。駆動周波数fを変えるための1ステップの大きさはとくに限定されず、例えば数Hz〜数十Hz、数十Hz〜数百Hz程度であってもよい。ステップは、例えば、第1制御器25であるCPUのクロックの分解能で定まる。
周波数制御の具体的な手法は限定されない。例えば、直流交流変換器27がインバータ回路である場合には、第1制御器25は、インバータ回路に含まれる各スイッチング素子に供給される駆動信号を用いて、各スイッチング素子のスイッチング周波数を調整し、駆動周波数fを変更する。スイッチング素子は、例えば、FET(Field Effect Transistor)、IGBT(Insulated GateBipolar Transistor)等であり、この場合、駆動信号はスイッチング素子のゲートに印加される。
位相シフト制御について説明する。例えば、直流交流変換器27が図4に示されるようなインバータ回路である場合には、第1制御器25は、インバータ回路に含まれるスイッチング素子a〜dへの駆動信号Sa〜Sdの供給時間を調整して、各スイッチング素子a〜dがオンとなる時間を調整する。スイッチング素子aの駆動時間とスイッチング素子dの駆動時間とが同じであり、スイッチング素子bの駆動時間とスイッチング素子cの駆動時間とが同じであるときが、インバータ回路の通電期間(オン期間)が最も長くなる。スイッチング素子aの駆動時間とスイッチング素子dの駆動時間とがずれるほど(スイッチング素子bの駆動時間とスイッチング素子cの駆動時間とがずれるほど)、インバータ回路のオン期間が短くなる。インバータ回路のオン期間が短くなるほど、交流電力Pac2は小さくなる。位相シフト制御における上述のパラメータは、スイッチング素子aの駆動時間とスイッチング素子dの駆動時間とのずれ量(又はスイッチング素子bの駆動時間とスイッチング素子cの駆動時間とのずれ量)である。言い換えれば、位相シフト制御における上述のパラメータは、インバータ回路のオン期間である。
なお、インバータ回路のソフトスイッチングを実現するために、インバータ回路からの出力電圧(交流電力Pac2の電圧)の位相が出力電流(交流電力Pac2の電流)の位相と同じか進んでいる(インピーダンスが誘導性である)必要がある。電圧と電流との位相差を同じにしておくと、ノイズ及び制御誤差などでインピーダンスが容量性になってしまうので、安全性確保のために電圧の位相を電流の位相よりも所定値進めておく。この所定値を位相余裕と呼ぶ。
位相差は、例えば、交流電力Pac2の1周期の長さ(つまり360度)を100%としてパーセント表示されてもよい。この場合、位相シフトが全く行われていない状態では、位相シフト値は0%である。なお、位相シフト制御においては、位相シフト値が0%のときに交流電力Pac2が最大になり、負荷電力Poutも最大になる。位相シフト値の最大値は、第1コイル21の回路特性(例えば第1コイル21及び図示しないキャパシタを含む共振回路の特性)によって変わるが、例えば、50%程度である。すなわち、一態様において、位相差の下限値は0%に設定され得る。位相差の上限値は50%に設定され得る。
第1制御器25は、電力制御として、第1通信器24を介して受電装置3から受信した負荷電力Poutに関する測定値及び電力指令値(後述)に基づいて、負荷電力Poutが電力指令値に近づくように第1変換器22を制御する。また、第1制御器25は、電力制御として、電源PSから供給される交流電力Pac1の電圧Vac1のゼロクロスタイミングから所定の期間、交流電力Pac2の大きさが増加するように第1変換器22を制御することにより、負荷電力Poutの負荷電流Ioutに生じるリップルを低減する。リップルの低減手法の詳細については、後述する。
受電装置3は、第2コイル31と、第2変換器32と、第2検出器33(検出器)と、第2通信器34と、第2制御器35と、を備えている。
第2コイル31は、送電装置2から非接触で供給される電力を受け取るためのコイルである。第1コイル21によって発生された磁束が第2コイル31に鎖交することによって、第2コイル31に交流電力Pac3が生じる。第2コイル31は、交流電力Pac3を第2変換器32に供給する。なお、第2コイル31と第2変換器32との間には、キャパシタ及びインダクタ(例えば、リアクトル)が接続されていてもよい。
第2変換器32は、第2コイル31が受け取った交流電力Pac3を負荷Lにとって所望の負荷電力Poutに変換する回路である。負荷Lが直流負荷である場合、第2変換器32は、交流電力Pac3を直流の負荷電力Poutに変換する交流直流変換器(整流回路)である。この場合、第2変換器32は、負荷Lにとって所望の負荷電力Poutを出力するために昇降圧機能を含んでいてもよい。この昇降圧機能は、例えばチョッパ回路又はトランスで実現され得る。第2変換器32は、交流直流変換器の入力に設けられたトランスをさらに備えていてもよい。
負荷Lが交流負荷である場合、第2変換器32は、交流電力Pac3を直流電力に変換する交流直流変換器に加えて、さらに直流交流変換器(インバータ回路)を含む。直流交流変換器は、交流直流変換器によって変換された直流電力を交流の負荷電力Poutに変換する。第2変換器32は、交流直流変換器の入力に設けられたトランスをさらに備えていてもよい。なお、第2コイル31から供給される交流電力Pac3が負荷Lにとって所望の交流電力である場合には、第2変換器32は省略され得る。
第2検出器33は、負荷Lに供給される負荷電力Poutに関する測定値を取得するための回路である。第2検出器33は、負荷Lに供給される負荷電圧Vout、負荷電流Iout又は負荷電力Poutを測定する。第2検出器33は、例えば、電圧センサ、電流センサ、又はその組み合わせである。第2検出器33は、取得した測定値を第2制御器35に出力する。負荷Lは、電力指令値を第2制御器35に出力する。電力指令値は、負荷Lに供給すべき所望の電力の大きさを示す。例えば負荷Lが蓄電池の場合には、電力指令値は、負荷LのSOC(State Of Charge)に応じて定められた電流、電圧、又は電力の指令値であってもよい。
第2通信器34は、送電装置2の第1通信器24と無線で通信を行うための回路である。第2通信器34により、受電装置3は、送電装置2と通信可能である。第2通信器34は、例えば、電波を利用する通信方式用のアンテナ、光信号を利用する通信方式用の発光素子及び受光素子である。第2通信器34は、第2制御器35から受信した情報を送電装置2に送信する。
第2制御器35は、CPU及びDSP等の処理装置である。第2制御器35は、ROM、RAM及び受電装置3の各部と接続するインターフェース回路等を含んでいてもよい。第2制御器35は、第2検出器33から受信した測定値及び負荷Lから受信した電力指令値を第2通信器34を介して送電装置2に送信する。
なお、例えば、送電装置2に電源PSに代えて電気自動車の蓄電池が接続され、受電装置3に負荷Lに代えて電源PSが接続されることによって、受電装置3から送電装置2に電力を伝送することも可能である。
次に、負荷電流Ioutのリップル低減方法について具体的に説明する。まず、第1制御器25は、電圧Vac1のゼロクロスに基づく負荷電流Ioutのリップル量を推定する。電圧Vac1のゼロクロスに基づく負荷電流Ioutのリップル量とは、負荷電流Ioutの電流値の最大値と最小値との差分である。なお、負荷電流Ioutには、駆動周波数fの周波数成分に起因するリップル及びノイズも含まれ得る。そのため、第2変換器32と負荷Lとの間にローパスフィルタ(図示せず)を設けてもよい。この場合、このローパスフィルタからの出力が負荷電流Ioutである。
具体的に説明すると、第1制御器25は、例えば、直流電力Pdcの大きさと負荷電流Ioutのリップル量との関係を示す変換テーブルを備えている。変換テーブルでは、直流電力Pdcの様々な大きさに対して負荷電流Ioutのリップル量が対応付けられている。変換テーブルは、予め実験等によって求められて、第1制御器25に設定されている。第1制御器25は、変換テーブルを用いて、第1検出器23によって検出された直流電力Pdcの大きさからリップル量を推定する。具体的には、第1制御器25は、変換テーブルにおいて、検出された直流電力Pdcの大きさに対応付けられているリップル量を取得する。
なお、変換テーブルは、交流電力Pac2の大きさと負荷電流Ioutのリップル量との関係を示す情報であってもよく、第1制御器25は、交流電力Pac2の大きさから負荷電流Ioutのリップル量を推定してもよい。また、変換テーブルは、電圧Vdc又は電流Idcの大きさと負荷電流Ioutのリップル量との関係を示す情報であってもよく、第1制御器25は、電圧Vdc又は電流Idcの大きさから負荷電流Ioutのリップル量を推定してもよい。
第1制御器25は、周波数制御、及び位相シフト制御の少なくともいずれかを用いて、負荷電流Ioutのリップルを低減するために、交流電力Pac2の大きさを制御するためのパラメータの変更量を算出する。
例えば、周波数制御が用いられる場合、第1制御器25は、交流電力Pac2の大きさを制御するためのパラメータとして、駆動周波数fの変更量を算出する。この場合、第1制御器25は、駆動周波数fの変更量と負荷電流Ioutの変化量との関係を示す特性テーブルを備えている。特性テーブルでは、駆動周波数fの変更量と負荷電流Ioutの変化量とが対応付けられている。特性テーブルは、予め実験等によって求められて、第1制御器25に設定されている。第1制御器25は、特性テーブルを用いて、駆動周波数fの変更量を算出する。具体的には、第1制御器25は、特性テーブルにおいて、負荷電流Ioutのリップル量(減少量)だけ負荷電流Ioutの大きさを増加させるために必要な駆動周波数fの変更量を算出する。必要となる駆動周波数fの変更量は、現在の駆動周波数fに応じて異なる場合があるので、特性テーブルは、駆動周波数fごとに設けられてもよく、電源PSの周波数(例えば、50Hz又は60Hz)ごとに設けられてもよく、電源PSの電圧値(例えば、200V、又は240V)ごとに設けられてもよい。また、電源PSの電圧値のばらつきに応じて、特性テーブルの値が補正されてもよい。
位相シフト制御が用いられる場合、第1制御器25は、交流電力Pac2の大きさを制御するためのパラメータとして、例えば、インバータ回路のオン期間の変更量を算出する。この場合、特性テーブルでは、インバータ回路のオン期間の変更量と負荷電流Ioutの変化量とが対応付けられている。第1制御器25は、周波数制御と同様にして、特性テーブルを用いて、インバータ回路のオン期間の変更量を算出する。
第1制御器25は、算出したパラメータの変更量を用いて、第1検出器23から受信した同期情報に基づいて、第1変換器22を制御し、交流電力Pac2の大きさを変更させる。具体的に説明すると、交流電力Pac1の電圧Vac1のゼロクロスタイミングを基準とした電圧Vdcの変動に応じて、負荷電流Ioutの電流量が変化し、負荷電流Ioutにリップルが生じるので、第1制御器25は、同期情報によって示されるタイミングに基づいて、負荷電流Ioutのリップルが少なくなるように、算出した変更量だけパラメータを変更する。第1制御器25は、例えば、同期情報によって示されるタイミングに基づいて、パラメータを連続的に変化させる。また、第1制御器25は、同期情報によって示されるタイミングに基づいて、パラメータを段階的に変化させてもよい。この場合、第1制御器25は、同期情報によって示されるタイミングを含む所定の期間、算出した変更量だけパラメータを変更し、所定の期間経過後に元に戻してもよい。所定の期間は、電圧Vac1のゼロクロスに起因して、負荷電流Ioutの電流量が低下する期間である。この所定の期間は、予め実験等によって求められて、第1制御器25に設定されている。このようにして、非接触給電システム1は、交流電力Pac1の電圧Vac1のゼロクロスに起因したリップルを低減している。
次に、図5及び図6を参照して、非接触給電システム1の作用効果を説明する。図5及び図6は、非接触給電システム1の動作を説明するための図である。なお、図5及び図6に示される波形は、説明の便宜上、変動部分を強調して表されており、実際の波形とは異なることがある。電源PSから送電装置2に交流電力Pac1が供給される。図5の(a)に示されるように、この交流電力Pac1の電圧Vac1の波形は正弦波である。電圧Vac1の電圧値は、時刻t1,t3,t5において、正の値から負の値になり、時刻t2,t4において、負の値から正の値になる。このため、時刻t1,t2,t3,t4,t5はゼロクロスタイミング(ゼロクロス点)である。
送電装置2では、まず第1変換器22の電力変換器26が、電源PSから供給された交流電力Pac1を全波整流する。これにより、図5の(b)に示されるように、整流後の電圧波形が得られる。そして、電力変換器26は、PFC機能及び昇降圧機能を用いて、直流電力Pdcを生成し、直流電力Pdcを直流交流変換器27に供給する。このようにして生成された直流電力Pdcの電圧波形は、図5の(c)に示されるような波形となる。このように、ゼロクロスタイミング(時刻t1,t2,t3,t4,t5)近傍では、電圧Vac1のゼロクロスに起因して、電圧Vdcの電圧値は数V程度下がる。なお、PFCの特性により、ゼロクロスタイミング(時刻t1,t2,t3,t4,t5)近傍において、電圧Vac1のゼロクロスに起因して、電圧Vdcの電圧値が数V程度上がることもある。この例では、ゼロクロスタイミング(時刻t1,t2,t3,t4,t5)から所定の時間Δtが経過するまでの期間、電圧Vac1のゼロクロスに起因して、電圧Vdcの電圧値は数V程度下がることとしている。但し、電力変換器26がPFC機能を有している場合には、実際の波形は正弦波に似た波形となる。
この状態で、直流交流変換器27が直流電力Pdcを交流電力Pac2に変換して、変換した交流電力Pac2を第1コイル21に供給することによって、非接触給電を行うと、直流電力Pdcの電圧が下がっている期間において、交流電力Pac2の電力の大きさが低下し、それに応じて第2コイル31に生じる交流電力Pac3の大きさも低下する。そして、第2変換器32が交流電力Pac3を負荷電力Poutに変換すると、図6の(b)に示されるように、ゼロクロスタイミング(時刻t1,t2,t3,t4,t5)から所定の時間Δtが経過するまでの期間に応じて、負荷電力Poutの負荷電流Ioutの電流値が周期的に低下する。この電流の周期的な変動であるリップルは、電圧Vac1のゼロクロスに起因する。電力変換器26において交流電力Pac1は全波整流されるので、負荷電流Ioutに生じるリップルは交流電力Pac1の周波数の2倍の周波数成分となる。このような周波数成分のリップルは、ローパスフィルタ等で除去することは困難である。
これに対し、非接触給電システム1では、電圧Vdcの低下が生じている期間に、交流電力Pac2の大きさを増加するように制御することで、負荷電流Ioutのリップルを低減している。具体的には、第1検出器23が交流電力Pac1の電圧Vac1のゼロクロスタイミングを検出し、ゼロクロスタイミングを示す同期情報を第1制御器25に出力する。また、第1検出器23は、直流電力Pdcの大きさを測定し、測定値を第1制御器25に出力する。そして、第1制御器25は、上述の変換テーブルを用いて、第1検出器23によって検出された直流電力Pdcの大きさから負荷電流Ioutのリップル量を推定する。そして、第1制御器25は、周波数制御、及び位相シフト制御の少なくともいずれかを用いて、負荷電流Ioutのリップルを低減するために、交流電力Pac2の大きさを制御するためのパラメータの変更量を算出する。例えば、周波数制御が用いられる場合、第1制御器25は、上述の特性テーブルを用いて、推定したリップル量を低減するための駆動周波数fの変更量を算出する。
図3に示されるように、駆動周波数fを低減した場合、負荷電力Poutが増加するので、負荷電流Ioutも増加し得る。このため、第1制御器25は、第1検出器23から受信した同期情報に基づいて、交流電力Pac1の電圧Vac1のゼロクロスタイミングを特定し、ゼロクロスタイミングに基づいて、算出した変更量だけ駆動周波数fを変更し、駆動周波数fを元に戻す。この駆動周波数fの変更は、連続的に行われてもよいし、段階的に行われてもよい。図5の(d)に示される波形では、電圧Vdcが低下している期間に駆動周波数fを低下するので、駆動周波数fの時間変化と電圧Vdcの時間変化とは同様となる。これにより、図6の(a)に示されるように、電圧Vac1のゼロクロスに起因した負荷電流Ioutのリップルが相殺される。このようにして、非接触給電システム1では、交流電力Pac1の電圧Vac1のゼロクロスに起因したリップルを低減することができる。
以上の非接触給電システム1及び送電装置2によれば、交流電力Pac1の電圧Vac1のゼロクロスタイミングに基づいて、交流電力Pac1を変換して得られた交流電力Pac2の大きさが変更されるように制御される。交流電力Pac2の大きさが増加すると、受電装置3において負荷Lに供給される負荷電力Poutの大きさも増加し、負荷Lに供給される負荷電流Ioutの電流量も増加し得る。また、交流電力Pac2の大きさが減少すると、受電装置3において負荷Lに供給される負荷電力Poutの大きさも減少し、負荷Lに供給される負荷電流Ioutの電流量も減少し得る。このため、交流電力Pac1の電圧Vac1のゼロクロスに起因して負荷電流Ioutの電流量が一時的に変動(増加又は減少)しても、交流電力Pac1の電圧Vac1のゼロクロスタイミングに基づいて、負荷電流Ioutの電流量が変更(増加又は減少)され得るので、交流電力Pac1の電圧Vac1のゼロクロスに起因して生じるリップルを低減することが可能となる。
第1変換器22は、交流電力Pac1を直流電力Pdcに変換する電力変換器26と、直流電力Pdcを交流電力Pac2に変換する直流交流変換器27と、を含んでいる。このため、交流電力Pac1が直流電力Pdcに一旦変換された上で、直流電力Pdcが交流電力Pac2に変換される。
上記実施形態では、交流電力Pac2の周波数制御を用いて、交流電力Pac2の周波数を減少することによって、交流電力Pac2の大きさを増加することができ、負荷電力Poutの大きさ(負荷電流Ioutの電流量)を増加することができる。同様に、交流電力Pac2の周波数を増加することによって、交流電力Pac2の大きさを減少することができ、負荷電力Poutの大きさ(負荷電流Ioutの電流量)を減少することができる。例えば、直流交流変換器27がインバータ回路である場合には、第1制御器25は、インバータ回路に含まれる各スイッチング素子に供給される駆動信号を用いて、各スイッチング素子のスイッチング周波数を調整することによって、交流電力Pac2の周波数を変更する。このように、交流電力Pac2の周波数制御によって、交流電力Pac2の大きさを制御する場合には、応答性に優れている。また、交流電力Pac2の位相シフト制御では、電流の位相余裕を確保した上で制御が行われる。このため、交流電力Pac2の周波数制御では、交流電力Pac2の位相シフト制御と比較して、負荷電力Pout(負荷電流Iout)の調整幅が大きい。したがって、交流電力Pac2の大きさの制御の応答性を向上させるとともに、交流電力Pac1の電圧Vac1のゼロクロスに起因して生じるリップルをより確実に低減することが可能となる。
例えば、直流交流変換器27がインバータ回路である場合には、第1制御器25は、インバータ回路に含まれる各スイッチング素子に供給される駆動信号を用いて、各スイッチング素子のスイッチングタイミングを調整することによって、インバータ回路のオン期間を変えて交流電力Pac2を制御することができる。
第1検出器23は、交流電力Pac1の電圧Vac1から直接ゼロクロスタイミングを検出するので、ゼロクロスタイミングを確実に検出することが可能となる。その結果、交流電力Pac1の電圧Vac1のゼロクロスに起因して生じるリップルをより確実に低減することが可能となる。
また、変換テーブルに、直流電力Pdcの大きさと負荷電力Poutのリップル量との関係が予め設定されている。このため、直流電力Pdcの大きさから負荷電流Ioutのリップル量を推定することが可能となる。これにより、負荷電力Poutに関する情報を第1通信器24を介して受電装置3から取得する必要がなく、送電装置2だけでリップル低減処理を行うことができる。その結果、処理時間の短縮が可能となる。
なお、電力変換器26の後段に大容量のコンデンサを設けることにより、直流電力Pdcの電圧Vdcのリップルの低減を試みることも可能である。また、電力変換器26の後段又は受電装置3にDC/DCコンバータを設けることによって、直流電力Pdcの電圧Vdcの電圧降下による影響を低減することも可能である。また、受電装置3にローパスフィルタ、又はチョークコイル等を追加することも考えられる。しかし、大容量のコンデンサを追加する場合には、コストが増加し、設置面積が大きくなり、電力変換器26の起動及び停止に時間が掛かる等の問題がある。DC/DCコンバータ、ローパスフィルタ、チョークコイルを追加する場合にも、同様の問題がある。これに対して、非接触給電システム1では、制御によってリップルを低減しているので、送電装置2の大型化を低減することができ、コストの増加を抑制することができる。
(第2実施形態)
図7を参照して、第2実施形態に係る非接触給電システム1Aの回路構成を詳細に説明する。図7は、第2実施形態に係る非接触給電システム1Aの回路ブロック図である。図7に示されるように、非接触給電システム1Aは、非接触給電システム1と比較して、送電装置2に代えて送電装置2Aを備える点で相違する。送電装置2Aは、送電装置2と比較して、ゼロクロス検出方法において相違する。
具体的に説明すると、送電装置2Aでは、第1制御器25が、電力変換器26の出力に基づいてゼロクロスタイミングを検出する。つまり、第2実施形態に係る第1検出器23は、同期情報を第1制御器25に出力しないので、第1制御器25は、第1検出器23によって測定された直流電力Pdc、直流電力Pdcの電圧Vdc又は直流電力Pdcの電流Idcに基づいて、ゼロクロスタイミングを検出する。交流電力Pac1の電圧Vac1のゼロクロスタイミングに応じて、電力変換器26の出力(直流電力Pdc、電圧Vdc及び電流Idc)の大きさが低減するので、第1制御器25は、例えば、電圧Vdcの電圧値が低下し始めるタイミングをゼロクロスタイミングとして検出する。
以上のように、非接触給電システム1A及び送電装置2Aにおいても、非接触給電システム1及び送電装置2と同様の効果が奏される。また、非接触給電システム1A及び送電装置2Aでは、第1制御器25は、電力変換器26の出力(直流電力Pdc、電圧Vdc又は電流Idc)に基づいてゼロクロスタイミングを検出する。このため、非接触給電システム1及び送電装置2と比較して、電圧Vac1の電圧を検出するためのセンサが不要となり、構成を簡単化することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、非接触給電システム1,1Aは、電気自動車EVに限られず、プラグインハイブリッド車及び水中航走体等の移動体に適用されてもよく、移動体以外に適用されてもよい。
また、上記実施形態では、第1制御器25は、受電装置3から受信した測定値及び電力指令値に基づいて、負荷電力Poutが電力指令値に近づくように第1変換器22をフィードバック制御しているが、受電装置3に加えて第1変換器22からの情報に基づいて、負荷電力Poutが電力指令値に近づくように第1変換器22をフィードバック制御してもよい。
また、上記実施形態では、第1制御器25は、直流電力Pdcから負荷電流Ioutのリップル量を推定するための変換テーブルと、推定したリップル量からパラメータの変更量を算出するための特性テーブルと、を備えているが、これらのテーブルに代えて、直流電力Pdcの大きさとパラメータの変更量との関係を示すテーブルを備えていてもよい。この場合、第1制御器25は、直流電力Pdcの大きさから、交流電力Pac2の大きさを制御するためのパラメータの変更量を直接算出することができる。その結果、処理時間の短縮が可能となる。さらに、第1制御器25は、特性テーブルを用いることなく、予め定められた計算式等を用いて、リップル量からパラメータの変更量を算出してもよい。
消費電力が少ない場合はPFCが不要となる。この場合、図5の(b)に示される整流後の電圧のピーク付近で一気に充電されるので、非接触給電システム1において、負荷電流Ioutのリップルを低減するための電力制御が行われない場合には、負荷電流Ioutの波形はのこぎり波となる。この場合には、整流後の電圧の変化量に応じて、駆動周波数fを補正することにより、負荷電流Ioutのリップルを低減することができる。
また、非接触給電システム1,1Aにおいて、第2制御器35は、第2検出器33によって測定された負荷電圧Vout、負荷電流Iout又は負荷電力Poutの波形に関する波形情報を生成してもよい。第1制御器25は、第2通信器34及び第1通信器24を介して第2制御器35から波形情報を受信し、波形情報に基づいて、交流電力Pac2を補正するように第1変換器22を制御してもよい。
具体的に説明すると、第2制御器35は、第2検出器33によって測定された負荷電圧Vout、負荷電流Iout又は負荷電力Poutの測定値から、所定期間ごとに負荷電流Ioutのリップル量を算出し、位相又はタイミングとリップル量との組み合わせを波形情報として生成する。波形情報におけるリップル量は、所望の電流量から負荷電流Ioutの電流量を減算した値である。所定期間は、例えば、上述の時間Δt以下であってもよく、第2制御器35に予め設定されている。第1制御器25は、波形情報に基づいて、負荷電流Ioutのリップル量が許容値以下であるか否かを判定する。許容値は、非接触給電システム1,1Aの回路、及び負荷Lに対して予め定められており、動作に影響を及ぼさない値である。第1制御器25は、波形情報に含まれるリップル量の絶対値が許容値よりも大きいと判定した場合、リップル量の絶対値が小さくなるように、パラメータの変更量を調整することによって交流電力Pac2の大きさを補正する。
例えば、波形情報に含まれるリップル量が正の値である場合、ゼロクロスタイミングに起因する負荷電流Ioutの減少分を十分に補完することができていないことを示す。このため、第1制御器25は、パラメータの変更量を調整することによって交流電力Pac2の大きさを大きくする。また、波形情報に含まれるリップル量が負の値である場合、ゼロクロスタイミングに起因する負荷電流Ioutの減少分を超えて負荷電流Ioutを増加していることを示す。このため、第1制御器25は、パラメータの変更量を調整することによって交流電力Pac2の大きさを小さくする。
このように、実際に負荷Lに供給されている負荷電圧Vout、負荷電流Iout又は負荷電力Poutの波形に応じて、交流電力Pac2の大きさが補正されるので、交流電力Pac1の電圧Vac1のゼロクロスに起因して生じるリップルをさらに確実に低減することが可能となる。