JP6547478B2 - エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 - Google Patents
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Description
[A]:エポキシ樹脂
[B]:ジシアンジアミド
[C]:イミダゾール環の1位の水素が置換されているイミダゾール化合物
[D]:酸性化合物
[a]:窒素気流下、100℃の等温で示差走査熱量分析計によりエポキシ樹脂組成物を分析したとき、100℃に達してから熱流量がピークトップに至るまでの時間が25分以下
[b]:窒素気流下、60℃の等温で示差走査熱量分析計によりエポキシ樹脂組成物を分析したとき、60℃に達してから熱流量がピークトップに至るまでの時間が15時間以上
[c]:エポキシ樹脂組成物中のイミダゾール環数に対するエポキシ基数の比が25以上90以下
本発明における[A]成分はエポキシ樹脂である。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノール化合物とジシクロペンタジエンの共重合体を原料とするエポキシ樹脂、ジグリシジルレゾルシノール、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタンのようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシレンジアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂が挙げられる。
本発明における[B]成分は、ジシアンジアミドである。ジシアンジアミドは、化学式(H2N)2C=N−CNであらわされる化合物である。ジシアンジアミドは、樹脂硬化物に高い力学特性や耐熱性を与える点で優れておりエポキシ樹脂の硬化剤として広く用いられる。かかるジシアンジアミドの市販品としては、DICY7、DICY15(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。
本発明における[C]成分は、イミダゾール化合物である。本発明において[C]成分は、[B]成分の硬化促進剤としてはたらく。イミダゾール化合物としては、例えば、次式(I)に一般式が示されるようなものを用いることができる。
本発明において、エポキシ樹脂組成物の硬化性の測定には、たとえば示差走査熱量分析計を用いた熱分析が用いられる。
本発明において、エポキシ樹脂組成物は、示差走査熱量分析計で100℃の等温測定を行った場合、100℃に達してから熱流量が発熱ピークトップに至るまでの時間をT(100)としたとき、T(100)が25分以下であることを特徴とし、好ましくは24分以下である。T(100)が25分以下であるエポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として用いることにより、プリプレグに優れた速硬化性を与えることができる。T(100)が25分より大きくなるエポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として用いたプリプレグでは、速硬化性が不十分なものとなる。
また、60℃で等温測定を行った場合、60℃に達してから熱流量が発熱ピークトップに至るまでの時間をT(60)としたとき、T(60)が15時間以上であることを特徴とし、好ましくは21時間以上である。T(60)が15時間以上であるエポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として用いることにより、プリプレグに長期的な保管安定性を与えることができる。15時間未満となるエポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として用いたプリプレグは、保管安定性が不十分なものとなる。
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物に関し、エポキシ樹脂組成物中のイミダゾール環数に対するエポキシ基数の比は、25以上90以下であることを特徴とする。25未満の場合、エポキシ樹脂の自己重合の割合が増加して樹脂硬化物が脆くなり、該エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として用いた炭素繊維複合材料の強度が低下する。90を超える場合、エポキシ樹脂組成物の硬化性が不足して脆くなり、やはり該エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として用いた炭素繊維複合材料の強度が低下する。
n種類のエポキシ樹脂を併用し、エポキシ樹脂組成物の総質量部がGであり、エポキシ当量がEx(g/eq)のエポキシ樹脂XがWx質量部配合されている場合のエポキシ樹脂組成物中の平均エポキシ当量は、以下の数式(1)によって算出することができる。(ここで、x=1、2、3、・・・、nである)
エポキシ樹脂組成物の総質量部がGであり、イミダゾール環当量I[g/eq]のイミダゾール化合物をW質量部配合した場合のエポキシ樹脂組成物中のイミダゾール環当量は、以下の数式(2)によって算出することができる。
エポキシ樹脂組成物中のイミダゾール環数に対するエポキシ基数の比は、以下の数式(3)によって上記(i)、(ii)の値を用いて算出することができる。
エポキシ樹脂組成物のエポキシ当量は250g/eq以上500g/eq以下である。250g/eq未満、または500g/eqより大きかった場合、硬化物の弾性率と撓みのバランスが悪くなり、該エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として用いた炭素繊維複合材料の強度が低下する。
本発明における[C]成分として用いられるイミダゾール化合物に関して、さらに詳しく説明する。
かかる付加物の市販品としては、“キュアダクト”(登録商標)P−0505(四国化成工業(株))や、“JERキュア”(登録商標)P200H50(三菱化学(株))が挙げられる。
かかる付加物の市販品としては、G−8009L(第一工業製薬(株))が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、[D]成分として、酸性化合物を添加することもできる。酸性化合物の添加は、エポキシ樹脂組成物のT(60)を増加させ、プリプレグの保管安定性を向上させるため好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、本発明の効果を失わない範囲において、[E]成分として熱可塑性樹脂を配合することができる。熱可塑性樹脂は本発明に必須の成分ではないが、エポキシ樹脂組成物に配合することにより、粘弾性を制御したり、硬化物に靭性を付与したりすることができる。
本発明で使用するエポキシ樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、カップリング剤や、熱硬化性樹脂粒子、または、カーボンブラック、カーボン粒子や金属めっき有機粒子等の導電性粒子、あるいはシリカゲル、クレー等の無機フィラーを配合することができる。これらの添加には、エポキシ樹脂組成物の粘度を高め、樹脂フローを小さくする粘度調整効果、樹脂硬化物の弾性率、耐熱性を向上させる効果、耐摩耗性を向上させる効果がある。
本発明のエポキシ樹脂組成物の作製には、例えばニーダー、プラネタリーミキサー、3本ロールおよび2軸押出機といった機械を用いて混練しても良いし、均一な混練が可能であれば、ビーカーとスパチュラなどを用い、手で混ぜても良い。
次に、繊維強化複合材料について説明する。本発明のエポキシ樹脂組成物を、強化繊維と複合一体化した後、硬化させることにより、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物をマトリックス樹脂として含む繊維強化複合材料を得ることができる。
繊維強化複合材料を得るにあたり、あらかじめエポキシ樹脂組成物と強化繊維からなるプリプレグとしておくことは、保管が容易となる上、取り扱い性に優れるため好ましいものである。プリプレグは、本発明のエポキシ樹脂組成物を強化繊維基材に含浸させて得ることができる。含浸させる方法としては、ホットメルト法(ドライ法)などを挙げることができる。
・エポキシ樹脂[A]
[A]−1 “jER”(登録商標)828(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:189、三菱化学(株)製)
[A]−2 “jER”(登録商標)1007(固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:1925、三菱化学(株)製)
[A]−3 “HP”(登録商標)7200H(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、エポキシ当量:279、DIC(株)製)。
[B]−1 DICY7(ジシアンジアミド、三菱化学(株)製)。
[C]−1 “キュアゾール”(登録商標)1B2MZ(イミダゾール環当量:172、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、一般式(I)において、R1がベンジル基、R2がメチル基、R3およびR4が水素原子である化合物、四国化成工業(株)製)
[C]−2 G−8009L(イミダゾール環当量:195、一般式(III)において、R 9 およびR 11 がエチル基、R 10 およびR 12 がメチル基、Zがヘキサメチレン基である化合物、第一工業製薬(株)製)
[C]−3 “キュアダクト”(登録商標)P−0505(イミダゾール環当量:280、一般式(II)において、R 5 およびR 7 がエチル基、R 6 およびR 8 がメチル基、Yがイソプロピリデン基である化合物、四国化成工業(株)製)
[C]−4 “キュアゾール”(登録商標)2PZ(イミダゾール環当量:144、2−フェニルイミダゾール、四国化成工業(株)製)
[C]−5 “キュアゾール”(登録商標)2E4MZ(イミダゾール環当量:110、2−エチル−4−メチルイミダゾール、四国化成工業(株)製)。
[C’]−1 DCMU99(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、保土ヶ谷化学工業(株)製)
[C’]−2 “Omicure”(登録商標)24(4,4’−メチレンビス(フェニルジメチルウレア、ピィ・ティ・アイ・ジャパン(株)製)。
[D]−1 p−ニトロ安息香酸(pka:3.4、東京化成工業(株)製)
[D]−2 安息香酸(pka:4.2、東京化成工業(株)製)
[D]−3 p−メトキシ安息香酸(pka:4.5、東京化成工業(株)製)
[D]−4 酢酸(pka:4.8、東京化成工業(株)製)
[D]−5 “キュアダクト”(登録商標)L−07N(酸性化合物としてホウ酸エステル化合物を5質量部含む組成物、四国化成工業(株)製)。
[E]−1 ”ビニレック“(登録商標)K(ポリビニルホルマール、JNC(株)製)。
(1)硬化促進剤マスター、硬化剤マスターの作製方法
液状樹脂である[A]−1(jER828)10質量部(エポキシ樹脂[A]100質量部のうちの10質量部)に対し、イミダゾール化合物[C]または硬化促進剤[C’]、および、酸性化合物[D]を含む場合は[D]を添加し、ニーダーを用いて室温で混練した。三本ロールを用いて混合物をロール間に2回通し、硬化促進剤マスターを作製した。硬化促進剤マスターにジシアンジアミド[B]を添加し、ニーダーを用いて室温で混練した後、三本ロールを用いてロール間に2回通し、硬化剤マスターを作製した。
ニーダー中に、エポキシ樹脂[A]のうち前記(1)で使用した[A]−1(jER828)10質量部を除くエポキシ樹脂[A]90質量部および熱可塑性樹脂[E]を投入し、混練しながら150℃まで昇温し、150℃において1時間混練することで、透明な粘調液を得た。粘調液を60℃まで混練しながら降温させた後、前記(1)で作製した硬化剤マスターを配合し、60℃において30分間混練することにより、エポキシ樹脂組成物を得た。
(1)T(100)
エポキシ樹脂組成物3mgをサンプルパンに量り取り、示差走査熱量分析計(Q−2000:TAインスツルメント社製)を用い、30℃から100℃/分で100℃まで昇温した後に3時間の等温測定を行った。昇温開始時刻から42秒後を等温測定開始時刻とし、等温測定開始時刻から熱流量が発熱ピークトップに至るまでの時間を測定し、100℃の等温測定時のピークトップまでの時間として取得した。測定は1つの水準あたり3サンプルずつ行い、その平均値を採用した。以後、本測定で得られた平均値をT(100)と表記する。
エポキシ樹脂組成物3mgをサンプルパンに量り取り、示差走査熱量分析計(Q−2000:TAインスツルメント社製)を用い、30℃から100℃/分で60℃まで昇温した後に30時間の等温測定を行った。昇温開始時刻から18秒後を等温測定開始時刻とし、等温測定開始時刻から熱流量が発熱ピークトップに至るまでの時間を測定し、60℃の等温測定時のピークトップまでの時間として取得した。測定は1つの水準あたり3サンプルずつ行い、その平均値を採用した。以後、本測定で得られた平均値をT(60)と表記する。なお、30時間たってもピークトップが現れなかった場合は、T(60)の値は30以上とした。
(i)エポキシ樹脂組成物の平均エポキシ当量の算出法
n種類のエポキシ樹脂を併用し、エポキシ樹脂組成物の総質量部がGであり、エポキシ当量がEx(g/eq)のエポキシ樹脂XがWx質量部配合されている場合のエポキシ樹脂組成物の平均エポキシ当量は、以下の式(1)によって算出した。(ここで、x=1、2、3、・・・、nである)
イミダゾール環当量I[g/eq]のイミダゾール化合物をW質量部配合した場合のエポキシ樹脂組成物のイミダゾール環当量は、以下の式(2)によって算出した。
エポキシ樹脂組成物中のイミダゾール環数に対するエポキシ基数の比は、以下の式(3)によって上記(i)、(ii)の値を用いて算出した。
エポキシ樹脂組成物中のジシアンジアミドは非溶解性の潜在性硬化剤であるので、ジシアンジアミドを除外したエポキシ樹脂組成物を作製し、イミダゾールの溶解性を確認した。具体的には、液状樹脂である[A]−1(jER828)10質量部(エポキシ樹脂[A]100質量部のうちの10質量部)に対し、イミダゾール化合物[C]または硬化促進剤[C’]、および、酸性化合物[D]を含む場合は[D]を添加し、ニーダーを用いて室温で混練した。混合物を三本ロールを用いロール間を2回通し、硬化促進剤マスターを作製した。ニーダー中に、エポキシ樹脂[A]のうち先に使用した[A]−1(jER828)10質量部を除くエポキシ樹脂[A]合計90質量部および熱可塑性樹脂[E]を投入し、混練しながら150℃まで昇温し、150℃において1時間混練することで、透明な粘調液を得た。粘調液を60℃まで混練しながら降温させた後、硬化促進剤マスターを配合し、60℃において30分間混練することにより得られたエポキシ樹脂組成物の性状を目視で確認した。
(1)樹脂硬化物の弾性率と撓み
エポキシ樹脂組成物を真空中で脱泡した後、2mm厚の“テフロン”(登録商標)製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中で、130℃の温度で90分間硬化させ、厚さ2mmの板状の樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物から、幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、スパンを32mm、クロスヘッドスピードを100mm/分とし、JIS K7171(1994)に従って3点曲げを実施し、弾性率および撓みを測定した。サンプル数n=5で測定した値の平均値を弾性率と撓みの値とした。
(1)プリプレグの作製方法
上記<エポキシ樹脂組成物の作製方法>に従い作製したエポキシ樹脂組成物を、フィルムコーターを用いて離型紙上に塗布し、目付が74g/m2の樹脂フィルムを作製した。
プリプレグの速硬化性は、プリプレグを20cm四方に切り取り、厚さ150μmの“テフロン”(登録商標)シートで挟み込み、150℃でプレスした後に、取り出した時の取り扱い性によって判定した。取り扱い性は以下の基準で判定し、AおよびBを合格とした。
A:3分後に取り出した時にプリプレグが変形しなかった。
B:3分後に取り出した時はプリプレグが変形したが、5分後に取り出した時は変形しなかった。
C:硬化速度が不十分で5分後に取り出した場合にプリプレグが変形した。
プリプレグの保管安定性は、プリプレグを10cm四方に切り取り、室温で100日放置した場合のガラス転移温度の増加量によって判定した。ガラス転移温度は、保管後のプリプレグ8mgをサンプルパンに測り取り、示差走査熱量分析計(Q−2000:TAインスツルメント社製)を用い、−50℃から50℃まで10℃/分で昇温して測定した。得られた発熱カーブの変曲点の中点をTgとして取得した。
(1)CFRPの一方向積層板の作製方法
CFRPの特性評価に用いる一方向積層板は、次の方法によって作製した。上記<プリプレグの作製方法>に従って作製した一方向プリプレグの繊維方向を揃え、13ply積層した。積層したプリプレグをナイロンフィルムで隙間のないように覆い、これをオートクレーブ中で130℃、内圧0.3MPaで2時間加熱加圧して硬化し、一方向積層板を作製した。
上記に従い作製した一方向積層板を、厚み2mm、幅15mm、長さ100mmとなるように切り出した。インストロン万能試験機(インストロン社製)を用いJIS K7074(1988)に従って3点曲げを実施した。スパンを80mm、クロスヘッドスピードを5.0mm/分、厚子径10mm、支点径4.0mmで測定を行い、0°曲げ強度を測定した。サンプル数n=6で測定した値の平均値を0°曲げ強度の値とした。
上記に従い作製した一方向積層板を、厚み2mm、幅15mm、長さ60mmとなるように切り出した。インストロン万能試験機(インストロン社製)を用いJIS K7074(1988)に従って3点曲げを実施した。スパンを40mm、クロスヘッドスピードを1.0mm/分、厚子径10mm、支点径4.0mmで測定を行い、90°曲げ強度を測定した。サンプル数n=6で測定した値の平均値を90°曲げ強度の値とした。
[A]エポキシ樹脂として“jER”(登録商標)828を40質量部、“jER”(登録商標)1007を30質量部、HP7200Hを30質量部、硬化剤として[B]ジシアンジアミドに該当するDICY7を4.0質量部、および硬化促進剤として[C]イミダゾール化合物に該当する“キュアゾール”(登録商標)1B2MZを2.2質量部、[D]酸性化合物としてp−ニトロ安息香酸を3.0質量部、[E]熱可塑樹脂として“ビニレック”(登録商標)Kを2.0質量部用い、上記<エポキシ樹脂組成物の作製方法>に従ってエポキシ樹脂組成物を作製した。
樹脂組成をそれぞれ表1に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、およびプリプレグを作製した。得られたプリプレグは、実施例1と同様、いずれも十分なタック性・ドレープ性を示した。
硬化促進剤をDCMU99(3.0質量部)に変更し、酸性化合物を添加しなかった以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成および評価結果は表2に示した。プリプレグの保管安定性および硬化物特性は良好であったが、エポキシ樹脂組成物のT(100)の値が40分と25分より長く、得られたプリプレグの速硬化性が不十分であった。
硬化促進剤を“Omicure”(登録商標)24(3.0質量部)に変更し、酸性化合物を添加しなかった以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成および評価結果は表2に示した。プリプレグの速硬化性および樹脂硬化物特性は良好であったが、エポキシ樹脂組成物のT(60)の値が10時間と15時間未満であり、プリプレグの保管安定性は不十分であった。
p−ニトロ安息香酸の部数を0.5質量部に変えた以外は実施例2と同じ組成で、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成および評価結果は表2に示した。プリプレグの速硬化性および硬化物特性は良好であったが、エポキシ樹脂組成物のT(60)の値が13時間と15時間未満であり、プリプレグの保管安定性は不十分であった。
G−8009Lの部数を0.7質量部に、p−ニトロ安息香酸の部数を1.0質量部に変えた以外は実施例4と同じ組成で、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成および評価結果は表2に示した。プリプレグの保管安定性は良好であったが、エポキシ樹脂組成物のT(100)の値が38分と25分より長く、得られたプリプレグの速硬化性が不十分であった。また、エポキシ樹脂組成物中のイミダゾール環数に対するエポキシ基数の比が93と90より大きく、樹脂硬化物の弾性率と撓みのバランスが悪化した。また、CFRPの90°曲げ強度は84MPaと低いものであった。
“キュアダクト”(登録商標)P−0505の部数を4.5質量部に、“キュアダクト”(登録商標)L−07Nの部数を3.0質量部に変えた以外は実施例8と同じ組成で、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成および評価結果は表2に示した。プリプレグの保管安定性および速硬化性は良好であったが、エポキシ樹脂組成物中のイミダゾール環数に対するエポキシ基数の比が21と25未満であり、得られた樹脂硬化物の弾性率と撓みのバランスが悪化した。また、CFRPの90°曲げ強度は83MPaと低いものであった。
硬化促進剤を“キュアゾール”(登録商標)2E4MZ(1.2質量部)に変更し、酸性化合物を添加しなかった以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成および評価結果は表2に示した。プリプレグの速硬化性および樹脂硬化物特性は良好であったが、エポキシ樹脂組成物のT(60)の値が4時間と15時間未満であり、プリプレグの保管安定性は不十分であった。
樹脂組成をそれぞれ表2に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および樹脂硬化物を作製した。評価結果は表2に示した。プリプレグの保管安定性は良好であったが、エポキシ樹脂組成物のT(100)の値が40分と25分より長く、得られたプリプレグの速硬化性が不十分であった。また、得られた樹脂硬化物の弾性率と撓みのバランスが悪化した。また、CFRPの0°曲げ強度は1385MPaと低いものであった。
樹脂組成をそれぞれ表2に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および樹脂硬化物を作製した。評価結果は表2に示した。プリプレグの保管安定性および速硬化性は良好であったが、エポキシ樹脂組成物の平均エポキシ当量が232g/eqと250g/eq未満であり、得られた樹脂硬化物の弾性率と撓みのバランスが悪化した。また、CFRPの0°曲げ強度は1468MPa、CFRPの90°曲げ強度は99MPaと低いものであった。
Claims (9)
- 次の成分[A]、[B]、[C]、[D]を含み、成分[C]の配合量が成分[A]100質量部に対し1.5〜4質量部であり、成分[D]の配合量が成分[A]100質量部に対し1.5〜4質量部であり、下記条件[a]、[b]、[c]を満たすことを特徴とする平均エポキシ当量が250g/eq以上500g/eq以下のエポキシ樹脂組成物。
[A]:エポキシ樹脂
[B]:ジシアンジアミド
[C]:イミダゾール環の1位の水素が置換されているイミダゾール化合物
[D]:酸性化合物
[a]:窒素気流下、100℃の等温で示差走査熱量分析計によりエポキシ樹脂組成物を分析したとき、100℃に達してから熱流量がピークトップに至るまでの時間が25分以下
[b]:窒素気流下、60℃の等温で示差走査熱量分析計によりエポキシ樹脂組成物を分析したとき、60℃に達してから熱流量がピークトップに至るまでの時間が15時間以上
[c]:エポキシ樹脂組成物中のイミダゾール環数に対するエポキシ基数の比が25以上90以下 - 成分[D]の酸性化合物がブレンステッド酸であり、そのpKaが4.3以下である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 成分[D]の酸性化合物がホウ酸またはホウ酸エステルである、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 成分[C]がエポキシ樹脂組成物中に溶解している、請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物と炭素繊維からなるプリプレグ。
- 請求項8に記載のプリプレグを硬化して得られる繊維強化複合材料。
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