以下、実施形態の電波受信装置を、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の電波受信装置1の構成を示すブロック図である。第1の実施形態の電波受信装置1は、受信アンテナ10と、受信アンプ12と、BPF(Band-pass filter)14と、AD(Analog-to-digital)コンバータ16と、受信信号処理部20と、高調波判定部30とを備える。
受信アンテナ10は、空間に放射された電波を受信して受信信号を生成する。受信アンテナ10により生成された受信信号は受信アンプ12に供給される。受信アンプ12は、受信信号の振幅を増幅する。BPF14は、アナログ信号である受信信号の周波数帯域のうち所望の周波数帯域の受信信号を通過させる。ADコンバータ16は、BPF14を通過した受信信号をデジタル信号に変換して受信信号処理部20および高調波判定部30に出力する。
受信信号処理部20は、第1DDC(デジタル・ダウン・コンバータ、Digital Down Converter)21と、第1NCO(Numerically Controlled Oscillator)22と、FFT処理部23と、受信処理部24とを備える。
第1DDC21は、ADコンバータ16により出力された受信信号のうち、受信信号の周波数帯域のうち所望の周波数帯域(第1の周波数帯域)の受信信号を通過させる。図2は、第1の実施形態においてBPF14および第1DDC21により通過させる受信信号の周波数帯域を示す図である。第1DDC21には、ADコンバータ16におけるサンプリング周波数fs(例えば1GHz)の受信信号が供給される。第1DDC21は、BPF14の通過周波数帯域BW(BPF)よりも狭い周波数fb1〜fb2の通過周波数帯域BW(DDC)の受信信号を通過させる。
図3は、第1の実施形態のDDCの構成例を示すブロック図である。第1DDC21は、例えば、ミキサ100および104と、デシメーションフィルタ102および106とを備える。デシメーションフィルタ102および106は、例えば、CIC(Cascaded Integration-Comb)フィルタおよびFIR(Finite Impulse-Response)フィルタ等のデジタルフィルタである。
ミキサ100および104には、ADコンバータ16により出力された受信信号がそれぞれ供給される。ミキサ100には、第1NCO22により生成されたSin波が供給され、ミキサ104には、第1NCO22により生成されたCos波が供給される。例えば、周波数が1/4fsの受信信号に同調させたい場合、ミキサ100にはSin(1/4fs)波を乗算し、ミキサ104には、Cos(1/4fs)波を乗算することにより、周波数が1/4fsの入力信号をDC(直流成分)信号に変換する。その後、変換された信号は、デシメーションフィルタ(102または106)で必要な帯域の信号に抑圧される。デシメーションフィルタ102は、例えば、受信信号のうち周波数帯域を1/2の帯域とする1/2デシメーション処理を行い、ベースバンド信号(I(In-phase)信号)をFFT処理部23に出力する。デシメーションフィルタ106は、例えば、受信信号のうち周波数帯域を1/2の帯域とする1/2デシメーション処理を行い、I信号に対して位相が90度ずれたベースバンド信号(Q(Quadrature-phase)信号)をFFT処理部23に出力する。
FFT処理部23は、受信電波を処理する処理期間ごとに、第1DDC21により出力されたI信号またはQ信号にフーリエ変換処理を行う。これにより、FFT処理部23は、第1DDC21を通過した周波数帯域における周波数毎の信号レベルを表す周波数スペクトル信号を生成する。FFT処理部23は、周波数スペクトル信号を受信処理部24および高調波判定部30に出力する。
受信処理部24は、FFT処理部23により出力された周波数スペクトル信号を用いて受信処理を行う。受信処理部24は、高調波判定部30の判定結果に基づいて、周波数スペクトル信号に含まれる信号のうち高調波成分の受信信号に対応した信号を除去する。受信処理部24は、例えば、受信処理として、受信アンテナ10に到来した受信電波を解析する処理を行う。
高調波判定部30は、受信信号のうち、基本波成分の受信信号に対する高調波成分の受信信号が含まれているか否かを判定する。高調波判定部30は、帯域抽出部31と、発振制御部32と、遅延部33と、第2DDC34と、第2NCO35と、第3DDC36と、第2NCO37と、判定部38とを備える。
帯域抽出部31は、FFT処理部23により生成された周波数スペクトル信号のうち、基準周波数Frefよりも低い周波数帯域の周波数スペクトル信号を抽出する。図4は、第1の実施形態におけるFFT処理部23により生成された周波数スペクトル信号に含まれる信号を示す図である。帯域抽出部31には、例えば電波受信装置1を使用する管理者の操作に基づいて基準周波数Frefが設定される。基準周波数Frefとは、BPF14および第1DDC21を通過した受信信号の周波数帯域のうち、基本波および2倍波の双方が含まれている可能性がある周波数帯域の上限周波数である。帯域抽出部31は、周波数スペクトル信号に対する処理負荷を抑制する観点より、基準周波数Frefの周波数を低くすることが望ましい。
図4に示すように、第1DDC21の通過周波数帯域BW(DDC1)のうち低い周波数帯域に周波数fr(例えば、0.1GHz)の基本波の受信信号F0(1)が存在する場合、当該基本波の2倍波(周波数2fr(例えば、0.2GHz))は、第1DDC21の通過周波数帯域BW(DDC1)内に存在する。2倍波の受信信号2F0(1)は、第1DDC21の通過周波数帯域BW(DDC1)内に存在するため、BPF14および第1DDC21によりレベルが抑圧されずに、受信電波に基づく信号として誤認識される可能性がある。一方、第1DDC21の通過周波数帯域BW(DDC1)のうち高い周波数帯域に基本波の受信信号F0(2)が存在する場合、2倍波の受信信号2F0(2)は、第1DDC21の通過周波数帯域BW(DDC1)外に存在する。2倍波の受信信号2F0(2)は、第1DDC21の通過周波数帯域BW(DDC1)外であるため、BPF14および第1DDC21によりレベルが抑圧されて、受信電波に基づく信号として誤認識される可能性が低い。
発振制御部32は、帯域抽出部31により抽出された周波数スペクトル信号から基準レベルLrefよりも高い信号レベルを示す周波数(第1の周波数)を検出する(周波数検出部)。発振制御部32には、例えば電波受信装置1を使用する管理者の操作に基づいて基準レベルLrefが設定される。基準レベルLrefとは、例えば、帯域抽出部31により抽出された周波数スペクトル信号のうち、受信処理部24において雑音ではなく受信信号として処理される信号レベルである。また、基準レベルLrefは、受信アンプ12の2次高調波に対する歪み特性と、受信信号のダイナミックレンジに基づいて変更されることが望ましい。発振制御部32は、周波数スペクトル信号に含まれる基準レベルLrefを超える信号レベルを示す周波数が存在するか否かを判定する。
発振制御部32は、周波数スペクトル信号から基準レベルLrefを超える信号レベルの周波数を検出した場合に、当該信号レベルの周波数rf(第1の周波数)で変化する疑似基本波信号を発振させる制御信号C1を第2NCO35に供給する。発振制御部32は、制御信号C1を出力すると同時に、疑似基本波信号周波数の2倍の周波数2fr(第2の周波数)で変化する疑似2倍波信号を発振させる制御信号C2を第2NCO37に出力する。
第2DDC34および第3DDC36は、第1DDC21と同様に、ミキサ100および104と、デシメーションフィルタ102および106とを備える。第2DDC34および第3DDC36のミキサ100および104には、受信電波を処理する処理期間における受信信号が遅延部33から供給される。遅延部33は、ADコンバータ16により出力された受信信号を所定の時間だけ遅延させて、第2DDC34および第3DDC36に出力する。遅延部33は、例えば、ADコンバータ16により受信信号が出力された時刻から制御信号C1およびC2が第2NCO35および第2NCO37に供給されて発振される時刻までの期間だけ受信信号の出力を遅延させる。また、第2DDC34のミキサ100および104には、第2NCO35により発振されたSin波およびCos波(疑似基本波信号)が供給される。第3DDC36のミキサ100および104には、第2NCO37により発振されたSin波およびCos波(疑似2倍波信号)が供給される。
この結果、第2DDC34は、ADコンバータ16により出力された受信信号のうち、疑似基本波信号の周波数(第1の周波数)を中心とした通過周波数帯域BW(DDC2)の受信信号を通過させる。これにより、第2DDC34は、受信アンテナ10により受信した受信信号から発振制御部32(周波数検出部)により検出された第1の周波数の受信信号を抽出する(第1の抽出部)。
第3DDC36は、ADコンバータ16により出力された受信信号のうち、疑似2倍波信号の周波数(第2の周波数)を中心とした通過周波数帯域BW(DDC3)の受信信号を通過させる。これにより、第3DDC36は、受信アンテナ10により受信した受信信号から発振制御部32(周波数検出部)により検出された第1の周波数の2倍の周波数である第2の周波数の受信信号を抽出する(第2の抽出部)。
図5は、第1の実施形態における第2DDC34の通過周波数帯域BW(DDC2)および第3DDC36の通過周波数帯域BW(DDC3)を示す図である。通過周波数帯域BW(DDC2)および通過周波数帯域BW(DDC2)は、通過周波数帯域BW(DDC1)よりも狭い所定の周波数帯域に設定される。
第2DDC34は、疑似基本波信号の周波数frを中心とした通過周波数帯域BW(DDC2)の信号が受信信号に含まれている期間において、I信号およびQ信号(IQ1)を立ち上げる。第2DDC34は、疑似2倍波信号の周波数2frを中心とした通過周波数帯域BW(DDC3)の信号が受信信号に含まれている期間において、I信号およびQ信号(IQ2)を立ち上げる。
判定部38は、第2DDC34により出力されたI信号およびQ信号(IQ1)、および第3DDC36により出力されたI信号およびQ信号(IQ2)が供給される。判定部38は、I信号およびQ信号(IQ1、第1の周波数の受信信号)とI信号およびQ信号(IQ2、第2の周波数の受信信号)との関係に基づいて、通過周波数帯域BW(DDC1)に受信信号の基本波および2倍波の双方が含まれているか否かを判定する(判定部)。
図6は、第1の実施形態におけるI信号およびQ信号(IQ1)とI信号およびQ信号(IQ2)との関係の一例を示す図である。図7は、第1の実施形態におけるI信号およびQ信号(IQ1)とI信号およびQ信号(IQ2)との関係の他の一例を示す図である。IQ1およびIQ2とは、例えば図4に示したように周波数rfの基本波の受信信号F0(1)および周波数2frの2倍波の受信信号2F0(1)の双方が含まれている場合、略同時刻t1に立ち上がり、且つ略同時刻t2に立ち下がる。一方、IQ1およびIQ2とは、疑似基本波信号の周波数の受信信号と疑似2倍波信号の周波数の受信信号とが別の信号である場合、異なる時刻(t1とt11)に立ち上がり、または異なる時刻(t2とt12)に立ち下がる。
判定部38は、IQ1とIQ2との関係が図6に示したような関係である場合には、疑似2倍波信号の周波数2rfの受信信号が、周波数rfの受信信号に対して2倍波の受信信号2F0であると判定する。判定部38は、IQ1とIQ2との関係が図7に示すような関係である場合には、疑似2倍波信号の周波数の受信信号が、周波数rfの受信信号に対して2倍波の受信信号ではないと判定する。判定部38は、判定結果を受信処理部24に出力する。受信処理部24は、FFT処理部23により出力された周波数スペクトル信号のうち判定部38により2倍波の受信信号2F0であると判定された周波数2frの信号レベルを低減して、受信処理を行う。すなわち、受信処理部24は、判定部38により通過周波数帯域BW(DDC1)に含まれていると判定された高調波の影響を低減させて受信信号の処理を行う。
さらに、高調波判定部30は、基本波と2倍波とが通過周波数帯域BW(DDC1)に存在するか否かを判定したが、基本波、2倍波および3倍波が通過周波数帯域BW(DDC1)に存在するか否かを判定してもよく、さらに高次の高調波が通過周波数帯域BW(DDC1)に存在するか否かを判定してもよい。
以上説明した第1の実施形態によれば、受信アンテナ10により受信した受信信号のうち所定の通過周波数帯域BW(DDC1)の受信信号を通過させるBPF14と、通過周波数帯域BW(DDC1)に含まれ且つ通過周波数帯域BW(DDC1)に含まれる基準周波数Frefよりも低い周波数帯域において、基準レベルLrefよりも高い信号レベルを示す第1の周波数を検出する帯域抽出部31および発振制御部32(周波数検出部)と、受信アンテナ10により受信した受信信号から帯域抽出部31および発振制御部32により検出された第1の周波数の受信信号を抽出する第2DDC34(第1の抽出部)と、受信アンテナ10により受信した受信信号から帯域抽出部31および発振制御部32により検出された第1の周波数の2倍の周波数である第2の周波数の受信信号を抽出する第3DDC36(第2の抽出部)と、第2DDC34により抽出された第1の周波数の受信信号と、第3DDC36により抽出された第2の周波数の受信信号との関係に基づいて、通過周波数帯域BW(DDC1)に受信信号の基本波および高調波が含まれているか否かを判定する判定部38とを持つ。第1の実施形態によれば、受信信号の基本波および高調波の双方が含まれている場合に通過周波数帯域BW(DDC1)に高調波が含まれていることを判定することができ、受信信号から高調波の影響を低減してより正確に電波を受信することができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態の電波受信装置を、図面を参照して説明する。なお、以下の第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同様の部分は同一符号を付することにより詳細な説明を省略する。
図8は、第2の実施形態の電波受信装置1Aの構成を示すブロック図である。第2の実施形態の電波受信装置1Aにおける高調波判定部30Aは、第1の実施形態における高調波判定部30が備える機能に加えて、フィルタ特性テーブル39を備える。図9は、第2の実施形態におけるフィルタ特性テーブル39を示す図である。フィルタ特性テーブル39は、受信信号の周波数帯域とBPF14および第1DDC21による受信信号の抑圧レベル[dB]との対応関係が設定されたデータである。フィルタ特性テーブル39に設定された受信信号の周波数帯域は、BPF14が受信信号を通過させる周波数帯域よりも低周波数側の帯域である。フィルタ特性テーブル39は、BPF14および第1DDC21により、例えば、20MHzの受信信号のレベルを30dB抑圧し、90MHzの受信信号のレベルを10dB抑圧することが設定される。
帯域抽出部31は、フィルタ特性テーブル39を参照して、周波数スペクトル信号に含まれる信号レベルのうち、BPF14により抑圧された信号レベルの低下分を復元する。帯域抽出部31は、周波数スペクトル信号に含まれる周波数毎の信号レベルに、フィルタ特性テーブル39に含まれる周波数毎の抑圧レベルを加算する。帯域抽出部31は、例えば、周波数スペクトル信号における10MHzの信号レベルに対して、フィルタ特性テーブル39における10MHzに対応して設定された40dB分の信号レベルを加算する。帯域抽出部31は、周波数スペクトル信号における90MHzの信号レベルに対して、フィルタ特性テーブル39における90MHzに設定された10dB分の信号レベルを加算する。
図10は、第2の実施形態における受信信号の周波数スペクトルとBPF14および第1DDC21の通過周波数帯域との関係を示す図である。図11は、第2の実施形態においてBPF14および第1DDC21により抑圧された信号のレベルを示す図である。図12は、第2の実施形態において、BPF14および第1DDC21により抑圧された受信信号のレベルを増加させることを説明する図である。
受信アンプ12により出力された受信信号には、例えば、図10に示すように、基本波成分の受信信号F0(3)が含まれる。受信信号F0(3)の周波数frは、周波数がBPF14および第1DDC21の通過周波数帯域よりも低周波側の周波数である。このため、受信信号F0(3)は、BPF14および第1DDC21に通過されることにより、信号レベルがL1からL2に抑圧され、基準レベルLrefよりも低い信号レベルとなる。このため、受信信号F0(3)の周波数は、発振制御部32において基本波の周波数として検出されない。一方、受信信号F0(3)の2倍波の受信信号2F0(3)は、図10に示すように基本波の受信信号F0(3)よりも低い信号レベルであってもBPF14により抑圧されずに、図11に示すように、基準レベルLrefよりも高い信号レベルとなる。このため、受信信号2F0(3)の周波数は、発振制御部32において基準レベルLrefよりも高い信号レベルの周波数として検出される。この結果、受信信号2F0(3)の周波数は、受信アンテナ10により受信電波を受信した結果により生じた信号レベルの周波数であると誤認識される可能性がある。
そこで、帯域抽出部31は、BPF14の低周波側のカットオフ周波数よりも低い周波数帯域において、BPF14により抑圧された信号レベルの低下分を復元することで、基準レベルLrefよりも高い信号レベルを示す第1の周波数を検出する(周波数検出部)。具体的には、帯域抽出部31は、周波数スペクトル信号のうちBPF14および第1DDC21の通過周波数帯域よりも低い周波数帯域の信号レベルに、BPF14および第1DDC21の抑圧レベルを加算する。これにより、帯域抽出部31は、図12に示すように、周波数スペクトル信号のうち受信信号F0(3)の信号レベルをL2からL3に増加させて、BPF14により抑圧された信号レベルの低下分を復元する。これにより、周波数スペクトル信号のうち受信信号F0(3)の信号レベルL3は、基準レベルLrefよりも高くなる。この結果、受信信号F0(3)の周波数は、発振制御部32において基準レベルLrefよりも高い信号レベルを示す第1の周波数として検出される。
図13は、第2の実施形態におけるBPF14および第1DDC21の通過周波数帯域BWよりも低周波側における信号レベルを説明する図である。BPF14および第1DDC21の通過周波数帯域よりも低い周波数帯域とは、BPF14の低周波側のカットオフ周波数(fb1)から、BPF14によって所定レベル以下まで信号レベルが抑圧される周波数f(low)までの周波数帯域である。周波数f(low)は、受信アンプ12により出力される受信信号の信号レベル、BPF14および第1DDC21により抑圧される信号レベルにより設定される。これにより、帯域抽出部31は、BPF14の低周波側のカットオフ周波数(fb1)から、BPF14によって所定レベル以下まで信号レベルが抑圧される周波数f(low)までの周波数帯域において、基準レベルLrefよりも高い信号レベルを示す第1の周波数を検出する。
発振制御部32は、周波数スペクトル信号から基準レベルを超える信号レベルL3の周波数を検出した場合に、受信信号F0(3)の周波数と同じ周波数frで変化する疑似基本波信号を発振させる制御信号C1を第2NCO35に供給する。発振制御部32は、制御信号C1を出力すると同時に、疑似基本波信号の周波数の2倍の周波数2frで変化する疑似2倍波信号を発振させる制御信号C2を第2NCO37に出力する。これにより、第2NCO35は、疑似基本波信号を第2DDC34に出力する。第2NCO37は、疑似2倍波信号を第3DDC36に出力する。
この結果、第2DDC34は、ADコンバータ16により出力された受信信号のうち、疑似基本波信号の周波数(第1の周波数)を中心とした通過周波数帯域BW(DDC2)の受信信号を通過させる。これにより、第2DDC34は、受信アンテナ10により受信した受信信号から発振制御部32(周波数検出部)により検出された第1の周波数の受信信号を抽出する(第1の抽出部)。なお、第2DDC34の通過周波数帯域BW(DDC2)は、周波数frを中心とした、通過周波数帯域BW(DDC1)よりも狭い範囲となる。
第3DDC36は、ADコンバータ16により出力された受信信号のうち、疑似2倍波信号の周波数(第2の周波数)を中心とした通過周波数帯域BW(DDC3)の受信信号を通過させる。これにより、第3DDC36は、受信アンテナ10により受信した受信信号から発振制御部32(周波数検出部)により検出された第1の周波数の2倍の周波数である第2の周波数の受信信号を抽出する(第2の抽出部)。なお、第3DDC36の通過周波数帯域BW(DDC3)は、周波数2frを中心とした、通過周波数帯域BW(DDC1)よりも狭い範囲となる。
判定部38は、第2DDC34により出力されたI信号およびQ信号(IQ1)、および第3DDC36により出力されたI信号およびQ信号(IQ2)が供給される。判定部38は、I信号およびQ信号(IQ1、第1の周波数の受信信号)とI信号およびQ信号(IQ2、第2の周波数の受信信号)との関係に基づいて、通過周波数帯域BW(DDC1)に受信信号の基本波および2倍波の双方が含まれているか否かを判定する(判定部)。
判定部38は、図6に示したように、IQ1とIQ2とが略同時に立ち上がりおよび立ち下がることを判定した場合、受信信号2F0(3)の周波数2frが、受信信号F0(3)の高調波成分の周波数であることを判定する。判定部38は、図7に示したように、IQ1とIQ2とが略同時に立ち上がらない、またはIQ1とIQ2とが略同時に立ち下がらないことを判定した場合、受信信号2F0(3)の周波数2frが、受信信号F0(3)の高調波成分の周波数ではないと判定する。
受信処理部24は、FFT処理部23により出力された周波数スペクトル信号のうち判定部38により2倍波の受信信号であると判定された周波数2frの信号レベルを低減して、受信処理を行う。すなわち、受信処理部24は、判定部38により通過周波数帯域BW(DDC1)に含まれていると判定された高調波の影響を低減させて受信信号の処理を行う。
以上説明した第2の実施形態によれば、受信アンテナ10により受信した受信信号のうち所定の通過周波数帯域BW(DDC1)の受信信号を抽出するBPF14と、BPF14の低周波側のカットオフ周波数よりも低い周波数帯域において、BPF14により抑圧された信号レベルの低下分を復元することで、基準レベルLrefよりも高い信号レベルを示す第1の周波数を検出する帯域抽出部31および発振制御部32(周波数検出部)と、受信アンテナ10により受信した受信信号から帯域抽出部31および発振制御部32により検出された第1の周波数の受信信号を抽出する第2DDC34(第1の抽出部)と、受信アンテナ10により受信した受信信号から帯域抽出部31および発振制御部32により検出された第1の周波数の2倍の周波数である第2の周波数の受信信号を抽出する第3DDC36(第2の抽出部)と、第3DDC36により抽出された第2の周波数の受信信号との関係に基づいて、通過周波数帯域BW(DDC1)に受信信号の基本波および高調波が含まれているか否かを判定する判定部38とを持つ。第2の実施形態によれば、通過周波数帯域BW(DDC1)に受信信号の高調波が含まれている場合に、当該高調波を検出することができ、受信信号から高調波の影響を低減してより正確に電波を受信することができる。
(変形例)
図14は、実施形態の変形例の電波受信装置1Bを示すブロック図である。変形例の電波受信装置1Bは、複数の高調波判定部30−1〜30N(Nは任意の自然数)を備える。複数の複数の高調波判定部30−1〜30Nは、ADコンバータ16により出力された受信信号をそれぞれ受信して、同時に異なる周波数の2倍波が受信信号に存在することを検出する。この場合、複数の高調波判定部30−1〜30Nは、周波数スペクトル信号のうち基準レベルLrefを超える複数の信号レベルについて疑似基本波信号および疑似2倍波信号をそれぞれ発振させて、IQ1およびIQ2の関係に基づいて、通過周波数帯域BW(DDC1)に基本波と2倍波の双方が含まれているか否かをそれぞれ判定する。変形例の電波受信装置1Bによれば、複数の高調波判定部30−1〜30Nにより周波数スペクトル信号に含まれる基本波と2倍波との組が存在するかを並行して判定することができる。なお、図14は、第1の実施形態の変形例を示したが、第2の実施形態も同様に変形することができる。
なお、実施形態の電波受信装置は、上述した第1の実施形態の電波受信装置1の機能と第2の実施形態の電波受信装置1Aの機能の双方を併せ持っていてもよい。この実施形態の電波受信装置は、BPF14の通過周波数帯域に含まれる基本波に対応した高調波、およびBPF14の通過周波数帯域よりも低周波数側の基本波に対応した高調波の双方を検出することができる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、アンテナにより受信した受信信号のうち基準レベルより高いレベルの周波数の受信信号を抽出する第2DDC34(第2の抽出部)と、アンテナにより受信した受信信号のうち基準レベルより高いレベルの周波数の2倍の周波数の受信信号を抽出する第3DDC36(第3の抽出部)と、第2DDC34により抽出された結果と、第3DDC36により抽出された結果との関係に基づいて、通過周波数帯域に受信信号の高調波が含まれているか否かを判定する判定部38とを持つことにより、通過周波数帯域に受信信号の高調波が含まれている場合に、当該高調波を検出することができ、受信信号から高調波の影響を低減してより正確に電波を受信することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。