ところで、上記特許文献1の取付装置では、照準合わせ、穴あけスリーブを照準合わせアーム14のクロスボア24と回転自在スリーブ16のクロス開口部18とによって挟み付けることによって保持しているため、保持力は摩擦力にのみ依存するとともに、回転自在スリーブ16のクロス開口部18の開口縁は接触面積が小さいので、保持力が小さいという問題点がある。特に、髄内釘に挿通させ、骨に係合させた骨接合具を引っ張ることによって骨折部分を整復しようとすると、骨接合具を照準合わせ、穴あけスリーブに対して牽引することで相対的にスリーブを患者側に押し付けることになる。このとき、上記の保持力が充分でないためにスリーブが照準合わせアーム14に対して移動すると、スリーブの先端が骨に食い込んでしまい、骨接合具に十分な牽引力を与えることができなくなるとともに、整復作業を十分に制御することができなくなるという問題がある。また、手術の手順において、上記取付装置に同時に二本以上の案内スリーブを取り付けることが望ましい場合があるが、二本以上の案内スリーブを取り付けると、特許文献1の構造では、二本以上の案内スリーブに対して均等な保持力を与えることが困難であり、一方の案内スリーブには挟持による充分な保持力が加えることができても、他方の案内スリーブでは保持力が不足することが多い。
一方、特許文献2の構造では、すり割り構造の締め付けにより案内スリーブを挟圧保持していることから、挟圧部分の摩擦力に依存している点は上記と同様であり、上記のような圧縮力が加わる状況では保持力が不足し、上記と同様の問題が生ずる虞がある。また、上記と同様に二本以上の案内スリーブを取り付ける場合には、通常、ナット105に近い下側の案内スリーブには充分な保持力を加えることができても、下側の案内スリーブの存在により上側の案内スリーブの保持力が不足することがある。
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、案内スリーブに対する保持力を十分に確保することのできるインプラントの取付装置、並びに、これを備えた骨固定システム、を実現することにある。
斯かる実情に鑑み、本発明のインプラントの取付装置は、骨に装着されるインプラントに接続される接続端部を備えるとともに前記インプラントが体内に配置されたときに前記接続端部から体外へ導出されるように延在する接続部と、該接続部の体外の端部に接続されることにより体外において前記骨又は前記インプラントと対面する位置に配置されて、前記骨又は前記インプラントに向かう方位を設定する案内支持部と、該案内支持部に装着されることで前記骨又は前記インプラントに向けて方向付けられ、骨適用具を前記骨又は前記インプラントに向けて案内する導入案内孔を備えた案内スリーブと、を具備し、前記案内スリーブは案内方向に延在するラックを外面上に有し、前記案内支持部は、前記案内スリーブが装着されたときに前記ラックと噛合する歯先を備えるとともに回転可能に軸支された歯車と、該歯車の回転禁止状態と回転許容状態とを切り替え可能に構成する回転切替機構と、該回転切替機構を切替操作するための切替操作手段と、を有することを特徴とする。
本発明において、前記案内支持部は、前記案内スリーブを受け入れて前記骨又は前記インプラントに向けて方向付ける取付案内孔を有し、前記歯車の前記歯先は前記取付案内孔内に突出して前記ラックと噛合することが好ましい。
本発明において、前記回転切替機構は、前記取付案内孔の外側で前記歯車の歯先部分と噛合可能に構成された噛合保持部材を有し、該噛合保持部材は、前記回転切替機構を切替操作するための切替操作手段の動作により、前記歯先部分に噛合して前記歯車の回転を禁止する回転禁止位置と、前記歯先部分から離間して前記歯車の回転を許容する回転許容位置との間を進退可能となるように構成されることが好ましい。
本発明において、前記歯車を回転許容状態に維持しつつ、前記歯車に回転抵抗を付与する回転抵抗付与手段をさらに具備することが好ましい。この回転抵抗付与手段は、前記取付案内孔の外側の前記噛合保持部材とは異なる角度位置にある前記歯車の歯先部分に向けて付勢された状態で係合する回転抵抗付与部材を備えることが望ましい。
本発明において、前記案内スリーブは、複数の相互に異なる前記導入案内孔を一体に有することが好ましい。例えば、前記案内スリーブは、相互に平行な軸線を有する、第1の骨適用具を案内する第1の導入案内孔と、前記第1の骨適用具とは異なる形状を有する第2の骨適用具を案内する第2の導入案内孔とを一体に構成した一体型案内スリーブが例示される。
本発明において、前記回転切替機構を切替操作するための切替操作手段は、前記案内支持部に操作可能に取り付けられた切替操作部材と、該切替操作部材の動作に応じて前記回転切替機構を動作させる連動部材とから構成されることが好ましい。
次に、本発明の別のインプラントの取付装置は、骨に装着されるインプラントに接続される接続端部を備えるとともに、前記インプラントが体内に配置されたときに前記接続端部から体外へ導出されるように延在する接続部と、該接続部の体外の端部に接続されることにより体外において前記骨又は前記インプラントと対面する位置に配置されて、前記骨又は前記インプラントに向かう方位を設定する案内支持部と、該案内支持部に装着されることで前記骨又は前記インプラントに向けて方向付けられ、骨適用具を前記骨又は前記インプラントに向けて案内する導入案内孔を備えた案内スリーブと、を具備し、前記案内支持部は、前記案内支持部に装着された前記案内スリーブに係合可能となるように移動可能に配置された弾性体と、該弾性体が前記案内スリーブに係合して弾性変形することにより前記案内スリーブを前記案内支持部に押し付ける押付状態と、前記弾性体が前記案内スリーブに係合しないか、或いは、前記押付状態よりも前記弾性体の弾性変形量が少ない非押付状態とを切り替え可能に構成する押付切替機構と、該押付切替機構を切替操作するための切替操作手段と、を有することを特徴とする。
本発明において、前記案内支持部は、前記案内スリーブを受け入れて前記骨又は前記インプラントに向けて方向付ける取付案内孔を有し、前記弾性体は、前記押付状態において一方側から前記案内スリーブの外面に係合し、前記案内スリーブを前記取付案内孔の他方側の内面部分に押し付けることが好ましい。この場合において、前記一方側から前記案内スリーブの相互に離間した位置にそれぞれ当接する一対の前記弾性体を設けることが望ましい。
本発明において、前記押付切替機構は、前記取付案内孔の外側で前記取付案内孔の軸線方向と交差する方向に移動可能に配置されるとともに前記弾性体を取り付け保持した取付保持部材を有し、該取付保持部材は、前記押付切替機構を操作するための切替操作手段の動作により、前記弾性体が前記押付状態にあるときの押付位置と、前記弾性体が前記非押付状態にあるときの非押付位置との間を進退可能となるように構成されることが好ましい。
本発明において、前記案内支持部は、第1の前記案内スリーブを装着可能な第1の前記取付案内孔と、第2の前記案内スリーブを装着可能な第2の前記取付案内孔とを有し、前記第1の案内スリーブと前記第2の案内スリーブとは同時に装着可能に構成され、前記第1の案内スリーブに係合可能な第1の前記弾性体と、前記第2の案内スリーブに係合可能な第2の前記弾性体とを有することが好ましい。
本発明において、前記押付切替機構を操作するための切替操作手段は、前記案内支持部に操作可能に取り付けられた切替操作部材と、該切替操作部材の動作に応じて前記押付切替機構を動作させる連動部材とから構成されることが好ましい。
本発明において、前記案内スリーブは案内方向に延在するラックを外面上に有し、前記案内支持部は、前記案内スリーブが装着されたときに前記ラックと噛合する歯先を備えるとともに回転可能に軸支された歯車と、該歯車の回転禁止状態と回転許容状態とを切り替え可能に構成する回転切替機構と、該回転切替機構を操作するための切替操作手段とをさらに有することが好ましい。
この場合において、前記押付切替機構を操作するための切替操作手段は前記回転切替機構を操作するための切替操作手段と共通の、前記案内支持部に操作可能に取り付けられた切替操作部材と、該切替操作部材の動作に応じて前記回転切替機構及び前記押付切替機構を動作させる連動部材とから構成されることが望ましい。
本発明の骨固定システムは、骨に装着されるインプラントと、前記骨又は前記インプラントに係合する骨適用具と、前記インプラントに接続される接続端部を備えるとともに前記インプラントが体内に配置されたときに前記接続端部から体外へ導出されるように延在する接続部と、該接続部の体外の端部に接続されることにより体外において前記骨又は前記インプラントと対面する位置に配置されて、前記骨又は前記インプラントに向かう方位を設定する案内支持部と、該案内支持部に装着されることで前記骨又は前記インプラントに向けて方向付けられ、前記骨適用具を前記骨又は前記インプラントに向けて案内する導入案内孔を備えた案内スリーブと、を具備し、前記案内スリーブは案内方向に延在するラックを外面上に有し、前記案内支持部は、前記案内支持部に装着されたときに前記ラックと噛合する歯先を備えるとともに回転可能に軸支された歯車と、該歯車の回転禁止状態と回転許容状態とを切り替え可能に構成する回転切替機構と、該回転切替機構を操作するための切替操作手段とを有することを特徴とする。
本発明の別の骨固定システムは、骨に装着されるインプラントと、前記骨又は前記インプラントに係合する骨適用具と、前記インプラントに接続される接続端部を備えるとともに、前記インプラントが体内に配置されたときに前記接続端部から体外へ導出されるように延在する接続部と、該接続部の体外の端部に接続されることにより体外において前記骨又は前記インプラントと対面する位置に配置されて、前記骨又は前記インプラントに向かう方位を設定する案内支持部と、該案内支持部に装着されることで前記骨又は前記インプラントに向けて方向付けられ、前記骨適用具を前記骨又は前記インプラントに向けて案内する導入案内孔を備えた案内スリーブと、を具備し、前記案内支持部は、前記案内支持部に装着された前記案内スリーブに係合可能となるように移動可能に配置された弾性体と、該弾性体が前記案内スリーブに係合して弾性変形した状態で前記案内スリーブを前記案内支持部に押し付ける押付状態と、前記弾性体が前記案内スリーブに係合しないか、或いは、前記押付状態よりも前記弾性体の弾性変形量が少ない非押付状態とを切り替え可能に構成する押付切替機構と、該押付切替機構を操作するための切替操作手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、案内スリーブに対する保持力を十分に確保することのできるインプラントの取付装置、並びに、これを備えた骨固定システム、を実現できるという優れた効果を奏し得る。
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。最初に、図1及び図2を参照して本発明に係る第1実施形態のインプラントの取付装置及び骨固定システムについて説明する。
図1(a)に示すように、第1実施形態の取付装置200は、インプラントとしての髄内釘110に連結される接続端部211と、この接続端部211から延在し、全体としてU字状に湾曲した接続アーム212とを備えた接続部210を有している。接続端部211は、髄内釘110の基端部と嵌合し、図示しないボルトにより連結固定できるように構成されている。接続部210は、髄内釘110が体内に配置されたとき、体内から体外へ導出されるように、好ましくは屈折状若しくは湾曲状に、形成される。なお、多くの場合には、予め体外で髄内釘110と取付装置200とが連結され、その後、取付装置200を把持した状態で髄内釘110が体内へ挿入される。
上記接続部210の体外に配置された先端部には案内支持部220が接続されている。この案内支持部220は、後述する案内スリーブを装着可能な取付案内孔221a〜221dを備えた案内本体部221と、この案内本体部221の図示上方に設けられ、上記接続部210と接続可能に構成された接続端部222と、上記案内本体部221の図示下方に取り付けられ、上記案内支持部220の先端に設けられた切替操作部材223とを備えている。
案内本体部221には、複数(図示例では4つ)の取付案内孔221a〜221dが設けられている。これらの複数の取付案内孔221a〜221dの中には、相互に開口範囲が重なり合うものがあり、また、相互に平行な軸線を有するものがあり、さらには、相互に異なる方向の軸線を有するものがある。図示例では、取付案内孔221aは、案内支持部220の軸線220xに対して斜め上方へ向けて伸びるように傾斜した軸線221axを有し、左右幅よりも上下幅が大きな非円形断面を有する。ここで、取付案内孔221aは後述する一体型案内スリーブに対応するもので、この一体型案内スリーブの後述する3つの導入案内孔の軸線を含むものとなっている。一方、取付案内孔221b〜221dは、相互に平行で、案内支持部220の軸線220xに対して直交する水平な軸線を有し、基本的に円形断面を有する。
接続端部222は上記接続部210の先端部分に嵌合し、図2(a)に示すように、図示しないボルト等で接続部210に固定されている。また、切替操作部材223は、案内本体部221に対して回転自在に取り付けられている。切替操作部材223の回転軸線は案内支持部220の軸線(垂直線)220xと一致している。
図2に示すように、案内本体部221において、取付案内孔221aの上方には、歯車224が回転可能に取り付けられている。歯車224の回転軸線は、取付案内孔221aの軸線と直交する方向に伸び、当該軸線に対してねじれの位置にある。また、歯車224の歯先224aは、その一部が取付案内孔221aの内部に突出し、歯先の他の部分及び歯元部分は回転軸線を含めて全て取付案内孔221aの外側に配置されている。歯車224の歯先224aのうち取付案内孔221aの外側に配置される部分には、図2(d)に示すように、回転抵抗付与部材に相当するプランジャー225のボール226が係合している。このボール226は、背後に収容されたコイルばね227によって付勢され、歯先224aに押し付けられている。プランジャー225は、ボール226を歯先224aに押し付けることによって、歯車224に一定の回転抵抗を付与し、歯車224を歯先224aがボール226と嵌合した角度位置に保持する。
また、歯車224の歯先224aのうちの取付案内孔221aの外側に配置される他の部分には、図2(e)及び(h)に示すように、案内本体部221に固定された取付軸228に取り付けられたロック作動体229が隣接配置されている。取付軸228とロック作動体229は回転切替機構を構成する。ロック作動体229は上記取付軸228が挿入された長孔229aを有し、取付軸228に対して長孔229aの長軸方向に移動可能となるように取り付けられている。また、ロック作動体229の先端には、歯車224の歯先224aに対面する噛合保持部材であるロックピン229bが背後に設けられたコイルばね等の弾性部材229cにより歯車224の側に常に突出するように付勢された状態で取り付けられている。このロックピン229bが歯車224の歯先224aから離間した状態では歯車224の回転は許容された状態にあるが、ロック作動体229が上記長軸方向の歯車224の側に移動すると、このロックピン229bが歯車224の歯先224aと噛合し、歯車224の回転が禁止される。なお、弾性部材229cは、ロックピン229bが歯車224に対して歯車224の回転を禁止するために必要な力(その弾性力)以上の力を及ぼすことを防止するものである。さらに、ロック作動体229は、上記の回転が許容された状態を実現するために、コイルばね等の弾性部材229dにより歯車224から離反する側に向けて常に付勢されている。
切替操作部材223は、案内本体部221の先端において回転可能に取り付けられている。また、切替操作部材223は、軸孔を有する円筒状に形成され、その軸孔の内面に形成された雌ねじが、案内本体部221の内部に収容される連動部材に相当する昇降部材230の外周に形成された雄ねじに螺合している。この昇降部材230は、案内本体部221の下部に設けられた軸孔内において昇降可能かつ回転不能となるように収容されている。より具体的に言えば、昇降部材230には軸線と直交する方向に保持ピン231が挿通され、この保持ピン231が案内本体部221に設けられた長孔221eに嵌合することにより、昇降部材230を長孔221eの長軸に沿って移動可能としつつ、軸線周りには回転不能となるように取り付けている。この昇降部材230には、案内本体部221の内部において案内支持部220の軸線220xと平行に移動可能に収容された取付保持部材232の取付部232bが係合している。
案内本体部221の正面には上記長孔221eから保持ピン231の端面231aが露出する。この端面231aの位置を、案内本体部221の表面に付けられたマーキング(文字や図形など、図示せず)などを参考に確認することで、切替操作部材223の操作状態、昇降部材230の連動位置、取付保持部材232や弾性体234〜236の動作位置、ロック作動体229の動作位置に対応して、案内支持部220が「解放状態」と「固定状態」のいずれにあるか、を知ることができる。
取付保持部材232は、上記取付案内孔221a〜221dの開口範囲と重ならないように、当該開口範囲に対応する開口部232aを備えている。図示例では、取付保持部材232は孔状に構成された上記開口部232aの周囲を取り囲むような枠形状に構成される。この昇降部材230は、手術者の操作によって生ずる上記切替操作部材223の回転動作に応じて案内本体部221内で昇降動作し、これによって取付保持部材232を昇降動作させる連動部材である。なお、この連動部材は、切替操作部材223の動作に応じて取付保持部材232を連動させるものであればよく、上記のような螺合による連動作用を用いるものに限らず、カムやリンクなどの各種の連動機構を用いることができる。
取付保持部材232の上記開口部232aの開口縁には、複数の弾性体234、235、236が取り付けられている。図示例では、上記取付案内孔221bに対応する一対の弾性体234,234と、上記取付案内孔221cに対応する一対の弾性体235,235と、上記取付案内孔221dに対応する一対の弾性体236,236とは、それぞれ、各取付案内孔221b〜221dの左右の幅方向両側にある上記開口縁に一つずつ取り付けられている。このように幅方向に互いに離間した一対の弾性体で後述するように案内スリーブに係合し、下方へ押し付けることにより、案内スリーブに対して安定した押付力を及ぼすことができるとともに、弾性体の弾性変形による密着状態や接触面積の増大に起因する保持力の増大を図ることができる。
取付保持部材232の上端に設けられた係合部232cは取付案内孔221aよりも上方に配置され、上記ロック作動体229に背後から当接している。ロック作動体229は前述のように弾性部材229dにより歯車224から離反する向きに付勢されることにより、上記係合部232cに押し付けられた状態とされる。
図2(a)及び(b)は、上記ロックピン229bが離反して上記歯車224の回転が許容された状態であって、かつ、上記弾性体234〜236が上方位置にあって取付案内孔221b〜221dに装着された後述する案内スリーブ(図示せず)を保持しない「解放状態」を示している。一方、図2(f)及び(g)は、上記ロックピン229bが噛合して歯車224の回転が禁止された状態であって、かつ、上記弾性体234〜236が下方位置にあって取付案内孔221b〜221dに装着された後述する案内スリーブ(図示せず)を下方に押し付けることにより保持する「固定状態」を示している。
上記「解放状態」では、図2(a)及び(b)に示すように、切替操作部材223に連動する昇降部材230及び取付保持部材232が上方位置に配置され、その結果、係合部232cも上方位置にあるため、上記ロック作動体229が弾性部材229dにより歯車224から離反した回転許容位置に保持され、ロックピン229bが歯車224と噛合しないため、歯車224は回転が許容された状態にある。また、取付保持部材232が上方位置にあるため、これに取り付けられた弾性体234〜236も上方位置にあって、取付案内孔221b〜221dの内部に深く進入することがない位置、好ましくは取付案内孔の外側にある位置である非押付位置に配置される。
一方、切替操作部材223を回転させると、昇降部材230も回転し、その結果、上記取付保持部材232が下方位置に降下するため、上記係合部232cがロック作動体229を歯車224の側に押し出し、その結果、ロックピン229bが歯車224に噛合して、歯車224の回転が禁止される。また、取付保持部材232が下方位置に降下すると、上記弾性体234〜236も下方位置に降下して取付案内孔221b〜221dの内部に進入し、後述する案内スリーブに係合して、弾性変形しながら密着し、各案内スリーブを下方へ押し付ける。その結果、案内スリーブは、取付案内孔221b〜221dの下側の内面に押し付けられた状態(弾性体による押付状態)となる。
次に、第2実施形態のインプラントの取付装置200を図3及び図4を参照して説明する。この第2実施形態の基本構造は上記第1実施形態の取付装置と同様であるため、同一部分には同一符号を付し、それらの部分の説明は省略する。本実施形態が第1実施形態と異なる点は、インプラントである髄内釘110に向かう斜め方向である取付案内孔221aの軸線221axの傾斜角度が第1実施形態の125度よりも大きい130度である点である。また、その結果、第1実施形態において案内支持部220のインプラント側の取付案内孔221aよりも下方にある位置に設けられていた取付案内孔221bの配置スペースを、本実施形態では確保できなくなったため、取付案内孔221bを案内支持部220のインプラントとは逆の手前側の取付案内孔221aよりも上方にある位置に設けている。
さらに、第1実施形態では、取付案内孔221b〜221dが案内支持部220のインプラント側に偏って配置されるため、取付保持部材232も案内支持部220の内部のインプラント側に偏った位置において作動するように配置されていた。しかし、本実施形態では、上述のように取付案内孔221bがインプラントとは逆の手前側に設けられるため、これに合わせて、もうひとつの取付保持部材233を案内支持部220の内部のインプラントとは逆の手前側に偏った位置において作動するように設けている。これによって、弾性体235及び236は第1実施形態と同様に取付保持部材232の開口部232aの開口縁の下方部分に取り付けられたままであるが、弾性体234は新たな取付保持部材233の開口部233aの開口縁の上方部分に取り付けられる。新たな取付保持部材233は、取付保持部材232と同様に上記昇降部材230に取り付けられた取付部233bを有し、上記と同様に切替操作部材223の動作に応じた昇降部材230の昇降動作とともに取付保持部材232と同様に昇降動作する。これにより弾性体234も昇降する。したがって、弾性体234が降下すると、取付案内孔221bに挿通される案内スリーブに係合してこれを取付案内孔221bの下方の内面に押し付け、保持することによって「固定状態」を実現する。
次に、上記第1及び第2実施形態の取付装置200に共通に含まれる案内スリーブについて図5〜図10を参照して説明する。なお、本明細書における案内スリーブは、上記案内支持部220に装着されることにより、インプラントである髄内釘110に向けて方向付けされるものであり、後述するラグスクリュー10やエクストラ(回旋防止)スクリュー若しくはピン20、ディスタル(末端の横止め)スクリューなどのような、インプラントである髄内釘110と骨の双方に係合させる骨接合具を導入する際に案内するものに限らず、これらと交代的に用いるように構成された、骨接合具を導入するための穿孔を行うドリルを案内するドリルスリーブであってもよく、また、上記骨接合具や上記ドリルを案内するためのガイドピンを案内するガイドピンスリーブであってもよい。本明細書では、骨接合具に加えて上記のドリルやガイドピンを含めた概念として骨適用具という用語を用いる。ただし、以下の例では、骨接合具やドリルを案内するための案内スリーブであって、この案内スリーブの内部に追加的に装着することによってガイドピンを案内することが可能になるタイプの案内スリーブ、複数の案内孔を有する一体型bの案内スリーブ、ドリルを案内するドリルスリーブと、これと交代的に用いることのできるディスタルスクリューを案内するスクリュー案内スリーブなどについて説明する。
図5には、上記取付案内孔221aに装着される一体型案内スリーブ240を示す。この一体側案内スリーブ240は、上記取付案内孔221aに装着可能な案内スリーブであり、下方にある第1の導入案内孔241と、上方にある一対の第2の導入案内孔242、242とを有する。第1の導入案内孔241の軸線241xと一対の第2の導入案内孔242の軸線242xは相互に平行である。第1の導入案内孔241は、図11、図13及び図14に示す骨接合具であるラグスクリュー10を案内するためのガイド孔であり、基端開口241aと先端開口241bとを備えた貫通孔である。第1の導入案内孔241の基端開口241aに近い内面部分には雌ねじ部241cが形成されている。
第1の導入案内孔241は、穿孔時のドリルスリーブとして、また、ラグスクリュー10を導入するためのスリーブとして用いられる。ただし、これらの穿孔作業やラグスクリュー10の導入作業よりも前に、ガイドピンを導入する場合には、図6(b)に示すガイドピンスリーブ245を挿入して行うように構成されている。このガイドピンスリーブ245には、ガイドピンを挿通可能な軸孔245aが設けられるとともに、外周ローレットを備えた基端部245bと、この基端部245bよりも少し先端寄りに形成された雄ねじ部245cとを有する。上記基端部245bを把持してガイドピンスリーブ245を基端開口241aから第1の導入案内孔241内に挿入し、その雄ねじ部245cを上記雌ねじ部241cにねじ込むように回転させることにより、ガイドピンスリーブ245を第1の導入案内孔241に取付固定することができる。
第1の導入案内孔241の先端開口241bは、孔の軸線241xに対して傾斜した開口縁を備えている。これは、取付案内孔221aの傾斜角度125度、130度に対応し、図9に二点鎖線で示すように、後述する大腿骨Aの外側の皮質骨表面に対する開口縁の角度を小さくする作用を奏する。この作用は、後述する第2の導入案内孔242の先端開口242bの開口縁と大腿骨Aとの隙間を低減すると言う効果をもたらす。この効果は、後述するエクストラスクリュー若しくはピン20を大腿骨A内に導入する際に皮質骨表面上の隙間に軟部組織が入り込むことにより、エクストラスクリュー若しくはピン20の挿入が阻害されることを防止する。
第2の導入案内孔242は、基端開口242a及び先端開口242bを備えた貫通孔である。第2の導入案内孔242の基端開口242aに近い上部壁面には係合機構242cが取り付けられ、この係合機構242cの内部は導入案内孔242に連通している。係合機構242cには、導入案内孔242の外部に配置された支点243aと、この支点243aの一方側に設けられた、導入案内孔242の内部に突出可能な係合爪243bと、上記支点243aの他方側に設けられた、係合機構242cの外壁から外部に突出した操作部243cとを備えた係合レバー243が設けられている。操作部243cはコイルばね等の弾性部材243dにより上方へ付勢され、その結果、係合爪243bは、常時、第2の導入開口孔242内に突出する向きに付勢されている。
一対の第2の導入案内孔242,242は、穿孔時のドリルスリーブとして、また、エクストラスクリュー若しくはピン20を導入するためのスリーブとして用いられ、左右の幅方向に並列している。ただし、これらの穿孔作業やエクストラスクリュー若しくはピン20の導入作業よりも前に、ガイドピンを導入する場合には、図6(a)に示すガイドピンスリーブ246を挿入して行うように構成されている。このガイドピンスリーブ246は、基端軸246Aと先端軸246Bが入子式に構成されて、伸縮可能な軸体が構成されている。具体的には、二点鎖線で示す領域の拡大図に示すように、基端軸246Aの先端側部分の内部に先端軸246Bの基端側部分が摺動自在に挿入され、両軸の軸孔によって軸孔246aが形成される。両軸の嵌入部分にはコイルばね等の弾性部材246bと、伸長限界を定めるためのストッパピン246cとが設けられている。また、基端軸246Aの外面には環状溝246dが形成されている。
第2の導入案内孔242内に上記ガイドピンスリーブ246を先端から挿入すると、上記係合レバー243の係合爪243bは上方へ押し上げられ、やがて上記環状溝246dに係合爪243bが嵌合することによって、ガイドピンスリーブ246が一体型案内スリーブ240の第2の導入案内孔242内に固定される。このとき、ガイドピンスリーブ246の先端軸246Bは第2の導入案内孔242の先端開口242bから突出し、上記コイルばね246bによって突出方向に付勢された状態となっている。このため、ガイドピンスリーブ246を用いる場合には先端軸246Bの突出によって、先端軸246Bの先端開口と大腿骨Aとの間に隙間が生じないようになっている。これは、上述のように隙間への軟部組織の入り込みによるガイドピン導入の障害を回避するためである。なお、ガイドピンスリーブ245及び246を上記一体型案内スリーブ240に挿入したときの各スリーブの軸線と直交する面上の位置関係は図6(c)に示されている。ここで、一体型案内スリーブ240からガイドピンスリーブ246を取り外す時には、係合レバー243の操作部243cを押し下げることで弾性部材243dに抗して係合爪243bを上昇させて上記環状溝246dから外すことにより、ガイドピンスリーブ246を引き抜くことが可能になる。
なお、ガイドピンスリーブ246は、上記のような伸縮構造を備えたものでなく、伸縮しない固定構造を備えた、一定の長さを有するものであってもよい。この場合、ガイドピンスリーブ246の長さは、一体型案内スリーブ240の一対の第2の導入案内孔242の長さよりも長いことが好ましい。これは、ガイドピンスリーブ246の先端部が一体型案内スリーブ240の先端から突出した状態で、ガイドピンスリーブ246の後端部を操作して、ガイドピンスリーブ246の先端部の位置を調整することを可能にし、調整作業により、ガイドピンスリーブ246の先端部を骨表面に容易に接近若しくは当接させることができるようにするためである。この固定構造を備えたガイドピンスリーブ246を第2の案内孔242に挿通した状態で取付固定する手段としては、上記と同様に、上記係合機構242cと、これに対応する環状溝246dとを用いることができる。ただし、上記の調整作業を考慮すると、固定構造を備えたガイドピンスリーブ246においては、上記ガイドピンスリーブ245と同様のねじ構造のような、取付固定位置を或る程度軸線方向に調整可能な取付固定手段を構成することが好ましい。
一体型案内スリーブ240の外面(図示例では上面)には、軸線方向に延在するラック244が形成されている。このラック244は、上記歯車224の歯先224aと噛合可能に構成されている。図9に示すように、一体型案内スリーブ240を取付案内孔221aに装着したとき、一体型案内スリーブ240は取付案内孔221aの軸線221axに沿って方向付けられるとともに、歯車224の歯先224aはラック244と噛合する。なお、一体型案内スリーブ240の取付案内孔221aへの装着時には上記「解放状態」とし、歯車224の回転が許容されるようにしておく必要がある。このとき、プランジャー225の付勢されたボール226が歯車224の歯先224aに係合していることによって、歯車224には一定の回転抵抗が付与されるため、案内スリーブの軸線221axに沿った位置を歯車224の上記プランジャー225による保持角度に対応する位置に保持できるとともに、感触によって一体型案内スリーブ240のラック244が歯車224を回転させている様子が感じ取れるようになっている。したがって、案内スリーブを骨の表面に当接するまでインプラント側へ押し込んだとき、骨に近接しているが骨を圧迫しない位置に案内スリーブが自動的に位置決め保持され、しかも、そのように位置決めされた状態を感触によって確認することができる。その結果、案内スリーブが適切な位置に保持されたことを感触で確かめた上で、上記切替操作部材223を操作し、「固定状態」に移行させることができる。
ここで、上述のように切替操作部材223を回転操作することにより、昇降部材230及び取付保持部材232、233が降下するので、ロック作動体229が歯車224の側へ移動し、ロックピン229bが歯先224aに噛合することによって「固定状態」とされ、歯車224の回転は禁止される。これによって、一体型案内スリーブ240は案内支持部220に対して取付案内孔221aの軸線221axの方向に固定される。この「固定状態」においては、上記ガイドピンスリーブ245,246を用いたガイドピンの導入作業、ドリルによる穿孔作業、ラグスクリュー10及びエクストラスクリュー若しくはピン20の導入作業などが順次に実施される。回転が禁止された歯車224とラック244の噛合は、従来の摩擦力に頼った小さな保持力とは比較できないほどの大きな保持力をもたらす。これにより、案内支持部220による案内スリーブの保持力が弱い場合に、骨表面に先端が当接した案内スリーブが前進し、案内スリーブの先端が骨内に進入することで、骨折部に適切な整復力や圧縮力を加えることができなくなる、といったことを防止できる。例えば、ラグスクリュー10を骨頭部内に螺入した後には、骨折部を整復するために、案内スリーブを介してラグスクリュー10を牽引し、骨折部にコンプレッションをかける。このとき、案内スリーブには牽引力の反力として圧迫力が加わるため、当該圧迫力により案内スリーブが前進し、その先端が骨内に埋没してしまう。高齢者の脆弱な骨では案内スリーブはさらに埋没しやすくなる。また、骨折部の整復状態を維持するために、脚部に取り付けた装具により下肢全体を牽引する場合がある。この場合には、全体の牽引力がさらに大きくなるため、圧迫操作時において案内スリーブに加わる圧迫力もさらに増大し、案内スリーブはさらに前進しやすくなる。本実施形態の上記保持構造では、案内スリーブの先端が当接する骨が脆弱な場合でも、或いは、案内スリーブに加わる圧迫力が大きい場合でも、案内支持部220に案内スリーブが確実に保持固定されるため、骨折部に対して確実かつ容易に整復力や圧縮力を加えることができる。
また、このような固定手法の構成や保持力の大きさは、取付案内孔221aの内面形状や案内スリーブの外面形状に依存しないため、案内支持部220や案内スリーブの設計自由度を大幅に拡大させる。さらに、歯車224の回転禁止による案内スリーブの固定構造は、案内支持部における案内スリーブの位置決め精度に何ら影響を与えないため、従来構造よりも案内スリーブの方向精度を高めることができる。例えば、従来構造の挟み込みや挟み付けによる案内スリーブの保持構造では、案内スリーブに保持力を与えたときに案内支持部220の保持構造自体が変形するため、案内スリーブの方向精度を悪化させる虞があるが、本実施形態では、歯車224を回転許容状態から回転禁止状態に移行させても案内スリーブの方向精度は全く悪化しない。
図7は上記取付案内孔221b〜221dに装着可能な案内スリーブの一例としてのドリルスリーブ250を示す正面(外観)図(a)、縦断面図(b)及び基端面図(c)である。このドリルスリーブ250を案内支持部220に固定することによって、ディスタルスクリュー用の穿孔作業を実施することができる。上記「解放状態」において取付案内孔221b〜221dに挿通した後に切替操作部材223を操作して上記「固定状態」とすることにより、弾性体234〜236が上方からドリルスリーブ250の外面に当接し、このドリルスリーブを取付案内孔221b〜221dの下側の内面に押し付けた状態で保持する。弾性体234〜236はドリルスリーブ250の外面に当接したときに弾性変形して密着するとともに接触面積が増大するため、従来構造よりも確実かつ強力な保持力を得ることができる。また、弾性体234〜236の弾性変形は、これらの弾性体自身の位置や形状による案内スリーブの方向精度への影響をなくすとともに、これらの弾性体とは反対側にある取付案内孔221b〜221dの内面部分(図示下方の内面部分)への押付力をもたらすため、案内スリーブの方向性精度が当該内面部分のみによって決められることになるから、案内スリーブの方向精度を従来構造よりも向上させることができる。
図8は上記取付案内孔221b〜221dに装着可能な案内スリーブの一例としてのスクリュースリーブ260を示す正面(外観)図(a)、縦断面図(b)及び基端面図(c)である。このスクリュースリーブ260を案内支持部220に固定することによって、末端の横止めスクリューであるディスタルスクリューの導入作業を実施することができる。このスクリュースリーブ260は、上記「解放状態」において取付案内孔221b〜221dに挿通した後に切替操作部材223を操作して上記「固定状態」とすることにより、上記ドリルスリーブ250と同様に保持される。図10は、スクリュースリーブ260を取付案内孔221bと221dに挿通した様子を示す。このように、二本以上の案内スリーブを同時に取付案内孔に装着することができるが、このとき、本実施形態では、取付保持部材232、233に取り付けられた弾性体234〜236が個々の案内スリーブに係合して、個々の取付案内孔221b〜221dの内面部分に対して押し付け固定するため、従来構造のように一方の案内スリーブの保持力が不十分になるといったことが生じないとともに、各案内スリーブの方向精度をいずれも確保できる。なお、ドリルスリーブ250や他の案内スリーブを二本以上同時に装着したときも同様である。
図11には、本実施形態の取付装置200に対応するインプラントの一例としての髄内釘110、ラグスクリュー10、エクストラスクリュー若しくはピン20の大腿骨Aへの取付態様を示す。髄内釘110の近位部111には、基端に開口部113aを有する軸孔113が設けられ、この軸孔113に連通する第1の横断孔114と、この第1の横断孔114よりも基端側に形成された左右一対の第2の横断孔115f、115bとが形成されている。なお、外面溝111a、111bは、第2の横断孔115f、115bの開口縁の強度を向上させて損傷を防止するための補強溝、並びに、外観上の識別性を得るための識別マークである。
図12に示すように、エクストラスクリュー若しくはピン20は、シャフト部21と、このシャフト部21の先端に形成された刃先部22と、六角穴などの工具係合部23aを備えた頭部23とを有する。エクストラスクリュー若しくはピン20は、大腿骨頭部Cの回旋を防止するために挿入される回旋防止部材であり、図12はスクリューの例を示すが、図11に示すように単なるピンであってもよい。
図13に示すように、第1の横断孔114を通して大腿骨頭部Cにねじ込まれるラグスクリュー10は、シャフト部11と、このシャフト部11の先端に形成されたスクリュー12と、シャフト部11の基端に形成された基端部13とを有し、必要に応じて、シャフト部11の外面に回転止め用の係合凹溝17や、軸線方向のスライドを規制するための凹凸構造18などを設けることができる。係合凹溝17や凹凸構造18は、軸孔113に挿入される図示しないセットスクリューの先端と係合し、第1の横断孔114に挿通され、頭部Cにねじ込まれたラグスクリュー10の髄内釘110に対する回転やスライドを規制する。頭部Cを大腿骨Aの骨幹部に対して正規の位置に整復させるには、手術中にラグスクリュー10を後方へ引き戻す必要があるが、このときにラグスクリュー10の基端に係合させた器具を介して圧縮力を生じさせると、案内スリーブ240には大腿骨Aに向けて押し込まれる方向の力が作用する。しかしながら、本実施形態の場合、案内スリーブ240が案内支持部220に対して充分な保持力を持って固定されているため、上記の力によって案内スリーブ240が大腿骨Aに向けて移動することはなく、したがって、容易に整復作業を実施することができる。
尚、本発明のインプラントの取付装置及び骨固定システムは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態ではいずれも、インプラントとして大腿骨Aの近位端の骨折部分を固定するための髄内釘に接続する場合の取付装置について説明したが、インプラントとして、CHS(コンプレッションヒップスクリュー)や骨プレートなどを対象とする取付装置であっても構わない。また、上記実施形態では、歯車224が取付案内孔221aの上方に配置され、ラック244が案内スリーブ240の上面に形成されているが、歯車224及びこれと噛合するラック244の位置は下方でも側方でもよい。さらに、上記実施形態では、取付保持部材232,233を下方へ移動させることで解放状態から固定状態へ切り替えるようにしているが、取付保持部材232,233を上方や側方へ移動させることで解放状態から固定状態へ切り替えるようにしても構わない。