JP6541467B2 - 無機微粒子分散体 - Google Patents
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[1]アルキルベンゼンスルホン酸塩と、有機溶剤と、前記有機溶剤に溶解するバインダーと、無機微粒子と、を含有する無機微粒子分散体であって、
前記無機微粒子が、アクリロイルオキシ基を有する有機けい素化合物で表面処理された無機微粒子、あるいは無機酸化物であり、
前記バインダーの量は、前記無機微粒子分散体1質量部に対して、0.23質量部以上0.90質量部以下であり、
前記無機微粒子の量は、前記バインダー1質量部に対して、0.05質量部以上1.6質量部以下であり、
前記アルキルベンゼンスルホン酸塩の量は、前記バインダー1質量部に対して、0.000005質量部以上0.00003質量部以下であり、
前記表面処理された無機微粒子は、前記有機けい素化合物の不完全縮合物を、無機微粒子原料1質量部に対して、0.02質量部以上0.2質量部以下で用いて表面処理されてなり、
前記バインダーが、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位Aを、繰り返し単位の総数に対して14.5モル%以上有する共重合体である無機微粒子分散体。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の無機微粒子分散体は、アルキルベンゼンスルホン酸塩、有機溶剤、有機溶剤に溶解するバインダー、及び無機微粒子を含有する。以下、その詳細について説明する。
本発明の無機微粒子分散体は、無機微粒子を含有する。無機微粒子の種類は特に限定されない。但し、バインダーとの相性の観点から、アクリロイルオキシ基を有する有機けい素化合物で表面処理された無機微粒子が好ましい。アクリロイルオキシ基を有する有機けい素化合物で表面処理する無機微粒子(無機微粒子原料)は、アクリロイルオキシ基を有する有機けい素化合物で表面処理しうるものであれば特に限定されない。一方、無機微粒子が、アクリロイルオキシ基を有する有機けい素化合物で表面処理されたものでない場合、無機微粒子は無機酸化物であることが好ましい。無機酸化物の具体例としては、酸化チタン、酸化マグネシウム、アルミナ、シリカ、無機蛍光体等を挙げることができる。無機微粒子の形状は、球状、多面体状、紡錘状、針状、板状等のいずれであってもよい。また、無機微粒子は、無孔質と多孔質のいずれでもよい。これらの無機微粒子は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリロイルオキシ基を有する有機けい素化合物で表面処理した無機微粒子を調製する方法の具体例としては、以下に示す(i)〜(v)に示す方法を挙げることができる。なかでも、(iii)の方法が好ましい。
(i)無機微粒子の存在下、アクリロイルオキシ基を有する有機けい素化合物を混練し複合材料化する方法
(ii)無機微粒子存在下、アクリロイルオキシ基を有する有機けい素化合物を加水分解してシラノール基を発生させた後、脱水縮合し、無機微粒子の表面に付着させる方法
(iii)アクリロイルオキシ基を有する有機けい素化合物を脱水縮合したものを、無機微粒子存在下でラジカル重合してアクリロイルオキシ基を反応させ、無機微粒子の表面で固着させる方法
(iv)アクリロイルオキシ基を有する有機けい素化合物をラジカル重合して高分子量体化したものを、無機微粒子存在下で混練して複合材料化する方法
(v)アクリロイルオキシ基を有する有機けい素化合物を脱水縮合して無機微粒子の表面に付着させる方法
本発明の無機微粒子分散体は、バインダーとの相性の観点から、アルキルベンゼンスルホン酸塩を含有する。アルキルベンゼンスルホン酸塩は、一般的にpH2〜13の範囲で解離しうるため、有機溶剤中でも安定的に溶解する。アルキルベンゼンスルホン酸塩の具体例としては、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ハード型)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ソフト型)などを挙げることができる。なかでも、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ハード型)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ソフト型)が好ましい。これらのアルキルベンゼンスルホン酸塩は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機溶剤は、バインダーを溶解しうるものであれば特に限定されない。有機溶剤の具体例としては、トルエン、メチルエチルケトン、クロロホルム、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン、ピリジン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ヘキサン、ヘプタンなどを挙げことができる。なかでも、トルエン、テトラヒドロフラン、メタノール、アセトンが好ましい。これらの有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の無機微粒子分散体は、有機溶剤中の無機微粒子の混和安定性を改善し、かつ、無機微粒子を均一に塗工するための成分として、バインダーを含有する。バインダーは、無機微粒子との相性の観点から選択される。具体的には、バインダーは、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位Aを有する共重合体である。
本発明の無機微粒子分散体には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、各種の添加剤を添加することができる。添加剤の具体例としては、粘度調整剤、pH調整剤、光増感剤、消泡剤等を挙げることができる。
本発明の無機微粒子分散体は、例えば、以下に示す手順にしたがって調製することができる。まず、バインダーと有機溶剤を混合して撹拌し、バインダーを有機溶剤に溶解させる。次いで、アルキルベンゼンスルホン酸塩を添加し、アルキルベンゼンスルホン酸塩が溶解するまでさらに撹拌する。その後、無機微粒子を添加して撹拌すれば、無機微粒子分散体を得ることができる。無機微粒子が凝集しやすい性質を有する場合には、超音波を印加してもよい。但し、超音波を印加すると熱が発生するので、冷却しながら超音波を印加することが好ましい。
無機微粒子の比重が大きい(1.5以上)場合や、無機微粒子の平均粒子径が1μm以上である場合には、無機微粒子分散体を静置すると比較的短時間で無機微粒子が沈降することがある。このため、無機微粒子分散体を塗工するには、塗工前に撹拌して無機微粒子の沈降を解消するとともに、撹拌後に速やかに塗工することが好ましい。また、撹拌によって気泡の発生や混入が懸念される場合には、撹拌後に脱泡することが好ましい。
使用した有機けい素化合物の一覧を表1に示す。有機けい素化合物1及び4としては市販品を使用した(市販品1及び2)。また、有機けい素化合物2及び3としては、以下に示す手順にしたがって合成したもの(合成例1及び2)を使用した。
冷却管を備えた反応容器に、商品名「KBM−503」(信越シリコーン社製)92.64部(0.37モル)、脱水ブタノール69.45部、及び水20.13部(1.12モル)を入れた。撹拌しながら120℃に設定したオイルバス中で28時間反応させて、有機けい素化合物2を得た。得られた有機けい素化合物2を1H−NMR(商品名「ECA400」、日本電子社製)により分析したところ、δ0.60ppm(2H,t)、δ1.15−1.30ppm(9H,m)、δ1.70ppm(2H、t)、δ3.75−3.90ppm(6H、m)に、「−(CH2)2−Si−(OCH2CH3)3」の構造に由来するスペクトルが観測された。また、得られた有機けい素化合物2を130℃で30分加熱し、加熱前後の質量変化から算出した固形分は31.4%だった。
商品名「KBM−503」を、商品名「KBM−5103」(信越シリコーン社製)87.42部(0.37モル)に変更したこと以外は、前述の合成例1と同様にして有機けい素化合物3を得た。得られた有機けい素化合物3を1H−NMR(商品名「ECA400」、日本電子製)により分析したところ、δ0.60ppm(2H,t)、δ1.15−1.30ppm(9H,m)、δ1.70ppm(2H、t)、δ3.75−3.90ppm(6H、m)に、「−(CH2)2−Si−(OCH2CH3)3」の構造に由来するスペクトルが観測された。また、得られた有機けい素化合物3を130℃で30分加熱し、加熱前後の質量変化から算出した固形分は31.4%だった。
使用した無機微粒子の一覧を表2に示す。無機微粒子6〜24については、以下に示す手順(表面処理例1〜9)にしたがって表面処理して調製したものを使用した。なお、表2中の略号の意味を以下に示す。
YAG:イットリウム・アルミニウム・ガーネット
Ce:セリウム
Mg:マグネシウム
無機微粒子 100部、有機けい素化合物1 7部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.6部、及びトルエン150部を混合して撹拌した。
トルエンを留去した後、混合物を容器に平らに入れ、低圧水銀ランプ(商品名「UVO−CLEANER model No.342」、Jelight Company Inc.製、ランプ高さ5cm)を使用し、1分間UV照射して硬化させて表面処理された無機微粒子を得た。なお、装置に入れやすいように混合物を4つに分け、各1回ずつUV照射した。
冷却管を備えた反応容器に、無機微粒子100部、有機けい素化合物1 7部、脱水ブタノール69.45部、及び水1.52部を入れた。撹拌しながら120℃に設定したオイルバス中で28時間反応させた。反応終了後にろ取して、表面処理された無機微粒子を得た。
有機けい素化合物1 7部を有機けい素化合物4 7部に変更したこと以外は、前述の表面処理例2と同様にして、表面処理された無機微粒子を得た。
有機けい素化合物1 7部を有機けい素化合物4 7部に変更したこと以外は、前述の表面処理例1と同様にして、表面処理された無機微粒子を得た。
有機けい素化合物1 7部を有機けい素化合物2 22.3部に変更したこと以外は、前述の表面処理例1と同様にして、表面処理された無機微粒子を得た。
有機けい素化合物1 7部を有機けい素化合物3 22.3部に変更したこと以外は、前述の表面処理例1と同様にして、表面処理された無機微粒子を得た。
無機微粒子100部、有機けい素化合物4 7部、及びトルエン150部を容器に入れて混合及び撹拌した後、トルエンを留去して混合物を得た。得られた混合物を酸化ジルコニウム製の容器に入れ、商品名「MIX−ROTAR VMR−3」(AS ONE社製)を使用して60rpmで24時間混練処理し、表面処理された無機微粒子を得た。
有機けい素化合物4 7部を有機けい素化合物3 22.3部に変更したこと以外は、前述の表面処理例7と同様にして、表面処理された無機微粒子を得た。
冷却管を備えた反応容器に、無機微粒子100部、有機けい素化合物3 22.3部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル4.9部、及びトルエン200部を入れた。窒素雰囲気下、撹拌しながら、80℃に設定したオイルバス中で7時間反応させた。反応終了後にろ過して、表面処理された無機微粒子を得た。
使用したバインダーの一覧を表3に示す。バインダー1〜15は、以下に示す手順にしたがって合成した。なお、表3中の略号の意味を以下に示す。
St:スチレン
MMA:メタクリル酸メチル
nBA:アクリル酸ノルマルブチル
冷却管、窒素導入口、温度計、及び撹拌装置を備えた4つ口フラスコに、窒素雰囲気下、メタクリル酸(2−メトキシエチル)50.0部(0.347モル)、スチレン71.0部(0.682モル)、及びトルエン489部を入れ、撹拌しながら80℃に設定したオイルバスに設置した。内部温度が75℃になったところで、トルエン20部に溶解させたアゾビスイソブチロニトリル1.14部を投入し、内部温度が75℃となるように撹拌した。ゲルパーミッションクロマトグラフィ(GPC、商品名「HLC8220」、東ソー社製)で分子量をモニタリングしながら重合を進め、分子量が所望の値に達したところで氷水冷却して反応を停止し、バインダー1を得た。GPCにより測定した、透析法により精製したバインダー1の重量平均分子量は、25,500であった。また、高感度型示差走査熱量計(DSC、商品名「DSC7020」、SII社製)を使用して測定したガラス転移温度Tgは、60℃であった。
メタクリル酸(2−メトキシエチル)50.0部(0.347モル)をメタクリル酸(2−エトキシエチル)121部(0.765モル)に変更し、アゾビスイソブチロニトリル1.14部を1.13部に変更し、かつ、スチレンを用いなかったこと以外は、前述のバインダー1の場合と同様にして、バインダー2を得た。GPCにより測定した、透析法により精製したバインダー1の重量平均分子量は、26,000であった。また、DSCを使用して測定したガラス転移温度Tgは、−16℃であった。
メタクリル酸(2−メトキシエチル)50.0部(0.347モル)に代えてメタクリル酸(2−エトキシエチル)100部(0.632モル)を用いるとともに、スチレン71.0部(0.682モル)を23.2部(0.223モル)に変更したこと以外は、前述のバインダー1の場合と同様にして、バインダー3を得た。GPCにより測定した、透析法により精製したバインダー3の重量平均分子量は、25,750であった。また、DSCを使用して測定したガラス転移温度Tgは、0℃であった。
メタクリル酸(2−メトキシエチル)50.0部(0.347モル)を100部(0.694モル)に変更し、スチレン71.0部(0.682モル)を6.5部(0.062モル)に変更し、トルエン489部を430部に変更し、アゾビスイソブチロニトリル1.14部を1.05部に変更したこと以外は、前述のバインダー1の場合と同様にして、バインダー4を得た。GPCにより測定した、透析法により精製したバインダー4の重量平均分子量は、26,250であった。また、DSCを使用して測定したガラス転移温度Tgは、20℃であった。
メタクリル酸(2−メトキシエチル)50.0部(0.347モル)を80部(0.555モル)に変更し、スチレン71.0部(0.682モル)を41.3部(0.397モル)に変更し、アゾビスイソブチロニトリル1.14部を1.15部に変更したこと以外は、前述のバインダー1の場合と同様にして、バインダー5を得た。GPCにより測定した、透析法により精製したバインダー5の重量平均分子量は、25,000であった。また、DSCを使用して測定したガラス転移温度Tgは、40℃であった。
メタクリル酸(2−メトキシエチル)50.0部(0.347モル)をメタクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル30部(0.159モル)に変更し、スチレン71.0部(0.682モル)を97.4部(0.935モル)に変更し、アゾビスイソブチロニトリル1.14部を1.16部に変更したこと以外は、前述のバインダー1の場合と同様にして、バインダー6を得た。GPCにより測定した、透析法により精製したバインダー6の重量平均分子量は、25,750であった。また、DSCを使用して測定したガラス転移温度Tgは、60℃であった。
メタクリル酸(2−メトキシエチル)50.0部(0.347モル)をメタクリル酸(2−エトキシエチル)30部(0.190モル)に変更し、スチレン71.0部(0.682モル)を82.7部(0.794モル)に変更し、トルエン489部を450部に変更し、アゾビスイソブチロニトリル1.14部を1.09部に変更したこと以外は、前述のバインダー1の場合と同様にして、バインダー7を得た。GPCにより測定した、透析法により精製したバインダー7の重量平均分子量は、26,000であった。また、DSCを使用して測定したガラス転移温度Tgは、60℃であった。
メタクリル酸(2−メトキシエチル)50.0部(0.347モル)をメタクリル酸(2−エトキシエチル)30部(0.190モル)に変更し、スチレン71.0部(0.682モル)をメタクリル酸メチル74.5部(0.744モル)に変更し、トルエン489部を430部に変更し、アゾビスイソブチロニトリル1.14部を1.04部に変更したこと以外は、前述のバインダー1の場合と同様にして、バインダー8を得た。GPCにより測定した、透析法により精製したバインダー8の重量平均分子量は、26,250であった。また、DSCを使用して測定したガラス転移温度Tgは、60℃であった。
メタクリル酸(2−メトキシエチル)50.0部(0.347モル)をメタクリル酸(2−エトキシエチル)30部(0.190モル)に変更し、スチレン71.0部(0.682モル)を4−メチルスチレン98.4部(0.833モル)に変更し、アゾビスイソブチロニトリル1.14部を1.19部に変更したこと以外は、前述のバインダー1の場合と同様にして、バインダー9を得た。GPCにより測定した、透析法により精製したバインダー9の重量平均分子量は、25,000であった。また、DSCを使用して測定したガラス転移温度Tgは、60℃であった。
アゾビスイソブチロニトリル1.14部を3.59部に変更したこと以外は、前述のバインダー1の場合と同様にして、バインダー10を得た。GPCにより測定した、透析法により精製したバインダー10の重量平均分子量は、2,575であった。また、DSCを使用して測定したガラス転移温度Tgは、60℃であった。
アゾビスイソブチロニトリル1.14部を3.29部に変更したこと以外は、前述のバインダー1の場合と同様にして、バインダー11を得た。GPCにより測定した、透析法により精製したバインダー11の重量平均分子量は、3,060であった。また、DSCを使用して測定したガラス転移温度Tgは、60℃であった。
アゾビスイソブチロニトリル1.14部を1.78部に変更したこと以外は、前述のバインダー1の場合と同様にして、バインダー12を得た。GPCにより測定した、透析法により精製したバインダー12の重量平均分子量は、10,400であった。また、DSCを使用して測定したガラス転移温度Tgは、60℃であった。
アゾビスイソブチロニトリル1.14部を0.81部に変更したこと以外は、前述のバインダー1の場合と同様にして、バインダー13を得た。GPCにより測定した、透析法により精製したバインダー13の重量平均分子量は、50,000であった。また、DSCを使用して測定したガラス転移温度Tgは、60℃であった。
アゾビスイソブチロニトリル1.14部を0.67部に変更したこと以外は、前述のバインダー1の場合と同様にして、バインダー14を得た。GPCにより測定した、透析法により精製したバインダー14の重量平均分子量は、72,800であった。また、DSCを使用して測定したガラス転移温度Tgは、60℃であった。
メタクリル酸(2−メトキシエチル)50.0部(0.347モル)をメタクリル酸ノルマルブチル20部(0.156モル)に変更し、スチレン71.0部(0.682モル)を97.1部(0.932モル)に変更し、アゾビスイソブチロニトリル1.14部を1.12部に変更したこと以外は、前述のバインダー1の場合と同様にして、バインダー15を得た。GPCにより測定した、透析法により精製したバインダー15の重量平均分子量は、25,500であった。また、DSCを使用して測定したガラス転移温度Tgは、60℃であった。
調製した無機微粒子分散体の一覧を表4−1及び4−2に示す。無機微粒子分散体1〜57は、以下に示す手順にしたがって調製した。なお、表4−1及び4−2中の略号の意味を以下に示す。
DBS:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
THF:テトラヒドロフラン
バインダー1 75部、p−トルエンスルホン酸ナトリウム0.75×10-3部、及びトルエン25部を混合した。p−トルエンスルホン酸ナトリウムが溶解して均一になったことを確認した後に、無機微粒子1 25部を加えた。次いで、氷冷しながら超音波分散機(商品名「ULTRA SONIC HOMOGENIZER UH−600S」、SMT社製)で10分間分散させた。その後、脱泡機(商品名「あわとり練太郎AR−100」、シンキー社製)を使用して脱泡し、無機微粒子分散体1を得た。
バインダー、アルキルベンゼンスルホン酸塩等、無機微粒子、及び有機溶剤の種類及び量を表4−1及び4−2に示すように変更したこと以外は、前述の無機微粒子分散体1の場合と同様にして、無機微粒子分散体2〜57を得た。
(塗工物の作製)
基材(PETフィルム(厚さ180μm))を水平な台の上に固定した後、無機微粒子分散体を上から流し乗せ、ワイヤーバー#100を用いて手塗りした。その後、台ごとオーブンに移し、80℃で10分乾燥させた。乾燥後、裁断機を用いて切り出して、10×10cmサイズの塗工物を得た。
塗工物の表面を観察し、以下に示す基準にしたがって塗工物の外観を評価した。結果を表5に示す。
○:塗工欠陥がなかった。
△:塗工欠陥が1以上あった。
塗工物の表面をレーザー顕微鏡(商品名「VK−9510」、キーエンス社製)を使用し、任意に選択した100×100μmの範囲を2箇所観察して範囲内の粒子の個数をそれぞれ計測した。2箇所の範囲内の粒子の数のうち、少ない方を「粒子数A」とし、多い方を「粒子数B」とした。そして、「粒子の密度の比」を下記式(2)より算出し、以下示す基準にしたがって混和安定性を評価した。結果を表5に示す。
「粒子の密度の比」=「粒子数A」/「粒子数B」 ・・・(2)
◎:粒子の密度の比が0.9以上
○:粒子の密度の比が0.8以上0.9未満
△:粒子の密度の比が0.7以上0.8未満
×:粒子の密度の比が0.7未満
Claims (2)
- アルキルベンゼンスルホン酸塩と、有機溶剤と、前記有機溶剤に溶解するバインダーと、無機微粒子と、を含有する無機微粒子分散体であって、
前記無機微粒子が、アクリロイルオキシ基を有する有機けい素化合物で表面処理された無機微粒子、あるいは無機酸化物であり、
前記バインダーの量は、前記無機微粒子分散体1質量部に対して、0.23質量部以上0.90質量部以下であり、
前記無機微粒子の量は、前記バインダー1質量部に対して、0.05質量部以上1.6質量部以下であり、
前記アルキルベンゼンスルホン酸塩の量は、前記バインダー1質量部に対して、0.000005質量部以上0.00003質量部以下であり、
前記表面処理された無機微粒子は、前記有機けい素化合物の不完全縮合物を、無機微粒子原料1質量部に対して、0.02質量部以上0.2質量部以下で用いて表面処理されてなり、
前記バインダーが、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位Aを、繰り返し単位の総数に対して14.5モル%以上有する共重合体である無機微粒子分散体。
(前記一般式(1)中、R1は−H又は−CH3を示し、R2は炭素数1又は2のアルキル基を示し、nは1〜2の整数を示す) - 前記アルキルベンゼンスルホン酸塩が、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである請求項1に記載の無機微粒子分散体。
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