JP6540728B2 - エンジンの蒸発燃料処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、気筒が形成されたエンジン本体と、エンジン本体に吸気を導入する吸気通路と、燃料を貯留する燃料タンクとを有するエンジンの蒸発燃料処理装置に関する。
従来より、燃料タンク内で発生する蒸発燃料を吸気通路を介してエンジン本体内に導入して燃焼させ、これにより蒸発燃料が大気中に放出されるのを抑制することが行われている。
ここで、単純に蒸発燃料をエンジン本体に導入すると、燃料噴射弁からエンジン本体に噴射された燃料にこの蒸発燃料が加えられることでエンジン本体内つまり気筒内の当量比が要求値からずれてしまうため、所望のエンジントルクや所望の排ガス性能等が得られない。
これに対して、特許文献1には、燃料タンク内で発生する蒸発燃料を含みエンジン本体に導入されるガスであるパージガスの量をエンジントルクが小さいほど小さくなるように設定するとともに、排気通路に設けた空燃比センサの検出値を用いて、排気通路の空燃比が要求されているエンジントルクに対応する目標の空燃比となるように、燃料噴射弁の噴射量をフィードバック制御するエンジンが開示されている。
特公平7−3211号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、エンジントルクが小さい運転条件においてパージガスの量は小さく抑えられてしまう。そのため、燃料タンク内に多量の蒸発燃料が残存してしまい、この蒸発燃料の大気中への漏えいを十分に抑えることができないおそれがある。
これに対して、例えば、エンジントルクによらず多量の蒸発燃料を一定量吸気通路に導入することが考えられるが、吸気通路に導入する蒸発燃料を急増させると吸気通路および気筒内の当量比が急変してエンジントルクが変動してしまうので、吸気通路に導入する蒸発燃料量は徐々に増大させるのが望ましい。ただし、蒸発燃料量を単純に一定量ずつ増大させていったのでは、吸気通路を流通する空気量が変化したときに、これに伴って吸気通路内のガスの当量比が変化するため、気筒内のガスの当量比が変動して適切な値からずれるおそれがある。
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、燃料タンク内で発生する蒸発燃料の大気中への漏えいを抑制しつつ、気筒内の当量比を適切に制御することのできるエンジンの蒸発燃料処理装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、気筒が形成されたエンジン本体と、エンジン本体に吸気を導入する吸気通路と、燃料を貯留する燃料タンクとを有するエンジンの蒸発燃料処理装置であって、前記吸気通路に接続されて、前記燃料タンク内で蒸発した蒸発燃料
を含むパージガスを前記吸気通路に導入するパージ通路と、前記パージ通路を開閉可能なパージバルブと、前記パージバルブを制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記パージガスを前記吸気通路に導入するパージの実施時において、前記吸気通路内のガスの当量比であるインマニ当量比が増大していくように前記パージバルブを制御する増大制御を実施するとともに、当該増大制御の実施時において、現在のインマニ当量比を推定し、且つ、前記吸気通路を流通する空気量の直近の変化量に基づいて前記インマニ当量比の増加補正量を算出した後、当該増加補正量を前記推定されたインマニ当量比に加算することで目標インマニ当量比を算出して、前記インマニ当量比が当該目標インマニ当量比になるように前記パージバルブを制御することを特徴とするエンジンの蒸発燃料処理装置を提供する(請求項1)。
本発明によれば、インマニ当量比が増大していくようにパージバルブの開度が制御されることで、気筒内のガスの当量比が急変するのを抑制することができるとともに、インマニ当量比が所定の目標値となるようにパージバルブが制御されることで、インマニ当量比つまり気筒に導入される前のガスの当量比をより確実に適切な値にすることができる。そのため、気筒内のガスの当量比を適切に制御して、エンジントルクおよび排ガス性能を良好にすることができる。
しかも、吸気通路を流通する空気量の変化量に基づいて増加補正量を算出して、これを現在のインマニ当量比(推定値)に加算することでインマニ当量比の目標値である目標インマニ当量比を算出している。そのため、インマニ当量比をより適切な値に制御することができる。
具体的には、前記のようにインマニ当量比を目標値になるようにパージバルブを制御すれば気筒内のガスの当量比を適切にすることができる。しかしながら、仮に、吸気通路を流通する空気量の変化によらずに単純に目標インマニ当量比を現在のインマニ当量比から一定値だけ増大してこれを実現するようにパージバルブを制御すると、吸気通路を流通する空気量が加減速等に伴って変化したときに、この空気量の変化に起因するインマニ当量比の変化が加味されずに目標インマニ当量比が設定されてしまう。そのため、目標インマニ当量比が適切に設定されず、インマニ当量比が適切な値に制御されなくなる。
これに対して、本発明では、吸気通路を流通する空気量の変化量に基づいて増加補正量を算出して、これを現在のインマニ当量比に加算することで目標インマニ当量比を算出しているため、目標インマニ当量比を前記空気量の変化に対応した適切な値にすることができ、インマニ当量比を適切に制御することができる。
前記構成において、前記制御手段は、前記吸気通路を流通する空気量が大きいほど大きくなるように予め定められた基本増加補正量に、前記空気量の直近の変化量に応じて増減される逐次補正量を加算したものを、前記増加補正量として算出するのが好ましい(請求項2)。
このようにすれば、目標インマニ当量比ひいては実際のインマニ当量比および気筒内のガスの当量比を、吸気通路を流通する空気量自体とこの空気量の変化量とに応じた適切な値に制御することができる。
また、前記構成において、前記制御手段は、前記吸気通路を流通する空気量の直近の変化量が0より大きいときは前記逐次補正量を0より大きい値に設定し、前記空気量の直近の変化量が0より小さいときは前記逐次補正量を0より小さい値に設定するのが好ましい(請求項3)。
この構成によれば、エンジンの加速等に伴って吸気通路を流通する空気量が増大してこれによってインマニ当量比が小さくなっても増加補正量が0より大きい値とされることで目標インマニ当量比を高い値に維持することができるとともに、エンジンの減速等に伴って前記空気量が減少してこれによってインマニ当量比が大きくなっても増加補正量が0より小さい値とされることで目標インマニ当量比が現在のインマニ当量比に対して過剰に大きくなるのを防ぐことができ、目標インマニ当量比ひいては実際のインマニ当量比および気筒内のガスの当量比を適切に制御することができる。
前記構成において、前記気筒または前記吸気通路に燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、前記制御手段は、エンジン本体の運転状態に基づいてエンジン本体に供給する総燃料量の目標値である基準目標燃料量を設定し、前記燃料噴射弁のリニアリティ特性が確保される当該燃料噴射弁の噴射量の最小値を前記基準目標燃料量から減じて目標最大パージ燃料量を算出し、前記パージの開始時において、前記パージ通路を介してエンジン本体に導入される蒸発燃料の量が前記目標最大パージ燃料量に到達するまで前記増大制御を実施するとともに、前記パージ通路を介してエンジン本体に導入される蒸発燃料の量を前記基準目標燃料量から減じた量の燃料を前記燃料噴射弁に噴射させるのが好ましい(請求項4)。
この構成によれば、増大制御の実施によって気筒内の当量比を適切に制御しつつ、燃料噴射弁からエンジン本体への燃料供給とパージによるエンジン本体への燃料供給とによって基準目標燃料量を実現してエンジントルクを適切な値に維持することができるとともに、燃料噴射弁のリニアリティ特性を確保しながら多量の蒸発燃料をエンジン本体に導入して燃料タンクから大気中への蒸発燃料の漏えいを抑制できる。
以上説明したように、燃料タンク内で発生する蒸発燃料の大気中への漏えいを抑制しつつ、気筒内の当量比を適切に制御することができる。
本発明の実施形態にかかるエンジンの蒸発燃料処理装置が適用されたエンジンシステムの概略図である。 エンジンシステムの制御系を示したブロック図である。 パージバルブの制御手順を示したフローチャートである。 目標パージ質量流量の算出手順の前半部分を示したフローチャートである。 目標パージ質量流量の算出手順の後半部分を示したフローチャートである。 インジェクタの制御手順を示したフローチャートである。 空気変化量と、目標インマニ当量比および現在のインマニ当量比との関係を模式的に示した図である。 噴射パルス幅と噴射量との関係を示した図である。 本実施形態における加速時のインマニ当量比およびインマニ空気量の時間変化を示した図である。 比較例における加速時のインマニ当量比およびインマニ空気量の時間変化を示した図である。 本実施形態における減速時のインマニ当量比およびインマニ空気量の時間変化を示した図である。 比較例における減速時のインマニ当量比およびインマニ空気量の時間変化を示した図である。
(1)エンジンの全体構成
図1は、本発明の一実施形態にかかるエンジンの蒸発燃料処理装置が適用されるエンジンシステムの構成を示す図である。本実施形態のエンジンシステムは、4ストロークのエンジン本体1と、エンジン本体1に燃焼用の空気(吸気)を導入するための吸気通路30と、エンジン本体1から外部に排気を排出するための排気通路35と、燃料を貯留する燃料タンク41と、燃料タンク41内で発生した蒸発燃料をエンジン本体1に導入するためのパージシステム40とを備えている。このエンジンシステムは車両に設けられて、エンジン本体1は車両の駆動源として用いられる。エンジン本体1は、例えば、図1の紙面に直交する方向に並ぶ4つの気筒2を有する4気筒エンジンであり、主としてガソリンを燃料とするガソリンエンジンである。
エンジン本体1は、気筒2が内部に形成されたシリンダブロック3と、シリンダブロック3の上面に設けられたシリンダヘッド4と、気筒2に往復摺動可能に挿入されたピストン11とを有している。ピストン11の上方には燃焼室5が形成されている。
ピストン11はコネクティングロッドを介してクランク軸15と連結されており、ピストン11の往復運動に応じて、クランク軸15は中心軸回りに回転する。シリンダブロック3には、クランク軸15の回転数をエンジンの回転数として検出する回転数センサSN1が設けられている。
シリンダヘッド4には、インジェクタ12と、インジェクタ12から噴射された燃料と空気との混合気に対し火花放電による点火を行う点火プラグ13とが、各気筒2につきそれぞれ1組ずつ設けられている。
インジェクタ12は、燃料の噴射口となる複数の噴孔を先端部に有しており、各気筒2の燃焼室5をその吸気側の側方から臨むように設けられている。インジェクタ12には、内側に燃料を貯留する燃料レール14が接続されている。燃料レール14は、配管(不図示)を介して燃料タンク41に接続されている。燃料レール14には、燃料タンク41から圧送された燃料が貯留されている。インジェクタ12は、この燃料レール14に貯留されている燃料の供給を受けて燃料を気筒2内に噴射する。
燃料レール14には、燃料レール14に貯留されている燃料の圧力すなわちインジェクタ12が噴射する燃料の圧力である燃圧を検出するための燃圧センサSN5が設けられている。
点火プラグ13は、火花を放電するための電極を先端部に有しており、各気筒2の燃焼室5を上方から臨むように設けられている。
シリンダヘッド4には、吸気通路30から供給される空気を各気筒2の燃焼室5に導入するための吸気ポート6と、吸気ポート6を開閉する吸気弁8と、各気筒2の燃焼室5で生成された排気を排気通路35に導出するための排気ポート7と、排気ポート7を開閉する排気弁9とが設けられている。
吸気通路30は、単一の吸気管33と、この吸気管33と各気筒2の吸気ポート6とを個別に連結する複数の(4本の)独立吸気通路31(図1の紙面に直交する方向に並んでいる)とで構成されている。吸気管33の下流端部には所定容積のサージタンク32が設けられており、サージタンク32から各吸気ポート6にそれぞれ独立吸気通路31が延びている。
吸気管33のうちサージタンク32よりも上流側の部分には、吸気管33の通路を開閉可能なスロットルバルブ34が設けられている。
吸気管33のうちスロットルバルブ34よりも上流側の部分には、この部分を通ってエンジン本体1に吸入される空気の流量を検出するためのエアフローセンサSN2が設けられている。サージタンク32には、サージタンク32内の圧力すなわち吸気管33のうちスロットルバルブ34よりも下流側の部分の圧力を検出するための吸気圧センサSN3が設けられている。
排気通路35には、三元触媒等の触媒が内蔵された触媒装置90が設けられている。また、排気通路35には、排気ひいては燃焼室5内の空気と燃料の混合気の空燃比(空気と燃料の比率)を検出するためのA/FセンサSN4が設けられている。
パージシステム40は、燃料タンク41内で蒸発した蒸発燃料を脱着可能に吸着するキャニスタ42と、キャニスタ42に空気を導入するパージエア管49と、キャニスタ42と吸気管33とを連結するパージ管(パージ通路)43とを備えている。パージ管43は、吸気管33のうちスロットルバルブ34とサージタンク32との間の部分に接続されている。
キャニスタ42に吸着された蒸発燃料は、パージエア管49から導入された空気によってキャニスタ42から脱着される。キャニスタ42から脱着した蒸発燃料は空気とともにパージ管43を通って吸気管33に導入される。以下、このパージ管43を流通する蒸発燃料と空気とからなるガスをパージガスという。また、このパージガスに含まれる蒸発燃料をパージ燃料という。
パージ管43には、パージ管43を開閉するパージバルブ45が設けられている。パージバルブ45は、DUTYコントロールバルブであり、開閉を繰り返して、1回の開弁期間と閉弁期間とを合わせた単位期間に対する開弁期間の割合であるDUTY比が変更されることでその開度が変更されるようになっている。パージバルブ45は、電磁式バルブであり、DUTY比は、1回の通電期間と1回の非通電期間とを合わせた単位期間に対する通電期間の割合である。パージバルブ45は、DUTY比が0%で全閉となり、100%で全開となる。
以下、パージバルブ45を開弁してパージガスを吸気管33ひいては各気筒2に導入することを、パージする、または、パージを実行(実施)するという。
(2)制御系
図2を用いて、エンジンシステムの制御系について説明する。本実施形態のエンジンシステムは、車両に搭載されたPCM(パワートレイン制御モジュール)100によって制御される。PCM100は、CPU、ROM、RAM、I/F等から構成されるマイクロプロセッサであり、本発明にかかる制御手段に相当するものである。
PCM100には、各種センサからの情報が入力される。例えば、PCM100は、回転数センサSN1、エアフローセンサSN2、吸気圧センサSN3、A/FセンサSN4、燃圧センサSN5と電気的に接続されており、これらのセンサSN1〜SN5からの入力信号を受け付ける。また、車両には、運転者により操作されるアクセルペダル(不図示)の開度を検出するアクセル開度センサSN6や車速を検出する車速センサSN7等が設けられており、これらのセンサSN6、SN7による検出信号もPCM100に入力される。PCM100は、各センサ(SN1〜SN7等)からの入力信号に基づいて種々の演算等を実行して、インジェクタ12、パージバルブ45(パージバルブ45を駆動するアクチュエータ)、スロットルバルブ34(スロットルバルブ34を駆動するアクチュエータ)等に指令信号を出力してこれらを制御する。
PCM100は、機能的要素として、インジェクタ制御部102、パージバルブ制御部104を有する。インジェクタ制御部102は、インジェクタ12に関する演算を行い、インジェクタ12から気筒2に噴射させる燃料量である噴射量等を算出して、これに対応する信号をインジェクタ12に出力する。パージバルブ制御部104は、パージバルブ45に関する演算を行い、パージバルブ45のDUTY比の指令値(以下、適宜、パージバルブ指令DUTY比という)を算出して、これに対応する信号をパージバルブ45に出力する。各制御部102、104はそれぞれ所定の時間毎に演算を行って、各部に信号を出力する。
(パージバルブの制御手順)
図3、図4および図5を用いてパージバルブ45の制御手順について説明する。
図3に示すように、PCM100は、まず、各センサSN1〜SN7等の検出値を読み込む。
次に、ステップS2にて、目標吸気量を算出する。目標吸気量は、エンジン本体1に供給すべき(詳細には、各気筒2にそれぞれ供給すべき)空気の質量流量である。PCM100は、アクセル開度と車速等に基づいてエンジン本体1に要求されているトルクである要求トルクを算出するとともに、この要求トルクを実現するために必要な気筒2の充填効率を算出し、算出した充填効率とエンジン回転数等とに基づいて目標吸気量を算出する。
次に、ステップS3にて、エンジン本体の運転状態に基づいてシリンダ要求燃料量(基準目標燃料量)Qcylを算出する。シリンダ要求燃料量Qcylは、エンジン本体1に供給すべき(詳細には、各気筒2にそれぞれ供給すべき)燃料の総量である。PCM100は、前記のように算出した充填効率とエンジン回転数等とに基づいてシリンダ要求燃料量Qcylを算出する。
次に、ステップS4にて、パージを実行する運転条件であるパージ実行条件が成立しているか否かを判定する。例えば、燃料カットがなされている場合には、パージ実行条件が成立していないと判定される。
ステップS4の判定がNOであってパージ実行条件が成立していない場合は、パージを停止するべくステップS5に進み、エンジン本体1(各気筒2)に導入するパージガスの体積流量の目標値である目標パージ体積流量を0に設定してステップS10に進む。
一方、ステップS4の判定がYESであってパージ実行条件が成立している場合は、ステップS6に進む。
ステップS6では、最小噴射量Qinj_minを設定する。最小噴射量Qinj_minは、インジェクタ12のリニアリティ特性が確保されるインジェクタ12の噴射量の最小値である。具体的には、燃圧が一定の条件下において、インジェクタ12の噴射量は、基本的に、その指令値に比例して増減する。しかしながら、横軸を噴射パルス幅すなわち噴射量の指令値に対応する噴射期間、縦軸を実際の噴射量とした図8に示すように、噴射量が所定量未満の領域A1では噴射量と噴射パルス幅とは比例せず、噴射量が所定量以上の領域A2ではじめて噴射量と噴射パルス幅とが比例するようになっており、前記最小噴射量Qinj_minはこの所定量である。
ここで、最小噴射量Qinj_minは、燃圧によって変化する。そこで、ステップS6では、燃圧に基づいて最小噴射量Qinj_minを設定する。本実施形態では、PCM100には、燃圧と最小噴射量Qinj_minとの関係が実験等で予め求められてテーブルで記憶されており、PCM100は、このテーブルから現在の燃圧に対応する値を最小噴射量Qinj_minとして抽出する。
次に、ステップS7において、目標最大パージ燃料量Qpurge_maxを算出する。目標最大パージ燃料量Qpurge_maxは、インジェクタ12のリニアリティ特性を確保し、かつ、エンジン本体1の出力トルクを要求トルクにした状態でエンジン本体1(各気筒2)に供給することができるパージ燃料量の最大値であり、シリンダ要求燃料量Qcylから最小噴射量Qinj_minを差し引くことで算出される。
次に、ステップS8において、この目標最大パージ燃料量Qpurge_maxを用いつつ目標パージ質量流量を算出する。
図4および図5は、目標パージ質量流量の算出手順を示したフローチャートである。
図4に示すように、PCM100は、まず、ステップS21にて、目標最大パージ燃料量Qpurge_max等に基づいて目標最大インマニ当量比を算出する。インマニ当量比は、吸気通路30内のガスの当量比であってエンジンシステムの外部から吸気通路30に導入された空気とパージ管43から吸気通路30に導入されたパージガスとの混合ガスの当量比である。詳細には、インマニ当量比は、吸気管33内のガスのうち気筒2に導入される直前のガスの当量比である。そして、目標最大インマニ当量比は、目標最大パージ燃料量Qpurge_max分のパージ燃料を吸気管33に導入したときに実現されると推定されるインマニ当量比である。
具体的には、PCM100は、目標最大パージ燃料量Qpurge_maxとパージガスの燃料濃度(以下、パージガス濃度という)とから、目標最大パージ燃料量Qpurge_max分のパージ燃料を吸気管33に導入するために必要なパージガスの質量流量を算出し、このパージガスの質量流量とエアフローセンサSN2で検出された空気の質量流量とを合わせたガス量と目標最大パージ燃料量Qpurge_maxとから、目標最大インマニ当量比を算出する。パージガス濃度の算出手順については後述する。
本実施形態では、パージを開始すると、目標最大インマニ当量比に向けてインマニ当量比を増大させていくように構成されており、インマニ当量比の各時刻の目標値である目標インマニ当量比(i)を、目標最大インマニ当量比に向かって漸増するように算出する。パージバルブ制御部104は、前記のように所定の時間毎に演算を行っており、この時間毎に目標インマニ当量比を算出する。
ステップS22では、吸気管33内の空気量であるインマニ空気量(i)、詳細には、吸気管33内の空気のうち気筒2に導入される直前の空気の量、の現在の値を推定する。
本実施形態では、吸気圧センサSN3の検出値、エアフローセンサSN2の検出値等を用いて、現在のインマニ空気量(i)を推定する。ここで、iは演算サイクル数を示すカウンタである。ステップS22の後はステップS23に進む。
ステップS23では、現在のインマニ当量比(i)を推定する。
本実施形態では、ステップS22で算出した現在のインマニ空気量(i)、パージガス濃度、後述するようにパージバルブ45のDUTY比等に基づいて算出したパージガスの質量流量等を用いて、現在のインマニ当量比(i)を推定する。
次に、ステップS24にて、後述するように目標インマニ当量比(i)の算出に用いられる基本増加補正量F(i)を算出する。基本増加補正量F(i)は、0より大きい値に設定される。また、本実施形態では、基本増加補正量F(i)は、現在のインマニ空気量(i)に基づいて算出され、現在のインマニ空気量(i)が大きいほど大きい値に設定される。
次に、ステップS25にて、インマニ空気量の変化量である空気変化量△Qa(i)を算出する。具体的には、ステップS22で算出したインマニ空気量(i)から、前回のインマニ空気量(i−1)つまり1演算サイクル前に算出したインマニ空気量を差し引いた値を、空気変化量△Qa(i)とする。
次に、ステップS26にて、ステップS25で算出した空気変化量△Qa(i)が0であるか否かを判定する。つまり、エンジンの運転状態が定常状態であってインマニ空気量が一定値に維持されているか否かを判定する。なお、ステップS26では、空気変化量△Qa(i)が厳密に0であるか否かを判定する必要はなく、空気変化量△Qa(i)が実質的に0であるか否か、つまり、インマニの空気量が実質的に変化していないか否かを判定すればよい。従って、例えば、ステップS26において、空気変化量△Qa(i)の絶対値が0より大きい所定値よりも小さいか否かを判定するようにしてもよい。
ステップS26の判定がYESであって、空気変化量△Qa(i)が0でありインマニ空気量が一定に維持されている場合は、ステップS27に進む。
ステップS27では、ステップS23で算出した現在のインマニ当量比(i)にステップS24で算出した基本増加補正量F(i)を加算した値を目標インマニ当量比(i)に設定する。ステップS27の後は、ステップS32に進む。
一方、ステップS26の判定がNOであって、空気変化量△Qa(i)が0ではなくインマニ空気量が変化している場合は、ステップS28に進む。例えば、車両およびエンジンの加速時は、インマニ空気量が増大して空気変化量△Qa(i)が0より大きい値となりステップS26の判定がNOとなる。また、車両およびエンジンの減速時は、インマニ空気量が減少して空気変化量△Qa(i)が0より小さい値となりステップS26の判定がNOとなる。
ステップS28では、後述するように目標インマニ当量比(i)の算出に用いられる逐次補正量G(i)を、空気変化量△Qa(i)に基づいて算出する。逐次補正量G(i)は、空気変化量△Qa(i)が大きいほど大きい値に設定される。そして、空気変化量△Qa(i)が0よりも大きい場合は逐次補正量G(i)も0よりも大きい値に設定され、空気変化量△Qa(i)が0よりも小さい場合は逐次補正量G(i)も0よりも小さい値に設定される。例えば、逐次補正量G(i)は空気変化量△Qa(i)に所定の係数(>0)をかけることで算出される。
ステップS28の次はステップS29に進む。ステップS29では、現在のインマニ当量比(i)に基本増加補正量F(i)と逐次補正量G(i)とを加算した値を目標インマニ当量比(i)に設定する。
ステップS29の次はステップS30に進む。ステップS30では、ステップS29で算出した目標インマニ当量比(i)が前回の目標インマニ当量比(i−1)よりも小さいか否かを判定する。ステップS30の判定がNOの場合はステップS32に進む。
一方、ステップS30の判定がYESであって、目標インマニ当量比(i)が前回の目標インマニ当量比(i−1)よりも小さい値の場合は、ステップS31に進む。そして、ステップS31にて、目標インマニ当量比(i)を前回の目標インマニ当量比(i−1)に維持して、ステップS32に進む。
図5に示すように、ステップS32では、前記のようにして算出した目標インマニ当量比(i)が、ステップS21で算出した目標最大インマニ当量比以上であるか否かを判定する。
ステップS32の判定がNOであって、目標インマニ当量比(i)が目標最大インマニ当量比未満の場合はステップS34に進む。
一方、ステップS32の判定がYESであって、目標インマニ当量比(i)が目標最大インマニ当量比以上の場合はステップS33に進む。そして、ステップS33にて、目標インマニ当量比(i)を目標最大インマニ当量比(i)に設定する。ステップS33の次はステップS34に進む。
ステップS34では、目標インマニ当量比(i)に基づいて目標パージ質量流量を算出する。目標パージ質量流量(i)は、目標インマニ当量比(i)を実現するために必要なパージガスの質量流量であり、目標インマニ当量比(i)とエアフロメータで検出された空気流量とパージガス濃度等とに基づいて算出される。ステップS34の次は、図3に示すステップS9に進む。
ステップS9では、パージガスの温度および圧力に基づいて、目標パージ質量流量(i)を体積流量に換算して目標パージ体積流量(i)を算出する。なお、本実施形態では、パージガスの温度および圧力は大気の温度および圧力を用いている。
ステップS9の後はステップS10に進み、目標パージ体積流量(i)に基づいてパージバルブ指令DUTY比を算出する。
本実施形態では、パージバルブ45の前後差圧を算出し、この差圧と目標パージ体積流量とに基づいてパージバルブ指令DUTY比を決定する。
詳細には、パージ管43の圧力損失を算出して、大気圧からこの圧力損失を差し引いた値をパージ管43のパージバルブ45よりも上流側の圧力とし、吸気圧センサSN3で検出された吸気圧をパージバルブ45よりも下流側の圧力として、パージバルブ45の前後差圧を算出する。また、この差圧とパージガスの体積流量とパージバルブのDUTY比との関係は、予め実験等によりマップで設定されてPCM100に記憶されており、PCM100は、このマップから、算出したパージバルブ45の前後差圧と、目標パージ体積流量とに対応するDUTY比を抽出してパージバルブ指令DUTY比に決定する。
なお、前記のように、ステップS4の判定がNOであってステップS5に進み目標パージ体積流量が0に設定された場合は、パージバルブ指令DUTY比は0%となる。
ステップS10の後はステップS11に進む。そして、ステップS11にて、ステップS10で設定されたパージバルブ指令DUTY比の信号をパージバルブ45に出力する。
このように、本実施形態では、パージが開始されると、目標最大インマニ当量比に向けて目標インマニ当量比ひいてはインマニ当量比を増大させていく。そして、このインマニ当量比を増大させる増大制御の実施時において、現在のインマニ空気量に基づいて算出した基本増加補正量Fと空気変化量△Qaに基づいて算出した逐次補正量Gとの合計値である増加補正量を現在のインマニ当量比に加算し、その値を目標インマニ当量比に設定する。また、目標インマニ当量比(i)を前回の目標インマニ当量比(i−1)以上に維持する。
図7は、空気変化量△Qaと、目標インマニ当量比sおよび現在のインマニ当量比uとの関係を示した模式図である。この図7に示すように、空気変化量△Qaが0のときは、目標インマニ当量比sは現在のインマニ当量比uから基本増加補正量F分大きい値とされる。そして、空気変化量△Qaが0より大きいとき、つまり、加速時等であってインマニ空気量が増大しているときは、目標インマニ当量比sは、現在のインマニ当量比uから基本増加補正量F分増大された後逐次補正量G増大された値とされる。一方、空気変化量△Qaが0より小さいとき、つまり、減速時等であってインマニ空気量が減少しているときは、目標インマニ当量比sは、現在のインマニ当量比uから基本増加補正量F分大きい値から、逐次補正量Gの絶対値分を差し引いた値とされる。
(インジェクタの制御手順)
次に、図6を用いて、インジェクタ12の噴射量(インジェクタ12の噴射量の指令値である指令噴射量)の算出手順について説明する。
PCM100は、まず、ステップS41にて、ステップS3で算出したシリンダ要求燃料量Qcylと、ステップS10で設定したパージバルブ指令DUTY比等を読み込む。
次に、ステップS42にて、エンジン本体1に導入されているパージガスの体積流量の現在値である実パージ体積流量を推定する。
具体的には、現在のパージバルブ45のDUTY比と、ステップS10の演算過程で算出されたパージバルブ45の前後差圧とに基づいて、基本となるパージガスの体積流量を算出した後、これを、パージバルブ45に供給されている電圧、パージバルブ45の駆動周波数およびパージバルブ45周辺の温度で補正してパージガスの体積流量を推定する。
次に、ステップS43にて、ステップS42で算出した実パージ体積流量を質量流量に換算して実パージ質量流量を算出する。
次に、ステップS44にて、現在エンジン本体1に導入されているパージ燃料の量である実パージ燃料量Qpurge_rを推定する。具体的には、ステップS43で算出した実パージ質量流量とパージガス濃度とに基づいて実パージ燃料量Qpurge_rを算出する。
次に、ステップS45にて、シリンダ要求燃料量Qcylから実パージ燃料量Qpurge_rを差し引いた値を基本噴射量として算出する。
次に、ステップS46にて、基本噴射量をA/F_フィードバック補正して指令噴射量を算出する。すなわち、本実施形態では、A/FセンサSN4で検出された実際の排気通路35内のガスの空燃比が、予め設定された目標値となるように、インジェクタ12の噴射量を補正するようになっており、この補正量で基本噴射量を補正する。
ステップS46の後はステップS47に進み、ステップS46で算出した指令噴射量をインジェクタ12に噴射させる。
このように、本実施形態では、インジェクタ12の噴射量が、基本的に、シリンダ要求燃料量Qcylから実パージ燃料量Qpurge_rすなわちエンジン本体1に導入されるパージ燃料の量を減じた量に設定される。
(パージ濃度の推定手順)
次に、パージガス濃度の推定手順について説明する。
本実施形態では、パージが実行されている所定の運転条件において、A/FセンサSN4で検出された排気通路35内のガスの空燃比に基づいてパージガス濃度を推定する。具体的には、予め設定された排気通路35の空燃比の目標値と、A/FセンサSN4で検出された実際の空燃比とのずれが、パージ燃料がエンジン本体1に供給されることによって生じたとして、このずれ量とパージガスの質量流量とに基づいてパージガス濃度を推定する。本実施形態では、前記所定の運転条件において、前記ずれ量の平均値と、パージガスの流量の平均値とを算出し、これらの値を用いてパージガス濃度を推定する。
(3)作用等
以上のように、本実施形態では、パージの実行時において、目標インマニ当量比ひいてはインマニ当量比が目標最大インマニ当量比に向けて徐々に増大してくようにパージバルブ45のDUTY比ひいてはパージバルブ45の開度が変更される。そのため、パージの実行によってインマニ当量比および気筒2内のガスの当量比が急変するのを抑制することができる。また、インマニ当量比が所定の目標値となるようにパージバルブ45が制御されており、インマニ当量比つまり気筒に導入される前のガスの当量比をより確実に適切な値にすることができるため、気筒2内の燃焼前のガスの当量比を適切に制御することができる。従って、エンジントルクおよび排ガス性能を良好にすることができる。
しかも、インマニ空気量の変化量である空気変化量△Qaつまり吸気管33内の空気量の変化量に基づいて算出した逐次補正量Gと、インマニ空気量に基づいて算出した基本増加補正量Fとを合わせた増加補正量を、現在のインマニ当量比に加算することで、目標インマニ当量比を算出している。そのため、前記のようにインマニ当量比および気筒内のガスの当量比の急変を抑制しつつ、吸気管33内により多くのパージガスを導入させて燃料タンクに残存する蒸発燃料の量をより早期に減少させることができる。
具体的には、前記のように、インマニ当量比が所定の目標値になるようにパージバルブを制御すれば気筒内のガスの当量比を適切に制御することができる。しかしながら、例えば、空気変化量△Qaおよびインマニ空気量によらずに単純にインマニ当量比を現在のインマニ当量比から予め設定された一定値だけ増大させるようにパージバルブの開度を変更させた場合には、加減速時等にインマニ空気量が変化したときに、インマニ空気量の変化に起因するインマニ当量比の変化が加味されずにパージバルブ45の開度が変更されてしまう。そのため、吸気管33に導入されるパージ燃料の量が過大になって気筒2内のガスの当量比の変動が大きくなる、あるいは、吸気管33に導入されるパージ燃料の量が過小となって燃料タンク41に残存する蒸発燃料の量を十分に減少させることができないおそれがある。
図9〜図12を用いて詳細に説明する。図9および図10は、エンジンの加速時等であってインマニ空気量が増大したときの、目標インマニ当量比と、インマニ当量比(実際のインマニ当量比であり、以下では実インマニ当量比という)と、インマニ空気量の時間変化を模式的に示したものである。図11および図12は、エンジン減速時等であってインマニ空気量が減少したときの、これらの時間変化を模式的に示したものである。また、図9および図11は、本実施形態に係る制御を実施したときの図であり、図10および図12は、比較例であって前記のように単純にインマニ当量比を現在のインマニ当量比(実インマニ当量比)から一定値だけ増大させるようにパージバルブの開度を変更させたときの図である。
図9および図10に示すように、時刻t3で加速に伴いインマニ空気量が増大し始めるまでは、パージバルブ45の開度変更によって実インマニ当量比は先に算出された目標インマニ当量比にほぼ制御される。例えば、図10に示す比較例において、時刻t1にて目標インマニ当量比P(t1)が所定値に設定されると、これを実現するようにパージバルブ45の開度が変更されることで、時刻t2において実インマニ当量比Q(t2)がこの所定値とされる。そして、時刻t3までは目標インマニ当量比Pおよび実インマニ当量比Qは適切に増大していく。しかし、時刻t3にてインマニ空気量の増大が開始すると、これに伴って時刻t4において実インマニ当量比Q(t4)が目標インマニ当量比P(t3)に到達せず、実インマニ当量比の増加量は小さく抑えられてしまう。
ここで、比較例では、前記のように、目標インマニ当量比Pが実インマニ当量比Qに一定値αを加算した値に設定されるようになっており、時刻t4で算出される目標インマニ当量比P(t4)つまり時刻t5で実現されるべきインマニ当量比は、それぞれ時刻t4の実インマニ当量比Q(t4)に一定値αを加算した値とされる。つまり、比較例では、時刻t4と時刻t3との間での目標インマニ当量比Pの増加量は、時刻t4と時刻t3との間での実インマニ当量比Qの増加量とほぼ一致するように制御される。そのため、前記のように、時刻t4において、時刻t3からの実インマニ当量比Qの増加量が小さく抑えられると、目標インマニ当量比Pの増加量も同様に小さくなって時刻t4で算出される目標インマニ当量比P(t4)は小さく抑えられる。これは、時刻t4以降も(インマニ空気量が増大している期間中)同様に生じる。従って、比較例では、図10に示すように、時刻t4以後、目標インマニ当量比Pの増加が抑えられてしまい、これに伴って実インマニ当量比Qひいては吸気管33に導入されるパージ燃料の量が適切に増大されず、燃料タンク41に残存する蒸発燃料の量を十分に減少させることができなくなる。
これに対して、図9に示すように、時刻t3においてインマニ空気量の増大が開始した直後の時刻t4では、本実施形態でも、比較例と同様に実インマニ当量比u(t4)は比較的小さい値に抑えられる。しかしながら、本実施形態では、この実インマニ当量比u(t4)に、インマニ空気量に応じて設定された基本増加補正量Fと空気変化量△Qaに応じて設定された逐次補正量Gが加算されることで目標インマニ当量比s(t4)が算出される。そのため、時刻t4において目標インマニ当量比s(t4)が比較的高い値とされ、これに向けて時刻t5でのインマニ当量比u(t5)は高い値に維持される。同様に、時刻t4以降においても、目標インマニ当量比sは高い値に設定されて、インマニ当量比uが高くされる。従って、本実施形態では、インマニ空気量の増大に伴ってインマニ当量比が減少しやすい運転条件でも、実インマニ当量比uを適切に増大させていくことができ、吸気管33に導入されるパージ燃料の量を適切に増大させて、燃料タンク41に残存する蒸発燃料の量を早期に減少させることができる。
また、図12に示すように、比較例では、時刻t3で減速が開始されてインマニ空気量が減少すると、時刻t4において実インマニ当量比Q(t4)が、実現すべき目標インマニ当量比P(t3)を超えて大きくなる。さらに、この過大な実インマニ当量比Q(t4)に一定値αが加算された値が次の目標インマニ当量比P(t4)とされることで、次の目標インマニ当量比P(t4)も過剰に大きな値になってしまう。そのため、比較例では、破線で示したインマニ空気量の変化がない場合つまり定常運転時に比べて、目標インマニ当量比Pおよび実インマニ当量比Qの増加量が大きくなってしまう。従って、比較例では、吸気管33に導入されるパージ燃料の増加量が過大になって気筒内のガスの当量比の変動ひいてはエンジントルクの変動が大きくなる。
これに対して、本実施形態では、前記のように、インマニ空気量の減少時は、実インマニ当量比uに基本増加補正量Fを加算した値から逐次補正量Gの絶対値を差し引いた値が、目標インマニ当量比sとされる。そのため、図11に示すように、時刻t3以降において、目標インマニ当量比sひいては実インマニ当量比uの増加量が過大になるのを回避して、これらを適切に増大させることができる。従って、気筒内のガスの当量比の変動やエンジントルクの変動が大きくなるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、エンジン本体1に導入されるパージ燃料の量が目標最大パージ燃料量Qpurge_maxに向けて増大されていき、最終的にこの目標最大パージ燃料量Qpurge_maxに制御される。そして、インジェクタ12の噴射量が、シリンダ要求燃料量Qcylからエンジン本体1に導入されるパージ燃料の量Qpure_rを差し引いた値に制御される。ここで、前記のように、目標最大パージ燃料量Qpurge_maxは、シリンダ要求燃料量Qcylから最小噴射量Qinj_minを差し引いた値である。そのため、パージの実行中、インジェクタ12の噴射量は、この最小噴射量Qinj_minに向けて漸減されて、最終的に最小噴射量Qinj_minに制御されることになる。
従って、パージの実行中、エンジン本体1に導入される燃料の総量をシリンダ要求燃料量Qcylとしてエンジントルクを適切な値に維持することができるとともに、インジェクタ12の噴射量を最小噴射量Qinj_minとしてインジェクタ12のリニアリティ特性を確保してインジェクタ12による燃料量の制御性を確保しながら、多量のパージ燃料(目標最大パージ燃料量Qpurge_max分のパージ燃料)をエンジン本体1に導入することができ、蒸発燃料の大気中への漏えいを抑制することができる。
(4)変形例
前記実施形態では、基本増加補正量Fをインマニ空気量に応じて変更する場合について説明したが、基本増加補正量Fをインマニ空気量によらずに一定値に設定してもよい。この場合であっても、逐次補正量Gが空気変化量△Qaに応じて設定されることで、目標インマニ当量比および実インマニ当量比を適切に制御することができる。ただし、基本増加補正量Fをインマニ空気量に応じて変更すれば、インマニ当量比をインマニ空気量に応じた値により一層確実に制御することができる。
また、前記実施形態では、インジェクタ12が気筒2内に直接燃料を噴射する場合について説明したが、インジェクタ12が吸気通路30内に燃料を噴射するように構成してもよい。
1 エンジン本体
12 インジェクタ(燃料噴射弁)
30 吸気通路
41 燃料タンク
42 キャニスタ
43 パージ管(パージ通路)
45 パージバルブ
100 PCM(制御手段)

Claims (4)

  1. 気筒が形成されたエンジン本体と、エンジン本体に吸気を導入する吸気通路と、燃料を貯留する燃料タンクとを有するエンジンの蒸発燃料処理装置であって、
    前記吸気通路に接続されて、前記燃料タンク内で蒸発した蒸発燃料を含むパージガスを前記吸気通路に導入するパージ通路と、
    前記パージ通路を開閉可能なパージバルブと、
    前記パージバルブを制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、
    前記パージガスを前記吸気通路に導入するパージの実施時において、前記吸気通路内のガスの当量比であるインマニ当量比が増大していくように前記パージバルブを制御する増大制御を実施するとともに、当該増大制御の実施時において、現在のインマニ当量比を推定し、且つ、前記吸気通路を流通する空気量の直近の変化量に基づいて前記インマニ当量比の増加補正量を算出した後、当該増加補正量を前記推定されたインマニ当量比に加算することで目標インマニ当量比を算出して、前記インマニ当量比が当該目標インマニ当量比になるように前記パージバルブを制御することを特徴とするエンジンの蒸発燃料処理装置。
  2. 請求項1に記載のエンジンの蒸発燃料処理装置において、
    前記制御手段は、前記吸気通路を流通する空気量が大きいほど大きくなるように予め定められた基本増加補正量に、前記空気量の直近の変化量に応じて増減される逐次補正量を加算したものを、前記増加補正量として算出することを特徴とするエンジンの蒸発燃料処理装置。
  3. 請求項2に記載のエンジンの蒸発燃料処理装置において、
    前記制御手段は、前記吸気通路を流通する空気量の直近の変化量が0より大きいときは前記逐次補正量を0より大きい値に設定し、前記空気量の直近の変化量が0より小さいときは前記逐次補正量を0より小さい値に設定することを特徴とするエンジンの蒸発燃料処理装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のエンジンの蒸発燃料処理装置において、
    前記気筒または前記吸気通路に燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、
    前記制御手段は、
    エンジン本体の運転状態に基づいてエンジン本体に供給する総燃料量の目標値である基準目標燃料量を設定し、前記燃料噴射弁のリニアリティ特性が確保される当該燃料噴射弁の噴射量の最小値を前記基準目標燃料量から減じて目標最大パージ燃料量を算出し、前記パージの実施時において、前記パージ通路を介してエンジン本体に導入される蒸発燃料の量が前記目標最大パージ燃料量に到達するまで前記増大制御を実施するとともに、前記パージ通路を介してエンジン本体に導入される蒸発燃料の量を前記基準目標燃料量から減じた量の燃料を前記燃料噴射弁に噴射させることを特徴とするエンジンの蒸発燃料処理装置。
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