JP6540045B2 - 鋳鋼部材の補修方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳鋼部材の亀裂補修方法において、鋳鋼部材に発生した亀裂を現場で確実に補修する技術に関する。
蒸気タービン車室や弁等、発電所施設内の鋳鋼製の部材の中には、その起動・停止時に伴って熱応力を受け、これが主原因となって亀裂が発生するものがある。亀裂が発生した場合はその部分を研削、除去する。亀裂を除去した後の肉厚が必要最小肉厚よりも薄くなると、その部材は使用不能となり、新たなものに交換しなければならないので、肉盛溶接が行われる。
しかし、発電所施設内の鋳鋼部材には大型のものが多く、その溶接は現場で行わなければならないところ、現場で行う溶接は温度管理が難しいので、溶接後に溶接部が急冷して割れが生じる等の可能性がある。
補修後の亀裂の再発を防止する方法としては、特許文献1に、溶接を行う前の隙間部に鉛や亜鉛を含有する低融点金属を挿入したのち、その外側を溶接補修する方法が記載されている。
特開2003−240447号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法であっても、溶接部から亀裂が再発する可能性があり、さらなる技術の改善が望まれていた。
本発明はこのような現状に鑑みてなされたものであり、その目的は、鋳鋼部材に発生した亀裂を現場で確実に補修するための鋳鋼部材の亀裂補修方法を提供することにある。
前述の目的を達成するための本発明の一つは、鋳鋼部材の表面に発生した亀裂を切削して孔を設け、設けた孔に補修部材を埋設することにより前記鋳鋼部材を補修する方法であって、楔部材を差し込んだ前記補修部材を、前記孔の底面の側に前記楔部材を向けた状態で前記孔に挿入する補修部材挿入工程と、前記挿入した補修部材を叩打することにより、前記補修部材が前記差し込んだ楔部材により変形し前記孔を充填する補修部材充填工程とを有することを特徴とする。
本発明のように、楔部材が差し込まれた補修部材を、孔の底面の側に楔部材を向けた状態で孔に挿入し補修部材を叩打すると、差し込まれた楔部材によって補修部材が孔内で変形し、その結果、楔部材が孔に充填される。これにより、補修部材と鋳鋼部材との間が隙間無く埋まり、補修部材を鋳鋼部材に確実に固定することができる。このように、本発明によれば、補修部材と楔部材を利用するだけで、鋳鋼部材の表面に発生した亀裂を現場で確実に補修することができる。
また、前述の目的を達成するための本発明の他の一つは、鋳鋼部材の表面に発生した亀裂を切削して孔を設け、設けた孔に補修部材を埋設することにより前記鋳鋼部材を補修する方法であって、その底面に楔部材を設置した前記孔に、前記補修部材を挿入する補修部材挿入工程と、前記挿入した補修部材を叩打することにより、前記補修部材が前記設置した楔部材に差し込まれて変形し、変形した前記楔部材が前記孔を充填する補修部材充填工程とを有することを特徴とする。
本発明のように、孔の底面に楔部材を予め設置しておき、この孔に補修部材を挿入することによっても、補修部材を鋳鋼部材に確実に固定することができ、上記発明と同様の効果が得られる。本発明によっても、補修部材と楔部材を利用するだけで、鋳鋼部材の表面に発生した亀裂を現場で確実に補修することができる。
なお、上記各発明においては、前記補修部材は、前記鋳鋼部材よりも展延性が高い金属性の素材からなっていてもよい。このようにすれば、補修部材は孔内において容易に変形すると共に、補修後に補修部位に熱応力がかかった場合であってもこれを低減させ、補修部位の耐久性を向上させることができる。
なお、上記各発明においては、前記鋳鋼部材の表面と略垂直になるように前記孔の内側面を形成するようにしてもよい。このようにすれば、孔内の補修部材を叩打した場合、楔部材により補修部材は孔の内側面に向かって拡がり易くなり、補修部材を孔全体に密填させることが容易となる。また、このような略垂直方向への孔の研削は技術的にも容易である。
また、上記各発明においては、前記亀裂が前記表面で線状をなす場合において、前記亀裂上の各位置に、複数の前記孔を互いに離間して設ける複数孔形成工程と、前記複数の孔を互いに連通させる溝を、前記亀裂に沿って前記亀裂を含むように設ける溝形成工程とを有し、前記補修部材挿入工程では、前記孔に嵌合する形状の第1の前記補修部材を前記孔のそれぞれに挿入すると共に、前記溝に嵌合する形状の第2の前記補修部材を前記溝のそれぞれに挿入し、前記補修部材充填工程では、前記挿入した第1の補修部材を叩打することにより前記孔を前記第1の補修部材で充填すると共に、前記挿入した前記第2の補修部材を叩打することにより前記溝を前記第2の補修部材で充填するようにしてもよい。
本発明のように、亀裂が表面で線状をなす場合、亀裂上の各位置に複数の孔を離間して設け、また、孔を互いに連通させる溝を設けた上で、孔及び溝に嵌合する補修部材(第1の補修部材、第2の補修部材)をそれぞれ挿入し、挿入した補修部材を叩打して充填を行うことにより、亀裂が長大に発生している場合でも、亀裂全体を容易に補修部材で充填し、補修を現場で確実に行うことができる。
また、上記各発明においては、前記鋳鋼部材と前記埋設した補修部材との境界部を加熱することにより前記鋳鋼部材と前記補修部材とを接合する溶接工程を有するようにしてもよい。このように鋳鋼部材と補修部材を溶接することで、鋳鋼部材と補修部材の境界部に亀裂が発生することを防ぐことができる。
本発明によれば、鋳鋼部材の表面に発生した亀裂を現場で確実に補修することができる。
蒸気タービン車室の外殻部材を説明する図である。 外殻部材の表面に発生する亀裂の一例を示す図である。 実施例1の補修方法の手順を説明するフローチャートである。 亀裂12を外殻部材10の表面11の上方から見た平面図である。 切削孔17を表面11と垂直な面で切断した断面図である。 補修部材30の上方図である。 楔部材20の上方図である。 補修部材30が挿入された切削孔17を表面11と垂直な面で切断した断面図である。 補修部材30を充填した切削孔17を表面11と垂直な面で切断した断面図である。 実施例2の補修方法の手順を説明するフローチャートである。 補修部材40が挿入された切削孔17を表面11と垂直な面で切断した断面図である。 亀裂41を外殻部材10の表面11の上方から見た平面図である。 実施例3の補修方法の手順を説明するフローチャートである。 外殻部材10の表面11を上方から見た図である。 外殻部材10の表面11を上方から見た図である。 外殻部材10の表面11を上方から見た図である。 楔部材の一例を示す図である。 楔部材の一例を示す図である。
<実施例1>
本実施例の鋳鋼部材の補修方法は、熱応力により鋳鋼部材に発生した亀裂の補修に対して適用することができ、図1に示すような、火力発電所や原子力発電所等に設けられる蒸気タービン車室の外殻部材10に適用できる。
蒸気タービン車室の外殻部材10は、たとえばCrMoV鋳鋼などからなり、その起動・停止に伴って熱応力を受ける。これにより外殻部材10はクリープ損傷を受け、内側の表面11に直線上の亀裂12が発生する。本実施例では、この亀裂12を補修する場合について説明する。
図2は、本実施例の補修方法の手順を説明するフローチャートである。同図に示すように、まず、亀裂12の方向や寸法を確認する(S11)。
図3は、この工程(以下、亀裂確認工程S11という)を説明する、亀裂12を外殻部材10の表面11の上方から見た平面図である。本実施形態では、同図に示すように、亀裂12全体を囲うように、表面11に直径Dの略円形の領域13を定め、この領域13の輪郭線14を基線として、切削孔の形成を開始するようにする。
次に、この亀裂12を含む表面11を切削し、切削孔を形成する(図2のS12)。
図4は、この工程(以下、切削孔形成工程S12という)を説明する、表面11と垂直な面で切削孔を切断した断面図である。同図に示すように、輪郭線14に沿って、ドリルやカッター等で外殻部材10の表面11を垂直下方に切削し、これにより円筒形の切削孔17を形成する。切削孔17の深さH2は、少なくとも亀裂12の最大深さH以上とする。
次に、この切削孔17に、楔部材を差し込んだ補修部材を挿入する(図2のS13)。
図5は、この工程(以下、補修部材挿入工程S13という)を説明するための、切削孔17を表面11と垂直な面で切断した断面図である。同図に示すように、後述する楔部材20をその底面31に差し込んだ円柱形の補修部材30を、楔部材20の底面21を切削孔17の底面18の側に向けた状態で切削孔17に挿入する。
ここで、図6は補修部材30の斜視図である。同図に示すように、補修部材30は円柱形の部材であり、その頂面32及び底面31の直径がD2、その高さがH3である。補修部材30の高さH3は、切削孔17の高さH2よりもやや長く設計されている。補修部材30は、外殻部材10よりも展延性が高い金属性の素材からなる。例えば、純ニッケル、純クロム、純銀、銀−すず合金等である。
図7は楔部材20の上方図である。同図に示すように、楔部材20は円錐形の部材であり、その底面21の直径は補修部材30の頂面32及び底面31よりも短いD3、その高さは補修部材30の高さよりも短いH4である。なお、楔部材20は、補修部材30よりも強度の高い金属からなり、例えば、CrMo鋼、CrMoV鋼、9%Cr鋼、12%Cr鋼、Ni基合金、Co基合金、SUS系材等の高温耐熱材料である。
次に、切削孔17内に、楔部材20を挿入した補修部材30を叩打し変形させる(図2のS14)。
図8は、この工程(以下、補修部材叩打工程S14という)を説明する、補修部材30が挿入された切削孔17を表面11と垂直な面で切断した断面図である。同図に示すように、切削孔17の底面18にまで挿入した補修部材30の頂面32を、ハンマー等で叩打する(符号35)。補修部材30は前述のように展延性の高い金属からなるので、頂面32への叩打を繰り返すと、補修部材30は、楔部材20が挿入されている部分を中心に外側に変形し、内側面19に向かって拡がる。最終的には、補修部材30は切削孔17全体を充填することになる。
なお、前述のように、補修部材30の高さH3は切削孔17の深さH2よりも高くなっていることから、補修部材30を切削孔17に充填させても、充填後の補修部材30の頂面32の高さは表面11の高さに近くなる。なお、頂面32の高さが表面11の高さより突出している場合は、突出した部分を研削してもよい。
最後に、切削孔17内に充填した補修部材30を、外殻部材10と溶接する(図2のS15)。
図9は、この工程(以下、溶接工程S15という)を説明する、補修部材30を充填した切削孔17を表面11と垂直な面で切断した断面図である。同図に示すように、補修部材30と外殻部材10の境界部(補修部材30の頂面32の周縁33)をレーザー溶接機等で加熱することにより、外殻部材10と補修部材30とを接合(溶接)する(符号34)。これにより、外殻部材10と補修部材30の間に隙間が生じて高温の蒸気が侵入して外殻部材10と補修部材30の境界部に亀裂が発生することを防ぐことができる。
なお、レーザー溶接機を用いて接合するのではなく、溶接トーチ(TIGトーチ等)を用いてTIG溶接で補修部材30を溶融させる(例えば900℃以下で溶融させる)ようにしてもよい(例えば、補修部材30の素材が純銀の場合)。
また、外殻部材10と補修部材30との境界部を直接溶接するのではなく、外殻部材10と補修部材30を跨ぐ開先を設け、この開先に対して所定の金属部材を肉盛溶接(レーザー溶接)するようにしてもよい。
以上のように、本実施例の鋳鋼部材の補修方法によれば、楔部材20が差し込まれた補修部材30を、切削孔17の底面18の側に楔部材20を向けた状態で切削孔17に挿入し補修部材30を叩打すると、差し込まれた楔部材20によって補修部材30が切削孔17内で変形し、その結果、切削孔17に充填される。これにより、補修部材30と外殻部材10との間が隙間無く埋まり、補修部材30を外殻部材10に確実に固定することができる。このように、本実施例の鋳鋼部材の補修方法によれば、補修部材30と楔部材20を利用するだけで、外殻部材10の表面11に発生した亀裂12を現場で確実に補修することができる。
<実施例2>
実施例1では、補修部材30に予め楔部材20を差し込んでおき、その補修部材30を切削孔17に挿入したが、先に楔部材20を切削孔17内に設置しておき、そこに補修部材30を挿入するようにしてもよい。
図10は、本実施例の補修方法の手順を説明するフローチャートである。同図に示すように、まず、亀裂12の方向や寸法を確認する(S21)。次に、この亀裂12を含む切削孔を表面11に形成する(S22)。これらは、実施例1の亀裂確認工程S11、及び切削孔形成工程S12と同様である。
次に、切削孔の底面に楔部材を設置し(S23)、楔部材を設置した切削孔に補修部材を挿入する(S24)。
図11は、この工程(以下、補修部材挿入工程という)を説明するための、補修部材40が挿入された切削孔17を表面11と垂直な面で切断した断面図である。同図に示すように、切削孔17の底面18の中央部に、頂部22を上方にして楔部材20を設置する。そして、補修部材30の底面31を下方にして、補修部材30の底面31が楔部材20の頂部22に当接するまで補修部材30を切削孔17に挿入する。そして、切削孔17に挿入した補修部材30の頂面32をハンマー等で叩打することにより、補修部材30を楔部材20により変形させて、実施例1の補修部材叩打工程S14と同様に切削孔17に補修部材30を充填させる(S25)。
最後に、補修部材30を外殻部材10と溶接する(図10のS26)。これは、実施例1の溶接工程S15と同様である。
本実施例のように、切削孔17の底面18に楔部材20を予め設置しておき、切削孔17に補修部材30を挿入することによっても、補修部材30を外殻部材10に確実に固定することができ、実施例1と同様の効果が得られる。このように、本実施例の鋳鋼部材の補修方法によっても、補修部材30と楔部材20を利用するだけで、外殻部材10の表面11に発生した亀裂12を現場で確実に補修することができる。
<実施例3>
実施例1、2では、亀裂12全体を囲うような円筒形の切削孔17を設けた。ただ、亀裂12の長さが長い場合は、そのような切削孔を設けた場合には切削孔が大きくなりすぎ、補修部位の耐久性が落ちて外観を損ねることにもなる。そこで本実施例では、亀裂41が線状(折れ線状)に長く発生している場合(図12に示したような亀裂41)における補修方法を説明する。
図13は、本実施例の補修方法の手順を説明するフローチャートである。同図に示すように、まず、亀裂確認工程S11と同様、亀裂41の方向や寸法を確認する(S31)。
次に、亀裂41上の各所に複数の小さめの切削孔を設け(S32)、さらにこれらの切削孔を連通する溝を設ける(S33)。
図14は、S32及びS33の工程を説明する、外殻部材10の表面11を上方から見た図である。同図に示すように、折れ線状に発生している亀裂41の各所(本実施例では各屈曲部42)に、実施例1と同様に円筒形の切削孔43をそれぞれ離間して設ける。ただし、各切削孔43の直径(開口部の直径)dは小さめにし、隣接する他の切削孔43と重ならないようにする。
そして、各切削孔43を連通する溝45を、亀裂41に沿って、かつ亀裂41を含むように設ける。なお、溝45の幅は亀裂41を含むような幅であればよいので、切削孔43の直径dより短くてもよい。
以上のようにして、切削孔43と溝45により構成される一筆の補修孔48を形成する。
次に、図13のS34に示すように、楔部材を差し込んだ補修部材を補修孔48に挿入して叩打し、埋設する。
図15は、補修孔48に挿入、埋設する補修部材を上方からみた図である。同図に示すように、本実施例では複数の補修部材を用いる。すなわち、切削孔43の形状に対応する形状の円筒部材63(以下、第1の補修部材ともいう)と、溝45の形状に対応する形状の架橋部材64(以下、第2の補修部材ともいう)とを用い、円筒部材63を切削孔43に、架橋部材64を溝45に、それぞれ挿入、埋設する。
なお、円筒部材63の頂面及び底面の直径は、切削孔43の直径よりもやや短くし、円筒部材63の高さは切削孔43の深さよりもやや高く(長く)することが好ましい。また、架橋部材64の幅及び長さは、溝45のそれよりもやや短くし、架橋部材64の高さは溝45の深さよりも高く(長く)することが好ましい。
円筒部材63の底面には、実施例1と同様の円錐形の部材である、楔部材50が差し込まれている。なお、楔部材50の底面の直径は円筒部材63の底面の直径より短くし、楔部材50の高さは円筒部材63の高さより低くすることが好ましい。
また、架橋部材64の底面には、楔部材50より小さい円錐形の部材である楔部材55が差し込まれている(素材は楔部材50と同様である)。なお、楔部材55の底面の直径は架橋部材64の幅より短くし、楔部材55の高さは架橋部材64の高さより低くすることが好ましい。また、楔部材55は、架橋部材64の長さに応じて、1つ又はそれ以上、架橋部材64の長手方向に沿って設けられている。
図16は、各補修部材を用いた前述のS34の工程(以下、補修部材叩打工程という)を説明する、外殻部材10の表面11を上方から見た図である。同図に示すように、補修部材叩打工程では、楔部材50を差し込んだ円筒部材63を、実施例1と同じ要領で補修孔48に挿入し、円筒部材63の頂面61をハンマー等で叩打する(符号62)。これにより、円筒部材63は切削孔43の内側面44に向かって拡がり、切削孔43を充填する(符号47)。
また、楔部材55を差し込んだ各架橋部材64は溝45に挿入し、ハンマー等で架橋部材64の頂面を叩打する(符号65)。これにより、架橋部材64は溝45全体に拡がり、溝45を充填する(符号49)。
以上のようにして、各切削孔43を円筒部材63で、各溝45を架橋部材64で、それぞれ充填する。
補修部材(円筒部材63、架橋部材64)の充填が終わったら、最後に、各補修部材を外殻部材10と溶接する(図13のS37)。すなわち、実施例1と同様に、円筒部材63、及び架橋部材64のそれぞれの外縁部を加熱して外殻部材10との溶接を行う。
以上のように、本実施例の鋳鋼部材の補修方法によれば、亀裂41が表面で線状をなす場合、亀裂41上の各位置に複数の切削孔43を離間して設け、また、切削孔43を互いに連通させる溝45を設けた上で、切削孔43及び溝45に嵌合する補修部材(第1の補修部材、第2の補修部材)を挿入し、挿入した補修部材を叩打して充填を行うことにより、亀裂41が長大に発生している場合でも、亀裂41全体を容易に補修部材で充填し、補修を現場で確実に行うことができる。また、切削孔43を大きく設ける必要が無いので、補修部位の耐久性を保ち、外観も損ねない。
なお、本実施例では、亀裂41の屈曲部42に切削孔43を設けるようにしたが、屈曲部42がない場合(亀裂41が直線状の場合等)や屈曲部42同士が離れている場合は、亀裂41の直線部に適宜切削孔43を設けるようにする。
また、本実施例では、複数の補修部材(第1の補修部材、第2の補修部材)を組み合わせて補修孔48を充填したが、補修孔48の形状に対応した1個の補修部材を補修孔48に充填するようにしてもよい。
また、楔部材50の使用方法について、本実施例では、実施例1と同様に予め楔部材50を補修部材60に差し込んでから補修孔48に挿入したが、実施例2のように、切削孔43の底面に楔部材50を設置しておき、そこに補修部材60を補修孔48に挿入することにより楔部材50を差し込むようにしてもよい。
<その他の実施例>
上記の実施例では、楔部材の形状は円錐形であったが、補修部材の表面に差し込めるような先端部を有していれば、楔部材の形状はこれに限らない。
例えば、楔部材は円錐形以外の任意の錐体でもよく、図17に示すような三角錐状の楔部材70であってもよい。
また、図18に示すような、その長手方向断面が三角形で、傾斜面81の共通辺82が先端部を形成する楔部材80であってもよい。
以上の実施例の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。
例えば、溝部よりその容積を大きくした補修部材を溝部に隙間無く充填した場合には、溶接工程を省略することも可能である。
10 外殻部材、11 表面、12 亀裂、13 領域、14 輪郭線、17 切削孔、18 底面、19 内側面、20 楔部材、22 頂部、30 補修部材、31 底面、32 頂面、33 周縁、40 補修部材、41 亀裂、42 屈曲部、43 切削孔、44 内側面、45 溝、48 補修孔、50 楔部材、55 楔部材、60 補修部材、61 頂面、63 円筒部材、64 架橋部材、70 楔部材、71 頂点、80 楔部材、81 傾斜面、82 共通辺

Claims (5)

  1. 鋳鋼部材の表面に発生した亀裂を切削して孔を設け、設けた孔に補修部材を埋設することにより前記鋳鋼部材を補修する方法であって、
    楔部材を差し込んだ状態の、前記孔と略同形であってその高さが前記孔の深さよりも高く設定され前記鋳鋼部材よりも展延性が高い金属性の素材からなる前記補修部材を、前記孔の底面の側に前記楔部材を向けた状態で前記孔に挿入する補修部材挿入工程と、
    前記挿入した補修部材を叩打することにより、前記補修部材が前記差し込んだ楔部材により変形し前記孔を充填する補修部材充填工程と
    を有することを特徴とする鋳鋼部材の補修方法。
  2. 鋳鋼部材の表面に発生した亀裂を切削して孔を設け、設けた孔に補修部材を埋設することにより前記鋳鋼部材を補修する方法であって、
    その底面に楔部材を設置した前記孔に、前記孔と略同形であってその高さが前記孔の深さよりも高く設定され前記鋳鋼部材よりも展延性が高い金属性の素材からなる前記補修部材を挿入する補修部材挿入工程と、
    前記挿入した補修部材を叩打することにより、前記補修部材が前記設置した楔部材に差し込まれて変形し、変形した前記楔部材が前記孔を充填する補修部材充填工程と
    を有することを特徴とする鋳鋼部材の補修方法。
  3. 前記鋳鋼部材の表面と略垂直になるように前記孔の内側面を形成することを特徴とする、請求項1又は2に記載の鋳鋼部材の補修方法。
  4. 前記亀裂が前記表面で線状をなす場合において、
    前記亀裂上の各位置に、複数の前記孔を互いに離間して設ける複数孔形成工程と、
    前記複数の孔を互いに連通させる溝を、前記亀裂に沿って前記亀裂を含むように設ける溝形成工程とを有し、
    前記補修部材挿入工程では、前記孔に嵌合する形状の第1の前記補修部材を前記孔のそれぞれに挿入すると共に、前記溝に嵌合する形状の第2の前記補修部材を前記溝のそれぞれに挿入し、
    前記補修部材充填工程では、前記挿入した第1の補修部材を叩打することにより前記孔を前記第1の補修部材で充填すると共に、前記挿入した前記第2の補修部材を叩打することにより前記溝を前記第2の補修部材で充填する
    ことを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載の鋳鋼部材の補修方法。
  5. 前記鋳鋼部材と前記充填した前記補修部材との境界部を加熱することにより前記鋳鋼部材と前記補修部材とを接合する溶接工程を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の鋳鋼部材の補修方法。
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