(パチンコ遊技機1)
(パチンコ遊技機1の全体構成等)
図1は、パチンコ遊技機1の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とを有する。遊技盤2には、遊技領域が形成され、この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。なお、この実施の形態では、左打ち(矢印R0→R1参照)及び右打ち(矢印R0→R2→R3参照)が可能なように、遊技領域が形成されている。
遊技盤2の所定位置(遊技領域の下方)には、第1特別図柄(第1特図ともいう。)の可変表示(第1特図ゲームともいう)を行う第1特別図柄表示装置4Aと、第2特別図柄(第2特図ともいう。)の可変表示(第2特図ゲームともいう)を行う第2特別図柄表示装置4Bと、が設けられている。なお、第1特図ゲーム及び第2特図ゲームを総称して特図ゲームということがある。また、普通図柄(「普図」あるいは「普通図」ともいう)の可変表示(普図ゲームともいう。)を行う普通図柄表示器20が設けられている。これらは、7セグメントのLED(Light Emitting Diode)などからなり、特別図柄や普通図柄は、「0」〜「9」を示す数字や「−」などの点灯パターンやLEDを全て消灯したパターンなどの複数種類の識別情報を示すものであればよい。
なお、「可変表示」とは、例えば、複数種類の図柄を更新表示などにより変動させる(変動可能に表示する)ことである(後述の飾り図柄の可変表示についても同じ)。可変表示の最後には、表示結果(可変表示結果)として所定の図柄が停止表示(導出表示などともいう)される(後述の飾り図柄の可変表示についても同じ)。なお、図柄(特に、後述の飾り図柄)の変動として、スクロール表示、変形、拡大/縮小などが行われてもよい。
特図ゲームでの可変表示結果としては、「大当り」の図柄(例えば、「確変大当り」の「7」及び「非確変大当り」の「3」)、「ハズレ」の図柄(例えば、「−」)がある。普図ゲームでの可変表示結果としては、「普図当り」の図柄(例えば、「7」)、「普図ハズレ」の図柄(例えば、「−」)がある。
「大当り」の図柄が導出表示されたときには、パチンコ遊技機1は、大当り遊技状態に制御される。大当り遊技状態では、後述の大入賞口が開放状態となる。「大当り」が「確変大当り」のときには、大当り遊技状態終了後の遊技状態が確変状態及び時短状態に制御される。「大当り」が「非確変大当り」のときには、大当り遊技状態終了後の遊技状態が時短状態に制御される(確変状態には制御されない)。確変状態は、確変状態となっていないとき(非確変状態)よりも、特図ゲームにおいて「大当り」(「確変大当り」及び「非確変大当り」)の図柄が導出表示されやすい。また、時短状態は、時短状態となっていないとき(非時短状態)よりも、特図ゲームの実行時間が短くなり、また、普図ゲームの実行時間が短くなったり、普図ゲームにおいて「普図当り」の図柄が導出表示されやすくなったりする(所謂高ベース状態)。
遊技盤2の後方(遊技者側を前方とする。)には、画像表示装置5が配置されている。画像表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。画像表示装置5は、遊技盤2の中央に設けられた孔2Aを介して遊技者に視認される。
画像表示装置5の画面上では、第1特図ゲームや第2特図ゲームと同期して、特別図柄とは異なる複数種類の装飾識別情報としての飾り図柄(数字などを示す図柄など)の可変表示が行われる。一例として、画像表示装置5の画面上では、第1特図ゲーム又は第2特図ゲームに同期して、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて飾り図柄の可変表示(例えば上下方向のスクロール表示や更新表示)が行われる。
特図ゲームにおいて「大当り」が導出表示されるときには、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける所定の有効ライン上に同一の飾り図柄(例えば、「確変大当り」のときに「7」、「非確変大当り」のときに「6」など)が揃って停止表示(導出表示)される。なお、「ハズレ」のときは、同一の飾り図柄が揃わない。
画像表示装置5の画面上では、飾り図柄の可変表示がリーチ状態になったことに伴ってリーチ演出が実行されたり、その他、大当り期待度(特図ゲームにおいて「大当り」が導出表示され、大当り遊技状態に制御される可能性)を報知する各種演出(予告演出等)が実行されたりする。
画像表示装置5の画面上には、表示エリア5Hも配置されている。表示エリア5Hには、実行が保留されている特図ゲーム(飾り図柄の可変表示)に対応する第1保留表示画像5HA(ここでは、丸の画像)、第2保留表示画像5HB(ここでは、丸の画像)が表示される。第1保留表示画像5HAは、実行が保留されている第1特図ゲーム(飾り図柄の可変表示)を示し、左詰めで表示される。第2保留表示画像5HBは、実行が保留されている第2特図ゲーム(飾り図柄の可変表示)を示し、左詰めで表示される。
また、遊技盤2の所定位置(遊技領域の下方)には、第1特図ゲームの保留数を表示する第1保留表示器25Aと、第2特図ゲームの保留数を表示する第2保留表示器25Bとが設けられている。また、普図ゲームの保留数を表示する普図保留表示器25Cも設けられている。これらは、複数のLEDを含んで構成され、LEDの点灯個数によって、保留数を表示する。
また、遊技盤2の下部左側には、普通入賞球装置6Aが設けられ、遊技盤2の下部右側には、普通可変入賞球装置6Bが設けられている。
普通入賞球装置6Aは、例えば所定の玉受部材によって常に遊技球が進入(以下、入賞ともいう。)可能な一定の開放状態に保たれる第1始動入賞口を形成する。第1始動入賞口に遊技球が入賞したときには、第1始動口スイッチ22A(図2参照)がオンし、これによって、当該遊技球の入賞が検出される。この検出により、所定個(例えば3個)の賞球が払い出されるとともに、第1特図ゲームが開始される。なお、すでに他の特図ゲームが実行されているときなどには、当該入賞による第1特図ゲームは保留される。また、保留数がすでに予め定められた最大数(例えば4つ)のときには、当該入賞は無効化される。第1始動入賞口への有効な入賞(保留を増やす入賞)は、第1始動入賞ともいう。普通入賞球装置6Aには、左打ちされた遊技球が入賞する。
普通可変入賞球装置6Bは、第2始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、普通電動役物用のソレノイド81(図2参照)によって前後方向に移動する図示しない板体を備え、板体が前進位置に位置することで、第2始動入賞口を閉鎖状態(遊技球が進入(以下、入賞ともいう。)できない状態)とし、板体が後退位置に位置することで、第2始動入賞口を開放状態(遊技球が入賞できる状態)とする。第2始動入賞口は、通常閉鎖しており、普図ゲームで普図当りとなったときに開放状態となる。第2始動入賞口に遊技球が入賞したときには、第2始動口スイッチ22B(図2参照)がオンし、これによって、当該遊技球の入賞が検出される。この検出により、所定個(例えば3個)の賞球が払い出されるとともに、第2特図ゲームが開始される。なお、すでに他の特図ゲームが実行されているときなどには、当該入賞による第2特図ゲームは保留される。また、保留数がすでに予め定められた最大数(例えば4つ)のときには、当該入賞は無効化される。第2始動入賞口への有効な入賞(保留を増やす入賞)は、第2始動入賞ともいう。普通入賞球装置6Bには、右打ちされた遊技球が入賞する。
遊技盤2の右側領域には、通過ゲート41が設けられている。遊技球が通過ゲート41を通過したときには、図2のゲートスイッチ21がオンになり、これにより当該遊技球の通過が検出され、普図ゲームが開始される。なお、すでに他の普図ゲームが実行されているときなどには、当該入賞による普図ゲームは保留される。また、保留数がすでに予め定められた最大数(例えば4つ)のときには、当該通過は無効化される。通過ゲート41には、右打ちされた遊技球が通過する。
遊技盤2の下部中央には、特別可変入賞球装置7が設けられている。特別可変入賞球装置7は、大入賞口扉用となるソレノイド82(図2参照)によって前後方向に移動する図示しない板体を備え、その板体によって開放状態(板体が後退位置にあり遊技球が進入(以下、入賞ともいう。)可能な状態)と閉鎖状態(板体が前進位置にあり遊技球が入賞不可の状態)とに変化する特定領域としての大入賞口を形成する。大入賞口は、大当り遊技状態のときに開放状態に変化する。
大入賞口に遊技球が入賞したときには、カウントスイッチ23(図2参照)がオンし、これによって、当該遊技球の入賞が検出される。このときには、所定個数(例えば14個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、大入賞口に遊技球が入賞したときには、例えば第1始動入賞口や第2始動入賞口に遊技球が入賞したときよりも多くの賞球が払い出される。
遊技盤2の孔2Aの下側かつ大入賞口の上方には、遊技球が転がることができる玉受け部材51が配置されている。玉受け部材51は、遊技盤2と画像表示装置5との間に配置される。また、遊技盤2には、左打ちされた遊技球を玉受け部材51上に導く中空のトンネル部材52が取り付けられている。左打ちされた複数の遊技球のうちの一部は(矢印R4)、トンネル部材52に進入して当該トンネル部材52内を通り、玉受け部材51上を転がり(矢印R5)、玉受け部材51の中央から遊技領域の下部(大入賞口を設けた部分)に流下する(矢印R6)。大入賞口が開放状態のとき、玉受け部材51の中央から落下する遊技球が当該大入賞口に入賞しやすい。
遊技盤2の表面(遊技領域)には、上記の構成以外にも、遊技球の流下方向や速度を変化させる風車及び多数の障害釘が設けられている。遊技領域の最下方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球が取り込まれるアウト口が設けられている。
なお、遊技盤2における遊技領域(上記障害釘や風車を含む)を形成する部分は、透明な樹脂で形成されている。このため、この実施の形態では、遊技領域が透明であり、遊技者が、遊技領域(遊技盤2)の後方を視認できる。
遊技盤2には、役物200が取り付けられている。役物200の詳細については後述する。
遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L、8Rが設けられており、さらに遊技機用枠3の遊技領域周辺部には、遊技効果用の遊技効果ランプ9が設けられている。遊技効果ランプ9は、LEDを含んで構成されている。
遊技機用枠3の右下部位置には、遊技媒体としての遊技球を打球発射装置により遊技領域に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル(操作ノブ)が60設けられている。
遊技領域の下方における遊技機用枠3の所定位置には、賞球として払い出された遊技球や所定の球貸機により貸し出された遊技球を、打球発射装置へと供給可能に保持(貯留)する上皿(打球供給皿)が設けられている。遊技機用枠3の下部には、上皿から溢れた余剰球などを、パチンコ遊技機1の外部へと排出可能に保持(貯留)する下皿が設けられている。
この実施の形態では、非時短状態のときには、普図ゲームで「普図当り」が導出される可能性が極めて低い。このため、非時短状態のときには、右打ちしても第2始動入賞を期待出来ないため、右打ちが行われる。一方、時短状態のときには、第2始動入賞を期待して右打ちを行う(例えば、左打ちよりお右打ちの方が効率的に遊技球を第2始動入賞口に入賞させることができる、第2特図ゲームの方が第1特図ゲームよりも「大当り」が「確変大当り」である可能性が高いなどのため、第2特図ゲームを実行させたい)。大当り遊技状態のときには、トンネル部材52に遊技球を入球させたいので、左打ちを行う。
(パチンコ遊技機1の基板構成)
パチンコ遊技機1には、例えば図2に示すような主基板11、演出制御基板12、音声制御基板13、ランプ制御基板14、中継基板15などが搭載されている。その他にも、パチンコ遊技機1における遊技盤などの背面には、例えば払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、電源基板などといった、各種の基板が配置されている。
主基板11は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御する機能を有する。主基板11は、遊技制御用マイクロコンピュータ100、スイッチ回路110、ソレノイド回路111などを有する。
主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100は、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、ROM(Read Only Memory)101と、RAM(Random Access Memory)102と、CPU(Central Processing Unit)103と、乱数回路104と、I/O(Input/Output port)105とを備える。
一例として、CPU103がROM101に記憶されたプログラムを実行することにより、主基板11の機能(遊技の進行の制御)を実現する。このとき、ROM101が記憶する各種データ(変動パターン、演出制御コマンド、各種テーブルなどのデータ)が用いられ、RAM102がメインメモリとして使用される。
乱数回路104は、遊技の進行を制御するときに使用される各種の乱数値(遊技用乱数)を示す数値データを更新可能にカウントする。遊技用乱数は、CPU103が所定のコンピュータプログラムを実行することで更新されるもの(ソフトウェアで更新されるもの)であってもよい。
I/O105は、例えば各種信号が入力される入力ポートと、各種信号を伝送するための出力ポートとを含んで構成される。例えば、CPU103は、I/O105を介して、第1特別図柄表示装置4A、第2特別図柄表示装置4B、普通図柄表示器20、第1保留表示器25A、第2保留表示器25B、普図保留表示器25Cなどを制御(駆動)する。
スイッチ回路110は、遊技球検出用の各種スイッチ(ゲートスイッチ21、始動口スイッチ(第1始動口スイッチ22Aおよび第2始動口スイッチ22B)、カウントスイッチ23)からの検出信号(遊技媒体が通過又は進入してスイッチがオンになったことを示す検出信号など)を取り込んで遊技制御用マイクロコンピュータ100に伝送する。
ソレノイド回路111は、遊技制御用マイクロコンピュータ100からのソレノイド駆動信号(例えば、ソレノイド81やソレノイド82をオンする信号など)を、普通電動役物用のソレノイド81や大入賞口扉用のソレノイド82に伝送する。
また、主基板11(遊技制御用マイクロコンピュータ100)は、演出制御基板12に向けて演出制御コマンド(主基板11に遊技の進行状況を通知するためのコマンド)を伝送する。当該演出制御コマンドは、中継基板15によって中継される。
上記構成により、主基板11は、遊技の進行の制御において、例えば、(1)特図ゲームや普図ゲームの保留管理(スイッチ回路110からの検出信号などに基づいて行う。保留される特図ゲーム等の情報(遊技用乱数値等)は、RAM102に格納される。また、第1保留表示器25Aなどの制御による各種保留数の表示も行われる。)、(2)特図ゲームや普図ゲームの可変表示結果や変動パターンの決定、(3)特図ゲームや普図ゲームの実行(第1特別図柄表示装置4A、第2特別図柄表示装置4B、普通図柄表示器20を制御して行う)、(4)大当り遊技状態(大入賞口の開放制御)や「普図当り」に基づく第2始動入賞口の開放制御(ソレノイド81、82の駆動等により行う。また、大当り遊技状態では、カウントスイッチ23からの検出信号に基づいて所謂ラウンド遊技が制御される)、(5)遊技状態(時短状態、確変状態)の制御、(6)遊技の進行に応じた演出制御コマンドの、演出制御基板12への送信、(7)各種入賞口への入賞に基づく賞球の払い出しの、払出制御基板への指示などを行う。なお、可変表示結果や変動パターンの決定などの各種の決定は、抽選により行われる。抽選とは、ROM101に格納されたテーブルを参照し、遊技用乱数に基づいて各種の決定を行うことである。
演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された演出制御コマンドを受信し、受信した演出制御コマンドに基づいて各種の演出(飾り図柄の可変表示を含む。)を実行する機能を有する。
演出制御基板12には、演出制御用CPU120と、ROM121と、RAM122と、表示制御部123と、乱数回路124と、I/O125とが搭載されている。
一例として、演出制御用CPU120がROM121に記憶されたプログラムを実行することにより、演出制御基板12の機能(演出の実行)を実現する。このとき、ROM121が記憶する各種データ(演出制御パターンに用いるデータや各種テーブルなどのデータ)が用いられ、RAM122がメインメモリとして使用される。
表示制御部123は、演出制御用CPU120からの表示制御指令に基づき、画像表示装置5において表示する演出画像の映像信号を出力し、画像表示装置5に演出画像を表示する。一例として、表示制御部123には、VDP(Video Display Processor)、CGROM(Character Generator ROM)、VRAM(Video RAM)などが搭載されていればよい。
乱数回路124は、演出動作を制御するときに使用される各種の乱数値(演出用乱数)を示す数値データを更新可能にカウントする。演出用乱数は、演出制御用CPU120が所定のコンピュータプログラムを実行することで更新されるもの(ソフトウェアで更新されるもの)であってもよい。
演出制御基板12に搭載されたI/O125は、例えば主基板11などから伝送された演出制御コマンドを取り込むための入力ポートと、各種信号を伝送するための出力ポートとを含んで構成される。
音声制御基板13は、演出制御基板12からの効果音信号に基づき、スピーカ8L、8Rから音声(効果音信号が指定する音声)を出力させる機能を有する。
ランプ制御基板14は、演出制御基板12からの電飾信号に基づき、遊技効果ランプ9の点灯/消灯駆動(電飾信号が示す駆動内容による点灯/消灯)を行う機能を有する。
画像表示装置5は、液晶パネル、EL(Electro-Luminescence)パネルなどからなる表示パネルと、当該表示パネルを駆動するドライバ回路などを備える。表示制御部123からI/O125を介して画像表示装置5に供給された映像信号は、前記ドライバ回路に入力される。ドライバ回路は、当該映像信号が表す画像を表示パネルに表示させる。これによって、画像表示装置5には、各種の演出画像などが表示されることになる。
役物200は、LED基板213、モータ272、検出センサX1、検出センサX2を有する。演出制御基板12(演出制御用CPU120)は、LED基板213、モータ272を駆動して、役物200を動作させる。このとき、検出センサX1、検出センサX2からの検出信号(後述の検出片の存在を検出したことを示す信号)が演出制御基板12に入力され、演出制御基板12(演出制御用CPU120)では、当該検出信号に基づいて役物200を動作させる。
演出制御基板12は、上記構成により、主基板11からの演出制御コマンドに基づいて、画像表示装置5を制御して演出画像を表示したり、ランプ制御基板14を介して、遊技効果ランプ9を制御して、これらを点灯/消灯制御したり、音声制御基板13を介して、スピーカ8L、8Rから音声を出力させたり、役物200を制御したりすることで各種演出を実行する。特に、特図ゲームの開始時には、開始する特図ゲームの可変表示結果や変動パターンが、主基板11からの演出制御コマンドにより、演出制御基板12に通知され、演出制御基板12は、これに基づいて、飾り図柄の可変表示や、リーチ演出(変動パターンがリーチ演出の実行を指定しているとき)、大当り期待度を示唆する各種演出などを実行する。なお、前記各種演出の実行の有無や、その態様は抽選(例えば、ROM121に格納されたテーブルを参照し、演出用乱数に基づいて決定を行うこと)により決定してもよい。
(役物200の構成)
役物200は、図3等に示すように、目玉ユニット210と、駆動機構270と、を有する。目玉ユニット210は、目玉を模した半球状の役物である。駆動機構270は、目玉ユニット210を下降させたり上昇させたりする。目玉ユニット210は、初期位置では、大部分が遊技盤2の背後に隠れ、下降したときに画像表示装置5の前方(遊技者側)に進出する(図1参照)。目玉ユニット210は、目玉の白目を構成する白目部材215と、黒目を構成する黒目部材216と、を有する(図4参照)。目玉ユニット210は最下位置に到達したときに下降が止まるが、そのときの慣性により、黒目部材216が白目部材215の中央から下方にずれる(図4参照)。その後、黒目部材216は、元の位置(白目部材215の中央)に復帰する。
なお、以下の説明における各種の取り付けは、特に言及がない限り、ビス(ネジ)による締め付け、回転可能な挿通(例えば、回転軸を孔や凹部に挿入することなど)、嵌合、爪などによる引っ掛け、接着材などによる接着などの適宜の方法で行うことができる。なお、取付対象の部材にボスが設けられている場合には、基本的にはビスによる締め付けで取り付けが行われる。
(目玉ユニット210の構成)
目玉ユニット210は、図5、図6に示すように、ベース211と、LED基板212と、拡散板213と、復帰機構214と、白目部材215と、黒目部材216と、カバー217と、を備える。
ベース211は、目玉ユニット210のベースとなる部分であり、円形の部材である。ベース211は、上下方向に延びる溝211A、211Bを備え、当該溝211A、211Bは、それぞれ、その底面に上下方向に延びる貫通孔211AA、211BA(これらの用途については後述する。)を備える。
LED基板212は、ドーナツ板形状を有し、ベース211に取り付けられている。LED基板212には、発光する複数のLEDが実装されている。
拡散板213は、LED基板212を前方から覆い、LED基板212のLEDから出射された光を拡散する。
復帰機構214は、下方にずれた黒目部材217を元の位置に復帰させるための機構である。復帰機構214は、収容部材214Aと、ダンパー214Bと、取付部材214Cと、クラッチギア214D、214Eと、弾性体214Fと、ラック214Gと、を備える(図7も参照)。
収容部材214Aは、白目部材215の後面に取り付けられている。収容部材214Aは、ダンパー214Bと、取付部材214Cと、クラッチギア214D、214Eと、弾性体214Fと、ラック214Gと、を収容する部材である。収容部材214Aには、取付部材214Cが取り付けられている。
ダンパー214Bは、収容部材214Aと、取付部材214Cと、により挟まれ保持される。ダンパー214Bは、歯車214BAを有する。歯車214BAは、クラッチギア214Dの後述の歯214DBに噛み合っており、ダンパー214Bは、クラッチギア214Dの回転を減速させる。ダンパー214Bは、例えば、オイル式のロータリーダンパーなどにより構成される。
クラッチギア214Dは、回転軸214DAと、回転軸214Dに設けられた歯214DBと、歯214の前方に設けられ、回転軸214の周方向に沿って並んだ複数の傾斜面K1からなるラチェット歯214DCと、を有する。回転軸214DAと歯214DBとラチェット歯214Dとは、一体的に形成されており、これらは一体的に回転する。回転軸214DAは、収容部材214Aと白目部材215とにより回転可能に保持(軸支)される。歯214DBは、ダンパー214Bの歯車214BAと噛み合っている。ラチェット歯214DCは、クラッチギア214Eの後述のラチェット歯214ECと噛み合っている。
クラッチギア214Eは、前後方向に延びる貫通孔214EAと、貫通孔214EAの周りに設けられた歯214EBと、貫通孔214EAの周方向に沿って並んだ複数の傾斜面K2からなるラチェット歯214ECと、を有する。歯214EBとラチェット歯214ECとは、一体的に形成されており、これらは一体的に回転する。クラッチギア214Eの貫通孔212EAに、ラチェット歯214DCから前方に延びる回転軸214DAが挿通されており、これにより、クラッチギア214Eは、回転軸214DAに回転可能かつ前後方向に移動可能に取り付けられている。なお、クラッチギア214Eの前方には、回転軸214DAが挿通された弦巻バネ(図示せず)が設けられている。この弦巻バネは、白目部材215とクラッチギア214Eとに挟まれ、クラッチギア214Eを後方に付勢している。なお、クラッチギア214Eを後方に付勢する方法は他の方法であってもよい。
ラチェット歯214ECは、ラチェット歯214DCと合わさる。クラッチギア214Eが左回転するときには、ラチェット歯214ECの傾斜面K2がラチェット歯214DCの傾斜面K1上をスライドし、クラッチギア214Eの回転はクラッチギア214Dに伝達されない(クラッチギア214Eは、空回りする)。このとき、ラチェット歯214ECの傾斜面K2が、ラチェット歯214DCの傾斜面K1に押され、クラッチギア214Eは前方に移動するが、クラッチギア214Eは、上記のように後方に付勢されているため、クラッチギア214Eの左回転に伴って、傾斜面K2と傾斜面K1との接触が解除されたときには、クラッチギア214Eは後方に戻り、傾斜面K2は次の傾斜面K1と接触する(ラチェット歯214ECとラチェット歯214DCとが合わさった状態に戻る)。クラッチギア214Eが右回転するときには、隣同士の傾斜面K2により構成される段差部と、隣同士の傾斜面K1により構成される段差部と、が噛み合い、クラッチギア214Eの回転はクラッチギア214Dに伝達されない。
歯214EBは、ラック214Gの後述の歯214GCに噛み合っている。
弾性体214Fは、弦巻バネ等から構成され、下部がラック214Gの後述の引掛部214GBに引っ掛けられ、上部が白目部材215の後述の引掛部215Bに引っ掛けられている。従って、弾性体214Fは、ラック214Gを上方に付勢する。
ラック214Gは、前方に突出した突出部214GAと、弾性体214Fの下部が引っ掛けられた引掛部214GBと、クラッチギア214Eの歯214EBと噛み合う歯214GCと、を備える。突出部214GAは、白目部材215の後述の貫通孔215Aに入り込む。ラック214Gと、クラッチギア214Eとは、ラックとピニオンの関係になっており、後述のようにラック214Gの上下方向に移動すると、歯214EBと歯214GCとにより、クラッチギア214Eが回転する。
白目部材215は、目玉ユニット210により表される目玉のうちの白目を構成する部材である。白目部材215は、拡散板213により拡散されたLEDからの光を透過する透光性の部材である。これにより、白目部材215は、LED基板212のLEDを光源として例えば白く発光する。白目部材215は、上下方向に延びる貫通孔215Aを有する。貫通孔215Aには、ラック214Gの突出部214GAが挿入される。また、白目部材215は、後面に弾性体214Fの上部が引っ掛けられた引掛部214Bを有する。従って、ラック214Gは、貫通孔215Aに案内されて、白目部材215に対して上下方向に移動可能となっているが、下方に移動したラック214Gには、弾性体214Fにより上方に戻そうとする弾性力が作用する。
黒目部材216は、目玉ユニット210により表される目玉のうちの黒目を構成する部材である。黒目部材216は、ベース部材216Aと、重り216Bと、円形部材216Cと、を備える。ベース部材216Aは、円盤状の部材であり、中央に上下方向に長尺な貫通孔216AAを有する。重り216Bは、黒目部材216を所定の重量(慣性により黒目部材216が下方にずれるのに必要な重量)にするために、黒目部材216に重さを付与するものである。重り216Bは、円盤状の部材であり、上下方向に長尺な貫通孔216BAを中央に有する。円形部材216Cは、黒目として遊技者に視認される部分であり、その前面は、黒目を表現する塗装等が施されている。円形部材216Cは、後方に突出する2つ円筒が上下方向に並んだボス(凸部)216CAを有する。ボス216CAは、貫通孔216AA、貫通孔216BAを通る。このため、ベース部材216Aと、重り216Bと、は、ボス216CAにより位置決めされ、黒目部材216(ベース部材216Aと重り216Bと円形部材216C)は、一体的に移動する。ボス216CAの先端は、ラック214Gの突出部214GAの内側に入り込み当該突出部214GAと嵌合している(ビス留めさせてもよい)。従って、円形部材216Cは、ベース部材216Aと重り216Bとともにラック214Gに取り付けられている。換言すると、黒目部材216は、ラック214Gに取り付けられ、黒目部材216とラック214Gとは一体で白目部材215に対して上下方向に移動する(例えば、黒目部材216が下降すると、ラック214Gも下降する)。
カバー217は、透光性部材であり、ベース211に取り付けられている。カバー217とベース211とにより形成される内部に、LED基板212と、拡散板213と、復帰機構214と、白目部材215と、黒目部材216と、が収納される。この実施の形態では、白目部材215と黒目部材216とがカバー217を介して視認される。従って、目玉ユニット210は、目玉として視認される。なお、カバー217には、凹凸等による装飾が施されている。
(駆動機構270の構成)
駆動機構270は、図8、図9に示すように、第1ベース271Aと、第2ベース271Bと、モータ272と、ギア群273と、アーム274と、第1連結部材275と、スライド機構276と、第2連結部材277と、装飾部材278と、L字部材279A、279Bと、検出センサX1、X2と、を備える。
第1ベース271Aと第2ベース271Bとは、駆動機構270のベースを形成し、各種部材が取り付けられ、各種部材を保持する。第1ベース271Aには、検出センサX1が取り付けられている。第2ベース271Bには、検出センサX2が取り付けられている。
モータ272は、ステッピングモータなどからなり、第1ベース271Aの後面に取り付けられる。モータ272の回転軸272Aは、第1ベース271Aに設けられた孔を通って、第1ベース271Aの前方に出ている。
ギア群273は、ピニオンギア273Aと、中間ギア273Bと、円盤付ギア273Cと、を有する。ピニオンギア273Aは、モータ272の回転軸272Aに取り付けられ、当該回転軸272Aと一体に回転する。中間ギア273Bは、第1ベース271Aに回転可能に取り付けられ、ピニオンギア273Aと噛み合っている。円盤付ギア273Cは、第1ベース271Aに回転可能に取り付けられている。円盤付ギア273Cは、中間ギア273Bに噛み合っているギア部273CAと、ギア部273CAの前方に配置された円盤273CBと、円盤273Cから前面に突出した突出部273CC(膨出形状となっており、後部は空間になっている。)と、ギア部273BAの後方に配置された検出片273CDと、を有し、これらは回転軸を共通にして一体的に形成されている。詳しくは、後述するが、突出部273CCは、アーム274の回転を制御する。検出片273CDは、円盤付ギア273Cが初期状態の回転位置にあるときに、検出センサX1により検出される。
アーム274は、略弓形状になっており、一端部に回転軸274Aを有する。回転軸274Aは、第2ベース271Bに設けられた軸受け271BDに挿通されている。このため、アーム274は、回転軸274Aを回転軸にして回転可能となっている。また、アーム274は、周囲の領域274Cよりも後方に突出した係合部274Bと、アーム274の他端部(先端)に設けられ所定方向に延びる貫通孔274Dと、を有する。係合部274Bは、円盤付ギア273Cの突出部273CCに係合する。これにより、アーム274の回転が制御される(詳しくは後述)。貫通孔274Dについては後述する。また、アーム274は、初期状態から所定の角度だけ回転したときに、検出センサX2により検出される検出片274Eも有する。
第1連結部材275は、後方に突出したボス275Aと、貫通孔を有する筒部275Bと、を有する。ボス275Aは、アーム274の貫通孔274Dに入り込む。ボス275Aの後端には、リング部材W3(ボス275Aが貫通孔274Dから抜けるのを防ぐ抜け留めとして機能する)がビス等により締め付け固定されている。第1連結部材275は、筒部275Bの貫通孔に挿通されたビス等により、目玉ユニット210のベース211の後面に取り付けられている(図5、図6も参照)。このため、第1連結部材275は、目玉ユニット210と一体で移動する。このような構成により、第1連結部材275は、目玉ユニット210とアーム274の先端とを連結している。従って、アーム274が回転すると、目玉ユニット210が移動することになるが、目玉ユニット210は後述のように上下方向にのみ動作する(図10等も参照)。この実施の形態では、アーム274が回転して目玉ユニット210を移動させるのに伴って、第1連結部材275のボス275Aがアーム274の貫通孔274D内を移動できるようにしている。これにより、アーム274の回転を、スムーズに、目玉ユニット210の上下方向の移動に変換できる。
スライド機構276は、ベース部材276Aと、第1スライド部材276Bと、第2スライド部材276Cと、を備える。これらは、上下方向に長尺な形状に形成されている。
ベース部材276Aは、第2ベース271Bが有する溝271BC内に取り付けられている(固定されている)。第1スライド部材276Bは、ベース部材276Aに対して上下方向にスライド可能(引き出し可能)に当該ベース部材276Aに取り付けられている(例えば、ベース部材276Aの側面に上下方向に延びる案内溝(レール)を設け、断面コの字状の第1スライド部材276Bの側壁から内側に張り出したフランジを当該案内溝に入り込ませるなど)。第2スライド部材276Cは、第2連結部材277を挟んで、第1スライド部材277Bに取り付けられている。
第2連結部材277は、第1スライド部材276Bと第2スライド部材276Cとに挟まれることで、これらに保持されている。このため、第2連結部材277は、第1スライド部材276Bと第2スライド部材276Cと一体に移動する。第2連結部材277は、前方に突出したボス277A及び277Bを有する。ボス277Aは、目玉ユニット210のベース211の上下方向に延びた貫通孔211AAに入り込み、ボス27AAの前端には、リング部材W1(ボス277Aが貫通孔211AAから抜けることを防ぐ機能を有する。)がビス等により締め付け固定されている(図5、図6も参照)。ボス277Bは、目玉ユニット210のベース211の上下方向に延びた貫通孔211BAに入り込み、ボス277Bの前端には、リング部材W2(ボス277Bが貫通孔211BAから抜けることを防ぐ機能を有する。)がビス等により締め付け固定されている。このような構成により、第2連結部材278は、スライド機構276と、目玉ユニット210とを連結し、目玉ユニット210は、スライド機構により上下方向にのみ移動可能となっている。なお、ボス277A、277Bは、貫通孔211AA、211BA内を上下方向に移動可能である。このため、目玉ユニット210は、貫通孔211AA、211BAに案内され、第1スライド部材276、第2連結部材278等に対して相対的に上下方向に移動可能でもある。
装飾体278は、第2スライド部材277Cを前方から覆い、スライド機構277を装飾している。装飾体278は、左右方向に張り出したフランジから後方に突出したボス278A、278Bを有する。ボス278Aは、第2ベース271Bが有する上下方向に延びた貫通孔271BA内を通り、ボス278Aの後端には、ボス278Aが貫通孔271BAから抜けることを防止するL字部材279Aが取り付けられている。ボス278Bは、第2ベース271Bが有する上下方向に延びた貫通孔271BBに入り込み、ボス278Bの後端には、ボス278Bが貫通孔271BBから抜けることを防止するL字部材279Bが取り付けられている。ボス278A、278Bは、貫通孔271BA、271BB内を上下に移動可能である。このような構成により、装飾体278は、第2ベース271Bに対して上下方向に移動可能に、第2ベース271Bに取り付けられている。
なお、第2ベース271Bには、装飾体278とともにL字部材279A及びL字部材279Bが下方に移動したときに当たるゴム材Gが取り付けられている。
装飾体278は、第2連結部材277により支持される段差278Cを有する。従って、例えば、第2連結部材277の上下方向に移動に伴って、装飾体278も上下方向に移動する。
(役物200の動作)
次に役物200の動作を説明する(図4、図10、図11なども参照)。なお、図10(a)の状態が初期状態(目玉ユニット210が上方に位置している状態)である。初期状態では、円盤付ギア273Cの突出部273CC(図10では、紙面裏側に向かって突出している。)がアーム274の係合部274Bと係合しており(押さえており)、アーム274は図10(a)のような状態(目玉ユニット210が上部にある状態)で保持されている。
役物200を動作させるとき、演出制御用CPU120は、モータ272を駆動し、回転軸272Aを回転させる。回転軸272Aの回転は、ピニオンギア273Aから中間ギア273Bを介して円盤付ギア273Cに伝達され、円盤付ギア273Cが回転する(ここでは、右回転する)。この回転により、突出部273CCも移動するので、突出部273CCと係合部274Bとの係合が解除される(図10(b))。当該係合が解除されると、アーム274は、回転軸274Aを回転軸にして回転可能となり、重力により左回転(図10の紙面では向かって左回転)する(図10(b)、(c))。なお、図10(b)は、当該動作を分かり易くするために描かれた図であり、実際の図10(b)の時点では、アーム274の回転は始まっている。
上述のように、アーム274の先端には、第1連結部材275を介して目玉ユニット210が連結されており、目玉ユニット210は、スライド機構276などにより上下方向にのみ移動するので、アーム274の回転により、目玉ユニット210は下降する(落下に近く、下降速度は早い)(図10(c)参照。図10(c)は、目玉ユニット210が最下位置にある状態である。)。このとき、第2連結部材277や装飾体278も下降する。装飾体278には、L字部材279A及びL字部材279Bが取り付けられており、装飾体278の下降により、L字部材279A及びL字部材279Bそれぞれ(L字の左右方向に延びている部分)がゴム材Gに当たり、装飾体278の下降は終了する(図10(c))。スライド機構276の第1スライド部材276Bと第2スライド部材276Cとは、装飾体278よりもさらに下方まで下降する。また、目玉ユニット210は、第2連結部材277(第1スライド部材276B等)に対して下方に移動する。このような構成により、目玉ユニット210が下降する距離を長くとることができる。アーム274の回転は重力によるものなので、下降する目玉ユニット210は、図10(c)のように、第1スライド部材276Bと第2スライド部材276Cとが限界まで下降し(ベース部材276Aから限界まで引き出され)、第2連結部材277が目玉ユニット210に対して上限位置まで位置したときに(第2連結部材277のボス277A、277Bそれぞれが貫通孔211AA、211BAを構成する内壁の上部に当たったときに)、急停止する。
なお、アーム274が回転したことは、検出センサX2が検出片274Eにより検出される。演出制御用CPU120は、初期状態からモータ272を駆動し続け、当該検出片274を検出したときに、モータ272の駆動を停止してもよい。
上記ゴム材Gにより、装飾体278の下降時において、装飾体278のボス278A及び278Bそれぞれが、貫通孔271BA及び貫通孔271BBを形成する内壁に衝突することを防止でき、または、ボス277DA及びDBそれぞれが当該内壁に衝突したときの衝撃を軽減できる。他のゴム材を適宜の場所に設け、目玉ユニット210の急停止の衝撃を緩和してもよい(例えば、第1スライド部材276Bがベース部材276Aから限界まで引き出されたときに、当該両部材が衝突する部分にゴム材を介在させるなど)。なお、ゴム材は、各種の弾性体に変えてもよい。
目玉ユニット210が最下位置に達して急停止した場合、慣性により、黒目部材216は下方にずれる(図4参照)。このときの目玉ユニット210の動作を図11などを参照しながら説明する。なお、目玉ユニット210が急停止する前までは、黒目部材216は白目部材215の中央に位置したままである。
黒目部材216が下方にずれるとき、当該黒目部材216とともにラック214Gも下方に移動する。ラック214G(黒目部材216)は、弾性体214Fの弾性力(復元力)に抗して下方に移動する(図11(a)〜(b))。ラック214Gは、下方への移動に伴って、クラッチギア214Eを左回転させる。このため、クラッチギア214Eは、回転力をクラッチギア214Dに伝達せずに空回りする。
黒目部材216が最下位置までずれると、今度は、弾性体214Fの弾性力(復元力)により、ラック214G及び黒目部材216は元の位置に復帰しようとする(つまり、上方に移動する)(図11(c))。このとき、ラック214Gは、クラッチギア214Eを右回転させる。このため、クラッチギア214Eは、回転力をクラッチギア214Dに伝達する。このため、クラッチギア214Dが回転するが、当該クラッチギア214Dの回転(クラッチギア214Eの回転でもある)の回転速度は、ダンパー214Bにより減速させられる。その結果、クラッチギア214Eと噛み合うラック214の上方の移動も、弾性体214Fの弾性力に抵抗して減速させられる。従って、ダンパー214Bにより、黒目部材216の上方への移動速度が減速させられることになる。
その後、所定タイミングにおいて、演出制御用CPU120は、役物200を初期状態に戻す。具体的には、演出制御用CPU120は、モータ272を駆動し、回転軸272Aを回転させ、ピニオンギア273Aから中間ギア273Bを介して円盤付ギア273Cを上記と同方向(ここでは右回転)にさらに回転させる。演出制御用CPU120は、検出センサX1により、検出片273CDを検出するまで(つまり、初期状態の回転位置まで)、モータ272を駆動し、円盤付ギア273を回転させる。当該円盤付ギア273の回転の過程では、突出部273CCが再度係合部274Bに係合し、初期状態に戻るまで当該係合部274Bを押す。その結果、アーム274も初期状態の回転位置まで回転することになる。このようにして初期状態への復帰が行われる。なお、突出部273CCは、移動の過程において、アーム274の係合部274B以外の部分には接触しないようになっている(係合部274Bの周囲の領域274Cは、係合部274Bのように後方に突出していないため、突出部273CCが領域274Cの後方を通過できる。)。
(本実施形態の効果)
この実施の形態では、ダンパー214Bにより、下方にずれた黒目部材216が元の位置に復帰するときの当該黒目部材216の移動速度を弾性体214Fの弾性力(復元力)に抗して遅く(遅延)させているので(ダンパー214Bが無いときよりも遅くさせているので)、黒目部材216の元の位置への復帰が単調にならず、演出効果が向上している。特に、黒目部材216は、慣性により早い速度で下方にずれてから、それよりも遅い速度で元の位置(白目部材215の中央)に戻るので、黒目により表される視線の動かしかたを面白みのあるものにすることができ(演出効果が高い態様での移動が実現される)、演出効果が向上している。
また、黒目部材216は、目玉ユニット210の一部として構成され、目玉ユニット210の落下による慣性により、下方にずれるので、黒目部材216だけを移動させる電気的な部品を用いずに黒目部材216の下方への移動を実現でき、コストが削減されている。また、黒目部材216という一部分が動く、演出効果の高い役物(目玉ユニット210)を得ることができ、演出効果が向上している。
また、黒目部材216の移動速度を遅延する手段として、ダンパー214Bを用いたので、黒目部材216が元の位置に復帰するときの移動態様が、ダンパーを用いないとき(弾性体214Fのみで元の位置に復帰させるとき)よりも独特のものとなり、演出効果が向上している。特に、オイル式のロータリーダンパーを用いることで、移動態様が独特のものとなり演出効果が向上している。また、当該遅延手段として、黒目部材216だけを移動させる電気的な部品を用いずに黒目部材216の元の位置への復帰を実現でき、コストが削減されている。
また、この実施の形態では、下方への移動時には空転し、復帰時には噛み合うクラッチギア214D,214Eにより、黒目部材216の移動を制御しているので、黒目部材216について意外性のある動きを表現でき、演出効果が向上している。
また、透光性のカバー217により、黒目部材216や白目部材215などに遊技球が当たってしまうことから保護でき(故障の発生を防止できる)、かつ、カバー217を介して黒目部材216や白目部材215を視認できるので、見た目が面白く、演出効果が向上している。
(役物200による演出等について)
演出制御用CPU120は、モータ272を駆動するなどして、役物200を動作させるが、当該動作を演出の少なくとも一部として実行する。当該演出としては、例えば、リーチ演出(特にスーパーリーチ、バトル演出などを含む)、一発告知(実行中の可変表示の大当り期待度が高い場合に実行される予告演出の一種)、各種予告演出(大当り期待度を予告する演出)、選択演出(これから実行される演出を選択する演出)、擬似連、先読み予告、大当り遊技状態時における演出、特定の演出モード等がある。先読み予告とは、保留されている可変表示(特図ゲーム)の大当り期待度などを、当該可変表示が実行される前に予告する演出である。先読み予告は、第1又は第2始動入賞発生時に行われる先読み判定(始動入賞発生時に抽出される遊技用乱数値に基づいて当該始動入賞発生時に行われる大当りか否か、変動パターンなどの判定)の判定結果に基づいて行われる。例えば、主基板11が、先読み判定を行って判定結果を演出制御コマンドにより演出制御基板12に通知し、演出制御基板12の演出制御用CPU120が先読み予告の実行の有無や態様を決定する。
演出制御用CPU120は、可変表示結果として「大当り」の図柄が導出表示されたときに、目玉ユニット210を下降させ、目玉ユニット210を初期状態の位置に戻すことに連動して、画像表示装置5やスピーカ8L、8Rによる演出(例えば、ファンファーレの演出など)を実行してもよい。
演出制御用CPU120は、実行する演出に応じて、LED基板213に実装されたLEDの点灯態様(白目部材215の発光態様)を変えてもよい。このとき、大当り期待度に応じて点灯態様を変えても良い。
(変形例)
この発明は、上記実施の形態などに限定されず、上記実施の形態などについて様々な変形及び応用が可能である。例えばパチンコ遊技機1は、上記実施の形態で示した全ての技術的特徴を備えるものでなくてもよく、当業者が当然認識し得る従来技術における少なくとも1つの課題(例えば、上記で示した課題以外の課題でもよい)を解決できるように、上記実施の形態で説明した一部の構成を備えたものであってもよい。以下に上記実施の形態の変形例を例示するが、各変形例の少なくとも一部は矛盾が生じない限り組み合わせることができる。
(変形例1)
なお、パチンコ遊技機1は、役物200の異常を検出する検出手段を備えるようにしてもよい。そして、役物200に異常がある場合には、役物200が動作しても目玉ユニット210が下降しないように当該目玉ユニット210を固定する固定手段を設けるようにしてもよい。
検出手段の一例として、例えば、演出制御用CPU120は、パチンコ遊技機1の電源投入時に役物200を実際に動作させて、正常に動くかを判定してもよい。当該判定は、例えば、検出センサX1やX2により検出片273CDや検出片274Eを正常(例えば、予め定められた期間内)に検出できたか(検出センサX1やX2から検出片を検出したときに出力される検出信号を受信できたかなど)により行う。なお、パチンコ遊技機1の電源投入時に役物200を実際に動作させたとき、遊技場の店員等が役物200の動きを確認し、異常のときに所定のスイッチ(検出手段に相当する。)を押すことにより、固定手段による固定をおこなわせてもよい。
固定手段は、例えば、ソレノイドなどにより後方から前方に進出し、初期状態にあるアーム274の回転を阻止する所定の可動部材であってもよいし、演出制御用CPU120が役物200により演出を実行することを自ら禁止することによって実現されてもよい。なお、固定手段が動作する前、演出制御用CPU120は、モータ272を駆動して、役物200を強制的に初期状態にする処理(予め定められた処理)を行うようにしてもよい。これにより、目玉ユニット210が進出した状態で固定手段が動作してしまう不都合を防止できる。
このような構成によれば、正常に動作しない恐れのある目玉ユニット210を目立たないようにすることができるなど、異常時の遊技機の動作を適切なものとすることができる。なお、役物200の異常を検出したときには、役物200を再度動作させる処理を、役物200の異常の検出が無くなるまで数回繰り返してもよい。
(上記実施形態等の少なくとも一部を一例とする構成など)
次に、上記実施形態や変形例等の少なくとも一部を一例とする構成やさらなる変形例などについて説明するが、下記の構成は、適宜一部省略してもよいし、一部のみを採用して遊技機を構成してもよい。
(1)遊技機は、
演出体(例えば、黒目部材216など)と、
前記演出体を第1位置(例えば、白目部材215の中央など)から第2位置(例えば、白目部材215の下部など)に移動させる第1特定手段(例えば、駆動機構270など)と、
前記演出体に前記第2位置から前記第1位置へ移動させる力を作用させる第2特定手段(例えば、弾性体214Fなど)と、
前記第2特定手段が前記演出体に作用させる力に抵抗して、前記演出体の前記第1位置への移動を遅らせる遅延手段(例えば、ダンパー214Bなど)と、
を備えることを特徴とする。
演出体は、目玉ユニット210など、特定の役物の一部でなくてもよく、演出体単独で動作するものであってもよい。第1特定手段は、目玉ユニット210など(演出体のみであってもよい。)を、自由落下させるもの、モータなどにより左右に移動させるものなどであってもよい。第2特定手段は、弾性体(ゴムや板バネなどであってもよい。)の他、モータなどであってもよい。遅延手段は、弾性体(ゴムやバネ)などであってもよい。遅延手段は、第2特定手段が作用させる力を減衰させるもの(例えば、ダンパー等)でも、第2特定手段とは別個に演出体に直接力を作用させるもの(例えば、ゴムやバネなどの弾性体)であってもよい。遅延手段は、当該遅延手段がないときよりも、又は、演出体が第1位置から第2位置に移動するときの速度よりも、演出体の移動速度を減少させるものなどであればよい。
このような構成によれば、演出体を演出効果が高い態様で移動させることができ、演出効果を向上させることができる。
(2)上記(1)の遊技機において、
前記演出体は、可動部材(例えば、目玉ユニット210など)の一部であり、移動する前記可動部材が停止したとき(例えば、目玉ユニット210の下方への移動への急停止など)の慣性により前記第2位置へ移動する、
ようにしてもよい。
このような構成によれば、演出効果の向上を、コストを抑制しながら実現することができる。なお、慣性に加えて、停止後に重力が働いてもよい(この場合も、「慣性により前記第2位置へ移動する」に含まれる)。なお、慣性に代えて、停止後に重力が働いて、演出体が第2位置へ移動してもよい。
(3)上記(1)または(2)の遊技機において、
前記遅延手段は、ダンパ(例えば、ダンパー214Bなど)である、
ようにしてもよい。
このような構成によれば、演出効果の向上を、コストを抑制しながら実現することができる。ダンパーは、例えば、第2特定手段の力を減衰させるものなどであればよく、摩擦式のロータリーダンパー(第2特定手段からの力を変換したギア等の回転速度を減少させることで、第2特定手段の力を減少させるもの)や、他の種類のダンパーなどであってもよい。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの遊技機において、
前記演出体が前記第1位置から前記第2位置へ移動する際に空転し、前記第2位置から前記第1位置へ移動する際に噛み合うクラッチギア(例えば、クラッチギア214D,214E)が、前記演出体と前記遅延手段との間に介在している、
ようにしてもよい。
このような構成によれば、演出効果を向上させることができる。例えば、第2特定手段からの力は、噛み合ったクラッチギアを回転させ、遅延手段は、噛み合ったクラッチギアの回転速度を減少させることで、演出体の第1位置への移動を送らせるものであるとよい。
(5)上記(2)〜(4)のいずれかの遊技機において、
前記演出体又は前記可動部材の異常を検出する検出手段(例えば、変形例1など)と、
前記検出手段により前記異常が検出された場合に、前記演出体又は前記可動部材を初期位置で固定する固定手段(例えば、変形例1など)と、をさらに備える、
ようにしてもよい。
このような構成によれば、異常時の遊技機の動作を適切なものとすることができる。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかの遊技機において、
前記演出体の前方は、透光性を有する部材(例えば、カバー217など)で覆われている、
ようにしてもよい。
このような構成によれば、演出体に遊技媒体が接触することを防ぐことができ、故障の発生を抑制することができる。透光性は、半透明などであってもよい。