(第1の実施形態)
以下、本発明の多剤式の毛髪化粧料組成物を3剤式の毛髪脱色・脱染剤に具体化した第1の実施形態について説明する。
<3剤式の毛髪脱色・脱染剤>
3剤式の毛髪脱色・脱染剤は、例えば、少なくともアルカリ剤を含有する第1剤、少なくとも酸化剤を含有する第2剤、及びセルロース系高分子を含有する固体状の第3剤から構成される。この毛髪脱色・脱染剤は、第1剤〜第3剤を混合して振とうにより発泡させることによって泡状の剤型とした後、毛髪の脱色又は脱染のために毛髪に適用される。
<第1剤>
第1剤は、アルカリ剤の他に、例えば両性界面活性剤、及び可溶化剤を含有する。
アルカリ剤は、第2剤に含有される酸化剤の作用を促進することにより、毛髪の脱色効果又は脱染効果を向上する働きをする。使用されるアルカリ剤としては、例えばアンモニア、アルカノールアミン、ケイ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、メタケイ酸塩、硫酸塩、塩化物、リン酸塩、有機アミン、塩基性アミノ酸等が挙げられる。アルカノールアミンの具体例としては、例えばモノエタノールアミン、及びトリエタノールアミンが挙げられる。ケイ酸塩の具体例としては、例えばケイ酸ナトリウム、及びケイ酸カリウムが挙げられる。炭酸塩の具体例としては、例えば炭酸ナトリウム、及び炭酸アンモニウムが挙げられる。炭酸水素塩の具体例としては、例えば炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素アンモニウムが挙げられる。メタケイ酸塩の具体例としては、例えばメタケイ酸ナトリウム、及びメタケイ酸カリウムが挙げられる。硫酸塩の具体例としては、例えば硫酸アンモニウムが挙げられる。塩化物の具体例としては、例えば塩化アンモニウムが挙げられる。リン酸塩の具体例としては、例えばリン酸第1アンモニウム、及びリン酸第2アンモニウムが挙げられる。有機アミンの具体例としては、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、グアニジン等が挙げられる。塩基性アミノ酸の具体例としては、アルギニン、リジン等が挙げられる。これらのアルカリ剤のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で、脱色効果の向上の観点から、アンモニア及びアンモニウム塩が好ましく使用される。
アルカリ剤は、第1剤〜第3剤の混合物、すなわち使用時の毛髪脱色・脱染剤のpHが7〜12の範囲となる量で配合されることが好ましい。第1剤〜第3剤の混合物のpHが7以上とすることにより、第2剤に含まれる酸化剤の作用をより促進することができる。第1剤〜第3剤の混合物のpHが12以下とすることにより、毛髪脱色・脱染剤の塗布により毛髪の損傷をより抑制することができる。
両性界面活性剤は、混合性を低下させることなく、特に泡質を向上させるために配合される。両性界面活性剤として、例えばベタイン型、イミダゾリン型、アミドアミンオキシド型、及びアミノ酸型が挙げられる。ベタイン型両性界面活性剤の具体例としては、アミドベタイン型、アルキルベタイン型、スルホベタイン型、カルボベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アルキルアミドベタイン型が挙げられる。
アミドベタイン型両性界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルベタイン等が挙げられる。
アルキルベタイン型両性界面活性剤の具体例としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルベタイン、ミリスチルベタイン液、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム液等が挙げられる。
スルホベタイン型両性界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン液等が挙げられる。
イミダゾリン型両性界面活性剤の具体例としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム、N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム液、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシエチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシエトキシエチル−N’−カルボキシエチルエチレンジアミン二ナトリウム液、N−ラウロイル−N’−カルボキシメトキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウムドデカノイルサルコシン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム等が挙げられる。
アミドアミンオキシド型両性界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド液、ヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド液等が挙げられる。
アミノ酸型両性界面活性剤の具体例としては、β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミン、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム液、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム液等が挙げられる。
これらの中で、特に発泡性又は泡質等の向上の観点からベタイン型両性界面活性剤及びイミダゾリン型両性界面活性剤が好ましい。ベタイン型両性界面活性剤の中でも、より好ましくは、アルキルベタイン型及びアミドベタイン型の両性界面活性剤であり、さらに好ましくはアミドベタイン型の両性界面活性剤である。
これらの両性界面活性剤のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。好ましくは、特に泡質又は混合性等をより向上させる観点から二種以上が組み合わされて使用される。より好ましくは、ベタイン型両性界面活性剤及びイミダゾリン型両性界面活性剤が組み合わせて適用される。両性界面活性剤として、アミドベタイン型両性界面活性剤及びイミダゾリン型両性界面活性剤が組み合わせて適用される場合、イミダゾリン型両性界面活性剤の含有量に対するアミドベタイン型両性界面活性剤の含有量の質量比は、0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましい。また、かかる質量比は、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。質量比をかかる範囲に規定することにより、特に泡質等をより向上させることができる。
ベタイン型両性界面活性剤及びイミダゾリン型両性界面活性剤が併用される場合、ベタイン型の両性界面活性剤として、好ましくはラウリン酸アミドプロピルベタインが用いられる。イミダゾリン型両性界面活性剤として、好ましくは2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインが用いられる。
第1剤〜第3剤が混合物中の両性界面活性剤の含有量は、適宜設定されるが、0.01質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.4質量%以上である。両性界面活性剤の含有量が0.01質量%以上であると、特に混合性及び発泡性等をより向上させることができる。
第1剤〜第3剤が混合物中の両性界面活性剤の含有量は、適宜設定されるが、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。両性界面活性剤の含有量が10質量%以下であると、特に混合性等をより向上させることができる。
可溶化剤は、第1剤を液状にするため、また、第1剤〜第3剤の混合物を液状(泡状)にするために配合される。使用される可溶化剤の例としては、例えば水及び有機溶媒が挙げられる。有機溶媒の具体例としては、例えばエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、ケイ皮アルコール、アニスアルコール、p−メチルベンジルアルコール、α−ジメチルフェネチルアルコール、α−フェニルエタノール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、2−ベンジルオキシエタノール、N−アルキルピロリドン、炭酸アルキレン、アルキルエーテル等が挙げられる。これらの可溶化剤のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で、第1剤中のその他の成分を溶解する能力に優れることから水が好ましく使用される。溶媒として水が用いられる場合、第1剤〜第3剤の混合物中における水の含有量(使用時の含有量)は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上である。
第1剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、必要に応じて、前述した成分以外の成分、例えば水溶性高分子化合物、油性成分、多価アルコール、上記以外の界面活性剤、糖、防腐剤、安定剤、上記以外のpH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、及びキレート化剤をさらに含有してもよい。
水溶性高分子化合物は、第1剤〜第3剤を混合して得られる混合物に適度な粘度を与える。水溶性高分子化合物の具体例としては、例えば天然高分子、半合成高分子、合成高分子、及び無機物系高分子が挙げられる。天然の水溶性高分子化合物としては、例えばグアーガム、ローカストビーンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、及びコラーゲンが挙げられる。
半合成の水溶性高分子化合物としては、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、デンプンリン酸エステル、アルギン酸プロピレングリコールエステル、及びアルギン酸塩が挙げられる。
合成の水溶性高分子化合物としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニル重合体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキル共重合体、及びポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウムが挙げられる。また、合成高分子としては、例えばイタコン酸とポリオキシエチレンアルキルエーテルとの半エステル、又はメタクリル酸とポリオキシエチレンアルキルエーテルとのエステルと、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらのアルキルエステルから選ばれる少なくとも一つの単量体と、からなる共重合体が挙げられる。これらの水溶性高分子化合物のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。尚、本実施形態の第3剤において、セルロース系高分子を配合することにより泡質又は発泡性をより向上させるため、第1剤に水溶性高分子化合物を配合しなくてもよい。
油性成分は、毛髪にうるおい感を付与する。そのため、第1剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内において油性成分を含有する。油性成分としては、例えば油脂、ロウ、高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、及びシリコーンが挙げられる。
油脂としては、例えばラノリン、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、及び月見草油が挙げられる。ロウとしては、例えばミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、及びラノリンが挙げられる。高級アルコールとしては、例えばセチルアルコール(セタノール)、2−ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、及びラノリンアルコールが挙げられる。
炭化水素としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、及びワセリンが挙げられる。高級脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、及びラノリン脂肪酸が挙げられる。アルキルグリセリルエーテルとしては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテルが挙げられる。
エステルとしては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10〜30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、及び2−エチルヘキサン酸セチルが挙げられる。
シリコーンとしては、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン(例えば、(PEG/PPG/ブチレン/ジメチコン)コポリマー)、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、及びフッ素変性シリコーンが挙げられる。これらの油性成分のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
多価アルコールとしては、例えばグリコール、及びグリセリンが挙げられる。グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、及び1,3−ブチレングリコールが挙げられる。グリセリンとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンが挙げられる。これらの多価アルコールのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
界面活性剤は、乳化剤又は各成分の可溶化剤として毛髪脱色・脱染剤を使用時に乳化又は可溶化し、粘度を調整したり粘度安定性を向上させたりする。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えばアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル、及びそれらの誘導体が挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンが挙げられる。より具体的には、アルキルエーテル硫酸エステル塩としては、例えばポリオキシエチレン(以下、「POE」という)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムが挙げられる。アルキル硫酸塩として、例えばラウリル硫酸ナトリウム、及びセチル硫酸ナトリウムが挙げられる。アルキル硫酸塩の誘導体として、例えばPOEラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。スルホコハク酸エステルとして、例えばスルホコハク酸ラウリル二ナトリウムが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、及びメチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばエーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤、及びアルキルグルコシドが挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばPOEセチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、及びPOEオクチルフェニルエーテルが挙げられる。
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばモノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、及びモノミリスチン酸デカグリセリルが挙げられる。
アルキルグルコシドとして、例えばアルキル(炭素数8〜16)グルコシド、POEメチルグルコシド、及びPOEジオレイン酸メチルグルコシドが挙げられる。これらの界面活性剤の具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
糖としては、例えばソルビトール、及びマルトースが挙げられる。防腐剤としては、例えばパラベンが挙げられる。安定剤としては、例えばフェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、及びタンニン酸が挙げられる。pH調整剤としては、例えばクエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ピロリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、安息香酸等が挙げられる。酸化防止剤としては、例えばアスコルビン酸及び亜硫酸塩が挙げられる。キレート化剤としては、例えばエデト酸(エチレンジアミン四酢酸(EDTA))、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)及びその塩類が挙げられる。
本実施形態において、第1剤の剤型は、好ましくは液状に構成される。本発明における液状は、流動性のある液体の他、乳化状、ゲル状、及びクリーム状を含む概念である。
<第2剤>
第2剤は、酸化剤の他、溶剤を含有してもよい。酸化剤は、毛髪に含まれるメラニンの脱色性をより向上させる。酸化剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及びピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が挙げられる。これらの酸化剤の具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。第2剤中における酸化剤の含有量は、適宜設定されるが、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは2.0質量%以上であり、最も好ましくは3.0質量%以上である。酸化剤の含有量が0.1質量%以上の場合、メラニンの脱色性をより向上することができる。また、第2剤中における酸化剤の含有量は、好ましくは15.0質量%以下であり、より好ましくは9.0質量%以下であり、最も好ましくは6.0質量%以下である。酸化剤の含有量が15.0質量%以下の場合、毛髪の損傷等をより抑制することができる。
酸化剤として過酸化水素を第2剤に配合する場合、過酸化水素の安定性を向上させるために、好ましくは、第2剤は、安定化剤、例えばエチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩を含有する。ヒドロキシエタンジホスホン酸塩としては、例えばヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム、及びヒドロキシエタンジホスホン酸二ナトリウムが挙げられる。第2剤は、毛髪脱色・脱染剤に一般的に含有され、且つ前述した各成分の作用を阻害しない各成分を含有してもよい。例えば、前述した第1剤に含有される成分を本発明の効果を阻害ない範囲内において適宜含有してもよい。
溶剤は、第1剤〜第3剤を混合する際、固体状の第3剤を構成する各成分を溶解させる。溶剤としては、例えば水、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、ケイ皮アルコール、アニスアルコール、p−メチルベンジルアルコール、α−ジメチルフェネチルアルコール、α−フェニルエタノール、フェノキシイソプロパノール、2−ベンジルオキシエタノール、N−アルキルピロリドン、炭酸アルキレン、及びアルキルエーテルが挙げられる。これらの溶剤の具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で、各成分の溶解性が優れる観点から水が好ましい。
本実施形態において、第2剤の剤型は、好ましくは液状に構成される。本発明における液状は、流動性のある液体の他、乳化状、ゲル状、及びクリーム状を含む概念である。
<第3剤>
第3剤は、セルロース系高分子の他に、例えば発泡助剤を含有する。また、その他、酸化助剤及び各種添加剤を配合してもよい。
セルロース系高分子は、特に泡質等の向上の観点から配合される。セルロース系高分子の具体例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カチオン化セルロース、及びそれらの塩等が挙げられる。セルロース系高分子の塩の具体例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のアルカリ金属塩が挙げられる。これらのセルロース系高分子の具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
第1剤〜第3剤が混合物中のセルロース系高分子の含有量は、適宜設定されるが、0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。セルロース系高分子の含有量が0.1質量%以上であると、特に泡質をより向上させることができる。
第1剤〜第3剤が混合物中のセルロース系高分子の含有量は、適宜設定されるが、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。セルロース系高分子の含有量が10質量%以下であると、特に混合性をより向上させることができる。
本実施形態において、第3剤が固体状に構成されるため、セルロース系高分子も固体状に構成される。尚、本発明における固体状は、粉末状、粒子状等を含む概念である。これらの中でも溶解性及び混合性等の観点から粉末状が好ましい。粉末状とした場合の粒子径は、特に限定されないが、溶解性、混合性、及び凝集等による微量な粗大粒子の混入を避ける観点から、好ましくは850μm以下、より好ましくは500μm以下、さらに好ましは300μm以下である。粒子径の下限は、特に規定されないが、取り扱い性及び飛散抑制の観点から、好ましくは38μm以上、より好ましくは53μm以上である。セルロース系高分子の粒子径は、例えば篩の目開き38〜850μm程度(メッシュ20〜400)の篩を用いて調整することができる。
発泡助剤の具体例としては、炭酸塩等が挙げられる。炭酸塩の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸アンモニウム等が挙げられる。これらの発泡助剤の具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
第1剤〜第3剤が混合物中の発泡助剤の含有量は、適宜設定されるが、0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。発泡助剤の含有量が0.1質量%以上であると、特に発泡性をより向上させることができる。第1剤〜第3剤が混合物中の発泡助剤の含有量は、適宜設定されるが、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。発泡助剤の含有量が10質量%以下であると、特に混合性をより向上させることができる。
酸化助剤としては、例えば過硫酸塩が挙げられる。過硫酸塩としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウムが挙げられる。添加剤としては、例えば賦形剤及び分散剤が挙げられる。賦形剤の具体例としては、デンプン、デキストリン、シクロデキストリン、及び硫酸ナトリウム等が挙げられる。分散剤の具体例としては、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩、及びタルクが挙げられる。第3剤は、毛髪脱色・脱染剤に一般的に含有され、且つ前述した各成分の作用を阻害しない各成分を含有してもよい。例えば、前述した第1剤に含有される成分を本発明の構成及び効果を阻害ない範囲内において適宜含有してもよい。
本実施形態において、第3剤の剤型は、固体状に構成される。尚、本発明における固体状は、粉末状、粒子状、タブレット状等を含む概念である。タブレット状は、例えば粉末状や粒子状の剤を固めて形成してもよい。これらの中でも溶解性及び混合性等の観点から粉末状が好ましい。粉末状とした場合の粒子径は、特に限定されないが、溶解性、混合性、及び凝集等による微量な粗大粒子の混入を避ける観点から、好ましくは1400μm以下、より好ましくは850μm以下である。粒子径は、篩の目開き850〜1400μm程度(メッシュ12〜20)の篩を用いて調整することができる。
次に、泡状の剤型を有する毛髪脱色・脱染剤を調製するのに使用される毛髪化粧用品について図1を参照して説明する。以下の説明は、3剤式の毛髪脱色・脱染剤を使用した場合の例を示す。
図1に示されるように、毛髪化粧用品は、3剤式の毛髪脱色・脱染剤10と、毛髪脱色・脱染剤10を振とうするための発泡用具としての液密に閉塞可能な容器20とを含む。第1剤11、第2剤12、及び第3剤13からなる毛髪脱色・脱染剤10は、使用時まで個別に包装された状態で容器20内に収容して保管される。各剤の包装形態は、特に限定されず、剤型に適したものを採用することができる。例えばボトル包装、ピロー包装、及びチューブ包装等が挙げられる。
図1(a)に示されるように、容器20は、有底円筒状の容器本体21と、容器本体21の開口部を閉塞する半球状の蓋体22とを備えている。容器本体21は、底部よりも開口部が拡径した形状を有している。また、容器本体21の内面は曲面状をなしている。
蓋体22の周縁にはフランジ状の嵌合部が形成されており、この嵌合部は容器本体21の開口部に嵌合するようになっている。図1に示す容器20では、蓋体22の嵌合部を容器本体21の開口部に嵌合させて蓋体22を回転させることで容器本体21に対して蓋体22が液密に装着される。容器本体21を閉塞させる構造は特に限定されない。例えば、蓋体に凹条を形成するとともにその凹条を容器本体の開口部周縁に形成した凸条に圧入させる構造により閉塞可能としてもよい。
容器20は、個別に包装された状態の第1剤11〜第3剤13を収容可能に形成されている。すなわち、図1(a)に示されるように、容器20は、毛髪脱色・脱染剤10の使用時まで第1剤11〜第3剤13をまとめて保管する外装容器として使用される。容器20の中には、第1剤11〜第3剤13だけでなく、毛髪の脱色・脱染処理時に用いられる手袋、説明書等の付属品を収容してもよい。容器20は、軽量化の観点から、樹脂、又は耐水性を付与した紙から形成されることが好ましい。また、容器本体21の外面には、例えばシュリンクフィルムを用いた印刷を付与することもできる。
使用時にはまず、容器本体21から蓋体22を取り外し、個別包装された第1剤11〜第3剤13を容器本体21内から取り出す。次に、第1剤11〜第3剤13の包装を開封し、図1(b)に示されるように第1剤11〜第3剤13を容器本体21に投入する。投入する順番は、特に限定されないが、投入時の発泡を抑止するために、液剤を容器内に投入した後、固体状の剤を投入することが好ましい。全て投入後、容器本体21内で第1剤11〜第3剤13が接触し、混合物14が得られる。続いて、図1(c)に示されるように容器本体21に蓋体22を装着し、容器20を上下に振る。このとき、容器20内では、第1剤11〜第3剤13の混合が進むとともに、振とうにより混合物14に空気が混入される。こうして混合物14に空気を振り混ぜることにより、混合物14は発泡する。そして、容器20を所定の回数振った後、振るのを止めることで、発泡は完了する。振とう回数は、特に限定されず、発泡完了時を目視により適宜決定することができるが、例えば10〜20回が挙げられる。こうして得られた泡状の毛髪脱色・脱染剤15は、図1(d)に示されるように、容器本体21から蓋体22を取り外した後、容器本体21内から例えば薄手の手袋をした手で直接取り出して毛髪に塗布される。毛髪脱色・脱染剤は泡状であるために、液だれを起こすことなく毛髪に容易に馴染むことができる。毛髪に毛髪脱色・脱染剤を塗布した後、放置している間に毛髪の脱色又は脱染は進行する。所定時間の経過後、水又は温水で毛髪を洗って毛髪上の毛髪脱色・脱染剤を落とし、毛髪の脱色又は脱染処理は完了する。
本実施形態に係る毛髪脱色・脱染剤は以下の利点を有する。
(1)本実施形態に係る毛髪脱色・脱染剤は、アルカリ剤等を含有する第1剤、酸化剤等を含有する第2剤、及びセルロース系高分子等を含有する固体状の第3剤を含んでなる多剤式の毛髪化粧料組成物として構成した。したがって、振とうにより発泡させて泡状の剤型として毛髪に適用される多剤式の毛髪化粧料組成物において、混合性及び泡質を向上させることができる。
(2)好ましくは、両性界面活性剤が、ベタイン型両性界面活性剤及びイミダゾリン型両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を含んでなる。したがって、特に発泡性及び泡質をより向上させることができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の多剤式の毛髪化粧料組成物を3剤式の染毛剤に具体化した第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る染毛剤は、第1剤〜第3剤から構成される3剤式の毛髪化粧料組成物である。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
本実施形態に係る3剤式の染毛剤は、例えば、少なくともアルカリ剤及び酸化染料を含有する第1剤、少なくとも酸化剤を含有する第2剤、及びセルロース系高分子を含有する固体状の第3剤から構成される。この染毛剤は、第1剤〜第3剤を混合して振とうにより発泡させることによって泡状の剤型とした後、毛髪の染毛のために毛髪に適用される。
第1剤は、アルカリ剤及び酸化染料を含有する。酸化染料は、第2剤に配合される酸化剤による酸化重合に起因して発色可能な化合物であり、染料中間体及びカプラーに分類される。酸化染料は少なくとも染料中間体を含んでいる。
染料中間体としては、例えばp−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン(パラトルイレンジアミン)、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルアミン、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、o−クロル−p−フェニレンジアミン、4−アミノ−m−クレゾール、2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4−ジアミノフェノール、及びそれらの塩が挙げられる。これらの具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
カプラーは、染料中間体と結合することにより発色する。カプラーとしては、例えばレゾルシン、5−アミノ−o−クレゾール、m−アミノフェノール、α−ナフトール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、トルエン−3,4−ジアミン、2,6−ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、N,N−ジエチル−m−アミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、及びそれらの塩が挙げられる。これらの具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。酸化染料は、毛髪の色調を様々に変化させることができることから、好ましくは、染料中間体の前記具体例の中から選ばれる少なくとも一種と、カプラーの前記具体例の中から選ばれる少なくとも一種とから構成される。第1剤は、前記酸化染料以外の染料として、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載された酸化染料、及び直接染料から選ばれる少なくとも一種を適宜含有してもよい。また、第1剤に含有される、前述した成分以外の成分としては、第1の実施形態に係る第1剤に含有される成分が挙げられる。
染毛剤における第2剤及び第3剤は、第1剤と混合された後、毛髪の染色に使用される。第2剤及び第3剤の具体的な構成は、第1の実施形態に係る第2剤及び第3剤とそれぞれ同じである。
本実施形態において、第1剤の剤型は、液状に構成される。第2剤の剤型は、液状に構成される。第3剤の剤型は、固体状に構成される。染毛剤は、第1剤〜第3剤が混合された後、例えば図1に示される毛髪化粧用品を用いて、振とうにより発泡させる発泡操作によって泡状の剤型が形成された後、次いで、必要量の混合物が薄手の手袋をした手、コーム(櫛)又は刷毛に付着されて毛髪に塗布される。
本実施形態に係る染毛剤は、第1の実施形態の効果に加えて以下の利点を有する。
(3)本実施形態に係る染毛剤は、アルカリ剤及び酸化染料等を含有する第1剤、酸化剤等を含有する第2剤、及びセルロース系高分子等を含有する固体状の第3剤を含んでなる多剤式の毛髪化粧料組成物として構成した。したがって、振とうにより発泡させて泡状の剤型として毛髪に適用される多剤式の毛髪化粧料組成物において、混合性及び泡質を向上させることができる。
(4)本実施形態に係る染毛剤は、好ましくは酸化染料を含有する第1剤を液剤として構成した。特に、粉末状の染料は溶解しにくいため、染料を液状の第1剤に配合するとともに、固体成分であるセルロース系高分子を固体状の第3剤として構成したことにより、特に混合性及び泡質をより向上させることができる。
前記実施形態は以下のように変更されてもよい。
・前記実施形態の毛髪化粧料組成物では、両性界面活性剤を第1剤に配合した。しかしながら、両性界面活性剤は、第1剤〜第3剤のいずれかに配合すればよい。
・前記実施形態の毛髪化粧料組成物では、アルカリ剤等を含有する第1剤、酸化剤等を含有する第2剤、及びセルロース系高分子等を含有する固体状の第3剤を含んでなる多剤式の毛髪化粧料組成物として構成した。しかしながら、毛髪化粧料組成物は、3剤式に限定されず、第1剤〜第3剤に含有されるその他成分の一部を別剤として構成し、複数剤式、例えば4剤式以上に構成してもよい。
・前記実施形態の毛髪化粧料組成物では、第1剤及び第2剤を液状の剤型として構成した。しかしながら、第1剤及び第2剤のいずれか一方が、固体状に構成してもよい。
・前記発泡操作を次のように変更することができる。すなわち、毛髪化粧料組成物に振動を加えることで、毛髪化粧料組成物に空気を混入させる発泡操作、又は毛髪化粧料組成物に回転を加えることで、毛髪化粧料組成物に空気を混入させる発泡操作に変更することもできる。つまり、毛髪化粧料組成物の振とうにより発泡させる発泡操作とは、毛髪化粧料組成物を振り混ぜる操作、毛髪化粧料組成物に振動を加える操作、及び毛髪化粧料組成物に回転を加える操作の少なくとも一種の操作により発泡させることを意味する。
こうした発泡操作の種類に応じて、毛髪化粧料組成物を発泡させるための発泡用具を変更することもできる。例えば、主として振動を加える発泡操作の場合、発泡用具としては、例えば加振機、及び手動式泡立て器が好適である。また例えば、主として回転を加える発泡操作の場合、発泡用具としては、例えば撹拌棒、撹拌子、及び電動式泡立て器が好適である。こうした発泡操作は、毛髪化粧料組成物を例えば上端に開口を有する容器に投入して、その容器内で行われる。このような発泡用具を用いた場合であっても、前記実施形態の毛髪化粧料組成物によれば、発泡性を高めることが容易となる。
・前記実施形態において、発泡操作において、酸によって炭酸塩から二酸化炭素を発生させて発泡させる構成を併用してもよい。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。尚、本発明は、実施例欄記載の構成に限定されるものではない。
表1〜3に示す各成分を含有する、染毛剤の第1剤〜第3剤を調製した。同様に表4に示す各成分を含有する、毛髪脱色剤の第1剤〜第3剤を調製した。表1〜4における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。なお、各実施例及び比較例では、比較例7以外、第1剤及び第2剤を液状に調製するとともに第3剤を粉末状に調製している。比較例7は、第1剤を粉末状に調製している。尚、上記粉末状の第1剤及び第3剤は、粒子径が850μm以下となるようメッシュ20の篩を用いて調整している。また、上記粉末状の第1剤及び第3剤において用いる粉末状の各種セルロースに関し、実施例37は、粒子径が500μm以下となるようメッシュ32の篩を用いて調整し、実施例38は、粒子径が850μm以下となるようメッシュ20の篩を用いて調整している。その他の各例については、粒子径が300μm以下となるようメッシュ48の篩を用いて調整している。
そして、第1剤〜第3剤を表中に示す質量比で、図1に示す閉塞可能容器を用いて混合することにより各染毛剤又は毛髪脱色剤を調製する。表中「成分」欄におけるAの表記は、アミドベタイン型両性界面活性剤、Bの標記は、イミダゾリン型両性界面活性剤を示す。尚、閉塞可能容器の容量は770mLであり、高さは17cmであり、内径は7cm〜8cmである。その閉塞可能容器内に、第1剤〜第3剤の混合物として150gとなるように各剤を投入して、閉塞可能容器を手動で上下に15回振った。こうした染毛剤又は毛髪脱色剤に空気を振り混ぜる発泡操作を行うことで、泡状の剤型とした。この際、混合時の凝集(いわゆるダマ)の発生及び粉の溶け残りの発生について、並びに発泡性及び得られた泡状の剤の泡質について、下記に示す方法に従い、振とう操作後すぐに評価を行った。
また、表1〜3に示す各実施例及び比較例の染毛剤又は表4に示す各実施例の毛髪脱色剤を発泡させて得られた泡状の剤について、所定時間放置後の泡の液化について、下記に示す方法に従い評価を行った。
<混合時の凝集(いわゆるダマ)の発生>
前記閉塞可能容器内に、第1剤〜第3剤の各剤を投入して、閉塞可能容器を上下に15回振った後、泡を容器から取り出し、パネラーが目視にて凝集の発生の有無を下記の基準により評価した。
“5”は、凝集の発生が全くない場合、“4”は、凝集の発生がほとんどないが僅かに残る場合、“3”は、凝集の発生が少なくあまり目立たない場合、“2”は、凝集の発生が目立つ程度に残る場合、“1”は、凝集の発生が多い場合とした。
<混合時の粉の溶け残りの発生>
前記閉塞可能容器内に、第1剤〜第3剤の各剤を投入して、閉塞可能容器を上下に15回振った後、泡を容器から取り出し、パネラーが目視にて粉の溶け残りの発生の有無を下記の基準により評価した。
“5”は、溶け残りの発生が全くない場合、“4”は、溶け残りの発生がほとんどないが僅かに残る場合、“3”は、溶け残りの発生が少なくあまり目立たない場合、“2”は、溶け残りの発生が目立つ程度に残る場合、“1”は、溶け残りの発生が多い場合とした。
<発泡性>
前記閉塞可能容器内に、第1剤〜第3剤の各剤を投入して、閉塞可能容器を上下に15回振った後、パネラーが目視にて泡立ちの量を下記の基準により評価した。
“5”は、泡立ちの量が非常に多い場合(実施例1の場合)、“4”は、泡立ちの量が多い場合、“3”は、泡立ちの量が良好な場合(実施例1と比較例6の中間の場合)、“2”は、泡立ち量がやや少ない場合、“1”は、泡立ち量が少ない場合(比較例6の場合)とした。
<泡質>
前記閉塞可能容器内に、第1剤〜第3剤の各剤を投入して、閉塞可能容器を上下に15回振った後、得られた泡の泡質について、パネラーが手でウィッグ(毛髪)に塗布し、下記の基準により評価した。
“5”は、泡保持力に優れ、毛髪塗布後、泡の状態が維持される場合、“4”は、泡保持力にやや優れ、毛髪塗布後、僅かに消泡が発生するが、ほとんど泡の状態が維持される場合、“3”は、泡保持力は良好であり、毛髪塗布後、消泡が発生するが、液だれが発生しない場合、“2”は、泡保持力はやや悪く、毛髪塗布後、消泡が発生し、液だれが発生する場合、“1”は、泡保持力は悪く、毛髪塗布中に液だれが発生する場合を示す。
<混合後の泡の液化>
前記閉塞可能容器内に、第1剤〜第3剤の各剤を投入して、閉塞可能容器を上下に15回振った後、得られた泡を閉塞可能容器内にて10分間放置し、閉塞可能容器の底に溜まった液量(容器の底面〜液面までの高さ)を測定することにより評価した。“5”は、液化なしの場合、“4”は、高さ5mm未満の場合、“3”は、高さ5mm以上10mm未満の場合、“2”は、高さ10mm以上15mm未満の場合、“1”は、高さ15mm以上の場合を示す。各表中には、容器の底面〜液面までの高さを併せて示す。上記の各評価結果を表1〜4に示す。
表1〜4に示すように、各実施例は、各項目において良い評価が得られた。
一方、第3剤に粉末状のセルロース系高分子を含有しない比較例1は、各実施例に対して、特に泡質及び液化の評価が低いことが分かった。また、両性界面活性剤を含有しない比較例2は、各実施例に対して、特に凝集の発生及び泡質の評価が低いことが分かった。また、第3剤に粉末状のセルロース系高分子の代わりに粉末状のキサンタンガム又はポリビニルビロリドンを使用する比較例3又は比較例4は、各実施例に対して、特に溶け残り、泡質、及び液化の評価が低いことが分かった。また、両性界面活性剤を配合せず、アニオン性界面活性剤を含有する比較例5は、各実施例に対して、特に凝集の発生及び発泡性の評価が低いことが分かった。また、第3剤を使用せず、セルロース系高分子を液状の第1剤に配合する比較例6は、各実施例に対し、特に発泡性、泡質、及び液化の評価が低いことが分かった。また、第3剤を使用せず、セルロース系高分子を粉末状に調整される第1剤に配合する比較例7は、各実施例に対し、特に溶け残り、泡質、及び液化の評価が低いことが分かった。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(イ)前記各請求項に記載される毛髪化粧料組成物と該毛髪化粧料組成物の使用時に発泡させるための発泡用具を備える毛髪化粧用品。(イ)の構成によれば、使用時に簡便に泡状の毛髪化粧料組成物を調製することができる。(ロ)前記両性界面活性剤は、アミドベタイン型両性界面活性剤及びイミダゾリン型両性界面活性剤を含むとともに、イミダゾリン型両性界面活性剤の含有量に対するアミドベタイン型両性界面活性剤の含有量の質量比は、0.1以上且つ20以下である前記毛髪化粧料組成物。(ロ)の構成によれば、泡質をより向上することができる。