JP6537183B2 - 水中重錘落下締固め工法用重錘およびこの重錘を用いた水中重錘落下締固め工法 - Google Patents

水中重錘落下締固め工法用重錘およびこの重錘を用いた水中重錘落下締固め工法 Download PDF

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Description

本発明は、水中重錘落下締固め工法用重錘およびこの重錘を用いた水中重錘落下締固め工法に関する。
地盤の締固め工法は、地表から締固める工法と地中で締固める工法に大別される。前者の工法の一つとして、重錘を高所から落下させて地盤を動的に締固める重錘落下締固め工法が公知である。この工法は、対象地盤を選ばず、岩砕盛土、砂質土、粘性土、廃棄物、ピートなど広い範囲の土質に適用可能であり、経済的にも優れた工法として、地震時の液状化対策、廃棄物の減容化など、さまざまな用途に利用されてきている(非特許文献1参照)。
重錘落下締固め工法は、フランスのL.Menardによって確立され、特許文献1,2のように日本には1973年に技術導入された。これらの技術は、厚い盛土や自然地盤の締固め方法として、盛土や自然地盤を対象に重錘を高所から落下させ動的に締固める工法に関するものである。その後、同様の機構で締固める方法として、特許文献3により動圧密工法と動圧密装置などが提案されているが、いずれも、陸上地盤を締固めることを想定し、施工機械や施工管理方法について高度化を図ろうとするものである。
従来の重錘落下締固め工法は、陸上の地盤を締固めることを前提に設計思想、重錘仕様が整備されており、水中に没した地盤の締固めに関する施工事例や報告は多くない。一方、水中における重錘締固め方法として、特許文献1には、水中での締固めの場合は、水中の貫入抵抗によるブレーキを最小限にする様に、流体力学的配置を加えた形のものが用いられる旨の記載があるが、具体的な形状やその効果については言及されていない。特許文献3は水底地盤の締固め方法を与えるものではない。水中における重錘締固めに関する技術は、例えば、特許文献4〜7で提案されている。
特開昭48-59608号公報 特開昭54-44302号公報 特開2000-144704号公報 実公昭55-24169号公報 特開2010-168730号公報 特開2013-67972号公報 特開2006-104835号公報
地盤工学会 地盤改良の調査・設計と施工編集委員会「地盤改良の調査・設計と施工―戸建住宅から人工島まで―」115-117頁,2013 Menard,L. and Boise,Y."Theoretical and Practical Aspect of Dynamic Consolidation",Geotechnique, Vol.25, No.1, pp.3-18, 1975
特許文献4は、重錘に複数の水逃し用透孔を設けた水中モンケンを開示する。しかし、このような重錘を水中で自由落下させる場合、陸上での自由落下と異なり、目標の水底位置に正確に着底させることが施工管理上必要であるが、かかる対策については言及がない。この重錘の落下位置を制御するため、特許文献5は水中捨石均し装置を開示するが、図11に示すように、内部支柱102に沿って重錘101を落下させる機構になっており、陸上のものと比べ締固め装置一式が大規模になる。また、特許文献6は水中捨石基礎均し用重錘を開示し、特許文献7は水中捨石基礎およびその圧密均し工法を開示するが、これらの方法は、支柱は用いないものの重錘ヘッド本体とパイプ状の支持体からなる大規模なタワー型重錘を用いたもので、効率の良い締固め方法とは言いがたい。
陸上施工の際には円柱形や直方形のシンプルな形状の重錘を自由落下させるのに対し、水上施工では締固め効果には直接的に寄与しない、落下位置制御のための支柱部を有する大型の重錘を用いることになる。一方、水上作業では、波浪条件による作業中止基準があるため稼働率が悪く、時間的な制約が厳しい条件下で効率的な施工が求められる。現状の施工法には、以下のような課題があるといえる。
(1)重錘が大型となるため構成部材が多く、運搬コストが高くなる。
(2)重錘構成部材を現地で組み立てなければならず、締固め以外の作業にも時間を要する。
(3)重錘が大型のため、クレーン船には高いスペックが要求される(例えば、吊り能力)。
(4)重錘が大型のため、打撃位置の移動が容易でない。
(5)支柱部があるような構造は、水上で風の影響を受けやすく動揺が大きくなる。
上記課題を解決する施工性の良い重錘を開発するには、締固め効果には直接的に寄与しない支柱部を取り除いたコンパクトな構造が求められる。コンパクトな構造の実現には、水中で重錘を落下させて地盤を締め固める際、流体抵抗を極力避けながら、所定の位置に落下させることができるとともに、重錘の水中落下による打撃エネルギーを効率良く地盤に伝え、締め固め効果が高い重錘形状が必要とされる。
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、水底地盤を重錘落下により締固める工法の実施に際して締め固め効果が高くかつ目標の水底位置に確実に着底できる形状を有する水中重錘落下締固め工法用重錘およびこの重錘を用いた水中重錘落下締固め工法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための水中重錘落下締固め工法用重錘は、水底地盤を重錘落下により締固める工法に用いられる重錘であって、水底に着底する下面部と、前記下面部と対向するように上端に位置する上面部と、前記下面部と前記上面部との間の側面に構成された外周部と、重錘重量を得るために内部に配置された重量部と、前記重量部を前記下面部から前記上面部に向けて貫通するように設けられた貫通部と、を備え、前記重錘が水中落下するとき前記外周部において相対的に生じる水の流れを整えるための整流部を前記外周部に設けたことを特徴とする。
この水中重錘落下締固め工法用重錘によれば、水底地面の締固めのために重錘を水中落下させたとき、貫通部を通して下面部から相対的な水の流れが重錘内部に導かれて上面部へと向かい、上面部から外部上方へ流れ出ることで、重錘の落下姿勢が安定するとともに、下面部における水中落下時の水の抵抗を低減させることができ、運動エネルギーが減少しにくい。また、重錘の外周部において相対的に生じる水の流れに乱れが生じても整流部で整えられて整流効果が得られるので、重錘の落下姿勢が安定する。特に、重錘使用中に貫通部が石や粘土、雑物などによって閉塞した場合でも、整流部による整流効果のため、重錘に傾斜や回転等を生じることなく安定した落下姿勢を保つことができる。これらにより、重錘が目標の水底位置に確実に着底できるとともに、重錘の水中落下による打撃エネルギーを効率良く水底地盤に伝え、締め固め効果の高い重錘形状を実現できる。
上記水中重錘落下締固め工法用重錘において、前記整流部は、前記外周部から突き出るように設けられた複数の整流板から構成されることが好ましい。整流部を複数の整流板から構成するので、簡単な構造となりコスト的に有利である。また、各整流板が外周部にあるので、整流板の間に土塊等が詰まったとしても容易に除去することができ、整流効果を継続的に得ることができる。
なお、複数の整流板は外周部に対称的に羽根状に設けられることが好ましい。また、重錘が水中落下し下面部から水底地盤に着底し衝突したとき、外周部から突き出た複数の整流板が水底地盤で重錘の周囲の地盤を押さえつけることで、その周囲の地盤隆起を防止または低減することができるが、この場合、次のような構成にすることが好ましい。
すなわち、前記複数の整流板の下端部は、水平方向に延びかつ前記下面部から所定高さだけ上方に位置することが好ましい。重錘が水中を落下し水底地盤に下面部から衝突するとき、各整流板の下端部が重錘の下面部から所定高さだけ上方にあるので、まず下面部の面積のみで水底地盤に接触する。このため、単位面積あたり高エネルギーで締固めることが可能である。その衝突後、重錘の水底地盤へのめりこみとともにその周囲で水底地盤の隆起が生じたとしても、水平方向に延びた各整流板により押さえ付けられるので、地盤の締固め効果を向上できる。
また、前記重錘の全体形状が直方体であり、前記外周部を構成する四面にそれぞれ複数の前記整流板が設けられるように構成できる。
また、複数の前記貫通部が、前記下面部または前記上面部から見たとき、格子状となるように前記重量部に形成されていることが好ましい。
上記目的を達成するための水中重錘落下締固め工法は、上述の水中重錘落下締固め工法用重錘を用いて水底地盤を重錘落下により締固めることを特徴とする。
この水中重錘落下締固め工法によれば、用いる重錘が目標の水底位置に確実に着底できるとともに締め固め効果の高い重錘形状であるので、水底地盤を効率的にかつ精度よく締め固めることができる。
本発明によれば、水底地盤を重錘落下により締固める工法の実施に際して締め固め効果が高くかつ目標の水底位置に確実に着底できる形状を有する水中重錘落下締固め工法用重錘、およびこの重錘を用いた水中重錘落下締固め工法を提供することができる。
本実施形態による水中重錘落下締固め工法用重錘の上面図(a)、側面図(b)および下面図(c)である。 図1の重錘が水底に着底した状態を概略的に示す側面図(a)および整流板を設けない重錘が水底に着底した状態を概略的に示す側面図(b)である。 本実験例で用いた水中落下の実験装置の概略図である。 本実験例で水中落下させた重錘1(比較例)および重錘2の落下姿勢を示す概略図である。 上記(3)式を用いて本実験例の結果から重錘1,重錘2の抗力係数CDの値を逆解析的に決定した分析結果を示す図である。 実物スケール重錘の水中落下挙動のシミュレーションの計算に用いたパラメータを示す図である。 図6のシミュレーション結果として重錘1(比較例)と重錘2の落下速度と落下高さとの関係を示すグラフである。 図7の結果をもとに計算した締固めエネルギー(重錘着底時の運動エネルギー)と落下高さとの関係を示すグラフである。 重錘内部の格子構造に土塊が詰まったことを想定した水中落下実験における重錘1(a)、重錘2(b)の水中落下時の落下姿勢を示す概略図である。 図9の水中落下実験の検討結果を示す図である。 従来技術による、内部支柱に沿って重錘を落下させる機構の概略図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。図1は本実施形態による水中重錘落下締固め工法用重錘の上面図(a)、側面図(b)および下面図(c)である。
図1(a)〜(c)に示すように、水中重錘落下締固め工法用重錘(以下、重錘、という。)10は、水底に着底する下面部11と、下面部11と対向するように上端に位置する上面部12と、下面部11と上面部12との間の側面に構成された外周部13と、外周部13を構成する側面板16と、重錘重量を得るために内部に配置された複数の重量板17,18と、重錘内部で下面部11から上面部12に向けて貫通するように設けられた複数の貫通部15と、を備える。重錘10は、全体として底面が正方形の直方体状に構成されている。
図1(a)〜(c)のように、重錘10が水中落下するとき外周部13において相対的に生じる水の流れを整えるための整流部14を外周部13に設けている。整流部14は、外周部13から突き出るようにして縦方向に直線状に設けられた複数の整流板14a〜14dから構成される。
複数の整流板14a〜14dは、それぞれ平面形状が台形状になっており、外周部13を構成する四側面においてそれぞれ所定の等間隔で並列に配置され、全体として対称的な羽根状に構成されている。
図1(b)のように、複数の整流板14a〜14dの各下端部14eは、外周部13から突き出るように水平方向に水平距離x1だけ延びており、また、下面部11から高さy1だけ上方に位置し、各下端部14eの下面部11からの高さ位置は一定である。
上述のように、整流部14を複数の整流板14a〜14dから構成することで、簡単な構造となりコスト的に有利である。また、各整流板14a〜14dが外周部13にあるので、各整流板14a〜14dの間に土塊等が詰まったとしても容易に除去することができ、整流効果を継続的に得ることができる。
また、外周部13を構成する4枚の側面板16の内部には、図1(a)(c)の横方向に比較的長い複数の重量板17が所定間隔で平行に並べられて配置されるとともに、縦方向に比較的短い複数の重量板18が一列に並べられ、その列が平行に複数列になるように配置されている。
図1(a)(c)のように、複数の重量板17,18は、下面部11または上面部12から見たとき、格子状(格子構造)となるように配置され、それらの間に複数の貫通部15が下面部11から上面部12へと突き抜けるようにして形成されている。
なお、図1(a)〜(c)の重錘10は、例えば、鉄鋼材料を用いて溶接等により組み立てることができる。また、図1(b)のように、重錘10の上面部12には、クレーン等を用いたワイヤ等による吊り下げ・吊り上げのための吊部19が設けられている。重錘10を大気中において吊部19で吊り下げたとき、下面部11の面は水平になるようになっている。
本実施形態の重錘10によれば、水底地面の締固めのために重錘10を水中落下させたとき、各貫通部15を通して下面部11から相対的な水の流れが重錘内部に導かれて上面部12へと向かい、上面部12から外部上方へ流れ出ることで、重錘10の落下姿勢が安定するとともに、下面部11における水中落下時の水の抵抗を低減させることができ、運動エネルギーが減少しにくい。また、重錘10の外周部13においても下方から上方へと相対的に水の流れが生じるが、この流れに乱れが生じても、整流部14を構成する複数の整流板14a〜14dにより整えられて整流効果が得られるので、重錘10の落下姿勢が安定する。特に、重錘10の使用中に複数の貫通部15の一部が石や粘土、雑物などによって閉塞した場合でも、整流部14による整流効果のため、水中落下中の重錘10に傾斜や回転等を生じることなく安定した落下姿勢を保つことができる。これらにより、重錘10が目標の水底位置に確実に着底できるとともに、重錘10の水中落下による打撃エネルギーを効率良く水底地盤に伝え、締め固め効果の高い重錘形状を実現できる。
図2は、図1の重錘の外周面に設けた整流板の隆起抑制効果を説明するため水底に着底した重錘の概略的な側面図(a)および整流板を設けない場合の重錘の概略的な側面図(b)である。
図2(b)のように、図1の重錘10において複数の整流板を省略した重錘100が水中落下し下面部11から水底地盤Gに衝突したとき、水底地盤G内にめり込んで貫入するとともに、重錘100の周囲で水底地盤Gに比較的大きな隆起部G2が生じてしまい、水底地盤の締め固め効果が損なわれてしまうおそれがある。これに対し、本実施形態の重錘10によれば、外周部13から突き出た複数の整流板14a〜14dが重錘周囲の水底地盤を押さえ付けることで、隆起抑制効果を得て、その周囲の地盤隆起を防止または低減することができる。
すなわち、重錘10が水中落下し水底地盤Gに下面部11から衝突するとき、図1(b)、図2(a)のように、各整流板14a〜14dの下端部14eが下面部11から高さy1だけ上方に位置しているので、まず下面部11の面積のみで水底地盤に接触する。このため、単位面積あたり高エネルギーで締固めることが可能である。その衝突後、図2(a)のように、重錘10が下面部11から水底地盤G内にめり込んで貫入するとともに、その貫入深さdが下端部14eの高さy1程度に達すると、下端部14eが重錘10の周囲で水底地盤Gに当たり、重錘10がさらに貫入することで、その周囲で隆起が生じたとしても、整流板14a〜14dにより水底地盤Gが押さえ付けられ、このため、その隆起部G1は比較的小さくなり、地盤の締固め効果を、整流板がない図2(b)の場合よりも向上できる。
上述のように、下端部14eの高さy1は、下端部14eが重錘10の周囲で水底地盤Gに当たる、めり込み深さdと対応するので、予想されるめり込み深さdを考慮して決められることが好ましい。また、下端部14eの水平距離x1は、着底した重錘10の周囲で整流板14a〜14dが水底地盤を押さえ付けるべき範囲を考慮して決められることが好ましい。
特に、比較的密度の高い地盤や粒径の大きな材料で構成される水底地盤の場合には、打撃時に地盤隆起量が大きくなり、期待した締固め効果が得られない可能性があるところ、重錘10の外周部13に複数の整流板14a〜14dを配置することで、各整流板14a〜14dが隆起抑制板として機能し、整流板無しの重錘よりも大きな締固め効果を得ることができる。したがって、本実施形態の重錘10は、地盤隆起量が顕著となるような場合にも、これを抑制するのに効果的な形状を有するものである。
実際の施工では、クレーンにより重錘10を吊り上げ、水中で自由落下させるが、本実施形態によれば、従来技術の図11のような支柱部が不要で、重錘をコンパクトな構成にできるので、クレーンの仕様もコンパクトにでき、打撃位置の移動が容易で、施工性やコストの点で有利である。例えば、重錘質量として30トン程度を目安に重錘の寸法を決めることが好ましい。
すなわち、図1(a)〜(c)の重錘10は、例えば、下面部11,上面部12の平面寸法X×Zを1720mm×1720mm、高さYを2290mmとし(全体の体積6.8m3)、質量32.2トンとすることができる。なお、これらの寸法、重錘質量は一例であって、実施に当たっては適宜変更可能である。例えば、複数の重量板17,18の配列枚数や、重量板17,18の厚さ等を変えることによって、重錘質量や貫通部の平面面積等を適宜変更可能である。
〈実験例〉
次に、本実施形態による図1の重錘10が水中落下による締め固めに適した重錘形状を有することを模型実験により確認した。
(a)水中における貫入抵抗を低減するための重錘形状の確認方法
重錘の水中落下実験を実施し、打撃効率の良い重錘形状を確認した。実験では、2種類の重錘(重錘1、重錘2)を用いた。重錘2は、図1(a)〜(d)に示す構成の重錘10とし、寸法等は、上述の例のとおりである。重錘1は、比較例として、図1(a)〜(d)の重錘10から各整流板14a〜14dを省略した構成とし、平面寸法X×Zを1720mm×1720mm、高さYを2290mmとし、質量を30.0トンとした。
締固めエネルギー(打撃エネルギー)Eは、着底直前の重錘の運動エネルギーに相当するものと考え、(1)式により評価した。
E=(1/2)Mw2 (1)
ここに、w:重錘の鉛直方向の落下速度、M:重錘の質量、である。
図3は水中落下の実験装置を示す概略図である。実験は、締固めエネルギーに影響する落下速度および落下姿勢に着目し、以下の条件で実施した。
・重錘模型の幾何学的縮尺は1/16.7
・水槽は、アクリル製で、サイズが、L:0.5m × B:0.5m × H:2m
・落下高さHpは1.3m,0.7m
・落下開始から着底までの時間Δtを計測し落下速度を推定
・ビデオ撮影により落下姿勢を確認
(b)実験結果の解釈(理論的背景)
水中における物体の落下運動は、(2)式で与えられる(鉛直下向きを正)。
ここに、km:仮想質量係数、V:物体の体積、A:物体の移動する方向への投影面積、ρw:海水密度、CD:抗力係数(0.5〜2.0程度の値)である。
(2)式を差分法で解くと次式となる。
ここで、上付き文字のnおよびn+1は解析における時間ステップを意味する。また、落下距離Dfallは落下速度の時刻歴を数値積分することで求めることができる。上記(2)、(3)式において、抗力係数CDは、流体中を移動する物体が受ける抵抗の大きさを示すパラメータであり、物体の形状に依存する。したがって、任意の形状をもつ重錘を安定した姿勢で落下させることができれば、縮尺模型実験により抗力係数を決定することができ、この抗力係数の値と(3)式により、実際の重錘の落下挙動を推定することが可能となる。
(c)水中落下実験中の重錘の落下姿勢
図4に高さHp1.3mから水中落下させた重錘1(比較例),重錘2の落下姿勢を示す。図4より、重錘1,2のいずれの形状においても安定した落下姿勢を示すことが確認された。落下姿勢の安定には、本実施形態のように重錘内部を格子構造とするなどにより、水の抵抗を低減することが重要であるといえる。
(d)水中落下実験結果の分析(抗力係数の決定)
抗力係数CDの値を試行錯誤的に与えながら上記(3)式を用いて実験中の重錘の落下挙動を計算し、実験結果に対する再現性が最も高いCDの値を逆解析的に決定した。この分析の結果を図5に示す。図中の破線の交点(・印)は、実験条件として与えた落下高さHpと、その結果得られた落下開始から着底までの時間Δtの関係を示している。逆解析の結果、決定された抗力係数は、以下のとおりである。
・重錘1(比較例):CD=1.0
・重錘2:CD=1.3
(e)実物スケール重錘の水中落下挙動のシミュレーション
上述のように決定した抗力係数、上記重錘の諸元、および上記(3)式に基づいて、重錘の実際の水中落下挙動をシミュレーションした。計算に用いたパラメータを図6に示す。図7にシミュレーション結果として重錘1(比較例)と重錘2の落下速度と落下高さとの関係を示す。図7から、落下速度はわずかに重錘1>重錘2となるがその差は小さく、重錘2は整流板が設置されているにもかかわらず、抵抗を受けにくい形状であることが確認できた。
図7の結果をもとに計算した締固めエネルギー(重錘着底時の運動エネルギー)と、落下高さとの関係を図8に示す。締固めエネルギーを比較すると、落下高さ8m程度までは、外周面に整流板をつけた分、質量が大きくなる重錘2を用いることでより大きな締固めエネルギーを得られることがわかる。また、それ以上の落下高さにおいても、重錘1(比較例)と同等のエネルギーが得られることがわかる。打撃エネルギーの観点から、整流板が不利に作用することはなく、条件によっては(本検討の場合には落下高さ8m以下では)、整流板の分だけ質量が大きくなることで、より大きな打撃エネルギーを得られることが確認された。
(f)格子構造に土塊が詰まってしまった場合
重錘落下による締固め中に、重錘内部の格子構造に土塊が詰まったことを想定した水中落下実験を上述と同様に行い、重錘2の優位性を確認した。重錘1(比較例)、重錘2の格子構造の50%を樹脂板で閉塞した状態で水中落下させた場合の落下姿勢を図9(a)(b)に示し、その検討結果を図10に示す。図9の左には重錘1,2の下面部の状態を示す。本実験結果は、デジタルカメラで撮影した画像により評価したが、画像解像度に制約があることから、なるべく大きな変化を観測できるように落下高さは実物スケールで21.7mと大きな値に設定した。
図9(a)、図10のように、複数の整流板を配置した重錘2では、姿勢を大きく崩すことなく落下し、このときの最大水平変位量は実物スケールで33cmであった。一方、重錘1(比較例)では、図9(b)、図10のように落下中に重錘が大きく傾いており、最大水平変位量は67cmにも及んだ。この結果、重錘の格子構造が閉塞してしまう場合にも、本実施形態のように複数の整流板を配置することで整流効果が発揮され、安定した落下姿勢を維持できるため、格子構造の閉塞という異常事態においても重錘2が優れたパフォーマンスを発揮するといえる。
以上のように本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。たとえば、本発明は、水底地盤を重錘の水中自由落下により締め固めることを想定し、これに適した形状の重錘を提供するものであるところ、本実施形態の重錘10は底面が正方形の直方体形状としたが、本発明の観点から、これに限定されるものではなく、締め固めに適した形状であれば、他の形状であってもよいことはもちろんである。例えば、底面が長方形状の直方体でもよく、また、重錘の全体形状を円柱状とし、複数の整流板をその外周面に等間隔に配置するようにしてもよい。また、正方体状や多角柱状等としてもよい。
また、本実施形態の各整流板の平面形状は、台形状に構成したが、本発明はこれに限定されず、例えば、長方形状、正方形状、直角三角形状等であってもよい。
また、本実施形態では重錘内部を重量板により格子構造としてそれらの間に複数の貫通部を設ける構造としたが、本発明は、これに限定されず、例えば、重錘内部に複数の鋼管を配置して複数の貫通部を構成し、他の空隙部分を重量物で充填する構造としてもよい。
本発明の水中重錘落下締固め工法用重錘によれば、締め固め効果が高くかつ目標の水底位置に確実に着底できる重錘を提供できるので、この重錘を用いることで水中重錘落下による水底地盤の締め固めを効率的にかつ精度よく実施することができる。
10 重錘
11 下面部
12 上面部
13 外周部
14 整流部
14a〜14d 整流板
14e 下端部
15 貫通部
16 側面板
17,18 重量板(重量部)
19 吊部
G 水底地盤
G1 隆起部

Claims (6)

  1. 水底地盤を重錘落下により締固める工法に用いる重錘であって、
    水底に着底する下面部と、
    前記下面部と対向するように上端に位置する上面部と、
    前記下面部と前記上面部との間の側面に構成された外周部と、
    重錘重量を得るために内部に配置された重量部と、
    前記重量部を前記下面部から前記上面部に向けて貫通するように設けられた貫通部と、を備え、
    前記重錘が水中落下するとき前記外周部において相対的に生じる水の流れを整えるための整流部を前記外周部に設けたことを特徴とする水中重錘落下締固め工法用重錘。
  2. 前記整流部は、前記外周部から突き出るように設けられた複数の整流板から構成される請求項1に記載の水中重錘落下締固め工法用重錘。
  3. 前記複数の整流板の下端部は、水平方向に延びかつ前記下面部から所定高さだけ上方に位置する請求項2に記載の水中重錘落下締固め工法用重錘。
  4. 前記重錘の全体形状が直方体であり、前記外周部を構成する四面にそれぞれ複数の前記整流板が設けられている請求項2または3に記載の水中重錘落下締固め工法用重錘。
  5. 複数の前記貫通部が、前記下面部または前記上面部から見たとき、格子状となるように前記重量部に形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の水中重錘落下締固め工法用重錘。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の水中重錘落下締固め工法用重錘を用いて水底地盤を重錘落下により締固めることを特徴とする水中重錘落下締固め工法。
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