以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(Link Strength Category fieldを、IEEE802.11規格のSIGNALフィールド内に設け、情報処理装置に応じたパケット検出条件を設定する例)
2.第2の実施の形態(パケット検出判定結果がエネルギーのみ検出であり、送信抑制が設定された場合には、一切の送信を行わない例)
3.第3の実施の形態(Link Strength Category fieldを、IEEE802.11規格のServiceフィールド内に設ける例)
4.第4の実施の形態(検出閾値の異なる複数のプリアンブル系列を送信側において使用し、受信側はRSSIにより適用するプリアンブル相関検出器を切り替える例)
5.第5の実施の形態(配下の情報処理装置が使用する物理ヘッダの選択を親局側が行う例)
6.第6の実施の形態(区別するための複数のPLCPプリアンブルの生成を、完全な別系列ではなく、元の系列を一部加工して生成する例)
7.第7の実施の形態(子局間で直接通信を行う例)
8.第8の実施の形態(ダイレクトリンク間で使用する物理ヘッダパラメータを子局が決定する例)
9.第9の実施の形態(IEEE802.11規格のSIGNALフィールド内にBSSの識別子に関する情報を格納する例)
10.第10の実施の形態(Preambleの系列を複数定義するとともにCOLOR情報を併用する例)
11.第11の実施の形態(物理ヘッダパラメータの決定処理を省略する例)
12.第12の実施の形態(IEEE802.11規格のSIGNALフィールド内にBSSの識別子に関する情報を格納するフィールドを設ける例)
13.応用例
<1.第1の実施の形態>
[通信システムの構成例]
図1は、本技術の第1の実施の形態における通信システム10のシステム構成例を示す図である。
通信システム10は、情報処理装置100乃至103、情報処理装置200、201により構成される。
情報処理装置100乃至103は、例えば、無線通信機能を備える携帯型の情報処理装置である。ここで、携帯型の情報処理装置は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末等の情報処理装置である。また、情報処理装置100乃至103は、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11の無線LAN(Local Area Network)規格に準拠した通信機能を備えるものとする。この無線LANとして、例えば、Wi−Fi(Wireless Fidelity)、Wi−Fi Direct、Wi−Fi CERTIFIED Miracast仕様(技術仕様書名:Wi−Fi Display)を用いることができる。また、他の通信方式を利用した無線通信を行うようにしてもよい。
また、情報処理装置200、201は、例えば、無線通信機能を備える固定型の情報処理装置である。ここで、固定型の情報処理装置は、例えば、アクセスポイント、基地局等の情報処理装置である。また、情報処理装置200、201は、情報処理装置100乃至103と同様に、例えば、IEEE802.11の無線LAN規格に準拠した通信機能を備えるものとする。また、他の通信方式を利用した無線通信を行うようにしてもよい。
また、情報処理装置200、201は、親局として機能し、情報処理装置100乃至103は、子局として機能するものとする。すなわち、本技術の第1の実施の形態では、親局およびその配下の子局により構成されるスター型トポロジにおいて、親局および子局間の通信例を示す。また、本技術の第1の実施の形態では、配下の子局の送信が送信する宛先を親局に限定する通信例を示す。
また、情報処理装置100、102、情報処理装置200、201は、特定機能(本技術の各実施の形態で示す特定機能)を備えるものとする。一方、情報処理装置101、103は、特定機能を備えていないものとする。このように、特定機能を備えていない情報処理装置を、レガシィ装置と称する。なお、特定機能については、本技術の各実施の形態で説明する。レガシィ装置は、例えば、IEEE802.11a、IEEE802.11g、IEEE802.11n、または、IEEE802.11acの無線LAN規格に準拠した通信機能を備える情報処理装置とすることができる。
また、本技術の第1の実施の形態では、情報処理装置100および情報処理装置101が接続され、情報処理装置201および情報処理装置102が接続される場合における各装置間での通信例を示す。
なお、図1では、4つの子局(情報処理装置100乃至103)により通信システム10を構成する例を示すが、子局(情報処理装置)の数は4に限定されない。すなわち、3、または、5以上の子局(情報処理装置)により構成される通信システムについても、本技術の実施の形態を適用することができる。
また、通信を行う2つの情報処理装置間の関係は、何れか一方を親局とし、他方を子局とするようにしてもよい。また、2つの情報処理装置間の接続を子局同士の直接通信の接続とするようにしてもよい。
ここで、自律分散型の無線ネットワークでは、パケット衝突回避のための調停の仕組みとして、一般に、キャリアセンスと呼ばれる手法が採用される。キャリアセンスは、送信する前に、周囲の無線状況を一定時間監視し、送信を行っている他の情報処理装置が存在するか否かを確認するものである。そして、その確認中に閾値以上の受信電力を検出した場合には、無線がビジー状態と判定し、送信動作を停止し、その送信を行わないようにする。
キャリアセンスには、特定のプリアンブルの相関器出力の電力比較により検出するプリアンブル検出と、受信信号そのものの電力比較により検出するエネルギー検出との2種類の検出アルゴリズムが存在し、一般にはその2種類の検出アルゴリズムが併用される。なお、これ以降では、特に明記しない限り、その2種類の検出アルゴリズムを、キャリアセンスと総称して説明する。
上述したように、ネットワーク内の情報処理装置の数が増加すると、上述したキャリアセンス手法では、過剰な送信抑制が発生してシステム全体の伝送効率が低下する状況が発生するおそれがある。
ここでは、図1を参照して、そのような状況を引き起こす位置関係の一例を説明する。図1には、2つの親局(情報処理装置200、201)と、4つの子局(情報処理装置100乃至103)とが存在する。また、図1では、情報処理装置100、101は、情報処理装置200と接続され、情報処理装置102、103は、情報処理装置201と接続され、互いに通信が行えるものとする。なお、図1では、各装置間の接続関係を点線で模式的に示す。
また、図1では、各情報処理装置100乃至103、200、201は、互いに全ての情報処理装置からの送信をキャリアセンスにより検出することができる位置関係に存在するものとする。
ここで、例えば、情報処理装置100が情報処理装置200に送信を行い、情報処理装置102が情報処理装置201に送信を行う場合を想定する。
[キャリアセンス検出範囲例]
図2および図3は、本技術の第1の実施の形態における通信システム10のシステム構成例を示す図である。図2および図3では、図1に示す例において、各情報処理装置のキャリアセンス検出範囲を重畳した場合の例を示す。
また、図2および図3では、情報処理装置100、102、200、201のキャリアセンス検出範囲11乃至16を点線の円形で模式的に示す。
具体的には、図2および図3において、キャリアセンス検出範囲11は、情報処理装置200のキャリアセンス検出範囲を示し、キャリアセンス検出範囲12は、情報処理装置201のキャリアセンス検出範囲を示す。
また、図2において、キャリアセンス検出範囲13は、情報処理装置100のキャリアセンス検出範囲を示し、キャリアセンス検出範囲14は、情報処理装置102のキャリアセンス検出範囲を示す。
また、図3において、キャリアセンス検出範囲15は、図2に示すキャリアセンス検出範囲13を変化させた後の情報処理装置100のキャリアセンス検出範囲を示す。また、キャリアセンス検出範囲16は、図2に示すキャリアセンス検出範囲14を変化させた後の情報処理装置102のキャリアセンス検出範囲を示す。
なお、キャリアセンスは、上述したように、パケット衝突回避のための調停の仕組みの一例であり、送信を行っている他の情報処理装置の存在の有無に応じて送信抑制を行うものである。また、キャリアセンス検出範囲は、他の情報処理装置からの送信信号を検出する際に用いられる閾値に対応して決まる。
ここで、例えば、情報処理装置102が、情報処理装置201に対して送信を行っている最中に、情報処理装置100が送信のためのキャリアセンスを実施する場合を想定する。例えば、情報処理装置100は、情報処理装置102の送信を検出すると、送信が抑制され、情報処理装置102の送信が終了するまでの間、送信を行うことができない。
しかしながら、情報処理装置102の送信中に、情報処理装置100が情報処理装置200に対して送信を行った場合でも、受信側である情報処理装置200、情報処理装置201は、希望波と干渉波との比率によっては受信することができることもあり得る。なお、希望波は、情報処理装置100から情報処理装置200への電波、情報処理装置102から情報処理装置201への電波である。また、干渉波は、情報処理装置100から情報処理装置201への電波、情報処理装置102から情報処理装置200への電波である。
例えば、図1に示すように、情報処理装置100および情報処理装置200間の距離よりも、情報処理装置102および情報処理装置200間の距離が離れているような場合には、受信の可能性はより高まると想定される。そこで、衝突回避を確実にするとともに、潜在的には改善が図れるような場合には、送信を抑制するキャリアセンスメカニズムの効率性を高めることが重要である。
例えば、図3に示すように、情報処理装置100および情報処理装置102のキャリアセンス検出閾値を変化させ、互いの送信電波を検出することができなくなる程度に高く設定した場合を想定する。この場合には、情報処理装置100が情報処理装置102からの送信を検出しなくなるため、情報処理装置100および情報処理装置102のそれぞれは、同時に送信を行い、無線リソースを同時利用することが可能になる。
しかしながら、送信側の情報処理装置の送信機会が増えた場合でも、受信側の情報処理装置がその機会に正しく待ち受けていないと、送信が成功せず、利得が生まれない場合も想定される。この例を図4に示す。
図4は、本技術の第1の実施の形態における通信システム10を構成する各情報処理装置による送受信処理の一例を時系列で示す図である。
図4では、図1に示す例において、情報処理装置102が情報処理装置201に送信を行っている間に、情報処理装置100が情報処理装置200に送信を行う場合の例を示す。
例えば、図3に示すように、情報処理装置200のキャリアセンス検出範囲11に情報処理装置102が存在する。このため、情報処理装置200が情報処理装置102の送信(21)を先に検出して干渉側の受信を開始したような場合には(22)、情報処理装置200は、新たに送信機会を得た情報処理装置100からの送信(23)を受けることができない(22)。このように、信号波が干渉波に対する比率が十分に高かったとしても受信が失敗してしまうおそれがある。
そこで、例えば、情報処理装置200のキャリアセンス検出閾値を上げることが考えられる。しかしながら、親局は、複数の情報処理装置を配下に持ち、同時に待ち受ける必要があるため、親局が一律にキャリアセンス検出閾値を高くした場合には、受信すべき配下の情報処理装置からの通信を適切に検出することができなくなるおそれがある。このため、キャリアセンスの検出閾値を変化させる場合は、例えば、本当に必要な場合、または、確実に改善が期待される場合等に限定することが望ましい。
そこで、本技術の実施の形態では、キャリアセンス検出閾値を高くすることによる副作用を最小限に抑えつつ、改善することができる場合には、無線リソースの再利用を適切に行う例を示す。この場合に、第三者からの送受信パケットの受信レベルについても、観察対象とすることができるようにする。
具体的には、本技術の実施の形態では、送信側の情報処理装置は、宛先との通信品質(例えば、伝搬減衰量)に応じてPLCP(Physical Layer Convergence Protocol)ヘッダの内容を変化させるようにする。また、受信側の情報処理装置は、PLCPヘッダの受信内容の一部を利用して、適用すべきパケット検出閾値を変化させ、所望のパケットだけを検出することができるようにする。
ここで、PLCPは、共通に受信の必要がある部分を伝送レートによらず一定の速度の変調で送信し、これに続くデータ部を機器とその時の状況により、さまざまな方法で送信するためにMACフレームをカプセル化するためのプロトコルを意味する。
例えば、PLCPプリアンブルは、パケットの検出や伝搬路利得の推定に用いられる。また、PLCPヘッダは、データ部の変調やフレームの長さ等の情報を伝えるために用いられる。
[情報処理装置の構成例]
図5は、本技術の第1の実施の形態における情報処理装置100の機能構成例を示すブロック図である。なお、情報処理装置101乃至103、200、201の機能構成(無線通信に関する機能構成)については、情報処理装置100と略同様であるため、ここでの説明を省略する。
情報処理装置100は、データ処理部110と、伝送処理部120と、変復調部130と、無線インターフェース部140と、アンテナ141と、制御部150と、メモリ160とを備える。
データ処理部110は、制御部150の制御に基づいて、各種データを処理するものである。例えば、データ処理部110は、各種データフレーム、データパケット等の本文を作成する。例えば、送信動作を行う場合には、データ処理部110は、上位レイヤからの要求に応じて各種データフレーム、データパケットを作成して伝送処理部120に供給する。また、例えば、受信動作を行う場合には、データ処理部110は、伝送処理部120から供給される各種データフレーム、データパケットを処理して解析する。
伝送処理部120は、制御部150の制御に基づいて、各種伝送処理を行うものである。例えば、送信動作を行う場合には、伝送処理部120は、データ処理部110により生成されたパケットに対して、メディアアクセス制御のためのヘッダの付加や誤り検出符号の付加等の処理を行う。例えば、伝送処理部120は、データ処理部110により生成されたパケットに対して、MAC(Media Access Control address)のためのMACヘッダの付加や誤り検出符号の付加等の処理を行う。そして、伝送処理部120は、その処理後のデータを変復調部130に供給する。
また、キャリアセンスを使用する場合には、伝送処理部120は、付加するNAV(Network Allocation Vector)の計算を行う。ここで、キャリアセンスは、上述したように、パケット衝突回避のための調停の仕組みの一例であり、無線パケットの内容に送信抑制時間を記述し、そのパケットを受信した情報処理装置に送信抑制を設定するものである。また、NAVは、その送信抑制時間を意味する。
また、例えば、受信動作を行う場合には、伝送処理部120は、変復調部130から供給されるビット列に対して、送信動作時と逆の処理(例えば、パケット誤り検出、MACヘッダの解析、除去)を行う。そして、伝送処理部120は、誤り検出符号に基づいてデータフレームに誤りがないことを確認すると、各種データフレームをデータ処理部110に供給する。
また、伝送処理部120は、バーチャルキャリアセンスの処理を行う。この場合に、伝送処理部120は、受信したパケットのヘッダにNAVが設定されていて送信抑制がかかる場合には、その旨を制御部150に通知する。
変復調部130は、制御部150の制御に基づいて、変復調処理等を行うものである。例えば、送信動作を行う場合には、変復調部130は、伝送処理部120からの入力ビット列に対して、制御部150により設定されたコーディングおよび変調スキームに基づいて、エンコード、インターリーブ、変調、PLCPヘッダ、PLCPプリアンブルの付加を行う。そして、変復調部130は、データシンボル列を生成して無線インターフェース部140に供給する。
また、例えば、受信動作を行う場合には、変復調部130は、無線インターフェース部140からの入力に対して、送信動作時とは逆の処理を行い、その結果を伝送処理部120に供給する。また、変復調部130は、キャリアセンスの処理を行う。この場合において、変復調部130は、閾値以上の受信電力を検知した場合、または、所定の出力以上のプリアンブル相関の値を検知した場合には、無線がビジー状態と判定し、その旨を制御部150に通知する。
無線インターフェース部140は、他の情報処理装置と接続して各種情報を送受信するためのインターフェースである。例えば、送信動作を行う場合には、無線インターフェース部140は、変復調部130からの入力をアナログ信号へとコンバートして、増幅、フィルタリングおよび周波数アップコンバートを行い、アンテナ141から無線信号として送信させる。また、例えば、受信動作を行う場合には、無線インターフェース部140は、アンテナ141からの入力に対して、送信動作時とは逆の処理を行い、その結果を変復調部130に供給する。
制御部150は、データ処理部110、伝送処理部120、変復調部130および無線インターフェース部140の各々の受信動作および送信動作を制御するものである。例えば、制御部150は、各部間の情報の受け渡しや通信パラメータの設定、伝送処理部120におけるパケットのスケジューリングを行う。また、例えば、制御部150は、変復調部130、伝送処理部120からのキャリアセンス結果の通知を受け付けると、その通知に基づいて、送信抑制の設定やその解除に関する各処理を行う。
また、例えば、情報処理装置200の制御部(制御部150に相当する)は、他の情報処理装置が送信するパケットに使用する物理ヘッダ(例えば、PLCPプリアンブル、PLCPヘッダ)を、無線通信を利用して他の情報処理装置に送信する制御を行う。
また、例えば、制御部150は、複数の物理ヘッダ候補(例えば、PLCPプリアンブル、PLCPヘッダ)のうちから1つを選択して送信対象となるパケットに使用する制御を行う。ここで、複数の物理ヘッダ候補は、情報処理装置200から送信された複数の物理ヘッダ(例えば、PLCPプリアンブル、PLCPヘッダ)に関する情報に対応する。
また、例えば、情報処理装置200の制御部は、他の情報処理装置が使用するパケット検出条件(例えば、PLCPプリアンブルの各検出閾値)を、無線通信を利用して他の情報処理装置に送信する制御を行う。
また、例えば、制御部150は、無線通信を利用して情報処理装置200から送信された複数のパケットについて、複数のパケット検出条件(例えば、PLCPプリアンブルの各検出閾値)のうちから1つを選択して使用する制御を行う。ここで、複数のパケット検出条件は、情報処理装置200から送信された複数のパケット検出条件に対応する。
また、例えば、制御部150は、無線通信を利用して情報処理装置200から送信された複数のパケットについて、複数の受信動作のうちから1つを選択して実行する制御を行う。なお、複数の受信動作については、本技術の第1乃至第11の実施の形態で説明する。
メモリ160は、制御部150によるデータ処理の作業領域としての役割や、各種データを保持する記憶媒体としての機能を有する。メモリ160として、例えば、不揮発性メモリ、磁気ディスク、光ディスク、MO(Magneto Optical)ディスク等の記憶媒体を用いることができる。なお、不揮発性メモリとして、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)を用いることができる。また、磁気ディスクとして、例えば、ハードディスク、円盤型磁性体ディスクを用いることができる。また、光ディスクとして、例えば、CD(Compact Disc)、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)、BD(Blu-Ray Disc(登録商標))を用いることができる。
また、本技術の各実施の形態では、情報処理装置100から情報処理装置200への上りリンク送信と、情報処理装置102から情報処理装置201への上りリンク送信とが同時(または略同時)に行われた場合に、各送信を成功させる例について説明する。なお、これらの送信以外の情報処理装置間の送信についても、本技術の実施の形態を適用することができる。
[通信例]
図6は、本技術の第1の実施の形態における通信システム10を構成する各装置間における通信処理例を示すシーケンスチャートである。
図6では、情報処理装置100から情報処理装置200への上りリンク送信を行う場合における通信処理例を示す。なお、他の情報処理装置間(例えば、情報処理装置102および情報処理装置201間)の関係についても同様である。
最初に、情報処理装置100および情報処理装置200間で接続処理が行われる(401)。なお、接続処理については、図8を参照して詳細に説明する。
続いて、情報処理装置200は、物理ヘッダパラメータ決定処理を行う(402)。なお、物理ヘッダパラメータ決定処理については、図10を参照して詳細に説明する。
続いて、情報処理装置100および情報処理装置200間で物理ヘッダパラメータ共有処理が行われる(403)。すなわち、物理ヘッダパラメータ決定処理により決定された物理ヘッダパラメータを情報処理装置100および情報処理装置200間で共有するための処理が行われる(403)。
続いて、情報処理装置200は、送受信処理を行う(405)。
また、情報処理装置100は、使用物理ヘッダ決定処理を行う(404)。なお、使用物理ヘッダ決定処理については、図16を参照して詳細に説明する。続いて、情報処理装置100は、送受信処理を行う(406)。
[PPDU(Presentation-layer Protocol Data Unit)のフォーマット例]
図7は、本技術の第1の実施の形態における通信システム10を構成する各装置間でやりとりされるPPDUのフォーマットの一例を示す図である。
PPDUは、Preamble301と、SIGNAL302と、Extension303と、Service304と、MPDU(MAC Protocol Data Unit)305と、FCS(Frame Check Sequence)306とにより構成される。
Preamble301は、図7のcに示すIEEE802.11 L−STF(Legacy Short Training Field)やL−LTF(Legacy Long Training Field)に相当する部分を指す。また、Preamble301は、それらと互換性のあるフォーマットとする。
SINGAL302は、図7のcに示すIEEE802.11 L−SIG(Legacy SIGNAL)、HT−SIG(High Throughput SIGNAL)フィールドを指す。なお、図7のcは、IEEE802.11nのHT Mixed Mode Formatを一例として示している。HT−SIGは、IEEE802.11acでは、VHT−SIG−A(Very High Throughput SIGNAL-A)フィールドに、IEEE802.11axでは、HE−SIG(High Efficiency SIGNAL)フィールドに置き換えられてもよい。
なお、フォーマットによっては、さらにその後ろに追加フィールド(HT−STF、HT−LTF、VHT−STF、VHT−LTF、VHT−SIG−B)がつくこともある。
ここで、本技術の第1の実施の形態では、物理ヘッダのうちPLCPヘッダ部であるSIGNAL302のフィールドの一部に「Link Strength Category field」を新たに用意する。すなわち、PLCPヘッダ部のSIGNAL302内のReserved扱いとなっている部分に、「Link Strength Category field」を新たに設ける。そして、各情報処理装置(レガシィ装置以外)は、送信の際に、宛先とのリンクの品質に応じて「Link Strength Category field」を変化させる。
なお、図7のaには、「Link Strength Category field」に1を格納する例を示す。また、図7のbには、「Link Strength Category field」に0を格納する例を示す。このように、図7のaおよびbでは、「Link Strength Category field」に2段階の値(0または1)を格納する例を示すが、3段階以上の値を格納するようにしてもよい。
このように、本技術の第1の実施の形態では、「Link Strength Category field」をSIGNAL302内のReserved扱いとなっている部分に設ける。これにより、レガシィ装置の受信も妨げることなく、本技術の第1の実施の形態における特定機能を実現することができる。
また、本技術の第1の実施の形態では、Link Strength Category field=0の物理ヘッダを「遠距離用物理ヘッダ」と称する。また、Link Strength Category field=1の物理ヘッダを「近距離用物理ヘッダ」と称する。なお、レガシィ装置から送信された物理ヘッダは「遠距離用物理ヘッダ」として扱われるものとする。
Link Strength Category fieldを備えるパケットを受信した情報処理装置(レガシィ装置以外)は、Link Strength Category fieldの内容(0または1)に応じて、適用する検出閾値を変化させる。
[接続処理例]
図8は、本技術の第1の実施の形態における通信システム10を構成する各装置間における接続処理例を示すシーケンスチャートである。
図8では、情報処理装置100および情報処理装置200間の接続が確立するまでの処理例を示す。なお、情報処理装置102および情報処理装置201間の関係についても同様である。
接続を試みる時点では、情報処理装置100および情報処理装置200間のリンク品質は未知である。このため、確実に接続を行うため、情報処理装置100は、閾値の調整を行わず、レガシィ装置と同等のプリアンブル検出閾値と物理ヘッダとを使用する。
すなわち、情報処理装置100は、プリアンブル検出閾値をレガシィ動作(レガシィ装置の動作)と同じ値に設定する(411)。また、情報処理装置100は、物理ヘッダをレガシィ動作(レガシィ装置の動作)と同じフォーマットに設定する(412)。
また、情報処理装置200は、物理ヘッダをレガシィ動作(レガシィ装置の動作)と同じフォーマットに設定する(413)。
続いて、スキャンが行われ(414)、Authenticationが行われ(415)、Associationが行われ(416)、4−way Handshakeが行われる(417)。
このように、接続が確立した場合には、情報処理装置200の制御部は、各情報処理装置(例えば、情報処理装置200に接続されている情報処理装置(配下端末))が使用する設定情報のリスト(設定情報リスト)を生成する。この設定情報リストは、各情報処理装置が使用する物理ヘッダの各検出閾値と、物理ヘッダの適用レベル(適用条件)との組み合わせからなるリストである。この設定情報リストについては、図9を参照して詳細に説明する。
また、本技術の実施の形態では、物理ヘッダの検出閾値と、物理ヘッダの適用レベルとの組を、物理ヘッダパラメータと称するものとする。
なお、情報処理装置200は、設定情報リストに含まれる各情報のうちで既に作成されている情報については、その内容を更新する。
[設定情報リストの内容例]
図9は、本技術の第1の実施の形態における情報処理装置200のメモリ(図5に示すメモリ160に相当)に記憶される設定情報リスト161の内容の一例を模式的に示す図である。
設定情報リスト161には、インデックス162と、検出閾値163と、適用レベル164とが関連付けて格納される。
インデックス162には、far/nearを示す値(0、1)が格納される
検出閾値163には、物理ヘッダパラメータ決定処理により決定された物理ヘッダの検出閾値が格納される。なお、物理ヘッダパラメータ決定処理については、図10に示す。
適用レベル164には、物理ヘッダパラメータ決定処理により決定された物理ヘッダの適用レベルが格納される。
[物理ヘッダパラメータ決定処理の動作例]
図10は、本技術の第1の実施の形態における情報処理装置200による物理ヘッダパラメータ決定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
最初に、情報処理装置200の制御部は、自BSS(Basic Service Set)内の配下端末と自装置とが使用する物理ヘッダパラメータの仮決めを行う。情報処理装置200の制御部は、近距離用物理ヘッダの検出閾値PD_nearと、遠距離用物理ヘッダの検出閾値PD_farとを仮決定する。
ここで、遠距離用物理ヘッダの検出閾値PD_farについては、それよりも下の適用条件の物理ヘッダが無いため、検出閾値をレガシィ装置用設定値PD_defaultに仮設定する。
このレガシィ装置用設定値PD_defaultは、レガシィ装置が使用しているプリアンブル検出の参照レベルを表す値であり、IEEE802.11規格では、目安値として、20MHz帯域幅あたり−82dBmという値が参照されている。また、レガシィ装置用設定値PD_defaultとして、−82dBm以外の値を用いるようにしてもよい。
続いて、情報処理装置200の制御部は、近距離用物理ヘッダの検出閾値PD_nearと、遠距離用物理ヘッダの検出閾値PD_farとに基づいて、各物理ヘッダの適用レベルL_nearおよびL_farを決定する。具体的には、情報処理装置200の制御部は、次の式1、式2を満たすように、各物理ヘッダの適用レベルL_nearおよびL_farを決定する。ここで、式1、式2は、対数(dB)での計算を仮定した記述である。
L_near>PD_near+O_near … 式1
L_far=−∞ … 式2
ここで、各物理ヘッダの適用レベルL_nearおよびL_farは、宛先装置との通信品質に基づいて、使用する物理ヘッダ(遠距離用物理ヘッダ、近距離用物理ヘッダ)を選択するための閾値である。例えば、情報処理装置100が送信を行う際に、宛先装置との通信品質に基づいて、使用する物理ヘッダを選択する際における閾値として、各物理ヘッダの適用レベルL_nearおよびL_farが使用される。
また、式1において、O_nearは、受信レベルの変動によるプリアンブル検出エラーに対するマージンのオフセット量である。例えば、O_nearとして、10乃至20dBm程度の値を用いることができる。なお、O_nearとして、10乃至20dBm以外の値を用いるようにしてもよい。
また、式2に示すように、L_farは、これよりも下の適用条件の物理ヘッダが無いため、無限小に設定する。
続いて、情報処理装置200の制御部は、パケットモニタを行う(ステップS701)。そして、情報処理装置200の制御部は、自BSS内の各配下の情報処理装置との通信品質と、他BSS(OBSS)からのパケットの通信品質とに関する各情報を取得する(ステップS701)。
ここでは、通信品質の指標として、PLCPプリアンブルの相関出力強度を使用する例を示す。この相関出力強度は、電力が正規化された相関器出力そのものではなく、相関器出力に受信信号電力強度(RSSI(Received Signal Strength Indicator))が乗算された絶対レベルを示すものとする。すなわち、相関出力強度は、アンテナ入力換算に補正した相関器出力を意味する。また、比較的近い時間での受信履歴が存在する場合には、そのときの相関出力強度の記録を流用するようにしてもよい。また、モニタに際して、より確実にサンプルを集められるように、一時的に検出閾値を下げるようにしてもよい。
ここで、RSSIおよび相関出力強度COL(Correlator Output Level)の関係は、次の式により簡略的に示すことができる。
相関出力強度COL=RSSI×正規化された相関器出力
また、相関器の構成例を図11に示す。
[相関器の構成例]
図11は、本技術の第1の実施の形態における情報処理装置200に備えられる相関器の構成例を示す図である。なお、図11では、リファレンスとなる一般的な相関器の構成例を示す。ここで、図11に記載されている(*)の演算子は複素共役演算を示す。
ここで、相関器には、一般にプリアンブルの特徴に応じて大きく2通りの構成が存在する。例えば、ある周期性を備える信号を一般に検出する自己相関検出の構成と、決まったパターンとの相関を検出する相互相関検出の構成との2通りの構成が存在する。図11のaでは、自己相関検出の構成例を示し、図11のbでは、相互相関検出の構成例を示す。
また、図10において、情報処理装置200の制御部は、受信された際に使用されている物理ヘッダ内の「Link Strength Category field」に応じて、通信品質の情報を分類する(ステップS702)。
例えば、情報処理装置200の制御部は、BSS識別子(BSSID)が自BSSであり、物理ヘッダが遠距離用物理ヘッダであり、かつエラーではないパケットのうちで、最小相関出力強度をCOL_self_farとする。
また、情報処理装置200の制御部は、BSS識別子(BSSID)が他BSSであり、物理ヘッダが近距離用物理ヘッダであり、かつエラーではないパケットのうちで、最大相関出力強度をCOL_other_nearとする。
また、情報処理装置200の制御部は、BSS識別子(BSSID)が他BSSであり、物理ヘッダが遠距離用物理ヘッダであり、かつエラーではないパケットのうちで、最大相関出力強度をCOL_other_farとする。なお、該当する条件のパケットサンプルが無いCOLについては、PD_defaultで置き換えるものとする。
続いて、情報処理装置200の制御部は、近距離用物理ヘッダの検出閾値PD_nearと、遠距離用物理ヘッダの検出閾値PD_farとを決定する(ステップS703)。すなわち、情報処理装置200の制御部は、仮決定された近距離用物理ヘッダの検出閾値PD_nearと、遠距離用物理ヘッダの検出閾値PD_farとを、次の式3乃至式5の関係が成立するように補正する(ステップS703)。
PD_near>COL_other_near … 式3
PD_far<COL_self_far … 式4
PD_far>COL_other_far … 式5
なお、式4および式5を両立することができるPD_farが存在しない場合には、式4の成立を優先してPD_farを決定する。
また、情報処理装置200の制御部は、それらの検出閾値の決定(更新)がされた場合には、上述した式1および式2に基づいて、各物理ヘッダの適用レベルL_nearおよびL_farを補正する(ステップS703)。
このように、近距離用物理ヘッダの検出閾値PD_near、遠距離用物理ヘッダの検出閾値PD_far、各物理ヘッダの適用レベルL_nearおよびL_farが決定される。情報処理装置200の制御部は、そのように決定された各値を、設定情報リスト161(図9に示す)に格納し、自らは以後その値を参照し利用する。具体的には、情報処理装置200の制御部は、インデックス162「0」に対応する検出閾値163にはPD_farを格納し、インデックス162「0」に対応する適用レベル164にはL_farを格納する。また、情報処理装置200の制御部は、インデックス162「1」に対応する検出閾値163にはPD_nearを格納し、インデックス162「1」に対応する適用レベル164にはL_nearを格納する。
ここで、上述した周囲パケットのモニタと、各設定値の更新とについては、定期的に行うようにしてもよく、不定期に行うようにしてもよい。例えば、一定時間毎に定期的に行うようにしてもよく、新しい配下端末の接続が開始される毎に行うようにしてもよい。
[キャリアセンス検出範囲例]
図12および図13は、本技術の第1の実施の形態における通信システム10のシステム構成例を示す図である。
図12および図13では、情報処理装置200により決定された近距離用物理ヘッダの検出閾値PD_nearおよび遠距離用物理ヘッダの検出閾値PD_farに基づいて設定される各情報処理装置のキャリアセンス検出範囲の一例を示す。
また、図12では、情報処理装置100、102のキャリアセンス検出範囲31乃至34を点線の円形で模式的に示す。また、図13では、情報処理装置200、201のキャリアセンス検出範囲41乃至44を点線の円形で模式的に示す。
具体的には、図12において、キャリアセンス検出範囲31は、遠距離用物理ヘッダの検出閾値PD_farに基づいて設定される情報処理装置100のキャリアセンス検出範囲を示す。また、キャリアセンス検出範囲33は、近距離用物理ヘッダの検出閾値PD_nearに基づいて設定される情報処理装置100のキャリアセンス検出範囲を示す。
また、図12において、キャリアセンス検出範囲32は、遠距離用物理ヘッダの検出閾値PD_farに基づいて設定される情報処理装置102のキャリアセンス検出範囲を示す。また、キャリアセンス検出範囲34は、近距離用物理ヘッダの検出閾値PD_nearに基づいて設定される情報処理装置102のキャリアセンス検出範囲を示す。
また、図13において、キャリアセンス検出範囲41は、遠距離用物理ヘッダの検出閾値PD_farに基づいて設定される情報処理装置200のキャリアセンス検出範囲を示す。また、キャリアセンス検出範囲43は、近距離用物理ヘッダの検出閾値PD_nearに基づいて設定される情報処理装置200のキャリアセンス検出範囲を示す。
また、図13において、キャリアセンス検出範囲42は、遠距離用物理ヘッダの検出閾値PD_farに基づいて設定される情報処理装置201のキャリアセンス検出範囲を示す。また、キャリアセンス検出範囲44は、近距離用物理ヘッダの検出閾値PD_nearに基づいて設定される情報処理装置201のキャリアセンス検出範囲を示す。
以上では、近距離および遠距離の2値の分類とする例を示したが、3値以上(N値)の分類とするようにしてもよい。例えば、遠距離のものから順に、各物理ヘッダの検出閾値をPD_0、PD_1、…、PD_Nとし、各PLCPの適用レベルをL_0、L_1、…、L_Nとする。また、各物理ヘッダの検出閾値および各物理ヘッダの適用レベル間のオフセット量をO_0、O_1、…、O_Nとする。この場合には、次の関係式(式6乃至式9)を満たすように各値が決定される。ここで、式6乃至式9は、対数(dB)での計算を仮定した記述である。
PD_n>COL_other_n … 式6
ただし、n=0乃至Nとする。
PD_0<COL_self_0 … 式7
L_n>PD_n+O_n … 式8
ただし、n=1乃至Nとする。
L_0=−∞ … 式9
なお、3値以上の分類とする場合においても、式6および式7を両立することができるPD_0が存在しない場合には、式7の成立を優先してPD_0を決定する。
[ビーコンフレームのフォーマット例]
図14は、本技術の第1の実施の形態における通信システム10を構成する各装置間でやりとりされるビーコンフレームフォーマットの一例を示す図である。ここでは、情報処理装置200から他の情報処理装置に送信されるビーコンフレームの例を示す。
図14では、Payload310に「Multi Detect Parameter」311というエレメントを新たに追加する例を示す。そして、「Multi Detect Parameter」311において、「PLCP Header Index」313、316にfar/nearを示すインデックス(0/1)が格納される。また、「Preamble Detection Threshold」314、317に遠距離用物理ヘッダの検出閾値PD_farおよび近距離用物理ヘッダの検出閾値PD_nearが格納される。また、「Apply Level」315、318に各物理ヘッダの適用レベルが格納される。
また、「PLCP Header Index」、「Preamble Detection Threshold」、「Apply Level」の各組み合わせは、生成された組み合わせだけ設けられる。例えば、図9に示すように、設定情報リスト161に2組の情報(インデックス162「0」「1」の2組)が格納されている場合を想定する。この場合には、「PLCP Header Index」、「Preamble Detection Threshold」、「Apply Level」の各組み合わせが、2組だけ設けられる。
具体的には、情報処理装置200の制御部は、図9に示す設定情報リスト161の各内容をビーコンフレームに格納して送信する。すなわち、情報処理装置200の制御部は、インデックス162「0」に関連付けて格納されている各情報を、最初の組み合わせ(「PLCP Header Index」313乃至「Apply Level」315)に格納する。また、情報処理装置200の制御部は、インデックス162「1」に関連付けて格納されている各情報を、次の組み合わせ(「PLCP Header Index」316乃至「Apply Level」318)に格納する。
そして、情報処理装置200の制御部は、「Multi Detect Parameter」311に示す各情報が格納されたビーコンを周囲の情報処理装置に送信して報知する。すなわち、情報処理装置200の制御部は、パケット検出条件に関する情報(例えば、パケット検出閾値(図9に示す検出閾値163)、これを選択するための選択条件(図9に示す適用レベル164))を、周囲の情報処理装置に送信して報知する。また、その選択条件は、複数の物理ヘッダ候補から1つを選択するための選択条件、各パケット検出条件に対応する物理ヘッダの選択条件として把握することができる。
[物理ヘッダパラメータ共有処理の通信例]
図15は、本技術の第1の実施の形態における通信システム10を構成する各装置間における物理ヘッダパラメータ共有処理例を示すシーケンスチャートである。
図15では、情報処理装置200から送信されたビーコンを情報処理装置100の制御部150が受信して物理ヘッダパラメータを共有する共有処理例を示す。なお、情報処理装置200から送信されたビーコンを他の情報処理装置が受信する場合についても同様である。例えば、情報処理装置200の制御部は、図14に示すビーコンフレームを利用して配下端末に物理ヘッダパラメータを通知することができる。
最初に、情報処理装置200の制御部は、各物理ヘッダの検出閾値と、各物理ヘッダの適用レベル、各物理ヘッダのインデックスとの組をビーコンに格納する(421)。そして、情報処理装置200の制御部は、そのビーコンを配下の情報処理装置に送信する(422、423)。
情報処理装置100の制御部150は、情報処理装置200の制御部からのビーコンを受信した場合には(423)、そのビーコンに含まれる「Multi Detect Parameter」311(図14に示す)の内容を取得して保持する(424)。
また、情報処理装置100の制御部150は、これに続くビーコンに含まれる「Multi Detect Parameter」311の内容が変化した場合には、その変化後の新しい情報を採用して保持する。すなわち、古い情報が更新される。
また、情報処理装置100の制御部150は、「Multi Detect Parameter」311の内容を既に取得して保持している場合には、新たに受信したビーコンに基づいてその保持されている内容を更新する(424)。
なお、図15では、情報処理装置200の制御部が、ビーコンにより各情報処理装置に物理ヘッダパラメータを通知する例を示したが、ビーコン以外により物理ヘッダパラメータを通知するようにしてもよい。例えば、情報処理装置200の制御部は、自装置による判断、または、配下端末からの情報取得要求をトリガとして、配下端末に対するユニキャストのデータフレームやマネジメントフレームでの通知を行うようにしてもよい。その場合には、情報処理装置100の制御部150は、当該ユニキャストのフレーム内に含まれる「Multi Detect Parameter」の内容を同様に取得して保持する。
[使用物理ヘッダ決定処理の動作例]
図16は、本技術の第1の実施の形態における情報処理装置100による使用物理ヘッダ決定処理(送信用物理ヘッダの選択処理)の処理手順の一例を示すフローチャートである。
最初に、情報処理装置100の制御部150は、自装置と接続のある宛先からの受信パケットをモニタして宛先毎のRSSIを取得する(ステップS711)。このように取得されたRSSI(モニタ結果)を、RSSI_peerとする。
なお、自装置と接続のある宛先からの受信パケットの計測値が保持されている場合には、情報処理装置100の制御部150は、その計測値を読み出して宛先毎のRSSIを取得するようにしてもよい(ステップS711)。
ここで、親局(例えば、情報処理装置200)に接続している情報処理装置(例えば、情報処理装置100)の場合には、宛先は基本的に親局だけになる。この場合には、モニタ結果として、過去のビーコンの受信レベルを利用するようにしてもよい。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、取得されたRSSI_peerと、物理ヘッダの適用レベルL_nearとを比較し、その比較結果に基づいて、自装置が送信に使用する物理ヘッダのインデックスを決定する(ステップS712)。なお、物理ヘッダの適用レベルL_nearは、情報処理装置200から送信されたビーコンに含まれる。
例えば、情報処理装置100の制御部150は、取得されたRSSI_peerが物理ヘッダの適用レベルL_nearを超えている場合には、自装置が送信に使用する物理ヘッダのインデックスを1(近距離用)と決定する(ステップS712)。一方、情報処理装置100の制御部150は、取得されたRSSI_peerが物理ヘッダの適用レベルL_near以下である場合には、自装置が送信に使用する物理ヘッダのインデックスを0(遠距離用)と決定する(ステップS712)。
また、自装置が送信に使用する物理ヘッダのインデックスが既に決定されている場合に、新たなインデックスが決定された場合には、既に決定されているインデックスが、その新たなインデックスに更新される(ステップS712)。
なお、図16では、近距離および遠距離の2値の分類に基づいて使用物理ヘッダを決定する例を示したが、3値以上(N値)の分類に基づいて使用物理ヘッダを決定するようにしてもよい。例えば、遠距離のものから順に、各PLCPの適用レベルをL_0、L_1、…、L_Nとする。この場合には、次の関係式(式10)を満たすnが、送信に使用する物理ヘッダのインデックスとして選択される。ここで、式10は、対数(dB)での計算を仮定した記述である。
L_n≦RSSI_peer<L_n+1 … 式10
ただし、n=0乃至Nとする。
なお、図16では、子局側から親局側への上りリンク送信の場合における子局側の動作例を説明したが、下りリンク送信の場合には、親局側で同様の動作を行うようにしてもよい。
また、図16では、RSSIを用いる例を示したが、RSSIの代わりに、相関出力強度COLを用いるようにしてもよい。
[送受信処理の動作例]
図17は、本技術の第1の実施の形態における情報処理装置100による送受信処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図17では、情報処理装置100について説明するが、他の情報処理装置(例えば、情報処理装置200)についても同様に適用することができる。すなわち、この送受信処理は、親局側も端末側も同等の処理となる。
情報処理装置100の制御部150は、送信中、受信中以外の時間、パケット検出判定処理を行う(ステップS730)。このパケット検出判定処理については、図18を参照して詳細に説明する。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、パケット検出判定処理による判定結果が「検出」であるか否かを判断する(ステップS721)。パケット検出判定処理による判定結果が「検出」である場合には(ステップS721)、情報処理装置100の制御部150は、そのまま受信を継続する受信処理を行う(ステップS722)。そして、情報処理装置100の制御部150は、その受信が完了した後に、待ち受け状態に戻る。また、受信したパケットが自装置宛であり、即時の応答を要求している場合には、情報処理装置100の制御部150は、対象パケットと同じ「Link Strength Category」フィールドを有する物理ヘッダを付加して送信する。すなわち、SIGNALフィールドにおける検出閾値に関する情報が格納される部分を同一とし、他の部分(例えば、MCS(Modulation and Coding Scheme)、length)については、自装置で決定した情報が格納される。
パケット検出判定処理による判定結果が「検出」でない場合には(ステップS721)、情報処理装置100の制御部150は、パケット検出判定処理による判定結果が「非検出」であるか否かを判断する(ステップS723)。パケット検出判定処理による判定結果が「非検出」である場合には(ステップS723)、情報処理装置100の制御部150は、送信すべきパケットがあるか否かを判断する(ステップS724)。
送信すべきパケットがある場合には、情報処理装置100の制御部150は、非検出の判定状態が、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)手順で定義されるフレーム間隔(IFS(Inter Frame Space))およびバックオフの時間以上続いているか否かを判断する(ステップS725)。
非検出の判定状態が、IFSおよびバックオフの時間以上続いている場合には(ステップS725)、情報処理装置100の制御部150は、送信を行うことができるため、送信処理を行う(ステップS726)。この送信処理では、情報処理装置100の制御部150は、例えば、図16に示す送信用物理ヘッダ決定処理により決定された物理ヘッダのインデックスに基づいて、図7に示すPPDUのフォーマットの物理ヘッダを使用して送信する。
具体的には、情報処理装置100の制御部150は、送信用物理ヘッダ決定処理によりインデックスとして1(近距離用)が決定された場合には、「Link Strength Category field」に1を格納して送信する(ステップS726)。一方、情報処理装置100の制御部150は、送信用物理ヘッダ決定処理によりインデックスとして0(遠距離用)が決定された場合には、「Link Strength Category field」に0を格納して送信する(ステップS726)。
また、情報処理装置100の制御部150は、例えば、データ部に使用する変調を、決定された物理ヘッダに対応する検出閾値に応じて、宛先装置が高い確率で受信が可能な変調ならびに通信路符号化の方式を選択し、それを使用して送信する。また、情報処理装置100の制御部150は、例えば、決定された物理ヘッダに対応する検出閾値に応じて、宛先装置が高い確率で受信が可能な変調ならびに通信路符号化の方式(MCS(Modulation and Coding Scheme))を選択して送信するようにしてもよい。そして、送信すべきパケットがなくなった場合には、待ち受け状態に戻る。
パケット検出判定処理による判定結果が「非検出」でない場合(判定結果が「エネルギーのみ検出」の場合)には(ステップS723)、情報処理装置100の制御部150は、基本的に無線状態をビジー状態として扱い、自装置からの送信を抑制する(ステップS727)。ただし、自装置宛てのパケットを受信し、その受信の直後の応答を要求された場合のみ(ステップS728)、情報処理装置100の制御部150は、その応答パケットの送信を行う(ステップS729)。
図18は、本技術の第1の実施の形態における情報処理装置100による送受信処理のうちのパケット検出判定処理(図17に示すステップS730の処理手順)を示すフローチャートである。
最初に、情報処理装置100の制御部150は、アンテナ141を介して入力される信号に対して、RSSIの計測を行い、その計測により求められたRSSIを保持する(ステップS731)。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、Preambleパターンの相関計算を行い、相関器出力を求める(ステップS732)。この相関器出力は、上述した相関出力強度COLを意味する。すなわち、相関器出力は、正規化された相関器出力レベルではなく、受信電力を反映して換算された相関器出力である。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、相関器出力の値と仮検出閾値とを比較し、相関器出力の値が仮検出閾値を超えているか否かを判断する(ステップS733)。ここで、仮検出は、検出判定に先立ってSINGALフィールドを読むか否かを判断するための検出である。また、仮検出閾値は、上述したPD_nearおよびPD_farの双方以下となる値とする。なお、仮検出閾値を、上述したPD_defaultとするようにしてもよい。
相関器出力の値が仮検出閾値を超えている場合には(ステップS733)、情報処理装置100の制御部150は、仮検出状態であると判断する(ステップS734)。続いて、情報処理装置100の制御部150は、物理ヘッダ内の後続のSIGNALフィールド内の「Link Strength Category field」を読み出す。上述したように、「Link Strength Category field」には、適用すべき検出閾値を示す情報が格納されている。
ここで、情報処理装置100の制御部150は、図15に示す物理ヘッダパラメータ共有処理において共有された「Preamble Detection Threshold」の内容を保持している。情報処理装置100の制御部150は、その「Preamble Detection Threshold」の内容と、「Link Strength Category field」の内容とに基づいて、適用すべき検出閾値(適用検出閾値)を決定する(ステップS735)。
例えば、Link Strength Category=0の場合には、情報処理装置100の制御部150は、適用検出閾値をPD_farと決定する。一方、Link Strength Category=1の場合には、情報処理装置100の制御部150は、適用検出閾値をPD_nearと決定する。そして、情報処理装置100の制御部150は、送受信処理を行う場合には、決定された適用検出閾値(PD_farまたはPD_near)を使用する。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、計測されて保持されているRSSIと、決定された適用検出閾値とを比較し、そのRSSIがその適用検出閾値(PD_farまたはPD_near)を超えているか否かを判断する(ステップS736)。そして、そのRSSIがその適用検出閾値を超えている場合には(ステップS736)、情報処理装置100の制御部150は、パケット検出判定結果を「検出」とする(ステップS737)。
ここで、他の条件を満たす場合にのみ、パケット検出判定結果を「検出」とするようにしてもよい。例えば、「Link Strength Category field」を対象として含むエラー検出コードを、SIGNALフィールド内の残っているReservedフィールドに設けるようにしてもよい。そして、「Link Strength Category field」を対象として含むエラー検出コードにより「Link Strength Category field」の内容の正当性が確認されたという条件を、追加の判定条件とするようにしてもよい。
ここで、「Link Strength Category field」を対象として含むエラー検出コードを、Serviceフィールド内の残っているReservedフィールドに挿入するようにしてもよい。そして、「Link Strength Category field」を対象として含むエラー検出コードにより「Link Strength Category field」の内容の正当性が確認されたという条件を、追加の判定条件とするようにしてもよい。
また、そのRSSIがその適用検出閾値以下である場合には(ステップS736)、情報処理装置100の制御部150は、受信を中止する(ステップS738)。続いて、情報処理装置100の制御部150は、そのRSSIとエネルギー検出閾値EDとを比較し、そのRSSIがエネルギー検出閾値EDを超えているか否かを判断する(ステップS739)。ここで、エネルギー検出閾値EDは、例えば、20MHz帯域幅あたり−62dBmとすることができる。
そのRSSIがエネルギー検出閾値EDを超えている場合には(ステップS739)、情報処理装置100の制御部150は、パケット検出判定結果を「エネルギーのみ検出」とする(ステップS740)。
そのRSSIがエネルギー検出閾値ED以下である場合には(ステップS739)、情報処理装置100の制御部150は、パケット検出判定結果を「非検出」とする(ステップS741)。
なお、上述した各比較処理において、RSSIの代わりに、上述した相関出力強度COLを用いて行うようにしてもよい。
本技術の第1の実施の形態によれば、親局および子局は、同時(または略同時)に送受信を行うことができ、無線リソースの再利用を可能にすることができる。
また、例えば、子局(例えば、情報処理装置100)が親局(例えば、情報処理装置200)に対して送信を行う場合に、その送信よりも前にOBSS側の子局(例えば、情報処理装置102)が送信を開始した場合を想定する。
この場合でも、情報処理装置100の制御部150は、物理ヘッダの検出閾値PD_nearまたはPD_farを使用して物理ヘッダに応じた検出判定を行う。例えば、図12に示すように、情報処理装置100のキャリアセンス検出範囲31、33が設定される。これにより、情報処理装置102が送信中であっても、その信号を情報処理装置100の制御部150は、非検出扱いとすることができ、情報処理装置200への送信を行うことができる。
ただし、情報処理装置100が送信を行うことができても、情報処理装置102の送信を情報処理装置200が先に受信している場合には、情報処理装置200が情報処理装置100からの送信を受けることができない。そこで、本技術の第1の実施の形態では、図13に示すように、情報処理装置200のキャリアセンス検出範囲41、43が設定される。これにより、情報処理装置200は、情報処理装置102の送信を検出しないため、情報処理装置100からの受信を待ち受けることができる。
ここで、情報処理装置200が一律に検出閾値を上昇させてしまうと、情報処理装置101からのパケットを検出することができなくなるおそれがある。そこで、遠距離に位置する情報処理装置101(レガシィ装置)からの送信は、遠距離物理ヘッダとして扱われて検出されるため、遠距離用の検出閾値が適用される。これにより、情報処理装置200は、各情報処理装置からの受信を滞りなく受け付けることができる。
ここで、IEEE802.11規格を想定する場合には、本技術の第1の実施の形態における「検出閾値」として、L−STF部の検出閾値とすることができる。ただし、L−STF部の検出閾値の代わりに、L−LTF部の検出閾値とするようにしてもよく、L−STF部およびL−LTF部の双方に共通する検出閾値とするようにしてもよい。また、L−STF部およびL−LTF部の検出閾値をそれぞれ独立に変化させることとし、物理ヘッダパラメータとして双方を指定するように拡張してもよい。
また、他の情報処理装置が使用することができるCapabilityに基づいて、自装置の物理ヘッダパラメータを決定するようにしてもよい。
<2.第2の実施の形態>
本技術の第1の実施の形態では、パケット検出判定結果が「エネルギーのみ検出」であり、送信抑制が設定された場合でも、その送信抑制を一時的に解除する例を示した。すなわち、送信抑制が設定された場合でも、自装置宛てのパケットを受信し、その受信の直後の応答を要求された場合のみ、その応答パケットの送信を行うため、その送信抑制を一時的に解除する例を示した。
本技術の第2の実施の形態では、パケット検出判定結果が「エネルギーのみ検出」であり、送信抑制が設定された場合には、一切の送信を行わない例を示す。なお、本技術の第2の実施の形態における情報処理装置の構成については、図1等に示す情報処理装置100乃至103、200、201と略同一である。このため、本技術の第1の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
また、本技術の第2の実施の形態における各処理、各フォーマットについても、本技術の第1の実施の形態と共通する部分がある。このため、本技術の第1の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
[送受信処理の動作例]
図19は、本技術の第2の実施の形態における情報処理装置100による送受信処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図19は、図17に示す送受信処理の一部を変形したものである。このため、図17に示す送受信処理と共通する部分については、図17と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
パケット検出判定処理による判定結果が「エネルギーのみ検出」の場合には(ステップS723)、情報処理装置100の制御部150は、基本的に無線状態をビジー状態として扱い、自装置からの送信を抑制する(ステップS727)。このように無線状態をビジー状態として扱う場合には、本技術の第2の実施の形態では、一切の送信を抑制するものとする。
このように、本技術の第2の実施の形態では、パケット検出判定処理による判定結果が「エネルギーのみ検出」の場合には、一切の送信を抑制する。これにより、送受信処理の動作の安全性をさらに高めることができる。
<3.第3の実施の形態>
本技術の第1の実施の形態では、Link Strength Category fieldを、IEEE802.11規格のSIGNALフィールド内に設ける例を示した。
本技術の第3の実施の形態では、Link Strength Category fieldを、IEEE802.11規格のServiceフィールド内に設ける例を示す。なお、本技術の第3の実施の形態における情報処理装置の構成については、図1等に示す情報処理装置100乃至103、200、201と略同一である。このため、本技術の第1の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
また、本技術の第3の実施の形態における各処理、各フォーマットについても、本技術の第1の実施の形態と共通する部分がある。このため、本技術の第1の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
[PPDUのフォーマット例]
図20は、本技術の第3の実施の形態における通信システム10を構成する各装置間でやりとりされるPPDUのフォーマットの一例を示す図である。
ここで、図20に示す例は、Link Strength Category fieldを、SIGNALフィールド内に設ける代わりに、Serviceフィールド内に設ける点以外は、図7に示す例と同一である。そこで、図7と共通する部分については、図7と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
PPDUは、Preamble301と、SIGNAL307と、Extension303と、Service308と、MPDU305と、FCS306とにより構成される。
ここで、本技術の第3の実施の形態では、物理ヘッダのService308のフィールドの一部に「Link Strength Category field」を新たに用意する。すなわち、物理ヘッダのService308内のReserved扱いとなっている部分に、「Link Strength Category field」を新たに設ける。そして、各情報処理装置(レガシィ装置以外)は、送信の際に、宛先とのリンクの品質に応じて「Link Strength Category field」を変化させる。
このように、本技術の第3の実施の形態では、「Link Strength Category field」をService308内のReserved扱いとなっている部分に設ける。これにより、本技術の第1の実施の形態と同様に、レガシィ装置の受信も妨げることなく、特定機能を実現することができる。
[送受信処理の動作例]
図18に示す送受信処理(ステップS735)において、「SIGNALフィールド」を「Serviceフィールド」に読み替えて、図17、図18に示す送受信処理と同等の処理を行うことにより、本技術の第3の実施の形態を実現することができる。
ここで、「Link Strength Category field」を対象として含むエラー検出コードを、Serviceフィールド内の残っているReservedフィールドに挿入するようにしてもよい。そして、「Link Strength Category field」を対象として含むエラー検出コードにより「Link Strength Category field」の内容の正当性が確認されたという条件を、追加の判定条件とするようにしてもよい。
このように、本技術の第3の実施の形態では、Link Strength Category fieldを、IEEE802.11規格のServiceフィールド内に設ける。これにより、本技術の第1の実施の形態と比較して、さらに多くの情報を格納することができる。例えば、PLCPのモードを多値とする場合でも、その情報を適切に格納することができる。
<4.第4の実施の形態>
本技術の第1乃至第3の実施の形態では、物理ヘッダのフィールドの内容に基づいてPLCPの検出閾値を変化させる例を示した。
本技術の第4の実施の形態では、検出閾値の異なる複数のプリアンブル系列を送信側において使用し、受信側はRSSIにより適用するプリアンブル相関検出器を切り替える例を示す。これにより、受信側は所望のパケットのみを受信することができる。なお、本技術の第4の実施の形態における情報処理装置の構成については、図1等に示す情報処理装置100乃至103、200、201と略同一である。このため、本技術の第1の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
また、本技術の第4の実施の形態における各処理、各フォーマットについても、本技術の第1の実施の形態と共通する部分がある。このため、本技術の第1の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
[PPDUのフォーマット例]
図21は、本技術の第4の実施の形態における通信システム10を構成する各装置間でやりとりされるPPDUのフォーマットの一例を示す図である。
ここで、図21に示す例は、Link Strength Category fieldを、SIGNALフィールド内に設ける代わりに、Preambleの系列を複数定義する点以外は、図7に示す例と同一である。そこで、図7と共通する部分については、図7と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
PPDUは、Preamble311と、SIGNAL312と、Extension303と、Service304と、MPDU305と、FCS306とにより構成される。
ここで、本技術の第4の実施の形態では、Preamble311の系列を複数定義する。例えば、図21のaに示すように、Preamble311に「Preamble♯1」という系列を定義する。また、図21のbに示すように、「Preamble♯0」という系列を定義する。そして、各情報処理装置(レガシィ装置以外)は、送信の際に、宛先とのリンクの品質に応じて使用する系列を変化させる。なお、図21では、2種類のPreambleを用意する例を示すが、3種類以上のPreambleを用意するようにしてもよい。
また、本技術の第4の実施の形態では、Preamble311に「Preamble♯0」という系列を用いた物理ヘッダを「遠距離用物理ヘッダ」とする。また、Preamble311に「Preamble♯1」という系列を用いた物理ヘッダを「近距離用物理ヘッダ」とする。また、それぞれのPreamble系列は、異なる規則により生成されたものであり、相互相関が低いものである。なお、Preamble系列♯0は、レガシィ装置が利用するPreambleと同一の系列とする。
このような物理ヘッダを備えるパケットを受信した各情報処理装置(レガシィ装置以外)は、信号のRSSIの大小に応じて、適用する相関器(および、検出と判定する閾値)を変化させる。
ここで、IEEE802.11規格を想定する場合には、「別のPreamble」とは、L−STFおよびL−LTFのうちの少なくとも何れかが異なることを意味するものとする。
[送受信処理の動作例]
図22は、本技術の第4の実施の形態における情報処理装置100による送受信処理のうちのパケット検出判定処理(図17に示すステップS730の処理手順)を示すフローチャートである。
最初に、情報処理装置100の制御部150は、アンテナ141を介して入力される信号に対して、RSSIの計測を行い、その計測により求められたRSSIを保持する(ステップS751)。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、計測されたRSSIと、保持されている各物理ヘッダの適用レベル(L_farおよびL_near)とを比較して、検出に適用する物理ヘッダのインデックスを決定する(ステップS752)。例えば、自装置の送信用物理ヘッダを選択する選択方法と同様に、検出に適用する物理ヘッダのインデックスを決定することができる。
例えば、情報処理装置100の制御部150は、計測されたRSSIと、L_nearの値とを比較し、計測されたRSSIがL_nearを超えている場合には、自装置の相関検出に使用する物理ヘッダのインデックスを1(近距離用)に決定する。また、情報処理装置100の制御部150は、計測されたRSSIがL_near以下である場合には、自装置の相関検出に使用する物理ヘッダのインデックスを0(遠距離用)に決定する。
なお、この決定手順は、子局および親局間で送信電力に差が無いことを前提としている。ただし、子局および親局間で送信電力に差がある場合でも、送信電力の差の情報を予め保持している場合には、この保持されている送信電力の差の情報に基づいて、適宜補正を加えた後に判定することができる。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、決定されたインデックスの物理ヘッダの、上述したように異なる規則により生成されるプリアンブル系列に対応する相関器を用いて相関計算を行う(ステップS753)。ここで、相関器出力は、本技術の第1の実施の形態と同様に、相関出力強度COLを意味する。すなわち、相関器出力は、正規化された相関器出力レベルではなく、受信電力を反映して換算された相関器出力である。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、選択された相関器の相関器出力と、決定されたインデックスにおける物理ヘッダの検出閾値とを比較し、その相関器出力の値がその検出閾値を超えているか否かを判断する(ステップS754)。
その相関器出力の値がその検出閾値を超えている場合には(ステップS754)、情報処理装置100の制御部150は、パケット検出判定結果を「検出」とする(ステップS755)。
また、その相関器出力の値がその検出閾値以下である場合には(ステップS754)、情報処理装置100の制御部150は、計測されたRSSIとエネルギー検出閾値EDとを比較する(ステップS756)。そして、情報処理装置100の制御部150は、そのRSSIがエネルギー検出閾値EDを超えているか否かを判断する(ステップS756)。
そのRSSIがエネルギー検出閾値EDを超えている場合には(ステップS756)、情報処理装置100の制御部150は、パケット検出判定結果を「エネルギーのみ検出」とする(ステップS757)。
そのRSSIがエネルギー検出閾値ED以下である場合には(ステップS756)、情報処理装置100の制御部150は、パケット検出判定結果を「非検出」とする(ステップS758)。
ここで、IEEE802.11規格を想定する場合には、本技術の第4の実施の形態における「検出閾値」として、L−STF部の検出閾値とすることができる。ただし、L−STF部の検出閾値の代わりに、L−LTF部の検出閾値とするようにしてもよく、L−STF部およびL−LTF部の双方に共通する検出閾値とするようにしてもよい。また、L−STF部およびL−LTF部の検出閾値をそれぞれ独立に変化させることとし、物理ヘッダパラメータとして双方を指定するように拡張してもよい。
<5.第5の実施の形態>
本技術の第5の実施の形態は、本技術の第4の実施の形態の変形例であり、配下の情報処理装置が使用する物理ヘッダの選択を親局側が行う例を示す。また、受信側は、候補となるプリアンブル系列の相関器を常時並列に動作させる例を示す。
なお、本技術の第5の実施の形態における情報処理装置の構成については、図1等に示す情報処理装置100乃至103、200、201と略同一である。このため、本技術の第1乃至第4の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1乃至第4の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
また、本技術の第5の実施の形態における各処理、各フォーマットについても、本技術の第1乃至第4の実施の形態と共通する部分がある。このため、本技術の第1乃至第4の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1乃至第4の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
[ビーコンフレームのフォーマット例]
図23は、本技術の第5の実施の形態における通信システム10を構成する各装置間でやりとりされるビーコンフレームフォーマットの一例を示す図である。なお、図23は、図14の変形例であるため、図14と共通する部分については、図14と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
図23では、Payload320に「Multi Detect Parameter」311とともに「Multi Detect Assignment」321というエレメントを新たに追加する例を示す。
「Multi Detect Assignment」321において、「Association ID」323、325に、配下の情報処理装置を特定するための情報が格納される。なお、図23では、情報処理装置を特定するための情報として、Association IDを格納する例を示すが、情報処理装置を特定することができる他の情報を格納するようにしてもよい。例えば、MACアドレスを格納するようにしてもよい。
また、「PLCP Header Index」324、326にその情報処理装置が使用する物理ヘッダのインデックス(0または1)が格納される。そして、これらの組み合わせが、配下の全ての情報処理装置(レガシィ装置以外)について並べて格納される。
そして、情報処理装置200の制御部は、「Multi Detect Parameter」311および「Multi Detect Assignment」321に示す各情報が格納されたビーコンを周囲の情報処理装置に送信して報知する。
[物理ヘッダパラメータ共有処理の通信例]
図24は、本技術の第5の実施の形態における通信システム10を構成する各装置間における接続処理例を示すシーケンスチャートである。
なお、図24は、図15の変形例であるため、図15と共通する部分についての説明の一部を省略する。すなわち、図24では、物理ヘッダパラメータ自体をビーコンに含めて送信するとともに、配下の各情報処理装置がその中から使用する物理ヘッダを指定するための情報もビーコンに含めて送信する例を示す。
最初に、情報処理装置200の制御部は、各物理ヘッダの検出閾値と、各物理ヘッダの適用レベル、各物理ヘッダのインデックスとの組をビーコンの「Multi Detect Parameter」311(図23に示す)に格納する(431)。
また、情報処理装置200の制御部は、配下の各情報処理装置が使用する物理ヘッダを指定するための情報の組をビーコンの「Multi Detect Assignment」321(図23に示す)に格納する(432)。
ここで、「Multi Detect Assignment」フィールドの内容を格納する場合について説明する。情報処理装置200の制御部は、配下の各情報処理装置のCapabilityにより指定されたPreamble系列の生成機能と、相関検出機能をサポートするかを確認した上で、対応しているPreamble系列のみを格納するものとする。また、特定機能に対応する配下の各情報処理装置が使用する物理ヘッダを選択する場合には、親局と配下の各子局間のリンク品質の情報を用いて判断する。このために、自装置と接続されている宛先からの受信パケットをモニタし(または、保持されている計測値を読み出し)、宛先毎のRSSIを取得して利用する。なお、RSSIの代わりに、上述した相関出力強度COLを用いるようにしてもよい。
続いて、情報処理装置200の制御部は、そのビーコンを配下の情報処理装置に送信する(433、434)。
情報処理装置100の制御部150は、情報処理装置200からのビーコンを受信した場合には(434)、そのビーコンに含まれる各内容を取得して保持する(435)。すなわち、情報処理装置100の制御部150は、そのビーコンに含まれる「Multi Detect Parameter」311、「Multi Detect Assignment」321(図23に示す)の各内容を取得して保持する(435)。
そして、情報処理装置100の制御部150は、親局(情報処理装置200)によりビーコンで指定された物理ヘッダのインデックスに従って、対応する物理ヘッダを使用する。すなわち、情報処理装置100の制御部150は、自律判断を行わない。
[送受信処理の動作例]
図25は、本技術の第5の実施の形態における情報処理装置100による送受信処理のうちのパケット検出判定処理(図17に示すステップS730の処理手順)を示すフローチャートである。
図25では、特定機能に対応する各親局および各子局は、自装置がサポートするPLCP Preambleの相関器の全てを並列に動作させる例を示す。
最初に、情報処理装置100の制御部150は、アンテナ141を介して入力される信号に対して、RSSIの計測を行い、その計測により求められたRSSIを保持する(ステップS761)。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、入力信号を各相関器に入力し、相関計算を行う(ステップS762)。すなわち、情報処理装置100の制御部150は、各相関器で同時にプリアンブルの相関を計算する(ステップS762)。
ここで、各相関器出力に基づいて検出を判定するための各検出閾値は、物理ヘッダパラメータ共有処理において、親局から指定された各物理ヘッダ検出閾値を利用する。また、相関器出力は、本技術の第1の実施の形態と同様に、相関出力強度COLを意味する。すなわち、相関器出力は、正規化された相関器出力レベルではなく、受信電力を反映して換算された相関器出力である。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、複数の相関器のうちの何れかの相関器出力が、対応する検出閾値を超えているか否かを判断する(ステップS763)。
複数の相関器のうちの何れかの相関器出力が、対応する検出閾値を超えている場合には(ステップS763)、情報処理装置100の制御部150は、パケット検出判定結果を「検出」とする(ステップS764)。
また、複数の相関器のうちの全ての相関器出力が、対応する検出閾値を超えていない場合には(ステップS763)、情報処理装置100の制御部150は、計測されたRSSIとエネルギー検出閾値EDとを比較する(ステップS765)。そして、情報処理装置100の制御部150は、そのRSSIがエネルギー検出閾値EDを超えているか否かを判断する(ステップS765)。
そのRSSIがエネルギー検出閾値EDを超えている場合には(ステップS765)、情報処理装置100の制御部150は、パケット検出判定結果を「エネルギーのみ検出」とする(ステップS766)。
そのRSSIがエネルギー検出閾値ED以下である場合には(ステップS765)、情報処理装置100の制御部150は、パケット検出判定結果を「非検出」とする(ステップS767)。
<6.第6の実施の形態>
本技術の第6の実施の形態は、本技術の第4の実施の形態の変形例であり、区別するための複数のPLCPプリアンブルの生成を、完全な別系列ではなく、元の系列を一部加工して生成する例を示す。これにより、受信側の複数の相関器の構成を簡易化することができる。また、加工元のプリアンブル系列をレガシィ装置用フォーマットの系列とすることにより、条件によっては特定機能に非対応の情報処理装置もプリアンブルを検出することができ、後方互換性を一部残すことが可能となる。
なお、本技術の第6の実施の形態における情報処理装置の構成については、図1等に示す情報処理装置100乃至103、200、201と略同一である。このため、本技術の第1乃至第4の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1乃至第4の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
また、本技術の第6の実施の形態における各処理、各フォーマットについても、本技術の第1乃至第4の実施の形態と共通する部分がある。このため、本技術の第1乃至第4の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1乃至第4の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
[PPDUのフォーマット例]
本技術の第6の実施の形態におけるPPDUのフォーマットは、図21に示す例と同様である。
すなわち、本技術の第6の実施の形態では、Preamble311(図21に示す)の系列を複数定義する。例えば、図21のaに示すように、Preamble311に「Preamble♯1」という系列を定義する。また、図21のbに示すように、「Preamble♯0」という系列を定義する。そして、各情報処理装置(レガシィ装置以外)は、送信の際に、宛先とのリンクの品質に応じて使用する系列を変化させる。なお、図21では、2種類のPreambleを用意する例を示すが、3種類以上のPreambleを用意するようにしてもよい。
また、本技術の第6の実施の形態では、Preamble311に「Preamble♯0」という系列を用いた物理ヘッダを「遠距離用物理ヘッダ」とする。また、Preamble311に「Preamble♯1」という系列を用いた物理ヘッダを「近距離用物理ヘッダ」とする。なお、Preamble系列♯0は、レガシィ装置が利用するPreambleと同一の系列とする。
ここで、本技術の第6の実施の形態と、本技術の第4の実施の形態とは、Preamble♯0以外のPreamble系列の生成方法が異なる。具体的には、本技術の第6の実施の形態では、Preamble♯0以外の系列は、Preamble♯0をベースとして、内容の一部を正負反転させる加工処理を加えたものとする。この加工処理に関しては、正負反転のみに限定されない。例えば、ある系列をベースにした加工であれば、内容の一部を間引いて0にする等のように、他の演算とするようにしてもよい。
ここで、IEEE802.11規格を想定する場合には、「別のPreamble系列」とは、L−STFおよびL−LTFのうちの少なくとも何れかに、上述した加工処理を加えて差異を加えた系列であることを意味するものとする。
このような物理ヘッダを備えるパケットを受信した各情報処理装置(レガシィ装置以外)は、信号のRSSIの大小に応じて、適用する相関演算(または、パケット検出判定閾値)を変化させる。
[物理ヘッダパラメータ決定処理の動作例]
本技術の第6の実施の形態における物理ヘッダパラメータの決定処理は、本技術の第4の実施の形態と略同様である。ただし、本技術の第6の実施の形態では、各物理ヘッダの検出閾値の決定基準の関係式に、次のような拡張を加えるようにしてもよい。
上述した式3および式6について、プリアンブル系列に正負反転等の加工を入れることによる劣化を考慮した閾値オフセットを導入することにより置き換えるようにしてもよい。例えば、一部を正負反転したプリアンブルの入力に対する元の相関器の出力期待値がA倍になってしまう場合には、式3を、次の式11のように変更し、式6を、次の式12のように変更することができる。ここで、式11、式12は、対数(dB)での計算を仮定した記述である。
PD_near>COL_other_near+A_near … 式11
PD_n>COL_other_n+A_n … 式12
ただし、n=0乃至Nとする。
[送受信処理の動作例]
図26は、本技術の第6の実施の形態における情報処理装置100による送受信処理のうちのパケット検出判定処理(図17に示すステップS730の処理手順)を示すフローチャートである。
最初に、情報処理装置100の制御部150は、アンテナ141を介して入力される信号に対して、RSSIの計測を行い、その計測により求められたRSSIを保持する(ステップS771)。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、計測されたRSSIと、保持されている各物理ヘッダの適用レベル(L_farおよびL_near)とを比較して、検出に適用する物理ヘッダのインデックスを決定する(ステップS772)。例えば、自装置の送信用物理ヘッダを選択する選択方法と同様に、検出に適用する物理ヘッダのインデックスを決定することができる。
例えば、情報処理装置100の制御部150は、計測されたRSSIと、L_nearの値とを比較し、計測されたRSSIがL_nearを超えている場合には、自装置の相関検出に使用する物理ヘッダのインデックスを1(近距離用)に決定する。また、情報処理装置100の制御部150は、計測されたRSSIがL_near以下である場合には、自装置の相関検出に使用する物理ヘッダのインデックスを0(遠距離用)に決定する。
なお、この決定手順は、子局および親局間で送信電力に差が無いことを前提としている。ただし、子局および親局間で送信電力に差がある場合でも、送信電力の差の情報を予め保持している場合には、この保持されている送信電力の差の情報に基づいて、適宜補正を加えた後に判定することができる。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、決定されたインデックスの物理ヘッダのプリアンブル系列に対応して、相関器の内部演算を切り替えて相関計算を行う(ステップS773)。ここで、内部演算の切り替えは、上述したPLCP Preamble部の生成方法である「内容の一部を正負反転させる」ことに対応する処理と同等の処理である。
[相関器の構成例]
図27は、本技術の第6の実施の形態における情報処理装置100に備えられる相関器の構成例を示す図である。なお、図27のaは、図11のaの変形例であり、図27のbは、図11のbの変形例である。また、図27は、RSSIにより判定される切り換え信号に基づいて符号反転の演算を加える相関器の構成例を示す。このように構成することにより、別のプリアンブルの相関器を容易に構成することができる。
例えば、入力されたPLCP Preambleと、相関器の演算が正しく整合することにより大きな相関器出力を出すことができる。しかしながら、演算が異なると、相関器出力が小さくなる。このため、これらにより検出すべきパケットの選別をすることができる。なお、ここでの「相関器出力」の定義も上述した「相関器出力」の定義と同様である。
例えば、決定されたインデックスの物理ヘッダのプリアンブル系列に対応して相関器の演算を切り替えるようにしてもよく、演算は変化させず、検出閾値の方を切り替えるようにしてもよい。また、双方を切り替えるようにしてもよい。これらにより、状況に応じて検出するパケットを選別する処理を実現することができる。なお、図26では、双方を切り替える例を示す。
図26において、情報処理装置100の制御部150は、決定されたインデックスの物理ヘッダのプリアンブル系列に対応して相関器の演算と、検出閾値とを切り替える(ステップS773)。すなわち、決定されたインデックスに基づいて、相関器演算および検出閾値が設定される(ステップS773)。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、相関器出力と対応する検出閾値とを比較し、その相関器出力の値がその検出閾値を超えているか否かを判断する(ステップS774)。
その相関器出力の値がその検出閾値を超えている場合には(ステップS774)、情報処理装置100の制御部150は、パケット検出判定結果を「検出」とする(ステップS775)。
また、その相関器出力の値がその検出閾値以下である場合には(ステップS774)、情報処理装置100の制御部150は、計測されたRSSIとエネルギー検出閾値EDとを比較する(ステップS776)。そして、情報処理装置100の制御部150は、そのRSSIがエネルギー検出閾値EDを超えているか否かを判断する(ステップS776)。
そのRSSIがエネルギー検出閾値EDを超えている場合には(ステップS776)、情報処理装置100の制御部150は、パケット検出判定結果を「エネルギーのみ検出」とする(ステップS777)。
そのRSSIがエネルギー検出閾値ED以下である場合には(ステップS776)、情報処理装置100の制御部150は、パケット検出判定結果を「非検出」とする(ステップS778)。
<7.第7の実施の形態>
本技術の第1乃至第6の実施の形態では、親局および配下の子局により構成されるスター型トポロジにおいて、親局および子局間の通信例を示した。また、この通信例では、配下の子局の送信の宛先を親局に限定していた。ただし、配下の子局間の直接通信時についても、本技術の第1乃至第6の実施の形態を適用することができる。
そこで、本技術の第7の実施の形態では、配下の子局間で直接通信(例えば、図28に示す情報処理装置101、104間の通信)を行う例を示す。
[通信システムの構成例]
図28は、本技術の第7の実施の形態における通信システム50のシステム構成例を示す図である。
なお、図28は、図1の変形例であり、情報処理装置104を追加した点が図1とは異なる。また、情報処理装置104の構成については、図1等に示す情報処理装置100乃至103、200、201と略同一である。また、本技術の第1乃至第6の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1乃至第6の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
通信システム50は、情報処理装置100乃至104、情報処理装置200、201により構成される。
情報処理装置104は、情報処理装置100乃至103に対応する情報処理装置であり、例えば、無線通信機能を備える携帯型の情報処理装置である。
このように、本技術の第7の実施の形態では、親局およびその配下の子局により構成されるスター型トポロジにおいて、配下の子局間で直接通信(例えば、情報処理装置101、104間の通信)を行う例を示す。
[通信例]
図29は、本技術の第7の実施の形態における通信システム50を構成する各装置間における通信処理例を示すシーケンスチャートである。
図29では、情報処理装置100および情報処理装置104間で直接送信を行う場合における通信処理例を示す。なお、他の子局間の関係についても同様である。
ここで、直接通信のセットアップ処理に関しては、基本的にIEEE802.11規格のTDLS(Tunneling Direct Link Setup)機能に準拠する。また、図29では、情報処理装置100、104が既に情報処理装置200と接続され、本技術の第1の実施の形態に示す動作をしている状態を想定して説明する。
最初に、情報処理装置100、104、200間でダイレクトリンク接続処理が行われる(441)。すなわち、情報処理装置100および104のそれぞれは、アクセスポイント(情報処理装置200)を経由してダイレクトリンクの確立プロトコルを実行する(441)。これにより、プロトコルを崩さずに、ダイレクトリンクの探索処理を行うことができる。なお、ダイレクトリンク接続処理については、規格定義と同様であるため、ここでの詳細な説明を省略する。
続いて、情報処理装置200の制御部は、物理ヘッダパラメータ決定処理を行う(442)。このように、本技術の第7の実施の形態では、配下の子局間のダイレクトリンクで利用される物理ヘッダパラメータについては、親局(情報処理装置200)が決定する。このため、子局は、物理ヘッダパラメータ決定処理を行わない。なお、親局による物理ヘッダパラメータ決定処理は、本技術の第1の実施の形態と同様である。
続いて、情報処理装置100、104、200間で物理ヘッダパラメータ共有処理が行われる(443)。このように、本技術の第7の実施の形態では、配下の子局間のダイレクトリンクで利用される物理ヘッダパラメータについても、親局(情報処理装置200)が決定する。このため、ダイレクトリンクを行う子局間では、物理ヘッダパラメータ共有処理を行わない。なお、親局および子局間における物理ヘッダパラメータ共有処理は、本技術の第1の実施の形態と同様である。
続いて、情報処理装置100および104のそれぞれは、使用物理ヘッダ決定処理を行う(444、446)。ここで、ダイレクトリンク接続中の相手に対する物理ヘッダは、親局に対するものとは独立に、相手とのリンクの通信品質に応じて決定される。この決定に関する基準等については、本技術の第1の実施の形態と同様である。すなわち、子局間における使用物理ヘッダ決定処理は、本技術の第1の実施の形態と同様である。
続いて、情報処理装置100および104のそれぞれは、送受信処理を行う(445、447)。この送受信処理では、親局および子局間の送受信の代わりに、子局間の送受信とする点以外は、本技術の第1の実施の形態と同様である。また、本技術の第7の実施の形態におけるPPDUのフォーマットについては、本技術の第1の実施の形態と同様である。
<8.第8の実施の形態>
本技術の第7の実施の形態では、ダイレクトリンク間で使用する物理ヘッダパラメータを親局が決定する例を示した。しかしながら、ダイレクトリンク間で使用する物理ヘッダパラメータを子局(ダイレクトリンクを行う子局)が決定するようにしてもよい。
そこで、本技術の第8の実施の形態では、ダイレクトリンク間で使用する物理ヘッダパラメータを子局(ダイレクトリンクを行う子局)が決定する例を示す。
なお、本技術の第8の実施の形態におけるシステム構成については、本技術の第7の実施の形態と同様である。このため、本技術の第7の実施の形態と共通する部分については、本技術の第7の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
[通信例]
図30は、本技術の第8の実施の形態における通信システム50を構成する各装置間における通信処理例を示すシーケンスチャートである。
なお、図30は、図29の変形例であり、図29と共通する部分がある。このため、図29と共通する部分についてはその説明の一部を省略する。
最初に、情報処理装置100、104、200間でダイレクトリンク接続処理が行われる(451)。このダイレクトリンク接続処理は、本技術の第7の実施の形態と同様である。
続いて、情報処理装置100および104のそれぞれは、物理ヘッダパラメータ決定処理を行う(452、453)。このように、本技術の第8の実施の形態では、親局以外の接続先が存在する子局(情報処理装置100および104)は、ダイレクトリンク用の物理ヘッダパラメータの決定を自律的に行う。この物理ヘッダパラメータ決定処理については、本技術の第1の実施の形態において親局(情報処理装置200)が行う処理と略同様とすることができる。ただし、COL_self_nearおよびCOL_self_farのサンプル対象は、同一BSSIDであっても、自装置と直接接続がある子局(情報処理装置)に限られる点が異なる。
続いて、情報処理装置100および104間で物理ヘッダパラメータ共有処理が行われる(454)。このように、ダイレクトリンクを行う情報処理装置100および104のそれぞれは、物理ヘッダパラメータ決定処理により決定されたダイレクトリンク用物理ヘッダパラメータを、ダイレクトリンク間で定期的に交換する。そして、情報処理装置100および104のそれぞれは、ダイレクトリンク相手が期待する動作を把握する。なお、その交換に使用するフレームは、データフレームとするようにしてもよく、マネジメントフレームとするようにしてもよい。
続いて、情報処理装置100および104のそれぞれは、使用物理ヘッダ決定処理を行う(455、457)。このように、情報処理装置100および104のそれぞれは、親局に対するパラメータとは別に、ダイレクトリンク相手から通知されたパラメータに基づいて、各相手に対する物理ヘッダを独立に決定する。この決定に関する基準等については、本技術の第1の実施の形態と同様とすることができる。
続いて、情報処理装置100および104のそれぞれは、送受信処理を行う(456、458)。この送受信処理は、本技術の第7の実施の形態と同様である。
<9.第9の実施の形態>
本技術の第1の実施の形態では、IEEE802.11規格のSIGNALフィールド内に、Link Strength Category fieldを設ける例を示した。
本技術の第9の実施の形態では、IEEE802.11規格のSIGNALフィールド内に、Link Strength Category field以外に、BSSの識別子に関する情報を格納するフィールドを追加する例を示す。このように、BSSの識別子に関する情報を格納することにより、パケットの選別精度をさらに向上させることができる。なお、本技術の第9の実施の形態における情報処理装置の構成については、図1等に示す情報処理装置100乃至103、200、201と略同一である。このため、本技術の第1の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
また、本技術の第9の実施の形態における各処理、各フォーマットについても、本技術の第1の実施の形態と共通する部分がある。このため、本技術の第1の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
[PPDUのフォーマット例]
図31は、本技術の第9の実施の形態における通信システム10を構成する各装置間でやりとりされるPPDUのフォーマットの一例を示す図である。
ここで、図31に示す例は、SIGNALフィールド内に、BSS COLORフィールドを設ける点以外は、図7に示す例と同一である。そこで、図7と共通する部分については、図7と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
PPDUは、Preamble301と、SIGNAL331と、Extension303と、Service304と、MPDU305と、FCS306とにより構成される。
本技術の第9の実施の形態では、物理ヘッダのSIGNALフィールドの一部に「Link Strength Category」フィールドと、BSSの識別子に関する情報(COLOR情報)を格納する「BSS COLOR」フィールドとを設ける。なお、図31では、「Link Strength Category」フィールドを、Link Strength Categoryとして示し、「BSS COLOR」フィールドを、COLORとして示す。
ここで、COLOR情報(BSS COLOR情報)は、接続されている相手装置(例えば、親局)から事前に報知されている情報であり、自装置が属しているBSS(Basic Service Set)を識別することができる情報(例えば、数値)である。すなわち、COLOR情報(BSS COLOR情報)は、ネットワークを識別するための識別子の一例である。なお、同様の情報として、MACヘッダ内には、BSSIDが格納されている。ただし、COLOR情報は、BSSIDよりもさらに簡略化した形で、物理層(PLCP層)において表現することができる。
図31のaおよびbでは、物理ヘッダを送信する情報処理装置(親局または子局)が、COLOR情報として「1」が設定されているBSSに属している場合(すなわち、COLOR=1)の例を示す。
このように、本技術の第9の実施の形態では、「Link Strength Category」フィールドおよび「COLOR」フィールドをSIGNAL311内のReserved扱いとなっている部分に設ける。これにより、レガシィ装置の受信を妨げることなく、本技術の第9の実施の形態における特定機能を実現することができる。
また、本技術の第9の実施の形態では、Link Strength Category=0の物理ヘッダを「遠距離用物理ヘッダ」と称する。また、Link Strength Category=1の物理ヘッダを「近距離用物理ヘッダ」と称する。なお、レガシィ装置から送信された物理ヘッダは「遠距離用物理ヘッダ」として扱われるものとする。
Link Strength CategoryフィールドおよびCOLORフィールドのうちの少なくとも1つを備えるパケットを受信した情報処理装置(レガシィ装置以外)は、これらの各フィールドの内容を取得することができる。そして、その情報処理装置は、これらの各フィールドの内容に基づいて、適用する検出閾値と受信動作とを変化させることができる。
なお、接続処理については、本技術の第1の実施の形態と同様である。また、物理ヘッダパラメータの決定処理についても、本技術の第1の実施の形態と略同様である。ここで、COLOR情報は、物理層において取得することができる情報である。このため、BSSID情報とは異なり、PPDUにおけるFCS(PPDUの末尾に存在)の照合を待たずに、COLOR情報を使用することができる。そこで、物理ヘッダパラメータの決定処理を行う場合には、親局が他のBSS(OBSS)からのパケットの通信品質に関する情報を収集する際に、BSSIDではなく、COLOR情報を使用して分類を行うことができる。
また、物理ヘッダパラメータの共有処理については、本技術の第1の実施の形態と手順は同様である。ただし、本技術の第9の実施の形態では、「Multi Detect Parameter」の他に、「COLOR」(物理層でのBSS識別子)と「TxPower」(親局の送信電力)との情報も追加で伝達する。この場合に用いられるフレームフォーマットの一例を図32に示す。
[ビーコンフレームのフォーマット例]
図32は、本技術の第9の実施の形態における通信システム10を構成する各装置間でやりとりされるビーコンフレームフォーマットの一例を示す図である。なお、図32は、図14の変形例であるため、図14と共通する部分については、図14と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
図32では、Payload340に「Multi Detect Parameter」311とともに、「COLOR Info」341および「TxPower Info」342というエレメントを新たに追加する例を示す。
「COLOR Info」341には、物理層でのBSS識別子が格納される。このBSS識別子は、図31に示す「BSS COLOR」フィールドに格納されるBSS識別子に対応する。
「TxPower Info」342には、ビーコンを送信する情報処理装置(例えば、親局)の送信電力に関する情報が格納される。
例えば、情報処理装置200の制御部は、「Multi Detect Parameter」311、「COLOR Info」341および「TxPower Info」342に各情報が格納されたビーコンを周囲の情報処理装置に送信して報知する。
そのビーコンによる報知を受信した情報処理装置は、「Multi Detect Parameter」311、「COLOR Info」341および「TxPower Info」342に格納された各情報をそのビーコンから取得して保持する。すなわち、その情報処理装置は、「Multi Detect Parameter」、物理層でのBSS識別子、通信相手(例えば、親局)の送信電力のそれぞれの内容を保持する。
なお、ビーコンの内容を保持した後に、後続のビーコンに含まれる情報が変化した場合には、最新のビーコンに含まれる情報(最新の情報)を採用して保持する。
また、親局は、ビーコン送信以外の信号を用いて、「Multi Detect Parameter」、物理層でのBSS識別子、自装置の送信電力のそれぞれの内容を通知するようにしてもよい。例えば、親局は、自装置による判断、または、配下端末からの情報取得要求をトリガとして、配下端末に対するユニキャストのデータフレームやマネジメントフレームでの通知を行うようにしてもよい。
[バックオフ処理例]
図33は、IEEE802.11規格におけるバックオフ処理の流れを示す図である。図33では、横軸を時間軸として示す。また、横軸の上側には、情報処理装置の状態(BUSY500乃至502、IFS、Tx503)を矩形で模式的に示す。また、横軸の下側には、バックオフスロット数(バックオフカウンタ)を表す数値を示す。また、上位層からの送信要求504のタイミングと、ランダムバックオフタイム生成505のタイミングとを矩形および矢印で模式的に示す。
例えば、キャリアセンス状態がBUSYになった後にIDLE状態に遷移すると、IFSの待ち時間が毎回入ることになる。例えば、BUSY500乃至502の後にIDLE状態に遷移すると、IFSの待ち時間が入る。また、図33に示す横軸の下側の数値で示すように、物理ヘッダ受信中の間は、バックオフカウンタが停止したままとなる。
[受信キャンセルを行う場合のバックオフ処理例]
図34は、本技術の第9の実施の形態における情報処理装置100によるバックオフ処理の流れを示す図である。図34に示す横軸、横軸の上側の情報処理装置の状態(BUSY510乃至512、IFS)、横軸の下側のバックオフスロット数(バックオフカウンタ)を表す数値については、図33と同様である。
また、図34では、情報処理装置100から遠方の位置に存在する2つの情報処理装置521、522がパケットを送信する場合の例を示す。情報処理装置521、522に関する横軸、横軸の上側の情報処理装置の状態(PLCP513、514、PSDU)についても、図33と同様である。
図34では、情報処理装置100が、情報処理装置521、522のそれぞれから送信されるパケットを受信した場合に、そのパケットに含まれるPLCP513、514に基づいて、その受信を打ち切る例を示す(515、516)。これにより、BUSY511、512の期間を短くすることができる。
しかしながら、例えば、情報処理装置が密集してトラフィックが混雑している環境では、遠方の情報処理装置からの受信を打ち切ってIDLE状態に遷移をする処理をしても、バックオフカウンタが減らないことも想定される。例えば、図34に示すように、情報処理装置521、522のそれぞれからのパケットの受信を打ち切った場合でも(515、516)、バックオフカウンタが「8」のままとなり、「8」から減らない状態となる。このように、無視できると判断されるようなフレーム受信をキャンセルしてもBUSYからIDLEへの遷移後にIFSが付加されるため、このIFSの間、バックオフカウンタが減らない状態となる。また、バックオフカウンタが0となるまでの間、情報処理装置100は送信を行うことができない。このように、密集環境(混雑環境)では、無視可能なパケットの受信打ち切りを行った場合でも、送信機会を増加させることができないおそれがある。そこで、情報処理装置100の送信機会の獲得の効果を高めることが重要である。情報処理装置100の送信機会を向上させる例を図35に示す。
[IFSを入れずバックオフカウンタを減算する場合のバックオフ処理例]
図35は、本技術の第9の実施の形態における情報処理装置100によるバックオフ処理の流れを示す図である。図35は、図34に対応する例であるため、図34と共通する部分には、同一の符号を付して説明する。
図35では、図34と同様に、情報処理装置100が、情報処理装置521、522のそれぞれから送信されるパケットを受信した場合には、そのパケットに含まれるPLCP513、514に基づいて、その受信を打ち切る例を示す(515、516)。また、図35では、その受信打ち切り(受信キャンセル)とともに、その受信に係る時間(経過時間)だけ、IDLE状態であったものとして、バックオフカウンタを減算する。また、図35では、その受信打ち切り(受信キャンセル)の直後に、IFS待ちを行わず(すなわち、IFSを入れず)、バックオフカウンタを減算する。
例えば、図35に示すように、情報処理装置521からのパケットの受信を打ち切った場合には(515)、物理ヘッダの開始時刻から現在時刻までの時間長を計算する。そして、その長さ(時間長)のタイムスロット換算値をバックオフカウンタから一気に減算する。例えば、物理ヘッダの開始時刻から現在時刻までの時間長として「4(=8−4)」を計算する。そして、その値「4」をバックオフカウンタ「8」から減算して、バックオフカウンタを「4」とする。また、この後のキャリアセンスに先立つIFSの適用もキャンセルし、直ちにバックオフカウンタのデクリメント減算を開始する。
このように、IFSの適用のキャンセルと物理ヘッダ時間分のバックオフカウンタ減算を行うことにより、効果的に送信機会を獲得することができる。
ここで、EDCA(enhanced distributed channel access)を使用している場合等には、複数のバックオフカウンタが動作していることもある。そこで、複数のバックオフカウンタが動作している場合には、全てのカウンタに対してこの処理を行う。
このように、情報処理装置100の制御部150は、パケットの受信打ち切り後、IFSに相当する待ち時間を発生させないように制御することができる。この場合に、制御部150は、そのパケットの受信打ち切り後、そのパケットの受信時においてキャリアセンスがBUSYに遷移した時刻から受信打ち切り時刻までの時間長をスロットタイムに換算してバックオフカウンタから減算することができる。
ここで、上述した減算処理において、減算後のバックオフカウンタが負の値になることも想定される。このような場合には、カウンタを0とすることができる。すなわち、情報処理装置100の制御部150は、減算後の結果が負の値になる場合には、その結果を0として扱うことができる。
また、別のバリエーションとして、減算後のバックオフカウンタが負の値になる場合には、その絶対値の分を正に折り返して用いるようにしてもよい。例えば、減算前のカウンタ値が1であり、BUSYであった時間長のタイムスロット換算値が2である場合には、その減算後の値「−1(=1−2)」を折り返してカウンタ値を1のままとすることができる。これにより、減算前のカウンタ値が2である同様の条件の他の情報処理装置が存在する場合に、同時にカウントが0になって衝突を引き起こすケースを減らすことができる。ただし、折り返す場合には、減算前のカウンタ値よりも結果が大きくなるような折り返しを禁止するようにする。すなわち、情報処理装置100の制御部150は、減算後の結果が負の値になる場合には、その減算前のバックオフカウンタを超えないように、その負の値の分を正に折り返した値とすることができる。
また、別のバリエーションとして、減算後のバックオフカウンタが負の値になる場合には、減算前のバックオフカウンタ値以下の値と0との間の範囲で乱数を発生させ、その値を減算後の値とするようにしてもよい。すなわち、元のBusy前のバックオフカウンタの値の幅でランダムバックオフするようにしてもよい。
なお、この例では、物理層のキャリアセンスについて説明した。ただし、バーチャルキャリアセンスにより送信抑制がかかりBUSY状態である場合には、受信打ち切り時の上述した処理を行わないようにすることができる。
[使用物理ヘッダ決定処理の動作例]
図36は、本技術の第9の実施の形態における情報処理装置100による使用物理ヘッダ決定処理(送信用物理ヘッダの選択処理)の処理手順の一例を示すフローチャートである。この使用物理ヘッダ決定処理は、基本的に本技術の第1の実施の形態と同じであるが、RSSI_peerを、相手から通知されたTxPowerに基づいて補正する点が異なる。
最初に、情報処理装置100の制御部150は、自装置と接続のある宛先からの受信パケットをモニタして宛先毎のRSSIを取得する(ステップS781)。このように取得されたRSSI(モニタ結果)を、RSSI_peerとする。
なお、自装置と接続のある宛先からの受信パケットの計測値が保持されている場合には、情報処理装置100の制御部150は、その計測値を読み出して宛先毎のRSSIを取得するようにしてもよい(ステップS781)。
ここで、親局(例えば、情報処理装置200)に接続している情報処理装置(例えば、情報処理装置100)の場合には、宛先は基本的に親局だけになる。この場合には、モニタ結果として、過去のビーコンの受信レベルを利用するようにしてもよい。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、取得されたRSSI_peerを、送信電力差を考慮して補正する(ステップS782)。例えば、物理ヘッダパラメータの共有処理において親局から通知された「TxPower」情報(図32に示す「TxPower Info」342に格納)をTP_peerとする。また、情報処理装置100が親局への送信に使用する送信電力をTP_selfとする。この場合には、次の式13により、補正されたRSSI_adjustedを得ることができる。ここで、式13は、対数(dB)での計算を仮定した記述である。
RSSI_adjusted=RSSI_peer+(TP_self−TP_peer) … 式13
ここで、RSSI_adjustedは、情報処理装置100からの送信を親局側で受信したときに期待されるRSSIの推定値を示す。ただし、TP_peerに相当する情報が得られない場合には、RSSI_adjustedをRSSI_peerで代用するようにしてもよい。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、補正されたRSSI_adjustedと、物理ヘッダの適用レベルL_nearとを比較し、その比較結果に基づいて、自装置が送信に使用する物理ヘッダのインデックスを決定する(ステップS783)。なお、物理ヘッダの適用レベルL_nearは、情報処理装置200から送信されたビーコンに含まれる。
例えば、情報処理装置100の制御部150は、補正されたRSSI_adjustedが物理ヘッダの適用レベルL_nearを超えている場合には、自装置が送信に使用する物理ヘッダのインデックスを1(近距離用)と決定する(ステップS783)。一方、情報処理装置100の制御部150は、補正されたRSSI_adjustedが物理ヘッダの適用レベルL_near以下である場合には、自装置が送信に使用する物理ヘッダのインデックスを0(遠距離用)と決定する(ステップS783)。
また、自装置が送信に使用する物理ヘッダのインデックスが既に決定されている場合に、新たなインデックスが決定された場合には、既に決定されているインデックスが、その新たなインデックスに更新される(ステップS783)。
なお、図36では、近距離および遠距離の2値の分類に基づいて使用物理ヘッダを決定する例を示したが、3値以上(N値)の分類に基づいて使用物理ヘッダを決定するようにしてもよい。例えば、遠距離のものから順に、各物理ヘッダの適用レベルをL_0、L_1、…、L_Nとする。この場合には、次の関係式(式14)を満たすnが、送信に使用する物理ヘッダのインデックスとして選択される。ここで、式14は、対数(dB)での計算を仮定した記述である。
L_n≦RSSI_adjusted<L_n+1 … 式14
ただし、n=0乃至Nとする。
なお、図36では、子局側から親局側への上りリンク送信の場合における子局側の動作例を説明したが、下りリンク送信の場合には、親局側で同様の動作を行うようにしてもよい。この場合における親局側の処理内容は、図36に示す処理内容と同様である。ただし、接続相手が複数存在する場合には、受信パケットのモニタ結果の分類については、パケットの送信元毎に管理し、RSSI_adjustedについては、リンク毎に個別に算出するものとする。
また、図36では、RSSIを用いる例を示したが、RSSIの代わりに、相関出力強度COLを用いるようにしてもよい。
[送受信処理の動作例]
図37は、本技術の第9の実施の形態における情報処理装置100による送受信処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図37では、情報処理装置100について説明するが、他の情報処理装置(例えば、情報処理装置200)についても同様に適用することができる。すなわち、この送受信処理は、親局側も端末側も同等の処理となる。
情報処理装置100の制御部150は、送信中、受信中以外の時間、パケット検出/受信判定処理を行う(ステップS800)。このパケット検出/受信判定処理については、図39を参照して詳細に説明する。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、送信すべきパケットが存在するか否かを判断する(ステップS791)。送信すべきパケットが存在しない場合には(ステップS791)、送受信処理の動作を終了する。
送信すべきパケットが存在する場合には(ステップS791)、情報処理装置100の制御部150は、情報処理装置100が送信権を獲得しているか否かを判断する(ステップS792)。
ここで、送信権を獲得している状態は、例えば、キャリアセンス結果がIDLEである時間に応じてデクリメントされるバックオフカウンタが0になっている状態を意味するものとする。
情報処理装置100が送信権を獲得している場合には(ステップS792)、情報処理装置100の制御部150は、パケット送信を行う(ステップS794)。情報処理装置100が送信権を獲得していない場合には(ステップS792)、情報処理装置100の制御部150は、送信すべきパケットが、通信相手から受信したパケットに対する即時応答であるか否かを判断する(ステップS793)。
なお、通信相手から受信したパケットに対する即時応答となるパケットは、例えば、CTSフレーム、ACKフレーム、Block Ackフレームである。
送信すべきパケットが、通信相手から受信したパケットに対する即時応答でない場合には(ステップS793)、そのパケットの送信を行わずに、送受信処理の動作を終了する。送信すべきパケットが、通信相手から受信したパケットに対する即時応答である場合には(ステップS793)、情報処理装置100の制御部150は、パケット送信を行う(ステップS794)。このように、通信相手から受信したパケットに対する即時応答であるパケットの送信については、キャリアセンスの状態に関わらず行うことができる。
このように、情報処理装置100は、送信すべきパケットがあり、かつ、送信権を獲得している場合と、送信すべきパケットが通信相手からのパケットに対する即時応答である場合とには、パケットの送信を行う。
この場合に、情報処理装置100の制御部150は、パケットの送信の際に、使用物理ヘッダ決定処理において決定された物理ヘッダのインデックスに基づいて、図31のaまたはbに示すフォーマットの物理ヘッダを使用して送信を行う。
また、情報処理装置100の制御部150は、例えば、データ部に使用する変調を、決定された物理ヘッダに対応する検出閾値に応じて、宛先装置が高い確率で受信が可能な変調ならびに通信路符号化の方式を選択し、それを使用して送信する。また、情報処理装置100の制御部150は、例えば、決定された物理ヘッダに対応する検出閾値に応じて、宛先装置が高い確率で受信が可能な変調ならびに通信路符号化の方式(MCS)を選択して送信するようにしてもよい。
[パケット検出/受信判定処理の動作例]
図38は、本技術の第9の実施の形態における情報処理装置100が行う処理と物理ヘッダとの関係例(処理分類テーブル)を示す図である。なお、図38については、図39を参照して詳細に説明する。
図39は、本技術の第9の実施の形態における情報処理装置100による送受信処理のうちのパケット検出/受信判定処理(図37に示すステップS800の処理手順)を示すフローチャートである。
最初に、情報処理装置100の制御部150は、アンテナ141を介して入力される信号に対して、RSSIの計測を行い、その計測により求められたRSSIを保持する(ステップS801)。また、情報処理装置100の制御部150は、Preambleパターンの相関計算を行い、相関器出力を求める(ステップS801)。この相関器出力は、上述した相関出力強度COLを意味する。すなわち、相関器出力は、正規化された相関器出力レベルではなく、受信電力を反映して換算された相関器出力である。
このように、本技術の第9の実施の形態における各機能に対応する親局、子局のそれぞれは、待ち受け状態にいる間、アンテナを介して入力される信号に対して、RSSIの測定と相関器出力とをモニタする(ステップS801)。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、パターンの相関計算を行い、その出力(相関器出力)と仮検出閾値とを比較する(ステップS802)。ここで、仮検出閾値は、本判定処理に先立ってSINGALフィールドを読むための検出閾値である。仮検出閾値として、例えば、PD_nearおよびPD_farの双方以下になるような値を用いることができる。また、例えば、仮検出閾値として、PD_defaultを用いるようにしてもよい。
相関器出力の値が仮検出閾値以下である場合には(ステップS802)、情報処理装置100の制御部150は、測定されたRSSIとエネルギー検出閾値EDとを比較する(ステップS803)。そして、情報処理装置100の制御部150は、そのRSSIがエネルギー検出閾値EDを超えているか否かを判断する(ステップS803)。このエネルギー検出閾値EDは、上述した値と同一とすることができる。
そのRSSIがエネルギー検出閾値EDを超えている場合には(ステップS803)、情報処理装置100の制御部150は、キャリアセンスBUSY状態を維持して(ステップS804)、パケット検出/受信判定処理の動作を終了する。一方、そのRSSIがエネルギー検出閾値ED以下である場合には(ステップS803)、情報処理装置100の制御部150は、キャリアセンスIDLE状態に遷移して(ステップS805)、パケット検出/受信判定処理の動作を終了する。
また、相関器出力の値が仮検出閾値を超えた場合には(ステップS802)、情報処理装置100の制御部150は、仮検出状態であると判断し、キャリアセンスBUSY状態に遷移する(ステップS806)。続いて、情報処理装置100の制御部150は、物理ヘッダ内の後続のSIGNALフィールドをデコードして、そのSIGNALフィールド内の情報等を読み出す(ステップS807)。具体的には、「Link Strength Category」フィールド、「COLOR」フィールド、物理ヘッダのCRC(Cyclic Redundancy Check(巡回冗長検査))のそれぞれを読み出す。上述したように、「Link Strength Category」フィールドには、適用すべき検出閾値を示す情報が格納されている。
また、情報処理装置100の制御部150は、読み出された各情報と、図38に示す処理分類テーブルとを照合し、以降の処理を決定する(ステップS807)。
具体的には、情報処理装置100の制御部150は、物理ヘッダのCRCを計算し、物理ヘッダのエラーの有無を確認する。ここで、物理ヘッダにエラーがある場合には、フィールドの値の正当性を確認することができない。このため、図38に示すように、物理ヘッダにエラーがある場合には、以降の処理を「受信打ち切り(ERROR)」と決定する。また、物理ヘッダのCRCにエラーがない場合には、「Link Strength Category」フィールドおよび「COLOR」フィールドの各内容に基づいて、処理を決定する。
ここで、情報処理装置100の制御部150は、上述した物理ヘッダパラメータ共有処理において共有された「Preamble Detection Threshold」に基づいて、適用すべき検出閾値を決定する。具体的には、Link Strength Category=0の場合には、検出閾値PD_farを使用し、Link Strength Category=1の場合には、検出閾値PD_nearを使用する。ただし、Link Strength Categoryフィールドが存在しない物理ヘッダを仮検出した場合には、検出閾値としては最も低いレベルの値(例えば、PD_far)を用いることができる。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、決定された検出閾値と、相関器出力の値とを比較する。そして、相関器出力の値が、決定された検出閾値よりも小さい場合には、図38の上段に示すように、以降の処理を「受信打ち切り(IDLE)」と決定する。ただし、図38の上段に示すように、COLORフィールドが存在し、かつ、COLORフィールドの値が、自装置が属するBSSの値と同一である場合には、例外的に、以降の処理を「受信」と決定する。これにより、受信レベルの変動により、本来受信すべきパケットの検出に失敗するケースを回避することができる。
また、相関器出力の値が、決定された検出閾値以上である場合には、図38の下段に示すように、以降の処理を「受信」と決定する。ただし、図38の下段に示すように、COLORフィールドが存在し、かつ、COLORフィールドの値が、自装置が属するBSSのものと異なる場合には、例外的に、以降の処理を「受信打ち切り(BUSY)」と決定する。これにより、本来受信の必要のないパケットの受信により所望パケットの検出に失敗するケースを回避することができる。
このように、情報処理装置100の制御部150は、以降の処理として、「受信」、「受信打ち切り(IDLE)」、「受信打ち切り(BUSY)」、「受信打ち切り(ERROR)」の何れかを決定する(ステップS807)。
ここで、例えば、自BSS内の機器である場合において、遠距離用の検出閾値が使用されるときには、弱いレベルでパケットが到着することが想定される。このため、比較対象となる閾値(遠距離用の検出閾値)と検出レベルとが不整合となる場合には、他BSSからのパケットであると推定することができる。この場合には、受信を打ち切ることができる。例えば、遠距離用の検出閾値が使用されている場合に、RSSIが非常に大きいときには、受信を打ち切ることができる。
そこで、ここでは、図38に示す処理分類テーブルにおいて、COLORフィールドが存在せず、かつ、相関器出力の値が、決定された検出閾値(適用すべき閾値)以上である場合には、以降の処理を「受信」と決定する場合の変形例を示す。例えば、その場合において、適用すべき閾値に対して相関器出力の値が大幅に大きい場合(例えば、一定値以上大きい場合)には、以降の処理を「受信打ち切り(BUSY)」または「受信打ち切り(IDLE)」とすることができる。
例えば、PLCPヘッダ内の「Link Strength Category」が、最も高いレベルの検出閾値を与えるものではない場合、かつ、相関器出力の値が、決定された検出閾値(適用すべき閾値)よりも大幅に大きい場合を想定する。例えば、近距離および遠距離の2値の分類に基づいて使用物理ヘッダが決定される場合には、遠距離用の検出閾値が、最も高いレベルの検出閾値を与えるものではない値となる。このような場合に、適用すべき閾値に対して相関器出力の値が大幅に大きい場合には、適用すべき閾値と相関器出力の値とが大きく不整合していることが考えられる。このようになる状態は、別のBSSから送信されたパケットを検出した場合であると類推することができる。そこで、このような場合には、受信を最後まで行う必要がないため、受信を打ち切ることが可能である。
また、例えば、3値の分類に基づいて使用物理ヘッダが決定される場合において、検出閾値が高い順に、第1検出閾値、第2検出閾値、第3検出閾値とする場合を想定する。この場合には、第2検出閾値または第3検出閾値が、最も高いレベルの検出閾値を与えるものではない値となる。この場合に、例えば、適用すべき閾値が第3検出閾値であり、相関器出力の値が第2検出閾値を超えている場合には、適用すべき閾値と相関器出力の値とが大きく不整合していると判断することができる。同様に、例えば、適用すべき閾値が第2検出閾値であり、相関器出力の値が第1検出閾値を超えている場合には、適用すべき閾値と相関器出力の値とが大きく不整合していると判断することができる。このようになる状態は、上述した2値の場合と同様に、別のBSSから送信されたパケットを検出した場合であると類推することができ、受信を打ち切ることが可能である。特に、適用すべき閾値が第3検出閾値である場合に、相関器出力の値が第1検出閾値を超えている場合には、別のBSSから送信されたパケットを検出した可能性が高いと考えられる。
また、例えば、4値以上の分類に基づいて使用物理ヘッダが決定される場合についても同様に、別のBSSから送信されたパケットを検出したと推定されるときには、受信を打ち切ることが可能である。
また、閾値と相関器出力の値との比較結果に基づいて、「受信打ち切り(BUSY)」とするか「受信打ち切り(IDLE)」にするかを決定することができる。例えば、相関器出力の値が、決定された検出閾値(適用すべき閾値)よりも一定以上(例えば、20dB以上)高い場合を不整合扱いの対象とする。そして、不整合扱いで、かつ、相関器出力の値が、PLCPヘッダ内の「Link Strength Category」よりも一段階高い閾値も超えている場合には「受信打ち切り(BUSY)」とすることができる。例えば、近距離および遠距離の2値の分類に基づいて使用物理ヘッダが決定される場合には、一段階高い閾値は、近距離用の検出閾値である。また、不整合扱いで、かつ、相関器出力の値が、PLCPヘッダ内の「Link Strength Category」よりも一段階高い閾値を超えていない場合には「受信打ち切り(IDLE)」とすることができる。例えば、近距離および遠距離の2値の分類に基づいて使用物理ヘッダが決定される場合には、相関器出力の値が、近距離用の検出閾値および遠距離用の検出閾値の間となる場合には、「受信打ち切り(IDLE)」とすることができる。
また、COLOR情報がSIGNALフィールド内に存在しない場合においても、相関器出力の強度とSIGNALフィールドの内容とに応じて処理分類を「受信打ち切り(IDLE)」または「受信打ち切り(BUSY)」としてもよい。例えば、SIGNALフィールド内に記載されているフォーマットが自装置の対応していないものである場合、処理分類は通常「受信打ち切り(BUSY)」とする。例外として、SIGNALフィールド内に記載されているフォーマットが自装置の対応していないものであり、かつ、その相関器出力の強度が所定のレベル以下である場合、処理分類を「受信打ち切り(IDLE)」としてもよい。
以降の処理として「受信」が決定された場合には(ステップS808)、情報処理装置100の制御部150は、仮検出したパケットの受信を最後まで継続して行う(ステップS809)。また、受信したパケットが自装置宛であり、かつ、即時の応答を要求している場合には、対象パケットと同じ「Link Strength Category」フィールドを有する物理ヘッダを付加して送信する。すなわち、SIGNALフィールドにおける検出閾値に関する情報が格納される部分を同一とし、他の部分(例えば、MCS、length)については、自装置で決定した情報が格納される。
以降の処理として「受信打ち切り(BUSY)」が決定された場合には(ステップS808)、情報処理装置100の制御部150は、仮検出したパケットの受信を物理ヘッダ終了時点で打ち切り、待ち受け状態に戻る(ステップS810)。ただし、キャリアセンス状態は、そのパケットの終了時刻までBUSYとして扱う(ステップS811)。また、次回の送信試行の前のフレーム間隔(IFS(Inter Frame Space))を、AIFS(Arbitration IFS)、または、DIFS(Distributed coordination function IFS)とする。
以降の処理として「受信打ち切り(IDLE)」が決定された場合には(ステップS808)、情報処理装置100の制御部150は、仮検出したパケットの受信を物理ヘッダ終了時点で打ち切り、待ち受け状態に戻る(ステップS812)。なお、ステップS807乃至S812は、第1手順の一例である。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、測定されたRSSIとエネルギー検出閾値EDとを比較する(ステップS813)。そして、測定されたRSSIがエネルギー検出閾値EDを超えている場合には(ステップS813)、情報処理装置100の制御部150は、キャリアセンス状態をBUSY状態として維持する(ステップS814)。また、次回の送信試行の前のフレーム間隔(IFS)を、AIFSまたはDIFSとする。
また、測定されたRSSIがエネルギー検出閾値ED以下である場合には(ステップS813)、情報処理装置100の制御部150は、キャリアセンス状態をIDLE状態に遷移する(ステップS815)。
このように、IDLE状態に遷移した場合には(ステップS815、S816)、次回の送信試行の前のフレーム間隔(IFS)をAIFSとする(ステップS819)。そして、受信を打ち切ったパケットのPreamble開始時刻(または、物理ヘッダ開始時刻)まで遡ってキャリアセンスをIDLE扱いとし、その検出を無かったこととする処理を行う(ステップS820)。
具体的には、図35に示す例と同様に、フィジカルキャリアセンス結果がBUSYであった時間長(Preambleによるパケット検出判定時点、または、物理ヘッダの開始時刻から現在時刻までの時間長)を計算する。そして、その長さのタイムスロット換算値をバックオフカウンタから一気に減算する。また、この後のキャリアセンスに先立つIFSの適用もキャンセルし、直ちにバックオフカウンタの減算を開始する(ステップS820)。また、減算後のバックオフカウンタが負の値になる場合には、上述したように、0とする、その絶対値の分を正に折り返して用いる、減算前のバックオフカウンタ値以下の値と0との間の範囲で発生させた乱数の値を減算後の値とする等とすることができる。
また、以降の処理として「受信打ち切り(ERROR)」が決定された場合には(ステップS808)、情報処理装置100の制御部150は、仮検出したパケットの受信を物理ヘッダ終了時点で打ち切り、待ち受け状態に戻る(ステップS812)。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、測定されたRSSIとエネルギー検出閾値EDとを比較する(ステップS813)。そして、測定されたRSSIがエネルギー検出閾値EDを超えている場合には(ステップS813)、情報処理装置100の制御部150は、キャリアセンス状態をBUSY状態として維持する(ステップS814)。また、パケットはエラー扱いとし、次回の送信試行の前のフレーム間隔(IFS)をEIFS(Extended IFS)とする。
また、測定されたRSSIがエネルギー検出閾値ED以下である場合には(ステップS813)、情報処理装置100の制御部150は、キャリアセンス状態をIDLE状態に遷移する(ステップS815)。
また、以降の処理として「受信打ち切り(ERROR)」が決定されているため(ステップS816)、次回の送信試行の前のフレーム間隔(IFS)をEIFSとする(ステップS817)。そして、情報処理装置100の制御部150は、相関器出力強度が、最小の検出閾値よりも小さいか否かを判断する(ステップS818)。すなわち、相関器出力強度が、上述したPLCPヘッダパラメータ共有処理において共有された「Preamble Detection Threshold」の中の最小の検出閾値よりも小さいか否かが判断される(ステップS818)。
相関器出力強度が、最小の検出閾値よりも小さい場合には(ステップS818)、ステップS820に進む。すなわち、情報処理装置100の制御部150は、打ち切ったパケットのPreamble開始時刻(または、物理ヘッダ開始時刻)まで遡ってキャリアセンスをIDLE扱いとし、その検出を無かったこととする処理を行う(ステップS820)。なお、ステップS807、S808、S812、S813、S815乃至S820は、第2手順の一例である。
このように、受信を打ち切り、IDLE状態に遷移することによる送信機会の獲得をさらに効果的に行うことができる。
ここで、IEEE802.11規格を想定する場合には、本技術の第9の実施の形態における「検出閾値」として、L−STF部の検出閾値とすることができる。ただし、L−STF部の検出閾値の代わりに、L−LTF部の検出閾値とするようにしてもよく、L−STF部およびL−LTF部の双方に共通する検出閾値とするようにしてもよい。また、L−STF部およびL−LTF部の検出閾値をそれぞれ独立に変化させることとし、物理ヘッダパラメータとして双方を指定するように拡張してもよい。
このように、情報処理装置100の制御部150は、パケットの受信を第1条件に応じて途中で打ち切る制御を行う。この場合に、情報処理装置100の制御部150は、第2の条件に応じてそのパケットの受信開始からそのパケットの受信打ち切りまでの時間をキャリアセンスがアイドル状態だったものとして動作させることができる。
例えば、受信したパケットにおける物理ヘッダ内で指定されるCOLOR情報が、情報処理装置100の属するネットワークのCOLOR情報と異なることを第1条件とすることができる。また、例えば、受信中のパケットの、アンテナ入力換算でのプリアンブル相関器出力レベルが、そのパケットにおける物理ヘッダ内に記載された情報から導出されるパケット検出閾値を下回っていることを第1条件とすることができる。この場合には、制御部150は、そのパケットにおける物理ヘッダ内に記載されたインデックスと予め共有されている閾値のテーブルとの対応付けに基づいて、その導出を行うことができる。
また、例えば、受信したパケットにおける物理ヘッダ部を対象とするCRC計算結果が、その物理ヘッダ内に記載されているCRCと一致していることを第1条件とすることができる。
また、例えば、受信中のパケットの受信電力が予め定められたエネルギー検出閾値を下回ることを第2条件とすることができる。また、例えば、パケットの受信打ち切りを行った時点においてバーチャルキャリアセンスによる送信抑制がかかっていないことを第2条件とすることができる。
また、例えば、パケットにおける物理ヘッダ部を対象とするCRC計算結果と、アンテナ入力換算でのプリアンブル相関器出力レベルとに関する条件を第2条件とすることができる。例えば、そのCRC計算結果が、物理ヘッダ内に記載されているCRC情報と一致せず、かつ、そのプリアンブル相関器出力レベルが、適用されうるパケット検出閾値のうち最小のものを下回っていることを第2条件とすることができる。この場合には、情報処理装置100の制御部150は、第2条件を用いて、動作の要否を判断することができる。
また、例えば、情報処理装置100の制御部150は、パケットの受信打ち切り後に第2条件を満たさない場合には、そのパケット転送の継続期間中の情報処理装置100からの送信を禁止するようにしてもよい。ただし、この場合に、制御部150は、情報処理装置100宛てであり、かつ、応答を要求するフレームを受信したときには、そのフレームに対する応答を送信するようにしてもよい。
また、例えば、第2条件に第1条件を含めるようにしてもよい。
また、例えば、情報処理装置100の制御部150は、パケット検出条件を満たす場合(例えば、相関器出力の値が、決定された検出閾値以上である場合)には、以降の処理を「受信」と決定する。ただし、COLOR情報がCOLORフィールドに存在し、かつ、そのCOLOR情報が情報処理装置100の属するネットワークのCOLOR情報と異なるときには、以降の処理を「受信打ち切り(IDLE)」と決定する。すなわち、そのパケットの受信を打ち切り、待ち受け状態に戻る。
また、例えば、制御部150は、そのパケット検出条件を満たさない場合(例えば、相関器出力の値が、決定された検出閾値よりも小さい場合)には、以降の処理を「受信打ち切り(IDLE)」と決定する。ただし、COLOR情報がCOLORフィールドに存在し、かつ、COLOR情報が情報処理装置100の属するネットワークのCOLOR情報と一致しているときには、以降の処理を「受信」と決定する。すなわち、そのパケットの受信処理を継続する。
<10.第10の実施の形態>
本技術の第4の実施の形態では、Preambleの系列を複数定義する例を示した。本技術の第10の実施の形態では、本技術の第4の実施の形態と同様に、Preambleの系列を複数定義するとともに、COLOR情報を併用することにより選別精度をさらに向上させる例を示す。なお、本技術の第10の実施の形態における情報処理装置の構成については、図1等に示す情報処理装置100乃至103、200、201と略同一である。このため、本技術の第1の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
また、本技術の第10の実施の形態は、本技術の第4の実施の形態の変形例である。このため、本技術の第10の実施の形態における各処理、各フォーマットについても、本技術の第4の実施の形態と共通する部分がある。このため、本技術の第4の実施の形態と共通する部分については、本技術の第4の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
[PPDUのフォーマット例]
図40は、本技術の第10の実施の形態における通信システム10を構成する各装置間でやりとりされるPPDUのフォーマットの一例を示す図である。
ここで、図40に示す例は、SIGNALフィールド内に、BSS COLORフィールドを設ける点以外は、図21に示す例と同一である。そこで、図21と共通する部分については、図21と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
PPDUは、Preamble311と、SIGNAL351と、Extension303と、Service304と、MPDU305と、FCS306とにより構成される。
ここで、本技術の第10の実施の形態では、物理ヘッダのSIGNALフィールドの一部に、BSSの識別子に関する情報(COLOR情報)を格納する「BSS COLOR」フィールドを設ける。なお、図40では、「BSS COLOR」フィールドを、COLORとして示す。なお、BSS COLOR情報は、本技術の第9の実施の形態で示したものと同様である。
また、図40のaおよびbでは、物理ヘッダを送信する情報処理装置(親局または子局)が、COLOR情報として「1」が設定されているBSSに属している場合(すなわち、COLOR=1)の例を示す。
このように、本技術の第10の実施の形態では、「COLOR」フィールドをSIGNAL311内のReserved扱いとなっている部分に設ける。
なお、接続処理については、本技術の第1の実施の形態と同様である。また、物理ヘッダパラメータの決定処理、物理ヘッダパラメータの共有処理および使用物理ヘッダ決定処理については、本技術の第9の実施の形態と手順は同様である。
また、送受信処理については、パケット検出/受信判定処理(図37に示すステップS800の処理手順)以外は、本技術の第9の実施の形態と同様である。そこで、図41および図42を参照してパケット検出/受信判定処理について説明する。
[パケット検出/受信判定処理の動作例]
図41は、本技術の第10の実施の形態における情報処理装置100が行う処理と物理ヘッダとの関係例(処理分類テーブル)を示す図である。なお、図41については、図42を参照して詳細に説明する。
図42は、本技術の第10の実施の形態における情報処理装置100による送受信処理のうちのパケット検出/受信判定処理(図37に示すステップS800の処理手順)を示すフローチャートである。
最初に、情報処理装置100の制御部150は、アンテナ141を介して入力される信号に対して、RSSIの計測を行い、その計測により求められたRSSIを保持する(ステップS821)。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、計測されたRSSIと、保持されている各物理ヘッダの適用レベル(L_farおよびL_near)とを比較して、検出に適用する物理ヘッダのインデックスを決定する(ステップS822)。例えば、自装置の送信用物理ヘッダを選択する選択方法と同様に、検出に適用する物理ヘッダのインデックスを決定することができる。
例えば、情報処理装置100の制御部150は、計測されたRSSIと、L_nearの値とを比較し、計測されたRSSIがL_nearを超えている場合には、自装置の相関検出に使用する物理ヘッダのインデックスを1(近距離用)に決定する。また、情報処理装置100の制御部150は、計測されたRSSIがL_near以下である場合には、自装置の相関検出に使用する物理ヘッダのインデックスを0(遠距離用)に決定する。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、決定されたインデックスの物理ヘッダの、上述したように異なる規則により生成されるプリアンブル系列に対応する相関器を用いて相関計算を行う(ステップS823)。ここで、相関器出力は、本技術の第1の実施の形態と同様に、相関出力強度COLを意味する。すなわち、相関器出力は、正規化された相関器出力レベルではなく、受信電力を反映して換算された相関器出力である。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、選択された相関器の相関器出力と、決定されたインデックスにおける物理ヘッダの検出閾値とを比較し、その相関器出力の値がその検出閾値を超えているか否かを判断する(ステップS824)。
その相関器出力の値がその検出閾値を超えている場合には(ステップS824)、情報処理装置100の制御部150は、物理ヘッダ内の後続のSIGNALフィールドをデコードして、そのSIGNALフィールド内の情報等を読み出す(ステップS825)。具体的には、「COLOR」フィールド、物理ヘッダのCRCのそれぞれを読み出す。そして、情報処理装置100の制御部150は、以降の処理として、「受信」、「受信打ち切り(IDLE)」、「受信打ち切り(BUSY)」、「受信打ち切り(ERROR)」の何れかを決定する(ステップS825)。
具体的には、情報処理装置100の制御部150は、物理ヘッダのCRCを計算し、物理ヘッダのエラーの有無を確認する。ここで、物理ヘッダにエラーがある場合には、フィールドの値の正当性を確認することができない。このため、図41に示すように、物理ヘッダにエラーがある場合には、以降の処理を「受信打ち切り(ERROR)」と決定する。
また、物理ヘッダのCRCにエラーがない場合には、「COLOR」フィールドの内容に基づいて、処理を決定する。すなわち、物理ヘッダのCRCにエラーがない場合には、基本的に以降の処理を「受信」と決定する。ただし、図41に示すように、COLORフィールドが存在し、かつ、COLORフィールドの値が、自装置が属するBSSの値とは異なる場合には、例外的に、以降の処理を「受信打ち切り(BUSY)」と決定する。これにより、本来受信の必要のないパケットの受信により所望パケットの検出に失敗するケースを回避することができる。
なお、以降の処理として「受信」が決定された場合における処理手順(ステップS827)は、図39に示す処理手順(ステップS809)に対応する。また、以降の処理として「受信打ち切り(BUSY)」が決定された場合における各処理手順(ステップS828、S829)は、図39に示す各処理手順(ステップS810、S811)に対応する。また、以降の処理として「受信打ち切り(IDLE)」または「受信打ち切り(ERROR)」が決定された場合における処理手順(ステップS830乃至S832)は、図39に示す処理手順(ステップS813乃至S815)に対応する。
また、その相関器出力の値がその検出閾値以下である場合には(ステップS824)、ステップS830に進む。すなわち、その相関器出力の値がその検出閾値以下である場合には(ステップS824)、以降の処理は行わず、Preambleの非検出状態のままとする。
<11.第11の実施の形態>
本技術の第9の実施の形態では、物理ヘッダパラメータの決定処理を行う例を示した。本技術の第11の実施の形態では、物理ヘッダパラメータの決定処理を省略する例を示す。
なお、本技術の第11の実施の形態における情報処理装置の構成については、図1等に示す情報処理装置100乃至103、200、201と略同一である。このため、本技術の第1の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
また、本技術の第11の実施の形態は、本技術の第9の実施の形態の変形例である。このため、本技術の第11の実施の形態における各処理、各フォーマットについても、本技術の第9の実施の形態と共通する部分がある。このため、本技術の第9の実施の形態と共通する部分については、本技術の第9の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
[PPDUのフォーマット例]
図43は、本技術の第11の実施の形態における通信システム10を構成する各装置間でやりとりされるPPDUのフォーマットの一例を示す図である。
ここで、図43に示す例は、SIGNALフィールド内に、「Link Strength Category」の代わりに、「Requested Detection Level」を設ける点以外は、図31に示す例と同一である。そこで、図31と共通する部分については、図31と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
PPDUは、Preamble301と、SIGNAL361と、Extension303と、Service304と、MPDU305と、FCS306とにより構成される。
ここで、本技術の第11の実施の形態では、物理ヘッダのSIGNALフィールドの一部に、「Requested Detection Level」フィールドと、COLOR情報を格納する「BSS COLOR」フィールドとを設ける。
このように、物理ヘッダのSIGNALフィールドに「Requested Detection Level」フィールドを設けることにより、情報処理装置は、送信の際に、宛先において検出判定に使用して欲しい信号レベルを直接指定することができる。ここで、その信号レベルの単位および量子化方法については、宛先との間で共有されているものとする。
また、各情報処理装置は、宛先とのリンクの品質に応じて、「Requested Detection Level」フィールドの内容を変化させる。
このように、本技術の第11の実施の形態では、「Requested Detection Level」フィールドおよび「COLOR」フィールドをSIGNAL361内のReserved扱いとなっている部分に設ける。これにより、レガシィ装置の受信を妨げることなく、本技術の第11の実施の形態における特定機能を実現することができる。
また、「Requested Detection Level」フィールドを備えるパケットを受信した情報処理装置(レガシィ装置以外)は、その「Requested Detection Level」フィールドの内容を取得することができる。そして、その情報処理装置は、その「Requested Detection Level」フィールドの内容を、適用する検出閾値として直接用いることができる。
なお、接続処理については、本技術の第1の実施の形態と同様である。また、物理ヘッダパラメータの決定処理については、上述したように省略することができる。
また、本技術の第11の実施の形態では、検出適用閾値に関する親局および子局間の情報のやりとりを省略することができる。このため、物理ヘッダパラメータの共有処理については、省略することができる。ただし、本技術の第11の実施の形態では、「COLOR」(物理層でのBSS識別子)と「TxPower」(親局の送信電力)との情報も追加で伝達する。この場合に用いられるフレームフォーマットの一例を図44に示す。
[ビーコンフレームのフォーマット例]
図44は、本技術の第11の実施の形態における通信システム10を構成する各装置間でやりとりされるビーコンフレームフォーマットの一例を示す図である。なお、図44は、図32の変形例であるため、図32と共通する部分については、図32と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
図44では、図32に示すPayload340において、「Multi Detect Parameter」311を省略した例を示す。なお、「COLOR Info」371および「TxPower Info」372は、図32に示す「COLOR Info」341および「TxPower Info」342に対応する。
例えば、情報処理装置200の制御部は、「COLOR Info」371および「TxPower Info」372に各情報が格納されたビーコンを周囲の情報処理装置に送信して報知する。
そのビーコンによる報知を受信した情報処理装置は、「COLOR Info」371および「TxPower Info」372に格納された各情報をそのビーコンから取得して保持する。すなわち、その情報処理装置は、物理層でのBSS識別子、通信相手(例えば、親局)の送信電力のそれぞれの内容を保持する。
なお、ビーコンの内容を保持した後に、後続のビーコンに含まれる情報が変化した場合には、最新のビーコンに含まれる情報(最新の情報)を採用して保持する。
また、親局は、ビーコン送信以外の信号を用いて、物理層でのBSS識別子、自装置の送信電力のそれぞれの内容を通知するようにしてもよい。例えば、親局は、自装置による判断、または、配下端末からの情報取得要求をトリガとして、配下端末に対するユニキャストのデータフレームやマネジメントフレームでの通知を行うようにしてもよい。
[使用物理ヘッダ決定処理の動作例]
図45は、本技術の第11の実施の形態における情報処理装置100による使用物理ヘッダ決定処理(送信用物理ヘッダの選択処理)の処理手順の一例を示すフローチャートである。
最初に、情報処理装置100の制御部150は、自装置と接続のある宛先からの受信パケットをモニタして宛先毎のRSSIを取得する(ステップS841)。このように取得されたRSSI(モニタ結果(宛先毎のRSSI測定結果))を、RSSI_peerとする。なお、本技術の第11の実施の形態では、情報処理装置100が接続している親局からのRSSI情報を、RSSI_peerとすることができる。
なお、自装置と接続のある宛先からの受信パケットの計測値が保持されている場合には、情報処理装置100の制御部150は、その計測値を読み出して宛先毎のRSSIを取得するようにしてもよい(ステップS841)。
ここで、親局(例えば、情報処理装置200)に接続している情報処理装置(例えば、情報処理装置100)の場合には、宛先は基本的に親局だけになる。この場合には、モニタ結果として、過去のビーコンの受信レベルを利用するようにしてもよい。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、取得されたRSSI_peerを、送信電力差を考慮して補正する(ステップS842)。例えば、ビーコンにより親局から通知された「TxPower」情報(図44に示す「TxPower Info」372に格納)をTP_peerとする。また、情報処理装置100が親局への送信に使用する送信電力をTP_selfとする。この場合には、次の式13(本技術の第9の実施の形態における式13と同一)により、補正されたRSSI_adjustedを得ることができる。
RSSI_adjusted=RSSI_peer+(TP_self−TP_peer) … 式13
ここで、RSSI_adjustedは、情報処理装置100からの送信を親局側で受信したときに期待されるRSSIの推定値を示す。ただし、TP_peerに相当する情報が得られない場合には、RSSI_adjustedをRSSI_peerで代用するようにしてもよい。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、次の式15を用いて、RSSI_adjustedを適用希望検出レベルLreqに変換する。ここで、式15は、対数(dB)での計算を仮定した記述である。
L_req=RSSI_adjusted+O … 式15
ここで、Oは、受信レベルの変動によるプリアンブル検出エラーに対するマージンのオフセット量である。例えば、Oを−10dB乃至−20dB程度とすることができる。
このように得られた適用希望検出レベルL_reqの値を予め共有されている所定の単位で量子化し、「Requested Detection Level」フィールド361(図43に示す「xx」の部分)に格納する。
また、図45では、RSSIを用いる例を示したが、RSSIの代わりに、相関出力強度COLを用いるようにしてもよい。
[送受信処理の動作例]
送受信処理については、本技術の第9の実施の形態と略同等であり、仮検出後の物理ヘッダの処理の分類テーブルのみが異なる。そこで、本技術の第11の実施の形態で用いる処理分類テーブルの一例を図46に示す。
図46は、本技術の第11の実施の形態における情報処理装置100が行う処理と物理ヘッダとの関係例(処理分類テーブル)を示す図である。
本技術の第9の実施の形態では、「Link Strength Category」を利用して予め保持してある閾値一覧から適用検出閾値を取得する例を示した。これに対し、本技術の第11の実施の形態では、適用すべき検出閾値が「Requested Detection Level」フィールドに直接記述されている。このため、本技術の第11の実施の形態では、「Requested Detection Level」フィールドに記述されている検出閾値(適用希望検出レベルLreq)をそのまま使用することができる。
このように、本技術の第11の実施の形態における処理分類テーブルは、適用すべき検出閾値が、本技術の第9の実施の形態における処理分類テーブル(図38に示す)とは異なる。なお、その他の処理は、本技術の第9の実施の形態と同等であるため、ここでの説明を省略する。
<12.第12の実施の形態>
本技術の第1の実施の形態では、IEEE802.11規格のSIGNALフィールド内に、Link Strength Category fieldを設ける例を示した。
本技術の第12の実施の形態では、IEEE802.11規格のSIGNALフィールド内に、Link Strength Category fieldを設けず、BSSの識別子に関する情報を格納するフィールドを設ける例を示す。また、本技術の第12の実施の形態では、パケットの選別をBSS識別子のみで行う例を示す。なお、本技術の第12の実施の形態における情報処理装置の構成については、図1等に示す情報処理装置100乃至103、200、201と略同一である。このため、本技術の第1の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
また、本技術の第12の実施の形態における各処理、各フォーマットについても、本技術の第1の実施の形態と共通する部分がある。このため、本技術の第1の実施の形態と共通する部分については、本技術の第1の実施の形態と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
[PPDUのフォーマット例]
図47は、本技術の第12の実施の形態における通信システム10を構成する各装置間でやりとりされるPPDUのフォーマットの一例を示す図である。
ここで、図47に示す例は、SIGNALフィールド内に、Link Strength Categoryフィールドの代わりに、BSS COLORフィールドを設ける点以外は、図7に示す例と同一である。そこで、図7と共通する部分については、図7と同一の符号を付してこれらの説明の一部を省略する。
PPDUは、Preamble301と、SIGNAL381と、Extension303と、Service304と、MPDU305と、FCS306とにより構成される。
本技術の第12の実施の形態では、物理ヘッダのSIGNALフィールドの一部に、BSSの識別子に関する情報(COLOR情報)を格納する「BSS COLOR」フィールドを設ける。なお、図47では、「BSS COLOR」フィールドを、COLORとして示す。
図47のaでは、物理ヘッダを送信する情報処理装置(親局または子局)が、COLOR情報として「1」が設定されているBSSに属している場合(すなわち、COLOR=1)の例を示す。図47のbは、図7のcに相当する。
このように、本技術の第12の実施の形態では、「COLOR」フィールドをSIGNAL311内に設ける。既存フォーマットのSIGNALフィールド内にReserved扱いとなっている部分がある場合には、その部分にCOLORフィールドを格納することにより、レガシィ装置の受信を妨げることなく、本技術の第12の実施の形態における特定機能を実現することができる。新規にSIGNALフィールドのフォーマットを定義する場合には、その部分にCOLOR情報を格納する。
COLORフィールドを備えるパケットを受信した情報処理装置(レガシィ装置以外)は、COLORフィールドの内容を取得することができる。そして、その情報処理装置は、COLORフィールドの内容に基づいて、適用する検出閾値と受信動作とを変化させることができる。
[接続処理例]
接続処理については、本技術の第1の実施の形態と同様である。
[物理ヘッダパラメータ決定処理の動作例]
図48は、本技術の第12の実施の形態における情報処理装置200による物理ヘッダパラメータ決定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
接続が確立した場合には、情報処理装置200の制御部は、自BSS内の配下端末と自装置とが使用する物理ヘッダパラメータ(例えば、物理ヘッダの各検出閾値)を作成(既に存在する場合には更新)する。本技術の第12の実施の形態での物理ヘッダの差異とは、具体的には、物理ヘッダ内のBSS識別子情報(COLOR情報)が自装置の所属しているものと一致している、もしくは、一致していない、の違いを意味する。
最初に、情報処理装置200の制御部は、パケットモニタを行う(ステップS841)。そして、情報処理装置200の制御部は、自BSS内の各配下の情報処理装置との通信品質と、他BSS(OBSS)からのパケットの通信品質とに関する各情報を取得する(ステップS841)。
ここでは、通信品質の指標として、RSSI、または、PLCPプリアンブルの相関出力強度を使用する例を示す。この相関出力強度は、電力が正規化された相関器出力そのものではなく、相関器出力に受信信号電力強度(RSSI)が乗算された絶対レベルを示すものとする。すなわち、相関出力強度は、アンテナ入力換算に補正した相関器出力を意味する。また、比較的近い時間での受信履歴が存在する場合には、そのときの相関出力強度の記録を流用するようにしてもよい。また、モニタに際して、より確実にサンプルを集められるように、一時的に検出閾値を下げるようにしてもよい。
続いて、情報処理装置200の制御部は、自BSS内の各配下の情報処理装置からの受信パケットの通信品質と、他BSS(OBSS)からの受信パケットの通信品質とを分類する(ステップS842)。そして、情報処理装置200の制御部は、自BSSに関する最小相関出力強度と、OBSSに関する最大相関出力強度とを抽出する(ステップS842)。
ここで、自BSSに関する最小相関出力強度は、BSS識別子(MACヘッダ内のBSSIDまたは物理ヘッダ内のBSS COLOR情報)が自装置の所属するBSSと同一であるパケットの最小相関出力強度を意味し、COL_selfとする。また、OBSSに関する最大相関出力強度は、BSS識別子(MACヘッダ内のBSSIDまたは物理ヘッダ内のBSS COLOR情報)が自装置の所属するBSSと異なるパケットの最大相関出力強度を意味し、COL_otherとする。
なお、該当する条件のパケットサンプルが無いCOLについては、PD_defaultで置き換えるものとする。ここで、PD_defaultは、レガシィ装置が使用しているプリアンブル検出の参照レベルを表しており、IEEE802.11規格では目安値として20MHz帯域幅あたり−82dBmという値が参照されている。
続いて、情報処理装置200の制御部は、抽出された各相関出力強度に基づいて、自BSSを示す物理ヘッダに対する検出閾値PD_selfと、OBSSを示す物理ヘッダに対する検出閾値PD_otherとを決定する(ステップS843)。例えば、次の式16、式17、式18の関係が成立する範囲で、検出閾値PD_selfおよび検出閾値PD_otherを決定することができる。なお、PD_selfの決定は省略してもよい。その場合、PD_defaultで代用する。
PD_self<COL_self … 式16
PD_other>COL_other … 式17
PD_other<COL_self … 式18
なお、この場合において、式17および式18を同時に満たすPD_otherが存在しない場合には、式18を優先する。
また、PD_otherは、配下の情報処理装置毎に個別に決定してもよい。情報処理装置のインデックスをnとし、n番目の配下の情報処理装置が使用すべきPD_otherをPD_other(n)とする。情報処理装置200の制御部は、上述のモニタ結果のうち、自BSS内の各配下の情報処理装置から送信されたパケットを、送信元毎に分類する。n番目の配下の情報処理装置からのパケットから得られた最小相関出力強度をそれぞれCOL_self(n)とすると、次の式19を満たすように、PD_other(n)を決定する。
PD_other(n)<COL_self(n) … 式19
なお、個別に設定する場合でも、必ずしも配下の全装置に対してPD_other(n)を指定しなくてもよい。その場合には、個別指定がされなかった装置が使用すべき共通のPD_otherの情報を追加で決定する。
ここで、検出閾値PD_selfおよび検出閾値PD_other(n)に基づいて設定される各情報処理装置のキャリアセンス検出範囲の一例を示す。ここでは、図12および図13を参照して、情報処理装置100、102、200、201キャリアセンス検出範囲の一例について説明する。
上述したように、図12では、情報処理装置100、102のキャリアセンス検出範囲31乃至34を点線の円形で模式的に示す。また、図13では、情報処理装置200、201のキャリアセンス検出範囲41乃至44を点線の円形で模式的に示す。
例えば、図12において、キャリアセンス検出範囲31は、情報処理装置100の自BSSを示す物理ヘッダに対する検出閾値PD_selfに基づいて設定される情報処理装置100のキャリアセンス検出範囲に相当する。また、キャリアセンス検出範囲33は、情報処理装置100のOBSSを示す物理ヘッダに対する検出閾値PD_other(n)に基づいて設定される情報処理装置100のキャリアセンス検出範囲に相当する。
また、図12において、キャリアセンス検出範囲32は、情報処理装置102の自BSSを示す物理ヘッダに対する検出閾値PD_selfに基づいて設定される情報処理装置102のキャリアセンス検出範囲を示す。また、キャリアセンス検出範囲34は、情報処理装置102のOBSSを示す物理ヘッダに対する検出閾値PD_other(n)に基づいて設定される情報処理装置102のキャリアセンス検出範囲に相当する。
また、図13において、キャリアセンス検出範囲41は、情報処理装置200の自BSSを示す物理ヘッダに対する検出閾値PD_selfに基づいて設定される情報処理装置200のキャリアセンス検出範囲に相当する。また、キャリアセンス検出範囲43は、情報処理装置200のOBSSを示す物理ヘッダに対する検出閾値PD_other(n)に基づいて設定される情報処理装置200のキャリアセンス検出範囲に相当する。
また、図13において、キャリアセンス検出範囲42は、情報処理装置201の自BSSを示す物理ヘッダに対する検出閾値PD_selfに基づいて設定される情報処理装置201のキャリアセンス検出範囲を示す。また、キャリアセンス検出範囲44は、情報処理装置201のOBSSを示す物理ヘッダに対する検出閾値PD_other(n)に基づいて設定される情報処理装置201のキャリアセンス検出範囲に相当する。
なお、図48に示すモニタおよび設定値の決定は、一定時間毎、または、新しい配下装置の接続を検出する毎に行われるようにして、設定値が逐次更新されるようにしてもよい。
[物理ヘッダパラメータの共有処理例]
また、物理ヘッダパラメータの共有処理については、本技術の第1の実施の形態と手順は同様である。ただし、本技術の第12の実施の形態では、物理ヘッダパラメータは、各物理ヘッダの検出閾値(自BSS用物理ヘッダの検出閾値PD_selfおよびOBSS用物理ヘッダの検出閾値PD_other)である。この場合に用いられるフレームフォーマットの一例を図49に示す。
[ビーコンフレームのフォーマット例]
図49は、本技術の第12の実施の形態における通信システム10を構成する各装置間でやりとりされるビーコンフレームフォーマットの一例を示す図である。なお、図49は、図14の変形例であるため、図14と共通する部分についての説明の一部を省略する。
図49では、Payload390に「Multi Detect Parameter」391および「COLOR Info」392というエレメントを新たに追加する例を示す。
「Multi Detect Parameter」391には、3つのフィールド393乃至395が設けられる。
Preamble Detection Threshold for Packets of This BSS393には、自BSS用物理ヘッダの検出閾値PD_selfが格納される。また、Preamble Detection Threshold for Packets of OBSS394には、OBSS用物理ヘッダの検出閾値PD_otherが格納される。ただし、OBSS用物理ヘッダの検出閾値PD_otherについては格納する必要があるが、自BSS用物理ヘッダの検出閾値については、格納を省略することができる。このように、自BSS用物理ヘッダの検出閾値の格納を省略する場合には、各情報処理装置は、PD_self=PD_defaultとして代用することができる。なお、上述した物理ヘッダパラメータ決定処理において、PD_otherを配下の情報処理装置毎に個別に決定した場合(すなわち、PD_other(n)をそれぞれ決定した場合)、このフィールドには全てPD_other(n)の情報が、それが対応する配下装置を特定する情報とともに格納される。配下の全装置に対してPD_other(n)を指定しない場合には、指定されない装置が共通で使用するPD_otherの情報も格納する。
Allow No Color Filtering395には、BSS COLORを含まないパケットに対し、受信打ち切りを許可するか否かを示す情報が格納される。この受信打ち切りを許可するか否かは、例えば、情報処理装置200に接続されている機器に応じて設定することができる。例えば、COLOR情報の付加を行うことができない装置(例えば、レガシィ装置)が情報処理装置100の配下に1台も存在しない場合には、情報処理装置200の制御部は、許可すると設定することができる。
なお、Allow No Color Filtering395に格納する情報については、他のフィールドで代用することができる場合には、他のフィールドで代用するようにしてもよい。このように、他のフィールドで代用する場合には、Allow No Color Filtering395に格納すべき情報の「Multi Detect Parameter」への格納を省略することができる。
「COLOR Info」392には、物理層でのBSS識別子が格納される。このBSS識別子は、図47に示す「BSS COLOR」フィールドに格納されるBSS識別子に対応する。
例えば、情報処理装置200の制御部は、「Multi Detect Parameter」391および「COLOR Info」392に各情報が格納されたビーコンを周囲の情報処理装置に送信して報知する。
そのビーコンによる報知を受信した情報処理装置は、「Multi Detect Parameter」391および「COLOR Info」392に格納された各情報をそのビーコンから取得して保持する。すなわち、その情報処理装置は、「Multi Detect Parameter」、物理層でのBSS識別子のそれぞれの内容を保持する。ここで、当該情報処理装置が使用すべきPD_otherが個別に指定されている場合には、自装置に対応するPD_other(n)をPD_otherの値として保持するものとする。個別指定が無い場合には、配下装置が共通で使用すべきPD_otherの値を保持する。
なお、ビーコンの内容を保持した後に、後続のビーコンに含まれる情報が変化した場合には、最新のビーコンに含まれる情報(最新の情報)を採用して保持する。
また、親局は、ビーコン送信以外の信号を用いて、「Multi Detect Parameter」、物理層でのBSS識別子のそれぞれの内容を通知するようにしてもよい。例えば、親局は、自装置による判断、または、配下端末からの情報取得要求をトリガとして、配下端末に対するユニキャストのデータフレームやマネジメントフレームでの通知を行うようにしてもよい。
[使用物理ヘッダ決定処理例]
本技術の第12の実施の形態では、物理ヘッダに対し、自BSSで使用されるBSS COLOR情報を付加する。また、リンクの状態に応じてPLCPヘッダを変更することは行わない。なお、使用物理ヘッダ決定処理は、上りリンクでも下りリンクでも同様に行われる。
[送受信処理例]
本技術の第12の実施の形態における送受信処理は、本技術の第9の実施の形態(図37に示す送受信処理)と手順は同様である。例えば、親局側および子局側の双方が図37に示す送受信処理と同等とすることができる。例えば、親局側および子局側の双方は、基本的に送信中および受信中以外の時間は、パケット検出/受信判定処理を行っているものとする。
[パケット検出/受信判定処理の動作例]
本技術の第12の実施の形態におけるパケット検出/受信判定処理は、基本的に本技術の第9の実施の形態(図39に示す動作例)と同様である。ただし、参照する処理分類テーブルが異なる。
図50は、本技術の第12の実施の形態における情報処理装置100が行う処理と物理ヘッダとの関係例(処理分類テーブル)を示す図である。なお、図50については、図39を参照して詳細に説明する。
図39に示すように、本技術の第12の実施の形態における各機能に対応する親局、子局のそれぞれは、待ち受け状態にいる間、アンテナを介して入力される信号に対して、RSSIの測定と相関器出力とをモニタする(ステップS801)。
続いて、情報処理装置100の制御部150は、Preambleパターンの相関計算を行い、その出力(相関器出力)と仮検出閾値とを比較する(ステップS802)。ここで、仮検出閾値は、本判定処理に先立ってSINGALフィールドを読むための検出閾値である。仮検出閾値として、例えば、PD_selfおよびPD_otherの双方以下になるような値を用いることができる。また、例えば、仮検出閾値として、PD_defaultを用いるようにしてもよい。
また、ここで言及する「相関器出力」は、上述した相関出力強度COLを意味しており、正規化された相関器出力レベルではなく、受信電力を反映して換算された相関器出力である。
また、相関器出力の値が仮検出閾値を超えた場合には(ステップS802)、情報処理装置100の制御部150は、仮検出状態であると判断し、キャリアセンスBUSY状態に遷移する(ステップS806)。続いて、情報処理装置100の制御部150は、物理ヘッダ内の後続のSIGNALフィールドをデコードして、そのSIGNALフィールド内の情報等を読み出す(ステップS807)。具体的には、「COLOR」フィールド、物理ヘッダのCRCのそれぞれを読み出す。
また、情報処理装置100の制御部150は、読み出された各情報と、図50に示す処理分類テーブルとを照合し、以降の処理を決定する(ステップS807)。
具体的には、情報処理装置100の制御部150は、物理ヘッダのCRCを計算し、物理ヘッダのエラーの有無を確認する。ここで、物理ヘッダにエラーがある場合には、フィールドの値の正当性を確認することができない。このため、図50に示すように、物理ヘッダにエラーがある場合には、以降の処理を「受信打ち切り(ERROR)」と決定する。また、物理ヘッダのCRCにエラーがない場合には、「COLOR」フィールドの内容と、物理ヘッダパラメータ共有処理において共有された各情報とに基づいて、処理を決定する。
具体的には、物理ヘッダ内のCOLOR情報が、自BSSのCOLOR情報と一致する場合には、以降の処理を「受信」と決定する。
物理ヘッダ内のCOLOR情報が、自BSSのCOLOR情報と異なる場合には、情報処理装置100の制御部150は、決定された検出閾値と、相関器出力の値とを比較する。
物理ヘッダ内のCOLOR情報が、自BSSのCOLOR情報と異なる場合であって、相関器出力の値が、OBSSを示す物理ヘッダに対する検出閾値PD_otherを基準として低いときは、以降の処理を「受信打ち切り(IDLE)」とする。
また、物理ヘッダ内のCOLOR情報が、自BSSのCOLOR情報と異なる場合であって、相関器出力の値が、OBSSを示す物理ヘッダに対する検出閾値PD_otherを基準として高いときは、以降の処理を「受信打ち切り(BUSY)」とする。
なお、相関器出力の値が検出閾値PD_otherを基準として低い場合は、相関器出力の値が、検出閾値PD_other以下である場合、または、検出閾値PD_other未満である場合を意味する。また、相関器出力の値が検出閾値PD_otherを基準として高い場合は、相関器出力の値が、検出閾値PD_other以上である場合、または、検出閾値PD_otherを超えている場合を意味する。ただし、相関器出力の値が検出閾値PD_otherを基準として低い場合を、相関器出力の値が検出閾値PD_other以下とするときには、相関器出力の値が検出閾値PD_otherを基準として高い場合を、相関器出力の値が検出閾値PD_otherを超えている場合とする。同様に、相関器出力の値が検出閾値PD_otherを基準として低い場合を、相関器出力の値が検出閾値PD_other未満とするときには、相関器出力の値が検出閾値PD_otherを基準として高い場合を、相関器出力の値が検出閾値PD_other以上である場合とする。
また、物理ヘッダ内のCOLOR情報がない場合には、基本的に、以降の処理を「受信」とする。ただし、例外として、COLOR情報が含まれないパケットの受信打ち切りがBSS内で許可されているときのみ、上述したCOLOR不一致の場合と同様の判定とする。この許可の可否については、図49に示すAllow No COLOR Filtering395に格納されている情報に基づいて判断することができる。
これ以外の各処理については、本技術の第9の実施の形態と同様であるため、ここでの説明を省略する。
上述したように、例えば、受信中のパケットの、アンテナ入力換算でのプリアンブル相関器出力レベルが、そのパケットにおける物理ヘッダ内に記載された情報から導出されるパケット検出閾値を下回っていることを第1条件することができる。この場合には、制御部150は、そのパケットにおける物理ヘッダ内に記載された値と、予め共有されている量子化および単位に関する情報とに基づく変換により、その導出を行うことができる。
なお、本技術の実施の形態では、アクセスポイント(情報処理装置200、201)を含む通信システムを例にして説明したが、アクセスポイントを含まない通信システムについても本技術の実施の形態を適用することができる。アクセスポイントを含まない通信システムは、例えば、メッシュネットワークやアドホックネットワークである。
また、例えば、自装置とは未接続の他の情報処理装置とのリンクの品質を確認する際には、応答が予想される時間帯に、条件が最も緩和されたパケット検出条件(PLCPの検出閾値)を使用するようにしてもよい。
ここで、CSMACAネットワークでは、子局の数が増加すると、キャリアセンス手法では、過剰な送信抑制が発生してシステム全体の伝送効率が低下する状況が起きうる。そこで、キャリアセンスの検出閾値を上昇させることにより、送信機会を増やす方法があるが、送信側の送信機会が増えても、受信側の端末が無関係なパケットを先に受信してしまうと、受信機会を失ってしまう。このため、受信側が適切に検出閾値を上げる必要がある。
しかしながら、自装置宛てに非同期に送信する複数の接続相手が同時に存在する情報処理装置(例えば、アクセスポイント)は、予め検出閾値を最適に設定することが困難であることが想定される。例えば、常時閾値を高くしてしまうと、サービスエリアが狭くなってしまい、複数の接続相手のうちの一部と適切に通信を行うことができないおそれがある。
そこで、本技術の実施の形態では、宛先との減衰に応じて使い分ける複数の物理ヘッダを定義し、それぞれに対応する異なる検出閾値を用意する。これにより、通信相手に応じて検出動作を適切に変更することができる。すなわち、本技術の実施の形態によれば、必要に応じて過剰な送信抑制を回避し、送信機会と受信機会の双方を増やして無線リソースの利用効率を向上させることができる。言い換えると、無線伝送におけるチャネルアクセスについて、無線リソースを効率的に利用することができる。
<13.応用例>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用可能である。例えば、情報処理装置100乃至104、200、201は、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPC、携帯型ゲーム端末若しくはデジタルカメラなどのモバイル端末、テレビジョン受像機、プリンタ、デジタルスキャナ若しくはネットワークストレージなどの固定端末、又はカーナビゲーション装置などの車載端末として実現されてもよい。また、情報処理装置100乃至104、200、201は、スマートメータ、自動販売機、遠隔監視装置又はPOS(Point Of Sale)端末などの、M2M(MAChine To MAChine)通信を行う端末(MTC(MAChine Type Communication)端末ともいう)として実現されてもよい。さらに、情報処理装置100乃至104、200、201は、これら端末に搭載される無線通信モジュール(例えば、1つのダイで構成される集積回路モジュール)であってもよい。
一方、例えば、情報処理装置200、201は、ルータ機能を有し又はルータ機能を有しない無線LANアクセスポイント(無線基地局ともいう)として実現されてもよい。また、情報処理装置200、201は、モバイル無線LANルータとして実現されてもよい。さらに、情報処理装置200、201は、これら装置に搭載される無線通信モジュール(例えば、1つのダイで構成される集積回路モジュール)であってもよい。
[13−1.第1の応用例]
図51は、本開示に係る技術が適用され得るスマートフォン900の概略的な構成の一例を示すブロック図である。スマートフォン900は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース913、アンテナスイッチ914、アンテナ915、バス917、バッテリー918及び補助コントローラ919を備える。
プロセッサ901は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はSoC(System on Chip)であってよく、スマートフォン900のアプリケーションレイヤ及びその他のレイヤの機能を制御する。メモリ902は、RAM(RandoMACcess Memory)及びROM(Read Only Memory)を含み、プロセッサ901により実行されるプログラム及びデータを記憶する。ストレージ903は、半導体メモリ又はハードディスクなどの記憶媒体を含み得る。外部接続インタフェース904は、メモリーカード又はUSB(Universal Serial Bus)デバイスなどの外付けデバイスをスマートフォン900へ接続するためのインタフェースである。
カメラ906は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を有し、撮像画像を生成する。センサ907は、例えば、測位センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び加速度センサなどのセンサ群を含み得る。マイクロフォン908は、スマートフォン900へ入力される音声を音声信号へ変換する。入力デバイス909は、例えば、表示デバイス910の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、キーパッド、キーボード、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス910は、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどの画面を有し、スマートフォン900の出力画像を表示する。スピーカ911は、スマートフォン900から出力される音声信号を音声に変換する。
無線通信インタフェース913は、IEEE802.11a、11b、11g、11n、11ac及び11adなどの無線LAN標準のうちの1つ以上をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース913は、インフラストラクチャーモードにおいては、他の装置と無線LANアクセスポイントを介して通信し得る。また、無線通信インタフェース913は、アドホックモード又はWi−Fi Direct等のダイレクト通信モードにおいては、他の装置と直接的に通信し得る。なお、Wi−Fi Directでは、アドホックモードとは異なり2つの端末の一方がアクセスポイントとして動作するが、通信はそれら端末間で直接的に行われる。無線通信インタフェース913は、典型的には、ベースバンドプロセッサ、RF(Radio Frequency)回路及びパワーアンプなどを含み得る。無線通信インタフェース913は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサ及び関連する回路を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース913は、無線LAN方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又はセルラ通信方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよい。アンテナスイッチ914は、無線通信インタフェース913に含まれる複数の回路(例えば、異なる無線通信方式のための回路)の間でアンテナ915の接続先を切り替える。アンテナ915は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、無線通信インタフェース913による無線信号の送信及び受信のために使用される。
なお、図51の例に限定されず、スマートフォン900は、複数のアンテナ(例えば、無線LAN用のアンテナ及び近接無線通信方式用のアンテナ、など)を備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ914は、スマートフォン900の構成から省略されてもよい。
バス917は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース913及び補助コントローラ919を互いに接続する。バッテリー918は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、図51に示したスマートフォン900の各ブロックへ電力を供給する。補助コントローラ919は、例えば、スリープモードにおいて、スマートフォン900の必要最低限の機能を動作させる。
図51に示したスマートフォン900において、図5を用いて説明した制御部150は、無線通信インタフェース913において実装されてもよい。また、これら機能の少なくとも一部は、プロセッサ901又は補助コントローラ919において実装されてもよい。例えば、グループ化による無線資源の効率利用により、バッテリー918の電力消費を低減することができる。
なお、スマートフォン900は、プロセッサ901がアプリケーションレベルでアクセスポイント機能を実行することにより、無線アクセスポイント(ソフトウェアAP)として動作してもよい。また、無線通信インタフェース913が無線アクセスポイント機能を有していてもよい。
[13−2.第2の応用例]
図52は、本開示に係る技術が適用され得るカーナビゲーション装置920の概略的な構成の一例を示すブロック図である。カーナビゲーション装置920は、プロセッサ921、メモリ922、GPS(Global Positioning System)モジュール924、センサ925、データインタフェース926、コンテンツプレーヤ927、記憶媒体インタフェース928、入力デバイス929、表示デバイス930、スピーカ931、無線通信インタフェース933、アンテナスイッチ934、アンテナ935及びバッテリー938を備える。
プロセッサ921は、例えばCPU又はSoCであってよく、カーナビゲーション装置920のナビゲーション機能及びその他の機能を制御する。メモリ922は、RAM及びROMを含み、プロセッサ921により実行されるプログラム及びデータを記憶する。
GPSモジュール924は、GPS衛星から受信されるGPS信号を用いて、カーナビゲーション装置920の位置(例えば、緯度、経度及び高度)を測定する。センサ925は、例えば、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び気圧センサなどのセンサ群を含み得る。データインタフェース926は、例えば、図示しない端子を介して車載ネットワーク941に接続され、車速データなどの車両側で生成されるデータを取得する。
コンテンツプレーヤ927は、記憶媒体インタフェース928に挿入される記憶媒体(例えば、CD又はDVD)に記憶されているコンテンツを再生する。入力デバイス929は、例えば、表示デバイス930の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス930は、LCD又はOLEDディスプレイなどの画面を有し、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの画像を表示する。スピーカ931は、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの音声を出力する。
無線通信インタフェース933は、IEEE802.11a、11b、11g、11n、11ac及び11adなどの無線LAN標準のうちの1つ以上をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース933は、インフラストラクチャーモードにおいては、他の装置と無線LANアクセスポイントを介して通信し得る。また、無線通信インタフェース933は、アドホックモード又はWi−Fi Direct等のダイレクト通信モードにおいては、他の装置と直接的に通信し得る。無線通信インタフェース933は、典型的には、ベースバンドプロセッサ、RF回路及びパワーアンプなどを含み得る。無線通信インタフェース933は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサ及び関連する回路を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース933は、無線LAN方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又はセルラ通信方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよい。アンテナスイッチ934は、無線通信インタフェース933に含まれる複数の回路の間でアンテナ935の接続先を切り替える。アンテナ935は、単一の又は複数のアンテナ素子を有し、無線通信インタフェース933による無線信号の送信及び受信のために使用される。
なお、図52の例に限定されず、カーナビゲーション装置920は、複数のアンテナを備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ934は、カーナビゲーション装置920の構成から省略されてもよい。
バッテリー938は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、図52に示したカーナビゲーション装置920の各ブロックへ電力を供給する。また、バッテリー938は、車両側から給電される電力を蓄積する。
図52に示したカーナビゲーション装置920において、図5を用いて説明した制御部150は、無線通信インタフェース933において実装されてもよい。また、これら機能の少なくとも一部は、プロセッサ921において実装されてもよい。
また、無線通信インタフェース933は、上述した情報処理装置100として動作し、車両に乗るユーザが有する端末に無線接続を提供してもよい。
また、本開示に係る技術は、上述したカーナビゲーション装置920の1つ以上のブロックと、車載ネットワーク941と、車両側モジュール942とを含む車載システム(又は車両)940として実現されてもよい。車両側モジュール942は、車速、エンジン回転数又は故障情報などの車両側データを生成し、生成したデータを車載ネットワーク941へ出力する。
[13−3.第3の応用例]
図53は、本開示に係る技術が適用され得る無線アクセスポイント950の概略的な構成の一例を示すブロック図である。無線アクセスポイント950は、コントローラ951、メモリ952、入力デバイス954、表示デバイス955、ネットワークインタフェース957、無線通信インタフェース963、アンテナスイッチ964及びアンテナ965を備える。
コントローラ951は、例えばCPU又はDSP(Digital SIGNAL Processor)であってよく、無線アクセスポイント950のIP(Internet Protocol)レイヤ及びより上位のレイヤの様々な機能(例えば、アクセス制限、ルーティング、暗号化、ファイアウォール及びログ管理など)を動作させる。メモリ952は、RAM及びROMを含み、コントローラ951により実行されるプログラム、及び様々な制御データ(例えば、端末リスト、ルーティングテーブル、暗号鍵、セキュリティ設定及びログなど)を記憶する。
入力デバイス954は、例えば、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作を受け付ける。表示デバイス955は、LEDランプなどを含み、無線アクセスポイント950の動作ステータスを表示する。
ネットワークインタフェース957は、無線アクセスポイント950が有線通信ネットワーク958に接続するための有線通信インタフェースである。ネットワークインタフェース957は、複数の接続端子を有してもよい。有線通信ネットワーク958は、イーサネット(登録商標)などのLANであってもよく、又はWAN(Wide Area Network)であってもよい。
無線通信インタフェース963は、IEEE802.11a、11b、11g、11n、11ac及び11adなどの無線LAN標準のうちの1つ以上をサポートし、近傍の端末へアクセスポイントとして無線接続を提供する。無線通信インタフェース963は、典型的には、ベースバンドプロセッサ、RF回路及びパワーアンプなどを含み得る。無線通信インタフェース963は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサ及び関連する回路を集積したワンチップのモジュールであってもよい。アンテナスイッチ964は、無線通信インタフェース963に含まれる複数の回路の間でアンテナ965の接続先を切り替える。アンテナ965は、単一の又は複数のアンテナ素子を有し、無線通信インタフェース963による無線信号の送信及び受信のために使用される。
図53に示した無線アクセスポイント950において、図5を用いて説明した制御部150は、無線通信インタフェース963において実装されてもよい。また、これら機能の少なくとも一部は、コントローラ951において実装されてもよい。
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
また、上述の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。この記録媒体として、例えば、CD(Compact Disc)、MD(MiniDisc)、DVD(Digital Versatile Disc)、メモリカード、ブルーレイディスク(Blu-ray(登録商標)Disc)等を用いることができる。
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって、限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)
無線通信を利用して他の情報処理装置から送信された複数のパケットについて、複数のパケット検出条件のうちから1つを選択して使用し、複数の受信動作のうちから1つを選択して実行する制御を行う制御部を具備する情報処理装置。
(2)
前記制御部は、到来したパケットの受信信号強度に基づいて適用する相関器を選択し、前記選択された相関器における出力が検出閾値を基準として大きいことを前記パケット検出条件とする前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記制御部は、到来したパケットの受信信号強度に基づいて、適用する相関器出力の検出閾値を選択し、前記相関器出力が前記選択された検出閾値を基準として大きいことを前記パケット検出条件とする前記(1)に記載の請求項1記載の情報処理装置。
(4)
前記制御部は、アンテナ入力換算での検出閾値の異なる複数の相関器が並列に配置されている場合に、それぞれの相関器の何れかが、対応する検出閾値を基準として大きいことを前記パケット検出条件とする前記(1)に記載の情報処理装置。
(5)
前記制御部は、前記パケット検出条件を満たす場合であっても、ネットワークを識別するための識別子に関する情報が、到来したパケットにおけるプリアンブルの後の特定フィールドに存在し、かつ、当該識別子が前記情報処理装置の属するネットワークの識別子と異なるときには、前記パケットの受信を打ち切り、待ち受け状態に戻る前記(1)から(4)のいずれかに記載の情報処理装置。
(6)
1つ以上のプリアンブル相関器を備え、
前記制御部は、各相関器での仮検出後、アンテナ入力換算での相関器出力が、プリアンブルの後の特定フィールドの内容により特定される検出閾値を基準として大きいことを前記パケット検出条件とする
前記(1)に記載の情報処理装置。
(7)
前記制御部は、前記仮検出におけるプリアンブル検出条件として、前記パケット検出条件の何れよりも緩和された条件を用いる前記(6)に記載の情報処理装置。
(8)
前記制御部は、前記仮検出後に前記パケット検出条件を満たさない場合には、以降の受信を中止する前記(6)または(7)に記載の情報処理装置。
(9)
前記特定フィールドの内容は、当該特定フィールドを含む信号のパケット検出条件を示す前記(6)から(8)のいずれかに記載の情報処理装置。
(10)
前記制御部は、前記パケット検出条件を満たす場合であっても、ネットワークを識別するための識別子に関する情報が前記特定フィールドに存在し、かつ、当該識別子が前記情報処理装置の属するネットワークの識別子と異なるときには、前記パケットの受信を打ち切り、待ち受け状態に戻る前記(6)または(7)に記載の情報処理装置。
(11)
前記制御部は、前記パケット検出条件を満たさない場合であっても、ネットワークを識別するための識別子に関する情報が前記特定フィールドに存在し、かつ、当該識別子が前記情報処理装置の属するネットワークの識別子と一致しているときには、前記パケットの受信処理を継続する前記(6)または(7)に記載の情報処理装置。
(12)
前記制御部は、前記パケット検出条件を満たさず、かつ、前記複数のパケットの受信電力強度がキャリアセンスのエネルギー検出閾値を超えていない場合には、待ち受け状態に戻り、無線状態を空き状態として振る舞う前記(1)に記載の情報処理装置。
(13)
前記制御部は、前記パケット検出条件を満たさず、かつ、前記複数のパケットの受信電力強度がキャリアセンスのエネルギー検出閾値を超えている場合には、前記複数のパケットの継続期間中の自装置からの送信を禁止する前記(1)に記載の情報処理装置。
(14)
前記制御部は、自装置宛てであり、かつ、応答を要求するフレームを受信した場合には、前記応答を送信する前記(13)に記載の情報処理装置。
(15)
前記制御部は、前記他の情報処理装置との接続処理が完了するまでの間、条件が最も緩和された前記パケット検出条件を使用する前記(1)から(14)のいずれかに記載の情報処理装置。
(16)
前記制御部は、前記他の情報処理装置との通信における通信品質に基づいて、前記複数のパケット検出条件と、各パケット検出条件に対応する物理ヘッダの選択条件とを決定する前記(1)に記載の情報処理装置。
(17)
前記制御部は、前記複数のパケット検出条件および前記選択条件を、無線通信を利用して前記他の情報処理装置に送信する制御を行う前記(16)に記載の情報処理装置。
(18)
前記制御部は、前記情報処理装置が属するネットワークを識別するための識別子を、無線通信を利用して前記他の情報処理装置に送信する制御を行う前記(17)に記載の情報処理装置。
(19)
前記制御部は、前記他の情報処理装置から送信されたパケット内に記載されている情報に基づいて、前記複数のパケット検出条件と、各パケット検出条件に対応する物理ヘッダの選択条件とを決定する前記(1)に記載の情報処理装置。
(20)
前記制御部は、自装置宛てに受信したパケットが即時応答を要求している場合には、当該パケットと同じ種類の物理ヘッダを付加して応答を送信する前記(1)から(19)のいずれかに記載の情報処理装置。